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特許7479129固体水素貯蔵システムの熱伝達フィン及びその固体水素貯蔵装置
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  • 特許-固体水素貯蔵システムの熱伝達フィン及びその固体水素貯蔵装置 図1
  • 特許-固体水素貯蔵システムの熱伝達フィン及びその固体水素貯蔵装置 図2
  • 特許-固体水素貯蔵システムの熱伝達フィン及びその固体水素貯蔵装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】固体水素貯蔵システムの熱伝達フィン及びその固体水素貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 11/00 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
F17C11/00 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019148629
(22)【出願日】2019-08-13
(65)【公開番号】P2020133896
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0018420
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジヘ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ギョンムン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジュンソク
(72)【発明者】
【氏名】パク、フンモ
(72)【発明者】
【氏名】ナム、ドンフン
【審査官】岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-516984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換チューブが貫通するようにチューブ貫通部が複数設けられ、前記チューブ貫通部同士が線状の連結部によって連結された熱伝達フィンを含み、
前記熱伝達フィンの中央に水素注入部が設けられ、前記水素注入部の外周面に前記連結部が連結され、
前記連結部は、四角形の四辺に沿って延びる部分を含み、
前記複数のチューブ貫通部は、前記四角形の各頂点に配置されるチューブ貫通部を含み、
前記連結部は、円周状の曲線に沿って延びる部分を含み、
前記複数のチューブ貫通部は、前記円周状の曲線上に配置されるチューブ貫通部を含
前記複数の連結部が、互いに隣接したチューブ貫通部同士の間に直線状及び曲線状に連結され、
前記熱伝達フィンの中央を基準に同じ半径位置に備えられた前記チューブ貫通部同士が、前記曲線状の前記連結部によって連結される、固体水素貯蔵装置の熱伝達フィン。
【請求項2】
前記チューブ貫通部同士を繋ぐ連結部によって前記連結部同士の間に閉空間を形成することを特徴とする、請求項1に記載の固体水素貯蔵装置の熱伝達フィン。
【請求項3】
前記熱伝達フィンが水素貯蔵素材同士の間に配置され、
前記閉空間内に水素貯蔵素材が備えられることを特徴とする、請求項2に記載の固体水素貯蔵装置の熱伝達フィン。
【請求項4】
前記連結部の端部が前記チューブ貫通部の外周縁に一体に固定されたことを特徴とする、請求項1に記載の固体水素貯蔵装置の熱伝達フィン。
【請求項5】
前記連結部と他の連結部とが交差しながら連結部同士が一体に固定されたことを特徴とする、請求項1に記載の固体水素貯蔵装置の熱伝達フィン。
【請求項6】
前記チューブ貫通部と連結部が同一水平面上に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の固体水素貯蔵装置の熱伝達フィン。
【請求項7】
前記チューブ貫通部と連結部が同一の厚さを有することを特徴とする、請求項に記載の固体水素貯蔵装置の熱伝達フィン。
【請求項8】
前記熱伝達フィンの縁部にリング状の連結リング部が設けられ、
前記連結リング部の内周面に連結部が連結されることを特徴とする、請求項1に記載の固体水素貯蔵装置の熱伝達フィン。
【請求項9】
貯蔵容器の内部に複数設けられ、水素が貯蔵及び放出される水素貯蔵素材と、
前記水素貯蔵素材を貫通して備えられ、熱を供給する熱交換チューブと、
前記水素貯蔵素材同士の間に設けられ、前記熱交換チューブが貫通するようにチューブ貫通部が複数設けられ、前記チューブ貫通部同士が線状の連結部によって連結された熱伝達フィンと、を含み、
前記熱伝達フィンの中央に水素注入部が設けられ、前記水素注入部の外周面に連結部が連結され、
前記連結部は、四角形の四辺に沿って延びる部分を含み、
前記複数のチューブ貫通部は、前記四角形の各頂点に配置されるチューブ貫通部を含み、
前記連結部は、円周状の曲線に沿って延びる部分を含み、
前記複数のチューブ貫通部は、前記円周状の曲線上に配置されるチューブ貫通部を含
前記連結部が、互いに隣接したチューブ貫通部同士の間に直線状及び曲線状に連結され、
前記熱伝達フィンの中央を基準に同じ半径位置に備えられた前記チューブ貫通部同士が、前記曲線状の前記連結部によって連結される、固体水素貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性能の低下を防止し、システムを軽量化するうえ、水素貯蔵量を増大させる、固体水素貯蔵装置の熱伝達フィン及びその固体水素貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属水素化物ベースの固体水素貯蔵素材は、熱エネルギーが加わると、金属水素化物から水素分子が分解されて水素が放出され、適正の温度で水素を供給及び加圧すると、再び金属に水素が合成されながら水素が貯蔵される可逆反応が起こる。
【0003】
MgHは、単位質量当たりの水素貯蔵量が高いため(水素貯蔵密度7.8wt%)、高効率・軽量タイプの固体水素貯蔵システムに適用される代表的な金属水素化物の一つである。
【0004】
しかし、MgHなどの金属水素化物は、水素放出反応が起こる温度が高く、加熱に必要な電力消費が大きいため、水素貯蔵システムの熱効率を高める方策が求められるのはもとより、システムの軽量化のために効率的な熱交換器の設計も求められる。
【0005】
前述の背景技術として説明された事項は、本発明の背景に対する理解増進のためのものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者に既に知られている従来技術に該当することを認めるものと受け入れられてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国公開特許公報第10-2017-0011161号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたもので、その目的は、熱伝導性能を維持するうえ、システムを軽量化し、水素貯蔵量を増大させる、固体水素貯蔵装置の熱伝達フィン及びその固体水素貯蔵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の構成は、熱交換チューブが貫通するようにチューブ貫通部が複数設けられ、前記チューブ貫通部同士が線状の連結部によって連結された熱伝達フィン;を含むことを特徴とすることができる。
【0009】
前記チューブ貫通部同士を繋ぐ連結部によって前記連結部同士の間に閉空間を形成することができる。
【0010】
前記熱伝達フィンが水素貯蔵素材同士の間に配置され、前記閉空間内に水素貯蔵素材が備えられ得る。
【0011】
前記連結部は、互いに隣接したチューブ貫通部同士の間に直線状または曲線状に連結され得る。
【0012】
前記連結部の端部は、前記チューブ貫通部の外周縁に一体に固定され得る。
【0013】
前記連結部と他の連結部とが交差しながら連結部同士が一体に固定され得る。
【0014】
前記チューブ貫通部と連結部が同一水平面上に設けられ得る。
【0015】
前記チューブ貫通部と連結部が同一の厚さを有することができる。
【0016】
前記熱伝達フィンの縁部にリング状の連結リング部が設けられ、前記連結リング部の内周面に連結部が連結され得る。
【0017】
前記熱伝達フィンの中央に水素注入部が設けられ、前記水素注入部の外周面に連結部が連結され得る。
【0018】
本発明の構成は、貯蔵容器の内部に複数設けられ、水素が貯蔵及び放出される水素貯蔵素材と、前記水素貯蔵素材を貫通して備えられ、熱を供給する熱交換チューブと、前記水素貯蔵素材同士の間に設けられ、前記熱交換チューブが貫通するようにチューブ貫通部が複数設けられ、前記チューブ貫通部同士が線状の連結部によって連結された熱伝達フィンとを含むことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
上述したような本発明は、チューブ貫通部同士が線状の連結部を介して繋がるのはもとより、前記連結部がチューブ貫通部同士の間に網構造で繋がることにより、熱伝達フィンの重量を減らして水素貯蔵システムを軽量化し、熱伝達効率を向上させることができるという効果があり、また、熱伝達フィンに形成された空き空間に水素貯蔵素材が備えられることにより、水素貯蔵システム内に水素貯蔵素材の含有量を増加させるので、重量貯蔵効率を向上させるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る固体水素貯蔵装置の貯蔵容器の形状を示す図である。
図2】本発明に係る熱交換チューブ、熱伝達フィン及び水素貯蔵素材の結合関係を説明するための図である。
図3】本発明に係る熱伝達フィンの構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面によって詳細に説明する。
【0022】
図1及び図2を参照して本発明の固体水素貯蔵装置について説明すると、円筒状の貯蔵容器40の内部にその軸方向に沿って多数の熱交換チューブ20が備えられる。
【0023】
ここで、前記熱交換チューブ20は、金属材質の加熱チューブ20a及び冷却チューブ20bを含むもので、前記加熱チューブ20a及び冷却チューブ20bが貯蔵容器40の軸を中心に任意の半径位置に規則的な角度で多数備えられる。
【0024】
また、水素が貯蔵及び放出される水素貯蔵素材30は、MgH、NaAlHなどの金属水素化物であって、円盤状に多数形成され、前記貯蔵容器40の内部に備えられる。この時、前記水素貯蔵素材30には、前記熱交換チューブ20と対応する位置に貫通ホール31が設けられ、該貫通ホールに前記熱交換チューブ20が貫設されることにより、前記熱交換チューブ20から熱が供給できる。
【0025】
互いに隣接した二つの水素貯蔵素材30同士の間には、熱交換チューブ20から水素貯蔵素材30に伝達される熱伝導率を向上させるために、熱伝導性能に優れた熱伝導フィン10がそれぞれ備えられる。
【0026】
このため、本発明に係る熱伝達フィン10は、前記熱交換チューブ20が貫通するように、前記熱交換チューブ20と対応する位置にチューブ貫通部11がそれぞれ設けられ、前記チューブ貫通部11同士が線状の連結部13によって連結される構造となる。
【0027】
そこで、前記チューブ貫通部11同士を繋ぐ連結部13によって連結部13同士の間に閉空間Sを形成する。
【0028】
つまり、従来では、前記熱伝達フィン10が平板のディスク状に形成されてチューブ貫通部11の熱が伝達されるように構成されるのに対し、本発明では、線状の連結部13にチューブ貫通部11同士が繋がるように形成され、前記連結部13同士の間が空き空間に形成されることにより、熱伝導性能の低下を防止しながらも熱伝達フィン10の重量を減らして水素貯蔵システムを軽量化することができる。
【0029】
また、本発明は、前記閉空間S内に水素貯蔵素材30が備えられ得る。
【0030】
すなわち、前記熱伝達フィン10に形成された空き空間に水素貯蔵素材30が備えられることにより、水素貯蔵システム内に水素貯蔵素材30の含有量を増加させ、水素貯蔵量を増大させることができる。
【0031】
一方、図3を参照して、本発明のチューブ貫通部11と連結部13とが連結される構造について具体的に考察すると、前記連結部13が、互いに隣接したチューブ貫通部11同士の間に直線状または曲線状に連結できる。
【0032】
つまり、熱伝達フィン10の中央を基準に同じ半径位置に備えられたチューブ貫通部11同士が曲線の連結部13によって連結されるのはもとより、半径方向には直線の連結部13によって連結され得る。また、隣接したチューブ貫通部11同士が直線の連結部13によって連結され得る。
【0033】
さらに、前記連結部13の端部は、前記チューブ貫通部11の外周縁に一体に固定できる。
【0034】
すなわち、前記連結部13の一端がいずれかのチューブ貫通部11の外周面に一体に固定される場合、前記連結部13の他端は、前記チューブ貫通部11に隣接した他のチューブ貫通部11の外周面に一体に固定され、二つのチューブ貫通部11同士を連結する構造となる。
【0035】
また、前記連結部13と他の連結部13とが交差しながら連結部13同士が一体に固定できる。
【0036】
つまり、互いに隣接したチューブ貫通部11が連結部13によって連結されることにより、二つの連結部13が交差する部分が発生し、これにより前記交差部分で二つの連結部13が一体に固定される構造で構成する。
【0037】
併せて、前記チューブ貫通部11と連結部13が同一の水平面上に同じ厚さで形成できる。
【0038】
すなわち、前記チューブ貫通部11と連結部13とが同じ厚さを有し、前記熱伝達フィン10の両面に備えられる水素貯蔵素材30が前記チューブ貫通部11及び連結部13と密接するようになる。
【0039】
前記熱伝達フィン10の縁部にリング状の連結リング部15が設けられ、前記連結リング部15の内周面に連結部13が連結できる。
【0040】
つまり、前記連結リング部15が円形に形成され、水素貯蔵素材30の縁部分に密接することにより、前記水素貯蔵素材30の縁部分まで安定的に熱が伝達できる。
【0041】
また、前記熱伝達フィン10の中央に水素注入部17が設けられ、前記水素注入部17の外周面に連結部13が連結され得る。
【0042】
上述したように、本発明は、チューブ貫通部11同士が線状の連結部13を介して繋がるのはもとより、前記連結部13がチューブ貫通部11同士の間でさまざまな方向に繋がることにより、熱伝導性能の低下を防止しながらも熱伝達フィン10の重量を減らして水素貯蔵システムを軽量化することができ、また、熱伝達フィン10に形成された空き空間に水素貯蔵素材30が備えられることにより、水素貯蔵システム内に水素貯蔵素材30の含有量を増加させるので、水素貯蔵量を増大させることができる。
【0043】
本発明は、上述した具体的な例についてのみ詳細に説明されたが、本発明の技術思想の範疇内で本発明に多様な改良及び変更を加え得るのは、当該分野における通常の知識を有する者にとっては明らかであり、それらの変形及び修正も添付された特許請求の範囲に属するのは当たり前である。
【符号の説明】
【0044】
10 熱伝達フィン
11 チューブ貫通部
13 連結部
15 連結リング部
17 水素注入部
20 熱交換チューブ
20a 加熱チューブ
20b 冷却チューブ
30 水素貯蔵素材
40 貯蔵容器
S 閉空間
図1
図2
図3