(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】コンテナ折り畳み装置
(51)【国際特許分類】
B65B 61/00 20060101AFI20240426BHJP
B65D 6/18 20060101ALN20240426BHJP
【FI】
B65B61/00
B65D6/18 D
(21)【出願番号】P 2020081621
(22)【出願日】2020-05-02
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】591212408
【氏名又は名称】中洲電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇野 強
(72)【発明者】
【氏名】宇野 政幸
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-140795(JP,A)
【文献】特開2006-192491(JP,A)
【文献】特開平06-278726(JP,A)
【文献】特開2015-000732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 61/00
B65D 6/00
B65D 88/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み形態および箱形態に相互に変形する折り畳み式のコンテナを折り畳むためのコンテナ折り畳み装置であって、
前記コンテナは、底壁と、内側に開口を有し、前記折り畳み形態において前記底壁上に載置される天枠と、前記底壁の横辺及び前記天枠の横辺に上端縁および下端縁がそれぞれ回動式に連結されるとともに、上端縁および下端縁の間で内側にのみ自在に屈折可能とするヒンジ部を有する一対の第1側壁と、前記天枠の縦辺に回動式に上端縁が連結されるとともに下端縁に自由端を有し、前記折り畳み形態において内面が前記天枠の開口から上方に臨むように折り込まれる一対の第2側壁とを備え、前記折り畳み形態から前記箱形態に変形する際、前記第1側壁が直状に延伸するとともに、前記第2側壁が外側に押圧されて前記第1側壁及び前記底壁に対して嵌着されるように構成されるものであり、
前記コンテナ折り畳み装置は、
主フレームと、
前記主フレームに可動式に連結され、前記第2側壁の前記第1側壁および前記底壁に対する嵌着を解除するように前記一対の第2側壁を内側に押し出すための第1押圧片と、
前記主フレームに可動式に連結され、前記第2側壁を上方に回動させ、前記第2側壁を折り畳み位置に支持するための回動支持片と、
前記主フレームに可動式に連結され、前記ヒンジ部を屈折させるように前記一対の第1側壁を内側に押し出すための第2押圧片と、
前記第1押圧片、前記第2押圧片および前記回動支持片を連動して駆動し、且つ、前記第1押圧片、前記第2押圧片および前記回動支持片を初期位置に付勢する駆動機構と、
前記主フレームに可動式に連結され、前記駆動機構を駆動させるように所定の操作量で操作されるハンドル部材と、を備え、
前記ハンドル部材を第1操作量、第2操作量および第3操作量で順次操作して、初期位置に復帰させることによって前記コンテナを折り畳むように動作可能であり、
前記ハンドル部材が第1操作量で操作されたときに、前記第1押圧片が前記一対の第2側壁を内側に押し出し可能な位置に変位し、
前記ハンドル部材が第2操作量で操作されたときに、前記回動支持片が前記一対の第2側壁を折り畳み形態に支持可能な位置に変位し、
前記ハンドル部材が第3操作量で操作されたときに、前記第2押圧片が前記一対の第1側壁を押し出し可能な位置に変位することを特徴
とし、
前記主フレームは、前記箱形態のコンテナを縦方向から挟み込むように配置され、高さ方向に延在する一対の脚部フレームと、前記一対の脚部フレームの上端に連結し、前記コンテナの縦辺に沿って延びる縦フレームとを有し、前記箱形態のコンテナを縦方向から跨ぐように構成されており、
前記一対の脚部フレームの下端近傍に前記第1押圧片が設けられ、前記第1押圧片よりも高い位置に前記回動支持片が設けられていることを特徴とするコンテナ折り畳み装置。
【請求項2】
折り畳み形態および箱形態に相互に変形する折り畳み式のコンテナを折り畳むためのコンテナ折り畳み装置であって、
前記コンテナは、底壁と、内側に開口を有し、前記折り畳み形態において前記底壁上に載置される天枠と、前記底壁の横辺及び前記天枠の横辺に上端縁および下端縁がそれぞれ回動式に連結されるとともに、上端縁および下端縁の間で内側にのみ自在に屈折可能とするヒンジ部を有する一対の第1側壁と、前記天枠の縦辺に回動式に上端縁が連結されるとともに下端縁に自由端を有し、前記折り畳み形態において内面が前記天枠の開口から上方に臨むように折り込まれる一対の第2側壁とを備え、前記折り畳み形態から前記箱形態に変形する際、前記第1側壁が直状に延伸するとともに、前記第2側壁が外側に押圧されて前記第1側壁及び前記底壁に対して嵌着されるように構成されるものであり、
前記コンテナ折り畳み装置は、
主フレームと、
前記主フレームに可動式に連結され、前記第2側壁の前記第1側壁および前記底壁に対する嵌着を解除するように前記一対の第2側壁を内側に押し出すための第1押圧片と、
前記主フレームに可動式に連結され、前記第2側壁を上方に回動させ、前記第2側壁を折り畳み位置に支持するための回動支持片と、
前記主フレームに可動式に連結され、前記ヒンジ部を屈折させるように前記一対の第1側壁を内側に押し出すための第2押圧片と、
前記第1押圧片、前記第2押圧片および前記回動支持片を連動して駆動し、且つ、前記第1押圧片、前記第2押圧片および前記回動支持片を初期位置に付勢する駆動機構と、
前記主フレームに可動式に連結され、前記駆動機構を駆動させるように所定の操作量で操作されるハンドル部材と、を備え、
前記ハンドル部材を第1操作量、第2操作量および第3操作量で順次操作して、初期位置に復帰させることによって前記コンテナを折り畳むように動作可能であり、
前記ハンドル部材が第1操作量で操作されたときに、前記第1押圧片が前記一対の第2側壁を内側に押し出し可能な位置に変位し、
前記ハンドル部材が第2操作量で操作されたときに、前記回動支持片が前記一対の第2側壁を折り畳み形態に支持可能な位置に変位し、
前記ハンドル部材が第3操作量で操作されたときに、前記第2押圧片が前記一対の第1側壁を押し出し可能な位置に変位することを特徴とし、
前記駆動機構は、
前記ハンドル部材に連結され、前記ハンドル部材の操作量に応じた移動量で前記主フレームに対して相対移動する駆動フレームと、
前記駆動フレームを初期位置へと付勢する弾性部材と、を備えることを特徴とするコンテナ折り畳み装置。
【請求項3】
前記主フレームには、前記縦フレームと直交するように前記コンテナの横辺に沿って延在し、前記コンテナの横辺の長さよりも長尺な横フレームが回動式に連結され、前記横フレームは、横方向に延伸する回転軸を中心に回動するように構成され、
前記横フレームの両端には、前記横フレームに直交するように延びる前記第2押圧片が回動式に連結されており、前記第2押圧片は、横方向の内側に回動するように変位可能であり、
前記ハンドル部材が初期位置にあるとき、前記第2押圧片が前記コンテナの高さよりも高い位置に支持され、
前記ハンドル部材が前記第1操作量または前記第2操作量で操作されたときに、前記横フレームが回転軸を中心に回動して、前記第2押圧片が前記コンテナの前記第1側壁に対向する位置に支持され、
前記ハンドル部材が前記第3操作量で操作されたときに、前記第2押圧片が前記横フレームに対して内側に回動するように変位することを特徴とする請求項
1に記載のコンテナ折り畳み装置。
【請求項4】
前記ハンドル部材は、上から下へと押し下げるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のコンテナ折り畳み装置。
【請求項5】
前記駆動機構は、
前記ハンドル部材に連結され、前記ハンドル部材の操作量に応じた移動量で前記主フレームに対して相対移動する駆動フレームと、
前記駆動フレームを初期位置へと付勢する弾性部材と、を備えることを特徴とする請求項1
または3に記載のコンテナ折り畳み装置。
【請求項6】
前記第1押圧片および前記第2押圧片は、先端にベアリングを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のコンテナ折り畳み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み形態および箱形態に相互に変形する折り畳み式のコンテナを折り畳むためのコンテナ折り畳み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を収納して運搬するために、筐体の壁が板状に折り重なった折り畳み形態から筐体状の筺形態へ変形する折り畳み式コンテナ(
図21乃至
図23参照)が使用されている。この折り畳み式コンテナは、不使用時に折り畳み積み重ねることでスペースを節約でき、尚且つ、ビス等を用いることなく簡易に組立および折り畳みが可能であることから、工場のラインなど、種々の用途において活用されている。
【0003】
特許文献1は、折り畳み式コンテナの自動組立機を開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。自動組立機では、折り畳み積み重ねたコンテナ(1)の両側面を、搬入装置(9)で図中左方向に搬入した後、下送り装置(29)によって保持し下方へ送り、下端のコンテナを側板等の自重によって概略伸長させる。そして、プッシュ装置(54)で第1の側板(3)を内側から押し完全に伸長させる。この状態でコンテナ(1)を搬送ベルト(57)で搬送し、拡開装置(67)を侵入させて第2の側板(4)を押して拡開する。これによりコンテナ(1)が組み立てられる。即ち、拡開装置(67)において、上方向に設けられたシリンダ(69)のロッド(71)の先端には1対の回動アーム(73)が設けられ、各回動アーム(73)の先端にローラ(75)が取り付けられている。1対の回動アーム(73)は互いの角度が所定角度よりも小さくならないようにするためのストッパを備えており、通常はローラ(75)及び回動アーム(73)の自重によりこの所定の角度に閉じられている。また、ローラ(75)がコンテナ(1)の底板(5)に接触すると、回動アーム(73)は角度が大きくなる方向に自在に回動するようになっている。このローラ(75)及び回動アーム(73)は、前記シリンダ(69)によりコンテナ内に侵入できる位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来の自動組立機(コンテナ組立装置)では、下送り装置によって保持し下方へ送り、下端のコンテナを側板等の自重によって伸長させた上で、拡開装置を侵入させ、ローラをコンテナの底板に接触させ、回動アームを角度が大きくなる方向に回動させることで第2の側板を押して拡開することにより、コンテナを組み立てる。このようなコンテナを組み立てる装置については従来開発されている一方で、箱形態のコンテナから折り畳み形態へとコンテナを折り畳むための手動式の治具はあまり開発されていない。そこで、本発明は、簡易な構造を有し、手動操作でコンテナを折り畳むことを可能とするコンテナ折り畳み装置を提供することを課題とした。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡易な構造を有し、折り畳み式コンテナを折り畳むことを可能とするコンテナ折り畳み装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態のコンテナ折り畳み装置は、折り畳み形態および箱形態に相互に変形する折り畳み式のコンテナを折り畳むためのコンテナ折り畳み装置であって、
前記コンテナは、底壁と、内側に開口を有し、前記折り畳み形態において前記底壁上に載置される天枠と、前記底壁の横辺及び前記天枠の横辺に上端縁および下端縁がそれぞれ回動式に連結されるとともに、上端縁および下端縁の間で内側にのみ自在に屈折可能とするヒンジ部を有する一対の第1側壁と、前記天枠の縦辺に回動式に上端縁が連結されるとともに下端縁に自由端を有し、前記折り畳み形態において内面が前記天枠の開口から上方に臨むように折り込まれる一対の第2側壁とを備え、前記折り畳み形態から前記箱形態に変形する際、前記第1側壁が直状に延伸するとともに、前記第2側壁が外側に押圧されて前記第1側壁及び前記底壁に対して嵌着されるように構成されるものであり、
前記コンテナ折り畳み装置は、
主フレームと、
前記主フレームに可動式に連結され、前記第2側壁の前記第1側壁および前記底壁に対する嵌着を解除するように前記一対の第2側壁を内側に押し出すための第1押圧片と、
前記主フレームに可動式に連結され、前記第2側壁を上方に回動させ、前記第2側壁を折り畳み位置に支持するための回動支持片と、
前記主フレームに可動式に連結され、前記ヒンジ部を屈折させるように前記一対の第1側壁を内側に押し出すための第2押圧片と、
前記第1押圧片、前記第2押圧片および前記回動支持片を連動して駆動し、且つ、前記第1押圧片、前記第2押圧片および前記回動支持片を初期位置に付勢する駆動機構と、
前記主フレームに可動式に連結され、前記駆動機構を駆動させるように所定の操作量で操作されるハンドル部材と、を備え、
前記ハンドル部材を第1操作量、第2操作量および第3操作量で順次操作して、初期位置に復帰させることによって前記コンテナを折り畳むように動作可能であり、
前記ハンドル部材が第1操作量で操作されたときに、前記第1押圧片が前記一対の第2側壁を内側に押し出し可能な位置に変位し、
前記ハンドル部材が第2操作量で操作されたときに、前記回動支持片が前記一対の第2側壁を折り畳み形態に支持可能な位置に変位し、
前記ハンドル部材が第3操作量で操作されたときに、前記第2押圧片が前記一対の第1側壁を押し出し可能な位置に変位することを特徴とする。
【0008】
本発明の一形態のコンテナ折り畳み装置によれば、ハンドル部材が第1操作量で操作されたときに、第1押圧片でコンテナの第2側壁を押し出して、コンテナの側壁および底壁間の嵌合が解除される。次に、ハンドル部材が第2操作量で操作されたときに、回動支持片が回動して第2側壁が天枠の位置まで持ち上げられて支持される。第2側壁が折り畳み位置に支持されることで、第1側壁が第2側壁と干渉することなく内側へと折れ曲がることが可能となる。次いで、ハンドル部材が第3操作量で操作されたときに、第2押圧片が第1側壁の外面に作用して第1側壁がヒンジ部を介して折れ曲がる。この形態では、コンテナは、回動支持片の支えによって立姿勢を維持しているにすぎない。そして、ハンドル部材の操作が解除されると、第1押圧片、第2押圧片および回動支持片が初期位置に復帰すると同時に、回動支持片の支えがなくなり、コンテナが自重で折り畳まれる。すなわち、本発明のコンテナ折り畳み装置は、ハンドル部材を第1操作量、第2操作量および第3操作量で順次操作して初期位置に復帰させるという単純な操作で、第1押圧片、回動支持片および第2押圧片を適切な順番で駆動させ、コンテナを折り畳むことができる。
【0009】
本発明のさらなる形態のコンテナ折り畳み装置は、前記主フレームは、前記箱形態のコンテナを縦方向から挟み込むように配置され、高さ方向に延在する一対の脚部フレームと、前記一対の脚部フレームの上端に連結し、前記コンテナの縦辺に沿って延びる縦フレームとを有し、前記箱形態のコンテナを縦方向から跨ぐように構成されており、
前記一対の脚部フレームの下端近傍に前記第1押圧片が設けられ、前記第1押圧片よりも高い位置に前記回動支持片が設けられていることを特徴としてもよい。すなわち、第1押圧片で第2側壁の下端側を押し出すことにより、第2側壁および底壁の嵌合を効果的に解除することができる。
【0010】
本発明のさらなる形態のコンテナ折り畳み装置は、前記主フレームには、前記縦フレームと直交するように前記コンテナの横辺に沿って延在し、前記コンテナの横辺の長さよりも長尺な横フレームが回動式に連結され、前記横フレームは、横方向に延伸する回転軸を中心に回動するように構成され、
前記横フレームの両端には、前記横フレームに直交するように延びる前記第2押圧片が回動式に連結されており、前記第2押圧片は、横方向の内側に回動するように変位可能であり、
前記ハンドル部材が初期位置にあるとき、前記第2押圧片が前記コンテナの高さよりも高い位置に支持され、
前記ハンドル部材が前記第1操作量または前記第2操作量で操作されたときに、前記横ハンドルが回転軸を中心に回動して、前記第2押圧片が前記コンテナの前記第1側壁に対向する位置に支持され、
前記ハンドル部材が前記第3操作量で操作されたときに、前記第2押圧片が前記横フレームに対して内側に回動するように変位することを特徴としてもよい。すなわち、ハンドル部材が初期位置にあるとき、第2押圧片がコンテナの高さよりも高い位置に退避しているので、コンテナを横方向から差し込み、縦フレームおよび横フレームの下に容易に配置することができる。そして、ハンドル部材の操作によって、第2押圧片が第1側壁に対向する位置に移動して第1側壁を押し出すことが可能となる。
【0011】
本発明のさらなる形態のコンテナ折り畳み装置は、前記ハンドル部材は、上から下へと押し下げるように構成されていることを特徴としてもよい。すなわち、ユーザーはハンドル部材を押し下げるという簡単な操作だけでコンテナを折り畳むことができる。
【0012】
本発明のさらなる形態のコンテナ折り畳み装置は、前記ハンドル部材に連結され、前記ハンドル部材の操作量に応じた移動量で前記主フレームに対して相対移動する駆動フレームと、
前記駆動フレームを初期位置へと付勢する弾性部材と、を備えることを特徴としてもよい。すなわち、駆動機構を駆動フレームおよび弾性部材からなる簡易な構造とすることができる。
【0013】
本発明のさらなる形態のコンテナ折り畳み装置は、前記第1押圧片および前記第2押圧片は、先端にベアリングを備えることを特徴としてもよい。すなわち、第1押圧片および第2押圧片が滑らかにコンテナの側壁に当接し、側壁が傷付くことが防止される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のコンテナ折り畳み装置は、簡易な構造を有し、簡易な操作でコンテナを折り畳むことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態のコンテナ折り畳み装置の上方からみた概略斜視図。
【
図2】
図1のコンテナ折り畳み装置の下方からみた概略斜視図。
【
図7】
図5のコンテナ折り畳み装置のA-A断面図。
【
図8】
図5のコンテナ折り畳み装置のB-B断面図。
【
図9】
図8のコンテナ折り畳み装置の部分拡大断面図。
【
図10】
図8のコンテナ折り畳み装置の部分拡大断面図。
【
図11】
図1のコンテナ折り畳み装置において、ハンドル部材を第1操作量で操作したときの第1形態を示す模式図。
【
図12】
図11のコンテナ折り畳み装置において、ハンドル部材を第1操作量で操作したときの第1押圧片の動作を示す部分模式図。
【
図13】
図1のコンテナ折り畳み装置において、ハンドル部材を第2操作量で操作したときの第2形態を示す模式図。
【
図14】
図13のコンテナ折り畳み装置において、ハンドル部材を第2操作量で操作したときの回動支持片の動作を示す部分模式図。
【
図15】
図1のコンテナ折り畳み装置において、ハンドル部材を第3操作量で操作したときの第3形態を示す模式図。
【
図16】
図15のコンテナ折り畳み装置において、ハンドル部材を操作したときの横フレームおよび第2押圧片の前段動作を示す部分模式図。
【
図17】
図15のコンテナ折り畳み装置において、ハンドル部材を操作したときの横フレームおよび第2押圧片の後段動作を示す部分模式図。
【
図18】本発明のコンテナ折り畳み装置の別実施形態の第1押圧片を示す模式図。
【
図19】
図18の第1押圧片が回動動作した形態を示す模式図。
【
図20】
図19の第1押圧片がさらに回動動作した形態を示す模式図。
【
図21】本発明の一実施形態で例示される折り畳み式のコンテナの箱形態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、上下左右方向は、相互に入れ替えて解釈されてもよい。さらに、一部の図面は、説明の便宜上、バネ等の構成部材が省略されることなどによって模式的に表されている。
【0017】
本実施形態のコンテナ折り畳み装置100は、折り畳み形態および箱形態に相互に変形する折り畳み式のコンテナを折り畳む用途に用いられる。ここで、折り畳み式コンテナは、搬送などで一般的に使用されるものであるが、限定を目的とせず、
図21乃至
図23のコンテナ10として例示される。本発明の対象とする折り畳み式のコンテナは、コンテナ10の形態に限定されるものではない。
【0018】
図21に示すとおり、箱状のコンテナ10は、矩形板状の底壁11と、該底壁11に対向配置され、内側に開口を有する天枠12と、底壁11横辺および天枠12横辺の間で互いに対向する一対の第1側壁13と、底壁11縦辺および天枠12縦辺の間で互いに対向する一対の第2側壁14とを備える。コンテナ10は、
図21に示す上方に開口した筐体状の箱形態から、
図22に示す変形途中の形態を経て、
図23に示す板状に折り重なった折り畳み形態へと相互に変形可能である。
図22に示すように、一対の第1側壁13は、底壁11の横辺及び天枠12の横辺に上端縁および下端縁がそれぞれ回動式に連結されるとともに、上端縁および下端縁の間で内側にのみ自在に屈折可能とするヒンジ部13aを有する。また、
図22に示すように、一対の第2側壁14は、天枠12の縦辺に回動式に上端縁が連結されるとともに下端縁に自由端を有する。また、第2側壁14の両側端縁および下端縁には、一対の第1側壁13の側端縁および底壁11の縦辺に嵌着される嵌合部15がそれぞれ設けられている。なお、
図22において、第1側壁13が部分的に屈折している場合、第2側壁14が第1側壁13の上端縁に当接することから、第2側壁14は底壁11側に回動しない。
【0019】
図21の箱形態のコンテナ10では、一対の第2側壁14が直状の第1側壁13および底壁11の少なくとも一方に対して固着することによって、コンテナ10が箱状を維持している。また、
図23の折り畳み形態のコンテナ10では、底壁11の上に天枠12が載置されている。そして、該天枠12の開口の内側で、一対の第1側壁13がヒンジ部13aを介して内側に「く」字状に屈折して折り畳まれ、且つ、折り畳まれた第1側壁13の上方で、一対の第2側壁14が、その内面が天枠12の開口から上方に臨むように折り込まれている。また、コンテナ10の折り畳み形態において、一対の第2側壁14の下端縁が互いに離隔し、これらの間には縦方向に延びる凹部16が形成されている。そして、
図21乃至
図23に示すように、折り畳み形態から箱形態にコンテナ10が変形する際、第1側壁13が屈折した状態から直状に延伸するとともに、第2側壁14が外側に押圧されて第1側壁13及び/又は底壁11に対して嵌合部15を介して嵌着される。折り畳み動作は、当該組立動作の逆である。
【0020】
図1乃至
図10を参照して、本実施形態のコンテナ折り畳み装置100の構成について説明する。
図1は、コンテナ折り畳み装置100の上方から見た概略斜視図である。
図2は、コンテナ折り畳み装置100の下方から見た概略斜視図である。
図3は、コンテナ折り畳み装置100の正面図である。
図4は、コンテナ折り畳み装置100の側面図である。
図5は、コンテナ折り畳み装置100の平面図である。
図6は、コンテナ折り畳み装置100の底面図である。
図7は、コンテナ折り畳み装置100のA-A断面図である。
図8は、コンテナ折り畳み装置100のB-B断面図である。
図9および
図10は、
図8の部分拡大図である。なお、
図1乃至
図10は、コンテナ折り畳み装置100の各構成要素が初期位置にある初期形態を示している。
【0021】
図1乃至
図8に示すように、コンテナ折り畳み装置100は、主フレーム101と、該主フレーム101に対して回動式に連結された横フレーム102と、該主フレーム101に対して可動式に支持された駆動フレーム110と、主フレーム101と駆動フレーム110とを連結するハンドル部材104とを備える。また、コンテナ折り畳み装置100は、該主フレーム101に可動式に連結された第1押圧片105と、該主フレーム101に可動式に連結された回動支持片106と、該主フレーム101に可動式に連結された第2押圧片107とをさらに備える。駆動フレーム110は、駆動機構として、ハンドル部材104に入力された力を伝達し、第1押圧片105、第2押圧片107および回動支持片106を連動して駆動し、且つ、第1押圧片105、第2押圧片107および回動支持片106を初期位置に付勢するように構成されている。
【0022】
主フレーム101は、種々の可動要素が組み付けられる固定フレームである。主フレーム101は、箱形態のコンテナ10を縦方向から跨ぐように構成されたコ字形状を有している。主フレーム101は、コンテナ10の縦辺に沿って延びる縦フレーム101aと、縦フレーム101aの両端から下方に略直角に延在する一対の脚部フレーム101b,101bと、縦フレーム101aの略中央に固着し、所定の面積で延在する基板101cとを有する。縦フレーム101aは、少なくともコンテナ10の横辺よりも長い長さを有する。縦フレーム101aは、一対の脚部フレーム101b,101bの上端に連結する。脚部フレーム101bは、箱形態のコンテナ10を縦方向から挟み込むように高さ方向に延在する。また、脚部フレーム101bは、少なくともコンテナ10の高さよりも大きい長さを有する。各脚部フレーム101bの下部には、走行ローラ101dが形成されている。そして、各脚部フレーム101bの下端には、底板101eが形成されている。走行ローラ101dは、底板101eの上下に位置調整可能に固定されている。これにより、コンテナ折り畳み装置100を移動させる際には、走行ローラ101dを接地させ、コンテナ折り畳み装置100を位置決めした後には、底板101eを接地させることが可能となる。
【0023】
駆動フレーム110は、主フレーム101に対してハンドル部材104を介して上下方向に相対移動するように連結されている。駆動フレーム110は、ハンドル部材104からの操作を各可動要素に伝達する駆動機構として機能する。駆動フレーム110は、主フレーム101の縦フレーム101aの上方で縦方向に延在する上部フレーム110aと、該上部フレーム110aの両端部から下方に略直角に延在する一対の側部フレーム110bとを有する。各側部フレーム110bは、脚部フレーム101bの横方向の内側に位置し、脚部フレーム101bに対して高さ方向にスライドするように配置されている。すなわち、側部フレーム110bは、脚部フレーム101bによって高さ方向の移動がガイドされる。
【0024】
また、駆動フレーム110は、一対の第1押圧片105に力を伝達するための第1伝達部111、一対の回動支持片106に力を伝達するための第2伝達部112、横フレーム102に力を伝達するための第3伝達部113、および、一対の第2押圧片106に力を伝達するための第4伝達部114を備える。第1伝達部111は、
図8および
図9に示すように、各側部フレーム110bの下端に設けられ、第1押圧片105を連結する回動軸である。第2伝達部112は、
図8および
図9に示すように、側部フレーム110bの中央近傍に設けられたベアリングである。第3伝達部113は、
図8および
図10に示すように、上部フレーム110aの中央から下方に延びる部分の下端に設けられたベアリングである。第4伝達部114は、
図8に示すように、上部フレーム110aの頂壁下面である。
【0025】
横フレーム102は、主フレーム101の縦フレーム101aに対して直交するように横方向に沿って延在する長尺板である。横フレーム102は、コンテナ10の横辺の長さよりも長尺である。また、横フレーム102は、基板101cに固定されたヒンジ102bを介して、縦フレーム101aの下面に回動式に連結されている。これにより、横フレーム102は、横方向に延伸する回転軸を中心に回動するように構成されている。この横フレーム102は、図示のように、初期位置において板表面が上方を向く姿勢をとる。横フレーム102は、該横フレーム102と主フレーム101(基板101c)とに接続された第3弾性部材(ばね)117によって初期位置に付勢されている。また、
図10に示すように、横フレーム102には、矩形板状の被駆動部102aが設けられている。この被駆動部102aは、ハンドル部材104の操作に従って動作する駆動フレーム110のベアリング状の第3伝達部113を受けるように構成されている。すなわち、第3伝達部113が下方に移動すると、被駆動部102aを介して、横フレーム102が、板表面を側方に向けるように回動軸を中心に傾動する(
図16参照)。
【0026】
ハンドル部材104は、横方向に延在する長尺のレバー104a、および、該レバー104aの一端に設けられたユーザーが把持するためのハンドル部104bを有する。ハンドル部材104のレバー104aの他端は、主フレーム101の基板101cに対して、回動軸104cを介して回動式に連結されている。また、ハンドル部材104のレバー104aは、駆動フレーム110の上部フレーム110aから上方に延び出る部分に回動軸104dを介して軸支されている。すなわち、ハンドル部材104は、主フレーム101および駆動フレーム110の両方に回動式に連結されている。このハンドル部材104の操作により、主フレーム101に対して駆動フレーム110を相対的に移動させることが可能となる。
【0027】
より具体的には、ハンドル部材104のハンドル部104bをユーザーが下方に力を加えて押し下げると、レバー104aの基端を支点軸としてハンドル部材104が主フレーム101に対して回動する。ハンドル部材104の回動に伴って、駆動フレーム110の上部フレーム110aに下方の力が伝達され、駆動フレーム110が主フレーム110に対して下方に相対移動する。そして、ハンドル部材104の操作量に応じて、駆動フレーム110の主フレーム110に対する移動量が決定される。本実施形態のコンテナ折り畳み装置100は、ハンドル部材104の操作量に応じて各構成要素を順次的に駆動させるように構成されている。
【0028】
主フレーム101の一対の脚部フレーム101b,101bの下端近傍には、一対の第1押圧片105,105が設けられている。一対の第1押圧片105,105は、コンテナ10の第2側壁14の第1側壁13および底壁11に対する嵌着を解除するように一対の第2側壁14,14を内側に押し出すように構成されている。各第1押圧片105は、主フレーム101の脚部フレーム101bに回動式に連結されている。
【0029】
より具体的には、第1押圧片105は、
図8および
図9に示すように、アーム部105a,リンク片105bおよび押圧部105cを備える。アーム部105aは、その基端で駆動フレーム110(側部フレーム110b)の下端の第1伝達部111に回動式に連結されている。換言すれば、アーム部105aの基端が被駆動部である。アーム部105aの先端には、ベアリング状の押圧部105cが着設されている。また、リンク片105bの基端が、脚部フレーム101bに回動式に連結されている。そして、リンク片105bの先端がアーム部105aの略中央に回動式に連結されている。当該リンク機構によって、第1押圧片105は、アーム部105aの基端が下方に下がると、押圧部105cが上方且つ内側に変位するように構成されている。そして、押圧部105cは、コンテナ10の第2側壁14の底面側(半分の高さ位置よりも下方側)を押し出すように位置している。
【0030】
また、アーム部105aの基端または第1伝達部(回動軸)111は、第1弾性部材(ばね)115を介して主フレーム101に連結されている。この第1弾性部材115の弾性復帰力によって、アーム部105aの基端または第1伝達部111が上方に付勢されている。その結果、第1押圧片105は、押圧部105cが縦方向外側に後退した初期位置に付勢されている。なお、第1押圧片105は、初期位置にあるとき、主フレーム101直下に載置されたコンテナ10の第2側壁14に当接しない位置に配置される。
【0031】
主フレーム101の一対の脚部フレーム101b,101bには、一対の回動支持片106,106が設けられている。一対の回動支持片106,106は、コンテナ10の第2側壁14を上方に回動させ、該第2側壁14を折り畳み位置に支持するように構成されている。各回動支持片106は、脚部フレーム101bの第1押圧片105よりも高い位置に支持され、脚部フレーム101bに回動式に連結されている。
【0032】
より具体的には、回動支持片106は、
図8および
図9に示すように、L字状のアーム部106aと、被駆動部106bと、支持部106cとを備える。アーム部106aは、高さ方向に延びる部位と、縦方向内側に延びる部位とがL字状に屈曲した形状を有する。被駆動部106bは、角筒状に構成され、ベアリング状の第2伝達部112を受ける上面を有している。また、被駆動部106bは、縦方向内側の端部側で脚部フレーム101bに回動軸を介して連結されている。被駆動部106bは、縦方向外側の端部でアーム部106aの基端(上端)に固定されている。また、アーム部106aの先端には、ローラ状の支持部106cが設けられている。支持部106cは、押圧部105b,107cを構成するベアリングよりも大径のローラから形成され、コンテナ10の第2側壁14をより支持し易い形状を有している。また、支持部106cは、コンテナ10の第2側壁14の略中央部位に対向するように配置される。
【0033】
また、被駆動部106bは、その略中央部分において第2弾性部材116を介して脚部フレーム101bに連結されている。この第2弾性部材116の弾性復帰力によって、被駆動部106bが上方に付勢されている。その結果、回動支持片106は、支持部106cが縦方向外側に後退した初期位置に付勢されている。なお、回動支持片106は、初期位置にあるとき、主フレーム101直下に載置されたコンテナ10の第2側壁14に当接しない位置に配置される。
【0034】
横フレーム102の両端には、横フレーム102と直交するように一対の第2押圧片107,107が設けられている。
図6に示すように、一対の第2押圧片107,107は、横フレーム102の両端に回動式に連結されている。そして、一対の第2押圧片107,107は、横フレーム102に併設された伝達リンク108によって、横方向内側に変位するように構成されている。
【0035】
より具体的には、第2押圧片107は、直状に延びるアーム部107a、および、該アーム部107aの先端に設けられたベアリング状の押圧部107bを備える。アーム部107aの長さは、押圧部107bがコンテナ10の第1側壁13のヒンジ部13aを押圧可能であるように定められることが好ましい。また、アーム部107aには、基端に回動孔、および、該基端から離隔した位置に長孔が形成されている。アーム部107aの長孔を介して、アーム部107aが横フレーム102の端部に軸支されている。すなわち、横フレーム102の回動軸は、アーム部107aの長孔内で遊動することができる。他方、アーム部107aの基端は、駆動フレーム110からの力を伝達するための伝達リンク108に回動式に連結されている。
【0036】
伝達リンク108は、
図6、
図15および
図17に示すように、横フレーム102の中央で直交方向に延在する被駆動片108aと、横フレーム102に併設された一対の第1リンク片108b,108bと、該一対のリンク片108b,108bを被駆動片108aに連結する一対の第2リンク片108c,108cとから構成される。各第1リンク片108bは、横フレーム102の横方向外側に延在し、横フレーム102に対して横方向に相対移動可能に保持されている。また、各第1リンク片108bの先端には、アーム部107aの基端が回動軸を介して連結されている。そして、一対の第1リンク片108b,108bの基端は、一対の第2リンク片108c,108cを介して被駆動片108aに回動式に連結されている。特には、一対の第2リンク片108c,108cの先端が一対の第1リンク片108b,108bの基端に回動式に連結されている一方で、一対の第2リンク片108c,108cの基端が被駆動片108aに対して共通の回動軸によって軸支されている。すなわち、この伝達リンク108において、被駆動片108aが(横フレーム102の直交する方向に)上下にスライドすることにより、一対の第2リンク片108c,108cを介して、一対の第1リンク片108b,108bが横方向に向けて互いに近接または離隔する方向に移動する。そして、一対の第1リンク片108b、108bが横フレーム102に対して外側に相対移動することにより、一対の押圧片107,107が横方向内側に傾動し、コンテナ10の第1側壁13を押し出し可能な位置に変位する。
【0037】
そして、一対の第1リンク片108b,108bの基端は、第4弾性部材(ばね)118によって接続されている。この第4弾性部材118の弾性復帰力によって、一対の第1リンク片108b,108bの基端が、互いに近接する方向に付勢されている。その結果、第2押圧片107,107は、横方向外側に後退した初期位置に付勢されている。なお、第2押圧片107は、初期位置にあるとき、主フレーム101直下に載置されたコンテナ10の第1側壁13に当接しない位置に配置される。
【0038】
上述の各構成要素の説明の踏まえ、コンテナ折り畳み装置100がコンテナ10を折り畳む動作について、ハンドル部材104の操作量に応じた段階ごとに説明する。コンテナ折り畳み装置100は、ハンドル部材104を第1操作量、第2操作量および第3操作量で順次操作して、初期位置に復帰させることによって前記コンテナ10を折り畳むように動作可能である。説明の便宜上、ハンドル部材104の操作は、駆動機構の形態の変化に応じて第1操作量、第2操作量および第3操作量として分類されたが、ハンドル部材104が一度に押し下げ操作されてもよいことはいうまでもない。
【0039】
まず、コンテナ10は、コンテナ折り畳み装置100の主フレーム101の下方において、縦フレーム101aとコンテナ10の縦辺が一致するように配置される。この配置工程において、主フレーム101の横方向が空いているので、コンテナ折り畳み装置100を持ち上げることなく、コンテナ10を主フレーム101の横方向から差し込むことで、コンテナ10を主フレーム101下方の所定位置に簡単に配置することができる。
【0040】
ハンドル部材104を第1操作量で操作する工程では、コンテナ10の第2側壁14の第1側壁13および底壁11への嵌着を解除する。
図11は、ハンドル部材104を第1操作量で操作したときのコンテナ折り畳み装置100の第1形態を示している。
図11に示すように、ハンドル部材104を第1操作量で押し下げると、一対の第1押圧片105,105がコンテナ10の一対の第2側壁14,14を内側に押し出し可能な位置に変位する。換言すると、一対の第1押圧片105,105の対向距離が、コンテナ10の縦辺の長さよりも小さくなる。
【0041】
より詳細には、
図12に示すように、ハンドル部材104の第1の押下操作により、駆動フレーム110が第1の移動量で下方に移動する。そして、駆動フレーム110の下降に伴って、第1弾性部材115が伸長変形し、側部フレーム110bが押し下げられる。この側部フレーム110bには、回動軸としての第1伝達部111を介して第1押圧片105のアーム部105aの基端が連結されている。アーム部105aの基端が第1伝達部111を介して押し下げられると、リンク片105bが回動し、アーム部105a先端の押圧部105cがコンテナ10の第2側壁14を押し出す方向に変位する。このとき、押圧部105cは、第2側壁14の底壁側の部位を叩くように内側に回動する。これにより、押圧部105cの力を第2側壁14に効果的に伝達し、コンテナ10における第2側壁14の(第1側壁13および底壁11への)嵌着をより確実に解除することができる。なお、この時点では、回動支持片106は第2側壁14に未だ当接していない。
【0042】
次に、ハンドル部材104を第2操作量で操作する工程では、コンテナ10の第2側壁14を折り畳み位置に回動させて支持する。
図13は、第1形態からさらに、ハンドル部材104を第2操作量で操作したときのコンテナ折り畳み装置100の第2形態を示している。
図13に示すように、ハンドル部材104をさらに第2操作量で押し下げると、一対の回動支持片106,106がコンテナ10の一対の第2側壁14,14を折り畳み形態に支持可能な位置に変位する。換言すると、一対の回動支持片106,106の支持部106c,106cが、コンテナ10の高さにほぼ到達するまで移動する。
【0043】
より詳細には、
図14に示すように、ハンドル部材104の第2の押下操作により、駆動フレーム110が第2の移動量で(第1形態よりも)下方に移動する。そして、駆動フレーム110の下降に伴って、側部フレーム110bが押し下げられる。この側部フレーム110bには、ベアリング状の第2伝達部112が設けられ、第2押圧片106の被駆動部106bに当接している。側部フレーム110bが押し下げられると、第2伝達部112は、被駆動部106b上面を走行しつつ、被駆動部106bを縦方向外側に押し下げるように回動させる。この回動とともに第2弾性部材116が伸長変形する。そして、被駆動部106bの縦方向外側が下方に回動することにより、アーム部106a先端の支持部106cが内側且つ上方に変位する。そして、支持部106cは、コンテナ10の第2側壁14を折り畳み位置(折り畳み時に第1側壁13と干渉しない位置)まで持ち上げて停止する。
【0044】
次いで、ハンドル部材104を第3操作量で操作する工程では、コンテナ10の第1側壁13をヒンジ部13aで折り曲げて、第1側壁13を自重で折り畳み変形可能な状態にする。
図15は、第2形態からさらに、ハンドル部材104を第3操作量で操作したときのコンテナ折り畳み装置100の第3形態を示している。
図15に示すように、ハンドル部材104をさらに第3操作量で押し下げると、一対の第2押圧片107,107がコンテナ10の一対の第1側壁13,13を横方向内側に押し出し可能な位置に変位する。
【0045】
まず、ハンドル部材104を少なくとも第3操作量で押し下げる前段階で、
図16に示すように、横フレーム102を回動させて、第2押圧片107の押圧部107bを、コンテナ10の第1側壁13のヒンジ部13aに対向する位置に変位させる。具体的には、駆動フレーム110の第1移動量または第2移動量の下降に伴って、ベアリング状の第3伝達部113が、横フレーム102の被駆動部102aを押し下げるように作用する。第3伝達部113が被駆動部102aの上面を走行しつつ、横フレーム102がヒンジ102bを介して回動して垂直に立ち上がることで、一対の第2押圧片107,107が第1側壁13,13に対向する位置に変位する。このとき、伝達リンク108の被駆動片108aの端部が上方を向くように配置される。
【0046】
そして、横フレーム102が回動した状態から、ハンドル部材104が操作され、第3操作量で操作された後、第2押圧片107,107が横方向に内側に変位する。より詳細には、
図17に示すように、第2形態からさらに、駆動フレーム110が下降すると、上部フレーム110aの下面の第4伝達部114が、伝達リンク108の被駆動片108aの端部に当接する。その状態から第4伝達部114がさらに押し下げられると、被駆動片108aが下方にスライドし、第2リンク片108cを介して第1リンク片108bが横方向外側にスライドする。このとき、第4弾性部材118が伸長変形する。第1リンク片108bが横方向外側にスライドすることに従って、第2押圧片107のアーム部107aが2つの回動軸を中心に回動する。このとき、横フレーム102側の回動軸がアーム部107aの長孔内で基端側から先端側に相対移動することにより、アーム部107aの横方向内側且つ上方への回動が許容される。その結果、アーム部107a先端の押圧部107bが、コンテナ10の第1側壁13を内側に押し出すように動作する。なお、押圧部107bが第1側壁13のヒンジ部13aを押圧するように動作することが好ましい。
【0047】
以上のように、ハンドル部材104を第1操作量から第3操作量まで操作することにより、コンテナ10の第2側壁14が天枠12に対して折り込まれ、第1側壁13のヒンジ部13aが折り曲げられ、これにより、コンテナ10は自立できない形態に変形される。、この自立できない形態のコンテナ10は、回動支持片106からの支持を失うと、自重で折り畳み形態へと変形し得る。つまり、
図15の形態では、コンテナ10の第2側壁14および天枠12が回動支持片106によって下支えされていることにより、コンテナ10がその姿勢を保っている。
【0048】
続いて、ハンドル部材104への操作を解除すると、弾性部材115~118の弾性復帰力によって、駆動フレーム110が初期位置に復帰するように移動を開始する。駆動フレーム110の上昇に伴って、第2押圧片107、回動支持片106、第1押圧片105が順次、初期位置へと復帰していく。そして、回動支持片106が初期位置に復帰することにより、コンテナ10の第2側壁14および天枠12への支持がなくなって、コンテナ10が自重で折り畳まれる。
【0049】
なお、複数のコンテナ10を連続して折り畳むために、折り畳んだコンテナ10を順次下方に繰り下げる土台(図示せず)が用いられてもよい。すなわち、土台上でコンテナ折り畳み装置100によって一のコンテナ10を箱形態から折り畳み形態へと変形させ、一のコンテナ10を一段下方に移動させ、当該一のコンテナ10の上に追加の箱形態のコンテナ10を積み重ねて載置する。そして、コンテナ折り畳み装置100を操作することにより、追加のコンテナ10を、一のコンテナ10上で折り畳み変形させることができる。この作業を繰り返すことにより、折り畳み形態のコンテナ10を複数段で積み重ねることが可能である。
【0050】
以下、本発明に係る一実施形態のコンテナ折り畳み装置100の作用効果について説明する。
【0051】
本実施形態のコンテナ折り畳み装置100によれば、ハンドル部材104が第1操作量で操作されたときに、第1押圧片105でコンテナ10の第2側壁14を押し出して、コンテナ10の側壁13,14および底壁11間の嵌合が解除される。次に、ハンドル部材104が第2操作量で操作されたときに、回動支持片106が回動して第2側壁14が天枠12の位置まで持ち上げられて支持される。第2側壁14が折り畳み位置に支持されることで、第1側壁13が第2側壁14と干渉することなく内側へと折れ曲がることが可能となる。次いで、ハンドル部材104が第3操作量で操作されたときに、第2押圧片107が第1側壁13の外面に作用して第1側壁13がヒンジ部13aを介して折れ曲がる。この形態では、コンテナ10は、回動支持片106の支えによって立姿勢を維持しているにすぎない。そして、ハンドル部材104の操作が解除されると、第1押圧片105、第2押圧片107および回動支持片106が初期位置に復帰すると同時に、コンテナ10への回動支持片106の支えがなくなり、コンテナ10が自重で折り畳まれる。すなわち、本実施形態のコンテナ折り畳み装置100は、ハンドル部材104を第1操作量、第2操作量および第3操作量で順次操作して初期位置に復帰させるという単純な操作で、駆動フレーム110を介して、第1押圧片105、回動支持片106および第2押圧片107を適切な順番で駆動させ、コンテナ10を折り畳むことができる。
【0052】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲の下で、種々の実施形態や変形例を取り得る。各実施形態において、下二桁の符番が共通する構成要素は、特定のない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0053】
(1)本発明のコンテナ折り畳み装置は、別形態で構成されてもよい。例えば、第1押圧片および回動支持片は、異なる動作機構によって構成されてもよい。
図18乃至
図20は、別実施形態のコンテナ折り畳み装置200の第1押圧片205を示す模式図である。
【0054】
図18に示すように、第1押圧片205は、アーム部205aおよび押圧部205cを備える。アーム部205aの基端は、駆動フレーム210の側部フレーム210bの先端に軸支されている。この回動軸が、第1伝達部211として機能する。また、アーム部205aの先端には、ベアリング状の押圧部205cが取着されている。そして、アーム部205aの下端には、「く」字状の2つの傾斜面が形成されている。これに対し、第1押圧片205のアーム部205aの先端側の傾斜面に近接して対向するように、ベアリング205bが脚部フレーム201bの下部に取着されている。第1弾性部材215が第1伝達部211と脚部フレーム201bの上部とが連結されている。この第1弾性部材215の弾性復帰力によって、第1押圧片205が
図18に示す初期位置へと付勢されている。
【0055】
操作ハンドル204が操作され、駆動フレーム210が下降すると、第1伝達部211とともにアーム部205aの基端が押し下げられる。このとき、アーム部205aの先端側の傾斜面にベアリング205bが当接し、ベアリング205bが傾斜面上を相対移動する。そして、
図19に示すように、ベアリング205bが先端側の傾斜面を乗り越えて基端側の傾斜面に移行する。このとき、第1押圧片205の姿勢が変位し、押圧部205cが縦方向内側に変位する。さらに、第1伝達部211とともにアーム部205aの基端が下方に移動することにより、
図20に示すように、第1押圧片205がさらに回動して、押圧部205cがさらに上方へと移動する。すなわち、当該動作機構を用いても、ハンドル部材204が第1操作量で操作されたときに、第1押圧片205を一対の第2側壁14を内側に押し出し可能な位置に変位させることができる。なお、
図18乃至
図20の動作機構の構成は、本発明の回動支持片、第2押圧片の動作機構にも応用されてもよい。
【0056】
(2)上記実施形態では、第1押圧片および回動支持片が別々に設けられたが、本発明において、第1押圧片および回動支持片が1つの部材として一体的に構成されてもよい。すなわち、1つの動作片が第2側壁を押圧して回動支持するように段階的に変位するように動作してもよい。
【0057】
(3)上記実施形態のコンテナ折り畳み装置は、ユーザーによって手動で操作されるように構成されたが、コンテナ折り畳み装置が自動の搬送装置に組み込まれてもよい。その場合、ハンドル部材の機械的動作を制御することにより、駆動フレームを変位させ、コンテナを自動的に折り畳むことが可能である。
【0058】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0059】
10 コンテナ
11 底壁
12 天枠
13 第1側壁
13a ヒンジ部
14 第2側壁
15 嵌合部
16 凹部
100 コンテナ折り畳み装置
101 主フレーム
101a 縦フレーム
101b 脚部フレーム
101c 基板
101d 走行ローラ
101e 底板
102 横フレーム
102a 被駆動部
102b ヒンジ(回動軸)
104 ハンドル部材
104a レバー
104b ハンドル部
104c 回動軸
104d 回動軸
105 第1押圧片
105a アーム部
105b リンク片
105c 押圧部
106 回動支持片
106a アーム部
106b 被駆動部
106c 支持部
107 第2押圧片
107a アーム部
107b 押圧部
108 伝達リンク
108a 被駆動片
108b 第1リンク片
108c 第2リンク片
110 駆動フレーム(駆動機構)
110a 上部フレーム
110b 側部フレーム
111 第1伝達部(回動軸)
112 第2伝達部(ベアリング)
113 第3伝達部(ベアリング)
114 第4伝達部
115 第1弾性部材
116 第2弾性部材
117 第3弾性部材
118 第4弾性部材