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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ウエハ載置台
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240425BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H05B3/20 309
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023514948
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 JP2022030570
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 博哉
(72)【発明者】
【氏名】石川 征樹
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-191315(JP,A)
【文献】特開2018-005998(JP,A)
【文献】特開2020-017686(JP,A)
【文献】特開2019-220645(JP,A)
【文献】特開2008-172208(JP,A)
【文献】特開2023-088622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H05B 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ載置面を有するセラミック基材と、
前記セラミック基材に埋設された抵抗発熱体と、
前記抵抗発熱体とは別の層に設けられた平面形状のジャンパ層と、
前記ジャンパ層と前記抵抗発熱体の一端とを接続する内部ビアと、
前記ジャンパ層に接続された給電ビアと、
を備え、
前記抵抗発熱体は、前記ウエハ載置面と平行な面に設けられた複数のゾーンのそれぞれに対応して設けられ、
前記ジャンパ層は、前記抵抗発熱体のそれぞれに対応して形成され、
前記ジャンパ層のそれぞれにおける前記内部ビアと前記給電ビアとの中心間距離は50mm以上である、
ウエハ載置台。
【請求項2】
前記ジャンパ層のそれぞれにおいて前記内部ビアと前記給電ビアとの間には前記内部ビアと前記給電ビアとの最短ルートを遮る高抵抗領域が設けられている、
請求項1に記載のウエハ載置台。
【請求項3】
前記高抵抗領域は、前記ジャンパ層に設けられたスリットである、
請求項2に記載のウエハ載置台。
【請求項4】
前記高抵抗領域は、前記内部ビアの外形と前記給電ビアの外形のそれぞれに接する2本の接線と交差するように設けられている、
請求項2又は3に記載のウエハ載置台。
【請求項5】
前記高抵抗領域は、前記内部ビア及び前記給電ビアのうちの一方を中心とする円弧状の領域である、
請求項2又は3に記載のウエハ載置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ載置台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内周側抵抗発熱体と外周側抵抗発熱体とがセラミック基体の同一の平面に存在しているセラミックヒータが知られている。例えば、特許文献1には、こうしたセラミックヒータにおいて、外周側抵抗発熱体の一端は、セラミック基体の別の平面に設けられて内周側抵抗発熱体と立体交差する第1の導電面を介して一対の外周側給電端子の一方に接続され、外周側抵抗発熱体の他端は、セラミック基体の別の平面に設けられて内周側抵抗発熱体と立体交差する第2の導電面を介して一対の外周側給電端子の他方に接続されたものが開示されている。第1及び第2の導電面は平面形状のジャンパ層である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-18704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、第1の導電面のうち外周側抵抗発熱体の一端が接続された接続部と外周側給電端子が接続された接続部との距離が近いと、両方の接続部間の最短ルート及びその近傍の電流密度が高くなり、局所的に発熱することがあった。この点は、第2の導電面も同様である。こうした局所的な発熱は、ウエハの温度制御に悪影響を与えるため好ましくない。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、ジャンパ層の局所的な発熱を抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明のウエハ載置台は、
ウエハ載置面を有するセラミック基材と、
前記セラミック基材に埋設された抵抗発熱体と、
前記抵抗発熱体とは別の層に設けられた平面形状のジャンパ層と、
前記ジャンパ層と前記抵抗発熱体の一端とを接続する内部ビアと、
前記ジャンパ層に接続された給電ビアと、
を備え、
前記ジャンパ層における前記内部ビアと前記給電ビアとの中心間距離は50mm以上である。
【0007】
このウエハ載置台は、ジャンパ層における内部ビアと給電ビアとの中心間距離は50mm以上である。この場合、電流は内部ビアと給電ビアとの最短ルートのほかその最短ルートの両側で比較的大きく湾曲したルートにも流れるため、最短ルートやその近傍の電流密度が高くなるのを抑えることができる。また、中心間距離が比較的長いため、発熱が分散しやすい。
【0008】
[2]上述したウエハ載置台(前記[1]に記載のウエハ載置台)は、前記ジャンパ層において前記内部ビアと前記給電ビアとの間には前記内部ビアと前記給電ビアとの最短ルートを遮る高抵抗領域が設けられていてもよい。高抵抗領域が設けられている場合には、電流は高抵抗領域以外の領域を流れるため、内部ビアと給電ビアとの最短ルートやその近傍の電流密度が高くなるのを抑えることができる。
【0009】
[3]上述したウエハ載置台(前記[2]に記載のウエハ載置台)において、前記高抵抗領域は、前記ジャンパ層に設けられたスリットであってもよい。こうすれば、電流はスリットを流れることができないため、内部ビアと給電ビアとの最短ルート及びその近傍の電流密度が高くなるのを抑えやすくなる。
【0010】
[4]上述したウエハ載置台(前記[2]又は[3]に記載のウエハ載置台)において、前記高抵抗領域は、前記内部ビアの外形と前記給電ビアの外形のそれぞれに接する2本の接線と交差するように設けられていてもよい。こうした2本の接線で囲まれた領域は比較的電流が流れやすく発熱しやすいが、ここでは、2本の接線と交差するように高抵抗領域が設けられているため、局所的な発熱を抑制しやすくなる。
【0011】
[5]上述したウエハ載置台(前記[2]~[4]のいずれかに記載のウエハ載置台)において、前記高抵抗領域は、前記内部ビア及び前記給電ビアのうちの一方を中心とする円弧状の領域であってもよい。こうすれば、電流は円弧状の領域を避けて大きく迂回して流れるようになるため、局所的な発熱を抑制しやすくなる。
【0012】
[6]上述したウエハ載置台(前記[1]~[5]のいずれかに記載のウエハ載置台)において、前記抵抗発熱体は、前記セラミック基材のゾーンごとに設けられていてもよく、前記ジャンパ層は、前記セラミック基材内に多段に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ウエハ載置台10の平面図。
図2図1のA-A断面図。
図3】ウエハ載置台10を第3セラミック層23の上面で切断したときの切断面を上からみた断面図。
図4】ウエハ載置台10を第2セラミック層22の上面で切断したときの切断面を上からみた断面図。
図5】ウエハ載置台10を第1セラミック層21の上面で切断したときの切断面を上からみた断面図。
図6】給電部同士の中心間距離Xとセラミック基材の表面温度との関係を表すグラフ。
図7】内部ビア42と給電ビア46との間を流れる電流の模式図。
図8】ウエハ載置台10の製造工程図。
図9】スリット40aを備えた上方ジャンパ層40の平面図。
図10】スリット40a及びその周辺の平面図。
図11】スリット40b及びその周辺の平面図。
図12】スリット40c及びその周辺の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。図1はウエハ載置台10の平面図、図2図1のA-A断面図、図3図5はウエハ載置台10を水平方向に切断したときの切断面を上からみた断面図である。以下の説明において、上下、左右、前後を用いることがあるが、上下、左右、前後は相対的な位置関係に過ぎない。
【0015】
ウエハ載置台10は、セラミック基材20に、ヒータ電極30、上方ジャンパ層40及び下方ジャンパ層50が埋設されたものである。
【0016】
セラミック基材20は、セラミック製の円板であり、ウエハを載置するためのウエハ載置面20aを上面に有する。セラミックとしては、例えばアルミナや窒化アルミニウムなどが挙げられる。セラミック基材20は、多層構造体であり、本実施形態では、図2に示すように、下方から上方に向かって第1~第4セラミック層21~24が積層されたものである。
【0017】
ヒータ電極30は、第3セラミック層23の上面に設けられている。ヒータ電極30は、ゾーンごとに設けられている。ゾーンは、第3セラミック層23を平面視したときの円形状を複数(本実施形態では4つ)の扇形に分割したものである。ヒータ電極30は、扇形のゾーンの全体にわたって抵抗発熱体を外周端32から中心端34まで一筆書きの要領で配線したものである。ヒータ電極30は、金属とセラミックとの混合材料で形成されている。金属としては、例えばRu,W,Moなどが挙げられるが、セラミック基材20と熱膨張係数が近いものが好ましい。セラミックとしては、セラミック基材20と同じ材料を用いる。ヒータ電極30はこのような混合材料で形成されているため、ヒータ電極30とセラミック基材20との熱膨張差によって両者の間にクラックが入ることなどを防止することができる。
【0018】
上方ジャンパ層40は、平面形状であり、第2セラミック層22の上面に設けられている。上方ジャンパ層40は、4つのヒータ電極30のそれぞれに対応して扇形に形成されている。上方ジャンパ層40は、対応するヒータ電極30の外周端32と導電性の内部ビア42を介して接続されている。内部ビア42は、第3セラミック層23を上下方向に貫通している。内部ビア42の上端は、ヒータ電極30の外周端32に接続され、内部ビア42の下端は、上方ジャンパ層40に接続されている。上方ジャンパ層40には、導電性の給電ビア46の上端が接続されている。給電ビア46は、上方柱状部材46aと下方柱状部材46bとを上下方向に連結したものである。上方柱状部材46aは、第2セラミック層22を上下方向に貫通し、下方柱状部材46bは、第1セラミック層21を上下方向に貫通している。給電ビア46の下端は、セラミック基材20の下面に露出している。内部ビア42及び給電ビア46は、例えばヒータ電極30と同じ材料で形成されていてもよい。上方ジャンパ層40における内部ビア42と給電ビア46との中心間距離L1は、50mm以上である。
【0019】
下方ジャンパ層50は、平面形状であり、第1セラミック層21の上面に設けられている。下方ジャンパ層50は、4つのヒータ電極30のそれぞれに対応して扇形に形成されている。下方ジャンパ層50は、対応するヒータ電極30の中心端34と導電性の内部ビア54を介して接続されている。内部ビア54は、第2及び第3セラミック層22,23を上下方向に貫通している。内部ビア54は、上方柱状部材54aと下方柱状部材54bとを上下方向に連結したものである。上方柱状部材54aは、第3セラミック層23を上下方向に貫通し、下方柱状部材54bは、第2セラミック層22を上下方向に貫通している。内部ビア54の上端は、ヒータ電極30の中心端34に接続され、内部ビア54の下端は、下方ジャンパ層50に接続されている。下方ジャンパ層50には、導電性の給電ビア56の上端が接続されている。給電ビア56は、第1セラミック層21を上下方向に貫通している。給電ビア56の下端は、セラミック基材20の下面に露出している。下方ジャンパ層50には、給電ビア46と接触しないように切欠58が設けられている。内部ビア54及び給電ビア56は、例えばヒータ電極30と同じ材料で形成されていてもよい。下方ジャンパ層50における内部ビア54と給電ビア56との中心間距離L2は、50mm以上である。
【0020】
中心間距離L1,L2を設定するにあたり、直径300mm、厚さ4.3mmのセラミック基材に、直径295mm、厚さ0.01mmの円板電極(ジャンパ層に相当)を埋設したものをモデルに用いた。円板電極の埋設位置は、セラミック基材の裏面から1.1mmとした。円形電極の裏面の中心位置に直径1mm、厚さ0.1mmの第1給電部を配置し、中心位置から半径方向に距離(中心間距離)Xmm隔てた位置に直径1mm、厚さ0.1mmの第2給電部を配置した。円板電極の体積抵抗率は2.5×10-5Ωcm、第1及び第2給電部の体積抵抗率も2.5×10-5Ωcmとした。そして、セラミック基材の裏面の温度を10℃に保持した状態で、第1給電部と第2給電部との間に直流電流を流したときの給電部同士の中心間距離Xとセラミック基材の表面温度との関係を求めた。電流は10A,15A,20Aとした。その結果を図6のグラフに示す。グラフからわかるように、いずれの電流値においても、中心間距離Xが50mm以上のときにセラミック基材の表面温度が収束し安定した。この結果を踏まえて、本実施形態では中心間距離L1,L2を50mm以上とした。
【0021】
図7Aに示すように、上方ジャンパ層40における内部ビア42と給電ビア46との中心間距離L1が50mm以上の場合には、電流はその最短ルートのほかその最短ルートの両側で比較的大きく湾曲したルートにも流れるため、最短ルートやその近傍の電流密度が高くなるのを抑えることができる。また、中心間距離L1が長いため、発熱が分散しやすい。これに対して、図7Bに示すように、上方ジャンパ層40における内部ビア42と給電ビア46との中心間距離L1が短い(例えば10mm)場合には、電流はその最短ルート及びその近傍に集中して流れやすくなる。また、中心間距離L1が短いため、発熱が分散しにくい。この点は、下方ジャンパ層50における内部ビア54と給電ビア56との中心間距離L2も同様である。
【0022】
次に、ウエハ載置台10の製造例を図8を用いて説明する。図8はウエハ載置台10の製造工程図である。まず、4枚の円板状のセラミックグリーンシートGSを作製する。セラミックグリーンシートGSはテープ成形法によって作製される。
【0023】
1枚目のセラミックグリーンシートGSについては、下方柱状部材46bや給電ビア56に相当する位置に貫通穴を形成し、その貫通穴に導電ペーストを充填してペースト充填部146b,156を形成する(図8A参照)。その後、そのセラミックグリーンシートGSの上面に下方ジャンパ層50と同じパターンとなるように導電ペーストを印刷して下方ジャンパ前駆体150を形成し、第1シート121を得る(図8B参照)。
【0024】
2枚目のセラミックグリーンシートGSについては、上方柱状部材46aや下方柱状部材54bに相当する位置に貫通穴を形成し、その貫通穴に導電ペーストを充填してペースト充填部146a,154bを形成する(図8A参照)。その後、そのセラミックグリーンシートGSの上面に上方ジャンパ層40と同じパターンとなるように導電ペーストを印刷して上方ジャンパ前駆体140を形成し、第2シート122を得る(図8B参照)。
【0025】
3枚目のセラミックグリーンシートGSについては、内部ビア42や上方柱状部材54aに相当する位置に貫通穴を形成し、その貫通穴に導電ペーストを充填してペースト充填部142,154aを形成する(図8A参照)。その後、そのセラミックグリーンシートGSの上面にヒータ電極30と同じパターンとなるように導電ペーストを印刷してヒータ電極前駆体130を形成し、第3シート123を得る(図8B参照)。
【0026】
4枚目のセラミックグリーンシートGSについては、それをそのまま第4シート124として用いる(図8A参照)。
【0027】
そして、第1~第4シート121~124をこの順に下から積層して積層体110とする(図8C参照)。この積層体110を焼成することにより、ウエハ載置台10を得る。
【0028】
次に、ウエハ載置台10の使用例について説明する。ヒータ電極30ごとにヒータ電源(図示せず)を接続する。具体的には、ヒータ電源の一対の給電端子の一方(プラス極)をヒータ電極30の給電ビア46に接続し、ヒータ電源の一対の給電端子の他方(マイナス極)をヒータ電極30の給電ビア56に接続する。そして、ウエハ載置面20aにウエハを載置し、ヒータ電極30ごとに個別に電力を供給してウエハを加熱する。このとき、ウエハ全体が同じ温度になるように電力を供給する。この状態でウエハに処理を施す。
【0029】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のセラミック基材20が本発明のセラミック基材に相当し、ヒータ電極30がヒータ電極に相当する。また、上方ジャンパ層40がジャンパ層に相当し、上方ジャンパ層40における内部ビア42と給電ビア46との中心間距離L1が50mm以上となっている。また、下方ジャンパ層50がジャンパ層に相当し、下方ジャンパ層50における内部ビア54と給電ビア56との中心間距離L2が50mm以上となっている。
【0030】
以上説明した本実施形態のウエハ載置台10では、上方ジャンパ層40における内部ビア42と給電ビア46との中心間距離L1が50mm以上である。そのため、電流は、上方ジャンパ層40における内部ビア42と給電ビア46との最短ルートのほかその最短ルートの両側で比較的大きく湾曲したルートにも流れる。これにより、最短ルートやその近傍の電流密度が高くなるのを抑えることができる。また、中心間距離L1が長いため、発熱が分散しやすい。この点は、下方ジャンパ層50における内部ビア54と給電ビア56も同様である。したがって、上方ジャンパ層40や下方ジャンパ層50の局所的な発熱を抑制することができる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0032】
例えば、上述した実施形態において、上方ジャンパ層40における内部ビア42と給電ビア46との最短ルートの中心間距離L1を50mm以上にするのに代えて又は加えて、図9及び図10に示すように、上方ジャンパ層40において、内部ビア42と給電ビア46との間に、内部ビア42と給電ビア46との最短ルート(図10の1点鎖線)を遮る円弧状のスリット40aを設けてもよい。なお、図9及び図10では、最短ルートの中心間距離L1は50mm未満(例えば10mmとか20mm)とした。スリット40aは、高抵抗領域の一例であり、内部ビア42の外形と給電ビア46の外形のそれぞれに接する2本の接線(図10の2点鎖線)と交差するように設けられている。また、スリット40aは、給電ビア46を中心とする円弧状(ここでは半円状)の環状領域である。この場合、図10に示すように、電流は、スリット40a以外の領域を流れる(点線矢印参照)。そのため、内部ビア42と給電ビア46との最短ルートやその近傍の電流密度が高くなるのを抑えることができる。したがって、上方ジャンパ層40の局所的な発熱を抑制することができる。なお、スリット40aは、上方ジャンパ層40を上下方向に貫通する領域であるが、スリット40aの代わりに、上方ジャンパ層40を薄くした薄肉領域を高抵抗領域として設けてもよい。また、下方ジャンパ層50においても内部ビア54と給電ビア56との間に同様の高抵抗領域(スリットなど)を設けてもよい。
【0033】
スリット40aの代わりに、図11及び図12に示すスリット40b,40cを採用してもよい。図11のスリット40bは、長方形であり、内部ビア42と給電ビア46との最短ルート(図11の1点鎖線)を遮るように上方ジャンパ層40に設けられている。また、スリット40bは、内部ビア42の外形と給電ビア46の外形のそれぞれに接する2本の接線(図11の2点鎖線)と交差するように設けられている。こうしたスリット40bを採用してもスリット40aと同様の効果が得られる。但し、円弧状のスリット40aの方が、長方形状のスリット40bに比べて、電流はより大きく迂回しやすいため好ましい。図12のスリット40cも、長方形であり、内部ビア42と給電ビア46との最短ルート(図12の1点鎖線)を遮るように上方ジャンパ層40に設けられている。但し、スリット40cは、内部ビア42の外形と給電ビア46の外形のそれぞれに接する2本の接線(図12の2点鎖線)と交差していない。こうしたスリット40cを採用してもスリット40aと概ね同様の効果が得られるが、スリット40cは2本の接線と交差していないため、スリット40a,40bの方が効果を顕著に得ることができる。なお、高抵抗領域を設ける場合であっても、上方ジャンパ層40における内部ビア42と給電ビア46との最短ルートの中心間距離L1を50mm以上とすることが好ましい。同様に、高抵抗領域を設ける場合であっても、下方ジャンパ層50における内部ビア54と給電ビア56との最短ルートの中心間距離L2を50mm以上とすることが好ましい。
【0034】
上述した実施形態において、セラミック基材20はウエハ載置面20aに近い位置に静電チャック電極を内蔵していてもよい。静電チャック電極は、直流電源に接続される。ウエハ載置面20aに載置されるウエハは、静電チャック電極に直流電圧を印加することにより、ウエハ載置面20aに吸着され固定される。セラミック基材20はプラズマ発生用のRF電極を内蔵していてもよい。
【0035】
上述した実施形態において、ウエハ載置台10は、ウエハ載置台10を上下方向に貫通する穴を複数有していてもよい。こうした穴としては、ウエハ載置面20aに開口する複数のガス穴やウエハ載置面20aに対してウエハを上下させるリフトピンを挿通させるためのリフトピン穴がある。
【0036】
上述した実施形態において、ウエハ載置面20aの外周縁に沿ってシールバンドを設け、シールバンドの内側の領域に複数の小突起(扁平な円形突起)を設けてもよい。この場合、シールバンドの頂面と複数の小突起の頂面とは同一平面になるようにする。ウエハは、シールバンドの頂面と複数の小突起の頂面とによって支持される。
【0037】
上述した実施形態では、セラミック基材20を作製するにあたり、セラミックグリーンシートGSを利用したが、特にこれに限定されない。例えば、セラミック粉末を押し固めたセラミック成形体を利用してもよいし、モールドキャスト法で作製したセラミック成形体を利用してもよいし、これらを組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、ウエハに各種処理を施すのに利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 ウエハ載置台、20 セラミック基材、20a ウエハ載置面、21~24 第1~第4セラミック層、30 ヒータ電極、32 外周端、34 中心端、40 上方ジャンパ層、40a~40c スリット、42 内部ビア、46 給電ビア、46a 上方柱状部材、46b 下方柱状部材、50 下方ジャンパ層、54 内部ビア、54a 上方柱状部材、54b 下方柱状部材、56 給電ビア、58 切欠、110 積層体、121~124 第1~第4シート、130 ヒータ電極前駆体、140 上方ジャンパ前駆体、142 ペースト充填部、146a ペースト充填部、146b ペースト充填部、150 下方ジャンパ前駆体、L1,L2 中心間距離。
【要約】
ウエハ載置台(10)は、ウエハ載置面(20a)を有するセラミック基材(20)と、セラミック基材(20)に埋設されたヒータ電極(30)と、ヒータ電極(30)とは別の層に設けられた平面形状の上方ジャンパ層(40)と、上方ジャンパ層(40)とヒータ電極(30)の一端とを接続する内部ビア(42)と、上方ジャンパ層(40)に接続された給電ビア(46)と、を備える。上方ジャンパ層(40)における内部ビア(42)と給電ビア(46)との中心間距離は50mm以上である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12