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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】風呂システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20240426BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20240426BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240426BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20240426BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240426BHJP
   A61M 21/02 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
G16H20/00
F24H1/00
H04Q9/00 301D
A61B5/16 130
A61B5/11 100
A61M21/02 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020150927
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2022045364
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】小粥 文雄
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-225276(JP,A)
【文献】特開2016-101222(JP,A)
【文献】特開2019-032641(JP,A)
【文献】特開2014-130486(JP,A)
【文献】特許第6722911(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
F24H 1/00
F24H 15/196
H04Q 9/00
A61B 5/16
A61B 5/11
A61M 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内に貯留され、ユーザが入浴する貯留湯の温度である湯温を検出する湯温検出手段と、
前記ユーザが前記貯留湯への入浴を開始した入浴開始事実と、前記ユーザが前記貯留湯から退浴した退浴事実と、を検出する入浴検出手段と、
報知を行う報知手段と、を備えた風呂システムであって、
予め検出対象として特定された前記ユーザである特定ユーザについて、睡眠態勢を含む睡眠状態を検出する睡眠状態検出手段と、
前記入浴検出手段が前記特定ユーザについて前記入浴開始事実を検出してから前記退浴事実を検出するまでの経過時間である特定入浴時間と、前記特定入浴時間の計時終了時から前記睡眠状態検出手段が前記特定ユーザの前記睡眠態勢を検出するまでの経過時間である特定時間間隔と、を計時する計時手段と、
前記計時手段が計時した前記特定入浴時間及び前記特定時間間隔と、前記計時手段が前記特定入浴時間を計時しているときに前記湯温検出手段が検出した前記湯温である特定湯温と、前記計時手段が前記特定時間間隔を計時した後に前記睡眠状態検出手段が検出した前記睡眠状態である特定睡眠状態と、を関連付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記特定睡眠状態の質を判定し、前記記憶手段に記憶させる睡眠判定手段と、
前記報知手段に助言情報を報知させる決定手段と、をさらに備え、
前記決定手段は、関連付けられた前記特定湯温が前記特定ユーザが入浴するときの前記湯温と同じ又は近い前記特定睡眠状態の中から、前記睡眠判定手段に良質と判定された前記特定睡眠状態を抽出し、抽出した前記特定睡眠状態に関連付けられた前記特定入浴時間を基に退浴タイミングを算出し、抽出した前記特定睡眠状態に関連付けられた前記特定時間間隔及び算出した前記退浴タイミングを基に入眠タイミングを算出し、
前記助言情報は、前記退浴タイミング及び前記入眠タイミングを含むことを特徴とする風呂システム。
【請求項2】
前記決定手段は、前記記憶手段に記憶された全ての前記特定睡眠状態の中で前記睡眠判定手段に良質と判定された前記特定睡眠状態に関連付けられた前記特定湯温である推奨湯温を前記助言情報に含める請求項1記載の風呂システム。
【請求項3】
前記浴槽への湯張りを行う湯張り手段と、
前記湯張り手段に前記湯張りを指示する湯張り指示操作を前記ユーザから受ける湯張り入力手段と、をさらに備え、
前記決定手段は、前記湯張り入力手段が前記特定ユーザから前記湯張り指示操作を受けたときに、前記記憶手段に記憶された全ての前記特定睡眠状態の中で前記睡眠判定手段に良質と判定された前記特定睡眠状態に関連付けられた前記特定湯温である推奨湯温を前記湯張り手段が前記湯張りを行うときの前記湯温として設定する請求項1又は2記載の風呂システム。
【請求項4】
前記決定手段は、前記入浴検出手段が前記特定ユーザについて前記入浴開始事実を検出したときに前記助言情報を決定する請求項1乃至3のいずれか1項記載の風呂システム。
【請求項5】
前記浴槽への湯張りを行う湯張り手段と、
前記湯張り手段に前記湯張りを指示する湯張り指示操作を前記ユーザから受ける湯張り入力手段と、をさらに備え、
前記湯張り入力手段は、前記湯張りを行うときの前記湯温を設定する湯温設定操作を前記ユーザから受けることが可能であり、
前記決定手段は、前記湯張り入力手段が前記特定ユーザから前記湯温設定操作又は前記湯張り指示操作を受けたときに、前記湯温設定操作により設定された前記湯温に基づいて前記助言情報を決定する請求項1乃至4のいずれか1項記載の風呂システム。
【請求項6】
前記記憶手段は、複数の前記湯温のそれぞれに応じて予め規定された初期退浴タイミング及び初期入眠タイミングを含む初期助言情報を記憶しており、
前記決定手段は、前記記憶手段に前記特定睡眠状態が記憶されていない場合、前記記憶手段から前記特定ユーザが入浴するときの前記湯温に応じた前記初期助言情報を抽出して前記助言情報とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の風呂システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風呂システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の風呂システムの一例である宅内制御システムが開示されている。この宅内制御システムは、制御部、解析部及び蓄積部を含むサーバと、ユーザが身に着けて生活する生体センサと、生体センサ及びサーバと通信可能な端末と、制御部に制御される電子機器の1つである風呂給湯器とを備えている。
【0003】
生体センサによって検出されたユーザの生体情報は、端末を経由してサーバの蓄積部に蓄積される。サーバにおいて、解析部は、例えば、過去1カ月間の睡眠情報及び日中の活動量情報から適切な入眠時刻を算定し、さらに、適切な入眠時刻の所定時間前に入浴を終了するように、入浴終了時刻を算定する。制御部は、算定された入浴終了時刻に基づいて風呂給湯器を制御し、浴槽への給湯を行う。また、制御部は、端末を経由してユーザに入浴終了時刻を報知し、入浴を促す。
【0004】
こうして、この宅内制御システムでは、入眠の直前に入浴して寝つきが悪くなることを抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-228591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の宅内制御システムでは、日々の入浴において様々に変化する入浴条件と睡眠状態の質との関係を何ら考慮しない算出方法で、適切な入眠時刻の所定時間前に入浴を終了するように入浴終了時刻を算定するだけである。このため、この宅内制御システムでは、日々の入浴によって睡眠状態の質を向上させることが難しい。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、日々の入浴によって睡眠状態の質を向上させることができる風呂システムを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の風呂システムは、浴槽内に貯留され、ユーザが入浴する貯留湯の温度である湯温を検出する湯温検出手段と、
前記ユーザが前記貯留湯への入浴を開始した入浴開始事実と、前記ユーザが前記貯留湯から退浴した退浴事実と、を検出する入浴検出手段と、
報知を行う報知手段と、を備えた風呂システムであって、
予め検出対象として特定された前記ユーザである特定ユーザについて、睡眠態勢を含む睡眠状態を検出する睡眠状態検出手段と、
前記入浴検出手段が前記特定ユーザについて前記入浴開始事実を検出してから前記退浴事実を検出するまでの経過時間である特定入浴時間と、前記特定入浴時間の計時終了時から前記睡眠状態検出手段が前記特定ユーザの前記睡眠態勢を検出するまでの経過時間である特定時間間隔と、を計時する計時手段と、
前記計時手段が計時した前記特定入浴時間及び前記特定時間間隔と、前記計時手段が前記特定入浴時間を計時しているときに前記湯温検出手段が検出した前記湯温である特定湯温と、前記計時手段が前記特定時間間隔を計時した後に前記睡眠状態検出手段が検出した前記睡眠状態である特定睡眠状態と、を関連付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記特定睡眠状態の質を判定し、前記記憶手段に記憶させる睡眠判定手段と、
前記報知手段に助言情報を報知させる決定手段と、をさらに備え、
前記決定手段は、関連付けられた前記特定湯温が前記特定ユーザが入浴するときの前記湯温と同じ又は近い前記特定睡眠状態の中から、前記睡眠判定手段に良質と判定された前記特定睡眠状態を抽出し、抽出した前記特定睡眠状態に関連付けられた前記特定入浴時間を基に退浴タイミングを算出し、抽出した前記特定睡眠状態に関連付けられた前記特定時間間隔及び算出した前記退浴タイミングを基に入眠タイミングを算出し、
前記助言情報は、前記退浴タイミング及び前記入眠タイミングを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の風呂システムでは、特定ユーザの日々の入浴において様々に変化する入浴条件と睡眠状態の質との関係を示すデータを蓄積し、良質な睡眠が得られる入浴条件をより良い条件に更新する。そして、この風呂システムでは、特定ユーザが入浴するときの湯温に応じて、その時点で特に良質な睡眠が得られる入浴条件に基づく助言情報を決定して、特定ユーザに報知できる。その結果、助言情報を認識した特定ユーザは、助言情報を参考にして入浴することで、寝つきの良さ、寝ついた後の睡眠の深さ、寝起きの良さ等を得易くなる。
【0010】
したがって、本発明の風呂システムでは、日々の入浴によって睡眠状態の質を向上させることができる。
【0011】
決定手段は、記憶手段に記憶された全ての特定睡眠状態の中で睡眠判定手段に良質と判定された特定睡眠状態に関連付けられた特定湯温である推奨湯温を助言情報に含めることが望ましい。
【0012】
この場合、より良い睡眠が得られる推奨湯温を特定ユーザが認識できる。その結果、特定ユーザが必要に応じて、湯張りを行うときの湯温の設定を推奨湯温と一致させるために変更したり、入浴中の湯温を推奨湯温と一致させるために浴槽に湯又は水を追加したりすることができる。
【0013】
本発明の風呂システムは、浴槽への湯張りを行う湯張り手段と、湯張り手段に湯張りを指示する湯張り指示操作をユーザから受ける湯張り入力手段と、をさらに備えていることが望ましい。そして、決定手段は、湯張り入力手段が特定ユーザから湯張り指示操作を受けたときに、記憶手段に記憶された全ての特定睡眠状態の中で睡眠判定手段に良質と判定された特定睡眠状態に関連付けられた特定湯温である推奨湯温を湯張り手段が湯張りを行うときの湯温として設定することが望ましい。
【0014】
この場合、特定ユーザが湯張りを指示するときに、より良い睡眠が得られる湯温を湯張りを行うときの湯温として設定する手間を省くことができる。
【0015】
決定手段は、入浴検出手段が特定ユーザについて入浴開始事実を検出したときに助言情報を決定することが望ましい。
【0016】
この場合、特定ユーザが入浴中であるときの貯留湯の湯温に基づいて助言情報を報知できるので、助言情報の精度を向上させ易い。
【0017】
本発明の風呂システムは、浴槽への湯張りを行う湯張り手段と、湯張り手段に湯張りを指示する湯張り指示操作をユーザから受ける湯張り入力手段と、をさらに備えていることが望ましい。湯張り入力手段は、湯張りを行うときの湯温を設定する湯温設定操作をユーザから受けることが可能であることが望ましい。そして、決定手段は、湯張り入力手段が特定ユーザから湯温設定操作又は湯張り指示操作を受けたときに、湯温設定操作により設定された湯温に基づいて助言情報を決定することが望ましい。
【0018】
この場合、特定ユーザは、湯温設定操作又は湯張り指示操作をしたときに助言情報を認識できる。このため、特定ユーザは、その後の入浴から入眠までの行動予定を立て易い。
【0019】
記憶手段は、複数の湯温のそれぞれに応じて予め規定された初期退浴タイミング及び初期入眠タイミングを含む初期助言情報を記憶していることが望ましい。そして、決定手段は、記憶手段に特定睡眠状態が記憶されていない場合、記憶手段から特定ユーザが入浴するときの湯温に応じた初期助言情報を抽出して助言情報とすることが望ましい。
【0020】
この場合、本発明の風呂システムを特定ユーザが初めて利用するときから、特定ユーザに好適な助言情報を報知できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の風呂システムによれば、日々の入浴によって睡眠状態の質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施例1の風呂システムの模式図である。
図2図2は、実施例1の風呂システムのブロック図である。
図3図3は、実施例1の風呂システムにおいて実行される助言プログラムのフローチャートである。
図4図4は、実施例1の風呂システムにおいて実行される助言プログラムのフローチャートである。
図5図5は、実施例1の風呂システムにおいて実行される助言プログラムのフローチャートである。
図6図6は、助言情報決定サブルーチンのフローチャートである。
図7図7は、実施例2の風呂システムにおいて実行される助言プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の風呂システム1は、本発明の風呂システムの具体的態様の一例であり、住宅H1に適用されている。住宅H1には、台所R1、浴室R2及び寝室R3が設けられている。
【0025】
住宅H1には、少なくとも1人のユーザが居住している。寝室R3には、住宅H1に居住するユーザのうちの特定ユーザが利用するベッド8が設けられている。
【0026】
風呂システム1は、住宅H1に設置された給湯装置90と、浴室R2に設置された浴槽3と、寝室R3に設置された睡眠センサS3とを備えている。給湯装置90は、本発明の「湯張り手段」の一例である。睡眠センサS3は、本発明の「睡眠状態検出手段」の一例である。
【0027】
<給湯装置>
給湯装置90は、台所R1の流し台や浴室R2の混合水栓等に湯を供給する給湯運転、浴室R2の浴槽3への湯張りを行う湯張り運転、浴槽3内の湯を加熱する追い焚き運転、浴槽3に足し湯を行う足し湯運転、浴槽3内の湯の保温を行う保温運転等の風呂運転を実行可能である。給湯装置90の湯張り運転や足し湯運転によって浴槽3内に貯留され、ユーザが入浴する湯を貯留湯PW1とする。
【0028】
図1及び図2に示すように、給湯装置90は、湯温センサS1及び水位センサS2を有している。湯温センサS1は、本発明の「湯温検出手段」の一例である。水位センサS2は、本発明の「入浴検出手段」の一例である。
【0029】
湯温センサS1は、給湯装置90から浴槽3に送り出される湯の温度と、浴槽3から給湯装置90に戻される湯の温度との少なくとも一方を測定し、貯留湯PW1の温度である湯温を検出する。
【0030】
水位センサS2は、給湯装置90と浴槽3とを接続する配管内の圧力を測定する圧力センサを含んでいる。水位センサS2は、貯留湯PW1が静かな状態で圧力センサが測定する静水圧に基づいて、貯留湯PW1の水位を検出する。また、水位センサS2は、ユーザが貯留湯PW1への入浴を開始したときに圧力センサが測定する水圧の急激な増加に基づいて、ユーザが貯留湯PW1への入浴を開始した入浴開始事実を検出する。さらに、水位センサS2は、ユーザが貯留湯PW1から退浴したときに圧力センサが測定する水圧の急激な減少に基づいて、ユーザが貯留湯PW1から退浴した退浴事実を検出する。
【0031】
給湯装置90は、湯温センサS1の検出結果に基づいて湯温の高低を変化させたり、水位センサS2の検出結果に基づいて水位の高低を変化させたりして、貯留湯PW1の状態を調整可能である。
【0032】
また、風呂システム1は、台所R1に設置された台所リモコン10と、浴室R2に設置された浴室リモコン20と、寝室R2のベッド8を利用する特定ユーザが携帯する携帯端末30とを備えている。台所リモコン10、浴室リモコン20及び携帯端末30はそれぞれ、給湯装置90を操作して上述した給湯運転や湯張り運転等を実行させるための端末装置である。
【0033】
<台所リモコン>
図2に示すように、台所リモコン10は、第1制御部11、記憶手段19、第1入力部12、第1表示部13及び第1通信部15を有している。第1制御部11は、本発明の「決定手段」の一例である。第1入力部12は、本発明の「湯張り入力手段」の一例である。第1表示部13は、本発明の「報知手段」の一例である。
【0034】
第1制御部11は、マイコン、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成されており、台所リモコン10の動作に関する制御処理を実行する。また、第1制御部11は、後述する計時手段11C及び睡眠判定手段11Jを有している。
【0035】
記憶手段19は、図3図5に示す助言プログラムを含む各種の制御プログラムを記憶している。また、記憶手段19は、各種の制御プログラムを実行する際に用いる初期設定やデータテーブル等の情報を記憶している。さらに、記憶手段19は、各種の制御プログラムの実行によって各種の情報を適宜記憶したり、更新したりする。
【0036】
後で詳しく説明するように、記憶手段19は、図3図5に示す助言プログラムの初期設定として、初期推奨入浴時刻、初期推奨入眠時刻、初期推奨湯温、初期退浴タイミング、初期入眠タイミング等を含む初期助言情報を初期設定として記憶している。また、記憶手段19は、図3図5に示す助言プログラムの実行によって、特定入浴時間、特定時間間隔、特定睡眠状態、推奨入浴時刻、推奨入眠時刻、推奨湯温等の情報を適宜記憶したり、更新したりする。
【0037】
図2に示すように、第1入力部12は、複数の操作スイッチにより構成されており、給湯装置90の操作に関する入力、例えば、給湯装置90に湯張りを指示する湯張り指示操作や、湯張りを行うときの湯温を設定する湯温設定操作をユーザから受ける。第1表示部13は液晶パネル等であり、給湯装置90の状態や設定等に関する文字や画像等の各種情報について表示による報知を行う。
【0038】
第1通信部15は、給湯装置90と有線によって接続されており、給湯装置90との間で通信を行う。湯温センサS1及び水位センサS2の検出結果は、第1通信部15を経由して第1制御部11に伝達される。
【0039】
また、第1通信部15は、Wi-Fi(登録商標)による通信を行う電子回路を内蔵している。第1通信部15は、住宅H1内に設置された図示しない無線ルータ等を経由して、インターネット等のネットワークNW1や、ネットワークNW1に接続された外部サーバ9、40とネットワーク通信を行うことが可能となっている。外部サーバ9は、風呂システム1が利用するクラウドサーバである。外部サーバ40は、後述する睡眠センサS3の検出結果をデータ処理するクラウドサーバである。
【0040】
第1制御部11は、第1入力部12に対する入力に基づいて、給湯装置90、浴室リモコン20及び携帯端末30との間で第1通信部15を経由する情報の送受信を行ったり、第1表示部13によって給湯装置90の運転状況等の各種情報について表示による報知を行ったりする。また、第1制御部11は、第1通信部15を経由して、ネットワークNW1及び外部サーバ9、40と通信可能となっている。
【0041】
<浴室リモコン>
浴室リモコン20は、第2制御部21、第2入力部22、第2表示部23及び第2通信部25を有している。第2入力部22は、本発明の「湯張り入力手段」の一例である。第2表示部23は、本発明の「報知手段」の一例である。
【0042】
第2制御部21は、マイコン、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成されており、浴室リモコン20の動作に関する制御処理を実行する。
【0043】
第2入力部22は、複数の操作スイッチにより構成されており、給湯装置90の操作に関する入力、例えば湯張り指示操作や湯温設定操作をユーザから受ける。第2表示部23は、液晶パネル等であり、給湯装置90の状態や設定等に関する文字や画像等の各種情報について表示による報知を行う。
【0044】
第2通信部25は、給湯装置90と有線によって接続されており、給湯装置90との間で通信を行う。また、第2通信部25は、台所リモコン10の第1通信部15とも有線によって接続されており、台所リモコン10との間でも通信を行う。
【0045】
第2制御部21は、第2入力部22に対する入力に基づいて、給湯装置90及び浴室リモコン20との間で第2通信部25を経由する情報の送受信を行ったり、第2表示部23によって給湯装置90の運転状況等の各種情報について表示による報知を行ったりする。
【0046】
<携帯端末>
携帯端末30は、スマートフォン等の携帯電話や、携帯式のタブレット端末等である。携帯端末30は、台所R1、寝室R2又は住宅H1内の他の部屋において、特定ユーザに使用される。携帯端末30は、端末制御部31、タッチパネル32及び端末通信部35を有している。タッチパネル32は、本発明の「湯張り入力手段」の一例、かつ本発明の「報知手段」の一例である。
【0047】
端末制御部31は、マイコン、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成されており、携帯端末30の動作に関する制御処理を実行する。
【0048】
タッチパネル32は、文字や画像等の各種情報を表示するとともに、ユーザがタッチパネル32に触れて行う操作により、各種の入力を受ける。
【0049】
端末通信部35は、携帯電話の周波数帯を用いて行う通話を実行可能である。また、端末通信部35は、Wi-Fi(登録商標)による通信を行う電子回路を内蔵している。端末通信部35は、台所リモコン10の第1通信部15とWi-Fi(登録商標)による通信を行うことが可能であるとともに、住宅H1内に設置された図示しない無線ルータ等を経由して、ネットワークNW1、外部サーバ9、40及び後述する睡眠センサS3とネットワーク通信を行うことが可能となっている。
【0050】
端末制御部31は、外部サーバ9等からネットワークNW1及び端末通信部35を経由して、風呂システム1に係る専用プログラムをダウンロードし、実行することが可能である。この場合、タッチパネル32は、給湯装置90の操作に関する入力、例えば、給湯装置90に湯張りを指示する湯張り指示操作や、湯張りを行うときの湯温を設定する湯温設定操作をユーザから受ける。また、タッチパネル32は、給湯装置90の状態や設定等に関する文字や画像等の各種情報について表示による報知を行う。
【0051】
そして、端末制御部31は、タッチパネル32に対する入力に基づいて、台所リモコン10の第1制御部11との間で、端末通信部35及び第1通信部15を経由する情報の送受信を行うようになっている。端末制御部31から台所リモコン10の第1制御部11に伝達された情報は、必要に応じて浴室リモコン20の第2制御部21にも伝達される。
【0052】
<睡眠センサ>
睡眠センサS3の検出対象となるユーザは予め特定されており、本実施例では寝室R3のベッド8を利用する特定ユーザである。睡眠センサS3は、特定ユーザについて睡眠状態を検出する。
【0053】
睡眠状態は、実際に入眠しているか否かにかかわらずベッド8上で横になった態勢である睡眠態勢、睡眠態勢になった時刻、実際に入眠した時刻、寝つきの良さ、寝ついた後の睡眠の深さ、起床した時刻、寝起きの良さ等の情報を含んでいる。
【0054】
睡眠センサS3としては、既存の様々なセンサを利用できる。具体例としては、ベッド8内に設置されたり、検出対象の腕や体に装着されたりした加速度センサを利用して、検出対象の体動、呼吸、心拍数等を測定する睡眠センサ、検出対象の手首に装着された光学センサを利用して、検出対象の血流変化、心拍数、血圧等を測定する睡眠センサ、ベッド8の周辺に設置された音響センサを利用して、検出対象のいびきを含む呼吸、心拍数等を測定する睡眠センサ、検出対象の頭部に装着された脳波センサを利用して、検出対象の精神活動を測定する睡眠センサ等や、それらが組み合わされた睡眠センサが挙げられる。
【0055】
本実施例では、睡眠センサS3はベッド8内に設置されており、検出対象の特定ユーザが腕や体に装着する手間を省いている。
【0056】
睡眠センサS3は、ネットワークNW1や携帯端末30の端末通信部35とWi-Fi(登録商標)などの無線によって接続されている。睡眠センサS3の検出結果は、ネットワークNW1を経由して外部サーバ40でデータ処理され、第1通信部15を経由して第1制御部11に伝達される。
【0057】
<特定入浴時間、特定時間間隔、特定湯温、特定睡眠状態及び特定睡眠状態の質>
第1制御部11の計時手段11Cは、図3図5に示す助言プログラムの実行中に、特定入浴時間及び特定時間間隔を計時する。
【0058】
特定入浴時間は、水位センサS2が特定ユーザについて入浴開始事実を検出してから退浴事実を検出するまでの経過時間である。
【0059】
ここで、水位センサS2が入浴開始事実を検出したときの入浴者が特定ユーザであるか否かは、湯張り完了後に携帯端末30、台所リモコン10又は浴室リモコン20に対して特定ユーザの入浴の意思が入力されたか否かで判断される。
【0060】
例えば、携帯端末30、台所リモコン10又は浴室リモコン20に対して、「今から特定ユーザが入浴する」といった情報が入力されると、その後に水位センサS2が入浴開始事実を検出した場合、特定ユーザが入浴したと判断される。
【0061】
特定時間間隔は、特定入浴時間の計時終了時から睡眠センサS3が特定ユーザの睡眠態勢を検出するまでの経過時間である。
【0062】
湯温センサS1は、図3図5に示す助言プログラムの実行中において、特定湯温を検出する。特定湯温は、計時手段11Cが特定入浴時間を計時しているときに特定ユーザが入浴する貯留湯PW1の湯温である。
【0063】
睡眠センサS3は、図3図5に示す助言プログラムの実行中に、特定睡眠状態を検出する。特定睡眠状態は、計時手段11Cが特定時間間隔を計時した後に睡眠センサS3が検出した特定ユーザの睡眠状態である。
【0064】
記憶手段19は、図3図5に示す助言プログラムの実行中に、計時手段11Cが計時した特定入浴時間及び特定時間間隔と、湯温センサS1が検出した特定湯温と、睡眠センサS3が検出した特定睡眠状態と、を関連付けて記憶する。この際、記憶手段19は、特定睡眠状態に関連する入浴開始時刻、退浴時刻、入眠時刻、起床時刻等も記憶し、特定ユーザの日々の入浴及び睡眠の履歴データとして保存する。
【0065】
外部サーバ40と第1制御部11の睡眠判定手段11Jとは、図3図5に示す助言プログラムの実行中に、記憶手段19に記憶された特定睡眠状態の質を比較判定し、記憶手段19に記憶させる。外部サーバ40と第1制御部11の睡眠判定手段11Jとは、本発明の「睡眠判定手段」の一例である。
【0066】
より詳しくは、外部サーバ40により、睡眠センサS3の検出対象となり得る人の年齢や体重、身長等の体格に応じて予め記憶された睡眠状態に関するデータテーブルと、特定ユーザの年齢や体格等の情報と、睡眠センサS3が検出した特定睡眠状態(寝つきの良さ、寝ついた後の睡眠の深さ、実際に起床した時刻、寝起きの良さ等の情報)とを照合することで、特定睡眠状態の質の良し悪しに応じて点数を決定する。特定睡眠状態の質が良質であるほど、点数が高くなる。記憶手段19は、特定睡眠状態と外部サーバ40により決定された点数とを関連付けて記憶する。そして、睡眠判定手段11Jは、記憶手段19に記憶された複数の特定睡眠状態に付与された点数を比較し、質の高い特定睡眠状態を判定する。
【0067】
<特定ユーザに対する助言情報の報知>
風呂システム1では、給湯装置90の電源がオンになったときからオフになるときまで、第1制御部11が図3図5に示す助言プログラムを繰り返し実行することにより、特定ユーザに対して、推奨入浴時刻、推奨湯温、退浴タイミング及び入眠タイミングを含む助言情報を報知する。
【0068】
初めに、第1制御部11は、図3に示すステップS101において、特定ユーザに対する推奨入浴時刻を記憶手段19から読み出し、湯張り報知時刻を決定する。湯張り報知時刻は、給湯装置90が湯張り運転を実行するときの所要時間の分だけ推奨入浴時刻よりも早い時刻である。
【0069】
ここで、記憶手段19は、初期設定として、初期推奨入浴時刻、初期推奨入眠時刻、初期推奨湯温、初期退浴タイミング、初期入眠タイミング等を含む初期助言情報を初期設定として記憶している。
【0070】
初期助言情報は、良質な睡眠を得るためには退浴後に大きな勾配で深部体温が低下した頃に入眠することが好ましいという知見や、入浴時の湯温、退浴タイミング及び入眠タイミングと、睡眠状態の質との関係についての各種の試験データ等に基づいて、予め設定されている。初期助言情報は、複数の湯温のそれぞれに応じて予め規定された初期退浴タイミング及び初期入眠タイミングを含んでいる。
【0071】
特定ユーザが風呂システム1を初めて利用する場合、記憶手段19は初期推奨入浴時刻を記憶しているが、特定ユーザの日々の入浴によって更新される推奨入浴時刻は記憶していない。この場合、第1制御部11はステップS101において、初期推奨入浴時刻を推奨入浴時刻として記憶手段19から読み出し、湯張り報知時刻を決定する。
【0072】
次に、第1制御部11はステップS102に移行し、特定ユーザへの推奨入浴時刻が到来したか否かを判断する。ステップS102において「No」の場合、ステップS104に移行する。
【0073】
その一方、ステップS102において「Yes」の場合、ステップS103に移行する。そして、第1制御部11は、台所リモコン10の第1表示部13や携帯端末30のタッチパネル32を制御して、特定ユーザに湯張りを促す報知を行った後、ステップS104に移行する。
【0074】
ステップS102又はステップS103からステップS104に移行すると、第1制御部11は、湯温設定操作があったか否かを判断する。特定ユーザが台所リモコン10、浴室リモコン20又は携帯端末30によって湯温設定操作を行った場合や、特定ユーザとは異なるユーザが台所リモコン10又は浴室リモコン20によって湯温設定操作を行った場合、ステップS104において「Yes」となって、ステップS105に移行する。その一方、湯温設定操作がない場合、ステップS104において「No」となって、ステップS111に移行する。
【0075】
ステップS104からステップS105に移行すると、第1制御部11は、湯温設定操作に応じて湯張りを行うときの湯温を設定する。
【0076】
次に、第1制御部11はステップS106に移行し、特定ユーザが湯温設定操作を行ったか否かを判断する。特定ユーザが携帯端末30によって湯温設定操作を行った場合や、特定ユーザが台所リモコン10又は浴室リモコン20によって指示者が特定ユーザであると入力した上で湯温設定操作を行った場合、ステップS106において「Yes」となって、ステップS107に移行する。その一方、特定ユーザとは異なるユーザが台所リモコン10又は浴室リモコン20によって湯温設定操作を行った場合、ステップS106において「No」となって、ステップS111に移行する。
【0077】
ステップS106からステップS107に移行すると、第1制御部11は、図6に示す助言情報決定サブルーチンを開始し、ステップS501において、記憶手段19に特定睡眠状態が記憶されているか否かを判断する。
【0078】
特定ユーザが風呂システム1を初めて利用する場合、記憶手段19には特定睡眠状態が記憶されていない。この場合、ステップS503~S508によって助言情報を決定できないので、ステップS502に移行する。その一方、特定ユーザが風呂システム1を2回目以降に利用する場合、記憶手段19に特定睡眠状態が記憶されているので、ステップS503に移行する。
【0079】
ステップS501からステップS502に移行すると、第1制御部11は、特定ユーザが入浴するときの湯温(この場合は湯張りの湯温)に応じた初期助言情報を抽出し、初期退浴タイミングと、初期入眠タイミングと、初期推奨湯温と、を含む助言情報を決定する。そして、第1制御部11はこのサブルーチンを終了して、図3に示すステップS108に移行する。
【0080】
その一方、図6に示すステップS501からステップS503に移行すると、第1制御部11は、記憶手段19に記憶された特定睡眠状態の中で、関連付けられた特定湯温が特定ユーザが入浴するときの湯温(この場合は湯張りの湯温)と同じ又は近い特定睡眠状態のデータ群を参照する。
【0081】
次に、第1制御部11はステップS504に移行し、参照したデータ群の中から、睡眠判定手段11Jに特に良質と判定された特定睡眠状態(最も点数の高い特定睡眠状態)を抽出する。
【0082】
次に、第1制御部11はステップS505に移行し、抽出した特定睡眠状態に関連付けられた特定入浴時間を基に退浴タイミングを算出する。退浴タイミングは、例えば「今から何分後に退浴してください」や「何時何分に退浴してください」等の情報である。
【0083】
次に、第1制御部11はステップS506に移行し、抽出した特定睡眠状態に関連付けられた特定時間間隔、及びステップS505において算出した退浴タイミングを基に入眠タイミングを算出する。入眠タイミングは、例えば「今から何分後に入眠してください(睡眠態勢になってください)」や「何時何分に入眠してください(睡眠態勢になってください)」等の情報である。
【0084】
次に、第1制御部11はステップS507に移行し、記憶手段19に記憶された全ての特定睡眠状態の中で、睡眠判定手段11Jに特に良質と判定された特定睡眠状態(最も点数の高い特定睡眠状態)に関連付けられた特定湯温を推奨湯温とする。
【0085】
次に、第1制御部11はステップS508に移行し、ステップS505において算出した退浴タイミングと、ステップS506において算出した入眠タイミングと、ステップS507において決めた推奨湯温と、を含む助言情報を決定する。そして、第1制御部11はこのサブルーチンを終了して、図3に示すステップS108に移行する。
【0086】
ステップS107からステップS108に移行すると、第1制御部11は、決定した助言情報を報知する。具体的には、第1制御部11は、台所リモコン10の第1表示部13、浴室リモコン20の第2表示部23、又は携帯端末30のタッチパネル32を制御して、退浴タイミングに係る「今から何分後に退浴してください」、入眠タイミングに係る「今から何分後に入眠してください」、推奨湯温に係る「推奨湯温は何℃です」等の情報を表示によって報知する。
【0087】
次に、第1制御部11はステップS111に移行し、湯張り指示操作があったか否かを判断する。特定ユーザが台所リモコン10、浴室リモコン20又は携帯端末30によって湯張り指示操作を行った場合や、特定ユーザとは異なるユーザが台所リモコン10又は浴室リモコン20によって湯張り指示操作を行った場合、ステップS111において「Yes」となって、ステップS112に移行する。その一方、湯張り指示操作がない場合、ステップS111において「No」となって、ステップS102に戻る。
【0088】
ステップS111からステップS112に移行すると、第1制御部11は、特定ユーザが湯張り指示操作を行ったか否かを判断する。特定ユーザが携帯端末30によって湯張り指示操作を行った場合や、特定ユーザが台所リモコン10又は浴室リモコン20によって指示者が特定ユーザであると入力した上で湯張り指示操作を行った場合、ステップS112において「Yes」となって、図4に示すステップS121に移行する。その一方、特定ユーザとは異なるユーザが台所リモコン10又は浴室リモコン20によって湯張り指示操作を行った場合、図3に示すステップS112において「No」となって、ステップS113に移行する。
【0089】
ステップS112からステップS113に移行すると、第1制御部11は、給湯装置90を制御して浴槽3への湯張りを行う。そして、第1制御部11は、この助言プログラムを終了し、給湯装置90の電源がオフになるまでこの助言プログラムを繰り返し実行する。
【0090】
つまり、この助言プログラムでは、特定ユーザとは異なるユーザが湯温設定操作や湯張り指示操作を行って入浴した場合、助言情報を報知しない。
【0091】
図3に示すステップS112から図4に示すステップS121に移行すると、第1制御部11は、図6に示す助言情報決定サブルーチンを開始し、ステップS501~S508を実行する。そして、第1制御部11は助言情報を決定した後、このサブルーチンを終了し、図4に示すステップS122に移行する。
【0092】
ステップS121からステップS122に移行すると、第1制御部11は、決定した助言情報を報知する。ステップS122における報知の内容は、ステップS108と同様に、退浴タイミングに係る「今から何分後に退浴してください」、入眠タイミングに係る「今から何分後に入眠してください」、推奨湯温に係る「推奨湯温は何℃です」等の情報である。
【0093】
次に、第1制御部11はステップS123に移行し、湯温設定操作があったか否かを判断する。湯温設定操作がない場合、ステップS123において「No」となって、ステップS125に移行する。
【0094】
その一方、特定ユーザが報知された助言情報の推奨湯温を考慮して湯温を変更する湯温設定操作を行った場合、ステップS123において「Yes」となり、ステップS124に移行する。そして、第1制御部11は、湯温設定操作に応じて湯張りを行うときの湯温を設定した後、ステップS121に戻る。これにより、特定ユーザは、その変更した湯温に基づく助言情報の報知を受けることができる。
【0095】
ステップS123からステップS125に移行すると、第1制御部11は、給湯装置90を制御して浴槽3への湯張りを行う。
【0096】
次に、第1制御部11はステップS126に移行し、特定ユーザが入浴する意思があるか否かの判定を行う。これは、湯張り完了後に携帯端末30、台所リモコン10又は浴室リモコン20に対して特定ユーザの入浴の意思が入力されたか否かで判断される。例えば、携帯端末30、台所リモコン10又は浴室リモコン20に「今から特定ユーザが入浴する」といった情報が入力されると、その後に水位センサS2が入浴開始事実を検出した場合、特定ユーザが入浴したと判断する。
【0097】
ステップS126において「No」の場合、図3に示すように、この助言プログラムを終了し、給湯装置90の電源がオフになるまでこの助言プログラムを繰り返し実行する。
【0098】
その一方、図4に示すステップS126において「Yes」の場合、第1制御部11はステップS127に移行し、水位センサS2が特定ユーザについて入浴開始事実を検出したか否かを判断する。ステップS127において「No」の場合、ステップS127を繰り返す。そして、ステップS127において「Yes」になると、ステップS131に移行する。
【0099】
ステップS131に移行すると、第1制御部11の計時手段11Cは、水位センサS2が特定ユーザについて入浴開始事実を検出してから退浴事実を検出するまでの経過時間である特定入浴時間の計時を開始する。
【0100】
次に、第1制御部11はステップS132に移行し、湯温センサS1によって、定ユーザが入浴する貯留湯PW1の湯温である特定湯温を検出する。
【0101】
次に、第1制御部11はステップS133に移行して図6に示す助言情報決定サブルーチンを開始し、ステップS501~S508を実行する。ここで、ステップS502、S503における「特定ユーザが入浴するときの湯温」は、特定湯温である。そして、第1制御部11は助言情報を決定した後、このサブルーチンを終了し、図4に示すステップS134に移行する。
【0102】
ステップS133からステップS134に移行すると、第1制御部11は、浴室リモコン20の第2表示部23を制御して、入浴中の特定ユーザに決定した助言情報を報知する。ステップS134における報知の内容は、ステップS108、S122と同様に、退浴タイミングに係る「今から何分後に退浴してください」、入眠タイミングに係る「今から何分後に入眠してください」、推奨湯温に係る「推奨湯温は何℃です」等の情報である。
【0103】
次に、第1制御部11はステップS135に移行し、退浴タイミングが到来したか否かを判断する。ステップS135において「No」の場合、ステップS137に移行する。
【0104】
その一方、ステップS135において「Yes」の場合、ステップS136に移行する。そして、第1制御部11は、浴室リモコン20の第2表示部23を制御して、入浴中の特定ユーザに退浴タイミングの到来を報知した後、ステップS137に移行する。
【0105】
ステップS135又はステップS136からステップS137に移行すると、第1制御部11は、水位センサS2が退浴事実を検出したか否かを判断する。ステップS137において「No」の場合、ステップS135に戻る。そして、ステップS137において「Yes」になると、ステップS141に移行する。
【0106】
ステップS141に移行すると、第1制御部11の計時手段11Cは、特定入浴時間の計時を終了する。そして、計時手段11Cは、特定入浴時間の計時終了時から睡眠センサS3が特定ユーザの睡眠態勢を検出するまでの経過時間である特定時間間隔の計時を開始する。
【0107】
次に、第1制御部11は図5に示すステップS142に移行し、入眠タイミングが到来したか否かを判断する。ステップS142において「No」の場合、ステップS144に移行する。
【0108】
その一方、ステップS142において「Yes」の場合、ステップS143に移行する。そして、第1制御部11は、台所リモコン10の第1表示部13や、携帯端末30のタッチパネル32を制御して、退浴した特定ユーザに入眠タイミングの到来を報知した後、ステップS144に移行する。
【0109】
ステップS142又はステップS143からステップS144に移行すると、第1制御部11は、睡眠センサS3によって、特定ユーザがベッド8上で睡眠態勢になったか否かを判断する。ステップS144において「No」の場合、ステップS142に戻る。そして、ステップS144において「Yes」になると、ステップS145に移行する。
【0110】
ステップS145に移行すると、第1制御部11の計時手段11Cは、特定時間間隔の計時を終了する。
【0111】
次に、第1制御部11はステップS146に移行し、睡眠センサS3によって、ベッド8上で睡眠中の特定ユーザの特定睡眠状態を検出する。
【0112】
次に、第1制御部11はステップS147に移行し、睡眠センサS3によって、特定ユーザが起床したか否かを判断する。ステップS147において「No」の場合、ステップS146に戻る。そして、ステップS147において「Yes」になると、ステップS148に移行する。
【0113】
ステップS148に移行すると、第1制御部11は、睡眠センサS3による特定睡眠状態の検出を終了する。
【0114】
次に、第1制御部11はステップS151に移行し、記憶手段19によって、計時手段11Cが計時した特定入浴時間及び特定時間間隔と、湯温センサS1が検出した特定湯温と、睡眠センサS3が検出した特定睡眠状態と、を関連付けて記憶する。この際、記憶手段19は、特定睡眠状態に関連する入浴開始時刻、退浴時刻、入眠時刻、起床時刻等も記憶し、特定ユーザの日々の入浴及び睡眠の履歴データとして保存する。
【0115】
次に、第1制御部11はステップS152に移行し、外部サーバ40により、睡眠センサS3が検出した特定睡眠状態の質の良し悪しに応じて点数を決定し、特定睡眠状態と外部サーバ40により決定された点数とを関連付けて記憶手段19に記憶させる。そして、第1制御部11は、睡眠判定手段11Jにより、記憶手段19に記憶された複数の特定睡眠状態に付与された点数を比較し、質の高い特定睡眠状態を判定する。
【0116】
次に、第1制御部11はステップS153に移行し、ステップS152において外部サーバ40及び睡眠判定手段11Jにより質が高いと判定された特定睡眠状態と、その特定睡眠状態に関連付けられた各種の情報とに基づいて、より良い睡眠を得られる入浴条件、具体的には、推奨入浴時刻、推奨入眠時刻、推奨湯温等を更新して、記憶手段19に記憶させる。そして、第1制御部11は、図3に示すようにこの助言プログラムを終了し、給湯装置90の電源がオフになるまでこの助言プログラムを繰り返し実行する。
【0117】
<作用効果>
実施例1の風呂システム1では、図3図5に示す助言プログラムを実行することにより、特定ユーザの日々の入浴において様々に変化する入浴条件と睡眠状態の質との関係を示すデータを蓄積し、良質な睡眠が得られる入浴条件をより良い条件に更新する。
【0118】
具体的には、図4及び図5に示すステップS127~S145において、計時手段11Cは、特定入浴時間及び特定時間間隔を計時する。図4に示すステップS132において、湯温センサS1は、計時手段11Cが特定入浴時間を計時しているときに特定湯温を検出する。図5に示すステップS146~S148において、睡眠センサS3は、計時手段11Cが特定時間間隔を計時した後に特定睡眠状態を検出する。
【0119】
ステップS151において、記憶手段19は、計時手段11Cが計時した特定入浴時間及び特定時間間隔と、湯温センサS1が検出した特定湯温と、睡眠センサS3が検出した特定睡眠状態と、を関連付けて記憶する。
【0120】
ステップS152において、外部サーバ40は、睡眠センサS3が検出した特定睡眠状態の質の良し悪しに応じて点数を決定する。記憶手段19は、特定睡眠状態と外部サーバ40により決定された点数とを関連付けて記憶する。そして、睡眠判定手段11Jは、記憶手段19に記憶された複数の特定睡眠状態に付与された点数を比較し、質の高い特定睡眠状態を判定する。
【0121】
ステップS153において、第1制御部11は、外部サーバ40及び睡眠判定手段11Jにより質が高いと判定された特定睡眠状態と、その特定睡眠状態に関連付けられた各種の情報とに基づいて、より良い睡眠を得られる入浴条件、具体的には、推奨入浴時刻、推奨入眠時刻、推奨湯温等を更新して、記憶手段19に記憶させる。
【0122】
そして、この風呂システム1では、図3に示すステップS107、図4に示すステップS121、S133において、特定ユーザが入浴するときの湯温、具体的には、湯張りを行うときの湯温又は特定湯温に応じて、その時点で特に良質な睡眠が得られる入浴条件に基づく助言情報を決定する。これにより、図3に示すステップS108、図4に示すステップS122、S134、S136、図5に示すステップS143において、退浴タイミング、入眠タイミング、推奨湯温等を特定ユーザに報知できる。その結果、助言情報を認識した特定ユーザは、助言情報を参考にして入浴することで、寝つきの良さ、寝ついた後の睡眠の深さ、寝起きの良さ等を得易くなる。
【0123】
したがって、実施例1の風呂システム1では、日々の入浴によって睡眠状態の質を向上させることができる。
【0124】
また、この風呂システム1では、図5に示すステップS153において、第1制御部11は、記憶手段19に記憶された全ての特定睡眠状態の中で睡眠判定手段11Jに良質と判定された特定睡眠状態に関連付けられた特定湯温である推奨湯温を含む助言情報に決定する。そして、図3に示すステップS108、図4に示すS122、S134において、第1制御部11は、推奨湯温を含む助言情報を報知する。この構成により、より良い睡眠が得られる推奨湯温を特定ユーザが認識できる。その結果、特定ユーザが必要に応じて、湯張りを行うときの湯温の設定を推奨湯温と一致させるために変更したり、入浴中の湯温を推奨湯温と一致させるために浴槽3に湯又は水を追加したりすることができる。
【0125】
さらに、この風呂システム1では、図4に示すステップS127において、水位センサS2が特定ユーザについて入浴開始事実を検出したときに、第1制御部11は、ステップS132、S133において助言情報を決定し、ステップS134において助言情報を報知する。つまり、特定ユーザが入浴中であるときの貯留湯PW1の湯温に基づいて助言情報を報知できるので、助言情報の精度を向上させ易い。
【0126】
また、この風呂システム1では、第1制御部11は、図3に示すステップS104において、第1入力部12、第2入力部22及びタッチパネル32が特定ユーザから湯温設定操作を受けたときに、ステップS107において、湯温設定操作により設定された湯温に基づいて助言情報を決定する。また、ステップS111において、第1入力部12、第2入力部22及びタッチパネル32が特定ユーザから湯張り指示操作を受けたときに、図4に示すステップS121において、湯温設定操作により設定された湯温に基づいて助言情報を決定する。この構成により、特定ユーザは、湯温設定操作又は湯張り指示操作をしたときに助言情報を認識できる。このため、特定ユーザは、その後の入浴から入眠までの行動予定を立て易い。
【0127】
さらに、この風呂システム1では、記憶手段19は、複数の湯温のそれぞれに応じて予め規定された初期退浴タイミング及び初期入眠タイミングを含む初期助言情報を記憶している。そして、第1制御部11は、図6に示すステップS501において、記憶手段19に特定睡眠状態が記憶されていない場合、ステップS502に移行し、記憶手段19から特定ユーザが入浴するときの湯温に応じた初期助言情報を抽出して助言情報とする。この構成により、この風呂システム1を特定ユーザが初めて利用するときから、特定ユーザに好適な助言情報を報知できる。
【0128】
(実施例2)
実施例2の風呂システムでは、実施例1の風呂システム1に係る図3図5に示す助言プログラムのうちの図3に示すステップS101~S113について、図7に示すステップS201~S209に変更している。
【0129】
実施例2のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0130】
実施例2の風呂システムでは、給湯装置90の電源がオンになったときからオフになるときまで、第1制御部11が図4図5図7に示す助言プログラムを繰り返し実行することにより、特定ユーザに対して、推奨入浴時刻、推奨湯温、退浴タイミング及び入眠タイミングを含む助言情報を報知する。
【0131】
初めに、第1制御部11は、図7に示すステップS201~S203を実行する。ステップS201~S203の処理内容は、図3に示すS101~S103と同じであるので、説明は省略する。
【0132】
次に、第1制御部11はステップS204に移行し、特定ユーザから湯張り指示操作があったか否かを判断する。特定ユーザが携帯端末30によって湯温設定操作を行った場合や、特定ユーザが台所リモコン10又は浴室リモコン20によって指示者が特定ユーザであると入力した上で湯温設定操作を行った場合、ステップS204において「Yes」となって、ステップS205に移行する。その一方、特定ユーザから湯張り指示操作がない場合、ステップS204において「No」となって、ステップS206に移行する。
【0133】
ステップS204からステップS205に移行すると、第1制御部11は、記憶手段19に記憶された全ての特定睡眠状態の中で睡眠判定手段11Jに特に良質と判定された特定睡眠状態に関連付けられた特定湯温である推奨湯温を湯張りを行うときの湯温として設定する。
【0134】
その後、第1制御部11は、図4に示すステップS121に移行する。ステップS121以降の処理は、実施例1と同様であるので説明は簡略するが、ステップS122において助言情報を報知された特定ユーザは、湯張りを行うときの湯温を推奨湯温から変更したい場合、ステップS123、S124によって変更し、その変更した湯温に基づく助言情報の報知を受けることができる。
【0135】
図7に示すステップS204からステップS206に移行すると、第1制御部11は、特定ユーザとは異なるユーザから湯張り指示操作があったか否かを判断する。特定ユーザとは異なるユーザが台所リモコン10又は浴室リモコン20によって湯張り指示操作を行った場合、ステップS206において「Yes」となって、ステップS209に移行する。その一方、特定ユーザとは異なるユーザから湯張り指示操作がない場合、ステップS206において「No」となって、ステップS207に移行する。
【0136】
ステップS206からステップS209に移行すると、第1制御部11は、給湯装置90を制御して浴槽3への湯張りを行う。そして、第1制御部11はこの助言プログラムを終了し、給湯装置90の電源がオフになるまでこの助言プログラムを繰り返し実行する。
【0137】
ステップS206からステップS207に移行すると、第1制御部11は、湯温設定操作があったか否かを判断する。湯温設定操作がない場合、ステップS207において「No」となって、ステップS202に戻る。
【0138】
その一方、湯温設定操作があった場合、ステップS207において「Yes」となり、ステップS208に移行する。そして、第1制御部11は、湯温設定操作に応じて湯張りを行うときの湯温を設定した後、ステップS202に戻る。
【0139】
<作用効果>
実施例2の風呂システムでは、実施例1の風呂システム1と同様に、日々の入浴によって睡眠状態の質を向上させることができる。
【0140】
また、この風呂システムでは、図7に示すステップS204において、第1入力部12、第2入力部22及びタッチパネル32が特定ユーザから湯張り指示操作を受けたときに、第1制御部11はステップS205に移行し、推奨湯温を給湯装置90が湯張りを行うときの湯温として設定する。この構成により、特定ユーザが湯張りを指示するときに、より良い睡眠が得られる湯温を湯張りを行うときの湯温として設定する手間を省くことができる。
【0141】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0142】
例えば、台所リモコン10の第1表示部13、浴室リモコン20の第2表示部23又は携帯端末30のタッチパネル32が助言情報を特定ユーザに報知するときに、ブザー音や音声メッセージ等を併用してもよい。
【0143】
実施例1、2では、台所リモコン10の第1制御部11が決定手段であるとともに計時手段11C及び睡眠判定手段11Jを有し、台所リモコン10に記憶手段19が設けられているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、決定手段、計時手段11C、睡眠判定手段及び記憶手段が外部サーバ9に設けられており、台所リモコン10の第1制御部11が外部サーバ9に各種情報を随時伝達し、外部サーバ9から助言情報を取得して報知してもよい。また、外部サーバ40に代わり、外部サーバ9によって睡眠センサS3のデータ処理を行ってもよい。
【0144】
実施例1、2では、外部サーバ40により睡眠センサS3が検出した特定睡眠状態の質の点数を決定し、睡眠判定手段11Jにより記憶手段19に記憶された複数の特定睡眠状態に付与された点数を比較して質の高い特定睡眠状態を判定しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、実施例1、2で外部サーバ40が行う処理の全てについて、第1制御部11の睡眠判定手段11Jが実行するように変更した構成も本発明に含まれる。
【0145】
実施例1、2に係る台所リモコン10及び浴室リモコン20について助言情報を報知しないように変更し、携帯端末30のみが助言情報を報知するようにした構成も本発明に含まれる。
【0146】
実施例1、2に係る携帯端末30について、特定ユーザが風呂システム1に係る専用プログラムを起動させたときにも、すなわち、湯温設定操作又は湯張り指示操作をする前にも、助言情報を報知してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は例えば風呂が設置された住宅や施設等に利用可能である。
【符号の説明】
【0148】
1…風呂システム
3…浴槽
PW1…貯留湯
S1…湯温検出手段(湯温センサ)
S2…入浴検出手段(水位センサ)
13、23、32…報知手段(13…第1表示部、23…第2表示部、32…タッチパネル)
S3…睡眠状態検出手段(睡眠センサ)
11C…計時手段
19…記憶手段
40、11J…睡眠判定手段(40…外部サーバ)
11…決定手段(第1制御部)
90…湯張り手段(給湯装置)
12、22、32…湯張り入力手段(12…第1入力部、22…第2入力部、32…タッチパネル)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7