(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】多層プリント基板を製造する方法、多層プリント基板製造のためのレイアップ、多層プリント基板製造のための回路化コア層、および多層プリント基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
H05K3/46 B
(21)【出願番号】P 2020530600
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(86)【国際出願番号】 IB2018059748
(87)【国際公開番号】W WO2019123079
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-05-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-23
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】クジンスキー、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】チャンバーリン、ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ケリー、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】キング、スコット
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】棚田 一也
【審判官】中野 浩昌
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105792547(CN,A)
【文献】特開2011-71350(JP,A)
【文献】特開2010-87107(JP,A)
【文献】特開2008-91919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
B29C 70/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層プリント基板を製造する方法であって、
銅パターンの反転を利用して、回路化コア層の樹脂必要性の高い領域を識別することと、
前記回路化コア層の前記樹脂必要性の高い領域に誘電体樹脂を選択的に塗布することであって、前記誘電体樹脂が、前記樹脂必要性の高い領域として
、前記回路化コア層の
複数の隣接する銅トレース間のうちの比較的狭い第1の隣接する銅トレース間に
選択的に塗布され
、前記複数の隣接する銅トレース間のうちの第2の隣接する銅トレース間には選択的に塗布されず、前記
第1の隣接する銅トレース間の距離が、樹脂必要性の増加に関連付けられたしきい値距離を満たす、塗布することと、
積層サイクルを行う前に前記誘電体樹脂を部分的に硬化させて、前記回路化コア層を含む多層プリント基板を形成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記誘電体樹脂を選択的に塗布することが、インクジェット・プリンタを利用して前記領域内に前記誘電体樹脂を吐出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回路化コア層の前記領域に隣接する予備含浸(プリプレグ)材料の層を含むレイアップを形成することと、
前記積層サイクルを行って、前記レイアップから前記多層プリント基板を形成することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記部分的に硬化させた誘電体樹脂
の硬化された後の誘電率が、前記予備含浸材料の層内の部分的に硬化させた樹脂
が硬化された後の前記予備含浸材料の層から形成された隣接する誘電体層の誘電率と実質的に同様である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
多層プリント基板を製造するためのレイアップを製造する方法であって、
銅パターンの反転を利用して、回路化コア層の樹脂必要性の高い領域を識別することと、
前記回路化コア層の別の領域に誘電体樹脂を塗布せずに、前記回路化コア層の前記樹脂必要性の高い領域に前記誘電体樹脂を選択的に塗布することであって、前記誘電体樹脂が、前記樹脂必要性の高い領域として
、前記回路化コア層の
複数の隣接する銅トレース間のうちの比較的狭い第1の隣接する銅トレース間に
選択的に塗布され
、前記複数の隣接する銅トレース間のうちの第2の隣接する銅トレース間には選択的に塗布されず、前記
第1の隣接する銅トレース間の距離が、樹脂必要性の増加に関連付けられたしきい値距離を満たす、塗布することと、
前記樹脂必要性の高い領域内の前記誘電体樹脂を部分的に硬化させることと、
前記回路化コア層の前記樹脂必要性の高い領域内の前記部分的に硬化させた誘電体樹脂に隣接する予備含浸(プリプレグ)材料の層を含むレイアップを形成することと、
を含む方法。
【請求項6】
前記誘電体樹脂を選択的に塗布することが、インクジェット・プリンタを利用して、前記領域内に前記誘電体樹脂を吐出することを含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記部分的に硬化させた誘電体樹脂
の硬化された後の誘電率が、前記予備含浸材料の層内の部分的に硬化させた樹脂
が硬化された後の前記予備含浸材料の層から形成された隣接する誘電体層の誘電率と実質的に同様である、請求項
5に記載の方法。
【請求項8】
多層プリント基板製造のための回路化コア層であって、部分的に硬化させた誘電体樹脂
が形成されている樹脂必要性の高い領域と、前記部分的に硬化させた誘電体樹脂
が形成されていない別の領域と、を含み、
前記誘電体樹脂が、前記回路化コア層を含む多層プリント基板を形成するために積層されたレイアップの前記回路化コア層の前記樹脂必要性の高い領域に隣接する予備含浸(プリプレグ)材料の層内の部分的に硬化させた樹脂とは異なることにより、前記樹脂必要性の高い領域が、前記予備含浸材料の層に関連付けられた第2の誘電率と実質的に同一の第1の誘電率を有する、回路化コア層。
【請求項9】
前記樹脂必要性の高い領域が、隣接する銅トレース間の領域に対応する、請求項
8に記載の回路化コア層。
【請求項10】
前記樹脂必要性の高い領域が、めっきされたスルーホール(PTH)の位置に隣接している、請求項
8に記載の回路化コア層。
【請求項11】
多層プリント基板を製造する方法であって、
銅パターンの反転を利用して、回路化コア層の樹脂必要性の高い領域を識別することと、
誘電体樹脂混合物を前記回路化コア層の前記領域に選択的に塗布することであり、前記誘電体樹脂混合物が、前記樹脂必要性の高い領域として、前記回路化コア層の
複数の隣接する銅トレース間のうちの比較的狭い第1の隣接する銅トレース間であって前記第
1の隣接する銅トレース間の距離が樹脂必要性の増加に関連付けられたしきい値距離を満たす前記
第1の隣接する銅トレース間に
選択的に塗布され、
前記複数の隣接する銅トレース間のうちの第2の隣接する銅トレース間には選択的に塗布されず、誘電体樹脂内に封入されたガラス球を含む、前記塗布することと、
積層サイクルを行う前に前記誘電体樹脂を部分的に硬化させて、前記回路化コア層を含む多層プリント基板を形成することと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記回路化コア層の前記部分的に硬化させた誘電体樹脂に隣接する予備含浸(プリプレグ)材料の層を含むレイアップを形成することと、
前記積層サイクルを行って前記多層プリント基板を形成することと、
をさらに含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記ガラス球および硬化させた誘電体樹脂を含む前記多層プリント基板の前記回路化コア層の前記領域が、前記プリプレグ材料から形成された隣接する誘電体層に関連付けられた第2の誘電率と実質的に同一の第1の誘電率を有する、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
多層プリント基板であって、
ガラス織布を封入する部分的に硬化させた誘電体樹脂を含む、予備含浸(プリプレグ)材料から形成された誘電体層と、
前記誘電体層に隣接する表面を有する回路化コア層であって、前記回路化コア層の前記表面が、硬化させた誘電体樹脂内に封入されたガラス球を有する樹脂必要性の高い誘電体材料の領域、および前記ガラス球のない誘電体材料の別の領域を有する、前記回路化コア層と、
を含み、
前記樹脂必要性の高い誘電体材料の領域内に吐出するために選択される樹脂が、前記誘電体層に関連付けられた樹脂とは異なることにより、前記樹脂必要性の高い誘電体材料の領域が、前記回路化コア層の前記表面に隣接する前記誘電体層に関連付けられた第2の誘電率と実質的に同一の第1の誘電率を有する、多層プリント基板。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プリント基板(PCB)積層設計は、複数の層を含む多層「スタック・アップ」設計を含むことがある。例えば、PCBは、「プリプレグ」材料とも呼ばれる熱硬化性樹脂で予備含浸されたガラス繊維布で形成されることがある。熱硬化性樹脂の流体流動特性の性質は、複雑なため、熱硬化性樹脂を使用するPCB積層方法の設計は、困難な場合がある。一部の多層PCB設計の複雑な性質により特定の誘電体の厚さおよび全体の板厚を正確に達成し、同時に満足の行くインピーダンス値も維持することが特に困難になる場合がある。例えば、高密度相互接続(HDI)ボードには、マイクロビア、ブラインドおよび埋め込みビア、複数の制御されたインピーダンおよび差動トレース、細線技術、ならびにより厳しい公差が組み込まれている場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一実施形態によると、多層プリント基板を製造する方法が開示される。本方法は、回路化コア層の領域に誘電体樹脂を選択的に塗布することを含む。本方法はまた、積層サイクルを行う前に誘電体樹脂を部分的に硬化させて、回路化コア層を含む多層プリント基板を形成することを含む。
【0003】
別の実施形態によると、多層プリント基板が開示される。多層プリント基板は、回路化コア層の領域に選択的に誘電体樹脂を塗布し、誘電体樹脂を部分的に硬化させることを含む方法に従って形成される。本方法はまた、回路化コア層の部分的に硬化させた誘電体樹脂に隣接する予備含浸(プリプレグ)材料の層を含むレイアップを形成することを含む。本方法は、積層サイクルを行って多層プリント基板を形成することをさらに含む。
【0004】
さらに別の実施形態によると、多層プリント基板製造のための回路化コア層が開示される。回路化コア層は、樹脂必要性の増加に関連付けられた領域内に配置された部分的に硬化させた誘電体樹脂を含む。
【0005】
別の実施形態によると、多層プリント基板を製造する方法が開示される。本方法は、回路化コア層の領域に誘電体樹脂混合物を選択的に塗布することを含む。誘電体樹脂混合物は、誘電体樹脂内に封入されたガラス球を含む。本方法はまた、積層サイクルを行う前に誘電体樹脂を部分的に硬化させて、回路化コア層を含む多層プリント基板を形成することを含む。
【0006】
さらなる実施形態によると、多層プリント基板が開示される。多層プリント基板は、誘電体層および回路化コア層を含む。誘電体層は、ガラス織布を封入した部分的に硬化させた誘電体樹脂を含む予備含浸(プリプレグ)材料から形成される。回路化コア層は、誘電体層に隣接する表面を有する。回路化コア層の表面は、硬化させた誘電体樹脂内に封入されたガラス球を含む誘電体材料の領域を有する。
【0007】
本発明の前述のおよび他の目的、特徴、ならびに利点は、同様の参照番号が全体に本発明の例示的な実施形態の同様の部分を表す添付の図面に示される本発明の例示的な実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態による、樹脂必要性の増加に関連付けられた回路化コア層の領域に誘電体樹脂が選択的に塗布される、多層プリント基板を製造する方法を示す図である。
【
図2】一実施形態による、樹脂必要性が増加した領域を含む多層プリント基板の一部を示す図である。
【
図3】一実施形態による、多層プリント基板を形成するために利用される複数の回路化コア層に関連付けられた樹脂必要性が増加した領域を示す図である。
【
図4】一実施形態による、
図3に示される回路化コア層の領域への誘電体樹脂の選択的塗布および誘電体樹脂の部分硬化を示す図である。
【
図5】一実施形態による、積層サイクル前の
図4の部分的に硬化させた誘電体樹脂を備えた回路化コア層を含むレイアップを示す図である。
【
図6】一実施形態による、多層プリント基板を形成するための
図5のレイアップの積層により、結果として、樹脂必要性が増加した領域内の誘電体樹脂が硬化されることを示す図である。
【
図7】一実施形態による、樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、その後、積層サイクルを行う前に誘電体樹脂を部分的に硬化させることによって、
図4および
図5に示される第1の回路化コア層を形成する方法の段階を示す図である。
【
図8】一実施形態による、樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、その後、積層サイクルを行う前に誘電体樹脂を部分的に硬化させることによって、
図4および
図5に示される第1の回路化コア層を形成する方法の段階を示す図である。
【
図9】一実施形態による、樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、その後、積層サイクルを行う前に誘電体樹脂を部分的に硬化させることによって、
図4および
図5に示される第1の回路化コア層を形成する方法の段階を示す図である。
【
図10】一実施形態による、樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、その後、積層サイクルを行う前に誘電体樹脂を部分的に硬化させることによって、
図4および
図5に示される第2の回路化コア層を形成する方法の段階を示す図である。
【
図11】一実施形態による、樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、その後、積層サイクルを行う前に誘電体樹脂を部分的に硬化させることによって、
図4および
図5に示される第2の回路化コア層を形成する方法の段階を示す図である。
【
図12】一実施形態による、樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、その後、積層サイクルを行う前に誘電体樹脂を部分的に硬化させることによって、
図4および
図5に示される第2の回路化コア層を形成する方法の段階を示す図である。
【
図13】一実施形態による、樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、その後、積層サイクルを行う前に誘電体樹脂を部分的に硬化させることによって、
図4および
図5に示される第3の回路化コア層を形成する方法の段階を示す図である。
【
図14】一実施形態による、樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、その後、積層サイクルを行う前に誘電体樹脂を部分的に硬化させることによって、
図4および
図5に示される第3の回路化コア層を形成する方法の段階を示す図である。
【
図15】一実施形態による、樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、その後、積層サイクルを行う前に誘電体樹脂を部分的に硬化させることによって、
図4および
図5に示される第3の回路化コア層を形成する方法の段階を示す図である。
【
図16】積層サイクルの前に、回路化コア層の樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、部分的に硬化させることを含む、多層プリント基板を製造する方法の特定の実施形態を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、多層プリント基板を形成するための積層サイクルを行う前に、回路化コア層の樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布することについて記載する。誘電体樹脂は、インクジェット印刷技術を使用して、樹脂必要性が増加した領域に塗布することができる。その後、樹脂を部分的に硬化させて、樹脂必要性が増加した領域内に部分的に硬化させた誘電体樹脂が配置された回路化コア層を形成することができる。積層サイクル中に、部分的に硬化させた誘電体樹脂は、樹脂必要性が増加した領域を硬化させた樹脂で充填し、それによって樹脂の欠乏を防止する。本開示の一部の実施形態では、誘電体樹脂内に封入されたガラス球を含む誘電体樹脂混合物が、樹脂必要性が増加した領域に選択的に塗布されてもよい。ガラス球の使用に関連付けられた1つの潜在的な利点は、隣接する誘電体層の総括的な誘電率をより正確に一致させることができることである。
【0010】
図1は、一実施形態による、樹脂必要性の増加に関連付けられた回路化コア層の領域に誘電体樹脂が選択的に塗布されている多層プリント基板を製造する方法を示す
図100である。
図1の例では、単一の回路化コア層の領域への樹脂の選択的な塗布が示されている。
図2、
図3~
図6、
図7~
図9、
図10~
図12、および
図13~
図15に関して本明細書で図示され、さらに説明されるように、特定の多層プリント基板設計の複数の回路化コア層は、積層サイクルを行う前に、識別された領域に誘電体樹脂が選択的に塗布されてもよい。
【0011】
図1の左側は、樹脂必要性の高い領域を含む回路化コア層を形成する方法を示す。第1の段階は、2つのエポキシ・ガラス層(例えば、2層のプリプレグ材料)が銅箔の2つの外層の間に配置され、積層されて未加工コアを形成するコア積層に対応する。
図1の例では、未加工コア上の銅の外層は、多層プリント基板の電圧面および接地面に対応する。
図1の左側に示す次の段階は、未加工コアの銅層をパターニングして回路化コアを形成することに対応する。
図1に示す回路化コアは、回路化コアから形成された多層プリント基板について樹脂必要性が増加した領域を識別する。
【0012】
図1の右側は、樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、積層サイクルを行う前に部分的に硬化させて、回路化コアを含む多層プリント基板を形成する、本開示による例を示す。
図1の右側に示す第1の段階は、回路化コアの識別された領域に誘電体樹脂(「Aステージ」樹脂)を選択的に塗布し、部分的に硬化(「Bステージ化」)させて、樹脂を有する回路化コアを形成することができることを示す。本明細書でさらに説明されるように、場合によっては、Aステージ樹脂は、誘電体樹脂内に封入されたガラス球を含む誘電体樹脂混合物に対応してもよい。
図1に示す次の段階は、回路化コアに加えてプリプレグを形成するために、樹脂を有する回路化コアと、Bステージ化された樹脂に隣接する予備含浸(プリプレグ)材料の層と、を含むレイアップの選択された部分を示す。
図1に示す次の段階は、積層サイクルにより、結果として、選択的に塗布された樹脂が、樹脂必要性が増加した領域において樹脂の欠乏を防止する多層プリント基板がもたらされることを示す。
【0013】
したがって、
図1は、樹脂の欠乏を防止するために、積層サイクルの前に、回路化コア層の樹脂必要性の高い領域に誘電体樹脂を選択的に塗布する方法の例を示す。本明細書でさらに説明されるように、誘電体樹脂は、インクジェット印刷プロセスを使用して選択的に塗布され、その後、樹脂の部分硬化(「Bステージ化」)が行われてもよい。場合によっては、樹脂必要性が増加した領域は、誘電体樹脂のない回路化コア層から多層プリント基板を製造し、その後、目視検査によって樹脂欠乏領域を識別することによって識別されてもよい。他の場合では、銅パターンの反転を利用してインクジェット印刷プロセスを介した樹脂吐出のための領域が識別されてもよい。例えば、隣接する銅トレース間の距離が、樹脂必要性の増加に関連付けられたしきい値距離を満たす場合、隣接する銅トレース間の領域が、樹脂吐出のために識別されてもよい。
【0014】
図2は、一実施形態による、樹脂必要性が増加した領域を含む多層プリント基板の一部を示す
図200である。
図2に示す例では、多層プリント基板は、2つの介在するプリプレグ層を有する3つの回路化コア層を含むレイアップから製造されてもよい。
図2の多層プリント基板を形成するために利用することができる回路化コア層の例は、
図3~
図6に関して本明細書に図示され、さらに説明される。
図2は、回路化コア層のそれぞれにおける樹脂必要性が増加した領域の例をさらに示す。
【0015】
図3~
図6は、樹脂必要性が増加した領域として識別された個々の回路化コア層の領域に樹脂を選択的に塗布することによって、多層プリント基板における樹脂の欠乏を防止する方法の例を示す。
図3~
図6に示す例では、3つの回路化コア層が、多層プリント基板を形成するために利用されている。本明細書に記載される方法は、回路化コア層の代替の数または配置あるいはその両方を含む多層プリント基板に利用することができることが理解されよう。
【0016】
図3を参照すると、
図300は、一実施形態による、多層プリント基板を形成するために利用される複数の回路化コア層に関連付けられた樹脂必要性が増加した領域を示す。
【0017】
図3の例では、複数の回路化コア層は、第1の回路化コア302、第2の回路化コア304、および第3の回路化コア306を含む。
図3は、第1の回路化コア302が、樹脂必要性が増加した領域310を含み、第2の回路化コア304が、樹脂必要性が増加した領域312を含み、第3の回路化コア306が、樹脂必要性が増加した領域314を含むことを示す。場合によっては、樹脂必要性が増加した領域310~314は、誘電体樹脂のない3つの回路化コア層302~306を含むレイアップから多層プリント基板を製造し、その後、目視検査によって樹脂欠乏領域を識別することによって識別されてもよい。他の場合では、回路化コア層302~306のそれぞれの銅パターンの反転を利用してインクジェット印刷プロセスを介した樹脂吐出のための領域が識別されてもよい。
【0018】
図4を参照すると、
図320は、一実施形態による、
図3に示される回路化コア層の領域への誘電体樹脂の選択的塗布および誘電体樹脂の部分硬化を示す。
図4は、選択的塗布および部分硬化の後に、第1の回路化コア302が、領域310にBステージ樹脂322を含み、第2の回路化コア304が、領域312にBステージ樹脂322を含み、第3の回路化コア306が、領域314にBステージ樹脂322を含むことを示す。場合によっては、Bステージ樹脂322は、部分的に硬化させた誘電体樹脂内に封入されたガラス球を含む誘電体樹脂混合物に対応してもよい。
【0019】
誘電体樹脂を第1の回路化コア302上に選択的に塗布し、誘電体樹脂を部分的に硬化させてBステージ樹脂322を形成する方法は、
図7~
図9に関して本明細書で図示され、さらに説明される。誘電体樹脂を第2の回路化コア304上に選択的に塗布し、誘電体樹脂を部分的に硬化させてBステージ樹脂322を形成する方法は、
図10~
図12に関して本明細書で図示され、さらに説明される。誘電体樹脂を第3の回路化コア306に選択的に塗布し、誘電体樹脂を部分的に硬化させてBステージ樹脂322を形成する方法は、
図13~
図15に関して本明細書で図示され、さらに説明される。
【0020】
図5を参照すると、
図330は、一実施形態による、積層サイクルの前の
図4の部分的に硬化させた誘電体樹脂を有する回路化コア層302~306を含むレイアップ332を示す。
【0021】
図5は、レイアップ332が、Bステージ樹脂322を含む第1の回路化コア層302の底面と(Bステージ樹脂322を含まない)第2の回路化コア層304の頂面との間に配置された第1のプリプレグ層334を含むことを示す。レイアップ332は、(Bステージ樹脂322を含む)第2の回路化コア層304の底面と(Bステージ樹脂322を含む)第3の回路化コア層306の頂面との間に配置された第2のプリプレグ層336をさらに含む。
【0022】
図6を参照すると、
図340は、一実施形態による、多層プリント基板を形成するための
図5のレイアップ332の積層により、結果として、Bステージ樹脂322が硬化されることを示す。
図6に示す積層サイクルは、頂部プラテン342と底部プラテン344との間にレイアップ332を配置し、圧力および熱を印加することを含む。積層サイクルにより、結果として、Bステージ樹脂322が硬化されて、樹脂必要性の増加した領域310~314のそれぞれに硬化させた樹脂346が形成され、それによって、多層プリント基板における樹脂の欠乏を防止する。場合によっては、硬化させた樹脂346は、硬化させた誘電体樹脂内に封入されたガラス球を含む誘電体樹脂混合物に対応してもよい。
【0023】
図7~
図9は、一実施形態による、樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、その後、積層サイクルを行う前に誘電体樹脂を部分的に硬化させることによって、
図4および
図5に示される第1の回路化コア層を形成する方法の段階を示す図である。
【0024】
図7を参照すると、
図400は、
図3の第1の回路化コア302の表面の断面図および上面図を示す。
図7は、樹脂必要性が増加した領域310が、第1の回路化コア302上の2つの銅トレース間の比較的狭い間隙に対応する場合があることを示す。上面図は、領域310が、X軸およびY軸に沿った座標によって識別され得ることを示す。
図8に関して本明細書で図示され、さらに説明されるように、X軸およびY軸に沿った座標は、樹脂吐出のためにインクジェット・プリンタによって利用されてもよい。
【0025】
図8を参照すると、
図410は、樹脂必要性が増加した領域310に樹脂を吐出した後の
図7の第1の回路化コア302の表面の断面図および上面図を示す。
図8に示される実施形態では、X軸およびY軸に沿った領域310の座標は、インクジェット・プリンタによるインクの吐出と同様のやり方で、(
図8で「インクジェット印刷樹脂」として識別される)樹脂412の個々の「液滴」のパターンを吐出するために利用されてもよい。領域310内に吐出される樹脂412は、「Aステージ」樹脂を表す。場合によっては、
図8に示される樹脂412は、誘電体樹脂内に封入されたガラス球(例えば、中空ガラス球)を含む誘電体樹脂混合物に対応してもよい。例えば、ガラス球は、(
図5に示される)レイアップ332の隣接するプリプレグ層334のガラス織布と実質的に同一のガラス材料(例えば、「Eガラス」材料)から形成された中空ガラス球に対応してもよい。
図6に示される多層プリント基板を参照すると、第1の回路化コア302の領域310内の硬化させた樹脂346は、第1のプリプレグ層334から形成された隣接する誘電体層の総括的な誘電率と実質的に同一の総括的な誘電率を有することができる。
【0026】
図9は、
図8に示されるような、領域310内に吐出された「Aステージ」樹脂412が、次いで、部分的に硬化(「Bステージ化」)されて、Bステージ樹脂322が形成されることを示す
図420である。場合によっては、
図9に示されるBステージ樹脂322は、部分的に硬化させた誘電体樹脂内に封入されたガラス球(例えば、中空ガラス球)を含む誘電体樹脂混合物に対応してもよい。
【0027】
場合によっては、領域310内に吐出される樹脂412は、多層プリント基板を形成するためのその後の積層サイクル中に、隣接するプリプレグ層内の関連付けられた樹脂に基づいて選択されてもよい。例えば、
図5に示されるレイアップ332を参照すると、領域310内に吐出される樹脂412は、第1の回路化コア層302に隣接する第1のプリプレグ層334に関連付けられた樹脂に基づいて選択されてもよい。例示すると、「Aステージ」樹脂412は、「Bステージ化」の後、Bステージ樹脂322が第1のプリプレグ層334内のBステージ化された樹脂に対応するように選択されてもよい。
【0028】
他の場合では、領域310内に吐出される樹脂412は、
図6に示される積層サイクル後に、硬化させた樹脂346が、第1のプリプレグ層334から形成された隣接する誘電体層の誘電率と実質的に同一の誘電率を有するように選択されてもよい。すなわち、領域310内に吐出するために選択される樹脂412は、積層サイクル後のガラス織布および硬化させた樹脂の総括的な誘電率を一致させるために、第1のプリプレグ層334に関連付けられた樹脂とは異なるものであってもよい。
【0029】
図10~
図12は、一実施形態による、樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、その後、積層サイクルを行う前に誘電体樹脂を部分的に硬化させることによって、
図4および
図5に示される第2の回路化コア層を形成する方法の段階を示す図である。
【0030】
図10を参照すると、
図500は、
図3の第2の回路化コア304の表面の断面図および上面図を示す。
図10は、樹脂必要性が増加した領域312が、(
図2に表すように)めっきされたスルーホール(PTH)と接地面の銅との間の比較的狭い領域に対応する場合があることを示す。上面図は、領域312が、X軸およびY軸に沿った座標によって識別され得ることを示す。
図11に関して本明細書で図示され、さらに説明されるように、X軸およびY軸に沿った座標は、樹脂吐出のためにインクジェット・プリンタによって利用されてもよい。
【0031】
図11を参照すると、
図510は、樹脂必要性が増加した領域312に樹脂を吐出した後の
図10の第2の回路化コア304の表面の断面図および上面図を示す。
図11に示される実施形態では、X軸およびY軸に沿った領域312の座標は、インクジェット・プリンタによるインクの吐出と同様のやり方で、(
図11で「インクジェット印刷樹脂」として識別される)樹脂512の個々の「液滴」のパターンを吐出するために利用されてもよい。領域312内に吐出される樹脂512は、「Aステージ」樹脂を表す。場合によっては、
図11に示される樹脂512は、誘電体樹脂内に封入されたガラス球(例えば、中空ガラス球)を含む誘電体樹脂混合物に対応してもよい。例えば、ガラス球は、(
図5に示される)レイアップ332の隣接するプリプレグ層336のガラス織布と実質的に同一のガラス材料(例えば、「Eガラス」材料)から形成された中空ガラス球に対応してもよい。
図6に示される多層プリント基板を参照すると、第2の回路化コア304の領域312内の硬化させた樹脂346は、第2のプリプレグ層336から形成された隣接する誘電体層の総括的な誘電率と実質的に同一の総括的な誘電率を有することができる。
【0032】
図12は、
図11に示されるように、領域312内に吐出された「Aステージ」樹脂512が、次いで、部分的に硬化(「Bステージ化」)されて、Bステージ樹脂322を形成することを示す
図520である。場合によっては、
図12に示されるBステージ樹脂322は、部分的に硬化させた誘電体樹脂内に封入されたガラス球(例えば、中空ガラス球)を含む誘電体樹脂混合物に対応してもよい。
【0033】
場合によっては、領域312内に吐出される樹脂512は、多層プリント基板を形成するためのその後の積層サイクル中に、隣接するプリプレグ層内の関連付けられた樹脂に基づいて選択されてもよい。例えば、
図5に示されるレイアップ332を参照すると、領域312内に吐出される樹脂512は、第2の回路化コア304に隣接する第2のプリプレグ層336に関連付けられた樹脂に基づいて選択されてもよい。例示すると、「Aステージ」樹脂512は、「Bステージ化」の後、Bステージ樹脂322が第2のプリプレグ層336内のBステージ化された樹脂に対応するように選択されてもよい。
【0034】
他の場合では、領域312内に吐出される樹脂512は、
図6に示される積層サイクル後に、硬化させた樹脂346が、第2のプリプレグ層336から形成された隣接する誘電体層の誘電率と実質的に同一の誘電率を有するように選択されてもよい。すなわち、領域312内に吐出するために選択される樹脂512は、積層サイクル後のガラス織布および硬化させた樹脂の総括的な誘電率を一致させるために、第2のプリプレグ層336に関連付けられた樹脂とは異なるものであってもよい。
【0035】
図13~
図15は、一実施形態による、樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、その後、積層サイクルを行う前に誘電体樹脂を部分的に硬化させることによって、
図4および
図5に示される第3の回路化コア層を形成する方法の段階を示す図である。
【0036】
図13を参照すると、
図600は、
図3の第3の回路化コア306の表面の断面図および上面図を示す。
図13は、樹脂必要性が増加した領域314が、第3の回路化コア306上の2つの銅トレース間の比較的狭い間隙に対応する場合があることを示す。上面図は、領域314が、X軸およびY軸に沿った座標によって識別され得ることを示す。
図14に関して本明細書で図示され、さらに説明されるように、X軸およびY軸に沿った座標は、樹脂吐出のためにインクジェット・プリンタによって利用されてもよい。
【0037】
図14を参照すると、
図610は、樹脂必要性が増加した領域314への樹脂吐出後の
図13の第3の回路化コア306の表面の断面図および上面図を示す。
図14に示される実施形態では、X軸およびY軸に沿った領域314の座標は、インクジェット・プリンタによるインクの吐出と同様のやり方で、(
図14で「インクジェット印刷樹脂」として識別される)樹脂612の個々の「液滴」のパターンを吐出ために利用されてもよい。領域314内に吐出される樹脂612は、「Aステージ」樹脂を表す。場合によっては、
図14に示される樹脂612は、誘電体樹脂内に封入されたガラス球(例えば、中空ガラス球)を含む誘電体樹脂混合物に対応してもよい。例えば、ガラス球は、(
図5に示される)レイアップ332の隣接するプリプレグ層336のガラス織布と実質的に同一のガラス材料(例えば、「Eガラス」材料)から形成された中空ガラス球に対応してもよい。
図6に示される多層プリント基板を参照すると、第3の回路化コア306の領域314内の硬化させた樹脂346は、第2のプリプレグ層336から形成された隣接する誘電体層の総括的な誘電率と実質的に同一の総括的な誘電率を有することができる。
【0038】
図15は、
図14に示されるように、領域314内に吐出された「Aステージ」樹脂612が、次いで、部分的に硬化(「Bステージ化」)されて、Bステージ樹脂322を形成することを示す
図620である。場合によっては、
図15に示されるBステージ樹脂322は、部分的に硬化させた誘電体樹脂内に封入されたガラス球(例えば、中空ガラス球)を含む誘電体樹脂混合物に対応してもよい。
【0039】
場合によっては、領域314内に吐出される樹脂612は、多層プリント基板を形成するためのその後の積層サイクル中に、隣接するプリプレグ層内の関連付けられた樹脂に基づいて選択されてもよい。例えば、
図5に示されるレイアップ332を参照すると、領域314内に吐出される樹脂612は、第3の回路化コア306に隣接する第2のプリプレグ層336に関連付けられた樹脂に基づいて選択されてもよい。例示すると、「Aステージ」樹脂612は、「Bステージ化」の後、Bステージ樹脂322が第2のプリプレグ層336内のBステージ化された樹脂に対応するように選択されてもよい。
【0040】
他の場合では、領域314内に吐出される樹脂612は、
図6に示される積層サイクル後に、硬化させた樹脂346が、第2のプリプレグ層336から形成された隣接する誘電体層の誘電率と実質的に同一の誘電率を有するように選択されてもよい。すなわち、領域314内に吐出するために選択される樹脂612は、積層サイクル後のガラス織布および硬化させた樹脂の総括的な誘電率を一致させるために、第2のプリプレグ層336に関連付けられた樹脂とは異なるものであってもよい。
【0041】
図16は、積層サイクル前の回路化コア層の樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、部分的に硬化させることを含む、多層プリント基板を製造する方法700の特定の実施形態を示す流れ図である。場合によっては、誘電体樹脂は、誘電体樹脂内に封入されたガラス球を含む誘電体樹脂混合物に対応してもよい。特定の実施形態では、ガラス球は、多層プリント基板の誘電体層を形成するために利用される予備含浸材料のガラス織布材料と実質的に同一のガラス材料(例えば、「E-ガラス」材料)から形成された中空ガラス球に対応してもよい。これにより、ガラス球および硬化させた誘電体樹脂を含む回路化コア層の領域が、プリプレグ材料から形成された隣接する誘電体層に関連付けられた誘電率と実質的に同一の誘電率を有することが可能になる場合がある。
【0042】
一部実施形態では、
図16に示す方法700を利用して、誘電体層および回路化コア層を含む多層プリント基板を形成することができる。誘電体層は、ガラス織布を封入した部分的に硬化させた誘電体樹脂を含むプリプレグ材料から形成される。回路化コア層は、誘電体層に隣接する表面を有する。回路化コア層の表面は、硬化させた誘電体樹脂内に封入されたガラス球を含む誘電体材料の領域を有する。
【0043】
方法700は、702において、誘電体樹脂必要性の増加に関連付けられた回路化コア層の1つまたは複数の領域を識別することを含む。例えば、
図3および
図7を参照すると、第1の回路化コア302の領域310が誘電体樹脂必要性の増加に関連付けられている。別の例として、
図3および
図10を参照すると、第2の回路化コア304の領域312が誘電体樹脂必要性の増加に関連付けられている。さらなる例として、
図3および
図13を参照すると、第3の回路化コア306の領域314が誘電体樹脂必要性の増加に関連付けられている。
【0044】
方法700は、704において、回路化コア層の領域に誘電体樹脂を選択的に塗布することを含む。例えば、
図8を参照すると、樹脂412は、(例えば、上面図に示されるように、領域310のX-Y座標に基づいて)第1の回路化コア302の領域310にインクジェット印刷されてもよい。別の例として、
図11を参照すると、樹脂512は、(例えば、上面図に示されるように、領域312のX-Y座標に基づいて)第2の回路化コア304の領域312にインクジェット印刷されてもよい。さらなる例として、
図14を参照すると、樹脂612は、(例えば、上面図に示されるように、領域314のX-Y座標に基づいて)第3の回路化コア306の領域314にインクジェット印刷されてもよい。場合によっては、誘電体樹脂は、誘電体樹脂内に封入されたガラス球を含む誘電体樹脂混合物に対応してもよい。
【0045】
方法700は、706において、誘電体樹脂を部分的に硬化させることを含む。例えば、
図9を参照すると、領域310内に吐出された樹脂412を部分的に硬化させることにより、第1の回路化コア302の領域310内にBステージ樹脂322が形成される。別の例として、
図12を参照すると、領域312内に吐出された樹脂512を部分的に硬化させることにより、第2の回路化コア304の領域312内にBステージ樹脂322が形成される。さらなる例として、
図15を参照すると、領域314内に吐出された樹脂612を部分的に硬化させることにより、第3の回路化コア306の領域314内にBステージ樹脂322が形成される。一部の実施形態では、
図9、
図12、および
図15に示されるBステージ樹脂322は、部分的に硬化させた誘電体樹脂内に封入されたガラス球を含む誘電体樹脂混合物に対応してもよい。
【0046】
方法700は、708において、回路化コア層を含むレイアップを形成することを含む。例えば、
図5を参照すると、レイアップ332は、樹脂必要性が増加した領域310内にBステージ樹脂322を有する第1の回路化コア302を含む。第1の回路化コア302の領域310は、レイアップ332の第1のプリプレグ層334に隣接している。別の例として、
図5を参照すると、レイアップ332は、樹脂必要性が増加した領域312内にBステージ樹脂322を有する第2の回路化コア304を含む。第2の回路化コア304の領域312は、レイアップ332の第2のプリプレグ層336に隣接している。さらなる例として、
図5を参照すると、レイアップ332は、樹脂必要性が増加した領域314内にBステージ樹脂322を有する第3の回路化コア306を含む。第3の回路化コア306の領域314は、レイアップ332の第2のプリプレグ層336に隣接している。
【0047】
方法700は、710において、積層サイクルを行って多層プリント基板を形成することを含む。例えば、
図6を参照すると、
図5のレイアップ332は、頂部プラテン342と底部プラテン344との間に配置されてもよく、積層サイクルは、圧力および熱を印加することを含んでもよい。結果として得られる多層プリント基板は、樹脂必要性が増加した領域310~314に硬化させた樹脂346を含み、それによって樹脂の欠乏を防止する。場合によっては、硬化させた樹脂346は、硬化させた誘電体樹脂内に封入されたガラス球を含む誘電体樹脂混合物に対応してもよい。これにより、硬化させた樹脂346を含む回路化コア層の領域が、プリプレグ材料から形成された隣接する誘電体層に関連付けられた第2の誘電率と実質的に同一の第1の誘電率を有することができる。
【0048】
したがって、
図16は、積層サイクルの前に、回路化コア層の樹脂必要性が増加した領域に誘電体樹脂を選択的に塗布し、部分的に硬化させることを含む多層プリント基板を製造する方法の例を示す。追加の誘電体樹脂が積層サイクル中に樹脂必要性が増加した領域を充填し、それによって樹脂の欠乏を防止することができる。
【0049】
本明細書の説明は、例示のみを目的としており、限定的な意味で解釈されるべきではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の文言によってのみ限定される。