IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボーグワーナー インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特許-油圧テンショナー 図1A
  • 特許-油圧テンショナー 図1B
  • 特許-油圧テンショナー 図2
  • 特許-油圧テンショナー 図3
  • 特許-油圧テンショナー 図4
  • 特許-油圧テンショナー 図5
  • 特許-油圧テンショナー 図6
  • 特許-油圧テンショナー 図7
  • 特許-油圧テンショナー 図8
  • 特許-油圧テンショナー 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】油圧テンショナー
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/08 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
F16H7/08 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017242864
(22)【出願日】2017-12-19
(65)【公開番号】P2018100772
(43)【公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】62/436,546
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】ポール・フリーマントル
(72)【発明者】
【氏名】キース・ビー・コブ
(72)【発明者】
【氏名】グレン・イー・スワンソン
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-038439(JP,U)
【文献】特開2016-038077(JP,A)
【文献】特開2003-120766(JP,A)
【文献】特開2001-012569(JP,A)
【文献】特開2012-017824(JP,A)
【文献】特開2010-242836(JP,A)
【文献】特開2001-182789(JP,A)
【文献】実開昭64-039957(JP,U)
【文献】特開2014-055634(JP,A)
【文献】特開2010-223289(JP,A)
【文献】特開2009-097522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧テンショナーであって、
入口を介して加圧流体源と流体連通するボアを有するテンショナー本体と、そして、
前記テンショナー本体のボア内に受容された中空ピストンであって、当該中空ピストン内から空気及び加圧流体を排出するための直径及び断面積を有する少なくとも1つの軸方向穴を有するピストンノーズを備えたピストン本体と、当該ピストン本体に前記中空ピストン内から空気及び加圧流体を排出するための少なくとも1つの半径方向穴とを含む、前記中空ピストンと、
を備え、
前記少なくとも1つの軸方向穴径は1mm未満であり、前記少なくとも1つの軸方向穴及び前記少なくとも1つの半径方向穴の総断面積は0.01mm~1.1mmの間であり、
前記中空ピストンと前記ボアによって画定された油圧チャンバと、そして、
前記中空ピストンを前記入口から離れるように偏らせるために、前記油圧チャンバ内に受容されたピストンスプリングと、
をさらに備え、
前記少なくとも1つの軸方向の穴は、前記油圧チャンバと大気との間のオイル流れを制御し、前記油圧テンショナーが張力を掛けているチェーンを潤滑するように構成され、
前記少なくとも1つの半径方向の穴は、前記ボアを加圧された流体で直接潤滑することによって、前記ピストンと前記ボアとの間の摩擦を減少させる、
油圧テンショナー。
【請求項2】
前記少なくとも1つの軸方向穴及び前記少なくとも1つの半径方向穴の前記総断面積が少なくとも0.013mmである、請求項1に記載の油圧テンショナー。
【請求項3】
各穴の直径が0.1mm~0.5mmである、請求項1に記載の油圧テンショナー。
【請求項4】
各穴の直径が0.1mm~1.0mmである、請求項1に記載の油圧テンショナー。
【請求項5】
前記軸方向穴が2つの穴を含み、前記2つの穴の総断面積が0.01mm~1.1mmである、請求項1に記載の油圧テンショナー。
【請求項6】
前記軸方向穴が3つの穴を含み、前記3つの穴の総断面積が0.01mm~1.1mmである、請求項1に記載の油圧テンショナー。
【請求項7】
前記軸方向穴が4つの穴を含み、前記4つの穴の総断面積が0.01mm~1.1mmである、請求項1に記載の油圧テンショナー。
【請求項8】
前記軸方向穴が5つの穴を含み、前記5つの穴の総断面積が0.01mm~1.1mmである、請求項1に記載の油圧テンショナー。
【請求項9】
チェーンに張力を与えるための油圧テンショナーであって、
入口を介して加圧流体源と流体連通するボアを有するテンショナー本体と、
前記テンショナー本体のボア内に受容されたピストン本体を備える中空ピストンであって、前記ピストン本体はピストンノーズを備え、前記ピストンノーズは、前記ピストンノーズ内に少なくとも1つの軸方向穴及び前記ピストン本体内に半径方向穴を含む、前記中空ピストンと、
前記中空ピストン、前記ボアによって画定された油圧チャンバと、そして、
前記中空ピストンを前記入口から離れるように偏らせるために前記油圧チャンバ内に受容されたピストンスプリングと、
を備え、
前記少なくとも1つの軸方向穴及び前記半径方向穴は、前記中空ピストン内から空気及び加圧油を排出し、
前記軸方向穴及び前記半径方向穴の各々の直径が1mm未満であり、前記軸方向穴及び前記半径方向穴の総断面積が0.01mm~1.1mmであり、
前記少なくとも1つの軸方向の穴は、前記油圧チャンバと大気との間のオイル流れを制御し、前記油圧テンショナーが張力を掛けているチェーンを潤滑するように構成され、
前記少なくとも1つの半径方向の穴は、前記テンショナー本体のボアを加圧された流体で直接潤滑することによって、前記中空ピストンと前記ボアとの間の摩擦を減少させる、
油圧テンショナー。
【請求項10】
前記軸方向穴及び前記半径方向穴の総断面積は、少なくとも0.013mmである、請求項9に記載の油圧テンショナー。
【請求項11】
前記軸方向穴及び前記半径方向穴の直径は、0.1mm~0.5mmである、請求項9に記載の油圧テンショナーピストン。
【請求項12】
前記軸方向穴及び前記半径方向穴の直径は、0.1mm~1.0mmである、請求項9に記載の油圧テンショナー。
【請求項13】
前記軸方向穴は、前記中空ピストンの内面から前記中空ピストンの前記ピストン本体の外面まで延びる、請求項9に記載の油圧テンショナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧テンショナー分野に関する。より詳細には、本発明は、油圧テンショナー内のオイルの流量を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の油圧テンショナーは、油圧テンショナーの高圧チャンバから大気へのオイルの流量を制御するために螺旋形の曲がりくねった経路を有するプラスチックディスクシール(plastic disk seal)を使用している。プラスチックシール及び曲がりくねった経路は、ピストンのノーズ(nose)内の過大の穴(oversized hole)を通して漏れ出る。
【0003】
ピストンの内側には、ピストンノーズの内側にシールするベントディスク(vent disk)上を押す圧縮バネがある。前記シールは、空気抜きを可能にするだけでなく、本体内側の油圧を維持することによってテンショナーのチューニングを制御するために、オイルの流れを制限する曲がりくねった経路を含む。この流れの制限後、オイルはピストンのノーズ内の過大の穴を通して逃れる。
【0004】
図1A及び図1Bは、ベントディスク10を有するテンショナーピストン2を示す。ピストン2は、ピストンハウジング4及び油圧チャンバ6を含む。ピストンバネ及びテンショナー本体は、明確性の為に排除した。ベントディスク10内の曲がりくねった経路12は、オイル流量、空気抜き及びテンショナーチューニングを制御する。オイルがベントディスク10を通して流れると、ピストンノーズ18内の、典型的には2mmの直径を有する過大の穴16を通してテンショナーを逃れる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
テンショナーは、テンショナーチューニングを制御する流れの制限を断面積0.01mm~1.1mm範囲の少なくとも1つの穴を通してピストンのノーズに移動させる。ベントディスクは、テンショナーの設計から排除される。ピストン穴は、単一の穴または多数の穴から構成され得る。
【0006】
一実施形態において、油圧テンショナー用ピストンは、直径及び断面積を有する少なくとも1つの軸方向穴を有するピストンノーズを備えたピストン本体を含む中空ピストンを含む。少なくとも1つの穴径は1mm未満であり、少なくとも1つの穴の総断面積は0.01mm~1.1mmである。
【0007】
別の実施形態において、油圧テンショナーは、入口を介して加圧流体の供給源と流体連通するボア(bore)を有するテンショナー本体及びボア内に摺動可能に収容された中空ピストンを含む。前記ピストンは、ピストンノーズ内に少なくとも1つの軸方向穴を有するピストンノーズを備えたピストン本体を含み、軸方向穴の直径は1mm未満であり、軸方向穴の総断面積は0.01mm~1.1mmである。前記テンショナーは、中空ピストン及びテンショナー本体のボアによって画定される油圧チャンバ、及び前記入口から離れるように前記ピストンを付勢するために油圧チャンバ内に収容されたピストンバネをも含む。
【0008】
別の実施形態において、油圧テンショナー用の中空ピストンは、ピストンノーズを備えたピストン本体を含み、前記ピストンノーズは、ピストンノーズ内に少なくとも1つの軸方向穴またはピストン本体内に半径方向穴を含む。軸方向穴または半径方向穴の直径は1mm未満であり、軸方向穴または半径方向穴の総断面積は0.01mm~1.1mmである。
【0009】
また別の実施形態において、油圧テンショナー用ピストンは、断面積を有する少なくとも2つの軸方向穴を有するピストンノーズを備えたピストン本体を含む中空ピストンを含む。少なくとも2つの穴の総断面積は、0.01mm~1.1mmである。
【0010】
別の実施形態において、油圧テンショナーは、入口を介して加圧流体の供給源と流体連通するボアを有するテンショナー本体及びボア内に摺動可能に収容された中空ピストンを含む。前記ピストンは、ピストンノーズ内に少なくとも2つの軸方向穴とピストンノーズを備えたピストン本体を含み、少なくとも2個の軸方向穴の総断面積は、0.01mm~1.1mmである。前記テンショナーは、中空ピストン及びテンショナー本体のボアによって画定される油圧チャンバ及び前記入口から離れるように前記ピストンを付勢するために油圧チャンバ内に収容されたピストンバネをも含む。
【0011】
別の実施形態において、油圧テンショナー用ピストンは、直径1mm未満の軸方向穴を有するピストンノーズを備えたピストン本体を含む中空ピストンを含む。
【0012】
また別の実施形態において、油圧テンショナーは、入口を介して加圧流体の供給源と流体連通するボアを有するテンショナー本体及びボア内に摺動可能に収容された中空ピストンを含む。前記ピストンは、直径1mm未満の軸方向穴を有するピストンノーズを備えたピストン本体を含む。前記テンショナーは、中空ピストン及びテンショナー本体のボアによって画定される油圧チャンバ及び前記入口から離れるように前記ピストンを付勢するために油圧チャンバ内に収容されたピストンバネをも含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A図1Aはベントディスクを有する従来技術のテンショナーピストンを示す。
図1B図1Bは従来技術のベントディスクの拡大図を示す。
図2図2は本発明の実施形態におけるテンショナーをチューニングするための軸方向穴を有するテンショナーを示す。
図3図3は本発明の実施形態における単一の軸方向穴を有するテンショナーピストンを示す。
図4図4は本発明の他の実施形態におけるテンショナーをチューニングするための複数の軸方向穴を有するテンショナーピストンを示す。
図5図5は本発明の他の実施形態におけるテンショナーをチューニングするためにピストン本体内に穴を有するテンショナーピストンを示す。
図6図6は本発明の他の実施形態におけるテンショナーをチューニングするためにピストン本体内に複数の穴を有するテンショナーピストンを示す。
図7図7は他の実施形態におけるテンショナーをチューニングするためにピストン本体内に半径方向穴とピストンノーズ内に軸方向穴の両方を有するテンショナーピストンを示す。
図8図8は流量と断面積との関係のグラフを示す。
図9図9は穴径対流量のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
テンショナーは、テンショナーチューニングを制御する流れ制限を0.01mm~1.1mmの断面積の穴を通してピストンのノーズに移動させる。ピストン穴の幾何学的構造は、単一の穴または多数の穴から構成される。単一の軸方向穴を有する一部の実施形態において、穴は1mm未満の直径を有する。ピストンノーズ内の穴(複数)は、コスト及び複雑さを減少させるアセンブリーにおける構成要素の排除を可能にする。穴(複数)は、また空気抜きを可能にして、完全なテンショナーの制御及びテンショナーチューニングのためにオイルの流量制御を可能にする。テンショナー内の任意の閉じ込められた空気は、ピストンのノーズ内の小さな穴を通して排気される。ピストンの高圧チャンバ内の油圧は、穴を通して移動してテンショナー上の減衰量を及びこれによってエンジンのチェーン荷重を制御する。
【0015】
油圧テンショナーチューニングの制御は、好ましくはピストンノーズ内の特定の穴断面積を使用してオイルの流量を制御する。穴は、ピストンノーズ内に軸方向に配置されるのが好ましい。ピストンノーズ内の軸方向穴は、チェーンを潤滑するためのオイルを供給する。代替的に、穴はピストンの側面に配置され得る。ピストンの側面上の半径方向穴は、オイルをテンショナーボア内に直接噴射することによってピストンとボアとの間の摩擦を減少させることができる。一部の実施形態において、ピストンは、チェーンを潤滑させ摩擦を減少させるために、軸方向穴及び半径方向穴の両方を含む。所望の断面積は、単一の穴または複数の穴を使用して達成され得る。例えば、ピストンノーズまたは本体内の可用空間だけでなく、流量及び所望の総断面積に応じて、2つの穴、3つの穴、4つの穴、5つの穴、または5つ超過の穴があり得る。
【0016】
ベントディスクを穴に代替することは、部品の除去及び複雑さの減少によってテンショナーの製造及び組み立てのコストを減少させる。
【0017】
本明細書において記載されるテンショナーピストンは、プラスチックディスクを排除し、その代わりに、ピストンノーズ内(及び/またはピストン本体内)に直接配置された単一の穴またはオリフィスまたは多数の穴またはオリフィスを使用して、オイル排出手段を提供する代わりに、高圧チャンバから大気へのオイルの流れを制御する。
【0018】
穴(複数)は、特定の圧力におけるオイルの所望の流量に対応する特定の総断面積を有する。この流量は、テンショナーチューニングを制御する。
【0019】
代替の実施形態において、オイルの流れは、ノーズの代わりにピストンの側面内の1つ以上の穴から流出され得る。オリフィスは、空気が抜けて流れを制御することができるように、ピストンの代わりにテンショナー本体内にあり得る。穴の数は、断面積の境界内でオイルの流れを制御するように変更され得る。
【0020】
好ましい実施形態にでは、レーザーが所望のサイズの穴を生成するのに使用され得る。
【0021】
一部の実施形態では、単一の穴サイズが選択され、穴の数は特定のテンショナーに必要な流量に応じて変化する。一部の実施形態において、各々の穴は、約0.1mm~1.0mmの直径を有する。他の実施形態において、各々の穴は、約0.1mm~0.5mmの直径を有する。また他の実施形態において、各穴は、直径が約0.5mm未満である。一部の好ましい実施形態において、すべての穴の総断面積は、約0.01mm~1.1mmである。
【0022】
図2を参照して、テンショナー51のテンショナー本体55は、中空ピストン52を摺動可能に収容するための円筒形ボア59を画定する。ボア59の一端部は、加圧流体の外部供給部(図示せず)及びチェックバルブアセンブリー57(ボール、リテーナ、バネ、及びシート)と流体連通する入口44を含む。高圧チャンバ56は、中空ピストン52の内周、ボア59、圧縮バネ53及びチェックバルブアセンブリー57によって画定される。圧縮バネ53は、入口44から離れるようにピストン52を付勢する。ピストン52は、高圧チャンバ56に大気を連結する単一の軸方向穴50を有するノーズ部58を有する本体47を有する。図2のテンショナーには、単一の軸方向穴50のみが示されているが、図3図7に関して後述するように、任意の数の軸方向の穴及び/または半径方向の穴がテンショナー51内に配置され得る。
【0023】
図3は、ピストン52のノーズ58内に1つの穴50を有するピストン52を示している。好ましい実施形態において、穴50は、0.01mm~1.1mmの範囲の断面積を有する。一部の好ましい実施形態において、穴50は、1mm未満の直径を有する。一部の実施形態において、各々の穴は、約0.1mm~1.0mmの直径を有する。他の実施形態において、穴は、0.1mm~0.5mmの直径を有する。穴50は、空気抜きを可能にして、完全なテンショナーの制御を可能にし、テンショナーチューニングのためにオイルの流量を制御する。テンショナー51内の任意の閉じ込められた空気は、ピストン52のノーズ58内の穴を通して大気に排気される。高圧チャンバ56内の油圧は、穴50を通して移動して、テンショナー51上の減衰量を及びこれによってエンジンのチェーン荷重を制御する。
【0024】
代替的に、排出/チューニングのための所望の断面積は、一つより多い穴を使用して達成され得る。図4は、図2のピストン52を代替するピストン62のノーズ68内に5つの穴60を有するピストン62を示している。好ましい実施形態において、5つの穴60の総断面積は0.01mm~1.1mmの範囲である。一部の実施形態において、各々の穴は、約0.1mm~1.0mmの直径を有する。他の実施形態において、各々の穴は、約0.1mm~0.5mmの直径を有する。総断面積が満たされる限り、すべての穴60は、同一のサイズであることができるか、または1つ以上の穴が異なるサイズを有することができる。穴60は、空気抜きを可能にして、完全なテンショナーの制御を可能にし、テンショナーチューニングのためにオイルの流量を制御する。テンショナー内の任意の閉じ込められた空気は、ピストン62のノーズ68内の穴を通して排気される。高圧チャンバ内の油圧は、穴60を通して移動し、テンショナー上の減衰量を及びこれによってエンジンのチェーン荷重を制御する。図4には、5つの穴60があるが、代替的に、ピストンノーズ内の可用空間だけでなく、流量及び所望の総断面積に応じて、2つの穴、3つの穴、4つの穴、または5つ超過の穴があり得る。すべての穴の所望の総断面積が満たされる限り、各穴60は、同一のサイズまたは異なるサイズであり得る。
【0025】
代替的に、穴は、ピストンの本体の側面上に配置され得る。図5は、図2のピストン52を代替するピストン72の本体73上に1つの穴70を有するピストン72を示している。好ましい実施形態において、穴70の断面積は、0.01mm~1.1mmの範囲である。一部の実施形態において、各々の穴は、約0.1mm~1.0mmの直径を有する。他の実施形態において、各々の穴は、約0.1mm~0.5mmの直径を有する。穴70は、空気抜きを可能にして完全なテンショナーの制御を可能にし、テンショナーチューニングのためにオイルの流量を制御する。テンショナー内の任意の閉じ込められた空気は、ピストン72の本体73内の穴を通して排気される。高圧チャンバ内の油圧は、穴70を通して移動して、テンショナー上の減衰量を及びこれによってエンジンのチェーン荷重を制御する。
【0026】
代替的に、図6に示したように、複数の穴80をピストン82の本体83の側面内に配置され得る。複数の半径方向穴80を有する一部の実施形態において、穴は、ピストン上の力の均衡を合わせるために、均等に離隔される。ピストン82は、図2のテンショナーのピストン52を代替するであろう。好ましい実施形態において、穴80の総断面積は、0.01mm~1.1mmの範囲である。一部の実施形態において、各々の穴は、約0.1mm~1.0mmの直径を有する。他の実施形態において、各々の穴は、約0.1mm~0.5mmの直径を有する。穴80は、空気抜きを可能にして完全な全体テンショナーの制御を可能にし、テンショナーチューニングのためにオイルの流量を制御する。テンショナー内の任意の閉じ込められた空気は、ピストン82の本体83内の穴80を通して排気される。高圧チャンバ内の油圧は、穴80を通して移動して、テンショナー上の減衰量を及びこれによってエンジンのチェーン荷重を制御する。図6には、2つの穴80があるが、代替的に、ピストン本体内の可用空間だけでなく、流量及び所望の総断面積に応じて、ピストン82の本体83に沿って様々な位置に、3つの穴、4つの穴、5つの穴、または5つ超過の穴があり得る。すべての穴の所望の総断面積が満たされる限り、各穴80は、同一のサイズまたは異なるサイズであり得る。
【0027】
図7は、ピストン92のノーズ98内に少なくとも1つの穴90とピストン92の本体93内に少なくとも1つの穴95を有するピストン92を有する他の実施形態を示している。ピストン92は、図2のピストン52を代替するであろう。好ましい実施形態において、すべての穴90、95の総断面積は、0.01mm~1.1mmの範囲である。一部の実施形態において、各々の穴は、約0.1mm~1.0mmの直径を有する。他の実施形態において、各々の穴は、約0.1mm~0.5mmの直径を有する。穴90、95は、空気抜きを可能にして完全な全体テンショナーの制御を可能にし、テンショナーチューニングのためにオイルの流量を制御する。テンショナー内の任意の閉じ込められた空気は、ピストン92のノーズ98内の穴90及びピストン92の本体93内の穴95を通して排気される。高圧チャンバ内の油圧は、穴90、95を通して移動して、テンショナー上の減衰量を及びこれによってエンジンのチェーン荷重を制御する。図7には、5つの軸方向穴90と2つの半径方向穴95があるが、代替的に、ピストンノーズ及び本体内の可用空間だけでなく、流量及び所望の総断面積に応じて、ピストン92のノーズ98及び/またはピストンの本体93に沿って様々な位置に、2つの穴、3つの穴、4つの穴、または5つ超過の軸方向穴90及び3つの穴、4つの穴、5つの穴、または5つ超過の半径方向穴95があり得る。すべての穴の所望の総断面積が満たされる限り、各穴は、同一のサイズまたは異なるサイズであり得る。
【0028】
流量に基づいて穴径及び穴数を決定するために、次の式を用いることができ、ここで、dは穴径(mm)であり、nは穴数であり、Fは流量(cc/秒)である。
【0029】
【数1】
【0030】
前記の式を用いて計算されるように、流量に基づいた700psiでの単一の軸方向穴に対する一部の好ましい直径は、表1に示されている。
【0031】
【表1】
【0032】
表は、異なる穴数及び異なる穴径に対する実際のデータを示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2に示したように、穴(複数)の総断面積は、所定の圧力における流量を駆動させる。図8は、0.1mm~0.5mmの直径での1~5個の穴に対する総断面積(mm)と700psiでの流量(cc/秒)との間の線形関係を示す。例えば、1つのより大きな穴は、同一の総断面積を有する2つの小さな穴と同一の流れを達成する。図8に示したように、この関係は線形100であり;所望の流量が増加するにつれて、断面積が同一の割合で増加する。好ましい実施形態において、テンショナーに必要な最大流量は、約1.1mmである。
【0035】
表2におけるデータのうち、同等の単一の穴径(mm)対700psiでの流量(cc/秒)が図9に示されている。
【0036】
特に小さい穴に関する一関心事は、穴が汚染されたオイルによって潜在的に詰まる可能性があるか否かである。穴サイズの試験が示したところによれば、直径サイズ0.1mmの穴の機能は、1cc/秒の流量が必要なベントディスクよりわずかに悪いだけだった。直径0.1mmの穴は、700psiで約0.2cc/秒で流れた。汚染された範囲は、公称値の30%~75%であった(150μmの粒子及び非常に高い流れにおけるピストンを除去する)。同等のベントディスクは、700psiで約0.6cc/秒で流れた。汚染された範囲は、公称値の52%~135%であった(15μmの粒子及び非常に高い流れにおけるピストンを除去する)。直径0.1mmの穴が700psiで約0.2mm流れるはずなので、好ましい最小穴サイズは、同等の流れを可能にするために、0.13mmであるのが好ましい。これは0.013mmの断面積と同一である。
【0037】
従って、本明細書において説明された本発明の実施形態は、本発明の原理の適用を単に例示するものであると理解されるべきである。本明細書において例示された実施形態の詳細に対する言及は、特許請求の範囲を限定することを意図せず、それ自体が本発明に必須であるものと見なされる特徴などを暗示している。

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9