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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
H04N1/00 L
H04N1/00 002B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019233471
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021103823
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-12-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北西 貴大
(72)【発明者】
【氏名】岡野 俊史
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-141275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原稿を搬送し、画像を取得する画像読取装置において、
前記原稿を前記画像読取装置の筐体内に搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された前記原稿の画像を取得する画像読取部と、
前記画像読取部により読み取られた画像に関する属性情報を取得する属性情報取得部と、
前記属性情報を保存する保存部と、
前記搬送部により搬送された原稿の前記属性情報を用いて原稿の種類を判別する判別部と、
前記判別部により種類を判別された対象原稿の前後に前記搬送部によって搬送された原稿の前記属性情報を用いて原稿順の基準パターンを算出し、前記複数の原稿のうち、前記基準パターンの算出に用いた原稿の後に前記保存部に保存された原稿の並び順を前記基準パターンと比較することで、前記複数の原稿における原稿順に異常が発生したことを判定する原稿順判定部と、を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記原稿順判定部により前記原稿順に異常が発生したと判定された際に、前記対象原稿の画像に関する操作、または前記搬送部における搬送に関する操作をユーザーに問い合わせることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
複数の原稿を搬送し、画像を取得する画像読取装置において、
前記原稿を前記画像読取装置の筐体内に搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された前記原稿の画像を取得する画像読取部と、
前記画像読取部により読み取られた画像に関する属性情報を取得する属性情報取得部と、
前記属性情報を保存する保存部と、
前記搬送部により搬送された原稿の前記属性情報を用いて原稿の種類を判別する判別部と、
前記判別部により種類を判別された対象原稿の前後に前記搬送部によって搬送された原稿の前記属性情報を用いて尤度を算出することで、前記複数の原稿における原稿順に異常が発生したことを判定する原稿順判定部と、を有し、
前記対象原稿について、前記原稿順判定部により原稿順に異常が発生したと判定しなかった原稿と同等の処理をユーザーが選択した場合、前記対象原稿に関する尤度を更新し、以降の画像読取で前記対象原稿と前記属性情報が類似した原稿が検出されたとしても、ユーザーに前記類似した原稿に対する操作を問い合わせないことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
前記尤度が、前記属性情報のうち、原稿のサイズ情報を含めた検出結果に基づいて算出され、前記尤度により前記対象原稿に対し原稿順の異常が発生したと前記原稿順判定部により判定された場合、前記対象原稿の画像に関する操作、または前記搬送部における搬送に関する操作をユーザーに問い合わせることを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
複数の原稿を搬送し、画像を取得する画像読取装置において、
前記原稿を前記画像読取装置の筐体内に搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された前記原稿の画像を取得する画像読取部と、
前記画像読取部により読み取られた画像に関する属性情報を取得する属性情報取得部と、
前記属性情報を保存する保存部と、
前記搬送部により搬送された原稿の前記属性情報を用いて原稿の種類を判別する判別部と、
前記判別部により種類を判別された対象原稿の前後に前記搬送部によって搬送された原稿の前記属性情報を用いて尤度を算出することで、前記複数の原稿における原稿順に異常が発生したことを判定する原稿順判定部と、を有し、
前記対象原稿に原稿順の異常が発生したときにユーザーに前記対象原稿に対する操作を問い合わせる際、前記対象原稿の画像と、その前または後、またはその両方の原稿の画像を同時に表示することを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を処理する画像処理装置に関し、特に、原稿の画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、スキャナや複写機、ファクシミリ装置等の画像読取装置は、自動紙送り機構(ADF:Auto Document Feeder)を備えたものが広く流通している。これらの画像読取装置は、原稿束(バッチ)から一枚ずつ画像読取装置内に搬送して原稿画像を読み取り、各原稿の電子データを連続して出力する機能を有している。
【0003】
現在、スキャナや複写機においては、これらのADFを備えた連続スキャン後の業務の効率化を図る為、同一バッチ内における異種原稿の判別等、画像を読み取る以外の補助機能が求められている。
【0004】
これらの要求を背景に、スキャナや複写機が補助機能を提供する一例として、特許文献1の様に原稿のサイズを検出する機能を利用し、スキャン開始前にユーザーが指定した特定のサイズと異なるサイズの原稿を検出した際に、対象原稿の画像を異種原稿としてユーザーに通知する機能がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-146913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの機能を利用する場合、スキャン前にユーザーは、バッチ内から異種原稿として検出する原稿の判定条件を設定する必要があり、手間が発生していた。
【0007】
また、スキャンするバッチの種類が変わる度に、ユーザーは異種原稿を検出する為の条件を設定し直さなければならないという手間も発生していた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を鑑み、本発明の画像読取装置は、
複数の原稿を搬送し、画像を取得する画像読取装置において、
前記原稿を前記画像読取装置の筐体内に搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された前記原稿の画像を取得する画像読取部と、
前記画像読取部により読み取られた画像に関する属性情報を取得する属性情報取得部と、
前記属性情報を保存する保存部と、
前記搬送部により搬送された原稿の前記属性情報を用いて原稿の種類を判別する判別部と、
前記判別部により種類を判別された対象原稿の前後に前記搬送部によって搬送された原稿の前記属性情報を用いて原稿順の基準パターンを算出し、前記複数の原稿のうち、前記基準パターンの算出に用いた原稿の後に前記保存部に保存された原稿の並び順を前記基準パターンと比較することで、前記複数の原稿における原稿順に異常が発生したことを判定する原稿順判定部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スキャナや複写機を用いて、あるバッチをスキャンする際に、ユーザーが意図しない原稿がバッチ内に紛れ込んだ場合、それを検出することが出来る。例えば、その原稿の画像を破棄したり、その画像のみマーキングを施したり、排紙位置を変更したりすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る画像読取装置の構成図。
図2】画像読取装置の搬送路の断面図。
図3】サイズ検知による尤度規定方法の説明図1
図4】サイズ検知による尤度規定方法の説明図2
図5】尤度を用いた判定処理の説明図。
図6】異種原稿画像の通知ダイアログの説明図。
図7】画像抜け通知ダイアログの説明図。
図8】異種原稿の画像を含んだ画像一覧表示ダイアログの説明図。
図9】画像欠落箇所を強調した画像一覧表示ダイアログの説明図。
図10】尤度の規定、及び尤度を用いた判定処理に関するフローチャート。
図11】尤度の規定方法に関するフローチャート。
図12】尤度を用いた判定処理に関するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<画像読取装置の概略に関する説明>
図1は、本発明の実施形態に係る画像読取装置の構成図である。図1を用いて、本実施形態に係る画像読取装置100の主要なハードウェア構成の例を示す。なお、図1に示す構成は一例であり、他の部位を含んでいてもよい。また、図1に示す構成の一部をPC(Personal Computer)等の外部デバイスが有するソフトウェアに持たせることにより、ハードウェアの機能を簡略化させて画像読取装置100を構成させても良い。例えば、後述する判別部105、通知部106の機能をインターフェイス部107と接続したPCに持たせる構成を取っても良い。
【0012】
CPU101は、保存部104に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて、画像読取装置100を構成する各部位の動作の全体制御を行う。
【0013】
搬送部102は図2を用いて後述する方法を用いて原稿を画像読取装置100内に搬送/筐体外へと排紙する。
【0014】
画像読取部103は、搬送部102により搬送された原稿の画像を、図2を用いて後述する方法で取得する。
【0015】
保存部104は、CPU101が各種処理を実行する際に用いるワークエリアとして、画像読取部により読み取られた画像等を一時的に記憶するための記憶領域として機能する。保存部104は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶媒体から構成される。また、保存部104には画像の他にも各種原稿に関する属性情報が保存される。属性情報については、図3を用いて後述する。保存部104は必ずしも、全領域が筐体内に設置される必要はない。例えば保存領域の一部として外部接続機器(PC)の記憶媒体領域を利用し、画像の保存等を行っても良いし、それ以外の外部記憶装置であっても良い。また、属性情報はCPU101が属性情報取得部として機能することなどによって取得されるが、これに限られない。
【0016】
判別部105は、保存部104に保存された画像の属性情報を基に、バッチの中から異種原稿を判別する。異種原稿の判別条件に関しては、図3及び図4を用いて後述する尤度の規定方法の項目で説明する。
【0017】
通知部106はユーザーへの情報提示に利用される。例えば判別部105にて「異種原稿」を検出した際等に、検出結果をユーザーに通知する際に利用される。通知部が検出結果をユーザーへ通知する方法に関しては、後に図6図7図8図9を用いて説明する。通知部はLCD(Liquid Crystal Display)やLED(Light Emitting Diode)等により構成される他、タッチパネル等の入力部を備えた物で構成されても良い。また、通知部を必ずしも筐体内に構成する必要はなく、例えば外部機器(PC)に接続されたLCD等に表示させる構成を取っても良い。また、通知部106は検出結果をユーザーに通知する以外にも、画像読み取りに関する種々の通知を行って良い。
【0018】
インターフェイス部107は、外部装置との情報通信を行うインターフェイスである。外部装置としてPCを想定した場合、インターフェイス部107は、例えば、USB(Universal Serial Bus)インターフェイスやSCSI(Small Computer System Interface)等を挙げることができる。また、このような有線通信のインターフェイスの他、インターフェイス部107は無線通信のインターフェイスを採用する構成を取っても良く、有線通信、無線通信の双方のインターフェイスを備えていても良い。
【0019】
<搬送部及び画像読取部の説明>
図2を用いて、本実施形態に係る画像読取装置の搬送部及び画像読取部を説明する。
【0020】
画像読取装置100は、載置台1に積載された一又は複数の搬送媒体Sを1つずつ装置内に経路RTにて搬送してその画像を読み取り、排出トレイ2に排出する装置である。読み取る搬送媒体Sは、例えば、OA紙、小切手、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード等を挙げることができる。搬送媒体Sには、また、パスポートなどの冊子も含まれる。
【0021】
経路RTに沿って搬送媒体Sを給送する給送機構としての第1搬送部10が設けられている。第1搬送部10は本実施形態の場合、送りローラ11と、送りローラ11に対向配置される分離ローラ12と、を備え、載置台1上の搬送媒体Sを搬送方向D1に一つずつ順次搬送する。送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達され、図中反時計回り(経路RTに沿って搬送媒体Sを搬送させる方向)に回転駆動される。伝達部5は例えば電磁クラッチであり、駆動部3からの送りローラ11への駆動力を断続する。
【0022】
駆動部3と送りローラ11とを接続する伝達部5は、例えば、本実施形態では、通常時において駆動力が伝達される状態とし、搬送媒体Sの逆送の場合に駆動力を遮断する。送りローラ11は伝達部5により駆動力の伝達が遮断されると、自由回転可能な状態となる。なお、このような伝達部5は、送りローラ11を一方向のみに駆動させる場合には設けなくてもよい。
【0023】
送りローラ11に対向配置される分離ローラ12は、搬送媒体Sを1枚ずつ分離するためのローラであり、送りローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は揺動可能に設けると共に送りローラ11へ付勢されるように構成される。分離ローラ12は、トルクリミッタ12aを介して駆動部3から駆動力が伝達され、実線矢印方向(送りローラ11と同じ、図中反時計回り方向)に回転駆動される。
【0024】
分離ローラ12はトルクリミッタ12aにより駆動力伝達が規制されるため、送りローラ11と当接している際は送りローラ11に連れ回りする方向(破線矢印方向)に回転する。これにより、複数の搬送媒体Sが送りローラ11と分離ローラ12との圧接部に搬送されてきた際には、一つを残して2つ以上の搬送媒体Sが下流に搬送されないようにせき止められる。
【0025】
なお、本実施形態では分離ローラ12と送りローラ11とで分離機構を構成したが、このような分離機構は必ずしも設けなくてもよく、経路RTに搬送媒体Sを1つずつ順次給送する給送機構であればよい。また、分離機構を設ける場合においては、分離ローラ12のような構成の代わりに、搬送媒体Sに摩擦力を付与する分離パッドを送りローラ11に圧接させて、同様の分離機能を持たせるようにしてもよい。
【0026】
第1搬送部10の搬送方向下流側にある搬送機構としての第二搬送部20は、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22とを備え、第一搬送部10から搬送されてきた搬送媒体Sをその下流側へ搬送する。駆動ローラ21にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。この従動ローラ22は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ21に対して付勢された構成としてもよい。
【0027】
このような第二搬送部20よりも搬送方向下流側にある第三搬送部30は、駆動ローラ31と、駆動ローラ31に従動する従動ローラ32とを備え、第2搬送部20から搬送されてきた搬送媒体Sを排出トレイ2へ搬送する。つまり、この第三搬送部30は排出機構として機能する。駆動ローラ31にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れまわる。この従動ローラ32は、バネ等の付勢ユニットによって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0028】
ここで、本実施形態の画像読取装置100では、第二搬送部20と第三搬送部30との間に配置される画像読取ユニット70a及び70bによって画像の読み取りを行うため、第二搬送部20及び第三搬送部30は搬送媒体Sを定速搬送する。搬送速度は常に第一搬送部10の搬送速度以上とすることで、先行搬送媒体Sに後続搬送媒体Sが追いついてしまう事態を確実に回避できる。例えば、本実施形態では、第二搬送部20及び第三搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度を、第一搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度よりも速くなるように速度制御するようにした。
【0029】
なお、第二搬送部20及び第三搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度と、第一搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度とを同一条件とした場合でも、駆動部3を制御して後続搬送媒体Sの給送開始タイミングを間欠的にずらすことにより先行搬送媒体Sと後続搬送媒体Sとの間に最低限の間隔を形成することも可能である。
【0030】
第一搬送部10と第二搬送部20との間に配置される重送検出センサ40は、静電気等で紙などの搬送媒体S同士が密着し、第一搬送部10を通過してきた場合(つまり重なって搬送される重送状態の場合)に、これを検出するための検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)の一例である。重送検出センサ40としては、種々のものが利用可能であるが本実施形態の場合には超音波センサであり、超音波の発信部41とその受信部42とを備え、紙等の搬送媒体Sが重送されている場合と1つずつ搬送されている場合とで、搬送媒体Sを通過する超音波の減衰量が異なることを原理として重送を検出する。
【0031】
このような重送検出センサ40よりも搬送方向下流側に配置される媒体検出センサ50は第2搬送部20よりも上流側で、第1搬送部10よりも下流側に配置された上流側の検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)としての一例であり、第1搬送部10により搬送される搬送媒体Sの位置、詳細には、媒体検出センサ50の検出位置に搬送媒体Sの端部が到達又は通過したか否かを検出する。媒体検出センサ50としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部51とその受光部52とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。
【0032】
本実施形態の場合、搬送媒体Sの先端が媒体検出センサ50で検出されると、搬送媒体Sが重送検出センサ40により重送を検出可能な位置に到達しているように、上記の媒体検出センサ50は重送検出センサ40の近傍においてその下流側に設けられている。なお、この媒体検出センサ50は、上記の光学センサに限定されず、例えば、搬送媒体Sの端部が検知できるセンサ(イメージセンサ等)を用いてもよいし、経路RTに突出したレバー型のセンサでもよい。
【0033】
媒体検出センサ50とは別の媒体検出センサ60は画像読取ユニット70a及び70bよりも上流側で、第2搬送部20よりも下流側に配置された下流側の検出センサとしての一例であり、第2搬送部20により搬送される搬送媒体Sの位置を検出する。媒体検出センサ60としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合、媒体検出センサ50と同様に光センサであり、発光部61と受光部62とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。なお、本実施形態では、第2搬送部20の搬送方向上流側と下流側のそれぞれに媒体検出センサ50、60を配置したが、何れか一方だけでもよい。
【0034】
媒体検出センサ60よりも下流側にある画像読取ユニット70a及び70bは、例えば、光学的に走査し、電気信号に変換して画像として読み取るものであり、内部にLED等の光源、イメージセンサ、レンズアレー等を備えている。本実施形態の場合、画像読取ユニット70a及び70bは経路RTを挟んで両側に配置されており、搬送媒体Sの表裏面を読み取る。しかし、経路RTの片側にのみ一つ配置して、搬送媒体Sの片面のみを読み取る構成としてもよい。また、本実施形態では、画像読取ユニット70a及び70bを、経路RTを挟んで両側に対向配置した構造としているが、例えば、経路RTの方向に間隔をあけて配置してもよい。
【0035】
画像読取装置100の基本的な動作について説明する。制御部8は、画像読み取りの開始指示を受信すると、第1乃至第3搬送部10乃至30の駆動を開始する。載置台1に積載された搬送媒体Sはその最も下に位置する搬送媒体Sから1つずつ搬送される。
【0036】
搬送の途中で搬送媒体Sは重送検出センサ40により重送の有無が判定され、重送が無いと判定されると搬送が継続される。なお、重送があると判定された場合には、搬送を停止するか、第1搬送部10による後続搬送媒体Sの取り込みを停止して、重送状態にある搬送媒体Sをそのまま排出するようにしてもよい。
【0037】
制御部8は、媒体検出センサ60の検出結果に基づくタイミングで、第2搬送部20により搬送されてきた搬送媒体Sの、画像読取ユニット70a及び70bによる画像の読み取りを開始し、読み取った画像を一次記憶して順次外部へ送信する。画像が読み取られた搬送媒体Sは第3搬送部30により排出トレイ2に排出されてその搬送媒体Sの画像読取処理が終了する。
【0038】
上記の構成により、画像読取装置100は搬送媒体Sを搬送する搬送部102と搬送媒体Sの画像読取を行う画像読取部103を構成する。
【0039】
<サイズ検知を用いた尤度の規定方法(算出方法)について>
本実施形態では、原稿束(バッチ)から、上述した分離機構によって1枚ずつ搬送媒体Sとして原稿を分離して画像読取装置100の本体内に給送するものである。その原稿束に、ユーザーが意図しない種類の原稿(異種原稿)が含まれているかどうかを判定するが、その際に用いる尤度を規定する方法の一例として、原稿のサイズ検知結果を利用した方法について説明する。
【0040】
現在、スキャナや複合機などの画像読取機能を実現する製品では、既存の技術として読み取った原稿のサイズを検出する技術が広く活用されている。当該技術は前述した媒体検出センサ50や60等が原稿の端部を検出したタイミングや、出力された画像の原稿領域端部に係るエッジ領域を検出することにより、原稿のサイズ情報を検出する技術である。本実施形態では、このサイズ検知の技術を利用し、画像読取部103が取得した画像に対し尤度を規定する方法について説明する。
【0041】
図3は、搬送部102が搬送媒体Sを搬送し、画像読取部103によりデジタルデータ化され、保存部104に保存された原稿の画像のサイズのイメージを読取順に左から並べたものである。これを用いて尤度を規定する方法について説明する。
【0042】
まず、一番初めの搬送媒体Sから取得した画像を、尤度を規定する上で基準となる媒体サイズS1の基準画像200aとする。
【0043】
基準画像200aと同等の画像が再び検出されるまで画像を図3の保存順に比較していく。ここでいう同等の画像とは、基準画像と同系統原稿の画像のことであり、「名刺」や「領収書」、「履歴書」といったサイズや印刷内容に一定の統一性の在る原稿のことをいう。本項では、これらの原稿を判別するために画像に付随する情報を、属性情報として扱う。本実施形態では前記同系統原稿を判別する属性情報として、前記サイズ検知の結果を利用している。例えば画像の主走査方向の幅の誤差が5mm以下かつ、副走査方向幅の誤差が5mm以下である原稿は同系統原稿である等の、閾値を用いた方法を利用する。また、同系統原稿の画像であることを検出出来るのであれば、属性情報はサイズ検知の結果に限らない。
【0044】
図3の場合、基準画像200aを含めて4枚目に再び基準画像200aと同等の媒体サイズS1である画像200bが検出されるものとする。
【0045】
基準画像200aと、属性情報(サイズ検知結果)が同等の画像200bが検出されると、それまで検知した200a以降から200bまでの媒体サイズS1→S2→S3に関する属性情報(サイズ検知結果)をパターン化し、パターンAとして保存部104に保存する。ここでいうパターンとは、基準画像200aから画像200bを判別するまでに現れる属性情報(サイズ検知結果)の組み合わせである。本実施形態では原稿のサイズ検知結果の情報を画像毎に保存し、そのサイズ検知結果の検知順をパターンにする方法等が用いられている。
【0046】
図4を用いて、尤度の規定方法について更に詳細な説明を示す。
【0047】
図4の場合、基準画像200aと属性情報が同等の画像が基準画像200a以降に、画像200b、画像200c、画像200dと3枚検出される。この場合、基準画像200aと属性情報が同等の画像が検出される度に、保存領域104に検出した基準画像間の属性情報のパターンが保存される。
【0048】
図4の実施形態の場合、基準画像200aを含め、画像200bが検出されるまで、S1→S2→S3の3枚の画像により構成されるパターンAと、基準画像200aと属性情報が同等の画像である画像200bを含め、画像200cが検出されるまでの、S1→S3の2枚の画像により構成されるパターンBが保存部104に保存される。
【0049】
上記方法により保存部104に保存されたパターンを尤度として用いて、本実施形態における異種原稿の検出処理を行う。この時、既に保存済みのパターンが複数回現れた場合、前記尤度を更新する構成を取ってもよい。また異種原稿を検出することが目的であるため、尤度を規定するパターンはサイズ検知ではなく、他の手段を取っても良い。
【0050】
また、上記サイズ検知処理を用いた尤度の規定方法については、図11にてフローチャートを用いてステップごとに詳細を説明することとし、詳細は後述する。
【0051】
<サイズ検知を用いた尤度による異種原稿画像の判別処理について>
図5にて、判別部105にて尤度を用いて異種原稿画像を判別する処理について説明する。なお、本実施形態においては、画像を読み取る搬送媒体Sの束の中で原稿順に異常が発生した際の対象原稿を異種原稿として説明しているが、原稿順に異常が発生した場合とはどのような状況かについては後述する。
【0052】
ある搬送媒体Sの束(バッチ)をスキャンした結果から得られた各原稿画像のサイズ検知結果(属性情報)のパターン300の中から、異種原稿画像を判別する処理について説明する。
【0053】
サイズ検知結果のパターン300は保存部104に保存されている。また保存部104には、S1サイズの画像Aが1枚、その後S2サイズの画像が1枚、S3サイズの画像1枚が1セットになったサイズ検知結果のパターンAと、S1サイズの画像1枚とS3サイズの画像1枚がセットになったサイズ検知結果のパターンBが既に尤度として保存されているとする。
【0054】
サイズ検知結果のパターン300を解析すると左から順にA→B→B→A→B→B→・・・と結果が保存されている。しかし、保存順でいう最終画像のサイズ検知結果に、S4サイズというサイズが格納されていたとする。この場合スキャナはS4サイズという未登録パターンのサイズ検知結果を検出することにより、対象の画像を異種原稿の画像と判定する。
【0055】
また、サイズ検知結果301を例に説明する。この場合、サイズ検知結果301を保存順に解析し、一番初めに検出したパターンAを基準パターンとして考える。
【0056】
サイズ検知結果のパターン301は、保存順にA(基準パターン)→B→B→A(基準パターン)→B→B・・・と、サイズ検知結果のパターン300と同様のパターンが保存されている。ここで基準パターンAと次の基準パターンAの間のサイズ検知結果のパターンは、パターンBが2度保存されていることになる。この様に、基準パターンと基準パターンの間のパターンを記憶し、記憶したパターン通りにサイズ検知結果が得られない場合、本実施形態では画像の抜けと判別する。サイズ検知を用いた尤度による異種原稿画像の判別処理については、図12にてフローチャートを用いて詳細を説明する。
【0057】
<ユーザーへ異種原稿の画像に関する情報を通知する方法について>
異種原稿の画像を判別部105により判別した場合、画像読取装置100はユーザーに対し異種原稿を検知した旨を通知する。図6を用いてユーザーへ異種原稿に関する画像を取得した旨を通知する方法について説明する。
【0058】
前述した方法を用いて、判別部105により異種原稿の画像を検出した際、画像読取装置100は通知部106を用いて異種原稿画像の通知ダイアログ400をユーザーに対して表示する。
【0059】
異種原稿画像の通知ダイアログ400には、画像読取部103により取得した搬送媒体Sの画像の中に、判別部105が異種原稿の画像であると判別した画像が存在する、という旨の異種原稿画像の通知メッセージ401を表示する。
【0060】
異種原稿画像の通知ダイアログ400の表示タイミングは、搬送媒体Sの画像読取が全て終了したタイミング等が考えられるが、本実施形態では判別部105が異種原稿の画像を検出したタイミングで表示するものとする。正確には、異種原稿の画像を検出したタイミングからさらに1枚の原稿画像を読み込んだタイミングで表示している。その場合、搬送部102と画像読取部103による搬送媒体Sの画像読取は、一旦中断される。画像読取が全て終了したタイミングでユーザーに異種原稿の画像を検出した旨を通知する場合の例に関しては図8にて詳細を説明する。
【0061】
異種原稿画像の通知メッセージ401に関しては、異種原稿の画像を検出した旨の内容が含まれていれば、それ以外に他のメッセージを追加表示しても良い。例えば本メッセージの種類を管理するための管理コード等を追加表示しても良い。また、後述する破棄ボタン402、無視ボタン403、中断ボタン404のいずれかのボタンの選択を要求するメッセージを追加表示しても良い。
【0062】
前述した破棄ボタン402を選択した場合、画像読取装置100は、保存部104から異常原稿の対象画像405を破棄する。その後、異種原稿画像の通知ダイアログ400を閉じ、中断していた画像の読取動作を再開する。
【0063】
前述した無視ボタン403を選択した場合、画像読取装置100は、異常原稿の対象画像405を保存部104から破棄せずに異種原稿画像の通知ダイアログ400を閉じ、中断していた画像の読取動作を再開する。
【0064】
前述した中断ボタン404を選択した場合、異種原稿画像の通知ダイアログ400を閉じ、搬送媒体Sの画像読取を終了する。
【0065】
なお、これらのボタンは一例であり、これら以外の処理を実行するためのボタンを表示しても良い。
【0066】
また、異種原稿の対象画像405が画像全体の中のn番目であるとすると、(n-1)番目の画像に当たる異種原稿の対象直前画像406やそれ以前に取得済みの画像、また、取得済みであるならば(n+1)番目の画像に当たる異種原稿の対象直後画像407等を同時に表示すれば、ユーザーは異種原稿の対象画像405が本当に異種原稿の画像であるのか否かの判別を下しやすくなる。なお、対象画像405および、対象直前画像406か対象直後画像407のいずれかのみを同時に表示しても良い。例えば異種原稿の対象直後画像407の表示を行わず、異種原稿の対象直前画像406と異種原稿の対象画像405のみを表示しても良い。
【0067】
閉じるボタン408を選択することにより異種原稿画像の通知ダイアログ400の表示を終了する。その場合、中断ボタン404と同様に、搬送媒体Sの画像読取を終了する。本実施形態にて説明した異種原稿画像の通知ダイアログ400は、ユーザーに異種原稿の画像405を取得した旨を通知するための一例にすぎず、必ずしも本実施形態の形式を取る必要はない。
【0068】
<ユーザーへ画像抜けに関する情報を通知する方法について>
図7を用いてユーザーへ画像抜けを通知方法について説明する。
【0069】
前記判別部105により搬送媒体Sのスキャン画像の中に原稿の画像の抜けが発生していると判断された場合、画像読取装置100はユーザーに対し画像の抜けを検知した旨を通知する。
【0070】
前述した方法を用いて判別部105により、画像の抜けを検出した際、画像読取装置100は通知部106を用いて画像抜け通知ダイアログ500をユーザーに対して表示する。本実施形態における画像抜け通知ダイアログ500の表示タイミングは、前述した異種原稿画像の通知ダイアログ400の表示タイミング同等の原稿の抜けを検知したときであり、その際は搬送媒体Sの搬送を中断させる。図においては、異種原稿の画像を検出したタイミングからさらに1枚の原稿画像を読み込んだタイミングで表示している。
【0071】
画像抜け通知ダイアログ500には、画像読取部103により取得した搬送媒体Sの画像の中に、判別部105により画像抜けが発生していると判別された箇所が存在するという旨の画像抜け通知メッセージ501が表示される。
【0072】
挿入ボタン502を選択した場合、画像読取装置100は、画像読取が可能な状態に移行し、画像抜け通知メッセージ501のみを閉じる。その直後に画像読取部103により読取られた画像を画像抜け対象箇所505に挿入し、保存部104に保存する。
【0073】
無視ボタン503を選択した場合、画像読取装置100は、画像抜け通知ダイアログ500を閉じ、中断していた画像の読取動作を再開する。
【0074】
中断ボタン504を選択した場合、画像抜け通知ダイアログ500を閉じ、搬送媒体Sの画像読取を終了する。
【0075】
また、画像抜け対象箇所505を画像全体の中のn番目であるとすると、(n-1)番目の画像に当たる画像抜け直前画像506やそれ以前に取得済みの画像、また、もし取得済みであるならば(n+1)番目の画像に当たる画像抜け対象直後画像507等を同時に表示すれば、ユーザーは画像抜けの対象箇所が本当に画像を欠落しているのか否かの判別を下しやすくなる。なお、対象画像505および、対象直前画像506か対象直後画像507のいずれかのみを同時に表示しても良い。
【0076】
閉じるボタン508を選択することにより画像抜け通知ダイアログ500の表示を終了する。その場合、中断ボタン504と同様に、搬送媒体Sの画像読取を終了する。本実施形態にて説明した画像抜けの通知ダイアログ500は、ユーザーに画像抜けの発生を検出した旨を通知するための一例に過ぎず、必ずしも本実施形態の形式を取る必要はない。例えば画像抜け直後画像507の表示を行わず、画像抜け直前箇所506と画像抜け対象箇所505のみを表示しても良い。
【0077】
<ユーザーへ画像の読取を中断せずに異種原稿の画像に関する情報を通知する方法について>
画像読取装置100が搬送媒体Sの画像読取を中断せずに、かつユーザーへ異種原稿の画像に関する情報を通知する方法について、図8の異種原稿の画像を含んだ画像一覧表示ダイアログの説明図を用いて説明する。
【0078】
搬送媒体Sの画像読取終了後、前述した方法により判別部105が異種原稿の画像の取得を検出した場合、画像読取装置100は通知部106を用いて、異種原稿の画像を含んだ画像一覧表示ダイアログ600をユーザーに表示する。
【0079】
異種原稿の画像を含んだ画像一覧表示ダイアログ600には異種原稿を含めて保存部104に保存された搬送媒体Sの画像の一覧表示601が表示される。本実施形態における画像の一覧表示601とは、画像のサムネイル表示をいうが、画像の個々を識別可能な方法でユーザーにまとめて表示できる手段であれば、例えばファイル名等を一覧として表示しても構わない。
【0080】
画像の一覧表示601には、読取順が分るようにインデックス602が合わせて表示されても良い。インデックス602は画像読取順に整数値を表示しても、該当画像のファイル名を表示させても良い。
【0081】
画像の一覧表示601の中に、判別部105が異種原稿の画像であると判定した画像がある場合、マーキング処理画像603として画像の一覧表示601の中でも該当画像が見分けられるようにマーキング処理を施す。ここでいうマーキング処理とは、例えばマーキング処理画像603のサムネイル画像に所定の色で縁取りを行うことや、マーキング処理画像603のサムネイル画像全体の色を変更する等、画像の一覧の中から該当画像を見分ける処理を施すことをいう。
【0082】
また、異種原稿の画像を検出した際は、マーキング処理画像603と合わせて、判別部105が異種原稿の画像を検出した旨をユーザーに伝える、異種原稿画像の通知メッセージ604を表示する。異種原稿画像の通知メッセージ604に、後述する破棄ボタン605、または無視ボタン606をユーザーに選択させる旨の表示を追加させても良い。
【0083】
ユーザーに破棄ボタン605を選択されることにより、画像読取装置100は異種原稿を選択し、破棄することを通知する画面を表示し、異種原稿の画像を含んだ画像一覧表示ダイアログ600を閉じる。ここでの破棄ボタン605の目的は、判別部105が判定した異種原稿の画像を破棄することであり、例えば画像の一覧表示601からユーザーが破棄する画像を選択し、破棄ボタンを選択することで対象画像を保存部104から削除する構成を取っても良い。また、破棄ボタン605を選択することにより、マーキング処理画像603を保存部104から削除する構成を取っても良い。
【0084】
無視ボタン606を選択することにより、マーキング処理画像603を保存部104から削除することなく、異種原稿の画像を含んだ画像一覧表示ダイアログ600を閉じて、搬送媒体Sの画像読取を終了する。
【0085】
閉じるボタン607を選択することにより、無視ボタン606と同様に、マーキング処理画像603を保存部104から削除することなく、異種原稿の画像を含んだ画像一覧表示ダイアログ600を閉じて、搬送媒体Sの画像読取を終了する。
【0086】
<ユーザーへ画像の読取を中断せずに画像抜けに関する情報を通知する方法について>
画像読取装置100が搬送媒体Sの画像読取を中断せずに、かつユーザーへ画像抜けの発生に関する情報を通知する方法について、図9の画像欠落箇所を強調した画像一覧表示ダイアログの説明図を用いて説明する。
【0087】
搬送媒体Sの画像読取終了後、前述した方法により判別部105が搬送媒体Sの一部原稿の画像の欠落を検出した場合、画像読取装置100は通知部106を用いて、画像欠落箇所を強調した画像一覧表示ダイアログ700をユーザーに表示する。
【0088】
画像欠落箇所を強調した画像一覧表示ダイアログ700には、保存部104に保存された搬送媒体Sの画像の一覧表示701が表示される。ここでいう画像の一覧表示701とは、画像の一覧表示601と同等のものをいう。
【0089】
画像の一覧表示701には、インデックス602と同等のインデックス表示である、インデックス702が表示されても良い。
【0090】
画像の一覧表示701には、判別部105が画像の欠落として検出した箇所を画像欠落箇所703として強調表示させる。ここでいう強調表示とは、画像一覧常時701の中から、画像欠落箇所を判別できるものであればよい。本実施形態であれば棒のような形で該当箇所のサムネイルとサムネイルの間に表示している。図7に示すように、他の画像と同様に、サムネイル表示する程度のスペースで強調表示をしても良い。
【0091】
画像の欠落を検出した際は、画像の欠落箇所703の表示と合わせて、判別部105が画像の欠落を検出した旨をユーザーに伝える、画像欠落の通知メッセージ704を表示する。
【0092】
ユーザーに挿入ボタン705を選択されることにより、画像読取装置100は画像欠落箇所703に画像を挿入する為にスキャンが出来る状態へ移行し、画像欠落箇所を強調した画像一覧表示ダイアログ700を閉じる。その後、ユーザーにより画像欠落箇所703に挿入する原稿の画像を改めて読み取られると、画像読取装置100は、該当画像を対処箇所に挿入する。ここでの挿入ボタン605の目的は、画像の欠落箇所に新たな画像を挿入することであり、例えば画像の一覧表示701からユーザーが画像を挿入する箇所を選択し、挿入ボタンを選択することで対象箇所に画像を新たに保存する構成を取っても良い。
【0093】
無視ボタン706を選択することにより、画像欠落箇所703に画像を挿入することなく、画像欠落箇所を強調した画像一覧表示ダイアログ700を閉じて、搬送媒体Sの画像読取を終了する。
【0094】
閉じるボタン707を選択することにより、無視ボタン706と同様に、画像欠落箇所703に画像を挿入することなく、画像欠落箇所を強調した画像一覧表示ダイアログ700を閉じて、搬送媒体Sの画像読取を終了する。
【0095】
<尤度の規定と活用について>
尤度の規定と、尤度を用いた異種原稿の画像や画像の欠落の判別、及び検出方法について、図10の尤度の規定、及び尤度を用いた判定処理に関するフローチャートを用いて説明する。
【0096】
ステップS1000にて、尤度の規定、及び尤度を用いた異種原稿の画像、及び画像の欠落検出処理を開始する。
【0097】
ステップS1001にて、尤度を規定する期間か否かを判定する。ここでいう尤度を規定する期間とは、画像読取装置にて取得した画像からサイズ検知結果を取得し、取得したサイズ検知結果から尤度を規定する期間か否かを表す。本実施形態では原稿束をスキャンしてから閾値を用いてある一定枚数の原稿を読み取るまでの期間を尤度規定の期間として設定している。しかし尤度は異種原稿を判別するための手段であるため、サイズ検知結果からのみ規定される必要はない。
【0098】
また、尤度を規定する期間に関しても、本実施形態に限定されるわけでは無く、対象画像の前後の画像のサイズから尤度を規定する構成を取っても良い。更に、図6図7図8図9のダイアログにおけるユーザーの操作次第により、尤度を更新する構成を取っても良い。
【0099】
例えば、図8の無視ボタン606をユーザーが選択した場合について記述する。無視ボタン606が選択されたことにより、判定部105は異種原稿の画像であるという判定がユーザーにより覆され、異種原稿ではないと指示されたと受け取り、異種画像の判定に使用された対象のサイズ検知パターンを新規パターンとして逐次記憶部104に登録する(尤度を更新する)処理を行っても良い。この場合、一時的に尤度規定の期間が拡張されることになる。尤度規定期間の場合は処理をステップS1002に移行する。尤度規定期間ではない場合は処理をステップS1003に移行する。
【0100】
ステップS1002にて、尤度の規定処理を行う。尤度の規定処理の詳細についてはフローチャートを用いて図11にて詳細を説明する。
【0101】
ステップS1003にて、規定した尤度を用いて異種原稿、及び欠落画像の検出処理を行う。異種原稿、及び欠落画像の検出処理の詳細についてはフローチャートを用いて図12にて詳細を説明する。
【0102】
ステップS1004にて、現在尤度の規定に用いた画像、または規定した尤度により異種原稿であるか否か、または画像の欠落が発生しているか否かを判定した画像が取得した画像のなかで最終画像か否かを判定する。最終画像である場合は処理をステップS1005に移行する。最終画像ではない場合は処理をステップS1001へ移行する。
【0103】
ステップS1005にて、尤度を用いた異種原稿の画像や画像の欠落の判別、及び検出処理を終了する。
【0104】
<尤度の規定方法について>
画像読取装置が尤度を規定する方法について、図11の尤度の規定方法に関するフローチャートを用いて詳細を説明する。
【0105】
ステップS2000にて尤度規定に関する処理を開始する。その後、処理をステップS2001へ移行する。
【0106】
ステップS2001にてサイズ検知結果に関する尤度を規定するために、画像から原稿のサイズに関する情報を検出する。原稿のサイズに関する情報を検出する方法については、図3の説明において前述したサイズ検知の技術を利用する。その後、処理をステップS2002へ移行する。
【0107】
ステップS2002にて原稿のサイズ検知に関する情報を画像読取装置内に保存する。その後、処理をステップS2003へ移行する。
【0108】
ステップS2003にて、取得した画像のサイズ検知に関する情報が、原稿束の1枚目の画像に関するものであるか否かを判定する。情報が1枚目の画像である場合には処理をステップS2004へ移行する。1枚目の画像ではない場合は処理をステップS2005へ移行する。
【0109】
ステップS2004にて対象の画像のサイズ検知情報を基準情報とし、画像読取装置内に記憶する。基準情報は、図3で前述したようにサイズ検知結果のパターンの認識に利用される。その後処理をステップS2012へ移行し、終了する。
【0110】
ステップS2005にてステップS2004にて取得した基準情報と、現在対象としている画像のサイズ検知結果情報が一致しているか否かを確認する。サイズ検知結果が基準情報と一致しているか否かの確認方法については、図3にて前述している閾値を用いた方法を利用する。その後、基準情報と一致している場合は処理をステップS2006へ移行する。基準情報と一致していない場合は処理をステップS2012へ移行し、終了する。
【0111】
ステップS2006にて基準パターンが既に画像読取装置に保存されているか確認する。基準パターンとは、図3図4に前述した1枚目の画像のサイズ検知結果(基準情報)と、基準情報と同サイズの情報が再び検出されるまでに取得した画像のサイズ検知結果のパターンのことである。基準パターンが既に保存されている場合は、処理をステップS2009へ移行する。基準パターンが保存されていない場合は、処理をステップS2007へ移行する。
【0112】
ステップS2007では、[基準情報]~[基準情報と同サイズの画像の情報]の間に検出されたサイズ検知結果のパターンを用いて、基準パターンを作成する。換言すると、基準情報画像から基準情報と同サイズとなる画像の1つ前の画像までのサイズのパターンを基準パターンとして作成する。基準パターンの作成が済むと処理をステップS2008へ移行する。
【0113】
ステップS2008では、ステップS2007にて作成した基準パターンを画像読取装置内に保存する。保存後、処理をステップS2012へ移行する。
【0114】
ステップS2009では、ステップS2007と同様に[(1つ前の)基準画像と同サイズの画像の情報]~[(現在の)基準画像と同サイズの画像の情報]の間でサイズ検知結果のパターンを作成する。ステップS2007と異なる点は、パターンを作成する際に、1枚目の画像の情報である基準情報が使用されていない点と、本ステップにて作成したパターンは基準パターンとはならない点である。サイズ検知結果のパターンを作成後、処理をステップS2011へ移行する。
【0115】
ステップS2010では、ステップS2009にて作成したサイズ検知結果のパターンが、画像読取装置内に既に保存されていないか確認する。保存されていない場合は処理をステップS2011へ移行する。既に同一パターンが保存されている場合は処理をステップS2012へ移行する。
【0116】
ステップS2011では、ステップS2009にて作成したサイズ検知結果のパターンを画像読取装置内に保存する。保存後、処理をステップS2012へ移行する。
【0117】
ステップS2012にて、本実施形態における画像読取装置が尤度を規定する処理を終了する。
【0118】
<異種原稿の画像、及び画像欠落箇所の検出について>
画像読取装置がサイズ検知処理により規定した尤度を用いて、異種原稿の画像、及び画像欠落箇所を検出する方法について図12のフローチャートを使用し、説明する。
【0119】
ステップS3000にて、異種原稿の画像、及び画像欠落箇所の検出処理を開始する。その後、処理をステップS3001へ移行する。
【0120】
ステップS3001にて、異種原稿の画像か否か、及び画像の欠落が発生しているか否かを判定する対象画像のサイズ検知結果が、図11のフローチャートのステップS2004にて作成した基準情報と一致しているか判定する。本実施形態では基準情報と一致しているかの判定の方法としては、図3にて前述した画像の閾値を用いた方法を採用するものとするが、基準情報と対象画像のサイズ検知結果が一致していると判定できる方法であれば、この限りではない。基準情報のサイズ検知結果を複数回取得し、そのヒストグラムデータから判定対象となる画像のサイズ検知結果が基準情報と一致しているか判定しても良い。判定の結果、対象画像のサイズ検知結果が前記基準情報と一致していない場合、処理をステップS3002へ移行する。一致している場合、処理をステップS3004へ移行する。
【0121】
ステップS3002にて、判定対象画像のサイズ検知結果が、図11のフローチャートのステップS2008にて登録された基準パターンか、ステップS2011にて登録された新規パターンに含まれるサイズか否かを判定する。未登録のサイズ検知結果の場合、処理をステップS3003へ移行する。登録済みのサイズ検知結果の場合、処理をステップS3012へ移行する。なお、以下の説明において基準パターンと新規パターンとをまとめて、既に登録済みのパターンと称することがある。
【0122】
ステップS3003にて、対象の画像を異種原稿の画像であると判定する。判定後、処理をステップS3012へ移行する。
【0123】
一方、ステップS3004では、ステップS3001で対象画像のサイズ検知結果と前記基準情報が一致していると判定されることが初回であるか否かを判定する。初回ではない場合、処理をステップS3005へ移行する。初回の場合は処理をステップS3012へ移行する。
【0124】
ステップS3005にて、図11のステップS2007と同様に、前回所得した基準情報と同サイズのサイズ検知結果~今回取得した基準情報と同サイズのサイズ検知結果間でサイズ検知結果のパターンを作成する。パターン作成後、処理をステップS3006へ移行する。
【0125】
ステップS3006にて、ステップS3005にて作成したパターンが、既に登録済みのパターンであるか否かの判定を行う。既に登録済みのパターンである場合は処理をステップS3007へ移行する。未登録のパターンである場合は処理をステップS3003へ移行する。
【0126】
ステップS3007にて、ステップS3005にて作成したパターンが、図11のステップS2008にて登録した基準パターンと同等のパターンであるか否かを判定する。基準パターンと同等のパターンである場合は処理をステップS3008へ移行する。基準パターンと異なるパターン場合は処理をステップS3012へ移行する。
【0127】
ステップS3008にて、ステップS3007にて基準パターンと同等のパターンを検出したのは初回であるか否かを判定する。初回である場合は処理をステップS3012へ移行する。初回ではない場合は、処理をステップS3009へ移行する。
【0128】
ステップS3009にて、前回検出した「基準パターンと同等のパターン」から、ステップS3007にて検出した「基準パターンと同等のパターン」までのサイズ検知結果のパターンの並びを記憶する。記憶後、処理をステップS3010へ移行する。
【0129】
ステップS3010にて、ステップS3009にて記憶したパターンが、同様に前回記憶したパターンと一致しているか、確認する。一致している場合は処理をステップS3012へ移行する。一致していない場合は処理をステップS3011へ移行する。
【0130】
ステップS3011にて、原稿のサイズ検知結果のパターンは一致しているが、そのパターンの組み合わせが前回までスキャンしてきた原稿のサイズ検知結果のパターンの組み合わせと異なるため、原稿束の中に、欠落原稿があると判断する。判断後、処理をステップS3012へ移行する。
【0131】
ステップ3012にて、画像読取装置がサイズ検知処理により規定した尤度を用いて、異種原稿の画像、及び画像欠落箇所を検出する処理を終了する。
【0132】
なお、上記実施形態において原稿順に異常が発生したとは、図4で説明したように、A→B→B→A→・・・と繰り返している際に、・・・→B→Cと、それまでに保存部に登録されていないサイズの原稿が到達した場合や、A→B→Aと、それまでのパターンのうちの1枚以上が欠落している場合や、A→B→B→A→・・が登録済みのパターンとして登録されている際に、A→B→B→BとBが一枚以上多く連続した場合など、所定のサイズの原稿が周期的に繰り返している際に、それ以外の原稿順になったことを意味する。
【0133】
また、本実施形態においては、CPU101が原稿順判定部として機能するが、これに限られない。さらに、原稿順判定部が原稿順に異常が発生したと判定した際の対象原稿について、ユーザーが、原稿順判定部により原稿順に異常が発生していない(正常な原稿順である)と判定しているときの対象原稿と、同等の処理を実行することを選択した場合には、原稿順判定部が原稿順に異常が発生したと判定した際の対象原稿と類似する原稿については原稿順の異常を報知しないように構成しており、これらの判定もCPU101が実行しているが、これに限られない。
【0134】
以上説明した異種原稿の画像及び画像欠落箇所の検出については一例であり、適宜変更して良い。例えば、ステップS3006で既に登録済みのパターンでないと判定した場合であっても、所定の数のパターン(例えば2つ)までは異種原稿の画像データを判定せずに、それを上回るパターンの際にのみ異種原稿の画像データであると判定するようにしても良い。それ以外にも各ステップにおける処理を特定の条件において飛ばしたり、追加したりしても良い。
【符号の説明】
【0135】
100 画像読取装置
101 CPU
102 搬送部
103 画像読取部
104 保存部
105 判別部
106 通知部
107 インターフェイス部
S 搬送媒体
RT 経路
D1 搬送方向
70 読取ユニット
200 基準画像
405 異種原稿の対象画像
406 異種原稿の対象直前画像
407 異種原稿の対象直後画像
505 画像抜け対象箇所
506 画像抜け直前画像
507 画像抜け直後画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12