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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/46 20060101AFI20240426BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A47L15/46 F
A47L15/42 E
A47L15/42 N
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020111070
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010454
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 敏男
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-061854(JP,A)
【文献】特開平03-272726(JP,A)
【文献】特開2007-313176(JP,A)
【文献】特開2007-209437(JP,A)
【文献】特開平08-196502(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0051953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/46
A47L 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽内に洗浄水を供給可能な洗浄装置と、
前記洗浄槽内の空気を機外に排出する送風手段と、
前記洗浄槽内の前記洗浄水の温度を検知する温度検知手段と、
前記洗浄装置及び前記送風手段を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記洗浄槽に収容された前記被洗浄物を前記洗浄水によって洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程後の前記被洗浄物を前記洗浄水によってすすぐすすぎ工程と、を実行するとともに、前記温度検知手段が検知した前記洗浄水の温度が所定の開始温度に到達すると、前記送風手段を所定の風量で運転させる結露抑制動作を実行する食器洗浄機であって、
室温を検知する室温検知手段をさらに備え、
前記制御部は、前記結露抑制動作を実行する前において、前記室温検知手段が検知した前記室温が低いほど、前記開始温度を低くし、
前記制御部は、前記結露抑制動作の実行中において、前記温度検知手段が検知した前記洗浄水の温度と前記開始温度との差分の増加に応じて前記風量を増加させるように再設定する処理を繰り返すことを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記制御部は、前記洗浄工程を開始する前に前記温度検知手段によって前記洗浄槽内の前記空気の温度を検知する開始前検知動作を実行し、前記開始前検知動作によって取得した前記空気の温度を前記室温と推定し、
前記開始前検知動作を実行するときの前記温度検知手段が前記室温検知手段である請求項1記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の食器洗浄機の一例が開示されている。この食器洗浄機は、洗浄槽、洗浄装置、送風手段、温度検知手段及び制御部を備えている。
【0003】
洗浄槽には、被洗浄物が収容される。洗浄装置は、ノズル及び洗浄ポンプからなり、洗浄槽内に洗浄水を供給可能である。送風手段は、洗浄槽内の空気を機外に排出する。温度検知手段は、洗浄槽内の洗浄水の温度を検知する。制御部は、洗浄装置及び送風手段を制御する。
【0004】
そして、制御部は、洗浄槽に収容された被洗浄物を洗浄水によって洗浄する洗浄工程と、洗浄工程後の被洗浄物を洗浄水によってすすぐすすぎ工程と、を実行するようになっている。この際、制御部は、温度検知手段が検知した洗浄水の温度が所定の開始温度に到達すると、送風手段を連続又は間欠運転させる。こうして、この食器洗浄機では、洗浄槽内の蒸気を強制的に機外に排出することにより、流し台の天板への結露を抑制しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-334125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えば、室温が異なる夏場と冬場とでは、食器洗浄機の周辺である流し台の天板等に結露する度合いが異なる。また、例えば、様々な外的要因によって室温が変化する開放的な設置環境と、空調によって室温が安定した閉鎖的な設置環境とでも、食器洗浄機の周辺に結露する度合いが異なる。
【0007】
このため、上記従来の食器洗浄機のように、洗浄水の温度が所定の開始温度に到達することのみにより送風手段を運転させるだけでは、季節や設置環境にかかわらず安定して食器洗浄機の周辺への結露を抑制することが難しい。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、季節や設置環境にかかわらず安定して食器洗浄機の周辺への結露を抑制できる食器洗浄機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の食器洗浄機は、被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽内に洗浄水を供給可能な洗浄装置と、
前記洗浄槽内の空気を機外に排出する送風手段と、
前記洗浄槽内の前記洗浄水の温度を検知する温度検知手段と、
前記洗浄装置及び前記送風手段を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記洗浄槽に収容された前記被洗浄物を前記洗浄水によって洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程後の前記被洗浄物を前記洗浄水によってすすぐすすぎ工程と、を実行するとともに、前記温度検知手段が検知した前記洗浄水の温度が所定の開始温度に到達すると、前記送風手段を所定の風量で運転させる結露抑制動作を実行する食器洗浄機であって、
室温を検知する室温検知手段をさらに備え、
前記制御部は、前記結露抑制動作を実行する前において、前記室温検知手段が検知した前記室温が低いほど、前記開始温度を低くし、
前記制御部は、前記結露抑制動作の実行中において、前記温度検知手段が検知した前記洗浄水の温度と前記開始温度との差分の増加に応じて前記風量を増加させるように再設定する処理を繰り返すことを特徴とする。
【0010】
本発明の食器洗浄機では、制御部は、結露抑制動作を実行する前において、室温検知手段が検知した室温が低いほど、所定の開始温度を低くする。このため、制御部は、例えば、室温が低い冬場の方が、室温が高い夏場よりも開始温度を低くする。また、制御部は、例えば、様々な外的要因によって室温が変化する開放的な設置環境でも、その時々の室温が低いほど、開始温度を低くする。その結果、制御部は、室温に応じた適切なタイミングで結露抑制動作を実行し、洗浄槽内の蒸気を強制的に機外に排出できる。
【0011】
したがって、本発明の食器洗浄機では、季節や設置環境にかかわらず安定して食器洗浄機の周辺への結露を抑制できる。
【0013】
また、この食器洗浄機では、洗浄槽内の洗浄水の温度が高くなって結露の原因となる蒸気が洗浄槽内で発生し易い環境になる程、送風手段による風量が増加する。その結果、この食器洗浄機では、制御部が結露抑制動作を実行している間、洗浄槽内の蒸気を確実性高く機外に排出できるので、食器洗浄機の周辺への結露を一層抑制できる。
【0014】
制御部は、洗浄工程を開始する前に温度検知手段によって洗浄槽内の空気の温度を検知する開始前検知動作を実行し、開始前検知動作によって取得した空気の温度を室温と推定することが望ましい。そして、開始前検知動作を実行するときの温度検知手段が室温検知手段であることが望ましい。
【0015】
この場合、既存の温度検知手段が室温検知手段を兼ねるため、新たに室温検知手段を設ける場合と比較して、製造コストの低廉化を実現できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の食器洗浄機によれば、季節や設置環境にかかわらず安定して食器洗浄機の周辺への結露を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施例1の食器洗浄機の模式断面図である。
図2図2は、実施例1の食器洗浄機のブロック図である。
図3図3は、洗浄運転プログラムのフローチャートである。
図4図4は、洗浄運転プログラムのフローチャートである。
図5図5は、洗浄運転プログラムのフローチャートである。
図6図6は、室温と所定の開始温度との関係を示すグラフである。
図7図7は、洗浄水の温度と所定の開始温度との差分と、所定の風量との関係を示す表である。
図8図8は、実施例2の食器洗浄機に係り、洗浄運転プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0019】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の食器洗浄機1は、本発明の食器洗浄機の具体的態様の一例である。食器洗浄機1は、システムキッチンの天板CT1の下方に設置された前面引き出し式のものである。
【0020】
<筐体、洗浄槽及び蓋体>
食器洗浄機1は、筐体9、洗浄槽7及び蓋体8を備えている。本実施例では、略箱状体である筐体9におけるシステムキッチンを利用するユーザと対向する側面側、すなわち図1の紙面左側を筐体9の前面側と規定し、図1の紙面右側を筐体9の奥側と規定する。
【0021】
筐体9の上は、天板CT1に覆われている。筐体9は、筐体開口9Hを有している。筐体開口9Hは、筐体9の前部の上端から下端までの広い範囲を開放しており、筐体9内と外部とを連通させている。
【0022】
洗浄槽7は、筐体9内に収容されている。図1に示す洗浄槽7の位置を収容位置とする。略箱状体である洗浄槽7の側面と、筐体9の内壁面との間には、図示しないスライドレール機構が配置されている。図示は省略するが、洗浄槽7は、そのスライドレール機構によって、筐体9に対してスライド可能となっている。
【0023】
洗浄槽7は、開口7Hを有している。開口7Hは、洗浄槽7の上部を開放している。洗浄槽7の前部の上端には、取っ手7Gが設けられている。
【0024】
ユーザが取っ手7Gを把持し、手動操作で洗浄槽7を収容位置から筐体9の前方にスライドさせることにより、図示は省略するが、洗浄槽7が筐体9から前方に引き出された状態となる。また、引き出された状態の洗浄槽7をユーザが手動操作で筐体9の奥方にスライドさせることにより、洗浄槽7が収容位置に復帰する。
【0025】
蓋体8は、筐体9内の上部に配置されており、洗浄槽7の開口7Hを閉塞及び開放可能である。蓋体8は、図示しない連動機構によって、洗浄槽7のスライドに連動して、図1に示す位置と、図示は省略するが図1に示す位置から上昇して洗浄槽7のスライドを許容する位置との間で上下動するようになっている。
【0026】
洗浄槽7は、収容位置にある状態で、筐体開口9Hを閉塞するとともに、開口7Hが蓋体8によって閉塞される。
【0027】
図示は省略するが、洗浄槽7は、筐体9から引き出された状態で、筐体9内に残る蓋体8によって、筐体9の外部に露出する開口7Hが開放される。これにより、ユーザは、開口7Hを介して、食器TW1を洗浄槽7に収容したり、食器TW1を洗浄槽7から取り出したりすることができる。
【0028】
食器TW1は、例えば、茶碗、皿、グラス等の飲食用器や、箸、スプーン、フォーク等の飲食用具等である。食器TW1は、本発明の「被洗浄物」の一例である。
【0029】
筐体9内には、給水管P1、給水電磁弁69及び排水管P2が設けられている。給水管P1は、食器洗浄機1の外部に設けられた図示しない給水源から洗浄槽7に水を供給する。給水電磁弁69は、給水管P1を開閉して洗浄槽7への水の供給と停止とを切り替える。排水管P2は、洗浄槽7内の洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水する。
【0030】
洗浄槽7内の底部には、洗浄水を貯める貯水部71が設けられている。また、洗浄槽7内には、食器かご70が配置されている。食器かご70には、食器TW1が載置される。
【0031】
洗浄槽7には、排気通路79が設けられている。排気通路79は、洗浄槽7の前面おける取っ手7Gの下方に開口する排気口79Aによって、洗浄槽7の外部と連通している。排気通路79における排気口79Aとは反対側の連通口79Bは、洗浄槽7内における食器かご70を囲む内壁面に開口している。排気通路79は、排気口79Aと連通口79Bとの間で、略S字形状に折れ曲がっている。洗浄槽7内の空気は、排気通路79を通過して機外に、すなわち筐体9の前方に排出される。
【0032】
本実施例では、排気通路79には、送風圧力の有無によって開閉する揺動式シャッタ等が設けられていない。このため、排気通路79は、連通口79Bから排気口79Aまでが常に連通している。
【0033】
<ノズル及びポンプ>
食器洗浄機1は、ノズル61及びポンプ62をさらに備えている。ノズル61及びポンプ62は、本発明の「洗浄装置」の一例である。ノズル61は、洗浄槽7内に配置されている。ポンプ62は、洗浄槽7の貯水部71の下部に組み付けられている。ノズル61及びポンプ62は、洗浄槽7が出し入れされる際に洗浄槽7と共に移動する。
【0034】
ノズル61は、複数の吐出孔から洗浄槽7内に洗浄水を噴射可能である。ノズル61の噴射方向は、洗浄槽7内で重ねられた複数の食器TW1を確実に洗浄したり、洗浄槽7の内壁面や食器かご70を洗浄したりするために、様々な方向に変化するようになっている。
【0035】
ポンプ62は、正転作動時、洗浄槽7の貯水部71に貯められた洗浄水をノズル61に供給して洗浄槽7内に噴射させる。その噴射された洗浄水は貯水部71に貯められるので、ポンプ62によって繰り返しノズル61に供給される。また、ポンプ62は、逆転作動時、洗浄槽7内の洗浄水を残菜フィルタ67及び排水管P2を介して食器洗浄機1の外部に排水する。
【0036】
<ヒータ、送風ファン、温度センサ及び水位センサ>
食器洗浄機1は、ヒータ63、送風ファン68、温度センサ31及び水位センサ34をさらに備えている。送風ファン68は、本発明の「送風手段」の一例である。温度センサ31は、本発明の「温度検知手段」の一例である。
【0037】
なお、図1及び図2に二点鎖線で示す室温センサ32は、実施例1の食器洗浄機1ではなく、実施例2の食器洗浄機が備えるものであるので、本実施例では説明しない。
【0038】
図1に示すように、ヒータ63、送風ファン68、温度センサ31及び水位センサ34も洗浄槽7に組み付けられており、洗浄槽7が出し入れされる際に洗浄槽7と共に移動する。
【0039】
ヒータ63は、貯水部71の底部に配置されている。ヒータ63は、洗浄槽7の貯水部71に貯められた洗浄水、又は洗浄槽7内の空気を加熱する。
【0040】
例えば、貯水部71に洗浄水が貯められた状態で、ヒータ63が通電制御されて継続的に発熱したり、発熱が停止したりすることにより、洗浄水が所定の温度範囲に加熱されて、ノズル61及びポンプ62によって洗浄槽7内に噴射される。
【0041】
また、貯水部71に洗浄水が貯められていない状態で、ヒータ63が通電制御されて継続的に発熱したり、発熱が停止したりすることにより、洗浄槽7内の空気が所定の温度範囲に加熱される。
【0042】
送風ファン68は、回転作動することにより、食器洗浄機1の外部から洗浄槽7内に空気を供給し、その空気を洗浄槽7内から排気通路79を経由して機外に排出する。
【0043】
例えば、洗浄槽7の貯水部71に貯められた洗浄水がノズル61及びポンプ62によって洗浄槽7内に噴射されているときに、送風ファン68が回転作動することにより、洗浄槽7内の湿気や蒸気を含む空気が排気通路79の排気口79Aから機外に排出される。この際、ヒータ63によって加熱された洗浄水の温度が高くなる程、機外に排出される空気に含まれる蒸気が多くなり易い。
【0044】
また、洗浄槽7内で洗浄及びすすぎが終わった食器TW1を乾燥させるときに、送風ファン68が回転作動し、かつヒータ63が通電制御されることにより、洗浄槽7内に供給された空気が所定の温度範囲に加熱されて食器TW1を乾燥させながら洗浄槽7内を流通する。その後、洗浄槽7内を流通して湿気や蒸気を含んだ空気は、排気通路79の排気口79Aから機外に排出される。
【0045】
温度センサ31は、貯水部71の底部におけるヒータ63に対して下方の位置に設けられている。温度センサ31は、洗浄槽7内の温度を検知する。より詳しくは、温度センサ31は、洗浄槽7の貯水部71に貯められた洗浄水、又は洗浄槽7内の空気の温度をヒータ63の近傍において検知する。
【0046】
また、食器洗浄機1は、洗浄槽7の貯水部71から洗浄水を排水して運転を終了した後、次の運転を開始するまでに数時間以上の間隔が空くことが多い。このため、運転開始前の食器洗浄機1では、洗浄槽7及びヒータ63の温度が室温と同程度である可能性が高い。また、運転開始前の食器洗浄機1では、洗浄槽7が収容位置から引き出されて食器TW1を洗浄槽7内に収容する作業が実施されている間に、洗浄槽7内の空気が換気され易い。そこで、本実施例では、後で詳しく説明するように、洗浄工程を開始する前に温度センサ31が検知した洗浄槽7内の空気の温度を室温と推定するようになっている。
【0047】
水位センサ34は、洗浄槽7の貯水部71の隣に配置された水位検知槽34A内に設けられたフロート式センサである。水位検知槽34Aは、連通管P3を介して洗浄槽7の貯水部71と接続されている。水位センサ34は、洗浄槽7内の洗浄水の水位を検知する。
【0048】
<制御部、操作部及び表示部>
図1及び図2に示すように、食器洗浄機1は、制御部C1、操作部40及び表示部47をさらに備えている。
【0049】
図1に示すように、制御部C1は、洗浄槽7の前部における取っ手7Gよりも下方に配置されている。操作部40及び表示部47は、洗浄槽7の前部の上端に配置されている。
【0050】
制御部C1は、図示しないCPU、メモリ、インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットである。図2に示すように、制御部C1は、記憶部C12を含んでいる。記憶部C12は、制御部C1を構成するメモリであり、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成されている。
【0051】
記憶部C12は、食器洗浄機1を動作させるために制御部C1が実行する各種プログラム、例えば図3図5に示す洗浄運転プログラム等を記憶している。また、記憶部C12は、食器洗浄機1の設定情報等の各種情報や、各種プログラムを実行するための初期設定情報等を随時記憶するようになっている。
【0052】
図2に示すように、制御部C1は、温度センサ31及び水位センサ34から検知信号を受信する。また、制御部C1は、図示しないセンサ類、例えば、洗浄槽7が収容位置にあるか否かを検知する位置センサや、洗浄槽7が収容位置にロックされているか否かを検知するロックセンサから検知信号を受信する。
【0053】
そして、制御部C1は、駆動回路60を介して制御信号を出力することにより、ノズル61、ポンプ62、給水電磁弁69、ヒータ63及び送風ファン68の作動を制御して、洗浄運転を実行する。本実施例では、洗浄運転は、洗浄工程、加熱無しすすぎ工程、加熱すすぎ工程及び乾燥工程を含んでいる。加熱無しすすぎ工程及び加熱すすぎ工程は、本発明の「すすぎ工程」の一例である。
【0054】
制御部C1は洗浄工程において、ヒータ63を作動させて所定の温度範囲に加熱した洗浄水によって、洗浄槽7に収容された食器TW1を洗浄する。
【0055】
制御部C1は加熱無しすすぎ工程において、ヒータ63を停止した状態で、洗浄工程後の食器TW1を洗浄水によってすすぐ。
【0056】
制御部C1は加熱すすぎ工程において、ヒータ63を作動させて所定の温度範囲に加熱した洗浄水によって、加熱無しすすぎ工程後の食器TW1をすすぐ。
【0057】
制御部C1は乾燥工程において、送風ファン68及びヒータ63を作動させて所定の温度範囲に加熱した温風によって、すすぎ工程後の食器TW1を乾燥させる。
【0058】
制御部C1は、送風ファン68について、連続回転において駆動電圧等を変化させて回転数を変更させたり、間欠回転において回転と停止との時間配分を変更したりすることにより、風量を変更可能である。
【0059】
本実施例では、乾燥工程における送風ファン68の風量を100%とする。制御部C1は、後で詳しく説明するように、洗浄工程及びすすぎ工程において送風ファン68を回転作動させる必要がある場合、状況に応じて100%よりも低い所定の風量W1を設定するようになっている。
【0060】
操作部40は、電源ボタンや、ユーザが入力操作を行うための図示しない複数のボタン等を有している。図1に示すように、操作部40は、洗浄槽7が収容位置にある状態で天板CT1に覆われるため、ユーザが操作できないようになっている。その一方、図示は省略するが、操作部40は、洗浄槽7が引き出された状態で露出するので、ユーザが操作可能となる。制御部C1は、ユーザが操作部40に対して行う各種の操作入力の情報を取得する。
【0061】
表示部47は、ランプや、ユーザに各種の情報を伝達するために数字や文字等を表示可能な表示素子等を有している。表示部47も、洗浄槽7が引き出された状態で露出するので、ユーザが視認可能となる。制御部C1は、洗浄運転の設定等に関する情報、洗浄運転の進行状況等の各種情報を表示部47に伝達して表示させる。
【0062】
<洗浄運転において行う複数の工程及び結露抑制動作>
ユーザは、食器洗浄機1に洗浄運転を実行させる場合、初めに洗浄槽7を筐体9から引き出して、食器かご70に洗浄対象の食器TW1を載置する作業を行うとともに、操作部40の電源ボタンを押して食器洗浄機1の電源を投入する。
【0063】
この状態では、洗浄槽7の貯水部71に洗浄水が貯められておらず、洗浄槽7の引き出しや食器TW1の載置によって洗浄槽7内の空気が換気される。このため、温度センサ31は、引き出された洗浄槽7内の換気された空気の温度を検知可能である。
【0064】
食器洗浄機1の電源が投入されると、制御部C1は、図3図5に示す洗浄運転プログラムのステップS101~S144を実行する。
【0065】
具体的には、制御部C1は、図3に示すステップS101において、食器洗浄機1の電源が投入されたときから、温度センサ31の検知結果を取得する。
【0066】
次に、制御部C1はステップS102に移行し、操作部40が運転開始操作を受けて洗浄槽7が収容位置に戻されたか否かを判断する。
【0067】
ユーザが食器かご70に洗浄対象の食器TW1を載置する作業と、操作部40に対する各種の設定入力とを完了した後、洗浄運転を開始するために洗浄槽7を収容位置に戻すと、ステップS102において「Yes」となり、ステップS103に移行する。
【0068】
その一方、ユーザが食器かご70に洗浄対象の食器TW1を載置する作業と、操作部40に対する各種の設定入力とを継続中であり、洗浄槽7が収容位置に戻されていなければ、ステップS102において「No」となり、ステップS101、S102を繰り返す。
【0069】
つまり、制御部C1は、ステップS101、S102において洗浄工程を開始する前に温度センサ31の検知結果を継続的に取得する。ステップS101、S102は、本発明の「開始前検知動作」の一例である。ステップS101、S102を実行するときの温度センサ31は、本発明の「室温検知手段」の一例である。
【0070】
ステップS102からステップS103に移行すると、制御部C1は、取得した温度センサ31の検知結果に思づいて、前回運転後の洗浄槽7及びヒータ63の温度低下が不十分か否かを判断する。具体例としては、取得した温度センサ31の検知結果から算出した温度低下率が所定の閾値より高いか否かによって、前回運転後の洗浄槽7及びヒータ63の温度低下が不十分か否かを判断する。
【0071】
ステップS103において「No」の場合、制御部C1は前回運転後の洗浄槽7及びヒータ63の温度が十分に低下していると判断し、ステップS104に移行する。その一方、ステップS103において「Yes」の場合、制御部C1は前回運転後の洗浄槽7及びヒータ63の温度低下が不十分であると判断し、ステップS105に移行する。
【0072】
ステップS103からステップS104に移行すると、制御部C1は、ステップS101、S102において取得した温度センサ31の検知結果を室温と推定する。
【0073】
図6に示すように、記憶部C12には、室温と所定の開始温度T1との関係についての情報が記憶されている。制御部C1は、記憶部C12に記憶された情報を参照して、温度センサ31が検知した室温に応じて所定の開始温度T1を設定する。
【0074】
例えば、温度センサ31が検知した室温が15℃であれば、所定の開始温度T1を38℃に設定し、室温が35℃であれば開始温度T1を45℃に設定する。つまり、図6に示すグラフの右肩上がりの折れ線から明らかなように、制御部C1は、温度センサ31が検知した室温が低いほど開始温度T1を低くする。
【0075】
そして、制御部C1は、設定した所定の開始温度T1を今回運転時の値として記憶部C12に記憶させる。その後、制御部C1は、図4に示すステップS111に移行する。
【0076】
その一方、ステップS103からステップS105に移行すると、制御部C1は、ステップS101、S102において取得した温度センサ31の検知結果を室温と推定できないと判断し、結露抑制動作を開始するための所定の開始温度T1を記憶部C12に記憶された前回運転時の値に設定し、今回運転時の値として記憶部C12に記憶させる。その後、制御部C1は、図4に示すステップS111に移行する。
【0077】
図3に示すステップS104又はステップS105から図4に示すステップS111に移行すると、制御部C1は、給水電磁弁69を制御して洗浄槽7に清浄な洗浄水を給水する。
【0078】
次に、制御部C1はステップS112に移行し、洗浄工程を開始する。具体的には、制御部C1は、洗浄槽7の貯水部71に貯められた洗浄水をヒータ63によって加熱しながらポンプ62を作動させ、ノズル61から洗浄槽7内に加熱された洗浄水を噴射する。この際、予め洗浄槽7の所定位置に投入された洗剤が洗浄槽7に供給される洗浄水に溶解する。これにより、洗浄水に含まれる洗剤によって洗浄槽7に収容された食器TW1の汚れの分解が促進され、汚れ成分が食器TW1から洗浄水に移行する。
【0079】
洗浄工程は、ヒータ63によって加熱された洗浄水が上限温度に到達後、所定時間経過してステップS117において「Yes」となるまで継続される。この際、温度センサ31は、洗浄槽7内の洗浄水の温度を検知する。
【0080】
ステップS112によって洗浄工程が開始された後、制御部C1はステップS113に移行し、温度センサ31が検知した洗浄水の温度が所定の開始温度T1以上か否かを判断する。
【0081】
水道管等である給水源から温度が低い状態で給水された洗浄水はヒータ63の加熱によって温度上昇するが、所定の開始温度T1に到達するまではステップS113において「No」となり、ステップS113を繰り返す。そして、ヒータ63のさらなる加熱によって洗浄水の温度が所定の開始温度T1に到達するとステップS113において「Yes」となり、ステップS114に移行する。
【0082】
ステップS114に移行すると、制御部C1は、送風ファン68による結露抑制動作を実行するため、所定の風量W1を設定する。
【0083】
図7に示すように、記憶部C12には、洗浄水の温度と所定の開始温度T1との差分と、所定の風量W1との関係についての情報が記憶されている。制御部C1は、記憶部C12に記憶された情報を参照して、洗浄水の温度と所定の開始温度T1との差分に応じて、所定の風量W1を設定する。
【0084】
具体的には、乾燥工程における送風ファン68の風量を100%とし、洗浄水の温度と所定の開始温度T1との差分が0℃以上6℃未満であれば、所定の風量W1を30%に設定し、差分が6℃以上11℃未満であれば風量W1を50%に設定し、差分が11℃以上であれば風量W1を70%に設定する。つまり、制御部C1は、温度センサ31が検知した洗浄水の温度が高いほど、結露抑制動作における風量W1を増加させる。
【0085】
次に、制御部C1は図4に示すステップS115に移行し、結露抑制動作として送風ファン68を所定の風量W1で運転させる。これにより、送風ファン68は、食器洗浄機1の外部から洗浄槽7内に空気を供給し、洗浄槽7内の湿気や蒸気を含む空気を排気通路79の排気口79Aから機外に排出する。
【0086】
次に、制御部C1はステップS116に移行し、洗浄水の温度と所定の開始温度T1との差分の増加に応じて、所定の風量W1を再設定する。
【0087】
次に、制御部C1はステップS117に移行し、ヒータ63によって加熱された洗浄水が上限温度に到達後、所定時間経過したか否かを判断する。本実施例では、一例として、洗浄工程における洗浄水の上限温度は60℃であり、上限温度に到達後の所定時間は10分である。
【0088】
ステップS117において「No」の場合、ステップS115~S117を繰り返す。この際、制御部C1は、ステップS116において所定の風量W1が再設定すると、次のステップS115において、送風ファン68を再設定された所定の風量W1で運転させる。
【0089】
その一方、ステップS117において「Yes」の場合、洗浄工程を完了し、ステップS121に移行する。
【0090】
例えば、温度センサ31が検知した室温が15℃であり、ステップS104において所定の開始温度T1が38℃に設定された場合、ステップS114において、洗浄水の温度(38℃)と所定の開始温度T1(38℃)との差分は0℃になるので、所定の風量W1が30%に設定される。その後、ステップS115~S117が繰り返され、洗浄水の温度と所定の開始温度T1との差分が44℃-38℃=6℃になると、所定の風量W1が50%に再設定され、差分が49℃-38℃=11℃になると、所定の風量W1が70%に再設定される。洗浄水が上限温度60℃に到達しても、所定の風量W1が70%に維持される。
【0091】
ステップS117からステップS121に移行すると、制御部C1は、ポンプ62の逆転により洗剤及び汚れ成分を含んだ洗浄水を排水管P2を介して食器洗浄機1の外部に排水する動作と、給水電磁弁69を制御して洗浄槽7に清浄な洗浄水を給水する動作と、加熱無しすすぎ工程とを複数回実行する。
【0092】
加熱無しすすぎ工程では、ヒータ63による加熱無しで洗浄水をノズル61から洗浄槽7内に噴射して、洗剤及び汚れ成分を含んだ洗浄水を食器TW1から除去する。この際、温度センサ31は、洗浄槽7内の洗浄水又は空気の温度を検知する。
【0093】
制御部C1は、排水~給水~加熱無しすすぎ工程の実行中において、ステップS122に移行して、温度センサ31が検知した温度が所定の開始温度T1未満か否かを判断する。
【0094】
水道管等である給水源から温度が低い状態で給水された洗浄水により加熱無しすすぎ工程を実行することで洗浄槽7内の温度が低下するが、所定の開始温度T1を下回るまではステップS122において「No」となり、ステップS122を繰り返す。そして、洗浄槽7内の温度が所定の開始温度T1を下回るとステップS122において「Yes」となり、ステップS123に移行する。
【0095】
ステップS123に移行すると、制御部C1は、送風ファン68を停止させて結露抑制動作を終了する。こうして、制御部C1は、洗浄工程において、洗浄槽7内の温度が所定の開始温度T1に到達すると結露抑制動作を実行し、加熱無しすすぎ工程の途中において、洗浄槽7内の温度が所定の開始温度T1を下回るまで結露抑制動作を継続して洗浄槽7内の蒸気を強制的に機外に排出することにより、食器洗浄機1の周辺である天板CT1等への結露を抑制する。
【0096】
次に、制御部C1はステップS124に移行し、加熱無しすすぎ工程の複数回の実行を完了したか否かを判断する。ステップS124において「No」の場合、ステップS124を繰り返す。その一方、ステップS124において「Yes」の場合、図5に示すステップS125に移行する。
【0097】
ステップS125に移行すると、制御部C1は、ポンプ62の逆転によりすすぎに使用した洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水する。
【0098】
次に、制御部C1はステップS126に移行し、給水電磁弁69を制御して洗浄槽7に清浄な洗浄水を給水する。
【0099】
次に、制御部C1はステップS131に移行し、加熱すすぎ工程を開始する。加熱すすぎ工程では、ヒータ63によって加熱された洗浄水をノズル61から洗浄槽7内に噴射して、洗剤及び汚れ成分を含んだ洗浄水を食器TW1から除去する。
【0100】
加熱すすぎ工程は、ヒータ63によって加熱された洗浄水が上限温度に到達後、所定時間経過してステップS136において「Yes」となるまで継続される。この際、温度センサ31は、洗浄槽7内の洗浄水の温度を検知する。
【0101】
ステップS131によって加熱すすぎ工程が開始された後、制御部C1はステップS132に移行し、温度センサ31が検知した洗浄水の温度が所定の開始温度T1以上か否かを判断する。
【0102】
水道管等である給水源から温度が低い状態で給水された洗浄水はヒータ63の加熱によって温度上昇するが、所定の開始温度T1に到達するまではステップS132において「No」となり、ステップS132を繰り返す。そして、ヒータ63のさらなる加熱によって洗浄水の温度が所定の開始温度T1に到達するとステップS132において「Yes」となり、ステップS133に移行する。
【0103】
ステップS133に移行すると、制御部C1は、送風ファン68による結露抑制動作を実行するため、所定の風量W1を設定する。
【0104】
制御部C1は、図7に示す記憶部C12に記憶された情報を参照して、洗浄水の温度と所定の開始温度T1との差分に応じて、所定の風量W1を設定する。この設定は、ステップS114と同様であるので説明は省略する。
【0105】
次に、制御部C1は図5に示すステップS134に移行し、結露抑制動作として送風ファン68を所定の風量W1で運転させる。これにより、送風ファン68は、食器洗浄機1の外部から洗浄槽7内に空気を供給し、洗浄槽7内の湿気や蒸気を含む空気を排気通路79の排気口79Aから機外に排出する。
【0106】
次に、制御部C1はステップS135に移行し、洗浄水の温度と所定の開始温度T1との差分の増加に応じて、所定の風量W1を再設定する。
【0107】
次に、制御部C1はステップS136に移行し、ヒータ63によって加熱された洗浄水が上限温度に到達後、所定時間経過したか否かを判断する。本実施例では、一例として、加熱すすぎ工程における洗浄水の上限温度は70℃であり、上限温度に到達後の所定時間は2分である。
【0108】
ステップS136において「No」の場合、ステップS134~S136を繰り返す。この際、制御部C1は、ステップS135において所定の風量W1が再設定すると、次のステップS134において、送風ファン68を再設定された所定の風量W1で運転させる。つまり、制御部C1は、加熱すすぎ工程においても、洗浄工程と同様に、温度センサ31が検知した洗浄水の温度が高いほど、結露抑制動作における風量W1を増加させる。
【0109】
その一方、ステップS136において「Yes」の場合、加熱すすぎ工程を完了し、ステップS137に移行する。こうして、制御部C1は、加熱すすぎ工程において、洗浄槽7内の温度が所定の開始温度T1に到達すると結露抑制動作を実行し、加熱すすぎ工程が終了するまで結露抑制動作を継続して洗浄槽7内の蒸気を強制的に機外に排出することにより、食器洗浄機1の周辺である天板CT1等への結露を抑制する。
【0110】
ステップS137に移行すると、制御部C1は、ポンプ62の逆転により加熱すすぎに使用した洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水する。
【0111】
次に、制御部C1はステップS141に移行し、乾燥工程を開始する。そして、制御部C1はステップS142に移行し、送風ファン68を100%の風量で運転させる。乾燥工程では、ヒータ63を作動させて所定の温度範囲に加熱した温風によって、すすぎ工程後の食器TW1を乾燥させる。この際、温度センサ31は、洗浄槽7内の温風の温度を検知する。
【0112】
次に、制御部C1はステップS143に移行し、所定時間経過したか否かを判断する。本実施例では、一例として、乾燥工程における温風の温度範囲は50℃~60℃であり、所定時間は60分である。
【0113】
ステップS143において「No」の場合、ステップS143を繰り返す。その一方、ステップS143において「Yes」の場合、乾燥工程を完了してステップS144に移行する。
【0114】
ステップS144に移行すると、制御部C1は、洗浄運転の終了処理を実行する。具体的には、ヒータ63を停止し、洗浄槽7内の空気の温度が所定の終了温度に低下するまで送風ファン68によって外部の空気を洗浄槽7内に供給し、その後送風ファン68を停止する。そして、ユーザに洗浄運転の終了を報知した後、このプログラムを終了する。
【0115】
<作用効果>
実施例1の食器洗浄機1では、制御部C1は、食器洗浄機1の電源が投入されると、図3図5に示す洗浄運転プログラムのステップS101~S144を実行する。そして、ユーザが食器かご70に洗浄対象の食器TW1を載置する作業と、操作部40に対する各種の設定入力とを完了した後、洗浄運転を開始するために洗浄槽7を収容位置に戻すと、洗浄工程、加熱無しすすぎ工程、加熱すすぎ工程及び乾燥工程を含む洗浄運転を実行する。
【0116】
ここで、制御部C1は、図3に示すステップS101~S104を実行し、温度センサ31が検知した室温が低いほど、所定の開始温度T1を低くする。このため、制御部C1は、例えば、室温が低い冬場の方が、室温が高い夏場よりも開始温度T1を低くする。また、制御部C1は、例えば、様々な外的要因によって室温が変化する開放的な設置環境でも、その時々の室温が低いほど、開始温度T1を低くする。その結果、制御部C1は、室温に応じた適切なタイミングで、図4に示すステップS115の結露抑制動作と、図5に示すステップS134の結露抑制動作とを実行し、洗浄槽7内の蒸気を強制的に機外に排出できる。
【0117】
したがって、実施例1の食器洗浄機1では、季節や設置環境にかかわらず安定して食器洗浄機1の周辺への結露を抑制できる。
【0118】
また、この食器洗浄機1では、制御部C1は、図4に示すステップS114、S116を実行することにより、洗浄工程において温度センサ31が検知した洗浄水の温度が高いほど、図4に示すステップS115の結露抑制動作における風量W1を増加させる。また、制御部C1は、図5に示すステップS133、S135を実行することにより、加熱すすぎ工程において温度センサ31が検知した洗浄水の温度が高いほど、図5に示すステップS134の結露抑制動作における風量W1を増加させる。このため、この食器洗浄機1では、洗浄槽7内の洗浄水の温度が高くなって結露の原因となる蒸気が洗浄槽7内で発生し易い環境になる程、送風ファン68による風量W1が増加する。その結果、この食器洗浄機1では、制御部C1が結露抑制動作を実行している間、洗浄槽7内の蒸気を確実性高く機外に排出できるので、食器洗浄機1の周辺への結露を一層抑制できる。
【0119】
さらに、この食器洗浄機1では、制御部C1は、図4のステップS112において洗浄工程を開始する前に、図3のステップS101、S102において温度センサ31によって洗浄槽7内の空気の温度を検知する開始前検知動作を実行し、開始前検知動作によって取得した空気の温度を室温と推定する。そして、開始前検知動作を実行するときの温度センサ31が室温検知手段である。この構成により、既存の温度センサ31が室温検知手段を兼ねるため、新たに室温検知手段を設ける場合と比較して、製造コストの低廉化を実現できる。
【0120】
(実施例2)
実施例2の食器洗浄機は、実施例1の食器洗浄機1の構成に加えて、図1及び図2に二点鎖線で示す室温センサ32を備えている。室温センサ32は、洗浄槽7の前部における取っ手7Gと排気口79Aとの間に配置されている。室温センサ32は、室温を検知する。室温センサ32は、本発明の「室温検知手段」の一例である。それに伴い、実施例1に係る温度センサ31は、実施例2では室温検知手段を兼ねないように変更されている。
【0121】
そして、実施例2の食器洗浄機では、実施例1の食器洗浄機1が実行する洗浄プログラムの図3に示すステップS101~S105の代わりに、図8に示すステップS201~S203を実行するように変更されている。実施例2のその他の構成は実施例1と同様である。
【0122】
実施例2において、食器洗浄機の電源が投入されると、制御部C1は、図8に示すステップS201において、操作部40が運転開始操作を受けて洗浄槽7が収容位置に戻されたか否かを判断する。
【0123】
ユーザが食器かご70に洗浄対象の食器TW1を載置する作業と、操作部40に対する各種の設定入力とを完了した後、洗浄運転を開始するために洗浄槽7を収容位置に戻すと、ステップS201において「Yes」となり、ステップS202に移行する。
【0124】
その一方、ユーザが食器かご70に洗浄対象の食器TW1を載置する作業と、操作部40に対する各種の設定入力とを継続中であり、洗浄槽7が収容位置に戻されていなければ、ステップS201において「No」となり、ステップS201を繰り返す。
【0125】
ステップS201からステップS202に移行すると、制御部C1は、室温センサ32が検知した室温を取得する。
【0126】
次に、制御部C1はステップS203に移行し、図6に示す記憶部C12に記憶された情報を参照して、室温センサ32が検知した室温に応じて所定の開始温度T1を設定する。
【0127】
例えば、室温センサ32が検知した室温が15℃であれば、所定の開始温度T1を38℃に設定し、室温が35℃であれば開始温度T1を45℃に設定する。つまり、制御部C1は、室温センサ32が検知した室温が低いほど開始温度T1を低くする。
【0128】
そして、制御部C1は、設定した所定の開始温度T1を記憶部C12に記憶させた後、図4に示すステップS111に移行する。ステップS111以降の処理は実施例1と同様であるので、説明は省略する。
【0129】
このような構成である実施例2の食器洗浄機では、実施例1の食器洗浄機1と同様に、季節や設置環境にかかわらず安定して食器洗浄機1の周辺への結露を抑制できる。
【0130】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0131】
実施例1に係る温度センサ31が室温を検知するタイミングは、洗浄工程が開始される前であって、洗浄槽7の貯水部71に洗浄水が貯められておらず、ヒータ63が停止した状態であればいつでもよく、例えば洗浄槽7が収容位置に戻される前であってもよい。
【0132】
実施例2に係る室温センサ32が室温を検知するタイミングは、結露抑制動作を実行する前であればいつでもよく、例えば洗浄工程又は加熱すすぎ工程を開始する前の給水時であってもよい。
【0133】
実施例2に係る室温センサ32は洗浄槽7の前部に設けられているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、室温検知手段は、室温を検知可能であればどこに設置されていてもよく、洗浄槽及び筐体から離れて設置されてもよい。
【0134】
実施例1、2に係る排気口79Aは取っ手7Gの下方に開口しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、洗浄槽内の空気を機外に排出する排気口は、洗浄槽の側面に開口していてもよいし、取っ手7Gの側方に開口していてもよい。また、実施例1、2に係る排気通路79には揺動式シャッタ等が設けられていないが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、洗浄槽内の空気を機外に排出する排気通路には、揺動式シャッタ等の開閉機構が設けられていてもよい。
【0135】
実施例1、2では、洗浄運転プログラムのステップS114において、洗浄水の温度と所定の開始温度T1との差分に応じて所定の風量W1を設定しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、ステップS114において、洗浄水の温度と室温との差分に応じて所定の風量W1を設定したり、差分ではなく洗浄水の温度のみに応じて所定の風量W1を設定したりするように変更することができる。ステップS116、S133、S135についても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明は例えば、食器洗浄機、食器洗浄乾燥機又は厨房設備等に利用可能である。
【符号の説明】
【0137】
1…食器洗浄機
TW1…被洗浄物(食器)
7…洗浄槽
61、62…洗浄装置(61…ノズル、62…ポンプ)
68…送風手段(送風ファン)
31…温度検知手段(温度センサ)
C1…制御部
T1…所定の開始温度
W1…所定の風量
31、32…室温検知手段(31…開始前検知動作を実行するときの温度センサ、32…室温センサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8