(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】充填包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/08 20120101AFI20240426BHJP
【FI】
B65B9/08
(21)【出願番号】P 2020102575
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390031749
【氏名又は名称】株式会社トパック
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】正井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】竹内 銀治郎
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-167147(JP,A)
【文献】特開2000-072103(JP,A)
【文献】特開2013-043660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に供給される帯状の包装材(104)をV状に折り曲げた後、折り曲げられた前記包装材を一定の間隔をあけて保持しながら搬送する充填包装機(1)において、
搬送される前記包装材(104)に接触して前記包装材(104)をV状に折り曲げる折り曲げガイド(110)と、
前記折り曲げガイド(110)の包装材接触面に対向しながら包装材搬送方向の上流側にある移動開始位置(651)から前記移動開始位置よりも前記包装材搬送方向(111)の下流側にある移動終了位置(652)に移動可能に設けられた包装材保持手段(641)と、
前記折り曲げガイド(110)の下面に沿って配置される包装材(104)を前記包装材保持手段(641)に保持させる作動手段(650)と、
前記包装材(104)を保持した前記包装材保持手段(641)を前記移動開始位置(651)から前記移動終了位置(652)に向けて移動させることによって、前記包装材を一定の間隔をあけて保持しながら搬送する領域に前記包装材(104)を送り込む送り込み手段、を備え
、
前記包装材保持手段は吸引ノズル(641)を有し、
前記作動手段(650)は前記吸引ノズル(641)に負圧を導入して該吸引ノズル(641)に前記包装材を吸着させる負圧導入源を有し、
前記充填包装機(1)はさらに、前記包装材(104)に吸着した前記吸引ノズルを前記包装材(104)から離間させる離間手段を有し、
前記離間手段は、
前記吸引ノズル(641)と一体的に構成されて前記吸引ノズルと共に前記移動開始位置(651)から前記移動終了位置(652)に向かって移動する被ガイド部(642)と、
前記移動開始位置(651)から前記移動終了位置(652)に向かって移動する前記被ガイド部(642)に接触して、前記移動終了位置(652)に近づくにしたがって前記吸引ノズル(641)と前記折り曲げガイド(110)との距離が大きくなるように前記被ガイド部(642)をガイドするガイド部(625)、を備えた充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の包装材に複数の袋部を連続的に形成し、各袋部に充填材を充填する充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に充填包装機が開示されている。この充填包装機では、ロールから連続的に供給される帯状包装材の各部は、折り曲げガイドに沿って搬送されながら、包装材の長手方向中央線に沿って次第にV状に折り曲げられる。V状に折り曲げられた包装材部分は充填材充填部に搬送される。
【0003】
充填材充填部は、鉛直方向の回転軸を中心に回転するテーブルと、その回転テーブルの上に一定の間隔をあけて配置された複数のシール機構を有する。各シール機構は、回転軸を中心とする円の内側に配置された固定シールバーと、固定シールバーに対向するように円の外側に配置された可動シールバーを備えている。
【0004】
回転テーブルの上方には充填材供給部が設けてある。充填材供給部は、充填材充填部の回転軸からオフセットした位置にある鉛直方向の回転軸を中心として回転する。充填材充填部はまた、回転テーブルを中心とする円に沿って移動する複数の充填シュートを備えている。充填シュートは上下方向に昇降可能に支持されており、シール機構が移動する円周軌跡と充填シュートが移動する円周軌跡がほぼ重なる領域(充填領域)において充填シュートが隣接するシール機構の間に下降し進入するようになっている。
【0005】
充填材充填部に搬送された包装材部分は、その片面(回転軸側の側面)をシール機構の固定シールバーに当てた状態で搬送される。この搬送過程で、進入領域において、V状に折り曲げられた包装材の内側片と外側片との間に順次充填シュートが挿入され、次に可動シールバーが固定シールバーに接近して両者の間に挟まれた包装材部分に横方向(包装材の長手方向と直交する方向)のシール(縦シール)が形成されると共に隣接する縦シールの間に充填室が形成され、続いて充填シュートから各充填室に一定量の充填材が充填される。
【0006】
充填後、充填シュートは充填室から上昇して退避する。また、充填材が充填された包装材部分は、次に開口部シール機構に搬送され、そこで各充填室の開口がシール(トップシール)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように構成された充填包装機において、連続運転中、包装材の搬送力は、包装材を挟みながら移動するシール機構によって与えられる。一方、包装材を交換した場合などは、固定シールバーとこれに対向する可動シールバーとの間に包装材の先端を差し込み、これによって、充填包装機の始動時、固定シールバーと可動シールバーによって包装材が確実に挟持されるようにする必要がある。しかし、固定シールバーと可動シールバーの間に包装材の先端を差し込む作業をオペレータが行うことはできるだけ避けたいことである。
【0009】
一方、包装材によってはその表面に会社名や各種のデザインが印刷されているため、予め決められた場所に縦シールを形成し、デザインに縦シールが被らないようにすることが好ましい。そのために、包装材には縦シールの間隔に等しい間隔をあけて所定のレジスター調整マーク(間隔調整用マーク)が印刷されており、充填包装機はそのマークを光学装置によって読み込みながら包装材の送り速度を調整することによって常に一定の場所に横シールが形成されるように自動調整する機能を備えている。したがって、包装材交換時にマークを基準とするシール位置が実際のシール位置とずれていると、自動調整に多くの時間を要し、その間、不良品を製造し続ける結果となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の問題を解決するために、本発明に係る充填包装機は、
連続的に供給される帯状の包装材(104)をV状に折り曲げた後、折り曲げられた前記包装材を一定の間隔をあけて保持しながら搬送する充填包装機(1)において、
搬送される前記包装材(104)に接触して前記包装材(104)をV状に折り曲げる折り曲げガイド(110)と、
前記折り曲げガイド(110)の包装材接触面に対向しながら包装材搬送方向の上流側にある移動開始位置(651)から前記移動開始位置よりも前記包装材搬送方向(111)の下流側にある移動終了位置(652)に移動可能に設けられた包装材保持手段(641)と、
前記折り曲げガイド(110)の下面に沿って配置される包装材(104)を前記包装材保持手段(641)に保持させる作動手段(650)と、
前記包装材(104)を保持した前記包装材保持手段(641)を前記移動開始位置(651)から前記移動終了位置(652)に向けて移動させることによって、前記包装材を一定の間隔をあけて保持しながら搬送する領域に前記包装材(104)を送り込む送り込み手段、を備え、
前記包装材保持手段は吸引ノズル(641)を有し、
前記作動手段(650)は前記吸引ノズル(641)に負圧を導入して該吸引ノズル(641)に前記包装材を吸着させる負圧導入源を有し、
前記充填包装機(1)はさらに、前記包装材(104)に吸着した前記吸引ノズルを前記包装材(104)から離間させる離間手段を有し、
前記離間手段は、
前記吸引ノズル(641)と一体的に構成されて前記吸引ノズルと共に前記移動開始位置(651)から前記移動終了位置(652)に向かって移動する被ガイド部(642)と、
前記移動開始位置(651)から前記移動終了位置(652)に向かって移動する前記被ガイド部(642)に接触して、前記移動終了位置(652)に近づくにしたがって前記吸引ノズル(641)と前記折り曲げガイド(110)との距離が大きくなるように前記被ガイド部(642)をガイドするガイド部(625)、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このように構成された充填包装機によれば、作動手段によって包装材保持手段に包装材を保持させた状態で、送り込み手段によって包装材保持手段を移動することで、一定の間隔をあけて保持しながら搬送する領域に包装材を自動的に送り込むことができる。したがって、充填包装機始動時の操作性の向上が図れる。
【0012】
また、上記充填包装機において、例えば包装材に一定の間隔をあけて付されているマークを折り曲げガイド又はその他の装置部分の基準位置に合わせることによって、包装材は常に一定の位置で前記領域に進入する。そのため、シール位置の自動調整に要する時間が減少するという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る充填包装機の概観を示す正面図。
【
図2】
図1に示す充填包装機における包装材の動きを示す平面図。
【
図4】
図1に示す充填包装機で製造される包装容器の正面図。
【
図5】
図1に示す充填包装機の充填部における充填シュートの動きを説明する平面図。
【
図6】
図1に示す充填包装機の充填部における充填シュートの動きを説明する正面図。
【
図7】
図1に示す充填包装機の充填部における計量孔の動きを説明する平面図。
【
図8】
図1に示す充填包装機における包装材送り込み機構の平面図。
【
図9】
図8に示す包装材送り込み機構の構成と動きを説明する平面図。
【
図10】
図9と共に包装材送り込み機構の構成と動きを説明する平面図。
【
図11】
図9、10と共に包装材送り込み機構の構成と動きを説明する側面図。
【
図12】
図8~10に示す包装材送り込み機構におけるガイドフレームと被ガイド部の構成を説明する平面図。
【
図13】
図8~10に示す包装材送り込み機構における被ガイド部と吸引ノズルの構成を説明する断面図。
【
図14】
図8~10に示す包装材送り込み機構における制御系の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[A.充填包装機の概要]
図を参照して、本発明に係る充填包装機1の構成と動作を概略説明する。
図1に示すように、充填包装機1は、帯状の包装材を供給する包装材供給部100と、包装材の長手方向に一定の間隔をあけて該包装材にその幅方向のシール(縦シール)を形成する第1のシール部200と、隣接する縦シールの間の充填室(区画)に充填材を充填する充填部300と、充填材が充填された充填室の開口をシール(トップシール)する第2のシール部400を有する。
【0015】
[包装材供給部100]
包装材供給部100は、包装機本体フレーム2の前壁に固定した回転軸(シャフト)101と、回転軸(シャフト)101に支持された包装材ロール102から繰り出される包装材104を案内する複数のガイドローラ105と、最後のガイドローラから水平方向に送られる包装材104をガイドしながら該包装材104の長手方向中心線に沿って該包装材104をV状に折り曲げる折り曲げガイド110(
図2,3参照)を有する。
【0016】
折り曲げガイド110は、
図2、3に示すように、包装材搬送方向111の上流端(図上左端)112が平らな板状横断面又は逆台形の横断面を有し、包装材搬送方向111の下流端(図上右端)113がV状横断面を有し、上流端112の平らな板状横断面又は逆台形の横断面から下流端113のV状の横断面まで連続的に横断面形状が変化し、長手方向の中央線を挟んで対向する一対の斜辺114の勾配(水平面に対する折り上げ(曲げ)角度)が次第に大きくなっている。
【0017】
したがって、包装材供給部100において、包装材ロール102から送り出された包装材104は、複数のガイドローラ105を経由して、折り曲げガイド110の上流側で略水平方向に向けられた後、
図2に一点鎖線で示す搬送経路115を、折り曲げガイド110の下面に沿って送られる。これにより、包装材104は、折り曲げガイド110の下面に沿って移動する過程で徐々にV状に折り曲げられる。
【0018】
[第1のシール部200]
図1に示すように、第1のシール部200は環状の回転テーブル201を有する。回転テーブル201は、
図1に符号202で示す第1の鉛直軸を中心に回転するように、本体フレーム2に支持されている。また、回転テーブル201は、モータ203(
図14参照)に駆動連結されており、モータ203の駆動に基づいて、上方から見たときに反対時計周り方向に回転するようになっている。回転テーブル201の上には、第1の鉛直軸202を中心とする第1の円204(
図2参照)に沿って一定の間隔をあけて複数のシール機構205が配置されている。各シール機構205は一対の棒状シール部、すなわち、固定シールバー(固定シール部)206と可動シールバー(可動シール部)207を有する。固定シールバー206は第1の円204の内側に配置され、可動シールバー207は第1の円204の外側に配置されている。
【0019】
固定シールバー206は、鉛直方向に向けて直立した状態で回転テーブル201に固定されている。可動シールバー207は、第1の円204の接線に平行なピボット軸208(
図1)によって揺動可能に回転テーブル201に連結されており、直立して固定シールバー206に接する直立状態〔
図1において第1の鉛直軸202を挟んで右側に表れた位置〕(シール位置)と、直立状態から第1の円204の外側に略90度倒れた転倒状態〔
図1において第1の鉛直軸202を挟んで左側に表れた位置〕(非シール位置)との間を移動できるように支持されている。
【0020】
可動シールバー207は、第1のガイド機構(図示せず)に連結されており、回転テーブル201の回転にしたがって、回転テーブル201の回転方向に関して
図2に符号210で示すシール開始位置から同図に符号211で示すシール終了位置までの領域(以下、「シール領域」という。)212では直立位置(シール状態)を維持し、回転テーブル201の回転方向に関してシール終了位置211からシール開始位置210までの非シール領域213では、まず直立状態から転倒状態に移り、次にその転倒状態をしばらく維持した後、シール開始位置210に近づくに従って転倒状態から直立状態に移るようになっている。
【0021】
[充填部300]
充填部300は包装材供給部100の上に配置されている。充填部300は、充填材を落下供給する円筒状の計量容器301を有する。計量容器301は、
図2に示す第2の鉛直軸302を中心に、反時計周り方向に回転可能に支持されている。
図3に示すように、計量容器301の底板は計量板303を兼ねている。計量板303には、第2の鉛直軸302を中心とする第2の円304(
図2参照)に沿って一定の間隔をあけて計量孔305が形成されている。第2の鉛直軸302は第1の鉛直軸202から離れており、第2の円304は一部の領域でのみ第1の円204に接近している。第1の円204と第2の円304が接近した領域が、以下に説明する充填材の充填領域306(
図7参照)である。
【0022】
図1に示すように、計量容器301の底板(計量板303)下面には、各計量孔305に対応して、計量孔305を開閉するシャッタ307が設けてある。シャッタ307は、上述した充填領域306以外の領域では計量孔305を閉じており、計量容器301の回転とともに計量孔305が充填領域306に進入すると、本体フレーム2に固定された係合部(図示せず)に接触して計量孔305を開放し、充填領域306を過ぎると計量孔305を閉鎖するようにしてある。
【0023】
計量容器301の下には、複数の充填シュート310が配置されている。充填シュート310は回転テーブル201に支持されている。例えば、回転テーブル201には、第1の鉛直軸202を中心とする円上に一定の間隔をあけて鉛直貫通孔(図示せず)が形成されている。鉛直貫通孔には、円柱ロッド312が昇降可能に且つ回転可能に挿入されている。円柱ロッド312の上部は、そこから水平方向に伸びる水平アーム313が固定されている。水平アーム313の先端に充填シュート310に固定されている。円柱ロッド312の下部は、第1のガイド機構と第2のガイド機構(共に図示せず)に係合しており、これら第1と第2のガイド機構によってガイドされるようになっている。
【0024】
第1のガイド機構は、円柱ロッド312の回転角、すなわち円柱ロッド312を中心とする充填シュート310の旋回位置を制御する。これにより、
図5に示すように、シール領域212において充填シュート310の下端充填口314がほぼ第1の円204に沿って移動する。充填口314はまた、回転方向に関してシール領域212の上流側の進入領域315では、充填シュートの下端充填口314が折り曲げガイド110から送り出される包装材104の搬送経路115に沿って第1の円204の接線方向からシール領域212に進入し、回転方向に関してシール領域212の下流側の退避領域316では、シール領域212の終端から第1の円204の接線方向に向かって離れていく。
【0025】
第2のガイド機構は、円柱ロッド312の高さ、すなわち充填シュート310の高さを制御する。これにより、
図6に示すように、シール領域212において充填シュート310は下降位置を維持し、退避領域316において下降位置から次第に上昇位置に移り、その後上昇位置をしばらく維持した後、進入領域315において上昇位置から下降位置に移動する。
【0026】
図7に示すように、充填領域306はシール領域212の上流側に位置しており、この充填領域306においてシャッタ307が本体フレーム2に固定された係合部と係合してシャッタ307を開放するようにしてある。これにより、充填領域306においてのみシャッタ307が開放されて計量容器301から一定量の充填材が充填シュートに落下供給される。
【0027】
以上の構成により、折り曲げガイド110の下流端113を通過した横断面V状の包装材部分、具体的に包装材の長手方向中央線を境に折り曲げて形成された一対の折り上げ片の間に、シール領域212の直前の進入領域315(
図5,6)において上昇位置から下降位置に移動する充填シュート310の下端充填口314が進入する。その後、包装材部分がシール領域212に入ると、隣接する充填シュート310の中間に位置する包装材部分が、非シール位置からシール位置に移動する可動シールバー207と固定シールバー206に挟まれて保持される。固定シールバー206と可動シールバー207に保持された包装材部分は、回転テーブル201の回転力によって、第1の円204に沿って搬送される。固定シールバー206と可動シールバー207に挟まれた包装材部分はまた、固定シールバー206又は可動シールバー207の片側、若しくは両方から熱を受けてヒートシールされ、これによって形成された縦シール320とそれに隣接する縦シール320の間に充填材充填室(区画)321が形成される。
【0028】
充填領域306では、シャッタ307が開放位置に移動し、計量容器301の計量孔305から対応する充填シュート310に充填材308(
図4)が落下する。落下した充填材308は、充填シュート310を介して、該充填シュート310の下端が位置している充填材充填室321に供給される。
【0029】
回転テーブル201の回転と共にシール領域212を通過した包装材部分は、第2のシール部400に向かって送られる。このとき、
図5に示すように、充填シュート310は退避領域316において第1の円204の接線方向に移動しながら上昇する。これにより、充填シュート310の下端部が充填材充填室321から抜け出る。
【0030】
[第2のシール部400]
第2のシール部400は、シール領域212から送り出されてくる包装材104の搬送経路115に沿ってその両側に配置された一対のヒートシールバー401を有する。
【0031】
これにより、シール領域212を通過した包装材部分は、一対のヒートシールバー401によって上端部が連続的にヒートシールされてトップシール402が形成される。
【0032】
必要に応じて、第2のシール部400の下流側にはカッタ500が配置され、縦シール部320において包装材104が切断される、又は縦シール部320にミシン目403(
図4)が形成される。
【0033】
[B.包装材送り込み機構]
上述のように、包装材104は、シール領域212に入った時点で固定シールバー206と可動シールバー207によって挟まれ、これにより包装材104に搬送力が与えられる。したがって、包装材104を交換したときは、包装材104の先端をシール領域212に送り込み、固定シールバー206と可動シールバー207によって挟持させることが必要になる。
【0034】
以下に説明する包装材送り込み機構600は、充填包装機1の始動時、回転テーブル201の回転開始後に同期して包装材104の先端をシール領域212に自動的に送り込むものである。
【0035】
[構成]
この目的のために、
図8に示すように、実施形態に係る包装材送り込み機構600は、折り曲げガイド110の傍に配置された包装材吸着搬送部601を有する。
図9~11に示すように、包装材吸着搬送部601は、搬送経路115と平行に配置された固定フレーム611を有する。固定フレーム611は本体フレーム2に固定されている。実施形態において、固定フレーム611は板で構成されており、この板の主面が鉛直方向に向けられている。
【0036】
固定フレーム611の前面(搬送経路115に臨む面)には、可動フレーム612が取り付けてある。実施形態において、可動フレーム612は、板で構成されており、この板の主面が鉛直方向に向けられている。可動フレーム612は、固定フレーム611と可動フレーム612を板厚方向から貫通する孔613に差し込まれた軸(シャフト)614を中心に、固定フレーム611に沿って該固定フレーム611に対して回転可能になっている。可動フレーム612の傾斜角度を調整できるように、可動フレーム612には軸614を中心とする円に沿って長孔615(
図11)が形成され、固定フレーム611には同じ円上にねじ孔616(
図9参照)が形成されている。したがって、可動フレーム612の前面から長孔615を介してねじ孔616にねじ617を螺合して締め付けることによって、固定フレーム611に対して可動フレーム612が固定できる。また、ねじ617を緩めることによって、固定フレーム611に対する可動フレーム612の傾斜を調整できる。
【0037】
図9,11に示すように、可動フレーム612は、搬送経路115に沿った包装材搬送方向620に関して上流側と下流側の端部に、可動フレーム612から搬送経路115に向かって伸びる後板621と前板622を支持している。後板621と前板622の間には、包装材搬送方向620に沿って伸びる棒状のガイドシャフト623が固定されている。実施形態では、2つの棒状ガイドシャフト623が上下に平行に配置されている。
【0038】
可動フレーム612の上端にはガイドフレーム624が固定されている。ガイドフレーム624は、板で構成されており、可動フレームから搬送経路115に向かって突出するように配置されている。実施形態では、ガイドフレーム624は、ガイドシャフト623と平行に配置されている。
【0039】
図11は、使用時(包装材104をシール領域212に送り込むとき)の可動フレーム612、ガイドシャフト623、ガイドフレーム624の状態を示しており、図示するように、この状態で可動フレーム612、ガイドシャフト623、ガイドフレーム624は包装材搬送方向620の上流側から下流側に向かって下り勾配に傾斜させてある。傾斜角は、折り曲げガイド110の長手方向中央線の傾斜角(前方に向かって下り勾配の傾斜角)にほぼ一致させる。
【0040】
図12に示すように、包装材搬送方向620に伸びるガイドフレーム624の末端縁(以下、「ガイド部」という。)625は、包装材搬送方向620に関して上流側の後端626から包装材搬送方向620に所定距離移動した中間点627までの直線領域628において、搬送経路115に平行に伸びている。中間点627から包装材搬送方向620に関して下流側の前端629までの傾斜領域630において、ガイド部625は中間点627から前端629に向かうにしたがって次第に搬送経路115に接近するように、搬送経路115に対して斜めに伸びている。
【0041】
後板621の後面にはエアシリンダ(送り込み手段)631が固定されている。エアシリンダ631から突出するピストンロッド632は、後板621を貫通して、ガイドシャフト623と平行な方向に向けられ、エアシリンダ631の駆動に基づいて進退するようにしてある。
【0042】
図10に示すように、ピストンロッド632には連結ブロック(移動部)633が固定されている。
図13に示すように、連結ブロック633は、ガイドシャフト623と平行に伸びる2つのガイド孔634が形成されており、そこにガイドシャフト623が挿入されている。したがって、連結ブロック633は、エアシリンダ631のピストンロッド632の動きによって、ガイドシャフト623に案内されながら、包装材搬送方向620に往復移動する。
【0043】
図9,10に示すように、連結ブロック633の包装材搬送方向の上流側端部(後端)と下流側端部(前端)にはそれぞれ連結プレート635が固定されている。連結プレート635は、ガイドシャフト623と平行に伸びる軸636を中心に回転可能に回転軸(ピン)637を支持している。
【0044】
回転軸637には、軸636から放射方向に伸びる側方突出部638が連結されている。側方突出部638の末端には搬送経路115に向かって伸びる第1のアーム639が連結されている。第1のアーム639の末端には、上方から見たときに搬送経路115に沿って包装材搬送方向下流側に伸びる第2のアーム640が連結されている。第2のアーム640の先端側上面には、後に説明するように包装材104の下面に吸着して包装材104を保持するノズル(包装材保持手段)641が固定されている。
【0045】
折り曲げガイド110は、包装材104のサイズに応じて複数用意されている。そのため、使用する折り曲げガイド110の長手方向中央線の直下に第2のアーム640が位置するように、第1のアーム639の長さが調整できるようになっている。また、折り曲げガイド110の長手方向中央部の傾斜角に合わせて、ガイドシャフト623の傾斜角を調整できる。これにより、ノズル641は、折り曲げガイド110の長手方向中央部下面に沿って移動させることができる。ノズル641と折り曲げガイド110の中央部下面との距離は、エアシリンダ631が後退位置(
図9)にあるとき、ノズル641が折り曲げガイド110に接するか又は折り曲げガイド110との間に僅かな隙間ができるように調整される。
【0046】
実施形態において、ノズル641の先端口部は、軟質プラスチックの蛇腹チューブで構成されている。したがって、ノズル641の先端口部に負圧が導入されると、蛇腹チューブが折り曲げガイド110の下面上にある包装材104に向かって伸びて吸着する。
【0047】
図13に示すように、回転軸637には、上方に向かって伸びる棒状の被ガイド部642が連結されている。被ガイド部642の長さは、被ガイド部642の上端部分がガイドフレーム624のガイド部625を超えて僅かに上方に突出するように、決められている。
【0048】
被ガイド部642が、点線で示す位置を超えてさらに大きく傾斜又は転倒するのを防止するために、連結プレート635には、転倒防止板643が固定されている。
【0049】
被ガイド部642とこれに対向する連結ブロック633には、一方に磁石644が固定され、他方に磁性体645が、対向して固定されている。実施形態では、被ガイド部642に磁石644が固定され、連結ブロック633に磁性体645が固定されている。代わりに、被ガイド部642に磁性体を固定し、連結ブロック633に磁石を固定してもよい。これら磁石644と磁性体645が設けられていることにより、被ガイド部642には連結ブロック633に向かう方向の磁気吸引力が常に作用する。これにより、
図12に示すように、エアシリンダ631のピストンロッド632が後退位置から前進位置まで移動する間、磁石644の磁気吸引力によって吸引された被ガイド部642がガイドフレーム624のガイド部625に接触した状態を維持できる。
【0050】
上述のように、ガイドフレーム624のガイド部625は、包装材搬送方向上流側の後端626から中間点627までの直線領域628では包装材搬送経路115に平行に伸びており、中間点627から包装材搬送方向下流側の前端629までの傾斜領域630では搬送経路115に次第に接近するように搬送経路115に対して斜めに伸びている。そのため、エアシリンダ631のピストンロッド632の進出に伴って被ガイド部642が直線領域628を中間点627まで移動する間、被ガイド部642はほぼ直立状態を維持する。エアシリンダ631のピストンロッド632が更に進出して被ガイド部642が中間点627を超えて傾斜領域630に入ると、被ガイド部642は直立状態から徐々に傾く。ただし、被ガイド部642が傾いても、磁石644と磁性体645との間に働く磁気吸引力によって、被ガイド部642はガイドフレーム624のガイド部625に接触した状態を維持する。
【0051】
図13に示すように、被ガイド部642が実線で示す位置から点線で示す位置に回転すると、被ガイド部642が連結されている回転軸637が回転する。これにより、回転軸637に連結されている側方突出部638、第1のアーム639、さらに第2のアーム640が、被ガイド部642の回転方向に移動し、
図11に示すように第2のアーム640の先端上面に設けた吸着ノズル641が折り曲げガイド110から離れる。
【0052】
図14に示すように、吸引ノズル641は、吸引ポンプ(作動手段)650に連結されている。吸引ポンプ650は、モータ203、エアシリンダ631と共に制御部700に接続されており、制御部700から信号に基づいて、モータ203、エアシリンダ631が駆動するようになっている。また、
図1に示されるように、搬送経路115の近くには、光学式センサ(マーク検出器)701が配置されており、包装材104に印刷されているレジスター調整マーク702(
図4参照)を光学的に検出するようになっている。
【0053】
[動作]
このように構成された包装材送り込み機構600を用いた包装材104の送り込みについて説明する。
【0054】
新たな包装材104をセットする場合、包装材供給部100から繰り出された包装材104を折り曲げガイド110の下面に沿って配置する。また、包装材104の先端を、折り曲げガイド110の下流端113を超えて、シール領域212の手前まで配置しておく。このとき、包装材104の長手方向に一定間隔をあけて該包装材104に印刷されているレジスター調整マーク702を基準位置703に合わせておく。基準位置は特に限定されるものでなく、例えば折り曲げガイド110の下流端113であってもよい。
【0055】
この時点で、エアシリンダ631はオフしており、ピストンロッド632及び連結ブロック633は
図9に示す後退位置(移動開始位置)にある。この状態から、ポンプ650を起動する。ポンプ650は、図示しない操作パネルに設けたポンプ起動スイッチをオンすることによって起動してもよい。
【0056】
ポンプ650を駆動すると、ノズル641の内部に負圧が発生する。これにより、ノズル先端口部が折り曲げガイド110の下面に沿って配置されている包装材104に吸着する。
【0057】
この状態で、例えば操作パネルに設けた起動スイッチをオンにすると、モータが起動するとともに、少し遅れてCPUから1サイクルの同一のタイミングで信号がでて、エアシリンダ631が起動する。モータ203が起動することにより、回転テーブル201が回転する。また、回転テーブル201に支持されたシール機構205と充填シュート310が所定の経路に沿って移動し始める。このとき、各シール機構205の可動シールバー207は、シール領域212の直前まで固定シールバー206から離間しており、シール領域212に進入すると同時に固定シールバー206に接触する。
【0058】
エアシリンダ631が起動することにより、ピストンロッド632が後退位置から進出位置に向かって移動する。これにより、ピストンロッド632に連結された連結ブロック633、回転軸637、被ガイド部642、第1及び第2のアーム639,640、及びノズル641が包装材搬送方向620に移動する。このとき、包装材104に吸着したノズル641は、
図9に示す移動開始位置651から移動終了位置652に移動する。これにより、包装材104の先端がシール領域212に送りこまれ、そこで固定シールバー206と可動シールバー207によって挟持され、回転テーブル201の回転力によって包装材104が包装材供給部100から順次引き出される。
【0059】
エアシリンダ631が起動するタイミングは、モータ203の駆動開始タイミングに一致する必要なく、モータ203の駆動から一定時間後に1サイクルの同一のタイミングでエアシリンダ631が駆動するようにしてもよい。
【0060】
上述のように、ガイドフレーム624の末端ガイド部625は、後端626から中間点627までは、搬送経路115に平行である。したがって、被ガイド部642が後端626から中間点627までの直線領域628を移動する間、ノズル641は折り曲げガイド110との間に一定の間隔を保つ。一方、ガイドフレーム624の末端ガイド部625は、中間点627から前端629に移動するにしたがって次第に搬送経路115から離れるように傾斜している。したがって、中間点627から前端629までの傾斜領域630を移動する間、被ガイド部642は搬送経路115から徐々に回転する。これにより、被ガイド部642が連結された回転軸637及び該回転軸637に支持されたアーム639,640が回転し、それと同時にポンプ650はオフとする。その結果、ノズル641が折り曲げガイド110の下面から次第に離れる。ノズル641が折り曲げガイド110から離れることにより、ノズル口部が包装材104から離れる。これにより、送り込み機構600による包装材104の送り込みは終了する。この時点で、包装材104の先端はシール領域212に進入している。したがって、包装材104は、固定シールバー206と可動シールバー207から伝達される回転テーブル201の回転力(搬送力)によって、順次搬送される。
【0061】
このように包装材104がシール領域212にスムーズに送り込まれるためには、包装材送り込みの開始時点(エアシリンダの駆動開始時点)において、包装材104の先端からシール領域212までの距離は、包装材に吸着したノズル641が包装材104を搬送する距離よりも短くしておくことが好ましい。これにより、ノズル641が包装材104から離れた時点で確実に包装材の先端はシール領域に進入し、ノズルからシールバーにスムーズに包装材が受け渡される。
【0062】
また、レジスター調整マーク702を基準位置703に合わせておくことによって、モータ203の駆動後、1サイクルの同一のタイミングでエアシリンダ631が起動したとき、包装材104に印刷されている印刷内容(例えば、縦シールの間隔に合わせて包装材に印刷されている商品名、商標等)の間の所定位置又はその近くに縦シール320が形成されるように決められる。勿論、目的のシール位置に対して縦シールがずれていても、上述のように送り出し開始時点でレジスター調整が行われているため、たとえ目的のシール位置が縦シールからずれていてもそのずれ量は僅かである。したがって、その後光学センサ701からの情報を用いた印刷模様合わせ制御によって、そのずれは素早く解消される。
【0063】
[その他の形態]
上述の実施形態では、包装材送り込み機構600において、包装材104を保持する機構(保持手段)として吸引ノズル641を使用し、該吸引ノズル641によって包装材を吸引して保持するものとしたが、包装材104を保持する手段はノズルに限るものでない。例えば、保持手段として、折り曲げガイド110底部又は側面に接触する一つ又は複数のローラを設け、該ローラと折り曲げガイドによって包装材を保持してもよい。この実施形態では、ローラはモータ等の駆動源に連結して駆動され、ローラから包装材に作用する搬送力によって包装材がシール領域に送り込まれるように構成することができる。
【0064】
上述の実施形態では、包装材保持手段であるノズル641をエアシリンダ631の駆動に基づいて移動させるものとしたが、包装材保持手段を移動する機構はエアシリンダに限るものではない。例えば、回転テーブルを駆動するモータ、又は専用のモータと連結ブロックを連結することによって、連結ブロックとノズルを移動してもよい。この場合、送りねじ機構を採用し、例えばモータの駆動軸に連結したねじ軸を連結ブロックに固定した送りねじに螺合することによって、モータの駆動に基づいて連結ブロックを往復移動させる。
【0065】
上述の実施形態では、離間手段として、ガイドフレーム624にガイド部625に直線領域628と傾斜領域630を設け、傾斜領域630においてノズル641を折り曲げガイド110から離間させることによってノズル641を包装材104から分離させているが、ノズル641を折り曲げガイドから離間させる機構はこれに限るものでない。例えば、連結ブロックにロータリソレノイドを設け、連結ブロック及びノズルが所定距離移動した時点でロータリソレノイドを駆動してノズルを折り曲げガイドから離間させることができる。
【0066】
上記実施形態では、ガイドフレーム624に設けた傾斜領域630の傾斜角度は一定であるが、ガイド部625の中間点627から前端629に向かって徐々に傾斜角度が大きくなる曲線傾斜部を設けてもよい。
【0067】
上述の実施形態では、磁石と磁性体との間に作用する磁気吸引力によって被ガイド部642をガイド部625に接触させておくものとしたが、磁石は永久磁石である必要はなく、電磁石であってもよい。また、上述の実施形態では、磁石と磁性体との間に作用する磁気吸引力を利用したが、磁石と磁石との磁気反発力を利用することによって、被ガイド部をガイド部に押し付けることも可能である。
【0068】
上述の実施形態及び複数の他の形態は、組み合わせることに支障がない限り、任意に組み合わせることができ、それらの組み合わせは本願発明の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0069】
1:充填包装機
100:包装材供給部、104:包装材、105:ガイドローラ、110:折り曲げガイド、111:包装材搬送方向、115:搬送経路、200:第1のシール部、205:シール機構、206:固定シールバー(固定シール部)、207:可動シールバー(可動シール部)、212:シール領域、300:充填部、306:充填領域、320:縦シール、321:充填材充填室(区画)、400:第2のシール部、600:包装材送り込み機構、624:ガイドフレーム(離間手段)、631:エアシリンダ(送り込み手段)、633:連結ブロック(移動部)、641:ノズル(保持手段)、642:被ガイド部(離間手段)、650:吸引ポンプ(作動手段)、651:移動開始位置、652:移動終了位置。