(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】穀物乾燥機の点検用梯子の格納構造
(51)【国際特許分類】
F26B 17/14 20060101AFI20240426BHJP
F26B 25/00 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
F26B17/14 P
F26B25/00 Z
(21)【出願番号】P 2020085414
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000144898
【氏名又は名称】株式会社山本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 睦
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-244951(JP,A)
【文献】特開2012-112575(JP,A)
【文献】特開平09-101083(JP,A)
【文献】実開昭62-069598(JP,U)
【文献】登録実用新案第3024460(JP,U)
【文献】特開平08-013967(JP,A)
【文献】実開昭53-121378(JP,U)
【文献】実開昭60-156389(JP,U)
【文献】中国実用新案第207922805(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0204140(US,A1)
【文献】米国特許第05370204(US,A)
【文献】中国実用新案第206600143(CN,U)
【文献】特開平09-105582(JP,A)
【文献】特開平09-053884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/14
F26B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に延びる一対の支柱と、
当該支柱間に架設された複数の踏桟と、
前記一対の支柱の一側において、長手方向の第1の高さ位置に設けられた使用時用の第1係止部、及び当該第1係止部よりも低い第2の高さ位置に設けられた格納時用の第2係止部と、を有する梯子と、
機体の上面部の周縁部に、前記第1係止部及び前記第2係止部を係止可能な被係止部が設けられ
、前記機体の周囲の壁部において前記機体の高さ方向と略直交し、かつ当該壁部に沿う方向に延在された鍔部が設けられている穀物乾燥機と、
一端が前記機体の前記壁部に固定され、他端が前記梯子の前記一対の支柱に固定されて、前記梯子を前記壁部に対して支持する支持脚部と、
を含み、
前記支持脚部は、前記一対の支柱からそれぞれ互いに平行になるように延出された一対の脚部と、当該一対の脚部間に架け渡されると共に前記踏桟と平行になるように前記鍔部に沿うように配置された支持部とを備え、
前記一対の脚部が、前記支持部の軸周りの回転に伴って前記支持部を軸にして回動可能にされており、
前記支持部を前記鍔部に固定すると共に、前記一対の脚部の回動を規制する規制部をさらに備え、
当該規制部は、前記第1係止部が前記被係止部に係止して、前記梯子が前記機体に対して斜めに立て掛けられる使用時において、前記一対の脚部が前記機体の高さ方向と略直交する方向に延在された状態で前記一対の脚部の回動を不能とし、前記梯子が前記機体に対して垂直に立て掛けられる格納時において、前記一対の脚部の回動を可能にし、前記一対の脚部を前記機体の高さ方向に延在させる穀物乾燥機の点検用梯子の格納構造。
【請求項2】
前記規制部は、ボルトを備えており、当該ボルトが締結された状態において前記一対の脚部の回動を不能とし、当該ボルトの締結状態が緩められた状態において前記一対の脚部の回動を可能にする請求項1に記載の穀物乾燥機の点検用梯子の格納構造。
【請求項3】
前記被係止部は、前記周縁部に沿って延びる長孔部とされ、
前記第1係止部及び前記第2係止部は、前記長孔部に前記機体の高さ方向上側から係止されるフック部とされている請求項1
又は請求項2に記載の穀物乾燥機の点検用梯子の格納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物乾燥機の点検用梯子の格納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穀物を乾燥する穀物乾燥機においては、機体内部の点検を行うために、機体の外面に立て掛けられた点検用の梯子が使用されている。特許文献1には、梯子の中間部にU字状の支脚を梯子に対して回動可能に設けることにより、穀物乾燥機の機体の外面に立て掛けた梯子の中間部の揺れを防止する点検用の梯子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記穀物乾燥機の点検用の梯子においては、梯子を使用しないときには、穀物乾燥機の機体から梯子を外して壁等に立て掛けることにより梯子が保管されている。しかしながら、梯子が長い場合、及び梯子を持ち運びする必要がある場合等には、作業者は梯子を保管場所まで持ち運ぶのに労力を要する。また、近くに不安定な壁等しかない場合には、梯子を立て掛ける場所を探すのは困難である。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、点検用の梯子を安全に格納することができる穀物乾燥機の点検用梯子の格納構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る穀物乾燥機の点検用梯子の格納構造は、互いに平行に延びる一対の支柱と、当該支柱間に架設された複数の踏桟と、前記一対の支柱の一側において、長手方向の第1の高さ位置に設けられた使用時用の第1係止部、及び当該第1係止部よりも低い第2の高さ位置に設けられた格納時用の第2係止部と、を有する梯子と、機体の上面部の周縁部に、前記第1係止部及び前記第2係止部を係止可能な被係止部が設けられ、前記機体の周囲の壁部において前記機体の高さ方向と略直交し、かつ当該壁部に沿う方向に延在された鍔部が設けられている穀物乾燥機と、一端が前記機体の前記壁部に固定され、他端が前記梯子の前記一対の支柱に固定されて、前記梯子を前記壁部に対して支持する支持脚部と、を含み、前記支持脚部は、前記一対の支柱からそれぞれ互いに平行になるように延出された一対の脚部と、当該一対の脚部間に架け渡されると共に前記踏桟と平行になるように前記鍔部に沿うように配置された支持部とを備え、前記一対の脚部が、前記支持部の軸周りの回転に伴って前記支持部を軸にして回動可能にされており、前記支持部を前記鍔部に固定すると共に、前記一対の脚部の回動を規制する規制部をさらに備え、当該規制部は、前記第1係止部が前記被係止部に係止して、前記梯子が前記機体に対して斜めに立て掛けられる使用時において、前記一対の脚部が前記機体の高さ方向と略直交する方向に延在された状態で前記一対の脚部の回動を不能とし、前記梯子が前記機体に対して垂直に立て掛けられる格納時において、前記一対の脚部の回動を可能にし、前記一対の脚部を前記機体の高さ方向に延在させる。
【0007】
請求項1に記載の発明に係る穀物乾燥機の点検用梯子の格納構造によれば、梯子が、一対の支柱の一側において、長手方向の第1の高さ位置に設けられた使用時用の第1係止部と、第1係止部よりも低い第2の高さ位置に設けられた格納時用の第2係止部とを有している。また、穀物乾燥機が、機体の上面部の周縁部に、第1係止部及び第2係止部を係止可能な被係止部を有している。そのため、梯子を使用するときには、第1係止部を被係止部に係止させることにより、梯子が機体に係止されるので、作業者は梯子を安全に使用することができる。また、梯子を使用しないときには、第2係止部を被係止部に係止させることにより、梯子を機体に掛けて格納することができる。これにより、梯子を使用しないときに、梯子を簡単に格納することができる。梯子を持ち運びする必要がなくなるため、作業者の負荷を低減することができる。また、梯子が長い場合であっても、梯子を安全に格納することができる。また、梯子を機体に掛けて格納するため、梯子を格納するスペースを必要としないので、穀物乾燥機周辺のスペースを有効に使用することができる。また、第1係止部が被係止部に係止する際に、梯子が機体に対して斜めに立て掛けられる。これにより、梯子を機体に対して垂直に立て掛けるよりも、安定して梯子を設置することができる。また、垂直に立て掛けられた梯子よりも、作業者は容易に梯子を登ることができる。また、第2係止部が被係止部に係止する際に、梯子が、機体に対して垂直に立て掛けられる。これにより、機体に対して梯子を斜めに立て掛けるよりも、梯子の格納に要するスペースを小さくすることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明に係る穀物乾燥機の点検用梯子の格納構造は、上記請求項1に記載の発明に係る穀物乾燥機の点検用梯子の格納構造において、前記規制部は、ボルトを備えており、当該ボルトが締結された状態において前記一対の脚部の回動を不能とし、当該ボルトの締結状態が緩められた状態において前記一対の脚部の回動を可能にする。
【0012】
請求項3に記載の発明に係る穀物乾燥機の点検用梯子の格納構造は、上記請求項1又は上記請求項2に記載の発明に係る穀物乾燥機の点検用梯子の格納構造において、前記被係止部が、前記周縁部に沿って延びる長孔部とされ、前記第1係止部及び前記第2係止部が、前記長孔部に前記機体の高さ方向上側から係止されるフック部とされている。
【0013】
請求項3に記載の発明に係る穀物乾燥機の点検用梯子の格納構造は、被係止部が、周縁部に沿って延びる長孔部とされ、第1係止部および第2係止部が、長孔部に機体の高さ方向上側から係止されるフック部とされている。そのため、穀物乾燥機の機体の上面部の周縁部に沿って延びる長孔部に梯子に設けられたフック部が係止されるので、機体の上面部の周縁部に沿う方向において、梯子の配置箇所の自由度を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明に係る穀物乾燥機によれば、作業者は梯子を安全に使用することができ、かつ梯子を使用しないときには、梯子を簡単に格納することができる。また、梯子を使用しないときに、梯子を持ち運びする必要がなくなるため、作業者の負荷を低減することができる。また、梯子が長い場合であっても、梯子を安全に格納することができる。また、梯子を格納するスペースを必要としないので、穀物乾燥機周辺のスペースを有効に使用することができる。また、梯子を機体に対して垂直に立て掛けるよりも、安定して梯子を設置することができる。また、垂直に立て掛けられた梯子よりも、作業者は容易に梯子を登ることができる。また、機体に対して梯子を斜めに立て掛けるよりも、梯子の格納に要するスペースを小さくすることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明に係る穀物乾燥機によれば、梯子の配置箇所の自由度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る穀物乾燥機の梯子使用時の外観斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る穀物乾燥機の機体に設けられた長孔部、及びその周辺部の構成を示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る梯子使用時の穀物乾燥機の機体に設けられた長孔部、及びその周辺部の構成を示す断面図(
図2のA-A線に沿って切断した状態を示す断面図)である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る穀物乾燥機の梯子の上側要部斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る穀物乾燥機の梯子格納時の外観斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る梯子格納時の穀物乾燥機の機体に設けられた長孔部、及びその周辺部の構成を示す断面図(
図2のA-A線に沿って切断した状態を示す断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る穀物乾燥機10について、図面を用いて説明する。
図1は穀物乾燥機10の梯子使用時の外観斜視図、
図2は穀物乾燥機10の機体12に設けられた長孔部34、及びその周辺部の構成を示す平面図である。まず、
図1を主に用いて、穀物乾燥機10(以下、乾燥機10と称する)の概要について説明する。なお、本実施形態の各図面では、乾燥機10の前方を矢印FRで示し、乾燥機10の右方を矢印RHで示し、乾燥機10の上方を矢印UPで示している。また、以下では、特に断りのない限り、乾燥機10の前後方向を前後方向と称し、乾燥機10の左右方向を左右方向と称し、乾燥機10の高さ方向を高さ方向と称することとする。
【0020】
乾燥機10は、
図1に示されるように、穀物(例えば籾又は麦)を収容可能な機体12、穀物を移動可能な昇降機14及び穀物を乾燥可能な火炉ケース16を備えている。機体12は、高さ方向上側の上面部12A、前後方向前側の前壁部12B、前後方向後側の後壁部12C、左右方向右側の右側壁部12D、左右方向左側の左側壁部12Eを含んで構成されており、略直方体状に構成されている。各壁部12B、12C、12D、12Eは、矩形状の板体18が、高さ方向に複数連なって配置されることで構成されている。板体18は、その主な部分を構成する主壁部18Aと、主壁部18Aの高さ方向上側の周縁部及び高さ方向下側の周縁部に設けられた鍔部18Bとを含んで構成されている。
【0021】
機体12の上面部12Aの周縁部、具体的には、最も高さ方向上側に配置された板体18の高さ方向上側の鍔部18Bにおける後述する延出壁部18B1には、後述する引掛部30B,31Bを挿通可能な被係止部としての長孔部34が形成されている。長孔部34は、周縁部に沿って延びる長孔で構成されている。この長孔部34は、
図1及び
図2に示されるように、2つで1組とされて配置されており、機体12の上面部12Aの周縁部には、9組の長孔部34が設けられている。なお、上面部12Aには、図示しない点検窓が設けられている。
【0022】
図3は梯子使用時の穀物乾燥機10の機体12に設けられた長孔部34、及びその周辺部の構成を示す断面図(
図2のA-A線に沿って切断した状態を示す断面図)である。高さ方向の最上部に位置する鍔部18Bは、
図3に示されるように、主壁部18Aから機体12の外側に向かって延出された延出壁部18B1と、延出壁部18B1の先端から高さ方向下側に延出された縦壁部18B2とを含んで、断面がL字状に構成されている。
【0023】
なお、板体18の上側と下側にはそれぞれ上述した鍔部18Bが設けられており、板体18は、高さ方向上側の板体18の下側の鍔部18Bと、高さ方向下側の板体18の上側の鍔部18Bとが重なるようにして配置されている。なお、鍔部18Bは、右側壁部12Dを基準として見ると、高さ方向に直交し、かつ右側壁部12Dに沿う方向に延びた状態となっている。
【0024】
昇降機14は、外形が高さ方向に延びる略直方体状とされており、機体12の前壁部12Bに沿って配置されている。昇降機14は、その上端部及び下端部において、機体12の内側(収容室)と連通されている。そして、昇降機14が作動することで、機体12の内側を高さ方向上側から高さ方向下側に流下する穀物が、昇降機14内を上昇して、機体12の内側に高さ方向上側から供給されるようになっている。すなわち、昇降機14によって機体12内の穀物が循環するようになっている。
【0025】
一方、火炉ケース16は、昇降機14と隣接した状態で前壁部12Bに沿って配置されている。また、火炉ケース16の内側は、機体12の内側と連通されている。そして、火炉ケース16内の図示しないバーナが作動すると、火炉ケース16内において空気が加熱されて、加熱された空気が機体12の内側を流下する穀物に送られる。また、後壁部12Cには、図示しない乾燥機が配置されており、当該乾燥機によって穀物の排湿が促される。つまり、本実施形態では、火炉ケース16及び乾燥機によって穀物の乾燥が行われるようになっている。
【0026】
次に、機体12に立て掛けられて、機体12の点検に使用される点検用梯子20(以下、梯子20と称する)の構成について説明する。
図4は穀物乾燥機10に付属する梯子20の上側要部斜視図である。
【0027】
梯子20は、複数の継梯子22が高さ方向に連結されて構成されており、継梯子22は、
図1及び
図4に示されるように、一対の支柱24と、支柱24間に架け渡された複数の踏桟26とを含んで構成されている。この梯子20は、
図1に示されるように、機体12に斜めに立て掛けられた状態(使用時)において、上端部20Aが機体12の上面部12Aよりも高さ方向上側に所定長さ張り出される長さに形成されている。
【0028】
また、梯子20の高さ方向上側の部分には、一対の支柱24の一側において、高さ方向(支柱24の長手方向)の第1の高さ位置に、梯子20の使用時用の第1係止部としての第1フック部30が設けられている。また、第1フック部30よりも低い第2の高さ位置には、梯子20の格納時用の第2係止部としての第2フック部31が設けられている。第1フック部30及び第2フック部31は、
図4に示されるように、一対の支柱24の各々に配設されている。
【0029】
第1フック部30は、梯子20の支柱24における機体12との接触部に設けられている。ここで、接触部とは、梯子20が機体12に斜めに立て掛けられた状態(使用時)における支柱24と機体12との接触箇所、及びその周辺部を意味している。
【0030】
第1フック部30は、
図3及び
図4に示されるように、支柱24から支柱24と直交する方向に延びる基部30Aと、基部30Aから梯子20の下方側に延びる引掛部30Bとを含んで、踏桟26の長手方向から見てL字状に構成されている。
【0031】
そして、梯子20の使用時、すなわち梯子20が機体12に斜めに立て掛けられた状態(
図1参照)において、引掛部30Bは、高さ方向上側から長孔部34に挿通された状態となっている。第1フック部30が長孔部34に係止された状態においては、
図3に示されるように、第1フック部30の先端部は、鍔部18Bの下端部よりも高さ方向下側に位置している。
【0032】
第2フック部31は、梯子20を格納する際に使用される。
図5は穀物乾燥機10の梯子格納時の外観斜視図、
図6は梯子格納時の穀物乾燥機10の機体12に設けられた長孔部34、及びその周辺部の構成を示す断面図(
図2のA-A線に沿って切断した状態を示す断面図)である。
【0033】
第2フック部31は、第1フック部30と同様に、
図4及び
図6に示されるように、支柱24から支柱24と直交する方向に延びる基部31Aと、基部31Aから梯子20の下方側に延びる引掛部31Bとを含んでいる。第2フック部31は、踏桟26の長手方向から見てL字状に構成されている。
【0034】
そして、梯子20の格納時、すなわち梯子20が機体12に垂直に立て掛けられた状態(
図5参照)において、引掛部31Bは、高さ方向上側から長孔部34に挿通された状態となっている。引掛部31Bの下面は、延出壁部18B1の上面に当接している。第2フック部31が長孔部34に係止された状態においては、
図6に示されるように、第2フック部31の先端部は、鍔部18Bの下端部よりも高さ方向下側に位置している。
【0035】
また、第2フック部31が長孔部34に係止された状態においては、
図5に示されるように、梯子20の下端は床面27と当接するか、または若干浮いた状態となる。
【0036】
また、梯子20には、
図1に示されるように、乾燥機10が設置された床面27から梯子20の長さの3分の1程度の箇所に支持脚部28が設けられている。支持脚部28は、一対の脚部28Aと支持部28Bとを含んで、梯子20の長手方向から見て梯子20側が解放されたU字状に構成されている。
【0037】
脚部28Aは、支持部28Bの両端からそれぞれ延出され、一方の脚部28Aと他方の脚部28Aとが互いに平行になるように配置されている。一対の脚部28Aの先端は、梯子20の一対の支柱24に固定されている。
【0038】
支持部28Bは、脚部28A間に架け渡されて、一対の脚部28Aにおける梯子20と反対側の部分同士を連結している。なお、支持部28Bは、踏桟26と平行になるように配置され、かつ鍔部18Bに沿うように配置されている。支持部28Bは、規制部32によって機体12の鍔部18Bに固定されている。また、一対の脚部28Aは、支持部28Bの軸周りの回転に伴って、支持部28Bを軸にして回動可能にされている。
【0039】
規制部32は、ボルト48が締結された状態においては、支持部28Bの軸周りの回転を規制することにより、一対の脚部28Aを回動不能とする。すなわち支持脚部28と機体12との相対変位が規制される。本実施形態においては、
図1に示されるように、梯子20の使用時に、すなわち梯子20が機体12に斜めに立て掛けられた状態において、ボルト48が締結されて、支持脚部28と機体12との相対変位が規制される。
【0040】
一方、規制部32は、ボルト48の締結状態が緩められた状態においては、支持部28Bの軸周りの回転が可能となり、一対の脚部28Aは回動可能となる。本実施形態においては、梯子20の格納時に、ボルト48の締結状態が緩められる。すなわち、梯子20の使用時の状態(
図1参照)において、ボルト48を緩めることにより、一対の脚部28Aが回動可能となる。これにより、梯子20を機体12に垂直に立て掛ける際の梯子20の斜めから垂直状態への移動に伴って、
図5に示されるように、一対の脚部28Aの先端も上方に移動し、梯子20の支柱24と略平行状態とすることができる。
【0041】
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果を説明する。
【0042】
本実施形態においては、梯子20が、一対の支柱24の一側において、長手方向の第1の高さ位置に設けられた使用時用の第1フック部30と、第1フック部30よりも低い第2の高さ位置に設けられた格納時用の第2フック部31とを有している。また、穀物乾燥機10が、機体12の上面部12Aの周縁部に、第1フック部30及び第2フック部31を係止可能な長孔部34を有している。そのため、梯子20を使用するときには、第1フック部30を長孔部34に係止させることにより、梯子20が機体12に係止されるので、作業者は梯子20を安全に使用することができる。
【0043】
また、梯子20を使用しないときには、第2フック部31を長孔部34に係止させることにより、梯子20を機体12に掛けて格納することができる。これにより、梯子20を使用しないときに、梯子20を簡単に格納することができる。また、梯子20を持ち運びする必要がなくなるため、作業者の負荷を低減することができる。また、梯子20が長い場合であっても、梯子20を安全に格納することができる。また、梯子20を機体12に掛けて格納するため、梯子20を格納するスペースを必要としないので、穀物乾燥機10周辺のスペースを有効に使用することができる。
【0044】
本実施形態においては、第1フック部30が長孔部34に係止する際に、梯子20が機体12に対して斜めに立て掛けられるので、梯子20を機体12に対して垂直に立て掛けるよりも、安定して梯子20を設置することができる。また、垂直に立て掛けられた梯子20よりも、作業者は容易に梯子を登ることができる。また、梯子20から機体12に向かって延出された支持脚部28が設けられているので、支持脚部28によって、梯子20を機体12の右側壁部12Dに対して支持することができる。
【0045】
本実施形態においては、第2フック部31が長孔部34に係止する際に、梯子20が機体12に対して垂直に立て掛けられる。これにより、機体12に対して梯子20を斜めに立て掛けるよりも、梯子20の格納に要するスペースを小さくすることができる。
【0046】
また、本実施形態においては、穀物乾燥機10の機体12の上面部12Aの周縁部に沿って延びる長孔部34に梯子20に設けられた第1フック部30又は第2フック部31が係止される。そのため、機体12の上面部12Aの周縁部に沿う方向において、梯子20の配置箇所の自由度を確保することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の穀物乾燥機10の梯子20の格納構造では、点検用の梯子20を安全に格納することができる。
【0048】
なお、上述した実施形態では、長孔部34が2つで1組とされて配置されていたが、これに限らない。例えば、長孔部34を、機体12の上面部12Aの周縁部を構成する鍔部18Bの3分の1程度の長さを有する長孔状として、鍔部18Bに長孔部34を3つ設けるような構成としてもよい。このような構成によれば、上面部12Aの周縁部に沿う方向において、梯子20の配置箇所の自由度を確保することができる。
【0049】
また、上述した実施形態では、第1係止部及び第2係止部としてL字状の第1フック部30及び第2フック部31を採用したが、本発明はこれに限られない。第1係止部及び第2係止部は、J字状のフックであってもよいし、被係止部に係止可能な形状であれば何れの形状を採用してもよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、支持部28Bと鍔部18Bとの相対変位の規制が、規制部32によって行われていたが、これに限らない。例えば、支持部28Bが取り付けられていた鍔部18Bに長孔部を設けると共に、支持部28Bにフック部を設けて、フック部を当該長孔部に係止させて、支持部28Bと鍔部18Bとの相対変位を規制するようにしてもよい。なお、このような構成並びに上述した実施形態では、フック部の代わりに楔部を係止部として用いてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、梯子20と機体12との間に、支持脚部28及び規制部32が設けられているが、本発明はこれに限られず、支持脚部28及び規制部32を備えていなくてもよい。
【0052】
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
10 穀物乾燥機
12 機体
12A 上面部
12D 側壁部
18B 鍔部
18B1 延出壁部
18B2 縦壁部
20 梯子
24 支柱
26 踏桟
28 支持脚部
28A 脚部
28B 支持部
30 第1フック部(第1係止部)
31 第2フック部(第2係止部)
32 規制部
34 長孔部(被係止部)
48 ボルト