IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゲオルク フィッシャー ローアライトゥングスズュステーメ アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許-長さ補償器 図1
  • 特許-長さ補償器 図2
  • 特許-長さ補償器 図3
  • 特許-長さ補償器 図4
  • 特許-長さ補償器 図5
  • 特許-長さ補償器 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】長さ補償器
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/12 20060101AFI20240426BHJP
   F16L 47/18 20060101ALI20240426BHJP
   F16L 51/00 20060101ALI20240426BHJP
   B29D 23/00 20060101ALI20240426BHJP
   F16L 59/147 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
F16L27/12 E
F16L47/18
F16L51/00
B29D23/00
F16L59/147
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019223629
(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公開番号】P2020094692
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】18212137.6
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19163711.5
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】311017474
【氏名又は名称】ゲオルク フィッシャー ローアライトゥングスズュステーメ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Georg Fischer Rohrleitungssysteme AG
【住所又は居所原語表記】Ebnatstrasse 111,CH‐8200 Schaffhausen,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】レンツ シュミート
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン レッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト ライツ
(72)【発明者】
【氏名】マークス ブライアー
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0191597(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0273756(US,A1)
【文献】実開昭57-160485(JP,U)
【文献】特開平11-037365(JP,A)
【文献】国際公開第2016/190084(WO,A1)
【文献】実開昭59-125690(JP,U)
【文献】特開2006-292095(JP,A)
【文献】特開平10-220221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/12
F16L 47/18
F16L 51/00
B29D 23/00
F16L 59/147
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路用の長さ補償器(1)であって、プラスチック製の2つの接続コンポーネント(2)と、熱可塑性のエラストマ(TPE)である弾性材料製の1つの補償エレメント(3)と、1つの支持管(4)とを含んでおり、前記補償エレメント(3)は両接続コンポーネント(2)の間に配置されており、補償エレメント端部(8)が前記接続コンポーネント(2)に結合されており、前記補償エレメント(3)の外周面が、全周において前記支持管(4)の内周面によって隙間なく取り囲まれており、前記支持管(4)は円形の横断面を有しており、前記補償エレメント(3)はもっぱら軸方向に伸縮する、長さ補償器(1)において、
前記接続コンポーネント(2)は、突合せ溶接を用いて、それぞれの前記補償エレメント端部(8)に結合されている
ことを特徴とする、長さ補償器(1)。
【請求項2】
前記接続コンポーネント(2)は、WNF溶接、スリーブ溶接、または電気スリーブ溶接を用いて、それぞれの前記補償エレメント端部(8)に結合されている、請求項1記載の長さ補償器(1)。
【請求項3】
前記接続コンポーネント(2)は、素材結合式の結合を用いて、または接着結合を用いて、それぞれの前記補償エレメント端部(8)に結合されている、請求項1または2記載の長さ補償器(1)。
【請求項4】
前記接続コンポーネント(2)は、形状結合式のかつ/または力結合式の結合を用いて、それぞれの前記補償エレメント端部(8)に結合されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の長さ補償器(1)。
【請求項5】
前記接続コンポーネント(2)と前記補償エレメント(3)とは、二成分射出成形において互いに結合され、それぞれ前記補償エレメント(3)の端部に、1つの接続コンポーネント(2)が一体に射出形成されている、請求項1記載の長さ補償器(1)。
【請求項6】
減摩性の層が、前記補償エレメント(3)の前記外周面に配置されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の長さ補償器(1)。
【請求項7】
前記減摩性の層は、グリースまたはオイルによって形成されている、請求項6記載の長さ補償器(1)。
【請求項8】
前記減摩性の層は、PTFEまたはシリコーンによって形成されている、請求項7記載の長さ補償器(1)。
【請求項9】
摩性の層は、前記支持管(4)の前記内周面の被覆層の乾式潤滑によって形成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の長さ補償器(1)。
【請求項10】
前記乾式潤滑は、滑性塗料または金属被覆層である、請求項9記載の長さ補償器(1)。
【請求項11】
摩性の層は、リングまたは織布によって形成されており、前記減摩性の層は、前記補償エレメントの前記外周面を形成している、請求項1から10までのいずれか1項記載の長さ補償器(1)。
【請求項12】
当該長さ補償器(1)は、当接エレメント(11)を有しており、該当接エレメント(11)は、前記支持管(4)の一方の端部に配置されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の長さ補償器(1)。
【請求項13】
前記支持管(4)は、絶縁層によって取り囲まれている、請求項1から12までのいずれか1項記載の長さ補償器(1)。
【請求項14】
請求項1またはを引用する、請求項から13までのいずれか1項記載の長さ補償器(1)を製造する方法であって、補償エレメント(3)と接続コンポーネント(2)とを、出成形法で互いに結合し、または前記接続コンポーネント(2)を補償エレメント端部(8)に一体に射出形成することを特徴とする、方法。
【請求項15】
求項1から13までのいずれか1項記載の長さ補償器用の補償エレメントであって、該補償エレメント(3)は、プラスチック製の円筒形状の中空体(31)を有しており、前記円筒形状の中空体の外周面(32)に螺旋形状のエレメント(33)が配置されていることを特徴とする、補償エレメント。
【請求項16】
前記螺旋形状のエレメント(33)は、プラスチック製である、請求項15記載の補償エレメント。
【請求項17】
前記円筒形状の中空体(31)の前記外周面(32)は、異形成形部を有している、請求項15または16記載の補償エレメント。
【請求項18】
前記円筒形状の中空体(31)の前記外周面(32)は、螺旋形状に延びるウェブを有している、請求項17記載の補償エレメント。
【請求項19】
前記螺旋形状のエレメント(33)は、前記円筒形状の中空体(31)の異形成形部(34)の間に配置されている、請求項15から18までのいずれか1項記載の補償エレメント。
【請求項20】
請求項15から19までのいずれか1項記載の補償エレメント(3)を製造する方法であって、円筒形状の中空体(31)および螺旋形状のエレメント(33)を、二成分射出成形法を用いて製造するか、または前記螺旋形状のエレメント(33)を前記円筒形状の中空体(31)に螺合させることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路、好ましくはプラスチック管路用の長さ補償器ならびに長さ補償器の補償エレメントであって、好ましくはプラスチック製の2つの接続コンポーネントと、好ましくは熱可塑性のエラストマ(TPE)である弾性材料製の1つの補償エレメントと、1つの支持管とを含んでおり、補償エレメントは両接続コンポーネントの間に配置されており、補償エレメント端部が接続コンポーネントに結合されている、長さ補償器に関する。
【背景技術】
【0002】
長さ補償器は、例えば温度変化、または地震、ポンプ衝撃等による力のような外的影響による、設置された管路の長さ変化を吸収または補償する働きをする。管路の長さは、外気温に基づいてであれ、または管路内で搬送される媒体の媒体温度に基づいてであれ、温度に依存して変化する。この長さ変化を、伸長であれ収縮であれ、吸収することが重要である。従来技術に基づいて公知の例えば管ループは、管路のその変向によって、ある一定の長さ変化を可能にし、または長さ変化を吸収する。さらに、従来技術に基づいて、軸方向においても互いに内外にシフト可能な管のような、ベローズまたはゴムスリーブも公知である。
【0003】
独国実用新案登録第7325208号明細書は、管路用の伸長補償器を開示しており、この場合、伸長体がハウジング内に配置されており、ハウジングは楕円形の横断面形状を有しており、この横断面形状内において伸長体は、相応に水平方向においても移動することができる。
【0004】
上記した解決策は、大きな所要スペースを必要とし、僅かな補償距離しか有しておらず、かつ/または高い内圧を許容しない、または管路自体と同じ内圧を許容しないという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、長い補償距離を可能にし、かつ管路自体と同じ内圧に耐える、管路用の長さ補償器を提供することである。さらに、補償エレメントの外周面は、長さ補償器の簡単な長さ変化を可能にするために、僅かな摩擦抵抗しか有しないことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明によれば、補償エレメントの外周面が、全周において支持管の内周面によって隙間なく取り囲まれており、支持管が円形の横断面を有しており、補償エレメントがもっぱら軸方向に伸縮することによって解決される。
【0007】
支持管の円形の横断面は、好ましくは支持管の全長にわたって延びており、横断面は、好ましくは全長にわたって一定である。
【0008】
この課題はまた、本発明によれば、補償エレメントが、プラスチック製の円筒形状の中空体を有しており、円筒形状の中空体の外周面に、好ましくはプラスチック製の螺旋形状のエレメントが配置されていることによって解決される。
【0009】
管路、好ましくはプラスチック管路用の本発明に係る長さ補償器は、好ましくはプラスチック製の2つの接続コンポーネントを有している。接続コンポーネントは、互いに同軸に方向付けられており、好ましくは同じ内径および外径を有している。さらに、長さ補償器は、好ましくは熱可塑性のエラストマ(TPE)である弾性材料製の1つの補償エレメントを有しており、補償エレメントは、単純な弾性のホースまたは管によって形成されていてよく、かつ管路の長さ変化を吸収するために特殊に開発されたエレメントによって形成されていてよい。長さ補償器は同様に支持管を有しており、この支持管内に補償エレメントが配置されている。補償エレメントは、両接続コンポーネントの間に配置されている。補償エレメントは、弾性材料から、好ましくは異なった材料から成っていてよく、例えば複数の異なった層から、好ましくは内側および/または外側における異なったプラスチックまたは被覆層から成っていてよい。補償エレメントまたは補償エレメント端部は、接続コンポーネントに結合されている。補償エレメントの外周面は、全周において支持管の内周面によって隙間なく取り囲まれており、すなわち補償エレメントは、好ましくは支持管内に同心に配置されている。補償エレメントおよび支持管のこの配置形態および形状構成によって、補償エレメントはもっぱら軸方向にしか伸縮することができない。支持管が補償エレメントまたは補償エレメントの周囲を取り囲んでいることによって、内圧は支持管によって受け止められ、補償エレメントには過剰な荷重が加えられない。なぜなら、補償エレメントは支持管によって支持されているからである。好ましくは、接続コンポーネントもまた少なくとも部分的に支持管によって取り囲まれているかまたは支持管内に配置されており、これは、接続コンポーネントを案内する働きをする。好ましくは、接続コンポーネントも支持管内にまたは支持管に接して同心に配置されている。
【0010】
好ましくは、一方の接続コンポーネントは支持管にまたは支持管と軸方向において固定されており、これによって、長さ変化は、他方の接続コンポーネントのシフトと、補償エレメントの収縮または伸長とによって生じる。
【0011】
好ましくは、接続コンポーネントは、ポリエチレン(PE)から製造されており、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチロール(ABS)、またはエチレン・クロロ・トリフルオロエチレン(ECTFE)から製造されており、またプラスチック製の他の典型的な管路材料を使用することができる。
【0012】
好ましくは、接続コンポーネントは、素材結合式の結合を用いて、好ましくは突合せ溶接を用いて、特に好ましくはWNF溶接、スリーブ溶接、電気スリーブ溶接、または接着結合を用いて、それぞれの補償エレメント端部に結合されている。溶接は、接触溶接を用いて、および無接触式の溶接法、好ましくはIR溶接を用いて実施することができる。もちろん、通常のかつ公知のすべての溶接法を、接続コンポーネントに補償エレメント端部を結合するために使用することが可能である。
【0013】
好ましくは、接続コンポーネントのそれぞれの端面は、それぞれの補償エレメント端部に結合されている。これは、補償エレメントと接続コンポーネントとの間における、簡単でかつ安定的な、特にまた密な結合を可能にする。
【0014】
本発明の別の構成として、接続コンポーネントが、形状結合式のかつ/または力結合式の結合を用いて、それぞれの補償エレメント端部に結合されているという可能性がある。これは、補償エレメント端部が接続コンポーネント内にクランプされるかまたはくさび結合されるクランプ結合であってよく、または補償エレメント端部を固定するための他の可能性であってよい。
【0015】
本発明の別の可能な構成としては、接続コンポーネントと補償エレメントとが、二成分射出成形法において互いに結合され、それぞれの補償エレメント端部に、1つの接続コンポーネントがプラスチック射出成形法を用いて一体に射出形成されていることがある。これは、本発明に係る長さ補償器の経済的な製造を保証し、補償エレメントと接続コンポーネントとの間のシール性をも保証する。
【0016】
好ましくは、補償エレメントは、接続コンポーネントと同じ内径を有しており、これは、内径における僅かな流れ抵抗を保証し、これは、媒体、および突出している縁部および角隅に集まる汚れの低減に役立つ。
【0017】
好適な実施形態によれば、本発明に係る長さ補償器は、減摩性の層を有しており、この減摩性の層は、好ましくは補償エレメントの外周面に配置されている。これは、僅かな抵抗を保証し、これによって長さ補償器における管路の長さ変化が容易に行われる、またはそこで吸収される。さらに、これによって、長さ補償器が、管路内に最も僅かな抵抗を有しており、かつ長さ変化がそこで補償され、ひいては管路が屈曲したり、またはさもなければ不所望にシフトしたりしなくなることが保証される。
【0018】
さらに好ましくは、接続コンポーネントもまたその外周面に、支持管または補償エレメントにおいて使用される層と同様に、減摩性の層を有している。
【0019】
好ましくは、支持管はプラスチックから製造されており、特に好ましくは、POM、PE-UHMW、PTFE、MoS、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチロール(ABS)、またはエチレン・クロロ・トリフルオロエチレン(ECTFE)から製造されており、これらのプラスチックは、良好な乾式潤滑特性を有している。
【0020】
減摩性の層が、グリースまたはオイル、特にPTFEまたはシリコーンによって形成されていると、好適であることが示されている。このような物質は、長さ補償器にまたは相応の周面に簡単かつ迅速に塗布することができ、かつ補償エレメントと支持管との間の摩擦抵抗を十分に低減させる。
【0021】
代替的に示されている構成では、減摩性の層は、特に支持管の内周面の被覆層の乾式潤滑によって、好ましくは滑性塗料または金属被覆層によって形成されている。これは、長さ補償器のメンテナンスフリーの使用を可能にする。
【0022】
本発明に係る長さ補償器の好適な実施形態では、減摩性の層は、リングまたは織布によって形成されており、この場合、減摩性の層は、補償エレメントの外周面を形成している。好ましくは、リングまたは織布は、補償エレメントに対してかつ支持管に対して同軸に配置されており、かつ補償エレメントと支持管との間に隙間なく位置している。
【0023】
本発明に係る長さ補償器は、好ましくは当接エレメントを有しており、このとき当接エレメントは、支持管の一方の端部に配置されている。当接エレメントは、長さ補償器または補償エレメントが過剰に伸長しないように、および最大の伸長しか許容されないようにする働きをする。補償エレメントが接続コンポーネントに密に結合されているにもかかわらず、当接エレメントは、好ましくはシール部材を有しており、このシール部材は、長さ補償器のシール性をさらに保証し、かつ外部からの汚れの侵入を防止する。
【0024】
別の構成可能性として、支持管が絶縁層によって取り囲まれていることが示されている。これは、特に絶縁されたまたは予備絶縁された管路系において、管路内に取り付けられた長さ補償器もまた絶縁層を有していてかつさらに別個に絶縁される必要がないという利点をもたらす。支持管が変化せず、かつ補償が支持管の内部において生じることによって、支持管の外周部に絶縁層を取り付けることができ、または他の層、カバー、または固定部を設けることができる。
【0025】
本発明に係る長さ補償器用の補償エレメントは、プラスチック製の円筒形状の中空体を有しており、円筒形状の中空体の外周面に、好ましくはプラスチック製の螺旋形状のエレメントが配置されている。そのために使用することができるプラスチックは、既に述べたプラスチックに相当している。螺旋形状のエレメントは、補償エレメントと支持管との間において、長さ変化を可能な限り僅かしか阻止しないようにするために、減摩性の層を形成している。もちろん螺旋形状のエレメントもまた同様に、乾式潤滑、グリース、またはオイルを有していてよいが、これは不可欠なことではない。長さ補償器に関連して記載された特徴および特性は、上記した例の代わりに、この補償エレメントと組み合わせることが同様に可能である。
【0026】
好適な実施形態では、内側に位置している円筒形状の中空体は、両端面の方向に壁厚増大部を有している。この壁厚増大部は、比較的幅広い作用面または比較的良好な応力分布に基づいて、引張りによって中空体に加えられる応力を、接続コンポーネントへの取付け部の領域において低減する働きをする。
【0027】
好ましくは、円筒形状の中空体はその外周面に、異形成形部、好ましくは螺旋形状に延びるウェブを有している。
【0028】
同様に、好ましくは、螺旋形状のエレメントは、円筒形状の中空体の異形成形部の間に延びている。これによって螺旋形状のエレメントが案内され、かつウェブの間にしか配置されておらず、これは補償エレメントに一定の長さ変化を可能にする。
【0029】
好ましくは、螺旋形状のエレメントは、内側に位置している円筒形状の中空体に形状結合式に結合されており、この場合、螺旋形状のエレメントと円筒形状の中空体との間の素材結合も考えられる。
【0030】
本発明に係る補償エレメントを製造するための方法は、円筒形状の中空体および螺旋形状のエレメントの射出成形を含んでおり、このとき中空体および螺旋形状のエレメントは、二成分射出成形法を用いて製造されるか、または別個に射出成形され、かつ次いで螺旋形状のエレメントを円筒形状の中空体に螺合させる。
【0031】
すべての構成可能性は、様々に自由に組合せ可能である。方法の特徴もまた、装置の特徴と自由に組合せ可能である。
【0032】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態について記載し、このとき本発明は図示の実施形態にのみ制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】接続コンポーネントの端面における素材結合式の結合部を備えた、本発明に係る長さ補償器を示す縦断面図である。
図2】絶縁層を備えた本発明に係る長さ補償器を示す縦断面図である。
図3】補償エレメントと接続コンポーネントとの間における形状結合式のかつ力結合式の結合部を備えた、本発明に係る長さ補償器を示す縦断面図である。
図4】本発明に係る補償エレメントを備えた、本発明に係る長さ補償器を示す縦断面図である。
図5】長さ補償器用の本発明に係る補償エレメントを示す縦断面図である。
図6】本発明に係る補償エレメントの円筒形状の中空体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1に示した図面には、本発明に係る長さ補償器1の可能な実施形態が、縦断面図で示されている。長さ補償器1は、例えば温度変化によって発生する、管路の長さ変化を吸収または補償する働きをする。長さ補償器1は、2つの接続コンポーネント2を有しており、両接続コンポーネント2は、1つの管路の互いに反対側に位置している自由端部の間に固定される。支持管4内の接続コンポーネント2の、互いに反対側に位置している両端面は、補償エレメント3を用いて補償エレメント端部8において互いに結合されているが、別の結合可能性も考えられる。結合は、好ましくは分離不能であり、例えば溶接のような素材結合によって、または結合が密であることを保証する射出成形法を用いて製造される。
【0035】
例えば二成分射出成形によって、補償エレメント端部8が周囲を射出成形され、接続コンポーネント2が形成される。図3に示されているような、形状結合式のかつ/または力結合式の結合のような他の結合形式も考えられる。補償エレメント3は、支持管4によって取り囲まれ、接続コンポーネント2もまた少なくとも部分的に支持管4によって取り囲まれている。補償エレメント3が支持管4によって隙間なく取り囲まれていることによって、支持管4が補償エレメント3を支持する働きをし、かつ媒体によって生じる内圧を受け止める。取り囲んでいる支持管4に基づいて、補償エレメント3は半径方向に拡大することができない。補償エレメント3はまた、軸方向にしか伸縮せず、これによって管路の長さ変化が補償され、それにもかかわらず長さ補償器1は、管路仕様書通りの要求された内圧に耐える。
【0036】
別の実施形態として、図2には、絶縁された長さ補償器1が示されている。ここでも同様に良好に分かるように、支持管4は補償エレメント3を隙間なく取り囲んでおり、単に軸方向における伸長および収縮だけが可能である。図示したこの実施形態では、支持管4の外周部に絶縁層5が配置されており、この可能な構成形態は、絶縁された管路系において使用され、管路系の長さ補償の他に、長さ補償器に後でさらに別個の絶縁体を取り付けることなしに、迅速な取付けを保証する。
【0037】
さらに、図2には、管路への長さ補償器1または接続コンポーネント2の可能な結合形態も示されており、これはまた、絶縁層のない長さ補償器のためにも転換可能である。例として、接続コンポーネント2には連結部6が直接取り付けられている。連結部6は、ここでは電気溶接スリーブとして形成されているが、他の連結部も考えられる。電気溶接スリーブは、一方の側で接続コンポーネント2と直接溶接され、他方の側で管路と溶接される。代替的な例として、長さ補償器1の他方の側で、接続コンポーネント2は端面側で接続部材7と、好ましくはWNF溶接を用いて溶接されているか、または他の素材結合式の結合技術を用いて結合されている。この接続部材7は、同様に連結部6に、ここではまた再び電気溶接スリーブ6に結合されている。これは単に1つの例示であり、接続コンポーネント2を管路に結合することができる別の可能性も存在する。
【0038】
図3には、本発明に係る長さ補償器1の別の代替的な実施形態が示されている。図示の構成では、補償エレメント端部8は、形状結合式のかつ力結合式の結合9を用いて接続コンポーネント2に固定されている。そのために、図3においてはクランプが使用されるが、他の公知の結合技術をそのために使用することも可能である。
【0039】
図4には、本発明に係る補償エレメント3を備えた本発明に係る長さ補償器1が示されている。長さ補償器1は、単なるホースが補償エレメントとして使用される他の実施形態におけるように、両補償エレメント端部8にそれぞれ1つの接続コンポーネント2を有しており、この接続コンポーネント2は、既に述べたように素材結合式に、形状結合式にかつ/または力結合式に結合されている。好ましくは、接続コンポーネント2のうちの1つの接続コンポーネントは、支持管4と不動に、または支持管4と軸方向において固定されており、これによって長さ補償器1または接続コンポーネント2は、単に一方の側にしか軸方向にシフトしない。軸方向における伸長を制限するために、長さ補償器1は、支持管4に固定された接続コンポーネント2の反対側に位置している側に、当接エレメント11を有している。
【0040】
図5には、本発明に係る補償エレメント3が単独で示されている。図面に示されている、内側に位置している円筒形状の中空体31は、好ましくは弾性材料、好ましくはプラスチックから製造されている。中空体31の外周面32には、螺旋形状のエレメント33が配置されており、このエレメント33は、その外周面によって減摩性の層を形成しており、これによって支持管の内周面に対して可能な限り僅かな抵抗を有することができる。螺旋形状のエレメント33は、好ましくはプラスチックから製造されている。内側に位置している円筒形状の中空体31内での確定した配置のために、中空体31は、その外周面32に異形成形部34を有している。これによって、異形成形部の間に配置されている螺旋形状のエレメント33は、その配置においてシフト不能であり、かつ補償エレメント3の均等な伸長を保証する。異形成形部34は、好ましくは、円筒形状の中空体31の外周面32に沿った、螺旋形状に延びるウェブとして形成されている。
【0041】
好ましくは、円筒形状の中空体31は、端面に向かって壁厚増大部を有している。これは、引張り時に発生する応力の比較的幅広い分布を保証し、かつ比較的高い荷重を加えることができる結合を、補償エレメントまたは円筒形状の中空体31と接続コンポーネント2との間に発生させる働きをする。
【0042】
図6には、円筒形状の中空体31が単独で示されている。
【0043】
補償エレメント3は、円筒形状の中空体31の別個の製造と、螺旋形状のエレメント33の別個の製造と、次いで行われる組立てとによって、つまり螺旋形状のエレメント33が円筒形状の中空体31に取り付けられるかまたは螺合されることによって、製造することができ、または、二成分射出成形によって、つまり円筒形状の中空体31と螺旋形状のエレメント33とを一緒に射出成形することによって、製造することができ、後者の場合には、これによって両コンポーネントの組立工程を節減することができる。二成分射出成形法における製造によって、両コンポーネントの間に、形状結合および力結合の他に、素材結合をも発生させることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 長さ補償器
2 接続コンポーネント
3 補償エレメント
4 支持管
5 絶縁層
6 連結部/電気溶接スリーブ
7 接続部材
8 補償エレメント端部
9 形状結合式および/または力結合式の結合
10 外側被覆面補償エレメント
11 当接エレメント
31 円筒形状の中空体
32 円筒形状の中空体の外周面
33 螺旋形状のエレメント
34 異形成形部/螺旋形に延びるウェブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6