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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】投写型画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240426BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240426BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 F
H04N5/74 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020042120
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021144119
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】山岸 成多
(72)【発明者】
【氏名】室田 知洋
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-021223(JP,A)
【文献】特開2003-140088(JP,A)
【文献】特開2002-287248(JP,A)
【文献】特開2011-064887(JP,A)
【文献】国際公開第2018/020850(WO,A1)
【文献】特開2008-070526(JP,A)
【文献】特開2009-276573(JP,A)
【文献】特開2011-150222(JP,A)
【文献】特開2008-153332(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101206391(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0169520(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/04-5/08
G03B 21/00-21/10
G03B 21/12-21/30
G03B 21/56-21/64
G03B 33/00-33/16
G09B 23/00-29/14
G09F 9/00-9/46
G09G 3/00-3/08
G09G 3/12-3/16
G09G 3/30-3/34
G09G 3/38
H04N 5/66-5/74
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの照明光を画像光として反射する反射型画像素子と、
前記反射型画像素子からの画像光を投写する投写レンズと、
複数のプリズムを含み、前記複数のプリズムを部分的に接着剤を介して接着することによって前記複数のプリズムの間に形成されたエアギャップによって構成された内部全反射面を備え、前記内部全反射面によって前記光源からの照明光を前記反射型画像素子に向かって反射し、前記反射型画像素子からの画像光を前記内部全反射面が透過して前記投写レンズに出射する、内部全反射プリズムと、
前記内部全反射プリズムに設けられ、プリズム内温度が一様になるように加熱するヒータと、を有し、
前記ヒータが、前記接着剤と接合した前記プリズムの部分を加熱する、投写型画像表示装置。
【請求項2】
前記内部全反射プリズムが、
前記照明光を反射し且つ前記画像光が透過する側面を備える三角柱状の第1のプリズムと、
前記第1のプリズムの側面との間に前記エアギャップを形成する側面を備える三角柱状の第2のプリズムと、から構成され、
前記第1のプリズムの両端面それぞれに、前記ヒータが設けられている、請求項1に記載の投写型画像表示装置。
【請求項3】
前記第2のプリズムの両端面それぞれに、前記ヒータが設けられている、請求項2に記載の投写型画像表示装置。
【請求項4】
光源と、
前記光源からの照明光を画像光として反射する第1、第2、および第3の反射型画像素子と、
前記第1、第2、および第3の複数の反射型画像素子それぞれからの画像光を投写する投写レンズと、
前記光源からの照明光を波長が異なる複数の光に分解して前記第1、第2、および第3の反射型画像素子に向かって出射し、前記第1、第2、および第3の反射型画像素子それぞれからの画像光を合成して出射する分解合成プリズムと、
複数のプリズムを含み、前記複数のプリズムを部分的に接着剤を介して接着することによって前記複数のプリズムの間に形成されたエアギャップによって構成された内部全反射面を備え、前記内部全反射面によって前記光源からの照明光を前記分解合成プリズムに向かって反射し、前記分解合成プリズムから出射された合成済みの画像光を前記内部全反射面が透過して前記投写レンズに出射する内部全反射プリズムと、
記内部全反射プリズムに設けられ、プリズム内温度が一様になるように加熱するヒータと、を有し、
前記ヒータが、前記接着剤と接合した前記プリズムの部分を加熱する、投写型画像表示装置。
【請求項5】
前記内部全反射プリズムが、
前記照明光を反射し且つ前記画像光が透過する側面を備える三角柱状の第1のプリズムと、
前記第1のプリズムの側面との間に前記エアギャップを形成する側面を備える三角柱状の第2のプリズムと、から構成され、
前記第1のプリズムの両端面それぞれに、前記ヒータが設けられている、請求項4に記載の投写型画像表示装置。
【請求項6】
前記第2のプリズムの両端面それぞれに、前記ヒータが設けられている、請求項5に記載の投写型画像表示装置。
【請求項7】
前記分解合成プリズムが、
前記内部全反射プリズムに対向する第1の側面、前記第1の反射型画像素子に対向する第2の側面、および第3の側面を備える三角柱状の第3のプリズムと、
前記第3のプリズムの第3の側面に対向する第1の側面、前記第2の反射型画像素子に対向する第2の側面、および第3の側面を備える三角柱状の第4のプリズムと、
前記第4のプリズムの第3の側面に対向する第1の側面、および前記第3の反射型画像素子に対向する第2の側面を備える台形柱状の第5のプリズムと、から構成され、
前記第3のプリズムの第1の側面における前記内部全反射プリズムに対向する部分を除く部分に、前記ヒータが設けられている、請求項4から6のいずれか一項に記載の投写型画像表示装置。
【請求項8】
前記ヒータが、プリズム表面に接触する熱伝導部材を介して加熱する、請求項1から7のいずれか一項に記載の投写型画像表示装置。
【請求項9】
プリズム表面温度を検出する温度センサと、
前記温度センサの検出温度に基づいて、前記ヒータの加熱出力を制御する制御部と、を有する、請求項8に記載の投写型画像表示装置。
【請求項10】
前記反射型画像素子に入力される画像信号の平均画像レベルに基づいて、前記ヒータの加熱出力を制御する制御部を有する、請求項8に記載の投写型画像表示装置。
【請求項11】
前記光源からの照明光の強度に基づいて、前記ヒータの加熱出力を制御する制御部を有する、請求項8に記載の投写型画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリズムを介して画像が投写される投写型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリズムを介して画像を投写する投写型画像表示装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の投写型画像表示装置の場合、エアギャップによって構成された内部全反射面を備える内部全反射プリズムを備える。
【0003】
また、特許文献1に記載された投写型画像表示装置は、内部全反射プリズムを冷却するために、そのプリズムに取り付けられた放熱フィンと、放熱フィンに向かって送風するファンとを有する。これにより、プリズムの熱変形による画像品質の劣化が抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-21223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、投写型画像表示装置において、光源の高出力化が進んでいる。そのため、プリズムの熱変形による画像品質の劣化をさらに抑制することが求められている。
【0006】
そこで、本開示は、プリズムを介して画像を投写する投写型画像表示装置において、プリズムの熱変形による画像品質の劣化を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
光源と、
前記光源からの照明光を画像光として反射する反射型画像素子と、
前記反射型画像素子からの画像光を投写する投写レンズと、
エアギャップによって構成された内部全反射面を備え、前記内部全反射面によって前記光源からの照明光を前記反射型画像素子に向かって反射し、前記反射型画像素子からの画像光を前記内部全反射面が透過して前記投写レンズに出射する、内部全反射プリズムと、
前記内部全反射プリズムに設けられ、プリズム内温度が一様になるように保温する保温デバイスと、を有する、投写型画像表示装置が提供される。
【0008】
また、本開示の別の態様によれば、
光源と、
前記光源からの照明光を画像光として反射する第1、第2、および第3の反射型画像素子と、
前記第1、第2、および第3の複数の反射型画像素子それぞれからの画像光を投写する投写レンズと、
前記光源からの照明光を波長が異なる複数の光に分解して前記第1、第2、および第3の反射型画像素子に向かって出射し、前記第1、第2、および第3の反射型画像素子それぞれからの画像光を合成して出射する分解合成プリズムと、
エアギャップによって構成された内部全反射面を備え、前記内部全反射面によって前記光源からの照明光を前記分解合成プリズムに向かって反射し、前記分解合成プリズムから出射された合成済みの画像光を前記内部全反射面が透過して前記投写レンズに出射する内部全反射プリズムと、
前記分解合成プリズムおよび前記内部全反射プリズムの少なくとも一方に、プリズム内温度が一様になるように保温する保温デバイスと、を有する、投写型画像表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、プリズムを介して画像を投写する投写型画像表示装置において、プリズムの熱変形による画像品質の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態1に係る投写型画像表示装置の構成を示す概略図
図2】蛍光体ホイールの斜視図
図3】画像生成ユニットの構成を示す概略図
図4】画像生成ユニットの右前方斜視図
図5】画像生成ユニットの左前方斜視図
図6A】光が透過中の画像生成ユニットの側面図
図6B】光が透過中の画像生成ユニットの上面図
図7A】プリズムの熱変形が生じている状態の画像生成ユニットの側面図
図7B】プリズムの熱変形が生じている状態の画像生成ユニットの上面図
図8】投写画像の品質劣化を起こす熱変形を抑制する原理を説明するための図
図9】本開示の実施の形態2に係る投写型画像表示装置の概略的構成図
図10】内部全反射プリズムの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一態様に係る投写型画像表示装置は、光源と、前記光源からの照明光を画像光として反射する反射型画像素子と、前記反射型画像素子からの画像光を投写する投写レンズと、エアギャップによって構成された内部全反射面を備え、前記内部全反射面によって前記光源からの照明光を前記反射型画像素子に向かって反射し、前記反射型画像素子からの画像光を前記内部全反射面が透過して前記投写レンズに出射する、内部全反射プリズムと、前記内部全反射プリズムに設けられ、プリズム内温度が一様になるように保温する保温デバイスと、を有する。
【0012】
このような態様によれば、プリズムを介して画像を投写する投写型画像表示装置において、プリズムの熱変形による画像品質の劣化を抑制することができる。
【0013】
例えば、前記内部全反射プリズムが、前記照明光を反射し且つ前記画像光が透過する側面を備える三角柱状の第1のプリズムと、前記第1のプリズムの側面との間に前記エアギャップを形成する側面を備える三角柱状の第2のプリズムと、から構成され、前記第1のプリズムの両端面それぞれに、前記保温デバイスが設けられてもよい。
【0014】
例えば、前記第2のプリズムの両端面それぞれに、前記保温デバイスが設けられてもよい。
【0015】
本開示の別態様に係る投写型画像表示装置は、光源と、前記光源からの照明光を画像光として反射する第1、第2、および第3の反射型画像素子と、前記第1、第2、および第3の複数の反射型画像素子それぞれからの画像光を投写する投写レンズと、前記光源からの照明光を波長が異なる複数の光に分解して前記第1、第2、および第3の反射型画像素子に向かって出射し、前記第1、第2、および第3の反射型画像素子それぞれからの画像光を合成して出射する分解合成プリズムと、エアギャップによって構成された内部全反射面を備え、前記内部全反射面によって前記光源からの照明光を前記分解合成プリズムに向かって反射し、前記分解合成プリズムから出射された合成済みの画像光を前記内部全反射面が透過して前記投写レンズに出射する内部全反射プリズムと、前記分解合成プリズムおよび前記内部全反射プリズムの少なくとも一方に、プリズム内温度が一様になるように保温する保温デバイスと、を有する。
【0016】
このような態様によれば、プリズムを介して画像を投写する投写型画像表示装置において、プリズムの熱変形による画像品質の劣化を抑制することができる。
【0017】
例えば、前記内部全反射プリズムが、前記照明光を反射し且つ前記画像光が透過する側面を備える三角柱状の第1のプリズムと、前記第1のプリズムの側面との間に前記エアギャップを形成する側面を備える三角柱状の第2のプリズムと、から構成され、前記第1のプリズムの両端面それぞれに、前記保温デバイスが設けられてもよい。
【0018】
例えば、前記第2のプリズムの両端面それぞれに、前記保温デバイスが設けられてもよい。
【0019】
例えば、前記分解合成プリズムが、前記内部全反射プリズムに対向する第1の側面、前記第1の反射型画像素子に対向する第2の側面、および第3の側面を備える三角柱状の第3のプリズムと、前記第3のプリズムの第3の側面に対向する第1の側面、前記第2の反射型画像素子に対向する第2の側面、および第3の側面を備える三角柱状の第4のプリズムと、前記第4のプリズムの第3の側面に対向する第1の側面、および前記第3の反射型画像素子に対向する第2の側面を備える台形柱状の第5のプリズムと、から構成され、前記第3のプリズムの第1の側面における前記第1のプリズムに対向する部分を除く部分に、前記保温デバイスが設けられてもよい。
【0020】
例えば、前記保温デバイスが、プリズム表面に接触する熱伝導部材と、前記熱伝導部材を加熱するヒータとを含んでもよい。
【0021】
例えば、投写型画像表示装置は、プリズム表面温度を検出する温度センサと、前記温度センサの検出温度に基づいて、前記ヒータの加熱出力を制御する制御部と、を有してもよい。
【0022】
例えば、投写型画像表示装置は、前記反射型画像素子に入力される画像信号の平均画像レベルに基づいて、前記ヒータの加熱出力を制御する制御部を有してもよい。
【0023】
例えば、投写型画像表示装置は、前記光源からの照明光の強度に基づいて、前記ヒータの加熱出力を制御する制御部を有してもよい。
【0024】
例えば、前記保温デバイスが、断熱材を含んでもよい。
【0025】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1に係る投写型画像表示装置の構成の概略図である。
【0027】
図1に示すように、本実施の形態1に係る投写型画像表示装置10は、概略、照明光を発生させる照明装置12と、照明光を画像光に変換する画像生成ユニット14と、画像光を、例えばスクリーンに投写する投写レンズ16とから構成される。
【0028】
本実施の形態1の場合、照明装置12は、例えば、青色レーザダイオードとコリメートレンズとから構成される第1および第2の光源20A、20Bを備える。また、照明装置12は、第1および第2の光源20A、20Bそれぞれから出射された光を画像生成ユニット14に導光する複数の光学要素を備える。これらの光学要素を、光の伝播とともに説明する。
【0029】
第1および第2の光源20A、20Bそれぞれから出射された光は、開口を備えるミラー22に向かって進む。第1の光源20Aからの光は、一部がミラー22の開口を通過してレンズ24に集光し、残りがミラー22に反射されてレンズ26に集光する。第2の光源20Bからの光は、一部がミラー22の開口を通過してレンズ26に集光し、残りがミラー22に反射されてレンズ24に集光する。なお、レンズ24に比べてレンズ26に向かう光の光量が大きくなるように、ミラー22の開口が設計されている。
【0030】
ミラー22からレンズ24に向かう青色光(実線)は、そのレンズ24を透過した後、ミラー28で反射され、拡散板30近傍に集光される。拡散板30を通過した青色光は、コンデンサレンズ32によって略平行光にされ、ダイクロイックミラー34に入射する。このダイクロイックミラー34は、青色光を透過し、青色光以外の光は反射する。ダイクロイックミラー34を透過した青色光は、レンズ36、ミラー38、レンズ40を介して、矩形状断面を備えるロッドインテグレータ42の入射面に集光する。
【0031】
一方、ミラー22からレンズ26に向かう青色光(破線)は、ミラー44を挟んでアフォーカル系を構成するレンズ26とレンズ46とによって収束されて拡散板48に入射する。拡散板48によって拡散された青色光は、ダイクロイックミラー34を透過した後、コンデンサレンズ50、52を介して、モータ54によって回転されている蛍光体ホイール56に入射する。
【0032】
図2は、蛍光体ホイールの斜視図である。
【0033】
図2に示すように、蛍光体ホイール56は、円盤状の本体56aと、その表面に設けられた反射層56bと、その反射層56b上に設けられた円環状の蛍光体56cとを備える。蛍光体56cは、例えばセラミック蛍光体である。反射層56bは、蛍光体56cからの蛍光光を反射する。
【0034】
蛍光体56cに入射した青色光は、黄色光に変換され、反射層56bに反射される。反射層56bに反射された黄色光(二点鎖線)は、コンデンサレンズ52、コンデンサレンズ50を透過し、ダイクロイックミラー34に反射される。ダイクロイックミラー34に反射された黄色光は、レンズ36、ミラー38、レンズ40を介して、矩形開口を備えるロッドインテグレータ42の入射面に集光する。
【0035】
ロッドインテグレータ42に入射した青色光(実線)と黄色光(二点鎖線)が重畳され、白色光が生成される。白色光は、リレーレンズ58,60を透過し、ミラー62に反射される。ミラー62に反射された白色光は、照明装置12の照明光Liとして、フィールドレンズ64を透過し、画像生成ユニット14(その内部全反射プリズム)に入射する。
【0036】
画像生成ユニット14は、内部全反射プリズム70と、分解合成プリズム72と、3つの反射型画像素子74R、74G、74Bとを有する。
【0037】
図3は、画像生成ユニットの構成を示す概略図である。
【0038】
図3に示すように、内部全反射プリズム70は、エアギャップ70aによって構成された内部全反射面を備える。内部全反射プリズム70は、その内部全反射面で照明装置12からの照明光Liを分解合成プリズム72に向かって反射する。
【0039】
具体的には、本実施の形態1の場合、内部全反射プリズム70は、第1および第2のプリズム80、82から構成されている。第1および第2のプリズム80、82は、実質的に三角柱形状を備えるプリズムであって、例えばガラス材料から作製されている。第1のプリズム80と第2のプリズム82との間に、数μmのエアギャップ70aが形成されている。
【0040】
第1のプリズム80は、照明装置12からの照明光Liが入射する側面80aと、入射した照明光Liを反射する側面80bと、反射した照明光Liが透過し、分解合成プリズム72に対向する側面80cとを備える。
【0041】
第2のプリズム82は、第1のプリズム80の側面80bに対して平行に間隔をあけて対向することによってエアギャップ70aを形成する側面82aと、投写レンズ16に対して対向する側面82bとを備える。第1のプリズム80の側面80bと第2のプリズム82の側面82aは、例えば、光が透過する部分以外の部分で接着剤を介して互いに接着されることにより、エアギャップ70aを形成する。
【0042】
分解合成プリズム72は、内部全反射プリズム70によって反射された照明光Liを、波長が異なる複数の光に分解して複数の反射型画像素子74R、74G、74Bに向かって出射する。また、分解合成プリズム72は、反射型画像素子74R、74G、74Bそれぞれからの反射光を合成して内部全反射プリズム70に向かって出射する。
【0043】
具体的には、分解合成プリズム72は、照明光Liを赤色光、緑色光、および青色光に分解し、赤色光を反射型画像素子74Rに向かって出射し、緑色光を反射型画像素子74Gに向かって出射し、青色光を反射型画像素子74Bに向かって出射する。
【0044】
そのために、本実施の形態1の場合、分解合成プリズム72は、第3、第4、および第5のプリズム84、86、88から構成されている。第3および第4のプリズム84、86は、実質的に三角柱形状を備えるプリズムであって、例えばガラス材料から作製されている。第5のプリズム88は、実質的に台形柱形状を備えるプリズムであって、例えばガラス材料から作製されている。
【0045】
第3のプリズム84は、内部全反射プリズム70における第1のプリズム80の側面80cに対向する第1の側面84aと、反射型画像素子74Bと対向する第2の側面84bと、第3の側面84cとを備える。第3の側面84cは、青色光を反射し、それ以外の色の光を透過する青色反射ダイクロイックミラー面である。
【0046】
第4のプリズム86は、第3のプリズム84の第3の側面84cに対向する第1の側面86aと、反射型画像素子74Rに対向する第2の側面86bと、第3の側面86cとを備える。第3の側面86cは、赤色光を反射し、それ以外の色の光を透過する赤色反射ダイクロイックミラー面である。
【0047】
第5のプリズム88は、第4のプリズム86の第3の側面86cに対向する第1の側面88aと、反射型画像素子74Gに対向する第2の側面88bとを備える。第5のプリズム88において、第1の側面88aは、第2の側面88bの反対側に位置する。
【0048】
なお、第3、第4、および第5のプリズム84、86、88は、例えば、光が透過する部分以外の表面の部分で接着剤を介して互いに接着されることにより、一つの分解合成プリズム72を構成している。
【0049】
反射型画像素子74R、74G、および74Bそれぞれは、DMD(デジタルミラーデバイス)であって、分解合成プリズム72からの赤色光、緑色光、および青色光が入射される。
【0050】
DMDは、マトリックス配置された複数のマイクロミラー(図示せず)を備える。各マイクロミラーは、入射した光を第1の方向または第2の方向のいずれか一方に選択的に反射するために、その姿勢が二者択一的に変更可能である。第1の方向への反射光は、ON光と呼ばれ、第2の方向への反射光は、OFF光と呼ばれる。本実施の形態1の場合、ON光は、分解合成プリズム72に対してゼロ度の入射角度で入射する。このような複数のマイクロミラーの一部からのON光が、投写レンズ16を介してスクリーンなどに投写されることにより、そのスクリーン上に画像が表示される。一方、OFF光は、投写レンズ16に到達せず、スクリーン上に投写されない。
【0051】
反射型画像素子74R、74G、および74Bそれぞれは、投写型画像表示装置10の制御部(図示せず)から赤色画像、緑色画像、および青色画像のデータを受け取る。制御部は、例えばCPUと、そのCPUに様々な制御を実行させるためのプログラムを記憶する記憶装置を含んでいる。そのデータに基づいて、反射型画像素子74R、74G、および74Bそれぞれは、入射した赤色光、緑色光、および青色光を赤色画像光Lpr、青色画像光Lpb、および緑色画像光Lpgに変換して分解合成プリズム72に向かって反射する。
【0052】
このような画像生成ユニット14によれば、内部全反射プリズム70における第1のプリズム80の側面80aに入射した照明光Liは、第1のプリズム80の側面80b(内部全反射面)に反射される。その反射された照明光Liは、第1のプリズム80の側面80cから出射し、分解合成プリズム72の第3のプリズム84の第1の側面84aに入射する。
【0053】
第3のプリズム84に入射した照明光Liは、第3の側面84c(ダイクロイックミラー面)に到達し、その中の青色光が反射型画像素子74Bに向かうように反射される。青色光以外の色の光は、第3の側面84cから出射し、第4のプリズム86の第1の側面86aに入射する。
【0054】
第4のプリズム86に入射した、青色光が取り除かれた光は、第3の側面86c(ダイヤクロイックミラー面)に到達し、その中の赤色光が反射型画像素子74Rに向かうように反射される。赤色光以外の色の光、すなわち緑色光は、第3の側面86cから出射し、第5のプリズム88の第1の側面88aに入射する。
【0055】
第5のプリズム88に入射した緑色光は、第2の側面88bから出射し、反射型画像素子74Gによって反射される、すなわち緑色画像光Lpgに変換される。緑色画像光Lpgは、第1の側面88aから出射し、第4のプリズム86に入射する。
【0056】
第4のプリズム86に入射した緑色画像光Lpgは、反射型画像素子74Rからの赤色画像光Lprと合成される。その合成画像光は、第1の側面86aから出射して第3のプリズム84に入射する。
【0057】
第3のプリズム84に入射した緑色画像光Lpgと赤色画像光Lprの合成画像光は、反射型画像素子74Bからの青色画像光Lpbと合成される。その合成画像光、すなわちフルカラーの画像光Lpは、第1の側面84aから出射して内部全反射プリズム70に入射する。
【0058】
内部全反射プリズム70の第1のプリズム80に入射したフルカラーの画像光Lpは、側面80b(内部全反射面)を透過し、第2のプリズム82に入射する。そして、第2のプリズム82に入射したフルカラーの画像光Lpは、側面82bから出射し、投写レンズ16によってスクリーンに拡大投写される。
【0059】
ここまでは、本実施の形態1に係る投写型画像表示装置10の全体構成について説明してきた。ここからは、本実施の形態1のさらなる特徴について説明する。
【0060】
図4は、画像生成ユニットの右前方斜視図である。また、図5は、画像生成ユニットの左前方斜視図である。なお、図1および図3は概略図であるため、図1および図3に示す画像生成ユニット14における複数の第1~第5のプリズム80~88のレイアウトは、図4および図5に示すレイアウトとは異なる。
【0061】
本実施の形態1に係る投写型画像表示装置10における画像生成ユニット14は、内部全反射プリズム70に設けられ、そのプリズム内温度が一様になるように加熱するヒータ90と、分解合成プリズム72に設けられ、そのプリズム内温度が一様になるように加熱するヒータ92とを有する。
【0062】
ヒータ90および92は、プリズム内温度を一様に高温状態で保つための保温デバイスである。ヒータ90および92は、プリズム表面に接着剤を介して貼り付けられたアルミニウムや銅などの導電性に優れた材料から作製された薄板状の熱伝導部材94を介して内部全反射プリズム70および分解合成プリズム72に設けられている。熱伝導部材94は、ヒータ90、92のからの熱をプリズムの広範囲に伝達するスプレッダとして機能する。
【0063】
本実施の形態1の場合、ヒータ90は、内部全反射プリズム70における第1および第2のプリズム80、82の両方に設けられている。具体的には、ヒータ90は、第1のプリズム80の三角形状の両端面80dそれぞれに設けられている。また、ヒータ90は、第2のプリズム82の三角形状の両端面82cそれぞれに設けられている。
【0064】
また、本実施の形態1の場合、ヒータ92は、分解合成プリズム72における第3のプリズム84に設けられている。具体的には、ヒータ92は、第3のプリズム84の第1の側面84aにおける第1のプリズム80に対向する部分を除く部分に設けられている。
【0065】
このようなヒータ90、92を用いて内部全反射プリズム70と分解合成プリズム72とを保温する理由について説明する。
【0066】
図6Aおよび図6Bは、光が透過中の画像生成ユニットの上面図および側面図である。図6Aは照明光Liと画像光Lpとを示し、図6Bは、赤色画像光Lpr、緑色画像光Lpg、青色画像光Lpb、およびこれらの合成である画像光Lp、すなわちON光を示している。
【0067】
図6Aおよび図6Bに示すように、投写型画像表示装置10が画像を表示しているとき(画像光Lpが投写されているとき)、光が通過するプリズムの部分は、温度が上昇する。
【0068】
本実施の形態1の場合、特に、光量が相対的に大きい照明光Liと画像光Lpとが通過する内部全反射プリズム70における第1のプリズム80の部分(クロスハッチング部分)が、光をより多く吸収して他の部分に比べて大きく発熱する。また、分解合成プリズム72においては、三色の光、すなわち三色の光に分解される前の照明光Liと、赤色画像光Lpr、緑色画像光Lpg、および青色画像光Lpbを合成してなる画像光Lpとが通過する第3のプリズム84の部分(クロスハッチング部分)が、光をより多く吸収して他の部分に比べて大きく発熱する。それにより、光を吸収して発熱したプリズムの部分が熱膨張し、その結果としてそのプリズムが熱変形する。
【0069】
図7Aは、プリズムの熱変形が生じている状態の画像生成ユニットの側面図である。また、図7Bは、プリズムの熱変形が生じている状態の画像生成ユニットの上面図である。
【0070】
図7Aに示すように、照明光Liと画像光Lpとが通過する内部全反射プリズム70における第1のプリズム80の部分(クロスハッチング部分)が熱膨張すると、その熱膨張部分に近い第1のプリズム80の側面80bの部分が、外側に膨らむように熱変形する。このような第1のプリズム80の局所的に大きい熱変形により、側面80bの一部分が、第2のプリズム82の側面82aに接触する可能性がある。この接触によってエアギャップ70aの一部分が実質的に消滅すると、その一部分に到達した照明光Liの一部Li’が、反射することなく透過する。その結果、スクリーン上に投影された画像の一部分が暗い、画像の一部が欠けているなどの、投写画像の品質劣化が生じる。
【0071】
また、図7Bに示すように、三色の光が通過する分解合成プリズム72における第3のプリズム84の部分(クロスハッチング部分)が熱膨張すると、その熱膨張部分に近い第3のプリズム84の第1の側面84aの部分および第3の側面84cの部分が外側に膨らむように熱変形する。この第1の側面84aおよび第3の側面84cは、反射型画像素子74Bから反射された青色画像光Lpbの反射面として機能する。このような第3のプリズム84の局所的に大きい熱変形により、反射型画像素子74Bから反射された青色画像光Lpbの第1の側面84aでの反射位置と第3の側面84cでの反射位置とがずれる可能性がある(局所的な熱変形が生じる前に比べて)。その結果、青色画像光Lpbがピントずれの状態でスクリーンに投写される、または青色画像光Lpbが赤色画像光Lprと緑色画像光Lpgに対してずれて重なるなどの、投写画像の品質劣化が生じる。
【0072】
このようなプリズムの局所的に大きい熱変形による投写画像の品質劣化を抑制するために、発明者は、プリズム内の部分の違いによる温度差、すなわちプリズム内の温度勾配を小さくすることを考えた。特に、プリズム全体を一様に高温状態に保つことを考えた。
【0073】
図8は、投写画像の品質劣化を起こす熱変形を抑制する原理を説明するための図である。
【0074】
図8に示すように、2つのプリズム100、102があって、その間に内部全反射面となるエアギャップ104が形成されているシンプルな光学系モデルを用いて投写画像の品質劣化を起こす熱変形を抑制する原理を説明する。図8における左図に示すように、光Lが通過するプリズム100の部分がまだ高温状態でないとき、プリズム100に入射した光Lは、エアギャップ104で反射される。
【0075】
図8における中央図に示すように、光Lがプリズム100に入射されて時間が経過すると、光Lが通過する部分(クロスハッチング部分)が高温状態になって熱膨張する。それにより、エアギャップ104を構成するプリズム100の表面の一部分がプリズム102に向かって大きく熱変形してそのプリズム102に接触する。その結果、光Lは、エアギャップ104で反射されることなく、プリズム102に入射する。
【0076】
そこで、図8における右図に示すように、光Lが通過して高温状態の部分以外の部分、すなわち低温状態のプリズム100の両端部分をヒータ106によって加熱する。それにより、プリズム100内の部分の違いによる温度差、すなわち温度勾配を小さくし、プリズム100全体を一様に高温状態で保ち、そして、局所的に大きい熱変形を抑制する。その結果、投写画像の品質劣化を招く、すなわちエアギャップの消滅や反射面の局所的な変形を引き起こす、プリズム100の局所的に大きい熱変形の発生を抑制することができる。
【0077】
本実施の形態1の場合、図4および図5に示すように、ヒータ90は、照明光Liと画像光Lpとが通過する内部全反射プリズム70における第1のプリズム80の部分を挟むように、第1のプリズム80の両端面80dそれぞれに設けられている。これにより、第1のプリズム80全体が一様に高温状態で保たれる。その結果、第1のプリズム80の側面80bが局所的に大きく変形して第2のプリズム82に接触すること、すなわちエアギャップ70aが部分的に消滅することが抑制される。
【0078】
また、画像光Lpが通過する内部全反射プリズム70における第2のプリズム82の部分を挟むように、第2のプリズム82の両端面82cそれぞれに設けられている。これにより、第2のプリズム82全体が一様に高温状態で保たれる。その結果、第2のプリズム82の側面82aが局所的に大きく変形して第1のプリズム80に接触すること、すなわちエアギャップ70aが部分的に消滅することが抑制される。
【0079】
さらに、三色の光が通過する分解合成プリズム72における第3のプリズム84の部分に近い第1の側面84aに、ヒータ92が設けられている。これにより、第3のプリズム84全体が一様に高温状態で保たれる。その結果、反射型画像素子74Bから反射された青色画像光Lpbの第1の側面84aおよび第3の側面84c上の反射位置のずれが抑制される。
【0080】
なお、図4および図5に示すように、本実施の形態1の場合、ヒータ90、92による加熱出力は、プリズム表面温度を検出する温度センサ96の検出温度に基づいて制御される。
【0081】
図4および図5に示すように、温度センサ96は、ヒータ90、92近傍、具体的には熱伝導部材94に取り付けられている。これにより、温度センサ96は、熱伝導部材94を介してプリズム表面温度を検出する。温度センサ96は、検出温度に対応する信号を投写型画像表示装置10の制御部に送信し、制御部はその信号に基づく制御信号をヒータ90、92に出力する。
【0082】
例えば、光が通過するプリズムの内部の温度は、直接的に測定することはできないが、照明装置12の照明光Liの強度(すなわち光源20A、20Bの出力レベル)、反射型画像素子74R、74G、74Bに入力される画像データのAPL(平均画像レベル)などに基づいて推定することができる。例えば、光源20A、20Bの出力レベルが高いほど、またその高い出力レベルの出力時間が長いほど、光が通過するプリズムの内部分の温度は高くなる。さらに、画像データのAPLが高いほど、そのAPLが高い画像の表示時間(投写時間)が長いほど、光が通過するプリズムの内部の温度は高くなる。
【0083】
また、光が通過するプリズムの内部の温度と、温度センサ96が取り付けられたプリズム表面の温度との対応関係は、実験的にまたはシミュレーションによって得ることができる。しがたって、温度センサ96の検出温度に基づいてヒータ90、92の加熱出力を制御することにより、ヒータ90、92は、過剰に加熱することなく、投写画像の品質劣化が抑制するように、すなわちプリズムの局所的に大きい熱変形が抑制されるように適切にプリズムを加熱することができる。例えば、温度センサ96の検出温度(すなわち光が通過するプリズムの内部の温度)が低い場合には、ヒータ90、92の加熱出力を減少する、および/または加熱時間を減少する。また例えば、温度センサ96の検出温度(すなわち光が通過するプリズム内部の温度)が高い場合には、ヒータ90、92の加熱出力を増加する、および/または加熱時間を増加する。
【0084】
温度センサを用いることなく、照明装置12の照明光Liの強度および画像データのAPLの少なくとも一方に基づいて、光が通過するプリズムの内部の温度を推定し、その推定結果に基づいてヒータ90、92を制御することも可能である。照明光Liの強度が低い状態で維持されている場合、および/またはAPLが低い画像が投写され続ける場合、ヒータ90、92の加熱出力を減少する、および/または加熱時間を減少する。また例えば、照明光Liの強度が高い状態で維持されている場合、および/またはAPLが高い画像が投写され続ける場合、ヒータ90、92の加熱出力を増加する、および/または加熱時間を増加する。
【0085】
なお、ヒータ90、92と、熱伝導部材94と、温度センサ96は、光が通過しないプリズム表面に設けられる。当然ながら、これらは、投写レンズ16に最終的には到達する反射型画像素子74R、74G、74Bからの赤色画像光Lpr、緑色画像光Lpg、青色画像光Lpb(すなちON光)が通過しないプリズム表面に設けられる。また、これらは、反射型画像素子74R、74G、74BからのOFF光が通過しないプリズム表面に設けられる。さもなくば、OFF光が熱伝導部材94などによって反射され、内部全反射プリズム70や分解合成プリズム72内に迷光が発生しうる。
【0086】
以上のような本実施の形態1によれば、プリズムを介して画像を投写する投写型画像表示装置において、プリズムの熱変形による画像品質の劣化を抑制することができる。
【0087】
(実施の形態2)
本実施の形態2に係る投写型画像表示装置は、上述の実施の形態1に係る投写型画像表示装置10と異なる構成で、フルカラーの画像を投写する。
【0088】
図9は、本開示の実施の形態2に係る投写型画像表示装置の構成の概略図である。
【0089】
図9に示すように、本実施の形態2に係る投写型画像表示装置210は、概略、照明光を発生させる照明装置212と、照明光を画像光に変換する画像生成ユニット214と、画像光を、例えばスクリーンに投写する投写レンズ216とから構成される。
【0090】
本実施の形態2の場合、照明装置212は、例えば、高圧水銀灯であって白色の拡散光を出射する光源ランプから構成される光源220を備える。また、照明装置212は、光源220から出射された光を画像生成ユニット214に導光する複数の光学要素を備える。これらの光学要素を、光の伝播とともに説明する。
【0091】
光源220から出射された拡散光は、リフレクタ222によって、矩形状断面を備えるロッドインテグレータ224の入射面に集光される。
【0092】
ロッドインテグレータ224の出射面の前方には、カラーホイール226が配置されている。カラーホイール226は、光源220からの白色光に含まれる赤色光のみを透過する赤色透過フィルタ、緑色光のみを透過する緑色透過フィルタ、および青色光のみを透過する青色透過フィルタを備える。カラーホイール226がモータ228によって回転されることにより、赤色透過フィルタ、緑色透過フィルタ、および青色透過フィルタが順に且つ繰り返し、ロッドインテグレータ224の出射面の前方に配置される。その結果、カラーホイール226から、赤色光、緑色光、および青色光が順に且つ繰り返して出射される。
【0093】
カラーホイール226を通過した光は、レンズ230、レンズ232、レンズ234、ミラー236、およびレンズ238を介して、画像生成ユニット214に入射する。
【0094】
本実施の形態2の場合、画像生成ユニット214は、内部全反射プリズム240と、1つの反射型画像素子242とを有する。
【0095】
内部全反射プリズム240は、本実施の形態2の場合、第1および第2のプリズム244、246から構成されている。第1および第2のプリズム244、246は、実質的に三角柱形状を備えるプリズムであって、例えばガラス材料から作製されている。第1のプリズム244と第2のプリズム246との間に、数μmのエアギャップ240aが形成されている。
【0096】
第1のプリズム244は、照明装置212からの照明光Liが入射する側面244aと、入射した照明光Liを反射する側面244bと、反射した照明光Liが透過し、反射型画像素子242に対向する側面244cとを備える。
【0097】
第2のプリズム246は、第1のプリズム244の側面244bに対して平行に間隔をあけて対向することによってエアギャップ240aを形成する側面246aと、投写レンズ216に対して対向する側面246bとを備える。第1のプリズム244の側面244bと第2のプリズム246の側面246aは、例えば、光が透過する部分以外の部分で接着剤を介して互いに接着されることにより、エアギャップ240aを形成する。
【0098】
反射型画像素子242は、DMD(デジタルミラーデバイス)である。反射型画像素子242には、照明装置212から内部全反射プリズム240の第1のプリズム244を介して、照明光Li、すなわち赤色光、緑色光、および青色光が順に且つ繰り返して入射する。
【0099】
また、反射型画像素子242からの反射光、すなわち、画像光Lpは、内部全反射プリズム240に入射し、そのエアギャップ240a(内部全反射面)を透過し、第2のプリズム246の側面246bから投写レンズ216に出射される。そして、画像光Lpは、投写レンズ216によってスクリーンに投写される。
【0100】
本実施の形態2も、上述の実施の形態1と同様に、プリズムを保温するためのヒータが設けられている。
【0101】
図10は、内部全反射プリズムの斜視図である。
【0102】
図10に示すように、ヒータ250が熱伝導部材252を介して内部全反射プリズム240に設けられている。具体的には、ヒータ250は、第1のプリズム244の両端面244dそれぞれと、第2のプリズム246の両端面246cそれぞれに設けられている。それにより、ヒータ250は、照明光Liと画像光Lpとが通過する第1のプリズム244の部分と、画像光Lpが通過する第2のプリズム246の部分とを挟んでいる。
【0103】
ヒータ250が熱伝導部材252を介して第1および第2のプリズム244、246を加熱することにより、第1及び第2のプリズム244、246全体に一様に高温状態で保つことができる。それにより、これらのプリズムの局所的に大きく熱変形することが抑制される。その結果、第1および第2のプリズム244、246の側面244b、246aの少なくとも一方が局所的に大きく熱変形して互いに接触すること、すなわちエアギャップ240aが部分的に消滅することが抑制される。
【0104】
なお、図10には示していないが、上述の実施の形態1と同様に、プリズム表面温度を検出する温度センサを内部全反射プリズム240に設け、その温度センサの検出温度に基づいてヒータ250の加熱出力を制御してもよい。
【0105】
本実施の形態2も、上述の実施の形態1と同様に、プリズムを介して画像を投写する投写型画像表示装置において、プリズムの熱変形による画像品質の劣化を抑制することができる。
【0106】
以上、上述の実施の形態1および2を挙げて説明したが、本開示の実施の形態は上述の実施の形態に限らない。
【0107】
例えば、上述の実施の形態1および2の場合、プリズム全体を一様に高温状態で保つ保温デバイスはヒータであったが、本開示の実施の形態はこれに限らない。保温デバイスは断熱材であってもよい。断熱材の場合、光が通過するプリズムの部分で発生した熱がプリズム全体に行き渡り、断熱材によってプリズム外部への放熱が制限されることにより、プリズム全体が一様に高温状態で保たれる。その結果、プリズムの局所的な大きな熱変形によるエアギャップの消滅や反射面の変形が抑制される。なお、ヒータによる加熱と断熱材による断熱とを併用してもよい。
【0108】
また、例えば、上述の実施の形態1の場合、ヒータ90は、図4および図5に示すように、内部全反射プリズム70における三角柱状の第1および第2のプリズム80、82の端面80d、82cそれぞれに設けられている。また、ヒータ92は、分解合成プリズム72のおける第3のプリズム84の第1の側面84aに設けられている。しかしながら、ヒータを設けるプリズム表面における位置はこれに限らない。すなわち、光が通過しないプリズム表面の部分であって、且つ、そのプリズム全体を一様に高温状態に保つことができる位置に、保温デバイスは設けられればよい。
【0109】
なお、本開示の実施の形態は、ファンがプリズムに向かって送風することを否定するものではない。ファンは、プリズム周りの高温の空気を投写型画像表示装置の外部に送り出したり、プリズム近くの反射型画像素子を冷却する役割を果たす。
【0110】
すなわち、本開示の実施の形態は、広義には、光源と、前記光源からの照明光を画像光として反射する反射型画像素子と、前記反射型画像素子からの画像光を投写する投写レンズと、エアギャップによって構成された内部全反射面を備え、前記内部全反射面によって前記光源からの照明光を前記反射型画像素子に向かって反射し、前記反射型画像素子からの画像光を前記内部全反射面が透過して前記投写レンズに出射する、内部全反射プリズムと、前記内部全反射プリズムに設けられ、プリズム内温度が一様になるように保温する保温デバイスと、を有する、投写型画像表示装置である。
【0111】
また、本開示の別の実施の形態は、広義には、光源と、前記光源からの照明光を画像光として反射する第1、第2、および第3の反射型画像素子と、前記第1、第2、および第3の複数の反射型画像素子それぞれからの画像光を投写する投写レンズと、前記光源からの照明光を波長が異なる複数の光に分解して前記第1、第2、および第3の反射型画像素子に向かって出射し、前記第1、第2、および第3の反射型画像素子それぞれからの画像光を合成して出射する分解合成プリズムと、エアギャップによって構成された内部全反射面を備え、前記内部全反射面によって前記光源からの照明光を前記分解合成プリズムに向かって反射し、前記分解合成プリズムから出射された合成済みの画像光を前記内部全反射面が透過して前記投写レンズに出射する内部全反射プリズムと、前記分解合成プリズムおよび前記内部全反射プリズムの少なくとも一方に、プリズム内温度が一様になるように保温する保温デバイスと、を有する、投写型画像表示装置である。
【0112】
以上のように、本開示における技術の例示として、上述の実施の形態を説明してきた。そのために、図面および詳細な説明を提供している。したがって、図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上述の技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0113】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本開示は、プリズムを介して画像を投写する投写型画像表示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0115】
240 内部全反射プリズム
250 保温デバイス(ヒータ)
252 保温デバイス(熱伝導部材)
Li 照明光
Lp 画像光
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10