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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】靴下
(51)【国際特許分類】
   A41B 11/00 20060101AFI20240426BHJP
   D04B 1/00 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A41B11/00 A
D04B1/00 Z
D04B1/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021568605
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 CN2021125715
(87)【国際公開番号】W WO2023273031
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】202121501671.8
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516288767
【氏名又は名称】浙江鵬飛針織有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG FLYEAGLE KNITTING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.31,XINXING ROAD,HAINING AGRICULTURAL FOREIGN INTEGRATED DEVELOPMENT ZONE,ZHEJIANG,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】張 瑞豊
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-58111(JP,A)
【文献】特開2014-148760(JP,A)
【文献】特開2010-242262(JP,A)
【文献】特開2006-28713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 11/00
D04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴下であって、爪先部、靴下本体及びかかと部を含み、前記爪先部及びかかと部はいずれも靴下本体に接続され、前記靴下本体は履き口及び靴下底部を有し、
前記かかと部は第1の編み構造、第2の編み構造及び第3の編み構造を有し
前記第1の編み構造は爪先部の方向に向かって延出し、前記第2の編み構造は靴下本体における履き口の方向に向かって延出し、前記第3の編み構造はかかと部の方向に向かって延出し、
前記第1の編み構造の一端と、前記第2の編み構造の一端とは、いずれも前記第3の編み構造の一端に接続され、Y字状を形成し、
前記靴下は、編み図において、
a)前記第1の編み構造及び前記第2の編み構造はいずれも複数のすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造から構成され
b)前記第1の編み構造及び前記第2の編み構造を構成する前記すくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造は、互いに間隔をあけて配置される横編み輪編み構造、及び横編み輪編み構造に接続して設けられるすくい上げ押し込み編み構造を含み、前記すくい上げ押し込み編み構造は互いに接続するすくい上げ編み構造及び押し込み編み構造を含み、
c)前記第3の編み構造は、一方の端部から他方の端部まで延びるすくい上げ押し込み編み構造から構成され、及び、
d)前記第2の編み構造を構成する前記複数のすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造の停止部分の横編み輪編み構造が、前記第3の編み構造を構成する前記すくい上げ押し込み構造の前記一方の端部に接続され、前記第1の編み構造を構成する前記複数のすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造の開始部分の横編み輪編み構造が、前記第3の編み構造の前記他方の端部に接続される、
ことを特徴とする靴下。
【請求項2】
少なくとも1つの第4の編み構造をさらに含み、前記第4の編み構造の一端は前記第3の編み構造に接続され、前記第4の編み構造は靴下本体における靴下底部の方向に向かって延出し、
前記編み図において、前記第4の編み構造はすくい上げ押し込み編み構造から構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の靴下。
【請求項3】
前記第3の編み構造の編みループの数は第1の編み構造及び第2の編み構造の編みループの数のいずれよりも大きい、ことを特徴とする請求項1または2に記載の靴下。
【請求項4】
前記第1の編み構造の編みループの数は第2の編み構造の編みループの数と同じである、ことを特徴とする請求項3に記載の靴下。
【請求項5】
前記第1の編み構造の編みループの数は第2の編み構造の編みループの数より大きい、ことを特徴とする請求項3に記載の靴下。
【請求項6】
前記編み図において、前記第1の編み構造と前記第2の編み構造とは、前記すくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造における前記すくい上げ押し込み構造の作り目の位置は、隣接する前記すくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造における前記すくい上げ押し込み構造の作り目の位置と比べて、2~8針の差がある、ことを特徴とする請求項1または2に記載の靴下。
【請求項7】
前記編み図において、前記第1の編み構造と前記第2の編み構造との前記すくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造の数は少なくとも4つである、ことを特徴とする請求項1に記載の靴下。
【請求項8】
前記第1の編み構造と前記第3の編み構造との延出方向の夾角は80°~160°の間である、ことを特徴とする請求項1に記載の靴下。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は靴下の技術分野に関し、具体的には靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
足への着用に適応するために、ほとんどの靴下は一般に、かかと部を編む時に「一字型かかと」または「Yかかと」プロセスを用い、即ち「一」字または「Y」字に沿ってすくい上げ押し込みの編み方法を利用して形成された対応する編み構造である。しかしながら、従来技術では、「一字型かかと」または「Yかかと」プロセスを用いてかかと部を編む靴下は、よい脱落防止の効果を達成できない。同時に、「一字型かかと」または「Yかかと」プロセスを用いて編むかかと部は、足の裏に形成されたループの数はしばしば増加し、足の裏において増加する形成されたループの数がほとんどかかと部に集中するため、かかと部の表面にシワが出来て積み重なりやすく、足の裏の爪先部に近い部分に引っ張り感が生じ、着用の快適性に影響を与える。同時に、足の裏のサイズと足の甲のサイズとの差が大きくないため、着用した後に足の甲の部分はシワが出来やすい。
【0003】
特許文献1はつま先補強の靴下を開示し、かかと部の収縮を防止するために、かかと部の縁部には締め付けエッジが設けられ、締め付けエッジは当該かかと部の収縮機能を備えるエッジを指し、かかと部に設けられる締め付けエッジはかかと部の他の部分に対してより緊切にかかとに貼り付くことができ、さらにかかと部の脱落を防止する。しかし、この方法は工程が煩雑で、加工要件が高く、且つ着用の快適性に影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国実用新案第208176015号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
靴下の一部の表面にシワが出来やすく、着用の快適性に影響を与えるという従来技術における技術的課題に対して、本出願は靴下を提供し、靴下の表面にシワが出来るのを防止することができ、靴下の着用の快適性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本出願が提供する技術的解決手段は以下のとおりである。
【0007】
靴下であって、爪先部、靴下本体、及びかかと部を含み、前記爪先部及びかかと部はいずれも靴下本体に接続され、前記靴下本体は履き口及び靴下底部を有し、前記かかと部は第1の編み構造、第2の編み構造及び第3の編み構造を有し、前記第1の編み構造の一端及び前記第2の編み構造の一端はいずれも第3の編み構造の一端に接続され、前記第1の編み構造は爪先部の方向に向かって延出し、前記第2の編み構造は靴下本体における履き口の方向に向かって延出し、前記第3の編み構造はかかと部の方向に向かって延出し、前記第1の編み構造及び前記第2の編み構造はいずれも複数のすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造を有し、前記第3の編み構造はすくい上げ押し込み編み構造を有し、前記すくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造は、第3の編み構造の端部に近い横編み輪編み構造、及び横編み輪編み構造の側辺に設けられるすくい上げ押し込み編み構造を含み、第1の編み構造及び第2の編み構造のすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造における横編み輪編み開始構造または横編み輪編みの停止構造はそれぞれ第3の編み構造の両端に接続される。
【0008】
本出願では、すくい上げ押し込み編み構造はすくい上げ編み構造及び押し込み編み構造を含み、すくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造は互いに離間して設置される横編み輪編み構造及びすくい上げ押し込み編み構造を含み、すくい上げ編み構造は、針ですくい上げることによって、形成された編みループの増加とともに各ループにおける針数が次第に減少する編み構造であり、押し込み編み構造は、形成された編みループの増加とともに各ループの針数が次第に増加する編み構造であり、横編み輪編み構造は、形成された編みループの針数がシリンダ針数に等しい編み構造である。図1に示すように、かかと部における第3の編み構造はすくい上げ押し込み編み構造であり、第1の編み構造における複数のすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造によって、第1の編み構造は爪先部の方向に向かって延出し、それによって第1の編み構造は離間して配列され且つ同じ直線に位置して爪先部の方向を向く複数の小型の「一字型かかと」を有し、当該構造は足の甲(足の甲)に形成されたループの数を増加させないとともに、靴下の底部(足の裏)に形成されたループの数を効果的に増加させ、したがって、靴下を履いた後、靴下の背部(足の甲)の表面はより平坦であり、シワが出来るという現象は発生しにくい。さらに、第2の編み構造における複数のすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造は、第2の編み構造が靴下本体における履き口の方向に向かって延出することによって、第2の編み構造が離間して配列され且つ同じ直線に位置して靴下本体における履き口の方向を向く複数の小型「一字型かかと」を有するように構成され、当該構造はかかと部の高さをさらに増加させることができ、靴下の被覆性及び脱落防止性を保証する。または、第3の編み構造におけるすくい上げ押し込み編み構造は、第3の編み構造がかかと部の方向に向かって延出して、第3の編み構造にはかかと部の方向に向かって延出した「一字型かかと」が形成されるようにし、それに、第1の編み構造、第2の編み構造及び第3の編み構造が一体に接続されているため、かかと部の全体において逆のY字かかとのような針すくい上げ糸が形成され、通常の一字型かかとやY字かかとプロセスによって編まれたかかと部と比べて、当該構造の針すくい上げ糸は、靴下底部(足の裏)に形成されたループの数を増加させるとともに、増加した靴下底部の形成されたループの数を集中的にかかと部に分布することなく、均一に靴下底部(足の裏)に分布し、靴下の背部(足の甲)のサイズに影響せずに、足の裏の引張サイズをより均一且つより大きく増加させ、したがって、着用後に靴下の背部(足の甲)はスムーズで突起がなく、シワができにくく、且つ靴下の被覆性、快適性、及び脱落防止や滑り止め効果を効果的に向上させることができる。
【0009】
選択的に、少なくとも1つの第4の編み構造をさらに含み、前記第4の編み構造はすくい上げ押し込み編み構造を有し、前記第4の編み構造の一端は前記第3の編み構造に接続され、前記第4の編み構造は靴下本体における靴下底部の方向に向かって延出する。
【0010】
選択的に、前記第3の編み構造の編み輪数は第1の編み構造及び第2の編み構造の編み輪数のいずれよりも大きい。
【0011】
選択的に、前記第1の編み構造の編み輪数は第2の編み構造の編み輪数と同じである。
【0012】
選択的に、前記第1の編み構造の編み輪数は第2の編み構造の編み輪数より大きい。
【0013】
選択的に、隣接するすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造において、対応して設置される各輪の作り目を作る針数には2~8針の差がある。
【0014】
選択的に、前記すくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造の数は少なくとも4つである。
【0015】
選択的に、前記第1の編み構造と前記第3の編み構造との延出方向の夾角は80°~160°の間である。
【発明の効果】
【0016】
本出願によって提供される技術的解決手段を用いると、従来技術と比べて、以下の有益な効果を有する。
【0017】
(1)本出願の実施例によって提供される靴下は、かかと部における第3の編み構造がすくい上げ押し込み編み構造であることにより、第1の編み構造における複数のすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造によって、第1の編み構造は爪先部の方向に向かって延出し、それによって第1の編み構造は離間して配列され且つ同じ直線に位置して爪先部の方向を向く複数の小型の「一字型かかと」を有し、当該構造は背部(足の甲)に形成されたループの数を増加させないとともに、靴下の底部(足の裏)に形成されたループの数を効果的に増加させ、したがって、靴下を履いた後、靴下の背部(足の甲)の表面はより平坦であり、シワが出来るという現象は発生しにくい。さらに、第2の編み構造における複数のすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造は、第2の編み構造が靴下本体における履き口の方向に向かって延出することによって、第2の編み構造が離間して配列され且つ同じ直線に位置して靴下本体における履き口の方向を向く複数の小型「一字型かかと」を有し、当該構造はかかと部の高さをさらに増加させることができ、靴下の被覆性及び脱落防止性を保証する。または、第3の編み構造におけるすくい上げ押し込み編み構造は、第3の編み構造がかかと部の方向に向かって延出して、第3の編み構造にはかかと部の方向に向かって延出した「一字型かかと」が形成されるようにし、それに、第1の編み構造、第2の編み構造及び第3の編み構造が一体に接続されているため、かかと部の全体において逆のY字かかとのような針すくい上げ糸が形成され、通常の一字型かかとやY字かかとプロセスによって編まれたかかと部と比べて、当該構造の針すくい上げ糸は、靴下底部(足の裏)に形成されたループの数を増加させるとともに、増加した靴下底部の形成されたループの数を集中的にかかと部に分布することなく、均一に靴下底部(足の裏)に分布し、靴下の背部(足の甲)のサイズに影響せずに、足の裏の引張サイズをより均一且つより大きく増加させ、したがって、着用後に靴下の背部(足の甲)はスムーズで突起がなく、シワができにくく、且つ靴下の被覆性、快適性、及び脱落防止や滑り止め効果を効果的に向上させることができる。
【0018】
(2)本出願の実施例によって提供される靴下は、少なくとも1つの第4の編み構造を設置し、第4の編み構造はすくい上げ押し込み編み構造を有し、前記第4の編み構造の一端は前記第3の編み構造に接続され、前記第4の編み構造は靴下本体における靴下底部の方向に向かって延出し、この設置は靴下底部(足の裏)に形成されたループの針数をさらに増加させることができ、それによって、第3の編み構造及び第4の編み構造は共同で複数のY字型を呈する針すくい上げ糸を1つ形成し、靴下底部(足の裏)に形成されたループの数をさらに増加させ、靴下の被覆性及び着用の快適性を向上させる。
【0019】
(3)本出願の実施例によって提供される靴下は、第1の編み構造及び第2の編み構造における輪数よりも多い輪数を第3の編み構造に設置することにより、靴下が応力を受ける際に三箇所の編み構造の変形及び力を受ける範囲のバランスをよりよくして、靴下構造が安定し、弛むことはない。
【0020】
(4)本出願の実施例によって提供される靴下は、隣接するすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造において、各輪の作り目を作る針数には2~8針の差があるように設計することにより、第1の編み構造及び第2の編み構造において形成された複数の「一字」型かかとのうち隣接する「一字」型かかとが交差して分布するようにすることができ、それによって、全体に形成された針すくい上げ糸は直線ではなく鋸歯状の曲線を呈し、したがって、編み構造における「一字」型かかとをよりきつくして、編み構造の間の構造強度を向上させ、着用時に穴が空くことを回避することができ、美観性を向上させるとともに、形成される針すくい上げ糸構造の応力をより均一に分散させ、従って、靴下の構造強度及び着用の快適性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本出願の実施例によって提供される第1の靴下の構造概略図である。
図2】本出願の実施例によって提供される第2の靴下を編む概略図である。
図3】本出願の実施例によって提供される第2の靴下の構造概略図である。
図4】本出願の実施例によって提供される第2の靴下を編む概略図である。
図5】本出願の実施例によって提供される第3の靴下の構造概略図である。
図6】本出願の実施例によって提供される第3の靴下を編む概略図である。
図7】本出願の実施例によって提供される第4の靴下の構造概略図である。
図8】本出願の実施例によって提供される第4の靴下を編む概略図である。
図9】本出願の実施例によって提供される第3及び第4の靴下を編む概略図における箇所Aの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本出願の内容をさらに理解するために、図面及び実施例と併せて本出願を詳しく説明する。
【0023】
以下、図面および実施例と併せて本出願をさらに詳しく説明する。なお、ここで説明された具体的な実施例は関連する出願を説明するのみに用いられ、当該出願を限定するものではない。また、説明の便宜上のために、図面には、出願に関連する部分だけが示されている。本出願に記載の第1、第2などの用語は、本出願の技術的解決手段を容易に説明するために設定されており、特定の限定作用を持たず、広く指すものであり、本出願の技術的解決手段を限定しない。さらに、衝突しない限り、本出願における実施例および実施例の特徴は互いに組み合わせることができる。本出願の説明では、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などの用語によって指示される方位または位置関係は、図面に示される方位または位置関係に基づくもので、本出願を容易に説明しかつ説明を簡素化するだけのために用いられ、指された装置または部品が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成され且つ操作されることを指示又は暗示するものではないため、本出願への限定として理解してはいけない。また、「第1」、「第2」、「第3」という用語は説明という目的のためにだけ用いられ、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解してはいけない。明確な規定や限定がない限り、「取り付け」、「つながる」、「接続」という用語は広い意味で理解すべきであり、例えば、固定的な接続、取り外し可能な接続、又は一体をなす接続であってもよいし、機械的接続や電気的接続であってもよく、または直接的な接続、中間媒体による間接的な接続、2つの部品の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本出願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。同一の実施例における複数の技術的解決手段と、異なる実施例における複数の技術的解決手段との間は、組み合わせて矛盾または衝突のない新しい技術的解決手段を生み出すことができ、これら全ては本出願によって請求される保護範囲内に含まれるべきである。
【0024】
(実施例1)
図1~8を参照すると、本実施例は靴下を提供し、爪先部1、靴下本体2およびかかと部3を含み、前記爪先部1およびかかと部3はいずれも靴下本体2に接続され、前記靴下本体2は履き口5および靴下底部4を有し、前記かかと部3は第1の編み構造6、第2の編み構造7および第3の編み構造8を有し、前記第1の編み構造6の一端、前記第2の編み構造7の一端はいずれも第3の編み構造8の一端に接続され、前記第1の編み構造6は爪先部1方向に向かって延出し、前記第2の編み構造7は靴下本体2における履き口5方向に向かって延出し、前記第3の編み構造8はかかと部3方向に向かって延出し、前記第1の編み構造6および前記第2の編み構造7はいずれも複数のすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造を有し、前記第3の編み構造8はすくい上げ押し込み編み構造を有し、前記すくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造は第3の編み構造8の端部に近い横編み輪編み構造、および横編み輪編み構造の側辺に設けられるすくい上げ押し込み編み構造を含み、最後の1つのすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造における横編み輪編み構造は第3の編み構造8の端部に接続される。
【0025】
本実施例では、すくい上げ編み構造は、針ですくい上げることによって、形成された編みループの増加とともに各ループにおける針数が次第に減少する編み構造であり、押し込み編み構造は、形成された編みループの増加とともに各ループの針数が次第に増加する編み構造であり、横編み輪編み構造は、形成された編みループの針数がシリンダ針数に等しい編み構造である。図1に示すように、かかと部3における第3の編み構造8はすくい上げ押し込み編み構造であり、第1の編み構造6における複数のすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造によって、第1の編み構造6は爪先部の方向に向かって延出し、それによって第1の編み構造6は離間して配列され且つ同じ直線に位置して爪先部1の方向を向く複数の小型の「一字型かかと」を有し、当該構造は足の甲(足の甲)に形成されたループの数を増加させないとともに、靴下の底部4(足の裏)に形成されたループの数を効果的に増加させ、したがって、靴下を履いた後、靴下の背部(足の甲)の表面はより平坦であり、シワが出来るという現象は発生しにくい。さらに、第2の編み構造7における複数のすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造は、第2の編み構造7が靴下本体2における履き口5の方向に向かって延出することによって、第2の編み構造7が離間して配列され且つ同じ直線に位置して靴下本体2における履き口5の方向を向く複数の小型「一字型かかと」を有し、当該構造はかかと部3の高さをさらに増加させることができ、靴下の被覆性及び脱落防止性を保証する。または、第3の編み構造8におけるすくい上げ押し込み編み構造は、第3の編み構造8がかかと3部の方向に向かって延出して、第3の編み構造8にはかかと部の方向3に向かって延出した「一字型かかと」が形成されるようにし、それに、第1の編み構造6、第2の編み構造7及び第3の編み構造8が一体に接続されているため、かかと部3の全体において逆のY字かかとのような針すくい上げ糸が形成され、通常の一字型かかとやY字かかとプロセスによって編まれたかかと部3と比べて、当該構造の針すくい上げ糸は、靴下底部4(足の裏)に形成されたループの数を増加させるとともに、増加した靴下底部4の形成されたループの数を集中的にかかと部3に分布することなく、均一に靴下底部4(足の裏)に分布し、靴下の背部(足の甲)のサイズに影響せずに、足の裏の引張サイズをより均一且つより大きく増加させ、したがって、着用後に靴下の背部(足の甲)はスムーズで突起がなく、シワができにくく、且つ靴下の被覆性、快適性、及び脱落防止や滑り止め効果を効果的に向上させることができる。
【0026】
実際の適用では、形成されたループにおける針数が多すぎるので描き出すことが困難であり、形成されたループにおける針数の変化の法則およびその靴下における編み構造の対応関係を図案で表す。図2図4図6および図8はそれぞれ図1図3図5および図7に示す靴下構造の概略図および対応する編み概略図である。図9は、図6および図8の対応する第1の編み構造6における編み概略図の箇所Aの部分拡大図である。
【0027】
(実施例2)
図3を参照すると、本実施例の靴下は、実施例1の技術的解決手段と比べて、以下の点で改善することができる。少なくとも1つの第4の編み構造9をさらに含み、前記第4の編み構造9はすくい上げ押し込み編み構造を含み、前記第4の編み構造9の一端は前記第3の編み構造8に接続され、前記第4の編み構造9は靴下本体2の靴下底部4の方向に向かって延出する。
【0028】
実際の適用では、第3の編み構造および第4の編み構造が複数のY字型を呈する1つの針すくい上げ糸を共同で構成するように、少なくとも第4の編み構造を設置し、当該設置は、異なる需要に適応するために、異なる必要に応じてかかと部のサイズを調整することができる。図3に示すように、第4の編み構造9は2つがあり、かかと部3を向く第3の編み構造8は、第3の編み構造8のすくい上げ構造および第3の編み構造8の押し込み構造を含むすくい上げ押し込み構造を介して編み構造の間の接続を補強し、靴下の背部(足の甲)のサイズおよび構造に与える影響はほとんどなく、そして、第4の編み構造9を設置して、第4の編み構造9における靴下本体2の靴下底部4を向くすくい上げ押し込み編み構造は、靴下底部4(足の裏)に形成されたループの針数をさらに増加させることができ、第3の編み構造8および第4の編み構造9が二重Y字型の針すくい上げ糸を共同で構成するようにして、靴下底部4(足の裏)に形成されたループの数をさらに増加させ、靴下の被覆性および着用の快適性を向上させる。
【0029】
(実施例3)
図1~8を参照すると、本実施例の靴下は、実施例1または2の技術的解決手段と比べ、以下の点で改善することができる。前記第3の編み構造8の編み輪数は第1の編み構造6および第2の編み構造7の編み輪数のいずれよりも大きい。
【0030】
靴下を履くおよび脱ぐ際に靴下が引っ張られ、靴下本体2からかかと部3の方向に向かって延出した第3の編み構造8は延伸の過程で受ける力および変形量が大きく、第1の編み構造6は延出方向が爪先部1を向くため、靴下全体の引張方向に平行であることに傾いており、受ける延伸応力も小さく、第2の編み構造7は延出方向が靴下本体2の履き口5を向くため、同様に靴下全体の引張方向に平行であることに傾いており、受ける延伸応力も比較的小さい。したがって、第3の編み構造8において、第1の編み構造6および第2の編み構造7よりも多いループ数を編んで、靴下が応力を受ける際に三箇所の編み構造の変形及び力を受けられる範囲のバランスをよりよくして、靴下構造が安定していて弛むことはない。
【0031】
(実施例4)
本実施例の靴下は、実施例3の技術的解決手段と比べて、以下の点で改善することができる。前記第1の編み構造6の編み輪数は第2の編み構造7の編み輪数と同じである。
【0032】
第1の編み構造6の延出方向が爪先部1を向き、第2の編み構造7の延出方向が靴下本体2の履き口5を向き、第1の編み構造6および第2の編み構造7におけるループ数が同じであることによって、靴下が応力を受ける際に第1の編み構造6および第2の編み構造7の方向が受ける力のバランスをよりよくし、靴下構造全体の安定性を向上させる。
【0033】
(実施例5)
本実施例の靴下は、実施例3の技術的解決手段と比べて、以下の点で改善することができる。前記第1の編み構造6の編み輪数は第2の編み構造7の編み輪数より大きい。第1の編み構造6の延出方向が爪先部1を向き、第2の編み構造7の延出方向が靴下本体2の履き口5を向くため、靴下を履いたり脱いだりして靴下を引っ張る際に、第2の編み構造7はさらに靴下の引張方向に傾き、受けられる引張応力がより小さいため、第1の編み構造6において、第2の編み構造7よりも多いループ数を編んで、靴下底部4(足の裏)に形成されたループ数を増加させると同時に、靴下が応力を受ける際に二箇所の編み構造の変形および受けられる範囲のバランスをよりよくし、靴下構造の安定性およびかかと部3の被覆性をさらに保つ。
【0034】
(実施例6)
図5~8を参照すると、本実施例の靴下は、実施例1または2の技術的解決手段と比べて、以下の点で改善することができる。隣接するすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造において、対応して設置される各輪の作り目を作る針数には2~8針の差がある。
【0035】
図5~8に示すように、隣接するすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造において、対応して設置される各輪の作り目を作る針数には4針の差があり、図9は、第1の編み構造6の隣接するすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造において対応して設置される各輪の作り目を作る針数には4針の差があるという編み概略図の部分拡大図である。第1の編み構造6および第2の編み構造7で構成される複数の平行に離間し且つ同一の直線に位置する「一字」型かかとによって針すくい上げ糸構造が形成され、当該構造は1つの細長い穴を形成しやすく、靴下構造の安定性に影響を与え、しかし上記設置により、第1の編み構造6および第2の編み構造7において形成された複数の「一字」型かかとのうち隣接する「一字」型かかとが交差して分布するようにすることができ、それによって、全体に形成された針すくい上げ糸は直線ではなく鋸歯状の曲線を呈し、したがって、編み構造における「一字」型かかとをよりきつくして、編み構造の間の構造強度を向上させ、着用時に穴が空くことを回避することができ、美観性を向上させるとともに、形成される針すくい上げ糸構造の応力をより均一に分散させ、従って、靴下の構造強度及び着用の快適性を向上させる。
【0036】
(実施例7)
本実施例の靴下は、実施例1の技術的解決手段と比べて、以下の点で改善することができる。前記すくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造の数は少なくとも4つである。当該設置は三箇所の編み構造の間の応力のバランスおよび引っ張りの均一性を保証するとともに、靴下底部4(足の裏)に形成されたループ数の増加を保証することができる。実際の適用では、図1~8に示すように、前記すくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造の数は4つである。
【0037】
(実施例8)
図1図3図5および図7を参照すると、本実施例の靴下は、実施例1の技術的解決手段と比べて、以下の点で改善することができる。前記第1の編み構造6と前記第3の編み構造8との延出方向の夾角は80°~160°の間である。第1の編み構造6は接続を補強するためのすくい上げ押し込み編み構造と横編み輪編み構造とで構成されるすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造を含み、第3の編み構造8は接続を補強するためのすくい上げ押し込み編み構造を含み、異なる編み構造は靴下本体2における接続特性が異なり、第1の編み構造6と第3の編み構造8との延出方向の夾角を約90°に設定する場合、即ち第1の編み構造6と第3の編み構造8とが互いに垂直である場合、編み構造の間は相殺することなく機能し、靴下底部4(足の裏)の引張特性に対する向上は最も明らかである。靴下が柔軟な織物に属しており、形状が完全に固定しにくいため、90°に近い編み構造の配列はいずれも類似する効果を実現することができる。
【0038】
以上は本出願及びその実施形態を例示的に説明し、当該説明は限定的なものではなく、図に示すのも本出願の実施形態の1つに過ぎず、実際の構造はこれに限定されない。そのため、当業者が示唆を得て、本出願の創造の趣旨から逸脱ことなく、創造的な労力なしに当該技術的解決手段と類似する構造形態及び実施例を設計した場合は、いずれも本出願の保護範囲に属するべきである。
【0039】
[付記]
[付記1]
靴下であって、爪先部、靴下本体及びかかと部を含み、前記爪先部及びかかと部はいずれも靴下本体に接続され、前記靴下本体は履き口及び靴下底部を有し、前記かかと部は第1の編み構造、第2の編み構造及び第3の編み構造を有し、前記第1の編み構造の一端、前記第2の編み構造の一端はいずれも第3の編み構造の一端に接続され、前記第1の編み構造は爪先部の方向に向かって延出し、前記第2の編み構造は靴下本体における履き口の方向に向かって延出し、前記第3の編み構造はかかと部の方向に向かって延出し、前記第1の編み構造及び前記第2の編み構造はいずれも複数のすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造を有し、前記第3の編み構造はすくい上げ押し込み編み構造を有し、前記すくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造は、第3の編み構造の端部に近い横編み輪編み構造、及び横編み輪編み構造の側辺に設けられるすくい上げ押し込み編み構造を含み、第1の編み構造及び第2の編み構造のすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造における横編み輪編み開始構造又は横編み輪編みの停止構造は第3の編み構造の端部に接続される、ことを特徴とする靴下。
【0040】
[付記2]
少なくとも1つの第4の編み構造をさらに含み、前記第4の編み構造はすくい上げ押し込み編み構造を有し、前記第4の編み構造の一端は前記第3の編み構造に接続され、前記第4の編み構造は靴下本体における靴下底部の方向に向かって延出する、ことを特徴とする付記1に記載の靴下。
【0041】
[付記3]
前記第3の編み構造の編み輪数は第1の編み構造及び第2の編み構造の編み輪数のいずれよりも大きい、ことを特徴とする付記1または2に記載の靴下。
【0042】
[付記4]
前記第1の編み構造の編み輪数は第2の編み構造の編み輪数と同じである、ことを特徴とする付記3に記載の靴下。
【0043】
[付記5]
前記第1の編み構造の編み輪数は第2の編み構造の編み輪数より大きい、ことを特徴とする付記3に記載の靴下。
【0044】
[付記6]
隣接するすくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造において、対応して設置される各輪の作り目を作る針数には2~8針の差がある、ことを特徴とする付記1または2に記載の靴下。
【0045】
[付記7]
前記すくい上げ押し込み横編み輪編み組み合わせ編み構造の数は少なくとも4つである、ことを特徴とする付記1に記載の靴下。
【0046】
[付記8]
前記第1の編み構造と前記第3の編み構造との延出方向の夾角は80°~160°の間である、ことを特徴とする付記1に記載の靴下。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9