IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スタンレー電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両用灯具 図1
  • 特許-車両用灯具 図2
  • 特許-車両用灯具 図3
  • 特許-車両用灯具 図4
  • 特許-車両用灯具 図5
  • 特許-車両用灯具 図6
  • 特許-車両用灯具 図7
  • 特許-車両用灯具 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/151 20180101AFI20240426BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20240426BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20240426BHJP
   F21S 41/265 20180101ALI20240426BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20240426BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240426BHJP
【FI】
F21S41/151
F21S41/143
F21S45/47
F21S41/265
F21W102:13
F21Y115:10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020085081
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2021180113
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】上岡 一馬
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-077451(JP,A)
【文献】実公平05-025124(JP,Y2)
【文献】特開昭61-116701(JP,A)
【文献】特開2017-212340(JP,A)
【文献】特開2017-109686(JP,A)
【文献】特開2017-174736(JP,A)
【文献】国際公開第2016/051491(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
F21V 23/00 - 99/00
B60Q 1/00 - 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向の一端側から他端側に向かうに従って光度が低下するヘッドランプ用配光パターンを形成する車両用灯具であって、
光出力が互いに異なる複数の半導体発光素子が互いに間隔をあけて実装された実装面を含む基板と、
前記基板が取り付けられた放熱部材と、
前記複数の半導体発光素子が発光する光を制御してヘッドランプ用配光パターンを形成するレンズ体と、を備え、
前記複数の半導体発光素子は、前記実装面の中央又は中央寄りの位置から端に向かって順次、光出力が低くなるように前記実装面に実装されており、
前記レンズ体は、前記複数の半導体発光素子のうち前記実装面の中央又は中央寄りの位置に実装された半導体発光素子からの相対的に光出力が高い光が前記ヘッドランプ用配光パターンのうち前記一端側を照射するように、前記相対的に光出力が高い光を制御するレンズ部を含む車両用灯具。
【請求項2】
前記放熱部材は、放熱フィンを含む請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記放熱部材は、放熱フィンを含まない請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記レンズ体は、前記放熱部材に取り付けられている請求項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記レンズ体は、前記複数の半導体発光素子が発光する光を集光させる集光レンズである請求項1又は4に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に、光出力が相対的に高い半導体発光素子で発生する熱を効率よく放熱することができる(その結果、光出力が相対的に高い半導体発光素子の明るさが低下せず法規が求める配光性能を満たすことができる)車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、特許文献1に記載の車両用灯具の概略図である。
【0003】
図8に示すように、車両幅方向内側から外側に向かって配置された第1灯具ユニット100A、第2灯具ユニット100B及び第3灯具ユニット100Cを備えた車両用灯具が例えば特許文献1に記載されている。第1灯具ユニット100Aは、当該第1灯具ユニット100Aから照射される光Ray1により第1配光パターンP1(ホットゾーン)を形成するように構成されている。第2灯具ユニット100Bは、当該第2灯具ユニット100Bから照射される光Ray2により第1配光パターンP1より左右及び下方に拡散した第2配光パターンP2を形成するように構成されている。第3灯具ユニット100Cは、当該第3灯具ユニット100Cから照射される光にRay3より第2配光パターンP2より左右及び下方に拡散した第3配光パターンP3を形成するように構成されている。なお、実際には、第1~第3配光パターンP1~P3は互いに重畳されて一つのヘッドランプ用配光パターンを形成する。
【0004】
特許文献1においては、第1~第3灯具ユニット100A~100Cそれぞれの光源として半導体発光素子であるLED(以下LED~LEDと呼ぶ)が用いられている。そして、第1灯具ユニット100AのLED、第2灯具ユニット100BのLED及び第3灯具ユニット100CのLEDは、車幅方向内側から外側に向かってこの順に同一のヒートシンク110に取り付けられている。
【0005】
具体的には、第1灯具ユニット100AのLEDがヒートシンク110の車幅方向の内側端部に取り付けられ、第2灯具ユニット100BのLED及び第3灯具ユニット100CのLEDがヒートシンク110の車幅方向の中央寄りに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-94418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者が検討したところ、特許文献1に記載の車両用灯具においては、光出力が相対的に高い第1灯具ユニット100AのLEDで発生する熱を効率よく放熱することができず、当該第1灯具ユニット100AのLEDのジャンクション温度が上昇する結果、当該第1灯具ユニット100AのLEDの明るさが低下して法規が求める配光性能を満たすことができない場合があるという課題がある。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、光出力が相対的に高い半導体発光素子で発生する熱を効率よく放熱することができる(その結果、光出力が相対的に高い半導体発光素子の明るさが低下せず法規が求める配光性能を満たすことができる)車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる車両用灯具は、光出力が互いに異なる複数の半導体発光素子が互いに間隔をあけて実装された実装面を含む基板と、前記基板が取り付けられた放熱部材と、を備え、前記複数の半導体発光素子は、前記実装面の中央又は中央寄りの位置から端に向かって順次、光出力が低くなるように前記実装面に実装されている。
【0010】
このような構成により、光出力が相対的に高い半導体発光素子で発生する熱を効率よく放熱することができる(その結果、光出力が相対的に高い半導体発光素子の明るさが低下せず法規が求める配光性能を満たすことができる)車両用灯具を提供することができる。
【0011】
これは、半導体発光素子を基板の実装面の中央又は中央寄りの位置から端に向かって順次、光出力が低くなるように実装面に実装することで、半導体発光素子を基板の実装面の端から中央に向かって順次、光出力が低くなるように実装面に実装した場合と比べ、放熱経路を長くすることができることによるものである。
【0012】
上記車両用灯具において、前記放熱部材は、放熱フィンを含んでもよいし、放熱フィンを含まなくてもよい。
【0013】
また、上記車両用灯具において、前記複数の半導体発光素子が発光する光を制御してヘッドランプ用配光パターンを形成するレンズ体をさらに備えていてもよい。
【0014】
また、上記車両用灯具において、前記レンズ体は、前記放熱部材に取り付けられていてもよい。
【0015】
また、上記車両用灯具において、前記レンズ体は、前記複数の半導体発光素子が発光する光を集光させる集光レンズであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、光出力が相対的に高い半導体発光素子で発生する熱を効率よく放熱することができる(その結果、光出力が相対的に高い半導体発光素子の明るさが低下せず法規が求める配光性能を満たすことができる)車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】車両用灯具10の上面図である。
図2】車両用灯具10の分解斜視図である。
図3】半導体発光素子31(第1LED~第6LED)の光出力(相対出力)の一例である。
図4】(a)第1比較例、(b)第2比較例である。
図5】第3比較例である。
図6】車両用灯具10により車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に形成されるヘッドランプ用配光パターンP(ハイビーム用配光パターン)の一例である。
図7】車両用灯具10の変形例である。
図8】特許文献1に記載の車両用灯具の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態である車両用灯具について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0019】
図1は車両用灯具10の上面図、図2は車両用灯具10の分解斜視図である。
図1図2に示す車両用灯具10は、ヘッドランプとして機能する車両用灯具(車両用前照灯)で、自動車等の車両(図示せず)の前端部の左右両側にそれぞれ搭載される。左右両側に搭載される車両用灯具10は左右対称の構成であるため、以下、代表して、車両の前端部の左側(車両前方に向かって左側)に搭載される車両用灯具10について説明する。
【0020】
図1図2に示すように、車両用灯具10は、放熱部材20、半導体発光素子31が実装された基板30、レンズ体40、遮光部材50を備えている。図示しないが、車両用灯具10は、アウターレンズとハウジングとによって構成される灯室内に配置され、ハウジング等に取り付けられる。
【0021】
まず、放熱部材20について説明する。
【0022】
放熱部材20は、例えば、ヒートシンクである。以下、ヒートシンク20と呼ぶ。図1図2に示すように、ヒートシンク20は、ベース21及び放熱フィン22を含んでいる。放熱フィン22は、ベース21の後面に複数設けられている。なお、放熱フィン22は、省略される場合がある。ヒートシンク20の材料としては、熱伝導性が高いアルミや銅等の金属やそれらの合金や比重が小さいマグネシウム等の合金が用いられる。ヒートシンク20は、切削、押出、差込み、ロウ付け、ダイカスト等の製法で作製される。ベース21には、基板30が取り付けられている。
【0023】
次に、基板30について説明する。
【0024】
図1に示すように、基板30は、半導体発光素子31が実装された前面の反対側の裏面がベース21の前面に対向した状態でヒートシンク20のベース21に取り付けられている。ベース21(前面)と基板30(裏面)との間には、両者の密着性を高め、接触熱抵抗を低減するため、サーマルグリス、熱伝導シート、熱伝導接着材等のTIM(Thermal Interface Materials:熱伝導部材)が設けられる。
【0025】
基板30は、例えば、アルミ等の金属製基板である。半導体発光素子31は、例えば、白色光を発光するLEDである。半導体発光素子31は、発光面(例えば、1mm角の矩形の発光面)を備えている。以下、半導体発光素子31として6個の第1LED~第6LEDを用いる例について説明する。なお、第1LED~第6LEDを特に区別しない場合、LEDと記載する。
【0026】
第1LED~第6LEDは、発光面が前方を向きレンズ体40(入光面42)と対向した状態で基板30の前面30a(以下、実装面30aとも呼ぶ)に水平方向に互いに間隔をあけて実装されている。基板30の実装面30aは、例えば、平面である。基板30の実装面30aの外形は、例えば、水平方向に横長の矩形である。第1LED~第6LEDは、光出力が互いに異なる。具体的には、添え字の数が小さいLEDほど駆動電流が大きく光出力が高い(図3参照)。図3は、半導体発光素子31(第1LED~第6LED)の光出力(相対出力)の一例である。
【0027】
第1LED~第6LEDは、基板30の実装面30aの中央(又は中央寄りの位置)から端に向かって順次、光出力が低くなるように実装面30aに実装されている。
【0028】
例えば、図1に示すように、基板30の実装面30aの中央(図3中の矢印Cが示す位置参照)に対して車幅方向内側(図1中右側)には、実装面30aの中央から車幅方向内側端部(図1中右端)に向かって、光出力が相対的に高い第1LED、光出力が第1LEDより低い第4LED、光出力が第4LEDより低い第6LEDが実装されている。同様に、基板30の実装面30aの中央に対して車幅方向外側(図1中左側)には、実装面30aの中央から車幅方向外側端部(図1中左端)に向かって、光出力が相対的に高い第2LED、光出力が第2LEDより低い第3LED、光出力が第3LEDより低い第5LEDが実装されている。図1中の太矢印は、光出力が相対的に高い第1LEDで発生した熱の放熱経路を表している。
【0029】
次に、上記のように第1LED~第6LEDを基板30の実装面30aの中央から端に向かって順次、光出力が低くなるように実装面30aに実装することの効果について、比較例と対比しながら説明する。
【0030】
図4(a)は、第1比較例である。
【0031】
図4(a)に示すように、第1比較例は、4個の半導体発光素子31が実装された基板30Aが取り付けられたヒートシンク20Aを備えている。
【0032】
第1比較例においては、基板30Aの実装面30aの中央(図4(a)中の矢印Cが示す位置参照)に対して左側には、実装面30aの左端から中央に向かって、光出力が相対的に高いLED(相対出力100%)、光出力がLEDより低いLED(相対出力80%)が実装されている。なお、LED、LEDの光出力も、LEDと同様、80%である。図4(a)中の太矢印は、光出力が相対的に高いLEDで発生した熱の放熱経路を表している。第1比較例は、本実施形態の車両用灯具10中の、基板30が取り付けられたヒートシンク20を簡略化したものに相当する。
【0033】
図4(b)は、第2比較例である。
【0034】
図4(b)に示すように、第2比較例は、第1比較例と同様、4個の半導体発光素子31が実装された基板30Aが取り付けられたヒートシンク20Aを備えているが、半導体発光素子31の実装位置が異なる。
【0035】
すなわち、第2比較例においては、第1比較例と逆に、基板30Aの実装面30aの中央(図4(b)中の矢印Cが示す位置参照)に対して右側には、実装面30aの中央から右端に向かって、光出力が相対的に高いLED(相対出力100%)、光出力がLEDより低いLED(相対出力80%)が実装されている。図4(b)中の太矢印は、光出力が相対的に高いLEDで発生した熱の放熱経路を表している。第2比較例は、上記先行技術中の、LED~LEDが取り付けられたヒートシンク110を簡略化したものに相当する。
【0036】
本発明者は、光出力が相対的に高いLEDについて、第1比較例(図4(a)参照)の場合のジャンクション温度と第2比較例(図4(b)参照)の場合のジャンクション温度をシミュレーションで確認した。その結果、第2比較例の場合の方が、すなわち、LEDを基板30Aの実装面30aの中央から端に向かって順次、光出力が低くなるように実装面30aに実装する方が、第1比較例と比べ、光出力が相対的に高いLEDのジャンクション温度が3℃低くなることを確認した。
【0037】
これは、LEDを基板30Aの実装面30aの中央から端に向かって順次、光出力が低くなるように実装面30aに実装することで(第2比較例。図4(b)参照)、LEDを基板30Aの実装面30aの端から中央に向かって順次、光出力が低くなるように実装面30aに実装した場合(第1比較例。図4(a)参照)と比べ、放熱経路を長くすることができる(図4(a)、図4(b)中の太矢印参照)ことによるものである。
【0038】
図5は、第3比較例である。
【0039】
図5に示すように、第3比較例は、本実施形態(図1参照)と同様の構成であるが、半導体発光素子31の実装位置が異なる。
【0040】
すなわち、第3比較例においては、第1LED~第6LEDは、基板30の実装面30aの右端から左端に向かって順次、光出力が低くなるように実装面30aに実装されている。すなわち、第1LED~第6LEDは、基板30の実装面30aの右端から左端に向かってこの順に実装されている。図5中の太矢印は、光出力が相対的に高い第1LEDで発生した熱の放熱経路を表している。
【0041】
本発明者は、光出力が相対的に高い第1LEDについて、本実施形態(図1参照)の場合のジャンクション温度と第3比較例(図5参照)の場合のジャンクション温度をシミュレーションで確認した。その結果、本実施形態(図1参照)の場合の方が、すなわち、LEDを基板30の実装面30aの中央から端に向かって順次、光出力が低くなるように実装面30aに実装する方が、第3比較例と比べ、光出力が相対的に高い第1LEDのジャンクション温度が3.3℃低くなることを確認した。
【0042】
これは、第1LED~第6LEDを基板30の実装面30aの中央から端に向かって順次、光出力が低くなるように実装面30aに実装することで(図1参照)、LEDを基板30の実装面30aの端から中央に向かって順次、光出力が低くなるように実装面30aに実装した場合(第3比較例。図5参照)と比べ、放熱経路を長くすることができる(図1図5中の太矢印参照)ことによるものである。
【0043】
以上の比較例から、第1LED~第6LEDを基板30の実装面30aの中央(又は中央寄りの位置)から端に向かって順次、光出力が低くなるように実装面30aに実装することで、光出力が相対的に高い第1LEDで発生する熱を効率よく放熱することができる(その結果、光出力が相対的に高い第1LEDの明るさが低下せず法規が求める配光性能を満たすことができる)。
【0044】
次に、レンズ体40について説明する。
【0045】
レンズ体40は、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂製のレンズ体(集光レンズ)である。図1に示すように、レンズ体40は、出光面41及びその反対側の入光面42を含む。レンズ体40は、出光面41が前方を向きかつ入光面42が第1LED~第6LEDと対向した状態でヒートシンク20に取り付けられている。レンズ体40は、その左右方向の両側に設けられた脚部43、44によりヒートシンク20に取り付けられている。
【0046】
出光面41は、例えば、シリンドリカル面である。シリンドリカル面の円柱軸は、例えば、車幅方向(図1中左右方向)に延びている。なお、シリンドリカル面は、完全なシリンドリカル面でなくてもよく、シリンドリカル面として視認されるシリンドリカル状の面であってもよい。
【0047】
入光面42は、第1LED~第6LEDが対向する第1入光面Es~第6入光面Esを含む。
【0048】
レンズ体40のうち出光面41と第1入光面Esの間の部分が第1レンズ部LENS1を構成する。以下同様に、レンズ体40のうち出光面41と第2入光面Esの間の部分が第2レンズ部LENS2を構成する。レンズ体40のうち出光面41と第3入光面Esの間の部分が第3レンズ部LENS3を構成する。レンズ体40のうち出光面41と第4入光面Esの間の部分が第4レンズ部LENS4を構成する。レンズ体40のうち出光面41と第5入光面Esの間の部分が第5レンズ部LENS5を構成する。レンズ体40のうち出光面41と第6入光面Esの間の部分が第6レンズ部LENS6を構成する。
【0049】
図6は、車両用灯具10により車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に形成されるヘッドランプ用配光パターンP(ハイビーム用配光パターン)の一例である。
【0050】
第1入光面Esは、当該第1入光面Esから第1レンズ部LENSに入光し、出光面41から出光する第1LEDからの光Ray1が図6中の符号A1が示す領域を照射するようにその面形状が設計されている。以下同様に、第2入光面Esは、当該第2入光面Esから第2レンズ部LENSに入光し、出光面41から出光する第2LEDからの光Ray2が図6中の符号A2が示す領域を照射するようにその面形状が設計されている。第3入光面Esは、当該第3入光面Esから第3レンズ部LENSに入光し、出光面41から出光する第3LEDからの光Ray3が図6中の符号A3が示す領域を照射するようにその面形状が設計されている。第4入光面Esは、当該第4入光面Esから第4レンズ部LENSに入光し、出光面41から出光する第4LEDからの光Ray4が図6中の符号A4が示す領域を照射するようにその面形状が設計されている。第5入光面Esは、当該第5入光面Esから第5レンズ部LENSに入光し、出光面41から出光する第5LEDからの光Ray5が図6中の符号A5が示す領域を照射するようにその面形状が設計されている。第6入光面Esは、当該第6入光面Esから第6レンズ部LENSに入光し、出光面41から出光する第6LEDからの光Ray6が図6中の符号A6が示す領域を照射するようにその面形状が設計されている。
【0051】
図1に示すように、第1LED及び第1レンズ部LENSは、第1灯具ユニットUを構成する。以下同様に、第2LED及び第2レンズ部LENSは、第2灯具ユニットUを構成する。第3LED及び第3レンズ部LENSは、第3灯具ユニットUを構成する。第4LED及び第4レンズ部LENSは、第4灯具ユニットUを構成する。第5LED及び第5レンズ部LENSは、第5灯具ユニットUを構成する。第6LED及び第6レンズ部LENSは、第6灯具ユニットUを構成する。
【0052】
次に、遮光部材50について説明する。
【0053】
図1図2に示すように、遮光部材50は、基板30(第1LED~第6LED)とレンズ体40との間に配置されている。
【0054】
遮光部材50は、ベース51及び遮光片52を含んでいる。ベース51には、第1LED~第6LEDが発光する光を通過させるため、第1LED~第6LEDが対向する箇所に貫通穴Hが形成されている。ベース51には、各々のLEDが発光する光が当該LEDが対向するレンズ部以外のレンズ部に入射するのを抑制するため、遮光片52が設けられている。遮光片52は、ベース51の前面のうち互いに隣接する貫通穴Hの間の部分に設けられている。遮光片52は、ベース51の前面のうち互いに隣接する貫通穴Hの間の部分から、レンズ体40の入光面42(互いに隣接する入光面の境界)付近まで延びている。
【0055】
上記構成の車両用灯具10においては、例えば図3に示す光出力となるように第1LED~第6LEDを点灯すると、図6に示すヘッドランプ用配光パターンP(ハイビーム用配光パターン)が形成される。
【0056】
具体的には、第1LEDからの光Ray1は、第1レンズ部LENSにより制御されて図6中の符号A1が示す領域を照射する。以下同様に、第2LEDからの光Ray2は、第2レンズ部LENSにより制御されて図6中の符号A2が示す領域を照射する。第3LEDからの光Ray3は、第3レンズ部LENSにより制御されて図6中の符号A3が示す領域を照射する。第4LEDからの光Ray4は、第4レンズ部LENSにより制御されて図6中の符号A4が示す領域を照射する。第5LEDからの光Ray5は、第5レンズ部LENSにより制御されて図6中の符号A5が示す領域を照射する。第6LEDからの光Ray6は、第6レンズ部LENSにより制御されて図6中の符号A6が示す領域を照射する。
【0057】
以上のようにして、鉛直線V及び水平線Hの交点近傍の光度が高く左端に向かうに従って光度が低下するヘッドランプ用配光パターンP(ハイビーム用配光パターン)が形成される。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、光出力が相対的に高い第1LEDで発生する熱を効率よく放熱することができる(その結果、光出力が相対的に高い第1LEDの明るさが低下せず法規が求める配光性能を満たすことができる)。
【0059】
これは、第1LED~第6LEDを基板30の実装面30aの中央(又は中央寄りの位置)から端に向かって順次、光出力が低くなるように実装面30aに実装することで(図1参照)、LEDを基板30の実装面30aの端から中央に向かって順次、光出力が低くなるように実装面30aに実装した場合(第3比較例。図5参照)と比べ、放熱経路を長くすることができることによるものである。
【0060】
次に、変形例について説明する。
【0061】
図7(a)及び図7(b)は、車両用灯具10の変形例である。
【0062】
上記実施形態では、レンズ体として、出光面41としてシリンドリカル面を用い、入光面42として第1入光面Es~第6入光面Esを用いた例(図1参照)について説明したが、これに限らない。例えば、図7(a)に示すように、出光面41として第1出光面Os~第6出光面Osを用い、入光面42としてシリンドリカル面を用いてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、第1入光面Es~第6入光面Esの頂点位置が車両前後方向に関し異なっている例(図1参照)について説明したが、これに限らない。例えば、図7(b)に示すように、第1入光面Es~第6入光面Esの頂点位置は車両前後方向に関し同一位置であってもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、本発明の車両用灯具を、ハイビーム用配光パターンを形成する車両用灯具10に適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、本発明の車両用灯具を、ロービーム用配光パターンを形成する車両用灯具、その他の車両用灯具又は車両用信号灯具に適用してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、複数の半導体発光素子(例えば、第1LED~第6LED)を、基板30の前面(実装面30a)に水平方向に実装した例について説明したが、これに限らない。例えば、複数の半導体発光素子を、鉛直方向に実装してもよいし、水平方向に対して斜め方向に実装してもよいし、格子状に実装してもよいし、ランダムに実装してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、基板30の実装面30aが平面である例について説明したが、これに限らない。例えば、基板30の実装面30aは、曲面であってもよいし、段差面であってもよいし、その他の面であってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、基板30の実装面30aの外形が水平方向に横長の矩形である例について説明したが、これに限らない。例えば、基板30の実装面30aの外形は、鉛直方向に縦長の矩形であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、半導体発光素子31として6個の第1LED~第6LEDを用いた例について説明したが、これに限らない。すなわち、半導体発光素子31は、複数であれば何個用いてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、第1~第6灯具ユニットU1~U6としてダイレクトプロジェクション型(直射型とも呼ぶ)の灯具ユニットを用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、第1~第6灯具ユニットU1~U6のうち少なくとも一つ又は全部としてプロジェクタ型の灯具ユニット、リフレクタ型の灯具ユニット、導光レンズ(導光板や導光棒)を用いた灯具ユニットを用いてもよい。
【0070】
上記各変形例によっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0071】
上記実施形態で示した数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0072】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記実施形態の記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0073】
10…車両用灯具、20…放熱部材(ヒートシンク)、21…ベース、22…放熱フィン、30…基板、31…半導体発光素子(LED~LED)、40…レンズ体、41…出光面、42…入光面、50…遮光部材、51…ベース、52…遮光片、LENS1~LENS6…第1~第6レンズ部、Es1~Es6…第1~第6入光面、P…ヘッドランプ用配光パターン、U1~U6…第1~第6灯具ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8