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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】前酵素組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/48 20060101AFI20240426BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A61K38/48 100
A61P35/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018524804
(86)(22)【出願日】2016-11-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 AU2016051082
(87)【国際公開番号】W WO2017079802
(87)【国際公開日】2017-05-18
【審査請求日】2019-10-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】2015904678
(32)【優先日】2015-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】62/321,377
(32)【優先日】2016-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512104834
【氏名又は名称】プロパンク・ピーティーワイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ケンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・ブラント
【合議体】
【審判長】光本 美奈子
【審判官】冨永 みどり
【審判官】岡山 太一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-508307(JP,A)
【文献】Novak, J.F. et al.,Anticancer Research,2005,Vol.25,pp.1157-1178
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus、MEDLINE、BIOSIS、EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含む、ヒトにおける癌を治療するための組合せ物であって、キモトリプシノーゲンを3.5mg/kg以上41mg/kg以下の量で静脈内投与し、およびトリプシノーゲンを0.6mg/kg以上7mg/kg以下の量で静脈内投与するための、組合せ物。
【請求項2】
前記キモトリプシノーゲンの量が、10mg/kg、20mg/kg、または40mg/kg超であり、および/または、
前記トリプシノーゲンの量が、1.5mg/kg、3mg/kg、または6mg/kg超である、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項3】
前記癌が、膵臓癌、食道癌、結腸癌、腸癌、前立腺癌、卵巣癌、胃癌、乳癌、悪性黒色腫または肺癌から選択される、請求項1または2に記載の組合せ物。
【請求項4】
キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンが、約4:1~8:1、約5:1~7:1、または約6:1の範囲の重量比で投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項5】
ヒトにおける癌の治療のための医薬品の製造におけるキモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンの使用であって、前記医薬品は、キモトリプシノーゲンを3.5mg/kg以上41mg/kg以下の量で静脈内投与し、およびトリプシノーゲンを0.6mg/kg以上7mg/kg以下の量で静脈内投与するために適合されている使用。
【請求項6】
前記キモトリプシノーゲンの量が、10mg/kg、20mg/kg、または40mg/kg超であり、および/または、
前記トリプシノーゲンの量が、1.5mg/kg、3mg/kg、または6mg/kg超である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記癌が、膵臓癌、食道癌、結腸癌、腸癌、前立腺癌、卵巣癌、胃癌、乳癌、悪性黒色腫または肺癌から選択される、請求項5または6に記載の使用。
【請求項8】
医薬品が、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを、約4:1~8:1、約5:1~7:1、または約6:1の範囲の重量比で含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
アミラーゼを含有しない、請求項1~4のいずれか一項に記載の組合せ
【請求項10】
アミラーゼを含有しない、請求項5~8のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、両方の出願の全内容が参照により全体として本明細書に組み込まれる豪州仮特許出願第2015904678号明細書および米国仮特許出願第62/321377号明細書からの優先権を主張する。
【0002】
本出願は、癌を治療するための組成物、方法、使用およびキットに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、癌の治療におけるプロテアーゼの使用が示唆されてきた。最初に、新鮮膵臓酵素抽出物が考えられる癌療法として企図され、いくつかの良好な実験がJersenマウス肉腫モデルを用いて実施された。マウスにプロテアーゼ酵素トリプシンを注射した後、腫瘍の退縮が観察された。得られた結果は非常に興味が注がれるものであり、ヒト癌患者を治療して腫瘍進行を低減させ、生存時間を延長させるためにヒツジ膵臓から調製された粗製酵素抽出物が使用された。
【0004】
前酵素(酵素の不活性前駆体形態)の使用は、酵素の経口投与が直面する課題の克服を試みるために使用され、結果は様々であった。セリンプロテアーゼ阻害物質トリプシンの前酵素形態であるトリプシノーゲンを含む前酵素混合物は癌腫の治療において有用であることが示されており、腫瘍細胞の表面において選択的に活性化されると考えられている。トリプシンの作用機序は、腫瘍細胞のタンパク質分解として生じると考えられている。キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含む組成物は、癌、例として、膵臓癌および結腸癌についてのアッセイにおいて有効であることが示されている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、新たな、または改善された癌治療を提供することが必要とされている。
【0006】
本明細書における任意の従来技術への言及は、いかなる管轄においてもこの従来技術が共通一般知識の一部を形成するという認識でも示唆でもなく、またはこの従来技術が当業者により理解され、関連するとみなされ、および/もしくは他の従来技術の一部と組み合わされることが妥当に予測され得るという認識でも示唆でもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2011/047434号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、キモトリプシノーゲン、トリプシノーゲンおよび薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体を含む、癌を治療するための組成物であって、キモトリプシノーゲンを0.1mg/kg以上の量で、およびトリプシノーゲンを0.02mg/kg以上の量で投与するために適合されている組成物を提供する。
【0009】
本発明はまた、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含む、対象における癌を治療するための組成物であって、キモトリプシノーゲンを1mg/kg超の量で、およびトリプシノーゲンを0.2mg/kg超の量で含む組成物を提供する。
【0010】
本発明の任意の態様において、組成物は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含み、またはそれらからなり、キモトリプシノーゲンの量は、1.5mg/kg、2mg/kg、3.5mg/kg、5mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、135mg/kg、250mg/kgまたは500mg/kg超である。キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンの量は、本明細書、例として、表1、4、8、10および実施例、特に実施例5に記載の任意のmg/kg値以上であり得る。
【0011】
本発明の任意の態様において、ヒトにおける癌を治療するための組成物は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含み、またはそれらからなり、キモトリプシノーゲンの量は、0.1mg/kg、0.15mg/kg、0.25mg/kg、0.4mg/kg、1.2mg/kg、3.5mg/kg、10mg/kg、20mg/kgまたは40mg/kg超である。キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンの量は、本明細書、特に実施例5に記載の任意のmg/kg値以上であり得る。
【0012】
本発明の任意の態様において、組成物は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含み、またはそれらからなり、トリプシノーゲンの量は、0.25mg/kg、0.4mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、20mg/kg、40mg/kgまたは80mg/kg超である。キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンの量は、本明細書、例として、表1、4、8、10および実施例、特に実施例5に記載の任意のmg/kg値以上であり得る。
【0013】
本発明の任意の態様において、ヒトにおける癌を治療するための組成物は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含み、またはそれらからなり、トリプシノーゲンの量は、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.2mg/kg、0.6mg/kg、1.5mg/kg、3mg/kgまたは6mg/kg超である。キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンの量は、本明細書、特に実施例5に記載の任意のmg/kg値以上であり得る。
【0014】
本発明は、キモトリプシノーゲン、トリプシノーゲンおよび薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体を含む、対象における癌を治療するための医薬組成物であって、キモトリプシノーゲンを1mg/kg超の量で、およびトリプシノーゲンを0.2mg/kg超の量で、または本明細書、特に実施例5に記載の任意の他の量を超える量で含む医薬組成物を提供する。一実施形態において、組成物中に存在する唯一の活性抗腫瘍成分は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンである。
【0015】
本発明は、活性成分としてキモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含む、対象における癌を治療するための医薬組成物であって、薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体をさらに含み、キモトリプシノーゲンを1mg/kg超の量で、およびトリプシノーゲンを0.2mg/kg超の量で、または本明細書、特に実施例5に記載の任意の他の量を超える量で含む医薬組成物を提供する。一実施形態において、組成物中に存在する唯一の活性抗腫瘍成分は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンである。
【0016】
本発明は、主成分としてキモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含む、対象における癌を治療するための医薬組成物であって、薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体をさらに含み、キモトリプシノーゲンを1mg/kg超の量で、およびトリプシノーゲンを0.2mg/kg超の量で、または本明細書、特に実施例5に記載の任意の他の量を超える量で含む医薬組成物を提供する。一実施形態において、組成物中に存在する唯一の活性抗腫瘍成分は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンである。
【0017】
本発明は、キモトリプシノーゲン、トリプシノーゲンおよび薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体を含む、対象における膵臓癌を治療するための医薬組成物であって、キモトリプシノーゲンを少なくとも10mg/kg超、好ましくは、13mg/kg超の量で、およびトリプシノーゲンを1.5mg/kg超、好ましくは、2mg/kg超の量で含む医薬組成物を提供する。好ましくは、キモトリプシノーゲンは、41mg/kg以下の量であり、トリプシノーゲンは7mg/kg以下の量である。
【0018】
本発明は、キモトリプシノーゲン、トリプシノーゲンおよび薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体を含む、対象における卵巣癌を治療するための医薬組成物であって、キモトリプシノーゲンを3mg/kg超、好ましくは、4mg/kg超の量で、およびトリプシノーゲンを0.4mg/kg超、好ましくは、0.7mg/kg超の量で含む医薬組成物を提供する。好ましくは、キモトリプシノーゲンは、13mg/kg以下の量であり、トリプシノーゲンは、2.2mg/kg以下の量である。
【0019】
本発明はまた、対象における癌の治療において使用される医薬組成物であって、キモトリプシノーゲン、トリプシノーゲンおよび薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体を含み、キモトリプシノーゲンを1mg/kg超の量で、およびトリプシノーゲンを0.2mg/kg超の量で、または本明細書、特に実施例5に記載の任意の他の量を超える量で含む医薬組成物を提供する。
【0020】
本発明はまた、対象における癌の治療において使用される、キモトリプシノーゲン、トリプシノーゲンおよび薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体を含む医薬組成物であって、キモトリプシノーゲンを1mg/kg超の量で、およびトリプシノーゲンを0.2mg/kg超の量で、または本明細書、特に実施例5に記載の任意の他の量を超える量で含む医薬組成物を提供する。
【0021】
本発明はまた、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含む単位用量組成物であって、単位用量は、キモトリプシノーゲンを6mg/kg以上の量で、およびトリプシノーゲンを1mg以上の量で、または本明細書に記載の任意の他の量以上の量で投与するために適合されている組成物を提供する。好ましくは、キモトリプシノーゲンは、9mg、15mg、24mg、72mg、210mg、600mg、1200mg、2400mg以上の量である。好ましくは、トリプシノーゲンは、1.5mg、3mg、3.5mg、12mg、36mg、90mg、180mgまたは360mg以上の量である。
【0022】
本発明はまた、癌の治療において使用される組成物であって、トリプシノーゲンを0.25mg/mlの濃度において、およびキモトリプシノーゲンを1.5mg/mlの濃度において含む組成物を提供する。好ましくは、トリプシノーゲンは、4.3、8.7または30mg/mlの濃度であり、キモトリプシノーゲンは、25、50または100mg/mlの濃度である。トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンは、本明細書に記載の任意の他の濃度、例えば、実施例に記載のものであり得る。
【0023】
本発明の任意の態様において、医薬組成物は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含み、それらからなり、またはそれらを投与するために適合されており、キモトリプシノーゲンの量は、1.5mg/kg、2mg/kg、3.5mg/kg、5mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、135mg/kg、250mg/kgまたは500mg/kg超である。キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンの量は、本明細書、例として、表1、4、8、10および実施例、特に実施例5に記載の任意のmg/kg値以上であり得る。
【0024】
本発明の任意の態様において、ヒトに使用される医薬組成物は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含み、それらからなり、またはそれらを投与するために適合されており、キモトリプシノーゲンの量は、0.1mg/kg、0.15mg/kg、0.25mg/kg、0.4mg/kg、1.2mg/kg、3.5mg/kg、10mg/kg、20mg/kgまたは40mg/kg超である。キモトリプシノーゲンの量は、本明細書、特に実施例5に記載の任意のmg/kg値以上であり得る。
【0025】
本発明の任意の態様において、医薬組成物は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含み、それらからなり、またはそれらを投与するために適合されており、投与されるトリプシノーゲンの量は、0.25mg/kg、0.4mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、20mg/kg、40mg/kgまたは80mg/kg超である。トリプシノーゲンの量は、本明細書、例として、表1、4、8、10および実施例に記載の任意のmg/kg値以上であり得る。
【0026】
本発明の任意の態様において、ヒトに使用される医薬組成物は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含み、それらからなり、またはそれらを投与するために適合されており、投与されるトリプシノーゲンの量は、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.2mg/kg、0.6mg/kg、1.5mg/kg、3mg/kgまたは6mg/kg超である。トリプシノーゲンの量は、本明細書、特に実施例5に記載の任意のmg/kg値以上であり得る。
【0027】
本発明は、キモトリプシノーゲンを1mg/kg超の量で、およびトリプシノーゲンを0.2mg/kg超の量で投与し、それにより癌を治療することを含む、対象における癌を治療する方法を含む。
【0028】
本発明の任意の方法において、24時間の期間にわたり単回投与または複数回投与で投与されるキモトリプシノーゲンの量は、1mg/kg超であるが、500mg/kg未満である。
【0029】
本発明の任意の方法において、24時間の期間にわたり単回用量または複数回用量で投与されるトリプシノーゲンの量は、少なくとも0.2mg/kg超であるが、90mg/kg未満である。
【0030】
本発明は、キモトリプシノーゲンを500mg/kgの量で、およびトリプシノーゲンを83mg/kgの量で投与し、それにより癌を治療することを含む、対象における癌を治療する方法を提供する。好ましくは、癌は、膵臓癌または卵巣癌である。さらにより好ましくは、膵臓癌は、腺癌である。
【0031】
本発明は、キモトリプシノーゲンを40mg/kgの量で、およびトリプシノーゲンを7mg/kgの量で投与し、それにより癌を治療することを含む、ヒトにおける癌を治療する方法を提供する。好ましくは、癌は、膵臓癌である。さらにより好ましくは、膵臓癌は、腺癌である。
【0032】
本発明は、キモトリプシノーゲンを4mg/kgまたは13mg/kgの量で、およびトリプシノーゲンを0.7mg/kgまたは2mg/kgの量で投与し、それにより癌を治療することを含む、ヒトにおける癌を治療する方法を提供する。好ましくは、癌は、卵巣癌である。
【0033】
本発明の任意の方法において、トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの量の投与は、投与1週間後、投与1日後、または好ましくは、投与1時間後に対象においていかなる臨床的に観察可能な有害事象ももたらさない。臨床的に観察可能な有害事象は、体重損失、注射部位における発赤および挙動変化、または本明細書、特に実施例に記載の任意の他の事象の任意の1つ以上であり得る。
【0034】
本発明の任意の態様において、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンは、1:1もしくは約1:1~10:1もしくは約10:1、4:1もしくは約4:1~8:1もしくは約8:1、5:1もしくは約5:1~7:1もしくは約7:1の範囲内、または約6:1の重量比で投与する。さらに、上記の任意の組成物は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを、1:1もしくは約1:1~10:1もしくは約10:1、4:1もしくは約4:1~8:1もしくは約8:1、5:1もしくは約5:1~7:1もしくは約7:1の範囲内、または約6:1の重量比で有する。
【0035】
本発明はまた、癌の治療のための医薬品の製造におけるキモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンの使用であって、医薬品は、キモトリプシノーゲンを1mg/kg超の量で、およびトリプシノーゲンを0.2mg/kg超の量で、または本明細書、特に実施例5に記載の任意の他の量を超える量で投与するために適合されている使用を提供する。
【0036】
本発明はまた、少なくとも1つの投薬単位を含む、癌を治療するためのキットであって、投薬単位は、キモトリプシノーゲン、トリプシノーゲンおよび薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤または担体を含み、投薬単位は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを、本明細書、例として、表1、4、8および10、特に実施例5に記載の任意の量またはmg/kg値以上で投与するために適合されているキットを提供する。
【0037】
場合により、キットは、1mg/kg超の量のキモトリプシノーゲンおよび0.2mg/kg超の量のトリプシノーゲン、または本明細書、特に実施例5に記載の任意の他の量を超える量の投薬単位を投与することを使用者に指示する説明書も含む。
【0038】
本発明の方法および医薬組成物は、癌および転移性癌腫、例として、膵臓癌、食道癌、結腸癌、腸癌、前立腺癌、卵巣癌、脳腫瘍、胃癌、乳癌、肝臓癌、悪性黒色腫または肺癌の治療に有用である。好ましくは、癌は、膵臓癌、結腸癌または卵巣癌である。より好ましくは、癌は、膵臓癌である。
【0039】
本発明の方法または使用の任意の態様において、方法または使用は、癌を有し、またはその発症リスクがある対象を同定するステップをさらに含む。好ましくは、癌は、本明細書に記載のいずれかのものである。
【0040】
本発明の任意の態様において、組成物は、アミラーゼを含有せず、または方法もしくは使用は、アミラーゼを投与しない。
【0041】
本明細書に記載の本発明の任意の態様、実施形態または形態において、投与されるキモトリプシノーゲンの量は、1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、3.5mg/kg、5mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、135mg/kg、250mg/kgまたは500mg/kg以上であり得る。投与されるキモトリプシノーゲンは、本明細書、例として、表1、4、8および10、特に実施例5に記載の任意のmg/kg値以上であり得る。
【0042】
本明細書に記載の本発明の任意の態様、実施形態または形態において、投与されるトリプシノーゲンの量は、0.2mg/kg、0.25mg/kg、0.4mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、20mg/kg、40mg/kgまたは80mg/kg以上であり得る。投与されるトリプシノーゲンは、本明細書、例として、表1、4、8および10、特に実施例5に記載の任意のmg/kg値以上であり得る。
【0043】
本明細書に記載の本発明の任意の態様、実施形態または形態において、ヒトに投与されるキモトリプシノーゲンの量は、0.1mg/kg、0.15mg/kg、0.25mg/kg、0.4mg/kg、1.2mg/kg、3.5mg/kg、10mg/kg、20mg/kgまたは40mg/kg以上であり得る。キモトリプシノーゲンの量は、本明細書、特に実施例5に記載の任意のmg/kg値以上であり得る。
【0044】
本明細書に記載の本発明の任意の態様、実施形態または形態において、ヒトに投与されるトリプシノーゲンの量は、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.2mg/kg、0.6mg/kg、1.5mg/kg、3mg/kgまたは6mg/kg以上であり得る。トリプシノーゲンの量は、本明細書、特に実施例5に記載の任意のmg/kg値以上であり得る。
【0045】
好ましくは、本明細書に記載の本発明の任意の態様、実施形態または形態において、投与されるキモトリプシノーゲンの量は、1mg/kg~41mg/kg、1.5mg/kg~500mg/kg、2mg/kg~250mg/kg、3.5mg/kg~135mg/kg、5mg/kgまたは15mg/kg~45mg/kgの範囲内であり得る。投与されるキモトリプシノーゲンは、本明細書、例として、表1、4、8、10および実施例、特に実施例5に記載の任意の2つのmg/kg値間の範囲内であり得る。
【0046】
好ましくは、本明細書に記載の本発明の任意の態様、実施形態または形態において、投与されるトリプシノーゲンの量は、0.2mg/kg~7mg/kg、0.25mg/kg~80mg/kg、0.4mg/kg~40mg/kg、0.6mg/kg~20mg/kg、0.8mg/kg~8mg/kg、または2.5mg/kg~8mg/kg超であり得る。投与されるトリプシノーゲンは、本明細書、例として、表1、4、8、10および実施例、特に実施例5に記載の任意の2つのmg/kg値間の範囲内であり得る。
【0047】
上記の本発明の任意の組成物において、組成物は、関連するmg、またはmg/kgのキモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを対象に投与するために適合させることができる。
【0048】
本発明はまた、「約」上記の記述値である値を含む上記の本発明の任意の態様を提供する。例えば、本発明のさらなる態様は、500mg/kgへの言及が約500mg/kgである上記態様のいずれかである。これは、本発明の全ての態様または実施形態について、および全ての値について企図される。
【0049】
本発明は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを含む、対象における癌を治療するための組成物であって、キモトリプシノーゲン:トリプシノーゲンの重量比は、8:1超(すなわち、8以上:1)である組成物を提供する。好ましくは、重量比は、10:1超である。好ましくは、重量比は、10:1である。重量比は、8:1、10:1または8:1~10:1であり得る。実施形態のいずれかにおいて、組成物は、好ましくは、アミラーゼを含有せず、すなわち、それは、アミラーゼ不含組成物の投与を含む。
【0050】
本発明は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを投与することを含む、対象における癌を治療する方法であって、キモトリプシノーゲン:トリプシノーゲンの重量比は、8:1超であり、それにより対象における癌を治療する方法を提供する。好ましくは、重量比は、10:1超である。好ましくは、重量比は、10:1である。重量比は、8:1、10:1または8:1~10:1であり得る。一実施形態において、本方法は、アミラーゼの投与を含まず、すなわち、それは、アミラーゼ不含組成物の投与を含む。
【0051】
本発明は、癌の治療のための医薬品の製造におけるキモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンの使用であって、キモトリプシノーゲン:トリプシノーゲンの重量比は、8:1超である使用を提供する。好ましくは、重量比は、10:1超である。好ましくは、重量比は、10:1である。重量比は、8:1、10:1または8:1~10:1であり得る。一実施形態において、医薬品は、アミラーゼを含まない。
【0052】
好ましくは、癌は、膵臓癌、食道癌、結腸癌、腸癌、前立腺癌、卵巣癌、胃癌、乳癌、肝臓癌、悪性黒色腫、線維肉腫または肺癌のいずれか1つ以上である。好ましくは、癌は、卵巣癌、黒色腫、脳腫瘍、前立腺癌、結腸直腸癌、肝臓癌または肺癌である。好ましくは、癌は、膵臓癌、結腸癌または卵巣癌である。より好ましくは、癌は、膵臓癌である。
【0053】
本発明の任意の態様において、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンは、静脈内、皮下または筋肉内投与する。
【0054】
本発明の任意の態様において、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンは、同時または連続投与することができる。
【0055】
文脈がそうでないことを要求する場合を除き、本明細書において使用される用語「含む(comprise)」およびその用語の変形語、例えば、「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「含んだ(comprised)」は、さらなる添加剤も、構成成分も、整数も、ステップも排除するものではない。
【0056】
本発明のさらなる態様および上記段落に記載の態様のさらなる実施形態は実施例として挙げられ、添付の図面を参照して以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】試験番号1の間のそれぞれの群についての平均体重±SEM(g)。処理は、単回静脈内注射として7日間連続で1日1回投与した。処理は、それぞれの群に対して時間差で開始し、最小用量から開始し、次いでそれぞれの後続の日に用量を増加させた。全てのデータ計算および提示について、それぞれの群についての処理の初日を試験0日目と命名する。
図2】試験番号2の間のそれぞれの群についての平均体重±SEM(g)。処理は、単回静脈内注射として7日間連続で1日1回投与した。処理は、それぞれの群に対して時間差で開始し、初日に最小用量から開始し、次いで2日目に用量をトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA、86.8/500mg/kgに増加させた。3日目にトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA、43.4/250mg/kgによる処理を開始した。全てのデータ計算および提示について、それぞれの群についての処理の初日を試験0日目と命名する。
図3】雌C57BL/6マウス中で同所接種されたPan02マウス膵臓癌細胞に対する組合せで投与されるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの抗腫瘍効力を評価するために実施された実施例3に記載の試験におけるPBS対照マウス(第1群、n=8)およびT:C、27.5mg/kg:165mg/kg(第2群、n=9)またはT:C、83.3mg/kg:500mg/kg(第3群、n=10)を受けたマウスの平均腫瘍重量±SEM(mg)の結果。処理は、単回静脈内注射として試験0日目~25日目に1日1回投与した。動物を試験26日目に終了処理した。
図4】雌C57BL/6マウス中で同所接種されたPan02マウス膵臓癌細胞に対する組合せで投与されるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの抗腫瘍効力を評価するために実施された実施例3に記載の試験における26日目の第1群(PBS、10ml/kg、連日、静脈内)のマウスから摘出された腫瘍の画像。
図5】雌C57BL/6マウス中で同所接種されたPan02マウス膵臓癌細胞に対する組合せで投与されるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの抗腫瘍効力を評価するために実施された実施例3に記載の試験における26日目の第2群(T:C、27.5mg/kg:165mg/kg)のマウスから摘出された腫瘍の画像。
図6】雌C57BL/6マウス中で同所接種されたPan02マウス膵臓癌細胞に対する組合せで投与されるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの抗腫瘍効力を評価するために実施された実施例3に記載の試験における26日目の第3群(T:C、83.3mg/kg:500mg/kg)のマウスから摘出された腫瘍の画像。
図7】雌無胸腺ヌードFoxn1nuマウス中で同所接種されたA2780ヒト卵巣癌細胞に対する組合せで投与されるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの抗腫瘍効力を評価するために実施された実施例4に記載の試験における第2群:ビヒクル対照(PBS)、第3群:トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA、83.3/500mg/kg、第4群:トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA、27.5/165mg/kg、第5群:トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA、9.1/54mg/kgにおける平均腫瘍重量±SEM(g)。処理は、単回静脈内注射として1日1回投与した(試験0~20日目)。これらの動物を試験21日目に終了処理した。
図8】雌無胸腺ヌードFoxn1nuマウス中で同所接種されたA2780ヒト卵巣癌細胞に対する組合せで投与されるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの抗腫瘍効力を評価するために実施された実施例4に記載の試験における第2群:ビヒクル対照(PBS)についての試験終了時に摘出された腫瘍の画像。
図9】雌無胸腺ヌードFoxn1nuマウス中で同所接種されたA2780ヒト卵巣癌細胞に対する組合せで投与されるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの抗腫瘍効力を評価するために実施された実施例4に記載の試験における第3群:トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA、83.3/500mg/kgについての試験終了時に摘出された腫瘍の画像。
図10】雌無胸腺ヌードFoxn1nuマウス中で同所接種されたA2780ヒト卵巣癌細胞に対する組合せで投与されるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの抗腫瘍効力を評価するために実施された実施例4に記載の試験における第4群:トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA、27.5/165mg/kgについての試験終了時に摘出された腫瘍の画像。
図11】雌無胸腺ヌードFoxn1nuマウス中で同所接種されたA2780ヒト卵巣癌細胞に対する組合せで投与されるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの抗腫瘍効力を評価するために実施された実施例4に記載の試験における第5群:トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA、9.1/54mg/kgについての試験終了時に摘出された腫瘍の画像。
図12】A2780ヒト卵巣腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果。トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの組合せアッセイは、既に測定されたトリプシノーゲンのIC50(3.174mg/ml)に基づき1:1、1:2、1:4、1:6、1:8および1:10の比において実施した。CDI値は、記載のとおり計算した。
図13】C8161.9ヒト黒色腫細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果。トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの組合せアッセイは、既に測定されたトリプシノーゲンのIC50(3.917mg/ml)に基づき1:1、1:2、1:4、1:6、1:8および1:10の比において実施した。CDI値は、記載のとおり計算した。
図14】DAOYヒト脳腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果。トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの組合せアッセイは、既に測定されたトリプシノーゲンのIC50(2.654mg/ml)に基づき1:1、1:2、1:4、1:6、1:8および1:10の比において実施した。CDI値は、記載のとおり計算した。
図15】DU145ヒト前立腺腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果。トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの組合せアッセイは、既に測定されたトリプシノーゲンのIC50(3.843mg/ml)に基づき1:1、1:2、1:4、1:6、1:8および1:10の比において実施した。CDI値は、記載のとおり計算した。
図16】HCT116ヒト結腸直腸腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果。トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの組合せアッセイは、既に測定されたトリプシノーゲンのIC50(16.43mg/ml)に基づき1:1、1:2、1:4、1:6、1:8および1:10の比において実施した。CDI値を記載のとおり計算した。
図17】Hep3B2.1-7ヒト肝腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果。トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの組合せアッセイは、既に測定されたトリプシノーゲンのIC50(2.483mg/ml)に基づき1:1、1:2、1:4、1:6、1:8および1:10の比において実施した。CDI値は、記載のとおり計算した。
図18】HT-29ヒト結腸直腸腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果。トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの組合せアッセイは、既に測定されたトリプシノーゲンのIC50(15.12mg/ml)に基づき1:1、1:2、1:4、1:6、1:8および1:10の比において実施した。CDI値は、記載のとおり計算した。
図19】HuH-7ヒト肝腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果。トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの組合せアッセイは、既に測定されたトリプシノーゲンのIC50(3.934mg/ml)に基づき1:1、1:2、1:4、1:6、1:8および1:10の比において実施した。CDI値は、記載のとおり計算した。
図20】NCI-H460ヒト肺腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果。トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの組合せアッセイは、既に測定されたトリプシノーゲンのIC50(4.028mg/ml)に基づき1:1、1:2、1:4、1:6、1:8および1:10の比において実施した。CDI値は、記載のとおり計算した。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本明細書に開示および定義される本発明は、本文または図面に挙げられ、またはそれらから明らかな個々の特徴部の2つ以上の全ての代替組合せに及ぶことが理解される。これらの異なる組合せの全ては、本発明の種々の代替態様を構成する。
【0059】
目下、本発明のある実施形態が詳細に参照される。本発明は実施形態とともに記載される一方、本発明は、本発明をそれらの実施形態に限定するものでないことが理解される。対照的に、本発明は、特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内に含まれ得る全ての代替物、改変、および均等物をカバーするものとする。
【0060】
当業者は、本発明の実施において使用することができる、本明細書に記載のものと類似または同等の多くの方法および材料を認識する。本発明は、記載される方法および材料に決して限定されない。本明細書に開示および定義される発明は、本文または図面に挙げられ、またはそれらから明らかな個々の特徴部の2つ以上の全ての代替組合せに及ぶことが理解される。これらの異なる組合せの全ては、本発明の種々の代替態様を構成する。
【0061】
本明細書に言及される特許および刊行物の全ては、参照により全体として組み込まれる。
【0062】
本明細書を解釈する目的のため、単数形で使用される用語は複数形も含み、その逆も同様である。
【0063】
本発明は、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを、従来使用されるよりも顕著に多い量において投与することができるという驚くべき知見に基づく。これは、単回投与において、または1日の期間にわたり生じ得る。驚くべきことに、これらの顕著に多い量のキモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲン(実に100倍多い量)は、いかなる重大な有害臨床事象もなしで投与することができる。さらに、これらのより多い量は、インビボでいくつかの腫瘍タイプの重量を低減させることが示される。本発明は、癌の治療における重要な利益を提供する。それというのも、従来使用されるものよりも多い有効用量のキモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを安全に投与し、それによりより大きい治療ウインドウを提供することができるためである。
【0064】
キモトリプシノーゲン(本明細書において「C」と略記することができる)は、タンパク質を以下のアミノ酸:チロシン、トリプトファン、フェニルアラニンおよびロイシンにおいて優先的に開裂する酵素キモトリプシンの前酵素形態である。キモトリプシンは、キモトリプシンA、キモトリプシンB(例として、B1およびB2形態を)、キモトリプシンC、a-キマロフト(chymarophth)、アバザイム(avazyme)、キマール(chymar)、キモテスト(chymotest)、エンゼオン(enzeon)、クイマール(quimar)、クイモトラーゼ(quimotrase)、α-キマール、α-キモトリプシンA、α-キモトリプシンと称することができ、またはそれらを含む。キモトリプシンCは、ブタキモトリプシノーゲンCから、またはプロカルボキシペプチダーゼAのウシサブユニットIIから形成され得、タンパク質を以下のアミノ酸:チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、ロイシン、メチオニン、グルタミン、およびアスパラギンにおいて優先的に開裂する。キモトリプシノーゲンとしては、キモトリプシノーゲンB1およびキモトリプシノーゲンB2が挙げられる。
【0065】
トリプシノーゲン(本明細書において「T」と略記することができる)は、タンパク質をアルギニンおよびリジンにおいて優先的に開裂するトリプシンの前酵素形態である。トリプシンは、α-トリプシン、β-トリプシン、コクナーゼ、パレンザイム(parenzyme)、パレンジモール(parenzymol)、トリプタール(tryptar)、トリピュア(trypure)、疑似トリプシン、トリプターゼ、トリプセリム(tripcellim)、精子受容体ヒドロラーゼβ-トリプシンと称することができ、またはそれらを含み、トリプシノーゲンから1つのペプチド結合の開裂により形成され得る。さらなるペプチド結合開裂は、αおよび他のアイソフォームを産生する。複数のカチオン性およびアニオン性トリプシンは、多くの脊椎動物の膵臓から、および下等種、例として、ザリガニ、昆虫(コクナーゼ)および微生物(ストレプトマイシン生産菌(Streptomyces griseus)から単離することができる。消化の間の正常のプロセスにおいて、不活性トリプシノーゲンは腸内粘膜中に存在するエンテロペプチダーゼにより活性化され、セリンプロテアーゼであり、次いで塩基性アミノ酸/タンパク質のカルボキシル側上でペプチド結合を開裂するように作用する酵素トリプシンを形成する。
【0066】
本発明の任意の態様において使用されるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンは、単離、精製、実質的に精製された組換え体または合成物であり得る。
【0067】
前酵素トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンは、キモトリプシンクラス3.4.21.1もしくは3.4.21.2またはクラス3.4.21.4からのトリプシンから選択され、または任意の他の好適な資源(国際生化学・分子生物学連合の命名法委員会(Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology)の分類に従ってグループ化されたクラス)から選択される酵素の前駆体であり得る。これらの酵素は市販されており、ヒト、ウシまたはブタ起源のものであり得る。
【0068】
本明細書において使用される「本明細書に記載の任意の他の量」または「本明細書に記載の任意のmg/kg値」は、実施例、例として表1、4、8および10のいずれかに記載の任意の量またはmg/kg値を含む。
【0069】
本発明は、50、60、70、80、90、100kg以上のヒト体重および1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8m以上の体表面積に基づき本明細書において言及されるmg/kgの全ての量についてのヒト変換を含む。具体的には、ヒト投与についての1kg当たりの量、および計算方法は、実施例5において言及される。
【0070】
挙げられるとおり、前酵素形態は、インサイチューで活性型になる酵素の不活性化形態を本質的に提供する(例えば、インビボまたはインビトロ活性化)。例えば、前酵素の活性化(前酵素の活性酵素への変換)は、腫瘍細胞の表面との接触時に生じ得る。前酵素トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンは、腫瘍細胞との接触時で、および健常細胞との非接触時に酵素トリプシンおよびキモトリプシンに選択的に活性されることが考えられている。前酵素の使用は、活性酵素のインサイチューでの提供に伴う課題、例えば、目的とする腫瘍細胞標的への到達前の不所望な反応または酵素の不活性化を低減させる。
【0071】
腫瘍細胞に関連して、プロテアーゼ酵素は、細胞壁のペプチド鎖中に存在するアミド結合を開裂することにより悪性細胞の細胞壁を分解するように作用し得る(タンパク質分解)。非悪性細胞中に存在し、細胞壁の分解における酵素の効果を阻害または低減させるプロテアーゼ阻害物質は、悪性腫瘍細胞中では不存在であることも理解されている。タンパク質分解活性を提供することに加え、プロテアーゼ前酵素は、腫瘍細胞中でのβ-カテニンおよびE-カドヘリンの発現を上方調節し得る。細胞間接着は、細胞表面におけるβ-カテニンおよびE-カドヘリン間の複合体形成または結合により促進され、したがって、β-カテニンおよびE-カドヘリンの発現の増加は細胞間接着の向上をもたらし、それにより腫瘍細胞の転移の低減をもたらす。プロテアーゼ前酵素は、他の細胞活性、例えば、増加した免疫認識または分化の増加も提供し得る。
【0072】
重大な有害事象、体験または反応は任意の好ましくない医療上の出来事であり、それは、任意の用量において死亡をもたらし、生命を脅かし(対象が即死リスクを負う)、対象/対象の入院もしくは入院期間の延長を要求し、長期的もしくは重大な障害、無能力をもたらし、または先天異常/出生異常である。
【0073】
臨床的に観察可能な有害事象は、医薬品を投与された対象または臨床試験対象における任意の好ましくない医療上の出来事である。臨床的に観察可能な有害事象は、本明細書、特に実施例に記載の事象または観察のいずれか1つを含み得る。典型的には、観察の期間は、投与後約1週間、投与後約1日間、または好ましくは、投与後約1時間である。観察の期間は、用量の投与間の時間であり得る。
【0074】
「治療すること」または「治療」は、目的が癌またはその拡散(転移)を予防、改善、低減または減速(減弱)させる治療的治療および予防的または防止的措置の両方を指す。
【0075】
本発明の任意の方法において、以下の効果の1つ以上:悪性腫瘍の再発の低減、悪性腫瘍の転移の低減、腫瘍の数またはサイズの低減、腫瘍細胞の分化、細胞間接着を促進するための悪性腫瘍中でのβ-カテニンおよびE-カドヘリンの発現、ならびに転移の低減、免疫認識を妨げる腫瘍細胞能の低減を観察することができる。
【0076】
「予防すること」、「予防」、「予防的」または「防止的」は、病態、疾患、障害、または表現型、例として、異常または症状の発生の回避、またはその妨害、それからの防御、またはその発生の保護を指す。予防が必要とされる対象は、病態を発症する傾向があり得る。
【0077】
用語「改善する」または「改善」は、病態、疾患、障害、または表現型、例として、異常または症状の減少、低減または排除を指す。治療が必要とされる対象は、既に病態を有し得、または病態を有する傾向があり得、または病態を予防すべき者であり得る。
【0078】
「対象」は、哺乳動物を含む。哺乳動物は、ヒトであり得、または家畜、動物園用動物、もしくはコンパニオンアニマルであり得る。特に、本発明の方法は、ヒトの医学的治療に好適である一方、それらは、獣医的治療、例として、コンパニオンアニマル、例えば、イヌおよびネコ、ならびに家畜、例えば、ウマ、ウシおよびヒツジ、または動物園用動物、例えば、ネコ科、イヌ科、ウシ科、および有蹄動物の治療にも適用可能であることが特に企図される。対象は、癌または他の障害に罹患していてもよく、癌にも他の障害にも罹患していなくてもよい(すなわち、検出可能な疾患を有さない)。
【0079】
ヒト対象の典型的な体重は、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105または110kg以上であり得る。
【0080】
用語「治療有効量」は、癌またはその拡散(転移)を治療し、予防し、または改善し得る組成物、または組成物中の薬剤もしくは化合物の量を指す。治療有効量は、癌の治療に関して実験的および定型的に決定することができ、平均余命の増加をもたらす。
【0081】
本明細書において使用される「投与するために適合されている」は、トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンを単回投与または複数回投与において規定の量または濃度において投与する能力を有する組成物を指す。
【0082】
本明細書に記載の本発明の方法は、新生物および関連病態、癌、腫瘍、悪性および転移性病態の治療を含む。本発明の方法または医薬組成物により治療することができる固形腫瘍および転移に関連する組織および器官としては、限定されるものではないが、胆管、膀胱、血液、脳、乳房、子宮頸部、結腸、子宮内膜、食道、頭部、頸部、腎臓、咽頭、肝臓、肺、髄質、メラニン、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、腎、網膜、皮膚、胃、精巣、甲状腺、尿路、および子宮が挙げられる。癌は、癌腫であり得、上皮中で、または上皮細胞から発症し得る。癌は、肉腫であり得、結合組織中で発症し得る。
【0083】
本発明の方法および医薬組成物は、以下のタイプの癌および転移性癌腫:膵臓癌、食道癌、結腸癌、腸癌、前立腺癌、卵巣癌、胃癌、乳癌、悪性黒色腫または肺癌の治療に有用である。好ましくは、癌は、膵臓癌、結腸癌または卵巣癌である。より好ましくは、癌は、膵臓癌である。
【0084】
本発明の方法および医薬組成物は、例えば、腫瘍細胞アポトーシス、細胞間接着、分化および免疫原性(免疫系による標的化および除去)を増加させることにより癌を治療する多重効果アプローチを提供し得る。したがって、免疫系を抑制し、または損傷させ得るいかなる他の治療も不存在下で治療を実施することが有益である。
【0085】
本発明の方法または使用には、増殖性障害(例えば、腫瘍)の治療または予防に指向される他の慣用の抗癌治療アプローチを補充することができる。例えば、このような方法は、防止的癌予防、術後の癌再発および転移の予防において、ならびに他の慣用の癌療法のアジュバントとして使用することができる。
【0086】
本発明の医薬組成物は、例えば、慣用の固体または液体ビヒクルまたは希釈剤、ならびに所望の投与方式に適切なタイプの医薬添加剤(例えば、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、着香剤など)を技術、例えば、医薬配合物の分野において周知のものに従って用いることにより配合することができる。
【0087】
本発明の医薬組成物は、任意の好適な手段により、例えば、経口投与で、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤もしくは散剤の形態で;舌下投与で;バッカル投与で;非経口投与で、例えば、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、もしくは嚢内注射もしくは注入技術(例えば、滅菌注射水または非水性液剤もしくは懸濁液として)により;経鼻投与で、例えば、吸入スプレーにより;局所投与で、クリーム剤もしくは軟膏剤の形態で;または直腸投与で、例えば、坐剤の形態で;非毒性の薬学的に許容可能なビヒクルまたは希釈剤を含有する投薬単位配合物で投与することができる。これらは、例えば、即時放出または徐放に好適な形態で、例えば、デバイス、例えば、皮下インプラント、カプセル化スフェロイドまたは浸透圧ポンプの使用により投与することができる。
【0088】
霊長類、例えば、ヒトに加え、種々の他の哺乳動物を第10の態様の方法に従って治療することができる。例えば、哺乳動物、例として、限定されるものではないが、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラットまたは他のウシ科、ヒツジ科、ウマ科、イヌ科、ネコ科、げっ歯類もしくはネズミ種を治療することができる。
【0089】
本明細書において使用される用語「薬学的に許容可能な」は、そのレシピエントに有害でない担体、希釈剤または賦形剤を意味する。
【0090】
用語「の投与」およびまたは「投与すること」は、治療が必要とされる個体への提供を意味すると理解されるべきである。
【0091】
治療が必要とされる個体は、本明細書に記載の癌のいずれか1つを有し、またはそれを発症するリスクがあると診断された個体であり得る。
【0092】
本発明の医薬組成物、およびその製剤または配合物は、組成物の構成成分、すなわち、キモトリプシノーゲンおよびトリプシノーゲンを一緒に混合することにより調製することができる。混合は、連続的または同時に実施することができる。
【0093】
本発明の医薬組成物は、単位剤形で利便的に提供することができ、薬学の分野において周知の方法のいずれかにより調製することができる。全ての方法は、活性剤およびプロテアーゼ前酵素を、1つ以上のアクセサリー成分を構成する担体と会合させるステップを含む。一般に、医薬組成物は、活性剤およびプロテアーゼ前酵素を液体担体または微粉固体担体またはその両方と均等および緊密に会合させ、次いで必要な場合、生成物を所望の配合物に成形することにより調製される。活性剤およびプロテアーゼ前酵素は、単回または反復投与後に疾患のプロセスまたは状態に対する所望の効果を産生するために十分な量の単位剤形で提供される。
【0094】
本発明の医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性もしくは油性懸濁液、分散性散剤または顆粒剤、エマルション、硬もしくは軟カプセル剤、またはシロップ剤もしくはエリキシル剤としての経口使用に好適な形態であり得る。経口使用が意図される組成物は、医薬組成物の製造の分野に公知の任意の方法に従って調製することができ、そのような組成物は、薬学的に洗練され、口当たりが良い製剤を提供するために甘味剤、着香剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される1つ以上の薬剤を含有し得る。錠剤は、第1および第2の態様のプロテアーゼ前酵素および活性剤を、錠剤の製造に好適な非毒性の薬学的に許容可能な賦形剤との混合物で含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;顆粒および崩壊剤、例えば、コーンスターチ、またはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア、および滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。錠剤は、未被覆であり得、またはそれらは、胃腸管中での崩壊および吸収を遅延させ、それにより長期間にわたる持続作用を提供するための公知の技術により被覆されていてよい。例えば、時間遅延材料、例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジアステアレートを用いることができる。これらは、制御放出のための浸透圧治療錠剤を形成するために被覆されていてもよい。
【0095】
経口使用のための配合物は、第1および第2の態様のプロテアーゼ前酵素および活性剤が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合される硬ゼラチンカプセル剤として、または第1および第2の態様のプロテアーゼ前酵素および活性剤が水もしくは油性媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合される軟ゼラチンカプセル剤として提供することもできる。
【0096】
水性懸濁液は、活性剤およびプロテアーゼ前酵素を、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤との混合物で含有する。このような賦形剤は、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル-ピロリドン、n-メチル-ピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴムであり、分散剤または湿潤剤は、天然存在ホスファチド、例えば、レシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと、脂肪酸および無水ヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。水性懸濁液は、1つ以上の保存剤、例えば、エチル、またはn-プロピル、p-ヒドロキシベンゾエート、1つ以上の着色剤、1つ以上の着香剤、および1つ以上の甘味剤、例えば、スクロースまたはサッカリンも含有し得る。
【0097】
油性懸濁液は、活性剤およびプロテアーゼ前酵素を植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油中で、または鉱油、例えば、流動パラフィン中で懸濁させることにより配合することができる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、硬パラフィンまたはセチルアルコールを含有し得る。甘味剤、例えば、上記のもの、および着香剤を添加して口当たりが良い経口製剤を提供することができる。これらは、酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸の添加により保存することができる。
【0098】
水の添加による水性懸濁液の調製に好適な分散性散剤および顆粒剤は、第1および第2の態様のプロテアーゼ前酵素および活性剤を、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1つ以上の保存剤との混合物で提供する。好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、既に上記のものにより例示される。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、着香剤および着色剤も存在し得る。
【0099】
本発明の医薬組成物は、水中油型エマルションの形態でもあり得る。油相は、植物油、例えば、オリーブ油もしくはラッカセイ油、または鉱油、例えば、流動パラフィンまたはそれらの混合物であり得る。好適な乳化剤は、天然存在ゴム、例えば、アカシアゴムまたはトラガカントゴム、天然存在ホスファチド、例えば、ダイズ、レシチン、および脂肪酸および無水ヘキシトールに由来するエステルまたは部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、および前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。エマルションは、甘味剤および着香剤も含有し得る。
【0100】
シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールおよびスクロースと配合することができる。これらは、粘滑剤、保存剤ならびに着香剤および着色剤も含有し得る。
【0101】
本発明の医薬組成物は、無菌注射水性または油性懸濁液の形態であり得る。この懸濁液は、上記の好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して公知の技術に従って配合することができる。第1および第2の態様の医薬組成物は、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液であり得、例えば、1,3-ブタンジオール中溶液としてもよい。用いることができる許容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー液および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油が、溶媒または懸濁化媒体として慣用的に用いられる。この目的のため、任意の無刺激固定油、例として、合成モノまたはジグリセリドを用いることができる。さらに、脂肪酸、例えば、オレイン酸が注射剤の調製において使用される。
【0102】
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、薬物の直腸投与のための坐剤として配合される。これらの配合物は、第1および第2の態様のプロテアーゼ前酵素および活性剤を、常温において固体であるが、直腸温度において液体であり、したがって、直腸中で融解して薬物を放出する好適な無刺激賦形剤と混合することにより調製することができる。このような材料としては、ココアバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。直腸投与は、酵素の経口投与に関連する胃腸管中での腸内肝臓ファーストパス効果を排除するために使用することができる。
【0103】
本発明の医薬組成物は、リポソーム中で配合することもできる。当分野において公知のとおり、リポソームは、一般に、リン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソームは、水性媒体中で分散される単層または多層水和液晶により形成される。リポソームを形成し得る任意の非毒性の生理学的に許容可能で代謝可能な脂質を使用することができる。リポソーム配合物は、安定剤、保存剤、賦形剤などを含有し得る。好ましい脂質は、リン脂質およびホスファチジルコリン、天然物および合成物の両方である。リポソームを形成する方法は、当分野において公知である。
【0104】
本発明の医薬組成物は、投与についての説明書と一緒に容器、パック、または分注器中に含めることができる。医薬組成物のプロテアーゼ前酵素および活性剤、ならびに場合により、追加の活性剤は、本明細書に記載の本発明の使用または方法において同時または異なる時間において別個にまたは一緒に摂取すべき容器、パック、または分注器中で離隔された構成成分として提供することができる。
【0105】
本明細書に開示および定義される本発明は、本文または図面に挙げられ、またはそれらから明らかな個々の特徴部の2つ以上の全ての代替組合せに及ぶことが理解される。これらの異なる組合せの全てが、本発明の種々の代替態様を構成する。
【実施例
【0106】
実施例1
有害臨床事象が観察されず、またはいかなる有害臨床事象も後続の投薬により消散される最大許容および実行可能用量を決定するための投薬試験を完了した。投薬試験プロトコルを以下に設定する。
【0107】
それぞれの処理日に、トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で溶解させて1mg/mLの原液を得た。トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAの要求される濃度の投薬溶液は、原液をPBS中で一緒に希釈してそれぞれの所望の最終濃度に到達させることにより調製した。
【0108】
試験番号1のため、トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAの0.0254/0.1521、0.0381/0.2282、0.0572/0.3423および0.0858/0.5135mg/mLにおける投薬溶液を調製した。
【0109】
この試験のため、処理をそれぞれの群の動物に10mL/kgの投薬容量で、7日間連続で1日1回投与した。それぞれの動物に投与される投薬溶液の容量は、投薬直前に計測された個々の体重に基づき計算し、調整した。
【0110】
試験番号1のため、マウスを体重ごとに4匹のマウスの4つの群に無作為化した。この試験において使用される投薬レジメンを表1にまとめる。トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAを組合せで、単回静脈内尾静脈注射(静脈内)として10mL/Kgの用量において投与した。それぞれの群についてのトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの最終濃度は、0.254/1.521、0.381/2.282、0.572/3.423および0.858/5.135mg/kg(それぞれ第1群、第2群、第3群および第4群)であった。
【0111】
試験番号1におけるそれぞれの群についての処理は時間差で開始し、最小用量のトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAから開始し、次いでそれぞれの後続の試験日に用量を増加させた。全てのデータ計算および提示について、それぞれの群についての処理の初日を試験0日目と命名する。
【0112】
それぞれの試験の初日に、第1群の1匹のマウスをトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAにより最小用量(試験番号1についての0.254/1.521mg/kg)において処理した。処理2時間以内に長期の重度の有害効果が存在しなかったため、それらの群のそれぞれの残り3匹のマウスを同様に処理した。
【0113】
第1群マウスにおける初回処理24時間以内に長期の重度の有害効果が存在しなかったため、第2群の1匹のマウスを試験番号1についてのトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA、0.381/2.282mg/kgにより処理した。この処理の2時間以内に可視的な毒性徴候が存在しなかったため、それらの群のそれぞれの残りのマウスは同一処理を受けた。
【0114】
試験番号1についてのトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAについての残りの2つの用量(0.572/3.423および0.858/5.135mg/kg)について、それぞれ第3群および第4群の動物に対してこの様式で処理を継続した。
【0115】
それぞれの試験のそれぞれの群の全ての動物は、7日間連続の連日処理を受けた。
【0116】
死亡率 死亡率確認を試験の間、1日1回、午前中に実施した。
【0117】
臨床観察 動物を臨床徴候(例えば、不健康、挙動変化)について試験の間、1日2回確認した。
【0118】
体重 体重を、全ての動物について処理初日、次いで処理期間の間、ならびに最終処理後7日間、連日記録した。
【0119】
【表1】
【0120】
臨床観察についての評価基準:
歩行:跛行、不全麻痺、完全麻痺=異常
【0121】
体温:高温または低温=異常
【0122】
呼吸のタイプ:呼吸促迫;表在呼吸または強制呼吸=異常
【0123】
下痢:ケージ床上の軟便、ケージ床上の糞便のプールまたは取扱時の漏れ=異常
【0124】
身体状態(参照文献:Ullman-Cullere & Foltz.Lab.Animal Science 1999;49:319):BC1=動物は衰弱しており;BC2=動物は健康不良状態であり;BC3=動物は健康状態であり;BC4=動物は栄養過剰の健康状態(over-conditioned)であり;BC5=動物は肥満である
【0125】
試験番号1についての臨床観察および有害事象
有害臨床徴候は、試験の間、いずれの動物においても観察されなかった。
【0126】
体重変化
それぞれの群について試験過程(試験0日目~13日目)にわたり平均体重増加が存在した(トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAにより、0.254/1.521、0.381/2.282、0.572/3.423および0.858/5.135mg/kgにおいて処理された動物について初回体重の2.59%、7.48%、7.97%および2.03%;それぞれ第1群、第2群、第3群および第4群(表2および図1)。動物は、体重を初回体重の15%を超えて損失しなかった(表3)。
【0127】
実施例2
驚くべきことに、試験番号1におけるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの量は、上記実施例2の結果から示されるとおり、十分許容された。これは、これらの量が従来使用される量を顕著に上回ることを考慮すると、予期されなかった。これらの結果に関して、トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの組合せの量を従来使用される量よりもかなり多い量において使用してさらなる試験の試験番号2を実施した。
【0128】
試験番号2のため、トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの原液をそれぞれ5および6mg/mLにおいて調製した。原液をPBS中でさらに希釈してトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAの、第1群のための0.256/1.5mg/mlの投薬溶液を調製した。第2群および第3群のため、トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの原液をそれぞれ30および100mg/mLにおいて調製した。
【0129】
原液をPBS中でさらに希釈してトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAの、第2群のための8.68/50mg/ml、および第3群のための4.34/25mg/mlの投薬溶液を調製した。50mg/mlの濃度において、キモトリプシノーゲンAは、尾静脈注射についてほぼ粘度限界であることが留意された。
【0130】
試験番号2のため、12匹のマウスを体重ごとに4匹のマウスの3つの群に無作為化した。試験に使用される投薬レジメンを表4にまとめる。トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンを組合せで、単回静脈内尾静脈注射(静脈内)として10mL/Kgの用量において投与した。それぞれの群についてのトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの最終濃度は、2.6/15、86.8/500および43.4/250mg/kg(それぞれ第1群、第2群および第3群)であった。
【0131】
試験番号2のそれぞれの群についての処理は時間差で開始し、最小用量のトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAから開始し、次いでそれぞれの後続の試験日に用量を増加させた。全てのデータ計算および提示のため、それぞれの群についての処理の初日を試験0日目と命名する。
【0132】
それぞれ試験の初日に、第1群の1匹のマウスをトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAにより最小用量2.6/15mg/kgにおいて処理した。処理2時間以内に長期の重度の有害効果が存在しなかったため、それらの群のそれぞれの残り3匹のマウスを同様に処理した。
【0133】
第1群マウスにおける初回処理24時間以内に長期の重度の有害効果が存在しなかったため、第2群の1匹のマウスをトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA、試験番号2のための86.8/500mg/kgにより処理した。この処理の2時間以内に可視的な毒性徴候が存在しなかったため、それらの群のそれぞれの残りのマウスは同一処理を受けた。
【0134】
試験番号2のためのトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAについての残りの用量(43.4/250mg/kg)について第3群の動物に対してこの様式で処理を継続した。
【0135】
試験番号2についての臨床観察および有害事象
トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAにより2.6/15、および43.4/250mg/kg;それぞれ第1群および第3群)(表5)において処理された動物において有害臨床徴候は観察されなかった。
【0136】
尾上の皮膚の発赤および注射部位における尾静脈中の一時的な微小塊形成は、観察された唯一の有害事象であり、最大用量群(トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA、86.8/500mg/kg)における投薬直後に生じ、次回用量投与の時間までに消散した(表5)。臨床徴候は、適切な用量投与を妨害しなかった。
【0137】
体重変化
それぞれの群について試験過程(試験0日目~13日目)にわたり平均体重増加が存在した(トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンA、2.6/15、86.8/500および43.4/250mg/kgにより処理された動物についての初回体重の6.98%、4.30%および6.61%;それぞれ第1群、第2群および第3群)(表6および図2)。動物は、体重を初回体重の15%を超えて損失しなかった(表7)。
【0138】
【表2】
【0139】
【表3】
【0140】
【表4】
【0141】
【表5】
【0142】
【表6】
【0143】
【表7】
【0144】
【表8】
【0145】
実施例3
雌C57BL/6マウス中で同所接種されたPan02マウス膵臓癌細胞に対する組合せで投与されるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの抗腫瘍効力を評価するための試験を実施した。
【0146】
細胞系
Pan02マウス膵臓腫瘍細胞は、National Cancer Institute(Frederick,MD,USA)から調達した。
【0147】
腫瘍細胞培養
Pan02マウス膵臓腫瘍細胞(作業ストックVP-Stock1235)を、10%のFBS、1%のGlutaMAX(商標)および1%のペニシリン-ストレプトマイシンが補給されたRPMI1640細胞培養培地中で培養し、5%のCOが補給された加湿細胞培養インキュベーター中で37℃において増殖させた。細胞をトリプシン処理により回収し(第7継代)、HBSS中で2回洗浄し、カウントした(トリパンブルー排除を使用)。最終細胞密度をHBSS:Matrigel(商標)(1:1、v/v)により5×10個のPan02細胞/mLに調整した。
【0148】
接種懸濁液中のMatrigel(商標)の使用は、腫瘍の生着率を増加させ得る早期血管化を支持することが公知であり、したがって、腫瘍サイズ変動を減少させる潜在性を有する。
【0149】
腫瘍細胞接種
40匹のC57BL/6雌マウスに腹腔内注射麻酔(ケタミン(14mg/mL)/キシラジン(0.9mg/mL))下で接種した。接種前、切開部位における皮膚を局所ポビドンヨード溶液、次いでアルコールにより拭った。切開を行って膵臓を露出させた。針を膵尾部中に直接導入し、1×10個のPan02細胞からなる20μLの細胞懸濁液を排出させた。
【0150】
外科処置時および翌日に鎮痛のためにマウスにBuprenex(ブプレノルフィンHCl、0.01mg/mL)の200μLのボーラス用量を皮下投与した。
【0151】
腫瘍生着率測定
10匹の無作為に選択された動物(第0群)を接種7日後に安楽死させて膵臓中の腫瘍のサイズおよび生着率を評価した。膵臓を摘出し、腫瘍の存在について試験した。
【0152】
腫瘍の存在は、それらの動物の10匹全ての膵臓中で確認された。
【0153】
無作為化
良好な腫瘍生着率の確認の2日後、30匹の残りの動物を体重に基づき10匹の3つの群に無作為化した(接種9日後;試験0日目)。
【0154】
化合物配合
それぞれの処理日に、トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で溶解させて1mg/mLの原液を得た。トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAの2.75/16.5および8.33/50mg/mL(1:6の比)における投薬溶液を、最初にトリプシノーゲン溶液をPBS中で希釈し、次いでキモトリプシノーゲンAを添加することにより調製した。
【0155】
化合物投与
この試験において使用される投薬レジメンを表8にまとめる。
【0156】
生着率評価のために割り当てられた動物(第0群)は未処理のままとした。
【0157】
ビヒクル対照(PBS;第1群)およびトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA(単回注射での組合せ)を、27.5/165(第2群)および83.3/500mg/kg(第3群)の用量において、1日1回、10mL/kgの投薬容量において静脈内投与した。それぞれの動物に投与される投薬溶液の容量は、投薬直前に計測された個々の体重に基づき計算し、調整した。
【0158】
処理は、試験0日目(接種9日後)に開始した。処理は、第1群、第2群および第3群の動物に26日間連続で投与した。
【0159】
終了手順
全ての生着率評価動物ならびに第1群、第2群および第3群の動物は、承認された標準的手順により二酸化炭素吸入を介して安楽死させた。
【0160】
試料回収
終了時、全ての動物から腫瘍を無傷で膵臓を摘出した。膵臓組織から腫瘍を単離し、秤量し、次いで撮影した(図4~6)。第4群および第5群の試料のそれぞれからの25mgの腫瘍部分を-80℃において貯蔵し、さらなる分析のためにAdaptive Biotechnologies Corp.に輸送した。
【0161】
計算
0日目と、任意の所与の日(X日目)との間の体重の平均変化率(%BW変化)は、式:
%BW変化=平均(BW試験X日目)/平均(BW試験0日目)×100%-100%
(式中、BW試験0日目=0日目における初回値であり、BW試験X日目=X日目の現在値である)
を使用して計算した。
【0162】
対照群に対する処理群についての平均腫瘍重量の変化率は、以下の式:
変化率=((平均対照-平均処理)/平均対照)×100
を使用して計算した。
【0163】
統計的計算
全ての統計的計算は、Prism6Mac OSX版(GraphPad Software Inc,La Jolla,CA,USA)を使用して実施した。
【0164】
全てのデータセットの正規性は、コルモゴロフ・スミルノフ(KS)正規性検定を使用して検定した。
【0165】
対応のあるt検定を使用してそれぞれの群の試験0日目と終了日との間で、処理群内で体重が有意に変化したか否かを決定した。
【0166】
試験終了時における腫瘍重量の比較を、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して第1群と第2群と第3群との間で行った。群間の有意差は、Holm-Sidak多重比較検定を使用して決定した。
【0167】
p値≦0.05を有意であるとみなした。
【0168】
結果および観察
体重変化
ビヒクル対照により26日間処理された動物(PBS;第1群)においてわずかな(有意でない)平均体重損失(初回体重の0.54%)が存在した。
【0169】
全ての他の群は、平均体重増加を示した;トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAにより27.5/165および83.3/500mg/kgにおいて26日間処理された群について初回体重の0.82%および2.72%(それぞれ第2群および第3群)。
【0170】
化合物の効力
ビヒクル対照(PBS;214.8mg;第1群)と比較してトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAにより83.3/500mg/kgにおいて26日間処理された動物における平均腫瘍重量の有意な(p≦0.05)低減(30.2mg;85.9%の阻害率;第3群)が存在したが、トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA、27.5/165mg/kg(196.5mg;8.5%の阻害率;第2群)とビヒクル対照との間では存在しなかった(表9および図3)。
【0171】
結論
27.5/165または83.3/500mg/kgの用量における単回静脈内注射として組合せで投与されるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAによる連日処理の抗腫瘍効力を、雌C57BL/6マウス中で同所接種されたPan02マウス膵臓癌細胞に対して評価した。
【0172】
終了時における腫瘍重量の計測は、この試験における処理26日後、対照処理動物と比較して高用量トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAにより処理された動物における有意な(p≦0.05)抗腫瘍効力を示した。
【0173】
【表9】
【0174】
【表10】
【0175】
実施例4
雌無胸腺ヌードFoxn1nuマウス中で同所接種されたA2780ヒト卵巣癌細胞に対する組合せで投与されるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAの抗腫瘍効力を評価するための試験を実施した。
【0176】
細胞系
A2780ヒト卵巣癌腫細胞は、National Cancer Institute(Frederick,MD,USA)から調達した。
【0177】
腫瘍細胞培養
A2780ヒト卵巣癌細胞(作業ストックVP-Stock1277)を、10%のFBS、1%のGlutaMAX(商標)および1%のペニシリン-ストレプトマイシンが補給されたDMEM中で培養し、5%のCOが補給された加湿細胞培養インキュベーター中で37℃において増殖させた。細胞をトリプシン処理により回収し(第8継代)、HBSS中で2回洗浄し、カウントした(トリパンブルー排除を使用)。最終細胞密度をHBSS:Matrigel(商標)(1:1、v/v)により2.0×10個の細胞/mLに調整した。
【0178】
接種懸濁液中のMatrigel(商標)の使用は、腫瘍の生着率を増加させ得る早期血管化を支持することが公知であり、したがって、腫瘍サイズ変動を減少させる潜在性を有する。
【0179】
腫瘍細胞接種
60匹の無胸腺ヌードFoxn1nuマウスに腹腔内注射麻酔(ケタミン(14mg/mL)/キシラジン(0.9mg/mL))下で接種した。接種前、切開部位における皮膚をアルコールにより拭った。切開を行って卵巣を露出させた。針を卵巣中に直接導入し、1×10個のA2780細胞からなる5μLの細胞懸濁液を排出させた。
【0180】
外科処置時および翌日に鎮痛のためにマウスにBuprenex(ブプレノルフィンHCl、0.01mg/mL)の200μLのボーラス用量を皮下投与した。
【0181】
無作為化
動物を、接種7日後(試験0日目)に体重に基づき12匹の5つの群および24匹の1つの群に無作為化した。
【0182】
化合物配合
トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAを、それぞれの処理日にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で溶解させてそれぞれ30および100mg/mLの原液を得た。トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAの8.33/50、2.75/16.5および0.91/5.4mg/mL(1:6の比)における投薬溶液を、最初にトリプシノーゲン溶液をPBS中で希釈し、次いでキモトリプシノーゲンAを添加することにより調製した。
【0183】
化合物投与
この試験において使用される投薬レジメンを表10にまとめる。
【0184】
第1群の動物は腫瘍生着率評価のために未処理のままとした。
【0185】
ビヒクル対照(PBS;第2群)ならびにトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAを83.3/500、27.5/165および9.1/54mg/kg(それぞれ第3群、第4群および第5群;単回注射での組合せ)の用量において、1日1回、10mL/kgの投薬容量で静脈内尾静脈注射を介して投与した(1群当たり12匹の動物)。それぞれの動物に投与される投薬溶液の容量は、投薬直前に計測された個々の体重に基づき計算し、調整した。処理は、試験0日目に開始し、21日間連続で投与した。
【0186】
腫瘍生着率測定
第1群の未処理動物を処理開始7日後に(接種14日後)に安楽死させて卵巣中の腫瘍のサイズおよび生着率を評価した。
【0187】
12匹全ての動物の卵巣中で腫瘍の存在が確認され、次いで全ての動物について腫瘍を摘出卵巣から単離し、秤量した。腫瘍撮影画像を図8~11に提示する。
【0188】
終了手順
全ての動物は、承認された標準的手順により二酸化炭素吸入を介して安楽死させた(第1群~第5群)。
【0189】
試料回収
終了時、全ての動物から腫瘍を無傷で卵巣を摘出した。卵巣組織から腫瘍を単離し、秤量した。21日間の処理を受けた動物(第2群~第5群)からの腫瘍も撮影した。
【0190】
計算
0日目と、任意の所与の日(X日目)との間の体重の平均変化率(%BW変化)は、式:
%BW変化=平均(BW試験X日目)/平均(BW試験0日目)×100%-100%
(式中、BW試験0日目=0日目の初回値であり、BW試験X日目=X日目の現在値である)
を使用して計算した。
【0191】
対照群に対する処理群についての腫瘍増殖の阻害率は、以下の式:
阻害率=((平均対照-平均処理)/平均対照)×100
を使用して計算した。
【0192】
統計的計算
全ての統計的計算は、Prism6Mac OSX版(GraphPad Software Inc,La Jolla,CA,USA)を使用して実施した。
【0193】
全てのデータセットの正規性は、ダゴスティーノ・パーソンのオムニバス正規性検定を使用して検定した。
【0194】
対応のあるt検定を使用して試験0日目と試験終了との間で、21日間の処理を受けた群(第2群~第5群)内で体重が有意に変化したか否かを決定した。データが正規分布でなかった場合、有意性は、ウィルコクソンの対応のある符号付き順位検定を使用して決定した。
【0195】
試験終了時における腫瘍重量の比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して21日間の処理を受けた群(第2群~第5群)間で行った。
【0196】
p値≦0.05を有意であるとみなした。
【0197】
結果および観察
体重変化
未処理動物において試験0日目と7日目との間で有意な(p≦0.05)平均体重増加が存在した(初回体重の4.33%;第1群)。
【0198】
ビヒクル対照(PBS;初回体重の6.56%;第2群)および全ての用量のトリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA(83.3/500、27.5/165および9.1/54mg/kg;初回体重の8.60%、6.00%および3.89%;それぞれ第3群、第4群および第5群)により21日間処理された群において試験0日目と21日目との間で平均体重増加が存在した。体重増加は、低用量処理(第5群)を除き全ての群において有意であった(p≦0.05)。
【0199】
化合物の効力
ビヒクル対照(PBS;2062.2mg;第2群)と比較して中および低用量トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA(27.5/165および9.1/54mg/kg;957.3および1074.2mg;53.6%および47.9%;それぞれ第4群および第5群)により21日間処理された動物において平均腫瘍重量の有意な(p≦0.05)低減が存在したが、高用量トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンA(83.3/500mg/kg;1762.2mg;14.5%;第3群)では存在しなかった(表11および図7)。
【0200】
生着率評価のために7日目に安楽死させた未処理動物(第1群)についての腫瘍重量は、分析に含めなかった。
【0201】
結論
83.3/500、27.5/165または9.1/54mg/kgの用量における単回静脈内注射として組合せで投与されるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンAによる連日処理の抗腫瘍効力を、雌無胸腺ヌードFoxn1nuマウス中で同所接種されたA2780ヒト卵巣癌細胞に対して評価した。
【0202】
終了時における腫瘍重量の計測は、この試験における21日間の処理後にビヒクル対照処理動物と比較して中および低用量トリプシノーゲン/キモトリプシノーゲンAにより処理された動物において有意な(p≦0.05)抗腫瘍効力を示した。有意な抗腫瘍効力は、以下の高用量処理後には観察されなかった。
【0203】
【表11】
【0204】
【表12】
【0205】
実施例5
ヒト用量変換は、参照により本明細書に組み込まれるU.S.Department of Health and Human Services Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Research(CDER),Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers.Rockville,MD 2005に記載の関連方法のいずれかによるものであり得る。
【0206】
例えば、マウスに投与された用量からのヒト等価用量は、以下のとおり決定することができる:
ヒト等価用量(HED、mg/kg)=動物用量(mg/kg)×動物K÷ヒトK(式中、Kは、体重と体表面積との関係を反映する相関係数である)
【0207】
典型的な成人(体重60kg、体表面積1.6m)についてKは37であり、マウスKは3である。例えば、本明細書に記載の500mg/kgの量は、等価ヒト用量について約41mg/kgに変換することができ、この式を使用する他の例示的変換としては、以下のものが挙げられる:
キモトリプシノーゲン:
マウス(mg/kg):1.5、2、3.5、5、15、45、135、250および500。
ヒト(mg/kg):0.12、0.16、0.28、0.4、1.2、3.6、11、20および41
トリプシノーゲン:
マウス(mg/kg):0.25、0.4、0.6、0.8、2.5、8、20、40および80。
ヒト(mg/kg):0.02、0.03、0.05、0.065、0.2、0.65、1.6、3.2および6.5。
キモトリプシノーゲン:
マウス(mg/kg):15、54 165、250、500。
ヒト(mg/kg):1.2、4.4、13、20および41。
トリプシノーゲン:
マウス(mg/kg):2.6、9、27.5、43.4、83.3、86.8。
ヒト(mg/kg):0.2、0.7、2.2、3.5、6.75および7。
【0208】
本発明は、50、60、70、80、90、100kg以上のヒト体重および1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8m以上の体表面積に基づく、本明細書、例として、表1、4、8および10ならびに本文献のいずれかの他箇所に言及されるmg/kgの全ての量についてのヒト変換を含む。
【0209】
本明細書に記載のヒト等価用量は、体表面積に基づく用量変換についてCDER‘Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers’に記載の方法を使用して導く。CDER文献に記載の方法に対する任意のバリエーションを、本明細書に記載のとおり、マウスに投与される投薬量からの適切なヒト用量の決定に利用することもできることが認識される(例えば、一部の場合、体表面積ではなく体重に基づき用量スケーリングすることが適切であり得る)。さらに、当業者は、若年ヒト(すなわち、未成年のヒト)に適切な用量を決定する方法、および本発明の方法を適用することができる非ヒト生物における適切な用量を決定する方法にも精通している。当業者は、意図される投与方法(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口または他の投与方法)に応じて適切な用量を調整する方法にも精通している。
【0210】
実施例6
8:1超のキモトリプシノーゲンとトリプシノーゲンとの比を試験するための以下の実験を実施した。
【0211】
材料および方法
材料
【0212】
【表13】
【0213】
細胞培養
以下の表(表12)は、全てのIC50測定および組合せアッセイにおいて使用される増殖条件およびウェル当たりの細胞の初回細胞播種密度を示す。細胞を95%の空気/5%のCOが補給された加湿細胞培養インキュベーター中で37℃において培養した。
【0214】
【表14】
【0215】
以下の全ての細胞系は、American Type Culture Collection(ATCC)(Rockville,MD,USA)から調達した:786-0、ACHN、BT-474、DAOY、DU145、G-361、HCT116、HCT-15、Hep3B2.1-7、HL-60、HT-1080、HT-29、MCF-7、MDA-MB-231、MES-SA、NCI-H460、NCI-H82、PC-3、Raji、SK-OV-3、U-87MG。
【0216】
A2780細胞系は、National Cancer Institute(NCI)(Bethesda,MD,USA)から調達した。
【0217】
C8161.9細胞系は、Gavin Robertson博士研究室(College of Medicine,Pennsylvania State University,Hershey,PA,USA)から調達した。
【0218】
HuH-7細胞系は、Japanese Collection of Research Bioresources(JCRB)細胞バンク(大阪、日本)から調達した。
【0219】
SNB-19細胞系は、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen(DSMZ)(German Collection of Microorganisms and Cell Cultures)(Braunschweig,Germany)から調達した。
【0220】
全ての細胞系を第10継代までアッセイにおいて利用した。
【0221】
試験品
【0222】
【表15】
【0223】
【表16】
【0224】
試験品配合
トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンを適切な細胞培養培地中で直接溶解させ、細胞に直ちに添加した。
【0225】
細胞増殖アッセイ
組合せアッセイのため、試験品を細胞に播種24時間後に添加した。試験品濃度はそれぞれの細胞系についてトリプリケートで試験した。試験品の添加72時間後、CellTiter-Blue(登録商標)アッセイを全てのプレートに対して実施した。
【0226】
組合せアッセイにおいて使用されるトリプシノーゲンの濃度は、単一試験品実験から計算されたIC50に基づいた。それぞれの個々の細胞系についてのトリプシノーゲンの濃度により、キモトリプシノーゲンの濃度を以下の比:1:1、1:2、1:4、1:6、1:8および1:10(トリプシノーゲン:キモトリプシノーゲン)において決定した。対照は、増殖培地のみおよび未処理細胞と増殖培地(未処理対照)からなるものであった。
【0227】
使用されるアッセイ対照は、ビヒクルとしてのリン酸緩衝生理食塩水対照および陽性対照としてのTriton-x100に対するビヒクルとしての増殖培地対照および増殖培地のみ(バックグラウンド)であった。バックグラウンド減算は、IC50値の測定について実施しなかった。
【0228】
試験品含有培地中での細胞のインキュベーション後、10μLのCellTiter-Blue(登録商標)をそれぞれのウェルに添加し、次いで細胞と最大6時間インキュベートした。Spectramax Gemini XPS蛍光光度計(560nm励起、590nm蛍光)を使用して蛍光を計測した。全てのデータを記録し、解釈のためにMicrosoft(登録商標)Excelスプレッドシートに入力した。
【0229】
計算
CellTiter-Blue(登録商標)アッセイから回収されたデータを、IC50測定のために用量応答曲線としてプロットした。相対蛍光単位(RFU)を化合物濃度に対してプロットした。これらのプロットにおいて、X軸(化合物濃度)を対数スケールで表した。IC50濃度は、GraphPad Prismバージョン6.0eMac OSX版(GraphPad Software,San Diego California,USA)を使用して可変傾斜曲線フィッティングアルゴリズムを介してそれぞれの化合物について最大阻害濃度(IC)の半数(50%)として計算した。
【0230】
組合せ試験のため、薬物相互作用係数(CDI)を以下の式:
【数1】
(式中、TCは、トリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの組合せの増殖阻害であり、Tは、単一剤トリプシノーゲンの増殖阻害であり、Cは、単一剤キモトリプシノーゲンの増殖阻害である)に従って計算した。1未満のCDI値はトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンの薬物相乗作用を示す一方、1超の値はそれらの拮抗相互作用を示す。
【0231】
ヒト癌におけるトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲンによる細胞増殖阻害
A2780卵巣腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲン(T)およびキモトリプシノーゲン(C)単独または組合せの効果を図12に示す。A2780卵巣腫瘍細胞の増殖阻害の最大レベルは、1:8(T:C)超、例えば、1:10(T:C)の比について観察された。表13(真下)参照。
【0232】
【表17】
【0233】
C8161.9黒色腫細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果を図13に示す。C8161.9黒色腫細胞の増殖阻害の最大レベルは、1:8(T:C)超、例えば、1:10(T:C)の比について観察された。表14(真下)参照。
【0234】
【表18】
【0235】
DAOY脳腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果を図14に示す。DAOY脳腫瘍細胞の増殖阻害の最大レベルは、1:8(T:C)超、例えば、1:10(T:C)の比について観察された。表15(真下)参照。
【0236】
【表19】
【0237】
DU145前立腺腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果を図15に示す。DU145前立腺腫瘍細胞の増殖阻害の最大レベルは、1:8(T:C)超、例えば、1:10(T:C)の比について観察された。表16(真下)参照。
【0238】
【表20】
【0239】
HCT116結腸直腸腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果を図16に示す。HCT116結腸直腸腫瘍細胞の増殖阻害の最大レベルは、1:8(T:C)超、例えば、1:10(T:C)の比について観察された。表17(真下)参照。
【0240】
【表21】
【0241】
Hep3B2.1-7肝腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果を図17に示す。Hep3B2.1-7肝腫瘍細胞の増殖阻害の最大レベルは、1:8(T:C)超、例えば、1:10(T:C)の比について観察された。表18(真下)参照。
【0242】
【表22】
【0243】
HT-29結腸直腸腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果を図18に示す。HT-29結腸直腸腫瘍細胞の増殖阻害の最大レベルは、1:8(T:C)超、例えば、1:10(T:C)の比について観察された。表19(真下)参照。
【0244】
【表23】
【0245】
HuH-7肝腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果を図19に示す。HuH-7肝腫瘍細胞の増殖阻害の最大レベルは、1:8(T:C)超、例えば、1:10(T:C)の比について観察された。表20(真下)参照。
【0246】
【表24】
【0247】
NCI-H460肺腫瘍細胞の増殖に対するトリプシノーゲンおよびキモトリプシノーゲン単独または組合せの効果を図20に示す。NCI-H460肺腫瘍細胞の増殖阻害の最大レベルは、1:8(T:C)超、例えば、1:10(T:C)の比について観察された。表21(真下)参照。
【0248】
【表25】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20