(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】鉄道車両の自動放送システム、端末の接続装置、端末、自動放送制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04H 20/62 20080101AFI20240426BHJP
H04H 60/25 20080101ALI20240426BHJP
H04H 60/27 20080101ALI20240426BHJP
H04H 60/90 20080101ALI20240426BHJP
B61B 3/00 20060101ALI20240426BHJP
B61D 37/00 20060101ALI20240426BHJP
B61L 25/02 20060101ALI20240426BHJP
B60L 15/42 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
H04H20/62
H04H60/25
H04H60/27
H04H60/90
B61B3/00
B61D37/00 G
B61L25/02 Z
B60L15/42
(21)【出願番号】P 2020108952
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】592066860
【氏名又は名称】八幡電気産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 充男
(72)【発明者】
【氏名】山本 聡
(72)【発明者】
【氏名】古平 悟
(72)【発明者】
【氏名】今村 勇人
(72)【発明者】
【氏名】平塚 友久
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-091082(JP,A)
【文献】特開2017-178185(JP,A)
【文献】特表2015-512195(JP,A)
【文献】特開2018-137597(JP,A)
【文献】特開2010-173578(JP,A)
【文献】国際公開第2010/013507(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04H 20/62
H04H 60/25
H04H 60/27
H04H 60/90
B61B 3/00
B61D 37/00
B61L 25/02
B60L 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両に載せられた端末と、
前記鉄道車両に備えられ、前記端末と通信する接続装置とを備え、
前記接続装置は、
列車情報管理システムからの鉄道車両の運行情報及び車両情報に基づく自動放送の開始情報を前記端末へ送信する送信部と、
前記開始情報を受信した前記端末から、自動放送用の音声情報と、自動放送起動要求を受信する受信部と、
前記自動放送起動要求に基づいて、前記音声情報に基づく音声信号を増幅する出力増幅器を起動させる処理と、前記出力増幅器に前記音声信号を接続する処理とを行う処理部と、を含み、
前記端末は、
前記開始情報に基づいて、前記音声情報を生成する処理と、生成した前記音声情報及び前記自動放送起動要求を前記接続装置へ送信する処理とを行う制御部を含む
自動放送システム。
【請求項2】
前記処理部は、前記鉄道車両の運行情報及び車両情報に対する応答を、前記列車情報管理システム向けに送信する処理を行う
請求項1に記載の自動放送システム。
【請求項3】
前記制御部は、車載マイクが使用中であることを示す情報を取得した場合に、前記音声情報の生成、又は前記自動放送起動要求の送信を回避する
請求項1又は2に記載の自動放送システム。
【請求項4】
前記処理部は、前記車載マイクの使用を検出した場合に、前記車載マイクの使用を示す情報を前記端末に送信する処理を行う
請求項3に記載の自動放送システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記自動放送の可否を示す情報に基づいて、前記音声情報の生成を行うか否かを判定する
請求項1から4のいずれか一項に記載の自動放送システム。
【請求項6】
前記処理部は、前記自動放送の可否を示す情報を、前記端末に送信する処理を行う
請求項5に記載の自動放送システム。
【請求項7】
前記処理部は、放送起動用の引き通し線を介して前記出力増幅器を起動させ、放送用の引き通し線を通じて前記音声信号を前記出力増幅器に接続する
請求項1から6のいずれか一項に記載の自動放送システム。
【請求項8】
前記処理部は、音声の出力先を指定する情報に基づいて、前記鉄道車両中の複数の出力増幅器のうち、前記音声の出力先に該当する出力増幅器に接続されたスピーカから音声を出力させる処理を行う
請求項1から7のいずれか一項に記載の自動放送システム。
【請求項9】
鉄道車両に備えられ、前記鉄道車両に載せられた端末と通信する接続装置であって、
列車情報管理システムから送信された、鉄道車両の運行情報及び車両情報に基づく自動放送の開始情報を、自動放送用の音声情報を生成する端末へ送信する送信部と、
前記開始情報を受信した前記端末から、前記音声情報と、自動放送起動要求を受信する受信部と、
前記自動放送起動要求に基づいて、前記音声情報に基づく音声信号を増幅する出力増幅器を起動させる処理と、前記出力増幅器に前記音声信号を接続する処理とを行う処理部と、
を含む、端末の接続装置。
【請求項10】
鉄道車両に載せられ、前記鉄道車両に備えられた接続装置と通信する端末であって、
前記接続装置から受信された、列車情報管理システムからの鉄道車両の運行情報及び車両情報に基づく自動放送の開始情報に基づいて自動放送用の音声情報を生成する処理と、生成した前記音声情報及び自動放送起動要求を前記接続装置へ送信する処理とを行う制御部
を備える端末。
【請求項11】
鉄道車両に備えられ、前記鉄道車両に載せられた端末と通信する接続装置が、
列車情報管理システムから送信された前記鉄道車両の運行情報及び車両情報に基づく自動放送の開始情報を、自動放送用の音声情報を生成する端末へ送信することと、
前記開始情報を受信した前記端末から、前記音声情報と、自動放送起動要求を受信することと、
前記自動放送起動要求に基づいて、前記音声情報に基づく音声信号を増幅する出力増幅器を起動させることと、
前記出力増幅器に前記音声信号を接続することと
を含む自動放送制御方法。
【請求項12】
鉄道車両に載せられ、前記鉄道車両に備えられた接続装置と通信する端末が、
前記接続装置から受信された、列車情報管理システムからの鉄道車両の運行情報及び車両情報に基づく自動放送の開始情報に基づいて自動放送用の音声情報を生成することと、
生成した前記音声情報及び自動放送起動要求を前記接続装置へ送信することと、
を含む自動放送制御方法。
【請求項13】
鉄道車両に備えられ、前記鉄道車両に載せられた端末と通信する接続装置のコンピュータに、
列車情報管理システムから送信された前記鉄道車両の運行情報及び車両情報に基づく自動放送の開始情報を、自動放送用の音声情報を生成する端末へ送信する処理と、
前記開始情報を受信した前記端末から、前記音声情報と、自動放送起動要求を受信する処理と、
前記自動放送起動要求に基づいて、前記音声情報に基づく音声信号を増幅する出力増幅器を起動させる処理と、
前記出力増幅器に前記音声信号を接続するための処理と
を実行させるプログラム。
【請求項14】
鉄道車両に載せられ、前記鉄道車両に備えられた接続装置と通信する端末のコンピュータに、
前記接続装置から受信された、列車情報管理システムからの鉄道車両の運行情報及び車両情報に基づく自動放送の開始情報に基づいて自動放送用の音声情報を生成する処理と、
生成した前記音声情報及び自動放送起動要求を前記接続装置へ送信する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の自動放送システム、端末の接続装置、端末、自動放送制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両において、列車の設備案内(自動販売機、食堂車、自由席、指定席、グリーン車、車掌室、喫煙室、トイレ設置号車等)や、列車の種別(各駅停車/快速/特急等)、行先駅、停車駅の案内や、駅への停車(到着)、駅からの出発、扉が開く側、乗換案内等の旅客案内放送、扉開閉時の注意喚起、または、急ブレーキの作動や、運行見合わせ、列車遅延、緊急時の案内放送を自動的に放送する自動放送装置が搭載されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、自動放送用データを記憶する記憶部と、記憶部に記憶された自動放送用データを変更するための変更データを、無線通信を介して取得するデータ取得部と、データ取得部により取得された変更データに基づいて、記憶部に記憶された自動放送用データを変更する制御部とを備え、記憶部は自動放送用データのうち書き換えが必要なデータを格納する書き換え可能領域と、書き換えが不要なデータを格納する書き換え不要領域とを有し、データ取得部は、既に書き換え可能領域に格納されているデータを含む変更データを取得するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-216709号公報
【文献】特開2018-137598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、鉄道車両に載せられた端末とその接続装置を用いて列車情報管理システムからの情報に基づく自動放送を可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、鉄道車両に載せられた端末と、前記鉄道車両に設けられ、前記端末と通信する接続装置とを備え、前記接続装置は、列車情報管理システムからの鉄道車両の運行情報及び車両情報に基づく自動放送の開始情報を前記端末へ送信する送信部と、前記開始情報を受信した前記端末から、自動放送用の音声情報と、自動放送起動要求を受信する受信部と、前記自動放送起動要求に基づいて、前記音声情報に基づく音声信号を増幅する出力増幅器を起動させる処理と、前記出力増幅器に前記音声信号を接続する処理とを行う処理部と、を含み、前記端末は、前記開始情報に基づいて、前記音声情報を生成する処理と、生成した前記音声情報及び前記自動放送起動要求を前記接続装置へ送信する処理とを行う制御部を含む自動放送システムである。
【0006】
自動放送システムは、以下の構成を採用するのが好ましい。すなわち、前記処理部は、前記鉄道車両の運行情報及び車両情報に対する応答を、前記列車情報管理システム向けに送信する処理を行う。
【0007】
また、自動放送システムは、以下の構成を採用するのが好ましい。すなわち、前記制御部は、車載マイクの使用とを示す情報を取得した場合に、前記音声情報の生成、又は前記
自動放送起動要求の送信を回避する。この場合、前記処理部が、前記車載マイクの使用を検出した場合に、前記車載マイクの使用を示す情報を前記端末に送信するのが好ましい。
【0008】
また、自動放送システムは、以下の構成を採用するのが好ましい。すなわち、前記制御部は、前記自動放送の可否を示す情報に基づいて、前記音声情報の生成を行うか否かを判定する。この場合、前記処理部が、前記自動放送の可否を示す情報を、前記端末に送信するのが好ましい。
【0009】
また、自動放送システムは、以下の構成を採用するのが好ましい。すなわち、前記処理部は、放送起動用の引き通し線を介して前記出力増幅器を起動させ、放送用の引き通し線を通じて前記音声信号を前記出力増幅器に接続する。
【0010】
また、自動放送システムは、以下の構成を採用するのが好ましい。すなわち、前記処理部は、音声の出力先を指定する情報に基づいて、前記鉄道車両中の複数の前記出力増幅器のうち、前記音声の出力先に該当する出力増幅器に接続されたスピーカから音声を出力させる処理を行う。
【0011】
また、本発明の他の態様は、鉄道車両に備えられ、前記鉄道車両に載せられた端末と通信する接続装置であって、列車情報管理システムから送信された、鉄道車両の運行情報及び車両情報に基づく自動放送の開始情報を、自動放送用の音声情報を生成する端末へ送信する送信部と、前記開始情報を受信した前記端末から、前記音声情報と、自動放送起動要求を受信する受信部と、前記自動放送起動要求に基づいて、前記音声情報に基づく音声信号を増幅する出力増幅器を起動させる処理と、前記出力増幅器に前記音声信号を接続する処理とを行う処理部と、を含む端末の接続装置である。
【0012】
また、本発明の他の態様は、鉄道車両に載せられた接続装置と通信する、前記鉄道車両の端末であって、前記接続装置から受信された、列車情報管理システムからの鉄道車両の運行情報及び車両情報に基づく自動放送の開始情報に基づいて自動放送用の音声情報を生成する処理と、生成した前記音声情報及び自動放送起動要求を前記接続装置へ送信する処理とを行う制御部を備える端末である。
【0013】
また、本発明の他の態様は、自動放送システムと同様の特徴を有する自動放送制御方法や、本発明に係る自動放送システムにおける端末や接続装置のコンピュータによって実行されるプログラムを含み得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、鉄道車両に載せられた端末とその接続装置を用いて列車情報管理システムからの情報に基づく自動放送を実施可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、鉄道車両の自動放送システムの一例を示す。
【
図3】
図3は、自動放送システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、自動放送システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、自動放送システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、端末接続装置における処理例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、車載端末における処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、実施形態に係る鉄道車両の自動放送システム、端末の接続装置
、端末、自動放送制御方法、及びプログラムについて説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0017】
図1は、鉄道車両に備えられた車内への放送システムの一例を示す。
図1において、鉄道車両(編成)10は、破線で模式的に示される。鉄道車両10は、1又は複数の車両からなる(
図1では、2つの車両を例示)。車両は、運転室と客室とを備え、編成の先頭や最後尾に配置される車両(「運転車両10A」と称する)と、客室を有し、先頭に配置される車両に連結される1又は2以上の車両(「客車10B」と称する)とを含む。編成の最後尾に、もう一つの運転車両10Aが設けられることもある。
【0018】
図1において、放送システムは、鉄道車両10の運転状態に応じて音声を自動放送する自動放送システムを含んでいる。放送システムは、大略して、モニタ端末30と、端末接続装置100(接続装置の一例)と、車載端末20(端末の一例)と、マイクロフォン(マイク)15と、制御増幅器(C.AMP)16と、出力増幅器(パワーアンプ:P.AMP)17と、スピーカ18とを含んでいる。
図1に示す例では、モニタ端末30、端末接続装置100、車載端末20、マイクロフォン15、及び制御増幅器16は、運転室に配置され、出力増幅器17及びスピーカ18は、客室に配置されている。
【0019】
制御増幅器16及び端末接続装置100は、放送起動線L1と、放送引き通し線L2とを介して接続されている。
図1では、放送引き通し線L2は1本だけ図示しているが実際は二線である。放送起動線L1及び放送引き通し線L2の夫々は、複数の車両間に亘って引き通される引き通し線である。
図1に示す運転車両10Aには、1以上の他の車両(
図1では、1台の客車10Bを図示)が連結されており、各車両には、出力増幅器17及びスピーカ18が設けられている。他の車両(客車10B)の出力増幅器17は、放送起動線L1及び放送引き通し線L2に接続されている。
【0020】
モニタ端末30は、列車情報管理システムと通信(情報の送受信)を行う。モニタ端末30は、表示装置(ディスプレイ)を有する。ディスプレイには、列車情報管理システムから受信される、鉄道車両10の運行情報及び車両情報を含む、様々な情報を表示することができる。また、端末接続装置100からの応答によって伝達される情報を表示することもできる。
【0021】
列車情報管理システムは、例えば、INTEROS(INtegrated Train ommunication networks for Evolvable Railway Operation System)、TIMS(Train Information Management System)又はMONなどである。列車情報管理システムから供給される車両情報及び運行
情報は、例えば、列車種別・列車番号または運行番号・行先・列車の現在位置・次停車駅などを含むことができる。また、車両情報及び運行情報は、主要機器の動作状態、ドアの開閉状態、車内環境(温度・湿度・乗車率)、空調設定、自動放送・車内案内表示装置の設定、緊急時・故障時の操作支援、機器の遠隔操作などに関する情報を含むことができる。
【0022】
端末接続装置100は、制御回路101と、通信インタフェース(通信IF)102と、AMP制御回路103とを含む。通信IF102は、無線通信(無線LAN(WiFi)など)又は有線通信(LANなど)による端末20との通信を司る回路である。有線通信の場合、通信IFは例えばLANカードである。無線通信の場合、無線通信規格に応じた無線モジュールである。無線通信規格はBluetoothやBLE等の無線LAN以外であっ
てもよい。
【0023】
制御回路101は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ及び記憶装置
等を含む回路である。記憶装置は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Onl
y Memory)、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、及び
EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを含む。
【0024】
記憶装置は、プロセッサによって実行されるプログラムやデータを記憶する。プロセッサはプログラムの実行によって、様々な処理を行う。例えば、プロセッサは、列車情報管理システムから端末接続装置100へ送信される信号SDR1と、端末接続装置100から列車情報管理システムへ送信される信号SD1との送受信処理を行う。信号SDR1には、鉄道車両10の運行情報及び車両情報等が含まれる。なお、
図1に示す例では、信号SDR1及びSD1の送受信はモニタ端末30を介して行われているが、これは必須ではない。信号SDR1及びSD1は、所定の周期で送信され、送信のタイミングで、送る情報があれば、その情報が信号にのせられる。
【0025】
また、制御回路101のプロセッサは、運行情報及び車両情報に基づく自動放送の開始情報を生成する処理を行う。開始情報は、開始要求を示す情報と開始判定条件を示す情報とのどちらであってもよい。開始要求は、列車情報管理システム側が車載端末20に送る自動放送の開始の要求(指示又は命令)を示す情報であり、車載端末20は開始要求を受けると自動放送を開始する。開始判定条件は、車載端末20が自動放送を開始するか否かを判定する構成において、自動放送を開始すると判定される条件を示す情報である。車載端末20は、開始判定条件を受けて、自動放送を開始すると判定し、自動放送を開始する。開始判定条件を示す情報(パラメータ)は、運行情報及び車両情報であり、例えば、駅間キロ程と走行キロ程情報である。換言すれば、開始情報は、車載端末20が自動放送プログラムの実行を開始する契機又は起因となる情報であればよく、運行情報及び車両情報そのものでも、加工された運行情報及び車両情報でも、運行情報及び車両情報に基づく命令又は指示でもよい。
【0026】
さらに、制御回路101のプロセッサは、通信IF102を制御して、端末接続装置100から端末20へ送信される信号SDR2の送信処理と、端末20から端末接続装置100へ送信される信号SD2の受信処理とを行う。信号SDR2及びSD2も、所定の周期で送信される。信号SD2には、上記した自動放送の開始情報(開始要求又は開始判定条件)が含められる。なお、信号SDR1及びSD1の送受信は、モニタ端末30と端末接続装置100との間に設けられた専用線を用いて行うことを想定しているが、通信IF102を用いて行ってもよい。
【0027】
さらに、制御回路101のプロセッサは、信号SD2に自動放送起動要求が含まれている場合に、放送起動線L1を介して、1又は2以上の出力増幅器17を起動させる。起動先の出力増幅器17は、例えば、放送起動線L1に接続されている出力増幅器17の全てである。もっとも、端末接続装置100に対して予め設定された情報、或いは端末20から通知された情報に従って、放送起動線L1に接続されている出力増幅器17の中から選択した出力増幅器17を起動させることも可能である。端末20からの通知(出力増幅器の指定情報)は、例えば、信号SD2に含まれているものを取得することができる。出力増幅器の指定情報は、自動放送起動要求とともに送信されてもよく、異なるタイミングで送信されてもよい。また、出力増幅器の指定情報の通知は、信号SD2以外の信号により送信されてもよい。
【0028】
AMP制御回路103は、制御回路101の制御下で、車載端末20から受信される音声情報に基づく音声信号を放送引き通し線L2に接続する処理を行う。音声情報は、通信IF102を介して受信するのでも、通信IF102以外(USB(Universal Serial Bus)ケーブルなど)などを介して受信するのでもよい。車載端末20からの音声情報は、アナログ形式の音声信号であっても、ディジタル形式の音声信号であっても、放送内容のテキストデータであってもよい。音声情報がディジタル形式の音声信号である場合、AM
P制御回路は103は、音声信号をアナログ形式に変換し、放送引き通し線L2に接続する。音声情報がテキストデータである場合、AMP制御回路103は、テキストデータの音声合成処理によってディジタル形式の音声信号を生成し、それをさらにアナログ形式に変換して、放送引き通し線L2に接続する。AMP制御回路103は、放送引き通し線L2に音声信号を接続する前に、その音声信号を増幅してもよい。以下の説明では、一例として、車載端末20からは、音声情報として、ディジタル形式の音声信号が通信IF102を介してAMP制御回路103に入力されることとする。
【0029】
また、制御回路101は、マイク15及び制御増幅器16のオンオフを示す情報を制御増幅器16から受け取り、マイク15のオンオフを示す情報(信号)を、信号SDR2を用いて車載端末20に送信することができる。
【0030】
制御増幅器16は、マイク15がオンになると起動(オン)し、放送起動線L1を介して、指定された出力増幅器17を起動させる。また、マイク15から入力されたアナログ形式の音声信号(運転手や車掌等の乗務員などの音声)を増幅し、放送引き通し線L2に接続する。また、制御増幅器16は、マイク15のオフに合わせてオフとなる。制御増幅器16は、マイク15のオンオフを示す情報を制御回路101に送る。制御回路101と制御増幅器16との間の情報(信号)の伝達経路は、無線通信でも有線通信でもよい。
【0031】
出力増幅器17は、放送起動線L1からの信号を受けて起動し、放送引き通し線L2を介して受信されるアナログ形式の音声信号を増幅し、スピーカ18に接続する。スピーカ18からは、音声信号に応じた音声(放送音声)が放音される。
【0032】
なお、制御回路101が備えるプロセッサが行う処理の一部又は全部は、DSP(Digital Signal Processor)などのCPU以外のプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの専用または汎用の集積回路(ハードウェア)、或いはソフトウェアとハードウェアの組み合わせ(SoC(System-on-a-Chip)など)によって行われてもよい。これは、後述する車載端末20のプロセッサ21についても同様である。また、AMP制御回路103と制御回路101とは、1チップ化されていてもよい。
【0033】
図2は、車載端末20の構成例を示す図である。車載端末20は、鉄道車両10に載せられた(乗車中の乗務員などに所持される)端末であっても、鉄道車両10に据え付けられた(固定された)端末であってもよい。また、車載端末20は、鉄道車両10の走行中には鉄道車両10内にあるが、鉄道車両10の停車中に、車外に持ち出し可能な端末であってもよい。
【0034】
車載端末20は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、ラップトップ型のパーソナルコンピュータ(PC)、ウェアラブル端末などの、専用または汎用の携帯端末である。但し、車載端末20は、上記したように固定端末であってもよい。また、車載端末20は、無線通信及び有線通信の少なくとも一方によって端末接続装置100と通信する。以降の説明では、車載端末20は、一例として、端末接続装置100と無線通信するタブレット端末であるとする。
【0035】
図2において、車載端末20は、バス26を介して相互に接続された、制御部(コントローラ)としてのプロセッサ21と、記憶装置22と、通信インタフェース(通信IF)23と、入力装置24と、ディスプレイ25と、インタフェース回路(IF)27とを含む。記憶装置22は、制御回路101が備える記憶装置と同様のものである。但し、車載端末20の用途に応じた種別及び容量を有する。記憶装置22は、車載端末20を自動放送用の音声情報を生成する装置として動作されるアプリケーションプログラム(アプリ)
と、アプリの実行に際して使用されるデータ等を記憶している。
【0036】
通信IF23は、端末接続装置100と無線通信するための無線モジュール(回路)である。但し、通信IF23は、LANカードなどの、端末接続装置100と有線通信を行う回路又は装置を含んでいてもよい。また、IF27は、USBなどのLANや無線通信以外の手法で端末接続装置100と通信を行うためのインタフェース回路である。但し、IF27はオプションである。
【0037】
入力装置24は、例えば、キー、ボタン、ポインティングデバイス、及びタッチパネルなどであり、情報の入力に使用される。ディスプレイ25は例えば液晶ディスプレイなどであり、情報及びデータを表示する。プロセッサ21は、例えばCPU(Central Processing Unit)などである。プロセッサ21は、記憶装置22に記憶された各種のプログラ
ム(上記アプリを含む)を実行することによって、様々な処理を行う。
【0038】
例えば、プロセッサ21は、信号SDR2の受信と信号SD2の送信を制御する。また、プロセッサ21は、自動放送の開始情報(開始要求又は開始判定条件)に応じて、対応する自動放送プログラムの実行を開始する。また、プロセッサ21は、自動放送の可否を示すフラグ、及びマイク15のオンオフ(非使用/使用中)を示すフラグを管理し、フラグを用いた自動放送の制御を行う。
【0039】
図3は、放送システムを用いた自動放送の動作例(自動放送システムの動作例)を示すシーケンス図である。以下の説明では、自動放送の開始情報の一例として、自動放送の開始要求が端末接続装置100から車載端末20へ送信される場合について説明する。ステップS01において、モニタ端末30は、列車情報管理システムからの運行情報及び車両情報を、周期的に送信される信号SDR1にのせて端末接続装置100に送信する。
【0040】
端末接続装置100は、信号SDR1に含まれるデータの加工を行い(ステップS02)、信号SDR1に対する応答(ACKや信号SD2として車載端末20から送られた機器の状態など)を、モニタ端末30へ周期的に送信される信号SD1にのせて送信する(ステップS03)。信号SD1に含まれる情報は、モニタ端末30を介して列車情報管理システムに送られる。
【0041】
また、端末接続装置100は、データ加工が施された運行情報及び車両情報(自動放送の開始要求)を、周期的に送信される信号SDR2にのせて送信する(ステップS04)。車載端末20は、信号SDR2から加工された運行情報及び車両情報(自動放送の開始要求)を検出すると、加工された運行情報及び車両情報に対応する自動放送プログラムの実行を開始し、自動放送処理を行う(ステップS05)。
【0042】
自動放送処理によって、自動放送用の音声情報が生成される。車載端末20は、自動放送起動要求を、端末接続装置100に周期的に送信される信号SD2にのせて送信する(ステップS06)。また、自動放送用の音声情報(ディジタル形式の音声信号)を、端末接続装置100へ送信する。もっとも、車載端末20からアナログ形式の音声信号をAMP制御回路103に送ってもよい。
【0043】
端末接続装置100は、信号SD2から自動放送起動要求を検出すると(ステップS08のY)と、自動放送起動要求の送信先を指定する情報に基づいて、自動放送起動要求を、放送起動線L1を介して、送信先に該当する出力増幅器17に送る(ステップS09)。また、端末接続装置100は、放送引き通し線L2を介して、音声情報に基づく音声信号(アナログ形式の音声信号)を出力増幅器17に送る(ステップS10)。
【0044】
自動放送起動要求を受けた出力増幅器17は、放送処理を行う(ステップS11)。すなわち、出力増幅器17は、自動放送起動要求の信号を受けて起動し、放送引き通し線L2から入力される音声信号を増幅してスピーカ18に出力する。これによって、スピーカ18から、自動放送音声が、客室内に放送される。このとき、放送引き通し線L2に接続された複数の出力増幅器17のうち、送信先(音声の出力先)に指定された出力増幅器17が起動し、起動した出力増幅器17と接続されたスピーカ18から音声が放送(出力)されることで、放送音声の出力先が制御される。
【0045】
なお、上述した放送音声の出力先を制御する構成の代わりに、端末接続装置100が放送起動線L1に接続されている出力増幅器17の夫々を起動させるとともに、放送を所望する(音声の出力先として指定された)出力増幅器17に音声信号を送ることで、放送音声の出力先を制御してもよい。すなわち、複数の出力増幅器17のうち、出力先に指定された(出力先に該当する)出力増幅器17に接続されたスピーカ18から音声が出力されるようにすることができる。
【0046】
図4は、マイク15のオンオフに伴う自動放送システムの動作例を示すシーケンス図である。制御増幅器16は、乗務員が乗客に向けて車内放送を行う場合などに、マイク15がオンにされることで起動する(ステップS11)。起動した制御増幅器16は、マイク15の使用(オン)を示す情報又は信号を端末接続装置100に送信する(ステップS12)。
【0047】
また、制御増幅器16は、放送起動線L1を介して放送起動要求を出力増幅器17に送り、所定の出力増幅器17を起動させる(ステップS13)。放送起動要求に応じて起動した出力増幅器17は、放送処理を行う。すなわち、制御増幅器16から放送引き通し線L2を介して送信されるアナログ形式の音声信号(マイク15の入力音声に基づく音声信号)を増幅してスピーカ18に接続する。これによって、スピーカ18から、乗務員等の音声が放送される。
【0048】
マイク15がオフにされると、マイクのオフを検出した制御増幅器16は、マイクの使用終了を示す情報又は信号を端末接続装置100に送信する(ステップS19)。なお、制御増幅器16は、鉄道車両10の運行中に常時オンとなっており、ステップS11でマイク15のオンを検出する構成となっていてもよい。
【0049】
ところで、端末接続装置100は、制御増幅器16からマイク15の使用を示す情報又は信号を受けると、マイク使用を示す情報を、車載端末20へ周期的に送信される信号SDR2にのせて送信する(ステップS15)。車載端末20は、マイク使用を示す情報を受信すると、記憶装置22又はそれ以外が記憶している、マイク使用フラグをオンに設定する(ステップS16)。端末接続装置100は、マイク使用フラグをオンにしたことを示す情報を、端末接続装置100へ周期的に送信される信号SD2にのせて送信する(ステップS17)。なお、ステップS17の処理はオプションであり、なくてもよい。
【0050】
また、端末接続装置100は、制御増幅器16からマイク15の使用終了(オフ)を示す情報又は信号を受けると、マイク使用終了を示す情報を、信号SDR2にのせて送信する(ステップS21)。車載端末20は、マイク使用終了を示す情報を受信すると、マイク使用フラグをオフに設定する(ステップS22)。端末接続装置100は、マイク使用フラグをオフにしたことを示す情報を、信号SD2にのせて送信する(ステップS23)。なお、ステップS23の処理はオプションであり、なくてもよい。
【0051】
なお、端末接続装置100では、車載端末20からの信号SD2から得られる、マイク使用フラグをオン又はオフにしたことを示す情報について、記憶、表示、他の機器へ送信
(信号SD1にのせて送信する)等を行うことができる。
【0052】
図5は、自動放送可否の設定に係る自動放送システムの動作例を示すシーケンス図である。端末接続装置100は、任意のタイミングで、自動放送不可を示す情報を、信号SDR2にのせて車載端末20へ送信することができる(ステップS31)。
【0053】
車載端末20は、信号SDR2から、自動放送不可を示す情報を検出すると、記憶装置22又はそれ以外に記憶されている放送不可フラグをオンに設定する(ステップS32)。車載端末20は、放送不可フラグをオンに設定したことを示す情報を、信号SD2にのせて端末接続装置100へ送信する(ステップS33)。
【0054】
図5は、自動放送可否の設定に係る自動放送システムの動作例を示すシーケンス図である。端末接続装置100は、任意のタイミングで、自動放送不可を示す情報を、信号SDR2にのせて車載端末20へ送信することができる(ステップS31)。
【0055】
車載端末20は、信号SDR2から、自動放送不可を示す情報を検出すると、記憶装置22又はそれ以外に記憶されている放送不可フラグをオンに設定する(ステップS32)。車載端末20は、放送不可フラグをオンに設定したことを示す情報を、信号SD2にのせて端末接続装置100へ送信する(ステップS33)。端末接続装置100では、信号SD2から得られる、自動放送不可フラグをオンにしたことを示す情報について、記憶、表示、及び他の機器へ送信(信号SD1にのせて送信する)等を行うことができる。
【0056】
また、端末接続装置100は、任意のタイミングで、自動放送不可の解除を示す情報を、信号SDR2にのせて車載端末20へ送信することができる(ステップS34)。車載端末20は、信号SDR2から、自動放送不可の解除を示す情報を検出すると、放送不可フラグをオフに設定する(ステップS35)。車載端末20は、放送不可フラグをオフに設定したことを示す情報を、信号SD2にのせて端末接続装置100へ送信する(ステップS36)。端末接続装置100では、信号SD2から得られる、自動放送不可フラグをオフにしたことを示す情報について、記憶、表示、及び他の機器へ送信(信号SD1にのせて送信する)等を行うことができる。なお、ステップS36の処理はオプションであり、なくてもよい。
【0057】
図6は、端末接続装置100の制御回路101の処理例を示すフローチャートである。フローチャートの処理は、端末接続装置100が備える制御回路101(プロセッサ)によって実行される。ステップS001では、制御回路101は、列車情報管理システム(モニタ端末30)から周期的に送信される信号SDR1が受信されたか否かを判定する。信号SDR1が受信されたと判定される場合には、処理がステップS002に進み、そうでない場合には、処理がS004に進む。
【0058】
ステップS002では、制御回路101は、周期的な信号SD1の送信処理を行う。このとき、信号SD1にのせる情報がある場合には、その情報を信号SD1にのせるための処理を制御回路101は行う。ステップS003では、制御回路101は、信号SDR2にのせる情報のデータ加工を行う。例えば、信号SDR1中の情報(運行情報及び車両情報)に対するデータ加工を行う。ステップS003の処理において、自動放送の開始要求が生成される。ステップS003の処理が終了すると、処理がステップS004に進む。
【0059】
ステップS004では、制御回路101は、周期的な信号SDR2の送信処理を行う。このとき、信号SDR2にのせる情報(自動放送の開始要求、マイク使用を示す情報、自動放送不可を示す情報など)がある場合には、その情報を信号SDR2にのせるための処理を制御回路101は行う。
【0060】
ステップS005では、制御回路101は、車載端末20から周期的に送信される信号SD2が受信されたか否かを判定する。信号SD2が受信されたと判定される場合には、処理がステップS006に進み、そうでない場合には、処理がS001に戻る。
【0061】
ステップS006では、制御回路101は、信号SD2に自動放送起動要求が含まれているかを判定する。自動放送起動要求が含まれていると判定される場合には、処理がステップS007に進み、そうでない場合には、処理がS001に戻る。ステップS007では、制御回路101は、放送起動線L1を介して、音声の出力先として指定された出力増幅器17に、自動放送起動要求を送信する処理を行う。出力増幅器17は、自動放送起動要求を受けて起動する。なお、ステップS006でNの判定が行われる場合に、制御回路101は、SD2中の情報(マイク使用フラグのオンオフを示す情報、自動放送不可フラグのオンオフを示す情報)に対する、記憶、表示、他装置への送信するための処理を行うことができる。
【0062】
図7は、車載端末20のプロセッサ21による処理例を示すフローチャートである。ステップS101において、プロセッサ21は、端末接続装置100からの信号SDR2の受信を待ち受け、信号SDR2を受信すると、処理をステップS102に進める。
【0063】
ステップS102では、プロセッサ21は、周期的な信号SD2を送信する処理を行う。このとき、信号SD2にのせる情報(自動放送起動要求、機器の状態など)があれば、情報が載せられた信号SD2が端末接続装置100に送信される。
【0064】
ステップS103では、プロセッサ21は、マイク使用中か否かを判定する。すなわち、プロセッサ21は、マイク使用フラグがオンかオフかを判定する。マイク使用フラグがオフであると判定する場合、プロセッサ21は、処理をステップS104に進め、そうでない場合(マイク使用フラグがオンの場合)には、処理をステップS107に進める。
【0065】
ステップS104では、プロセッサ21は、車載端末20の状態が自動放送不可の状態であるかを判定する。すなわち、プロセッサ21は、自動放送不可フラグがオンであるかオフであるかを判定する。このとき、自動放送不可フラグがオフであると判定される場合には処理がステップS105に進み、そうでない場合(自動放送不可フラグがオンである場合)には、処理がステップS107に進む。なお、S103の処理とS104の処理とは順序が逆でもよい。
【0066】
ステップS105では、プロセッサ21は、自動放送の開始要求に応じた自動放送プログラムの実行を開始する。すなわち、プロセッサ21は、自動放送音声の編集処理(音声情報の生成処理)を行う。例えば、プロセッサ21は、記憶装置22に記憶されている、開始要求に対応する自動放送用の音声信号を読み出して、端末接続装置100への送信形式(ディジタル形式)に変換する処理を行う。或いは、開始要求に対応する放送内容のテキストデータを読み出し、音声合成によりディジタル形式の音声信号に変換する処理を行う。そして、プロセッサ21は、ステップS105で生成された音声信号(音声情報)を通信IF23を用いて端末接続装置100に送信する処理を行う。通信IF23の代わりにIF27を用いて送信が行われてもよい。なお、ステップS105の処理において、アナログ形式の音声信号が生成されて車載端末20から出力され、そのアナログ形式の音声信号が直接にAMP制御回路103に送信される構成を採用してもよい。
【0067】
ステップS106では、プロセッサ21は、自動放送起動要求をセットする。ステップS107では、プロセッサ21は、信号SD2の編集を行う。自動放送起動要求がセットされた場合には、自動放送起動要求が含まれた信号SD2が編集される。また、ステップ
S103やS104においてN(フラグオン)の判定がなされた場合では、特に情報を含まないか、車載端末20が監視又は管理している機器の状態を示す情報を含む信号SD2が編集される。ステップS107において、信号SD2に、自動放送音声の出力先の出力増幅器17を指定する情報が信号SD2に含められてもよい。ステップS107が終了すると、処理がステップS101に戻る。
【0068】
ステップS107で編集された信号SD2は、ステップS102のタイミングで送信される。なお、
図4及び
図5で説明したマイク使用フラグ、及び自動放送不可フラグのオンオフに関する処理は、割込によって行われる。マイク使用フラグや自動放送不可フラグのオンオフを示す情報は、記憶装置22にて保管され、ステップS107で信号SD2内に編集され、ステップS102のタイミングで送信される。
【0069】
なお、自動放送の開始要求の代わりに、自動放送の開始判定条件が受信された場合には、ステップS105において、プロセッサ21は、自動放送を開始するか否かの判定を、開始判定条件を用いて行う。このとき、開始判定条件を示す値(例えば駅間キロ程及び走行キロ程)は自動放送の開始条件を満たすため、プロセッサ21は、開始判定条件に対応する自動放送プログラムの実行を開始する。
【0070】
実施形態における自動放送システムは、鉄道車両10に載せられた車載端末20(端末)と、鉄道車両10に設けられ、車載端末20と通信する端末接続装置100(接続装置)とを備える。端末接続装置100は、列車情報管理システムからの鉄道車両10の運行情報及び車両情報に基づく自動放送の開始要求を車載端末20へ送信する通信IF102(送信部)を有する。また、端末接続装置100は、自動放送の開始要求を受信した車載端末20から、自動放送用の音声情報と、自動放送起動要求を受信する通信IF102(受信部)を有する。さらに、端末接続装置100は、自動放送起動要求に基づいて、音声情報に基づく音声信号を増幅する出力増幅器17を起動させる処理と、出力増幅器17に音声信号を接続する処理とを行う制御回路101及びAMP接続回路(処理部)とを含む。また、車載端末20は、自動放送の開始要求に基づいて音声情報を生成する処理と、生成した音声情報及び自動放送起動要求を接続装置へ送信する処理とを行うプロセッサ21(制御部)を含む。
【0071】
自動放送システムによれば、車両に自動放送システムを後付けで設置する場合に、自動放送用の音声情報の生成機能を有する車載端末20と、端末接続装置100とを用いて、列車情報管理システムからの情報に基づいて自動的に動作する自動放送システムを構築することができる。
【0072】
特に、車載端末20としてタブレット端末等の既存の汎用端末を用いる場合、車載端末20に対する開発は、自動放送用の音声情報を生成するアプリケーションプログラム(アプリ)の開発となり、専用のハードウェアは、端末接続装置100となる。このため、開発規模を抑えることができる。また、端末接続装置100は、既存のモニタ端末30と車載端末20との信号形式変換と、出力増幅器17の制御を行う簡素な構成であり、開発規模は小さい。
【0073】
実施形態において、端末接続装置100の制御回路101(処理部)は、鉄道車両10の運行情報及び車両情報に対する応答を含むSD1を、列車情報管理システム向けに送信する処理を行う。これによって、従前の自動放送装置と列車情報管理システムとがやりとりしていた情報を、信号SD1を用いて列車情報管理システムに返すことができる。このとき、端末接続装置100は、自動放送用の音声データ(音声情報)も列車情報管理システムに送信することができる。他の号車(車両)でも直接列車情報管理システムに接続が可能な車両の場合、この音声データの供給を列車情報管理システム経由から受け、他の号
車(車両)で使用する自動放送用の音声データとして扱ってもよい。
【0074】
また、実施形態において、車載端末20のプロセッサ21(制御部)は、マイク15(車載マイク)の使用を示す情報を取得した場合に、自動放送用の音声情報の生成、又は自動放送起動要求の送信を回避する(行わない)ことができる(
図7のS103のNO)。これによって、マイク15を用いた車内放送を自動放送より優先させることができる。これに関連して、実施形態における端末接続装置100の制御回路101(処理部)は、マイク15(車載マイク)の使用を検出した場合に、マイク15の使用を示す情報を車載端末20に送信する(
図4)。このように、端末接続装置100が、マイク15のオンオフに応じて、車載端末20における自動放送に係る処理を制御可能な構成とすることができる。
【0075】
また、実施形態において、車載端末20のプロセッサ21(制御部)は、自動放送不可フラグ(自動放送の可否を示す情報の一例)に基づいて、音声情報の生成を行うか否かを判定する(
図7のS104)。これによって、車載端末20の自動放送に係る処理を、自動放送の可否を示す情報に基づいて制御することができる。これに関連して、実施形態では、端末接続装置100の制御回路101(処理部)は、自動放送不可を示す情報、及び自動放送不可の解除を示す情報(自動放送の可否を示す情報)を、前記端末に送信する(
図5)。これによって、端末接続装置100が、車載端末20における自動放送に係る処理のオンオフを制御することができる。
【0076】
また、実施形態において、端末接続装置100の制御回路101(処理部)は、放送起動用の引き通し線、すなわち放送起動線L1を介して出力増幅器17を起動させ、放送用の引き通し線、すなわち放送引き通し線L2を通じて音声信号を出力増幅器17に接続する。このような構成を採用することで、既存車両にある設備を利用して、開発規模を抑えることができる。
【0077】
また、実施形態において、端末接続装置100の制御回路101(処理部)は、音声の出力先を指定する情報に基づいて、鉄道車両10中の複数の出力増幅器17のうち、音声の出力先に該当する出力増幅器17に接続されたスピーカ8から音声を出力させる処理を行う。これによって、複数の車両のうちの特定の車両や、二つの編成が併結されている場合の一方の編成に音声を放送する場合など、音声の出力先を限った自動放送を行うことができる。以上説明した実施形態の構成は、本発明の目的を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
10・・・鉄道車両
10A・・・運転車両
10B・・・客車
15・・・マイクロフォン
16・・・制御増幅器
17・・・出力増幅器
18・・・スピーカ
20・・・車載端末
21・・・プロセッサ
22・・・記憶装置
23・・・通信インタフェース
100・・・端末接続装置
101・・・制御回路
102・・・通信インタフェース
103・・・AMP制御回路