(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】バラ物貯留搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 53/52 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
B65G53/52
(21)【出願番号】P 2020162542
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】杉田 智洋
(72)【発明者】
【氏名】藤井 孝夫
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-203499(JP,A)
【文献】特開2009-046256(JP,A)
【文献】特開平11-020942(JP,A)
【文献】特開2015-229531(JP,A)
【文献】国際公開第2006/056849(WO,A2)
【文献】実開平03-004136(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 53/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口から投入されるバラ物を貯留するホッパと、
該ホッパから払い出されるバラ物を搬送し且つケーシングで囲われた搬送装置と、
前記ホッパから搬送装置へのバラ物の払出し時に発生する粉塵を捕集する集塵機とを備えたバラ物貯留搬送システムにおいて、
前記投入口に設けられた気密保持開閉バルブと、
前記搬送装置のケーシングとホッパの上部とを接続する集塵配管と、
前記ホッパの上部と集塵機とを接続する集塵ノズルと
を備えたバラ物貯留搬送システム。
【請求項2】
前記ホッパから搬送装置へのバラ物の払出しのみが行われる時に前記気密保持開閉バルブを閉じる制御信号を出力する制御器を備えた請求項1記載のバラ物貯留搬送システム。
【請求項3】
ニューマチックアンローダからのバラ物が前記投入口に投入される請求項1又は2記載のバラ物貯留搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラ物貯留搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、
図4に示される如く、穀物やバイオマスペレット等のバラ物Bを積載した船舶Sが出入する港湾Hの岸壁Wには、該船舶Sの貯槽S1の内部に貯留されたバラ物Bを吸い上げて払い出すためのニューマチックアンローダ100が配備されている。
【0003】
前記ニューマチックアンローダ100は、走行機構(図示せず)により船舶Sの長手方向(
図4の紙面と直交する方向)へ走行自在で且つ旋回機構(図示せず)により旋回自在に配設されたレシーバタンク200を備えている。
【0004】
前記レシーバタンク200の上部には、モータ300によって駆動されるルーツブロワ等の真空ポンプ301が空気吸引管302を介して接続されている。
【0005】
前記レシーバタンク200の側部には、横方向へ張り出し且つその軸線方向へ伸縮機構(図示せず)により伸縮自在な横管303が、起伏機構(図示せず)により起伏自在となるよう管継手304を介して接続されている。
【0006】
前記横管303の先端側には、その軸線方向へ伸縮機構(図示せず)により伸縮自在な縦管305がベンド管306を介して接続され、前記縦管305の下端には、前記貯槽S1の内部に貯留されたバラ物Bを吸い上げる吸引ノズル307が設けられている。
【0007】
前記レシーバタンク200の底部には、ロータリーフィーダ400が設けられている。
【0008】
尚、前記レシーバタンク200の内部には、真空ポンプ301側へバラ物Bが吸い込まれることを防止するためのフィルタ201が設けられている。
【0009】
又、前記空気吸引管302の途中には、バラ物Bの吸引過剰時に大気を吸入することによってバラ物Bの吸引量を低下させるための大気吸入弁308が設けられている。
【0010】
前記港湾Hに停泊した船舶Sの貯槽S1からバラ物Bを払い出す際には、先ず、ニューマチックアンローダ100を走行機構(図示せず)により走行させると共に、旋回機構(図示せず)により旋回させて位置決めする。
【0011】
続いて、横管303をその軸線方向へ伸縮機構(図示せず)により伸縮させて長さ調節しつつ起伏機構(図示せず)により起伏させる。
【0012】
更に、縦管305をその軸線方向へ伸縮機構(図示せず)により伸縮させて長さ調節し、吸引ノズル307を前記船舶Sの貯槽S1内部のバラ物Bの上面付近に配置する。
【0013】
この状態で、真空ポンプ301をモータ300により駆動すると、レシーバタンク200内部が負圧となり、バラ物Bが吸引ノズル307から縦管305と横管303とを介して前記レシーバタンク200内部に吸い上げられる。
【0014】
前記レシーバタンク200内部に吸い上げられたバラ物Bは、ロータリーフィーダ400の作動によりレシーバタンク200内部の気密性が保持されつつ、
図6又は
図7に示される如く、投入口510からホッパ500に投入されて貯留される。
【0015】
前記ホッパ500に貯留されたバラ物Bは、
図5又は
図6に示される如く、前記ホッパ500の底部に設けられたゲート520を開くことによって、コンベヤ等の搬送装置600に払い出されて搬送されるようになっている。
【0016】
前記ホッパ500から搬送装置600へのバラ物Bの払出し時には、粉塵が発生するため、前記搬送装置600はケーシング610で囲われ、該ケーシング610には、集塵配管710を介して集塵機700が接続されている。
【0017】
前記集塵機700で捕集された粉塵は、ダストノズル720を介してホッパ500に戻されるようになっている。
【0018】
前記ホッパ500の上部側面には、該ホッパ500の内外を連通させるベントノズル530が設けられている。尚、前記ベントノズル530には、フィルタ540が取り付けられ、粉塵の外部流出並びに異物の内部流入が防止されるようになっている。
【0019】
前記ホッパ500から搬送装置600へのバラ物Bの払出しのみが行われる場合、
図5に示される如く、集塵機700の能力としての集塵流量をX[m
3/min]とし、払い出されるバラ物Bの流量をY[m
3/min]とすると、Yと同じ流量の空気がベントノズル530からホッパ500の内部に流入する。
【0020】
又、前記ホッパ500へのバラ物Bの投入と、ホッパ500から搬送装置600へのバラ物Bの払出しとが同時に行われる場合、
図6に示される如く、ロータリーフィーダ400から投入されるバラ物Bの流量をZ[m
3/min]とすると、Zと同じ流量の空気がベントノズル530からホッパ500の外部に流出する。同時に、前述と同様、払い出されるバラ物Bの流量Y[m
3/min]と同じ流量の空気がベントノズル530からホッパ500の内部に流入する。このため、前記集塵機700の能力としての集塵流量は、X[m
3/min]のまま変わらない。
【0021】
更に又、前記ホッパ500へのバラ物Bの投入のみが行われる場合、
図7に示される如く、ロータリーフィーダ400から投入されるバラ物Bの流量Z[m
3/min]と同じ流量の空気がベントノズル530からホッパ500の外部に流出する。このため、前記集塵機700の能力としての集塵流量は、やはりX[m
3/min]のまま変わらない。
【0022】
尚、ホッパの粉塵飛散防止と関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながら、近年、前記ホッパ500の大容量化と搬送装置600の大型化に伴い、前記集塵機700を大型化する必要が生じ、電力消費量並びに運転費の増大につながっていた。
【0025】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、バラ物の払出し時における集塵流量を補助的に増加させることができ、電力消費量並びに運転費の削減を図り得るバラ物貯留搬送システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、投入口から投入されるバラ物を貯留するホッパと、
該ホッパから払い出されるバラ物を搬送し且つケーシングで囲われた搬送装置と、
前記ホッパから搬送装置へのバラ物の払出し時に発生する粉塵を捕集する集塵機とを備えたバラ物貯留搬送システムにおいて、
前記投入口に設けられた気密保持開閉バルブと、
前記搬送装置のケーシングとホッパの上部とを接続する集塵配管と、
前記ホッパの上部と集塵機とを接続する集塵ノズルと
を備えたバラ物貯留搬送システムに係るものである。
【0027】
前記バラ物貯留搬送システムにおいては、前記ホッパから搬送装置へのバラ物の払出しのみが行われる時に前記気密保持開閉バルブを閉じる制御信号を出力する制御器を備えることができる。
【0028】
又、前記バラ物貯留搬送システムにおいては、ニューマチックアンローダからのバラ物が前記投入口に投入されるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0029】
本発明のバラ物貯留搬送システムによれば、バラ物の払出し時における集塵流量を補助的に増加させることができ、電力消費量並びに運転費の削減を図り得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明のバラ物貯留搬送システムの実施例を示す概要構成図であって、ホッパから搬送装置へのバラ物の払出しのみが行われる状態を示す図である。
【
図2】本発明のバラ物貯留搬送システムの実施例を示す概要構成図であって、ホッパへのバラ物の投入と、ホッパから搬送装置へのバラ物の払出しとが同時に行われる状態を示す図である。
【
図3】本発明のバラ物貯留搬送システムの実施例を示す概要構成図であって、ホッパへのバラ物の投入のみが行われる状態を示す図である。
【
図4】一般的なニューマチックアンローダの一例を示す概要構成図である。
【
図5】バラ物貯留搬送システムの従来例を示す概要構成図であって、ホッパから搬送装置へのバラ物の払出しのみが行われる状態を示す図である。
【
図6】バラ物貯留搬送システムの従来例を示す概要構成図であって、ホッパへのバラ物の投入と、ホッパから搬送装置へのバラ物の払出しとが同時に行われる状態を示す図である。
【
図7】バラ物貯留搬送システムの従来例を示す概要構成図であって、ホッパへのバラ物の投入のみが行われる状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0032】
図1~
図3は本発明のバラ物貯留搬送システムの実施例であって、図中、
図4~
図7と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0033】
本実施例の場合、投入口510に気密保持開閉バルブ550が設けられ、集塵配管710は、搬送装置600のケーシング610とホッパ500の上部とを接続し、集塵ノズル730がホッパ500の上部と集塵機700とを接続している。
【0034】
又、制御器800は、前記ホッパ500から搬送装置600へのバラ物Bの払出しのみが行われる時に前記気密保持開閉バルブ550を閉じる制御信号810を出力するようになっている。但し、前記制御器800は、必ずしも備える必要はなく、前記ホッパ500から搬送装置600へのバラ物Bの払出しのみが行われる時に、作業員が手作業で前記気密保持開閉バルブ550を閉じるようにすることも勿論可能である。
【0035】
尚、
図5~
図7に示される従来のホッパ500に設けられていたベントノズル530は、本実施例のホッパ500には設けられず、省略される。
【0036】
次に、上記実施例の作用を説明する。
【0037】
ホッパ500から搬送装置600へのバラ物Bの払出しのみが行われる場合、
図1に示す如く、ゲート520は開いているが、気密保持開閉バルブ550は、制御器800から出力される制御信号810により閉じる。
【0038】
ここで、集塵機700の能力としての集塵流量をX[m3/min]とし、払い出されるバラ物Bの流量をY[m3/min]とすると、Yと同じ流量の空気がケーシング610、集塵配管710、ホッパ500、集塵ノズル730を介して集塵機700に吸い込まれる形となる。
【0039】
このため、集塵機700の能力としての集塵流量は、実質的にX+Y[m3/min]となることから、集塵機700をYに相当する分だけ減少させて省エネ運転することが可能となり、電力消費量並びに運転費が抑えられる。
【0040】
又、前記ホッパ500へのバラ物Bの投入と、ホッパ500から搬送装置600へのバラ物Bの払出しとが同時に行われる場合、
図2に示す如く、ゲート520は開き、気密保持開閉バルブ550も、制御器800から出力される制御信号810により開く。
【0041】
ここで、ロータリーフィーダ400から投入されるバラ物Bの流量をZ[m3/min]とすると、Zと同じ流量の空気がホッパ500から集塵配管710に流入する。同時に、前述と同様、払い出されるバラ物Bの流量Y[m3/min]と同じ流量の空気がケーシング610、集塵配管710、ホッパ500、集塵ノズル730を介して集塵機700に吸い込まれる形となる。前記集塵機700の能力としての集塵流量は、X+Y-Z[m3/min]となるが、通常、Z≒Yであるため、X+Y-Z≒X[m3/min]となり、あえて前記集塵機700の負荷を上げて運転する必要はなく、電力消費量並びに運転費が増加する心配はない。
【0042】
更に又、前記ホッパ500へのバラ物Bの投入のみが行われる場合、
図3に示す如く、ロータリーフィーダ400から投入されるバラ物Bの流量Z[m
3/min]と同じ流量の空気がホッパ500から集塵配管710に流入する。前記集塵機700の能力としての集塵流量は、X-Z[m
3/min]となるが、バラ物Bの払出しによる粉塵の発生がないため、あえて前記集塵機700の負荷を上げて運転しなくても問題となることはなく、やはり電力消費量並びに運転費を増加させなくて済む。
【0043】
こうして、バラ物Bの払出し時における集塵流量を補助的に増加させることができ、電力消費量並びに運転費の削減を図り得る。
【0044】
本実施例の場合、前記ホッパ500から搬送装置600へのバラ物Bの払出しのみが行われる時に前記気密保持開閉バルブ550を閉じる制御信号810を出力する制御器800を備えている。このように構成すると、ホッパ500から搬送装置600へのバラ物Bの払出しのみが行われる場合、気密保持開閉バルブ550が制御器800から出力される制御信号810により自動的に閉じられ、払い出されるバラ物Bの流量Yに相当する分だけ集塵機700の省エネ運転を行う上で有効となる。
【0045】
又、
図4に示されるニューマチックアンローダ100からのバラ物Bが前記投入口510に投入されるようになっている。このように構成すると、船舶Sの貯槽S1の内部に貯留されたバラ物Bを吸い上げて払い出す設備において、電力消費量並びに運転費を削減でき、好ましい。
【0046】
尚、本発明のバラ物貯留搬送システムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
100 ニューマチックアンローダ
200 レシーバタンク
201 フィルタ
300 モータ
301 真空ポンプ
302 空気吸引管
303 横管
304 管継手
305 縦管
306 ベンド管
307 吸引ノズル
308 大気吸入弁
400 ロータリーフィーダ
500 ホッパ
510 投入口
520 ゲート
530 ベントノズル
540 フィルタ
550 気密保持開閉バルブ
600 搬送装置
610 ケーシング
700 集塵機
710 集塵配管
720 ダストノズル
730 集塵ノズル
800 制御器
810 制御信号
B バラ物
H 港湾
S 船舶
S1 貯槽
W 岸壁
X 集塵流量
Y 流量
Z 流量