(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】照明制御装置、照明制御システム、照明システム、照明制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/125 20200101AFI20240426BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20240426BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20240426BHJP
H05B 47/18 20200101ALI20240426BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20240426BHJP
【FI】
H05B47/125
H05B47/165
H05B47/16
H05B47/18
H05B47/155
(21)【出願番号】P 2020131104
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱野 博司
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】海路 博司
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-533487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
競技場内に設置された複数の照明装置を制御する照明制御装置であって、
前記競技場で行われる競技の流れを検知した検知情報を取得し、
前記検知情報に基づいて前記複数の照明装置を制御する、
照明制御装置。
【請求項2】
前記複数の照明装置のそれぞれの光出力を調整するように前記複数の照明装置を制御する、
請求項1記載の照明制御装置。
【請求項3】
所定の演出効果を得るように前記複数の照明装置を制御する、
請求項1又は2記載の照明制御装置。
【請求項4】
前記複数の照明装置のそれぞれの光量、光色及び配光特性のうちの少なくとも1つを調整する、
請求項3記載の照明制御装置。
【請求項5】
前記競技は、決められた競技時間内で得点を競う競技であり、
前記検知情報は、前記競技時間の経過に関する時間情報を含む、
請求項1-4のいずれか1項に記載の照明制御装置。
【請求項6】
前記競技時間は、複数の区分時間及び1以上の休息時間を含み、
前記時間情報は、前記複数の区分時間及び前記休息時間に対応している、
請求項5記載の照明制御装置。
【請求項7】
前記複数の区分時間が前記競技時間の終わりに近付くにつれて、前記複数の照明装置の制御の頻度を高くする、
請求項6記載の照明制御装置。
【請求項8】
前記競技は、得点を競う競技であり、
前記検知情報は、得点が入ったことを表す得点情報及び得点の入る確率が上昇したことを表す得点機情報の少なくとも一方を含む、
請求項1-7のいずれか1項に記載の照明制御装置。
【請求項9】
前記競技は、攻撃する時間と守備する時間が入れ替わりながら得点を競う競技であり、
前記検知情報は、前記攻撃する時間と前記守備する時間
を含む、
請求項1-4のいずれか1項に記載の照明制御装置。
【請求項10】
請求項1-9のいずれか1項に記載の照明制御装置と、
前記競技場で行われる競技の流れを検知し、前記検知情報を前記照明制御装置に出力する1つ以上の検知装置と、
を備える、
照明制御システム。
【請求項11】
請求項10の照明制御システムと、
前記照明制御装置に制御される前記複数の照明装置と、
を備える、
照明システム。
【請求項12】
競技場内に設置された複数の照明装置を制御する照明制御方法であって、
前記競技場で行われる競技の流れを検知した検知情報を取得し、
前記検知情報に基づいて前記複数の照明装置を制御する、
照明制御方法。
【請求項13】
請求項12の照明制御方法を、1以上のプロセッサに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御装置、照明制御システム、照明システム、照明制御方法及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、競技場の照明を制御する照明制御装置、照明制御システム、照明システム、照明制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の演出制御システムを例示する。特許文献1記載の演出制御システム(照明制御システム)は、イベントの盛り上がり度合いを認知させるための演出実行手段を有する通信端末と、通信端末と通信接続される演出制御装置(照明制御装置)とを備える。通信端末は、観客の状態を計測してセンサ情報として検出する検出手段と、検出手段が検出したセンサ情報を取得して、演出制御装置に送信するセンサ情報処理手段とを備える。通信端末は、演出実行手段が出力する演出内容を示す演出情報を演出制御装置から取得し、演出情報に基づき演出実行手段を制御する演出情報処理手段を更に備える。演出制御装置は、通信端末から送信されたセンサ情報に基づき、観客の盛り上がり度合いを判定するセンサ情報解析手段と、判定した盛り上がり度合いに応じた演出情報を生成し、通信端末に送信する演出制御手段とを備える。
【0003】
通信端末が備える検出手段は、動きの激しさを示す加速度や角速度の情報、心拍数(の上昇度)、湿度(の上昇度)、体温(の上昇度)などから観客の状態を計測している。
【0004】
特許文献1記載の演出制御システム(照明制御システム)は、上記構成により、イベントに参加する観客の盛り上がりを観客の状態に応じてサポートしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1記載の演出制御システム(照明制御システム)では、競技(試合)の流れに連動した照明演出が行われないため、競技場内で観戦する観客に対して一体感及び没入感を与えにくかった。
【0007】
本開示の目的は、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくする照明制御装置、照明制御システム、照明システム、照明制御方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る照明制御装置は、競技場内に設置された複数の照明装置を制御する。前記照明制御装置は、前記競技場で行われる競技の流れを検知した検知情報を取得し、前記検知情報に基づいて前記複数の照明装置を制御する。
【0009】
本開示の一態様に係る照明制御システムは、前記照明制御装置と、前記競技場で行われる競技の流れを検知し、前記競技の流れの検知情報を前記照明制御装置に出力する1つ以上の検知装置とを備える。
【0010】
本開示の一態様に係る照明システムは、前記照明制御システムと、前記照明制御装置に制御される前記複数の照明装置とを備える。
【0011】
本開示の一態様に係る照明制御方法は、競技場内に設置された複数の照明装置を制御する。前記照明制御方法は、前記競技場で行われる競技の流れを検知した検知情報を取得し、前記検知情報に基づいて前記複数の照明装置を制御する。
【0012】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記照明制御方法を、1以上のプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の照明制御装置、照明制御システム、照明システム、照明制御方法及びプログラムは、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る照明制御装置、照明制御システム及び照明システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の照明システムにおける照明装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の照明制御システム及び照明システムが設置される競技場の内部の一部省略した平面図である。
【
図4】
図4は、同上の競技場の内部の一部省略した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について説明する。下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。また、下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0016】
(1)本開示の概要
(1-1)照明制御装置の概要
本開示の実施形態に係る照明制御装置1(以下、照明制御装置1と略す。)は、
図1に示すように、競技場5(
図3参照)内に設置された複数の照明装置4を制御する。照明制御装置1は、競技場5で行われる競技の流れを検知した検知情報を取得し、検知情報に基づいて複数の照明装置4を制御する。
【0017】
例えば、照明制御装置1は、2つのチームが対戦する競技中において、それぞれのチームの得点を検知した検知情報を取得すると、複数の照明装置4を制御して照明環境を変化させることにより、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくすることができる。
【0018】
(1-2)照明制御システムの概要
本開示の実施形態に係る照明制御システムY1(以下、照明制御システムY1と略す。)は、
図1に示すように、照明制御装置1と、競技場5(
図3参照)で行われる競技の流れを検知し、競技の流れの検知情報を照明制御装置1に出力する1つ以上の検知装置とを備える。
【0019】
検知装置は、例えば、競技者又はゴール等を撮像する撮像装置2を含むことが好ましい。また、検知装置は、競技時間(試合時間)を計時する計時装置3を含むことが好ましい。
【0020】
照明制御システムY1は、例えば、撮像装置2が撮像する動画像から得点が入ったことを検知すると、照明制御装置1が複数の照明装置4を制御して照明環境を変化させることにより、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくすることができる。あるいは、照明制御システムY1は、計時装置3が競技時間(試合時間)が終わりに近付いていることを検知すると、照明制御装置1が複数の照明装置4を制御して照明環境を変化させることにより、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくすることができる。
【0021】
(1-3)照明システムの概要
本開示の実施形態に係る照明システムX1(以下、照明システムX1と略す。)は、
図1に示すように、照明制御システムY1と、照明制御装置1に制御される複数の照明装置4とを備える。
【0022】
照明システムX1は、競技場5(
図3参照)を照明する複数の照明装置4を照明制御装置1で制御することにより、競技場5の照明環境を変化させ、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくすることができる。
【0023】
(2)照明制御システム及び照明システムの詳細
照明システムX1は、
図1に示すように、照明制御システムY1と、複数(図示例では5台)の照明装置4とを備える。また、照明制御システムY1は、照明制御装置1と、検知装置とを備える。ただし、照明システムX1が備える照明装置4の台数は5台に限定されず、4台以下又は6台以上であっても構わない。
【0024】
(2-1)照明装置
照明装置4は、
図2に示すように、灯体40と、灯体40を回転可能に支持するアーム41とを備える。灯体40は、金属材料によってへん平な箱状に形成されている。灯体40の内部には、複数(図示例では6個)の光源ユニット42と、各光源ユニット42を点灯させる電源装置43とを内蔵している。
【0025】
各光源ユニット42は、LED(Light Emitting Diode)及びLEDから放射される光を集光するレンズ420を有している。これら6個の光源ユニット42は、灯体40の上部において、縦に3列、横に2列に並べて配置されている。なお、各光源ユニット42が有するLEDは、すべて同じ色(例えば、白色)の光を放射するLEDであってもよいし、互いに異なる複数種類の色(例えば、赤色、緑色、青色)の光を放射するLEDであってもよい。
【0026】
各光源ユニット42から放射される光は、灯体40の前面に設けられた窓400を通して灯体40の前方に照射される。なお、灯体40の窓400は、ガラス又は透光性を有する合成樹脂からなる板状のカバー401で覆われている。
【0027】
電源装置43は、灯体40内において、光源ユニット42の下の空間に配置されている。電源装置43は、例えば、交流電圧を直流電圧に変換する交直変換回路、交直変換回路から出力する直流電流を目標値に一致させる定電流回路、照明制御装置1との間で信号を送受信する通信回路、定電流回路の目標値を調整する制御回路などを有している。
【0028】
通信回路は、後述するように照明制御装置1の通信部11から送信される制御信号を受信し、受信した制御信号に含まれる制御情報を制御回路に渡すように構成されている。制御回路は、通信回路から渡された制御情報に基づいて定電流回路の目標値を調整するように構成されている。
【0029】
アーム41は、金属板によってU字状に形成されている。アーム41の長手方向の両端が灯体40にねじ止めされている。アーム41は、長手方向の両端において灯体40を回転可能に支持している。
【0030】
ここで、照明装置4は、配光特性を遠隔から調整可能に構成されても構わない。配光特性を調整可能とするには、例えば、各光源ユニット42のレンズ420を軸方向に移動可能に構成する方法、あるいは、モータ等を用いてアーム41に対する灯体40の角度を可変に構成する方法などが考えられる。
【0031】
なお、上述した照明装置4の構成は一例であり、別の構成の照明装置を照明装置4に採用しても構わない。
【0032】
(2-2)検知装置
実施形態における検知装置は、撮像装置2と計時装置3を含む(
図1参照)。撮像装置2は、動画像を撮像し、撮像した動画像に対して画像処理を行うことにより、競技の流れを検知するように構成されている。計時装置3は、競技時間を計時(例えば、カウントダウン)する時計(タイマ)を有する。計時装置3は、競技時間の経過に関する時間情報(例えば、残りの競技時間など)を検知情報として出力することが好ましい。ただし、ホークアイなどの審判補助システムが競技場5に導入されている場合、検知装置を審判補助システムと連動させて競技の流れを検知してもよい。
【0033】
ここで、「競技の流れ」とは、例えば、対戦するチームのいずれかが得点する、競技時間の残り時間が半分ないし3分の1以下になる、試合が中断する、というように観客の盛り上がり度合いが変化する可能性の高い状況を意味する。
【0034】
(3)照明制御装置の詳細
照明制御装置1は、
図1に示すように、制御部10、通信部11、入力受付部12及び表示部13を備える。
【0035】
通信部11は、照明制御に適した通信規格、例えば、DMX(Digital Multiplex)512Aに準拠したディジタルの制御信号(以下、DMX信号と呼ぶ。)を各照明装置4に送信するように構成されている。ただし、通信部11は、DMX512A以外の通信規格、例えば、DALI(Digital Addressable Lighting Interface:登録商標)、あるいは、100BASE-T及び1000BASE-Tなどの有線LANの規格に準拠した制御信号を送信するように構成されても構わない。
【0036】
制御部10は、例えば、コンピュータシステムを有している。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサが実行することによって、制御部10の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリにあらかじめ記録されてもよい。また、プログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよい。あるいは、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(Integrated Circuit)又は大規模集積回路(Large-Scale Integration)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0037】
表示部13は、例えば、タッチパネル付きの液晶ディスプレイと、当該液晶ディスプレイのドライバ回路とを有する。表示部13のドライバ回路は、制御部10に制御されて液晶ディスプレイに種々の情報を表示するように構成されている。ここで、液晶ディスプレイに表示される種々の情報は、例えば、制御部10から各照明装置4を制御する制御内容(調光比など)、入力受付部12で受け付ける操作入力の内容などを含む。
【0038】
入力受付部12は、表示部13の液晶ディスプレイが有するタッチパネルを駆動して操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に対応する操作信号を制御部10に出力するように構成されている。
【0039】
(4)競技及び競技場
実施形態における競技は、決められた競技時間(試合時間)内で得点を競う競技、例えば、サッカー、ラグビー、バスケットボール、アイスホッケーなどの球技であることが好ましい。また、実施形態における競技場は、前記競技が行われる施設、例えば、サッカー場、ラグビー場、屋内競技場などであることが好ましい。しかして、以下では、競技をバスケットボールとし、かつ、競技場をバスケットボールの試合を実行可能な屋内競技場とした場合の実施形態について説明する。ただし、本開示の対象とする競技は、バスケットボールに限定されず、例えば、アイスホッケーなどのバスケットボール以外の屋内競技であっても構わない。さらに、本開示の対象とする競技は、屋外競技場で行われる競技、例えば、サッカー、ラグビーなどでもよいし、競技時間が定められていない競技、例えば、野球、テニス、バレーボール、バドミントンなどであってもよい。
【0040】
(4-1)競技場の詳細
競技場5は、競技が行われるアリーナ50と、アリーナ50の周囲に階段状に設けられた観客席51とを有する(
図3及び
図4参照)。アリーナ50にはバスケットボールコート(以下、コートと略す。)52が配置されている。また、アリーナ50の上方には、電光得点表示装置53が配置されている。電光得点表示装置53は、直方体状に形成され、4つの側面のそれぞれに各チームの得点、残りの試合時間、ピリオドなどの情報を表示するように構成されている(
図4参照)。
【0041】
観客席51の上方に複数の照明装置4が間隔を空けて設置される。これらの照明装置4は、主としてアリーナ50を照明するように配置されている。また、アリーナ50の上方に複数の撮像装置2が設置される(ただし、
図3、
図4では撮像装置2の図示を省略している)。複数の撮像装置2のうちの少なくとも2台の撮像装置2は、それぞれ2つのバスケット54を真上から撮像可能な位置に配置されることが好ましい。つまり、これら2台の撮像装置2は、バスケット54を真上から撮像することにより、バスケット54にボールが入ったこと(ゴール)を検知することができる。そして、各撮像装置2は、ゴールを検知したときに得点情報を検知情報として照明制御装置1に渡すことが好ましい。また、これらの2台の撮像装置2は、バスケット54だけでなく、コート52のフリースローライン520(
図3参照)の周囲も撮像することが好ましい。各撮像装置2は、フリースローライン520の近傍を撮像した動画像を画像処理することにより、フリースローが行われようとしていることを検知すれば、得点の入る確率が上昇したことを表す得点機情報を検知情報として照明制御装置1に渡すことが好ましい。
【0042】
計時装置3は、テーブルオフィシャルズの構成員(タイマーと呼ばれる)が操作するゲームクロックに連動して、競技時間、ハーフタイムなどを計時するように構成されている。バスケットボールの公式ルールでは、第1ピリオドから第4ピリオドの各競技時間が10分、第1ピリオドと第2ピリオドの間及び第3ピリオドと第4ピリオドの間のインターバルが2分、第2ピリオドと第3ピリオドの間のハーフタイムが15分と規定されている。しかして、計時装置3は、ゲームクロックに連動して競技時間、ハーフタイムなどを計時することにより、試合の流れ(残りの競技時間等)を検知することができる。
【0043】
(5)照明制御装置の動作説明
次に、照明制御装置1(照明制御システムY1及び照明システムX1を含む。)の動作を説明する。まず、競技(試合)の開始前に、オペレータが照明制御装置1に対して設定作業を行う。設定作業とは、照明の制御内容と当該制御内容を実行するタイミングの組合せを制御部10のメモリに登録する作業である。
【0044】
例えば、バスケットボールの試合においては、プレイヤーが反則を犯した場合、ボールがコート52の外に出た場合などにゲームクロックを停止する。そこで、計時装置3が競技時間の一次停止を検知した場合、競技中の制御内容(第1の制御内容)から別の制御内容(第2の制御内容)に変更するように設定される。また、計時装置3がインターバルの開始及びハーフタイムの開始を検知した場合、第1の制御内容から第3の制御内容に変更するように設定される。さらに、競技時間の終わりに近付くにつれて、複数の照明装置4の制御の頻度(制御内容の変更の頻度)を高くするように設定されてもよい。また、撮像装置2がバスケットにボールが入った(ゴールした)ことを検知した場合、第1の制御内容から第4の制御内容に変更するように設定される。なお、第1の制御内容は、コート52内の明るさを所定の照度範囲内に収めるように各照明装置4の光出力を調整する制御内容である。また、第2~第4の制御内容は、所定の演出効果を得ることができるような制御内容、例えば、短い時間で各照明装置4の光出力(光量及び光色の少なくとも一方)を変化させるというような制御内容である。
【0045】
オペレータによる設定作業が完了して競技が開始されると、制御部10がメモリに格納されている設定内容を参照しつつ、検知装置(撮像装置2及び計時装置3)が検知する検知情報に応じて、複数の制御内容のうちから選択した制御内容を実行する。具体的には、制御部10は、選択した制御内容に対応した制御情報(各照明装置4の電流の目標値など)を通信部11に出力する。通信部11は、制御部10から受け取った制御情報を含むDMX信号を生成して各照明装置4に送信する。
【0046】
そして、各照明装置4が照明制御装置1から受け取ったDMX信号に含まれる制御情報に従ってLEDの光出力を調整することにより、第1~第4の制御内容を含む複数の制御内容の照明が行われる。
【0047】
しかして、ハーフタイム等を含む競技時間中においては、オペレータが操作しなくても照明制御装置1が検知装置(撮像装置2及び計時装置3)から取得する検知情報(試合の流れ)に応じて、複数の照明装置4を制御して照明環境を変化させることができる。そのため、競技時間中の照明制御に必要となる工数の削減を図ることができる。
【0048】
しかも、照明制御装置1、照明制御システムY1及び照明システムX1は、試合の流れに応じて複数の照明装置4を制御して照明環境を変化させることにより、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくすることができる。
【0049】
(6)変形例
実施形態に係る照明制御装置1及び照明制御システムY1の変形例を説明する。変形例の照明制御装置1は、攻撃する時間と守備する時間が入れ替わりながら得点を競う競技、例えば、野球、アメリカンフットボールなどの球技が行われる競技場で使用される。
【0050】
変形例の照明制御システムY1における検知装置は、例えば、野球場に設置されているスコアボード(電光掲示板)の表示内容に基づいて、ホームチームの攻撃回(攻撃する時間)と守備回(守備する時間)を検知するように構成される。
【0051】
変形例の照明制御装置1は、検知装置が検知する試合の流れ、例えば、ホームチームの攻撃回又は7回と9回(最終回)の攻撃回などに応じて、複数の照明装置4を制御して照明環境を変化させる。これにより、変形例の照明制御装置1は、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくすることができる。
【0052】
(7)照明制御方法及びプログラムの詳細
以下の照明制御方法を採用すれば、専用の照明制御装置1を用いなくても、実施形態に係る照明制御装置1と同等の機能を実現することができる。
【0053】
すなわち、実施形態に係る照明制御方法は、競技場5で行われる競技の流れを検知した検知情報を取得し、検知情報に基づいて複数の照明装置4を制御する。
【0054】
この照明制御方法によれば、専用の照明制御装置1を用いなくても、実施形態に係る照明制御装置1と同等の機能を実現することができ、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくすることができる。
【0055】
また、照明制御装置1がコンピュータシステムを備えている場合を想定する。この場合、コンピュータシステムのメモリに記録されるプログラムは、コンピュータシステムを構成する1以上のプロセッサに、以下のプロセスを実行させる。すなわち、プログラムは、競技場5で行われる競技の流れを検知した検知情報を取得し、検知情報に基づいて複数の照明装置4を制御するプロセスを1以上のプロセッサに実行させる。
【0056】
このプログラムによれば、専用の照明制御装置1を用いなくても、実施形態に係る照明制御装置1と同等の機能を実現することができ、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくすることができる。
【0057】
(8)まとめ
本開示の第1の態様に係る照明制御装置(1)は、競技場内に設置された複数の照明装置(4)を制御する。第1の態様に係る照明制御装置(1)は、競技場(5)で行われる競技の流れを検知した検知情報を取得し、検知情報に基づいて複数の照明装置(4)を制御する。
【0058】
第1の態様に係る照明制御装置(1)は、競技の流れに応じて複数の照明装置(4)を制御して照明環境を変化させることにより、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくすることができる。
【0059】
本開示の第2の態様に係る照明制御装置(1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る照明制御装置(1)において、複数の照明装置(4)のそれぞれの光出力を調整するように複数の照明装置(4)を制御することが好ましい。
【0060】
第2の態様に係る照明制御装置(1)は、複数の照明装置(4)の光出力を調整することにより、照明環境の変化を大きくし、観客に対して一体感及び没入感を更に与えやすくすることができる。
【0061】
本開示の第3の態様に係る照明制御装置(1)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る照明制御装置(1)は、所定の演出効果を得るように複数の照明装置(4)を制御することが好ましい。
【0062】
第3の態様に係る照明制御装置(1)は、複数の照明装置(4)を制御して所定の演出効果を得ることにより、観客に対して一体感及び没入感を更に与えやすくすることができる。
【0063】
本開示の第4の態様に係る照明制御装置(1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る照明制御装置(1)は、複数の照明装置(4)のそれぞれの光量、光色及び配光特性のうちの少なくとも1つを調整することが好ましい。
【0064】
第4の態様に係る照明制御装置(1)は、複数の照明装置(4)のそれぞれの光量、光色及び配光特性のうちの少なくとも1つを調整することにより、照明環境の変化を更に大きくし、観客に対して一体感及び没入感を更に与えやすくすることができる。
【0065】
本開示の第5の態様に係る照明制御装置(1)は、第1-第4のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る照明制御装置(1)において、競技は、決められた競技時間内で得点を競う競技であることが好ましい。検知情報は、競技時間の経過に関する時間情報を含むことが好ましい。
【0066】
第5の態様に係る照明制御装置(1)は、競技時間の経過に応じて照明環境を変化させることにより、観客に対して一体感及び没入感を更に与えやすくすることができる。
【0067】
本開示の第6の態様に係る照明制御装置(1)は、第5の態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る照明制御装置(1)において、競技時間は、複数の区分時間(ピリオド)及び1以上の休息時間(インターバル、ハーフタイム)を含むことが好ましい。時間情報は、複数の区分時間及び休息時間に対応していることが好ましい。
【0068】
第6の態様に係る照明制御装置(1)は、複数の区分時間及び休息時間に応じて照明環境を変化させることにより、観客に対して一体感及び没入感を更に与えやすくすることができる。
【0069】
本開示の第7の態様に係る照明制御装置(1)は、第6の態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る照明制御装置(1)において、複数の区分時間が競技時間の終わりに近付くにつれて、複数の照明装置(4)の制御の頻度を高くすることが好ましい。
【0070】
第7の態様に係る照明制御装置(1)は、複数の区分時間が競技時間の終わりに近付くにつれて、複数の照明装置(4)の制御の頻度を高くすれば、観客に対して一体感及び没入感を更に与えやすくすることができる。
【0071】
本開示の第8の態様に係る照明制御装置(1)は、第1-第7のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第8の態様に係る照明制御装置(1)において、競技は、得点を競う競技であることが好ましい。検知情報は、得点が入ったことを表す得点情報及び得点の入る確率が上昇したことを表す得点機情報の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0072】
第8の態様に係る照明制御装置(1)は、得点が入った場合及び得点が入る確率が上昇した場合に照明環境を変化させれば、観客に対して一体感及び没入感を更に与えやすくすることができる。
【0073】
本開示の第9の態様に係る照明制御装置(1)は、第1-第4のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第9の態様に係る照明制御装置(1)において、競技は、攻撃する時間と守備する時間が入れ替わりながら得点を競う競技であることが好ましい。検知情報は、攻撃する時間と守備する時間を含むことが好ましい。
【0074】
第9の態様に係る照明制御装置(1)は、例えば、ホームチームの攻撃回などに応じて、複数の照明装置(4)を制御して照明環境を変化させることにより、観客に対して一体感及び没入感を更に与えやすくすることができる。
【0075】
本開示の第10の態様に係る照明制御システム(Y1)は、第1-第9のいずれか1つの態様に係る照明制御装置(1)を備える。第10の態様に係る照明制御システム(Y1)は、競技場で行われる競技の流れを検知し、検知情報を照明制御装置(1)に出力する1つ以上の検知装置(撮像装置2、計時装置3)を備える。
【0076】
第10の態様に係る照明制御システム(Y1)は、照明制御装置(1)が複数の照明装置(4)を制御して照明環境を変化させることにより、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくすることができる。
【0077】
本開示の第11の態様に係る照明システム(X1)は、第10の態様に係る照明制御システム(Y1)と、照明制御装置(1)に制御される複数の照明装置(4)とを備える。
【0078】
第11の態様に係る照明システム(X1)は、競技場(5)を照明する複数の照明装置(4)を照明制御装置(1)で制御することにより、競技場(5)の照明環境を変化させ、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくすることができる。
【0079】
本開示の第12の態様に係る照明制御方法は、競技場内に設置された複数の照明装置を制御する照明制御方法である。第12の態様に係る照明制御方法は、競技場(5)で行われる競技の流れを検知した検知情報を取得し、検知情報に基づいて複数の照明装置(4)を制御する。
【0080】
第12の態様に係る照明制御方法は、競技場(5)を照明する複数の照明装置(4)を制御することにより、競技場(5)の照明環境を変化させ、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくすることができる。
【0081】
本開示の第13の態様に係るプログラムは、第12の態様に係る照明制御方法を、1以上のプロセッサに実行させる。
【0082】
第13の態様に係るプログラムは、競技場(5)を照明する複数の照明装置(4)を制御することにより、競技場(5)の照明環境を変化させ、観客に対して一体感及び没入感を与えやすくすることができる。
【符号の説明】
【0083】
X1 照明システム
Y1 照明制御システム
1 照明制御装置
2 撮像装置(検知装置)
3 計時装置(検知装置)
4 照明装置
5 競技場