(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20240426BHJP
【FI】
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2020084381
(22)【出願日】2020-05-13
【審査請求日】2021-09-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】507212975
【氏名又は名称】住信SBIネット銀行株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【氏名又は名称】涌井 謙一
(72)【発明者】
【氏名】矢久保 由介
(72)【発明者】
【氏名】安田 航
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】安井 雅史
【審判官】松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-220252(JP,A)
【文献】特開2009-301233(JP,A)
【文献】特開2002-133103(JP,A)
【文献】特開2009-217746(JP,A)
【文献】特開2019-101767(JP,A)
【文献】特開2004-110651(JP,A)
【文献】特開2016-201066(JP,A)
【文献】特開2018-163512(JP,A)
【文献】特開2016-99915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融を業としない事業者と取引関係のあるユーザであって、融資を希望するユーザを識別するユーザ識別子に紐づく前記事業者との取引情報を含む第一のユーザデータを前記事業者が管理するデータベースから取得する手段と、
前記第一のユーザデータを融資審査のための所定の形式に整形する手段と、
前記整形された第一のユーザデータを金融業務システムに送信する手段と、
前記第一のユーザデータに紐づくユーザ識別子と、前記第一のユーザデータに基づいて前記金融業務システムによって設定された融資条件と、を含む第二のユーザデータを取得する手段と、
前記取得した第二のユーザデータを前記ユーザが使用するユーザ端末に通知する手段と、
を備え、
前記第二のユーザデータは、前記第一のユーザデータに含まれている前記取引情報が、前記金融業務システムが備える与信モデルに適用可能なモデル投入データに変換され、前記モデル投入データが前記与信モデルに投入されて得られたモデル結果データの与信処理に基づいて作成される
情報処理装置。
【請求項2】
前記ユーザ端末に対して、前記第一のユーザデータに紐づくユーザ以外の第三者による前記第一のユーザデータの利用について許諾を促す手段をさらに備える
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザ端末に対して、前記第二のユーザデータに紐づくユーザ以外のユーザが使用する他のユーザ端末であって、前記第二のユーザデータを閲覧可能な他のユーザ端末の追加の指定を促す手段をさらに備える
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユーザ端末に対して、前記第二のユーザデータに含まれる前記融資条件の範囲内で融資申込データの入力を促す手段と、
前記入力された融資申込データを前記金融業務システムに送信する手段と、をさらに備える
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
金融を業としない事業者と取引関係のあるユーザであって、融資を希望するユーザを識別するユーザ識別子に紐づく前記事業者との取引情報を含む第一のユーザデータを前記事業者が管理するデータベースから取得するステップと、
前記第一のユーザデータを融資審査のための所定の形式に整形するステップと、
前記整形された第一のユーザデータを金融業務システムに送信するステップと、
前記第一のユーザデータに紐づくユーザ識別子と、前記第一のユーザデータに基づいて前記金融業務システムによって設定された融資条件と、を含む第二のユーザデータを取得するステップと、
前記取得した第二のユーザデータを前記ユーザが使用するユーザ端末に通知するステップと、
をコンピュータが実行する情報処理方法であって、
前記第二のユーザデータを取得するステップにおいて、前記第二のユーザデータは、前記第一のユーザデータに含まれている前記取引情報が、前記金融業務システムが備える与信モデルに適用可能なモデル投入データに変換され、前記モデル投入データが前記与信モデルに投入されて得られたモデル結果データの与信処理に基づいて作成される
情報処理方法。
【請求項6】
金融を業としない事業者と取引関係のあるユーザであって、融資を希望するユーザを識別するユーザ識別子に紐づく前記事業者との取引情報を含む第一のユーザデータを前記事業者が管理するデータベースから取得する手段、
前記第一のユーザデータを融資審査のための所定の形式に整形する手段、
前記整形された第一のユーザデータを金融業務システムに送信する手段、
前記第一のユーザデータに紐づくユーザ識別子と、前記第一のユーザデータに基づいて前記金融業務システムによって設定された融資条件と、を含む第二のユーザデータを取得する手段、
前記取得した第二のユーザデータを前記ユーザが使用するユーザ端末に通知する手段、
としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記第二のユーザデータを取得する手段において、前記第二のユーザデータは、前記第一のユーザデータに含まれている前記取引情報が、前記金融業務システムが備える与信モデルに適用可能なモデル投入データに変換され、前記モデル投入データが前記与信モデルに投入されて得られたモデル結果データの与信処理に基づいて作成される
プログラム。
【請求項7】
金融を業としない事業者と取引関係のあるユーザであって、融資を希望するユーザが使用するユーザ端末と、前記事業者又は金融機関が管理する事業者システムと、が通信可能に接続されてなる情報処理システムであって、
前記事業者システムは、
前記ユーザを識別するユーザ識別子に紐づく前記事業者との取引情報を含む第一のユーザデータを前記事業者が管理するデータベースから取得する手段と、
前記第一のユーザデータを融資審査のための所定の形式に整形する手段と、
前記第一のユーザデータに紐づくユーザ識別子と、前記第一のユーザデータに基づいて設定された融資条件と、を含む第二のユーザデータを取得する手段と、
前記取得した第二のユーザデータを前記ユーザが使用するユーザ端末に通知する手段と、を有する情報処理装置を備え、
前記第二のユーザデータは、前記第一のユーザデータに含まれている前記取引情報が、
前記金融機関が管理する金融業務システムが備える与信モデルに適用可能なモデル投入データに変換され、前記モデル投入データが前記与信モデルに投入されて得られたモデル結果データの与信処理に基づいて作成される
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
金融を業としない事業者と取引関係のあるユーザであって、融資を希望するユーザが使用するユーザ端末と、前記事業者が管理するサービス提供業務システムと、前記サービス提供業務システムと連携して、前記ユーザからの融資申込情報の審査を行う金融機関が管理する金融業務システムと、が通信可能に接続されてなる情報処理システムであって、
前記サービス提供業務システムは、
前記ユーザを識別するユーザ識別子に紐づく前記事業者との取引情報を含む第一のユーザデータを前記事業者が管理するデータベースから取得する手段と、
前記第一のユーザデータを融資審査のための所定の形式に整形する手段と、
前記整形された第一のユーザデータを前記金融業務システムに送信する手段と、
前記第一のユーザデータに紐づくユーザ識別子と、前記第一のユーザデータに基づいて前記金融業務システムによって設定された融資条件と、を含む第二のユーザデータを取得する手段と、
前記取得した第二のユーザデータを前記ユーザが使用するユーザ端末に通知する手段と、を有する情報処理装置を備え、
前記第二のユーザデータは、前記第一のユーザデータに含まれている前記取引情報が、前記金融業務システムが備える与信モデルに適用可能なモデル投入データに変換され、前記モデル投入データが前記与信モデルに投入されて得られたモデル結果データの与信処理に基づいて作成される
ことを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トランザクションレンディングに関する。
【背景技術】
【0002】
フィンテックの分野において、企業が保有する取引情報を基に、当該企業への融資条件を設定する融資形態としてトランザクションレンディングが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、クレジットカード会社のシステムが決済代行業者のシステムと連携し、トランザクションレンディング型の審査モデルをベースにした融資審査システムが提案されている。
【0004】
また、トランザクションレンディングの形態として、ECサイトに加盟している加盟店の取引情報を基にした加盟店向けの融資サービスや、会計情報、ECサイトでの取引情報、金融機関情報、評価サイトでの評価情報、POSでの売上情報、決済サービスでの決済情報といったオンラインで連携可能な情報を基にした融資希望者向けの融資サービスが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の他、エンドユーザとの取引情報を有するが、融資等のノウハウを有していない事業者に対して、当該事業者と提携している金融事業を営む事業者(以下「金融機関」という。)が自己の有する融資等のノウハウを提供し、事業者がエンドユーザに対して金融機関サービスを提供するシステムの提案が望まれている。
【0007】
この発明は、金融機関の業務に関するインフラやノウハウを有していない事業者が、当該事業者の顧客に対して金融機関の代理商として業務を行う情報処理装置、システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]
金融を業としない事業者と取引関係のあるユーザであって、融資を希望するユーザを識別するユーザ識別子に紐づく前記事業者との取引情報を含む第一のユーザデータを前記事業者が管理するデータベースから取得する手段と、
前記第一のユーザデータを融資審査のための所定の形式に整形する手段と、
前記整形された第一のユーザデータを金融業務システムに送信する手段と、
前記第一のユーザデータに紐づくユーザ識別子と、前記第一のユーザデータに基づいて前記金融業務システムによって設定された融資条件と、を含む第二のユーザデータを取得する手段と、
前記取得した第二のユーザデータを前記ユーザが使用するユーザ端末に通知する手段と、
を備え、
前記第二のユーザデータは、前記第一のユーザデータに含まれている前記取引情報が、前記金融業務システムが備える与信モデルに適用可能なモデル投入データに変換され、前記モデル投入データが前記与信モデルに投入されて得られたモデル結果データの与信処理に基づいて作成される
情報処理装置。
【0009】
[2]
金融を業としない事業者と取引関係のあるユーザであって、融資を希望するユーザを識別するユーザ識別子に紐づく前記事業者との取引情報を含む第一のユーザデータを前記事業者が管理するデータベースから取得するステップと、
前記第一のユーザデータを融資審査のための所定の形式に整形するステップと、
前記整形された第一のユーザデータを金融業務システムに送信するステップと、
前記第一のユーザデータに紐づくユーザ識別子と、前記第一のユーザデータに基づいて前記金融業務システムによって設定された融資条件と、を含む第二のユーザデータを取得するステップと、
前記取得した第二のユーザデータを前記ユーザが使用するユーザ端末に通知するステップと、
をコンピュータが実行する情報処理方法であって、
前記第二のユーザデータを取得するステップにおいて、前記第二のユーザデータは、前記第一のユーザデータに含まれている前記取引情報が、前記金融業務システムが備える与信モデルに適用可能なモデル投入データに変換され、前記モデル投入データが前記与信モデルに投入されて得られたモデル結果データの与信処理に基づいて作成される
情報処理方法。
【0010】
[3]
金融を業としない事業者と取引関係のあるユーザであって、融資を希望するユーザを識別するユーザ識別子に紐づく前記事業者との取引情報を含む第一のユーザデータを前記事業者が管理するデータベースから取得する手段、
前記第一のユーザデータを融資審査のための所定の形式に整形する手段、
前記整形された第一のユーザデータを金融業務システムに送信する手段、
前記第一のユーザデータに紐づくユーザ識別子と、前記第一のユーザデータに基づいて前記金融業務システムによって設定された融資条件と、を含む第二のユーザデータを取得する手段、
前記取得した第二のユーザデータを前記ユーザが使用するユーザ端末に通知する手段、
としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記第二のユーザデータを取得する手段において、前記第二のユーザデータは、前記第一のユーザデータに含まれている前記取引情報が、前記金融業務システムが備える与信モデルに適用可能なモデル投入データに変換され、前記モデル投入データが前記与信モデルに投入されて得られたモデル結果データの与信処理に基づいて作成される
プログラム。
【0011】
[4]
金融を業としない事業者と取引関係のあるユーザであって、融資を希望するユーザが使用するユーザ端末と、前記事業者又は金融機関が管理する事業者システムと、が通信可能に接続されてなる情報処理システムであって、
前記事業者システムは、
前記ユーザを識別するユーザ識別子に紐づく前記事業者との取引情報を含む第一のユーザデータを前記事業者が管理するデータベースから取得する手段と、
前記第一のユーザデータを融資審査のための所定の形式に整形する手段と、
前記第一のユーザデータに紐づくユーザ識別子と、前記第一のユーザデータに基づいて設定された融資条件と、を含む第二のユーザデータを取得する手段と、
前記取得した第二のユーザデータを前記ユーザが使用するユーザ端末に通知する手段と、を有する情報処理装置を備え、
前記第二のユーザデータは、前記第一のユーザデータに含まれている前記取引情報が、前記金融機関が管理する金融業務システムが備える与信モデルに適用可能なモデル投入データに変換され、前記モデル投入データが前記与信モデルに投入されて得られたモデル結果データの与信処理に基づいて作成される
ことを特徴とする情報処理システム。
【0012】
[5]
金融を業としない事業者と取引関係のあるユーザであって、融資を希望するユーザが使用するユーザ端末と、前記事業者が管理するサービス提供業務システムと、前記サービス提供業務システムと連携して、前記ユーザからの融資申込情報の審査を行う金融機関が管理する金融業務システムと、が通信可能に接続されてなる情報処理システムであって、
前記サービス提供業務システムは、
前記ユーザを識別するユーザ識別子に紐づく前記事業者との取引情報を含む第一のユーザデータを前記事業者が管理するデータベースから取得する手段と、
前記第一のユーザデータを融資審査のための所定の形式に整形する手段と、
前記整形された第一のユーザデータを前記金融業務システムに送信する手段と、
前記第一のユーザデータに紐づくユーザ識別子と、前記第一のユーザデータに基づいて前記金融業務システムによって設定された融資条件と、を含む第二のユーザデータを取得する手段と、
前記取得した第二のユーザデータを前記ユーザが使用するユーザ端末に通知する手段と、を有する情報処理装置を備え、
前記第二のユーザデータは、前記第一のユーザデータに含まれている前記取引情報が、前記金融業務システムが備える与信モデルに適用可能なモデル投入データに変換され、前記モデル投入データが前記与信モデルに投入されて得られたモデル結果データの与信処理に基づいて作成される
ことを特徴とする情報処理システム。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、金融機関の業務に関するインフラやノウハウを有していない事業者が、当該事業者の顧客に対して金融機関の代理商として業務を行う情報処理装置、システム、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の情報処理システムの構成の一例を表す図である。
【
図2】ユーザ端末に表示される融資申込入力画面の一例を表す図である。
【
図3】
図2に続き、ユーザ端末に表示される融資申込入力画面の一例を表す図である。
【
図4】
図3に続き、ユーザ端末に表示される融資申込入力画面の一例を表す図である。
【
図5】
図4に続き、融資申込完了画面の一例を表す図である。
【
図6】本発明による情報処理の一例を表すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。本実施形態の一態様である情報処理システムは、インターネット通信網、無線通信規格で定められている無線通信網を含む通信ネットワーク20に接続可能なコンピュータからなり、ユーザと事業者との取引情報に基づいて、前記ユーザからの融資申込について金融機関が与信判断を行い、前記ユーザに対して融資を実行するトランザクションレンディングによる融資システム1である。
図1に示す形態の融資システム1は、融資を希望するユーザが使用するユーザ端末2と、前記ユーザに対して種々のサービスを提供する事業者が管理するサービス提供業務システム3と、サービス提供業務システム3と連携して、前記ユーザからの融資申込情報の審査を行う金融機関が管理する金融業務システム4と、が通信ネットワーク20を介して接続された構成となっている。なお、
図1では、ユーザ端末2及びサービス提供業務システム3をそれぞれ一つ示した構成としているが、複数のユーザ端末2及びサービス提供業務システム3がそれぞれ金融業務システム4と接続された構成としてもよい。
【0016】
また、サービス提供業務システム3内の機能と金融業務システム4内の機能を、通信ネットワーク20を介することなく同一システムに配するものとして構成されたシステムとすることもできる。例えば、
図1に示す形態において、サービス提供業務システム3と金融業務システム4とを統合して事業者システム9を構成し、前記ユーザに対する融資に係るサービスの提供業務及び前記融資を申し込んだユーザに対する融資業務を、前記事業者又は前記金融機関が事業者システム9を使用して管理する態様としてもよい。
【0017】
[ユーザ端末の構成]
ユーザ端末2は、本実施形態に係るトランザクションレンディングによる融資サービスを利用して、新規に融資を申し込むユーザが使用する端末である。本実施形態において、「ユーザ」とは、種々のサービスを提供する事業者が有する取引顧客である。
【0018】
ユーザ端末2は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、等の端末である。ユーザ端末2はサービス提供業務システム3及び金融業務システム4それぞれへアクセスし、前記融資サービスを利用するためのウェブブラウザ等のアプリケーションプログラムを備えている。また、ユーザ端末2には、サービス提供業務システム3及び金融業務システム4それぞれとのユーザインターフェースを通じて前記融資サービスを利用するためのアプリケーションプログラムがインストールされている。
【0019】
図示していなが、ユーザ端末2は、CPU等により構成され各種データの処理、演算を行う演算処理部と、メインメモリ等の各種データを記憶する主記憶部と、液晶ディスプレイ等の情報出力部と、タッチパネル等の情報入力部と、各種情報の送受信を行う通信部と、を備えている。
【0020】
[サービス提供業務システムの構成]
サービス提供業務システム3は、一又は複数のコンピュータで構成されるシステムであって、例えばECサイトにおいて種々のサービスをユーザに提供する事業者であって、金融機関から金融業務のインフラやノウハウの提供を受け、取引顧客である前記ユーザに対して金融機関の代理商として業務を行う者又は金融機関が管理するシステムである。本実施形態のサービス提供業務システム3は、
図1に示すように、情報処理装置5と、情報処理装置5と通信可能に接続されているデータベース10(以下、本明細書において、データベースを「DB」という。)と、で構成されている。また、
図1に示す形態のサービス提供業務システム3を、前記ユーザに対して金融機関の代理商として業務を行う者が管理することとしている。
【0021】
情報処理装置5は、ユーザに対して本実施形態に係るトランザクションレンディングによる融資サービスを含む種々のサービスを提供する機能を備えているサーバである。本実施形態の情報処理装置5は、融資取引管理部6、ユーザデータ整形処理部7、データ送受信部8を備えている。なお、融資取引管理部6、ユーザデータ整形処理部7及びデータ送受信部8をそれぞれ、一又は複数のコンピュータで構成される融資取引管理システム、ユーザデータ整形処理システム及びデータ送受信システムとしてもよい。
【0022】
情報処理装置5は、融資取引管理部6による融資取引管理手段、ユーザデータ整形処理部7によるユーザデータ整形処理手段及びデータ送受信部8によるデータ送受信手段として機能し、金融業務システム4と連携して以下の処理を行う。
【0023】
(処理1)情報処理装置5は、ユーザ端末2からのアクセスに基づいて、本実施形態に係るトランザクションレンディングによる融資サービスについてのWebサイトをユーザ端末2に表示させる(不図示)。本実施形態では、融資取引管理部6が、ユーザ端末2との間のユーザインターフェースを通じてユーザ端末2に対して種々の操作を促し、ユーザ端末2から入力された種々の情報を受け付ける手段として情報処理装置5を機能させる。
【0024】
(処理2)情報処理装置5は、ユーザ端末2から前記融資サービスの申し込みを受け付ける際に、ユーザ端末2を使用するユーザについての情報を、当該融資サービスの提供目的のために事業者及び金融機関が利用することの許諾をユーザ端末2に促す。
【0025】
本実施形態では、融資取引管理部6が、本実施形態に係るトランザクションレンディングによる融資サービスについてのWebサイトにおいて、ユーザ端末2に対して所定の選択ボタン等で融資サービスの申し込みを促す手段として情報処理装置5を機能させる。この際、融資取引管理部6はユーザ端末2に対して、融資サービスを申し込むユーザについての第一のユーザデータ11を、当該融資サービスの提供目的のために事業者及び金融機関が利用することの許諾をユーザ端末2に促す手段として情報処理装置5を機能させる。
【0026】
第一のユーザデータ11は、前記事業者が保有する取引顧客のデータであって、融資を希望するユーザを識別する顧客番号といったユーザ識別子に紐づくPOSレジ上の売上高、会計システム上の仕分け情報、金融機関口座の入出金情報等の動態的な取引データ及び業種、業態といった属性データである。
【0027】
(処理3)情報処理装置5は、融資を希望するユーザを識別するユーザ識別子を含む第一のユーザデータ11を取得する。
【0028】
本実施形態では、ユーザ端末2によって前記融資サービスを申し込むユーザについての第一のユーザデータ11の事業者及び金融機関による利用が許諾され、前記融資サービスが申し込まれた場合、ユーザデータ整形処理部7が、DB10に蓄積されている前記事業者が保有する取引顧客のデータの中から、申込に係るユーザについての第一のユーザデータ11を取得する手段として情報処理装置5を機能させる。
【0029】
(処理4)情報処理装置5は、取得した第一のユーザデータ11を融資審査のための所定の形式に整形する。
【0030】
本実施形態では、ユーザデータ整形処理部7が、取得した第一のユーザデータ11に含まれている前記取引データと前記属性データの結合、文字コードの変換といった金融業務システム4が取得可能な形式に第一のユーザデータ11を整形する手段として情報処理装置5を機能させる。
【0031】
(処理5)情報処理装置5は、整形された第一のユーザデータ11を金融業務システム4に送信する。
【0032】
本実施形態では、データ送受信部8が、整形された第一のユーザデータ11を金融業務システム4へ連携する手段として情報処理装置5を機能させる。なお、データ送受信部8は、整形された第一のユーザデータ11が所定の形式に合致している条件で、整形された第一のユーザデータ11を金融業務システム4に送信することとしてもよい。例えば、前記属性データにおいて、ユーザの業態が公序良俗に抵触する場合、その他金融機関が指定する業種である場合、データ送受信部8は、整形された第一のユーザデータ11の金融業務システム4への連携を行わないとしてもよい。
【0033】
(処理6)情報処理装置5は、第一のユーザデータ11に紐づくユーザ識別子と、第一のユーザデータ11に基づいて金融業務システム4によって設定された融資条件と、を含む第二のユーザデータ12を取得する。
【0034】
本実施形態では、データ送受信部8が、後述する金融業務システム4のDB17に記憶されている第一のユーザデータ11に紐づくユーザ識別子と、融資条件と、を含む第二のユーザデータ12の連携を受ける手段として情報処理装置5を機能させる。第二のユーザデータ12の連携を受けた情報処理装置5では、第二のユーザデータ12はDB10に保存される。
【0035】
(処理7)情報処理装置5は、取得した第二のユーザデータ12をユーザ端末2に通知する。
【0036】
本実施形態では、融資取引管理部6が、取得した第二のユーザデータ12をユーザ端末2に通知する手段として情報処理装置5を機能させる。この他、融資取引管理部6は、取得した第二のユーザデータ12を印刷等のデータ出力手段として情報処理装置5を機能させてもよい。第二のユーザデータ12が通知されたユーザ端末2では、通知に基づいた融資条件が表示されるだけでなく、
図2~4に示すような融資契約の締結のための所定の融資契約フォームも表示される。なお、融資取引管理部6は、第二のユーザデータ12に紐づくユーザ、すなわち融資サービスを申し込んだユーザ以外の他のユーザが使用する他のユーザ端末であって、第二のユーザデータ12を閲覧可能な他のユーザ端末の追加の指定をユーザ端末2に促す手段として情報処理装置5を機能させることもできる。
【0037】
また、本実施形態では、取得した第二のユーザデータ12をユーザ端末2に通知する手段として情報処理装置5を機能させる際に、データ送受信部8が、後述する金融業務システム4のDB17に記憶されている第一のユーザデータ11に紐づくユーザ識別子と、融資条件と、を含む第二のユーザデータ12の連携を受け、情報処理装置5において、第二のユーザデータ12をDB10に保存することなく、取得した第二のユーザデータ12をユーザ端末2に通知する融資取引管理部6としてもよい。
【0038】
(処理8)情報処理装置5は、ユーザ端末2に対して、第二のユーザデータ12に含まれる融資条件の範囲内で融資申込データの入力を促す。
【0039】
本実施形態では、融資取引管理部6が、
図2~
図4に示すような融資契約フォームをユーザ端末2に表示させ、第二のユーザデータ12に含まれる融資条件(
図3参照)の範囲内で借入希望額、借入希望日、返済回数といった融資申込データの入力を促す手段として情報処理装置5を機能させる。
【0040】
(処理9)情報処理装置5は、入力された融資申込データを金融業務システム4に送信する。
【0041】
本実施形態では、融資取引管理部6が、入力された融資申込データを金融業務システム4へ連携し、
図5に示すような融資契約締結完了情報をユーザ端末2に通知し表示させる手段として情報処理装置5を機能させる。なお、入力された前記融資申込データが、設定された形式に合致している条件で、金融業務システム4へ連携されることとしてもよい。
【0042】
[金融業務システムの構成]
金融業務システム4は、一又は複数のコンピュータで構成されるシステムであって、例えばECサイトにおいて種々のサービスをユーザに提供する事業者であって、金融機関から金融業務のインフラやノウハウの提供を受け、取引顧客である前記ユーザに対して金融機関の代理商として業務を行う者又は金融機関が管理するシステムである。本実施形態の金融業務システム4は、
図1に示すように、ユーザデータ加工処理部13と、モデル投入データ加工処理部14と、与信処理部15と、勘定系処理部16と、これらと通信可能に接続されているDB17と、で構成されている。また、
図1に示す形態では、金融業務システム4を前記金融機関が管理することとしている。
【0043】
上述した(処理5)において、サービス提供業務システム3から第一のユーザデータ11の連携を受けた金融業務システム4では、第一のユーザデータ11はDB17に保存される。
【0044】
また、第一のユーザデータ11は、ユーザデータ加工処理部13へ連携される。ユーザデータ加工処理部13は、第一のユーザデータ11に含まれている前記取引データを、後述するモデル投入データ加工処理部14が備える与信モデルに適用可能な所定のモデル投入データ18へ変換し、これをDB17へ保存する。なお、前記取引データの態様が与信モデルに適用可能な態様であった場合、上記変換処理は行われない。
【0045】
モデル投入データ18は、モデル投入データ加工処理部14へ連携される。モデル投入データ加工処理部14は、モデル投入データ18をあらかじめ作成されている与信モデルへ投入し、モデル結果データ19へ変換する。与信モデルについては、例えば、ユーザの倒産確率を予測するモデル、ユーザへの貸出可能額を算出するモデル等、種々の与信モデルを採用することができる。与信モデルによって出力されたモデル結果データ19はDB17に保存される。
【0046】
モデル結果データ19は、与信処理部15へ連携される。与信処理部15は、モデル結果データ19に基づいて、貸出利率と貸出金額との組合せを含む、融資条件データを作成し、これをユーザ識別子に紐づけて第二のユーザデータ12としてDB17に保存する。
【0047】
DB17に保存されている第二のユーザデータ12は、サービス提供業務システム3へ連携される。サービス提供業務システム3では、上述した(処理6)が行われる。
【0048】
上述した(処理9)において、入力された前記融資申込データは金融業務システム4の与信処理部15へ連携される。
【0049】
与信処理部15は、ユーザへの融資を実行するため、勘定系処理部16に送金指図を行う。
【0050】
勘定系処理部16は、与信処理部15からの送金指図に基づき、前記ユーザが指定した金融機関の口座に融資金を送金する。
【0051】
このように、本実施形態は、取引顧客との取引情報を有するが、金融に関するシステムを有していない事業者が、当該事業者と提携している金融機関から金融業務のシステムの提供を受けて、取引顧客に対して金融機関の代理商として業務を行うシステムとなっている。そのため、金融機関にとっては、例えば、マスマーケティング等の手段によって金融機関自身による顧客基盤の構築に伴う負担を削減することができる。また、事業者にとっては、既存のサービスにおいて潜在的に保有する取引顧客の金融ニーズを満たすことができ、その結果顧客満足度等を向上させることができる。
【0052】
[融資審査処理フロー]
図6を参照して、本実施形態による融資審査処理フローの一例を説明する。
【0053】
(S101)
情報処理装置5の融資取引管理部6は、ユーザ端末2からのアクセスに基づいて、トランザクションレンディングによる融資サービスについてのWebサイトをユーザ端末2に表示させる。
融資取引管理部6は、前記トランザクションレンディングによる融資サービスについてのWebサイトにおいて、ユーザ端末2に対して所定の選択ボタン等で融資サービスの申し込みを促す。この際、融資取引管理部6はユーザ端末2に対して、融資サービスを申し込むユーザについての第一のユーザデータ11を、当該融資サービスの提供目的のために事業者及び金融機関が利用することの許諾をユーザ端末2に促す。
【0054】
(S102)
ユーザ端末2によって前記融資サービスを申し込むユーザについての第一のユーザデータ11の事業者及び金融機関による利用が許諾され、前記融資サービスが申し込まれた場合、ユーザデータ整形処理部7は、DB10に蓄積されている前記事業者が保有する取引顧客のデータの中から、申込に係るユーザについての第一のユーザデータ11を取得する。
ユーザデータ整形処理部7は、取得した第一のユーザデータ11に含まれている取引データと属性データの結合、文字コードの変換といった金融業務システム4が取得可能な形式に第一のユーザデータ11を整形する。
【0055】
(S103)
データ送受信部8は、整形された第一のユーザデータ11を金融業務システム4へ送信する。金融業務システム4では、第一のユーザデータ11はDB17に保存される。
【0056】
(S104)
第一のユーザデータ11は、ユーザデータ加工処理部13へ連携される。ユーザデータ加工処理部13は、第一のユーザデータ11に含まれている前記取引データを、モデル投入データ加工処理部14が備える与信モデルに適用可能な所定のモデル投入データ18へ変換し、これをDB17へ保存する。
【0057】
(S105)
モデル投入データ18は、モデル投入データ加工処理部14へ連携される。モデル投入データ加工処理部14は、モデル投入データ18をあらかじめ作成されている与信モデルへ投入し、モデル結果データ19へ変換する。与信モデルによって出力されたモデル結果データ19はDB17に保存される。
【0058】
(S106)
モデル結果データ19は、与信処理部15へ連携される。与信処理部15は、モデル結果データ19に基づいて、融資条件データを作成し、これをユーザ識別子に紐づけて第二のユーザデータ12としてDB17に保存する。
【0059】
(S107)
DB17に保存されている第二のユーザデータ12は、サービス提供業務システム3へ送信される。サービス提供業務システム3のデータ送受信部8は、受信した第二のユーザデータ12をDB10に保存する。
【0060】
(S108)
融資取引管理部6は、取得した第二のユーザデータ12をユーザ端末2に通知する。ユーザ端末2では、通知された第二のユーザデータ12に基づき融資条件が表示されるだけでなく、
図2~4に示すような融資契約の締結のための所定の融資契約フォームも表示される。
なお、図示していないが、融資取引管理部6は、取得した第二のユーザデータ12を印刷部といったデータ出力手段で印字することとしてもよい。
融資取引管理部6は、
図2~
図4に示すような融資契約フォームをユーザ端末2に通知し表示させ、第二のユーザデータ12に含まれる融資条件の範囲内で借入希望額、借入希望日、返済回数といった融資契約データの入力を促す。
【0061】
(S109)
融資取引管理部6は、入力された融資申込データを金融業務システム4へ送信し、
図5に示すような融資契約締結完了情報をユーザ端末2に通知し表示させる。
【0062】
(S110)
金融業務システム4では、受信した前記融資申込データは与信処理部15へ連携される。
与信処理部15は、ユーザへの融資を実行するため、勘定系処理部16に送金指図を行う。
勘定系処理部16は、与信処理部15からの送金指図に基づき、前記ユーザが指定した金融機関の口座に融資金を送金する。
【符号の説明】
【0063】
1 融資システム
2 ユーザ端末
3 サービス提供業務システム
4 金融業務システム
5 情報処理装置
6 融資取引管理部
7 ユーザデータ整形処理部
8 データ送受信部
9 事業者システム
10 データベース
11 第一のユーザデータ
12 第二のユーザデータ
13 ユーザデータ加工処理部
14 モデル投入データ加工処理部
15 与信処理部
16 勘定系処理部
17 データベース
18 モデル投入データ
19 モデル結果データ
20 通信ネットワーク