(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】抵抗スポット溶接制御システムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
B23K 11/24 20060101AFI20240426BHJP
B23K 11/30 20060101ALI20240426BHJP
B23K 11/25 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
B23K11/24 338
B23K11/24 315
B23K11/30
B23K11/25 514
(21)【出願番号】P 2022546440
(86)(22)【出願日】2020-09-22
(86)【国際出願番号】 KR2020012740
(87)【国際公開番号】W WO2021153874
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0009835
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522301957
【氏名又は名称】オバラ コリア コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】522301968
【氏名又は名称】テソニックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】ノ、ヤンウ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、サンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、シウン
(72)【発明者】
【氏名】マエブ、ロマン ジーアール
(72)【発明者】
【氏名】シェルトブ、エンドリュ エム
(72)【発明者】
【氏名】スコット、ドナルドライアン
(72)【発明者】
【氏名】ストコ、ダニロ
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-176872(JP,A)
【文献】特開2005-334945(JP,A)
【文献】特開平01-224176(JP,A)
【文献】特開2006-095542(JP,A)
【文献】特開平04-022584(JP,A)
【文献】特開2006-000864(JP,A)
【文献】特開昭64-027785(JP,A)
【文献】特開2013-036743(JP,A)
【文献】特開2012-183550(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0076321(US,A1)
【文献】特開2011-200868(JP,A)
【文献】特開2013-215748(JP,A)
【文献】実開昭55-098486(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/00 - 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネルを接合する抵抗スポット溶接機の溶接パラメータ規制のためのシステムにおいて、
溶接ガンの電極に設けられ、パネルの溶接部位に超音波を照射し、反射した超音波信号を測定する超音波センサ;
前記超音波信号をリアルタイムで分析して超音波分析情報を生成する超音波分析器;および
前記超音波分析器から超音波分析情報を受信し、前記パネルの情報に基づいて設定された溶接パラメータにより適応溶接制御を行い、受信された前記超音波分析情報に応じて一つ以上の溶接パラメータをリアルタイムで補償する溶接制御器;
を含み、
前記溶接制御器は、
ロードされた前記パネルの情報を把握して前記超音波分析器に伝送し、前記パネルの情報に応じて前記溶接パラメータを設定した後に溶接作業を開示する制御モジュール;
を含み、
前記制御モジュールは、
前記パネルの情報に応じた溶接開始時の基本電流、基本電流増加率、電流増加開始時間、電流増加終了時間、溶接開始時の基本溶接時間、最大溶接時間、時間増加開始時間および時間増加終了時間を含む前記溶接パラメータを設定する、システム。
【請求項2】
複数のパネルを接合する抵抗スポット溶接機の溶接パラメータ規制のためのシステムにおいて、
溶接ガンの電極に設けられ、パネルの溶接部位に超音波を照射し、反射した超音波信号を測定する超音波センサ;
前記超音波信号をリアルタイムで分析して超音波分析情報を生成する超音波分析器;および
前記超音波分析器から超音波分析情報を受信し、前記パネルの情報に基づいて設定された溶接パラメータにより適応溶接制御を行い、受信された前記超音波分析情報に応じて一つ以上の溶接パラメータをリアルタイムで補償する溶接制御器;
を含み、
前記溶接制御器は、
多チャンネル通信インターフェースを介して前記超音波分析器および溶接作業を中央で管理する生産管理システム(Manufacturing Execution System)サーバと通信する通信モジュール;
前記超音波分析器で受信された前記超音波分析情報のメッセージの種類と受信時点を分析する情報収集モジュール;
印加される信号に応じてスポット溶接のための電流を変換する電流変換モジュール;
溶接制御のための少なくとも一つのプログラムおよび設定データを保存し、溶接作業により生成される情報を保存する保存モジュール;および
ロードされた前記パネルの情報を把握して前記超音波分析器に伝送し、前記パネルの情報に応じて前記溶接パラメータを設定した後に溶接作業を開示する制御モジュール;
を含み、
前記制御モジュールは、
前記パネルの情報に応じた溶接開始時の基本電流、基本電流増加率、電流増加開始時間、電流増加終了時間、溶接開始時の基本溶接時間、最大溶接時間、時間増加開始時間および時間増加終了時間を含む前記溶接パラメータを設定する、システム。
【請求項3】
複数のパネルを接合する抵抗スポット溶接機の溶接パラメータ規制のためのシステムにおいて、
溶接ガンの電極に設けられ、パネルの溶接部位に超音波を照射し、反射した超音波信号を測定する超音波センサ;
前記超音波信号をリアルタイムで分析して超音波分析情報を生成する超音波分析器;および
前記超音波分析器から超音波分析情報を受信し、前記パネルの情報に基づいて設定された溶接パラメータにより適応溶接制御を行い、受信された前記超音波分析情報に応じて一つ以上の溶接パラメータをリアルタイムで補償する溶接制御器;
を含み、
前記溶接制御器は、
多チャンネル通信インターフェースを介して前記超音波分析器および溶接作業を中央で管理する生産管理システム(Manufacturing Execution System)サーバと通信する通信モジュール;
前記超音波分析器で受信された前記超音波分析情報のメッセージの種類と受信時点を分析する情報収集モジュール;
溶接の際に時間をミリセカンド(ms)単位の時分割(Time division)でカウントするタイマーモジュール;
印加される信号に応じてスポット溶接のための電流を変換する電流変換モジュール;
溶接制御のための少なくとも一つのプログラムおよび設定データを保存し、溶接作業により生成される情報を保存する保存モジュール;および
ロードされた前記パネルの情報を把握して前記超音波分析器に伝送し、前記パネルの情報に応じて前記溶接パラメータを設定した後に溶接作業を開示する制御モジュール;
を含み、
前記制御モジュールは、
前記パネルの情報に応じた溶接開始時の基本電流、基本電流増加率、電流増加開始時間、電流増加終了時間、溶接開始時の基本溶接時間、最大溶接時間、時間増加開始時間および時間増加終了時間を含む前記溶接パラメータを設定する、システム。
【請求項4】
前記超音波分析器は、
前記溶接部位に対する超音波分析を行うために前記溶接制御器から受信したパネルの情報に基づいて選択された帯域周波数の超音波を生成する、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記超音波分析器は、
リアルタイムで伝送される前記超音波信号に基づいてパネル間の境界線(Steel
to Steel Interface;SSI)、パネル間境界線の消滅地点(Steel to Steel Interface Disappearance;SSID)、溶接部位の熱量(α)、生成されたナゲット深さ(Liquid Penetration Depth;LPD)、溶融終了点(End Of Melting;EOM)の少なくとも一つを前記超音波分析情報として検出する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記超音波分析器は、
超音波イメージを生成し、超音波分析情報を得るために溶接開始時点から溶接終了時点まで超音波分析を行い、得られた超音波分析情報を前記溶接制御器に伝送する、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
前記溶接パラメータは溶接時間と電流を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記溶接制御器は、
溶接品質を確保するために時系列で分析された前記超音波分析情報の因子値で溶接時間と電流の補償を制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記情報収集モジュールは、
溶接開始時点から溶接終了時点までミリセカンド(ms)単位で時分割された超音波分析情報の受信時点を前記制御モジュールに伝達する、請求項
2または3に記載のシステム。
【請求項10】
前記設定データは、
溶接作業に投入される前記パネルの系列情報に応じた素材および厚さに合わせて可変設定された基本溶接制御値および該当溶接作業が行われる溶接点位置情報を含む、請求項
2または3に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御モジュールは、
前記溶接ガンが取り付けられたロボットの溶接作業のための機構学的姿勢制御情報を保存し、設定された個別作業に応じた前記ロボットの姿勢制御により溶接ガンの移動および作動を制御する、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御モジュールは、
基本溶接時間、SSIDの受信時点での時間増加率、そしてパネルの情報に基づいて全体溶接時間を決定する、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御モジュールは、
超音波分析情報として受信されたα値に応じて電流増加を制限し全体溶接時間後に溶接を終了する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御モジュールは、
前記超音波分析器から受信されたLPDがパネルの情報に応じた基準大きさを満たすと電流供給を中断する、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御モジュールは、
前記超音波分析器でEOMが受信されると前記パネルにかかっている電極の加圧力を解除して溶接を終了する、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
スポット溶接機の溶接制御システムにより複数のパネルを接合する溶接制御方法において、
a)ロードされたパネルの系列情報にマッチした基本溶接パラメータを設定して設定された基本溶接パラメータにより溶接を開始する段階;
b)溶接ガンの電極に設けられた超音波センサを作動してリアルタイムで超音波分析情報をモニタリングする段階;
c)溶接開始時点から所定の電流増加開始時間に到達すると設定された基本電流増加率に応じた電流増加を開始する段階;
d)前記超音波分析情報として受信されたパネル間境界線の消滅地点(SSID)の受信時点に該当する決定時間増加率を導き出し、設定された基本溶接時間と決定時間増加率に基づいて最終溶接時間を決定する段階;および
e)前記超音波分析情報として受信された溶接部位の熱量(α)が所定の臨界値角度に到達すると前記電流増加を制限して残った溶接時間だけの間現在の電流を最大電流に維持した後溶接を終了する段階;
を含む、溶接制御方法。
【請求項17】
前記b)段階は、
溶接開始と同時に前記系列情報を超音波分析器に伝送して超音波発生時点を同期化させて、前記パネルの情報に該当する帯域周波数の超音波を発生させる段階を含む、請求項16に記載の溶接制御方法。
【請求項18】
前記e)段階は、
前記最終溶接時間と前記α受信時間に基づいて前記残った溶接時間を算出する段階を含む、請求項16に記載の溶接制御方法。
【請求項19】
前記e)段階は、
前記超音波分析情報として受信されたナゲット深さ(LPD)が溶接品質を満たすと判断して溶接ガンへの電流供給を中断する段階;および
前記超音波分析情報として溶融終了点(EOM)が受信されると前記パネルにかかっている電極の加圧力を解除して溶接を終了する段階;
を含む、請求項16に記載の溶接制御方法。
【請求項20】
前記e)段階の後に、
前記超音波分析情報を生成する超音波分析器から前記溶接制御に応じて分析された超音波イメージを受信して前記超音波分析情報と超音波適応制御情報をマッチしてDB化し、該当溶接品質を検証する段階
をさらに含む、請求項16または19に記載の溶接制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗スポット溶接制御システムおよびその方法に関し、より詳細には複数の金属パネルを接合する抵抗スポット溶接機の溶接パラメータ規制のための制御システムおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に車両工場の生産ラインにおいて、抵抗スポット溶接(Spot welding)により車体をなす複数の部材(以下、パネルと通称する)を接合するために溶接ロボットが運用されている。抵抗スポット溶接(以下、スポット溶接という)は、溶接ガンの両端に付着した二つの電極で重ねた金属パネルを挟み込んで加圧しながら高圧の電流を流して溶接する方式である。金属パネルの間の電気的接触抵抗によって、局部的な溶融点(localized melting spot)が発生する。通常、車両工場では完成車一台当り数千回のスポット溶接が行われているので抵抗スポット溶接品質は車体構造物の衝突安全性を左右する重要な要素として認識されている。
【0003】
通常、車体にはルーフ、フィラー、サイドパネル、ドアのオープニング部フランジなどの多様な素材と厚さのパネルが使用され、溶接制御器によって提供された一連の互いに異なる溶接スケジュールと調整を必要とする。従来には互いに異なる幾何学を有するパネルを接合するために予め定められた一定の時間および電流を適用することによってスポット溶接制御を行っている。
【0004】
従来の存在する溶接制御器はバッチ(batch)、スタンピング(stamping)およびジョイントの接触条件の変化によって大規模で生産されるパネルの強度および物理的特性に若干の変化が発生する場合、それに適応するのに限界がある。これは最終製品の潜在的な不良をもたらす。
【0005】
したがって、良質の製品を組み立てるためにはスポット溶接パラメータの変化を監視することに基づいて適応的に溶接制御を行う方案が切実に求められる。
この背景技術に記載された事項は発明の背景に係る理解を深めるために作成されたものであり、この技術が属する分野で通常の知識を有する者に既に知られている従来技術でない事項を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、リアルタイムでスポット溶接作業の超音波的な監視に基づいて溶接ガンの溶接時間と電流を制御する適応的抵抗スポット溶接制御システムおよびその方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、複数のパネルを接合する抵抗スポット溶接機の溶接パラメータ規制のためのシステムは、溶接ガンの電極に設けられ、パネルの溶接部位に超音波を照射し、反射した超音波信号を測定する超音波センサ;前記超音波信号をリアルタイムで分析して超音波分析情報を生成する超音波分析器;および前記超音波分析器から超音波分析情報を受信し、前記パネルの情報に基づいて設定された溶接パラメータにより適応溶接制御を行い、受信された前記超音波分析情報に応じて一つ以上の溶接パラメータをリアルタイムで補償する溶接制御器を含む。
【0008】
また、前記超音波分析器は、前記溶接部位に対する超音波分析を行うために前記溶接制御器から受信したパネルの情報に基づいて選択された帯域周波数の超音波を生成し得る。
【0009】
また、前記超音波分析器は、リアルタイムで伝送される前記超音波信号に基づいてパネル間の境界線(Steel to Steel Interface;SSI)、パネル間境界線の消滅地点(Steel to Steel Interface Disappearance;SSID)、溶接部位の熱量(α)、生成されたナゲット深さ(Liquid Penetration Depth;LPD)、溶融終了点(End Of Melting;EOM)の少なくとも一つを前記超音波分析情報として検出し得る。
【0010】
また、前記超音波分析器は超音波イメージを生成し、超音波分析情報を得るために溶接開始時点から溶接終了時点まで超音波分析を行い、得られた超音波分析情報を前記溶接制御器に伝送し得る。
【0011】
また、前記溶接パラメータは溶接時間と電流を含み得る。
【0012】
また、前記溶接制御器は溶接品質を確保するために時系列で分析された前記超音波分析情報の因子値で溶接時間と電流の補償を制御し得る。
【0013】
また、前記溶接制御器は多チャンネル通信インターフェースを介して前記超音波分析器および溶接作業を中央で管理する生産管理システム(Manufacturing Execution System)サーバと通信する通信モジュール;前記超音波分析器で受信された前記超音波分析情報のメッセージの種類と受信時点を分析する情報収集モジュール;溶接の際に時間をミリセカンド(ms)単位の時分割(Time division)でカウントするタイマーモジュール;印加される信号に応じてスポット溶接のための電流を変換する電流変換モジュール;溶接制御のための少なくとも一つのプログラムおよび設定データを保存し、溶接作業により生成される情報を保存する保存モジュール;およびロードされた前記パネルの情報を把握して前記超音波分析器に伝送し、前記パネルの情報に応じて前記溶接パラメータを設定した後に溶接作業を開示する制御モジュールを含み得る。
【0014】
また、前記情報収集モジュールは溶接開始時点から溶接終了時点までミリセカンド(ms)単位で時分割された超音波分析情報の受信時点を前記制御モジュールに伝達し得る。
【0015】
また、前記設定データは溶接作業に投入される前記パネルの系列情報に応じた素材および厚さに合わせて可変設定された基本溶接制御値および該当溶接作業が行われる溶接点位置情報を含み得る。
【0016】
また、前記制御モジュールは前記溶接ガンが取り付けられたロボットの溶接作業のための機構学的姿勢制御情報を保存し、設定された個別作業に応じた前記ロボットの姿勢制御により溶接ガンの移動および作動を制御し得る。
【0017】
また、前記制御モジュールは前記パネルの情報に応じた溶接開始時の基本電流、基本電流増加率、電流増加開始時間、電流増加終了時間、溶接開始時の基本溶接時間、最大溶接時間、時間増加開始時間および時間増加終了時間を含む前記溶接パラメータを設定し得る。
【0018】
また、前記制御モジュールは基本溶接時間、SSIDの受信時点での時間増加率、そしてパネルの情報に基づいて全体溶接時間を決定し得る。
【0019】
また、前記制御モジュールは超音波分析情報として受信されたα値に応じて電流増加を制限し全体溶接時間後に溶接を終了し得る。
【0020】
また、前記制御モジュールは前記超音波分析器から受信されたLPDがパネルの情報に応じた基準大きさを満たすと電流供給を中断し得る。
【0021】
また、前記制御モジュールは前記超音波分析器でEOMが受信されると前記パネルにかかっている電極の加圧力を解除して溶接を終了し得る。
【0022】
一方、本発明の一側面による、スポット溶接機の溶接制御システムにより複数のパネルを接合する溶接制御方法は、a)ロードされたパネルの系列情報にマッチした基本溶接パラメータを設定して設定された基本溶接パラメータにより溶接を開始する段階;b)溶接ガンの電極に設けられた超音波センサを作動してリアルタイムで超音波分析情報をモニタリングする段階;c)溶接開始時点から所定の電流増加開始時間に到達すると設定された基本電流増加率に応じた電流増加を開始する段階;d)前記超音波分析情報として受信されたパネル間境界線の消滅地点(SSID)の受信時点に該当する決定時間増加率を導き出し、設定された基本溶接時間と決定時間増加率に基づいて最終溶接時間を決定する段階;およびe)前記超音波分析情報として受信された溶接部位の熱量(α)が所定の臨界値角度に到達すると前記電流増加を制限して残った溶接時間だけの間現在の電流を最大電流に維持した後溶接を終了する段階を含む。
【0023】
また、前記b)段階は、溶接開始と同時に前記系列情報を超音波分析器に伝送して超音波発生時点を同期化させて、前記パネルの情報に該当する帯域周波数の超音波を発生させる段階を含み得る。
【0024】
また、前記e)段階は、前記最終溶接時間と前記α受信時間に基づいて前記残った溶接時間を算出する段階を含み得る。
【0025】
また、前記e)段階は、前記超音波分析情報として受信されたナゲット深さ(LPD)が溶接品質を満たすと判断して前記溶接ガンへの電流供給を中断する段階;および前記超音波分析情報として溶融終了点(EOM)が受信されると前記パネルにかかっている電極の加圧力を解除して溶接を終了する段階を含み得る。
【0026】
また、前記e)段階の後に、前記超音波分析器から前記溶接制御に応じて分析された超音波イメージを受信して超音波分析情報と超音波適応制御情報をマッチしてDB化し、該当溶接品質を検証する段階をさらに含み得る。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施形態によれば、溶接時に溶接部位の超音波分析情報をリアルタイムで受信してパネルで適応制御アルゴリズムにより溶接時間と電流を補償することによって溶接不良を予防し堅固な溶接品質の製品を製作できる効果がある。
【0028】
また、パネルの発熱量を示すα値を超音波的にモニタリングすることによって過度な電流増加を制限してスパッタの発生を予防する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態による溶接制御システムが適用されたライン設備の例を図示する。
【
図2】本発明の実施形態による溶接制御システムの構成を概略的に図示する。
【
図3】本発明の実施形態による超音波分析器と溶接制御器の間の情報交換時期を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態による超音波分析器で分析されたB-SCAN情報を図示する。
【
図5】本発明の実施形態による溶接制御器の細部構成を示す概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態による基本溶接制御値と超音波分析器で受信された超音波分析情報の例示を示す。
【
図7】前記
図6の超音波分析器で受信された情報に基づいて溶接時間と電流を補償する例示を示す。
【
図8】本発明の実施形態による溶接制御方法を概略的に示す流れ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下では添付する図面を参照して本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。そして、図面で本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって類似の部分に対しては類似の図面符号を付けた。
【0031】
明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」するという時、これは特に反対の意味を示す記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載された「…部」、「…器」、「モジュール」などの用語は少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これはハードウェアやソフトウェアまたはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせとして実現することができる。
【0032】
明細書全体で、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語は多様な構成要素を説明するために使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されるべきではない。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものだけであり、その用語によって該当構成要素の本質や順序 または順番などが限定されない。
【0033】
明細書全体で、ある構成要素が他の構成要素に「連結される」 または「接続される」と言及される場合は、その他の構成要素に直接連結されているか または接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解しなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結される」または「直接接続される」と言及される場合は、中間に他の構成要素が存在しないものと理解しなければならない。
【0034】
本明細書で他に定義のない限り、ここで用いられる技術的および科学的な用語を含むすべての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるものと同じ意味を含む。一般に用いられている辞書に定義されているような用語は関連技術の文脈上の意味と一致すると解釈されるべきであり、本明細書で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味に解釈されない。
【0035】
以下、本発明の実施形態による溶接制御システムおよびその方法について図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
図1は本発明の実施形態による溶接制御システムが適用されたライン設備の例を図示する。
【0037】
図1を参照すると、車両工場の生産ラインには製品の組み立てのために複数台の多関節溶接ロボット20が配置され、各溶接ロボット20のアーム先端にはスポット溶接(Spot welding)のための溶接ガン10が取り付けられる。
【0038】
サーバ200はコンベアによって移送される車体情報と、前記車体情報に対応する車両の仕様情報および前記仕様情報に応じた溶接ロボット別の作業情報を溶接制御システム100に割り当てて生産ラインの工程状態を中央で管制する。
【0039】
溶接制御システム100は溶接ロボット20のスポット溶接作業を制御するための設備システムであって代表的な構成として溶接制御器130を含む。
【0040】
溶接制御器130は工場内の作業状況を中央で管理する生産管理システム(Manufacturing Execution System,MEN)サーバ200と連動して複数の溶接点(spot welds)に対する溶接作業を自動で行う。溶接制御器130はサーバ200で設定した作業情報に従い自動で多関節溶接ロボット20の姿勢制御により溶接ガン10の位置を溶接点に移動させた後適応制御アルゴリズムによるスポット溶接を制御する。
【0041】
ここで、前記適応制御アルゴリズムはスポット溶接制御の主な因子である時間と電流を与えられた溶接状況に合わせて補償することを意味する。例えば、溶接制御器130は溶接作業時にロードされたパネル厚さが基準より厚いか薄い場合はセンサにより時間と電流のフィードバックを受けて溶接制御条件を補償する方法を取る。
【0042】
ただし、同じ素材と厚さのパネルでも製造会社や物量によって微細に異なる強度や物性が示され得るので、それに適応するには限界がある。したがって、より正確な適応制御コントロールのためには追加的な情報が求められている。
【0043】
そこで、
図2により本発明の実施形態による改善された溶接制御システムの構成を具体的に説明する。
【0044】
図2は本発明の実施形態による溶接制御システムの構成を概略的に図示する。
【0045】
図2を参照すると、本発明の実施形態による溶接制御システム100は、超音波センサ110、超音波分析器120および溶接制御器130を含む。
【0046】
超音波センサ110は溶接ガン10の上部電極11に設けられ溶接パネルP1,P2の溶接部位に超音波を透過した後に反射した信号を測定する。以下の説明において超音波センサ110は溶接ガン10の上部電極11に設けられたことを仮定して説明するが、本発明の実施形態はこれに限定されなく、下部電極12に設置されることができる。超音波センサ110は溶接設備によってC-タイプ溶接ガンおよびX-タイプ溶接ガンなどに取り付けられるが、これに限定されない。 また、超音波センサ110は電極に設けられるので溶接ガン10の移動後の溶接時、該当溶接部位の溶接状態をリアルタイムでモニタリングするように支援する。
【0047】
超音波センサ110は溶接ガン10に備えられた有線あるいは無線通信手段により超音波測定信号を超音波分析器120にリアルタイムで伝送する。
【0048】
超音波分析器120は超音波センサ110と通信のための有線あるいは無線通信手段と溶接制御器130との連動のための通信手段を含む。 また、超音波分析器120は後述する超音波分析のための少なくとも一つのプログラム、データ、メモリ、入出力インターフェースおよびプロセッサを含む一つの情報通信装備として構成されることができる。
【0049】
超音波分析器120は溶接制御器130でパネルP1,P2の系列情報が受信されるとパネルの素材および厚さを考慮した帯域周波数の超音波を発生して溶接部位に対する超音波分析を開示する。前記系列情報は該当パネルP1,P2が製品(車体)に適用される部位と溶接情報を特定するための固有識別情報(ID)として活用することができ、素材(材料)、厚さ、製作会社、入庫日のうち少なくとも一つを含むか またはこのような情報を有するデータとマッチすることができる。前記系列情報はサーバ200で管理されて溶接制御システム100に共有されてロード時にバーコード/タグにより認識される。
【0050】
超音波分析器120は超音波センサ110で受信された超音波測定信号をサンプリングしてリアルタイムで分析されたパネルP1,P2の溶接部位に対する超音波分析情報を溶接制御器130に伝送する。ここで、前記超音波分析情報はスポット溶接中に溶接部位で示される溶接状態情報ともいう。このような超音波分析情報(すなわち、溶接状態情報)は溶接制御器130の短時間に行われる超音波適応制御を支援するためにリアルタイム伝送タイミングが非常に重要であるといえる。
【0051】
例えば、
図3は本発明の実施形態による超音波分析器と溶接制御器の間の情報交換時期を示す図である。
【0052】
図4は本発明の実施形態による超音波分析器で分析されたB-SCAN情報を図示する。
【0053】
図3および
図4を参照すると、超音波分析器120は溶接の際に時間によって受信された超音波測定信号に基づいてパネル間の境界線(Steel to Steel Interface;SSI)、パネル間境界線の消滅地点(Steel to Steel Interface Disappearance;SSID)、溶接部位の熱量(α)、生成されたナゲット深さ(Liquid Penetration Depth;LPD)、溶融終了点(End Of Melting;EOM)の少なくとも一つの超音波分析情報を時系列で検出してリアルタイムで伝送する。
【0054】
たとえば、
図4を参照して前記超音波分析情報が有する意味を説明すると、次のとおりである。
【0055】
前記SSIは超音波により上部パネルP1と下部パネルP2の間の境界線が検出された時点を意味する。この時、前記境界線から上部パネルP1の実測した厚さが検出され得、これによりパネルの系列情報に応じた厚さと実測した厚さの誤差の有無を検証することができる。前記系列情報は該当パネルの溶接作業を特定するための情報であって固有識別情報(ID)、素材、厚さおよび適用部位のうち少なくとも一つを含むか またはこのような情報とマッチすることができる。
【0056】
前記SSIDは溶接部位に溶融が始まった時点を意味し、溶接部位で前記SSIが消えることが検出された時点をいう。前記SSIDはパネルの素材(材質) または厚さによって値が流動的に変更され得る。したがって、SSID値は溶接時の最終溶接時間を決定する制御因子として活用することができる。
【0057】
前記α値は電流に応じて溶接部位に発生する熱量を意味するチルト角である。超音波信号は熱量が高いほど信号が遅くなるので、前記α値の角度が大きくなるということは熱量が高まることを意味する。したがって、前記α値は過度な電流を制限して溶接火花が飛散するスパッタ(Spatter)の発生を予防する制御因子として活用することができる。
【0058】
前記LPDは溶融物が溶けた溶接接合部の深さであって溶接電流の中断および溶接時間を判断するために活用することができる。
前記溶融終了点(EOM)は溶接電流の中断による溶接熱の減少によって溶融が終了した時点を意味し、これによりパネルにかかっている電極11,12の加圧力が解除され得る。
【0059】
一方、超音波分析器120は溶接開始時点から溶接終了時点まで超音波B-SCANイメージと該当分析情報を生成し、生成された情報とB-SCANイメージを溶接制御器130に伝送する。これは溶接制御器130で当該スポット溶接の品質を判断するために活用することができる。さらに、パネルの微細な変化に応じて実施された適応制御コントロール情報と比較して適切性についてを検証/修正するデータとして活用することができる。
【0060】
溶接制御器130はパネルの系列情報に応じて設定された基本溶接制御値で適応溶接制御をする。超音波分析情報が溶接ガン10の溶接時間および電流をリアルタイムで補償するために超音波分析器120から追加情報として受信される。例えば、前記溶接時間および電流の補償は1ms単位で行われる。
【0061】
図5は本発明の実施形態による溶接制御器の細部構成を示す概略図である。
【0062】
図5を参照すると、本発明の実施形態による溶接制御器130は、通信モジュール131、情報収集モジュール132、タイマーモジュール133、電流変換モジュール134、保存モジュール135および制御モジュール136を含む。
【0063】
通信モジュール131は多チャンネル通信手段を含み、超音波分析器120およびサーバ200とそれぞれ通信する。
【0064】
情報収集モジュール132は溶接時に超音波分析器120で受信された超音波分析情報のメッセージの種類と受信時点を分析して分析されたデータを制御モジュール136に伝達する。また、情報収集モジュール132は溶接時にセンサにより溶接ガン10の電極11,12に実際に印加される電流/電圧値を収集して制御モジュール136に伝達する。
【0065】
タイマーモジュール133は溶接ガン10のスポット溶接作業時間をミリセカンド(ms)単位でカウントする。これにより、情報収集モジュール132は溶接開始時点から溶接終了時点までミリセカンド(ms)単位で時分割された超音波分析情報の受信時点を制御モジュール136に伝達することができる。
【0066】
電流変換モジュール134はスポット溶接のための電流を発生し、制御モジュール136で印加される信号に応じて溶接電流を変換する。
【0067】
保存モジュール135は、本発明の実施形態によるスポット溶接制御のための少なくとも一つのプログラムおよび設定データを保存し、溶接作業により生成される情報を保存する。前記設定データは溶接されるパネルの系列情報(ID)に応じた素材および厚さに合わせて可変設定された溶接制御器130の基本溶接制御値および該当溶接作業の溶接点位置情報を含む。
【0068】
制御モジュール136は、本発明の実施形態による溶接制御のための溶接制御器130の全般的な動作を制御する少なくとも一つのプロセッサで構成することができ、前記プログラムの実行および設定データにより溶接ガン10を制御する。
【0069】
制御モジュール136は溶接ロボット20の溶接作業のための機構学的位置制御情報を保存し、設定された個別作業に応じた溶接ロボット20の位置制御により溶接ガン10の移動および作動を制御する。
【0070】
制御モジュール136はコンベアによってロードされたパネルの系列情報(ID)を把握して超音波分析器120に伝送し、前記系列情報に応じた基本溶接制御値を設定した後に溶接作業を開示する。
【0071】
例えば、
図6は本発明の一実施形態による基本溶接制御値と超音波分析器で受信された超音波分析情報の例示を示す。
【0072】
また、
図7は前記
図6の超音波分析器で受信された情報に基づいて溶接時間と電流を補償する例示を示す。
【0073】
図6および
図7を参照すると、制御モジュール136は、パネルの系列情報(ID)に応じた溶接開始時の基本電流、基本電流増加率、電流増加開始時間、電流増加終了時間、基本溶接時間、最大溶接時間、時間増加開始時間および時間増加終了時間を含む基本溶接制御値を設定する。
【0074】
制御モジュール136は上で例示したシナリオの基本溶接制御値に基づいて溶接を行う場合、設定された基本電流である7.0Kaで溶接を開始する。
【0075】
制御モジュール136は溶接開始時点から30msが経過すると設定された基本電流増加率である10%だけ電流増加を開始する。
【0076】
この時、制御モジュール136は溶接時に超音波分析器120で検出されたSSIDが受信されると、
図7に示された溶接時間制御グラフ(A)のようにSSID受信時点の決定時間増加率(105%)を導き出す。そして、制御モジュール136は設定された基本溶接時間(200ms)に前記決定時間増加率(105%)を乗じて補償された最終溶接時間(210ms)を決定する(200ms*105%=210ms)。
【0077】
このように、制御モジュール136は系列情報に基づいて設定された基本溶接時間から超音波分析として検出された前記SSIDでの決定時間増加率だけ増えた溶接時間を補償する適応制御アルゴリズムを行って溶接不良を予防できる利点がある。
【0078】
また、制御モジュール136は溶接時超音波分析器120で検出されたα値が受信されると、
図7に示された電流制御グラフ(B)のように電流増加を制限し、現在の増加された電流を最大電流と決定し、決定された最大電流を残った溶接時間の間印加して溶接を終了する。この時、制御モジュール136は前記残った溶接時間(70ms)を前記最終溶接時間(210ms)からα値受信時間(140ms)を差し引きして算出する。 また、制御モジュール136は受信されたα値の角度が所定の臨界値角度に到達した時点に前記電流増加を制限し、前記最大電流を決定する。
【0079】
このように、制御モジュール136は溶接時の系列情報に基づいて設定された基本電流増加終了時間に到達しなくても超音波分析として検出された前記α値による過度な電流増加を制限することによってスパッタ(Spatter)の発生を予防する適応制御アルゴリズムを行って製品の表面が汚染されることを予防する利点がある。
【0080】
また、制御モジュール136は溶接時の超音波分析器120で受信されたLPDがパネルの厚さを考慮した基準大きさを満たすと溶接電流印加を中断する。
【0081】
また、制御モジュール136は溶接時に超音波分析器120でEOMが受信されるか または溶接電流の印加中断後に一定時間が経過すると、パネルにかかっている電極11,12の加圧力を解除して当該溶接を終了する。
【0082】
また、制御モジュール136は超音波分析器120から溶接作業時のB-SCANイメージを受信してLPDおよびEOMの検出の有無を把握して溶接品質を判断する。この時、前記LPDおよびEOMが検出され、該当パネルの素材と厚さによる基準を満たすと溶接品質を満たすと評価することができる。
【0083】
一方、前述した本発明の実施形態による溶接制御システム100の構成に基づいて適応制御アルゴリズムによる溶接制御方法について説明する。
【0084】
図8は本発明の実施形態による溶接制御方法を概略的に示す流れ図である。
【0085】
本発明の実施形態による溶接制御方法は、超音波分析器120と溶接制御器130が相互情報をやりとりする流れで図示されており、このような流れにより前述された溶接制御システム100の説明がより具体化することができる。また、説明の便宜上先立って説明した
図6および
図7のシナリオを参照して説明する。
【0086】
図8を参照すると、溶接制御器130はコンベアによってロードされたパネルP1,P2の系列情報を把握して前記系列情報にマッチした基本溶接制御値を設定する(S1)。溶接制御器130はサーバ200で割り当てられる作業情報とロードされた車体IDを識別して車体に適用されるパネルの系列情報を把握する。
【0087】
溶接制御器130は溶接ガン10をパネルの溶接点に移動し、前記基本溶接制御値に基づいて設定された基本電流を印加して溶接を開始する(S2)。同時に溶接制御器130は前記系列情報を超音波分析器120に伝送して溶接開始時点を同期化させる(S3)。
【0088】
この時、超音波分析器120は溶接制御器130で受信された系列情報をトリガー信号として超音波センサ110を作動する(S4)。超音波分析器120は前記系列情報に応じた該当パネルの素材および厚さを考慮した帯域周波数の超音波を発生させる。その後、超音波分析器120は超音波分析情報をリアルタイムで伝送する(S5)。ここで、SSID、α値、LPDおよびEOMなどの前記超音波分析情報は溶接部位の溶接状態や検出条件の敏感度によって検出されるか または検出されない。
【0089】
一方、溶接制御器130は前記溶接開始時点から所定の電流増加開始時間(30ms)に到達すると、設定された基本電流増加率(ex;10%)に応じた電流増加を開始する(S6)。
【0090】
溶接制御器130は超音波分析器120で検出されたSSIDが受信されると(S7の「はい」)、
図7の溶接時間制御グラフ(A)に示すように前記SSIDの受信時点に該当する決定時間増加率(105%)を導き出す(S8)。
【0091】
溶接制御器130は設定された基本溶接時間(200ms)に前記決定時間増加率(105%)を乗じて補償された最終溶接時間(210ms)を決定する(S9)。すなわち、前記基本溶接時間(200ms)が前記最終溶接時間(210ms)まで増えただけの前記基本電流増加率(ex;10%)に応じた電流増加が持続されるように溶接制御時間が変化する。
【0092】
溶接制御器130は超音波分析器120で検出されたα値が受信され(S7の「はい」)、受信された前記α値が所定の臨界値角度に到達すると(S11の「はい」)、前記電流増加を制限(中断)し、現在の増加された電流値を最大電流として決定する(S12)。ここで所定の臨界値角度に到達したα値は溶融が充分であることを示し、過度な電流増加はスパッタの発生につながるので、電流の適応制御アルゴリズムにより電流が制限されることができる。
【0093】
溶接制御器130は残った溶接時間(70ms)が経過して最終溶接時間に到達するまで電流増加なしに前記最大電流を維持するように溶接電流を制御し(S13の「いいえ」)、最終溶接時間到達すると(S13の「はい」)、溶接ガン10への電流供給を中断する(S14)。ここで、本発明の実施形態はこれに限定されず、溶接制御器130は超音波分析器120で検出されたLPDが受信され、受信されたLPDが溶接品質を満たすと判断されると直ちに溶接ガン10への電流供給を中断することもできる(S14)。
【0094】
溶接制御器130は前記電流供給を中断した後に一定の時間が経過するとパネルP1,P2にかかっている電極11,12の加圧力を解除して当該溶接を終了する(S16)。ここで、本発明の実施形態はこれに限定されず、溶接制御器130は超音波分析器120で検出されたEOMが受信されると直ちに溶接ガン10への電流供給を中断することもできる(S16)。
【0095】
一方、溶接制御器130は前記S7段階で前記SSIDが受信されない場合や(S7の「いいえ」)、S10段階で前記α値が受信されない場合(S10の「いいえ」)、前記各段階に該当する超音波適応制御アルゴリズムを行わず、基本溶接制御値基盤のノーマルな適応制御を行った後に溶接を終了する(S15,S16)。
【0096】
その後、
図8では省略したが、溶接制御器130は超音波分析器120から前記溶接制御によるB-SCANイメージを受信し、B-SCANイメージの超音波分析情報と超音波適応制御情報をマッチして保存モジュール135にDB化し、該当溶接品質および溶接制御の適切性ついて判定することができる。
【0097】
また、溶接制御器130は溶接情報に設定されたすべての溶接点に対する溶接作業が完了するまで溶接ガン10を移動させた後上記した溶接制御過程を繰り返す。
【0098】
このように、本発明の実施形態によれば、溶接時の溶接部位の超音波分析情報をリアルタイムで受信してパネルで適応制御アルゴリズムにより溶接時間と電流を補償することによって溶接不良を予防して堅固な溶接品質の製品を製作できる効果がある。
【0099】
また、パネルの発熱量を示すα値を超音波的にモニタリングすることによって過度な電流増加を制限してスパッタの発生を予防する効果がある。
【0100】
本発明の実施形態は、以上で説明した装置および/ または方法だけによって実現されるものではなく、本発明の実施形態の構成に対応する機能を実現するためのプログラム、そのプログラムが記録された記録媒体等により実現することもでき、このような実現は先立って説明した実施形態の記載から本発明が属する技術分野の専門家であれば容易に実現することができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。