(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】散剤のお薬カレンダーへの収容方法及びこれに使用される散剤用分包台
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240426BHJP
A61J 7/04 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A61J3/00 310D
A61J7/04 A
(21)【出願番号】P 2020193837
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】503219721
【氏名又は名称】株式会社Windy
(73)【特許権者】
【識別番号】000176626
【氏名又は名称】三島光産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094581
【氏名又は名称】鯨田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】中村 行延
(72)【発明者】
【氏名】東島 敦弘
(72)【発明者】
【氏名】松井 晃典
(72)【発明者】
【氏名】中野 姫香
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-050936(JP,A)
【文献】特開2017-093708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
A61J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者毎に日付又は曜日と時間帯により特定される各服用回にそれぞれ対応する一回服用分の薬剤を収容する収容部であって患者の1日当たりの服用回数に対応する個数の各収容部を横又は縦方向に並べて配置すると共に、このように並べて配置された1日分の各収容部を、さらに1週間分となるように縦方向に7列又は横方向に7行並べて配置して成るお薬カレンダーを、機械装置により自動的に又は手作業により用意するステップと、
当該患者の処方箋情報に基づき、前記お薬カレンダーの各収容部内に、それぞれ、錠剤及び/又はカプセル状の薬剤を、機械装置により自動的に又は手作業により収容するステップと、
このステップと同時に又は相前後して、計量器の上に、前記お薬カレンダーの各収容部の縦方向又は横方向の個数と同じかそれ以上の所定個数の略テーパー状の容器が並べられて成る散剤用分包台を、機械装置により自動的に又は手作業により配置するステップと、
このステップと同時に又は相前後して、前記散剤用分包台の略テーパー状の各容器内に、散剤を分包するための略テーパー状の袋状のオブラートをそれぞれ、機械装置により自動的に又は手作業により配置するステップと、
当該患者の処方箋情報に基づき、前記散剤用分包台の略テーパー状の各容器内に配置された略テーパー状の袋状の各オブラート内に、それぞれ、各一回服用分の散剤を、機械装置により自動的に又は手作業により前記計量器により計量しながら入れるステップと、
このステップと同時に又は相前後して、前記一回服用分の散剤が入れられた略テーパー状の袋状の各オブラートの開口部を、機械装置により自動的に又は手作業によりシールするステップと、
前記シールした略テーパー状の袋状の各オブラートを、前記お薬カレンダーの該当する各収容部内にそれぞれ、機械装置により自動的に又は手作業により配置するステップと、
を含むことを特徴とする散剤のお薬カレンダーへの収容方法。
【請求項2】
患者毎に日付又は曜日と時間帯により特定される各服用回にそれぞれ対応する一回服用分の薬剤を収容する収容部であって患者の1日当たりの服用回数に対応する個数の各収容部を横又は縦方向に並べて配置すると共に、このように並べて配置された1日分の各収容部を、さらに1週間分となるように縦方向に7列又は横方向に7行並べて配置して成るお薬カレンダーの各収容部内に各一回服用分の散剤を収容する動作を行う際に使用される散剤用分包台であって、前記お薬カレンダーの各収容部の縦方向又は横方向の個数と同じかそれ以上の所定個数の略テーパー状の容器が並べられて成り、前記略テーパー状の各容器内にはそれぞれ散剤を分包するための略テーパー状の袋状の各オブラートが配置されることが予定されており、前記各オブラート内に一回服用分の散剤を計量器により計量しながら入れるときは計量器上に配置されることが予定されている、ことを特徴とする散剤用分包台。
【請求項3】
前記略テーパー状の各容器は、前記散剤用分包台上で、前記お薬カレンダーの各収容部の縦方向又は横方向の個数と同一の個数だけ横方向に並ぶように配置されており、且つ前記「お薬カレンダーの各収容部の縦方向又は横方向の個数と同一の個数だけ横方向に並ぶように配置された略テーパー状の各容器」は、前記散剤用分包台上でさらに縦方向に一列又は複数列だけ並ぶように配置されている、請求項2に記載の散剤用分包台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は散剤(粉薬)のお薬カレンダーへの収容方法及びこれに使用される散剤用分包台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、調剤薬局においては、医療機関が発行する処方箋情報に基づき散剤(粉薬)を患者の一回服用分毎に手作業又は散剤分包機により分包することが行われている(特許文献1参照)。
【0003】
他方、特に高齢の患者による薬剤の飲み忘れや誤飲が少なくない頻度で発生していることなどから、そのような患者の服薬管理を確実且つ容易にするツールとして、近時、調剤薬局等が、「患者毎に日付又は曜日と時間帯により特定される各服用回にそれぞれ対応する薬剤を収容する収容部を、1日当たり3回又は4回などの複数回分として例えば1週間分などとなる例えば計21回又は計28回などの所定回数の各服用回にそれぞれ対応するように、縦又は横方向に1週間分に対応する計7個を並べて配置し、横又は縦方向に1日当たりの服用回数に対応する計3個又は4個を並べて配置して成るお薬カレンダー」を患者側に提供することが行われている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5232908号公報
【文献】特許第6548844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記お薬カレンダー中においては、その各収容部内にそれぞれ錠剤及び/又はカプセル状の薬剤が入れられることが通例ではあるが、患者によっては散剤(粉薬)が処方されることが少なからずあり得るところ、現状では、このような散剤(粉薬)を効率的に且つ正確にお薬カレンダーの各収容部内に収容する方法はほとんどなかった。また、従来は、錠剤及び/又はカプセルを散剤と一緒に1つの袋に入れて分包することも行われていたが、このような従来の方法によるときは錠剤やカプセルの監査ができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような従来技術の問題点に着目して為されたものであって、散剤(粉薬)を効率的に且つ正確にお薬カレンダーの各収容部内に収容することができると共に錠剤やカプセルの監査も容易に行うことができる方法及びそのために使用するのに適した用具(散剤用分包台)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような課題を解決するための本発明による散剤のお薬カレンダーへの収容方法は、患者毎に日付又は曜日と時間帯により特定される各服用回にそれぞれ対応する一回服用分の薬剤を収容する収容部を、1日当たり3回又は4回などの複数回分として例えば1週間分などとなる例えば計21回又は計28回などの所定回数の各服用回にそれぞれ対応するように、縦又は横方向に1週間分に対応する計7個を並べて配置し、横又は縦方向に1日当たりの服用回数に対応する計3個又は4個を並べて配置して成るお薬カレンダーを用意する、手作業により又は機械装置により自動的に行われるステップと、当該患者の処方箋情報に基づき、前記お薬カレンダーの各収容部内に、それぞれ、錠剤及び/又はカプセル状の薬剤を収容する、手作業により又は機械装置により自動的に行われるステップと、このステップと同時に又は相前後して、計量器の上に、前記お薬カレンダーの各収容部の縦方向又は横方向の個数と同じかそれ以上の所定個数の例えば略テーパー状の容器が並べられて成る散剤用分包台を配置するステップと、このステップと同時に又は相前後して、前記散剤用分包台の例えば略テーパー状の各容器内に散剤を分包するための例えば略テーパー状の袋状のオブラートをそれぞれ配置する、手作業により又は機械装置により自動的に行われるステップと、当該患者の処方箋情報に基づき、前記散剤用分包台の例えば略テーパー状の各容器内に配置された例えば略テーパー状の袋状の各オブラート内に、それぞれ、各一回服用分の散剤を、前記計量器により計量しながら入れる、手作業により又は機械装置により自動的に行われるステップと、このステップと同時に又は相前後して、前記一回服用分の散剤が入れられた例えば略テーパー状の袋状の各オブラートの開口部をシールする、手作業により又は機械装置により自動的に行われるステップと、前記シールした例えば略テーパー状の袋状の各オブラートを前記お薬カレンダーの該当する各収容部内にそれぞれ配置する、手作業により又は機械装置により自動的に行われるステップとを含むことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明による散剤のお薬カレンダーへの収容動作(作業)の際に使用される散剤用分包台は、「患者毎に日付又は曜日と時間帯により特定される各服用回にそれぞれ対応する一回服用分の薬剤を収容する収容部を、1日当たり3回又は4回などの複数回分として例えば1週間分などとなる例えば計21回又は計28回などの所定回数の各服用回にそれぞれ対応するように、縦又は横方向に1週間分に対応する計7個を並べて配置し、横又は縦方向に1日当たりの服用回数に対応する計3個又は4個を並べて配置して成るお薬カレンダー」の各収容部内に各一回服用分の散剤を収容する動作を行う際に使用される散剤用分包台であって、前記お薬カレンダーの各収容部の縦方向又は横方向の個数と同じかそれ以上の所定個数の例えば略テーパー状の容器が並べられて成り、前記例えば略テーパー状の各容器内にはそれぞれ散剤を分包するための例えば略テーパー状の袋状の各オブラートが配置されることが予定されており、前記各オブラート内に一回服用分の散剤を計量器により計量しながら入れるときは計量器上に配置されることが予定されている、ことを特徴とするものである。
【0009】
さらに、本発明による散剤のお薬カレンダーへの収容動作(作業)の際に使用される散剤用分包台においては、前記例えば略テーパー状の各容器は、前記散剤用分包台上で、前記お薬カレンダーの各収容部の縦方向又は横方向の個数と同一の個数だけ横方向に並ぶように配置されており、且つ前記「お薬カレンダーの各収容部の縦方向又は横方向の個数と同一の個数だけ横方向に並ぶように配置された例えば略テーパー状の各容器」は、前記散剤用分包台上でさらに縦方向に一列又は複数列だけ並ぶように配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特にお薬カレンダーの各収容部の縦方向又は横方向の個数(前記計7個もしくは4個)又はそれ以上の所定個数の例えば略テーパー状の容器が並べられて成る散剤用分包台を用意し、この散剤用分包台を計量器の上に配置した上で、前記散剤用分包台の例えば略テーパー状の各容器内に配置された例えば略テーパー状の袋状の各オブラート内に一回服用分の散剤を前記計量器により一回服用分に相当する分量が計測されるように入れるようにし、このようにして前記一回服用分の散剤を入れた個々のオブラート(シールしたもの)をそれぞれお薬カレンダー中の該当する各収容部内に配置、収容するようにしたので、散剤(粉薬)を極めて効率的且つ正確にお薬カレンダーの各収容部内に収容することができるようになると共に、錠剤やカプセルの監査も容易に行えるようになる。
【0011】
また、散剤をお薬カレンダーへ収容する動作を行うに際し、前記「お薬カレンダーの各収容部の縦方向又は横方向の個数と同じかそれ以上の所定個数の例えば略テーパー状の容器が並べられて成り、前記例えば略テーパー状の各容器内にはそれぞれ散剤を分包するための例えば略テーパー状の袋状のオブラートが配置されることが予定されており、散剤を一回服用分量毎に計量して前記オブラート内に入れるときは計量器上に配置されることが予定されている散剤用分包台」を使用するようにしたときは、散剤を各服用回の分量毎に計量してオブラートに入れる作業が極めて効率的に行われるようになる。またこれと共に、前記散剤用分包台においては前記お薬カレンダー中の各収容部の縦方向又は横方向の配置個数に対応する(又は一致する)個数又はそれ以上の例えば略テーパー状の容器をそれらが並ぶように配置するようにしたので、前記各一回服用分毎に計量した散剤を封入した各オブラートを前記お薬カレンダーの各収容部に配置することが、極めて効率的に且つ確実に誤りなく行えるようになる。
【0012】
さらに、本発明による散剤のお薬カレンダーへの収容方法に使用する散剤用分包台を、前記例えば略テーパー状の容器が、前記散剤用分包台上で、前記お薬カレンダーの各収容部の縦方向又は横方向の個数と同一の個数だけ横方向に並ぶように配置されており、且つ前記「お薬カレンダーの各収容部の縦方向又は横方向の個数と同一の個数だけ横方向に並ぶように配置された例えば略テーパー状の容器」が、前記散剤用分包台上で、縦方向に一列又は複数列だけ並ぶように配置されるように構成したときは、患者が散剤を一日に複数回服用しなくてはならないなどの、1つのお薬カレンダー中において比較的多数の各収容部内に散剤を収容しなければならない場合に、1つの散剤用分包台だけで効率的に多数の散剤を分包化できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る散剤のお薬カレンダーへの収容方法を説明するための斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る散剤のお薬カレンダーへの収容方法を説明するための斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る散剤のお薬カレンダーへの収容方法を説明するための斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る散剤のお薬カレンダーへの収容方法を説明するための斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る散剤のお薬カレンダーへの収容方法を説明するための斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る散剤のお薬カレンダーへの収容方法を説明するための斜視図である。
【
図7】本実施形態に係る散剤のお薬カレンダーへの収容方法を説明するための斜視図である。
【
図8】本実施形態に係る散剤のお薬カレンダーへの収容方法を説明するための斜視図である。
【
図9】本実施形態に係る散剤のお薬カレンダーへの収容方法を説明するための斜視図である。
【
図10】本実施形態に係る散剤のお薬カレンダーへの収容方法を説明するための斜視図である。
【
図11】(a)は計量器とその上に配置された散剤用分包台を示す斜視図、(b)は散剤用分包台を示す斜視図である。
【
図12】(a)は一回服用分の散剤を収容し開口部をシールしたオブラートを示す斜視図、(b)は前記各オブラートをお薬カレンダーの各収容部内にそれぞれ配置したときの状態(お薬カレンダーに対して蓋シールを貼る前の状態)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る散剤のお薬カレンダーへの収容方法及びこれに使用するのに適した用具(散剤用分包台)について、
図1~12を参照して説明する。本実施形態では、一回服用分の散剤をお薬カレンダーの各収容部内へ収容する動作を行う前に、予めお薬カレンダー1を用意しておき(例えば作業台10上に配置しておき)、このお薬カレンダー1の各収容部1a内には、対象となる患者の各服用回毎の錠剤(又はカプセル)タイプの薬剤2を予め収容しておく(
図1参照)。
【0015】
また、本実施形態では、一回服用分の散剤をお薬カレンダーの各収容部内へ収容する動作を行う前に、散剤を一回服用分だけ計量するための公知の計量器3と、後述する散剤用分包台4と、略テーパー状の袋状のオブラート(半透明で、幅広の上方部は開口部となっている)5も用意しておく。
図1の例では、これらは作業台10上に配置されている。
【0016】
なお、前記散剤用分包台4は、
図11(a)及び(b)に示すような外観を有するものである。前記散剤用分包台4は、
図11(a)及び(b)に示すように、各患者の一回服用分の散剤を分包する略テーパー状容器4aが所定個数だけ並べて配置されて構成されている。本実施形態では、前記散剤用分包台4において前記略テーパー状容器4aが図示横方向に並べられる個数は、前記お薬カレンダー1の図示縦方向の個数(1週間の日数)に対応する計7個とされている(なお、本実施形態において、前記散剤用分包台4に含まれる略テーパー状容器4aの個数は、前記お薬カレンダー1の図示横方向の個数(1日の服用回数)に対応する計4個としてもよい)。
【0017】
このように、各服用回毎の錠剤(又はカプセル)タイプの薬剤2を既に収容しておいたお薬カレンダー1、計量器3、散剤用分包台4、及びオブラート5を用意した(
図1に示す例では前記作業台10上に配置した)後、略テーパーの袋状の各オブラート5をそれぞれ前記散剤用分包台4の各テーパー状容器4a内に配置する(
図2参照)。
【0018】
次に、このようにして各テーパー状容器4a内に各オブラート5を配置した後の散剤用分包台4を、計量器3の皿(秤)の上に配置し、計量値をゼロにリセットする(
図3参照)。なお、
図4に示す例では、前記計量器3の皿の上に2台の散剤用分包台4を配置している。以下では、前記計量器3の皿の上に2台の散剤用分包台4を配置した場合を説明するが、同皿上に1台の散剤用分包台4を配置した場合でも同様である。
【0019】
次に、前記計量器3の皿上の散剤用分包台4の各テーパー状容器4aにセットされた各オブラート5の1つに、散剤を一回服用分量だけ入れる。具体的には、当該患者の処方箋情報に基づいて、前記散剤用分包台4上の1つ目の略テーパー状容器4a内に配置された略テーパー状の袋状のオブラート5内に、一回服用分の散剤6を、スプーン7などを使用して、前記計量器3により一回服用分に相当する分量が計量されるように入れる(
図5参照)。
【0020】
次に、当該患者の処方箋情報に基づき、前記散剤用分包台4上の2つ目の略テーパー状容器4a内に配置された略テーパー状の袋状のオブラート5内に、一回服用分の散剤6を、スプーン7などを使用して同様に前記計量器により計量しながら入れる(
図5参照)。そして、このような、略テーパー状の袋状の各オブラート5に対して一回服用分の散剤を前記一回服用分に相当する分量だけ計量しながら入れる動作は、前記散剤用分包台4上の略テーパー状容器4aの内に配置された各オブラート5の残りの全てについて、それぞれ、繰り返し行う。
【0021】
その後、前述のように各一回服用分の散剤が入れられた各オブラート5の開口部(図示上方の幅広部)を公知のシーラー8でシールし密閉する(
図6参照)。
図12(a)はこのようにして内部に各一回服用分の散剤が入れられて開口部がシールされたオブラート5の一例を示す斜視図である。
図12(a)において、符号5aは、前記オブラート5の幅広の開口部がシールされた部分を示す。以上のようにして作成された散剤入りの各オブラート5は、それらの各オブラート5中に余分な部分があればそれを切り落とした上で、前記お薬カレンダー1の各収容部1a(既に錠剤などが収容されている)中の該当箇所内にそれぞれ配置、収容される(
図7、
図8参照)。
【0022】
なお、
図12(b)は、以上のようにして各オブラート5が配置、収容された後のお薬カレンダー1を示す平面図である。この
図12(b)の例は、図示縦方向においては1週間に対応する計7個の収容部が配置され、図示横方向においては1日の各服用回(朝、昼、夕、就寝前の4回)に対応する計4個の収容部が配置されているお薬カレンダー1である。この
図12(b)の例では、週7日の毎日の各「昼」の時間帯である計7個の服用回に対応する収容部1a(
図12(b)の図示左から2番目の縦の列の計7個の収容部1a)だけに、前記オブラート5がそれぞれ配置、収容されている。
【0023】
このようにして、前記各一回服用分の散剤が入れられた各オブラート5が前記お薬カレンダー1の各収容部1a内に配置、収容されたら、前記お薬カレンダー1の上方から、蓋シール9を貼る(
図9、
図10参照)。この蓋シール9には、その表面側に患者の氏名、各収容部1aの服用回を特定する情報(例えば、年月日、曜日、朝、昼、夕、就寝前などの文字)、及びそれらの情報を示す二次元バーコードなどが印刷され、その裏面側(お薬カレンダー1本体に対向する側)に略格子状の粘着部(前記各収容部1aを互いに区画する略格子状部分に対応する粘着部)が形成されている。このような蓋シール9が前記お薬カレンダー1の上に貼られることにより、当該患者のためのお薬カレンダーが作成される。
【0024】
以上説明したように、本実施形態によれば、前記お薬カレンダー1の各収容部1aの縦方向又は横方向の個数(例えば計7個又は4個)に対応する所定の個数の略テーパー状容器4aが並べられて成る散剤用分包台4を用意し、この散剤用分包台4を計量器3の上に配置した上で、前記散剤用分包台4の1つ目の略テーパー状容器4a内に配置された略テーパー状の袋状のオブラート5内に一回服用分の散剤を前記計量器3により一回服用分に相当する分量が計測されるように入れ、同2つ目の略テーパー状容器4a内に配置された略テーパー状の袋状のオブラート5にも同様に一回服用分の散剤を前記計量器により一回服用分に相当する分量が計測されるように入れ、さらに残りの略テーパー状容器4a内に配置された略テーパー状の袋状のオブラート5にも同様の動作をその全てについて行うようにし、その上で前記一回服用分の散剤を入れた個々のオブラート5(シールしたもの)をそれぞれお薬カレンダー1内の該当の各収容部1a内に収容するようにしたので、散剤(粉薬)を極めて効率的に且つ正確にお薬カレンダー1の各収容部1a内に収容できるようになると共に、錠剤やカプセルの監査も容易に行えるようになる。
【0025】
また、本実施形態においては、散剤のお薬カレンダーへの収容動作を行うに際し、前記お薬カレンダー1の各収容部1aの図示縦方向の個数に対応する個数(計7個)の略テーパー状容器4aが並べられて成り、前記各略テーパー状容器4a内にはそれぞれ散剤を分包するための略テーパー状の袋状のオブラート5が配置されることが予定されており、散剤を一回服用分量毎に計量して前記オブラート5内に入れるときは計量器上に配置されることが予定された散剤用分包台4を使用するようにしたので、散剤を各服用回分量毎に計量してオブラート5に入れる作業を極めて効率的且つ正確に行えるようになる。またこれと共に、前記散剤用分包台4においては前記お薬カレンダー1の縦方向又は横方向の配置個数に対応する(一致する)個数(又はそれ以上の個数)の略テーパー状容器4aをそれらが一列に並ぶようにして備えるようにしたので、各一回服用分毎に計量した散剤を封入した後の各オブラート5を前記お薬カレンダー1の各収容部1aに配置することが、極めて効率的に且つ確実に誤りなく行えるようになる。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施形態を説明するに際しては、(i)前記各オブラート5を前記散剤用分包台4の略テーパー状容器4a中に配置する作業(
図2~4参照)、(ii)前記散剤用分包台4の略テーパー状容器4a内に配置したオブラート5内に各一回服用分量の散剤を計量しながら入れる作業(
図5参照)、(iii)前記各一回服用分量の散剤が入れられた各オブラート5の開口部をシールする作業(
図6参照)、(iv)前記開口部がシールされた各オブラート5をお薬カレンダー1中の該当する各収容部1a内に配置、収容する作業(
図7~8参照)、及び(v)前記各オブラート5が該当する各収容部1a内に配置、収容されたお薬カレンダー1の上側を蓋シール9で貼って前記各収容部1aを密閉する作業(
図9~10参照)などに関して、いずれも薬剤師などが手作業で行っている例が示された斜視図を参照して説明したが、本発明はこのような手作業による構成だけでなく、前記(i)~(v)のいずれか又はその全てをお薬カレンダーの製造装置などとして機械化して自動的に行うようにしてもよいことは勿論である。
【0027】
また、前記実施形態では、前記散剤用分包台4を、前記略テーパー状容器4aが前記散剤用分包台4上で前記お薬カレンダー1の各収容部1aの縦方向の個数と同一の個数(計7個)だけ横方向に一列だけ並ぶように配置されるように構成しているが、本発明ではこれに限られることなく、例えば、前記散剤用分包台4を、前記略テーパー状容器4aが前記散剤用分包台4上で前記お薬カレンダー1の各収容部1aの縦方向又は横方向の個数と同一の個数だけ横方向に並ぶように配置され且つ「前記お薬カレンダー1の各収容部1aの縦方向又は横方向の個数だけ横方向に並ぶように配置された略テーパー状容器4a」が前記散剤用分包台4上で縦方向に複数列だけ並ぶように配置されるように構成してもよい。このように構成したときは、患者が散剤を一日に複数回服用しなくてはならないなどの、1つのお薬カレンダー1中において比較的多数の収容部1a内に散剤をそれぞれ収容しなければならないような場合に、1つの散剤用分包台6だけで効率的に多数の散剤を分包化できるようになる。また、前記実施形態では、前記散剤用分包台4に備えられる複数の散剤用の容器及びこれらの容器内に配置されるオブラートの形状をいずれも略テーパー状としたが、本発明においては前記容器及びオブラートの形状はテーパー状に限られるものではなく、例えばカップ状など様々な形状とすることが可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 お薬カレンダー
1a 収容部
2 錠剤又はカプセル状の薬剤
3 計量器
4 散剤用分包台
4a テーパー状容器
5 オブラート
6 散剤
7 スプーン
8 シーラー
9 蓋シール
10 テーブル