(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240426BHJP
B01D 53/58 20060101ALI20240426BHJP
B01D 53/68 20060101ALI20240426BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20240426BHJP
B01D 53/46 20060101ALI20240426BHJP
B01D 53/64 20060101ALI20240426BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
H01L21/31 B
B01D53/58 ZAB
B01D53/68
B01D53/78
B01D53/46
B01D53/64
H01L21/302 101G
(21)【出願番号】P 2023041038
(22)【出願日】2023-03-15
【審査請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】10-2022-0103093
(32)【優先日】2022-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518460200
【氏名又は名称】ミラエボ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】チョ、 チェホ
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ヨンジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 インファン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、 スンウォン
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-522649(JP,A)
【文献】特開2001-44185(JP,A)
【文献】登録実用新案第3223688(JP,U)
【文献】特表2017-510453(JP,A)
【文献】特開2013-227648(JP,A)
【文献】特開平11-1773(JP,A)
【文献】特開平6-10141(JP,A)
【文献】特開平2-222722(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0069825(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
B01D 53/58
B01D 53/68
B01D 53/78
B01D 53/46
B01D 53/64
H01L 21/3065
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体工程のプロセスチャンバーから排出された排気ガスの中から反応副産物を捕集する捕集装置を含む工程停止ロス減縮システムであって、
排気ガスまたは不活性ガスの流路を切り換える方向切換バルブと、
方向切換バルブの流路切換に応じて排気ガスの供給を受けて反応副産物を捕集する内部捕集装置が備えられた捕集装置と、
方向切換バルブの流路切換に応じて不活性ガスの供給を受けて排気配管へ供給するバイパス配管と、
開閉作動によって前記捕集装置から排気ガスまたは不活性ガスのうちのいずれか一つの供給を受けて、後段の真空ポンプに連結された前記排気配管へ供給するか或いは遮断するヒーティングゲートバルブと、
前記方向切換バルブの流路方向設定及び前記ヒーティングゲートバルブの開閉を制御する捕集システム制御部と、を含むことを特徴とする、半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システム。
【請求項2】
前記方向切換バルブは、前記捕集システム制御部によって流路が自動的に切り換えられるように構成され、供給される排気ガスを前記捕集装置に供給するか、或いは供給される不活性ガスを前記捕集装置または前記バイパス配管へ供給するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システム。
【請求項3】
前記捕集装置は、交換後に前記方向切換バルブの流路切換に応じて前記プロセスチャンバーから不活性ガスの供給を受けた後、排気ガスの供給を受けて反応副産物を捕集するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システム。
【請求項4】
前記バイパス配管は、前記ヒーティングゲートバルブの下部の前記排気配管に連結されるように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システム。
【請求項5】
前記ヒーティングゲートバルブは、平常時には温度を上げて、前記ヒーティングゲートバルブに反応副産物が形成されることを防止することにより、前記工程停止ロス減縮システムの動作をスムーズにするように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システム。
【請求項6】
前記捕集システム制御部は、平常時には前記方向切換バルブ及び前記ヒーティングゲートバルブの流路が捕集装置と連通するように制御し、プロセスチャンバー設備制御部が前記捕集装置または前記プロセスチャンバーの圧力変動を検知した後、不活性ガスを前記プロセスチャンバーにプロセスガスの代わりに供給すると、前記プロセスチャンバー設備制御部と信号が連動した前記捕集システム制御部は、前記方向切換バルブの流路を前記捕集装置から前記バイパス配管に切り換え、前記ヒーティングゲートバルブの流路を遮断して不活性ガスが前記バイパス配管を介して前記ヒーティングゲートバルブの下部の前記排気配管へ供給するように制御することにより、前記捕集装置が交換できるように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システム。
【請求項7】
前記捕集システム制御部は、前記捕集装置の交換が終了すると、遮断されていた前記ヒーティングゲートバルブが前記捕集装置に連結されて流路流れが開放されるように制御し、前記方向切換バルブの流路を前記バイパス配管から前記捕集装置側へ切り換えられるように制御して、前記プロセスチャンバーから排出される不活性ガスを前記捕集装置を介して後段の前記真空ポンプ側へ排出させ、以後、前記プロセスチャンバーが半導体を生産する工程を再開して、前記捕集装置が排気ガスの供給を受けて反応副産物を捕集した後、残りの排気ガスを排出すると、後段の前記真空ポンプ側へ排出させるように構成したことを特徴とする、請求項1に記載の半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システム。
【請求項8】
前記半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システムは、前記プロセスチャンバーの設備の稼働を中止することなく製造中の前記プロセスチャンバー内の半導体ウエハー製造工程環境を維持した(idle)状態で前記捕集装置が交換されるように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システムに係り、さらに詳細には、半導体工程のプロセスチャンバーから排出された排気ガス中に含まれている反応副産物を捕集する捕集装置に反応副産物が積もって空間閉塞などにより捕集装置の圧力及びプロセスチャンバーの圧力が上昇する場合、捕集装置の交換準備及び交換やメンテナンス時間などの工程停止のロスなしに、すなわち、半導体製造用プロセスチャンバーの稼働を中止することなく迅速に捕集装置を交換して半導体生産が続行されるように構成した工程停止ロス減縮システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造工程は、前工程(Fabrication工程)と後工程(Assembly工程)から構成される。
【0003】
前工程は、各種プロセスチャンバー(Chamber)内でウエハー上に薄膜を蒸着し、蒸着された薄膜を選択的にエッチングする過程を繰り返し行って特定のパターンを加工する半導体チップ(Chip)を製造する工程をいう。
【0004】
また、後工程は、前記前工程でウエハー上に製造されたチップを個別に切断して分離した後、リードフレームと結合して完成品として組み立てるパッケージ(package)工程をいう。
【0005】
前記前工程は、ウエハー上に薄膜を蒸着するか、或いはウエハー上に蒸着された薄膜をエッチングする工程をいうが、このために、プロセスチャンバー内に、必要とする半導体製造工程によってTiCl4(四塩化チタン)、NH3(アンモニア)、SiH4(モノシラン)、SiCl2H2(ジクロロシラン)、WF6(六フッ化タングステン)、Hf(ハフニウム)などを含む様々なプロセスガスの中から選択されたガスが注入されて、高温で半導体製造工程を行う。このとき、プロセスチャンバーの内部には、反応過程からの各種発火性ガスや、腐食性異物及び有毒成分を含有した有害ガスなどが大量発生する。
【0006】
このような有害ガスを浄化して放出するために、半導体製造装備には、連続運転されるプロセスチャンバーを真空状態にする真空ポンプと、真空ポンプの後段に、プロセスチャンバーから排出される排気ガスを浄化させた後、大気中へ放出するスクラバー(Scrubber)が設置される。
【0007】
ただし、スクラバーはガス状の反応副産物のみを浄化して処理するので、反応副産物がプロセスチャンバーの外部へ排出された後、固形化すると、排気配管への固着による排気圧力の上昇、真空ポンプへの流入によるポンプの故障の誘発、プロセスチャンバーへの有害ガスの逆流によるウエハー汚染などの別の問題点が発生する。
【0008】
このため、半導体製造装備には、プロセスチャンバーと真空ポンプとの間に、前記プロセスチャンバーから排出される排気ガスの中から反応副産物を捕集するように反応副産物捕集装置が設置されることが一般的である。
【0009】
もし捕集装置がプロセスチャンバーから流入した排気ガスをスムーズに処理しない場合、真空ポンプとスクラバーに流入してポンプの故障を誘発するうえ、プロセスチャンバーへ有害ガスが逆流して、高品質化及び高効率化工程によって生産中であるウエハーを汚染させるため、捕集装置は、半導体生産工程において非常に重要な装置である。
【0010】
このため、運転中の捕集装置が長期間捕集運転されながら反応副産物が積もって空間閉塞などにより捕集装置の圧力及びプロセスチャンバーの圧力が上昇する場合、半導体生産工程の進行が不可であるため、プロセスチャンバー設備を制御する制御部は、プロセスチャンバーへ供給していたプロセスガスの供給を中断し、捕集装置を交換する。
【0011】
プロセスチャンバー設備を制御する制御部によってプロセスチャンバーの稼働が停止すると、内部にある半導体は、不良率が高くなるので、除去して捕集装置の交換または洗浄工程を行う。
【0012】
このようにウエハーを除去する理由は、捕集装置の交換または洗浄のためにプロセスチャンバーと真空ポンプの運転を中止させた状態で、捕集装置を、前段のプロセスチャンバー及び後段の真空ポンプに連結された排気配管(または真空配管)を除去した後で脱去するため、半導体製造中のウエハーが存在すると、汚染によって廃棄されなければならないからである。
【0013】
以後、捕集装置を新たに交換する場合、再び前段のプロセスチャンバー及び後段の真空ポンプに連結して再装着する工程を経る。
また、洗浄のために撤去された捕集装置は、内部に設置された内部収集タワーを分離した後、内部収集タワーと捕集装置ハウジングの内部に捕集又は固着された反応副産物を綺麗に洗浄し、洗浄された捕集装置は、再び前段のプロセスチャンバー及び後段の真空ポンプに連結して再装着する工程を経る。
【0014】
この時、捕集装置がプロセスチャンバー及び真空ポンプに連結されたとして直ちにプロセスチャンバーが運転されると、真空条件または異物の残否または各種条件が最適な半導体生産のための条件に合わない可能性があるため、各種検査過程を経た後、捕集工程を開始する。
【0015】
上述したプロセスチャンバー設備の稼働中止後に、捕集装置の交換または洗浄を行った後、最適な環境条件まで完了してから再稼働にかかる時間は、通常48時間程度である。
このような工程中断は、半導体生産工程において多くの時間がかかるため、結果として半導体生産コストが上がるという構造的な問題点がある。
【0016】
このため、従来は、プロセスチャンバー設備の稼働を中止することなく連続的な半導体生産運転ができるように捕集装置をデュアルシステムにすることにより、一つの捕集装置が正常な捕集工程を行わなければ、別の捕集装置を稼働させ、運転中断の捕集装置を交換又は洗浄するようにして連続的な運転を可能にするシステムが開示されている。
【0017】
しかし、このように捕集装置をデュアルシステムにするためには設備と設置空間が2倍も必要であるから、半導体生産コストを下げ難いという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】韓国登録特許第10-0544320号公報(2006.01.11.)
【文献】韓国登録特許第10-0647725号公報(2006.11.13.)
【文献】韓国登録特許第10-0930320号公報(2009.11.30.)
【文献】韓国公開特許第10-2022-008116号公報(2022.06.15.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、かかる問題点を解決するためのもので、その目的は、半導体工程のプロセスチャンバーから排出された排気ガス中に含まれている反応副産物を捕集する捕集装置が長期間捕集運転されながら反応副産物が積もって空間閉塞などにより捕集装置の圧力及びプロセスチャンバーの圧力が上昇する場合、半導体製造用プロセスチャンバー設備の稼働を中止(Shut down)することなく待機(idle)状態で不活性ガスの供給を受けて捕集装置をバイパス配管を介して真空ポンプ側へ連続的に供給しながら、排気ガスの供給が中断された捕集装置のみを迅速に交換した後、再び排気ガスの供給を受けることができるように構成した工程停止ロス減縮システムを提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、反応副産物捕集装置の迅速交換が可能な構成を備えることにより、半導体製造のためのプロセスチャンバー設備の稼働を中止(Shut down)することなくプロセスチャンバー内の半導体ウエハー製造工程環境を維持した(idle)状態で不活性ガスと排気ガスの供給有路制御による迅速な捕集装置の交換過程を行った後、半導体生産再稼働のための環境条件の再設定及び検証、並びに捕集装置に連結されたプロセスチャンバーと真空ポンプとの連結配管を脱去及び再装着する工程なしに直ちにプロセスチャンバー内にプロセスガスが再投入されて半導体製造が続行できるように構成することにより、排出された排気ガス中の反応副産物を捕集装置で捕集することができる工程停止ロス減縮システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の目的を達成し、且つ従来の欠点を除去するための課題を解決する本発明は、半導体工程のプロセスチャンバーから排出された排気ガスの中から反応副産物を捕集する捕集装置を含む工程停止ロス減縮システムであって、
排気ガスまたは不活性ガスの流路を切り換える方向切換バルブと、
方向切換バルブの流路切換に応じて排気ガスの供給を受けて反応副産物を捕集する内部捕集装置が備えられた捕集装置と、
方向切換バルブの流路切換に応じて不活性ガスの供給を受けて排気配管へ供給するバイパス配管と、
開閉作動によって捕集装置から排気ガスまたは不活性ガスのうちのいずれか一つの供給を受けて、後段の真空ポンプに連結された排気配管へ供給するか或いは遮断するヒーティングゲートバルブと、
前記方向切換バルブの流路方向設定及びヒーティングゲートバルブの開閉を制御する捕集システム制御部と、を含むことを特徴とする、半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システムを提供する。
【0022】
好適な実施形態において、前記方向切換バルブは、捕集システム制御部によって流路が自動的に切り換えられるように構成され、供給される排気ガスを捕集装置へ供給するか、或いは供給される不活性ガスを捕集装置またはバイパス配管へ供給するように構成されたことを特徴とする。
【0023】
好適な実施形態において、前記捕集装置は、交換後に方向切換バルブの流路切換に応じてプロセスチャンバーから不活性ガスの供給を受けた後、排気ガスの供給を受けて反応副産物を捕集するように構成されたことを特徴とする。
【0024】
好適な実施形態において、前記バイパス配管は、ヒーティングゲートバルブ下部排気配管に連結されるように構成されたことを特徴とする。
【0025】
好適な実施形態において、前記ヒーティングゲートバルブは、平常時には温度を上げて、バルブに副産物が形成されることを防止することにより、システムの動作をスムーズに行うように構成されたことを特徴とする。
【0026】
好適な実施形態において、前記捕集システム制御部は、平常時には方向切換バルブ及びヒーティングゲートバルブの流路が捕集装置と連通するように制御し、プロセスチャンバー設備制御部が捕集装置またはプロセスチャンバーの圧力変動を検知した後、不活性ガスをプロセスチャンバーにプロセスガスの代わりに供給すると、プロセスチャンバー設備制御部と信号が連動した捕集システム制御部は、方向切換バルブの流路を捕集装置からバイパス配管に切り換え、ヒーティングゲートバルブの流路を遮断して不活性ガスがバイパス配管を介してヒーティングゲートバルブ下部排気配管へ供給するように制御することにより、捕集装置が交換できるように構成されたことを特徴とする。
【0027】
好適な実施形態において、前記捕集システム制御部は、捕集装置の交換が終了すると、遮断されていたヒーティングゲートバルブが捕集装置に連結されて流路流れが開放されるように制御し、方向切換バルブの流路をバイパス配管から捕集装置側へ切り換えられるように制御して、プロセスチャンバーから排出される不活性ガスを捕集装置を介して後段の真空ポンプ側へ排出させ、以後、プロセスチャンバーが半導体を生産する工程を再開して、捕集装置が排気ガスの供給を受けて反応副産物を捕集した後、残りの排気ガスを排出すると、後段の真空ポンプ側へ排出させるように構成したことを特徴とする。
【0028】
好適な実施形態において、半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システムは、プロセスチャンバー設備の稼働中止なしに製造中のプロセスチャンバー内の半導体ウエハー製造工程環境を維持した(idle)状態で捕集装置が交換されるように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
上述した特徴を有する本発明による半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システムは、半導体工程のプロセスチャンバーから排出された排気ガス中に含まれている反応副産物を捕集する捕集装置が長期間捕集運転されながら反応副産物が積もって空間閉塞などにより捕集装置の圧力及びプロセスチャンバーの圧力が上昇する場合、半導体製造用プロセスチャンバー設備の稼働を中止(Shut down)することなく待機(idle)状態で不活性ガスの供給を受けて捕集装置をバイパス配管を介して真空ポンプ側へ連続的に供給しながら、排気ガスの供給が中断された捕集装置のみ迅速に交換した後、プロセスチャンバーへ再びプロセスガスが供給されて排気ガスが排出されると、反応副産物を捕集することができるという効果がある。
【0030】
また、本発明による半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速な交換による工程停止ロス減縮システムは、反応副産物捕集装置の迅速交換が可能な構成を備えることで、半導体製造のためのプロセスチャンバー設備の稼働を中止(Shut down)することなく製造中のプロセスチャンバー内の半導体ウエハー製造工程環境を維持した(idle)状態で不活性ガスと排気ガスの供給流路制御による迅速な捕集装置の交換過程を行った後、半導体生産再稼働のための環境条件の再設定及び検証、並びに捕集装置に連結されたプロセスチャンバーと真空ポンプとの連結配管を脱去及び再装着する工程なしに直ちにプロセスチャンバー内にプロセスガスが再投入されて半導体製造が続行できるようにすることにより、排出された排気ガス中の反応副産物を捕集装置で捕集することができるという効果を持つ。
【0031】
また、本発明は、プロセスチャンバー設備の稼働を中止することなく3時間内外の迅速な時間内に半導体生産が再開されることにより、半導体停止ロス時間の減少によって工程稼働時間を向上させて生産性を向上させることができるという効果を持つ。
【0032】
本発明は、上述した効果を持つ有用な発明であって、産業上の利用が大きく期待される発明である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態による工程停止ロス減縮システムの全体構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態による工程停止ロス減縮システムを構成する方向切換バルブ、捕集装置、バイパス配管及びヒーティングゲートバルブの構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による工程停止ロス減縮システムを構成する方向切換バルブ、捕集装置、バイパス配管及びヒーティングゲートバルブの構成を示す正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による工程停止ロス減縮システムを構成する方向切換バルブ、捕集装置、バイパス配管及びヒーティングゲートバルブの構成を示す側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による工程停止ロス減縮システムによる捕集方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態の構成及びその作用を添付図面を参照して詳細に説明する。また、本発明を説明するにあたり、関連した公知の機能或いは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を無駄に不明確にするおそれがあると判断された場合には、その詳細な説明は省略する。
【0035】
図1は本発明の一実施形態による工程停止ロス減縮システムの全体構成図、
図2は本発明の一実施形態による工程停止ロス減縮システムを構成する方向切換バルブ、捕集装置、バイパス配管及びヒーティングゲートバルブの構成を示す斜視図、
図3は本発明の一実施形態による工程停止ロス減縮システムを構成する方向切換バルブ、捕集装置、バイパス配管及びヒーティングゲートバルブの構成を示す正面図、
図4は本発明の一実施形態による工程停止ロス減縮システムを構成する方向切換バルブ、捕集装置、バイパス配管及びヒーティングゲートバルブの構成を示す側面図である。
【0036】
これらの図面を参照すると、本発明による半導体工程用反応副産物捕集装置の迅速交換による工程停止ロス減縮システムは、排気ガス12または不活性ガス11の流路を切り換える方向切換バルブ1と、方向切換バルブの流路切換に応じて排気ガス12の供給を受けて反応副産物を捕集する内部捕集装置が備えられた捕集装置2と、方向切換バルブの流路切換に応じて不活性ガスの供給を受けてヒーティングゲートバルブ下部排気配管へ供給するバイパス配管3と、開閉作動によって捕集装置から排気ガス12または不活性ガスのうちのいずれか一つの供給を受けて、後段の真空ポンプに連結された排気配管へ供給又は遮断するヒーティングゲートバルブ4と、前記方向切換バルブの流路方向設定とヒーティングゲートバルブの開閉を制御する捕集システム制御部5と、を含んで構成される。
【0037】
前記排気ガス12は、プロセスチャンバーで製造される半導体に応じて多様なプロセスガス成分を含むことができる。例えば、TiCl4、NH3、SiH4、SiCl2H2、WF6、Hfなどがある。しかし、例示したガスのみ本発明の排気ガス12の成分を限定するものではない。
【0038】
本発明において使用される不活性ガスは、清掃または換気のために使用されるガスであって、他の物質と化学反応を引き起こし難いガスを使用する。例えばN2、Arなどである。しかし、例示したガスのみ本発明の不活性ガスを限定するものではない。
【0039】
方向切換バルブ1は、半導体製造に使用されるプロセスチャンバー6と排気配管及びバイパス配管で連結されて捕集装置の圧力変動を検知したプロセスチャンバー設備制御部7によって選択的に供給される排気ガス12または不活性ガス11を捕集装置またはバイパス配管のうちのいずれか一つへ供給するように捕集システム制御部5によって流路が自動的に切り換えられるように構成される。つまり、プロセスチャンバー6から供給される排気ガスを捕集装置2へ供給するか、或いはプロセスチャンバー6から供給される不活性ガスを捕集装置2またはバイパス配管3へ供給するように構成される。
【0040】
方向切換バルブ1は、3つの流路から構成されたバルブの内部に、供給側流路の方向へ自動的に切り換えて排出口側の一つの流路は閉鎖し、他の流路は開放することができる構造が備えられ、排気配管を介して供給されるガスを選択された方向の流路へ供給することができる三方弁で構成される。この時、流路切換機能が手動制御ではなく自動的に切り換えられる自動バルブで構成される。このために、モーター方式または空気圧シリンダ方式で構成されることにより、モーターまたは空気圧シリンダが捕集制御部の制御によって作動すると、流路変更が迅速に行われる。
【0041】
自動的に行われる理由は、プロセスチャンバー内で製造中の半導体ウエハーへの異物流入による汚染を防止するために、プロセスチャンバー設備制御部7で捕集装置の圧力変動の発生と同時に迅速に流路変更が行われなければならず、最適に設定された半導体生産工程条件に変動を与えてはならないためであるが、必要に応じて、手動制御方式で使用してもよい。
【0042】
つまり、捕集装置2と方向切換バルブ1で連結されたプロセスチャンバー6は、流入した反応ガスを用いてウエハー上に薄膜を蒸着し、蒸着された薄膜を選択的にエッチングする工程を繰り返し行って特定のパターンを加工して半導体チップ(Chip)を製造する装置であるが、プロセスチャンバー6が安定的な工程を行うようにプロセスチャンバー設備制御部7が捕集装置の圧力またはプロセスチャンバーの圧力を検知して排気ガス12または不活性ガスプロセスチャンバー6に供給する。
【0043】
プロセスチャンバー設備制御部7が捕集装置2の内部の圧力変動を検知する理由は、長期間捕集運転に伴って反応副産物が積もって空間閉塞などにより円滑な排気ガス12の排出と捕集が行われなければ、捕集装置2が正常な捕集活動をしないで負荷が発生して内部圧力が増加するとともに、これと排気配管21で連結されたプロセスチャンバーも圧力が上昇しながら最適な半導体生産条件に影響を及ぼし、プロセスチャンバーへ有害ガスが逆流して、高品質化及び高効率化工程によって生産中であるウエハーを汚染させる問題点を防止するためである。
【0044】
前記プロセスチャンバー設備制御部7が圧力変動を検知するために、圧力検知センサー(図示せず)を排気配管、プロセスチャンバー及び捕集装置のうちのいずれか一箇所に設置して検知する。
【0045】
捕集装置2は、方向切換バルブ1の後段に設置され、平常時には流路が方向切換バルブ1と連結され、プロセスチャンバー6から排出される排気ガス12の供給を受けて反応副産物を捕集して残りの排気ガス12のみを後段に排気配管21と連結された真空ポンプ側へ排出する。以後、スクラバーから排気ガス12を浄化の後に排気配管21を介して排出させる役割を果たす。
また、捕集装置2の交換の際には、方向切換バルブ1に対して流路が閉鎖されて排気ガス12の供給が遮断される。
【0046】
また、捕集装置2の交換が完了した後には、再び後段のヒーティングゲートバルブ4が開放されて流路が真空ポンプの排気配管21と連通し、前段の方向切換バルブ1の流路切換を介して流路が連結されて排気ガス12の供給を受ける前までプロセスチャンバー6からの不活性ガスの供給を受けて後段の真空ポンプ側へ排出した後、再びプロセスチャンバー6が半導体を生産する工程を再開すると、排出される排気ガス12の供給を受けて反応副産物を捕集する。
【0047】
本発明に使用される捕集装置は、その構造や形状が限定されず、様々な捕集装置が装着されて連結されてもよい。
例えば、捕集装置を構成するハウジングの内部に、様々な捕集プレート間の組み合わせからなる構造のうちのいずれか一つを有する内部捕集タワーのうちのいずれか一つが備えられ、排気ガス12中に含まれている反応副産物を捕集することが可能な構造であればよく、排気ガスの温度を維持して捕集装置(Trap)引き込み部の詰まりを防止するとともに反応副産物を捕集するための適切な温度設定の役目をするヒーターは、状況に応じて備えられた捕集装置を使用してもよく、使用しなくてもよい。また、選択的にハウジングまたは内部捕集装置に冷却手段を備えて内部温度を調節することが可能な手段を備えてもよい。
【0048】
バイパス配管3は、捕集装置の捕集が正常に行われるときには、方向切換バルブによって流路が遮断された状態を維持し、プロセスチャンバー設備制御部7が捕集装置またはプロセスチャンバーの圧力変動を検知した後、不活性ガスをプロセスチャンバーに工程ガスの代わりに供給すると、同時にプロセスチャンバー設備制御部7と回路連結された捕集システム制御部5が方向切換バルブ1の流路を切り換えて、捕集装置の後段に位置したヒーティングゲートバルブ4の下部に位置した排気配管21と連通するようにする配管であって、これを介して不活性ガスが排気配管21を通って真空ポンプ側へ流れる。
【0049】
バイパス配管3を介して供給される不活性ガスは、捕集装置の交換時間の間、真空ポンプとスクラバー側へ流れることにより、真空ポンプとスクラバーの稼働が維持される。
【0050】
本発明は、バイパス配管3を介して不活性ガスが供給される間、すなわち、捕集装置が交換される間にプロセスチャンバー設備制御部7によって不活性ガス貯蔵タンク(図示せず)から不活性ガスがプロセスチャンバーに供給される間に内部で製造中であった半導体は除去されず、捕集装置の交換が完了する間、工程がしばらく中断された状態(アイドル状態)に置かれる。したがって、すべての工程条件の変更がないため、プロセスガスのみ再び供給されると、半導体製造工程が続行される。通常、捕集装置(Trap)の交換時間が3時間以内なので、本発明のシステムを適用すれば、3時間内外のアイドル時間がかかる。
【0051】
前記バイパス配管3は、金属材質の配管で構成されて固定するか、或いはフレキシブルな配管で構成されて自由に配置することができる。
【0052】
ヒーティングゲートバルブ4は、プロセスチャンバー設備制御部7が捕集装置またはプロセスチャンバーの圧力変動を検知した後、不活性ガスをプロセスチャンバーにプロセスガスの代わりに供給すると、捕集システム制御部5によって捕集装置と連結された流路の流れを遮断させる構成である。
【0053】
また、ヒーティングゲートバルブ4は、捕集装置の交換が完了すると、閉鎖状態であったバルブが開放され、捕集システム制御部5によって方向切換バルブ1に連結されたバイパス配管3の流路が捕集装置側へ切り換えられるとともに、遮断された捕集装置側の流路が開放されて捕集装置と連結されながら、プロセスチャンバー6から排出される不活性ガスの供給を受けて後段の真空ポンプ側へ排出し、以後、プロセスチャンバー6が半導体を生産する工程を再開して捕集装置が排気ガス12の供給を受けて反応副産物を捕集した後、残りの排気ガス12を排出すると、これを後段の真空ポンプとスクラバー側に連結された排気配管21へ供給する。
【0054】
また、前記ヒーティングゲートバルブ4は、上述した捕集装置交換過程ではなく、平常時には温度を上げて、ヒーティングゲートバルブ4に副産物が形成されるのを防止することでシステムの動作を円滑にする構成である。つまり、捕集装置と連通するように開放されて、捕集装置を経ながら反応副産物が捕集された状態の排気ガス12が捕集装置の排出口を介して排出されると、これを再加熱して、温度が上昇した排気ガス12が排気配管21及びヒーティングゲートバルブ4の内部に固着されるのを防止しながら、後段の真空ポンプを経てスクラバーへ供給されるようにする。
【0055】
捕集システム制御部5は、平常時には方向切換バルブ1及びヒーティングゲートバルブ4の流路が捕集装置と連通するように制御し、プロセスチャンバー設備制御部7が捕集装置またはプロセスチャンバーの圧力変動を検知した後、不活性ガスをプロセスチャンバーにプロセスガスの代わりに供給すると、プロセスチャンバー設備制御部と信号が連動した捕集システム制御部は、方向切換バルブ1の流路を捕集装置からバイパス配管に切り換え、ヒーティングゲートバルブ4の流路を遮断して不活性ガスがバイパス配管3を介してヒーティングゲートバルブ4の下部の排気配管21へ供給するように制御する。
このような捕集システム制御部5の流路制御によって、捕集装置2は迅速に交換される。
【0056】
また、捕集システム制御部5は、捕集装置の交換が終了すると、方向切換バルブ1の流路をバイパス配管から捕集装置側へ切り換えられるように制御し、同時に遮断されたヒーティングゲートバルブ4も捕集装置に連結されて流路流れが開放されるように制御する。
【0057】
これにより、方向切換バルブ1とヒーティングゲートバルブ4が捕集装置2と連通すると、プロセスチャンバー6から排出される不活性ガスを捕集装置2を介して後段の真空ポンプ側に排出させ、以後、プロセスチャンバー6が半導体を生産する工程を再開すると、捕集装置が排気ガス12の供給を受けて反応副産物を捕集した後、残りの排気ガス12を後段の真空ポンプとスクラバー側に連結された排気配管21へ供給する。
【0058】
図5は、本発明の一実施形態による工程停止ロス減縮システムによる捕集方法を示すフローチャートであって、前述した
図1~
図4による工程停止ロス減縮システムを備えた後、
(A)プロセスチャンバーで半導体製造工程を行うステップと、
(B)プロセスチャンバー圧力検知ステップと、
(C)半導体製造工程のアイドリング状態切換後、不活性ガスをプロセスチャンバーに供給するステップと、
(D)捕集制御部が方向切換バルブの切換及びヒーティングゲートバルブの遮断制御によってバイパス配管へ不活性ガスを供給するステップと、
(E)捕集装置交換ステップと、
(F)捕集制御部が方向切換バルブの切換及びヒーティングゲートバルブの開放制御を介して捕集装置へ不活性ガスを供給するステップと、
(G)プロセスチャンバーへのプロセスガスの投入によって半導体製造工程を行うステップと、
(H)捕集装置がプロセスチャンバーからの排気ガスの中から反応副産物の捕集を続行するステップと、を経る。
【0059】
このようなステップを経ることにより、本発明は、半導体工程のプロセスチャンバーから排出された排気ガス中に含まれている反応副産物を捕集する捕集装置に反応副産物が積もって空間閉塞などにより捕集装置の圧力及びプロセスチャンバーの圧力が上昇する場合、捕集装置の交換準備及び交換やメンテナンス時間などの工程停止ロスなしに、すなわち半導体製造用プロセスチャンバーの稼働中止なしに迅速に捕集装置を交換して半導体生産を続行する。
【0060】
本発明は、上述した特定の好適な実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、誰でも様々な変形実施が可能なのはもとより、それらの変更も請求の範囲の記載の範囲内にある。
【符号の説明】
【0061】
1 方向切換バルブ
2 捕集装置
3 バイパス配管
4 ヒーティングゲートバルブ
5 捕集システム制御部
6 プロセスチャンバー
7 プロセスチャンバー設備制御部
8 真空ポンプ
9 スクラバー
10 プロセスガス
11 不活性ガス
12 排気ガス
21 排気配管