(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 7/46 20060101AFI20240426BHJP
A47C 3/026 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A47C7/46
A47C3/026
(21)【出願番号】P 2019237247
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】春田 大輔
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05791733(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0067494(KR,A)
【文献】特開2014-090999(JP,A)
【文献】特開2014-151146(JP,A)
【文献】実開昭62-014884(JP,U)
【文献】実開昭58-117150(JP,U)
【文献】実開昭60-77456(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/46
A47C 3/026
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背もたれに、着座者の腰部を直接に又は間接的に支えるランバーパッドが上下動自在に配置されていると共に、前記ランバーパッドの高さ調節を行う操作レバーが、前記ランバーパッドとは別体に分離した状態で一定方向に移動するように装着されており、前記操作レバーとランバーパッドとは連動手段で連結されてい
る椅子であって、
前記操作レバーは、前記背もたれの下面に摘みを露出させた状態で左右スライド自在に配置されている、
椅子。
【請求項2】
背もたれに、着座者の腰部を直接に又は間接的に支えるランバーパッドが上下動自在に配置されていると共に、前記ランバーパッドの高さ調節を行う操作レバーが、前記ランバーパッドとは別体に分離した状態で一定方向に移動するように装着されており、前記操作レバーとランバーパッドとは連動手段で連結されている椅子であって、
前記背もたれは、背シェル体とその前面に配置したクッション体とを備えており、前記ランバーパッドは、その全体が前記背シェル体とクッション体との間に配置されている一方、
前記操作レバーは、前記背もたれの下面に摘みを露出させた状態で左右スライド自在に配置されており、前記操作レバーとランバーパッドとは、撓み変形する線状材によって連結されている、
椅子。
【請求項3】
ばね手段に抗して後傾動する傾動フレームを有し、前記傾動フレームは、座の後部上方において水平姿勢に配置された左右長手のステーを有する傾動フレームを備えており、前記背もたれは、前記ステーに背シェル体が上から重ねられた構造であり、前記ステーに前記操作レバーが左右動自在に装着されている、
請求項
2に記載した椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、高さ調節可能なランバーパッドを備えた椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子の背もたれにランバーパッドを高さ調節可能に配置することは広く行われている。ランバーパッドの配置態様や昇降機構は様々であるが、ランバーパッドを上下動させる手段としては、一般に、ランバーパッドに摘み状等の操作レバーを一体的に設けて、操作レバーとランバーパッドとを一緒に上下動させている(例えば特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-311900号公報
【文献】特開2017-086369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操作レバーをランバーパッドに一体的に設けることは、スペースに余裕がある場合は特段の問題はないが、例えば、ランバーパッドを背もたれの内部に完全に隠したい場合のようにスペースに余裕がない場合は、高さ調節が困難になってしまう。換言すると、操作レバーの配置位置を確保するためにランバーパッドの配置態様が制限を受けて、設計の自由性が損なわれることになる。
【0005】
また、操作レバーの配置スペースがある場合でも、操作レバーの配置位置が制限されることによってデザイン性の自由性が低下したり、操作レバーを操作しにくくなったりすることも想定される。更に、デザイン的な考え方により、操作レバーをできるだけ目立たせたくないとい要請もあり得るが、操作レバーがランバーパッドに一体的に設けられていると、このような要請に応え難い場合がある。
【0006】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は様々な構成を有しており、その典型を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明は上位概念を成すもので、
「背もたれに、着座者の腰部を直接に又は間接的に支えるランバーパッドが上下動自在に配置されていると共に、前記ランバーパッドの高さ調節を行う操作レバーが、前記ランバーパッドとは別体に分離した状態で一定方向に移動するように装着されており、前記操作レバーとランバーパッドとは連動手段で連結されている」
という基本構成において、
「前記操作レバーは、前記背もたれの下面に摘みを露出させた状態で左右スライド自在に配置されている」
という構成を付加している。
【0008】
この場合、着座した人の荷重(体圧)をランバーパッドで直接支える構造であってもよいし、特開2012-71025号公報に開示されているように、メッシュ材の左右両側部をランバーパッドで支えて、体圧はメッシュ材で間接的に支える構造であってもよい。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1と同じ基本構成において、
「前記背もたれは、背シェル体とその前面に配置したクッション体とを備えており、前記ランバーパッドは、その全体が前記背シェル体とクッション体との間に配置されている一方、
前記操作レバーは、前記背もたれの下面に摘みを露出させた状態で左右スライド自在に配置されており、前記操作レバーとランバーパッドとは、撓み変形する線状材によって連結されている」
という構成になっている。
【0011】
請求項3の発明は請求項2の展開例であり、
「ばね手段に抗して後傾動する傾動フレームを有し、前記傾動フレームは、座の後部上方において水平姿勢に配置された左右長手のステーを有する傾動フレームを備えており、前記背もたれは、前記ステーに背シェル体が上から重ねられた構造であり、前記ステーに前記操作レバーが左右動自在に装着されている」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0012】
本願発明では、操作レバーはランバーパッドとは別体になっていてランバーパッドから離れて配置されているため、ランバーパッドと操作レバーとは、互いに制約を受けることなく構造や配置位置を選択できる。従って、設計の自由性を大きく向上させて、椅子のデザイン性向上に貢献できる。
【0013】
また、操作レバーは使用者が操作しやすいように配置や動きを選択できるため、ランバーパッドの高さ調節の容易性向上にも貢献できる。また、椅子に腰掛けた状態で摘みを後ろ手で上下動させるのは、腕を曲げて上下動させねばならないため力を掛けにくい場合があり、そのため操作性が悪いことがあるが、請求項1,2のように操作レバーを左右動させる構成を採用すると、腕を大きく曲げる必要はなくて操作レバーを強い力で押し引きできるため、操作性も向上できる。
【0014】
請求項2では、ランバーパッドは背もたれの内部に隠れているため、背もたれをスッキリとした外観に仕上げて美観を向上させつつ、ランバーサポート機能を保持させて椅子の商品価値を向上できる。このように、ランバーパッドが背もたれに内蔵されている場合は、本願発明の真価が特に強く発揮されると云える。
【0015】
また、請求項1,2では、操作レバーの摘みは背もたれの下面に露出しているため、椅子を後ろから見ても摘みは人目につきにくい。従って、操作レバーの露出をできるだけ抑えて美観を向上できる。
【0016】
背もたれの構造は様々であるが、請求項4のように、下端を傾動フレームのステーで構成していると、背もたれを頑丈な構造にできる利点がある。そして、傾動フレームのステーを利用して操作レバーを装着しているが、傾動フレームは背もたれを支持するという性質上頑丈な構造になっていることから、使用者の体圧で変形するようなことはないため、操作レバーを長期に亙って軽快に操作できる状態に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態の外観を示す図で、(A)は前方か
ら見た斜視図、(B)は側面図、(C)は後ろから見た斜視図である。
【
図2】(A)は一部部材を分離した斜視図、(B)(C)は骨組みを示す斜視図である。
【
図4】(A)は背シェル体と傾動フレームとの分離斜視図、(B)は傾動フレームの斜視図である。
【
図7】(A)は分離斜視図、(B)は操作レバーの分離斜視図、(C)はランバーパッドの部分的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本願では、方向を特定するため前後・左右の文言を使用しているが、これは、椅子に普通に腰掛けた人から見た状態を基準にしている。正面図は着座した人と対向した方向である。
【0019】
(1).椅子の概略
まず、主として
図1~
図4を参照して、椅子の概略を説明する。
図1のとおり、椅子は、主要要素として、脚装置1、座2、背もたれ3を備えており、背もたれ3の上方にヘッドレスト4を配置している。また、本実施形態の椅子は、肘掛け5を標準品として装備している。脚装置1は、ガスシリンダより成る脚支柱6と放射方向に延びる枝部とを有しており、各枝部の先端にはキャスタを設けている。脚支柱6の上端には、上向きに開口した略箱状のベース7が固定されている。
【0020】
図2(B)に示すように、ベース7の前端部には、樹脂製やアルミダイキャスト製のフロントブロック8がボルトで固定されており、フロントブロック8には、左右一対のフロントリンク9がフロント軸を介して後傾動可能に取り付けられている。
【0021】
同じく
図2(B)に明示するように、ベース7の左右両側には、傾動フレーム10の前向きアーム部11が配置されており、前向きアーム部11が中空軸(図示せず)によってベース7に後傾動自在に連結されている。また、傾動フレーム10の後部に左右の支柱部12を設けており、支柱部12に背もたれ3と肘掛け5とが取り付けられている。
【0022】
傾動フレーム10を構成する前向きアーム部11の前端部は、既述のとおり左右長手の中空軸を介してベース7に連結されており、従って、背もたれ3は傾動フレーム10の前端部を中心にして後傾動する。そして、中空軸にはばね手段の一例としてのトーションバー(図示せず)が内蔵されており、傾動フレーム10は、トーションバーの弾性に抗して後傾動する。
【0023】
例えば
図4に示すように、傾動フレーム10において、左右の支柱部12には、平面視で後ろに膨らむ(前に凹む)ように緩く湾曲した下ステー13と上ステー14とが一体に繋がっており、左右支柱部12と上下ステー部13,14とによって傾動フレーム10の基部が構成されて、基部の左右両端部に、別体の前向きアーム部11が固定されている(前向きアーム部11を基部に一体に形成してもよい。)。傾動フレーム10の基部と前向きアーム部11とは、それぞれアルミダイキャスト品であるが、樹脂製品も採用可能である。
【0024】
座2は、
図1(B)に一部を示す樹脂製の座板15にクッション体を張った構造になっており、座板15は、その下方に配置された座受けシェル体16に取り付けられている。そして、座受けシェル体16の前部は既述のフロントリンク9に左右長手のピンで連結されて、座受けシェル体16の後部は、傾動フレーム10の前向きアーム11に上向き突設したリアリンク17に左右長手のピンで連結されている。従って、背もたれ3が後傾すると、座2も後退しつつ後傾する。
【0025】
図3に示すように、背もたれ3は、合成樹脂製の下部シェル体18及び上部シェル体19とから成る背シェル体20を備えており、
図2(A)に示すように、背シェル体20の前面にクッション体21が配置されている。背シェル体20とクッション体21との全体が、袋状の表皮材(図示せず)によって覆われている。
図1,2等において表皮材は省略している。
図3に示すように、ヘッドレスト4は複数の部材を有して可動式になっているが、本願発明との関係はないので説明は省略する。なお、本実施形態では背シェル体を上下のシェル体18,19で構成したが、全体を一体の構成とすることもできる。
【0026】
例えば
図3に明示されているように、下部シェル体18の下部は手前に張り出しており、
図4に示すように、左右の張り出し部の前端に、下方に開口した蟻溝状の雌形レール部23を形成している一方、傾動フレーム10における支柱部12の後面に、雌形レール部23が上から嵌合する蟻ホゾ状の雄形レール部24を一体に形成しており、雌形レール部23をボルト(図示せず)で支柱部12に固定している。
【0027】
図4(B)に示すように、傾動フレーム10の下ステー13は断面逆L形になっており、その下面にセンターカバー25及びサイドカバー26を配置することにより、下ステー13に前向きに開口した横長凹部が形成されている。センターカバー25はビス27によって下ステー13に固定され、サイドカバー26は、下ステー13に係止されると共にセンターカバー25で押さえ保持されている。
【0028】
(2).ランバーサポート装置
図2に示すように、下部シェル体18の前面にはランバーパッド30が上下スライド自在に配置されている。他方、例えば
図7(A)に示すように、傾動フレーム10を構成する上ステー14のうち右寄り部位に、上向きに開口した左右長手の溝枠部31に、下方に露出した摘み32aを有する下スライドレバー32と、下スライドレバー32に上から嵌合した上スライドレバー33とが左右スライド自在に装着されている。従って、本実施形態では、上ステー14が請求項に記載したステーに該当する。
【0029】
また、本実施形態では、スライドレバー32,33によって請求項に記載した操作レバーが構成されている。そして、上スライドレバー33とランバーパッド30とが、ある程度の腰を持ちつつ撓み変形可能な弾性線状材34によって連結されている。従って、下スライドレバー32を左右動させると、弾性線状材34で押し引きされてランバーパッド30が上下動する。
【0030】
弾性線状材34は、芯線に多数本の細い鋼線が撚った状態で巻かれたワイヤーを使用しているが、樹脂フィラメントを撚ったものや、ばね鋼や樹脂棒の単線など、様々な構造のものを使用できる。細い帯状板ばねも使用可能である。
【0031】
なお、
図4(A)に示すように、傾動フレーム10における上ステー14の上面には、既述の溝枠部31や位置決めリブ35が突設されている一方、下部シェル体18の下面には、溝枠部31や位置決めリブ35に被嵌する長溝穴36が形成されている。また、下部シェル体18は、上ステー14に複数本のボルトで固定されている。
【0032】
図7(A)に示すように、上スライドレバー33は溝枠部31に上から嵌入して、下スライドレバー32は溝枠部31に下から嵌入しており、両者は
図7(B)に示すようにビス37で固定されている。また、下スライドレバー32には上向きの位置決め突起38が形成されて、上スライドレバー33には位置決め突起38が嵌合する位置決め穴39が形成されている。
【0033】
上ステー14の溝枠部31には、樹脂製のスライド補助キャップ53を下方から嵌め込み装着しており、下スライドレバー32と上スライドレバー33とは、樹脂製のスライド補助キャップ53に左右スライド自在に嵌まっている。スライド補助キャップ53の下端にはフランジ53aを形成している。また、スライド補助キャップ53の左右両端には上向きの係合爪54を突設しており、係合爪54が溝枠部31の左右両端部31aに係合している。
【0034】
更に、上スライドレバー33の左右両端には、スライド補助キャップ53の内面に弾性的に当接するゴム製コロ40を装着している。従って、スライドレバー32,33をガタ付き無く左右スライドさせ得ると共に、任意の位置に保持できる。
【0035】
例えば
図7(A)(B)に示すように、上スライドレバー33の右端部に、弾性線状材34の一端部が係止する連結突起42を設けている。弾性線状材34の一端にはフック43を固定しており、フック43を連結突起42に嵌め込んでいる。
【0036】
また、
図4(A)に示すように、傾動フレーム10における上ステー14の長溝穴36の上底部には、上スライドレバー33の連結突起42がスライド自在に嵌入する長穴44が空いている。連結突起42は、長溝穴36にスライド自在に嵌まった突起45に形成さている。
【0037】
例えば
図6に示すように、下部シェル体18の下端部には、下端部に位置した左右長手の底板46とその上方に位置した棚状板47とが形成されており、上スライドレバー33の連結突起42は、底板46と棚状板47とで囲われた下部横長空間48に露出している。そして、下部シェル体18の左右中間部に、左右のセンターリブ49で挟まれたセンターガイド溝50が形成されており、センターガイド溝50に、後ろ向き開口コ字形のセンターガイド51が装着されて、弾性線状材34がセンターガイド51の内部に配置されている。
【0038】
そして、
図6(B)に明示するように、ランバーパッド30の後面に、左右側板を有する上下長手のガイドレール部52を一体に形成して、このガイドレール部52をセンターガイド溝50に上下スライド自在に嵌め入れ、更に、ガイドレール部52の上端に弾性線状材34の上端を係止している。従って、スライドレバー32,33を左右動させると、弾性線状材34の押し引き作用によってランバーパッド30が上下動する。
【0039】
図6(B)に示すように、センターガイド溝51の内部には、弾性線状材34がスライド自在に通るガイド溝55を有するインナーガイド56が形成されており、このインナーガイド56にセンターガイド51が前から被さっている。インナーガイド56の左右側面に係合爪57が形成されている一方、センターガイド51には、係合爪57と係合する係合穴58が形成されている。従って、弾性線状材34は、センターガイド51のガイド作用により、真っ直ぐに伸びた状態に保持される。
【0040】
図6(B)に示すように、ランバーパッド30におけるガイドレール部52の上部には背面板59が形成されており、背面板59から前向きに突設したピン60に、弾性線状材34の他端(上端)がフック61を介して連結されている。
【0041】
弾性線状材34は、下部横長空間48では左右長手の姿勢になって、センターガイド溝51では上下長手の姿勢になっており、途中で曲がっている。そこで、
図6に示すように、下部シェル体18の下端部に、弾性線状材34の曲がりを一定化しつつスライドをガイドする湾曲したガイド樋62が、棚状板47に食い込んだ状態で形成されている。
【0042】
また、
図6に示すように、ランバーパッド30の左右両端にサイドガイド片63が横向きに突設されている一方、下部シェル体18には、サイドガイド片63を前向き移動不能で上下動自在に保持するサイドガイド64を形成している。
【0043】
また、
図6(B)に示すように、ランバーパッドの後面のうち左右両端寄り部位に上下長手のサイドリブ65を突設している一方、下部シェル体18には、サイドリブ65が摺接するサイドガイド溝66が形成されている。従って、ランバーパッド30は、下部シェル体18によって後ろから安定良く支持されている。
【0044】
(3).まとめ
本実施形態は上記の構成であり、ランバーパッド30が背もたれ3の内部に全体が隠れていると共に、下スライドレバー32は上スライドレバー33の下面部に配置されていて僅かしか見えないため、背もたれ3の全体をスッキリさせて美観に優れている。
【0045】
また、使用者は、椅子に腰掛けた状態で右手を後ろに伸ばして下スライドレバー32を操作できるが、水平方向の押し引きは腕を大きく曲げることなく行えるため、レバー32,33の操作を制動性良く行える。従って、力を掛け過ぎて、弾みでランバーパッド30が所望の位置からずれるような現象はなく、ランバーパッド30の高さ調節を正確に行える。
【0046】
連動手段としてはリンク機構なども採用できるが、実施形態のように弾性線状材34を使用すると、容易に撓み変形するため、簡単な構造でありながら、スライドレバー32,33の動きをランバーパッド30に伝えることができる。特に、実施形態のようにガイド樋62を設けると、弾性線状材34の曲がりの程度を一定化しつつ押し引きできるため、ランバーパッド30の動きを確実化できる利点がある。
【0047】
また、ランバーパッド30は背シェル体20の前面に配置されているため、背シェル体20の前面に、センターガイド溝50やサイドガイド64、サイドガイド溝66のようなガイド手段を問題なく形成できる。従って、ランバーパッド30の支持安定性にも優れている。
【0048】
本願発明は、図示した実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、操作レバーは、背もたれの背面に左右スライド自在に装着することも可能である。或いは、背もたれの左右側部のうち一方又は両方に上下動自在に装着するといったことも可能である。
更に、操作レバーを回動式に構成することも可能である。背もたれは、前後に開口した背フレームにメッシュ材を張った構造であってもよい。この場合は、メッシュ材を介して着座者の体圧をランバーパッドで支える構造であってもよいし、メッシュ材のうち着座者の身体が当たらない左右両側部にランバーパッドを配置して、メッシュ材を介して着座者の体圧を支える構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本願発明は、ランバーサポート装置を備えた椅子に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0050】
3 背もたれ
10 傾動フレーム
14 上ステー(請求項のステー)
18 背シェル体を構成する下部シェル体
19 背シェル体を構成する上部シェル体
20 背シェル体
21 クッション体
30 ランバーパッド
32 操作レバーを構成する下スライドレバー
33 操作レバーを構成する上スライドレバー
34 連動手段の一例としての弾性線状材
50 センターガイド溝
51 センターガイド