(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20240425BHJP
D06F 58/22 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
D06F58/02 K
D06F58/22
(21)【出願番号】P 2024007276
(22)【出願日】2024-01-22
(62)【分割の表示】P 2022162312の分割
【原出願日】2021-02-12
【審査請求日】2024-01-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】上野 真司
(72)【発明者】
【氏名】上甲 康之
(72)【発明者】
【氏名】吉川 政志
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-347298(JP,A)
【文献】特許第3863167(JP,B1)
【文献】特開2008-212372(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0139402(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
D06F 58/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内槽と、
前記内槽を囲い、水を溜める外槽と、
前記内槽と前記外槽に風を供給する送風機と、
前記外槽と前記送風機を接続する風路と、を備え、
すすぎ終了後、前記内槽および前記外槽内の水を排水し、前記内槽をすすぎ工程時の回転数よりも高い回転数まで上昇させた後、前記外槽内に給水された水が前記内槽の回転によって下から上に向かって流れ、
当該下から上に向かって流れる水によって洗浄可能な範囲に風路フィルタが前記外槽の背面に配置されることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項
1に記載の洗濯乾燥機であって、前記風路フィルタは前記内槽の回転軸よりも上方
まで配置されていることを特徴とする洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機の上流側に配置した風路フィルタを洗浄する洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗濯乾燥機として、送風機の上流側の風路フィルタに付着した異物を、水流を利用して除去するものが知られている。例えば、特許文献1の請求項1には「水槽と、前記水槽内に回転可能に配される回転ドラムと、前記回転ドラム内より導かれる空気を除湿する除湿部と、前記除湿部にて除湿された空気を加熱する加熱部と、前記回転ドラム内の空気を前記除湿部へと導くとともに前記加熱部にて加熱された空気を前記回転ドラム内へと吹き込む送風部と、前記回転ドラムと前記送風部との間であって乾燥工程時に前記送風部によって発生する空気流の上流側である吸込口側の経路に設けられるとともに洗い工程またはすすぎ工程時に前記水槽内に供給される洗濯水に浸かるように配されるフィルタ手段とを備えた乾燥洗濯機において、前記回転ドラムの回転駆動に基づいて前記洗濯水に水流を発生させて前記フィルタ手段に付着した異物を除去するクリーニング手段と、洗い工程またはすすぎ工程において前記回転ドラムの回転速度を変化させる回転ドラム回転制御手段とを備えていることを特徴とする乾燥洗濯機。」の記載がある。
【0003】
また、特許文献1では、同文献の
図5に示されるように、洗い工程時やすすぎ工程時に洗濯水に浸かる水槽の背面下部にフィルタを配置することで、乾燥工程時の循環空気に含まれる、フィルタの網目の粗さ(同文献の段落0060では、1mm~3mm)よりも大きい綿埃や糸くずなどの異物(以下「リント」と称する)を捕集し、フィルタ下流の送風機やヒータへの異物侵入を防止している。
【0004】
このように、特許文献1の洗濯乾燥機では、乾燥工程時にフィルタ表側に付着したリントを、以後の洗い工程やすすぎ工程中に回転ドラムを回転させた際の水流でフィルタ表側から除去した後、水槽の最下部に開口する排水口から排出するので、フィルタ表側の目詰まりを解消して乾燥工程時の循環空気の風量低下を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一般的に、乾燥工程時の循環空気に含まれるリントは、フィルタの網目より小さい数十~数百μm程度のものが多いため、循環空気中のリントの多くはフィルタを通過し、フィルタから送風機に至る風路内に侵入する。風路内に侵入した微細なリントは、乾燥工程時に除湿のために風路内に供給される冷却水、或いは、洗い工程時やすすぎ工程時に水槽に供給される水を吸収して、周辺のリントと合体しリント塊となってフィルタ裏側に堆積する。フィルタ裏側に堆積した網目より大きいリント塊は、特許文献1のクリーニングでは、フィルタ表側に逆流することがないため、乾燥工程を繰り返すとフィルタ裏側へのリント付着が次第に増え、フィルタ裏側の目詰まりが徐々に進展する。
【0007】
このように、特許文献1の洗濯乾燥機では、経時的にフィルタ裏側の目詰まりが進展するため、乾燥工程時の循環空気の風量が低下して衣類等の乾燥不足が発生したり、風路内の排水不良が発生したりする場合があった。
【0008】
そこで、本発明では、風路フィルタ裏側から送風機に至る風路で発生したリント塊を排出することで、風路フィルタの目詰まりを防止できる洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本実施例の洗濯乾燥機は、内槽と、前記内槽を囲い、水を溜める外槽と、前記内槽と前記外槽に風を供給する送風機と、前記外槽と前記送風機を接続する風路と、を備え、すすぎ終了後、前記内槽および前記外槽内の水を排水し、前記内槽をすすぎ工程時の回転数よりも高い回転数まで上昇させた後、前記外槽内に給水された水が前記内槽の回転によって下から上に向かって流れ、当該下から上に向かって流れる水によって洗浄可能な範囲に風路フィルタが配置される洗濯乾燥機とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の洗濯乾燥機によれば、風路フィルタ裏側から送風機に至る風路で発生したリント塊を排出することで、風路フィルタの目詰まりを防止し、衣類等の乾燥不足や、風路内の排水不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】比較例の外槽およびメッシュフィルタの正面図
【
図4】実施例1の外槽およびメッシュフィルタの正面図
【
図5】洗濯乾燥機の一般的な運転例のフローチャート
【
図6A】実施例1のメッシュフィルタ洗浄方法の一例を説明するフローチャート
【
図6B】実施例1のメッシュフィルタ洗浄方法の他例を説明するフローチャート
【
図8A】実施例2の副メッシュフィルタ洗浄構造の一例
【
図8B】実施例2の副メッシュフィルタ洗浄構造の他例
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて、本発明の洗濯乾燥機の実施例を説明する。なお、以下では、洗濯乾燥機の具体的構成として、内槽の回転軸が略水平のドラム式洗濯乾燥機を例示するが、内槽の回転軸が略垂直の縦型洗濯乾燥機に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。
【0013】
<比較例の洗濯乾燥機1>
本発明の洗濯乾燥機を説明する前に、まず、
図1と
図2を用いて、比較例の洗濯乾燥機1を説明する。なお、特許文献1の洗濯乾燥機では、ドラム回転軸の下方に送風機やヒータを配置しているが、比較例の洗濯乾燥機1では、ドラム回転軸の上方に送風機やヒータを配置した。
【0014】
図1の断面図に示すように、比較例の洗濯乾燥機1は、箱体2、ドア2a、外槽3、内槽4、送風装置5(送風機5a、ヒータ5b、吹出口5c、循環風路5d、風路ホース5e)、風路フィルタ6、排水路7(内部排水路7a、水路フィルタ7b、排水弁7c、排水ホース7d)、循環ポンプ8、循環水路8aを備えている。
【0015】
箱体2は、洗濯乾燥機1の外殻であり、箱体2の前面開口には開閉自在なドア2aが取り付けられる。外槽3は、箱体2の内部に配置されており、内部に水を貯めることができる。内槽4は、外槽3の内部に配置されており、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各工程時に、衣類等の洗濯物を入れた状態で、回転軸4a周りを低速あるいは高速で回転する。
【0016】
送風装置5は、乾燥工程時に図中の破線矢印で示す循環風を発生させ、洗濯物を乾燥する。図示するように、送風機5aから吹き出した風は、下流のヒータ5bで温められた後、吹出口5cを通って、内槽4に供給される。内槽4に供給された風は、内槽4に収容された湿った洗濯物を加熱して水分を奪った後、内槽4の外周孔を通って内槽4と外槽3の隙間の空間に流出し、さらに、メッシュフィルタである風路フィルタ6を通過して循環風路5dに至る。循環風路5dに流入した風は、洗濯物から水分を奪うことで湿度が高まっているため、循環風路5dの上部からは、図中の実線矢印で示す冷却水を供給し、高湿度の風を冷却することで水蒸気を結露させ、風を除湿する。そして、除湿後の乾燥した風は、風路ホース5eを通って、送風機5aに戻る。このようにして、送風装置5は、内槽4内の湿った洗濯物に高温の乾燥風を供給し、洗濯物の乾燥を促進する。
【0017】
排水路7は、外槽3から排水するための経路であり、外槽3の底面開口と連通する内部排水路7aと、内部排水路7aを流れる排水中のリントを捕集する水路フィルタ7bと、主に洗い工程時とすすぎ工程時には閉鎖され、他工程時には開放される排水弁7cと、排水弁7cの開放時に排水が通過する排水ホース7dからなる。なお、水路フィルタ7bで捕集されたリントは、使用者が適宜清掃する。
【0018】
循環ポンプ8は、水路フィルタ7bの下流側に設けられており、洗い工程時とすすぎ工程時に循環水路8aを介して排水を外槽3に循環させる。
【0019】
図2は、内槽4の図示を省略した場合の、外槽3と風路フィルタ6の正面図である。比較例の洗濯乾燥機1では、送風機5aを外槽3の上方に配置したため、外槽3から送風機5aに至る循環風路5dは、両者を最短距離で繋ぐよう、送風機5aの下方、かつ、外槽3の後側に配置される。また、比較例の洗濯乾燥機1では、外槽3から送風機5aへの通風抵抗を小さくし循環風の風量を増やすため、外槽3の背面に縦長の大きな吸気口3aを設け、この吸気口3aを面積の広い風路フィルタ6で覆っている。
【0020】
<循環風路のリント堆積>
上記構成の比較例の洗濯乾燥機1では、洗い工程時やすすぎ工程時に、内槽4内の洗濯物同士が擦れあう機械力や、乾燥工程時に、内槽4に供給される風による機械力等により、洗濯物の繊維が剥離しリントが発生する。発生したリントは、乾燥工程の初期には湿った状態で重いため浮遊しないが、乾燥が進展するにつれ軽くなり浮遊し始める。浮遊したリントのうち、風路フィルタ6の網目より大きいリントは、風路フィルタ6で捕集され、以後の洗い工程やすすぎ工程の終了後に内部排水路7aに排出される。
【0021】
一方、乾燥工程時に浮遊したリントのうち、風路フィルタ6の網目より小さいリントは、風路フィルタ6を通過し循環風路5dに侵入する。このため、洗濯乾燥機1の使用期間が長くなれば、「発明が解決しようとする課題」欄で説明したと同等の理由で、風路フィルタ6の裏側に、
図1の拡大図に示すようなリント塊が堆積する。
【実施例1】
【0022】
次に、
図3から
図6Bを用いて、本発明の実施例1に係る洗濯乾燥機1Aを説明する。
なお、比較例の洗濯乾燥機1との共通点は重複説明を省略する。
【0023】
図3の断面図や
図4の正面図に示すように、本実施例の洗濯乾燥機1Aでは、比較例の洗濯乾燥機1の構成に対し、循環風路5dの下部と内部排水路7aを繋ぐリント排出水路9を追加した。
【0024】
上記構成の本実施例の洗濯乾燥機1Aにおいて、風路フィルタ6のメッシュの網目粗さを例えば数百μmとした場合、乾燥工程時には、数十μm程度の大きさのリントが風路フィルタ6を通過して循環風路5dに侵入する。循環風路5dの内部では、比較例で説明したと同等の作用によりリント塊が発生するが、発生初期のリント塊は十分に小さいため、乾燥工程時であれば冷却水とともに、また、洗い工程やすすぎ工程の終了後の排水時であれば外槽3からの排水に伴い、リント排出水路9を通って内部排水路7aに排出される。
この時、リント排出水路風路側接続部9aは、後述する<風路フィルタ6の洗浄方法>によるところの、内槽4の高速回転により攪拌された水流の到達する最大高さよりも低い位置にあることが望ましい。これによれば、冷却水のみによるリント排出作用に加え、洗浄に用いられる水による排出作用が働き、より確実なリント排出が可能となる。
【0025】
なお、リント排出水路9の直径は数mm程度であっても良いが、ある程度成長したリント塊であっても排出できるように、リント排出水路9を直径6~10mm程度に設計するのが望ましい。また、リント排出水路9経由で排出したリントを水路フィルタ7bで捕集できるように、リント排出水路9の下端に設けたリント排出水路排水路側接続部9bを水路フィルタ7bの上流側に接続することが望ましいが、リント排出水路排水路側接続部9bを水路フィルタ7bの下流側に接続し、リント塊を下水路等に直接流すようにしても良い。
【0026】
<洗濯乾燥機の運転>
次に、
図5のフローチャートを用いて、洗濯乾燥機の一般的な運転例について説明する。
【0027】
使用者が、内槽4に洗濯物と洗剤を投入し、洗濯物の種類や量、乾燥工程の有無などを設定した後、スタートボタンを押すと、注水、排水、内槽4の回転、送風機5aの駆動、ヒータ5bの加熱、冷却水の供給などを制御する制御装置の制御により、洗濯乾燥機1Aの運転が開始される。
【0028】
まず、ステップS1では、制御装置は、排水弁7cを閉鎖した状態で外槽3に所定量の水を貯めた後、内槽4を低速回転させることで、洗い工程を実行する。
【0029】
次に、ステップS2では、制御装置は、排水弁7cを開放した状態で内槽4を高速回転させることで、第一脱水工程を実行する。
【0030】
ステップS3では、制御装置は、排水弁7cを閉鎖した状態で外槽3に所定量の水を貯めた後、内槽4を低速回転させることで、第一すすぎ工程を実行する。
【0031】
ステップS4では、制御装置は、排水弁7cを開放した状態で内槽4を高速回転させることで、第二脱水工程を実行する。
【0032】
ステップS5では、制御装置は、排水弁7cを閉鎖した状態で外槽3に所定量の水を貯めた後、内槽4を低速回転させることで、最終すすぎ工程を実行する。
【0033】
ステップS6では、制御装置は、排水弁7cを開放した状態で内槽4を高速回転させることで、最終脱水工程を実行する。
【0034】
ステップS7では、制御装置は、乾燥工程の実行が設定されているかを判断する。そして、乾燥工程が設定されていればステップS8に進み、設定されていなければ運転を終了する。
【0035】
ステップS8では、制御装置は、排水弁7cを開放した状態で、送風装置5を駆動し、内槽4内の洗濯物を乾燥する。そして、洗濯物の乾燥が終了すれば、運転を終了する。
【0036】
<風路フィルタ6の洗浄方法>
次に、本実施例の洗濯乾燥機1Aにおける、風路フィルタ6の洗浄方法について説明する。なお、風路フィルタ6の洗浄は、ステップS1からステップS6の何れの工程で実施しても良いが、洗濯物へのリント付着を抑制する観点では、最終すすぎと最終脱水の間で行われるのが望ましいため、本実施例では最終すすぎ工程であるステップS5で風路フィルタ6の洗浄を実行するものとする。
【0037】
図6Aは、最終すすぎ工程であるステップS5の一例である。
図6Aでは、制御装置は、すすぎが終了(ステップS51)した後に、前回運転時に乾燥工程を実施したか(すなわち、微細なリントが循環風路5dに吸い込まれたか)を判定し(ステップS52)、乾燥工程を実施していた場合は、風路フィルタ6の洗浄工程を開始する。一方、乾燥工程を実施していない場合は、風路フィルタ6を洗浄することなく、ステップS5の最終すすぎ工程を終了し、次の最終脱水工程(ステップS6)を実行する。
【0038】
図6Aの風路フィルタ6の洗浄工程では、制御装置は、まず、排水弁7cを開放し、すすぎで使用した残水を一定水位まで排水した後(ステップS53)、排水弁7cを閉鎖し、内槽4をすすぎ工程時の回転数よりも高い回転数で回転させる(ステップS54)。このとき、高速回転する内槽4によって、外槽3内の水が風路フィルタ6の上端まで巻き上げられるため、攪拌された水流により風路フィルタ6の両側全面のリントを洗い流すことができる(ステップS55)。その後、内槽4の高速回転を維持した状態で排水弁7cを開放し、風路フィルタ6の洗浄を継続しながら、外槽3内の残存水を完全に排水する(ステップS56)。このとき、風路フィルタ6の表側のリントは内部排水路7aに直接排出され、風路フィルタ6の裏側のリントはリント排出水路9を介して内部排水路7aに排出される。
【0039】
なお、風路フィルタ6の上端は、ステップS55において、内槽4の高速回転により攪拌された水流の到達する最大高さよりも低くなるように設計されている。これは、仮に風路フィルタ6の上端が巻き上げられた水流の高さより高いと、風路フィルタ6の上端付近を洗浄できず、上端付近の目詰まりを解消できないからである。
【0040】
また、
図6Bは、最終すすぎ工程であるステップS5の他例である。
図6Bでは、制御装置は、すすぎが終了(ステップS51)した後に、排水弁7cを開放し、外槽3内の残存水を完全に排水する(ステップS51a)。その後、前回運転時に乾燥工程を実施したか(すなわち、微細なリントが循環風路5dに吸い込まれたか)を判定し(ステップS52)、乾燥工程を実施していた場合は、風路フィルタ6の洗浄工程を開始する。一方、乾燥工程を実施していない場合は、風路フィルタ6を洗浄することなく、ステップS5の最終すすぎ工程を終了し、次の最終脱水工程(ステップS6)を実行する。
【0041】
図6Bの風路フィルタ6の洗浄工程では、制御装置は、まず、内槽4をすすぎ工程時の回転数よりも高い回転数で回転させた後(ステップS54a)、排水弁7cを閉鎖し、外槽3内に一定水位まで給水する(ステップS53a)。このとき、高速回転する内槽4によって、外槽3内の水が風路フィルタ6の上端まで巻き上げられるため、攪拌された水流により風路フィルタ6の両側全面のリントを洗い流すことができる(ステップS55)。
その後、内槽4の高速回転を維持した状態で排水弁7cを開放し、風路フィルタ6の洗浄を継続しながら、外槽3内の残存水を完全に排水する(ステップS56)。このとき、風路フィルタ6の表側のリントは内部排水路7aに直接排出され、風路フィルタ6の裏側のリントはリント排出水路9を介して内部排水路7aに排出される。
【0042】
なお、本実施例では、すすぎ工程の最終すすぎにて、ステップS55の風路フィルタ6を洗浄することで記載したが、すすぎ工程と脱水工程の間、又は脱水工程の最初にステップS55の洗浄する工程を設けても良い。
【0043】
このように、
図6A、
図6Bの何れかの洗浄方法により、風路フィルタ6から引き剥がしたリントが内槽内の衣類に付着するのを抑制した状態で、リントを外槽3の外部へ排出することができる。
【0044】
なお、風路フィルタ6の洗浄工程は、前回運転時に乾燥工程を実施したか否かを判定せずに、使用者が任意で設定する外槽3の内壁を洗浄する槽内洗浄工程の一部として実施しても良い。
【0045】
<本実施例の効果>
以上で説明したように、本実施例の洗濯乾燥機によれば、風路フィルタ裏側から送風機に至る風路で発生したリント塊を排出することで、風路フィルタの目詰まりを防止し、洗濯物の乾燥不足や、風路内の排水不良を抑制することができる。
【実施例2】
【0046】
次に、
図7から
図8Bを用いて、本発明の実施例2に係る洗濯乾燥機1Bを説明する。
なお、実施例1との共通点は重複説明を省略する。
【0047】
図7の断面図に示すように、本実施例の洗濯乾燥機1Bでは、実施例1の洗濯乾燥機1Aの構成に対し、送風機5aの吸気口前の副風路フィルタ6aを追加した。
【0048】
実施例1の洗濯乾燥機1Aでは、風路フィルタ6の表裏のリント塊を洗浄して除去することができるが、風路フィルタ6を通過した微細なリントが循環風に乗って、送風機5aに吸い込まれたり、さらに、ヒータ5bに堆積したりする可能性があった。送風機5aやヒータ5bは、微細なリントによっては性能が低下しないように設計されているが、例えば、風路ホース5eの蛇腹部のように通風抵抗の大きい箇所で成長したリント塊が、多量に送風機5aに吸い込まれたり、ヒータ5bに堆積したりすると、それらの性能が経時的に劣化するおそれがある。
【0049】
そこで、本実施例の洗濯乾燥機1Bでは、送風機5aの直前に配置した副風路フィルタ6aにより、風路ホース5eの近傍等で成長した後、循環風に乗って移動するリント塊を捕集することで、リント塊が送風機5aに吸い込まれたり、ヒータ5bに堆積したりするのを防止できるようにした。
【0050】
その場合、実施例1のフィルタ洗浄方法では、風路ホース5eより上方に設けた副風路フィルタ6aを洗浄できないため、本実施例では、副風路フィルタ6aを洗浄するために、
図8A、
図8Bのような構成を設けた。
【0051】
図8Aは、副風路フィルタ6aを洗浄するため構成の一例であり、副風路フィルタ6aの表面(上流側)に冷却水を供給する給水口10を設けた。この場合、給水口10から供給された冷却水は、副風路フィルタ6aの表面を洗い流した後、循環風路5dに落下するので、副風路フィルタ6aの網目の粗さが細かい場合であっても、副風路フィルタ6aの表面からリント塊を除去することができる。
【0052】
一方、
図8Bは、副風路フィルタ6aを洗浄するため構成の他例であり、副風路フィルタ6aの裏面(下流側)に冷却水を供給する給水口10を設けた。この場合、給水口10から供給された冷却水は、副風路フィルタ6aの裏面から表面に流れ出た後、循環風路5dに落下するので、副風路フィルタ6aの目詰まりを効率的に除去することができる。
【符号の説明】
【0053】
1、1A、1B 洗濯乾燥機、
2 箱体、
2a ドア、
3 外槽、
3a 吸気口、
4 内槽、
5 送風装置、
5a 送風機、
5b ヒータ、
5c 吹出口、
5d 循環風路、
5e 風路ホース、
6 風路フィルタ、
6a 副風路フィルタ、
7 排水路、
7a 内部排水路、
7b 水路フィルタ、
7c 排水弁、
7d 排水ホース、
8 循環ポンプ、
8a 循環水路、
9 リント排出水路、
9a リント排出水路風路側接続部
9b リント排出水路排水路側接続部
10 給水口