(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】電池及び電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20240426BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20240426BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240426BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20240426BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20240426BHJP
H01M 10/0564 20100101ALI20240426BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M50/184 Z
H01M4/66 A
H01M50/193
H01M10/0564
(21)【出願番号】P 2020562973
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2019046734
(87)【国際公開番号】W WO2020137353
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2018248603
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100168273
【氏名又は名称】古田 昌稔
(72)【発明者】
【氏名】森岡 一裕
(72)【発明者】
【氏名】筒井 靖貴
(72)【発明者】
【氏名】河瀬 覚
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-309173(JP,A)
【文献】特公昭62-008900(JP,B1)
【文献】特開2018-142431(JP,A)
【文献】特開2008-084798(JP,A)
【文献】国際公開第2016/152565(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0585
H01M 10/0562
H01M 50/184
H01M 4/66
H01M 50/193
H01M 10/0564
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極集電体と、
前記
正極集電体に接している
正極層と、
負極集電体と、
前記負極集電体に接している負極層と、
固体電解質を含む固体電解質層と、
封止材料を含
み、前記正極集電体及び前記負極集電体と接している封止層と、
を備え、
前記封止層は、前記正極層と前記負極層との間の前記固体電解質層を封止し、
前記
正極集電体
及び前記負極集電体から選ばれる少なくとも1つの集電体の焼鈍軟化温度は、前記封止材料のガラス転移温度よりも低い、
電池。
【請求項2】
25℃における前記
少なくとも1つの集電体の引張強さを100%としたとき、前記
少なくとも1つの集電体の前記焼鈍軟化温度は、前記
少なくとも1つの集電体の前記引張強さが90%となる温度である、
請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記
少なくとも1つの集電体の焼鈍軟化曲線は、変曲点を有する、
請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記正極集電体と、前記
正極層と
、前記固体電解質層
と、前記負極層と、前記負極集電体とがこの順に積層され、
前記封止層は、前記
正極層の
側面、前記負極層の側面
、及び前記固体電解質層の側
面から選ばれる少なくとも1つに接している、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
前記
少なくとも1つの集電体は、銅を含有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
前記封止材料は、熱可塑性樹脂を含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂は、ポリイミドを含む、
請求項6に記載の電池。
【請求項8】
前記
正極層及び前記負極層から選ばれる少なくとも1つは、電極活物質及び固体電解質を含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
正極集電体及び正極層を含む正極と、固体電解質層と、負極集電体及び負極層を含む負極と、封止材料を含み、前記正極集電体及び前記負極集電体と接している封止層と、を含む発電要素をプレス温度まで加熱することと、
前記プレス温度で前記発電要素をプレスすることと、
を含み、
前記封止層は、前記正極層と前記負極層との間の前記固体電解質層を封止し、
前記プレス温度は、前記
正極集電体
及び前記負極集電体から選ばれる少なくとも1つの集電体の焼鈍軟化温度よりも高
く、
前記少なくとも1つの集電体の前記焼鈍軟化温度は、前記封止材料のガラス転移温度よりも低い、
電池の製造方法。
【請求項10】
前記封止材料のガラス転移温度は、前記
正極集電体及び前記負極集電体の前記焼鈍軟化温度よりも高い、
請求項
9に記載の電池の製造方法。
【請求項11】
前記プレス温度は、前記封止材料の前記ガラス転移温度よりも低い、
請求項
10に記載の電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池及び電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2には、電池素子に接する封止層を備えた全固体電池が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-73374号公報
【文献】特開2016-33880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固体電解質を用いた電池では、電池の内部への水分の侵入を抑制したり、構造を維持して集電体同士の接触による短絡を防いだりする目的で封止層を設けることがある。
【0005】
従来技術においては、封止層を備えた電池の機械的強度を確保することが望まれる。電池の機械的強度を確保するには、封止層による封止強度を十分に確保することが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
集電体と、
前記集電体に接している電極層と、
固体電解質を含む固体電解質層と、
封止材料を含む封止層と、
を備え、
前記集電体の焼鈍軟化温度は、前記封止材料のガラス転移温度よりも低い、
電池を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、封止層による封止強度を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、本開示の一実施形態に係る全固体電池の概略断面図である。
【
図1B】
図1Bは、変形例に係る全固体電池の概略断面図である。
【
図2】
図2は、電池の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、集電体の焼鈍軟化曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見)
電池の大面積化、連続生産及び大量生産の観点から、全固体電池の製造に塗工プロセスを適用することが検討されている。塗工プロセスでは、原料粉末を溶媒に分散させることによってスラリーを調製する。スクリーン印刷法、ダイコート法などの塗布方法によってスラリーを集電体に塗布することによって、塗布膜を形成する。乾燥炉などを用いた熱プロセスによって塗布膜から溶媒を揮発させる。これにより、集電体及び電極層を有する電極板が得られる。
【0010】
固体電解質を含むスラリーを電極板の上に塗布し、塗布膜を形成する。塗布膜を乾燥させることによって電極板の上に固体電解質層が形成される。正極としての電極板と負極としての電極板とを対向させ、プレスすることによって、全固体電池が得られる。電極板は、電池の性能を向上させるために、固体電解質を含むスラリーを塗布する前にプレスされることもある。
【0011】
本発明者らの鋭意検討によれば、上記の工程を経て製造される全固体電池には反りが発生することがある。
【0012】
プレスによる力の一部は、プレス方向と直交する方向に電極層及び/又は固体電解質層を変形させる力となる。プレス温度が所定温度よりも低い場合、電極板は上に凸形状又は下に凸形状に反る。電極層が上に位置し、集電体が下に位置する場合、電極板は上に凸形状に反る。電極層が下に位置し、集電体が上に位置する場合、電極板は下に凸形状に反る。これらの反りは、集電体と封止層とを引き離す方向の変形であるため、封止層による封止強度を低下させる。また、反り量が大きい場合、電極層に亀裂が発生したり、電極層が集電体から剥離したりする可能性もある。その結果、電池の内部抵抗が増加したり、イオン伝導性が低下したりして電池の性能が損なわれる。
【0013】
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1態様に係る電池は、
集電体と、
前記集電体に接している電極層と、
固体電解質を含む固体電解質層と、
封止材料を含む封止層と、
を備え、
前記集電体の焼鈍軟化温度は、前記封止材料のガラス転移温度よりも低い。
【0014】
第1態様によれば、反りが抑制された電池を容易に得ることができる。
【0015】
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係る電池では、25℃における前記集電体の引張強さを100%としたとき、前記集電体の前記焼鈍軟化温度は、前記集電体の前記引張強さが90%となる温度であってもよい。
【0016】
本開示の第3態様において、例えば、第1又は第2態様に係る電池では、前記集電体の焼鈍軟化曲線は、変曲点を有していてもよい。第3態様によれば、信頼性の高い電池を実現しやすい。
【0017】
本開示の第4態様において、例えば、第1から第3態様のいずれか1つに係る電池では、前記電極層と前記固体電解質層とは、互いに積層されていてもよく、前記封止層は、前記電極層の側面及び前記固体電解質層の側面から選ばれる少なくとも1つに接していてもよい。このような構造によれば、封止層による封止強度をより十分に確保できる。
【0018】
本開示の第5態様において、例えば、第1から第4態様のいずれか1つに係る電池では、前記集電体は、銅を含有していてもよい。銅又は銅合金は優れた電子伝導性を有しているので、電池の集電体の材料として適している。
【0019】
本開示の第6態様において、例えば、第1から第5態様のいずれか1つに係る電池では、前記封止材料は、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂を用いることによって材料選択の幅が広がる。
【0020】
本開示の第7態様において、例えば、第6態様に係る電池では、前記熱可塑性樹脂は、ポリイミドを含んでいてもよい。ポリイミドのようなガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂を封止材料として用いることによって、プレス温度が高い場合でも封止層の封止強度を維持できる。
【0021】
本開示の第8態様において、例えば、第1から第7態様のいずれか1つに係る電池では、前記電極層は、電極活物質及び固体電解質を含んでいてもよい。電極活物質とともに固体電解質が含まれていると、電極層におけるイオン伝導性を高めることができる。
【0022】
本開示の第9態様に係る電池の製造方法は、
集電体、電極層及び固体電解質層を含む発電要素をプレス温度まで加熱することと、
前記プレス温度で前記発電要素をプレスすることと、
を含み、
前記プレス温度は、前記集電体の焼鈍軟化温度よりも高い。
【0023】
集電体の焼鈍軟化温度よりも高い温度でプレスした場合、電極層が伸びる際に、集電体も塑性変形する。そのため、電極板の反りが抑制される。
【0024】
本開示の第10態様において、例えば、第9態様に係る電池の製造方法は、前記発電要素に接するように封止材料を配置することをさらに含んでいてもよく、前記発電要素を前記プレス温度まで加熱するとき、前記封止材料も前記プレス温度まで加熱されてもよく、前記発電要素をプレスするとき、前記プレス温度で前記封止材料がプレスされてもよい。第10態様によれば、本開示の電池を容易に製造できる。
【0025】
本開示の第11態様において、例えば、第10態様に係る電池の製造方法では、前記封止材料のガラス転移温度は、前記集電体の前記焼鈍軟化温度よりも高くてもよい。第11態様によれば、封止層の形状が保持され、その強度も維持される。
【0026】
本開示の第12態様において、例えば、第11態様に係る電池の製造方法では、前記プレス温度は、前記封止材料の前記ガラス転移温度よりも低くてもよい。第12態様によれば、封止層による封止強度が十分に確保されるため、高い機械的強度を有する全固体電池を提供できる。
【0027】
(実施形態)
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
【0028】
[全固体電池の構成]
図1Aは、一実施形態に係る全固体電池10の概略断面図である。
図1Aに示されるように、全固体電池10は、正極11、負極12、固体電解質層5及び封止層8を備えている。正極11は、正極集電体3及び正極層4を有する。負極12は、負極集電体6及び負極層7を有する。正極集電体3の上に正極層4が配置されている。正極層4は、正極集電体3に接している。負極集電体6の上に負極層7が配置されている。負極層7は、負極集電体6に接している。固体電解質層5は、正極層4と負極層7との間に配置されている。正極層4、固体電解質層5及び負極層7がこの順に積層されている。固体電解質層5は、正極層4及び負極層7のそれぞれに接している。封止層8は、正極集電体3及び負極集電体6に接している。正極層4及び負極層7は、それぞれ、電極層の例である。正極11及び負極12は、それぞれ、電極板の例である。封止層8によれば、全固体電池10の内部への水分の侵入を抑制したり、全固体電池10の構造を維持して正極集電体3と負極集電体6との接触による短絡を防いだりできる。その結果、全固体電池10の機械的強度が確保されうる。
【0029】
全固体電池10を平面視したとき、封止層8は、枠の形状を有する。正極層4、固体電解質層5及び負極層7は、封止層8によって囲まれている。封止層8の下面に正極集電体3が接し、封止層8の上面に負極集電体6が接している。
【0030】
本実施形態において、封止層8は、固体電解質層5の側面5tに接している。このような構造によれば、封止層8による封止強度をより十分に確保できる。封止層8は、正極層4及び負極層7に接していない。このような構造によれば、全固体電池10の製造において、封止材料と電極材料とが反応しにくい。つまり、電池の性能の低下に対するリスクを回避できる。全固体電池の製造において、封止材料が電極層に含浸すると、含浸部分は電極として機能できない。その結果、電池の性能が低下する。本実施形態では、電極層を封止層8よりも先に作製するため、上述のような問題が発生しにくく、発電に寄与する電極の面積の規定が容易である。また、電池を大量に生産した場合でも、電池の性能が低下しにくい。
【0031】
図1Bは、変形例に係る全固体電池10Bの概略断面図である。本変形例の全固体電池10Bにおいて、正極層4の側面4t、負極層7の側面7t及び固体電解質層5の側面5tが封止層8に接している。このような構造によれば、封止層8による封止強度をより十分に確保できる。また、固体電解質層5の体積を減らすことができるので、材料費の削減による全固体電池10Bの製造コストの低減を期待できる。全固体電池10Bのその他の構成は、全固体電池10と同じである。
【0032】
全固体電池10の各構成について詳細に説明する。
【0033】
(正極11及び負極12)
正極11は、正極集電体3及び正極層4を有する。負極12は、負極集電体6及び負極層7を有する。
【0034】
正極集電体3の材料は、負極集電体6の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。正極集電体3及び負極集電体6の材料として、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金及びステンレス鋼が挙げられる。正極集電体3及び負極集電体6の形状も特に限定されない。正極集電体3及び負極集電体6の形状として、箔、フィルム及びシートが挙げられる。正極集電体3及び負極集電体6の表面に凹凸が付与されていてもよい。
【0035】
正極集電体3及び負極集電体6から選ばれる少なくとも1つは、銅を含んでいてもよい。正極集電体3及び/又は負極集電体6は、銅又は銅合金で作られていてもよい。銅又は銅合金は優れた電子伝導性を有しているので、全固体電池10の集電体の材料として適している。
【0036】
正極集電体3及び負極集電体6から選ばれる少なくとも1つは、焼鈍軟化曲線を有する材料で構成されている。
【0037】
金属などの物体を熱処理すると、物体の強度が低下することがある。この現象は、焼鈍軟化と呼ばれている。所定温度で試験片の熱処理を行い、試験片の温度を25℃(室温)まで徐冷(空冷)して低下させたのち、引張試験を実施して試験片の引張強さを測定する。熱処理温度と引張強さとの相関を明らかにしたグラフは、焼鈍軟化曲線と呼ばれる。
【0038】
引張強さは、引張試験機により、日本工業規格JIS Z 2241(2011)に従って測定することができる。試験片が圧延されている場合には、圧延方向と平行な方向における引張強さが測定されうる。
【0039】
本実施形態において、集電体の焼鈍軟化曲線は、変曲点を有していてもよい。例えば、圧延加工された銅又は圧延加工された銅合金の引張強さは、熱処理温度に対して、変曲点を有した焼鈍軟化挙動を示す。この場合、信頼性の高い電池を実現しやすい。
【0040】
一般的な電解銅箔の引張強さは、熱処理温度に対して線形に低下し、変曲点を有さない。
【0041】
本明細書において、焼鈍軟化温度とは、集電体の焼鈍温度を上げていったとき、室温時の引張強さに対して、引張強さが10%低下する焼鈍温度である。すなわち、集電体の焼鈍軟化温度は、25℃(室温)における集電体の引張強さを100%としたとき、集電体の引張強さが90%となる焼鈍温度である。100%の引張強さは、十分に高い温度での熱履歴を受ける前の引張強さである。そのため、全固体電池10の組立後、集電体は、元の引張強さを維持できていないと考えられる。ただし、集電体の中でも、十分に高い温度での熱履歴を受けていない部分、例えば、端子に接続されるべき部分などの引張強さは、元の引張強さを維持していると考えられる。
【0042】
焼鈍軟化温度を測定する際の集電体の焼鈍時間は特に限定されない。焼鈍時間は、例えば、30分以上1時間以下である。
【0043】
本実施形態の全固体電池10に使用された集電体の焼鈍軟化温度は、封止層8を構成する封止材料のガラス転移温度よりも低い。このような構成によれば、反りが抑制された全固体電池10を容易に得ることができる。封止層8の形状も維持しやすい。
【0044】
集電体の焼鈍軟化温度は、例えば、200℃以下であってもよく、150℃以下であってもよく、120℃以下であってもよい。
【0045】
集電体は、例えば、圧延された銅箔又は圧延された銅合金箔によって構成されうる。これらの材料は、明確な焼鈍軟化温度を持ち、本実施形態の全固体電池10の集電体の材料として適している。
【0046】
電極層は、活物質を含む。活物質の組成は特に限定されず、求められる機能に応じて選択できる。電極層は、必要に応じて、導電性材料、固体電解質、バインダなどの他の材料を含んでいてもよい。
【0047】
活物質には、通常、正極活物質と、負極活物質とがある。求められる機能に応じて、正極活物質及び負極活物質が選択される。
【0048】
正極活物質としては、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物、バナジウム酸化物、クロム酸化物、及びリチウム含有遷移金属硫化物が挙げられる。リチウム含有遷移金属酸化物としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiNiCoMnO2、LiNiCoO2、LiCoMnO2、LiNiMnO2、LiNiCoMnO4、LiMnNiO4、LiMnCoO4、LiNiCoAlO2、LiNiPO4、LiCoPO4、LiMnPO4、LiFePO4、Li2NiSiO4、Li2CoSiO4、Li2MnSiO4、Li2FeSiO4、LiNiBO3、LiCoBO3、LiMnBO3、及びLiFeBO3が挙げられる。リチウム含有遷移金属硫化物の例として、LiTiS2、Li2TiS3、及びLi3NbS4が挙げられる。これらの正極活物質から選ばれる1種又は2種以上を使用してもよい。
【0049】
負極活物質としては、例えば、炭素材料、リチウム合金、金属酸化物、窒化リチウム(Li3N)、金属リチウム、及び金属インジウムが挙げられる。炭素材料としては、人造黒鉛、グラファイト、難黒鉛化性炭素、及び易黒鉛化性炭素が挙げられる。リチウム合金としては、Al、Si、Pb、Sn、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属とリチウムとの合金が挙げられる。金属酸化物としては、LiFe2O3、WO2、MoO2、SiO、及びCuOが挙げられる。複数の材料の混合物又は複合体を負極活物質として用いてもよい。
【0050】
正極活物質及び負極活物質の形状は特に限定されず、例えば、粒子状である。正極活物質及び負極活物質のサイズも特に限定されない。正極活物質及び負極活物質のそれぞれが粒子状であるとき、正極活物質の粒子の平均粒径及び負極活物質の粒子の平均粒径は、0.5μm以上20μm以下であってもよく、1μm以上15μm以下であってもよい。平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置を用いて測定されたメジアン径(d50)でありうる。
【0051】
粒度分布を測定できない場合、粒子の平均粒径は、次の方法によって算出されうる。粒子群を電子顕微鏡で観察し、電子顕微鏡像における特定の粒子の面積を画像処理にて算出する。粒子群のみを直接観察できない場合、粒子が含まれた構造を電子顕微鏡で観察し、電子顕微鏡像における特定の粒子の面積を画像処理にて算出する。算出された面積に等しい面積を有する円の直径をその特定の粒子の直径とみなす。任意の個数(例えば10個)の粒子の直径を算出し、それらの平均値を粒子の平均粒径とみなす。
【0052】
導電性材料は、特に限定されず、一般的にリチウムイオン電池に用いられるものから適宜選択できる。導電性材料としては、例えば、グラファイト、カーボンブラック、導電性繊維、導電性金属酸化物、及び有機導電性材料が挙げられる。これらの導電性材料は、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0053】
固体電解質は、特に限定されず、活物質の種類及び全固体電池10の用途に応じて、一般的にリチウムイオン電池に用いられるものから適宜選択できる。固体電解質として、例えば、硫化物系固体電解質材料、酸化物系固体電解質材料、その他の無機系固体電解質材料、及び有機系固体電解質材料が挙げられる。固体電解質は単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。固体電解質の形状は特に限定されず、例えば、粒子状が挙げられる。固体電解質のサイズも特に限定されない。固体電解質が粒子状であるとき、固体電解質の粒子の平均粒径は、0.01μm以上15μm以下であってもよく、0.2μm以上10μm以下であってもよい。平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置を用いて測定されたメジアン径(d50)でありうる。
【0054】
バインダは、特に限定されず、一般的にリチウムイオン電池に用いられるものから適宜選択されうる。バインダとしては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・エチレン・ブタジエン共重合体などの熱可塑性エラストマーが挙げられる。スラリーを調製する場合、イオン伝導性などの固体電解質の性能の低下を防ぐために、極性が低い溶媒を使用することがある。スチレン・ブタジエン共重合体又はスチレン・エチレン・ブタジエン共重合体は、スラリーを作製する場合において、極性が低い溶媒に対しても良好な溶解性を示す。そのため、バインダとしてこれらの重合体を使用すると、固体電解質の性能の低下を防ぐことができる。熱可塑性樹脂の他の例として、エチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸n-プロピル、ポリメタクリル酸n-ブチル、ポリジメチルシロキサン、cis-1,4-ポリブタジエン、ポリイソプレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、ポリエチレンテレフタラート、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。これらのバインダは、単独で使用してもよいし、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0055】
(固体電解質層5)
固体電解質層5の材料は、特に限定されず、活物質の種類及び全固体電池10の用途に応じて、一般的にリチウムイオン電池に用いられるものから適宜選択できる。固体電解質層5の材料として、例えば、硫化物系固体電解質材料、酸化物系固体電解質材料、その他の無機系固体電解質材料、及び有機系固体電解質材料が挙げられる。固体電解質は単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。固体電解質の形状は特に限定されず、例えば、粒子状が挙げられる。固体電解質のサイズも特に限定されない。固体電解質が粒子状であるとき、固体電解質の粒子の平均粒径は、0.01μm以上15μm以下であってもよく、0.2μm以上10μm以下であってもよい。平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置を用いて測定されたメジアン径(d50)でありうる。
【0056】
(封止層8)
封止層8を構成する封止材料として、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂を用いることによって材料選択の幅が広がる。
【0057】
ガラス転移温度が高い熱可塑性樹脂として、例えば、ポリイミドが挙げられる。ポリイミドのようなガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂を封止材料として用いることによって、プレス温度が高い場合でも封止層8の封止強度を維持できる。つまり、プレス温度の範囲を高温側に設定できるため、全固体電池10を効率よく製造できる。封止材料として使用可能な熱可塑性樹脂の他の例としては、ポリα-メチルスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。さらに、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂を封止材料として使用してもよい。これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。封止材料のガラス転移温度が十分に高い場合、封止層による封止強度を十分に維持できる。
【0058】
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定などの熱分析方法によって測定されうる。
【0059】
封止層8の機能を強化するために、封止材料は、機能性の粉末、繊維などの他の材料を含んでいてもよい。他の材料としては、無機フィラー、シリカゲルなどが挙げられる。無機フィラーは構造維持力を強化できる。シリカゲルは耐水性を強化できる。これらの機能性の粉末又は繊維などは単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0060】
[全固体電池の製造方法]
次に、全固体電池10の製造方法の一例について説明する。
図2は、全固体電池10の製造の手順を示している。
【0061】
まず、ステップS1において、正極11及び負極12を作製する。正極活物質又は負極活物質を含み、必要に応じて、導電性材料、固体電解質、バインダなどの他の材料を含む混合物を調製する。各材料の混合比は、電池の使用用途などに応じて適宜決定される。次に、混合物を混合装置によって混合する。混合装置は特に限定されず、公知の装置を使用できる。混合装置として、プラネタリミキサ及びボールミルが挙げられる。ただし、材料の混合方法は特に限定されない。
【0062】
正極11及び/又は負極12に活物質とともに固体電解質が含まれていると、正極11及び/又は負極12におけるイオン伝導性を高めることができる。正極11及び/又は負極12に含まれた固体電解質の組成は、固体電解質層5に含まれた固体電解質の組成と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0063】
次に、活物質を含む混合物を集電体の上に所定の厚さで付着させる。これによって、集電体及び電極層を有する電極板が得られる。
【0064】
電極板の別の作製方法は次の通りである。まず、活物質を含む混合物を適切な溶媒に分散させることによってスラリーを調製する。スラリーを正極集電体3又は負極集電体6に塗布して塗布膜を形成する。その後、塗布膜を乾燥させることによって、電極板が作製されうる。スラリーの塗布方法としては、スクリーン印刷法、ダイコート法、スプレー法、ドクターブレード法などが挙げられる。
【0065】
次に、ステップS2において、固体電解質層5を作製する。固体電解質層5の作製方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。まず、固体電解質及びバインダなどを含む混合物を調製する。各材料の混合比は、全固体電池10の使用用途などに応じて適宜決定される。次に、混合物を混合装置によって混合する。混合装置は特に限定されず、公知の装置を使用できる。混合装置として、プラネタリミキサ及びボールミルが挙げられる。ただし、材料の混合方法は特に限定されない。
【0066】
固体電解質を含む混合物を正極層4又は負極層7の上に所定の厚さで付着させる。これによって、固体電解質層5が形成される。
【0067】
固体電解質層5の別の作製方法は次の通りである。まず、固体電解質を含む混合物を適切な溶媒に分散させることによってスラリーを調製する。スラリーを正極層4又は負極層7の上に塗布して塗布膜を形成する。その後、塗布膜を乾燥させることによって、固体電解質層5が作製されうる。スラリーの塗布方法としては、スクリーン印刷法、ダイコート法、スプレー法、ドクターブレード法などが挙げられる。
【0068】
固体電解質層5のさらに別の作製方法は次の通りである。支持材上に上記したスラリーを塗布して塗布膜を形成する。塗布膜を乾燥させることによって固体電解質シートを得る。固体電解質シートを支持材から正極11又は負極12の上に転写することによって、正極11又は負極12の上に配置された固体電解質層5が作製されうる。
【0069】
正極11及び固体電解質層5の組は、集電体、電極層及び電解質層を含む発電要素である。負極12及び固体電解質層5の組も、集電体、電極層及び電解質層を含む発電要素である。
【0070】
次に、ステップS3において、封止層8を作製する。封止層8の作製方法は特に限定されず、公知の方法を使用できる。例えば、電極層及び固体電解質層5から選ばれる少なくとも一方に接するように封止材料を電極板に塗布する。封止材料は、正極集電体3及び負極集電体6から選ばれる少なくとも一方に接してもよい。つまり、発電要素に接するように封止材料を配置する。封止材料の塗布方法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディスペンサーによる塗布法などが挙げられる。必要に応じて封止材料を乾燥させることによって、封止層8が形成される。
【0071】
その後、正極11、固体電解質層5、負極12及び封止層8を含む組立体が得られるように、正極11及び負極12を積層させる。正極集電体3の上に正極層4が配置され、負極集電体6の上に負極層7が配置される。固体電解質層5は、正極層4と負極層7との間に配置される。
【0072】
次に、ステップS4において、組立体をプレス温度まで加熱する。言い換えれば、発電要素をプレス温度まで加熱する。発電要素をプレス温度まで加熱するとき、封止層8を構成する封止材料もプレス温度まで加熱される。例えば、平板プレスを用いる場合には、加圧の際に組立体に接しているプレートを加熱することによって、組立体をプレス温度まで加熱できる。ロールプレスを用いる場合には、ロールを加熱することによって組立体をプレス温度まで加熱することもできる。
【0073】
次に、ステップS5において、組立体をプレス温度でプレスする。言い換えれば、発電要素をプレス温度でプレスする。発電要素をプレス温度でプレスするとき、封止層8を構成する封止材料もプレス温度でプレスされる。各層の厚さ方向に荷重が加わるように組立体をプレスする。
【0074】
加熱しながらプレスすることによって、活物質及び固体電解質の充填率が高まり、活物質の粒子及び固体電解質の粒子の接触界面が増える。結果として、全固体電池10の性能が向上する。
【0075】
プレスによる力の一部は、プレス方向と直交する方向に電極層及び/又は固体電解質層を変形させる力となる。プレス温度が所定温度よりも低い場合、電極板は上に凸形状又は下に凸形状に反る。電極層が上に位置し、集電体が下に位置する場合、電極板は上に凸形状に反る。電極層が下に位置し、集電体が上に位置する場合、電極板は下に凸形状に反る。これらの反りは、集電体と封止層とを引き離す方向の変形であるため、封止層による封止強度を低下させる。また、反り量が大きい場合、電極層に亀裂が発生したり、電極層が集電体から剥離したりする可能性もある。その結果、電池の内部抵抗が増加したり、イオン伝導性が低下したりして電池の性能が損なわれる。
【0076】
これに対し、本実施形態において、プレス温度は、集電体の焼鈍軟化温度よりも高い。集電体は、プレス温度で塑性変形しうる。集電体が塑性変形することによって、プレスによる圧縮に伴う変形が緩和される。つまり、プレス方向と直交する方向に電極層及び/又は固体電解質層を変形させる力が低減されるため、反りを大幅に減らすことができる。結果として、封止強度の大幅な低下を抑制することができる。こうして製造された全固体電池は、高い封止強度及び高い信頼性を有する。
【0077】
プレス時に焼鈍軟化温度よりも高い温度まで加熱された集電体の強度は低下する。ただし、加熱されていない部分の強度は変わらない。このため、電池の中で集電体の強度が異なる部分が存在することがある。
【0078】
プレス温度と集電体の焼鈍軟化温度との差は特に限定されない。プレス温度がT1、集電体の焼鈍軟化温度がT2であるとき、(T1-T2)が例えば0℃よりも大きく30℃以下の範囲に収まるように、プレス温度が調節されうる。
【0079】
本実施形態において、封止層8を構成する封止材料のガラス転移温度は、集電体の焼鈍軟化温度よりも高い。この場合、プレス時に集電体は変形するが、封止材料は塑性変形しないため、封止層8の形状が保持され、その強度も維持される。集電体の焼鈍軟化温度がT2、封止材料のガラス転移温度がTgであるとき、(Tg-T2)が例えば0℃よりも大きく30℃以下の範囲に収まるように、プレス温度が調節されうる。
【0080】
本実施形態において、プレス温度は、封止層8を構成する封止材料のガラス転移温度よりも低い。この場合、封止材料の塑性変形は起こらないため、封止層8の形状が保持される。そのため、作製された全固体電池10において、封止層8による封止強度が十分に確保されるため、高い機械的強度を有する全固体電池10を提供できる。プレス温度がT1、封止材料のガラス転移温度がTgであるとき、(Tg-T1)が例えば0℃よりも大きく30℃以下の範囲に収まるように、プレス温度が調節されうる。
【0081】
なお、プレス温度は、封止層8を構成する封止材料のガラス転移温度を上回っていてもよい。この場合、より高温でプレスを実施することとなり、集電体の強度変化の度合いが大きくなることで製造工程にかかる時間を短縮することができる。プレス温度がT1、封止材料のガラス転移温度がTgであるとき、(T1-Tg)が例えば0℃よりも大きく20℃以下の範囲に収まるように、プレス温度が調節されうる。
【0082】
正極11、負極12及び固体電解質層5を個別にプレス温度まで加熱してプレスしたのち、組立体を形成し、全固体電池10が得られるように組立体を加熱及びプレスしてもよい。
【0083】
プレス温度は、例えば、集電体の表面温度によって特定される。ただし、プレートの熱容量又はロールの熱容量が対象の熱容量より十分に大きい場合には、プレス温度は、例えば、プレートの表面温度又はロールの表面温度であってもよい。「プレス温度でプレスする」とは、対象をプレス温度に維持しながらプレスすることを意味する。
【0084】
本実施形態において、発電要素をプレス温度まで加熱するとき、封止層8もプレス温度まで加熱される。発電要素をプレス温度でプレスするとき、封止層8もプレス温度でプレスされる。具体的には、各層の厚さ方向に荷重が加わるように発電要素及び封止層8を含む組立体の全体をプレス温度でプレスする。そのため、容易に全固体電池10を製造できる。さらに、封止層8をプレス温度まで加熱してプレスすることによって、封止層8による封止強度が維持される。結果として、全固体電池10の性能が向上する。
【0085】
以上のステップを経て、全固体電池10が得られる。
【実施例】
【0086】
以下、実施例によって本開示をさらに詳細に説明する。以下の実施例は一例であり、本開示は以下の実施例に限定されない。
【0087】
固体電解質、バインダ及び溶媒を混合してスラリーを得た。20mm×20mmの大きさの集電体の上にスラリーを塗布し、乾燥させた。これにより、集電体及び固体電解質層を有する電極板を得た。バインダとして、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製、タフテックM1913、ガラス転移温度90℃)を用いた。
【0088】
集電体として、2種類の銅箔HA及び銅箔HS(ともにJX金属社製、圧延銅箔、厚さ12μm)を用いた。銅箔HA及び銅箔HSの焼鈍軟化曲線を
図3に示す。銅箔HAの焼鈍軟化温度は120℃であった。銅箔HSの焼鈍軟化温度は250℃であった。
【0089】
130℃に加熱した金属製のプレートの上に作製した電極板を載せて130℃まで加熱し、130℃、面圧460MPaの条件で電極板をプレスした。130℃のプレス温度は、銅箔HAの焼鈍軟化温度よりも高く、銅箔HSの焼鈍軟化温度よりも低い。加熱した金属製のプレートは電極板より十分厚く、熱容量の差が十分大きいため、金属製のプレートの温度を電極板の温度とした。なお、金属製のプレートの温度は、プレートの内部に設置した熱電対を用いて計測した。
【0090】
プレス後の電極板を水平な面に置き、水平面から電極板の頂部までの高さを反り量として測定した。結果を表1に示す。
【0091】
【0092】
銅箔HSを用いた電極板の反り量は6mmであった。これに対し、銅箔HAを用いた電極板の反り量は2mmであった。この結果は、集電体の焼鈍軟化温度よりも高い温度でプレス工程を行うことによって、プレス後の電極板の反り量を抑制できることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本開示の技術は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用電力貯蔵装置、自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの電池に有用である。
【符号の説明】
【0094】
3 正極集電体
4 正極層
5 固体電解質層
6 負極集電体
7 負極層
8 封止層
10,10B 全固体電池
11 正極
12 負極