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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】ロータリーバルブ
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/48 20060101AFI20240426BHJP
   A01F 12/48 20060101ALI20240426BHJP
   A01F 12/46 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
B65G65/48 G
A01F12/48 Z
A01F12/46
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023061521
(22)【出願日】2023-04-05
【審査請求日】2023-05-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】300008793
【氏名又は名称】精研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】長山 照一
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-122588(JP,A)
【文献】特開2001-096181(JP,A)
【文献】特開昭62-280130(JP,A)
【文献】特開平06-255751(JP,A)
【文献】特開平05-017030(JP,A)
【文献】特開2008-162754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/48
A01F 12/48
A01F 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸6の軸心方向に対して放射方向に突出する平板状のローター3を、回転軸6の回転方向に複数並設して回転体5を形成し、回転するローター3が摺接する内周面8を有するドラム2に回転体5が嵌合する構成とし、ドラム2の上部にドラム2内の隣接する各ローター3の間に形成される繰出室10に搬送対象物を供給する供給部15を設け、ドラム2の下部にはドラム2内の搬送対象物を排出する排出部36を設け、供給部15の下部とドラム2とを連通させる供給口20は、供給口20のローター3の回転方向の上手側と下手側のうち、少なくとも、ローター3の回転方向下手側の口縁21を、回転するローター3の先端14に対して平面視において交差するように構成すると共に、ローター3の先端14と供給口20の口縁21とは、正背面視において、平行状態で対峙するように構成し、供給部15の下手側斜面18の上端縁30は、正面視において回転体5の回転軸6の軸心方向と平行に配置すると共に、上端縁30と口縁21との間の下手側斜面18は、捻れた湾曲面により構成したロータリーバルブ。
【請求項2】
請求項1において、供給口20の口縁21は、平面視において、左右の何れか一側は回転軸6に接近し、何れか他側は回転軸6より離れるように傾斜させた構成としたロータリーバルブ。
【請求項3】
請求項2において、ローター3の回転方向下手側の口縁21と、ローター3の回転方向上手側の口縁21とを、ローター3の軸心方向から見て、ローター3の先端14と交差するように斜めに形成して構成すると共に、供給部15の上手側斜面17および下手側斜面18の上端縁30は、正面視において回転体5の回転軸6の軸心方向と平行に配置し、上端縁30と口縁21との間の上手側斜面17および下手側斜面18は、捻れた湾曲面により構成したロータリーバルブ。
【請求項4】
請求項1において、ケーシング1の左右何れか一方のドラム2の側面には、回転体5の出し入れ可能な側部開口部41を設け、側部開口部41にはサイドカバー40を着脱自在に取付け、サイドカバー40の前後両側には工具不要で係脱できる係止部材43をそれぞれ設け、係止部材43はドラム2の外周面に設けた係合部材44に着脱できるように構成したロータリーバルブ。
【請求項5】
請求項4において、ケーシング1の上部に設けた供給部15の左右何れか一側の側面19には、供給部15内の搬送対象物の有無検出する有無検出センサ50を設けたロータリーバルブ。
【請求項6】
請求項1において、回転体5は、回転軸6およびローター3の左右両側に内側側板7を設け、各ローター3の一部は内側側板7より側方に突出させてロータ検出体部56に形成し、ロータ検出体部56をドラム2の側部に設けたローター回転検出センサー57により検出する構成としたロータリーバルブ。
【請求項7】
請求項6において、回転体5は、ローター回転検出センサー57により検出したローター3が所定位置にて回転停止しうるように制御可能に構成したロータリーバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒をタンク等から次工程の選別機等の処理装置に繰出供給するロータリーバルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、穀粒を繰り出すロータリーバルブは公知である(特許文献1)。
ロータリーバルブは、上部の供給口と下部の排出口を備えており、ケーシング内を複数のローターが回転し、各ローター間には繰出室が形成され、複数の繰出室が回転移動する。穀粒は、供給口の下方に開口した繰出室へ供給され、ローターの回転に伴って排出口に移送され、排出口へ開口した繰出室から次工程へ向けて落下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開20001-204239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例では、ロータリーバルブの搬送上流側に粉塵が貯まるという課題がある。
研究してみると、ロータリーバルブの供給部に入った穀粒が、ローター先端と供給口の口縁との間に挟まれて噛み込まれて破砕される結果であることが判明し、供給部における噛み込み現象が課題であった。
本発明は、ロータリーバルブの構成を工夫し、穀粒の噛み込み現象発生を抑制したものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、回転軸6の軸心方向に対して放射方向に突出する平板状のローター3を、回転軸6の回転方向に複数並設して回転体5を形成し、回転するローター3が摺接する内周面8を有するドラム2に回転体5が嵌合する構成とし、ドラム2の上部にドラム2内の隣接する各ローター3の間に形成される繰出室10に搬送対象物を供給する供給部15を設け、ドラム2の下部にはドラム2内の搬送対象物を排出する排出部36を設け、供給部15の下部とドラム2とを連通させる供給口20は、供給口20のローター3の回転方向の上手側と下手側のうち、少なくとも、ローター3の回転方向下手側の口縁21を、回転するローター3の先端14に対して平面視において交差するように構成すると共に、ローター3の先端14と供給口20の口縁21とは、正背面視において、平行状態で対峙するように構成し、供給部15の下手側斜面18の上端縁30は、正面視において回転体5の回転軸6の軸心方向と平行に配置すると共に、上端縁30と口縁21との間の下手側斜面18は、捻れた湾曲面により構成したロータリーバルブとしたものである。
請求項2の発明は、供給口20の口縁21は、平面視において、左右の何れか一側は回転軸6に接近し、何れか他側は回転軸6より離れるように傾斜させた構成としたロータリーバルブとしたものである。
請求項3の発明は、ローター3の回転方向下手側の口縁21と、ローター3の回転方向上手側の口縁21とを、ローター3の軸心方向から見て、ローター3の先端14と交差するように斜めに形成して構成すると共に、供給部15の上手側斜面17および下手側斜面18の上端縁30は、正面視において回転体5の回転軸6の軸心方向と平行に配置し、上端縁30と口縁21との間の上手側斜面17および下手側斜面18は、捻れた湾曲面により構成したロータリーバルブとしたものである。
請求項4の発明は、ケーシング1の左右何れか一方のドラム2の側面には、回転体5の出し入れ可能な側部開口部41を設け、側部開口部41にはサイドカバー40を着脱自在に取付け、サイドカバー40の前後両側には工具不要で係脱できる係止部材43をそれぞれ設け、係止部材43はドラム2の外周面に設けた係合部材44に着脱できるように構成したロータリーバルブとしたものである。
請求項5の発明は、ケーシング1の上部に設けた供給部15の左右何れか一側の側面19には、供給部15内の搬送対象物の有無検出する有無検出センサ50を設けたロータリーバルブとしたものである。
請求項6の発明は、回転体5は、回転軸6およびローター3の左右両側に内側側板7を設け、各ローター3の一部は内側側板7より側方に突出させてロータ検出体部56に形成し、ロータ検出体部56をドラム2の側部に設けたローター回転検出センサー57により検出する構成としたロータリーバルブ。
請求項7の発明は、回転体5は、ローター回転検出センサー57により検出したローター3が所定位置にて回転停止しうるように制御可能に構成したロータリーバルブとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、供給部15の下部とドラム2とを連通させる供給口20は、供給口20のローター3の回転方向の上手側と下手側のうち、少なくとも、ローター3の回転方向下手側の口縁21を、回転するローター3の先端14に対して平面視において交差するように構成すると共に、ローター3の先端14と供給口20の口縁21とは、正背面視において、平行状態で対峙するように構成しているので、ローター3の先端14は、供給口20の口縁21と交差しながら回転することにより、点接触しながらの回転となって、ローター3の先端14と供給口20の口縁21との間での対象物の噛み込み現象発生を抑制する。
また、供給部15の下手側斜面18の上端縁30は、正面視において回転体5の回転軸6の軸心方向と平行に配置すると共に、上端縁30と口縁21との間の下手側斜面18は、捻れた湾曲面により構成してるので、上端縁30と口縁21とが捻れた位置関係であっても、下手側斜面18を連続した湾曲面に形成することができ、搬送対象物を円滑に案内誘導することができる。
請求項2の発明では、供給口20の口縁21は、平面視において、左右の何れか一側は回転軸6に接近し、何れか他側は回転軸6より離れるように傾斜させた構成としているので、ローター3の先端14を、供給口20の口縁21と交差しながら回転させる構成を簡単に実現して、対象物の噛み込み現象発生を抑制する。
請求項3の発明では、ローター3の回転方向下手側の口縁21と、ローター3の回転方向上手側の口縁21とを、ローター3の軸心方向から見て、ローター3の先端14と交差するように斜めに形成して構成すると共に、供給部15の上手側斜面17および下手側斜面18の上端縁30は、正面視において回転体5の回転軸6の軸心方向と平行に配置し、上端縁30と口縁21との間の上手側斜面17および下手側斜面18は、捻れた湾曲面により構成したので、回転体5を逆回転させたときでも、噛み込み防止でき、ロータリーバルブの設置の自由度を向上させられる。
請求項4の発明では、ケーシング1の左右何れか一方のドラム2の側面には、回転体5の出し入れ可能な側部開口部41を設け、側部開口部41にはサイドカバー40を着脱自在に取付け、サイドカバー40の前後両側には工具不要で係脱できる係止部材43をそれぞれ設け、係止部材43はドラム2の外周面に設けた係合部材44に着脱できるように構成しているので、サイドカバー40を外すと、ドラム2から回転体5を簡単に着脱することができ、メンテナンスを容易にする。
請求項5の発明では、ケーシング1の上部に設けた供給部15の左右何れか一側の側面19には、供給部15内の搬送対象物の有無検出する有無検出センサ50を設けているので、制御部は、搬送対象物がなくなると、ロータリーバルブを自動停止させることができ、非効率な「空運転」を防止する。
請求項6の発明では、ドラム2には回転体5の回転を検出する回転検機構55を設けているので、回転検機構55のローター回転検出センサー57は回転体5の各ローター3の積算回転数をカウントすることができ、簡易な搬送対象物の搬送量を検出することができ、作業効率を向上させられる。
請求項7の発明では、回転体5は、ローター回転検出センサー57により検出したローター3が所定位置にて回転停止しうるように制御可能に構成しているので、ローター回転検出センサー57はロータ検出体部56によりローター3の位置を確認する構成とし、制御部60はモーター61を、ローター3を常時所定位置(原点位置)で停止させるように制御するから、ローター3は常時原点位置で回転停止し、作動開始時は原点停止位置からローター3の回転開始させることができ、ロータリーバルブの定量繰出精度を向上させられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ロータリーバルブの側面図。
図2】ロータリーバルブの側面図。
図3】同縦断側面図。
図4】同斜視図。
図5】同分解状態の斜視図。
図6】供給部の一部切断斜視図。
図7】供給口の平面図。
図8】供給口の他の実施形態の平面図。
図9】供給口とローターとの配置を示す概略正面図。
図10】供給部の下手側斜面の湾曲状態を示す図面代用写真。
図11】供給口の口縁とローターの位置関係を示す平面図。
図12】ブロック図。
図13】公知例の縦断面図と供給口の口縁とローターの回転状態縦断面図とローターの位置関係平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明は米・麦・大豆等の穀粒等の粒体あるいは粉体を搬送する搬送路の、上手側の搬送路と下手側の搬送路との間に設けられるロータリーバルブに関するものである。
なお、本発明を説明するにあたり、理解を容易にするため、搬送対象物の搬送方向を上下方向とし。搬送方向を基準に前後・左右・上下等の方向を示して説明するが、これにより、本発明の構成が限定されることはない。
【0009】
1はロータリーバルブのケーシングである。ケーシング1は内周面が円形のドラム2を有して形成し、ドラム2内にはドラム2の内周に摺接するローター3を有する回転体5を軸装して設ける。回転体5は回転体5の中心に回転軸6を設け、回転軸6の外周に放射方向に突き出る前記ローター3を回転軸6の回転方向に所定間隔を置いて複数設ける。ローター3の左右両側には円板形状の内側側板7を取付け、回転体5は隣接する一対のローター3とドラム2の内周面8と左右の内側側板7により包囲される繰出室10を形成する。
【0010】
ローター3は回転軸6の軸心方向と平行な平板状に形成し、ローター3の先端14がドラム2の内周面を摺接して穀粒等の対象物を定量繰出す構成としている。
ドラム2の上部には上手側搬送路となるタンク等の排出口(図示省略)に接続する供給部(供給ホッパー)15を設ける。供給部15は、下方に至るに従い細くなる形状の漏斗形状に形成する。供給部15は回転体5の回転方向上手側の上手側斜面17と回転体5の回転方向下手側の下手側斜面18と、上手側斜面17と下手側斜面18の左右両側の側面19を有して形成する。
【0011】
この供給部15の下部は開放構成とし、ドラム2の上部の供給口20に接続する。
供給口20のローター3の回転方向の上手側と下手側のうち、少なくとも、ローター3の回転方向下手側の下手側口縁21は、ローター3の軸心方向から見て、ローター3の先端14と交差するように斜めに形成する。
【0012】
すなわち、回転体5の回転軸6の軸心方向に対して口縁21は斜めに配置し、ローター3の先端14と供給口20の口縁21とが交差するように構成する。
そのため、ローター3の先端14は、供給口20の口縁21と交差しながら回転することにより、点接触しながらの回転となって、ローター3と供給口20の口縁21との間での対象物の噛み込み現象発生を抑制する。
【0013】
この場合、平面視において、供給口20の口縁21の一端23と他端24のうち、何れか一方が回転軸6に近く、何れか他方が遠くなるように傾斜させる(図7)。
口縁21の一端23と他端24の位置関係の理解を容易にするため、図6において、左側の側板と下手側斜面18の左縁との間の一端側谷線23Aと他端側谷線24Aを図示している。
さらに、図6において、回転軸6の軸心と、ローター3の先端14と供給部15の上端縁30は平行であるが、口縁21は円弧線となる。
また、供給口20の口縁21は、平面視において、回転方向下手側の口縁21は、ローター3の軸心に対して斜めに直線状に傾斜するが、下手側口縁21は側面視において、ローター3の回転軌跡に合わせて円弧に形成する(図3、6)。
そのため、ローター3の先端14は下手側口縁21の一端23から他端24の全て接触して搬送対象物を繰出室10に取り込み、供給部15内に残留物を発生させない。
供給口20の口縁21のローター3の先端14に対する傾斜角度は、相対的に点接触する傾斜角度あれば良い。
【0014】
すなわち、ローター3の板厚が厚いと、口縁21と先端14とが線接触する範囲が大きくなるため、口縁21の傾斜角度を大きくなるので、供給口20の口縁21のローター3の先端14に対して相対的に点接触する傾斜角度とする。
【0015】
換言すると、供給口20の回転方向の前後のうち、少なくとも、供給口20のローター3の回転方向下手側の下手側口縁21は平面視においてローター3の先端14と交差するように斜めに形成する。
そのため、ローター3の先端14は平面視において供給口20の口縁21と一点のみで交差するように回転し、対象物の噛み込みを防止する(図11)。
【0016】
この場合、搬送対象物が穀粒のように大きい場合には、図8(A)のローター3の先端14と供給口20の口縁21との交差する傾斜角度αは大きくして、公差範囲を狭くして噛み込みを防止し、搬送対象物が粉体のときは傾斜角度αは小さくして、供給口20の開口面積を大きくする。
【0017】
また、供給口20の口縁21の一端(左端)23と他端(右端)24のうち、何れか一方が平面視において回転軸6に接近させ、何れか他方が遠く離すように傾斜させる。
すなわち、図8の(A)のように、口縁21は右上がりの傾斜する場合や、図8の(B)のように、右下がりに傾斜させてもよい。
【0018】
また、口縁21は、図8の(A)のように、ローター3の回転方向下手側のみを傾斜させればよいが、図8の(C、D)のように、ローター3の回転方向上手側をも傾斜させると、ロータリーバルブの回転体5の反対回転の作業もできるように設置することもできる。
【0019】
また、図8の(E、F)のように、ローター3の回転方向の両側の口縁21を互いに搬送方向に対して反対方向に傾斜させることも可能である。
また、供給口20の口縁21は、正面または背面視において、ローター3の先端14と一端23から他端24の全てにおいて接触する構成とする。
【0020】
すなわち、回転するローター3の先端14は供給口20の口縁21の一端23から他端24の全てに摺接する構成とする(図9)。
この場合、回転するローター3の先端14と供給口20の口縁21とは、厳密的には、対象物が漏れない範囲で両者間に僅かに所定の隙間があってもよく、特に穀粒が搬送対象物の場合は、穀粒が漏れない隙間であればよい。
【0021】
また、ロータリーバルブの設置位置や使用形態によって、回転体5を反対回転させることがあり、通常、回転体5を正回転させたときの供給口20の口縁21(供給部15の下手側斜面18側)および該口縁21の反対側(供給部15の上手側斜面17側)の上手側口縁25を傾斜させてもよい。
【0022】
そして、少なくとも、供給口20の口縁21を設けた側の供給部15の下手側斜面18の上端縁30は回転体5の回転軸6と平行に形成するが、上端縁30と口縁21との間の下手側斜面18は、安息角以上の傾斜角度を有し、かつ、供給部15の下手側斜面18と供給口20の口縁21とを繋ぐ湾曲面31に形成する。
【0023】
すなわち、供給部15の下手側斜面18の上端縁30と口縁21とは捻れており、後述するように、供給部15を鋳物成形により形成すると、下手側斜面18は捻れた湾曲面31に形成される。
【0024】
したがって、図10の供給部15の下手側斜面18の湾曲状態を示す図面代用写真では、下手側斜面18の湾曲面にスケールを当てた状態を撮影し、スケールと湾曲面のとの間の「影」の存在により湾曲していることを示している。
【0025】
そのため、捻れた配置となる下手側斜面18を、対象物を滞留させない供給口20への誘導面に形成できる。
なお、板金加工により下手側斜面18を湾曲面31とするには、例えば、所謂叩き加工に形成すればよい。
ドラム2の下部には排出口35を形成し、排出口35には排出部36の上部を接続し、排出部36には搬送下手側の搬送装置37を接続する。
【0026】
ケーシング1の製造部材は任意であるが、一例示すと、本実施形態では、供給部15とケーシング1と排出部36をアルミ合金で形成する。
そのため、ロータリーバルブの軽量化が図れる。
【0027】
また、図1の供給部15は、アルミ合金を鋳物形成により形成している。
そのため、各部の面が一体状に継ぎ目なく形成され、ブリッジ発生や残留部の発生を抑制する。
なお、図示は省略するが、供給部15と排出部36はケーシング1に対して別途形成すると共に、ボルト等により着脱自在に構成してもよい。
【0028】
図5のように、ケーシング1の左右何れか一方のドラム2の側面には、サイドカバー40を着脱自在に取付ける。
ドラム2の左右何れか一方のドラム2の側面は、側部開口部41を設ける。側部開口部41は回転体5を出し入れできる開口面積を有して形成し、この側部開口部41を前記サイドカバー40により閉塞する。
【0029】
サイドカバー40の前後両側にはキャッチクリップと称される等の係止部材43をそれぞれ設け、係止部材43はドラム2の外周面に設けた係合部材44にワンタッチで工具不要で着脱できるように構成する。
ケーシング1の上部に設けた供給部15の左右何れか一側の側面19には、ドラム2内の搬送対象物の有無検出する有無検出センサ50を設ける。
【0030】
有無検出センサ50は供給部15内の搬送対象物の有無を検出する。
有無検出センサ50の構成は任意であり、接触型非接触型のセンサにより構成すればよく、供給部15内の搬送対象物の有無を検出できればよく、本実施形態では静電センサにより構成している。
ドラム2には回転体5の回転を検出する回転検機構55を設ける。
回転体5は、回転軸6およびローター3の左右両側に内側側板7を設け、各ローター3の一部は内側側板7より側方に突出させてロータ検出体部56に形成し、ロータ検出体部56をドラム2の側部に設けたローター回転検出センサー57により検出する構成とする。
【0031】
すなわち、回転検機構55は、回転体5のローター3のロータ検出体部56と、ドラム2側に設けたローター回転検出センサー57により構成する。
そのため、ローター回転検出センサー57は回転体5の各ローター3の積算回転数をカウントすることができ、簡易な搬送対象物の搬送量を検出することができ、作業効率を向上させられる。
回転検機構55の構成は任意であり、例えば、内側側板7と材質の相違するロータ検出体部56を設け、ローター回転検出センサー57が内側側板7と材質の相違するロータ検出体部56とを判別してロータ検出体部56の通過数をカウントして、回転体5の回転数を検出する。
【0032】
また、ローター回転検出センサー57はロータ検出体部56によりローター3の位置を確認する構成とし、制御部60はモーター61を、ローター3を常時所定位置(原点位置)で停止させるように制御する。
すなわち、ローター3は常時原点位置で回転停止し、作動開始時は原点停止位置からローター3の回転開始させることができ、ロータリーバルブの定量繰出精度を向上させられる。
【0033】
(実施形態の作用)
本発明は、上記の構成であり、ケーシング1の供給部15に搬送方向上手側の上手側搬送路11から搬送対象物が供給され、供給された搬送物はドラム2の供給口20に向けて流下し、供給口20で回転体5の隣接するローター3間の繰出室10に入り、回転するローター3により供給部15の排出口35に移動させられ、順次、繰出室10内の搬送対象物が排出口35から次工程の下手側搬送路12に排出される。
【0034】
ローター3は、図3において、回転体5のローター3は時計方向に回転しており、ローター3の先端14は供給口20のローター3の回転方向下手側の下手側口縁21に向けて回転する。
【0035】
そのため、図13のように、下手側口縁21である供給部15の下手側斜面18の下端(下手側口縁21)と、ローター3の先端14との間に穀粒等の搬送対象物が挟まれて、噛み込まれる噛み込み現象が生じることがある。
【0036】
噛み込み現象は、直線状のローター3の先端14が直線状の供給口20の口縁を通過するとき発生頻度が高くなることが判明した。
すなわち、直線状のローター3の先端14と直線状の口縁とが対峙すると、ローター3の先端14と供給口20の口縁とは線接触して接触範囲が広くなって、その間に搬送対象物が位置する割合が高くなり、噛み込み現象発生頻度が増加すると考えられる。
【0037】
そこで、本発明は、回転軸6の軸心方向に対して放射方向に突出する平板状のローター3を、回転軸6の回転方向に複数並設して回転体5を形成し、回転するローター3が摺接する内周面8を有するドラム2に回転体5が嵌合する構成とし、ドラム2の上部にドラム2内の隣接する各ローター3の間に形成される繰出室10に搬送対象物を供給する供給部15を設け、ドラム2の下部にはドラム2内の搬送対象物を排出する排出部36を設け、供給部15の下部とドラム2とを連通させる供給口20は、供給口20のローター3の回転方向の上手側と下手側のうち、少なくとも、ローター3の回転方向下手側の下手側口縁21を、ローター3の軸心方向から見て、ローター3の先端14と交差するように斜めに形成して構成しているので、ローター3の先端14と口縁21とが対峙したとき、ローター3の先端14と供給口20の口縁21は交差して、互いに点接触することになり接触範囲が一点と狭くなって、その間に搬送対象物が位置する割合が低くなり、噛み込み現象発生を抑制することができる。
【0038】
換言すると、回転軸6の軸心方向に対して放射方向に突出する平板状のローター3を、回転軸6の回転方向に複数並設して回転体5を形成し、回転するローター3が摺接する内周面8を有するドラム2に回転体5が嵌合する構成とし、ドラム2の上部にドラム2内の隣接する各ローター3の間に形成される繰出室10に搬送対象物を供給する供給部15を設け、ドラム2の下部にはドラム2内の搬送対象物を排出する排出部36を設け、供給部15の下部とドラム2とを連通させる供給口20は、供給口20のローター3の回転方向の上手側と下手側のうち、少なくとも、ローター3の回転方向下手側の下手側口縁21を、回転するローター3の先端14に対して平面視において交差するように構成すると共に、ローター3の先端14と供給口20の口縁21とは、正背面視において、平行状態で対峙するように構成しているので、ローター3の先端14は、供給口20の口縁21と交差しながら回転することにより、点接触しながらの回転となって、ローター3の先端14と供給口20の口縁21との間での対象物の噛み込み現象発生を抑制する。
【0039】
そのため、上端縁30と供給口20の下手側口縁21とは平面視において交差する関係であっても、下手側斜面18の上端縁30から供給口20の口縁21まで連続した斜面に形成でき、搬送対象物を円滑に供給口20に案内誘導する。
また、供給口20の口縁21は、正面または背面視において、ローター3の先端14と一端23から他端24の全てにおいて接触する構成としているので、回転するローター3の先端14は供給口20の口縁21から一端23の全てに摺接し、口縁21の左右側で口縁21内に流入する搬送対象物が偏ることを防止する。
【0040】
ケーシング1は、供給部15とケーシング1と排出部36をアルミ合金により鋳物形成により形成しているので、各部の面が一体状に継ぎ目なく形成され、ブリッジ発生や残留部の発生を抑制する。
供給部15の下手側斜面18の上端縁30は、正面視において回転体5の回転軸6の軸心方向と平行に配置すると共に、上端縁30と口縁21との間の下手側斜面18は、捻れた湾曲面により構成しているので、上端縁30と供給口20の下手側口縁21とは平面視において交差する関係であっても、下手側斜面18の上端縁30から供給口20の口縁21まで連続した斜面に形成でき、搬送対象物を円滑に供給口20に案内誘導する。
【0041】
供給口20の口縁21は、平面視において、左右の何れか一側は回転軸6に接近し、何れか他側は回転軸6より離れるように傾斜させた構成としているので、ローター3の先端14を、供給口20の口縁21と交差しながら回転させる構成を簡単に実現して、対象物の噛み込み現象発生を抑制する。
【0042】
ローター3の回転方向下手側の下手側口縁21と、ローター3の回転方向上手側の上手側口縁21とを、ローター3の軸心方向から見て、ローター3の先端14と交差するように斜めに形成して構成すると共に、供給部15の上手側斜面17および下手側斜面18の上端縁30は、正面視において回転体5の回転軸6の軸心方向と平行に配置し、上端縁30と口縁21との間の上手側斜面17および下手側斜面18は、捻れた湾曲面により構成しているので、回転体5を逆回転させたときでも、噛み込み防止でき、ロータリーバルブの設置の自由度を向上させられる。
【0043】
ケーシング1の左右何れか一方のドラム2の側面には、回転体5の出し入れ可能な側部開口部41を設け、側部開口部41にはサイドカバー40を着脱自在に取付け、サイドカバー40の前後両側には工具不要で係脱できる係止部材43をそれぞれ設け、係止部材43はドラム2のが周面に設けた係合部材44に着脱できるように構成しているので、サイドカバー40を外すと、ドラム2から回転体5を簡単に着脱することができ、メンテナンスを容易にする。
【0044】
ケーシング1の上部に設けた供給部15の左右何れか一側の側面19には、ドラム2内の搬送対象物の有無検出する有無検出センサ50を設けているので、制御部は、搬送対象物がなくなると、ロータリーバルブを自動停止させることができ、非効率な「空運転」を防止する。
【0045】
ドラム2には回転体5の回転を検出する回転検機構55を設けているので、回転検機構55のローター回転検出センサー57は回転体5の各ローター3の積算回転数をカウントすることができ、簡易な搬送対象物の搬送量を検出することができ、作業効率を向上させられる。
【0046】
また、ローター回転検出センサー57はロータ検出体部56によりローター3の位置を確認する構成とし、制御部60はモーター61を、ローター3を常時所定位置(原点位置)で停止させるように制御するので、ローター3は常時原点位置で回転停止し、作動開始時は原点停止位置からローター3の回転開始させることができ、ロータリーバルブの定量繰出精度を向上させられる。
【符号の説明】
【0047】
1…ケーシング、2…ドラム、3…ローター、5…回転体、6…回転軸、7…内側側板、8…内周面、10…繰出室、14…先端、15…供給部、17…上手側斜面、18…下手側斜面、19…側面、20…供給口、21…口縁、23…一端、24…他端、25…上手側口縁、30…上端縁、35…排出口、36…排出部、37…搬送装置、40…サイドカバー、41…側部開口部、43…係止部材、44…係合部材、50…有無検出センサ、55…回転検出部材、56…ロータ検出体部、57…ローター回転検出センサー、60…制御部、61…モーター。
【要約】
【課題】従来、ロータリーバルブの供給部に入った穀粒が、ローター先端と供給口の口縁との間に挟まれて噛み込まれて破砕される課題がある。
【解決手段】回転軸6の軸心方向に対して放射方向に突出する平板状のローター3を、回転軸6の回転方向に複数並設して回転体5を形成し、ドラム2に回転体5が嵌合する構成とし、ドラム2の上部にドラム2内の隣接する各ローター3の間に形成される繰出室10に搬送対象物を供給する供給部15を設け、ドラム2の下部にはドラム2内の搬送対象物を排出する排出部36を設け、供給部15の下部とドラム2とを連通させる供給口20は、供給口20のローター3の回転方向の上手側と下手側のうち、少なくとも、ローター3の回転方向下手側の下手側口縁21を、ローター3の軸心方向から見て、ローター3の先端14と交差するように斜めに形成して構成したロータリーバルブ。
【選択図】 図6
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図10
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図13