(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】ガラスユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20240426BHJP
E06B 3/67 20060101ALI20240426BHJP
E06B 3/677 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
C03C27/06 101E
E06B3/67 A
E06B3/677
(21)【出願番号】P 2018193907
(22)【出願日】2018-10-12
【審査請求日】2021-04-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004008
【氏名又は名称】日本板硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊行
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】日比野 隆治
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0022535(KR,A)
【文献】国際公開第2016/009948(WO,A1)
【文献】特開2014-088316(JP,A)
【文献】特開2001-064042(JP,A)
【文献】特開2003-137612(JP,A)
【文献】登録実用新案第3096372(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 17/10
C03C 27/00-29/00
E06B 3/54- 3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に連続する小径部と大径部とを有する貫通孔が形成された第1ガラス板を準備するステップと、
前記第1ガラス板の小径部側と対向するように、当該第1ガラス板と所定間隔をおいて、前記第2ガラス板を配置するステップと、
前記第1ガラス板及び第2ガラス板の周縁の隙間に封止用材料を配置するステップと、
前記大径部と小径部の間の段に、接着剤が配置されるようにして、当該接着剤を介して前記貫通孔を塞ぐようにガラスにより形成されたカバーを配置し、前記カバー及び前記接着剤のみを前記大径部に収容するステップであって、前記貫通孔と前記接着剤及び前記カバーとの間に通気用の通路を形成するステップと、
前記カバーを押圧する錘を配置するステップと、
前記封止用材料を加熱後、冷却することで、当該封止用材料を固化し、前記周縁の隙間を封止する封止材を形成するステップと、
前記通気用の通路から、前記第1ガラス板と第2ガラス板との間の内部空間の減圧を行うステップと、
前記接着剤を加熱することで軟化させ、前記カバーによって前記貫通孔を密閉するステップと、
前記錘を配置するステップに先立って、前記カバーを覆う保護プレートを配置するステップと、
を備え、
前記錘は、前記保護プレートを介して前記カバーが外部から視認可能なように、前記保護プレートを介して前記カバーを押圧し、
前記接着剤は、前記第1ガラス板かつ前記カバーと直接接着しており、
前記カバーの表面は、前記第1ガラス板の表面と略同一平面上にあるか、あるいは当該第1ガラス板の表面より内側に位置している、ガラスユニットの製造方法。
【請求項2】
前記保護プレートは、石英ガラスである、請求項
1に記載のガラスユニットの製造方法。
【請求項3】
前記内部空間の減圧を行うステップは、前記封止用材料の冷却の過程において開始する、請求項
1又は2に記載のガラスユニットの製造方法。
【請求項4】
前記軟化した接着剤を冷却後に、前記カバーの表面を、前記第1ガラス板の表面と略同一面となる位置、または前記第1ガラス板の表面よりも窪んだ位置に、配置する、請求項
1から3のいずれかに記載のガラスユニットの製造方法。
【請求項5】
前記接着剤は、加熱前に前記段に、少なくとも一つの隙間を有する不連続な形状で、配置される、請求項
1から
4のいずれかに記載のガラスユニットの製造方法。
【請求項6】
前記接着剤は、ビスマス系の
低融点ガラスである、請求項
1から
5のいずれかに記載のガラスユニットの製造方法。
【請求項7】
前記接着剤を前記カバーに取り付けた後、当該カバーを前記第1ガラス板に配置する、請求項
1から
6のいずれかに記載のガラスユニットの製造方法。
【請求項8】
前記接着剤は仮焼成により前記カバーに取り付けられる、請求項
7に記載のガラスユニットの製造方法。
【請求項9】
前記接着剤の厚みは0.2mm以下であり、
印刷により前記カバーに取り付けられる、請求項
1から
8のいずれかに記載のガラスユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスユニット及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物等の窓ガラスには、複層ガラスで形成されたガラスユニットが多く採用されている。ガラスユニットは、2以上のガラス板の間に内部空間を形成したものであり、これによって、室内の断熱性を高めることを目的としている。このようなガラスユニットは複数の種類があり、断熱効果をさらに高めるため、内部空間を真空状態に減圧したガラスユニットが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のガラスユニットでは、一方のガラス板に貫通孔を形成し、この貫通孔を通じて内部空間の減圧を行った後、貫通孔をガラス製のカバーによって閉鎖している。このとき、貫通孔の内周縁とカバーとの接触部分にレーザ光を照射し、これによってカバーを貫通孔に接合している。
【0005】
しかしながら、この方法では、レーザ光の照射によりガラス製のカバーに局所的な熱が生じ、これによってカバーが割れるおそれがある。また、レーザ光を照射するため、装置が大型化するという問題もある。
【0006】
本発明は、この問題を解決するためになされたのであり、カバーの割れを防止しつつ、簡易に製造することができる、ガラスユニット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
項1.貫通孔が形成された第1ガラス板と、
前記第1ガラス板と所定間隔をおいて対向配置され、前記第1ガラス板との間に内部空間を形成する第2ガラス板と、
前記第1ガラス板と第2ガラス板の周縁の隙間を封止する封止材と、
前記貫通孔を塞ぐカバーと、
前記カバーを前記第1ガラス板に固定する接着剤と、
を備え、
前記内部空間が真空状態となるように減圧されているか、あるいは前記内部空間に所定のガスが注入されており、
前記第1ガラス板と前記カバーは前記接着剤により固定されている、ガラスユニット。
【0008】
項2.前記貫通孔は、軸方向に連続する小径部と大径部とを有し、
前記小径部が前記内部空間側に配置され、
前記大径部と前記小径部との間の段に、前記接着剤を介して前記カバーが固定されている、項1に記載のガラスユニット。
【0009】
項3.前記カバーは、前記大径部に収容され、
前記カバーと前記第1ガラス板の表面とが略同一面上にある、項2に記載のガラスユニット。
【0010】
項4.前記カバーは、前記大径部に収容され、
前記カバーの表面は、前記第1ガラス板の表面より内側に位置している、項2のガラスユニット。
【0011】
項5.前記大径部の内径は、5mm以上15mm以下である、項2から4のいずれかに記載のガラスユニット。
【0012】
項6.小径部と大径部の径の差が、3~20mmである項2から5のいずれかに記載のガラスユニット。
【0013】
項7.前記大径部の深さと前記カバーの厚みとの差が、0.4mm以上0.7mm以下である、項2から6のいずれかに記載のガラスユニット。
【0014】
項8.前記接着剤は、低融点ガラスを含有している、項1から8のいずれかに記載のガラスユニット。
【0015】
項9.前記第1ガラス板の熱膨張率と前記接着剤の熱膨張率との差が、20×10-7/℃以下である、項1から8のいずれかに記載のガラスユニット。
【0016】
項10.前記カバーは、ガラスにより形成されており、
前記カバーと前記第1ガラス板の熱膨張率は同一である、項1から9のいずれかに記載のガラスユニット。
【0017】
項11.前記第1ガラス板に積層される中間膜及び第3ガラス板をさらに備え、
前記第1ガラス板、前記中間膜、及び前記第3ガラス板により合わせガラスが構成されている、項1から10のいずれかに記載のガラスユニット。
【0018】
項12.前記接着剤は、ビスマス系の低融点ガラスを含有する、項1から8のいずれかに記載のガラスユニット。
【0019】
項13.前記接着剤は、非結晶性である、項10に記載のガラスユニット。
【0020】
項14.前記接着剤は、結晶性である、項10に記載のガラスユニット。
【0021】
項15.前記封止材は、非結晶性の低融点ガラスにより形成されている、項12に記載のガラスユニット。
【0022】
項16.前記封止材及び接着剤は、金属ハンダにより形成されている、項12に記載のガラスユニット。
【0023】
項17.前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板の少なくとも一方は、強化ガラスにより形成されている、項11から14のいずれかに記載のガラスユニット。
【0024】
項18.前記第2ガラス板が強化ガラスにより形成されている、項17に記載のガラスユニット。
【0025】
項19.前記強化ガラスは化学強化ガラスである項17または18に記載のガラスユニット。
【0026】
項20.前記第1ガラス板及び第2ガラス板の周縁に取り付けられる、周縁部材であって、前記第1ガラス板に接する第1部位と、前記第2ガラス板に接する第2部位と、前記第1部位及び第2部位を連結する連結部とを有する断面U状に形成された周縁部材をさらに備え、
前記第1部位は、前記カバーを覆うように配置されている、項1から19のいずれかに記載のガラスユニット。
【0027】
項21.前記第1ガラス板及び第2ガラス板の周縁に取り付けられる、周縁部材であって、前記第1ガラス板に接する第1部位と、前記第2ガラス板に接する第2部位と、前記第1部位及び第2部位を連結する連結部とを有する断面U状に形成された周縁部材をさらに備え、
前記カバーは、前記第1部位に覆われない位置に配置されている、項1から19のいずれかに記載のガラスユニット。
【0028】
項22.軸方向に連続する小径部と大径部とを有する貫通孔が形成された第1ガラス板を準備するステップと、
前記第1ガラス板の小径部側と対向するように、当該第1ガラス板と所定間隔をおいて、前記第2ガラス板を配置するステップと、
前記第1ガラス板及び第2ガラス板の周縁の隙間に封止用材料を配置するステップと、
前記大径部と小径部の間の段に、接着剤が配置されるようにして、当該接着剤を介して前記貫通孔を塞ぐようにカバーを配置するステップであって、前記貫通孔と前記接着剤及びカバーとの間に通気用の通路を形成するステップと、
前記カバーを押圧する錘を配置するステップと、
前記封止用材料を加熱後、冷却することで、当該封止用材料を固化し、前記周縁の隙間を封止する封止材を形成するステップと、
前記通気用の通路から、前記第1ガラス板と第2ガラス板との間の内部空間の減圧を行うステップと、
前記接着剤を加熱することで軟化させ、前記カバーによって前記貫通孔を密閉するステップと、
を備えている、ガラスユニットの製造方法。
【0029】
項23.前記内部空間の減圧を行うステップは、前記封止用材料の冷却の過程において開始する、項22に記載のガラスユニットの製造方法。
【0030】
項24.前記カバーは、前記大径部に収容され、
前記軟化した接着剤を冷却後に、前記カバーの表面を、前記第1ガラス板の表面と略同一面となる位置、または前記第1ガラス板の表面よりも窪んだ位置に、配置する、項22または23に記載のガラスユニットの製造方法。
【0031】
項25.前記錘を配置するステップに先立って、前記カバーを覆う保護プレートを配置するステップをさらに備え、
前記錘は、前記保護プレートを介して前記カバーが外部から視認可能なように、前記保護プレートを介して前記カバーを押圧する、項22から24のいずれかに記載のガラスユニットの製造方法。
【0032】
項26.前記保護プレートは、石英ガラスである、項25に記載のガラスユニットの製造方法。
【0033】
項27.前記接着剤は、加熱前に前記段に、少なくとも一つの隙間を有する不連続な形状で、配置される、項22から26のいずれかに記載のガラスユニットの製造方法。
【0034】
項28.前記接着剤は、ビスマス系の低融点ガラスである、項22から27のいずれかに記載のガラスユニットの製造方法。
【0035】
項29.前記接着剤を前記カバーに取り付けた後、当該カバーを前記第1ガラス板に配置する、項22から28のいずれかに記載のガラスユニットの製造方法。
【0036】
項30.前記接着剤は仮焼成により前記カバーに取り付けられる、項29に記載のガラスユニットの製造方法。
【0037】
項31.前記接着剤の厚みは0.2mm以下であり、
印刷により前記カバーに取り付けられる、項22から30のいずれかにに記載のガラスユニットの製造方法。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、カバーの割れを防止しつつ、簡易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明に係るガラスユニットの一例を示す平面図である。
【
図3】接着剤が配置されたカバーの例を示す平面図である。
【
図4】
図1のガラスユニットの製造工程を示す概略断面図である。
【
図6】本発明に係るガラスユニットの他の例を示す断面図である。
【
図7】本発明に係るガラスユニットの他の例を示す断面図である。
【
図8】本発明に係るガラスユニットの他の例を示す断面図である。
【
図9】本発明に係るガラスユニットの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
<1.ガラスユニットの概要>
以下、本発明に係るガラスユニットの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本実施形態に係るガラスユニットの平面図、
図2は
図1の断面図である。
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るガラスユニットは、矩形状の2つのガラス板、つまり第1ガラス板1及び第2ガラス板2を有している。本実施形態においては、
図2中の下側に示される第2ガラス板2が、第1ガラス板1よりもやや大きく形成されている。両ガラス板1,2の間には、複数のスペーサ3が配置され、これらスペーサ3によって、両ガラス板1,2の間に所定間隔の隙間が形成される。また、両ガラス板1,2の周縁の隙間は、封止材4によって封止されており、これによって、両ガラス板1,2の間には、密閉された内部空間100が形成される。さらに、第1ガラス板1には貫通孔11が形成されており、この貫通孔11を塞ぐ板状のカバー5が設けられている。このカバー5は、接着剤6を介して第1ガラス板1に固定されている。以下、各部材について説明する。
【0041】
<2.第1ガラス板及び第2ガラス板>
第1ガラス板1を構成する材料は、特には限定されず、公知のガラス板を用いることができる。用途に応じて、例えば、型板ガラス、表面処理により光拡散機能を備えたすりガラス、網入りガラス、線入ガラス板、強化ガラス、倍強化ガラス、低反射ガラス、高透過ガラス板、セラミックガラス板、熱線や紫外線吸収機能を備えた特殊ガラス、又は、これらの組み合わせなど種々のガラス板を用いることができる。第1ガラス板1の厚みは、特には限定されないが、例えば、0.3~15mmであることが好ましく、0.5~8mmであることがさらに好ましい。
【0042】
第1ガラス板1の端部には、上述した貫通孔11が形成されている。この貫通孔11は、内部空間100側に配置される小径部111と、この小径部111と連続し外部に開放する大径部112とで構成されている。小径部111及び大径部112は、同軸の円筒状に形成されており、大径部112の内径が小径部211よりも大きくなっている。そのため、大径部112と小径部111の間には、外部を向く環状の段113が形成されている。
【0043】
小径部111の内径は、例えば、1.0~3.0mmとすることができる。一方、大径部112の内径は、小径部111よりも大きく、5~15mmとすることができる。5mm以上とすることで、それに併せて小径部111を確保できるため、後述するように、内部空間100を真空状態にするときの空気の排出を効率的に行うことができる。また、後述するように、接着剤6を載せる段113のスペースを確保することができ、これによって接着剤6が溶融前に小径部111を塞ぐのを防止することができる。一方、15mm以内とすることで、貫通孔11を目立たなくすることができる。
【0044】
また、大径部112と小径部111の径の差は、例えば、3~20mmとすることができる。径の差を3mm以上とすることで、後述するように、接着剤6を配置するスペースを適切に確保することができる。また、径の差が大きすぎると見栄えが悪くなるため、20mmを上限とすることが好ましい。
【0045】
また、大径部112の深さ、つまり軸方向の長さは、例えば、0.5~1.5mmとすることができる。
【0046】
第2ガラス板2は、第1ガラス板1と同じ材料で形成することができる。上述したように、第2ガラス板2は、第1ガラス板1よりもやや大きく、その周縁において、第1ガラス板1からはみ出した部分に、上述した封止材4が配置され、この封止材4によって、両ガラス板1,2の周縁の隙間が封止される。
【0047】
また、各ガラス板1,2は、化学強化、風冷強化などの強化を施したガラス板であってもよい。特に、第2ガラス板2には、貫通孔が形成されていないため、後述する封止材や接着剤の加熱工程において強化の程度が低下するのを防止することができるため、強化を施すことが好ましい。風冷強化は、コストの観点から化学強化よりも有利であるものの、後述する封止材4や接着剤6の加熱工程で強化の程度が低下するおそれがある。これに対して、化学強化は,加熱工程においても、強化の程度が低下するのを抑制することができる。
【0048】
なお、両ガラス板1,2の間に配置される複数のスペーサ3は、両ガラス板1,2の間の距離を一定に保つためのものであり、透明または半透明の公知のものを用いることができる。両ガラス板1,2の距離、つまり内部空間100の厚みは例えば、0.1~2.0mmとすることができる。
【0049】
<3.カバー>
カバー5は、円板状に形成されており、その外径は、第1ガラス板1の貫通孔11の大径部112のよりも小さく、小径部111よりも大きくなっている。したがって、カバー5は、大径部112と小径部111との間の段113に配置されるようになっている。後述するように、減圧工程においては、カバー5と貫通孔11の間から空気を吸引するため、カバー5の外周面と大径部112の内周面との間には、隙間が必要である。そのため、カバー5は、大径部112の内径よりも0.2~1.5mmmm小さい外径とすることが好ましい。
【0050】
また、カバー5の厚みは、大径部112の深さよりも小さくされており、例えば、大径部112の深さとカバー5の厚みとの差が0.4~0.7mmであることが好ましい。後述するように、カバー5の表面は、第1ガラス板1の表面と概ね同一平面上に配置されるため、大径部112の深さとカバー5の厚みとの差が、上述した接着剤6の厚みとなる。したがって、例えば、この差が0.4mmよりも小さいと、接着剤6の厚みが小さくなるため、接着強度が低下するおそれがある。一方、この差が0.7mmより大きいと、接着剤6の厚みが大きくなるが、そのようにすると、後述するように接着剤6を溶融させるための熱が接着剤6に均一に伝達されず、接着強度が低下するおそれがある。また、カバー5の厚み、あるいは第1ガラス板1の厚みが薄くなり、割れが生じる可能性がある。
【0051】
カバー5を構成する材料は、非通気性で、接着剤6及び封止材4を溶融する際の加熱温度よりも高い融点を有していれば、特には限定されないが、第1ガラス板1と同じ熱膨張率を有する材料で形成されていることが好ましく、特に、第1ガラス板1と同じ材料であることが好ましい。これにより、カバー5と接着剤6との熱膨張の差、及び第1ガラス板1と接着剤6との熱膨張の差を同じにすることができ、後述する製造工程において、第1ガラス板1やカバー5が割れるのを防止することができる。
【0052】
<4.接着剤>
接着剤6は、カバー5を第1ガラス板1に接着できるのであれば、特には限定されないが、例えば、低融点ガラス、金属半田を含有したものを用いることができる。低融点ガラスは、例えば、鉛系、リン酸スズ系、ビスマス系、またはバナジウム系を採用することができる。低融点ガラスには、添加剤としてフィラーなどを含有することができる。また、これらは結晶性または非結晶性のいずれであってもよい。非結晶性の低融点ガラスは、後述するように減圧工程において発泡するが、流動性がよいため、カバー5を固定しやすい。一方、結晶性の低融点ガラスは、減圧工程において発泡しがたいため、封止性能が高いが、流動性が低いおそれがある。
【0053】
なお、非結晶性のバナジウム系の低融点ガラスは、融点が低いため、扱いやすいが、高温下で使用すると、一部が結晶化し、熱膨張率が増大するため、かえって扱いにくくなるおそれがある。一方、非結晶性のビスマス系の低融点ガラスは、融点はバナジウム系の低融点ガラスより高いが、高温下でも結晶化する可能性が低いため、扱いやすいという利点がある。
【0054】
ここでいう低融点とは、例えば、500℃以下の融点をいう。接着剤6の融点が500℃を超えると、後述するヒーター92での加熱時間が長くなり生産性が低下するおそれがある。また、融点が低すぎると、後述するように、封止材4を溶融するときに接着剤6が溶融してしまい、貫通孔11が塞がれてしまう。そのため、封止材4の融点よりも、例えば、10~50℃高い融点を有することが好ましい。
【0055】
また、接着剤6は後述するように、溶融した後、冷却して固化するが、固化したときの接着剤6の収縮により第1ガラス板1が割れるのを防止するため、例えば、室温から300℃まで温度を上昇させたときに、第1ガラス板1の熱膨張率と接着剤6の熱膨張率との差が、20×10-7mm/℃以下であることが好ましい。なお、上記のように接着剤6にガラスが含有されていると、接着対象となる第1ガラス板1と同質になるため、熱膨張率の差を特に小さくすることができる。これにより、例えば、接着剤6を加熱して固定する場合には、第1ガラス板1との熱膨張率の差が小さいため、割れを抑制することができる。
【0056】
接着剤6の厚みは、最終製品となったときに、大径部112の深さとカバー5の厚みとの差となるようにしておく。後述するように、接着剤6は、加熱して溶融し、その後、冷却して固化させる。そのため、接着剤6の加熱前の厚みは、加熱後よりも大きくすることができる。また、接着剤6が加熱され溶融するときに、例えば、空気が進入することで接着剤6が膨張する場合もある。このような場合は、接着剤6の加熱前の厚みは、加熱後よりも小さくすることができる。
【0057】
また、接着剤6は、貫通孔11の段113に直接配置してもよいが、予めカバー5に取り付け、そのカバー5を貫通孔11に取り付けてもよい。この場合、接着剤6は、仮焼成によりカバー5に固定することができる。例えば、接着剤6として、ビスマス系の低融点ガラスを用いる場合には、420~460℃程度で、仮焼成することができる。あるいは、インクジェットなどの印刷によってカバー5に取り付けることもできる。印刷による場合には、接着剤6の厚みは、例えば、0.2mm以下とすることができる。
【0058】
接着剤6の形状は、貫通孔11の段113に配置されるような位置、形状に形成されていればよいが、特に環状に形成することが好ましい。但し、後述するように、減圧工程での空気の通路を確保するため、不連続な環状、例えば、
図3に示すように、C字状(a)、複数の円弧を間隔をおいて組み合わせたもの(b)、放射状に配置したもの(c)など、少なくとも一つの隙間を有するように形成されることが好ましい。
【0059】
<5.封止材>
封止材4は、接着剤6と同様の材料を用いることができる。例えば、封止材4として、非結晶性の低融点ガラスを用いると、流動性が高いため、両ガラス板1,2の隙間に封止材4を流し込みやすく、好ましい。この場合、封止性能を向上するため、封止材4が、第1ガラス板1の端面から、例えば、2~7mm入り込むことが好ましい。上限は7mm入り込む。
【0060】
上記のように封止材4としては、低融点ガラスまたは金属半田を用いることができるが、後述する製造工程を採用する場合には、接着剤6の融点が、封止材4の融点よりも高いことが必要である。例えば、接着剤6及び封止材4がともに、同種の低融点ガラスである場合には、低融点ガラスの量や添加物であるフィラーなどの量を調整することで、接着剤6の融点を封止材4の融点よりも高くすることができる。
【0061】
この観点から、例えば、封止材4として低融点ガラスを用いる場合には、接着剤6として、低融点ガラスよりも融点の低い金属半田を用いることはできない。その一方で、封止材4及び接着剤6として、ともに金属半田を用いることもできるが、上述したように、接着剤6の融点が高くなるように調整しておくことが必要である。
【0062】
<6.ガラスユニットの製造方法>
次に、ガラスユニットの製造方法について説明する。まず、
図4に示すような構造を組み立てる。すなわち、上記のような貫通孔11が形成された第1ガラス板1と、第2ガラス板2とを準備する。次に、第2ガラス板2上に複数のスペーサ3を配置した後、その上に第1ガラス板1を配置する。
【0063】
また、両ガラス板1,2の周縁の隙間を塞ぐように、第2ガラス板2の周縁に封止用材料40を配置する。これは、溶融、固化する前の封止材4である。
【0064】
また、上述したように、カバー5の一方の面にC字状の接着剤6を仮焼成等により取り付けておく。そして、このカバー5を第1ガラス板1の貫通孔11に取り付ける。このとき、接着剤6が、貫通孔11の段113に配置されるようにする。続いて、カバー5の上に、貫通孔11の大径部112よりも大きい円板状の保護プレート7を配置し、さらにに、この保護プレート7上に、錘8を配置する。これにより、保護プレート7を介して、錘8によってカバー5が段113に押圧される。
【0065】
このとき、接着剤6は仮焼成され固化しているため、押し潰されることはなく、接着剤6によって、カバー5と段113の間には隙間が形成されている。また、保護プレート7の下面には、
図5に示すように、十字状の溝71が形成されている。そのため、ガラスユニットの内部空間100と外部とは、貫通孔11の小径部111、接着剤6の不連続部分、大径部112とカバー5との隙間、及び保護プレート7の溝71を介して、空気が流通するようになっている。
【0066】
保護プレート7は、後述するように、熱を通す必要があるため、赤外線の吸収量が少なく、加熱したときの膨張率が低く材料で形成することが好ましい。例えば、石英ガラス、あるいはカバー5やガラス板1,2と同じ材料を用いることができる。なお、保護プレート7は、後述するヒータ-92による輻射熱で接着剤6を加熱することを阻害しない材質であればよく、透明のほか、不透明であってもよい。
【0067】
錘8は、カバー5を塞がないように、保護プレート7の周縁部を押圧するような形状とすることができ、例えば、ドーナツ型に形成したものとすることができる。但し、錘8は、上述した空気の流路を確保するような形状とする必要がある。すなわち、保護プレート7の溝71が外部に開放されるような構造にする必要がある。
【0068】
このように、保護プレート7と錘8を配置した後、これらを覆うようにカップ状の閉鎖部材9を第1ガラス板1の上面に取り付ける。これにより、貫通孔11を含む閉鎖部材9で囲まれた空間が密閉される。また、この閉鎖部材9の上部には、開口91が形成されており、この開口91は真空ポンプ(図示省略)に接続され、内部空間の減圧を行うようになっている。さらに、閉鎖部材9の内部において、保護プレート7の上方には、タングステン等のヒーター92が設けられており、このヒーター92によって、接着剤6が加熱されるようになっている。
【0069】
こうして、閉鎖部材9が取り付けられた後、これらを加熱炉(図示省略)に配置し、加熱を行う。まず、封止用材料40の融点以上に加熱を行い、封止用材料40を溶融する。溶融した封止用材料40は、両ガラス板1,2の周縁の隙間に入り込む。封止用材料40として、例えば、ビスマス系低融点ガラスを用いる場合には、470℃程度に加熱する。その後、加熱炉の温度を、例えば、380~460℃程度まで低下し、封止用材料40を固化していく。このときの加熱温度は、接着剤6の融点よりも低いため、接着剤6は溶融しない。したがって、上述した空気の流路は確保されている。なお、封止用材料40を加熱する手段は、特には限定されず、輻射加熱、レーザによる加熱、誘導加熱等を採用することができる。特に、封止用材料40が金属である場合には、誘導加熱を採用することができる。
【0070】
続いて、真空ポンプを駆動し、減圧を行う。すなわち、上述した空気の流路を通じて、内部空間100の減圧が行われる。内部空間100の圧力が、例えば、0.1Pa以下となれば、真空状態と見なすことができる。
【0071】
この減圧工程によって、両ガラス板1,2が互いに近接する方向に力が作用し、封止用材料40も同時に押しつぶされる。これにより、封止用材料40内部の空隙を消失させることができるため、封止材4を介した気体のリークを防止することができる。したがって、減圧は、封止用材料40が完全に固化する前の温度で開始することが好ましく、これを考慮して上述した封止用材料を固化するための温度(上記の例では380~460℃)を決定することができる。例えば、封止用材料40の融点よりも50~150℃低い温度になったときに、減圧を行うことができる。なお、封止用材料40が、例えば、金属ハンダを用いる場合には、上述の380~460℃によらず封止用材料40を固化させていくことができる。
【0072】
これに続いて、ヒーター92を駆動し、接着剤6を加熱する。接着剤6が、例えば、ビスマス系の低融点ガラスにより形成されている場合には、ヒーター92により、接着剤6の温度が500℃程度になるようにする。これにより、接着剤6が溶融し、錘8による押圧も手伝って、接着剤6が押し潰されていく。その結果、C字状の接着剤6が環状に変形し、カバー5と接着剤6により、貫通孔11の小径部111が気密に密閉される。こうして、内部空間100の真空状態が維持される。その後、ヒーター92の駆動を停止し、全体を徐冷すると、封止用材料40が完全に固化し、封止材4として両ガラス板1,2の周縁の隙間を封止する。以上の工程により、ガラスユニットが完成する。なお、接着剤6が加熱できるのであれば、上述したヒーター92以外の装置を用いてもよい。
【0073】
<7.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)カバー5を接着剤6により第1ガラス板1に固定しているため、従来例のようにカバーに直接レーザ光を照射するのに比べ、第1ガラス板1あるいはカバー5の温度分布の差が生じにくく、割れを防止することができる。また、レーザ光を照射するための大型の装置が不要であり、内部空間100の減圧と貫通孔11の閉鎖を簡易に行うことができる。
【0074】
(2)接着剤6として非結晶性の低融点ガラスを用いた場合、流動性の制御など取り扱いやすく、カバー5によって貫通孔11をしっかりと塞ぐことができる。その一方で、非結晶性の低融点ガラスは、減圧時に発泡するおそれがあるが、接着剤6は、カバー5と段113との間に挟まれているため、発泡が抑制される。そのため、接着性能の低下や、接着剤6からの気体のリークを防止することができる。
【0075】
(3)上記製造工程において、カバー5全体を覆う保護プレート7を用いると、ヒーター92による加熱時に、カバー5内の温度分布を概ね均一にすることができる。例えば、保護プレート7を用いることなく、錘8で直接カバー5を押圧すると、カバー5において、錘8が接している部分と接していない部分とで温度の差が生じ、カバー5が割れるおそれがあるが、保護プレート7を用いることで、そのような割れを防止することができる。但し、保護プレート7は必須ではなく、温度分布を考慮し、錘8だけでカバーを押圧することもできる。
【0076】
<8.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は、適宜、組み合わせ可能である。
【0077】
<8-1>
上記実施形態では、カバー5と第1ガラス板1の表面とが概ね同一平面上に位置するように、調整しているが、これに限定されない。すなわち、両者が同一平面上にあれば好ましいが、カバー5が第1ガラス板1の表面からやや突出したり、あるいは貫通孔11内にやや窪むように配置されてもよい。例えば、カバー5と第1ガラス板1の表面との差が、1.0mm以内とすることができる。特に、カバー5が第1ガラス板1の表面から内側に位置していると、後述する
図7に示す周縁部材500を取り付けるときの邪魔にならない。
【0078】
この観点から、例えば、
図6に示すように、カバー5の厚みが薄ければ、カバー5を第1ガラス板1の表面に配置することもできる。この場合、カバー5の厚みは、0.3~0.6mmであることが好ましい。また、接着剤は、上記実施形態と同様に、段113に配置されるが、上記工程を採用する場合、空気の流路を確保するため、加熱前の接着剤6の厚みは、大径部112の深さよりも大きいことが必要である。
【0079】
<8-2>
貫通孔11の形状は特には限定されず、少なくとも上記のような段113が形成されるように小径部111と大径部112とを有していればよく、平面形状は円形のほか、多角形状などでもよい。また、カバー5を大径部112に収容する態様の場合は、大径部112に収容できる形状であればよいが、
図6に示すように、第1ガラス板1の表面に配置する場合には、特には限定されない。
【0080】
<8-3>
上記実施形態では、第2ガラス板2を第1ガラス板1よりも大きくしているが、同じ形状であってもよい。この場合、封止材4は、両ガラス板1,2の周縁の隙間に充填される。
【0081】
<8-4>
ガラスユニットの周縁には、グレージングチャネルのような周縁部を保護する周縁部材を取り付けることもできる。例えば、
図7に示す周縁部材500は、第1ガラス板1の周縁部に当接する板状の第1部位501と、第2ガラス板2の周縁部に当接する板状の第2部位502と、これら第1部位501及び第2部位502を連結する板状の連結部位503を備えた断面U字状に形成されている。このような周縁部材500は、接着剤や両面テープなどで各ガラス板の表面あるいは端面に固定される。
【0082】
また、この周縁部材500の第1部位501は、
図7に示すように、カバー5を塞ぐように配置することができる。これにより、カバー5が見えるのを防止することができる。あるいは、
図8に示すように、カバー5を塞がないように配置することができる。これにより、例えば、周縁部材500の取付時に、第1部位501によりカバー5が傷ついたり、カバー5が外れたりするのを防止することができる。
【0083】
<8-5>
上記のようにガラスユニットを製造した後、第1ガラス板1上に、中間膜、第3ガラス板をこの順で配置し、公知のオートクレーブによりこれらを固定することで、第1ガラス板1、中間膜、及び第3ガラス板による合わせガラスを形成することもできる。中間膜は、合わせガラスで用いられる公知の樹脂フィルムを用いることができ、第3ガラス板は、第1ガラス板1と同様のガラス板を用いることができる。
【0084】
上記のように、カバー5が第1ガラス板1の表面と略同一平面上にあれば、カバー5が邪魔にならず、中間膜60及び第3ガラス板70を積層することができる。よって、上記のように強化が施された第1ガラス板1を用いる以外に、合わせガラスを形成することで、本発明に係るガラスユニットを安全ガラスとすることができる。
【0085】
<8-6>
第1ガラス板1及び第2ガラス板2の少なくとも一方に、公知のLow-E膜を積層することもできる。
【0086】
<8-7>
両ガラス板1,2の間を所定間隔にする方法は種々の方法があり、上記のように両ガラス板1,2の間に複数のスペーサ3を設けるほか、両ガラス板1,2の周縁部のみにスペーサを設けることもできる。
【0087】
<8-8>
上記実施形態では、両ガラス板1,2の間の内部空間を真空状態に減圧しているが、減圧に代えて、例えば、アルゴン、キセノンなどの不活性ガスを注入することもできる。この場合、内部空間100の厚みは5mm程度にすることが好ましい。また、不活性ガスを注入することで、スペーサ3が不要となる効果を奏する。なお、不活性ガスを注入した場合には、真空状態よりもやや遮熱性能が低下するが、実用には耐えうる遮熱性能は維持することができる。
【0088】
<8-9>
上記実施形態では、大径部112と小径部111との間の段113に接着剤6を配置しているが、これに限定されるものではなく、例えば、カバー5の底面全体、カバー5の外周面などに接着剤を配置することもできる。
【0089】
<8-10>
本発明のガラスユニットは、遮熱性能が要求される建物の窓ガラスのほか、装置(例えば、冷蔵庫などの装置)の外面に装着されるカバーガラスとして用いることができる。また、第1ガラス板1及び第2ガラス板2のいずれを、装着される装置、建物などの外側を向くように配置してもよいが、貫通孔11が形成された第1ガラス板1は、第2ガラス板2と比べて強度が低いため、第2ガラス板2を外側に向けることが好ましい。
【0090】
<8-11>
上記実施形態では、貫通孔11を、軸方向に連続する大径部112及び小径部111により構成したが、径が一定の貫通孔であってもよい。この場合、
図9に示すように、カバー5は、貫通孔11に挿入される小径部51と、第1ガラス板1の表面に配置され、貫通孔11よリも大きい大径部52とが一体となったものとすることができる。また、接着剤6は、大径部52の下面に塗布され、第1ガラス板1の表面に接着される。このとき、減圧時の空気の流路を確保するため、小径部51は、貫通孔11の内径よりも小さくしたり、あるいは外周面に溝を形成することが好ましい。また、接着剤6も上述したような平面視C字状に形成して空気の流路を確保することが好ましい。あるいは、小径部をなくし、大径部52だけでカバー5を構成してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 第1ガラス板
11 貫通孔
111 小径部
112 大径部
113 段
2 第2ガラス板
4 封止材
5 カバー
6 接着剤