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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】両面養生ボード
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/30 20060101AFI20240426BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
E04G21/30 A
B32B27/00 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020128879
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022025798
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】521413936
【氏名又は名称】藤本貴昭株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】藤本貴昭
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-060246(JP,U)
【文献】特開2002-011820(JP,A)
【文献】実開昭61-204730(JP,U)
【文献】登録実用新案第3224621(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/24 -21/32
B32B 1/00 -43/00
E04F 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
養生すべき面を覆って保護するための両面養生ボードであって、
強度を維持するためのボード材層と、
該ボード材層の表側及び裏側にそれぞれ設けた防湿層とを備え、
表側及び裏側の防湿層上に、少なくとも1層の剥離フィルム層をそれぞれ形成したことを特徴とする両面養生ボード。
【請求項2】
強度を維持するための2枚のボード材を備え、
該ボード材のそれぞれの一方の面に防湿層を形成し、更にそれぞれの防湿層上に少なくとも1層の剥離フィルム層を設け、
該2枚のボード材のそれぞれの他方の面を互いに接着して前記ボード材層としたことを特徴とする請求項1記載の両面養生ボード。
【請求項3】
前記両面養生ボードのいずれか一方又は両方の面において、前記剥離フィルム層の面積は、前記防湿層の面積より小さくなっており、前記防湿層は周縁部の少なくとも一部に露出エリアを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の両面養生ボード。
【請求項4】
前記両面養生ボードのいずれか一方又は両方の面において、複数の前記剥離フィルム層を備え、前記各剥離フィルム層の面積は、当該剥離フィルム層より下層の剥離フィルム層の面積より小さくなっており、該下層の剥離フィルム層は周縁部の少なくとも一部に露出エリアを有していることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の両面養生ボード。
【請求項5】
前記両面養生ボードの平面形状が矩形であり、前記両面養生ボードのいずれか一方又は両方の面において、前記剥離フィルム層の幅は、縦又は横の何れかの方向において前記防湿層の幅より狭くなっており、前記防湿層の前記露出エリアは、前記防湿層の少なくとも一辺に沿って形成されている請求項3に記載の両面養生ボード。
【請求項6】
前記両面養生ボードの平面形状が矩形であり、前記両面養生ボードのいずれか一方又は両方の面において、前記剥離フィルム層の幅は、当該剥離フィルム層の下層の剥離フィルム層より幅が狭くなっており、該下層の剥離フィルム層の前記露出エリアは、該下層の剥離フィルム層の少なくとも一辺に沿って形成されている請求項4に記載の両面養生ボード。
【請求項7】
前記両面養生ボードのいずれか一方又は両方の面において、前記剥離フィルム層は、前記防湿層とは異なる色に着色されている請求項1から6の何れかに記載の両面養生ボード。
【請求項8】
前記両面養生ボードのいずれか一方又は両方の面において、前記防湿層及び前記剥離フィルム層のそれぞれは、互いに異なる色に着色されている請求項5又は6の何れかに記載の両面養生ボード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場等において、既に施工が完了している床などの面を、損傷や汚染から保護し養生するための両面養生ボードに関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場等においては、既に施工が完了し仕上げられた床面を、その後の壁や天井の工事等の作業によって損傷したり汚染したりしないように養生ボードを用いて保護することが広く行われている。また、引っ越し荷物の搬入、搬出の際にも、輸送トラックの床面や搬入先の家屋の床面が土足で損傷、汚染等しないように養生ボードが用いられることがある(特許文献1及び2)。
【0003】
図8は、上記のような目的で使用される従来の養生ボード1の斜視図であり、一般的には、使用目的に応じた大きさの矩形形状を成し、各種の層をラミネートした積層構造を有しているものが多い。同図の養生ボード1は、山折り線2a、2aと谷折り線2bとによってコンパクトに折りたためるようになっており、養生すべき部分の面積に応じて、広げて縦横に並べ、余分な部分を切断して使用される。
【0004】
図9図8の養生ボード1の断面図を示す。図9に示すように、養生ボード1は、強度を維持するためのボード材層3を有し、ボード材層3の上面側には、湿度により養生ボード1が反るのを防止するための防湿層5が設けられている。この例では、ボード材層3の下面側に、床面などの養生すべき面に直接接するクッション層4が形成されている。
【0005】
このような養生ボード1は、使用終了後には剥がされるが、強度的に問題がない場合には廃棄することなく繰り返し使用される。しかし、強度的には再使用に耐え得るものであっても、汚れた養生ボードを建築現場に持ち込むことは見た目にも好ましいものではなく、例えば搬入先の顧客に悪い印象を与えかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6526486号公報
【文献】特開2019-35293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、使用により養生ボードの上面が損傷したり汚れた場合などでも、損傷や汚れを取り去った状態で繰り返して再使用できる両面養生ボードを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の両面養生ボードは、養生すべき面を覆って保護するための両面養生ボードであって、強度を維持するためのボード材層と、該ボード材層の表側及び裏側にそれぞれ設けた防湿層とを備え、表側及び裏側の防湿層上に、少なくとも1層の剥離フィルム層をそれぞれ形成したことを特徴とする。
【0009】
これにより、使用により両面養生ボードの上面が損傷したり汚れた場合にも、剥離フィルム層を防湿層から剥がすことにより、新品に近い状態で再使用することができる。また、表側の面に複数の剥離フィルム層を有する両面養生ボードの場合は、繰り返し使用によって両面養生ボードの上面が再度損傷したり汚れた場合にも、その都度剥離フィルム層を剥がすことにより、長期に亘って新品に近い状態で両面養生ボードを使用することができる。更に、表側の剥離フィルム層を全て剥がして使用した後に両面養生ボードの上面が損傷したり汚れた場合、両面養生ボードを裏返すことにより、更に続けて新品に近い状態で使用を継続することができる。ここで、両面養生ボードの裏側の面にも複数の剥離フィルム層を有する両面養生ボードの場合は、裏返し後の使用によって両面養生ボードの上面が再度損傷したり汚れた場合にも、その都度剥離フィルム層を剥がすことにより、長期に亘って新品に近い状態で両面養生ボードを繰り返して使用することができる。
【0010】
ここで、本発明の両面養生ボードは、強度を維持するための2枚のボード材を備え、該ボード材のそれぞれの一方の面に防湿層を形成し、更にそれぞれの防湿層上に少なくとも1層の剥離フィルム層を設け、該2枚のボード材のそれぞれの他方の面を互いに接着して前記ボード材層とすることができる。
【0011】
このように2枚のボード材のそれぞれの一方の面に防湿層と剥離フィルム層とを形成し、これらのボード材のそれぞれの他方の面を貼り合わせてボード材層とすることにより、両面養生ボードの製造工程を簡略化することができる。
【0012】
ここで、前記両面養生ボードのいずれか一方又は両方の面において、前記剥離フィルム層の面積は、前記防湿層の面積より小さくなっており、前記防湿層は周縁部の少なくとも一部に露出エリアを有していることが好ましい。これにより、剥離フィルム層を容易に剥がすことが可能となる。
【0013】
前記両面養生ボードのいずれか一方又は両方の面において、複数の前記剥離フィルム層を備えた両面養生ボードでは、前記剥離フィルム層の面積は、当該剥離フィルム層より下層の剥離フィルム層の面積より小さくなっており、該下層の剥離フィルム層は周縁部の少なくとも一部に露出エリアを有していることが好ましい。これにより、最上層の剥離フィルム層を剥がすのに際し、剥がす必要のない下層の剥離フィルム層まで一緒に剥がしてしまうことを避けることができる。
【0014】
また、前記両面養生ボードの平面形状が矩形の場合、前記両面養生ボードのいずれか一方又は両方の面において、前記剥離フィルム層の幅は、縦又は横の何れかの方向において前記防湿層の幅より狭くなっており、前記防湿層の前記露出エリアは前記防湿層の少なくとも一辺に沿って形成するのが好ましい。これにより、剥離フィルム層を容易に剥がすことが可能となる。
【0015】
加えて、前記両面養生ボードの平面形状が矩形の場合、前記両面養生ボードのいずれか一方又は両方の面において、複数の剥離フィルム層を備えた両面養生ボードにおいては、前記剥離フィルム層の幅は、当該剥離フィルム層の下層の剥離フィルム層より幅を狭くし、該下層のフィルム層の前記露出エリアを、該下層の剥離フィルム層の少なくとも一辺に沿って形成することが好ましい。これにより、上層の剥離フィルム層を剥がすに際し、剥がす必要のない下層の剥離フィルム層まで一緒に剥がしてしまうことを避けることができる。
【0016】
前記両面養生ボードのいずれか一方又は両方の面において、前記剥離フィルム層は、前記防湿層とは異なる色に着色されていることが好ましい。これにより、剥離フィルム層の端部を容易に見つけることができる。
【0017】
更に、前記両面養生ボードのいずれか一方又は両方の面において、複数の剥離フィルム層を備えた両面養生ボードでは、前記防湿層及び前記剥離フィルム層のそれぞれは、互いに異なる色に着色されていることが好ましい。これにより、剥がすべき剥離フィルム層の端部を容易に見出すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の両面養生ボードでは、防湿層上に剥離フィルム層を形成してあるので、両面養生ボードの上面が損傷したり汚れた場合にも、剥離フィルム層を防湿層から剥がすことにより、新品に近い状態で再使用することができる。また、複数の剥離フィルム層を備えた本発明の両面養生ボードでは、繰り返し使用によって両面養生ボードの上面が再度損傷したり汚れた場合にも、その都度剥離フィルム層を剥がすことにより、長期に亘って新品に近い状態で両面養生ボードを繰り返して使用することができる。
【0019】
更に、表側の剥離フィルム層を全て剥がして使用した後に両面養生ボードの上面が損傷したり汚れた場合、両面養生ボードを裏返すことにより、更に続けて新品に近い状態で使用を継続することができる。加えて、両面養生ボードの裏側の面にも複数の剥離フィルム層を有する両面養生ボードの場合は、裏返し後の使用によって両面養生ボードの上面が再度損傷したり汚れた場合にも、その都度剥離フィルム層を剥がすことにより、長期に亘って新品に近い状態で両面養生ボードを繰り返して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る両面養生ボードの斜視図である。
図2図1の矢印21の方向から見た両面養生ボードの断面図(側面図)である。
図3】本発明の他の実施形態に係る両面養生ボードの斜視図である。
図4図3の矢印22の方向から見た両面養生ボードの断面図(側面図)である。
図5】本発明の更に他の実施形態に係る両面養生ボードの斜視図である。
図6図5の矢印23の方向から見た両面養生ボードの断面図(側面図)である。
図7】本発明の更に他の実施形態に係る両面養生ボードの斜視図とその一部拡大図である。
図8】従来の両面養生ボードを表す斜視図である。
図9図8の従来の両面養生ボードの断面を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら以下に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
<実施形態1>
図1は、本実施形態の両面養生ボード10の斜視図であり、一般的には、使用目的に応じた大きさの矩形形状を成している。本実施形態の両面養生ボード10の大きさ及び形状として、例えば、長さ170cm、幅72cmの矩形形状のものを示すことができる。同図に示すように、本実施形態の両面養生ボード10には、折り線2が付されており、収納や運搬時には半分の面積にコンパクトに折り畳めるようになっている。使用に際しては、養生すべき部分の面積に応じて、広げて縦横に並べ、継ぎ目をテープなどで留め、余分な部分を切断して使用される。
【0022】
図2は本実施形態の両面養生ボード10の端部を側面から、図1の矢印21に沿って見た部分図であるが、実際には長さ方向に連続的に製造されたものを切断することにより両面養生ボード10が製造されるので、図2は実質的には断面図である。同図に示すように、本実施形態の両面養生ボード10は、強度を維持するためのボード材層3を有しており、このボード材層3には、例えば厚さ0.8mmの紙管原紙が好適に用いられる。ボード材層3の表側及び裏側の面には、湿度により両面養生ボード10が反るのを防止するための防湿層5、5がそれぞれ設けられている。防湿層5の材質としては、ボード材層3及び後述する剥離フィルム層7との接着性を考慮して、ポリエチレンフィルムが好適に使用され、各防湿層5の厚さは、例えば30μmである。本実施形態では、防湿層5とボード材層3との接着は、ポリエチレン押出ラミネートにより行われる。
【0023】
本実施形態の両面養生ボード10では、各防湿層5の上面に、更に剥離フィルム層7、7がそれぞれ形成されている。各剥離フィルム層7の材質としては、防湿層5との接着性を考慮して、ポリエチレンフィルムが好適に使用される。防湿層5と剥離フィルム層7との接着には、アクリル系(アクリルウレタン樹脂系/アクリルゴム系/アクリル樹脂系/シリコーンアクリル樹脂系)の接着剤が好適に用いられる。また、防湿層5と剥離フィルム層7とを熱によりラミネート接着する場合には、剥離フィルム層7としてOPP(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)も使用することができ、この場合の剥離フィルム層7の好適な厚さは、例えば20μmである。ただし、剥離フィルム層7としてOPPを使用する場合には、後述する2層目の剥離フィルム層8(図5)としてポリプロピレンフィルムを使用するとことはできないことに留意する必要がある。
【0024】
各剥離フィルム層7は両面養生ボード10を再使用する際に防湿層5から剥がされるが、その際の防湿層5に対する剥離フィルム層7の粘着力は、0.3~0.75N/25mm(測定条件:試験体SUS430BA、剥離角度180度、剥離速度300mm/分)の範囲にあることが好ましく、0.3~0.5N/25mmの範囲にあることが更に好ましい。この粘着力がこれらの範囲より大きい場合は、剥離フィルム層7が破れたり剥し難くなる。また、粘着力がこれらの範囲より小さい場合は、使用中に剥離フィルム層7が剥がれてしまうこともあり得る。
【0025】
本実施形態の両面養生ボード10では、図1に示すように、平面形状が矩形の両面養生ボード10の幅方向において、各剥離フィルム層7の幅はその下層の各防湿層5の幅より狭くなっており、従って、各剥離フィルム層7の面積は、下層の各防湿層5の面積より小さくなっている。これにより、各防湿層5には、両面養生ボード10の長手方向の二辺に沿って露出する露出エリア5a及び5bが存在している(図2も参照)。本実施形態の両面養生ボード10では、露出エリア5a及び5bの長さは170cm、幅は4.5cmとなっている。このような露出エリア5a及び5bにより、再使用のために剥離フィルム層7を剥がす際に、容易に剥離フィルム層7の端部を見出すことができる。また、このように剥離フィルム層7の幅を防湿層5の幅より狭くして露出エリア5a及び5bを設けた構成は、両面養生ボード10の裏面側においても同様である。これにより、裏面側においても、剥離フィルム層7の端部を容易に見出すことができる。
【0026】
また、本実施形態の両面養生ボード10では、各剥離フィルム層7は、その下層の各防湿層5とは異なる例えば青色に着色されており、これにより、剥離フィルム層7を剥がす際にその端部を容易に見出すことができる。
【0027】
なお、本実施形態では、両面養生ボード10の両方の面に剥離フィルム層7を設けた場合について説明したが、両面養生ボード10の一方の面にのみ剥離フィルム層7を設けてもよい。この場合、剥離フィルム層7を設けていない面においては、剥離フィルム層7の剥離によって再使用することはできないことになる。
【0028】
<実施形態2>
図3は、本発明の他の実施形態に係る両面養生ボード20の斜視図である。また、図4図3の両面養生ボード10の端部を側面から図3の矢印22に沿って見た部分図であり、前述の図2と同様に、図4は実質的には断面図である。本実施形態の両面養生ボード20は、図1及び図2の両面養生ボード10と同様の平面形状を有しているが、ボード材層3が2枚のボード材3a、3aを貼り合わせて構成されている点が異なっている。この点を除けば本実施形態の両面養生ボード20は図1及び図2の両面養生ボード10と同様であり、対応する構成要素には同じ符号が付してある。本実施形態では、各ボード材3a、3aとして図1のボード材層3と同じものを使用しており、従って、本実施形態の両面養生ボード20のボード材層3の厚さは、図1及び図2のボード材層3の2倍となっている。
【0029】
本実施形態の両面養生ボード20を製造する際には、まず、2枚のボード材3a、3aのそれぞれの一方の面に防湿層5及び剥離フィルム層7が形成される。その際、各剥離フィルム層7の幅はその下層の各防湿層5の幅より狭くすることにより、各防湿層5には、両面養生ボード10の長手方向の二辺に沿って露出する露出エリア5a及び5bが存在している。次に、各ボード材3a、3aの他方の面、即ち防湿層5及び剥離フィルム層7を形成していない面を貼り合わせることにより、両面養生ボード20が最終的に製造される。このような両面養生ボード20の構成により、図1及び図2の両面養生ボード10よりボード材層3が厚くなるので、使用に際しての耐久性が増しており、しかもその製造工程が簡略化されている。
<実施形態3>
図5は、本発明の他の実施形態にかかる両面養生ボード30の斜視図である。また、図6図5の両面養生ボード30の端部を側面から図5の矢印23に沿って見た部分図であり、前述の図2と同様に、図6は実質的には断面図である。本実施形態の両面養生ボード30は、図3及び図4の両面養生ボード20と同様の大きさ及び形状を有しているが、図3及び図4の両面養生ボード20の上下の剥離フィルム層7の上層に、更にもう一枚の剥離フィルム層8をそれぞれ設けた点が異なっている。剥離フィルム層8を設けたこと以外の構成要素は図3及び図4と同じであり、対応する構成要素には同じ符号が付してある。各剥離フィルム層8、8の粘着力及び厚さは、前述の剥離フィルム層7と同様である。
【0030】
本実施形態の両面養生ボード30では、図5に示すように、両面養生ボード30の幅方向において、各剥離フィルム層8、8の幅はその下層の剥離フィルム層7の幅より狭くなっており、従って、各剥離フィルム層8、8の面積は、その下層の各剥離フィルム層7、7の面積より小さくなっている。従って、各剥離フィルム層7、7には、両面養生ボード30の長手方向の二辺に沿って露出する露出エリア7a及び7bがそれぞれ存在している(図6)。このような露出エリア7a及び7bにより、再使用のために剥離フィルム層8を剥がす際に、容易に剥離フィルム層8の端部を見出すことができる。また、本実施形態の両面養生ボード30では、剥離フィルム層7、剥離フィルム層8及び防湿層5は互いに異なる色に着色されているので、これにより、更に容易に剥離フィルム層7及び8の端部を見出すことができる。剥離フィルム層8を剥がした後においては、図3及び図4の両面養生ボード20と同様に使用することができ、更に剥離フィルム層7を剥がして再使用することができる。
【0031】
本実施形態では、2層の剥離フィルム層7、8を両面養生ボード30の両面に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、両面養生ボード30の一方の面にのみ設けてもよく、更に剥離フィルム層の層数も、必要に応じて増加させてもよい。その場合、各剥離フィルム層の幅は、両面養生ボード30の縦又は横の何れかの方向においてその下層の剥離フィルム層及び防湿層より幅を狭くして、その下層の剥離フィルム層又は防湿層の少なくとも一辺に沿って露出エリアが形成されるようにすることが好ましい。また、防湿層5及び各剥離フィルム層は、互いに異なる色に着色しておくことが好ましい。
【0032】
本実施形態の両面養生ボード30では、2枚のボード材3a、3aを貼り合わせたボード材層3を備えた両面養生ボード20(図3及び図4)に剥離フィルム層8を設けた構成について説明したが、1枚のボード材からなるボード材層3を備えた両面養生ボード10(図1及び図2)に剥離フィルム層8を設けることもできる。
【0033】
<実施形態4>
図7は、本発明の更なる他の実施形態にかかる両面養生ボード40の斜視図である。本実施形態の両面養生ボード40は、図3及び図4の両面養生ボード20と同様の平面形状を有しているが、両面養生ボード20における各剥離フィルム層7、7とは異なる平面形状の剥離フィルム層9、9を設けた点が異なっている。剥離フィルム層9、9以外の構成要素は図3及び図4と同じであり、対応する構成要素には同じ符号が付してある。各剥離フィルム層9の粘着力及び厚さも、剥離フィルム層7と同様である。
【0034】
本実施形態の両面養生ボード40では、各剥離フィルム層9、9の平面形状はその下層の各防湿層5、5とほぼ同じであるが、二ヶ所の角の部分が欠けており、従って、各剥離フィルム層9、9の面積は、その下層の各防湿層5、5より小さくなっている。このような剥離フィルム層9、9の形状により、両面養生ボード40の表側及び裏側に、三角形の露出エリア5c及び5dがそれぞれ存在している(図5の拡大部分も参照)。このような露出エリア5c及び5dにより、再使用のために各剥離フィルム層9、9を剥がす際に、容易に剥離フィルム層9の端部を見出すことができる。
なお、本実施形態の両面養生ボード40に加えて、いずれか一方又は両方の剥離フィルム層9の上層に更なる剥離フィルムを1又は2以上設ける場合には、その更なる剥離フィルムのそれぞれの面積は、その下層の剥離フィルム層より小さくして、各剥離フィルム層にも露出エリアを存在させることが好ましい。また、防湿層5及び各剥離フィルム層は、互いに異なる色に着色しておくことが好ましい。
【0035】
本実施形態の両面養生ボード40では、2枚のボード材3a、3aを貼り合わせたボード材層3を備えているが、これに代えて、図1及び図2の両面養生ボード10のように、1枚のボード材からなるボード材層3を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、例えば建築現場などにおける床面の養生や、引っ越し等に際してのトラックの荷台、家屋の床面などの保護に使用することができる。
【符号の説明】
【0037】
10,20,30、40 両面養生ボード
2 折り線
3a ボード材
3 ボード材層
5 防湿層
5a,5b,5c,5d 露出エリア
7a,7b 露出エリア
7,8,9 剥離フィルム層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9