(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】問診装置
(51)【国際特許分類】
G16H 10/20 20180101AFI20240426BHJP
G16H 10/60 20180101ALI20240426BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20240426BHJP
【FI】
G16H10/20
G16H10/60
G16H20/00
(21)【出願番号】P 2020042165
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2019045374
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真樹
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/122026(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/104880(WO,A1)
【文献】特開2003-331058(JP,A)
【文献】特開2018-200560(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0046773(US,A1)
【文献】国際公開第2011/016447(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
症状を問う初期問診票に対する初期回答を受け付ける第1の受付部と、
前記初期回答に基づいて、当該初期回答に関連する症状を問う追加問診票を提示する提示部と、
前記追加問診票に対する追加回答を受け付ける第2の受付部と、
前記初期回答と、前記追加回答とに基づいて、少なくとも一つの第1の病名を判定する第1の判定部と、
前記初期回答に基づいて、少なくとも一つの第2の病名を判定する第2の判定部と、
判定された少なくとも一つの前記第2の病名に基づいて、前記追加問診票を生成する第1の生成部と、
を備え
、
前記第1の生成部は、判定された少なくとも一つの前記第2の病名を入力とし、問診票を出力とする学習済モデルを用いて、前記追加問診票を生成する
、
問診装置。
【請求項2】
症状を問う初期問診票に対する初期回答を受け付ける第1の受付部と、
前記初期回答に基づいて、当該初期回答に関連する症状を問う追加問診票を提示する提示部と、
前記追加問診票に対する追加回答を受け付ける第2の受付部と、
前記初期回答と、前記追加回答とに基づいて、少なくとも一つの第1の病名を判定する第1の判定部と、
前記初期回答に基づいて、少なくとも一つの第2の病名を判定する第2の判定部と、
判定された少なくとも一つの前記第2の病名に基づいて、前記追加問診票を生成する第1の生成部と、
を備え、
前記第1の生成部は、判定された少なくとも一つの前記第2の病名と、患者の電子カルテに記載された情報とを入力とし、問診票を出力とする学習済モデルを用いて、前記追加問診票を生成する、
問診装置。
【請求項3】
症状を問う初期問診票に対する初期回答を受け付ける第1の受付部と、
前記初期回答に基づいて、当該初期回答に関連する症状を問う追加問診票を提示する提示部と、
前記追加問診票に対する追加回答を受け付ける第2の受付部と、
前記初期回答と、前記追加回答とに基づいて、少なくとも一つの第1の病名を判定する第1の判定部と、
前記初期回答に基づいて、少なくとも一つの第2の病名を判定する第2の判定部と、
判定された少なくとも一つの前記第2の病名に基づいて、前記追加問診票を生成する第1の生成部と、
を備え
、
前記第1の生成部は、判定した複数の前記第2の病名の各々に関する症状のうち、複数の前記第2の病名間で重複が少ない症状に対する設問を含む前記追加問診票を生成する
、
問診装置。
【請求項4】
症状を問う初期問診票に対する初期回答を受け付ける第1の受付部と、
前記初期回答に基づいて、当該初期回答に関連する症状を問う追加問診票を提示する提示部と、
前記追加問診票に対する追加回答を受け付ける第2の受付部と、
前記初期回答と、前記追加回答とに基づいて、少なくとも一つの第1の病名を判定する第1の判定部と、
前記初期回答に基づいて、少なくとも一つの第2の病名を判定する第2の判定部と、
判定された少なくとも一つの前記第2の病名に基づいて、前記追加問診票を生成する第1の生成部と、
を備え、
前記第1の生成部は、判定した複数の前記第2の病名の各々に関する症状のうち、複数の前記第2の病名に重複が多い症状に対する設問を含む追加問診票を生成する、
問診装置。
【請求項5】
前記第1の判定部は、症状と当該症状を引き起こす病名とを対応付けたテーブルを用いて、少なくとも一つの前記第1の病名を判定する、請求項
1に記載の問診装置。
【請求項6】
前記第1の判定部は、少なくとも一つの症状を入力とし、少なくとも一つの病名を出力とする学習済モデルを用いて、少なくとも一つの前記第1の病名を判定する、請求項
1に記載の問診装置。
【請求項7】
前記第1の判定部は、少なくとも一つの症状と
、患者の電子カルテに記載された情報とを入力とし、少なくとも一つの病名を出力とする学習済モデルを用いて、少なくとも一つの前記第1の病名を判定する、
請求項
1に記載の問診装置。
【請求項8】
前記第2の判定部は、症状と当該症状を引き起こす病名とを対応付けたテーブルを用いて、少なくとも一つの前記第2の病名を判定する、請求項
1乃至
6のうちいずれか一項に記載の問診装置。
【請求項9】
前記第2の判定部は、少なくとも一つの症状を入力とし、少なくとも一つの第2の病名を出力とする学習済モデルを用いて、少なくとも一つの前記第2の病名を判定する、請求項
1乃至
6のうちいずれか一項に記載の問診装置。
【請求項10】
前記第2の判定部は、少なくとも一つの症状と
、患者の電子カルテに記載された情報とを入力とし、少なくとも一つの第2の病名を出力とする学習済モデルを用いて、少なくとも一つの前記第2の病名を判定する、請求項
1乃至
6のうちいずれか一項に記載の問診装置。
【請求項11】
前記第1の生成部は、複数の病名と複数の問診とを対応付けたテーブルを用いた演算により、前記追加問診票を生成する、請求項
1乃至
10のうちいずれか一項に記載の問診装置。
【請求項12】
前記第1の生成部は、推定した症状が強調された前記追加問診票を生成する請求項2乃至1
1のうちいずれか一項に記載の問診装置。
【請求項13】
前記初期問診票及び前記追加問診票に対する回答と、前記第1の病名と、を含む問診情報を生成する第2の生成部をさらに備え、
医師がカルテ情報を入力する医師端末に対して前記問診情報を送信する通信制御部と、
をさらに備えた請求項1乃至1
2のうちいずれか一項に記載の問診装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
明細書等に開示された一実施形態は、問診装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者は病院で診察を受ける際に、病院の受付で、予め用意された問診票を受け取り、当該問診票に症状を記入していた。
【0003】
このように予め用意された問診票は、不特定多数の患者用に作成されているため、患者の本来の症状を的確に記入することが難しいという課題があった。そのため、問診結果を受けて新たな問診項目を生成して、再度問いかけを行うシステムが提案されている。
【0004】
しかしながら、このような従来のシステムにあっては、新たな問診内容は、患者が回答した症状をより詳細に尋ねるものであって、患者の症状を効率的に問診するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態に係る問診装置は、第1の受付部と、提示部と、第2の受付部と、第1の判定部とを備える。前記第1の受付部は、症状を問う初期問診票に対する初期回答を受け付ける。前記提示部は、前記初期回答に基づいて、当該初期回答に関連する症状を問う追加問診票を提示する。前記第2の受付部は、前記追加問診票に対する追加回答を受け付ける。前記第1の判定部は、前記初期回答と、前記追加回答とに基づいて、少なくとも一つの第1の病名を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる問診システムの構成の一例を示すシステムブロック図である。
【
図2】
図2は、ユーザ端末及び医師端末の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかるサーバ装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、病名症状データベースに格納された、症状と病名との対応関係の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、追加で問診するのが望ましい症状を選定する例を示す図である。
【
図8】
図8は、サーバ装置が、問診によって得た症状を医師端末に表示させる際の表示の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、サーバ装置が医師端末に表示させる問診情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、問診システムが行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係る問診システム5を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、問診装置及び問診システムの実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る問診システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0009】
(問診システムの全体構成の説明)
図1に示すように、本実施形態に係る問診システム1は、サーバ装置2と、医師端末4と、ユーザ端末10とを備える。サーバ装置2とユーザ端末10とは、通信ネットワークNを介して、互いに通信可能に接続される。なお、通信ネットワークNは、例えば、インターネットやVPN(Virtual Private Network)などの専用回線である。また、サーバ装置2と医師端末4とは、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)6により、直接的、又は間接的に相互に通信可能な状態となっている。なお、ユーザ端末10は、各患者が所持するため、複数存在しても構わない。また、医師端末4は、例えば診察室毎に設置されるため、複数の診察室が存在する場合には、医師端末4も複数存在することとなる。
【0010】
サーバ装置2は、ユーザ端末10から、症状を問う初期問診票に対する初期回答を受け付け、初期回答に基づいて、当該初期回答に関連する症状を問う追加問診票をユーザ端末10に提示させる。サーバ装置2は、ユーザ端末10から、追加問診票に対する追加回答を受け付け、初期回答と追加回答とに基づいて、少なくとも一つの第1の病名を判定する。なお、本実施形態における「判定」との文言は、AIモデルを使用した推定、テーブルを用いた演算による特定を含むものとする。
【0011】
また、サーバ装置2は、ユーザ端末10に対して、症状を問う初期問診票を送信する。また、サーバ装置2は、ユーザ端末10から、初期問診票に対する回答を受信するとともに、初期問診票に回答された症状に基づいて、少なくとも一つの病名を推定する。そして、サーバ装置2は、推定された病名から他の症状を推定するとともに、推定された他の症状に応じた、再確認すべき症状を問う追加問診票を生成する。なお、サーバ装置2は、既に作成済の追加問診票の中から、初期問診票に対する回答に応じた追加問診票を取得してもよい。さらに、サーバ装置2は、ユーザ端末10に対して、追加問診票を送信するとともに、ユーザ端末10から、追加問診票に対する回答を受信する。そして、サーバ装置2は、追加問診票に対する回答に基づいて、病名候補を更に絞り込む。なお、サーバ装置2は、問診装置の一例である。また、ユーザ端末10は、端末装置の一例である。
【0012】
医師端末4は、例えば、診察室毎に設置された、例えばパーソナルコンピュータなどの端末である。医師端末4は、サーバ装置2から、初期問診票及び追加問診票に対する回答と、サーバ装置2が推定した推定病名と、を含む問診情報(問診結果)を受信するとともに、受信した問診情報を表示する。そして、医師は、問診情報を参照して該当する患者の診察を行い、医師端末4から、電子カルテのカルテ情報、すなわち、患者の症状や医師の所見などを入力する。
【0013】
ユーザ端末10は、サーバ装置2から、初期問診票及び追加問診票を受信する。また、ユーザ端末10は、例えば患者から初期問診票及び追加問診票に対する回答を受け付ける。また、ユーザ端末10は、初期問診票及び追加問診票に対する回答を、サーバ装置2に送信する。なお、ユーザ端末10は、患者または患者の家族などが所持する、例えば、スマートフォンやタブレットPC(Personal Computer)などの携帯端末である。
【0014】
(ユーザ端末及び医師端末の機能構成の説明)
図2は、ユーザ端末10及び医師端末4の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、ユーザ端末10と医師端末4は、制御部101と、記憶部102と、通信I/F103と、I/O機器制御部104とが、バス105を介して接続される構成を有する。なお、ユーザ端末10は、少なくとも、問診票を表示する機能と、問診票を記入する機能と、ネットワーク又は通信回線を介して問診票を送受信する機能を備えていればよく、例えば、スマートフォン等であってもよい。また、医師端末4は、少なくとも、問診票を閲覧する機能と、ネットワーク又は通信回線を介して問診票を送受信する機能を備えていればよく、例えば、カルテ端末等であってもよい。
【0015】
制御部101は、プロセッサとしての機能を持ち、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などで構成される。制御部101は、CPUがROMや記憶部102に記憶された制御プログラムを読み出して、RAMに展開して順次実行することで、医師端末4、ユーザ端末10の各部を制御する。記憶部102は、ハードディスクドライブ装置などであり、制御部101のCPUが実行する制御プログラムや各種設定データなどを記憶する。例えば、記憶部102が記憶する制御プログラムには、サーバ装置2との相互通信を行うブラウザや、サーバ装置2との間で問診票ファイルを送受信するファイル通信アプリなどが含まれている。
【0016】
通信I/F103は、ユーザ端末10とサーバ装置2との間、及び医師端末4とサーバ装置2との間の通信を制御する。具体的には、ユーザ端末10の通信I/F103は、通信ネットワークNを介して、サーバ装置2との間でデータ通信を行う。また、医師端末4の通信I/F103は、院内LAN6を介して、サーバ装置2との間でデータ通信を行う。
【0017】
I/O機器制御部104は、制御部101の制御の下、各種I/O機器の制御を行う。I/O機器制御部104が制御するI/O機器は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなどの操作部106と、液晶ディスプレイなどの表示部107である。
【0018】
特に、ユーザ端末10において、前記した通信I/F103は、サーバ装置2から、初期問診票及び追加問診票を受信する。また、通信I/F103は、初期問診票に対する回答(初期回答)及び前記追加問診票に対する回答(追加回答)を、サーバ装置2に送信する。なお、通信I/F103は、受信部及び送信部の一例である。
【0019】
また、ユーザ端末10において、前記した表示部107は、初期問診票及び追加問診票を表示する。また、制御部101は、患者から、初期問診票及び前記追加問診票に対する回答を受け付ける。なお、制御部101は、受付部の一例である。
【0020】
(サーバ装置の機能構成の説明)
図3は、サーバ装置2の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、サーバ装置2は、制御部201と、記憶部220とを備える。
【0021】
制御部201は、プロセッサとしての機能を持ち、CPU、ROM、RAMなどで構成され、CPUがROMや記憶部220が記憶する制御プログラムP1をRAMに展開して順次実行することで、サーバ装置2の各部を制御する。
【0022】
制御部201は、CPUが制御プログラムP1を順次実行することで、
図3に示す第1の受付部202と、病名推定部203と、症状推定部204と、問診票再生成部205と、第2の受付部206と、推定病名特定部207と、問診情報生成部208と、表示制御部209と、通信制御部210とを、機能部として実現する。
【0023】
第1の受付部202は、症状を問う初期問診票C1に対する回答を受け付ける。具体的には、サーバ装置2は、ユーザ端末10から、入力を完了した初期問診票C1を受信する。なお、第1の受付部202は、ユーザ端末10において、初期問診票C1を入力中のユーザが、初期問診票C1の次の問診項目を指示する「次へ」ボタン等を操作した場合に、その都度初期問診票C1を受信してもよい。なお、サーバ装置2は、ユーザ端末10において、初期問診票C1を入力するアプリケーションが起動したことを検知した場合、又はユーザ端末10において病院名が入力されたことを検知した場合などに、問診票の要求があると判定して、通信制御部210に対して、ユーザ端末10に初期問診票C1を送信させる。
【0024】
病名推定部203は、第1の受付部202が受け付けた回答に基づいて、少なくとも一つの推定病名を推定(又は判定)する。病名推定部203は、第1の受付部202が受け付けた初期問診票C1に記入された患者の症状(初期回答)に基づいて、第1又は第2の病名として、少なくとも一つの推定病名を推定する。より具体的には、病名推定部203は、症状と当該症状を引き起こす病名とを対応付けたテーブルを用いて、少なくとも一つの推定病名を推定する。また、病名推定部203は、少なくとも一つの症状を入力とし、少なくとも一つの第2の病名を出力とする学習済モデルを用いて、少なくとも一つの推定病名を推定する。なお、病名推定部203は、第1又は第2の判定部の一例である。
【0025】
症状推定部204は、病名推定部203が推定した推定病名に基づいて、当該推定病名の症状を推定する。なお、病名推定部203が一つの推定病名のみを推定した場合には、症状推定部204は、当該一つの推定病名によって発症する可能性のある別の症状を推定する。
【0026】
問診票再生成部205は、症状推定部204が推定した症状に応じた症状を問う追加問診票C2を生成する。また、問診票再生成部205は、生成した追加問診票C2において、症状推定部204が推定した症状を強調表示する。また、病名推定部203が一つの推定病名のみを推定した場合には、問診票再生成部205は、当該一つの推定病名によって発症する可能性のある別の症状について尋ねる追加問診票C2を生成する。なお、問診票再生成部205、症状推定部204は、第1の生成部の一例である。すなわち、問診票再生成部205、症状推定部204は、少なくとも一つの病名を入力とし、問診票を出力とする学習済モデルを用いて、追加問診票を生成する。また、問診票再生成部205、症状推定部204は、複数の病名と複数の問診とを対応付けたテーブルを用いた演算により、追加問診票を生成する。
【0027】
また、問診票再生成部205は、病名推定部203が複数の推定病名を推定した場合に、症状推定部204が、当該複数の推定病名の各々から推定する症状の中から、発症している可能性が最も高いと推定される症状に対する設問を含む追加問診票C2を生成する。なお、問診票再生成部205は、発症している可能性を、例えば、最も低い1から最も高い5のレベルに弁別して、発症している可能性が所定のレベルよりも高い症状に係る設問を、追加問診票C2に含めてもよい。
【0028】
また、問診票再生成部205は、病名推定部203が複数の推定病名を推定した場合に、症状推定部204が、複数の推定病名の各々から推定される症状のうち、複数の推定病名に重複が多い症状に対する設問を含む追加問診票C2を生成する。
【0029】
また、問診票再生成部205は、病名推定部203が複数の推定病名を推定した場合に、症状推定部204が、当該複数の推定病名の各々から推定される症状のうち、複数の推定病名間で重複が少ない症状に対する設問を含む追加問診票C2を生成する。
【0030】
なお、問診票再生成部205は、既に作成済の追加問診票C2の中から、初期問診票C1に対する回答に応じた追加問診票C2を取得してもよい。追加問診票C2の具体的な例は後述する(
図7)。
【0031】
第2の受付部206は、問診票再生成部205が生成した追加問診票C2に対する回答を受け付ける。
【0032】
推定病名特定部207は、初期問診票についての初期回答と、追加回答として第2の受付部206が受け付けた症状とに基づいて、病名推定部203が推定した推定病名を、第1又は第2の病名として特定(又は判定)する。すなわち、推定病名特定部207は、症状と当該症状を引き起こす病名とを対応付けたテーブルを用いて、病名推定部203が推定した推定病名を、第1又は第2の病名として特定(又は判定)する。また、推定病名特定部207は、少なくとも一つの症状を入力とし、少なくとも一つの病名を出力とする学習済モデルを用いて、病名推定部203が推定した推定病名を、第1又は第2の病名として特定(又は判定)する。さらに、病名推定部203が一つの推定病名のみを推定した場合には、推定病名特定部207は、追加問診票C2に対する回答に基づいて、当該一つの推定病名を発症している可能性があるかを判定する。なお、推定病名特定部207は、第1又は第2の判定部の一例である。
【0033】
問診情報生成部208は、初期問診票C1に対する回答(初期回答)及び追加問診票C2に対する回答(追加回答)と、推定病名特定部207が特定した病名と、を含む問診情報35を生成する。なお、問診情報生成部208は、第2の生成部の一例である。また、問診情報35は、推定病名特定部207が特定した病名を特徴付ける症状を強調表示したものである。
【0034】
表示制御部209は、初期問診票C1と、追加問診票C2とを、ユーザ端末10の表示部107に表示させる。また、表示制御部209は、医師がカルテ情報を入力する医師端末4の表示部107に、問診情報35を表示させる。
【0035】
通信制御部210は、制御部201と記憶部220との通信を制御する。また、通信制御部210は、サーバ装置2とユーザ端末10との通信、及びサーバ装置2と医師端末4との通信を制御する。
【0036】
記憶部220は、ハードディスクドライブ装置などであり、制御部201のCPUが実行する制御プログラムP1や各種データなどを記憶する。また、記憶部220は、病名症状データベースDBと、病名推定モデルM1と、症状推定モデルM2と、初期問診票C1とを記憶する。
【0037】
なお、制御部201で実行される制御プログラムP1は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0038】
また、制御プログラムP1を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。さらに、制御プログラムP1をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0039】
病名症状データベースDBは、各種病気の病名と症状とを管理するデータベースである。病名症状データベースDBは、各病院における医師の診療情報や学会等のガイドラインに基づいて生成される。
【0040】
病名症状データベースDBに格納された病名と症状とは、互いに関連付けられている。例えば、病名症状データベースDBにおいて、ユニークに割り当てられた病名ID毎に、当該病名の主訴となる症状が関連付けられている。さらに、症状毎にユニークなIDが割り当てられて、当該症状の元となる病名が関連付けられている。
【0041】
病名推定モデルM1は、少なくとも1つの症状に対して、1つ以上の病名を出力するモデルである。この様な病名推定モデルM1は、症状と、当該症状を引き起こす病名と、症状と病名との関連付けの確からしさを表す情報と、を対応付けて記憶した第1のモデル(AIモデル)、症状と当該症状を引き起こす病名とを対応付けて記憶したテーブルを用いた演算を実行する第2のモデル等によって実現することができる。
【0042】
第1のモデルとしての病名推定モデルM1は、ニューラルネットワークなどのAIモデルを実現するプログラムである。すなわち、病名推定モデルM1は、例えば、少なくとも一つの症状を入力とし、1つ以上の病名を出力とする学習済モデル(ディープニューラルネットワーク等)である。この様な病名推定モデルM1を実現するプログラムは、当該病名の患者が一般的に主訴する少なくとも一つの症状と、医師によって診断された病名との組み合わせから構成される複数のトレーニングデータを用いた機械学習することによって構築することができる。
【0043】
また、第2のモデルとしての病名推定モデルM1は、予め作成された、病名と症状との複数の対応関係を定義したテーブルに基づいて、少なくとも一つの症状に基づいて、少なくとも1つ以上の病名を判定する演算プログラムである。
【0044】
なお、第1のモデル又は第2のモデルのいずれの病名推定モデルM1であっても、例えば、病名症状データベースDBに格納されたデータを用いて形成することができる。また、症状と病名との関連付けの確からしさを表す情報は、例えば、病名推定モデルM1の学習に用いたサンプル数に基づいて算出すればよい。具体的には、「咳が出る」という症状を示すN人の患者のうち、「肺炎」として診断された患者がM人であった場合、咳から肺炎が推定される確からしさは、M/Nとして登録される。なお、この確からしさは、病名推定モデルM1の更新とともに変更される。
【0045】
症状推定モデルM2は、病名と、当該病名によって発症する症状と、当該病名と当該症状との関連付けの確からしさを表す情報と、の関連付けを記憶したモデル(情報)である。症状推定モデルM2は、少なくとも1つの病名に対して、1つ以上の症状を出力するモデルである。この様な症状推定モデルM2は、病名と、当該病名による病気に起因して発生する少なくとも一つの症状と、病名と症状との関連付けの確からしさを表す情報と、を対応付けて記憶した第3のモデル(AIモデル)、病名と、当該病名による病気に起因して発生する症状とを対応付けて記憶したテーブルを用いた演算を実行する第4のモデル等によって実現することができる。
【0046】
第3のモデルとしての症状推定モデルM2は、ニューラルネットワークなどのAIモデルを実現するプログラムである。すなわち、症状推定モデルM2は、例えば、少なくとも一つの病名を入力とし、1つ以上の症状を出力とする学習済モデル(ディープニューラルネットワーク等)であってもよい。この様な症状推定モデルM2を実現するプログラムは、医師によって診断された病名と、当該病名の患者が一般的に主訴する少なくとも一つの症状との組み合わせから構成される複数のトレーニングデータを用いた機械学習することによって構築することができる。
【0047】
また、第4のモデルとしての症状推定モデルM2は、予め作成された、症状と病名との複数の対応関係を定義したテーブルに基づいて、少なくとも一つの病名に基づいて、少なくとも1つ以上の症状を判定する演算プログラムである。
【0048】
なお、第3のモデル又は第4のモデルのいずれの症状推定モデルM2であっても、例えば、病名症状データベースDBに格納されたデータを用いて形成することができる。また、病名と症状との関連付けの確からしさを表す情報は、例えば、症状推定モデルM2の学習に用いたサンプル数に基づいて算出すればよい。具体的には、「肺炎」という症状を示すN人の患者のうち、「咳が出る」という症状を示す患者がM人であった場合、肺炎から咳が推定される確からしさは、M/Nとして登録される。なお、この確からしさは、症状推定モデルM2の更新とともに変更される。
【0049】
病名推定モデルM1と症状推定モデルM2とは、既存の臨床データを用いて作成及び更新してもよいし、本実施形態の問診システム1を運用することによって収集したデータ、すなわち、問診票への記入内容と実際の診断結果との対応関係を用いて作成及び更新してもよい。
【0050】
なお、病名推定モデルM1及び症状推定モデルM2は学習機能を備える。すなわち、サーバ装置2が推定した病名と医師が診断した病名とが異なった場合に、サーバ装置2は、
図3に非図示のモデル更新部の作用によって、患者の症状と、医師が診断した病名と、を関連付けることによって、病名推定モデルM1及び症状推定モデルM2を更新する。
【0051】
初期問診票C1は、ユーザ端末10を使用している患者に最初に提示される、患者の症状を問う問診票である。詳しくは後述する(
図4)。
【0052】
(初期問診票の説明)
図4は、初期問診票C1の一例を示す図である。初期問診票C1は、症状情報20と、チェックボックス21と、入力完了ボタン22とを備える。患者は、ユーザ端末10の表示部107に表示された初期問診票C1を確認する。そして、患者は、操作部106(例えばタッチパネル)を操作することによって、初期問診票C1に表示された症状情報20の中から、自身の症状に関連する症状情報20に対応するチェックボックス21に、チェックマーク23を入力する。具体的には、ユーザ端末10の制御部101は、タッチされたチェックボックス21に、チェックマーク23を表示する。
【0053】
患者は、自身の症状を全て入力した後で、入力完了ボタン22を押下する。ユーザ端末10の制御部101は、入力完了ボタン22が押下されたことを検出して、初期問診票C1をサーバ装置2に送信する。
【0054】
なお、初期問診票C1は、患者の症状を総合的にチェックする目的で予め作成されて、サーバ装置2の記憶部220に記憶されている。そして、初期問診票C1は、患者の症状を総合的にチェックできるように、様々な身体症状の項目を設けている。
【0055】
なお、特定の受診科目を受診したい患者のために、特定の受診科目(例えば、耳鼻科、眼科、整形外科など)に特化した初期問診票C1を、記憶部220に用意しておいてもよい。
【0056】
また、
図4に示す初期問診票C1は、チェックボックス21にチェックマーク23を入力することによって回答する形式であるが、回答形式はこの方法に限定されるものではない。すなわち、患者は、自身の症状を単語(例えば頭痛)で入力してもよいし、文章(例えば頭が痛い)で入力してもよい。
【0057】
さらに、患者は、症状の程度を数値(例えば10段階)で入力してもよい。なお、初期問診票C1の記入結果を受信するサーバ装置2の第1の受付部202は、初期問診票C1の入力形式に沿って入力された情報を受付可能な構成を有するものとする。具体的には、サーバ装置2は、例えば単語や文章での回答を受付可能とするテキスト認識機能を備えるものとする。
【0058】
(病名候補の推定方法の説明)
図5は、病名症状データベースDBに格納された、症状と病名との対応関係の一例を示す図である。病名症状データベースDBは、症状40と疑われる病名41とを関連付けて格納している。
【0059】
病名推定部203は、病名推定モデルM1を用いて推定病名を推定する。例えば、
図4に示すように、初期問診票C1において、患者から「胸が痛い」という主訴があった場合を想定する。この場合、病名推定部203は、病名症状データベースDBに基づいて作成された病名推定モデルM1を用いて、症状40の欄の中から、「胸痛」に関連する症状を呈する病名を、可能性の高い病名として推定する。
【0060】
具体的には、病名推定部203は、病名推定モデルM1がテーブル形式で記述されている場合、「胸痛」という症状に関連付けられた推定病名を、当該テーブルから読み出す。なお、病名推定モデルM1がニューラルネットワークなどの数学モデルで記述されている場合、病名推定部203は、「胸痛」という症状を入力した際に、ニューラルネットワークの出力層に出力される、当該症状を発症する可能性に対応する評価値に基づいて、推定病名を予測してもよい。このとき、病名推定部203は、最も高い評価値を出力する推定病名を、最も可能性の高い推定病名として1つだけ出力してもよいし、所定の閾値よりも高い評価値を出力する推定病名を、可能性の高い推定病名として複数出力してもよい。また、病名推定モデルM1が、症状と推定病名とが関連付く確からしさを有している場合には、当該確からしさを用いて、出力する推定病名を判断してもよい。
【0061】
図5の例によると、図中にハッチングを付与した「胸痛」という症状に対して、自然気胸、肺癌、逆流性食道炎、狭心症、急性心筋梗塞、急性心不全、急性心筋炎、細菌性肺炎、胸膜炎、突発性食道破裂、急性膵炎などが推定病名であると疑われる。
【0062】
本実施形態では、前記した11の病名のうち、自然気胸、肺癌、狭心症、急性心筋梗塞、細菌性肺炎の5つが、可能性の高い推定病名であると推定されたとする。
【0063】
(症状候補の推定方法の説明)
症状推定部204は、症状推定モデルM2を用いて症状を推定する。より具体的には、症状推定部204は、初期問診票C1の回答に対して病名推定部203が推定した推定病名に基づいて、発症している可能性のある別の症状がないかを推定する。
【0064】
症状推定部204は、発症している可能性が最も高い症状を一つ推定してもよいし、発症している可能性が高い複数の症状を推定してもよい。このとき、初期問診票C1において主訴されている症状が推定される可能性があるとともに、初期問診票C1において主訴されていない症状が推定される可能性がある。問診システム1は、症状推定部204が推定した症状の中から、初期問診票C1において主訴されていない症状について、患者に、当該症状の有無を再確認するのが望ましいと判断する。
【0065】
なお、初期問診票C1において主訴されていない症状は、初期問診票C1に設問として含まれていない症状と、初期問診票C1に設問として含まれていたにも関わらず、無回答であった症状とを含む。
【0066】
問診票再生成部205は、症状推定部204が推定した症状に基づいて、再確認するのが望ましい症状を含む追加問診票C2を生成する。追加問診票C2の具体例については後述する(
図7)。
【0067】
図6は、追加で問診するのが望ましい症状を選定する例を示す図である。特に、
図6は、患者が、初期問診票C1において、咳、発熱、胸の痛みを訴えた場合に推定される推定病名から、追加の問診事項を選定した例である。
【0068】
症状推定部204は、病名推定部203が推定した5つの推定病名から、当該推定病名によって現れる症状を推定する。より具体的には、症状推定部204は、病名推定部203が推定した推定病名から推定される症状のうち、初期問診票C1に設問として含まれていなかった症状と、初期問診票C1に設問として含まれていたにも関わらず、無回答であった症状と、を推定する。
【0069】
図6は、
図5で説明したように、病名推定部203が、自然気胸41a、肺癌41b、狭心症41c、急性心筋梗塞41d、細菌性肺炎41eの5つを、推定病名として推定した例を示す。
【0070】
症状推定部204は、症状推定モデルM2を用いて、各病名に対して、発生する可能性が高い症状を推定する。そして、症状推定部204は、推定された症状の中から、発症する可能性が高い症状を1つ又は複数選択する。
【0071】
具体的には、症状推定部204は、各病名に対して、発症する可能性が最も高い症状を選択してもよい。例えば、症状推定モデルM2が記憶する病名と症状との関連付けの確からしさを表す情報を用いて、発症する可能性が最も高いと推定される症状を1つだけ出力してもよい。
【0072】
また、症状推定部204は、症状推定モデルM2がニューラルネットワークで構成されている場合に、特定の病名を入力した際に、ニューラルネットワークの出力層に出力される評価値に基づいて症状を予測してもよい。このとき、症状推定部204は、最も高い評価値を出力する症状を、発症する可能性が最も高い症状として、1つだけ出力してもよい。
【0073】
また、症状推定部204は、症状推定モデルM2が記憶する病名と症状との関連付けの確からしさを表す情報を用いて、所定の閾値よりも高い確からしさを有する症状を、発症する可能性が高い症状として複数出力してもよい。また、ニューラルネットワークの出力層に出力される評価値に基づいて、所定の閾値よりも高い評価値を出力する症状を、発症する可能性が高い症状として複数出力してもよい。
【0074】
さらに、症状推定部204は、複数の病名候補に重複して現れる症状を、発症する可能性の高い症状として出力してもよい。
【0075】
また、症状推定部204は、同じ患者が、過去に初期問診票C1に入力した回数が多い症状を、発症する可能性が高い症状として出力してもよい。
【0076】
さらに、症状推定部204は、複数の推定病名から推定される症状のうち、病名を更に特定しやすくする症状を出力してもよい。
【0077】
例えば、症状推定部204は、複数の病名間で重複しない症状を出力してもよい。また、症状推定部204は、同じ患者が、過去に初期問診票C1に入力した回数が少ない症状を出力してもよい。
【0078】
また、症状推定部204は、過去に誤診が発生した際に、誤った病名と正しい病名のそれぞれから予想される症状のうち、両病名の区別に有用な症状を出力してもよい。さらに、症状推定部204は、患者の既往歴を参照することによって、前述した各推定に、患者の既往歴を考慮することによって推定される症状を出力してもよい。
【0079】
図6に示す追加の問診事項は、前述した各推定の結果抽出された症状である。すなわち、息切れ、動悸40aは、複数の病名間で重複が多い症状の一例である。また、体重減少40b、骨や関節の痛み40c、血痰40dは、それぞれ、肺癌41bと1対1に対応する症状、すなわち、複数の病名間で重複が少ない症状の一例である。
【0080】
なお、痰については、病名の識別のために、痰の状態、例えば血痰40dがあるか、膿状の痰40eがあるかを問うのが望ましい。
【0081】
胸の痛みについての補足質問、すなわち、30分以内で治まる40f、30分以上継続40g、上腹部あたりの痛み40hは、病名を識別するために、胸痛の状態をより詳細に問う設問の一例である。このような補足質問は、例えば、頭痛を訴えている患者に対して、頭痛の状態(頭全体が痛いのか、特定の部位が痛いのか、どのような痛みなのか、いつから痛いのかなど)を尋ねる場面などにも適用される。
【0082】
問診票再生成部205は、
図6に示した追加の問診項目に基づいて、後述する追加問診票C2(
図7)を生成する。
【0083】
(追加問診票の説明)
図7は、追加問診票C2の一例を示す図である。特に、
図7左側は、追加問診票C2aの一例を示す図である。また、
図7右側は、追加問診票C2bの一例を示す図である。
【0084】
追加問診票C2は、患者のわかり易さを考慮して、初期問診票C1の表示形態を踏襲する。そして、症状推定部204が推定した、再確認が必要な症状を強調表示するのが望ましい。強調表示の方法は問わないが、ハッチングを付与する、下線を引く、文字色を変更する、文字の字体を変更する、文字を太字にするなどを行えばよい。
【0085】
図7左側は、強調表示すべき症状24にハッチングを付与した、追加問診票C2aの一例である。
【0086】
なお、強調表示の別の形態として、再確認すべき症状を並び替えて、症状情報20の上位に表示してもよい。また、画面の特定位置に、例えば、「もしかして、頭痛がありませんか?」などと、予想される症状を追加表示してもよい。
【0087】
また、問診票再生成部205は、初期問診票C1に、追加の設問を付加した追加問診票C2bを生成してもよい。
図7右側は、追加問診票C2bの一例を示す図である。追加問診票C2bは、初期問診票C1に対して、追加設問領域25を備える。
【0088】
追加設問領域25には、追加設問26と、詳細設問27とが表示される。追加設問26は、症状推定部204の推定結果に基づいて、再確認が必要と判断された設問である。
図7右側の例では、追加設問26は、初期問診票C1の設問に対して回答がなかった項目と、初期問診票C1になかった項目とを含む。したがって、追加設問26は、初期問診票C1に表示された項目と重複する場合もある。患者は、追加設問領域25のチェックボックスにチェックを行ってもよいし、初期問診票C1に相当する項目のチェックボックス21にチェックを行ってもよい。また、追加設問領域25又は初期問診票C1に相当する項目のいずれか一方のチェックボックスにチェックを行った場合に、他方のチェックボックスにもチェックが入るようにしてもよい。
【0089】
詳細設問27は、例えば、特定の症状について、より詳細な情報を得るための設問である。
図6で説明した、胸痛の状態を詳細に問う設問がその一例である。
【0090】
追加問診票C2(C2a、C2b)において、患者が入力を完了した際には、前述した初期問診票C1の入力時と同様に、入力完了ボタン22を押下させることによって、ユーザ端末10は、問診票の入力が完了したものと判断する。
【0091】
なお、追加問診票C2(又は初期問診票C1)に入力された症状の数が一定数に達した場合に、強制的に問診票の入力を終了させるようにしてもよい。また、ユーザ端末10から入力された症状を、その都度サーバ装置2に送信して、サーバ装置2において病名の推定を行い、推定された病名候補が一定数に達した場合に、強制的に問診票の入力を終了させるようにしてもよい。また、逆に、推定された病名候補が一定数以下に絞り込まれた場合に、問診票の入力を終了させるようにしてもよい。
【0092】
(医師端末に表示させる症状の表示方法の説明)
図8は、サーバ装置2が、問診によって得た症状を医師端末4に表示させる際の表示の一例を示す図である。
【0093】
問診情報生成部208は、初期問診票C1及び追加問診票C2に対する回答に基づいて、患者の症状を、当該患者を実際に診察する医療従事者(例えば医師)が確認しやすい形態に整理する。
【0094】
そして、問診情報生成部208は、患者の自覚症状情報28を生成する。自覚症状情報28は、医療従事者が診察を行う際に、病名を特徴付ける症状を確認しやすいように表示したものである。
図8左側は、自覚症状情報28の一例である自覚症状情報28aを示す。自覚症状情報28aは、病名を特徴付けやすい症状を、発症する可能性の高い順に表示することによって強調表示した例である。
【0095】
図8左側は、具体的には、推定病名特定部207が、追加問診票C2に対する回答に基づいて病名を再推定(又は判定)した結果、「肺癌」を特徴付ける可能性が高い自覚症状情報28aを示す。すなわち、
図8左側は、初期問診票C1及び追加問診票C2に対する回答から、「肺癌」の際に発生する可能性が高い順に、症状を並び替えて表示した例である。「肺癌」を発症した場合には、患者が訴えた症状のうち、「血痰」、「体重が減少」、「胸が痛い」、「息切れ、動悸」、「咳」の順に、肺癌を特徴付ける可能性が低くなることを示す。
【0096】
また、推定病名特定部207が、追加問診票C2に対する回答に基づいて病名の特定を行った結果、複数の病名が選出された場合には、自覚症状情報28aは、各病名候補間で重複が多い順、または重複が少ない順に症状を並べ替えて表示してもよい。
【0097】
さらに、自覚症状情報28aは、初期問診票C1及び追加問診票C2に入力された回数が多い順に症状を並べ替えて表示してもよい。
【0098】
図8右側は、自覚症状情報28の一例である自覚症状情報28bを示す。自覚症状情報28bは、推定病名特定部207が、追加問診票C2に対する回答に基づいて病名を特定した結果、「肺癌」である可能性が高い場合に、「肺癌」を特徴付ける可能性が高い症状を、ハッチングを付与することによって強調表示した例である。なお、強調表示の方法は、ハッチングに限るものではなく、下線を引く、文字色を変更する、文字の字体を変更する、文字を太字にするなどを行ってもよい。
【0099】
(医師端末に表示させる問診情報の説明)
図9は、サーバ装置2が医師端末4に表示させる問診情報35の一例を示す図である。問診情報35は、自覚症状情報28と、既往歴29と、病名候補30と、過去の受診記録31と、バイタルサイン32と、診断記録33とを含む。
【0100】
自覚症状情報28は、前述した通りである。
図9では、推定された病名候補30を特徴付ける症状を、発症する可能性の高い順に並べて強調表示している。既往歴29は、患者の過去の病歴である。なお、既往歴は、患者個人を特定する識別番号などから取得可能であるとする。病名候補30は、初期問診票C1と追加問診票C2とから推定された病名候補である。
図9は、肺癌と肺炎の両方の可能性があることを示している。なお、病名候補は、最も可能性が高い病名を1つ表示してもよいし、可能性の高い病名を複数表示してもよい。
【0101】
過去の受診記録31は、過去の受診時に電子カルテに記録された情報(既往歴、過去の投薬情報・検査情報など)である。バイタルサイン32は、例えば、病名候補30の中から選択された病名(
図9の例では、肺癌と肺炎)にかかる医療情報(血液検査の結果など)である。診断記録33は、病名候補30に関連する、患者の過去の診断記録である。なお、診断記録33は、病名候補30の近傍に設けた情報取得ボタンを押下すると、病名候補30のチェックした病名に係る情報として、電子カルテから取得されて、
図9の診断記録33の欄に表示される。
図9の診断記録33は、過去に撮影された当該患者の医療画像の一例を示す。
【0102】
医師は、問診情報35を参考にして診察を行い、患者の病名について診断を下す。その際、問診情報35において病名候補30として推定された病名と、診断の結果判断された実際の病名とが異なっていた場合、問診システム1は、自身が誤った推定を行ったと判断する。
【0103】
このとき、サーバ装置2は、初期問診票C1及び追加問診票C2に入力された症状情報と、医師が診断した病名とを関連付ける。そして、関連付けたデータを新たな学習データとして、病名推定モデルM1及び症状推定モデルM2を更新する。その際、今回の診断で得られた患者の症状情報と医師が診断した病名との関係を示す学習データに、他の学習データよりも高い寄与度を与えることによって、病名推定モデルM1及び症状推定モデルM2の学習を行うのが望ましい。また、問診システム1が誤った推定を行った病名群の学習データの病名推定モデルM1及び症状推定モデルM2に対する寄与度を、他の病名群の学習データに比べて大きくした上で、学習を行ってもよい。
【0104】
(問診システムが行う処理の流れの説明)
図10は、問診システム1が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下、ユーザ端末10が行う処理の流れ、サーバ装置2が行う処理の流れ、医師端末4が行う処理の流れの順に説明する。
【0105】
(ユーザ端末が行う処理の流れの説明)
患者は、自身のユーザ端末10にて、問診を実行するアプリケーションを立ち上げて、サーバ装置2に対して問診票を要求する(ステップS10)。なお、この問診票の要求の際に、患者氏名等の患者情報が入力されてもよい。
【0106】
ユーザ端末10の制御部101は、通信I/F103が、サーバ装置2から初期問診票C1を受信したかを判定する(ステップS11)。初期問診票C1を受信したと判定される(ステップS11:Yes)と、ステップS12に進む。一方、初期問診票C1を受信したと判定されない(ステップS11:No)と、ステップS11を繰り返す。
【0107】
制御部101は、患者から初期問診票C1への入力を受け付ける(ステップS12)。
【0108】
制御部101は、操作部106と協働して、入力完了ボタン22が押下されたかを判定する(ステップS13)。入力完了ボタン22が押下されたと判定される(ステップS13:Yes)と、ステップS14に進む。一方、入力完了ボタン22が押下されたと判定されない(ステップS13:No)と、ステップS12に戻る。
【0109】
ステップS13において、入力完了ボタン22が押下されたと判定されると、続くステップS14において、制御部101は、通信I/F103に対して、初期問診票C1をサーバ装置2に送信させる。
【0110】
続いて、制御部101は、通信I/F103が、サーバ装置2から追加問診票C2を受信したかを判定する(ステップS15)。追加問診票C2を受信したと判定される(ステップS15:Yes)と、ステップS16に進む。一方、追加問診票C2を受信したと判定されない(ステップS15:No)と、ステップS15を繰り返す。
【0111】
制御部101は、患者から追加問診票C2への入力を受け付ける(ステップS16)。制御部101は、操作部106と協働して、入力完了ボタン22が押下されたかを判定する(ステップS17)。入力完了ボタン22が押下されたと判定される(ステップS17:Yes)と、ステップS18に進む。一方、入力完了ボタン22が押下されたと判定されない(ステップS17:No)と、ステップS16に戻る。
【0112】
ステップS17において、入力完了ボタン22が押下されたと判定されると、続くステップS18において、制御部101は、通信I/F103に対して、追加問診票C2をサーバ装置2に送信させる。その後、ユーザ端末10は、
図10の処理を終了する。
【0113】
(サーバ装置が行う処理の流れの説明)
第1の受付部202は、ユーザ端末10から問診票の要求があるかを判定する(ステップS20)。なお、サーバ装置2は、例えばステップS20において、問診票の要求と共に、ユーザ端末10から患者情報を取得することもできる。ユーザ端末10から問診票の要求があると判定される(ステップS20:Yes)と、ステップS21に進む。一方、ユーザ端末10から問診票の要求があると判定されない(ステップS20:No)と、ステップS20を繰り返す。
【0114】
ステップS20において、ユーザ端末10から問診票の要求があると判定されると、続くステップS21において、第1の受付部202は、通信制御部210に対して、初期問診票C1をユーザ端末10に送信させる。
【0115】
次に、第1の受付部202は、ユーザ端末10から初期問診票C1を受信したかを判定する(ステップS22)。ユーザ端末10から初期問診票C1を受信したと判定される(ステップS22:Yes)と、ステップS23に進む。一方、ユーザ端末10から初期問診票C1を受信したと判定されない(ステップS22:No)と、ステップS22を繰り返す。
【0116】
病名推定部203は、初期問診票C1の記入内容に基づいて、病名を推定する(ステップS23)。
【0117】
症状推定部204は、ステップS23で推定された病名に基づいて、当該病名から推定される症状を推定する(ステップS24)。
【0118】
問診票再生成部205は、ステップS24で推定した症状に基づいて、追加問診票C2を生成する(ステップS25)。
【0119】
問診票再生成部205は、通信制御部210に対して、追加問診票C2をユーザ端末10に送信させる(ステップS26)。
【0120】
推定病名特定部207は、ユーザ端末10から追加問診票C2を受信したかを判定する(ステップS27)。ユーザ端末10から追加問診票C2を受信したと判定される(ステップS27:Yes)と、ステップS28に進む。一方、ユーザ端末10から追加問診票C2を受信したと判定されない(ステップS27:No)と、ステップS27を繰り返す。
【0121】
ステップS27において、ユーザ端末10から追加問診票C2を受信したと判定されると、続くステップS28において、推定病名特定部207は、患者の病名を再推定する。
【0122】
続いて、問診情報生成部208は、問診情報35を生成する(ステップS29)。
【0123】
次に、問診情報生成部208は、通信制御部210に対して、問診情報35を医師端末4に送信させる(ステップS30)。その後、サーバ装置2は、
図10の処理を終了する。
【0124】
(医師端末が行う処理の流れの説明)
医師端末4の制御部101は、問診情報35を受信したかを判定する(ステップS40)。問診情報35を受信したと判定される(ステップS40:Yes)と、ステップS41に進む。一方、問診情報35を受信したと判定される(ステップS40:No)と、ステップS40を繰り返す。
【0125】
ステップS40において、問診情報35を受信したと判定されると、医師端末4の制御部101は、表示部107に問診情報35を表示する(ステップS41)。そして、医師端末4は、
図10の処理を終了する。
【0126】
以上説明したように、実施形態のサーバ装置2(問診装置)は、第1の受付部202が、症状を問う初期問診票C1に対する回答を受け付けて、病名推定部203が、第1の受付部202が受け付けた症状に基づいて、少なくとも一つの病名を推定する。症状推定部204は、病名推定部203が推定した病名に基づいて、当該病名の症状を推定して、問診票再生成部205(生成部)は、症状推定部204が推定した症状に応じた、再確認すべき症状を問う追加問診票C2を生成する。そして、第2の受付部206は、問診票再生成部205が生成した追加問診票C2に対する回答を受け付けて、推定病名特定部207は、第2の受付部206が受け付けた症状に基づいて、病名推定部203が推定した推定病名を特定する。したがって、患者の初期問診票C1に対する回答に応じて生成した追加問診票C2によって、問診を再度行うため、患者の病状を効率的に収集することができる。なお、患者は、病院に到着する前に初期問診票C1及び追加問診票C2を記入することができるため、病院での待ち時間を短縮することができる。さらに、病院において、医療従事者が患者の症状情報を収集する手間を削減することができる。
【0127】
なお、追加問診票C2の結果に基づいて、問診情報生成部208が、診察科を案内してもよい。これは、前述した病名症状データベースDBの中に、病名と関連付けた診療科を登録しておくことによって実現することができる。さらに、追加問診票C2の結果に基づいて、患者の症状に緊急性が高い場合には、問診情報生成部208が、ユーザ端末10に対して、救急車を呼ぶように案内させてもよい。
【0128】
また、実施形態のサーバ装置2(問診装置)において、病名推定部203は、症状と当該症状を引き起こす病名との関連付けを記憶した病名推定モデルM1を用いて推定病名を推定する。したがって、病名の推定を容易かつ効率的に行うことができる。また、病名推定モデルM1を更新することによって、新たな病名が登録された際に容易に対応することができる。
【0129】
また、実施形態のサーバ装置2(問診装置)において、症状推定部204は、病名と当該病名によって発症する症状との関連付けを記憶した症状推定モデルM2を用いて症状を推定する。したがって、症状の推定を容易かつ効率的に行うことができる。また、症状推定モデルM2を更新することによって、新たな症状が登録された際に容易に対応することができる。
【0130】
また、実施形態のサーバ装置2(問診装置)において、症状推定モデルM2は、病名と、当該病名によって発症する症状と、当該病名と当該症状との関連付けの確からしさを表す情報と、の関連付けを記憶した情報であり、問診票再生成部205(生成部)は、病名推定部203が複数の推定病名を推定した場合に、症状推定部204が、複数の推定病名の各々から推定する症状の中から、症状推定モデルM2に基づいて、発症している可能性が最も高いと推定される症状に対する設問を含む追加問診票を生成する。したがって、追加問診票C2の当該設問に対する回答から、病名候補を絞り込むことができる。
【0131】
また、実施形態のサーバ装置2(問診装置)において、問診票再生成部205(生成部)は、病名推定部203が複数の推定病名を推定した場合に、症状推定部204が、複数の推定病名の各々から推定する症状のうち、複数の推定病名に重複が多い症状に対する設問を含む追加問診票C2を生成する。したがって、追加問診票C2の当該設問に対する回答から、可能性の高い病名候補を選択することができる。
【0132】
また、実施形態のサーバ装置2(問診装置)において、問診票再生成部205(生成部)は、病名推定部203が複数の推定病名を推定した場合に、前記症状推定部204が、複数の推定病名の各々から推定する症状のうち、複数の推定病名間で重複が少ない症状に対する設問を含む追加問診票C2を生成する。したがって、追加問診票C2の当該設問に対する回答から、病名候補を絞り込むことができる。
【0133】
また、実施形態のサーバ装置2(問診装置)において、問診票再生成部205(生成部)は、症状推定部204が推定した症状を強調表示した追加問診票C2を生成する。したがって、患者は、追加問診票C2に回答を行う際に注意を払い易くなる。
【0134】
また、実施形態のサーバ装置2(問診装置)において、問診情報生成部208は、初期問診票C1及び前記追加問診票C2に対する回答と、推定病名特定部207が特定した病名と、を含む問診情報35を生成する。そして、表示制御部209は、医師がカルテ情報を入力する医師端末4に対して、問診情報35を表示させる。したがって、診察を行う医師は、患者の問診結果を容易に確認することができる。
【0135】
また、実施形態のサーバ装置2(問診装置)において、問診情報35は、推定病名特定部207が特定した病名を特徴付ける症状を強調表示したものである。したがって、診察を行う医師は、患者の問診結果をより一層容易に確認することができるため、診察の効率を向上させることができる。
【0136】
また、実施形態の問診システム1は、サーバ装置2とユーザ端末10とが協働することによって、患者の症状を収集する。具体的には、サーバ装置2において、第1の受付部202が、症状を問う初期問診票C1に対する回答を受け付けて、病名推定部203が、第1の受付部202が受け付けた症状に基づいて、少なくとも一つの推定病名を推定する。症状推定部204は、病名推定部203が推定した推定病名に基づいて、当該病名の症状を推定して、問診票再生成部205(生成部)は、症状推定部204が推定した症状に応じた、再確認すべき症状を問う追加問診票C2を生成する。そして、第2の受付部206は、問診票再生成部205が生成した追加問診票C2に対する回答を受け付けて、推定病名特定部207は、第2の受付部206が受け付けた症状に基づいて、病名推定部203が推定した推定病名を特定する。このとき、ユーザ端末10において、通信I/F103(受信部)は、サーバ装置2から初期問診票C1及び追加問診票C2を受信する。そして、表示部107が、初期問診票C1及び追加問診票C2を表示して、制御部101(受付部)が、初期問診票C1及び追加問診票C2に対する回答を受け付ける。通信I/F103(送信部)は、初期問診票C1及び前記追加問診票C2に対する回答を、サーバ装置2に送信する。したがって、患者の病状を効率的に収集することができる。
【0137】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る問診装置及び問診システムについて説明する。一般的に、電子カルテには、患者の既往歴、現病歴、常飲する薬等の情報が記載されている。第2の実施形態に係る問診装置及び問診システムは、これらの電子カルテの記載と、初期問診票に対する回答から推定される病名とに基づいて、より精度の高い追加問診票を生成するものである。
【0138】
図11は、第2の実施形態に係る問診システム5を説明するための図である。
図1に示した第1の実施形態に係る問診システム1と比較した場合、問診システム5は、臨床情報データベース3をさらに有する点が異なる。
【0139】
図11に示した様に、臨床情報データベース3は、電子カルテデータベース3a、画像データベース3bを含む。ここで、臨床情報とは、電子カルテに記載された情報、電子カルテに関連付された情報(例えば看護記録、給食情報、医用会計情報等)、画像データ等を意味し、患者毎に管理される。
【0140】
電子カルテデータベース3aは、電子カルテ、電子カルテに関連付された情報を患者毎に保管して管理するデータベースである。本実施形態に係る電子カルテデータベース3aは、HISとしてのデータベースを含むものである。
【0141】
画像データベース3bは、各種モダリティによって取得された画像データ、画像データに関連付された情報を患者毎に保管して管理するデータベースである。本実施形態に係る画像データベース3bは、PACS、RISとしてのデータベースを含むものである。
【0142】
サーバ装置2は、ユーザ端末10から受け取った患者情報に基づいて、電子カルテデータベース3aから当該患者の電子カルテに記載された情報を、ネットワークを介して取得する。具体的には、サーバ装置2の症状推定部204は、ユーザ端末10から受け取った患者情報に基づいて、電子カルテデータベース3aから当該患者の電子カルテに記載された情報を、ネットワークを介して取得する。
【0143】
ここで、サーバ装置2の症状推定部204が取得する当該患者の電子カルテに記載された情報とは、電子カルテに記載された当該患者の既往歴、現病歴、常飲する薬、当該患者について医師が過去に実行した問診に関する情報(問診内容とそれに対する患者の回答)等である。
【0144】
また、サーバ装置2の症状推定部204は、症状推定モデルM2を用いて、病名推定部203によって推定された病名、電子カルテデータベース3aから取得した当該患者の電子カルテに記載された情報に基づいて、少なくとも一つの症状を推定する。
【0145】
なお、この様な症状推定モデルM2は、ニューラルネットワークなどのAIモデルを実現するプログラムである。すなわち、症状推定モデルM2は、例えば、少なくとも一つの病名と、当該患者の電子カルテに記載された情報とを入力とし、1つ以上の症状を出力とする学習済モデル(ディープニューラルネットワーク等)である。この様な症状推定モデルM2を実現するプログラムは、医師によって診断された病名と、電子カルテに記載された情報と、当該病名の患者が一般的に主訴する少なくとも一つの症状との組み合わせから構成される複数のトレーニングデータを用いた機械学習することによって構築することができる。なお、サーバ装置2の症状推定部204は、必要に応じて、さらに初期問診票を基準として、少なくとも一つの症状を推定するようにしてもよい。
【0146】
サーバ装置2の問診票再生成部205は、症状推定部204によって推定された少なくとも一つの症状に基づいて、追加問診票C2を生成する。このとき、サーバ装置2の問診票再生成部205は、初期問診票C1を参照することで、追加問診票C2に含まれる情報のうち、初期問診票C1と重複する情報が区別された追加問診票C2を生成することもできる。
【0147】
なお、本実施形態においては、症状推定部204と問診票再生成部205とは別の構成であるとして説明した。これに対し、症状推定部204と問診票再生成部205とを一つの学習済モデル(ディープニューラルネットワーク等)で実現するようにしてもよい。この様な学習済モデルは、医師によって診断された病名と、電子カルテに記載された情報と、初期問診票C1と、を入力データとし、初期問診票C1と重複しない少なくとも一つの症状を出力データ(教師データ)とする複数のトレーニングデータを用いた機械学習することによって構築することができる。
【0148】
以上説明したように、本実施形態に係る問診装置としてのサーバ装置2は、症状推定部204において、病名推定部203によって推定された病名、電子カルテデータベース3aから取得した当該患者の電子カルテに記載された情報に基づいて、少なくとも一つの症状を推定する。また、サーバ装置2は、問診票再生成部205において、症状推定部204によって推定された少なくとも一つの症状に基づいて、追加問診票C2を生成する。したがって、当該患者の電子カルテに記載された情報をも含めて、さらに精度の高い追加問診票C2を生成することができる。また、当該患者の電子カルテを踏まえた高い追加問診票C2を用いるため、より精度の高い病名推定を実現することができる。
【0149】
(変形例1)
上記第2の実施形態においては、サーバ装置2の症状推定部204が少なくとも一つの症状を推定する場合において、電子カルテデータベース3aから取得した当該患者の電子カルテに記載された情報を利用する例を示した。これに対し、例えば、病名推定部203が病名を推定する場合、或いは推定病名特定部207が病名を特定する場合においても、必要に応じて、電子カルテデータベース3aから取得した当該患者の電子カルテに記載された情報を利用することができる。
【0150】
(変形例2)
上記各実施形態においては、サーバ装置2は病院内に設置されている場合を例示した。これに対し、サーバ装置2は、ユーザ端末10、医師端末4とネットワークを介して通信可能な環境であれば、病院内に限らずどこに設置されていてもよい。例えば、サーバ装置2は、クラウド上に設置されたサーバとして設置することもできる。
【0151】
(変形例3)
上記各実施形態においては、問診システム1のサーバ装置2が問診装置として機能する場合を例示した。これに対し、例えば、サーバ装置2において実行される処理実行するアプリケーションをユーザ端末10にインストールすることで、問診システム1を実現するようにしてもよい。
【0152】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU (Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図3における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0153】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0154】
1 問診システム
2 サーバ装置(問診装置)
4 医師端末
10 ユーザ端末(端末装置)
101 制御部(受付部)
103 通信I/F(受信部、送信部)
107 表示部
202 第1の受付部
203 病名推定部
204 症状推定部
205 問診票再生成部(生成部)
206 第2の受付部
207 推定病名特定部
208 問診情報生成部
C1 初期問診票
C2(C2a,C2b) 追加問診票
DB 病名症状データベース
M1 病名推定モデル
M2 症状推定モデル