(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240426BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240426BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240426BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240426BHJP
B65G 49/06 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/205
H01L21/31 A
H01L21/68 A
B65G49/06 Z
(21)【出願番号】P 2020050560
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 哲博
(72)【発明者】
【氏名】原 基子
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-313871(JP,A)
【文献】特開2002-301678(JP,A)
【文献】特開平09-041164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/205
H01L 21/302
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H01L 21/67-21/683
H01L 21/86
B65G 49/00-49/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能なチャンバと、
前記チャンバ内に配置されており、基板が載置される載置部と、
前記基板の前記チャンバ外から前記載置部への搬入時および前記載置部から前記チャンバ外への搬出時の少なくとも一方において、前記基板を搬送方向の上流側から下流側へと案内するガイドと、
前記基板を、前記ガイドに沿って移動させる基板移動部と、
前記ガイドを、前記搬送方向に沿って移動させるガイド移動部と、を備え、
前記ガイドは、搬送方向に並ぶ複数のガイド部分を有し、
前記ガイド部分は、前記載置部側に配置される第1ガイド部分と、前記第1ガイド部分の前記載置部とは反対側に配置される第2ガイド部分とを含み、
前記ガイド移動部は、前記チャンバの閉鎖時に前記第1ガイド部分を前記チャンバ外の第1の位置に移動し、前記チャンバの開放時に前記第1ガイド部分を、前記第1の位置より前記載置部側の第2の位置に移動する、基板処理装置。
【請求項2】
前記第2の位置に配置される前記第1ガイド部分の一部と、前記第2ガイド部分の一部とは、平面視において重複する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1ガイド部分と前記第2ガイド部分とは、互いに係合する傾斜面を有する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ガイド部分は、上流側の端部に前記搬送方向の上流から下流に向かって上る傾斜面を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記ガイド移動部は、前記チャンバの開放時に、前記第2ガイド部分を前記チャンバの閉鎖時よりも前記第1ガイド部分から離間した位置に移動する、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記
基板移動部は、前記基板を、前記第2の位置にある前記第1ガイド部分に沿って前記搬送方向の下流側へ
と移動させ
る、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
チャンバ内に配置される載置部に基板を載置する搬入工程と、
前記搬入工程の後、前記基板を処理する処理工程と、
前記処理工程の後、前記チャンバを開放して、前記基板を前記チャンバの外に搬出する搬出工程と、を備え、
前記搬出工程において、前記基板は、搬送方向に並ぶ複数のガイド部分に案内されて搬送方向の上流側から下流側へと搬送され、
前記ガイド部分は、前記載置部側に配置される第1ガイド部分と、前記第1ガイド部分の前記載置部とは反対側に配置される第2ガイド部分とを含み、
前記処理工程において、前記第1ガイド部分は、前記チャンバ外の第1の位置に配置されており、
前記搬出工程は、
前記チャンバが開放された後、前記第1の位置にある前記第1ガイド部分を、前記第1の位置より前記載置部側の第2の位置に移動する第1ガイド接近工程と、
前記第1ガイド接近工程の後、前記基板を前記載置部から前記第1ガイド部分の下流に移動させる基板移動工程と、
前記基板移動工程の後、前記第2の位置にある前記第1ガイド部分を前記第1の位置に移動させる第1ガイド離間工程と
、
前記基板移動工程の前に、前記第2ガイド部分を前記載置部から離間した位置に移動させる第2ガイド離間工程と、
を備える、基板処理方法。
【請求項8】
チャンバを開放して、前記チャンバ内に配置される載置部に基板を載置する搬入工程と、
前記搬入工程の後、前記基板を処理する処理工程と、
前記処理工程の後、前記基板を前記チャンバの外に搬出する搬出工程と、を備え、
前記搬入工程において、前記基板は、搬送方向に並ぶ複数のガイド部分に案内されて搬送方向の上流側から下流側へと搬送され、
前記ガイド部分は、前記載置部側に配置される第1ガイド部分と、前記第1ガイド部分の前記載置部とは反対側に配置される第2ガイド部分とを含み、
前記搬入工程は、
前記チャンバが開放された後、前記チャンバ外の第1の位置にある前記第1ガイド部分を、前記第1の位置より前記載置部側の第2の位置に移動する第1ガイド接近工程と、
前記第1ガイド接近工程の後、前記第1ガイド部分より上流にある前記基板を前記載置部に移動させる基板移動工程と、
前記基板移動工程の後、前記第2の位置にある前記第1ガイド部分を、前記第1の位置に移動させる第1ガイド離間工程と
、
前記基板移動工程の前に、前記第2ガイド部分を前記載置部から離間した位置に移動させる第2ガイド離間工程と、
を備える、基板処理方法。
【請求項9】
前記搬入工程と前記搬出工程とは、並行して実施される、請求項7
または8に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板をチャンバ内で処理する基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の製造工程において、基板のクリーニング、エッチング、成膜、加熱、露光等のために、プラズマ処理装置、薄膜形成装置(例えば、CVD装置、スパッタ装置)などの基板処理装置が用いられる場合がある。例えば、プラズマ処理装置は、一般に、チャンバとチャンバ内に設置された載置部とを備える。基板を載置部に載置した後、チャンバ内を密閉し、減圧下でプロセスガスを供給するとともに、載置部に高周波電力を印加する。これにより、チャンバ内にプラズマが発生し、基板はプラズマ処理される。
【0003】
基板は、通常、ガイドで案内されながらチャンバ内に搬入され、処理後、ガイドで案内されながらチャンバ外に搬出される。特許文献1は、基板をガイドとともに移動させることにより、搬送ミスを防止することを教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、生産性が低下し易い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面は、開閉可能なチャンバと、前記チャンバ内に配置されており、基板が載置される載置部と、前記基板の前記チャンバ外から前記載置部への搬入時および前記載置部から前記チャンバ外への搬出時の少なくとも一方において、前記基板を搬送方向の上流側から下流側へと案内するガイドと、前記基板を、前記ガイドに沿って移動させる基板移動部と、前記ガイドを、前記搬送方向に沿って移動させるガイド移動部と、を備え、前記ガイドは、搬送方向に並ぶ複数のガイド部分を有し、前記ガイド部分は、前記載置部側に配置される第1ガイド部分と、前記第1ガイド部分の前記載置部とは反対側に配置される第2ガイド部分とを含み、前記ガイド移動部は、前記チャンバの閉鎖時に前記第1ガイド部分を前記チャンバ外の第1の位置に移動し、前記チャンバの開放時に前記第1ガイド部分を、前記第1の位置より前記載置部側の第2の位置に移動する、基板処理装置に関する。
【0007】
本発明の他の局面は、チャンバ内に配置される載置部に基板を載置する搬入工程と、前記搬入工程の後、前記基板を処理する処理工程と、前記処理工程の後、前記チャンバを開放して、前記基板を前記チャンバの外に搬出する搬出工程と、を備え、前記搬出工程において、前記基板は、搬送方向に並ぶ複数のガイド部分に案内されて搬送方向の上流側から下流側へと搬送され、前記ガイド部分は、前記載置部側に配置される第1ガイド部分と、前記第1ガイド部分の前記載置部とは反対側に配置される第2ガイド部分とを含み、前記処理工程において、前記第1ガイド部分は、前記チャンバ外の第1の位置に配置されており、前記搬出工程は、前記チャンバが開放された後、前記第1の位置にある前記第1ガイド部分を、前記第1の位置より前記載置部側の第2の位置に移動する第1ガイド接近工程と、前記第1ガイド接近工程の後、前記基板を前記載置部から前記第1ガイド部分の下流に移動させる基板移動工程と、前記基板移動工程の後、前記第2の位置にある前記第1ガイド部分を前記第1の位置に移動させる第1ガイド離間工程と、を備える、基板処理方法に関する。
【0008】
本発明のさらに他の局面は、チャンバを開放して、前記チャンバ内に配置される載置部に基板を載置する搬入工程と、前記搬入工程の後、前記基板を処理する処理工程と、前記処理工程の後、前記基板を前記チャンバの外に搬出する搬出工程と、を備え、前記搬入工程において、前記基板は、搬送方向に並ぶ複数のガイド部分に案内されて搬送方向の上流側から下流側へと搬送され、前記ガイド部分は、前記載置部側に配置される第1ガイド部分と、前記第1ガイド部分の前記載置部とは反対側に配置される第2ガイド部分とを含み、前記搬入工程は、前記チャンバが開放された後、前記チャンバ外の第1の位置にある前記第1ガイド部分を、前記第1の位置より前記載置部側の第2の位置に移動する第1ガイド接近工程と、前記第1ガイド接近工程の後、前記第1ガイド部分より上流にある前記基板を前記載置部に移動させる基板移動工程と、前記基板移動工程の後、前記第2の位置にある前記第1ガイド部分を、前記第1の位置に移動させる第1ガイド離間工程と、を備える、基板処理方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生産性を低下させることなく、基板の搬送ミスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の実施形態に係るチャンバ閉鎖時の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。
【
図1B】本発明の実施形態に係るチャンバ開放時の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。
【
図2A】本発明の実施形態に係るチャンバ開放時の他の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。
【
図2B】本発明の実施形態に係るチャンバ閉鎖時の他の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。
【
図3A】本発明の実施形態に係るチャンバ閉鎖時のさらに他の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。
【
図3B】本発明の実施形態に係るチャンバ開放時のさらに他の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。
【
図4A】本発明の実施形態に係る外部ガイドの一例の要部を模式的に示す斜視図である。
【
図4B】
図4Aに示す外部ガイドが離間した時の様子を示す斜視図である。
【
図5A】本発明の実施形態に係る下流側にあるガイド部分の一例を模式的に示す側面図である。
【
図5B】本発明の実施形態に係る下流側にあるガイド部分の他の例を模式的に示す側面図である。
【
図5C】本発明の実施形態に係る下流側にあるガイド部分のさらに他の例を模式的に示す側面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態に係る基板処理方法の他の例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態に係る基板処理装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図9】同基板処理装置のベース部および外部ガイドを模式的に示す斜視図である。
【
図10】チャンバ閉鎖時の同基板処理装置を、
図8のX-X線で切断した断面図である。
【
図11A】従来のチャンバ閉鎖時の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。
【
図11B】従来のチャンバ開放時の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。
【
図11C】従来のチャンバ開放時の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
密閉されたチャンバ内で基板の処理を行う場合、チャンバの開閉の妨げになるため、チャンバ内にまでガイドを伸ばすことができない。そのため、基板が載置される載置部とガイドとの間に隙間が生じる。基板はこの隙間を渡って搬出入される。このとき、基板の位置ずれが生じ易い。
【0012】
そこで、チャンバの開放時にガイドを載置部に接近させて、上記隙間を無くす試みがなされている。しかし、ガイドが移動した分、搬送経路には新たな隙間が生じる。そこで、特許文献1では、基板をガイドとともに移動させている。
図11A、
図11Bおよび
図11Cに、従来の基板処理装置において、ガイドが移動する様子を示す。図示例では、基板が搬出され、マガジンに収納される様子が示されている。
【0013】
図11Aは、従来のチャンバ閉鎖時の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。蓋部120とベース部110とが密着し、密閉されたチャンバが形成されている。チャンバの中では、基板300が処理されている。このとき、ガイド2141は、チャンバ外で待機している。ガイド2141には、位置規制部材2143が取り付けられている。
【0014】
図11Bは、従来のチャンバ開放時の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。蓋部120が上昇しチャンバが開放されると、ガイド2141がチャンバに接近する。ガイド2141の位置は、位置規制部材2143によって規制されており、所定の位置に配置される。ガイド2141が所定の位置で停止すると、基板300が押し出されて、ガイド2141に受け渡される。
【0015】
図11Cは、従来のチャンバ開放時の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。基板300がガイド2141に受け渡されると、ガイド2141は移動してマガジン500に接近し、停止する。そして、基板300は再び押し出されて、マガジン500に収納される。ガイド2141は、次の基板の処理が終了するまでその場で待機する。
【0016】
このように、ガイド2141とともに基板300の停止および移動が繰り返されるため、生産性が低下し易い。
【0017】
そこで、本実施形態では、基板の搬出入に、複数のガイド部分を有するガイド(以下、外部ガイドと称す。)を用いる。これらガイド部分は、搬送方向に並んでいる。つまり、複数のガイド部分によって、1本の搬送経路が形成される。そして、ガイド部分のうち、載置部に近い第1ガイド部分を移動可能にする。第1ガイド部分は、チャンバ外の第1の位置と、第1の位置より載置部側の第2の位置との間で移動可能である。
【0018】
第1ガイド部分が第1の位置にあるとき、載置部と第1ガイド部分との間には隙間が形成される。第1ガイド部分を第2の位置に移動すると、上記隙間は、載置部と第1ガイド部分との間のより小さい隙間と、第1ガイド部分とその他のガイド部分との間に新たに形成される隙間とに分散される。第1ガイド部分が第2の位置にあるとき、基板は、外部ガイド上で搬送される。つまり、基板が搬送される際、搬送経路上には小さい隙間のみが形成されている。そのため、隙間を渡るときの基板の位置ズレが抑制される。加えて、第2ガイド部分とさらに上流側あるいは下流側の装置(例えば、マガジン)との隙間が大きくなることを避けられる。よって、第2ガイドへの受け渡しあるいは第2ガイドからの受け渡しの際の基板の位置ズレが抑制される。さらに、基板が搬送されている間、いずれのガイド部分も移動させることを要しないため、基板の搬送が妨げられない。すなわち、基板を連続的に搬送することが可能となって、生産性の低下が抑制される。
【0019】
ガイドの長手方向の長さより長い基板を搬送する場合にも、上述したように、第1ガイド部分とその上流側あるいは下流側に形成される隙間が小さいため、基板の位置ズレは生じ難い。
【0020】
すなわち、本実施形態に係る基板処理装置の外部ガイドは、搬送方向に並ぶ複数のガイド部分を有している。ガイド部分は、載置部側に配置される第1ガイド部分と、第1ガイド部分の載置部とは反対側に配置される第2ガイド部分とを含む。ガイド移動部は、チャンバの閉鎖時に、第1ガイド部分をチャンバ外の第1の位置に移動する。ガイド移動部はまた、チャンバの開放時に、第1ガイド部分を第1の位置より載置部側の第2の位置に移動する。
【0021】
第1ガイド部分が第1の位置に配置されているとき、第1ガイド部分の載置部側の端部(第1端部)とは反対側の第2端部と、第2ガイド部分とは接触していてもよいし、離間していてもよい。
【0022】
第2の位置は、第1の位置より載置部側であればよい。第2の位置は、第1ガイド部分の第1端部がチャンバ内に入り込むような位置であることが好ましい。特に、第2の位置は、第1ガイド部分の第1端部と載置部との間の距離が、好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下になるような位置である。
【0023】
外部ガイドには、基板を搬入する際に使用されるガイドおよび基板を搬出する際に使用されるガイドの双方が含まれる。本実施形態に係る外部ガイドは、搬入および搬出の少なくとも一方で用いられる。
【0024】
外部ガイドは、3以上のガイド部分を備えてもよい。ただし、第1ガイド部分と第2ガイド部分とは隣接しており、第1ガイド部分は載置部に最も近いガイド部分である。第2ガイド部分の第1ガイド部分とは反対側に、第3のガイド部分が配置されてもよい。
【0025】
第1ガイド部分が第2の位置に配置されているとき、第1ガイド部分の少なくとも一部と、第2ガイド部分の少なくとも一部とは、平面視において重複していることが好ましい。言い換えれば、第1ガイド部分および第2ガイド部分は、第1ガイド部分が移動してもこれらの端部同士が重なり合っていることが好ましい。これにより、ガイド部分間には基板が脱落するような隙間が生じず、基板の搬送ミスはさらに低減する。平面視において重複しているとは、基板の主面の法線方向から見たとき、2つのガイド部分の少なくとも一部が重なり合っていることを言う。
【0026】
第1ガイド部分および第2ガイド部分の端部は、嵌合するL字部分を有していてもよいし、係合する傾斜面を有していてもよい。なかでも、第1ガイド部分および第2ガイド部分の端部は、後者の傾斜面を有していることが好ましい。形状がシンプルであるため、ガイド部分の作製が容易であり、かつ、第1ガイド部分の移動による不具合が生じ難いためである。さらに、チャンバの開放時および/または閉鎖時における第1ガイド部分の基板の主面を支持する面(支持面)支持面と第2ガイド部分の支持面との間隔を、任意に調整することができる。
【0027】
下流側にあるガイド部分の上流側の端部は、搬送方向の上流から下流に向かって上るように傾斜していることが好ましい。基板が下流側のガイド部分に渡る際、基板が下方にしなる場合がある。すると、基板の下流側の端部が下流側のガイド部分の端部に当たり、基板が損傷したり、当該ガイド部分へと移動することができなかったり、位置がずれたりする。下流側のガイド端部が、搬送方向の上流から下流に向かって上る傾斜面を有すると、下方にしなった基板は、その傾斜面に沿って掬い上げられるように移動して、下流側のガイド部分の支持面に乗ることができる。よって、ガイド部分間の受け渡しがスムーズに行われて、位置ずれはより生じ難い。
【0028】
上流側にあるガイド部分の上流側の端部もまた、搬送方向の上流から下流に向かって上るように傾斜していることが好ましい。この場合、上流側にある装置あるいは載置部から、当該ガイド部分への基板の受け渡しがスムーズに行われる。
【0029】
外部ガイドが搬出用のガイドである場合、「下流側にあるガイド部分」は第2ガイド部分である。外部ガイドが搬入用のガイドである場合、「下流側にあるガイド部分」は第1ガイド部分である。
【0030】
上記端部における傾斜面の傾斜角度は、90°未満であれば特に限定されない。傾斜角度は、60°以下が好ましく、45°以下がより好ましく、30°以下が特に好ましい。傾斜面の傾斜角度は、当該傾斜面と、当該ガイド部分の支持面とが成す鋭角である。傾斜面が曲面あるいは複数の傾斜面を含む場合、ガイド部分の搬送方向に沿う断面において、傾斜の始点と終点とを結ぶ直線と支持面とが成す鋭角を、傾斜角度とみなすことができる。
【0031】
下流側にあるガイド部分の上流側の端部が、搬送方向の上流から下流に向かって上るように傾斜しているとき、上流側にあるガイド部分の下流側の端部もまた、搬送方向の上流から下流に向かって上るように傾斜していることが好ましい。つまり、それぞれの端部が、互いに係合し、かつ、搬送方向の上流から下流に向かって上るような傾斜面を有することが好ましい。これにより、基板のガイド部分間の受け渡しがスムーズになることに加えて、第1ガイド部分が第2の位置に配置されているとき、第1ガイド部分および第2ガイド部分の対向する端部同士が重複するように調整し易くなる。
【0032】
下流側にあるガイド部分の下流側の端部および上流側にあるガイド部分の上流側の端部の形状は、特に限定されない。上流側にあるガイド部分の上流側の端部は、搬送方向の上流から下流に向かって上る傾斜面を有していてもよい。これにより、基板はスムーズに上流側にあるガイド部分に受け渡される。
【0033】
第2ガイド部分も移動可能であってよい。例えば、チャンバが開放されているとき、第2ガイド部分は、チャンバの閉鎖時よりも載置部から離間した位置に配置されてもよい。これにより、第2ガイド部分の第3端部とは反対側の第4端部と、さらに上流側あるいは下流側にある装置との隙間が小さくなって、この隙間による搬送ミスも抑制され易くなる。第1ガイド部分の支持面と第2ガイド部分の支持面との間隔は広がり得るため、上記のように、第2の位置にある第1ガイド部分の端部と第2ガイド部分の端部とを重複させることが望ましい。
【0034】
[基板処理装置]
基板処理装置としては、例えば、基板の製造工程において、クリーニング、エッチング、成膜、加熱、露光等のために用いられるプラズマ処理装置、薄膜形成装置(例えば、CVD装置、スパッタ装置)、加熱装置等が挙げられる。
【0035】
(基板)
処理対象である基板は特に限定されない。基板は広義に解釈することができ、例えば、電子機器の製造に用いられる基板、基板上に回路が形成された回路基板、回路基板に電子部品が実装された実装基板、ウエハ等が含まれる。
【0036】
(チャンバ)
チャンバは、開閉可能である。チャンバは、例えば、蓋部およびベース部を備える。蓋部は、ベース部の上方で昇降可能である。蓋部を下降させてベース部に当接させると、密閉空間が形成される。蓋部は、例えば、天井部および天井部の周囲から延出する側壁を有する箱型である。この場合、蓋部の側壁の端面とベース部の周縁とが密着することにより、密閉空間が形成される。
【0037】
(載置部)
載置部はチャンバ内に設けられており、基板が載置される。載置部は、例えば、上記ベース部上に配置されており、蓋部に対向している。載置部は、内部ガイドによって複数の領域に区画されてもよい。これにより、複数の基板を同時に載置部に載置して、処理することができる。
【0038】
プラズマ処理装置の載置部は、電極である。プロセスガスの存在下で載置部に高周波電力が印加されることにより、チャンバ内にプラズマが発生し、基板はプラズマ処理される。
【0039】
(外部ガイド)
外部ガイドは、基板を支持し、基板を搬送方向に沿って移動するように案内する。
【0040】
外部ガイドの形状は特に限定されず、基板の主面を支持する支持面を備えていればよい。例えば、外部ガイドは、シンプルな棒状であってもよい。あるいは、外部ガイドの断面はL字型であってもよい。これらの場合、基板は、平行に配置された一対の外部ガイドの間に架け渡されて支持される。外部ガイドの断面がL字型である場合、基板の位置ズレが抑制され易くなる。一対の外部ガイドの互いに対向する側面のそれぞれには、溝が形成されてもよい。この場合、基板は、上記側面の溝に嵌め込まれて支持される。また、外部ガイドは平板状であってもよい。
【0041】
外部ガイドの数および配置は、基板の処理枚数および形状等に応じて適宜設定すればよい。2対以上の外部ガイドが配置される場合、隣接する外部ガイド同士は一体化されていてもよい。
【0042】
外部ガイドは、上記の通り、複数のガイド部分を有している。少なくとも載置部に最も近接している第1ガイド部分は、搬送方向に沿って移動可能である。
【0043】
(基板移動部)
基板移動部は、基板を外部ガイドに沿って上流から下流に向かって移動させる。
基板移動部は、例えば、チャンバに隣接して配置されており、搬送方向に可動なエンドエフェクタと、エンドエフェクタを動かすモータと、を備えている。
【0044】
(ガイド移動部)
ガイド移動部は、少なくとも第1ガイド部分を搬送方向に沿って移動させる。
ガイド移動部は、例えば、ボールネジとリニアガイド機構を備える。ボールネジが回転することにより、ガイド部分は、搬送方向に沿って並進移動する。
【0045】
以下、
図1Aおよび
図1Bを参照しながら、本実施形態に係る基板処理装置の一例を具体的に説明する。図示例では、基板を搬出する際に、本実施形態に係る外部ガイドが使用されている。
【0046】
図1Aは、チャンバ閉鎖時の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。
図1Bは、チャンバ開放時の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。図示例において、複数のガイド部分は、外部ガイドを斜めに2分割するような形状を有しているが、これに限定されない。
【0047】
図1Aにおいて、蓋部120とベース部110とは密着し、密閉されたチャンバが形成されている。ベース部110は、基体111と載置部112とを備える。外部ガイド141は、第1ガイド部分1411と第2ガイド部分1412とを備える。チャンバの中では、基板300が載置部112に載置されて処理されている。このとき、第1ガイド部分1411の載置部112側の第1端部T11は、チャンバ外の第1の位置に配置されている。第1ガイド部分1411には、位置規制部材143が取り付けられている。
【0048】
図1Bにおいて、蓋部120は上昇しチャンバが開放されている。第1ガイド部分1411の第1端部T11は、第1の位置より載置部側の第2の位置に配置されている。第2の位置は、位置規制部材143によって規制されている。一方、第2ガイド部分は
図1Aと同じ位置にある。そのため、第1ガイド部分1411および第2ガイド部分1412の支持面141b同士は、離間している。ただし、第1ガイド部分1411の第2端部T12と第2ガイド部分1412の第3端部T21とは、重複している。そのため、載置部112からほぼ連続して伸びる搬送経路が形成されている。
【0049】
次に、
図2Aおよび
図2Bを参照しながら、本実施形態に係る基板処理装置の他の例を具体的に説明する。図示例では、基板を搬入する際に、本実施形態に係る外部ガイドが使用されている。
【0050】
図2Aは、チャンバ開放時の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。
図2Bは、チャンバ閉鎖時の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。図示例において、複数のガイド部分は、外部ガイドを斜めに2分割するような形状を有しているが、これに限定されない。
【0051】
図2Aにおいて、蓋部120は上昇しチャンバが開放されている。外部ガイド141は、第1ガイド部分1411と第2ガイド部分1412とを備える。第1ガイド部分1411には、位置規制部材143が取り付けられている。第1ガイド部分1411の第1端部T11は、チャンバに近い第2の位置に配置されている。第2の位置は、位置規制部材143によって規制されている。第1ガイド部分1411および第2ガイド部分1412の支持面141b同士は、離間している。ただし、第1ガイド部分1411の第2端部T12と第2ガイド部分1412の第3端部T21とは、重複している。そのため、載置部112に向かってほぼ連続して伸びる搬送経路が形成されている。
【0052】
図2Bにおいて、蓋部120とベース部110とは密着し、密閉されたチャンバが形成されている。チャンバの中では、基板300が載置部112に載置されて処理されている。このとき、第1ガイド部分1411の載置部112側の第1端部T11は、チャンバ外の第1の位置に配置されている。
【0053】
図3Aは、チャンバ閉鎖時の他の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。
図3Bは、チャンバ開放時の他の基板処理装置の一部を模式的に示す断面図である。この基板処理装置は、第2ガイド部分も移動すること以外、
図1Aおよび
図1Bに示す基板処理装置と同様の構成を備える。
【0054】
図3Aにおいて、第1ガイド部分1411の第1端部T11は、チャンバ外の第1の位置に配置されている。第2ガイド部分1412の第4端部T22は、マガジン500から離れた第3の位置に配置されている。
【0055】
処理が終了しチャンバが開放されると、
図3Bに示すように、第1ガイド部分1411の第1端部T11は載置部112に接近して、第1の位置より載置部側の第2の位置に移動される。一方、第2ガイド部分1412の第4端部T22はマガジン500に接近して、第4の位置に移動される。ただし、第1ガイド部分1411の第2端部T12と第2ガイド部分1412の第3端部T21とは、重複している。そのため、載置部112からほぼ連続して伸びる搬送経路が形成されている。第1ガイド部分1411および第2ガイド部分1412の移動は、同時に行われてもよいし、時間差を設けて行われてもよい。
【0056】
図4Aおよび
図4Bは、本実施形態に係る外部ガイドの一例の要部を模式的に示す斜視図である。図示例では、外部ガイドの断面形状がL字型であるが、これに限定されない。また、図示例では、搬出用の外部ガイドが示されており、第1ガイド部分は搬送方向の上流側に位置している。
図4Aでは、第1ガイド部分の第1端部が第2の位置に配置されている。
図4Bでは、第1ガイド部分の第1端部が第1の位置に配置されている。第2ガイド部分の第4端部は省略されている。
【0057】
外部ガイド141は、第1ガイド部分1411および第2ガイド部分1412を備える。各ガイド部分は、基板の側面をガイドする側面ガイド面141aと、基板の主面を支持する支持面141bとを備える。基板は、向かい合うように配置された1対の外部ガイド141の間に架け渡され、支持面141b上を摺動する。
【0058】
第1ガイド部分1411の第2端部T12および第2ガイド部分1412の第3端部T21には、それぞれ互いに重なり合う傾斜面141cが形成されている。傾斜面141cは、搬送方向Aの上流から下流に向かって上るように傾斜している。これにより、基板はスムーズに第1ガイド部分1411の支持面141bと第2ガイド部分1412の支持面141bとの間を渡ることができる。さらに、第1ガイド部分1411の第1端部T11もまた、搬送方向Aの上流から下流に向かって上るように傾斜している。これにより、基板は、載置部から第1ガイド部分1411の支持面141bへとスムーズに受け渡される。
【0059】
図5A、
図5Bおよび
図5Cは、本実施形態に係る下流側にあるガイド部分の一例を模式的に示す側面図である。図示例では、ガイド部分の断面形状がL字型であるが、これに限定されない。図示例では、下流側にあるガイド部分が第2ガイド部分である場合を示しているが、これに限定されない。
【0060】
図5Aに示される第2ガイド部分1412Aの上流側の第3端部T21は、平面状の傾斜面141cを備える。傾斜面141cと支持面141bとの成す鋭角(傾斜角度)はθである。
図5Bに示される第2ガイド部分1412Bの第3端部T21は、平面状の水平面と傾斜面141cとを備える。傾斜角度θは、水平面を除く傾斜面141cと支持面141bとの成す鋭角である。
図5Cに示される第2ガイド部分1412Cの第3端部T21は、上方に突出した曲面状の傾斜面141cを備える。傾斜角度θは、傾斜面141cの始点と終点を結ぶ直線と支持面141bとの成す鋭角である。なお、第2ガイド部分1412A~1412Cの下流側の第4端部T22は、支持面141bに対して略垂直な面を有しているが、これに限定されない。
【0061】
[基板処理方法]
本実施形態に係る基板処理方法は、上記の基板処理装置を用いて実行される。
すなわち、本実施形態に係る基板処理方法は、チャンバを開放して、チャンバ内に配置される載置部に基板を載置する搬入工程と、搬入工程の後、チャンバを閉じて、基板を処理する処理工程と、処理工程の後、チャンバを再び開放して、基板をチャンバの外に搬出する搬出工程と、を備える。搬入工程および搬出工程の少なくとも一方において、基板は、上記の外部ガイドに案内されて、搬送方向の上流側から下流側へと搬送される。
図6は、本実施形態に係る基板処理方法の一例を示すフローチャートである。
図7は、本実施形態に係る基板処理方法の他の例を示すフローチャートである。
【0062】
(1)搬入工程(S1)
以下、上記の外部ガイドを用いる搬入工程について説明する。
本実施形態に係る搬入工程は、チャンバが開放された後、第1ガイド部分を、第1の位置より載置部側の第2の位置に移動する第1ガイド接近工程と、第1ガイド接近工程の後、第1ガイド部分より上流にある基板を載置部に移動させる基板移動工程と、基板移動工程の後、第2の位置にある第1ガイド部分を第1の位置に移動させる第1ガイド離間工程と、を備える。
【0063】
(1-1)第1ガイド接近工程(S11)
チャンバが開放されるとき、第1ガイド部分はチャンバ外の第1の位置に配置されている。チャンバが開放された後、第1ガイド部分を移動して、第1ガイド部分を第1の位置より載置部側の第2の位置に配置する。これにより、第2ガイド部分から第1ガイド部分を経て載置部に至るまで、ほぼ連続して伸びる搬送経路が形成される。
【0064】
(1-2)第2ガイド離間工程(S12)
基板移動工程の前に、第2ガイド部分をさらに第1ガイド部分から離間した位置に移動してもよい。これにより、第2ガイド部分の第4端部と、さらに上流側にある装置との隙間が小さくなって、この隙間による搬送ミスも抑制され易くなる。第2ガイド離間工程は、第1ガイド接近工程と並行して行われてもよいし、第1ガイド接近工程の前であってもよいし、後であってもよい。生産性の観点から、第2ガイド離間工程は、第1ガイド接近工程と並行して行われることが好ましい。
【0065】
(1-3)基板移動工程(S13)
第1ガイド接近工程の間、基板は、例えば、第2ガイド部分あるいは第2ガイド部分より上流にあるガイド部分上で待機しているか、あるいはマガジンに収納されている。または、基板は、上記のガイド間に跨って待機している。第1ガイド接近工程の後、基板を待機場所から載置部に移動させる。ほぼ連続して伸びる搬送経路が形成されているため、基板はスムーズに移動し、搬送ミスは抑制される。
【0066】
(1-4)第1ガイド離間工程(S14)
基板移動工程の後、第2の位置にある第1ガイド部分を、チャンバ外の第1の位置に再び移動させる。これにより、チャンバは密閉可能な状態に置かれる。基板の処理が終了して基板が搬出されるまで、第1ガイド部分は、この位置で待機する。
【0067】
(2)処理工程(S2)
載置部に載置された基板が処理される。処理は、例えば、クリーニング、エッチング、成膜、加熱、露光である。
【0068】
(3)搬出工程(S3)
以下、上記の外部ガイドを用いる搬出工程について説明する。
本実施形態に係る搬出工程は、チャンバが開放された後、第1の位置にある第1ガイド部分を、第1の位置より載置部側の第2の位置に移動する第1ガイド接近工程と、第1ガイド接近工程の後、基板を載置部から第1ガイド部分の下流に移動させる基板移動工程と、基板移動工程の後、第2の位置にある第1ガイド部分を第1の位置に移動させる第1ガイド離間工程と、を備える。
【0069】
(3-1)第1ガイド接近工程(S31)
チャンバが開放されるとき、第1ガイド部分はチャンバ外の第1の位置に配置されている。チャンバが開放された後、第1ガイド部分を移動して、第1ガイド部分を、より載置部側の第2の位置に配置する。これにより、載置部から第1ガイド部分を経て第2ガイド部分に至るまで、ほぼ連続して伸びる搬送経路が形成される。
【0070】
(3-2)第2ガイド離間工程(S32)
基板移動工程の前に、第2ガイド部分をさらに第1ガイド部分から離間した位置に移動してもよい。これにより、第2ガイド部分の第4端部と、さらに下流側にある装置(例えば、マガジン)との隙間が小さくなって、この隙間による搬送ミスも抑制され易くなる。第2ガイド離間工程は、第1ガイド接近工程と並行して実施されてもよいし、第1ガイド接近工程の前に実施されてもよいし、後に実施されてもよい。生産性の観点から、第2ガイド離間工程は、第1ガイド接近工程と並行して実施されることが好ましい。
【0071】
(3-3)基板移動工程(S33)
第1ガイド接近の間、基板は載置部上で待機している。第1ガイド接近工程の後、基板を載置部から第1ガイド部分に移動させる。ほぼ連続して伸びる搬送経路が形成されているため、基板はスムーズに移動し、搬送ミスは抑制される。
【0072】
(3-4)第1ガイド離間工程(S34)
基板移動工程の後、第2の位置にある第1ガイド部分を、チャンバ外の第1の位置に再び移動させる。これにより、チャンバは密閉可能な状態に置かれる。例えば、次の基板が搬入されて処理が終了するまで、第1ガイド部分は、この位置で待機する。
【0073】
生産性の観点から、搬入工程および搬出工程は並行して実施されることが好ましい。この場合、搬入工程と搬出工程における第1ガイド接近工程が同時に実施されてよい。搬入工程と搬出工程における基板移動工程も同時に実施されてよい。さらに、搬入工程と搬出工程における第1ガイド離間工程も同時に実施されてよい。加えて、搬入工程と搬出工程における第2ガイド離間工程も同時に実施されてよい。
【0074】
以下、
図1Aおよび
図1Bを再び参照しながら、上記の外部ガイドを用いる搬出工程について具体的に説明する。
【0075】
処理工程中、第1ガイド部分1411の第1端部T11はチャンバ外の第1の位置に配置されている(
図1A参照)。処理が終了すると、チャンバが開放され(
図1B参照)、第1ガイド部分1411が移動し、第1ガイド部分1411の第1端部T11はより載置部側の第2の位置に配置される(第1ガイド接近工程)。
【0076】
第1ガイド部分1411が第2の位置に配置されると、基板300が押し出されて第1ガイド部分1411上に乗せられる(基板移動工程)。基板300は、そのまま第1ガイド部分1411上および第2ガイド部分1412上を移動し、マガジン500に収納される。チャンバから搬出された基板300は、停止することなく搬送される。
【0077】
基板300がマガジン500に収納されると、第1ガイド部分1411は再び第1の位置に移動する(第1ガイド離間工程)。その間に、次の基板300が載置部112に載置される。第1ガイド部分1411が第1の位置に配置されると、蓋部120が下降してチャンバが形成される。そして、再び処理が開始される(
図1A参照)。続いて、再び
図1Bのような動作が行われる。このようにして、基板処理が連続的に繰り返される。
【0078】
次に、
図2Aおよび
図2Bを再び参照しながら、上記の外部ガイドを用いる搬入工程について具体的に説明する。
【0079】
チャンバが開放された後(
図2A参照)、第1ガイド部分1411が移動し、チャンバ外にある第1ガイド部分1411の第1端部T11は、より載置部側の第2の位置に配置される(第1ガイド接近工程)。第1ガイド部分1411が第2の位置に配置されると、基板300がマガジン500から押し出される。基板300は、そのまま第2ガイド部分1412上および第1ガイド部分1411上を移動し、載置部112に載置される(基板移動工程)。マガジン500から搬出された基板300は、停止することなく搬送される。
【0080】
基板300が載置部112に載置されると(
図2B参照)、第1ガイド部分1411は第1の位置に移動する(第1ガイド離間工程)。続いて、蓋部120が下降してチャンバが形成され、基板300の処理が開始される。処理が終了して、チャンバが開放されると、再び第1ガイド部分1411が移動して、第1ガイド部分1411の第1端部T11は、より載置部側の第2の位置に配置される(
図2A参照)。その後、別の基板がマガジンから押し出される。このようにして、基板処理が連続的に繰り返される。
【0081】
以下、プラズマ処理を行う基板処置装置(以下、プラズマ処理装置と称す)を例に挙げて、本実施形態に係る基板処理装置をより詳細に説明する。
図8は、基板処理装置の外観を模式的に示す斜視図である。
図9は、ベース部および外部ガイドを模式的に示す斜視図である。
図10は、チャンバを閉じた状態の基板処理装置を、
図8のX-X線で切断した断面図である。
図10では、外部ガイドを省略している。
【0082】
図示例では、プラズマ処理装置の搬入側および搬出側のいずれにも外部ガイドが配置されているが、これに限定されない。図示例の場合、基板は、外部ガイド上を摺動しながらチャンバに搬入され、プラズマ処理が施される。その後、基板は、チャンバから他の外部ガイド141に受け渡されて、マガジン等へと搬送される。図示例では、3対の外部ガイドおよび内部ガイドが示されているが、これに限定されない。
【0083】
基板処理装置100は、チャンバ130と、基板300をチャンバ130の外部から内部に搬入する、あるいは、基板300をチャンバ130から外部に搬出する複数の外部ガイド141と、を備える。
【0084】
外部ガイド141は、チャンバ130の外部であって、その長手方向が搬送方向Aに沿うように複数、配置される。基板300は、外部ガイド141で支持されながら、図示しない基板移動部によって外部ガイド141に沿って摺動する。基板移動部は、例えば、ベース部110に隣接して配置されており、搬送方向Aに可動なエンドエフェクタを備えている。搬入工程において、エンドエフェクタは、外部ガイド141で支持されている基板300のチャンバ130とは反対の端面をチャンバ130側に押して、基板300を載置部112に載置する。搬出工程において、エンドエフェクタは、載置部112に載置された基板300の同じ端面を押して、搬入側とは反対側に配置されている外部ガイド141に基板300を移動させる。
【0085】
外部ガイド141は、チャンバの内部に配置される内部ガイド150に対応する位置に配置される。これにより、外部ガイド141に沿ってチャンバ130内に移動した基板300は、容易に一対の内部ガイド150間に収められて、載置部112の所定の位置に載置される。同様に、チャンバ130内の基板300は、容易に内部ガイド150から外部ガイド141に受け渡されて、チャンバ130から搬出される。これらの動作は、複数の基板300に対して同時に実行され得る。
【0086】
チャンバ130は、天井部および天井部の周囲から延出する側壁を有する箱型の蓋部120と、載置部112および載置部112を支持する基体111を有するベース部110と、を備えている。蓋部120の側壁の端面とベース部110の周縁とが密着することにより、密閉空間が形成される。
【0087】
ベース部110には、基板300の載置部112上における位置を決める複数の内部ガイド150が配置されている。内部ガイド150は、載置部112上に配置されており、載置部112の上方を複数の領域に区画している。これにより、複数の基板300は、チャンバ130内の所定位置に配置される。基板300は、その両端部が一対の内部ガイド150によって挟まれることによって、位置決めされる。また、基板300は、一対の内部ガイド150にガイドされながら、載置部112上を移動する。
【0088】
内部ガイド150の形状は特に限定されず、外部ガイド141と同様のバリエーションを有する。また、内部ガイド150は、載置部112を囲むように配置される枠状の保持体(図示せず)に一体に保持されていてもよい。この場合、保持体は、蓋部120の昇降に連動して、蓋部120とベース部110との間で、載置部112に対して昇降可能となるような昇降機構を備えていてもよい。
【0089】
載置部112は、ベース部110の蓋部120と対向する面に配置される。載置部112は、基体111に支持されている。載置部112は電極であり、プラズマ処理の際に基板300に面する上部電極体112aと、第1絶縁部材114を介して基体111に面する下部電極体112bとで構成されている。載置部112の外縁部には、上部電極体112aと下部電極体112bとの間に挟持されるように、枠状の第2絶縁部材115が装着されている。基体111は接地されている。載置部112は電源部400と接続している一方、基体111とは絶縁している。
【0090】
ガス供給手段からプロセスガスをチャンバ内に導入し、電源部400から載置部112に高周波電力を印加することにより、チャンバ130内にプラズマが発生する。蓋部120は、載置部112の対極としての機能を有している。電源部400は、例えば高周波電源401と、自動整合器402とで構成されている。自動整合器402は、載置部112と蓋部120との間に印加される高周波の反射波による干渉を防止する。
【0091】
チャンバ内は、チャンバと連通する排気口117を介して、減圧雰囲気に維持可能である。排気口117は、図示しない真空吸引手段と連通している。真空吸引手段は、真空ポンプ、排気配管、圧力調整バルブなどで構成されている。基体111の周縁と蓋部120の側壁の端面との間にはシール部材116が設けられ、チャンバ内の密閉性が高められる。なお、図示しないが、基板処理装置100は、プラズマ原料となるプロセスガスをチャンバ内に導入するためのガス供給手段を具備する。ガス供給手段は、アルゴン、酸素、窒素などのプロセスガスを供給するガスボンベ、チャンバ内にプロセスガスを導入する配管などで構成されている。
【0092】
基板300のチャンバ内への搬入時およびチャンバ外への搬出時には、蓋部120をベース部110から離間させて、チャンバが開放される。一方、基板300をプラズマ処理する際には、
図10に示すように、蓋部120の側壁の端面と基体111の周縁とを密着させて、チャンバが閉じられる。チャンバの開閉は、蓋部120が昇降することにより行われる。蓋部120の昇降は、図示しない所定の駆動源によって制御される。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係る基板処理装置および基板処理方法によれば、搬送ミスを抑制しながら、高い生産性で基板処理が行われるため、様々な基板処理に用いられる。
【符号の説明】
【0094】
100:基板処理装置
110:ベース部
111:基体
112:載置部
112a:上部電極体
112b:下部電極体
114:第1絶縁部材
115:第2絶縁部材
116:シール部材
117:排気口
120:蓋部
130:チャンバ
141:外部ガイド
141a:側面ガイド面
141b:支持面
141c:傾斜面
1411:第1ガイド部分
1412:第2ガイド部分
143:位置規制部材
150:内部ガイド
300:基板
400:電源部
401:高周波電源
402:自動整合器
500:マガジン
2141:ガイド
2143:位置規制部材