(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】ウェアラブルカメラ
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240426BHJP
G08B 25/08 20060101ALI20240426BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240426BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240426BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20240426BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G08B25/08 A
G08B21/02
H04N23/50
H04N23/56
(21)【出願番号】P 2022144502
(22)【出願日】2022-09-12
【審査請求日】2023-08-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518237299
【氏名又は名称】株式会社アイフォーカス
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】弁理士法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】余 望
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-060158(JP,A)
【文献】特開2021-179321(JP,A)
【文献】特開2016-205836(JP,A)
【文献】特開2008-042695(JP,A)
【文献】特開2005-286474(JP,A)
【文献】特開2006-148842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08B 25/08
G08B 21/02
H04N 23/40-23/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略四角形状の第1面と、各々前記第1面よりも狭く且つ前記第1面の周囲に沿って設けられる第2面、第3面、第4面及び第5面と、前記第1面に対向する第6面と、を有する本体部と、
前記第1面に設けられる撮像装置と、
前記本体部に内蔵される処理装置及び通信装置と、
前記第6面に設けられる表示装置と、
前記第1面における前記撮像装置の周囲に配置され、照明光を射出する照明装置と、
周囲の明るさを検知する光センサと、
前記撮像装置により撮像を行うユーザにとって危険となる事象の発生を検知するための危険検知センサと、を備え、
前記通信装置は通信網を介してサーバ装置に接続され、
前記処理装置は、
前記光センサにより検知された明るさが所定の閾値以上である場合には撮像モードを通常モードに設定し、所定の閾値未満である場合いは撮像モードをナイトモードに設定し、
前記撮像モードに基づいて前記撮像装置による撮像を行い、
前記撮像装置により撮像された画像を解析
し、隣接する画素との画素値の差が所定の閾値以上である画素に基づいて前記エッジを検出し、
前記撮像により得られた画像データと前記エッジの検出により得られたエッジ情報とを含む送信情報を生成し、前記通信装置を介して前記サーバ装置に送信し、
前記危険検知センサの出力に基づいて前記事象の発生が検知された場合に緊急通報メッセージを前記通信装置を用いて前記サーバ装置へ送信する、
ことを特徴とするウェアラブルカメラ。
【請求項2】
前記照明光は可視光又は赤外光であり、
前記撮像装置は、前記可視光と前記赤外光とを切り替えて透過させるフィルタを備え、
前記処理装置は、
前記可視光による撮像を指示された場合には、前記照明装置に前記可視光を射出させるとともに前記フィルタに前記可視光を透過させ、前記赤外光による撮像を指示された場合には前記照明装置に前記赤外光を射出させるとともに前記フィルタには前記赤外光を透過させる、
請求項
1に記載のウェアラブルカメラ。
【請求項3】
前記第1面は略長方形状に形成され、
前記第2面は前記第1面における2つの長辺のうちの一方に沿って配置されるとともに、前記第3面は前記2つの長辺のうちの他方に沿って配置され、
前記第2面と前記第3面との少なくとも一方には、前記処理装置に対して指示を入力するための操作子が配置される、請求項1に記載のウェアラブルカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェアラブルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの身体に装着され、当該ユーザの周囲の様子を撮像するウェアラブルカメラが種々提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウェアラブルカメラの用途は多種態様である。ウェアラブルカメラの用途の一例としては、家屋等の建物、橋梁、トンネル、及び道路等の建築物の躯体表面の亀裂の有無の点検等の建築物の目視点検が挙げられる。建築物の目視点検にウェアラブルカメラを適用することにより、点検担当者の安全性向上、人手不足に起因する業務効率化、働き方改革に伴う生産性向上、及びコロナ禍での非対面化の推進等の効果が期待される。しかし、従来のウェアラブルカメラは、建築物の目視点検に特化している訳ではなく、期待した効果が発揮されていない、という問題があった。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みて為されたものであり、建築物の目視による点検に好適なウェアラブルカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上に説明した課題を解決するために本開示のウェアラブルカメラの第1の態様は、略四角形状の第1面と、各々前記第1面よりも狭く且つ前記第1面の周囲に沿って設けられる第2面、第3面、第4面及び第5面と、前記第1面に対向する第6面と、を有する本体部と、前記第1面に設けられる撮像装置と、前記本体部に内蔵される処理装置及び通信装置と、前記第6面に設けられる表示装置と、前記第1面における前記撮像装置の周囲に配置され、照明光を射出する照明装置と、周囲の明るさを検知する光センサと、前記撮像装置により撮像を行うユーザにとって危険となる事象の発生を検知するための危険検知センサと、を備え、前記通信装置は通信網を介してサーバ装置に接続され、前記処理装置は、前記光センサにより検知された明るさが所定の閾値以上である場合には撮像モードを通常モードに設定し、所定の閾値未満である場合いは撮像モードをナイトモードに設定し、前記撮像モードに基づいて前記撮像装置による撮像を行い、前記撮像装置により撮像された画像を解析し、隣接する画素との画素値の差が所定の閾値以上である画素に基づいて前記エッジを検出し、前記撮像により得られた画像データと前記エッジの検出により得られたエッジ情報とを含む送信情報を生成し、前記通信装置を介して前記サーバ装置に送信し、前記危険検知センサの出力に基づいて前記事象の発生が検知された場合に緊急通報メッセージを前記通信装置を用いて前記サーバ装置へ送信する。
【0010】
更に好ましい第2の態様によるウェブカメラは、第1の態様に係るウェアラブルカメラにおいて、、前記照明光は可視光又は赤外光であり、前記撮像装置は、前記可視光と前記赤外光とを切り替えて透過させるフィルタを備え、前記処理装置は、前記可視光による撮像を指示された場合には、前記照明装置に前記可視光を射出させるとともに前記フィルタに前記可視光を透過させ、前記赤外光による撮像を指示された場合には前記照明装置に前記赤外光を射出させるとともに前記フィルタには前記赤外光を透過させてもよい。
【0012】
更に好ましい第3の態様によるウェブカメラは、第1の態様に係るウェアラブルカメラにおいて、前記第1面は略長方形状に形成され、前記第2面は前記第1面における2つの長辺のうちの一方に沿って配置されるとともに、前記第3面は前記2つの長辺のうちの他方に沿って配置され、前記第2面と前記第3面との少なくとも一方には、前記処理装置に対して指示を入力するための操作子が配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の一実施形態のウェアラブルカメラ10A及びウェアラブルカメラ10Bを含む点検支援システム1の構成例を示す図である。
【
図2】ウェアラブルカメラ10の正面S1を含む斜視図である。
【
図3】ウェアラブルカメラ10の背面S4を含む斜視図である。
【
図4】ウェアラブルカメラ10の電気的な構成例を示す図である。
【
図5】ウェアラブルカメラ10の処理装置150がプログラムPRに従って実現する機能ブロックの一例を示す図である。
【
図6】処理装置150がプログラムPRに従って実行する危険監視処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】処理装置150がプログラムPRに従って実行する画像送信処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。
(A.実施形態)
図1は、本開示の一実施形態によるウェアラブルカメラ10A及びウェアラブルカメラ10Bを含む点検支援システム1の構成例を示す図である。点検支援システム1は、家屋等の建物、橋梁、トンネル、及び道路等の建築物の躯体表面に亀裂が発生しているか否かの目視点検を支援するためのシステムである。
図1に示すように、点検支援システム1は、ウェアラブルカメラ10A及びウェアラブルカメラ10Bの他に、サーバ装置30と、監視端末40と、を含む。
【0015】
ウェアラブルカメラ10A及びウェアラブルカメラ10Bの各々は、点検対象となる建築物の所在地へ赴く作業員の身体に装着される。以下では、ウェアラブルカメラ10A及びウェアラブルカメラ10Bの各々を区別する必要がない場合には、ウェアラブルカメラ10A及びウェアラブルカメラ10Bはウェアラブルカメラ10と称される。また、以下では、ウェアラブルカメラ10を装着する作業員は、ウェアラブルカメラ10のユーザと称される。
【0016】
ウェアラブルカメラ10は、可視光又は赤外光により形成される画像を撮像する撮像機能と、Wi-FI等の所定の無線通信規格に従った無線通信を行う通信機能と、プログラム実行機能とを備える。可視光とは、360nm~830nmの範囲に波長が属する光のことをいう。赤外光とは、一般には700nm~1mmよりも波長が長い光のことをいうが、本実施形態における赤外光は可視光よりも波長が長い光である。可視光により形成される画像とは、点検対象物等の被写体により反射された可視光の結像により現れる画像のことをいい、赤外光により形成される画像とは、被写体により反射された赤外光の結像により現れる画像のことをいう。以下では、可視光により形成される画像は可視光画像と称され、赤外光により形成される画像は赤外光画像と称される。また、以下では、可視光画像を撮像する撮像モードは通常モードと称され、赤外光画像を撮像する撮像モードは、ナイトモードと称される。
【0017】
図1には、2台のウェアラブルカメラ10が図示されているが、点検支援システム1に含まれるウェアラブルカメラ10の数は1であってもよいし、3以上であってもよい。通信網20は、インターネット等の電気通信回線である。通信網20には、サーバ装置30及び監視端末40が接続される。
図1では詳細な図示を省略したが、通信網20には、ウェアラブルカメラ10との間で無線通信を行う基地局が含まれる。通信網20は、ウェアラブルカメラ10とサーバ装置30との間のデータ通信、及びサーバ装置30と監視端末40との間のデータ通信を仲介する。
【0018】
図1に示される点検支援システム1では、ウェアラブルカメラ10のユーザは点検対象の建築物の所在地に赴き、ウェアラブルカメラ10を用いて、当該建築物の可視光画像又は赤外光画像、を撮像する。ウェアラブルカメラ10は、撮像した画像を表す画像データを通信網20を介してサーバ装置30へ送信し、当該サーバ装置30に当該画像データを記憶させる。監視端末40は、建築物の目視点検を担当する点検担当者の自宅等に設置されるパーソナルコンピュータである。点検担当者は、監視端末40を用いてサーバ装置30にアクセスすることにより、サーバ装置30に記憶された画像データの表す画像(即ち、ウェアラブルカメラ10を用いて撮像された点検対象物の可視光画像又は赤外光画像)を目視することにより、点検対象物の表面に亀裂が発生しているか否かを自宅等に居ながら点検することができる。
【0019】
本実施形態によれば、点検担当者は、点検対象物の表面に亀裂が発生しているか否かを自宅等に居ながら点検することができるので、点検担当者の安全性向上、働き方改革に伴う生産性向上、及びコロナ禍での非対面化の推進等の期待に応えることができる。また、本実施形態によれば、ウェアラブルカメラ10のユーザ(即ち点検対象となる建築物の所在地へ赴く作業員)は建築物の目視点検に関する技能を有している必要はなく、作業員の求人に支障が生じ得ることはない。点検対象となる建築物が複数ある場合には、建築物毎に作業員を割り当てて撮像に向かわせ、一人の点検担当者にこれら複数の建築物の目視点検を行わせることができるので、点検業務の効率化といった効果も奏される。
【0020】
加えて、点検支援システム1では、点検対象者による目視点検において亀裂の見落としが発生しないようにウェアラブルカメラ10において当該目視点検を支援する処理が実行されるので点検精度の向上といった効果も奏される。以下では、本開示の特徴を顕著に示すウェアラブルカメラ10を中心に説明する。
【0021】
図2及び
図3は、ウェアラブルカメラ10の外観を示す図である。ウェアラブルカメラ10は、本体部100を有する。本体部100は、正面S1、左側面S2、底面S3、背面S4、右側面S5、及び天面の6つの面を有する扁平且つ中空の直方体状部材であり、樹脂等により形成される。
図2は、ウェアラブルカメラ10の本体部100の正面S1を含む斜視図であり、
図3は、ウェアラブルカメラ10の本体部100の背面S4を含む斜視図である。本実施形態における正面S1及び背面S4は、略長方形状であるが、略正方形状であってもよい。要は、正面S1及び背面S4は、略四角形状であればよい。
【0022】
左側面S2、底面S3、右側面S5、及び天面は、正面S1及び背面S4の周囲に沿って設けられる。より詳細には、左側面S2は正面S1における2つの長辺のうちの一方に沿って設けられ、右側面S5は当該2つの長辺のうちの他方に沿って設けられる。底面S3は正面S1における2つの短辺のうちの一方に沿って設けられ、天面は当該2つの短辺のうちの他方に沿って設けられる。本実施形態における正面S1は本開示における第1面の一例であり、背面S4は第1面と対向する第6面の一例である。左側面S2、右側面S5、底面S3、及び天面は本開示における第2面、第3面、第4面、及び第5面の一例である。
【0023】
図2に示されるように、本体部100における正面S1には、撮像装置110、センサ220、照明装置190a及び照明装置190bが設けられる。以下、照明装置190a及び照明装置190bの各々を区別する必要がない場合には、照明装置190a及び照明装置190bの各々は照明装置190と称される場合がある。なお、
図2における符号230は、ウェアラブルカメラ10に動作電力を供給する蓄電池の交換を行う際に開けられる電池カバーを指す。
【0024】
図2に示されるように、撮像装置110は、正面S1における2つの短辺のうちの一方(本実施形態では、天面に連なる短辺)の近傍且つ当該一辺の中点付近に設けられる。照明装置190a及び照明装置190bは、撮像装置110を間に挟むように、撮像装置110の周囲に配置される。本実施形態では、正面S1における撮像装置110の周囲に2つの照明装置190が配置されるが、正面S1において撮像装置110の周囲に配置される照明装置190の数は1つであってもよいし、また3つ以上であってもよい。また、照明装置190は省略されてもよい。
【0025】
センサ220は、照明装置190bの近傍に設けられる。センサ220には、ウェアラブルカメラ10の周囲の明るさを検知する光センサとウェアラブルカメラ10のユーザにとって危険な事象の発生を検知するための危険検知センサとが少なくとも含まれる。光センサは撮像モードの切り替えに利用される。具体的には、光センサにより検知された明るさが所定の閾値以上である場合には撮像モードは通常モードに設定され、当該明るさが当該閾値未満である場合には撮像モードはナイトモードに設定される。なお、撮像モードを切り替えるための閾値は撮像装置110の仕様等に応じて適宜設定されてもよく、また実験等を行うことで好適な値に設定されてもよい。危険検知センサについてはユーザにとって危険な事象をどのように想定するのかに応じて種々のセンサが用いられる。例えば、ユーザにとって危険な事象が火災等である場合には、危険検知センサとして感熱センサが用いられればよく、ユーザにとって危険な事象が当該ユーザの転倒である場合には、危険検知センサとして3軸の加速度センサが用いられればよい。
【0026】
撮像装置110は、例えば、画像を形成する光が入射する撮像レンズと、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像素子と、撮像レンズと撮像素子との間に配置されるフィルタとを含む。このフィルタは、透過させる光の波長を変更可能な可変フィルタである。本実施形態では、当該フィルタを透過する光の波長を光センサの出力に応じて変更することにより、即ちフィルタの透過光を可視光又は赤外光の何れかに設定することにより、撮像モードの切り替えが実現される。
【0027】
また、撮像装置110は、通常モードとナイトモードとの2つの撮像モードの何れにおいても、ユーザから与えられる指示に応じて、静止画像、又は動画像を撮像する。通常モードにおいて撮像装置110により撮像される静止画像は、可視光により形成される可視光静止画像であり、ナイトモードにおいて撮像装置110により撮像される静止画像は、赤外光により形成される赤外光静止画像である。同様に、通常モードにおいて撮像装置110により撮像される動画像は、可視光により形成される可視光動画像であり、ナイトモードにおいて撮像装置110により撮像される動画像は、赤外光により形成される赤外光動画像である。撮像装置110は、撮像した静止画像を表す静止画像データ、又は撮像した動画像を表す動画像データを出力する。以下では、静止画像データと動画像データとを区別する必要がない場合には、静止画像データ及び動画像データは画像データと称される。
【0028】
照明装置190は例えばLED(Light Emitting Diode)ライトであり、撮像モードに応じた照明光を射出する。具体的には、照明装置190は、通常モードでは、例えば白色光等の可視光の照明光を射出する一方、ナイトモードでは、赤外光の照明光を射出する。なお、撮像装置110から出力される画像データがサーバ装置30へリアルタイムにアップロードされるオンエア状態である場合には、照明装置190aと照明装置190bのうちの何れか一方を常に可視光にて点灯させることによって、オンエア状態であることがユーザに通知されてもよい。
【0029】
図2に示されるように、左側面S2は、左側面S2の長辺の長さと正面S1の長辺の長さは略同じである長方形状であるものの、左側面S2の面積は正面S1の面積よりも小さい。なお、底面S3の面積は左側面S2の面積よりも更に小さく、同様に天面の面積も左側面S2の面積よりも更に小さい。左側面S2には、左側面S2の長辺に沿った方向に、外部機器インタフェース(以下、IFと略記)200、ボタンBT1、ボタンBT2、及びボタンBT3が一列に並べて設けられる。外部機器IF200は、例えばType-Cインタフェースのコネクタと、粉塵等から当該コネクタを保護するカバーとを含む。
図2には、当該カバーを閉じた様子が図示されており、コネクタの図示は省略されている。
【0030】
外部機器IF200のコネクタには、パーソナルコンピュータ(以下、パソコン)又はイヤホンが接続される。外部機器IF200のコネクタにパソコンが接続された場合、外部機器IF200を介して当該パソコンにデータを転送すること、或いは当該パソコンから供給される電力を受電してウェアラブルカメラ10の動作電力を蓄電する蓄電池を充電すること等ができる。また、外部機器IF200のコネクタにイヤホンを接続することで、音声の出力先を当該イヤホンに切り替えること(イヤホンモードに切り替えること)ができる。
【0031】
外部機器IF200は、NFC(Near Field Communication)IFを含んでもよい。外部機器IF20がNFCIFを含む場合、NFC規格に対応したICチップが組み込まれた認証用カードをウェアラブルカメラ10のユーザに持たせておけば、当該カードを本体部100にかざすことにより、NFCによるウェアラブルカメラ10及びウェアラブルカメラ10のユーザの管理が可能になる。
【0032】
ボタンBT1は、他の装置との通信開始をユーザに指示させるための操作子である。ユーザは、ウェアラブルカメラ10の電源がオンである状態において、ボタンBT1に対して第1の長押し操作(例えば3秒以上押下し続ける操作)を行うことによって、サーバ装置30との通信開始を指示することができる。また、ユーザは、ウェアラブルカメラ10の電源がオンである状態において、第1の操作とは異なる操作(例えば、10秒以上押下し続ける第2の長押し操作)を行うことによって他のウェアラブルカメラ10との通話を行うトランシーバモードでウェアラブルカメラ10を動作させることができる。本実施形態では、ウェアラブルカメラ10Aから見た他のウェアラブルカメラ10はウェアラブルカメラ10Bであり、ウェアラブルカメラ10Bから見た他のウェアラブルカメラ10はウェアラブルカメラ10Aである。
【0033】
ボタンBT2は、撮像装置110による動画像の撮像中に、撮像中の動画像が重要であることを示すマーキングの実行をユーザに指示させるための操作子である。ユーザは、撮像装置110による動画像の撮像中にボタンBT2を押下することによりマーキングを指示することができる。
【0034】
ボタンBT3は、何らかの緊急事態の発生時に緊急通報をユーザに行わせるための操作子である。ボタンBT3に対して第2の長押し操作(例えば、10秒以上押下し続ける操作)が為されると、サーバ装置30へ緊急通報メッセージを送信する。この緊急通報メッセージには、監視端末40のユーザに対する警報を示す情報、当該メッセージの送信時点のウェアラブルカメラ10の位置を示す情報、及び撮像装置110により撮像された画像を示す画像データが含まれる。なお、ウェアラブルカメラ10は、ユーザにとって危険な事象の発生を、前述の危険検知センサにより検知した場合には、ユーザによるボタンBT3に対する操作の有無を問わずに緊急通報メッセージを送信する機能を有する。
【0035】
背面S4は正面S1と略合同な長方形状に形成される。
図3に示されるように、背面S4には、表示装置120、収音装置130、放音装置140、ボタンBT4、ボタンBT5、及びボタンBT6が配置される。
図3に示されるように、収音装置130及び放音装置140は、背面S4における2つの短辺のうちの一方(本実施形態では天面に連なる短辺)の近傍に設けられ、表示装置120は背面S4の中央に設けられる。ボタンBT4、ボタンBT5、及びボタンBT6は、収音装置130及び放音装置140との間に表示装置120を挟むように背面S4に設けられる。ボタンBT4、ボタンBT5、及びボタンBT6は、背面S4における短辺の方向に沿って一列に並べて設けられる。
【0036】
表示装置120は、例えば液晶ディスプレイであり、各種画像を表示する。収音装置130は、例えばマイクロフォンであり、ウェアラブルカメラ10のユーザの発話音声等、ウェアラブルカメラ10の周囲の音を収音する。放音装置140は、例えばスピーカであり、与えられた音信号に応じた波形の音を放射する。
【0037】
ボタンBT4は、ウェアラブルカメラ10において実行されたタスクのリストの表示をユーザに指示させるための操作子である。ボタンBT5は、あるアプリケーションがウェアラブルカメラ10において実行されている状況下において、当該アプリケーションのバックグラウンドでの実行をユーザに指示させるための操作子である。アプリケーションの実行中にボタンBT5が押下されると、当該アプリケーションはバックグラウンドで実行される。ボタンBT6は、表示装置120に表示される画面の階層の切り替えをユーザに指示させるための操作子である。ユーザは、下層のインタフェース画面が表示装置120に表示されている状況下でボタンBT6を押下することにより、より上位階層の画面(例えば、下位のインタフェース画面の選択をユーザに促すメイン画面)に表示を切り替えることができる。
【0038】
また、
図3に示されるように、右側面S5は、左側面S2と略合同な長方形状に形成される。右側面S5の長辺の長さと背面S4の長辺の長さは略同じである。右側面S5には、ボタンBT7、ボタンBT8、ボタンBT9、及びボタンBT10が右側面S5における長辺に沿って一列に並べて配置される。
【0039】
ボタンBT7は、ウェアラブルカメラ10の電源のオン/オフをユーザに指示させるための操作子である。ウェアラブルカメラ10の電源がオフである場合、ユーザはボタンBT7に対して第2の長押し操作を行うことにより、ウェアラブルカメラ10の電源をオンにできる。ウェアラブルカメラ10の電源がオンである場合、ユーザは、ボタンBT7を短く押すことにより、表示装置120における画面の表示をオフにするとこと、又はオフ状態の画面表示をオンにすることができる。また、ウェアラブルカメラ10の電源がオンである場合、ユーザはボタンBT7に対して第2の長押し操作を行うことにより、ウェアラブルカメラ10の電源をオフにできる。
【0040】
ボタンBT8は、収音装置130により収音される音の録音の開始及び録音の停止をユーザに指示させるための操作子である。ユーザは、ボタンBT8に対して第1の長押し操作を行うことにより録音の開始を指示すること、及び録音中にボタンBT8に対して第1の長押し操作を行うことにより録音の停止を指示することができる。
【0041】
ボタンBT9は、静止画像の撮像をユーザに指示させるための操作子である。ユーザはボタンBT9に対して第1の長押し操作を行うことにより静止画像を撮像する動作モードの開始を指示する。この動作モードでは、ウェアラブルカメラ10は、ボタンBT9を押下される毎にその時点の撮像モードに応じて可視光静止画像又は赤外光静止画像の撮像及び記録が行う。また、ユーザは、ボタンBT9に対して第1の長押し操作を再度行うことにより当該動作モードの終了を指示することができる。
【0042】
ボタンBT10は、動画像の撮像をユーザに指示させるための操作子である。ユーザはボタンBT10に対して第1の長押し操作を行うことにより動画像を撮像する操作モードの開始を指示する。この動作モードでは、ウェアラブルカメラ10は、ボタンBT10の押下される毎にその時点の撮像モードに応じて可視光動画像又は赤外光動画像の撮像開始及び撮像停止を切り替える。また、ユーザは、ボタンBT10に対して第1の長押し操作を再度行うことにより当該動作モードの終了を指示することができる。
【0043】
図4は、ウェアラブルカメラ10の電気的な構成例を示す図である。
図4に示すように、ウェアラブルカメラ10は、撮像装置110、表示装置120、収音装置130、放音装置140、照明装置190、センサ220、及び外部機器IF200の他に、処理装置150、通信装置160、記憶装置170、操作入力装置180、及び蓄電池210を有する。処理装置150、通信装置160、記憶装置170、及び蓄電池210は、本体部100に内蔵される。撮像装置110、表示装置120、収音装置130、放音装置140、処理装置150、通信装置160、記憶装置170、操作入力装置180、照明装置190、センサ220、及び外部機器IF200は、バス240に接続され、バス240を介してデータの授受を行う。
【0044】
蓄電池210は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池であり、電池カバー230の内側に配置される。蓄電池210は、ウェアラブルカメラ10から取り外した状態で専用の充電器を用いて充電されてもよく、また、外部機器IF200に接続されたパソコン等の外部電源により充電される。本実施形態では、撮像装置110、表示装置120、収音装置130、放音装置140、処理装置150、通信装置160、記憶装置170、操作入力装置180、照明装置190、センサ220、及び外部機器IF200は、蓄電池210に電気的に接続される。蓄電池210は、撮像装置110、表示装置120、収音装置130、放音装置140、処理装置150、通信装置160、記憶装置170、操作入力装置180、照明装置190、センサ220、及び外部機器IF200の各々に動作電力を供給する。
【0045】
操作入力装置180は、複数の操作子を含む。操作入力装置180に含まれる複数の操作子の具体例としては、
図2及び
図3に示されるボタンBT1~BT10が挙げられる。操作入力装置180は、何れかの操作子が押下されると、押下された操作子を示すデータ(以下、操作内容データ)を処理装置150に出力する。これにより、ユーザの操作内容が処理装置150に伝達される。
【0046】
処理装置150は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のコンピュータにより構成される。処理装置150は1つのコンピュータにより構成されてもよいし、複数のコンピュータにより構成されてもよい。処理装置150は、記憶装置170に記憶されているプログラムPRに従って作動することにより、ウェアラブルカメラ10の制御中枢として機能する。
【0047】
通信装置160は、
図4では詳細な図示を省略したが、通信電波を送受信するアンテナと、受信した通信電波のデコード及び基地局へ送信する送信情報の通信電波への重畳を行う集積回路と、を含む。通信装置160が基地局から受信する通信電波には、当該基地局を示す識別情報が含まれている。通信装置160は、基地局から受信した通信電波をデコードすることにより得られた識別情報を、処理装置150に与える。また、通信装置160は、処理装置150から与えられる送信情報を基地局へ送信する。
【0048】
記憶装置170は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと、フラッシュROM(Read Only memory)等の不揮発性メモリとを含む。不揮発性メモリには、録音中に収音装置130に収音された音を表す音データ、静止画像撮像モードにおいて撮像された静止画像を表す画像データ、及び動画像撮像モードにおいて撮像された動画像を表す画像データが記録される。また、不揮発性メモリには、処理装置150を制御中枢として機能させるプログラムPRが記憶されている。揮発性メモリはプログラムPRを実行する際のワークエリアとして利用される。処理装置150は、ボタンBT7の押下を契機としてプログラムPRを不揮発性メモリから揮発性メモリに読み出し、プログラムPRの実行を開始する。
【0049】
プログラムPRに従って作動している処理装置150は、
図5に示される画面生成部150a、音声処理部150b、位置検出部150c、画像解析部150d、危険検知部150e、及びモード切替部150fとして機能する。つまり、
図5に示される画面生成部150a、音声処理部150b、位置検出部150c、画像解析部150d、危険検知部150e、及びモード切替部150fは、コンピュータをソフトウェアに従って作動させることにより実現されるソフトウェアモジュールである。画面生成部150a、音声処理部150b、位置検出部150c、画像解析部150d、危険検知部150e、及びモード切替部150fの各々が担う機能は次の通りである。
【0050】
画面生成部150aは、プログラムPRの実行を開始を契機として、前述したメイン画面を表す画像データを生成し、生成した画像データを表示装置120に与える。また、画面生成部150aは、ボタンBT6の操作に応じて下位の階層のインタフェース画面、又はメイン画面を表す画像データを生成し、生成した画像データを表示装置120に与える。これにより、メイン画面、又は下位の階層のインタフェース画面の表示が実現される。また、画面生成部150aは、撮像装置110から出力される画像データに基づいて、当該画像データの表す静止画像又は動画像をユーザに確認させるための確認画面を表す画像データを生成し、当該画像データを表示装置120に与えることにより、当該確認画面画を表示装置120に表示させる。
【0051】
音声処理部150bは、収音装置130から出力される音信号にA/D変換を施すことにより音データを生成する。ボタンBT1の操作に応じて他の装置との通信を行っている状況下では、音声処理部150bは、A/D変換により得られた音データを通信装置160に与えることにより、通信網20を介して当該音声データを他の装置へ送信する。また、ボタンBT8の操作に応じて録音を行っている状況下では、音声処理部150bは、A/D変換により得られた音データを記憶装置170の不揮発性メモリに書き込む。また、音声処理部150bは、通信装置160から与えられる音データにD/A変換を施し、このD/A変換により得られた音信号を放音装置140に与えることにより、当該音データの表す音を放音装置140に放音させる。
【0052】
位置検出部150cは、通信装置160から与えられる識別情報に基づいてウェアラブルカメラ10の位置を示す位置情報を生成し、生成した位置情報を通信装置160に与える。識別情報に基づく位置情報の生成態様としては種々の態様が考えられる。例えば、識別情報に対応付けて当該識別情報の示す基地局の位置(当該基地局の設置位置の緯度及び軽度)を示す位置情報を格納したテーブルを記憶装置170に予め記憶させておき、通信装置160から与えられる識別情報に対応付けて当該テーブルに記憶されている位置情報の示す位置(即ち、当該識別情報の示す基地局の位置)をウェアラブルカメラ10の位置とみなして当該位置情報を取得する態様が挙げられる。また、ウェアラブルカメラ10がGPS(Global Positioning System、又はGlobal Positioning Satellite)受信装置を備えている場合には、位置検出部150cは、当該GPS受信装置により受信したGPS情報の示す位置をウェアラブルカメラ10の位置とみなし、当該位置を示す位置情報を生成してもよい。
【0053】
画像解析部150dは、撮像装置110から出力される画像データを記憶装置170の不揮発性メモリに書き込むことにより録画を行う。また、画像解析部150dは、撮像装置110から出力される画像データの表す画像を解析する。本実施形態では、画像解析部150dは、撮像装置110から出力される画像データの表す画像におけるエッジを検出し、検出したエッジを示すエッジ情報を生成する。エッジとは、画像の明るさが鋭敏(或いは不連続)に変化する領域のことをいう。画像解析部150dによるエッジ検出方法の概略は次の通りである。画像解析部150dは、撮像装置110から出力される画像データの表す画像を構成する複数の画素を一画素ずつ選択する。そして、画像解析部150dは、選択した画素(以下、第1画素)の画素値と当該第1画素に隣接する第2画素の画素値との差が所定の閾値以上である場合に第1画像はエッジに属すると判定し、エッジに属すると判定した画素の位置を示す情報(例えば、撮像画像の左上隅を原点とする二次元座標における当該画素の座標を示す情報)をエッジ情報として記録する。なお、画像解析部150dにおけるエッジ検出方法の具体的なアルゴリズムとしては、ソーベル法、ガウスのラプラシアン法、又はキャニー法が適宜採用されればよい。
【0054】
画像解析部150dは、撮像装置110から出力される画像データと当該撮像画像に基づいて生成したエッジ情報とを含む送信情報を生成し、生成した送信情報を通信装置160に与えることにより、当該送信情報をサーバ装置30へ送信する。
【0055】
危険検知部150eは、センサ220に含まれる危険検知センサからの出力に基づいて、ユーザにとって危険な事象が発生したか否かを判定する。例えば、危険検知センサが感熱センサである場合、当該危険検知センサにより検知された温度が、所定の閾値(例えば50℃等)を上回る場合に、危険検知部150eは、ユーザにとって危険な事象が発生したと判定する。また、危険検知センサがユーザの転倒を検知するための3軸の加速度センサである場合、当該危険検知センサにより検知された鉛直軸方向の加速度が、所定の閾値(例えば重力加速度の80%の値等)を上回る場合に、危険検知部150eは、ユーザにとって危険な事象が発生したと判定する。ユーザにとって危険な事象が発生したと判定された場合、危険検知部150eは、通信装置160を用いて緊急通報メッセージを送信する。
【0056】
モード切替部150fは、センサ220に含まれる光センサの出力に応じて、ウェアラブルカメラ10による撮像モードを、通常モード又はナイトモードに設定する。具体的には、モード切替部150fは、光センサの出力データの示す明るさが所定の閾値以上である場合には撮像モードを通常モードに設定し、光センサの出力データの示す明るさが当該閾値未満である場合には撮像モードをナイトモードに設定する。
以上がウェアラブルカメラ10の構成である。
【0057】
サーバ装置30は、当該送信情報に含まれる画像データの表す画像を点検担当者に閲覧させる際に、当該送信情報に含まれるエッジ情報に従って当該画像におけるエッジを強調した画像を監視端末40に表示させる。具体的には、サーバ装置30は、画像データの表す画像に対して、エッジ情報の示す画素の画素値を例えば赤色等の所定の色を表す画素値に置き換えることでエッジを強調した画像を表す画像データを生成し、当該画像データの表す画像を監視端末40に表示させる。なお、エッジを強調した画像とエッジを強調していない画像(撮像装置110により撮像された画像)とを点検担当者が比較してエッジが亀裂であるか否かを判断できるようにするため、サーバ装置30は監視端末40からの要求に応じて強調していない画像(撮像装置110により撮像された画像)を監視端末40へ送信してもよい。
【0058】
また、プログラムPRに従って作動している処理装置150は、
図6に示される危険監視処理と
図7に示される画像送信処理とを、例えば時分割等により並列に実行する。
図6に示されるように、この危険監視処理には、ステップSA110~ステップSB130の各処理が含まれ、ステップSA110~ステップSB130の各処理では、プログラムPRに従って作動している処理装置150は、危険検知部150eとして機能する。
【0059】
ステップSA110では、処理装置150は、センサ220からの出力データに基づいて、ユーザにとって危険な事象が発生したか否かを判定する。ステップSA110の判定結果が“Yes”である場合、即ちユーザにとって危険となる事象が発生したと判定された場合、処理装置150は、ステップSA120の処理を実行した後にステップSA130の処理を実行する。ステップSA110の判定結果が“No”である場合、即ちユーザにとって危険となる事象が発生していないと判定された場合、処理装置150は、ステップSA120の処理を実行することなく、ステップSA130の処理を実行する。
【0060】
ステップSA120では、処理装置150は、通信装置160を用いて緊急通報メッセージを送信する。ステップSA130では、処理装置150は、操作入力装置180に対して終了操作が為されたか否かを判定する。ステップSA130の判定結果が“No”である場合、処理装置150は、ステップSA110以降の処理を再度実行する。ステップSA130の判定結果が“Yes”である場合、処理装置150は、プログラムPRの実行を終了する。
【0061】
図7に示されるように、画像送信処理には、ステップSB110~ステップSB190の各処理が含まれる。ステップSB110、ステップSB120、及びステップSB130では、プログラムPRに従って作動している処理装置150は、モード切替部150fとして機能する。ステップSB110では、処理装置150は、センサ220に含まれる光センサにより検知された明るさが所定の閾値以上であるか否かを判定する。センサ220に含まれる光センサにより検知された明るさが所定の閾値以上である場合、ステップSB110の判定結果は“Yes”になる。逆に、センサ220に含まれる光センサにより検知された明るさが所定の閾値未満である場合、ステップSB110の判定結果は“No”になる。
【0062】
ステップSB110の判定結果が“Yes”である場合、処理装置150は撮像モードを通常モードに設定し(ステップSB120)、ステップSB140以降の処理を実行するステップSB120では、処理装置150は、撮像装置110における可変フィルタの透過光を可視光に設定するとともに、照明装置190が射出する照明光を可視光に設定する。これに対して、ステップSB110の判定結果が“No”である場合には、処理装置150は撮像モードをナイトモードに設定し(ステップSB130)、ステップSB140以降の処理を実行する。ステップSB130では、処理装置150は、撮像装置110における可変フィルタの透過光を赤外光に設定するとともに、照明装置190が射出する照明光を赤外光に設定する。
【0063】
図7に示されるステップSB140~ステップSB190では、処理装置150は画像解析部150dとして機能する。ステップSB140では、処理装置150は、撮像装置110から出力された画像データを解析することにより、当該画像データの表す画像におけるエッジを検出する。
【0064】
ステップSB150では、処理装置150は、ステップSB140にてエッジが検出されたか否かを判定する。ステップSB140にてエッジが検出されなかった場合、即ち、撮像装置110から出力される画像データの表す画像を構成する全ての画素について、隣接する他の画素との画素値の差が所定の閾値未満である場合、ステップSB150の判定結果は“No”となる。逆に、撮像装置110から出力される画像データの表す画像を構成する複数の画素の少なくとも1つについて、隣接する他の画素との画素値の差が所定の閾値以上である場合、ステップSB150の判定結果は“Yes”となる。
【0065】
ステップSB150の判定結果が“No”である場合、処理装置150はステップSB160の処理を実行した後にステップSB190の処理を実行する。ステップSB160では、処理装置150は、撮像装置110から出力された画像データをサーバ装置30へ送信する。
【0066】
ステップSB150の判定結果が“Yes”である場合、処理装置150はステップSB170及びステップSB180の処理を実行した後にステップSB190の処理を実行する。ステップSB170では、処理装置150は、ステップSB140にて検出されたエッジを示すエッジ情報を生成する。ステップSB170に後続するステップSB180では、処理装置150は、撮像装置110から出力された画像データと、ステップSB170にて生成したエッジ情報と、をサーバ装置30へ送信する。
【0067】
ステップSB190では、処理装置150は、操作入力装置180に対して終了操作が為されたか否かを判定する。ステップSB190の判定結果が“No”である場合、処理装置150は、ステップSB110以降の処理を再度実行する。ステップSB190の判定結果が“Yes”である場合、処理装置150は、プログラムPRの実行を終了する。
【0068】
建築物の躯体表面の亀裂の有無の目視点検へのウェアラブルカメラ10の利用態様としては、点検対象の建築物をウェアラブルカメラ10により撮像する態様が考えられる。建築物の撮像画像では、建築物の躯体表面に発生している亀裂は当該建築物の撮像画像ではエッジとして現れていることが多い。本実施形態のウェアラブルカメラ10によれば、ウェアラブルカメラ10による撮像画像を監視端末40のユーザに閲覧させる際に、エッジ情報に従って当該画像におけるエッジが強調されるので、建築物の表面に発生している亀裂の見落としが低減される。従って、本実施形態のウェアラブルカメラ10は建築物の目視による点検に好適である。
【0069】
(B.変形)
以上説明した実施形態は、以下のように変形されてもよい。
(1)上記実施形態では、ウェアラブルカメラ10における処理装置150は、撮像装置110により撮像された画像を表す画像データと、当該画像を解析することにより検出されたエッジを示すエッジ情報とをサーバ装置30へ送信した。しかし、処理装置150は、エッジ情報に従ってエッジを強調した画像を生成し、当該画像を表す画像データをサーバ装置30へ送信してもよい。また、撮像装置110により動画像が撮像される場合、処理装置150は、当該動画像を構成するフレーム毎にエッジ検出を行い、エッジの検出されたフレームについては点検担当者に対する注意喚起のためのタグを付与してもよく、また当該フレームの画像にエッジを強調する処理を施してもよい。
【0070】
(2)上記実施形態における蓄電池210は商用電源等の外部電源から供給される電力により充電された。しかし、ウェアラブルカメラ10は、太陽光等の光を電力に変換する光発電モジュールを有してもよく、光発電モジュールからの供給される電力により蓄電池210の充電が行われてもよい。
【0071】
(3)上記実施形態における収音装置130及び放音装置140は必ずしも必須ではなく、ウェアラブルカメラ10のユーザと監視端末40のユーザとの音声通話が不要である場合には、収音装置130及び放音装置140は省略されてもよく、録音が不要である場合には、ボタンBT8は省略されてもよい。また、ウェアラブルカメラ10のユーザが、撮像装置110による撮像画像を確認する必要がない場合には、表示装置120は省略されてもよく、動画像のマーキングが不要である場合にはボタンBT2は省略されてもよい。また、静止画像の撮像のみで十分であり、動画像の撮像が不要である場合にはボタンBT10は省略されてもよい。同様に、動画像の撮像のみで十分であり、静止画像の撮像が不要である場合にはボタンBT9は省略されてもよい。また、上記実施形態では、ウェアラブルカメラ10の周囲の明るさに応じてウェアラブルカメラ10の撮像モードが切り替えられたが、操作入力装置180に対するユーザの入力操作により、即ち手動で撮像モードが切り替えられてもよい。
【0072】
(4)上記実施形態によるウェアラブルカメラ10は、ユーザの操作を受け付けるための複数の操作子(ボタンBT1~BT10)を備え、これら複数の操作子のうちボタンBT1~BT3は左側面S2に設けられ、ボタンBT7~BT10は右側面S5に設けられた。しかし、ボタンBT1~BT3及びボタンBT7~BT10は左側面S2と右側面S5とのうちの何れか一方に設けられてもよい。つまり、左側面S2と右側面S5との少なくとも一方にユーザの操作を受け付けるための複数の操作子が設けられてもよい。
【0073】
(5)上記実施形態における画面生成部150a、音声処理部150b、位置検出部150c、画像解析部150d、危険検知部150e、及びモード切替部150fは何れもソフトウェアモジュールであった。しかし、画面生成部150a、音声処理部150b、位置検出部150c、画像解析部150d、危険検知部150e、及びモード切替部150fのうちの任意の1~5個、又は全部がASIC(Aapplication Specific Integrated Circuit)等の電子回路(即ち、ハードウェアモジュール)であってもよい。
【0074】
(6)上記実施形態では、本開示のウェアラブルカメラに特有の機能を処理装置150に実現させるプログラムPRが記憶装置170に予め記憶されていた。しかし、プログラムPRが単体で製造又は販売されてもよい。プログラムPRを販売する際の具体的な提供態様としては、フラッシュROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に書き込んで配布する態様、又はインターネット等の電気通信回線経由のダウンロードにより配布する態様が挙げられる。
【符号の説明】
【0075】
1…点検支援システム、10A,10B,10…ウェアラブルカメラ、100…本体部、110…撮像装置、120…表示装置、130…収音装置、140…放音装置、150…処理装置、150a…画面生成部、150b…音声処理部、150c…位置検知部、150d…画像解析部、150e…危険検知部、150f…モード切替部、160…通信装置、170…記憶装置、180…操作入力装置、190a,190b,190…照明装置、200…外部機器IF、210…蓄電池、220…センサ、230…電池カバー、20…通信網、30…サーバ装置、40…監視端末、PR…プログラム。