(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】燃料噴射吸気装置
(51)【国際特許分類】
F02M 51/08 20060101AFI20240426BHJP
F02D 43/00 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
F02M51/08 H
F02M51/08 J
F02D43/00 301L
F02D43/00 301H
(21)【出願番号】P 2020122518
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】水井 宏
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-286578(JP,A)
【文献】特開2019-015209(JP,A)
【文献】特開平06-159075(JP,A)
【文献】特開平09-228931(JP,A)
【文献】特開平06-288323(JP,A)
【文献】特開平07-103110(JP,A)
【文献】米国特許第4763624(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 51/08
F02D 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジンの吸気バルブに向かう吸気通路と、
前記吸気通路内に燃料を噴射するインジェクタと、
前記インジェクタの近傍においてアシストエアを供給する第1アシストエア通路と、
前記インジェクタと前記吸気バルブの間において
前記吸気通路内にアシストエアを供給する第2アシストエア通路と、
前記第1アシストエア通路と前記第2アシストエア通路を流れるアシストエアの流量割合を調整する調整弁と、
を備え、
前記第1アシストエア通路は、前記吸気通路からアシストエアを取り込むエア取り込み口に連通する上流側アシストエア通路と、前記上流側アシストエア通路から分岐する第1下流側アシストエア通路を含み、
前記第2アシストエア通路は、前記上流側アシストエア通路と、前記上流側アシストエア通路から分岐する第2下流側アシストエア通路を含み、
前記調整弁は、前記第2下流側アシストエア通路のみを開閉するべく前記第2下流側アシストエア通路の途中に配置されている、
ことを特徴とする燃料噴射吸気装置。
【請求項2】
前記吸気通路は、通路面積が絞られたベンチュリ部を含み、
前記インジェクタの燃料噴出口及び前記第1アシストエア通路の第1エア噴出口は、前記ベンチュリ部に配置され、
前記第2アシストエア通路の第2エア噴出口は、前記ベンチュリ部よりも下流側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射吸気装置。
【請求項3】
前記第2エア噴出口は、前記燃料噴出口から噴射される噴霧燃料に対向する領域に配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射吸気装置。
【請求項4】
前記インジェクタよりも上流側において、前記吸気通路を開閉するスロットルバルブを含み、
前記エア取り込み口は、前記スロットルバルブよりも上流側において、前記吸気通路に開口する、
ことを特徴とする請求項
1ないし3いずれか一つに記載の燃料噴射吸気装置。
【請求項5】
前記インジェクタよりも上流側において、前記吸気通路を開閉するスロットルバルブを含み、
前記エア取り込み口は、前記インジェクタよりも上流側でかつ前記スロットルバルブよりも下流側において、前記吸気通路に開口する、
ことを特徴とする請求項
1ないし3いずれか一つに記載の燃料噴射吸気装置。
【請求項6】
前記内燃エンジンのシリンダヘッドに着脱自在で前記吸気通路の一部を画定する吸気通路部材を含み、
前記インジェクタは、前記吸気通路部材に取り付けられ、
前記第1アシストエア通路及び前記第2アシストエア通路は、前記吸気通路部材に形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし
5いずれか一つに記載の燃料噴射吸気装置。
【請求項7】
前記調整弁の駆動を制御する制御ユニットを含み、
前記制御ユニットは、前記内燃エンジンが始動時又はアイドル時の低負荷運転モードにあるとき前記第2
下流側アシストエア通路を全閉し、前記内燃エンジンが前記低負荷運転モード以外の中高負荷運転モードにあるとき前記第2
下流側アシストエア通路を全開するべく、前記調整弁を駆動制御する、
ことを特徴とする請求項1ないし
6いずれか一つに記載の燃料噴射吸気装置。
【請求項8】
前記調整弁の駆動を制御する制御ユニットを含み、
前記制御ユニットは、前記内燃エンジンが始動時又はアイドル時の低負荷運転モードにあるとき前記第2
下流側アシストエア通路を全閉し又は前記第2
下流側アシストエア通路の流量割合を減少させ、前記内燃エンジンが前記低負荷運転モード以外の中高負荷運転モードにあるとき前記第2
下流側アシストエア通路の流量割合を負荷に応じて増加させるべく、前記調整弁を駆動制御する、
ことを特徴とする請求項1ないし
6いずれか一つに記載の燃料噴射吸気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃エンジンの吸気通路に燃料を噴射するインジェクタを備えた燃料噴射吸気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者等は、噴霧燃料の微粒化を図るべく、内燃エンジンの吸気バルブに向かう吸気通路と、吸気通路内に燃料を噴射するインジェクタと、インジェクタの近傍にアシストエアを供給するアシストエア通路を備えた燃料噴射装置において、インジェクタの燃料噴射口及びアシストエア通路のエア噴出口を吸気通路のベンチュリ部に配置した構造を提案した(特許文献1を参照)。
【0003】
この燃料噴射装置においては、インジェクタから噴射された噴霧燃料が、インジェクタの燃料噴射口の近傍において微粒化される。
しかしながら、インジェクタから吸気バルブまでの吸気通路が、比較的に長い場合や湾曲している場合において、燃料が吸気通路の壁面に付着するのを抑制ないし防止するには十分ではなく、改善の余地があった。
そこで、噴射された噴霧燃料の微粒化に加えて、構造の簡素化、小型化等を図りつつ、噴射された燃料が吸気通路の壁面に付着するのを抑制ないし防止することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、構造の簡素化、小型化等を図りつつ、内燃エンジンの運転状態に応じて噴霧燃料の微粒化を促進すると共に燃料が吸気通路の壁面に付着するのを抑制ないし防止できる燃料噴射吸気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の燃料噴射吸気装置は、内燃エンジンの吸気バルブに向かう吸気通路と、吸気通路内に燃料を噴射するインジェクタと、インジェクタの近傍においてアシストエアを供給する第1アシストエア通路と、インジェクタと吸気バルブの間において吸気通路内にアシストエアを供給する第2アシストエア通路と、第1アシストエア通路と第2アシストエア通路を流れるアシストエアの流量割合を調整する調整弁を備え、第1アシストエア通路は、吸気通路からアシストエアを取り込むエア取り込み口に連通する上流側アシストエア通路と、上流側アシストエア通路から分岐する第1下流側アシストエア通路を含み、第2アシストエア通路は、上流側アシストエア通路と、上流側アシストエア通路から分岐する第2下流側アシストエア通路を含み、調整弁は、第2下流側アシストエア通路のみを開閉するべく第2下流側アシストエア通路の途中に配置されている、構成となっている。
【0007】
上記燃料噴射吸気装置において、吸気通路は、通路面積が絞られたベンチュリ部を含み、インジェクタの燃料噴出口及び第1アシストエア通路の第1エア噴出口は、ベンチュリ部に配置され、第2アシストエア通路の第2エア噴出口は、ベンチュリ部よりも下流側に配置されている、構成を採用してもよい。
【0008】
上記燃料噴射吸気装置において、第2エア噴出口は、燃料噴出口から噴射される噴霧燃料に対向する領域に配置されている、構成を採用してもよい。
【0011】
上記燃料噴射吸気装置において、インジェクタよりも上流側において、吸気通路を開閉するスロットルバルブを含み、エア取り込み口は、スロットルバルブよりも上流側において吸気通路に開口する、構成を採用してもよい。
【0012】
上記燃料噴射吸気装置において、インジェクタよりも上流側において、吸気通路を開閉するスロットルバルブを含み、エア取り込み口は、インジェクタよりも上流側でかつスロットルバルブよりも下流側において吸気通路に開口する、構成を採用してもよい。
【0013】
上記燃料噴射吸気装置において、内燃エンジンのシリンダヘッドに着脱自在で吸気通路の一部を画定する吸気通路部材を含み、インジェクタは、吸気通路部材に取り付けられ、第1アシストエア通路及び第2アシストエア通路は、吸気通路部材に形成されている、構成を採用してもよい。
【0014】
上記燃料噴射吸気装置において、調整弁の駆動を制御する制御ユニットを含み、制御ユニットは、内燃エンジンが始動時又はアイドル時の低負荷運転モードにあるとき第2下流側アシストエア通路を全閉し、内燃エンジンが低負荷運転モード以外の中高負荷運転モードにあるとき第2下流側アシストエア通路を全開するべく、調整弁を駆動制御する、構成を採用してもよい。
【0015】
上記燃料噴射吸気装置において、調整弁の駆動を制御する制御ユニットを含み、制御ユニットは、内燃エンジンが始動時又はアイドル時の低負荷運転モードにあるとき第2下流側アシストエア通路を全閉し又は第2下流側アシストエア通路の流量割合を減少させ、内燃エンジンが低負荷運転モード以外の中高負荷運転モードにあるとき第2下流側アシストエア通路の流量割合を負荷に応じて増加させるべく、調整弁を駆動制御する、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記構成をなす燃料噴射吸気装置によれば、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、内燃エンジンの運転状態に応じて、噴霧燃料の微粒化を促進でき、又、燃料が吸気通路の壁面に付着するのを抑制ないし防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る燃料噴射吸気装置の第1実施形態を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す燃料噴射吸気装置において、インジェクタ、第1アシストエア通路、第2アシストエア通路、調整弁、吸気通路の一部を拡大した拡大断面図である。
【
図3】インジェクタの燃料噴射口から噴射される噴霧の一実施形態を示す模式図である。
【
図4】インジェクタの燃料噴射口から噴射される噴霧の他の実施形態を示す模式図である。
【
図5】
図2に示す燃料噴射吸気装置において、第2アシストエア通路の第2エア噴出口の位置を変更した第2実施形態を示す拡大断面図である。
【
図6】
図1に示す燃料噴射吸気装置において、上流側アシストエア通路のエア取り込み口を変更した第3実施形態を示す模式図である。
【
図7】本発明に係る燃料噴射吸気装置の第4実施形態を示す模式図である。
【
図8】
図7に示す燃料噴射吸気装置において、インジェクタ、第1アシストエア通路、第2アシストエア通路、調整弁、吸気通路の一部を拡大した拡大断面図である。
【
図9】
図8に示す燃料噴射吸気装置において、第2アシストエア通路の第2エア噴出口の位置を変更した第5実施形態を示す拡大断面図である。
【
図10】
図7に示す燃料噴射吸気装置において、上流側アシストエア通路のエア取り込み口を変更した第6実施形態を示す模式図である。
【
図11】
図7に示す燃料噴射吸気装置において、第1アシストエア通路及び第2アシストエア通路の配置を変更した第7実施形態を示す模式図である。
【
図12】
図11に示す燃料噴射吸気装置において、インジェクタ、第1アシストエア通路、第2アシストエア通路、調整弁、吸気通路の一部を拡大した拡大断面図である。
【
図13】
図11に示す燃料噴射吸気装置において、第1アシストエア通路及び第2アシストエア通路の配置を変更した第8実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る燃料噴射吸気装置の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
第1実施形態に係る燃料噴射吸気装置は、
図1及び
図2に示すように、内燃エンジンEの吸気系Sに含まれるものである。
内燃エンジンEは、シリンダブロック1、シリンダブロック1のボア内を往復動するピストン2、吸気通路の一部をなす吸気ポート3a及び排気ポート3bを画定するシリンダヘッド3、吸気ポート3aを開閉する吸気バルブ4、排気ポート3bを開閉する排気バルブ5、吸気バルブ4及び排気バルブ5を開閉駆動する駆動系6、シリンダヘッド3の上方を覆うヘッドカバー7、シリンダヘッド3に接続される吸気系Sを備えている。
【0019】
吸気系Sは、吸気通路部材10、スロットルバルブ20、インジェクタ30、アシストエア通路部材40、調整弁50、エアクリーナ60、制御ユニット70を備えている。
ここでは、吸気通路部材10、スロットルバルブ20、インジェクタ30、アシストエア通路部材40、調整弁50、及び制御ユニット70により、燃料噴射吸気装置が構成される。
【0020】
吸気通路部材10は、第1吸気通路部材10a、第2吸気通路部材10b、及び第3吸気通路部材10cをネジ等により互いに連結して形成されている。
第1吸気通路部材10aは、下流側端部であるフランジ部11、吸気通路12、ベンチュリ部13、インジェクタ30の取付け部14、アシストエア通路部材40を接続する下流側接続部15,16を備え、フランジ部11がエンジンEのシリンダヘッド3に接合されている。
第2吸気通路部材10bは、吸気通路12、スロットルバルブ20のシャフトを回動自在に支持する軸受け部(不図示)を備え、下流側端部が第1吸気通路部材10aの上流側端部に接合されている。
第3吸気通路部材10cは、吸気通路12、アシストエア通路部材40を接続する上流側接続部17を備え、下流側端部が第2吸気通路部材10bの上流側端部に接合されている。
【0021】
すなわち、吸気通路部材10は、フランジ部11、軸線Lを中心として伸長する吸気通路12、吸気通路12の一部をなすベンチュリ部13、インジェクタ30を取り付ける取付け部14、アシストエア通路部材40を接続する下流側接続部15,16及び上流側接続部17、スロットルバルブ20のシャフトを回動自在に支持する軸受け部(不図示)を備えている。
【0022】
ここでは、吸気通路部材10が、第1吸気通路部材10a、第2吸気通路部材10b、第3吸気通路部材10cにより形成されているため、ベンチュリ部13を容易に形成でき、又、スルットルバルブ20を容易に組み付けることができる。
尚、吸気通路部材として、上記のように三分割の部材ではなく、一体形成された単一の部材を用いてもよい。
【0023】
フランジ部11は、シリンダヘッド3にボルトあるいはスタッドボルトに捩じ込まれるナット等を用いて接続するように形成されている。
吸気通路12は、所定の通路面積A1をなす筒状の通路、例えば円筒状あるは楕円筒状の通路として形成されている。
ベンチュリ部13は、フランジ部11に近い領域の吸気通路12の途中において、通路面積A1よりも小さくなるように絞られた通路面積A2をなす筒状の通路として形成されている。
吸気通路12の通路面積A1に対するベンチュリ部13の通路面積A2の割合(A2/A1)は、高速運転側で要求される吸入空気の流量と微粒化のためのベンチュリ効果を考慮して適宜選定される。
ベンチュリ部13は、通路面積A1から徐々に絞られて通路面積A2になりさらに徐々に拡大して通路面積A1になるように、通路面積が連続的に変化するように形成されている。
これにより、吸気通路の一部を構成するベンチュリ部13を設けつつも、通路抵抗としての絞り損失及び拡大損失を抑制するこことができる。
【0024】
取付け部14は、嵌合部14a、吸気通路12のベンチュリ部13に連通する連通路14bを備えている。
嵌合部14aは、インジェクタ30の本体31を嵌合して固定するべく、軸線L1を中心とする円筒状に形成されている。
連通路14bは、嵌合部14aの下流側に連続して、嵌合部14aよりも小径の軸線L1を中心とする円筒状に形成され、インジェクタ30の先端部32が挿入されると共にベンチュリ部13に開口している。
嵌合部14a及び連通路14bの軸線L1は、
図2に示すように、吸気通路12の軸線Lに対して所定の鋭角な角度θをなして下流側を向くように方向付けられている。
【0025】
下流側接続部15は、アシストエア通路部材40を構成する第1分岐通路部材42の下流側端部42aを接続するものであり、アシストエアを噴き出す第1エア噴出口15aを備えている。
第1エア噴出口15aは、ベンチュリ部13の領域において、連通路14bに開口する。また、第1エア噴出口15aは、インジェクタ30の燃料噴出口32aよりも下流側に配置され、インジェクタ30の軸線L1方向に対して略直交する方向にアシストエアを噴き出すように方向付けられている。
【0026】
下流側接続部16は、アシストエア通路部材40を構成する第2分岐通路部材43の下流側端部43aを接続するものであり、アシストエアを噴き出す第2エア噴出口16aを備えている。
第2エア噴出口16aは、ベンチュリ部13よりも下流側の領域において吸気通路12に開口し、又、吸気通路12の軸線Lに対して直交する方向にアシストエアを噴き出すように方向付けられている。
【0027】
上流側接続部17は、アシストエア通路部材40を構成する上流側通路部材41の上流側端部41aを接続するものであり、吸気通路12からアシストエアを取り込むエア取り込み口17aを備えている。
エア取り込み口17aは、ベンチュリ部13よりも上流側でかつスロットルバルブ20よりも上流側において、吸気通路12に開口する。
ここで、エア取り込み口17aは、吸気通路12の軸線Lに対して直交する方向に開口して形成されているが、通路抵抗及び流れ損失を低減するべく、軸線Lに対して鋭角な角度をなして下流側に取り込まれるように方向付けられてもよい。
【0028】
スロットルバルブ20は、吸気通路部材10を構成する第2吸気通路部材10bに対して、回動自在に支持されている。
そして、スロットルバルブ20は、所定の駆動源(不図示)により回転駆動されて、ベンチュリ部13よりも上流側において吸気通路12を開閉するようになっている。
【0029】
インジェクタ30は、外輪郭を画定する本体31、本体31よりも小径をなす先端部32、先端部32に形成された燃料噴出口32a、制御ユニット70に電気的に接続されるコネクタ33を備え、制御ユニット70から出力される制御信号に基づいて作動する電磁駆動式のプランジャ(不図示)を内蔵している。
【0030】
そして、インジェクタ30は、本体31が吸気通路部材10(第1吸気通路部材10a)の嵌合部14aに嵌合され、先端部32が連通孔14bに挿入されることにより、吸気通路部材10に固定される。
ここで、燃料噴出口32aは、連通路14bを介して、ベンチュリ部13に開口するように配置されている。
また、インジェクタ30の燃料噴射口32aは、一つ又は複数個設けられて燃料を噴射するように形成されている。
ここで、一つの燃料噴射口32aで噴射する1スプレー形式の場合、噴霧は、
図3に示すように、軸線L,L1を含む平面に対して面対称的に、かつ、軸線L1に対して下流側に偏倚する方向に噴霧の中心が方向付けられた一つの円錐状をなす形態となる。
また、二つの燃料噴射口32aで噴射する2スプレー形式の場合、噴霧は、
図4に示すように、軸線L,L1を含む平面に対して面対称的に、かつ、軸線L1に対して下流側に偏倚する方向に二つの噴霧の中心が方向付けられた二つの円錐状をなす状態となる。
尚、上記噴霧の形態は、一例であって、これに限るものではなく、その他の形態をなすように燃料が噴射されてもよい。
【0031】
ここでは、インジェクタ30が、ベンチュリ部13を画定する吸気通路部材10(第1吸気通路部材10a)に取り付けられているため、シリンダヘッド2とは別個に取り扱うことができる。それ故に、ベンチュリ部13に対するインジェクタ30(燃料噴出口32a)の位置決め及び方向付けを高精度に行うことができる。
【0032】
アシストエア通路部材40は、吸気通路部材10の外側に配置されており、上流側通路部材41、上流側通路41から分岐する第1分岐通路部材42、上流側通路部材41から分岐する第2分岐通路部材43により構成されている。
上流側通路部材41は、上流側端部41aが上流側接続部17に接続されて、吸気通路12からアシストエアを取り込むエア取り込み口17aに連通する上流側アシストエア通路41bを画定する。
【0033】
第1分岐通路部材42は、下流側端部42aが下流側接続部15に接続されて、上流側アシストエア通路41bから分岐して第1エア噴出口15aに連通する第1下流側アシストエア通路42bを画定する。
第2分岐通路部材43は、下流側端部43aが下流側接続部16に接続されて、上流側アシストエア通路41bから分岐して第2エア噴出口16aに連通する第2下流側アシストエア通路43bを画定する。
また、第2分岐通路部材43は、その途中において、調整弁50を収容する収容部43cを備えている。
【0034】
すなわち、第1アシストエア通路は、上流側アシストエア通路41bと第1下流側アシストエア通路42bにより構成されている。また、第2アシストエア通路は、上流側アシストエア通路41bと第2下流側アシストエア通路43bにより構成されている。
そして、吸気通路12を流れる吸気の一部が、アシストエアとしてエア取り込み口17aから取り込まれて、上流側アシストエア通路41b及び第1下流側アシストエア通路42bからなる第1アシストエア通路を経てベンチュリ部13の領域に位置する第1エア噴出口15aから連通路14b内に噴き出し、又、上流側アシストエア通路41b及び第2下流側アシストエア通路43bからなる第2アシストエア通路を経てベンチュリ部13よりも下流側に位置する第2エア噴出口16aから吸気通路12内に噴き出すようになっている。
【0035】
第1エア噴出口15aから噴き出すアシストエアの流れは、ベンチュリ部13によるベンチュリ効果が寄与するものであり、ベンチュリ部13を設けない場合に比べると、スロットルバルブ20が全開の状態であっても、アシストエアとしての所望の流量を確保することができる。また、第2エア噴出口16aから噴き出すアシストエアの流れは、主として、吸気行程に伴う吸気通路12からピストン2に向けての吸込み作用による。
そして、第1エア噴出口15aから噴き出すアシストエアは、インジェクタ30から噴射される噴霧燃料の微粒化を促進し、第2エア噴出口16aから噴き出すアシストエアは、インジェクタ30と吸気バルブ4の間の吸気通路12において、
図3又は
図4に示すように噴射される噴霧燃料が吸気通路12の壁面に付着するのを抑制ないし防止する。
【0036】
調整弁50は、第1アシストエア通路(41b,42b)と第2アシストエア通路(41b,43b)を流れるアシストエアの流量割合を調整するものであり、第2分岐通路部材43の収容部43cに収容されて、第2下流側アシストエア通路43bを全開又は全閉すると共に、所望される開度(通路面積)に調整し得るものである。
ここで、調整弁50は、ステッピングモータ等により回転駆動されるロータリ弁として示されている。尚、調整弁としては、ソレノイド等によりデューティ制御されるポペット弁、その他の形態をなす開閉弁又は絞り弁を採用してもよい。
また、調整弁50は、制御ユニット70により駆動制御されるが、その駆動方法としては、第2下流側アシストエア通路43bを全閉又は全開するだけのオン/オフ駆動制御、又は、内燃エンジンの運転状態に応じて第2下流側アシストエア通路43bの開度を調整する駆動制御を選択することができる。
【0037】
エアクリーナ60は、吸気通路部材10の上流側に配置されるべく、第3吸気通路部材10cの上流側端部に接続されている。
制御ユニット70は、内燃エンジンE及び内燃エンジンEを搭載した車両に関する種々の情報に基づいて種々の制御を司るものであり、スロットルバルブ20の駆動源、インジェクタ30、調整弁50等を駆動制御する。
ここで、調整弁50の駆動制御においては、内燃エンジンEの運転モード、例えば、始動時やアイドル時の低負荷運転モード、定常走行時や加速時の中高負荷運転モードに応じて、エンジン回転数、吸気圧力、スロットルバルブ20の開度、吸気温度等の種々の情報に基づき、調整弁50の駆動モードが予め制御マップとして制御ユニット70の記憶部に記憶されている。
【0038】
そして、制御ユニット70は、内燃エンジンEが始動時又はアイドル時の低負荷運転モードにあるとき第2アシストエア通路(第2下流側アシストエア通路43b)を全閉し、内燃エンジンEが低負荷運転モード以外の中高負荷運転モードにあるとき第2アシストエア通路(第2下流側アシストエア通路43b)を全開するべく、調整弁50を駆動制御することができる。
この場合、制御が簡単であり、制御回路の簡略化、コスト増加の抑制等を達成することができる。
また、制御ユニット70は、内燃エンジンEが始動時又はアイドル時の低負荷運転モードにあるとき第2アシストエア通路(第2下流側アシストエア通路43b)を全閉し又は第2アシストエア通路(第2下流側アシストエア通路43b)の流量割合を減少させ、内燃エンジンEが低負荷運転モード以外の中高負荷運転モードにあるとき第2アシストエア通路(第2下流側アシストエア通路43b)の流量割合を負荷に応じて増加させるべく、調整弁50を駆動制御することができる。
この場合、第1アシストエア通路(41b,42b)と第2アシストエア通路(41b,43b)を流れるアシストエアの流量割合を、内燃エンジンEの運転状態に応じて高精度に調整することができ、噴霧燃料の微粒化促進と、燃料の壁面付着を効果的に抑制ないし防止することができる。
【0039】
次に、上記構成をなす燃料噴射吸気装置の動作について説明する。
内燃エンジンEが始動時及びアイドル時の低負荷運転モードにあるとき、調整弁50は、制御ユニット70により、第2アシストエア通路(第2下流側アシストエア通路43b)を全閉にするべく駆動制御される。
そして、この運転モードにおける吸気行程において、外部の空気が、エアクリーナ60を介して吸気通路12内に吸い込まれると、吸い込まれた空気(吸気)は、吸気通路12の一部としてのベンチュリ部13を流れる。
【0040】
同時に、インジェクタ30が適宜駆動制御されて、加圧された燃料が燃料噴射口32aからベンチュリ部13の領域において吸気通路12内に噴射される。
これにより、空気と燃料が混ざり合った噴霧状の混合気が、吸気ポート3aから燃焼室内に流れ込む。
また、エア取り込み口17aから取り込まれたアシストエアは、第1アシストエア通路(41b,42b)を経て、ベンチュリ部13の領域に配置された第1エア噴出口15aから噴き出す。
これにより、アシストエアが混合気に作用して、噴霧燃料の微粒化を促進する。
特に、第1エア噴出口15aから噴き出すアシストエアが、インジェクタ30の軸線L1方向に対して略直交する方向から噴き出すため、撹拌作用が加わり噴射燃料の微粒化をより促進できる。
【0041】
ここでは、第1エア噴出口15aが、燃料噴出口32aよりも下流側の連通路14bにおいて開口し、ベンチュリ部13に直接露出するように形成されているため、第1エア噴出口15aの領域の吸気圧力とエア取り込み口17aの領域の吸気圧力との圧力差が十分確保されて、所望するベンチュリ効果が得られる。
【0042】
続いて、内燃エンジンEが低負荷運転モード以外の運転モード、すなわち、定常運転や加速時の中高負荷運転モードにあるとき、調整弁50は、制御ユニット70により、第2アシストエア通路(第2下流側アシストエア通路43b)を全開にするように駆動制御される。
この運転モードにおいては、エア取り込み口17aから取り込まれたアシストエアは、第1アシストエア通路(41b,42b)を経て、ベンチュリ部13の領域に配置された第1エア噴出口15aから噴き出すと共に、第2アシストエア通路(41b,43b)を経て、ベンチュリ部13よりも下流側に配置された第2エア噴出口16aから噴き出す。
これにより、第1噴出口15aから噴き出したアシストエアが混合気に作用して、噴霧燃料の微粒化を促進する。また、第2噴出口16aから噴き出したアシストエアが混合気に作用して、混合気中の燃料が吸気通路12の壁面へ付着するのを抑制ないし防止する。
また、上記のように調整弁50を駆動制御することにより、制御が簡単であり、制御回路の簡略化、コスト増加の抑制等を達成することができる。
【0043】
一方、内燃エンジンEが上記の低負荷運転モードにあるとき、調整弁50は、制御ユニット70により、第2アシストエア通路(第2下流側アシストエア通路43b)を全閉し又は第2アシストエア通路(第2下流側アシストエア通路43b)の流量割合を減少させ、内燃エンジンEが低負荷運転モード以外の中高負荷運転モードにあるとき第2アシストエア通路(第2下流側アシストエア通路43b)の流量割合を負荷に応じて増加させるべく、調整弁50が駆動制御されてもよい。
【0044】
この場合、第1アシストエア通路(41b,42b)と第2アシストエア通路(41b,43b)を流れるアシストエアの流量割合を、内燃エンジンEの運転状態に応じて高精度に調整することができ、噴霧の微粒化促進と、燃料の壁面付着を効果的に抑制ないし防止することができる。
【0045】
上記構成の燃料噴射吸気装置においては、アシストエアが、スロットルバルブ20よりも上流側から取り込まれるため、吸気通路12内の圧力を適宜測定することにより、燃料噴射量あるいは空燃比の制御を適切に行うことができる。
【0046】
第1実施形態に係る燃料噴射吸気装置によれば、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、内燃エンジンの運転状態に応じて、噴霧燃料の微粒化を促進でき、又、燃料が吸気通路12の壁面に付着するのを抑制ないし防止することができる。
【0047】
図5は、第1実施形態における第2エア噴出口16aの位置を変更した第2実施形態を示すものであり、第1実施形態と同一の機能をなす構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態において、第2アシストエア通路43bの第2エア噴出口16a
2は、ベンチュリ部13よりも下流側で、
図3又は
図4に示すように燃料噴射口32aから噴射される噴霧燃料に対向する領域に配置されている。
【0048】
これによれば、燃料噴射口32aから噴射された燃料が、第2エア噴出口16a2から噴出するアシストエアが噴射燃料と効率よく衝突するため、当該領域の壁面に燃料が付着するのを効率よく抑制ないし防止することができる。
【0049】
第2実施形態に係る燃料噴射吸気装置によれば、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、内燃エンジンの運転状態に応じて、噴霧燃料の微粒化を促進でき、又、燃料が吸気通路12の壁面に付着するのを抑制ないし防止することができる。
尚、
図5に示す第2分岐通路部材43は模式的に示したものである。したがって、第2分岐通路部材43は、流体力学的な通路抵抗や流れ損失を考慮して、最適な経路でレイアウトされるのが好ましい。
【0050】
図6は、第1実施形態におけるエア取り込み口17aの位置を変更した第3実施形態を示すものであり、第1実施形態と同一の機能をなす構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第3実施形態においては、上流側接続部17は、スロットルバルブ20よりも下流側において、吸気通路部材10(第1吸気通路部材10a)に設けら
れ、吸気通路12からアシストエアを取り込むエア取り込み口17a
2を備えている。
エア取り込み口17a
2は、ベンチュリ部13よりも上流側でかつスロットルバルブ20よりも下流側において、吸気通路12に開口する。
【0051】
第3実施形態によれば、前述の実施形態と同様に、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、内燃エンジンの運転状態に応じて、噴霧燃料の微粒化を促進でき、又、燃料が吸気通路12の壁面に付着するのを抑制ないし防止することができる。
また、圧力センサ等を設けることなく、スロットルバルブ20の開度情報のみで、吸気通路12内を流れる空気量を算出することができ、燃料噴射量あるいは空燃比の制御を適切に行うことができる。
【0052】
図7及び
図8は、第1実施形態におけるエア噴出口15aの向きを変更した第4実施形態を示すものであり、第1実施形態と同一の機能をなす構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第4実施形態においては、下流側接続部15は、インジェクタ30の取付け部14の近傍上流側において、吸気通路部材10(第1吸気通路部材10a)に設けられ、アシストエアを噴き出す第1エア噴出口15a
2を備えている。
第1エア噴出口15a
2は、燃料噴出口32aの下流側に連通する連通路14bに対して斜め方向から隣接してベンチュリ部13の領域に開口する。
すなわち、第1エア噴出口15a
2は、
図8に示すように、インジェクタ30の軸線L1方向に対して僅かに傾斜した状態から略平行に近い角度範囲、すなわち、アシストエアの噴出方向と軸線L1との挟角が角度θよりも小さい角度範囲において適切な角度位置に方向付けられている。これにより、第1エア噴出口15a
2から噴き出すアシストエアは、噴射される燃料に沿って噴き出すように方向付けられる。
【0053】
第4実施形態によれば、前述の実施形態と同様に、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、内燃エンジンの運転状態に応じて、噴霧燃料の微粒化を促進でき、又、燃料が吸気通路12の壁面に付着するのを抑制ないし防止することができる。
また、第1エア噴出口15a2から噴出するアシストエアが、噴射される燃料に沿って噴き出すように形成されているため、噴射燃料を必要以上に乱すことなく、吸気通路12の下流側に方向付けつつ噴霧燃料の微粒化を促進することができる。
【0054】
図9は、第4実施形態における第2エア噴出口16aの位置を変更した第5実施形態を示すものであり、第4実施形態と同一の機能をなす構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第5実施形態において、第2アシストエア通路43bの第2エア噴出口16a
2は、ベンチュリ部13よりも下流側で、
図3又は
図4に示すように燃料噴射口32aから噴射される噴霧燃料に対向する領域に配置されている。
【0055】
これによれば、燃料噴射口32aから噴射された燃料が、第2エア噴出口16a2から噴出するアシストエアが噴射燃料と効率よく衝突するため、当該領域の壁面に燃料が付着するのを効率よく抑制ないし防止することができる。
【0056】
第5実施形態に係る燃料噴射吸気装置によれば、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、内燃エンジンの運転状態に応じて、噴霧燃料の微粒化を促進でき、又、燃料が吸気通路12の壁面に付着するのを抑制ないし防止することができる。
尚、
図9に示す第2分岐通路部材43は模式的に示したものである。したがって、第2分岐通路部材43は、流体力学的な通路抵抗や流れ損失を考慮して、最適な経路でレイアウトされるのが好ましい。
【0057】
図10は、第4実施形態におけるエア取り込み口17aの位置を変更した第6実施形態を示すものであり、第4実施形態と同一の機能をなす構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第6実施形態においては、上流側接続部17は、スロットルバルブ20よりも下流側において、吸気通路部材10(第1吸気通路部材10a)に設けられ 、吸気通路12からアシストエアを取り込むエア取り込み口17a
2を備えている。
エア取り込み口17a
2は、ベンチュリ部13よりも上流側でかつスロットルバルブ20よりも下流側において、吸気通路12に開口する。
【0058】
第6実施形態によれば、前述の実施形態と同様に、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、内燃エンジンの運転状態に応じて、噴霧燃料の微粒化を促進でき、又、燃料が吸気通路12の壁面に付着するのを抑制ないし防止することができる。
また、圧力センサ等を設けることなく、スロットルバルブ20の開度情報のみで、吸気通路12内を流れる空気量を算出することができ、燃料噴射量あるいは空燃比の制御を適切に行うことができる。
【0059】
図11及び
図12は、第6実施形態におけるアシストエア通路部材40を廃止して、第1アシストエア通路18及び第2アシストエア通路19を吸気通路部材10に一体的に備えた第7実施形態を示すものであり、第6実施形態と同一の機能をなす構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第7実施形態においては、吸気通路部材10の一部をなす第1吸気通路部材10aに対して、第1アシストエア通路18及び第2アシストエア通路19が一体的に形成されている。
【0060】
第1アシストエア通路18は、第1エア取り込み口18a、第1エア噴出口18bにより形成されている。
第1エア取り込み口18aは、第2吸気通路部材10bが接続される第1吸気通路部材10aの上流側端部の端面上において溝状に形成されて吸気通路12と連通している。
第1エア噴出口18bは、燃料噴出口32aの下流側に連通する連通路14bに対して斜め方向から隣接してベンチュリ部13の領域に開口する。
すなわち、第1エア噴出口18bは、
図12に示すように、インジェクタ30の軸線L1方向に対して僅かに傾斜した状態から略平行に近い角度範囲、すなわち、アシストエアの噴出方向と軸線L1との挟角が角度θよりも小さい角度範囲において適切な角度位置に方向付けられている。これにより、第1エア噴出口18bから噴き出すアシストエアは、噴射される燃料に沿って噴き出すように方向付けられる。
これによれば、第1エア噴出口18bから噴出するアシストエアが、噴射される燃料に沿って噴き出すため、噴射燃料を必要以上に乱すことなく、吸気通路12の下流側に方向付けつつ噴霧燃料の微粒化を促進することができる。
【0061】
第2アシストエア通路19は、第2エア取り込み口19a、第2エア噴出口19b、調整弁50が介在する介在部19cにより形成されている。
第2エア取り込み口19aは、第2吸気通路部材10bが接続される第1吸気通路部材10aの上流側端部の端面上において溝状に形成されて吸気通路12と連通している。
第2エア噴出口19bは、ベンチュリ部13よりも下流側で、
図3又は
図4に示すように燃料噴射口32aから噴射される噴霧燃料に対向する領域に配置されている。
これによれば、第2エア噴出口19bから噴出するアシストエアが、燃料噴射口32aから噴射された燃料と効率よく衝突するため、当該領域の壁面に燃料が付着するのを効率よく抑制ないし防止することができる。
【0062】
第7実施形態によれば、前述の実施形態と同様に、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、内燃エンジンの運転状態に応じて、噴霧燃料の微粒化を促進でき、又、燃料が吸気通路12の壁面に付着するのを抑制ないし防止することができる。
また、圧力センサ等を設けることなく、スロットルバルブ20の開度情報のみで、吸気通路12内を流れる空気量を算出することができ、燃料噴射量あるいは空燃比の制御を適切に行うことができる。
さらに、第1アシストエア通路18及び第2アシストエア通路19が、吸気通路部材10に一体的に形成されているため、専用の吸気通路部材40が不要になり、その分だけ、部品の削減及び低コスト化を達成することができる。
また、第1エア取り込み口18a及び第2エア取り込み口19aが、第2吸気通路部材10bの上流側端部の端面上に溝状に形成されているため、第1吸気通路部材10aに対して上流側及び下流側の両端部から機械加工等を施すことにより、第1アシストエア通路18及び第2アシストエア通路19を容易に形成することができる。
【0063】
図13は、第7実施形態における第2アシストエア通路19を第2アシストエア通路119に変更しかつシリンダヘッド3に第2アシストエア通路9を設けた第8実施形態を示すものであり、第7実施形態と同一の機能をなす構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第8実施形態においては、吸気通路部材10の一部をなす第1吸気通路部材10aに対して、第1アシストエア通路18及び第2アシストエア通路119が一体的に形成されている。また、内燃エンジンEのシリンダヘッド3に対して、第2アシストエア通路9が形成されている。
【0064】
第2アシストエア通路119は、第2エア取り込み口19a、第2エア連通口119b、調整弁50が介在する介在部19cにより形成されている。
第2アシストエア通路9は、第2エア連通口119bに連通する開口部9a、吸気ポート3aに開口する第2エア噴出口9bにより形成されている。
開口部9aは、第2エア連通口119bに連通するように配置される。
第2エア噴出口9bは、湾曲する吸気ポート3aにおいて、混合気の流速が遅くなる内側の湾曲壁において開口する。
これによれば、第2エア噴出口9bから噴出するアシストエアが、吸気ポート3aを流れる混合気を攪拌するように噴出するため、流速の遅い領域や淀み領域の壁面に燃料が付着するのを効率よく抑制ないし防止することができる。
【0065】
第8実施形態によれば、前述の実施形態と同様に、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、内燃エンジンの運転状態に応じて、噴霧燃料の微粒化を促進でき、又、燃料が吸気通路の一部をなす吸気ポート3aの壁面に付着するのを抑制ないし防止することができる。
また、圧力センサ等を設けることなく、スロットルバルブ20の開度情報のみで、吸気通路12内を流れる空気量を算出することができ、燃料噴射量あるいは空燃比の制御を適切に行うことができる。
さらに、第1アシストエア通路18及び第2アシストエア通路119が、吸気通路部材10に一体的に形成されているため、専用の吸気通路部材40が不要になり、その分だけ、部品の削減及び低コスト化を達成することができる。
また、第1エア取り込み口18a及び第2エア取り込み口119aが、第2吸気通路部材10bの上流側端部の端面上に溝状に形成されているため、第1吸気通路部材10aに対して上流側及び下流側の両端部から機械加工等を施すことにより、第1アシストエア通路18及び第2アシストエア通路119を容易に形成することができる。
【0066】
上記実施形態においては、吸気通路12及びベンチュリ部13を画定する吸気通路部材として、第1吸気通路部材10a、第2吸気通路部材10b、及び第3吸気通路部材10cにより構成された吸気通路部材10を示したが、これに限定されるものではなく、一体形成された吸気通路部材を採用してもよい。
【0067】
上記実施形態においては、シリンダヘッド3とは別個に形成された吸気通路部材10においてベンチュリ部13を設けた構成を示したが、これに限定されるものではなく、シリンダヘッドに形成された吸気通路の一部にベンチュリ部を設けた構成を採用してもよい。
【0068】
上記実施形態においては、第1エア噴出口15aから噴出されるアシストエアの噴出方向が、インジェクタ30の軸線L1方向に対して略直交する向きに方向付けられた構成、あるいは、インジェクタ30の軸線L1方向に対して小さい傾斜角度で沿うように方向付けられた構成を示したが、これに限定されるものではなく、その他の配置構成を採用してもよい。
【0069】
上記実施形態においては、第2エア噴出口16a,16a2,19bから噴出されるアイストエアの噴出方向が、吸気通路12の壁面に垂直な向きに方向付けられた構成を示したが、これに限定されるものではなく、燃料の付着を効率よく抑制ないし防止できる形態であれば、その他の形態を採用してもよい。
また、第2エア噴出口16a,16a2,19bの配置場所は、上述の実施形態に限られるものではなく、インジェクタ30と吸気バルブ4との間の吸気通路において、燃料の付着が懸念される領域であれば、当該領域に設けることが好ましい。
【0070】
以上述べたように、本発明の燃料噴射吸気装置は、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、内燃エンジンの運転状態に応じて、噴霧燃料の微粒化を促進でき、又、燃料が吸気通路の壁面に付着するのを抑制ないし防止することができるため、二輪車、自動車等の車両に搭載される内燃エンジンの燃料噴射吸気装置として適用できるのは勿論のこと、その他の汎用エンジンの燃料噴射吸気装置としても有用である。
【符号の説明】
【0071】
E 内燃エンジン
3a 吸気ポート(吸気通路)
4 吸気バルブ
9 第2アシストエア通路
9b 第2エア噴出口
10 吸気通路部材
12 吸気通路
13 ベンチュリ部
15a,15a2 第1エア噴出口
16a,16a2 第2エア噴出口
17a,17a2 エア取り込み口
18 第1アシストエア通路
18a 第1エア取り込み口
18b 第1エア噴出口
19 第2アシストエア通路
19a 第2エア取り込み口
19b 第2エア噴出口
L1 軸線(燃料の噴出方向)
20 スロットルバルブ
30 インジェクタ
32a 燃料噴出口
40 アシストエア通路部材
41 上流側通路部材
41b 上流側アシストエア通路
42 第1分岐通路部材
42b 第1下流側アシストエア通路
43 第2分岐通路部材
43b 第2下流側アシストエア通路
50 調整弁
70 制御ユニット
119 第2アシストエア通路