(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240426BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20240426BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240426BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240426BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/58
H01L33/00 J
G09F9/33
G09F9/302 C
(21)【出願番号】P 2020031658
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小川 耀博
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/146634(WO,A1)
【文献】特開2020-012972(JP,A)
【文献】特表2017-521859(JP,A)
【文献】特開2016-099493(JP,A)
【文献】特表2018-538554(JP,A)
【文献】特開2019-128447(JP,A)
【文献】特開2019-211665(JP,A)
【文献】特開2019-211688(JP,A)
【文献】国際公開第2020/003364(WO,A1)
【文献】米国特許第10325894(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
G09F 9/30 - 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画素および第2画素を含む回路基板と、
前記第1画素の第1陽極パッドおよび第1陰極パッドと重畳し、かつ、電気的に接続するように実装された第1LEDチップと、
前記第2画素の第2陽極パッドおよび第2陰極パッドと重畳し、かつ、電気的に接続するように実装された第2LEDチップと、を含み、
前記第1画素は、前記第1LEDチップと重畳し、前記第1陽極パッドと前記第1陰極パッドとの間にあって、前記第1LEDチップからの発光を透過する第1光透過領域を含み、
前記第2画素は、前記第2LEDチップと重畳し、前記第2陽極パッドと前記第2陰極パッドとの間にあって、前記第2LEDチップからの発光を透過する第2光透過領域を含み、
前記第1LEDチップおよび前記第2LEDチップは、前記回路基板側および前記回路基板と反対側に光を出射し、
前記第1陽極パッドは、第1電極層および前記第1電極層の上の第2電極層を含み、
前記第1電極層は、前記第2電極層よりも大きく、かつ、前記第2電極層の端部よりも前記第1陰極パッドの方向に突出し、
前記回路基板の平面視において、前記第1光透過領域の第1面積と前記第2光透過領域の第2面積とが第1の比を有し、
前記第1の比は、前記第1面積:前記第2面積=1:0.8~1.2である
両面発光の表示装置。
【請求項2】
前記第1の比は、前記第1面積:前記第2面積=1:0.9~1.1である請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1電極層は金属材料である請求項
1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2電極層は透明導電材料である請求項
3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1LEDチップは、赤色LEDチップであり、
前記第2LEDチップは、緑色LEDチップである請求項1乃至請求項
4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記回路基板は、さらに、第3画素を含み、
前記第3画素の第3陽極パッドおよび第3陰極パッドと重畳し、かつ、電気的に接続するように実装された第3LEDチップを含み、
前記第3画素は、前記第3LEDチップと重畳し、前記第3陽極パッドと前記第3陰極パッドとの間にあって、前記第3LEDチップからの発光を透過する第3光透過領域を含み、
前記回路基板の平面視において、前記第1光透過領域の第1面積と前記第3光透過領域の第3面積とが第2の比を有し、
前記第2の比は、前記第1面積:前記第3面積=1:0.8~1.2である請求項1乃至請求項
5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2の比は、前記第1面積:前記第3面積=1:0.9~1.1である請求項
6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第3LEDチップは、青色LEDチップである請求項
6または請求項
7に記載の表示装置。
【請求項9】
平面視において、前記回路基板は、前記第1陽極パッドと前記第1陰極パッドとの間に遮光層を含み、
前記遮光層は、前記第1LEDチップから前記回路基板側に出射する光を遮光し、
前記回路基板の平面視において、前記第1光透過領域は、
前記遮光層によって離隔された複数の領域を含む請求項1乃至請求項
8のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記遮光層の電位は、フローティング状態である請求項
9に記載の表示装置。
【請求項11】
回路基板と、
LEDチップと、を含む
両面発光の表示装置であって、
前記回路基板は、
基板と、
前記基板の上の遮光層と、
前記遮光層の上の第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上の第1配線層と、
前記第1配線層の上の第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の上の前記LEDチップと接続する陽極パッドと、
前記第2絶縁層の上の前記LEDチップと接続する陰極パッドと、を含み、
前記回路基板は、前記LEDチップと重畳し、かつ、前記陽極パッドと前記陰極パッドとの間にあって、前記LEDチップからの発光を透過する光透過領域を含み、
平面視において、前記遮光層は、前記陽極パッドと前記陰極パッドとの間に位置する表示装置。
【請求項12】
前記第1配線層を含み、前記陽極パッドと接続される画素回路と、前記遮光層とは、重畳しない請求項
11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記画素回路は、少なくとも、第1トランジスタと、第2トランジスタと、第3トランジスタと、第4トランジスタと、第5トランジスタと、を含み、
前記第1トランジスタ乃至第5トランジスタの各々は、前記陽極パッドまたは前記陰極パッドと重畳する請求項
12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1トランジスタは発光制御トランジスタであり、
前記第2トランジスタは選択トランジスタであり、
前記第3トランジスタは初期化トランジスタであり、
前記第4トランジスタはリセットトランジスタであり、
前記第5トランジスタは駆動トランジスタであり、
前記第1トランジスタおよび前記第5トランジスタは、前記陰極パッドの外周よりも内側に位置し、
前記第2トランジスタ、前記第3トランジスタ、および前記第4トランジスタは、前記陽極パッドの外周よりも内側に位置する請求項
13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記第1配線層はゲート電極を含み、
前記第2絶縁層はゲート絶縁膜を含む請求項
11乃至請求項
14のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、特にLEDチップを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の中小型表示装置においては、液晶やOLED(Organic Light Emitting Diode)を用いた表示装置が既に製品化されている。なかでも、自発光型素子であるOLEDを用いたOLED表示装置は、液晶表示装置と比べて、高コントラストでバックライトが不要という利点を有する。OLEDは、2つの電極(陽極および陰極)に透明導電材料を用いることより、透明でありながら、両面(陽極側の面および陰極側の面)に発光することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、OLEDは有機化合物で構成されるため、有機化合物の劣化によってOLED表示装置の高信頼性を確保することが難しい。
【0003】
近年、次世代表示装置として、回路基板の画素内に微小なLEDチップを実装した、いわゆるマイクロLED表示装置およびミニLED表示装置の開発が進められている(例えば、特許文献2および特許文献3参照。)。LEDは、OLEDと同様の自発光型素子であるが、OLEDと異なり、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などを含む無機化合物で構成されるため、OLED表示装置と比較すると、マイクロLED表示装置は高信頼性を確保しやすい。さらに、LEDチップは、発光効率が高く、高輝度にすることもできる。したがって、マイクロLED表示装置は、高信頼性、高輝度、高コントラストの次世代表示装置として期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-3849号公報
【文献】米国特許第10090335号明細書
【文献】中国公開特許第110190085号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイクロLED表示装置およびミニLED表示装置も、LEDの構造またはLEDチップの実装を工夫することにより、透明で、かつ、両面発光する表示が可能である。しかしながら、マイクロLED表示装置およびミニLED表示装置の場合、LEDチップが実装される回路基板には、多くの配線または電極が形成されてため、回路基板側から得られるLEDチップの発光の輝度は、配線および電極の配置に依存したものとなる。すなわち、LEDチップと重畳する領域に配線または電極が多い場合には輝度が減少し、LEDチップと重畳する領域に配線または電極が少ない場合には輝度が増加する。そのため、回路基板側からLEDチップの発光を取り出す場合、画素の配列によっては、画素の輝度にばらつきが生じる。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、回路基板上に実装されたLEDチップが少なくとも回路基板側に光を出射する表示装置において、画素間の輝度のばらつきを抑制することを課題の一つとする。また、複数の発光色のLEDチップが実装された表示装置において、色バランスの優れた表示が可能な表示装置を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、第1画素および第2画素を含む回路基板と、第1画素の第1陽極パッドおよび第1陰極パッドと重畳し、かつ、電気的に接続するように実装された第1LEDチップと、第2画素の第2陽極パッドおよび第2陰極パッドと重畳し、かつ、電気的に接続するように実装された第2LEDチップと、を含み、第1画素は、第1LEDチップと重畳し、第1陽極パッドと第1陰極パッドとの間にあって、第1LEDチップからの発光を透過する第1光透過領域を含み、第2画素は、第2LEDチップと重畳し、第2陽極パッドと第2陰極パッドとの間にあって、第2LEDチップからの発光を透過する第2光透過領域を含み、回路基板の平面視において、第1光透過領域の第1面積と第2光透過領域の第2面積とが第1の比を有し、第1の比は、第1面積:第2面積=1:0.8~1.2である。
【0008】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、遮光層の上の第1絶縁層と、第1絶縁層の上の第1配線層と、第1配線層の上の第2絶縁層と、第2絶縁層の上のLEDチップと接続する陽極パッドと、第2絶縁層の上のLEDチップと接続する陰極パッドと、を含み、平面視において、遮光層は、陽極パッドと陰極パッドとの間に位置する表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の模式的な断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置に実装されるLEDチップの模式的な断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素において、LEDチップを駆動する回路(画素回路)を示す回路図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の模式的な平面図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に係る表示装置において、回路基板の陽極パッドおよび陰極パッドとLEDチップとの位置関係を示す模式的な平面図である。
【
図6B】本発明の一実施形態に係る表示装置において、回路基板の陽極パッドおよび陰極パッドとLEDチップとの位置関係を示す模式的な平面図である。
【
図6C】本発明の一実施形態に係る表示装置において、回路基板の陽極パッドおよび陰極パッドとLEDチップとの位置関係を示す模式的な平面図である。
【
図6D】本発明の一実施形態に係る表示装置において、回路基板の陽極パッドおよび陰極パッドとLEDチップとの位置関係を示す模式的な平面図である。
【
図7A】本発明の一実施形態に係る表示装置において、面積が調整された光透過領域を示す模式的な平面図である。
【
図7B】本発明の一実施形態に係る表示装置において、面積が調整された光透過領域を示す模式的な平面図である。
【
図7C】本発明の一実施形態に係る表示装置において、面積が調整された光透過領域を示す模式的な平面図である。
【
図7D】本発明の一実施形態に係る表示装置において、面積が調整された光透過領域を示す模式的な平面図である。
【
図8A】本発明の一実施形態に係る表示装置において、回路基板の表示部に含まれる3つの画素を示す模式的な平面図である。
【
図8B】本発明の一実施形態に係る表示装置において、回路基板の表示部に含まれる3つの画素を示す模式的な平面図である。
【
図8C】本発明の一実施形態に係る表示装置において、回路基板の表示部に含まれる3つの画素を示す模式的な平面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置の表示部における画素の配列を示す模式的な平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る表示装置の表示部における画素の配列を示す模式的な平面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る表示装置の表示部における画素の配列を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0011】
本明細書において「αはA、BまたはCを含む」、「αはA,BおよびCのいずれかを含む」、「αはA,BおよびCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0012】
本明細書において、説明の便宜上、「上」または「上方」もしくは「下」または「下方」という語句を用いて説明するが、原則として、構造物が形成される基板を基準とし、基板から構造物に向かう方向を「上」または「上方」とする。逆に、構造物から基板に向かう方向を「下」または「下方」とする。したがって、基板上の構造物という表現において、構造物の基板側の面が下面となり、その反対側の面が上面となる。また、基板上の構造物という表現においては、基板と構造物との上下関係を説明しているに過ぎず、基板と構造物との間に他の部材が配置されていてもよい。さらに、「上」または「上方」もしくは「下」または「下方」の語句は、複数の層が積層された構造における積層順を意味するものであり、平面視において重畳する位置関係になくてもよい。
【0013】
本明細書において、「表示装置」とは、映像を表示する装置を幅広く含むものであり、表示パネルや表示モジュールだけでなく、他の光学部材(例えば、偏光部材またはタッチパネルなど)が取り付けられた装置も含むものとする。
【0014】
以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0015】
<第1実施形態>
図1~
図8Cを参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10について説明する。
【0016】
[1.表示装置の構成の概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の模式的な平面図である。具体的には、
図1は、表示装置10の平面レイアウトの構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、表示装置10は、回路基板100および発光ダイオードチップ(LEDチップ)200を含む。回路基板100は、表示部210、第1回路部220L、第2回路部220R、および接続部230を含む。表示部210は、回路基板100の中央部に設けられ、第1回路部220L、第2回路部220R、および接続部230は、回路基板100の周辺部に設けられている。
【0018】
表示部210は、複数の画素212を含む。複数の画素212の各々に、LEDチップ200が実装されている。また、複数の画素212の各々には、LEDチップ200を制御するためのトランジスタ300が設けられている。
【0019】
LEDチップ200は、少なくとも、回路基板100側に光を出射することができる。すなわち、LEDチップ200からの発光は、回路基板100を通って外部に取り出される。なお、LEDチップ200が、回路基板100側だけでなく、回路基板100と反対側にも光を出射してもよい。この場合、表示装置10は、両面発光が可能な透明LED表示装置となる。
【0020】
複数のLEDチップ200のは、発光色が異なっていてもよい。すなわち、表示装置10は、第1画素212R、第2画素212G、および第3画素212Bのそれぞれに、互いに発光色の異なる、第1LEDチップ200R、第2LEDチップ200G、および第3LEDチップ200Bが実装されていてもよい。例えば、第1LEDチップ200Rは赤色LEDチップであり、第2LEDチップ200Gは緑色LEDチップであり、第3LEDチップ200Bは青色LEDチップである。この場合、表示装置10は、第1LEDチップ200Rからの赤色発光、第2LEDチップ200Gからの緑色発光、および第3LEDチップ200Bからの青色発光を制御することによって、フルカラー表示をすることができる。
【0021】
LEDチップ200の大きさは特に限定されない。表示装置10の大きさまたは解像度を考慮して、LEDチップ200を適宜選択すればよい。例えば、表示装置10が中小型表示装置である場合、ミニLEDチップまたはマイクロLEDチップを用いることができる。
【0022】
なお、以下では、発光色および画素を特に区別しない場合は、LEDチップ200および画素212として説明する。
【0023】
第1回路部220Lおよび第2回路部220Rは、画素に含まれるトランジスタ300を駆動するための駆動回路を含む。駆動回路は、例えば、走査線駆動回路(ゲートドライバ回路)または信号線駆動回路(ソースドライバ回路)などである。なお、
図1では、第1回路部220Lおよび第2回路部220Rの2つの回路部が設けられているが、回路部の数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0024】
接続部230は、接続配線(図示しない)により、第1回路部220Lおよび第2回路部220Rと接続されている。また、接続部230は、フレキシブルプリント回路基板(FPC)などにより、外部装置と接続される。すなわち、外部装置からの信号は、接続部230を介して第1回路部220Lおよび第2回路部220Rに伝達され、表示部210の画素212のトランジスタ300を制御する。画素212のトランジスタ300の制御の詳細については後述する。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の画素212の模式的な断面図である。具体的には、
図2は、回路基板100の画素212にLEDチップ200が実装された構成を示す断面図である。
【0026】
図2に示すように、回路基板100の画素212は、基板102、遮光層104、第1絶縁層106、第1配線層108、第2絶縁層110、半導体層112、第3絶縁層114、第2配線層116、第1平坦化層118、陽極パッド120、および陰極パッド122を含む。LEDチップ200は、接着層400を介して、陽極パッド120および陰極パッド122の上に実装されている。また、LEDチップ200は、接着層400を介して、陽極パッド120および陰極パッド122と電気的に接続されている。言い換えると、LEDチップ200は、回路基板100上にフリップチップボンディングされている。
【0027】
基板102は、基板102上に設けられる各層を支持することができる。基板102は、LEDチップ200からの発光を透過することができる基板であればよい。基板102として、例えば、ガラス基板、石英基板、またはサファイア基板などの透光性を有する剛性基板を用いることができる。また、基板102として、ポリイミド樹脂基板、アクリル樹脂基板、シロキサン樹脂基板、またはフッ素樹脂基板などの透光性を有する可撓性基板を用いることができる。基板102の耐熱性を向上させるために、上記の樹脂基板に不純物を導入してもよい。なお、上記の剛性基板または可撓性基板の上に酸化シリコン膜や窒化シリコン膜が成膜された基板を、基板102として用いることもできる。
【0028】
遮光層104は、LEDチップ200からの発光または外光を反射または吸収することができる。遮光層104の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)、もしくはこれらの合金または化合物などを用いることができる。また、遮光層104の材料として、例えば、ブラックマトリクスを用いることもできる。さらに、遮光層104は、単層構造だけでなく、積層構造とすることもできる。例えば、遮光層104は、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、および青色カラーフィルタの積層構造であってもよい。
【0029】
第1絶縁層106は、遮光層104と第1配線層108とを分離して絶縁化することができる。また、第1絶縁層106に開口部を設けることにより、遮光層104と、第1配線層108、第2配線層116、陽極パッド120、または陰極パッド122とを電気的に接続させることもできる。第1絶縁層106の材料として、例えば、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜、もしくはそれらの積層膜を用いることができる。
【0030】
第1配線層108、第2絶縁層110、半導体層112、第3絶縁層114、および第2配線層116は、トランジスタ300の一部として機能することができる。すなわち、第1配線層108、第2絶縁層110、半導体層112、第3絶縁層114、および第2配線層116のそれぞれは、ゲート電極、ゲート絶縁膜、チャネル領域、層間絶縁膜、およびソース電極またはドレイン電極として機能することができる。
【0031】
図2に示すトランジスタ300は、ボトムゲート型トランジスタである。第1配線層108(ゲート電極)の上に、第2絶縁層110(ゲート絶縁膜)が設けられている。第2絶縁層110(ゲート絶縁膜)の上に、半導体層112(チャネル領域)が設けられている。半導体層112(チャネル領域)の上に第3絶縁層114(層間絶縁膜)が設けられている。第3絶縁層114(層間絶縁膜)の上に第2配線層116(ソース電極またはドレイン電極)が設けられている。第3絶縁層114(層間絶縁膜)には開口部が設けられ、開口部を介して第2配線層116(ソース電極またはドレイン電極)が半導体層112(半導体膜)と接している。半導体層112と接する第2配線層116の一方はソース電極として機能し、第2配線層116の一方の他方はドレイン電極として機能することができる。なお、ソース電極とドレイン電極は、機能が入れ替わる場合がある。
【0032】
第1配線層108および第2配線層116の各々は、金属材料を用いることができる。金属材料としては、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、またはビスマス(Bi)、もしくはこれらの合金または化合物を用いることができる。また、これらの金属材料を積層して、第1配線層108または第2配線層116とすることもできる。なお、第1配線層108または第2配線層116は、トランジスタ300のゲート電極もしくはソース電極またはドレイン電極だけでなく、複数のトランジスタ300を接続する配線として用いることもできる。
【0033】
第2絶縁層110および第3絶縁層114の各々は、絶縁性材料を用いることができる。絶縁性材料としては、例えば、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化シリコン(SiNx)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化窒化アルミニウム(AlOxNy)、窒化酸化アルミニウム(AlNxOy)、または窒化アルミニウム(AlNx)などの無機絶縁体を用いることができる。ここで、SiOxNyおよびAlOxNyは、酸素(O)よりも少ない量の窒素(N)を含有するシリコン化合物およびアルミニウム化合物である。また、SiNxOyおよびAlNxOyは、窒素よりも少ない量の酸素を含有するシリコン化合物およびアルミニウム化合物である。また、第2絶縁層110および第3絶縁層114の各々は、上記のような無機絶縁材料だけでなく、有機絶縁材料を用いることもできる。有機絶縁材料として、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはシロキサン樹脂などを用いることができる。第2絶縁層110および第3絶縁層114の各々は、無機絶縁層材料および有機絶縁材料が各々単独で用いられてもよく、これらが積層されてもよい。
【0034】
半導体層112は、チャネル領域を形成することができる半導体材料を用いることができる。半導体材料として、例えば、シリコン、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)または酸化亜鉛(ZnO)などの酸化物半導体、もしくはヒ化ガリウム(GaAs)または窒化ガリウム(GaN)などの化合物半導体を用いることができる。半導体材料がシリコンの場合、アモルファスシリコン、ポリシリコン、または単結晶シリコンのいずれであってもよい。
【0035】
図2では、1つのトランジスタ300を示したが、画素212には、複数のトランジスタ300が設けられている。また、トランジスタ300は、ボトムゲート型トランジスタに限られない。トランジスタ300は、トップゲート型トランジスタであってもよい。
【0036】
第1平坦化層118は、トランジスタ300の凹凸を平坦にすることができる。第1平坦化層118の材料としては、例えば、アクリル樹脂またはポリイミド樹脂などを用いることができる。
【0037】
陽極パッド120および陰極パッド122は、LEDチップ200と電気的に接続する電極パッドとして機能することができる。なお、
図2では、陽極パッド120とトランジスタ300とが電気的に接続しているが、陰極パッド122とトランジスタ300とが電気的に接続していてもよい。
【0038】
陽極パッド120および陰極パッド122は、積層構造とすることが好ましい。すなわち、陽極パッド120は、第1電極層120-1および第2電極層120-2を含み、陰極パッド122は、第3電極層122-1および第4電極層122-2を含む。なお、陽極パッド120および陰極パッド122の積層構造は、2層に限られず、3層以上であってもよい。
【0039】
陽極パッド120および陰極パッド122の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)、もしくはこれらの合金または化合物などの金属材料を用いることができる。また、陽極パッド120および陰極パッド122の材料としては、例えば、インジウム・スズ酸化物(ITO)またはインジウム・亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料を用いることができる。
【0040】
陽極パッド120および陰極パッド122が積層構造である場合、金属材料を用いた第1電極層120-1および第3電極層122-1の上に、それぞれ、透明導電材料を用いた第2電極層120-2および第4電極層122-2が設けられることが好ましい。金属材料の表面を透明導電材料で覆うことによって、金属材料の表面を保護することができる。
【0041】
接着層400は、回路基板100とLEDチップ200とを電気的に接続し、接着することができる。接着層400としては、例えば、銀ペーストまたはハンダを用いることができる。また、接着層400として、異方性導電膜(ACF)を用いることもできる。
【0042】
図2に示すLEDチップ200は、接着層400を介したフリップチップボンディングを用いて回路基板100上に実装されているが、LEDチップ200の実装はこれに限られない。LEDチップ200は、ワイヤーボンディングを用いて回路基板100上に実装されていてもよい。
【0043】
[2.LEDチップの構成]
表示装置10では、横型LED構造(水平電極構造)を有するLEDチップ200が用いられる。そこで、以下では、
図3を参照して、横型LED構造を有するLEDチップ200について説明する。
【0044】
図3は、本発明の一実施形態に係る表示装置10に実装されるLEDチップ200の模式的な断面図である。
【0045】
図3に示すように、LEDチップ200は、基板201、n型半導体層202、発光層203、p型半導体層204、p型電極205、n型電極206、陽極バンプ207、および陰極バンプ208を含む。
【0046】
基板201は、基板201上に設けられる各層を支持することができる。また、基板201は、n型半導体層202、発光層203、およびp型半導体層204が結晶成長することができる基板であることが好ましい。基板201としては、例えば、サファイア基板、炭化ケイ素基板、または窒化ガリウム基板などを用いることができる。
【0047】
LEDチップ200が赤色LEDチップの場合、発光層203を構成する材料は、アルミニウム、ガリウム、インジウム、およびリンを含む。アルミニウム、ガリウム、およびインジウムの組成比は、典型的には、アルミニウム:ガリウム:インジウム=0.225:0.275:0.5であるが、これに限られない。また、n型半導体層202およびp型半導体層の各々はリン化アルミニウムインジウムである。
【0048】
LEDチップ200が緑色LEDチップの場合、発光層203を構成する材料は、インジウム、ガリウム、および窒素を含む。インジウムとガリウムの組成比は、典型的には、インジウム:ガリウム=0.44:0.55であるが、これに限られない。また、n型半導体層202およびp型半導体層の各々は窒化ガリウムである。
【0049】
LEDチップ200が青色LEDチップの場合、発光層203を構成する材料は、インジウム、ガリウム、および窒素を含む。インジウムとガリウムの組成比は、典型的には、インジウム:ガリウム=0.2:0.8であるが、これに限られない。また、n型半導体層202およびp型半導体層の各々は窒化ガリウムである。
【0050】
p型電極205およびn型電極206は、赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、および青色LEDチップのいずれの場合も、アルミニウムを用いることができるが、これに限られない。
【0051】
LEDチップ200は、基板201上に、n型半導体層202、発光層203、およびp型半導体層204を結晶成長させ、その後、p型電極205およびn型電極206を形成する。さらに、基板201のダイシングを行い、個々のLEDチップ200に分離する。
【0052】
赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、および青色LEDチップの極大発光波長は、典型的には、それぞれ645nm、530nm、および450nmである。
【0053】
陽極バンプ207および陰極バンプ208は、回路基板100と接続するための電極となるとともに、LEDチップ200の高さを調整することができる。すなわち、p型電極205の表面の高さとn型電極206の表面の高さとが異なる場合、陽極バンプ207および陰極バンプ208を用いて、LEDチップ200の高さを調整することができる。陽極バンプ207および陰極バンプ208は、めっき、スパッタ、蒸着、または印刷などによって形成することができる。めっきを用いて陽極バンプ207および陰極バンプ208を形成する場合、陽極バンプ207および陰極バンプ208の材料としては、例えば、金を用いることができるが、これに限られない。
【0054】
LEDチップ200は、基板201上に、n型半導体層202、発光層203、およびp型半導体層204を結晶成長させ、その後、p型電極205およびn型電極206を形成する。続いて、p型電極205およびn型電極206の上に、それぞれ、陽極バンプ207および陰極バンプ208を形成する。最後に、基板201のダイシングを行い、個々のLEDチップ200に分離する。
【0055】
LEDチップ200は、
図2に示す構成に限定されない。例えば、p型電極205およびn型電極206を省略し、p型半導体層204およびn型半導体層202のそれぞれの上に、陽極バンプ207および陰極バンプ208を形成することもできる。
【0056】
なお、LEDチップ200は、大きさに限定されることなく、例えば、ミニLEDチップまたはマイクロLEDチップを用いることができる。
【0057】
[3.画素の構成]
LEDチップ200は、画素212に含まれる複数のトランジスタ300を用いて制御される。そこで、以下では、
図4を参照して、LEDチップ200を駆動する画素回路について説明する。
【0058】
図4は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の画素212において、LEDチップ200を駆動する回路(画素回路)を示す回路図である。
【0059】
図4に示すように、画素212の画素回路は、LEDチップ200、第1トランジスタ300-1、第2トランジスタ300-2、第3トランジスタ300-3、第4トランジスタ300-4、および第5トランジスタ300-5、ならびに第1容量310を含む。また、走査線241、信号線242、発光制御走査線243、電流供給線244、初期化走査線245、初期化線246、リセット走査線247、リセット線248、およびカソード配線249(Cat)を含む。
【0060】
第1トランジスタ300-1は、発光制御トランジスタである。第1トランジスタ300-1は、発光制御走査線243で開閉され、LEDチップ200および第5トランジスタ300-5へ電流を流すか否かの選択を行う。
【0061】
第2トランジスタ300-2は、選択トランジスタである。第2トランジスタ300-2は、走査線241で開閉され、信号線242で供給される電圧を第5トランジスタ300-5のゲートに印加する。
【0062】
第3トランジスタ300-3は、初期化トランジスタである。第3トランジスタ300-3は、初期化走査線245で開閉され、初期化線246で供給される電圧を用いて第5トランジスタ300-5のゲートを所定の電位に固定する。
【0063】
第4トランジスタ300-4は、リセットトランジスタである。第4トランジスタ300-4は、リセット走査線247で開閉され、リセット線248で供給される逆バイアス電圧をLEDチップ200に印加する。
【0064】
第5トランジスタ300-5は、駆動トランジスタである。第5トランジスタ300-5は、上述したように、第2トランジスタ300-2または第3トランジスタ300-3の動作に基づいてゲートの電位が決定され、当該ゲートの電位に基づいて決定される値の電流を、電流供給線244からLEDチップ200に供給する。
【0065】
ここで、
図5を参照して、
図4に示した画素回路のレイアウトの一例について説明する。
【0066】
図5は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の画素212の模式的な平面図である。具体的には、
図5は、画素212の回路基板100側の構成を示したものであるが、各トランジスタ300の接続関係を理解しやすくするため、陽極パッド120および陰極パッド122が省略されている。また、各層の接続において、各層の重畳する部分で開口部を介して接続されていてもよい。
図5では、開口部が矩形で示されているが、開口部の形状は円形または楕円形であってもよい。
【0067】
図5に示すように、画素212は、第1トランジスタ300-1、第2トランジスタ300-2、第3トランジスタ300-3、第4トランジスタ300-4、および第5トランジスタ300-5、ならびに第1容量310を含む。また、走査線241、信号線242、発光制御走査線243、電流供給線244、初期化走査線245、初期化線246、リセット走査線247、およびリセット線248を含む。
【0068】
第1トランジスタ300-1、第2トランジスタ300-2、第3トランジスタ300-3、第4トランジスタ300-4、および第5トランジスタ300-5の各々は、ゲート電極として機能する第1配線層108およびチャネル領域を形成する半導体層112を含む。なお、第5トランジスタ300-5のゲート電極として機能する第1配線層108(点線部分)は、第2配線層116の下方に設けられ、第2配線層116と重畳している。
【0069】
第1容量310は、容量電極として機能する第1配線層108および第2配線層116を含む。なお、第1容量310の容量電極として機能する第1配線層108(点線部分)も、第2配線層116の下方に設けられ、第2配線層116と重畳している。
【0070】
走査線241、信号線242、発光制御走査線243、電流供給線244、初期化走査線245、初期化線246、リセット走査線247、およびリセット線248の各々は、主に、第2配線層116を用いて形成されている。第2配線層116は、開口部を介して重畳する各半導体層112と接している。
【0071】
電流供給線244は、LEDチップ200の輝度を制御する電流が流れるため、電流供給線244を構成する第2配線層116の幅は、他の配線の幅よりも大きくすることが好ましい。発光制御走査線243は、隣接する画素間で共通化することができる。この場合、発光制御走査線243を構成する第2配線層116の幅は、電流供給線244を構成する第2配線層116の幅の次に大きいことが好ましい。
【0072】
図5の第3トランジスタ300-3で示すように、初期化線246を構成する第2配線層116の一部の幅を大きくした部分を設け、その部分に配線層を接続するための開口部を形成することもできる。
【0073】
[4.光透過領域の構成]
図5に示したように、回路基板100の画素212には、多くの電極および配線が含まれる。電極および配線の多くは金属材料を用いて形成されるため、電極および配線はLEDチップからの発光を透過しない。そのため、回路基板100側からLEDチップ200の発光を取り出すためには、画素212に、LEDチップ200からの発光(例えば、可視光)を透過することができる領域(光透過領域500)を設ける必要である。そこで、
図6A~
図6Dを参照して、表示装置10の回路基板100における光透過領域500について説明する。
【0074】
図6A~
図6Dは、本発明の一実施形態における表示装置10において、回路基板100の陽極パッド120および陰極パッド122とLEDチップ200との位置関係を示す模式的な平面図である。
【0075】
図6Aでは、回路基板100側の構成である陽極パッド120および陰極パッド122を実線で示し、LEDチップ200ならびにLEDチップ200の構成であるp型電極205およびn型電極206を点線で示している。また、
図6Aに示す構成では、陽極パッド120とp型電極205とが電気的に接続し、陰極パッド122とn型電極206とが電気的に接続している。なお、陽極パッド120が陰極パッド、陰極パッド122が陽極パッドとして機能する場合は、LEDチップ200の電気的接続を逆にすればよい。
【0076】
図6Bは、回路基板100の平面視において、陽極パッド120と陰極パッド122との間に電極または配線が存在しない場合の構成を示したものである。LEDチップ200からの発光は、陽極パッド120および陰極パッド122によって遮光されるが、陽極パッド120と陰極パッド122との間の領域は透過することができる。実際には、回路基板100とLEDチップ200との間に空間が存在するため、LEDチップ200からの発光は、陽極パッド120または陰極パッド122の周辺領域も透過すると考えられるが、本明細書では、
図6Bに示すように、LEDチップ200と重畳し、陽極パッド120と陰極パッド122との間にあって、LEDチップ200からの発光を透過する領域を光透過領域500として定義する。
【0077】
図6Cは、陽極パッド120aの形状と陰極パッド122aの形状が異なる場合の例である。陽極パッド120aと陰極パッド122aとの間には、電極または配線が存在しないものとする。この場合においても、
図6Cに示すように、LEDチップ200と重畳し、陽極パッド120aと陰極パッド122aとの間にあって、LEDチップ200からの発光を透過する領域を光透過領域500aとして定義する。具体的には、光透過領域500aは、陽極パッド120aと陰極パッド122aの向かい合う2つの辺と、その2つの辺を結ぶ2つの線によって囲まれた領域である。
【0078】
図6Dは、曲線形状を有する陽極パッド120bおよび陰極パッド122bの場合の例である。陽極パッド120bと陰極パッド122bとの間には、電極または配線が存在しないものとする。この場合においても、
図6Dに示すように、LEDチップ200と重畳し、陽極パッド120bと陰極パッド122bとの間にあって、LEDチップ200からの発光を透過する領域を光透過領域500bとして定義する。具体的には、光透過領域500bは、陽極パッド120bの曲線と、陰極パッド122bの曲線と、陽極パッド120bと陰極パッド122bの2つ接線によって囲まれた領域である。
【0079】
実際には、
図5に示したように、回路基板100の画素212には、多くの電極および配線が含まれる。本実施形態に係る表示装置10では、これらの電極または配線を遮光膜として利用することで、光透過領域500の面積を調整し、回路基板100を透過する光の輝度を調整する。そこで、以下では、
図7A~
図7Dを参照して、光透過領域500の面積の調整について説明する。
【0080】
図7A~
図7Dは、本発明の一実施形態における表示装置10において、面積が調整された光透過領域500を示す模式的な平面図である。
【0081】
図7Aでは、陽極パッド120cは、第1電極層120c-1および第2電極層120c-2を含み、陰極パッド122cは、第3電極層122c-1および第4電極層122c-2を含む。第1電極層120c-1は、第2電極層120c-2よりも大きく、第2電極層120c-2の端部よりも陰極パッド122cの方向に突出した部分(突出部分)を含む。
【0082】
光透過領域500cの面積は、第1電極層120c-1の突出部分によって調整することができる。すなわち、第1電極層120c-1の突出部分を大きくすることで、光透過領域500cの面積を小さくすることができ、第1電極層120c-1の突出部分を小さくすることで、光透過領域500cの面積を大きくすることができる。なお、陽極パッド120cではなく、陰極パッド122cで光透過領域500cの面積を調整してもよい。すなわち、第3電極層122c-1は、第4電極層122c-2よりも大きく、第4電極層122c-2の端部よりも陽極パッド120cの方向に突出した部分(突出部分)を含んでもよい。
【0083】
図7Bでは、陽極パッド120dは、第1電極層120d-1および第2電極層120d-2を含み、陰極パッド122dは、第3電極層122d-1および第4電極層122d-2を含む。第1電極層120d-1は、第2電極層120d-2よりも大きく、第2電極層120d-2の端部よりも陰極パッド122dの方向に突出した部分(突出部分)を含む。また、第1電極層120c-1の突出部分は凹凸状に形成されている。
【0084】
光透過領域500dの面積は、第1電極層120d-1の突出部分に形成される凹凸状の凸部および凹部の大きさを変化させることによって調整することができる。すなわち、第1電極層120d-1の突出部分の凸部を大きくすることで、光透過領域500dの面積を小さくすることができ、第1電極層120d-1の突出部分の凹部を大きくすることで、光透過領域500dの面積を大きくすることができる。
【0085】
図7Cでは、陽極パッド120eと陰極パッド122eとの間に遮光層104eを含む。遮光層104eは金属材料で形成されているため、LEDチップ200からの発光は、遮光層104eを透過しない。そのため、光透過領域500eの面積は、遮光層104eの大きさによって調整することができる。すなわち、遮光層104eの幅または長さを大きくし、もしくは遮光層104eの本数を増やすことで、光透過領域500eの面積を小さくすることができる。逆に、遮光層104eの幅または長さを小さくし、もしくは遮光層104eの本数を減らすことで、光透過領域500eの面積を大きくすることができる。
【0086】
また、光透過領域500eに設けられる遮光層104eは、LEDチップ200および画素212の画素回路と電気的に接続されていないフローティングの状態であり、LEDチップ200の光透過領域500eに設けられるダミーパターンと呼ぶこともできる。ダミーパターンである遮光層104eは、
図2に示すように、第1配線層108と基板102の間に設けられる。また、ダミーパターンである遮光層104eは、画素回路を形成する第1配線層108、第2配線層116、および半導体層112のいずれとも異なる層である。そのため、ダミーパターンである遮光層104eが形成されたことによって、画素回路内で配線間ショートが生じる可能性は低い。さらに、他の層と独立して設けられた遮光層104eは様々な形状パターンを形成することが可能であり、遮光層104eの形状の自由度は高い。
【0087】
また、遮光層104eは、光透過領域500eのみに設けられ、LEDチップ200を除く画素回路と重ならない領域にのみ形成されるものであってもよく、画素回路の一部と重なるものであってもよい。
【0088】
図7Dでは、陽極パッド120fと陰極パッド122fとの間に第2配線層116fを含む。第2配線層116fは金属材料で形成されているため、LEDチップ200からの発光は、第2配線層116fを透過しない。そのため、光透過領域500fの面積は、第2配線層116fの大きさによって調整することができる。すなわち、第2配線層116fの幅または長さを大きくし、もしくは第2配線層116fの本数を増やすことで、光透過領域500fの面積を小さくすることができる。逆に、第2配線層116fの幅または長さを小さくし、もしくは第2配線層116fの本数を減らすことで、光透過領域500fの面積を大きくすることができる。
【0089】
光透過領域500fの面積の調整において、第2配線層116fに代わりに、第1配線層108fを用いてもよい。光透過領域500fに設けられる第2配線層116fまたは第1配線層108fは、LEDチップ200および画素212の画素回路と接続されておらず、フローティング状態にあるダミーパターンと呼ぶこともできる。
【0090】
また、ダミーパターンである第2配線層116fまたは第1配線層108fは、光透過領域500fの面積の調整のために画素回路を形成する第2配線層116または第1配線層108から光透過領域500fに引き出されたものであってもよい。また、ダミーパターンである第2配線層116fまたは第1配線層108fは、画素回路を形成する第2配線層116または第1配線層108の配線幅の一部を大きくし、または小さくして調整されたものであってもよい。
【0091】
本実施形態に係る表示装置10では、LEDチップ200からの発光を回路基板100側から取り出すことができる。すなわち、回路基板100の光透過領域500を透過した発光が、回路基板100側から出射される。その際、複数の画素の各々の光透過領域500の面積が一定となるように調整されているため、各画素から輝度の揃った発光が得られる。そこで、以下では、
図8A~
図8Cを参照して、複数の画素における光透過領域500の面積の調整について説明する。
【0092】
図8A~
図8Cは、本発明の一実施形態に係る表示装置10において、回路基板100の表示部210に含まれる3つの画素212を示す模式的な平面図である。表示部210は、3つの画素212として、第1画素212R、第2画素212G、および第3画素212Bを含む。なお、
図8A~
図8Cでは、下層と上層とを接続する開口部の記載が省略されている。
図8A~
図8Cにおいて、開口部は、下層の端部と上層の端部とが重畳する部分、下層の端部と上層とが重畳する部分、または下層と上層の端部とが重畳する部分などに、適宜設けることができる。
【0093】
図8Aに示すように、第1画素212R、第2画素212G、および第3画素212Bの各々は、陽極パッド120および陰極パッド122を含む。陽極パッド120は、第1電極層120-1および第2電極層120-2を含む。また、陰極パッド122は、第3電極層122-1および第4電極層122-2を含む。ここで、第1電極層120-1および第3電極層122-1は、可視光を透過しない金属材料で形成され、第2電極層120-2および第4電極層122-2は、可視光を透過する透明導電材料で形成されているものとして説明する。また、遮光層104、第1配線層108、および第2配線層116は、可視光を透過しない金属材料で形成されているものとして説明する。
【0094】
第1電極層120-1は、第2電極層120-2よりも大きく、第2電極層120-2の端部よりも陰極パッド122方向に突出た部分(突出部分)を含む。したがって、第1画素212Rは、陽極パッド120と陰極パッド122との間に、第1電極層120-1によって面積が調整された第1光透過領域500Rを含む。同様に、第2画素212Gは第2光透過領域500Gを、第3画素212Bは第3光透過領域500Bを含む。
【0095】
第1電極層120-1の突出部分の大きさは、第1画素212Rと、第2画素212Gと、第3画素212Bとで異なっていてもよい。突出部分の大きさを調整することで、第1光透過領域500R、第2光透過領域500G、および第3光透過領域500Bの面積を調整することができる。
【0096】
第1画素212Rは、第1電極層120-1と陰極パッド122との間に遮光層104および第2配線層116を含む。そのため、第1画素212Rに実装される第1LEDチップ200Rからの発光は、遮光層104および第2配線層116によって遮光される。したがって、第1光透過領域500Rは、陽極パッド120(具体的には、第1電極層120-1)と陰極パッド122との間にあって第1LEDチップ200Rと重畳する領域から、遮光層104および第2配線層116が除外された領域である。すなわち、第1光透過領域500Rは、遮光層104および第2配線層116によって離隔された複数の領域を含む。
【0097】
第2画素212Gは、第1電極層120-1と陰極パッド122との間に第1配線層108および第2配線層116を含む。そのため、第2画素212Gに実装される第2LEDチップ200Gからの発光は、第1配線層108および第2配線層116によって遮光される。したがって、第2光透過領域500Gは、陽極パッド120(具体的には、第1電極層120-1)と陰極パッド122との間にあって第2LEDチップ200Gと重畳する領域から、第1配線層108および第2配線層116が除外された領域である。すなわち、第2光透過領域500Gは、第1配線層108および第2配線層116によって離隔された複数の領域を含む。
【0098】
第3画素212Bは、第1電極層120-1と陰極パッド122との間に第1配線層108および第2配線層116を含む。そのため、第3画素212Bに実装される第3LEDチップ200Bからの発光は、第1配線層108および第2配線層116によって遮光される。したがって、第3光透過領域500Bは、陽極パッド120(具体的には、第1電極層120-1)と陰極パッド122との間にあって第3LEDチップ200Bと重畳する領域から、第1配線層108および第2配線層116が除外された領域である。すなわち、第3光透過領域500Bは、第2配線層116によって離隔された複数の領域を含む。
【0099】
第1光透過領域500Rの透過光の輝度と第2光透過領域500Gの透過光の輝度とを合わせるため、第1光透過領域500Rの第1面積と第2光透過領域500Gの第2面積とは、第1面積:第2面積=1:0.8~1.2(0.8以上1.2以下)の第1の比を有することが好ましい。さらに好ましい第1の比は、第1面積:第2面積=1:0.9~1.1(0.9以上1.1以下)である。また、第1光透過領域500Rの透過光の輝度と第3光透過領域500Bの透過光の輝度とを合わせるため、第1光透過領域500Rの第1面積と第3光透過領域500Bの第3面積とは、第1面積:第3面積=1:0.8~1.2(0.8以上1.2以下)の第2の比を有することが好ましい。さらに好ましい第2の比は、第1面積:第3面積=1:0.9~1.1(0.9以上1.1以下)である。第1の比および第2の比が上記範囲であれば、各画素212からの発光の輝度が一定となるため、表示装置10において、輝度のばらつきが抑制された表示が可能となる。
【0100】
第1面積、第2面積、および第3面積は、第1電極層120-1の大きさを変えるだけでなく、遮光層104、第1配線層108、および第2配線層116の幅または本数を変えることによっても調整することができる。
【0101】
図8Bは、陽極パッド120および陰極パッド122の下方の構造を可視化するため、
図8Aにおいて、カソード線Catを省略し、陽極パッド120および陰極パッド122を透明化した図である。また、
図8Cは、トランジスタ300の位置を可視化するため、
図8Bにおいて、陽極パッド120と陰極パッド122との間に設けられた第2配線層116を透明化した図である。
【0102】
図8Bおよび
図8Cに示すように、第1画素212R、第2画素212G、および第3画素212Bの各々に含まれるトランジスタ300(
図2および
図5参照)は、ボトムゲート型トランジスタである。トランジスタ300のゲート電極として機能する第1配線層108よりも下方に遮光層104を設けることで、トランジスタ300の配置とは関係なく、第1面積、第2面積、または第3面積を調整することができる。すなわち、
図8Bおよび
図8Cの第1画素212Rのように、第5トランジスタ300-5および第1容量310(
図5参照)と重畳しないで遮光層104を設けることもできるが、第5トランジスタ300-5および第1容量310と重畳して遮光層104を設けることもできる。また、遮光層104の電位は、フローティング状態であってもよい。
【0103】
トランジスタ300がボトムゲート型トランジスタである場合、
図8A~
図8Cに示すように、半導体層112が、第1電極層120-1または第3電極層122-1の下方に設けられていることが好ましい。第1電極層120-1または第3電極層122-1がLEDチップ200からの発光を遮光するため、トランジスタ300の駆動が安定する。
【0104】
図8A~
図8Cでは、第1画素212Rから第2画素212Gに向かう方向に走査線および信号線が延伸し、第2画素212Gから第3画素に向かう方向に走査線が延伸している。そのため、
図8Cに示す第1画素212Rの第1トランジスタ300-1では、第1画素212Rから第2画素212Gに向かう方向に延伸した走査線から枝分かれさせた配線をゲート電極とすることもできる。
【0105】
図8Aに示すように、陰極パッド122の第3電極層122-1を、第1画素212R、第2画素212G、および第3画素212Bで共通化させた配線としてもよい。なお、以下では、第3電極層122-1と同じ層の配線を、便宜上、配線122-1として説明する場合がある。
【0106】
配線122-1は、電流供給線244(
図5参照)に沿って設けられていてもよい。例えば、配線122-1は、
図4に示すカソード線Catに相当してもよい。表示部210において、配線122-1は、第1画素212Rと第2画素212Gの電流供給線244(
図5、
図8B)に重なり、電流供給線244と平行に延出し、表示部210の外側まで引き出される。さらに、配線122-1(カソード線Cat)は、第3画素212Bの陰極パッド122に接続され、表示部210において格子状に形成される構造であってもよい。配線122-1(カソード線Cat)は、
図8Aにおいては、第1画素212Rおよび第2画素212Gの電流供給線244に沿って形成されるが、第3画素212Bの電流供給線244とは交差するものの第3画素212Bの電流供給線244(
図8B)に沿って形成されてはいない。ただし、第3画素212Bの電流供給線244に沿うように配線122-1(カソード線Cat)を延出させる構造であってもよい。
【0107】
図8Bおよび
図8Cにおいて、第1画素212R、第2画素212G、および第3画素212Bは点線で示されている。また、第1画素212R、第2画素212G、および第3画素212Bの各々の陽極パッド120および陰極パッド122も点線で示されている。
図8Bおよび
図8Cに示されるように、陽極パッド120および陰極パッド122は、第1画素212R内に設けられている。第2画素212Gおよび第3画素212Bにおいても同様である。
【0108】
図5は、
図8Bおよび
図8Cに示す第1画素212Rのレイアウトに相当し、重複する内容については説明を省略する。
図8Cに示すように、第1画素212Rの第1トランジスタ300-1および第5トランジスタ300-5は、陰極パッド122と重畳する。同様に、第2トランジスタ300-2、第3トランジスタ300-3、および第4トランジスタ300-4は、陽極パッド120と重畳する。すなわち、画素回路内に設けられた5つ全てのトランジスタ300が陽極パッド120または陰極パッド122に覆われている。この構造により、LEDチップ200の回路基板100側から取り出される光は、陽極パッド120および陰極パッド122により遮光されるため、画素回路を構成するトランジスタ300を透過することがない。そのため、光照射によるトランジスタ特性の低下を抑制することができる。さらに、回路基板100のLEDチップ200が実装される領域以外は、画素回路を構成する配線のみとなるため、レイアウトの自由度が高く、透明LED表示装置の表側や裏側(回路基板側)から見た際の回路基板100の透明性を損ねることがない。
【0109】
ここで、透明LED表示装置について説明する。透明LED表示装置は、表側から見た際に裏側の背景が視認でき、また裏側から見た際に表側の背景が視認できる表示装置である。透明LED表示装置では、回路基板100の透明性が重要となる。ここで表側とは、例えば、LEDチップ200側であり、裏側とは、例えば、回路基板100側である。
図8A~
図8Cに示すように、画素212の画素回路を構成するトランジスタ300のすべてを回路基板100の陽極パッド120または陰極パッド122に重なるように形成する以外にも、画素回路を構成する各種配線を集約化させ、透明な領域の面積を大きくすることで回路基板100の全体としての透明性を高めることができる。例えば、
図8Bおよび
図8Cに示すように、走査線241、初期化走査線245、リセット走査線247、発光制御走査線243は、それぞれ、第1方向Xに平行に延出し、第2方向Yに一定の間隔で配置されている。同様に、リセット線248、信号線242、初期化線246、電流供給線244は、それぞれ、第2方向Yに平行に延出し、第1方向Xに一定の間隔をで配置されている。
図8Aに示す配線122-1(カソード線Cat)は第1方向Xおよび第2方向Yに延出している。
図8Bおよび
図8Cに示すように、第1画素212Rは、第1方向Xに延出する走査線241、初期化走査線245、リセット走査線247、および発光制御走査線243から離間された位置に設けられているため、第2方向Yに向かって延出する引き回し配線を用いることで4つの走査線と接続することができる。
【0110】
第1画素212Rにおいて、第2トランジスタ300-2、第3トランジスタ300-3、および第4トランジスタ300-4は、第2方向Yに沿って一定の間隔を有し、この順序で配置されている。第2画素212Gおよび第3画素212Bにおいても同様である。各画素212の第2トランジスタ300-2、第3トランジスタ300-3、および第4トランジスタ300-4はいずれも各画素212の陽極パッド120の下方に位置し、陽極パッド120によって遮光されている。すなわち、第2トランジスタ300-2、第3トランジスタ300-3および第4トランジスタ300-4は、いずれも陽極パッド120の外周よりも内側に形成され、陽極パッド120からはみ出していない、と言い換えることもできる。
【0111】
第1画素212Rにおいて、第1トランジスタ300-1および第5トランジスタ300-5は、第1方向Xに一定の間隔を有し、この順序で配置されている。第2画素212Gにおいても同様である。一方、第3画素においては、第1トランジスタ300-1および第5トランジスタ300-5は、第1方向Xに一定の間隔で配置されるものの、配置の順序は第1画素212Rおよび第2画素212Gとは逆である。すなわち、第3画素においては、第1方向Xに、第5トランジスタ300-5および第1トランジスタ300-1がこの順序で配置される。しかし、各画素212の300-1および300-5はいずれも各画素212の陰極パッド122の下層に位置し、陰極パッド122によって遮光されている。すなわち、第1トランジスタ300-1および第5トランジスタ300-5は、いずれも陰極パッド122の外周よりも内側に形成され、陰極パッド122からはみ出していない、と言い換えることもできる。
【0112】
ここで、第1画素212Rおよび第2画素212Gに重なるリセット線248、第1画素信号線242(R)、第2画素信号線242(G)、および初期化線246を第1信号線群とし、第3画素212Bに重なるリセット線248、第3画素信号線242(B)、および初期化線246を第2信号線群とする。電流供給線244は、第1信号線群と第2信号線群との間に位置する。第1画素212Rおよび第2画素212Gに接続される電流供給線244は、第3画素212Bに接続される電流供給線244よりも太く(幅が大きく)形成されている。電流供給線244をこのような構成とすることで、例えば、第1画素212Rおよび第2画素212Gに実装されるLEDチップ200の特性(発光効率)と、第3画素212Bに実装されるLEDチップ200の特性(発光効率)に差がある場合、LEDチップ200の特性が低い側の電流供給線244の抵抗値を下げることで、異なる特性を有するLEDチップ200の特性の差を減らすことができる。また、第1画素212Rおよび第2画素212Gに接続される電流供給線244と、第3画素212Bに接続される電流供給線244とは、互いに接続部244’を介して接続されている。電流供給線244を第1信号線群と第2信号線群との間に設けることで、配線のレイアウトを効率的に設計することができる。
【0113】
第1画素212R、第2画素212G、および第3画素212Bのそれぞれには、例えば、第1LEDチップ200Rとして赤色LEDチップ、第2LEDチップ200Gとして緑色LEDチップ、および第3LEDチップ200Bとして青色LEDチップを実装することができる。この場合、第1画素212Rからは赤色発光が得られ、第2画素212Gからは緑色発光が得られ、第3画素212Bからは青色発光が得られる。本実施形態に係る表示装置10によれば、赤色発光、緑色発光、および青色発光のそれぞれが透過する第1光透過領域500R、第2光透過領域500G、および第3光透過領域500Bの面積比が調整されているため、回路基板100側から取り出される赤色発光、緑色発光、および青色発光の輝度が一定となる。そのため、表示装置10は、色バランスが調整され、輝度のばらつきが抑制された表示が可能となる。また、表示装置10が両面発光である場合には、両面の表示品質の差が小さい表示が可能となる。
【0114】
<第2実施形態>
図9を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10の表示部210における画素212の配列について説明する。
【0115】
図9は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の表示部210における画素212の配列を示す模式的な平面図である。具体的には、
図9は、表示装置10の表示部210の一部の画素212を示したものである。
【0116】
図9に示すように、表示部210は、第1画素212R、第2画素212G、および第3画素212Bを含む。ここでは、第1画素212R、第2画素212G、および第3画素212Bのそれぞれには、赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、および青色LEDチップが実装され、第1画素212Rからは赤色発光が得られ、第2画素212Gからは緑色発光が得られ、第3画素212Bからは青色発光が得られるものとする。
【0117】
第1画素212R、第2画素212G、および第3画素212Bの各々は、長辺および短辺を有する矩形である。第1画素212Rは、矩形の長辺がX方向、矩形の短辺がY方向となるように配置されている。第2画素212Gは、矩形の長辺がX方向、矩形の短辺がY方向となるように配置されている。第3画素212Bは、矩形の長辺がX方向、矩形の短辺がY方向となるように配置されている。なお、X方向およびY方向は、表示部210が長方形である場合、例えば、X方向は長方形の長辺方向であり、Y方向は長方形の短辺方向である。
【0118】
画素212の形状は矩形に限られない。画素212の形状は、例えば、楕円形などであってもよい。画素212の形状が矩形以外である場合には、上述した長辺および短辺は、それぞれ、最長辺または長軸および最短辺または短軸とすることができる。
【0119】
表示部210は、Y方向において、第1画素212Rと第2画素212Gとが交互に配列されている。また、表示部210は、X方向において、第1画素212Rまたは第2画素212Gと第3画素212Bとが交互に配列されている。
【0120】
また、表示部210は、1つの第1画素212R、1つの第2画素212G、および1つの第3画素212Bからなる第1ユニット214が、X方向およびY方向に繰り返し配列されているということもできる。第1ユニット214内において、第1画素212Rと第2画素212GとはY方向に隣接して配置され、第1画素212Rまたは第2画素212Gと第3画素212BとはX方向に隣接して配置されている。また、第3画素212Bは、第1画素212Rよりも第2画素212Gに近い位置に配置されている。なお、第3画素212Bは、第2画素212Gよりも第1画素212Rに近い位置に配置されていてもよく、第1画素212Rと第2画素212Gとの中間の位置に配置されていてもよい。
【0121】
表示部210において、全点灯表示(全白表示)を行ったところ、良好な表示品質であることが確認できた。
【0122】
<変形例1>
図10を参照して、表示部210とは異なる表示部210aにおける画素212の配列について説明する。
【0123】
図10は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の表示部210aにおける画素212の配列を示す模式的な平面図である。具体的には、
図10は、表示装置10の表示部210aの一部の画素212を示したものである。なお、本変形例においても、第1画素212Rからは赤色発光が得られ、第2画素212Gからは緑色発光が得られ、第3画素212Bからは青色発光が得られるものとする。また、本変形例に係る表示部210aの説明において、表示部210と同様の構成については説明を省略する。
【0124】
表示部210aは、第1ユニット214および第2ユニット215を含む。第2ユニット215は、第1ユニット214内の第1画素212Rの位置と第2画素212Gの位置とを入れ替えた構成である。表示部210aは、X方向に、第1ユニット214と第2ユニット215とが交互に繰り返し配列されている。また、表示部210aは、Y方向に第1ユニット214が繰り返し配列され、第1ユニット214に隣接して、第2ユニット215も繰り返し配列されている。
【0125】
表示部210aにおいて、全点灯表示(全白表示)を行ったところ、画面がざらついて見えたが、表示部210aの端部での粗さは確認されなかった。
【0126】
<比較例1>
図11を参照して、表示部210とは異なる表示部210bにおける画素212の配列について説明する。
【0127】
図11は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の表示部210bにおける画素212の配列を示す模式的な平面図である。具体的には、
図11は、表示装置10の表示部210bの一部の画素212を示したものである。なお、本比較例においても、第1画素212Rからは赤色発光が得られ、第2画素212Gからは緑色発光が得られ、第3画素212Bからは青色発光が得られるものとする。また、本比較例に係る表示部210bの説明において、表示部210と同様の構成については説明を省略する。
【0128】
表示部210bでは、第1画素212Rは、矩形の長辺がY方向、矩形の短辺がX方向となるように配置されている。第2画素212Gは、矩形の長辺がX方向、矩形の短辺がY方向となるように配置されている。第3画素212Bは、矩形の長辺がY方向、矩形の短辺がX方向となるように配置されている。
【0129】
表示部210bは、X方向において、第1画素212Rと第3画素212Bとが交互に配列されている。また、表示部210は、Y方向において、第1画素212Rまたは第3画素212Bと第2画素212Gとが交互に配列されている。
【0130】
また、表示部210bは、1つの第1画素212R、1つの第2画素212G、および1つの第3画素212Bからなる第1ユニット214aが、X方向およびY方向に繰り返し配列されているということもできる。第1ユニット214a内において、第1画素212Rと第3画素212BとはX方向に隣接して配置され、第1画素212Rまたは第3画素212Bと第2画素212GとはY方向に隣接して配置されている。また、第2画素212Gは、第3画素212Bよりも第1画素212Rに近い位置に配置されている。
【0131】
表示部210bにおいて、全点灯表示(全白表示)を行ったところ、Y方向の端部で画素212の粗さが目立つ表示となった。
【0132】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0133】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0134】
10:表示装置、 100:回路基板、 102:基板、 104、104e:遮光層、 106:第1絶縁層、 108:第1配線層、 110:第2絶縁層、 112:半導体層、 114:第3絶縁層、 116、116f:第2配線層、 118:第1平坦化層、 120、120a、120b、120c、120d、120e、120f:陽極パッド、 120-1、120c-1、120d-1:第1電極層、 120-2、120c-2、120d-2:第2電極層、 122、122a、122b、122c、122d、122e、122f:陰極パッド、 122-1、122c-1、122d-1:第3電極層、 122-2、122c-2、122d-2:第4電極層、 200:発光ダイオードチップ(LEDチップ)、 200R:第1LEDチップ、 200G:第2LEDチップ、 200B:第3LEDチップ、 201:基板、 202:n型半導体層、 203:発光層、 204:p型半導体層、 205:p型電極、 206:n型電極、 207:陽極バンプ、 208:陰極バンプ、 210:表示部、 212、212a、212b:画素、 212R:第1画素、 212G:第2画素、 212B:第3画素、214:第1ユニット、 215:第2ユニット、 220L:第1回路部、 220R:第2回路部、 230:接続部、 241:走査線、 242:信号線、 243:発光制御走査線、 244:電流供給線、 244’:接続部 245:初期化走査線、 246:初期化線、 247:リセット走査線、 248:リセット線、 249(Cat):カソード線 300:トランジスタ、 300-1:第1トランジスタ、 300-2:第2トランジスタ、 300-3:第3トランジスタ、 300-4:第4トランジスタ、 300-5:第5トランジスタ、 310:第1容量、 400:接着層、 500、500a、500b、500c、500d、500e、500f:光透過領域、 500R:第1光透過領域、 500G:第2光透過領域、 500B:第3光透過領域