(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】室外ユニット
(51)【国際特許分類】
F24F 11/70 20180101AFI20240426BHJP
F24F 11/86 20180101ALI20240426BHJP
【FI】
F24F11/70
F24F11/86
(21)【出願番号】P 2022149468
(22)【出願日】2022-09-20
(62)【分割の表示】P 2018142636の分割
【原出願日】2018-07-30
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 進午
(72)【発明者】
【氏名】大川 和伸
(72)【発明者】
【氏名】吹田 義隆
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-106763(JP,A)
【文献】特開2012-007835(JP,A)
【文献】特開2010-249452(JP,A)
【文献】特開2016-109344(JP,A)
【文献】特開2017-150687(JP,A)
【文献】特開2012-088018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外ユニットの室外出力を演算することで得られる室外出力演算値をコントローラに送信し、
少なくとも前記室外出力演算値に基づいて前記コントローラが決定した運転上限馬力の指示信号
を、前記コントローラから受信する室外ユニットであって、
制御部を備え、
前記制御部は、
室内ユニットの吹出温度センサにより検出された空気の吹出温度と、目標吹出温度との差である吹出差温を取得する取得処理と、
前記吹出差温が所定以上高いか否かを判定する判定処理とを行い、
前記制御部は、前記判定処理による判定の結果に基づいて、前記コントローラに送信する室外出力演算値を決定
し、
前記判定処理により前記吹出差温が所定以上高いと判定された場合に前記コントローラに送信される室外出力演算値は、前記判定処理により前記吹出差温が所定以上高くないと判定された場合に前記コントローラに送信される室外出力演算値よりも大きい、
ことを特徴とする室外ユニット。
【請求項2】
前記制御部は、前記判定処理により前記吹出差温が所定以上高いと判定した場合に、前記室外出力演算値を補正したうえで前記コントローラに送信すると決定し、前記吹出差温が所定以上高くないと判定された場合に、前記室外出力演算値をそのまま前記コントローラに送信すると決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の室外ユニット。
【請求項3】
前記取得処理は、前記室内ユニットによって演算された前記吹出差温を前記室内ユニットから取得して行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の室外ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に係り、特に、GHP室外ユニットとEHP室外ユニットとを併用する空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスエンジンなどにより駆動される圧縮機が搭載された室外ユニットと、電気により駆動される圧縮機が搭載された室外ユニットとを用いて、室内ユニットによる空調を行う空気調和装置が知られている。
このような空気調和装置として、従来、例えば、能力の高い圧縮機、四方弁、室外熱交換器を備えた第二の室外ユニットと、能力の低い圧縮機、四方弁、室外熱交換器を備えた第一の室外ユニットと、これらの室外ユニットに1つの冷媒系統により接続された室内ユニットと、を備えた空気調和装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなGHP室外ユニットとEHP室外ユニットを用いて空調を行う空気調和装置の場合、GHP制御部とEHP制御部とを統括して制御するコントローラ制御部による制御指示信号に基づいて、制御が行われる。
このコントローラ制御部は、各室内ユニットの吸込温度とリモコンによる設定温度との差温と、室外出力演算値とに基づいて、空調負荷を推定し、この推定空調負荷に応じてGHP制御部およびEHP制御部に対して運転上限馬力の指示信号を送るようになっている。これにより、状況に応じた効率的な運転が可能となる。
【0005】
しかしながら、例えば、冬の早朝など、しばらく空調運転をしておらず、かつ、早急に空調能力を必要とするような状況において、推定空調負荷による効率優先の運転をしてしまうと、馬力を抑えるため、所望の温度に到達するのに時間がかかり、快適性が損なわれてしまうことがある。
本発明は、前記した点に鑑みてなされたものであり、空調の効率運転を極力妨げることなく、空調能力が必要な場合に運転馬力を高めた運転を行うことのできる空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、室外ユニットの室外出力を演算することで得られる室外出力演算値をコントローラに送信し、少なくとも前記室外出力演算値に基づいて前記コントローラが決定した運転上限馬力の指示信号を、前記コントローラから受信する室外ユニットであって、制御部を備え、前記制御部は、室内ユニットの吹出温度センサにより検出された空気の吹出温度と、目標吹出温度との差である吹出差温を取得する取得処理と、前記吹出差温が所定以上高いか否かを判定する判定処理とを行い、前記制御部は、前記判定処理による判定の結果に基づいて、前記コントローラに送信する室外出力演算値を決定し、前記判定処理により前記吹出差温が所定以上高いと判定された場合に前記コントローラに送信される室外出力演算値は、前記判定処理により前記吹出差温が所定以上高くないと判定された場合に前記コントローラに送信される室外出力演算値よりも大きいことを特徴とする。
これによれば、判定手段による判定の結果に基づいて、コントローラに送信する室外出力演算値を決定することで、早急に空調能力が必要となる場合にのみ、運転上限馬力を高くした運転を行うことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の空気調和装置によれば、空調の効率的な運転を行うことができ、早急に空調能力が必要となる場合に、運転上限馬力を高くして、必要な馬力を得ることができ、その結果、空調の快適性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係る空気調和装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、複数の室外ユニットをユニット間配管を介して室内ユニットにそれぞれ接続し、前記各室外ユニットを運転して前記室内ユニットにより室内の空調を行う空気調和装置において、前記室外ユニットを制御する室外制御部と、前記室内ユニットを制御する室内制御部と、前記室外制御部および前記室内制御部に制御指示信号を送るコントローラ制御部とを備え、前記室外制御部は、前記室外ユニットの運転状態から、前記室外ユニットの室外出力を演算するとともに、前記室内制御部により演算された吹出差温演算値が所定以上高いと判断した場合に、室外出力演算値を補正処理して前記コントローラ制御部に送信し、前記コントローラ制御部は、補正処理された室外出力演算値に基づいて、前記室外ユニットの運転上限馬力を設定し、前記室外制御部に送信する。
これによれば、コントローラ制御部により、補正処理された室外出力演算値に基づいて、室外ユニットの運転上限馬力を設定することにより、室外制御部は、補正処理された室外出力演算値に基づく運転を行うことができる。そのため、空調の効率的な運転を損なうことなく、早急に空調能力が必要となる場合にのみ、運転上限馬力を高くして、必要な馬力を得ることができ、その結果、空調の快適性を高めることが可能となる。
【0010】
第2の発明は、前記室内制御部による吹出差温演算値は、前記室内ユニットが複数ある場合は、複数の前記室内ユニットの吹出差温を平均した値である。
これによれば、吹出差温演算値を複数の室内ユニットの吹出差温の平均値としているので、複数の室内ユニットの吹出差温に基づいて、室内ユニットの状態を判断することができる。
【0011】
第3の発明は、前記室外制御部による室外出力演算値の補正処理は、前記室内制御部により演算された吹出差温演算値が所定以上高いと判断した場合に、室外出力演算値に補正値αを掛けることにより行う。
これによれば、室外制御部により、簡単に室外出力演算値の補正処理を行うことができる。
【0012】
第4の発明は、前記複数の室外ユニットは、エンジンで駆動されるGHP圧縮機を備えたGHP室外ユニットおよび商用電源で駆動されるEHP圧縮機を備えたEHP室外ユニットである。
これによれば、複数の室外ユニットをGHP室外ユニットおよびEHP室外ユニットで構成することができ、GHP室外ユニットとEHP室外ユニットが、早急に空調能力が必要となる場合にのみ、運転上限馬力を高くして、必要な馬力を得ることができ、その結果、空調の快適性を高めることが可能となる。
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る空気調和装置の実施の形態を示す構成図である。
図1に示すように、空気調和装置1は、能力の高い圧縮機としてのガスエンジンで駆動されるGHP圧縮機13を備えたGHP室外ユニット2(第2の室外ユニット)と、能力の低い圧縮機としての商用電源で駆動されるEHP圧縮機62を備えたEHP室外ユニット3(第1の室外ユニット)と、複数の室内ユニット4とを備えている。GHP室外ユニット2、EHP室外ユニット3および各室内ユニット4とは、ユニット間配管5およびオイルバランス配管6を介して接続され、これにより、空調運転を行うための冷凍サイクル回路が構成されている。
【0014】
GHP室外ユニット2は、外部のユニット間配管5と接続するための2つの外部接続バルブ10a,10bおよびオイルバランス配管6を接続するためのオイル接続バルブ11を備えている。
GHP室外ユニット2には、エンジンとしてのガスエンジン12と、ガスエンジン12の駆動力により冷媒を圧縮するGHP圧縮機13とが設けられている。GHP圧縮機13は、並列に設けられる第1のGHP圧縮機13aおよび第2のGHP圧縮機13bから構成されている。
ガスエンジン12は、燃料調整弁(図示せず)を経て供給されるガスなどの燃料と、スロットル弁(図示せず)を経て供給される空気との混合気を燃焼させて駆動力を発生するようになっている。
ガスエンジン12の出力軸と、GHP圧縮機13の従動軸との間には、駆動ベルト14が掛け渡されており、ガスエンジン12の駆動力を駆動ベルト14を介して伝達することで、GHP圧縮機13を駆動するように構成されている。
【0015】
GHP圧縮機13の吐出側には、オイルセパレータ15、四方弁16および2つの室外熱交換器17,17が順に接続され、各室外熱交換器17は、冷媒配管20を介して一方の外部接続バルブ10aに接続されている。室外熱交換器17の近傍には、室外熱交換器17と外気との熱交換を行うための室外送風機18が設けられている。
また、他方の外部接続バルブ10bには、冷媒配管20が接続されており、この冷媒配管20は、途中四方弁16およびアキュムレータ19を介してGHP圧縮機13の吸込側に接続されている。
【0016】
冷媒配管20の中途部には、電動弁24と逆止弁25とが並列に接続されており、冷媒配管20には、アキュムレータ19の流入側に接続されるリキッド管22が接続されている。室外熱交換器17と外部接続バルブ10aとの間には、ドライコア39が設けられている。
また、GHP圧縮機13の吸込側と冷媒配管20との間には、GHP圧縮機13の吸込側と冷媒配管20とを接続する熱交換冷媒配管23が接続されており、この熱交換冷媒配管23には、電動弁26が設けられている。熱交換冷媒配管23の電動弁26とGHP圧縮機13の吸込側との間には、プレート型熱交換器27が設けられている。
【0017】
GHP室外ユニット2は、GHP圧縮機13の吐出側と吸込側とを接続するバイパス管28を備えている。バイパス管28の一端は、オイルセパレータ15と四方弁16との間に接続され、バイパス管28の他端は、アキュムレータ19と四方弁16との間に接続される。GHP圧縮機13の吐出側の冷媒の一部は、圧力差により、バイパス管28を通ってGHP圧縮機13の吸込側に流れる。
バイパス管28には、バイパス管28の流量を調整するバイパス弁29が設けられている。バイパス弁29は、段階的に開閉可能な電動弁である。
【0018】
GHP室外ユニット2は、オイルセパレータ15とGHP圧縮機13の吸込側とを接続するオイル戻し配管30を備えている。オイルセパレータ15の内部に貯留される潤滑用のオイルは、GHP圧縮機13の吐出側と吸込側との圧力差により、オイル戻し配管30を通って吸込側に流される。
【0019】
オイル戻し配管30は、オイルセパレータ15のオイル流出口とGHP圧縮機13の吸込側とを接続する第1の戻し管31と、第1の戻し管31に対して並列に設けられる第2の戻し管36とを備えている。
第1の戻し管31は、キャピラリチューブ32を備えている。
第2の戻し管36は、キャピラリチューブ32をバイパスするように第1の戻し管31に接続されており、第2の戻し管36の一端は、第1の戻し管31におけるキャピラリチューブ32の上流側に接続され、第2の戻し管36の他端は、第1の戻し管31におけるキャピラリチューブ32の下流側に接続される。
第2の戻し管36は、キャピラリチューブ33と、キャピラリチューブ33の下流に設けられるオイル戻し弁34とを備えている。
【0020】
オイル接続バルブ11には、オイル管35が接続されている。オイル管35は、途中で分岐し、その一方は、冷媒配管20のオイルセパレータ15より下流側に接続されるとともに、他方は、第2の戻し管36のキャピラリチューブ33とオイル戻し弁34との間に接続されている。
【0021】
冷媒配管20に接続される外部接続バルブ10aには、ユニット間配管5を介して各室内ユニット4の室内熱交換器40の一端が接続されている。ユニット間配管5の中途部には、膨張弁41が設けられている。
各室内ユニット4の内部には、室内熱交換器40と室内空気との熱交換を行うための室内送風機42が設けられている。
また、各室内熱交換器40の他端には、ユニット間配管5を介して冷媒配管20に接続される外部接続バルブ10bが接続されている。
【0022】
また、GHP室外ユニット2は、ガスエンジン12の冷却水回路50を備えている。
冷却水回路50は、ガスエンジン12から冷却水配管51を介して順に接続される冷却水三方弁52と、プレート型熱交換器27と、一方の室外熱交換器17に近接配置されたラジエータ53と、冷却水ポンプ54と、ガスエンジン12の排気ガス熱交換器55とを備え、冷却水ポンプ54を駆動することにより、この回路内に冷却水を循環させるように構成されている。
冷却水回路50の冷却水配管51は、
図1に二重線で示されるとともに、冷却水の流れは、実線の矢印で示される。
ラジエータ53では、外気と冷却水との熱交換が行われる。
また、プレート型熱交換器27では、電動弁26の動作で、GHP圧縮機13に戻る冷媒が冷却水配管51内を流れる冷却水によって加熱される。これにより、冷媒の低圧圧力が上昇し、暖房効率が向上する。
【0023】
冷却水回路50は、ガスエンジン12、冷却水三方弁52、ラジエータ53、冷却水ポンプ54、排気ガス熱交換器55およびガスエンジン12の順に冷却水が流れる第1経路を形成可能である。
また、冷却水回路50は、冷却水を、ガスエンジン12、冷却水三方弁52、プレート型熱交換器27、冷却水ポンプ54、排気ガス熱交換器55およびガスエンジン12の順に冷却水が流れる第2経路を形成可能である。
【0024】
ラジエータ53と冷却水三方弁52を接続する第1経路の途中には、温水三方弁56が設けられている。温水三方弁56には、冷却水と温水との熱交換を行う温水熱交換器57が接続されており、温水熱交換器57を通った冷却水は、冷却水ポンプ54の上流側に戻される。
【0025】
次に、EHP室外ユニット3について説明する。
EHP室外ユニット3は、外部のユニット間配管5と接続するための2つの外部接続バルブ60およびオイルバランス配管6を接続するためのオイル接続バルブ61を備えている。
EHP室外ユニット3は、商用電源で駆動されるEHP圧縮機62を備えている。このEHP圧縮機62は、例えば、出力を可変することのできるインバータ式の圧縮機とされている。
【0026】
EHP圧縮機62の吐出側には、オイルセパレータ63、四方弁64および2つの室外熱交換器65,65が順に接続され、室外熱交換器65は、冷媒配管66を介して一方の外部接続バルブ60aに接続されている。室外熱交換器65の近傍には、室外熱交換器65と外気との熱交換を行うための室外送風機105(
図2を参照)が設けられている。
室外熱交換器65と外部接続バルブ60aとの間には、過冷却熱交換器90が設けられている。
室外熱交換器65には、2系統の管路が形成されており、四方弁64側の冷媒配管66および過冷却熱交換器90側の冷媒配管66は、それぞれ分岐して室外熱交換器65に接続されるように構成されている。また、室外熱交換器65の過冷却熱交換器90側の冷媒配管66には、それぞれ室外用電子制御弁68,68が設けられている。
【0027】
過冷却熱交換器90は、2つの熱交換ユニット91,91を備えており、室外熱交換器65側の冷媒配管66および外部接続バルブ60a側の冷媒配管67は、それぞれ分岐して過冷却熱交換器90の各熱交換ユニット91に接続されるように構成されている。
各熱交換ユニット91は、本実施の形態においては、二重管式の熱交換器とされており、熱交換ユニット91の外側の配管には、室外熱交換器65側の冷媒配管66および外部接続バルブ60a側の冷媒配管67がそれぞれ接続されるように構成されている。
【0028】
過冷却熱交換器90と外部接続バルブ60aとを接続する冷媒配管67の中途部には、過冷却用分岐配管92が接続されており、この過冷却用分岐配管92は、途中、過冷却用電子制御弁93を介して、各熱交換ユニット91の内側配管94に接続されている。熱交換ユニット91の内側配管94を流れた冷媒は、過冷却冷媒配管95を介して四方弁64とアキュムレータ69との間の冷媒配管66に戻されるように構成されている。
【0029】
他方の外部接続バルブ60bには、冷媒配管66を介して、EHP圧縮機62の吸込側に接続されており、冷媒配管66の中途部には、四方弁64およびアキュムレータ69が設けられている。
【0030】
また、EHP圧縮機62とオイルセパレータ63との間の冷媒配管66の中途部には、分岐してEHP圧縮機62とアキュムレータ69との間の冷媒配管66に接続される冷媒戻し配管70が設けられている。冷媒戻し配管70の中途部には、冷媒戻し用電磁弁71が設けられている。そして、冷媒戻し用電磁弁71を開くと、冷媒の一部は、冷凍サイクルを循環せずにEHP圧縮機62の吸込側に導かれる。
【0031】
また、オイルセパレータ63の下部には、オイル管72が接続されており、オイル管72の中途部には、EHP圧縮機62の吸込側に接続されるオイル戻し配管73が接続されている。オイル戻し配管73は、オイル管72から分岐する2つの分岐管74,75を備えており、一方の分岐管74には、オイル戻し弁76が設けられるとともに、他方の分岐管75には、キャピラリチューブ78が設けられている。また、オイル管72の各分岐管74,75の接続部分の間には、キャピラリチューブ79が設けられている。
【0032】
オイルセパレータ63と四方弁64との間の冷媒配管66の中途部には、途中分岐してオイル管72の中途部に接続される高圧冷媒配管80が接続されている。高圧冷媒配管80の中途部には、高圧冷媒用電磁弁81が設けられている。
【0033】
また、アキュムレータ69は、冷媒配管66の冷媒が流入される流入管82と、アキュムレータ69の内部のガス冷媒をEHP圧縮機62に送る流出管83とを備えている。流出管83は、アキュムレータ69の内部上方に開口するように構成されており、アキュムレータ69の内部上方に溜まったガス冷媒をEHP圧縮機62に送るように構成されている。
また、EHP圧縮機62には、EHP圧縮機62の吸込側に接続されるオーバーフロー管84が接続されている。このオーバーフロー管84には、ストレーナ85と、油を減圧するための絞り86が組み込まれている。
【0034】
EHP室外ユニット3の外部接続バルブ60aには、ユニット間配管5の一端が接続され、このユニット間配管5の他端は、GHP室外ユニット2の外部接続バルブ10aと室内ユニット4とを接続するユニット間配管5の中途部に接続されている。EHP室外ユニット3の冷媒配管に接続される外部接続バルブ60bには、ユニット間配管5の一端が接続され、このユニット間配管5の他端は、GHP室外ユニット2の外部接続バルブ10bと室内ユニット4とを接続するユニット間配管5の中途部に接続されている。
【0035】
また、EHP室外ユニット3のオイル接続バルブ61と、GHP室外ユニット2のオイル接続バルブ11とは、オイルバランス配管6を介して接続されている。これにより、オイルバランス配管6を介して、GHP室外ユニット2のGHP圧縮機13と、EHP室外ユニット3のEHP圧縮機62との間で、オイルを互いに供給することでき、GHP室外ユニット2のEHP圧縮機62と、EHP室外ユニット3のEHP圧縮機62とのオイル量のバランスを保持することができる。
そして、冷房運転を行う場合には、
図1中実線矢印で示すように、冷媒が流れ、暖房運転を行う場合は、
図1中破線で示すように、冷媒が流れる。
【0036】
本実施の形態においては、室内ユニット4には、室内空気の吸込温度を検出する吸込温度センサ106および室内送風機42による吹出空気の温度を検出する吹出温度センサ107が設けられている。
【0037】
次に、本実施の形態の空気調和装置の制御構成について説明する。
図2は本実施の形態における制御構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施の形態においては、GHP室外ユニット2は、制御部としてのGHP制御部100を備えており、EHP室外ユニット3は、制御部としてのEHP制御部101を備えている。また、室内ユニット4は、それぞれ室内制御部102を備えている。
【0038】
また、本実施の形態においては、空気調和装置は、GHP室外ユニット2、EHP室外ユニット3および室内ユニット4に、制御指示信号を送るコントローラ110を備えている。
コントローラ110は、GHP制御部100、EHP制御部101および室内制御部102を統括して制御するためのコントローラ制御部111を備えている。
これらGHP制御部100、EHP制御部101、室内制御部102およびコントローラ制御部111は、例えば、CPUなどの演算処理回路、記憶手段としてのROM、RAMなどを備え、所定のプログラムを実行することにより、所定の制御を行うものである。
【0039】
GHP制御部100は、GHP室外ユニット2のガスエンジン12、室外送風機18および冷却水ポンプ54の駆動制御を行うとともに、GHP室外ユニット2の外部接続バルブ10a,10b、オイル接続バルブ11、電動弁24、電動弁26、バイパス弁29、オイル戻し弁34および冷却水三方弁52の開閉制御または開度制御を行うように構成されている。
EHP制御部101は、EHP室外ユニット3のEHP圧縮機62、室外送風機105の駆動制御を行うとともに、EHP室外ユニット3の外部接続バルブ60a,60b、オイル接続バルブ61、室外用電子制御弁68、冷媒戻し用電磁弁71、オイル戻し弁76、高圧冷媒用電磁弁81および過冷却用電子制御弁22の開閉制御または開度制御を行うように構成されている。
【0040】
室内制御部102は、室内ユニット4の室内送風機42の駆動制御を行うとともに、室内ユニット4の膨張弁41の開度制御を行うように構成されている。
これらGHP制御部100、EHP制御部101および室内制御部102による制御は、コントローラ制御部111から送られる制御指示信号に基づいて行われる。
このとき、本実施の形態においては、GHP制御部100はマスター、EHP制御部101および室内制御部102はスレイブに設定されており、コントローラ制御部111からの制御指示信号は、最初にGHP制御部100に送信され、この制御指示信号は、GHP制御部100からEHP制御部101、室内制御部102に順次送信されるように構成されている。
【0041】
本実施の形態においては、GHP室外ユニット2およびEHP室外ユニット3は、冷房負荷に応じて、出力を調整する。例えば、冷房負荷が低負荷の場合は、EHP室外ユニット3により駆動し、冷房負荷が増加するに従い、EHP室外ユニット3を停止するとともに、GHP室外ユニット2を起動する。冷房負荷が高負荷になると、GHP室外ユニット2の駆動に加え、EHP室外ユニット3を駆動する。
システム制御部103は、室内ユニット4の運転台数、設定温度、外気温度などに基づいて、GHP室外ユニット2、EHP室外ユニット3および室内ユニット4を制御することで、GHP室外ユニット2による運転と、EHP室外ユニット3による運転とが、最も省エネルギになるように、GHP制御部100、EHP制御部101および室内制御部102に制御信号を出力する。これにより、GHP制御部100によりGHP室外ユニット2の運転制御、EHP制御部101によりEHP室外ユニット3の運転制御、室内制御部102により室内ユニット4の運転制御をそれぞれ効率よく行うように構成されている。
【0042】
また、本実施の形態においては、GHP制御部100およびEHP制御部101は、GHP室外ユニット2およびEHP室外ユニット3の運転状態から、GHP室外ユニット2の室外出力およびEHP室外ユニット3の室外出力を演算する。
一方、室内制御部102は、室内ユニット4の吹出温度センサ107により空気の吹出温度を検出し、吹出温度と室内の目標吹出温度との差である吹出差温を演算する。室内制御部102は、吹出差温演算値をGHP制御部100およびEHP制御部101に送信する。
なお、サーモONしている室内ユニット4が複数ある場合は、吹出差温は、複数の室内ユニット4の吹出差温を平均した値として求める。
【0043】
GHP制御部100は、吹出差温演算値が所定値より高いか否かを判断し、吹出差温演算値が所定値より高くないと判断した場合は、室外出力演算値をそのままコントローラ制御部111に送信する。EHP制御部101は、吹出差温演算値が所定値より高いか否かを判断し、吹出差温演算値が所定値より高くないと判断した場合は、室外出力演算値をそのままGHP制御部100を介してコントローラ制御部111に送信する。
コントローラ制御部111は、室内ユニット4の吸込温度センサ106により検出された空気の吸込温度と、室内のリモコン(図示せず)で設定された室内設定温度との差である吸込差温の演算値を取得する。
コントローラ制御部111は、室外出力演算値、吸込差温演算値および室内制御部102から送られる室内ユニット4の運転状態に基づいて、現在の空調負荷を推定する。コントローラ制御部111は、空調負荷推定値に基づいて、運転する際の馬力(出力)の上限を設定する。
【0044】
コントローラ制御部111は、設定した運転上限馬力の指示信号をGHP制御部100およびEHP制御部101に送信する。
GHP制御部100およびEHP制御部101は、コントローラ制御部111からの運転上限馬力の指示信号に基づいて、この上限馬力を超えない範囲で運転の制御を行うように構成されている。
【0045】
また、GHP制御部100およびEHP制御部101は、吹出差温演算値が所定値より高いか否かを判断し、吹出差温演算値が所定値より高いと判断した場合は、室外出力演算値に補正値αを掛ける補正処理を行う。
ここで、補正値α≧1であり、補正値αは、吹出差温が大きくなるにつれて大きくなる値である。また、補正値αは、冷房運転時と暖房運転時では異なる値である。さらに、補正値αは、本実施の形態のように冷媒と室内空気と熱交換して空調を行う空気調和装置の場合より、GHP室外ユニット2およびEHP室外ユニット3による冷媒を水熱交換器で熱交換し、熱交換された冷温水により室内の空調を行う、いわゆるチラーによる空調の場合の方が大きい値となる。
【0046】
このように、GHP制御部100は、補正値αにより室外出力演算値を補正し、補正した室外出力演算値をコントローラ制御部111に送信する。また、EHP制御部101は、補正値αにより室外出力演算値を補正し、補正した室外出力演算値をGHP制御部100を介してコントローラ制御部111に送信する。
これにより、コントローラ制御部111は、補正した室外出力演算値、吸込差温演算値および室内ユニット4の運転状態に基づいて、現在の空調負荷を推定する。
すなわち、室内ユニット4の吹出差温が大きい場合は、室外出力演算値が大きくなるので、補正した室外出力演算値に基づいて現在の空調負荷を推定することにより、室内ユニット4の吹出差温が大きい場合は、空調負荷が大きく推定される。これにより、コントローラ制御部111により設定される上限馬力が大きくなる。
【0047】
なお、本実施の形態では、室外出力演算値に補正値αを掛けることにより、室外出力演算値の補正処理を行うようにしたが、本発明は、これに限定されない。例えば、吹出差温演算値が所定値より高い場合に、吹出差温演算値と所定値との差、冷房運転または暖房運転などに応じて、あらかじめテーブルを作成しておき、このテーブルに基づいて、補正処理を行うようにしてもよい。
【0048】
次に、本実施の形態の動作について、
図3に示すフローチャートを参照して説明する。
図3は本実施の形態の動作を示すフローチャートである。
図3に示すように、本実施の形態においては、まず、コントローラ制御部111の指示信号に従い、GHP制御部100または、EHP制御部101により、GHP室外ユニット2またはEHP室外ユニット3を駆動して、冷房または暖房運転を行う(ST1)。
【0049】
このとき、GHP制御部100およびEHP制御部101は、GHP室外ユニット2およびEHP室外ユニット3の運転状態から、GHP室外ユニット2の室外出力およびEHP室外ユニット3の室外出力を演算する(ST2)。
一方、室内制御部102は、室内ユニット4の吹出温度センサ107により空気の吹出温度を検出し、吹出温度と室内の目標吹出温度との差である吹出差温を演算する。室内制御部102は、吹出差温演算値をGHP制御部100およびEHP制御部101に送信し、GHP制御部100およびEHP制御部101は、吹出差温演算値を取得する(ST4)。
【0050】
そして、GHP制御部100およびEHP制御部101は、吹出差温演算値が所定以上高いか否かを判断し(ST4)、吹出差温演算値が所定以上高くないと判断した場合は(ST4:NO)、室外出力演算値をそのままコントローラ制御部111に送信する(ST6)。
コントローラ制御部111は、室外出力演算値を受信し(ST7)、コントローラ制御部111は、室内ユニット4の吸込温度センサ106により検出された空気の吸込温度と、室内のリモコン(図示せず)で設定された室内設定温度との差である吸込差温の演算値を取得する(ST8)。
【0051】
コントローラ制御部111は、室外出力演算値、吸込差温演算値および室内ユニット4の運転状態に基づいて、現在の空調負荷を推定する(ST9)。コントローラ制御部111は、空調負荷推定値に基づいて、運転する際の馬力(出力)の上限を設定する(ST10)。
コントローラ制御部111は、設定した運転上限馬力の指示信号をGHP制御部100およびEHP制御部101に送信する(ST11)。
GHP制御部100およびEHP制御部101は、コントローラ制御部111からの運転上限馬力の指示信号を受信し(ST12)、この運転上限馬力に基づいて、この上限馬力を超えない範囲で運転の制御を行う(ST13)。
これにより、吹出差温演算値が所定より高くない場合には、GHP制御部100およびEHP制御部101により、空調の効率的な運転を行うことができる。
【0052】
また、GHP制御部100およびEHP制御部101は、吹出差温演算値が所定以上高いか否かを判断し、吹出差温演算値が所定値より高いと判断した場合は(ST4:YES)、室外出力演算値の補正処理を行う(ST5)。
GHP制御部100およびEHP制御部101は、補正した室外出力演算値をコントローラ制御部111に送信する(ST6)。
コントローラ制御部111は、前述のステップ(ST7)~(ST11)までの処理を行う。
このように、補正した室外出力演算値に基づいて現在の空調負荷を推定することにより、室内ユニット4の吹出差温が大きい場合は、空調負荷が大きく推定され、これにより、コントローラ制御部111により設定される上限馬力を大きくすることができる。
そのため、GHP制御部100およびEHP制御部101は、室内ユニット4の吹出差温が大きい場合に、補正処理された室外出力演算値に基づく上限馬力で運転を行うことができるため、早急に空調能力が必要となる場合にのみ、運転上限馬力を高くして、必要な馬力を得ることが可能となる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態においては、GHP室外ユニット2およびEHP室外ユニット3(室外ユニット)を制御するGHP制御部100およびEHP制御部101(室外制御部)と、室内ユニット4を制御する室内制御部102と、制御部に制御指示信号を送るコントローラ制御部111とを備える。GHP制御部100およびEHP制御部101は、GHP室外ユニット2およびEHP室外ユニット3の運転状態から、GHP室外ユニット2およびEHP室外ユニット3の室外出力を演算するとともに、室内制御部102により演算された吹出差温演算値が所定以上高いと判断した場合に、室外出力演算値を補正処理してコントローラ制御部111に送信し、コントローラ制御部111は、補正処理された室外出力演算値に基づいて、GHP室外ユニット2およびEHP室外ユニット3の運転上限馬力を設定し、GHP制御部100およびEHP制御部101に送信する。
これによれば、空調の効率的な運転を行うことができるとともに、早急に空調能力が必要となる場合にのみ、運転上限馬力を高くして、必要な馬力を得ることができ、その結果、空調の快適性を高めることが可能となる。
【0054】
また、本実施の形態においては、室内制御部102による吹出差温演算値は、室内ユニット4が複数ある場合は、複数の室内ユニット4の吹出差温を平均した値である。
これによれば、吹出差温演算値を複数の室内ユニット4の吹出差温の平均値としているので、複数の室内ユニット4の吹出差温に基づいて、室内ユニット4の状態を判断することができる。
【0055】
また、本実施の形態においては、GHP制御部100およびEHP制御部101(室外制御部)による室外出力演算値の補正処理は、室内制御部102により演算された吹出差温演算値が所定以上高いと判断した場合に、室外出力演算値に補正値αを掛けることにより行う。
これによれば、GHP制御部100およびEHP制御部101により、簡単に室外出力演算値の補正処理を行うことができる。
【0056】
なお、前記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。
前記実施の形態においては、複数の室外ユニットとして、GHP室外ユニット2およびEHP室外ユニット3で構成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、室外ユニットを複数のGHP室外ユニット2のみで構成してもよいし、複数のEHP室外ユニット3のみで構成してもよい。
【0057】
また、前記実施の形態では、GHP制御部100をマスター、EHP制御部101をスレイブに設定した場合の例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、EHP制御部101をマスター、GHP制御部100をスレイブに設定し、コントローラ制御部111からの制御指示信号を、最初にEHP制御部101に送信するようにしてもよい。
また、マスター、スレイブの設定を行わず、GHP制御部100、EHP制御部101および室内制御部102を並列にコントローラ制御部111に接続し、コントローラ制御部111からGHP制御部100、EHP制御部101および室内制御部102に個別に制御指示信号を送信するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明に係る空気調和装置は、空調の効率的な運転を行うことができるとともに、早急に空調能力が必要となる場合にのみ、運転上限馬力を高くして必要な馬力を得ることができ、空調の快適性を高めることができる空気調和装置として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 空気調和装置
2 GHP室外ユニット
3 EHP室外ユニット
4 室内ユニット
12 ガスエンジン
13 GHP圧縮機
17,65 室外熱交換器
40 室内熱交換器
62 EHP圧縮機
100 GHP制御部
101 EHP制御部
102 室内制御部
106 吸込温度センサ
107 吹出温度センサ
110 コントローラ
111 コントローラ制御部