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特許7479224情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/60 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
G06T11/60 300
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020113878
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012216
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】523286071
【氏名又は名称】株式会社NTTデータ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】大川 英敏
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-287254(JP,A)
【文献】特開2009-244318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/60 - 11/80
G06F 16/29
G09B 29/00 - 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の頂点の座標を示す第1の頂点座標情報を含み、前記対象物の形状を示すポリゴンデータと、前記対象物に関連する内容を示す管理対象情報と、を対応付けて記憶する情報処理装置であって、
前記ポリゴンデータを記憶する記憶部と、
ユーザにより指定された電子地図上のポイントに対応する座標を示す位置情報と、ユーザにより入力される前記管理対象情報と、を受信する受信部と、
前記記憶部に記憶された前記ポリゴンデータにおける前記第1の頂点座標情報と、前記受信部が受信した前記位置情報と、に基づき、予め定められた条件を満たすポリゴンデータを候補ポリゴンとして抽出するポリゴン抽出部と、
前記ポリゴン抽出部により抽出した前記候補ポリゴンを、ユーザに選択可能に出力する選択出力部と、
前記選択出力部により選択可能に出力された前記候補ポリゴンのうち、ユーザにより選択された一の前記候補ポリゴンを指定ポリゴンとして受け付ける指定ポリゴン受付部と、
を備え、
前記ポリゴン抽出部は、前記第1の頂点座標情報について予め定められた補正値を用いて演算を行い、演算結果と前記位置情報とに基づいて前記候補ポリゴンを抽出し、
前記記憶部は、前記指定ポリゴン受付部で受け付けた前記指定ポリゴンと、前記受信部が受信した前記管理対象情報とを、対応付けて記憶する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記ポリゴン抽出部により抽出可能なポリゴンデータの範囲を示す第2の頂点座標情報を、前記受信部が受信した前記位置情報に基づいて決定する検索範囲設定部、
をさらに備え、
前記ポリゴン抽出部は、前記検索範囲設定部が決定した前記第2の頂点座標情報と、前記演算結果と前記位置情報とに基づいて前記候補ポリゴンを抽出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検索範囲設定部は、前記受信部が受信した前記位置情報について、予め定められた検索範囲設定値を用いて演算を行うことにより、検索対象となる範囲の座標である検索範囲座標を算出し、
前記ポリゴン抽出部は、前記第1の頂点座標情報と前記補正値との演算結果が前記検索範囲座標内に含まれ、前記位置情報が、前記演算結果が示す座標内に含まれる場合に、前記第1の頂点座標情報を含むポリゴンデータを、前記候補ポリゴンとして抽出する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
対象物の頂点の座標を示す第1の頂点座標情報を含み、前記対象物の形状を示すポリゴンデータと、前記対象物に関連する内容を示す管理対象情報と、を対応付けて記憶する情報処理装置による情報処理方法であって、
前記ポリゴンデータを記憶する記憶ステップと、
ユーザにより指定された電子地図上のポイントに対応する座標を示す位置情報と、ユーザにより入力される前記管理対象情報と、を受信する受信ステップと、
前記記憶ステップにより記憶された前記ポリゴンデータにおける前記第1の頂点座標情報と、前記受信ステップにより受信した前記位置情報と、に基づき、予め定められた条件を満たすポリゴンデータを候補ポリゴンとして抽出するポリゴン抽出ステップと、
前記ポリゴン抽出ステップにより抽出した前記候補ポリゴンを、ユーザに選択可能に出力する選択出力ステップと、
前記選択出力ステップにより選択可能に出力された前記候補ポリゴンのうち、ユーザにより選択された一の前記候補ポリゴンを指定ポリゴンとして受け付ける指定ポリゴン受付ステップと、
前記指定ポリゴン受付ステップで受け付けた前記指定ポリゴンと、前記受信ステップで受信した前記管理対象情報とを、対応付けて記憶する対応記憶ステップと、
を含み、
前記ポリゴン抽出ステップでは、前記第1の頂点座標情報について予め定められた補正値を用いて演算を行い、演算結果と前記位置情報とに基づいて前記候補ポリゴンを抽出する、
情報処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
対象物の頂点の座標を示す第1の頂点座標情報を含み、前記対象物の形状を示すポリゴンデータを記憶する記憶処理と、
ユーザにより指定された電子地図上のポイントに対応する座標を示す位置情報と、ユーザにより入力され、前記対象物に関連する内容を示す管理対象情報と、を受信する受信処理と、
前記記憶処理により記憶された前記ポリゴンデータにおける前記第1の頂点座標情報と、前記受信処理により受信した前記位置情報と、に基づき、予め定められた条件を満たすポリゴンデータを候補ポリゴンとして抽出するポリゴン抽出処理と、
前記ポリゴン抽出処理により抽出した前記候補ポリゴンを、ユーザに選択可能に出力する選択出力処理と、
前記選択出力処理により選択可能に出力された前記候補ポリゴンのうち、ユーザにより選択された一の前記候補ポリゴンを指定ポリゴンとして受け付ける指定ポリゴン受付処理と、
前記指定ポリゴン受付処理で受け付けた前記指定ポリゴンと、前記受信処理で受信した前記管理対象情報とを、対応付けて記憶する対応記憶処理と、
を実行させ、
前記ポリゴン抽出処理では、前記第1の頂点座標情報について予め定められた補正値を用いて演算を行い、演算結果と前記位置情報とに基づいて前記候補ポリゴンを抽出する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
必要な情報を地図情報に対応付けて管理する地理情報システム(GIS:Geographic Information System)が広く利用されている。地理情報システムでは、電子地図上の建物や土地区画等の地図情報における所定の領域をポリゴンで表したポリゴンデータに、必要な情報としての付加情報が対応付けられる。したがって、当該地理情報システムでは、付加情報を地図情報毎に利用可能となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、現在位置の情報を取得すると、現在位置の領域に対応するポリゴンを電子地図上に表示させる情報提供装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-181560
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている情報提供装置では、ユーザの所望するポリゴンと付加情報とを電子地図上に対応付けて登録するという観点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの所望するポリゴンと付加情報とを好適に対応付けて登録することが可能な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る情報処理装置は、
対象物の頂点の座標を示す第1の頂点座標情報を含み、前記対象物の形状を示すポリゴンデータと、前記対象物に関連する内容を示す管理対象情報と、を対応付けて記憶する情報処理装置であって、
前記ポリゴンデータを記憶する記憶部と、
ユーザにより指定された電子地図上のポイントに対応する座標を示す位置情報と、ユーザにより入力される前記管理対象情報と、を受信する受信部と、
前記記憶部に記憶された前記ポリゴンデータにおける前記第1の頂点座標情報と、前記受信部が受信した前記位置情報と、に基づき、予め定められた条件を満たすポリゴンデータを候補ポリゴンとして抽出するポリゴン抽出部と、
前記ポリゴン抽出部により抽出した前記候補ポリゴンを、ユーザに選択可能に出力する選択出力部と、
前記選択出力部により選択可能に出力された前記候補ポリゴンのうち、ユーザにより選択された一の前記候補ポリゴンを指定ポリゴンとして受け付ける指定ポリゴン受付部と、
を備え、
前記ポリゴン抽出部は、前記第1の頂点座標情報について予め定められた補正値を用いて演算を行い、演算結果と前記位置情報とに基づいて前記候補ポリゴンを抽出し、
前記記憶部は、前記指定ポリゴン受付部で受け付けた前記指定ポリゴンと、前記受信部が受信した前記管理対象情報とを、対応付けて記憶する。
【0008】
前記ポリゴン抽出部により抽出可能なポリゴンデータの範囲を示す第2の頂点座標情報を、前記受信部が受信した前記位置情報に基づいて決定する検索範囲設定部、
をさらに備え、
前記ポリゴン抽出部は、前記検索範囲設定部が決定した前記第2の頂点座標情報と、前記演算結果と前記位置情報とに基づいて前記候補ポリゴンを抽出する、
ようにしてもよい。
【0009】
前記検索範囲設定部は、前記受信部が受信した前記位置情報について、予め定められた検索範囲設定値を用いて演算を行うことにより、検索対象となる範囲の座標である検索範囲座標を算出し、
前記ポリゴン抽出部は、前記第1の頂点座標情報と前記補正値との演算結果が前記検索範囲座標内に含まれ、前記位置情報が、前記演算結果が示す座標内に含まれる場合に、前記第1の頂点座標情報を含むポリゴンデータを、前記候補ポリゴンとして抽出する、
ようにしてもよい。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る情報処理方法は、
対象物の頂点の座標を示す第1の頂点座標情報を含み、前記対象物の形状を示すポリゴンデータと、前記対象物に関連する内容を示す管理対象情報と、を対応付けて記憶する情報処理装置による情報処理方法であって、
前記ポリゴンデータを記憶する記憶ステップと、
ユーザにより指定された電子地図上のポイントに対応する座標を示す位置情報と、ユーザにより入力される前記管理対象情報と、を受信する受信ステップと、
前記記憶ステップにより記憶された前記ポリゴンデータにおける前記第1の頂点座標情報と、前記受信ステップにより受信した前記位置情報と、に基づき、予め定められた条件を満たすポリゴンデータを候補ポリゴンとして抽出するポリゴン抽出ステップと、
前記ポリゴン抽出ステップにより抽出した前記候補ポリゴンを、ユーザに選択可能に出力する選択出力ステップと、
前記選択出力ステップにより選択可能に出力された前記候補ポリゴンのうち、ユーザにより選択された一の前記候補ポリゴンを指定ポリゴンとして受け付ける指定ポリゴン受付ステップと、
前記指定ポリゴン受付ステップで受け付けた前記指定ポリゴンと、前記受信ステップで受信した前記管理対象情報とを、対応付けて記憶する対応記憶ステップと、
を含み、
前記ポリゴン抽出ステップでは、前記第1の頂点座標情報について予め定められた補正値を用いて演算を行い、演算結果と前記位置情報とに基づいて前記候補ポリゴンを抽出する。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータに、
対象物の頂点の座標を示す第1の頂点座標情報を含み、前記対象物の形状を示すポリゴンデータを記憶する記憶処理と、
ユーザにより指定された電子地図上のポイントに対応する座標を示す位置情報と、ユーザにより入力され、前記対象物に関連する内容を示す管理対象情報と、を受信する受信処理と、
前記記憶処理により記憶された前記ポリゴンデータにおける前記第1の頂点座標情報と、前記受信処理により受信した前記位置情報と、に基づき、予め定められた条件を満たすポリゴンデータを候補ポリゴンとして抽出するポリゴン抽出処理と、
前記ポリゴン抽出処理により抽出した前記候補ポリゴンを、ユーザに選択可能に出力する選択出力処理と、
前記選択出力処理により選択可能に出力された前記候補ポリゴンのうち、ユーザにより選択された一の前記候補ポリゴンを指定ポリゴンとして受け付ける指定ポリゴン受付処理と、
前記指定ポリゴン受付処理で受け付けた前記指定ポリゴンと、前記受信処理で受信した前記管理対象情報とを、対応付けて記憶する対応記憶処理と、
を実行させ、
前記ポリゴン抽出処理では、前記第1の頂点座標情報について予め定められた補正値を用いて演算を行い、演算結果と前記位置情報とに基づいて前記候補ポリゴンを抽出する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザの所望するポリゴンと付加情報とを好適に対応付けて登録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの一例を示すブロック図である。
図2】実施の形態に係る情報処理装置と端末の一例を示すブロック図である。
図3】(a)は、図2に示す記憶部に記憶されるポリゴンDBの一例を示す図である。(b)は、図2に示す検索用ポリゴンデータ生成部により生成されるポリゴンDBの一例を示す図である。
図4図2に示す記憶部に記憶される管理対象情報の一例を示す図である。
図5図2に示す記憶部に記憶される設定データの一例を示す図である。
図6図2に示す検索用ポリゴンデータ生成部による処理の一例を示す図である。
図7図2に示す検索範囲設定部による処理の一例を示す図である。
図8】実施の形態に係る検索用ポリゴンデータ生成処理の一例を示すフローチャートである。
図9】実施の形態に係る候補ポリゴン抽出処理の一例を示すフローチャートである。
図10】(a)は、ユーザが電子地図上でポイントを指定する表示画面の一例を示す図であり、(b)は、電子地図上に候補ポリゴンが表示された表示画面の一例を示す図であり、(c)は、ユーザが電子地図上でポリゴンを指定する表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係る情報処理装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を付す。以下、本発明の情報処理装置を、図1に示す情報処理システム1に適用した例を用いて説明する。
【0015】
情報処理システム1では、図1に示すように、情報処理装置100と端末200とがネットワーク210を介して通信可能に接続されている。情報処理装置100は、メインフレームやワークステーション、あるいはPC(Personal Computer)等の任意のコンピュータ装置(情報処理装置)である。端末200は、携帯電話やスマートフォン、タブレットやPC等の情報端末(所謂コンピュータ)であり、クライアント・サーバ型等の分散型のネットワーク210を構築している。なお、情報処理システム1は、クライアント・サーバ型のシステムに限られず、例えばクラウドコンピューティング型であってもよい。以下、本実施の形態では、当該情報処理システム1を農業支援システムとして利用した場合を例に説明する。具体的に、当該情報処理システム1では、農地区画の形状を示すポリゴンを電子地図上に表示するとともに、各農地区画で栽培される作物の栽培計画などの情報を当該ポリゴンのポリゴンデータに対応付けて登録する。なお、ポリゴンデータは、官公庁や自治体といった外部機関によりオープンデータとして提供される。ポリゴンデータは、ポリゴンを形成する複数の頂点の経度緯度座標を示す情報である。
【0016】
なお、図1では、端末200が1つのみ示されているが、情報処理システム1は、複数の端末200を備えて、いずれの端末200からでも情報処理装置100と通信できるようにしてもよい。
【0017】
本実施の形態に係る情報処理システム1は、外部機関により提供されるポリゴンデータを使用して、農地区画毎のポリゴンデータと、栽培計画などを示す管理対象情報と、を対応付けて登録する。具体的に、情報処理装置100の側では、端末200の所有者であるユーザによる端末200の操作により指定されたポイントを含む複数の農地区画のポリゴンを、ユーザが登録を所望するポリゴンの候補とし、当該ポリゴンを形成する複数の頂点の座標を示すポリゴンデータを端末200に送信する。これにより、端末200の側において、当該複数の頂点を結んだポリゴンが、電子地図上に、候補のポリゴンとして表示されることとなる。そして、端末200の側において、ユーザが電子地図上に表示された当該候補のポリゴンの中から一のポリゴンを指定することで、所望するポリゴンの登録が可能となり、合わせて管理対象情報を入力することにより、これらの情報が情報処理装置100へと送信され、情報処理装置100の側において、当該指定されたポリゴンと入力された管理対象情報とを対応付けて記憶する。
【0018】
ここで、オープンデータとして提供されるポリゴンデータにより形成されるポリゴンを電子地図上に表示させる場合、電子地図により示される領域と当該ポリゴンにより示される農地区画との位置がズレる(位置ズレが生じる)ことがある。そのため、ユーザが電子地図上で指定したポイントに対応する電子地図上の領域とは異なる農地区画のポリゴンが表示されてしまい、ユーザが所望する農地区画に対応するポリゴンのポリゴンデータを登録することが困難になるといった問題が生じることがある。そこで、当該情報処理システム1では、ポリゴンデータに含まれる各ポリゴンの頂点情報に基づき、上述した位置ズレを考慮した検索用ポリゴンデータを生成することで、電子地図上に示される領域とポリゴンデータにより形成される農地区画のポリゴンとの位置がズレてしまう場合であっても、ユーザの所望する農地区画に対応するポリゴンのポリゴンデータを好適に登録することができるものとなっている。以下、このような情報処理システム1における情報処理装置100と端末200について、具体的に説明する。
【0019】
次に、図2を参照して、情報処理装置100と端末200の構成について説明する。まず、情報処理装置100の構成について説明する。図2に示すように、情報処理装置100は、記憶部110と、制御部120と、入出力部130と、通信部140と、これらを相互に接続するシステムバス(図示省略)と、を備えている。
【0020】
記憶部110は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。RAMは制御部120のCPU(Central Processing Unit)のワークエリアとして使用される。ROMは、制御部120のCPUが実行するプログラムを記憶し、プログラム実行の際に使用される各種データを記憶する。
【0021】
具体的に、記憶部110は、地図データ111、ポリゴンDB112、管理対象情報113、設定データ114を記憶する。
【0022】
地図データ111は、例えば、外部の地図データ提供サーバから提供される航空写真、地形図等のデータである。さらに、地図データ111は、緯度情報及び経度情報の位置情報を含む。地図データ111は、予め記憶部110に格納される。
【0023】
ポリゴンDB112は、外部機関によりオープンデータとして提供され、農地区画毎のポリゴンを定義するデータベースである。図3に、ポリゴンDB112を例示する。図3(a)に示すように、ポリゴンDB112は、農地区画毎のポリゴンを識別する情報であるポリゴンID(Identification)と、ポリゴンの頂点の経度緯度を示す頂点座標と、の情報を含む。例えば、ポリゴンの形状が四角形であれば頂点座標1~4の頂点座標を含み、五角形であれば頂点座標1~5の頂点座標をそれぞれ含んでいる。なお、ポリゴンDB112は、オープンデータとして提供されるデータベースそのままでなくてもよく、必要な情報を抽出するなどして加工されたデータであってもよい。なお、ポリゴンの頂点の経度緯度を示す頂点座標は、特許請求の範囲における第1の頂点座標情報の一例である。
【0024】
管理対象情報113は、ポリゴンに対応付ける付加情報である。図4に、管理対象情報113の一例として、農地で栽培する作物の栽培計画を示す情報である栽培計画情報を示す。図示する例では、農地区画で米を栽培する場合の例を示しており、当該栽培計画情報には、図示するように、栽培対象の分類、品目、品種…といった基本情報と播種日や田植え日などの必須作業予定日を示す必須作業予定日情報が登録される。図示する栽培計画情報の各項目の情報は、ユーザが端末200を操作することにより入力され、記憶部110に記憶される。このように、必須作業の予定日がポリゴン毎に登録されるため、農家であるユーザは、ポリゴン毎に予定する作業の確認や記録ができる。また、システムの管理者側では、例えば、近隣の農地区画において、害虫の被害が流行していることなどを集計でき、農家であるユーザに注意喚起を促すことが容易となる。管理対象情報113は、ポリゴンIDを含み、ポリゴンIDによって、ポリゴンと管理対象情報113とが対応付けられる。
【0025】
設定データ114は、後述する検索用ポリゴンデータ生成部121、検索範囲設定部122、ポリゴン抽出部123が各処理を実行する際に使用される設定情報である。図5に、設定データ114を例示する。図示する通り、設定データ114には、検索用ポリゴンデータ生成部121が後述する検索用ポリゴンデータを生成するために用いる補正値と、検索範囲設定部122が、ポリゴン抽出部123による候補ポリゴンを抽出する地理的範囲を決定するために用いる検索範囲設定値と、ポリゴン抽出部123が候補ポリゴンを抽出する条件を示すポリゴン抽出ルールと、を含む。
【0026】
制御部120は、CPUを備え、記憶部110に記憶されたプログラムに従って動作し、当該プログラムに従った処理を実行する。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラムにより提供される主要な機能部として、検索用ポリゴンデータ生成部121と、検索範囲設定部122と、ポリゴン抽出部123と、を備える。
【0027】
検索用ポリゴンデータ生成部121は、ポリゴン抽出部123が候補ポリゴンを抽出する際に使用する検索用ポリゴンのポリゴンデータを作成する処理を行う機能部である。検索用ポリゴンは、ポリゴンDB112で定義された各ポリゴンに対応し、対応するポリゴンを包含する四画形のポリゴンである。例えば、一のポリゴンが五角形であれば、当該五角形のポリゴンを包含する四角形のポリゴンが検索用ポリゴンとなる。検索用ポリゴンのポリゴンデータは、検索用ポリゴン毎の4つの頂点座標を示すデータである。検索用ポリゴンデータ生成部121は、ポリゴンDB112に含まれる各ポリゴンの頂点座標と設定データ114に設定される補正値とに基づいて、各検索用ポリゴンのポリゴンデータを生成する。補正値は、上述した、電子地図により示される農地区画の領域とポリゴンDB112のポリゴンデータにより示される農地区画との間で生じる位置のズレを考慮して、システムの管理者により予め設定される値(距離)である。図5に示すように、設定データ114において、補正値として5mといった距離が予め設定される。これにより、詳しくは後述するが、ポリゴンDB112におけるポリゴンの頂点座標に補正値が加算又は減算された検索用ポリゴンのポリゴンデータが生成され、ポリゴンDB112により示される各ポリゴンを包含するそれぞれの検索用ポリゴンの頂点座標が設定されることとなる。
【0028】
具体的に、検索用ポリゴンデータ生成部121は、ポリゴンDB112に含まれる各ポリゴンの頂点座標の中から経度及び緯度の最小値と最大値とをそれぞれ抽出する。さらに、検索用ポリゴンデータ生成部121は、抽出した経度及び緯度の最小値から補正値を減算した経度及び緯度と、抽出した経度及び緯度の最大値から補正値を加算した経度及び緯度と、をそれぞれ求め、これらの経度及び緯度に基づき、検索用ポリゴンのポリゴンデータを生成する。図6に、検索用ポリゴンデータ生成部121により、五角形のポリゴンに対応する検索用ポリゴンのポリゴンデータを生成する処理を例示する。図示するように、検索用ポリゴンデータ生成部121は、五角形のポリゴンに係る5つの頂点座標の中から、最小経度x1、最大経度x2、最小緯度y1、最大緯度y2を抽出する。次に、検索用ポリゴンデータ生成部121は、最小経度x1からx軸方向に補正値を減算して経度x1’を求め、最小緯度y1からy軸方向に補正値を減算して緯度y1’ を求め、最大経度x2からx軸方向に補正値を加算して経度x2’ を求め、最大緯度y2からy軸方向に補正値を加算して緯度y2’を求める。検索用ポリゴンデータ生成部121は、求めた経度緯度から経度緯度座標(x1’、y2’)、(x1’、y1’)、(x2’、y1’)、(x2’、y2’)を頂点座標とする四角形状のポリゴンを、五角形のポリゴンに対応する検索用ポリゴンと決定する。検索用ポリゴンデータ生成部121は、ポリゴンDB112に含まれる全てのポリゴンに対し、上記処理を実行して、四角形状の検索用ポリゴンをそれぞれ決定し、当該検索用ポリゴンの4つの頂点座標を示すポリゴンデータを、ポリゴンDB112に追加する。図3(b)に、検索用ポリゴンデータ生成部121により更新されたポリゴンDB112aを例示する。図示するように、ポリゴンDB112aには、更新前のポリゴンDB112に含まれるポリゴンIDと、当該ポリゴンの頂点座標と、検索用ポリゴンデータ生成部121により追加された当該ポリゴンに対応する検索用ポリゴンの4つの頂点座標1~4の情報を含む。
【0029】
このように、検索用ポリゴンデータ生成部121により、ポリゴンDB112に含まれる各ポリゴンに対応する検索用ポリゴン毎の4つの頂点座標を示すポリゴンデータが生成される。なお、ポリゴンDB112に含まれるポリゴンの頂点座標が、5つ以外の場合(例えば、三角形、四角形、六角形のポリゴンの場合等)であっても、当該頂点座標から最小経度x1、最大経度x2、最小緯度y1、最大緯度y2の4つを抽出して補正値に基づく上述した演算をするため、当該三角形、四角形、又は六角形のポリゴンを包含する四角形の検索用ポリゴンの頂点座標が算出される。なお、検索用ポリゴンの頂点座標は、特許請求の範囲における演算結果の一例である。
【0030】
検索範囲設定部122は、ユーザが指定した電子地図上のポイントに対応する経度緯度座標に基づき、ポリゴン抽出部123が検索対象である候補ポリゴンを抽出する地理的範を示すポリゴン検索範囲を決定する処理を行う機能部である。図7に、検索範囲設定部122の処理を例示する。検索範囲設定部122は、ユーザが指定した電子地図上のポイントに対応する経度a及び緯度bを取得する。検索範囲設定部122は、取得した経度a及び緯度bに対し、設定データ114で設定された検索範囲設定値を加算又は減算する演算処理を行う。検索範囲設定値は、システムの管理者により予め設定される値(距離)である。具体的に、検索範囲設定部122は、経度aからx軸方向に検索範囲設定値を減算した経度a’、経度aからx軸方向に検索範囲設定値を加算した経度a’’、緯度bからy軸方向に検索範囲設定値を減算した緯度b’、緯度bからx軸方向に検索範囲設定値を加算した緯度b’’をそれぞれ算出する。検索範囲設定部122は、経度緯度座標(a’、b’)、(a’、b’’)、(a’’、b’’)、(a’’、b’)により構成される領域を、ポリゴン検索範囲として設定する。なお、検索範囲設定部122により算出された経度緯度座標(a’、b’)、(a’、b’’)、(a’’、b’’)、(a’’、b’)は、特許請求の範囲における第2の頂点座標情報、検索範囲座標の一例である。
【0031】
ポリゴン抽出部123は、検索用ポリゴンデータ生成部121により更新されたポリゴンDB112aの複数のポリゴンの中から、予め定められた条件に基づき、ユーザが指定した電子地図上のポイントを含むと判断するポリゴンを、ユーザが登録を所望するポリゴンの候補として抽出する処理を行う機能部である。具体的に、ポリゴン抽出部123は、設定データ114に設定されたポリゴン抽出ルールを満たすポリゴンを、候補ポリゴンとして抽出する。図5に示すように、ポリゴン抽出ルールには、ポリゴン抽出部123が候補ポリゴンであると判断することを示す条件が定義される。具体的に、検索用ポリゴンデータ生成部121により生成された検索用ポリゴンの最小経度x1’、最大経度x2’、最小緯度y1’、最大緯度y2’が、検索範囲設定部122により設定されたポリゴン検索範囲に含まれる検索用ポリゴンの中で、当該検索用ポリゴンの頂点座標(x1’、y2’)、(x1’、y1’)、(x2’、y1’)、(x2’、y2’)により構成される領域内に、ユーザが指定したポイントの経度a及び緯度bをいずれも包含する場合に、ポリゴン抽出部123が当該検索用ポリゴンに対応する元のポリゴンを候補ポリゴンであると判断する。ポリゴン抽出部123により、当該候補ポリゴンが抽出されると、当該候補ポリゴンのポリゴンデータが端末200に送信される。これにより、端末200の側において、電子地図上に当該候補のポリゴンが表示される。
【0032】
これら各機能部が協働して、情報処理装置100において、ユーザが電子地図上に指定したポイントに対応する経度緯度情報に基づいて、付加情報を対応付ける対象となるポリゴンの候補を抽出し、端末200に表示させる機能を実現している。
【0033】
入出力部130は、キーボード、マウス、カメラ、マイク、液晶ディスプレイ、有機EL(Electoro-Luminescence)ディスプレイ等から構成され、データの入出力を行うための装置である。
【0034】
通信部140は、他の機器とデータ通信を行うためのデバイス(ネットワークカード等)で構成される。情報処理装置100は、通信部140を介して、端末200とデータの送受信を行う。
【0035】
以上が、情報処理装置100の構成である。次に、本実施の形態における端末200の構成について説明する。端末200は、スマートフォン、PC等の情報端末機器である。端末200は、図2に示すように、制御部20と、記憶部21と、通信部22と、表示部23と、入力部24と、を備え、情報処理装置100と通信可能に接続されている。
【0036】
制御部20は、CPU等で構成される。制御部20は、記憶部21に記憶されたプログラムに従って動作し、プログラムに従った処理を実行する。
【0037】
記憶部21は、ROM、RAM等で構成され、制御部20のCPUが実行するプログラム、地図データ等のデータを記憶する。
【0038】
通信部22は、他の機器とデータ通信を行うためのデバイス(ネットワークカード等)で構成される。端末200は、通信部22を介して、情報処理装置100とデータの送受信を行う。なお、通信部22は、特許請求の範囲における受信部、選択出力部、指定ポリゴン受付部の一例である。
【0039】
表示部23は、液晶ディスプレイや有機EL等のディスプレイで構成され、地図データや情報処理装置100から受信したポリゴンデータ、管理対象情報113を入力する入力画面等を表示する。
【0040】
入力部24は、キーボード、マウス、タッチパネル等で構成され、ユーザによる電子地図上のポイントを指定する情報や管理対象情報等の入力を受け付ける。
【0041】
以上が、端末200の構成である。続いて情報処理装置100の動作について、図8図9を参照して説明する。まず、情報処理システム1の動作としての検索用ポリゴンデータ生成処理について、図8を参照して説明する。検索用ポリゴンデータ生成処理は、ポリゴンDB112に含まれる各ポリゴンの頂点情報と設定データ114に設定される補正値とに基づいて、ポリゴン抽出部123が候補ポリゴンを抽出する際に使用する検索用ポリゴンのポリゴンデータを作成する処理である。
【0042】
情報処理システム1の管理者により、情報処理装置100の入力部24にポリゴンDB112が入力され、ポリゴンDB112が、記憶部110に送信されると、検索用ポリゴンデータ生成処理が開始される。
【0043】
最初に、検索用ポリゴンデータ生成部121は、ポリゴンDB112に含まれる各ポリゴンの頂点座標から、経度が最小となる最小経度x1、経度が最大となる最大経度x2、緯度が最小となる最小緯度y1、緯度が最大となる最大緯度y2を、ポリゴン毎にそれぞれ取得する(ステップS101)。
【0044】
次に、検索用ポリゴンデータ生成部121は、ステップS101で取得したポリゴン毎の最小経度x1、最小緯度y1、最大経度x2、最大緯度y2と、設定データ114に予め設定された補正値とを演算し、その演算結果に基づき、各ポリゴンに対応する検索用ポリゴンの頂点座標を示す検索用ポリゴンデータをそれぞれ生成する(ステップS102)。検索用ポリゴンデータ生成部121は、最小経度x1と最小緯度y1とに、補正値を減算し、最大経度x2と最大緯度y2とに、補正値を加算することにより、各ポリゴンに対応する検索用ポリゴンの頂点座標をそれぞれ生成する。具体的に、検索用ポリゴンデータ生成部121は、設定データ114から補正値を読み出す。図5に示す通り、補正値が5mに設定されている場合、検索用ポリゴンデータ生成部121は、ポリゴン毎に、最小経度x1からx軸方向に補正値5mを減算して経度x1’を求め、最小緯度y1からy軸方向に補正値5mを減算して緯度y1’ を求め、最大経度x2からx軸方向に補正値5mを加算して経度x2’ を求め、最大緯度y2からy軸方向に補正値5mを加算して緯度y2’を求める。検索用ポリゴンデータ生成部121は、図6に示すように、算出したx1’、y1’、x2’y2’に基づき、経度緯度座標(x1’、y1’)、(x1’、y2’)、(x2’、y1’)、(x2’、y2’)を検索用ポリゴンの4つの頂点座標に決定する。
【0045】
次に、検索用ポリゴンデータ生成部121は、ステップS102で決定した各検索用ポリゴンの4つの頂点座標を、ポリゴンDB112内のポリゴンデータに追加して、ポリゴンDB112を更新する(ステップS103)。具体的に、図3(b)に示すように、検索用ポリゴンデータ生成部121は、ポリゴンID0001のポリゴンデータに対し、検索用ポリゴンの頂点座標1~4を追加し、ポリゴンID0002のポリゴンデータに対し、検索用ポリゴンの頂点座標1~4を追加するといった処理を、全ポリゴンのポリゴンデータに対して実施することによりポリゴンDB112aを生成して、記憶部110に記憶させ、検索用ポリゴンデータ生成処理を終了する。
【0046】
続いて、図9を参照して、候補ポリゴン抽出処理について説明する。候補ポリゴン抽出処理は、ユーザが電子地図上でポイントを指定すると、ポリゴンDB112aに含まれるポリゴンの中から、予め定められた条件に基づいて当該ポイントを含むと判断したポリゴンを、ユーザが登録を所望するポリゴンの候補である候補ポリゴンとして抽出する処理である。
【0047】
ユーザが端末200を操作して、表示部23に表示される電子地図上で所定のポイントを指定すると、端末200は、指定されたポイントの経度緯度座標を取得し、情報処理装置100に送信する。具体的に、図10(a)に示す通り、ユーザが電子地図上でポイントを指定すると、当該指定されたポイントの経度緯度座標が、端末200から情報処理装置100に送信される。情報処理装置100が、ユーザが指定したポイントの経度緯度座標を受信し、当該経度緯度座標が記憶部110に送信されると、候補ポリゴン抽出処理が開始される。
【0048】
まず、検索範囲設定部112は、記憶部110からユーザが指定したポイントの経度緯度座標(a、b)を取得する(ステップS201)。
【0049】
次に、検索範囲設定部112は、ステップS201で取得した経度緯度座標(a、b)と設定データ114に予め設定された検索範囲設定値とに基づき、候補ポリゴンを抽出する地理的範囲であるポリゴン検索範囲を決定する処理を行う(ステップS202)。具体的に、検索範囲設定部112は、取得した経度緯度座標(a、b)に対し、検索範囲設定値を加算又は減算することにより、ポリゴン検索範囲の頂点座標を算出する。まず、検索範囲設定部112は、設定データ114から検索範囲設定値を読み出す。図5に示す通り、検索範囲設定値が5kmに設定されている場合、検索用ポリゴンデータ生成部121は、ステップS201で取得した経度aからx軸方向に検索範囲設定値5kmを減算した経度a’、経度aからx軸方向に検索範囲設定値5kmを加算した経度a’’、緯度bからy軸方向に検索範囲設定値5kmを減算した緯度b’、緯度bからx軸方向に検索範囲設定値5kmを加算した緯度b’’をそれぞれ算出する。図7に示すように、検索用ポリゴンデータ生成部121は、算出した経度、緯度に基づく頂点座標(a’、b’)、(a’、b’’)、(a’’、b’)、(a’’、b’’)により構成される領域をポリゴン検索範囲として決定する。このように、検索範囲設定部122により、ユーザが指定したポイントに対応する経度緯度座標に基づき、ポリゴン抽出部123による候補ポリゴンを抽出するポリゴン検索範囲が設定される。ポリゴン検索範囲を5kmといった所定の範囲に限定することにより、膨大な農地区画のポリゴンデータの中から候補ポリゴンを抽出する処理の時間を短縮することが可能となる。
【0050】
次に、ポリゴン抽出部123は、ポリゴンDB112aに含まれるポリゴンの中から、予め定められた条件を満たすポリゴンが存在するか否かを判断する(ステップS203)。具体的に、ポリゴン抽出部123は、図5に示す設定データ114からポリゴン抽出ルールを読み出す。図示するように、ポリゴン抽出ルールには、上述した検索用ポリゴンデータ生成処理により作成された各検索用ポリゴンの最小経度x1’、最小緯度y1’、最大経度x2’、最大緯度y2’のいずれもが、検索範囲設定部112により決定されたポリゴン検索範囲に含まれている検索用ポリゴンの中で、当該検索用ポリゴンの頂点座標(x1’、y2’)、(x1’、y1’)、(x2’、y1’)、(x2’、y2’)により構成される領域内に、ユーザが指定したポイントの経度a及び緯度bをいずれも包含する場合に条件を満たし、候補ポリゴンとして抽出するといった判断ルールが規定される。ポリゴン抽出部123は、ポリゴン抽出ルールを満たす検索用ポリゴンが存在すると判断すると(ステップS203;Yes)、ポリゴン抽出ルールを満たす検索用ポリゴンに対応するポリゴンが候補ポリゴンであると判断する。具体的に、図3(b)に示すポリゴンDB112aにおいて、ポリゴンID0001の検索用ポリゴンが、ポリゴン抽出ルールを満たす場合、ポリゴン抽出部123は、ポリゴンID0001のポリゴンを候補ポリゴンであると判断する。次に、ポリゴン抽出部123は、当該候補ポリゴンの頂点座標を示すポリゴンデータを端末200に出力し(ステップS204)、候補ポリゴン抽出処理を終了する。具体的に、上述したポリゴンID0001のポリゴンが候補ポリゴンであると判断される例において、図3(b)に示すポリゴンID0001のポリゴンの頂点座標1、2、…が、端末200に出力される。なお、ポリゴン抽出部123が、ポリゴン抽出ルールを満たす検索用ポリゴンが複数存在すると判断した場合は、複数の候補ポリゴンの頂点座標を示すポリゴンデータが端末200に出力される。
【0051】
ステップS203に戻り、ポリゴン抽出部123は、ポリゴン抽出ルールを満たすポリゴンが存在しないと判断すると(ステップS203;No)、処理を終了する。
【0052】
ステップS204の後、端末200は、候補ポリゴンのポリゴンデータを受信すると、表示部23に表示された電子地図上に当該ポリゴンデータのポリゴンを表示する。図10(b)は、端末200の表示部23に表示される候補ポリゴンの一例を示す。図10(b)に図示するように、表示部23には、ポリゴン抽出部123により抽出された候補ポリゴン1~3が表示される。
【0053】
次に、ユーザは、端末200の入力部24を操作して、候補ポリゴン1~3の中から一のポリゴンを指定する。図10(c)に示す通り、ユーザが候補ポリゴン2を指定すると、管理対象情報113の各項目に情報を入力する入力画面が表示される。ユーザが当該入力画面の各項目に情報を入力し(図4参照)、端末200上で所定の操作を行うことにより、ユーザにより入力された情報と指定されたポリゴンのポリゴンIDとを含む管理対象情報113とユーザが指定したポリゴンのポリゴンIDとが情報処理装置100に送信される。
【0054】
情報処理装置100の制御部120は、端末200から管理対象情報113を受信すると、当該管理対象情報113を記憶部110に記憶させる。情報処理装置100は、同一のポリゴンIDを割り当てられた管理対象情報113とポリゴンDB112内のポリゴンとを対応付けて記憶する。
【0055】
以上により、情報処理装置100は、ユーザにより指定された電子地図上のポイントを含むポリゴンを候補ポリゴンとして抽出し、当該候補ポリゴンのポリゴンデータを端末200に表示させる。ユーザは、表示される候補ポリゴンの中から、登録を所望する一のポリゴンを指定し、指定したポリゴンに付加する管理対象情報113を入力することにより、当該ポリゴンと管理対象情報113とを対応付けて登録することができる。このように、ユーザは、簡易な操作で、登録を所望するポリゴンと付加情報とを対応付けて登録することができる。
【0056】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。例えば、情報処理装置100は、上記実施の形態で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における少なくとも1つの課題を解決できるように、上記実施の形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。また、下記の変形例それぞれについて、少なくとも一部を組み合わせてもよい。
【0057】
上記実施の形態では、情報処理装置100は、農地区画の形状を示すポリゴンデータと、各農地区画で栽培される作物の栽培計画を示す管理対象情報113と、を対応付けて登録することとしたが、これに限られない。ポリゴンデータは、農地区画に限定されない土地の形状、建物の形状など地図上に表示される対象物の形状データであればよい。管理対象情報113は、土地の所有者に係る情報や建物の工事の進捗状況に係る情報などであってもよい。なお、ポリゴンデータが農地区画の形状である場合、管理対象情報113は、栽培計画情報に限らず、各農地区画での作業の進捗情報、作物の生育記録情報、収穫記録情報などであってもよい。
【0058】
また、上記実施の形態では、図4に図示するように、米の栽培計画に係る1つの管理対象情報113をポリゴンに対応付けることとしたが、これに限られない。例えば、1つの農地区画で栽培される複数の作物毎の栽培計画を当該農地区画のポリゴンに対応付けたり、1つの作物に係る栽培計画情報、作業の進捗情報、生育記録情報等を1つの農地区画のポリゴンに対応付ける等、複数の管理対象情報113を1つのポリゴンに対応付けてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態では、ユーザが候補ポリゴンの中から一のポリゴンを指定した後に、管理対象情報113の各項目に情報を入力することとしたが、これに限られない。ユーザが予め管理対象情報113を作成しておき、その後、候補ポリゴン抽出処理によって抽出された候補ポリゴンの中から、当該管理対象情報113を対応付けるポリゴンを指定してもよい。また、ポリゴンに対応付けられた管理対象情報113の各項目の情報は、ユーザにより修正されたり、新たな情報が追加されてもよい。また、ユーザが端末200の入力部24を操作することにより、指定したポリゴンを上下又は左右に分割できるようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施の形態では、ポリゴン抽出部123は、電子地図とポリゴンデータとの位置ズレを考慮して、検索用ポリゴンデータ生成部121により算出された検索用ポリゴンの最小経度x1’、最小緯度y1’、最大経度x2’、最大緯度y2’を使用して、候補ポリゴンを抽出することとしたが、これに限られない。検索用ポリゴンデータ生成部121が図9のステップS101で取得した各ポリゴンの最小経度x1、最大経度x2、最小緯度y1、最大緯度y2を使用して、候補ポリゴンを抽出してもよい。この場合、設定データ114のポリゴン抽出ルールに、最小経度x1、最大経度x2、最小緯度y1、最大緯度y2が、検索範囲設定部112により決定されたポリゴン検索範囲に含まれているポリゴンの中で、当該ポリゴンの頂点座標(x1、y2)、(x1、y1)、(x2、y1)、(x2、y2)により構成される領域内に、ユーザが指定したポイントの経度a及び緯度bをいずれも包含する場合に、候補ポリゴンとして抽出するといった条件を規定すればよい。
【0061】
また、上記実施の形態では、ポリゴン抽出部123は、検索用ポリゴンの最小経度x1’、最小緯度y1’、最大経度x2’、最大緯度y2’のいずれもが、検索範囲設定部112により決定されたポリゴン検索範囲に含まれている検索用ポリゴンの中で、当該検索用ポリゴンの頂点座標により構成される領域内に、ユーザが指定したポイントの経度a及び緯度bをいずれも包含する場合に条件を満たし、候補ポリゴンとして抽出することとしたが、これに限られず、例えば、最小経度x1’、最小緯度y1’、最大経度x2’、最大緯度y2’のいずれか1つの経度又は緯度がポリゴン検索範囲に含まれている検索用ポリゴンの中から候補ポリゴンを抽出してもよいし、ユーザが指定したポイントの経度a及び緯度bのいずれかを包含する場合に条件を満たす等の任意の条件をポリゴン抽出ルールに設定してもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、設定データ114に含まれる補正値、検索範囲設定値は、システムの管理者により予め設定されるものとして説明したが、これに限られず、システムを利用するユーザが所定の値を入力することにより設定されることとしてもよい。また、補正値は5m、検索範囲設定値は5kmに限られず、任意の値でよく、例えば、都道府県や地域区分毎に異なる値が設定されてもよい。
【0063】
なお、情報処理装置100及び端末200は、専用の装置によらず、通常のコンピュータを用いて実現可能である。例えば、コンピュータに上述のいずれかを実行するためのプログラムを格納した記録媒体から該プログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行する情報処理装置100及び端末200を構成してもよい。また、複数のコンピュータが協働して動作することによって、1つの情報処理装置100又は端末200を構成しても良い。
【0064】
また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協同により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納してもよい。
【0065】
また、搬送波にプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して当該プログラムを配信してもよい。そして、これらのプログラムを起動し、オペレーティングシステムの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 情報処理システム、100 情報処理装置、200 端末、210 ネットワーク、110 記憶部、111 地図データ、112,112a ポリゴンDB、113 管理対象情報、114 設定データ、120 制御部、121 検索用ポリゴンデータ生成部、122 検索範囲設定部、123 ポリゴン抽出部、130 入出力部、140 通信部、20 制御部、21 記憶部、22 通信部、23 表示部、24 入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10