(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】脱水システム及び脱水方法
(51)【国際特許分類】
B04B 3/00 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
B04B3/00 E
(21)【出願番号】P 2023202143
(22)【出願日】2023-11-29
【審査請求日】2023-12-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594144072
【氏名又は名称】河野 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】河野 晃
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-101986(JP,U)
【文献】特開2004-323237(JP,A)
【文献】特開2004-097317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00-15/12
D06F 21/00-25/00
D06F 37/00-37/42
D06F 39/10-39/20
E03C 1/12- 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転かごと、
前記回転かごを回転させる駆動装置と、を備えた脱水システムであって、
前記回転かごは、
多数の貫通孔が形成された底部材と、
前記底部材の周囲を覆う、多数の貫通孔が形成された側壁を備えた円筒形状の本体部材と、
前記底部材
及び前記本体部材に固定され
、多数の貫通孔が形成されている板状部材と、を備えたものであ
って、
前記板状部材は、前記底部材及び前記本体部材が凹んだことにより形成される中空空間を備えた脱水システム。
【請求項2】
前記回転かごの前記底部材、前記本体部材及び前記板状部材は、一体に形成されたものである請求項1記載の脱水システム。
【請求項3】
前記複数の貫通孔の大きさは、1mm以上5mm以下の範囲内にある請求項1記載の脱水システム。
【請求項4】
前記板状部材の数は、3個以上5個以下の範囲内である請求項1記載の脱水システム。
【請求項5】
前記板状部材の高さは、1cm以上3cm以下の範囲内である請求項1記載の脱水システム。
【請求項6】
前記板状部材の径方向の長さは、1cm以上5cm以下の範囲内である請求項1記載の脱水システム。
【請求項7】
前記板状部材の形状は、四分円、四分楕円、又は角丸の台形である請求項1記載の脱水システム。
【請求項8】
回転かごと、前記回転かごを回転させる駆動装置と、を備えた脱水システムを用いる脱水方法であって、
前記回転かごは、多数の貫通孔が形成された底部材と、前記底部材の周囲を覆う、多数の貫通孔が形成された側壁を備えた円筒形状の本体部材と、前記底部材及び前記本体部材に
固定され、多数の貫通孔が形成されている板状部材と、を備え、さらに前記板状部材は、前記底部材及び前記本体部材が凹んだことにより形成される中空空間を備えており、
脱水対象物を前記回転かご内に挿入し、前記回転かごの前記板状部材に前記脱水対象物を押し当てて脱水する脱水方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水システム及び脱水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活において、食事の準備等によって生ずる生ごみは、現状、焼却可能なごみ、いわゆる「燃えるごみ」として廃棄回収され、焼却炉によって焼却される。
【0003】
しかしながら、生ごみは水分を多く含むものであり、水分を多く含む場合、その分重量が増えるため回収が難しく、また水分を含んでいるため焼却も容易ではなく、その分燃料を消費するため二酸化炭素発生量が増加するといった課題がある。
【0004】
一方で、マンションなど新規に建築される集合住宅においては、ディスポーザーが設置されていることが多い。ディスポーザーは、台所のシンク内に粉砕機を設け、この粉砕機内に生ごみを挿入し水を流しながら排水として流してしまうという装置である。
【0005】
例えばディスポーザーに関する技術としては、下記非特許文献1にその記載がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/ms_shinchiku/ms_knowhow/mansion_disposer/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ディスポーザーの場合、本来生ごみとすべきものを排水として排出するものとなるため、結局処理に対する負荷が大きくなるといった課題がある。具体的には、ディスポーザーを用いると、生ごみは粘性の高い泥状となり、ディスポーザーから離れるに従い水分が抜けてその粘性はさらに高くなり配管の詰まりの原因となる。そのため、ディスポーザーからの排水を処理する排水処理槽を設ける必要が生じ、結局処理とそのメンテナンスを行うことが重要となる。特に、卵の殻等の固く水に溶解困難なものは粉砕しきれずそのまま排水管等への損傷の原因となるなど、逆にメンテナンスの負担などが増大してしまうといった課題がある。
【0008】
そこで、本発明では、上記課題に鑑み、生ごみを処理するにおいて、より環境負荷を低減することのできる脱水システム及び脱水方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の一観点にかかる脱水システムは、回転かごと、回転かごを回転させる駆動装置と、を備えた脱水システムであって、回転かごは、多数の貫通孔が形成された底部材と、底部材の周囲を覆う、多数の貫通孔が形成された側壁を備えた円筒形状の本体部材と、底部材及び本体部材に設けられる板状部材と、を備えたものである。
【0010】
また、本観点において、限定されるわけではないが、板状部材は、本体部材にも固定されている板状部材と、を備えることが好ましい。
【0011】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、板状部材にも、多数の貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0012】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、板状部材は、底部材及び本体部材が凹んだことにより形成される中空空間を備えることが好ましい。
【0013】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、回転かごの底部材、本体部材及び板状部材は、一体に形成されたものであることが好ましい。
【0014】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、複数の貫通孔の大きさは、1mm以上5mm以下の範囲内にあることが好ましい。
【0015】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、板状部材の数は、3個以上5個以下の範囲内であることが好ましい。
【0016】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、板状部材の高さは、1cm以上3cm以下の範囲内であることが好ましい。
【0017】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、板状部材の径方向の長さは、1cm以上5cm以下の範囲内であることが好ましい。
【0018】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、板状部材の形状は、四分円、四分楕円、又は角丸の台形であることが好ましい。
【0019】
また、本発明の他の一観点にかかる脱水方法は、回転かごと、回転かごを回転させる駆動装置と、を備えた脱水システムを用いる脱水方法であって、回転かごは、多数の貫通孔が形成された底部材と、底部材の周囲を覆う、多数の貫通孔が形成された側壁を備えた円筒形状の本体部材と、底部材及び本体部材に設けられる板状部材と、を備えたものであり、脱水対象物を回転かご内に挿入し、回転かごの板状部材に脱水対象物を押し当てて脱水するものである。
【発明の効果】
【0020】
以上、本発明によって、生ごみを処理するにおいてより環境負荷を低減することのできる脱水システム及び脱水方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る脱水システムの概略を示す図である。
【
図2】実施形態に係る脱水システムの一部詳細を示す図である。
【
図3】実施形態に係る脱水システムの回転かごの斜視概略を示す図である。
【
図4】実施形態に係る脱水システムの回転かごの断面概略を示す図である。
【
図5】実施形態に係る脱水システムの回転かごの底面概略を示す図である。
【
図6】実施形態に係る脱水システムの回転かごの板状部材の他の例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態の具体的な例示にのみ限定されるわけではない。
【0023】
図1は、本実施形態に係る脱水システム(以下「本システム」という。)1の概略を示す図であり、
図2はその一部詳細図である。本図で示すように、本システム1は、回転かご2と、回転かご2を回転させる駆動装置3と、を備えた脱水システムであって、回転かご2は、多数の貫通孔211が形成された底部材21と、底部材21の周囲を覆う、多数の貫通孔221が形成された側壁を備えた円筒形状の本体部材22と、底部材21及び本体部材22に設けられる板状部材23と、を備えたものである。また、回転かご2の底部材21の中心には、駆動装置3の回転軸32を貫通させて固定するために用いられる固定孔212が形成されている。
【0024】
本システム1は、後述の説明により明らかであるが、家庭用台所等のシンク内に設置して使用するものであり、シンク内に設置することで、家庭の生ごみに含まれる水を絞り出し、そのまま排水管から排出させることができる一方、脱水された生ごみは取り出して燃えるごみとして廃棄することができる。特にこの際水が垂れることがなく、いわゆる「ぬめり」も取ることができる。これによって、十分に脱水された生ごみを燃えるごみとして出すことができ、ごみの重量削減、焼却の際の負担を減らすことが可能となる。なお、この使用に際して、回転かご2内に不織布のごみ袋を挿入しておき、この中に生ごみを入れることで、生ごみの散乱を防ぐとともに、脱水した生ごみを取り出しやすくし、不織布ごと捨てることが可能である。
【0025】
また、本システム1では、上記回転かご2、駆動装置3の他に必要な構成を備えている。例えば、回転かご2の周囲に配置され、生ごみから排出される水を排水管Pに送るための収容カバー4を備えていることが好ましい。収容カバー4を備えることで、回転かご2によって排出された水をこの外に漏らすことなく排水管Pに送ることができるようになる。
【0026】
また本システム1において、収容カバー4の形状および大きさは、後述する回転かご2の形状や大きさに合わせて適宜調整可能であるが、収容カバー4と同様、底部材41と、この底部材41の周囲かつ回転かご2の本体部材22の周囲に配置される側壁部材42とを備えていることが好ましい。また、収容カバー4には、回転かご2と異なり、駆動装置3の回転軸32を貫通させるための孔が底部材41に形成されている以外、他の孔は形成されていない。これにより、回転かご2の周囲を覆い生ごみから排出される水を漏らすことなく排水管Pに送ることができる。
【0027】
また、本システム1において収容カバー4の材質は特に制限されない。例えば樹脂であってもよく、金属であってもよい。また、底部材41と側壁部材42は同一の材料で一体に形成されていてもよいが、別の部材で組み合わされたものとなっていてもよい。
【0028】
また、本システム1において、収容カバー4にはさらに蓋部材43が設けられていることが好ましい。蓋部材43を設けることで、回転かご2を回転させた際に排出される水が回転かご2の上方に出たとしても確実に収容カバー4内に留めることができる。もちろん、蓋部材43は生ごみを入れる際には開放できるよう着脱可能となっていることが必要である。
【0029】
また、本システム1において、蓋部材43は、スイッチとなっていることが好ましい。具体的には、側壁部材42にスイッチの接点を設けるとともに、蓋部材43にもスイッチの接点を設け、蓋部材43を側壁部材42に組み合わせて接点同士を接触させることで、駆動装置3のスイッチをオン状態にして駆動させるようにしておくことが好ましい。
【0030】
上記の通り、本システム1では、回転かご2を有している。回転かご2の概略を
図3乃至5に示しておく。これらの図が示すように、回転かご2は、多数の貫通孔211が形成された底部材21と、底部材21の周囲を覆う、多数の貫通孔221が形成された側壁を形成する円筒形状の本体部材22と、底部材21及び本体部材22に設けられる板状部材23と、を備えるものである。
【0031】
回転かご2の材質は、特に限定されるわけではなく、金属、樹脂等を使用することができるが、金属であることが好ましい。金属とすることで、激しい回転運動にも形状を安定させつつ生ごみを回転させることが可能となるためである。また、金属である場合、水との接触で腐食しないよう、ステンレス等腐食に強い金属であることが好ましい。また、後述の通り、底部材21、本体部材22、板状部材23それぞれ同じ材料でもよく、組み合わせる場合異種の材料を組み合わせたものであってもよい。ただし、一体形成していることがその結合強度上最も好ましい。
【0032】
回転かご2における底部材21は、文字通り、回転かご2の底を構成する部材である。底部材21には、上記の通り多数の貫通孔211が形成されており、この多数の貫通孔211から、生ごみから排出される水を回転かご2外部に出すことができるようになる。
【0033】
また、回転かご2における底部材21の中央近傍には、後述するように、駆動装置3の回転軸32が固定されており、駆動装置3の回転軸32の回転に応じて回転かご2全体を回転させることが可能となる。このため、回転かご2の底部材21の中央近傍には、回転軸32を挿入するための固定孔212が形成されており、その先端にねじ溝を形成し、ナット等の固定具により回転軸32と回転かご2とを一体に固定することが可能である。
【0034】
回転かご2における底部材21の形状は、限定されるわけではないが、回転するものであるため、略円形状であることが好ましい。ここで「略」とは、完全な状態(ここでは円形状)を含むものであるが、製造上完全な形状(ここでは円形状)を実現することは実質的に不可能であり、その誤差を含むものであることを意味する。また、この略円形状である場合、その大きさとしては、例えば直径10cm以上20cm以下であることが好ましく、より好ましくは15cm以下の範囲である。この範囲とすることで、実際の家庭用シンクの排水口の大きさに適合させることができるようになるとともに、生ごみを重くさせすぎず、十分に脱水させる程度の重さにとどめることが可能となる。
【0035】
また、回転かご2の底部材21において、貫通孔211の形状としては、限定されるわけではないが、略円形状であることが好ましく、その大きさ(直径)は、1mm以上5mm以下の範囲内にあることが好ましい。円形状とすることで、生ごみがこの貫通孔に引っ掛かりにくくなるといった効果があり、またこの大きさにとどめることで、生ごみを貫通孔から漏れ出てしまわないようにすることが可能となる。特に生ごみの場合は、野菜や果実の種や卵の殻等細かなものが発生するため、これらの範囲に収めることで、生ごみの欠片が排水溝に漏れ出てしまうのを防止することができる。
【0036】
また、回転かご2の底部材21において、貫通孔211の数は多数形成されていることが好ましいが、生ごみを安定的に保持し強度を確保する観点から、ある一定の範囲になっていることが好ましい。例えば、底部材21全体の面積を100%とした場合に、その中で占める貫通孔211の面積率は10%以上50%以下の範囲となっていることが好ましく、より好ましくは20%以上40%以下の範囲である。
【0037】
また、回転かご2には、上記の通り、底部材21の周囲を覆うとともに多数の貫通孔221が形成された側壁を形成する円筒形状の本体部材22を備えている。これにより、底と周囲を覆い、この中に生ごみを入れ回転させても生ごみを散乱させないことが可能となる。
【0038】
回転かご2における本体部材22の形状は、底部材21の形状によって規定され、例えば底部材21の形状が略円形状である場合は、円筒形状となり、略四角形となるような場合は、中空の略四角柱形状となる。また、この場合、本体部材22の高さとしては、適宜調整可能であるが、低すぎると生ごみを入れて回転させるとあふれてしまう一方、高すぎると回転のブレ等が生じるおそれがあるとともに、底部材21がシンク面よりも低すぎることになり、入れた生ごみを取り出しにくくなるため、適切な範囲に納めておくことが好ましい。具体的には、例えば、10cm以上20cm以下であることが好ましく、より好ましくは15cm以下の範囲である。
【0039】
また、回転かご2の本体部材22において、貫通孔221の形状としては、限定されるわけではないが、上記底部材21と同様、略円形状であることが好ましく、その大きさ(直径)は、1mm以上5mm以下の範囲内にあることが好ましい。円形状とすることで、生ごみがこの貫通孔に引っ掛かりにくくなるといった効果があり、またこの大きさにとどめることで、生ごみを貫通孔から漏れ出てしまわないようにすることが可能となる。特に生ごみの場合は、野菜や果実の種や卵の殻等細かなものが発生するため、これらの範囲に収めることで、生ごみの欠片が排水溝に漏れ出てしまうのを防止することができる。
【0040】
また、回転かご2の本体部材22において、貫通孔221の数は多数形成されていることが好ましいが、生ごみを安定的に保持し強度を確保する観点から、ある一定の範囲になっていることが好ましい。例えば、本体部材22全体の面積を100%とした場合に、その中で占める貫通孔221の面積率は10%以上50%以下の範囲となっていることが好ましく、より好ましくは20%以上40%以下の範囲である。10%以上とすることで水はけをより効率的にして20%以上とすることでよりこの効果を顕著にできる一方、50%以下とすることで強度を確保することができるといった利点がある。
【0041】
また、回転かご2の本体部材22において、本図の例では、開口部に縁222を設けてもよいが、設けなくともよい。ただし、縁222を設けることで、これを回転を安定させるための接点として用いることが可能となる。例えば、この縁にベアリング等を介して(例えば収容カバーに)保持させることで、回転のブレを抑えることが可能となるといった利点がある。
【0042】
また、回転かご2の底部材21及び本体部材22には、板状部材23が設けられている。板状部材23を設けることで、この部分が生ごみに引っ掛かり、生ごみの空回りを防ぐことができるようになる。ここで「板状部材」とは、厚みの薄い部分を広く備えた部材をいい、後述の通り、中に空洞を備えたものであってもよい。なお、板状部材23は、底部材21及び本体部材22に固定されていることが好ましいが、底部材21にのみ、または、本体部材22にのみ設けられることも可能ではあるが、遠心力によって生ごみが外側に集まる傾向があるため、底部材21及び本体部材22の接続部分近傍に集中していることが好ましいため、やはり底部材21及び本体部材22の双方に固定されていることが好ましい。
【0043】
また、回転かご2において、板状部材23の形状は、略四分円、略四分楕円、又は略角丸の台形であることが好ましい。「略」においては、上記と同様である。これらの形状とすることで、中央部分に空隙を形成し、底部材21から水を排出させやすくすることができる一方、遠心力によって側壁側に寄せられる生ごみを確実に押すことができるようになる。この場合の板状部材23の形状のイメージ図を
図6に示しておく。なお本図において(A)は略四分円、(B)は略角丸台形の例を示しておく。
【0044】
また、回転かご2においては、板状部材23の数は、限定されるわけではないが、3個以上5個以下の範囲内であることが好ましい。この範囲とすることで、底部材21に対する板状部材23が占める面積のバランスを確保することができる。特に複数ある場合、底部材21において、回転軸32が接続されている部分を中心に回転対称となっているよう配置していることが好ましい。このように配置することで、回転しても重心のブレが少なくなり安定した回転を実現できるといった効果がある。なお、回転軸32は基本的に固定されており、使用時においては、回転かご2を取り出すのではなく、回転かご2内に不織布を設置し、この不織布内に生ごみを入れて、脱水後、不織布ごと生ごみを取り出すことで生ごみを廃棄できる。
【0045】
また、回転かご2においては、板状部材23の高さ233は、適宜調整可能であるが1cm以上3cm以下の範囲内であることが好ましい。1cm以上とすることで、回転かご2を回転させた場合に、生ごみがこれを乗り越えてしまうおそれを防ぐことができる一方、3cm以下とすることで、生ごみを挿入する量を阻害してしまわないようにするとともに、回転かご2に手を入れやすくし、底部材21を掃除しやすくすることができるといった利点がある。
【0046】
また、回転かご2において、板状部材23の径方向の長さ234は、1cm以上5cm以下の範囲内であることが好ましい。1cm以上とすることで、回転かご2を回転させた場合に、生ごみを十分に接触させて押し、回転させることができるようになる一方、5cm以下とすることで、板状部材23により底部材21の面を塞いで水はけを悪くしないようにする、生ごみを取り出しにくくしないようにするとともに、底部材21にも手を十分触れることができる程度とし、底部材21を清掃しやすくすることができるといった利点がある。
【0047】
また、回転かご2の本体部材22において、貫通孔221の数は多数形成されていることが好ましいが、生ごみを安定的に保持し強度を確保する観点から、ある一定の範囲になっていることが好ましい。例えば、本体部材22全体の面積を100%とした場合に、その中で占める貫通孔221の面積率は10%以上50%以下の範囲となっていることが好ましく、より好ましくは20%以上40%以下の範囲である。
【0048】
また、回転かご2においては、板状部材23にも、多数の貫通孔231が形成されていることが好ましい。板状部材23にも貫通孔をあけることで、生ごみから排出される水を板状部材23と生ごみの間に残してしまうおそれを防ぐことが可能となる。
【0049】
また、回転かご2においては、板状部材23は、底部材21及び本体部材22が凹んだことにより形成される中空空間232を備えることが好ましい。このようにすれば、回転かご2の一体性を確保し十分な強度を得ることができるとともに、この中空空間232が回転かご2の外部となるため、貫通孔を介してこの中空空間232がつながり、生ごみから排出された水の排出をより効率的に行うことが可能となる。
【0050】
上記の記載から繰り返しとなるが、回転かご2においては、回転かご2の底部材21、本体部材22及び板状部材23は、一体に形成されたものであることが好ましい。ただし、これらの結合を強固にすることができる限りにおいて、それぞれを別の部材とすることも可能ではある。
【0051】
また、本システム1における駆動装置3は、上記の通り、回転かご2を回転させるためのものである。具体的に駆動装置3は、回転軸32と、この回転軸32を回転させるモーター31と、これらを収容する収容カバーと、を備えていることが好ましい。また、駆動装置3は、限定されるわけではないが、回転かご2を回転させるため、回転軸32の延伸軸が鉛直軸に沿ったものとなっていることが好ましい。これにより、回転かご2の回転軸を鉛直軸に沿ったものとすることが可能となる。
【0052】
また、本システムにおいては、生ごみから排出された水が回転軸を伝ってモーター31側に侵入しないよう、回転軸32の周囲をパッキンなどで封じておくことが好ましい。
【0053】
また、上記の記載から明らかであるが、本システム1は、一般家庭の台所等のシンクに設置可能であり、より具体的にはシンク底面に形成される排水口に本システム1を接続し、排出される水を排水管Pに接続することで、目立つことなく脱水が可能となる。なお「シンク」とは、水をためることができる水槽状の台であって、排水口が形成されるものである。本システム1は、このシンクの下部に固定することで安定的に回転かご2を回転させることが可能となる。ただし、本システム1においては、駆動装置3による振動をシンクに伝えてしまうと不快なノイズとなってしまうおそれもあることから、駆動装置3をシンク下の床や台に設置し、シンクから分離されたものとすることとしてもよい。
【0054】
またここで、本システム1を用いた脱水方法(以下「本方法」という。)について説明する。具体的に、本方法は、回転かごと、回転かごを回転させる駆動装置と、を備えた脱水システムを用いる脱水方法であって、回転かごは、多数の貫通孔が形成された底部材と、底部材の周囲を覆う、多数の貫通孔が形成された側壁を備えた円筒形状の本体部材と、底部材及び本体部材に設けられる板状部材と、を備えたものであり、脱水対象物を回転かご内に挿入し、回転かごの板状部材に脱水対象物を押し当てて脱水するものである。
【0055】
本方法では、回転かごに板状部材に脱水対象物を押し当てることで、回転かごが回転した場合、中の生ごみは十分に脱水されることになる。特に、板状部材にも貫通孔が形成され、さらにこの貫通孔が回転かご外に接続されているため、より効率的に脱水が可能となる。
【0056】
以上、本発明によって、生ごみを処理するにおいてより環境負荷を低減することのできる脱水システム及び脱水方法を提供することができる。具体的には、生ごみから水を排出させておくことで、この生ごみを焼却しやすくし、燃焼させるために必要な燃料を削減でき、二酸化炭素排出量を大幅に削減することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、脱水システム及び脱水方法として産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0058】
1・・・脱水システム
2・・・回転かご
21・・・底部材
211・・・貫通孔
212・・・固定孔
22・・・本体部材
221・・・貫通孔
23・・・板状部材
231・・・貫通孔
232・・・中空空間
3・・・駆動装置
4・・・収容カバー
【要約】 (修正有)
【課題】生ごみの処理において、環境負荷を低減することのできる脱水システム及び脱水方法を提供する。
【解決手段】回転かご2と前記回転かごを回転させる駆動装置を備えた脱水システムであって、前記回転かごは、多数の貫通孔211が形成された底部材21と、前記底部材の周囲を覆う、多数の貫通孔が形成された側壁を備えた円筒形状の本体部材22と、前記底部材に固定されている板状部材23を備える。また、回転かごと前記回転かごを回転させる駆動装置を備えた脱水システムを用いる脱水方法であって、前記回転かごは、多数の貫通孔が形成された底部材と、前記底部材の周囲を覆う、多数の貫通孔が形成された側壁を備えた円筒形状の本体部材と、前記底部材及び前記本体部材に設けられる板状部材を備えたものであり、脱水対象物を前記回転かご内に挿入し、前記回転かごの板状部材に脱水対象物を押し当てて脱水する。
【選択図】
図1