(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20240426BHJP
F24F 11/75 20180101ALI20240426BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20240426BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F11/75
F24F11/77
(21)【出願番号】P 2020050514
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2020022011
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】宮部 竜太朗
(72)【発明者】
【氏名】樋口 智之
(72)【発明者】
【氏名】清本 訓央
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-036441(JP,A)
【文献】特開2013-092271(JP,A)
【文献】実開平01-100035(JP,U)
【文献】特開2006-234345(JP,A)
【文献】国際公開第2017/017846(WO,A1)
【文献】特開平04-283333(JP,A)
【文献】特開2016-065692(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0279844(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
F24F 11/75
F24F 11/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気装置と、
排気装置と、
前記換気装置からの第一排気流と前記排気装置からの第二排気流とを合流させる気流合流部と、
前記気流合流部における前記第二排気流の影響による圧力損失に基づいて減少した前記第一排気流の排気風量に応じて、前記換気装置からの給気流の給気風量を減少する制御部と、を備え、
前記換気装置は、
給気流を発生させる遠心ファンを回転するための給気電動機と、
前記第一排気流を発生させる遠心ファンを回転するための排気電動機と、
前記排気電動機の回転数を検知する回転数検知部と、
前記排気電動機に流れる電流値を検知する電流検知部と、を備え、
前記制御部は、
前記圧力損失に対して前記第一排気流の排気風量を一定に保つように前記排気電動機の出力を制御する風量一定制御部と、
前記排気電動機の回転数と電流値に基づき、前記風量一定制御部による風量一定制御の範囲を超えて前記第一排気流の排気風量の減少を判断する排気流減少判断部と、を備え、
前記回転数検知部により検知される前記排気電動機の回転数と前記電流検知部により検知される前記排気電動機の電流値に基づき、前記給気電動機の出力を制御し、
前記排気流減少判断部が、前記第一排気流の排気風量が減少していないと判断した場合、前記給気電動機を第一出力で制御し、
前記排気流減少判断部が、前記第一排気流の排気風量が減少したと判断した場合、前記給気流の給気風量を前記第一排気流の排気風量へ近づけるように、前記給気電動機を前記第一出力よりも小さい第二出力で制御する、換気システム。
【請求項2】
前記排気流減少判断部は、
前記排気電動機の回転数が所定回転数の状態で、前記排気電動機の電流値が所定電流値より小さくなった場合、前記第一排気流の排気風量が減少したと判断する請求項1に記載の換気システム。
【請求項3】
前記排気流減少判断部は、
前記排気電動機の電流値が前記所定電流値へ戻った場合、前記第一排気流の排気風量が減少していないと判断する請求項2に記載の換気システム。
【請求項4】
前記排気流減少判断部は、
前記排気電動機の回転数が前記所定回転数よりも小さくなった場合、前記第一排気流の排気風量が減少していないと判断する請求項3に記載の換気システム。
【請求項5】
前記換気装置は、
前記給気流と前記
第一排気流との間で熱交換を行うための熱交換素子を備えた請求項1に記載の換気システム。
【請求項6】
前記換気装置は、
前記給気流の温度を検知する給気温度検知部を備え、
前記制御部は、
前記給気温度検知部で検知した温度が所定温度より小さい場合、前記給気電動機の出力を制御する請求項5に記載の換気システム。
【請求項7】
前記第一排気流の排気温度を検知する排気温度検知部と、
前記第一排気流の排気湿度を検知する排気湿度検知部と、を備え、
前記制御部は、
前記排気温度と、前記排気湿度とに基づき前記第一排気流の露点温度を算出する露点温度算出部を備え、
前記給気温度が、前記露点温度より小さい場合、前記給気電動機の出力を抑制する請求項5に記載の換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、築年数の経過した集合住宅のリノベーション事業に注目が集まっている。そのなかで、リビングなど居住空間の給排気が可能で、冷暖房時の換気による熱ロスが少ない換気装置(以下、熱交換形換気装置)の導入が望まれている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
熱交換形換気装置は、給気風路と、排気風路と、給気風路を通る給気流と排気風路を通る排気流との間で熱交換するための熱交換素子とを備える。給気風路と排気風路は、室内と室外を連通し、空気を通すための換気口を必要とする。また、トイレや浴室などに対しては、熱交換形換気装置とは別に、局所排気を行うための排気装置が必要となる。例えば、熱交換形換気装置と、局所排気用の排気装置を設置するためには、換気口の数は3つ必要となる。
【0004】
しかし、そのようなリノベーションが必要となる集合住宅は、換気口の数が2個程度に限られていることがある。また、換気口の数を増設することは、集合住宅の建物の強度に対して影響を与える可能性があるため容易ではない。そのため、設置したい熱交換形換気装置と排気装置の数に対して、既設の換気口の数では不十分なケースがあった。
【0005】
そこで、空気を居住空間における複数箇所から吸い込む吸込口と、吸込んだ空気を一箇所に集中して吹出す吹出口とを備えた排気装置の排気流と、熱交換形換気装置の排気流とを合流させることで、既設の換気口の数でも対応が可能となる。
【0006】
具体的な構成の例として、排気装置によるトイレと浴室の局所排気と、熱交換形換気装置によるリビングの給排気の場合を考える。この場合、一般的には、熱交換形換気装置と排気装置を用意するため、換気口は3つ必要となる。しかし、熱交換形換気装置の排気流と排気装置の排気流とを合流させて、一箇所から集中して排気する構成とすることで、換気口の数は2つで対応可能となる。つまり、熱交換形換気装置の排気流と排気装置の排気流とを合流させない場合と比べて、必要な換気口の数を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、一箇所に集中して排気できる排気流量が、熱交換形換気装置の排気流量と排気装置の排気流量との合計量を超えた場合、圧力損失が原因となり、それぞれの機器を単独で動かした場合と比べて排気風量が減少する。このため、熱交換形換気装置は、給気風量と排気風量とのバランスが不均一となる。給気風量と排気風量とのバランスが不均一となることによって、熱交換形換気装置は、熱交換効率の低下や、冬季など室内の温度に対して室外の温度が低い場合は潜熱の交換過多によって熱交換素子に結露水が付着するといった課題が発生する。また、結露水は、熱交換素子を凍結させて排気風路を塞ぐことで排気能力を著しく低下させ、さらに居住空間に侵入した場合は室内を汚損する原因となる。
【0009】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、換気装置の給気風量と排気風量とのバランスが不均一となることを抑制する換気システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る換気システムは、換気装置と、排気装置と、前記換気装置からの第一排気流と前記排気装置からの第二排気流とを合流させる気流合流部と、前記気流合流部における前記第二排気流の影響による圧力損失に基づいて減少した前記第一排気流の排気風量に応じて、前記換気装置からの給気流の給気風量を減少する制御部と、を備え、前記換気装置は、給気流を発生させる遠心ファンを回転するための給気電動機と、前記第一排気流を発生させる遠心ファンを回転するための排気電動機と、前記排気電動機の回転数を検知する回転数検知部と、前記排気電動機に流れる電流値を検知する電流検知部と、を備え、前記制御部は、前記圧力損失に対して前記第一排気流の排気風量を一定に保つように前記排気電動機の出力を制御する風量一定制御部と、前記排気電動機の回転数と電流値に基づき、前記風量一定制御部による風量一定制御の範囲を超えて前記第一排気流の排気風量の減少を判断する排気流減少判断部と、を備え、前記回転数検知部により検知される前記排気電動機の回転数と前記電流検知部により検知される前記排気電動機の電流値に基づき、前記給気電動機の出力を制御し、前記排気流減少判断部が、前記第一排気流の排気風量が減少していないと判断した場合、前記給気電動機を第一出力で制御し、前記排気流減少判断部が、前記第一排気流の排気風量が減少したと判断した場合、前記給気流の給気風量を前記第一排気流の排気風量へ近づけるように、前記給気電動機を前記第一出力よりも小さい第二出力で制御するものであり、これにより所期の
目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、換気装置の給気風量と排気風量とのバランスが不均一となることを抑制するという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る換気システムの模式図
【
図2】(a)換気装置の斜視図(b)換気装置の側断面図
【
図4】制御部による排気風量の減少に応じて給気風量を減少させるフローチャート
【
図7】制御部による排気風量の減少に応じて給気風量を減少させるフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施の形態1)
本発明に係る換気システム50は、例えば複数台の送風機による排気流を一箇所へ集中させて屋外へ排出する場合に利用される。
【0015】
図1を用いて、リビング、浴室、トイレに対して換気システム50を導入した場合の構成の概要を説明する。
【0016】
本発明に係る換気システム50は、換気装置1と、排気装置2と、気流合流部3と、制御部4とを備える。
【0017】
換気装置1は、建物の天井面等に設置され、屋外の空気を屋内へ給気し、また屋内の空気を屋外へと排気する送風機の一種である。換気装置1は、リビングの天井面に設置される。換気装置1は、第一給気口5と、第二給気口6と、第一排気口7と、第二排気口8とを備える。
【0018】
第一給気口5は、屋外等の空気を換気装置1へ吸込むための開口部である。第二給気口6は、第一給気口5から換気装置1へ吸込んだ空気を、換気装置1から吹出すための開口部である。第一排気口7は、リビングの空気を換気装置1へ吸込むための開口部である。第二排気口8は、第一排気口7から換気装置1へ吸込んだ空気を、換気装置1から吹出すための開口部である。
【0019】
換気装置1の詳細な構成は後述する。
【0020】
排気装置2は、建物の天井面等に設置され、複数箇所から吸い込んだ空気を一箇所から吹出す送風機の一種である。排気装置2は、浴室の天井面に設置される。排気装置2は、第一吸込口9と、第二吸込口10と、吹出口11とを備える。
【0021】
第一吸込口9は、浴室の空気を排気装置2へ吸込むための開口部である。第二吸込口10は、トイレの空気を排気装置2へ吸込むための開口部である。吹出口11は、第一吸込口9から排気装置2へ吸い込まれた空気と、第二吸込口10から排気装置2へ吸い込まれた空気とを一箇所から吹出すための開口部である。
【0022】
気流合流部3は、換気装置1による第一排気流と排気装置2による第二排気流とを合流させるための配管の一種である。気流合流部3としては、例えばY分岐管が挙げられる。気流合流部3は、第一気流入口12と、第二気流入口13と、気流出口14とを備える。
【0023】
第一気流入口12は、換気装置1による第一排気流を吸込むための開口部である。第二気流入口13は、排気装置2による第二排気流を吸込むための開口部である。気流出口14は、気流合流部3により第一排気流と第二排気流を合流させた後、合流させた気流を気流合流部3から吹出すための開口部である。
【0024】
制御部4は、換気装置1の運転を制御する。制御部4と各構成要素との接続関係を示すブロック図と、制御部4による換気装置1の運転制御を示すフローチャートについては後述する。
【0025】
また、換気システム50は、屋外側給気ダクト15と、屋内側給気ダクト16と、屋内側第一排気ダクト17と、局所排気ダクト18と、屋内側第二排気ダクト19と、屋外側排気ダクト20とを備え、第一換気口21、第二換気口22、リビング吹出口23、トイレ吸込口24、リビング、浴室、トイレ等と接続する。
【0026】
第一換気口21及び第二換気口22は、屋内と屋外を連通する孔である。
【0027】
リビング吹出口23は、屋内側給気ダクト16により換気装置1から搬送された空気を吹出すための開口部である。
【0028】
トイレ吸込口24は、トイレの空気を排気装置2へ吸込むための開口部である。
【0029】
屋外側給気ダクト15は、屋外の空気を換気装置1へ搬送するための配管である。屋外側給気ダクト15は、第一換気口21と、第一給気口5とを接続する。
【0030】
屋内側給気ダクト16は、第二給気口6から吹出した空気をリビングへ搬送するための配管である。屋内側給気ダクト16は、第二給気口6とリビング吹出口23とを接続する。
【0031】
屋内側第一排気ダクト17は、第二排気口8から吹出した第一排気流を気流合流部3へ搬送するための配管である。屋内側第一排気ダクト17は、第二排気口8と第一気流入口12とを接続する。
【0032】
局所排気ダクト18は、トイレ吸込口24から吸い込んだ空気を排気装置2へ搬送するための配管である。局所排気ダクト18は、第二吸込口10とトイレ吸込口24とを接続する。
【0033】
屋内側第二排気ダクト19は、吹出口11から吹出した第二排気流を気流合流部3へ搬送するための配管である。屋内側第二排気ダクト19は、吹出口11と第二気流入口13とを接続する。
【0034】
屋外側排気ダクト20は、気流出口14から吹出した空気を屋外へと搬送するための配管である。屋外側排気ダクト20は、気流出口14と第二換気口22とを接続する。
【0035】
以上が、換気システム50の構成の概要である。
【0036】
次に、換気装置1の構成の詳細について、
図2を用いて説明する。なお、
図2(a)は、換気装置1の斜視図、
図2(b)は、換気装置1の側面断面図である。
【0037】
換気装置1は、箱形の本体ケース25を備える。
【0038】
本体ケース25は、機械加工した板金部品をネジやリベット等を用いて組み合わせた金属製の部材である。本体ケース25は、一側面に第一給気口5と第二排気口8とを備え、他の側面に第二給気口6を備え、下面に第一排気口7を備える。
【0039】
さらに、本体ケース25は、内周側空間に給気用ファン26と、給気用電動機27と、排気用ファン28と、排気用電動機29と、回転数検知部30と、電流検知部31と、熱交換素子32と、給気温度検知部33とを備える。
【0040】
給気用ファン26は、第一給気口5から第二給気口6へと向かう給気流を発生させるための羽根車である。給気用ファン26としては、例えばシロッコファンが挙げられる。
【0041】
給気用電動機27は、給気用ファン26を回転するための電動機である。給気用電動機27は、図示しない回転軸に給気用ファン26を軸支している。給気用電動機27の種類としては、例えばDCモータ(Direct Current Motor=直流モータ)が挙げられる。また、DCモータを駆動する方式としては、例えばPWM(Pulse Width Modulation=パルス幅変調)制御が挙げられる。
【0042】
PWM制御は、パルス波のデューティー(Duty)比を変化させて変調する変調方法である。デューティー比とは、周期的なパルス波を出した時の周期とパルス幅の比を指す。給気用電動機27は、パルス幅の時間だけ通電して回転する。そして、デューティー比を変えることにより、給気用電動機27の出力を任意に制御することができる。
【0043】
排気用ファン28は、第一排気口7から第二排気口8へと向かう排気流を発生させるための羽根車である。排気用ファン28としては、例えばシロッコファンが挙げられる。
【0044】
排気用電動機29は、排気用ファン28を回転するための電動機である。排気用電動機29は、図示しない回転軸に排気用ファン28を軸支している。排気用電動機29としては、例えば給気用電動機27と同様にPWM制御によるDCモータが挙げられる。
【0045】
回転数検知部30は、排気用電動機29の回転数を検知するセンサーである。回転数検知部30としては、例えばホール効果を利用したホールセンサが挙げられる。
【0046】
電流検知部31は、PWM制御によるデューティー比に基づき排気用電動機29へ流れる電流値を検知するセンサーである。
【0047】
熱交換素子32は、給気用ファン26による給気流と排気用ファン28による排気流との間で熱交換を行う。熱交換素子32は、給気経路34と排気経路35とが交差する位置に配置され、熱交換素子32の一部が給気経路34と排気経路35を形成する。
【0048】
給気経路34は、第一給気口5から給気用ファン26を介して第二給気口6へ至る給気流の経路である。
【0049】
排気経路35は、第一排気口7から排気用ファン28を介して第二排気口8へ至るまでの排気流の経路である。
【0050】
給気温度検知部33は、給気流の温度を検知するセンサーである。給気温度検知部33は、給気経路34において熱交換素子32の上流側に配置される。
【0051】
以上が、換気装置1の構成の詳細である。
【0052】
次に、制御部4の構成及び制御部4と各構成要素との接続関係について、
図3を用いて説明する。
【0053】
制御部4は、入力部4aと、制御プログラム4bと、処理部4cと、出力部4dとを備える。
【0054】
入力部4aは、回転数検知部30と、電流検知部31と、給気温度検知部33と、操作部36とに電気的に通信可能に接続している。操作部36は、換気装置1のON/OFFなど運転種別を選択するためのリモコン等の一部であり、リビングの壁面等に設置される。
【0055】
入力部4aは、回転数検知部30が検知した排気用電動機29の回転数と、電流検知部31が検知した排気用電動機29の電流値と、給気温度検知部33が検知した給気流の温度と、操作部36より選択された運転種別の情報等が入力される。
【0056】
制御プログラム4bは、給気用電動機27と排気用電動機29の運転を制御するための命令が記述されたものである。制御プログラム4bは、風量一定制御部4eと、排気流減少判断部4fとを備える。
【0057】
風量一定制御部4eは、換気装置1の給気流及び排気流に対する圧力損失が変化した場合でも、給気風量と排気風量を一定に保つように、給気用電動機27及び排気用電動機29の出力を制御するための命令が記述されたプログラムである。
【0058】
排気流減少判断部4fは、風量一定制御部4eによる風量一定制御の範囲を超えて換気装置1の排気風量が減少したことを判断するための命令が記述されたプログラムである。
【0059】
処理部4cは、入力部4aから入力される情報に基づき、制御プログラム4bに記述された命令を実行する。
【0060】
出力部4dは、給気用電動機27と、排気用電動機29とに電気的に通信可能に接続している。出力部4dは、処理部4cによる制御プログラム4bの実行によって得られた命令を給気用電動機27と排気用電動機29に対して出力する。給気用電動機27と排気用電動機29は、出力部4dから出力される命令に従い運転機能を制御される。
【0061】
なお、出力部4dから出力される命令とは、給気用電動機27と排気用電動機29を動かすために必要な印加電圧の値などである。
【0062】
以上が、制御部4の構成及び制御部4と各構成要素との接続関係である。
【0063】
次に、換気システム50の動作について、
図1を用いて説明する。
【0064】
ユーザーが操作部36より換気装置1の運転ONを選択すると、制御部4は入力部4aから運転ONの信号を受け取る。運転ONの信号を受け取った制御部4は、処理部4cによる制御プログラム4bの実行により得られた命令を出力部4dから給気用電動機27及び排気用電動機29に対して出力する。
【0065】
給気用電動機27及び排気用電動機29は、出力部4dから出力された命令に従い運転を開始し、軸支した給気用ファン26及び排気用ファン28を回転する。
【0066】
給気用ファン26が回転することで、屋外の空気は第一換気口21から屋外側給気ダクト15を通り、第一給気口5より換気装置1へと入る。換気装置1へ流入した空気は、給気経路34を経て第二給気口6から吹出し、屋内側給気ダクト16を通り、リビング吹出口23よりリビングへ吹出す。これにより、換気装置1は、屋外の空気をリビングへ搬送する。
【0067】
他方、排気用ファン28が回転することで、リビングの空気は第一排気口7から換気装置1へ入る。換気装置1へ流入した空気は、排気経路35を経て第二排気口8から吹出し、屋内側第一排気ダクト17を通り、第一気流入口12から気流合流部3へと入る。気流合流部3へ流入した空気は、気流出口14から吹出し、屋外側排気ダクト20を通り、第二換気口22より屋外へと吹出す。これにより、換気装置1は、リビングの空気を屋外へ搬送する。
【0068】
ここで、給気経路34を通る給気流は、熱交換素子32において排気経路35を通る排気流と熱交換を行い、排気流に含まれる熱エネルギーを回収する。これにより、夏季や冬季などエアコンにより温調している場合、換気に伴って発生する熱エネルギーの損失を低減することができる。熱交換効率は、給気風量と排気風量のバランスが均一となるとき最大となる。このため、給気風量と排気風量とが等しくなるように、給気用電動機27と排気用電動機29に印加する電圧を設定することが好ましい。しかし、空気を搬送するための配管の長さや引き回し方は物件ごとに異なる場合が多く、それによって配管が給気流と排気流に与える圧力損失も様々である。このため、給気用電動機27と排気用電動機29に印加する電圧を予め設定することは困難である。そこで、制御部4は、風量一定制御部4eにより給気流と排気流の風量一定制御を行うことができる。以下、制御部4による風量一定制御について説明する。
【0069】
風量一定制御とは、上述したように配管の長さや引き回し等の外的な要因によって圧力損失が変化し、実際の風量が目標風量から外れた場合に、目標風量へ戻す制御方法である。これにより、換気装置1は、配管等の施工状態によらず、目標風量で換気を行うことができるので、換気量の不足や、また換気過多によって余分な消費電力が発生することを抑制することができる。
【0070】
次に、風量一定制御の基本原理について説明する。
【0071】
風量Qと静圧Pにおけるモータの「電流値Iに対する回転数R」は一意に定まる。このため、静圧Pを変化させた場合に目標風量Qを満たす「電流値I・回転数R」の対応する数値関係を求め、そのデータ(以下、風量一定制御パラメータと称す)を風量一定制御部4eに記述する。風量一定制御部4eは、回転数検知部30により検知した給気用電動機27及び排気用電動機29の回転数が、風量一定制御パラメータの回転数に一致するかを確認する。そして確認の結果、回転数が風量一定制御パラメータと一致しない場合、風量一定制御部4eは、風量一定制御パラメータの回転数に合うようにモータへの印加電圧を制御するための命令を出力する。これにより、静圧(圧力損失)が変化した場合でも風量を一定に保つことができる。なお、風量一定制御においては、風量一定制御の限界を超えた静圧が加わった場合、風量が一気に下がるという課題が存在し、通常の換気装置1の単独運転では問題にはならないが、このシステムでは大きな問題となる。この問題については後述する。
【0072】
以上が、換気装置1を動かした場合の換気システム50の動きである。
【0073】
次に、排気装置2を動かした場合の換気システム50の動きについて
図1を用いて説明する。
【0074】
排気装置2は、操作部36とは別に図示しない運転ON/OFFスイッチによって運転制御される。ユーザーが排気装置2の運転をONとすると、排気装置2に搭載された図示しない電動機が通電し、図示しないファンが回転する。排気装置2のファンが回転することにより、浴室の空気は第一吸込口9から排気装置2へ吸い込まれる。また、トイレの空気はトイレ吸込口24から局所排気ダクト18を通り、第二吸込口10より排気装置2へ吸い込まれる。排気装置2へ吸い込まれた空気は、吹出口11から屋内側第二排気ダクト19を通り、第二気流入口13より気流合流部3へ吸い込まれる。気流合流部3へ吸い込まれた空気は、気流出口14から屋外側排気ダクト20を通り、第二換気口22から屋外へ排出される。これにより、排気装置2は、浴室とトイレの空気を屋外へ搬送する。以上が、排気装置2を運転した場合の換気システム50の動きである。
【0075】
次に、換気装置1と排気装置2を運転した場合の換気システム50の動きについて
図1を用いて説明する。なお、換気装置1から気流合流部3へ至る空気の流れと、排気装置2から気流合流部3へ至る空気の流れは上記で説明した通りなので省略する。
【0076】
気流合流部3は、第一気流入口12から吸い込まれた空気と、第二気流入口13から吸い込まれた空気とを合流させる。そして、気流合流部3によって合流した空気は、気流出口14から屋外側排気ダクト20を通り、第二換気口22より屋外へ排気される。
【0077】
リビングから屋外へ搬送される第一排気流は、浴室及びトイレから屋外へ搬送される第二排気流の影響によって圧力損失が発生する。この場合、制御部4は、第一排気流を目標風量に保つべく、風量一定制御部4eにより排気用電動機29の出力を制御しようとする。しかし、屋外側排気ダクト20を通る単位時間当たりの空気の量は、屋外側排気ダクト20の寸法によって決まる。そのため、第一排気流と第二排気流の合計風量が、屋外側排気ダクト20を通ることが可能な風量を超えた場合、第一排気流と第二排気流は、それぞれの機器を単独で動かした場合と比べて減少する。さらに、風量一定制御部4eによる風量一定制御の限界を超えた圧力損失が第一排気流に発生した場合には、第一排気流の減少が顕著に表れる。この場合の問題について説明する。
【0078】
換気装置1は、給気経路34と排気経路35とを独立して備えているため、第一排気流が減少しても、換気装置1による給気流の給気風量は減少しない。つまり、排気風量に対して、給気風量の割合が大きい状態となる。このため、一方ではリビングは正圧となるため、例えば中間期はリビングへの花粉の侵入抑制、また冬季においては漏気の抑制といった効果が期待できる。しかし他方では、冬季の場合、屋外の空気の温度と屋内の空気の温度との温度差が大きくなると、潜熱の交換過多となり熱交換素子32の給気経路34側に結露が発生する可能性が出てくる。さらに、屋外の空気の温度が、例えば水が凍りやすい0℃以下となった場合、熱交換素子32に発生した結露水が凍結する可能性もある。
【0079】
熱交換素子32の凍結により、給気経路34の開口面積は減少するか、もしくは給気経路34は塞がれるため、換気装置1による給気流の減少もしくは給気不可が考えられる。このような現象の発生を抑制するため、制御部4は、排気流減少判断部4fを備え、第一排気流が減少したと判断した場合に、給気風量を減少させる制御を行う。以下、換気装置1による第一排気流が減少した場合の換気装置1の運転制御について、
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0080】
換気装置1の運転を開始すると、制御部4は、給気用電動機27を第一出力D1で制御する(ステップS1)。第一出力D1は、風量一定制御パラメータに則って、目標とする給気風量となるように選定された値である。
【0081】
次に、排気流減少判断部4fは、回転数検知部30により検知される排気用電動機29の回転数Rが、所定回転数Rmaxであり、かつ電流検知部31により検知される排気用電動機29の電流値Iが、所定電流値Imaxより小さいかを判断する(ステップS2)。所定回転数Rmaxは、風量一定制御の範囲における排気用電動機29の最大回転数である。所定電流値Imaxは、風量一定制御の範囲における排気用電動機29の最大電流値である。排気流減少判断部4fは、R=RmaxかつI=Imaxでなければ、ステップS2を繰り返す。
【0082】
排気流減少判断部4fは、R=RmaxかつI=Imaxの場合、給気温度検知部33により検知される給気温度TAが、所定温度T1より小さいかを判断する(ステップS3)。T1は、例えば0℃など、熱交換素子32に発生した結露水の凍結が始まる可能性が高くなる温度である。制御部4は、TA<T1でなければ、ステップS2へ戻る。
【0083】
排気流減少判断部4fは、TA<T1の場合、給気用電動機27を第一出力D1より小さい第二出力D2で制御する(ステップS4)。例えば、第一出力D1をデューティー比70%とすると、第二出力D2はデューティー比55%となるように設定する。
【0084】
排気流減少判断部4fは、給気用電動機27を第二出力D2で制御しつつ、電流値Iが所定電流値Imaxであるかを判断する(ステップS5)。
【0085】
排気流減少判断部4fは、I=Imaxでなはいと判断すると、回転数Rが所定回転数Rmaxより小さいかを判断する(ステップS6)。制御部4は、R<Rmaxでないと判断すると、ステップS4の処理へ戻る。
【0086】
排気流減少判断部4fは、I=Imax、またはR<Rmaxであると判断すると、換気装置1の運転停止の信号が入力されるかを判断する(ステップS7)。
【0087】
排気流減少判断部4fは、換気装置1の運転停止の信号が入力されていないと判断すると、ステップ1の処理へ戻る。制御部4は、運転停止の信号が入力されたと判断すると、換気装置1の運転を停止する。
【0088】
以上が、排気流減少判断部4fによる換気装置1の第一排気流が減少した場合の制御フローチャートである。
【0089】
排気装置2による第二排気流の影響に基づく圧力損失によって、換気装置1による第一排気流が減少すると、風量一定制御部4eにより排気用電動機29の回転数Rと電流値Iは変化する。風量一定制御の範囲であれば、回転数Rと電流値Iは上昇する。
【0090】
しかし、風量一定制御の範囲を超えた圧力損失が発生した場合、排気用電動機29の回転数Rは所定回転数Rmaxの状態で、電流値Iは所定電流値Imaxから減少する。これは、排気用ファン28がシロッコファンであることに起因した現象である。風量一定制御の範囲を超えた圧力損失がシロッコ型の排気用ファン28に加わると、排気用ファン28は送風に対する仕事量が減少して空回りした状態となるため、排気用電動機29は負荷が軽くなることから電流値Iは減少するのである。このようなシロッコファンを用いた風量一定制御の特性を利用して、排気流減少判断部4fは、換気装置1による第一排気流の減少を判断している。
【0091】
排気流減少判断部4fは、換気装置1による第一排気流の減少に合わせて、換気装置1による給気流を減少させることで、換気装置1の給気風量と排気風量のバランスが不均一になることを抑制し、熱交換素子32による熱交換効率の低下を抑制する。
【0092】
また、排気流減少判断部4fは、給気温度TAと所定温度T1を比較することにより、熱交換素子32に付着した結露水の凍結が始まるタイミングで給気風量を減少させる。裏を返すと、熱交換素子32の凍結の心配がない場合には意図的に排気風量に対して給気風量を大きくして、リビングを正圧に保ち、屋外の空気に含まれる花粉の侵入や漏気を防ぐといった効果も期待できる。
【0093】
なお、排気流減少判断部4fは、換気装置1による第一排気流の減少に合わせて、換気装置1による給気流を減少させる場合、給気流量を減少した排気流量へ近づけるように制御することが好ましい。これにより、排気流減少判断部4fは、熱交換素子32による熱交換効率が最も高くなるように換気装置1の運転を制御することができる。
【0094】
なお、制御部4は、換気装置1または操作部36に搭載してもよい。これにより、例えば制御部4を家屋の壁面等に設置して換気装置1へ配線する手間を省略できるので、換気システム50の設置に係る作業の効率化を図ることが期待できる。
【0095】
なお、排気装置2は、排気機能だけでなく、給気機能を備えたものも含まれる。言い換えると、排気装置2は、排気機能を備えた装置であればこれに該当する。これにより、給気と排気を同時に行うことで、浴室やトイレが負圧となることを抑制できるので、漏気により冷たい空気が侵入し、ユーザーに不快感を与える可能性を低減する効果が期待できる。
【0096】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る換気システム50aについて、
図5から
図7を参照して説明する。
図5は、リビング、浴室、トイレに対して換気システム50aを導入した場合の構成の概要である。
図6は、制御部40の構成を示すブロック図である。
図7は、換気装置1の運転制御フローチャートである。
【0097】
本発明の実施の形態2に係る換気システム50aは、以下の3点で実施の形態1に係る換気システム50と異なる。
【0098】
(1)換気システム50aは、リビングに排気温度検知部60及び排気湿度検知部61を備える点。
【0099】
(2)制御部40は、露点温度算出部4hを備える点。
【0100】
(3)排気流減少判断部4fは、給気温度TAと露点温度Tdの大小関係に基づき換気装置1の給気流量を減少させる点。
【0101】
以上の3点以外の換気システム50aの構成は、実施の形態1に係る換気システム50と同様である。以下、実施の形態1で説明済みの内容は、再度の説明を適宜省略し、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0102】
図5に示すように、換気システム50aは、排気温度検知部60と、排気湿度検知部61とを備える。
【0103】
排気温度検知部60は、リビングの空気の温度を測定する。排気温度検知部60は、リビングの壁面等に設置される。排気温度検知部60は、入力部4aと電気的に通信可能に接続する。
【0104】
排気湿度検知部61は、リビングの空気の湿度を測定する。排気湿度検知部61は、リビングの壁面等に設置される。排気湿度検知部61は、入力部4aと電気的に通信可能に接続する。
【0105】
図6に示すように、制御部40において、制御プログラム40bは、露点温度算出部4hを備える。
【0106】
露点温度算出部4hは、排気温度検知部60により検知される排気温度TBと排気湿度検知部61により検知される排気湿度HBとを基に、処理部4cを用いて露点温度Tdを算出する。露点温度Tdは、水分を含むリビングの空気を冷却したとき、水分の凝縮が始まる温度である。
【0107】
図7に示すように、排気流減少判断部4fは、給気温度検知部33により検知された給気温度TAが露点温度算出部4hにより算出された露点温度Tdより小さいかを判定する(ステップS8)。排気流減少判断部4fは、TA<Tdと判定した場合、ステップS4の処理へ進み、給気用電動機27を第一出力D1より小さい第二出力D2で制御する。
【0108】
冬季において、熱交換素子32に結露が発生するのは、換気装置1の給気流と換気装置1の第一排気流とが熱交換した結果、第一排気流の温度が露点温度Tdを下回るためである。リビングから排気される温かい空気が、室外から給気される冷たい空気と熱交換することで冷却され、飽和水蒸気量が低くなり、結露が発生する。しかし、給気温度TAが露点温度Tdより大きい場合、第一排気流は露点温度より高い温度の給気流と熱交換することになるので、熱交換素子32に結露は発生しない。結露が発生しなければ、熱交換素子32が凍結する可能性も抑制することができる。
【0109】
このように、排気流減少判断部4fは、給気温度TAと露点温度Tdを参照することで、結露発生の判定を精度よく実行できる。これにより、換気システム50aは、熱交換素子32に結露が発生することを抑制するという効果が期待できる。
【0110】
なお、排気温度検知部60と排気湿度検知部61は、第一排気口7の近傍に配置することが好ましい。第一排気口7の近傍に排気温度検知部60と排気湿度検知部61を配置することで、第一排気口7から換気装置1へ吸い込まれる第一排気流の温度と湿度を精度よく検知することができる。これにより、排気流減少判断部4fは、より正確な露点温度Tdに基づき結露発生の判定を実行できるという効果が期待できる。
【0111】
以上、本発明に係る換気システム50について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、リビングや浴室等の複数の空間に対して換気を行う換気システムとして利用可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 換気装置
2 排気装置
3 気流合流部
4 制御部
4a 入力部
4b 制御プログラム
4c 処理部
4d 出力部
4e 風量一定制御部
4f 排気流減少判断部
4h 露点温度算出部
5 第一給気口
6 第二給気口
7 第一排気口
8 第二排気口
9 第一吸込口
10 第二吸込口
11 吹出口
12 第一気流入口
13 第二気流入口
14 気流出口
15 屋外側給気ダクト
16 屋内側給気ダクト
17 屋内側第一排気ダクト
18 局所排気ダクト
19 屋内側第二排気ダクト
20 屋外側排気ダクト
21 第一換気口
22 第二換気口
23 リビング吹出口
24 トイレ吸込口
25 本体ケース
26 給気用ファン
27 給気用電動機
28 排気用ファン
29 排気用電動機
30 回転数検知部
31 電流検知部
32 熱交換素子
33 給気温度検知部
34 給気経路
35 排気経路
36 操作部
40 制御部
40b 制御プログラム
50 換気システム
50a 換気システム
60 排気温度検知部
61 排気湿度検知部
D1 第一出力
D2 第二出力
R 回転数
Rmax 所定回転数
I 電流値
Imax 所定電流値
TA 給気温度
TB 排気温度
HB 排気湿度
T1 所定温度
Td 露点温度