(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】電動流体注入システムの使用と関連付けられた衛生慣行を監視するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240426BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20240426BHJP
A61M 5/50 20060101ALI20240426BHJP
G16H 70/20 20180101ALI20240426BHJP
【FI】
A61M5/142 530
A61M5/168 504
A61M5/50
G16H70/20
(21)【出願番号】P 2020555512
(86)(22)【出願日】2019-04-09
(86)【国際出願番号】 US2019026659
(87)【国際公開番号】W WO2019199885
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-23
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】コーリー・ケンパー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヴォルカー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ラザラ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ブルク
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-519590(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0258982(US,A1)
【文献】特表2018-501035(JP,A)
【文献】特開2017-213399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/168
A61M 5/50
G16H 70/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像診断法に関連した注入プロトコルにおいて患者に少なくとも1つの流体を投与する際に使用するための流体注入システムであって、前記流体注入システムが少なくとも1つのディスプレイを含み、前記流体注入システムが、
前記少なくとも1つの流体を加圧して少なくとも1つの使い捨て部品を通して患者の体内に流す際に使用するための少なくとも1つの駆動部品と動作可能に関連付けられた制御装置を含み、
前記制御装置が、1つまたは複数の注入を含む注入プロトコルのプログラミングを可能にするようにプログラムまたは構成された少なくとも1つのプロセッサを含み、前記注入の各々が、前記画像診断法のスキャン期間にわたって前記患者の少なくとも1つの関心領域の増強をもたらすように、前記少なくとも1つの駆動部品が前記少なくとも1つの流体を加圧して前記少なくとも1つの使い捨て部品を通して前記患者の体内に流すために従う1つまたは複数の段階を有し、
前記制御装置が、
前記流体注入システムによって行われた前記注入プロトコルの各々について、前記少なくとも1つの使い捨て部品の部品状況であって、前記部品状況が、前記少なくとも1つの使い捨て部品の使用が、前記少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたかどうかを指示する、部品状況を決定し、
前記少なくとも1つのディスプレイが遵守報告であって、前記遵守報告が、前記流体注入システムを使用して行われた前記注入プロトコルの各々について決定された前記部品状況に基づいて前記使用説明書の遵守に関する視覚フィードバックを提供する1つまたは複数の視覚インジケータを含む、遵守報告を表示することを可能にし、
前記注入プロトコルの各々の発生時刻を決定し、
前記注入プロトコルの各々について、前記注入プロトコルに使用された前記少なくとも1つの使い捨て部品の設置時刻を決定する、
ようにさらにプログラムまたは構成され、
前記注入プロトコルの各々について、前記部品状況の前記決定が、前記少なくとも1つの使い捨て部品の前記設置時刻と前記注入プロトコルの前記発生時刻との間の比較に基づくものであり、前記部品状況が、前記注入プロトコルの前記発生時刻が前記少なくとも1つの使い捨て部品の前記設置時刻から所定の期間以内である場合に、前記少なくとも1つの使い捨て部品の使用が前記少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたことを指示し、
注入プロトコルごとの前記部品状況が、前記流体注入システムの複数回使用部品についての第1の状況および前記流体注入システムの単回使用部品についての第2の状況を含み、
前記単回使用部品に適用可能な前記使用説明書が、前記単回使用部品が単回注入プロトコルに使用されることを許容し、前記複数回使用部品に適用可能な前記使用説明書が、前記複数回使用部品が所定の期間または所定数の注入プロトコルの少なくとも一方に使用されることを許容し、
前記流体注入システムによって行われた前記注入プロトコルの各々について、前記制御装置が、前記少なくとも1つの使い捨て部品について決定された前記部品状況を、複数の時間間隔のうちの時間間隔と関連付けるようにさらにプログラムまたは構成され、前記遵守報告が、前記複数の時間間隔の時間間隔ごとに前記1つまたは複数の視覚インジケータのうちの少なくとも1つを含み、時間間隔ごとの前記少なくとも1つの視覚インジケータが、前記複数の時間間隔のうちの前記時間間隔と関連付けられた前記少なくとも1つの使い捨て部品について決定された前記部品状況に基づくものである、流体注入システム。
【請求項2】
前記部品状況が、前記流体注入システムの前記少なくとも1つの使い捨て部品の前記使用が、前記使い捨て部品に適用可能な前記使用説明書を遵守していたか、それとも前記使い捨て部品に適用可能な前記使用説明書を遵守していなかったかを指示する、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの使い捨て部品の前記流体注入システムへの設置を検出するように構成された少なくとも1つのセンサをさらに含む、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項4】
前記制御装置が、前記少なくとも1つのセンサから受け取った情報に基づいて前記少なくとも1つの使い捨て部品の前記流体注入システムへの前記設置時刻を決定するようにさらにプログラムまたは構成される、請求項3に記載の流体注入システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの使い捨て部品が、前記流体注入システムの前記複数回使用部品または前記流体注入システムの前記単回使用部品の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項6】
前記複数回使用部品が、複数の患者によって使用されるように構成された少なくとも1つのシリンジを含み、前記単回使用部品が、前記少なくとも1つのシリンジと流体連通して配置されかつ一人の患者によって使用されるように構成された患者ラインを含む、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項7】
前記遵守報告が、前記複数の時間間隔の時間間隔ごとの前記1つまたは複数の視覚インジケータのうちの前記少なくとも1つの各々のスペースを含むマトリクスを含む、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項8】
前記複数の時間間隔の時間間隔ごとの前記1つまたは複数の視覚インジケータのうちの前記少なくとも1つが、前記時間間隔の各部品状況が前記使用説明書の遵守を指示する場合の第1の外観、および前記時間間隔の前記部品状況のうちの少なくとも1つが、使用が前記少なくとも1つの使い捨て部品の前記使用説明書を遵守していなかったことを指示する場合の第2の外観を含む、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項9】
前記遵守報告が、前記複数の時間間隔の各々の前記決定された部品状況に基づいて生成された総合的遵守の少なくとも1つの視覚インジケータをさらに含む、請求項1に記載の流体注入システム。
【請求項10】
総合的遵守の前記視覚インジケータが、遵守を指示する第1の棒および非遵守を指示する少なくとも1つの第2の棒を含む棒グラフを含む、請求項9に記載の流体注入システム。
【請求項11】
流体注入システムによって行われた複数の注入プロトコルについての視覚フィードバックを提供するためのコンピュータプログラムであって、前記流体注入システムが、画像診断法に関連して少なくとも1つの流体を加圧して少なくとも1つの使い捨て部品を通して患者の体内に流す際に使用するための少なくとも1つの駆動部品と動作可能に関連付けられた制御装置を有し、前記制御装置が、前記複数の注入プロトコルのプログラミングを可能にするようにプログラムまたは構成された少なくとも1つのプロセッサを含み、前記複数の注入プロトコルの各々が、1つまたは複数の注入を含み、前記注入の各々が、前記画像診断法のスキャン期間にわたって前記患者の少なくとも1つの関心領域の増強をもたらすように、前記少なくとも1つの駆動部品が前記少なくとも1つの流体を加圧して前記少なくとも1つの使い捨て部品を通して前記患者の体内に流すために従う1つまたは複数の段階を有し、前記コンピュータプログラムが、1つまたは複数の命令を含み、前記1つまたは複数の命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記注入プロトコルの各々について、前記少なくとも1つの使い捨て部品の部品状況であって、前記部品状況が、前記少なくとも1つの使い捨て部品の使用が、前記少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたかどうかを指示する、部品状況を決定させ、
少なくとも1つのディスプレイに遵守報告であって、前記遵守報告が、前記流体注入システムを使用して行われた前記注入プロトコルの各々について決定された前記部品状況に基づいて前記使用説明書の遵守に関する視覚フィードバックを提供する1つまたは複数の視覚インジケータを含む、遵守報告を表示させ、
前記注入プロトコルの各々の発生時刻を決定させ、
前記注入プロトコルの各々について、前記注入プロトコルに使用された前記少なくとも1つの使い捨て部品の設置時刻を決定させ、
前記注入プロトコルの各々について、前記部品状況の前記決定が、前記少なくとも1つの使い捨て部品の前記設置時刻と前記注入プロトコルの前記発生時刻との間の比較に基づくものであり、前記部品状況が、前記注入プロトコルの前記発生時刻が前記少なくとも1つの使い捨て部品の前記設置時刻から所定の期間以内である場合に、前記少なくとも1つの使い捨て部品の使用が前記少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたことを指示し、
注入プロトコルごとの前記部品状況が、前記流体注入システムの複数回使用部品についての第1の状況および前記流体注入システムの単回使用部品についての第2の状況を含み、
前記単回使用部品に適用可能な前記使用説明書が、前記単回使用部品が単回注入プロトコルに使用されることを許容し、前記複数回使用部品に適用可能な前記使用説明書が、前記複数回使用部品が所定の期間または所定数の注入プロトコルの少なくとも一方に使用されることを許容し、
前記流体注入システムによって行われた前記注入プロトコルの各々について、前記制御装置が、前記少なくとも1つの使い捨て部品について決定された前記部品状況を、複数の時間間隔のうちの時間間隔と関連付けるようにさらにプログラムまたは構成され、
前記遵守報告が、前記複数の時間間隔の時間間隔ごとに前記1つまたは複数の視覚インジケータのうちの少なくとも1つを含み、時間間隔ごとの前記少なくとも1つの視覚インジケータが、前記複数の時間間隔のうちの前記時間間隔と関連付けられた前記少なくとも1つの使い捨て部品について決定された前記部品状況に基づくものである、
コンピュータプログラム。
【請求項12】
前記部品状況が、前記流体注入システムの少なくとも1つの使い捨て部品の使用が、前記少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な前記使用説明書を遵守していたか、それとも前記少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な前記使用説明書を遵守していなかったかを指示する、請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
画像診断法に関連して少なくとも1つの流体を加圧して少なくとも1つの使い捨て部品を通して患者の体内に流す際に使用するための少なくとも1つの駆動部品と動作可能に関連付けられた制御装置を有する流体注入システム
の作動方法であって、
前記制御装置が、前記流体注入システムによって行われ
た注入プロトコルの各々について、前記少なくとも1つの使い捨て部品の部品状況を決定するステップであって、前記部品状況が、前記少なくとも1つの使い捨て部品の使用が、前記少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたかどうかを指示する、ステップと、
前記制御装置が、少なくとも1つのディスプレイに遵守報告を表示させるステップであって、前記遵守報告が、前記流体注入システムを使用して行われた前記注入プロトコルの各々について決定された前記部品状況に基づいて前記使用説明書の遵守に関する視覚フィードバックを提供する1つまたは複数の視覚インジケータを含む、ステップと、
前記制御装置が、前記注入プロトコルの各々の発生時刻を決定するステップと、
前記制御装置が、前記注入プロトコルの各々について、前記注入プロトコルに使用された前記少なくとも1つの使い捨て部品の設置時刻を決定するステップと、
を含み、
前記注入プロトコルの各々について、前記部品状況の前記決定が、前記少なくとも1つの使い捨て部品の前記設置時刻と前記注入プロトコルの前記発生時刻との間の比較に基づくものであり、前記部品状況が、前記注入プロトコルの前記発生時刻が前記少なくとも1つの使い捨て部品の前記設置時刻から所定の期間以内である場合に、前記少なくとも1つの使い捨て部品の使用が前記少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたことを指示し、
注入プロトコルごとの前記部品状況が、前記流体注入システムの複数回使用部品についての第1の状況および前記流体注入システムの単回使用部品についての第2の状況を含み、
前記単回使用部品に適用可能な前記使用説明書が、前記単回使用部品が単回注入プロトコルに使用されることを許容し、前記複数回使用部品に適用可能な前記使用説明書が、前記複数回使用部品が所定の期間または所定数の注入プロトコルの少なくとも一方に使用されることを許容し、
前記流体注入システムによって行われた前記注入プロトコルの各々について、前記制御装置が、前記少なくとも1つの使い捨て部品について決定された前記部品状況を、複数の時間間隔のうちの時間間隔と関連付けるようにさらにプログラムまたは構成され、
前記遵守報告が、前記複数の時間間隔の時間間隔ごとに前記1つまたは複数の視覚インジケータのうちの少なくとも1つを含み、時間間隔ごとの前記少なくとも1つの視覚インジケータが、前記複数の時間間隔のうちの前記時間間隔と関連付けられた前記少なくとも1つの使い捨て部品について決定された前記部品状況に基づくものである、
作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示が全体として参照により本明細書に組み入れられる、2018年4月10日に出願された米国仮特許出願第62/655374号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、流体注入システムおよび流体注入システムの使用に関するフィードバックを提供する方法を対象とし、特に、流体注入システムの使用説明書の遵守および使い捨て用品の衛生慣行に関する視覚フィードバックを提供するためのシステムおよび方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
多くの医療診断および治療手技において、医師、例えば医療技術者は、患者に1つまたは複数の医療用流体を注入する。近年、造影剤(しばしば単に「コントラスト」と呼ばれる)、生理食塩水などの(1つまたは複数の)フラッシング剤、およびその他の医療用流体といった流体の加圧注入のためのいくつかの医療用流体送達システムが、血管造影、コンピュータ断層撮影(CT)、超音波、磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放射断層撮影(PET)および様々な他の撮像法などの手法で使用するために開発されている。一般に、電動流体注入器などのこれらの医療用流体送達システムは、そのような流体を1つまたは複数の注入プロトコルによって送達するように設計される。注入プロトコルは、画像診断中に患者の身体の関心領域を増強する1つまたは複数の段階を各々含む、1つまたは複数の注入を含むことができる。ユーザによりプログラム可能な多段階注入プロトコルによってそのような流体を送達することができる電動流体注入器の例には、MEDRAD(登録商標)Stellant CT Injection System、MEDRAD(登録商標)Stellant FLEX CT Injection System、MEDRAD(登録商標)MRXperion MR Injection SystemおよびMEDRAD(登録商標)Centargo CT Injection Systemが含まれ、これらはすべてBayer HealthCare LLC製である。
【0004】
多くの流体注入システムは単回使用の使い捨て部品と共に使用されるように設計されているが、複数回使用と単回使用との両方の使い捨て部品と共に使用されるように設計されているシステムもある。前者の一例として、MEDRAD(登録商標)Stellant CT Injection Systemは、同数の駆動部材によって加圧された流体を、単回使用の流体経路セットまたは患者ラインとも呼ばれる、単回使用の使い捨てセット(SUDS)を介して患者の体内に送達するための、1つまたは2つの単回使用の使い捨てシリンジと共に使用されるように設計されている。患者ラインは、(1つまたは複数の)シリンジに連結するか、またはシリンジと少なくとも流体連通するように設計されている近位端と、患者の静脈などの血管に挿入されることになる血管アクセス装置に連結するための遠位端と、を有する。後者の一例として、MEDRAD(登録商標)Centargo CT Injection Systemは、(1つまたは複数の)加圧流体がそこから単回使用の使い捨てセット(SUDS)を通って患者の体内に流れる複数回使用の使い捨てセット(MUDS)と共に使用されるように設計されている。MUDSを、複数の患者に、かつ/または複数の注入プロトコルに使用することができる。MUDSは、例えば、(1つまたは複数の)適切な流体源に連結されるように設計された少なくとも1つのシリンジと、(1つまたは複数の)シリンジと患者ラインまたはSUDSとの間の流体連通を確立するための管またはコネクタと、を含むことができる。MUDSを、使用時間または使用可能期間にわたって多数の患者に使用することができる。例えば、MUDSの使用説明書は、それが4時間ごと、12時間ごと、または毎日交換されるべきであると指示する場合もある。また使用説明書は、交換の必要は患者数に基づくものとし得ると指示する場合もある。例えば、使用説明書には、MUDSが、所定数の注入プロトコルまたは患者、例えば、5件または10件の注入プロトコルまたは5人または10人の患者に使用された後で交換されるべきであると記載されることもあり得る。どちらのタイプの注入システムでも、SUDSは、一般に、新しい患者ごとに、かつ/または新しい注入プロトコルごとに交換されることになっている。
【0005】
MUDSなどの使い捨て用品は、その使用期限または使用時間(4時間から1日など)に合わせて試験される。使用期限を超えて使用すると、使い捨て用品の不具合、環境汚染、および患者に対するその他の潜在的なリスクにつながり得る。また使用期限を超えて使用すると、流体注入システムの電気機械ハードウェアに対する余計なストレスを生じることにもなり得る。複数の患者にSUDSを再利用すると、患者間の相互汚染につながり、患者を血液媒介の感染症のリスクにさらす可能性がある。
【0006】
使用期限を超えたMUDSの使用および/または複数の患者へのSUDSの使用を回避するために、流体注入システムは、例えば、医師に使い捨て部品が交換される必要があることを通知する使用期限タイマ、可聴または視覚アラート、およびラベリングを含むことができる。一部の注入器は、適応外使用を防止するために使い捨て用品を監視するセンサおよびソフトウェアも含むことができる。例えば、バーコード、QRコード(登録商標)、またはRFIDタグをあらゆる使い捨て用品に取り付けることができる。注入に使用される使い捨て部品に関する情報を決定するために毎注入前にコードまたはRFIDタグを手動または自動でスキャンすることができる。例えば、そのような追跡により、システムが、どのSUDSが注入に使用されるかを追跡し、SUDSが再利用されないようにすることが可能となり得る。
【0007】
使い捨て部品を、(単回使用コネクタまたはSUDSなどでの)再利用を防止し、(複数回使用コネクタまたはMUDSなどでの)使用期限を超えた長期使用を防止するように設計することもできる。例えば、一部の単回使用部品は、その部品を2回目の注入の実行に使用できないようにするために、注入器に取り付けられたときに、かつ/または注入の後に壊れるように設計された部分を含む。
【0008】
場合によっては、使い捨て用品の製品パッケージが、使い捨て部品を使用説明書に従って使用するよう医師に促すように設計される。例えば、一日分の患者ライン(SUDSなど)を1つのMUDSと一緒にパッケージすることができる。そのようなパッケージにより、ユーザ(医療技術者など)に、その日中にすべての患者ラインまたはSUDSを使用するよう促すことができる。すべてのSUDSが使用されると、これには約1日を要するはずであり、技術者は、MUDSを廃棄し、新しいパッケージを開封し、新しく開封したパッケージからのMUDSを流体注入器に設置するよう指示され得る。このようにして、製品パッケージは、ユーザに、(例えば、パッケージ内のすべてのSUDSが1日で使用されるようにするために)注入ごとにSUDSを交換するとともに、パッケージ内のすべてのSUDSが使用された後で、MUDSを毎日交換するよう促す。
【0009】
当業者には理解されるように、遵守を促し、使い捨て部品の誤った使用を回避するために流体注入器を変更すると、多くの場合、技術者が、使い捨て用品の使用が使用説明書に従ったものであることを確認するための余分なステップ(タグやラベルのスキャンなど)を行うことが必要になる。また、そのような変更により、流体注入システムおよび使い捨て部品の複雑さおよび/または追加コストが増加する可能性もある。例えば、再利用を防ぐためにSUDSに壊れやすい部分を形成することにより、製造コストが上がるか、またはSUDSが使用前もしくは使用中に破損する可能性がより高くなり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第2016/112163号パンフレット
【文献】国際公開第2015/106107号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ユーザに使い捨て部品の誤った使用に関して知らせる際の困難を考えると、ユーザに、使用説明書を遵守して使い捨て用品を使用および交換するよう促すための改善されたフィードバックシステムが求められている。本開示のシステムおよび方法は、ユーザに遵守および安全な衛生慣行を促すそのようなフィードバックを提供するためのものである。特に、本明細書で開示されるシステム、コンピュータプログラム製品、および方法は、ユーザに、所定の期間(日数、週数、または月数など)にわたって使用説明書の遵守に関するインジケータを表示する視覚フィードバックシステムに関する。本明細書で開示される視覚フィードバックシステム、コンピュータプログラム製品、および方法は、一般に、流体注入システムの動作または患者の治療を他の形で妨げるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一態様によれば、画像診断法に関連した注入プロトコルにおいて患者に少なくとも1つの流体を投与する際に使用するための流体注入システムは、少なくとも1つのディスプレイと、少なくとも1つの流体を加圧して少なくとも1つの使い捨て部品を通して患者の体内に流す際に使用するための少なくとも1つの駆動部品と動作可能に関連付けられた制御装置と、を含む。制御装置は、1つまたは複数の注入を含む注入プロトコルのプログラミングを可能にするようにプログラムまたは構成された少なくとも1つのプロセッサを含み、注入の各々が、画像診断法のスキャン期間にわたって患者の少なくとも1つの関心領域の増強をもたらすように、少なくとも1つの駆動部品が少なくとも1つの流体を加圧して少なくとも1つの使い捨て部品を通して患者の体内に流すために従う1つまたは複数の段階を有する。制御装置は、流体注入システムによって行われた注入プロトコルの各々について、少なくとも1つの使い捨て部品の部品状況を決定するようにさらにプログラムまたは構成される。部品状況は、少なくとも1つの使い捨て部品の使用が、少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたかどうかを指示する。制御装置は、少なくとも1つのディスプレイが遵守報告を表示することを可能にするようにさらにプログラムまたは構成される。遵守報告は、流体注入システムを使用して行われた注入プロトコルの各々について決定された部品状況に基づいて使用説明書の遵守に関する視覚フィードバックを提供する1つまたは複数の視覚インジケータを含む。
【0013】
本開示の別の態様によれば、コンピュータプログラム製品は、流体注入システムによって行われた複数の注入プロトコルについての視覚フィードバックを提供する。流体注入システムは、画像診断法に関連して少なくとも1つの流体を加圧して少なくとも1つの使い捨て部品を通して患者の体内に流す際に使用されるように設計される。本コンピュータプログラム製品は、1つまたは複数の命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体を含み、1つまたは複数の命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、注入プロトコルの各々について、少なくとも1つの使い捨て部品の部品状況を決定させる。部品状況は、少なくとも1つの使い捨て部品の使用が、少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたかどうかを指示する。また1つまたは複数の命令は、少なくとも1つのプロセッサに、少なくとも1つのディスプレイに遵守報告を表示させるようにもさせる。遵守報告は、流体注入システムを使用して行われた注入プロトコルの各々について決定された部品状況に基づいて使用説明書の遵守に関する視覚フィードバックを提供する1つまたは複数の視覚インジケータを含む。
【0014】
本開示の別の態様によれば、流体注入システムによって行われた複数の注入プロトコルに関する視覚フィードバックを提供するためのコンピュータ実装方法が開示される。流体注入システムは、画像診断法に関連して少なくとも1つの流体を加圧して少なくとも1つの使い捨て部品を通して患者の体内に流す際に使用するように設計される。本方法は、流体注入システムによって行われた注入プロトコルの各々について、少なくとも1つの使い捨て部品の部品状況を決定するステップを含む。部品状況は、少なくとも1つの使い捨て部品の使用が、少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたかどうかを指示する。また本方法は、少なくとも1つのディスプレイに遵守報告を表示させるステップも含む。遵守報告は、流体注入システムを使用して行われた注入プロトコルの各々について決定された部品状況に基づいて使用説明書の遵守に関する視覚フィードバックを提供する1つまたは複数の視覚インジケータを含む。
【0015】
いくつかの例または態様によれば、本出願の開示は、以下の番号付きの各項のうちの1つまたは複数を特徴とし得る。
【0016】
第1項:画像診断法に関連した注入プロトコルにおいて患者に少なくとも1つの流体を投与する際に使用するための流体注入システムであって、流体注入システムが少なくとも1つのディスプレイを含み、流体注入システムが、少なくとも1つの流体を加圧して少なくとも1つの使い捨て部品を通して患者の体内に流す際に使用するための少なくとも1つの駆動部品と動作可能に関連付けられた制御装置を含み、制御装置が、1つまたは複数の注入を含む注入プロトコルのプログラミングを可能にするようにプログラムまたは構成された少なくとも1つのプロセッサを含み、注入の各々が、画像診断法のスキャン期間にわたって患者の少なくとも1つの関心領域の増強をもたらすように、少なくとも1つの駆動部品が少なくとも1つの流体を加圧して少なくとも1つの使い捨て部品を通して患者の体内に流すために従う1つまたは複数の段階を有し、制御装置が、流体注入システムによって行われた注入プロトコルの各々について、少なくとも1つの使い捨て部品の部品状況であって、部品状況が、少なくとも1つの使い捨て部品の使用が、少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたかどうかを指示する、部品状況を決定し、少なくとも1つのディスプレイが遵守報告であって、遵守報告が、流体注入システムを使用して行われた注入プロトコルの各々について決定された部品状況に基づいて使用説明書の遵守に関する視覚フィードバックを提供する1つまたは複数の視覚インジケータを含む、遵守報告を表示することを可能にする、ようにさらにプログラムまたは構成される、流体注入システム。
【0017】
第2項:部品状況が、流体注入システムの少なくとも1つの使い捨て部品の使用が、少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたか、それとも少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していなかったかを指示する、第1項に記載の流体注入システム。
【0018】
第3項:制御装置が、注入プロトコルの各々の発生時刻を決定するようにさらにプログラムまたは構成される、第1項または第2項に記載の流体注入システム。
【0019】
第4項:注入プロトコルの各々について、制御装置が、注入プロトコルに使用された少なくとも1つの使い捨て部品の設置時刻を決定するようにさらにプログラムまたは構成される、第3項に記載の流体注入システム。
【0020】
第5項:注入プロトコルの各々について、部品状況の決定が、少なくとも1つの使い捨て部品の設置時刻と注入プロトコルの発生時刻との間の比較に基づくものである、第4項に記載の流体注入システム。
【0021】
第6項:部品状況が、注入プロトコルの発生時刻が少なくとも1つの使い捨て部品の設置時刻から所定の期間以内である場合に、少なくとも1つの使い捨て部品の使用が少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたことを指示する、第4項または第5項に記載の流体注入システム。
【0022】
第7項:少なくとも1つの使い捨て部品の流体注入システムへの設置を検出するように構成された少なくとも1つのセンサをさらに含む、第4項~第6項のいずれか一項に記載の流体注入システム。
【0023】
第8項:制御装置が、少なくとも1つのセンサから受け取った情報に基づいて少なくとも1つの使い捨て部品の流体注入システムへの設置時刻を決定するようにさらにプログラムまたは構成される、第7項に記載の流体注入システム。
【0024】
第9項:少なくとも1つの使い捨て部品が、流体注入システムの複数回使用部品または流体注入システムの単回使用部品の少なくとも一方を含む、第1項~第8項のいずれか一項に記載の流体注入システム。
【0025】
第10項:注入プロトコルごとの部品状況が、流体注入システムの複数回使用部品についての第1の状況および流体注入システムの単回使用部品についての第2の状況を含む、第1項~第9項のいずれか一項に記載の流体注入システム。
【0026】
第11項:複数回使用部品が、複数の患者によって使用されるように構成された少なくとも1つのシリンジを含み、単回使用部品が、少なくとも1つのシリンジと流体連通して配置されかつ一人の患者によって使用されるように構成された患者ラインを含む、第10項に記載の流体注入システム。
【0027】
第12項:複数回使用部品に適用可能な使用説明書が、複数回使用部品が所定の期間または所定数の注入プロトコルの少なくとも一方に使用されることを許容する、第11項に記載の流体注入システム。
【0028】
第13項:流体注入システムによって行われた注入プロトコルの各々について、制御装置が、少なくとも1つの使い捨て部品について決定された部品状況を、複数の時間間隔のうちの時間間隔と関連付けるようにさらにプログラムまたは構成される、第1項~第12項のいずれか一項に記載のシステム。
【0029】
第14項:遵守報告が、複数の時間間隔の時間間隔ごとに1つまたは複数の視覚インジケータのうちの少なくとも1つを含み、時間間隔ごとの少なくとも1つの視覚インジケータが、複数の時間間隔のうちの時間間隔と関連付けられた少なくとも1つの使い捨て部品について決定された部品状況に基づくものである、第13項に記載のシステム。
【0030】
第15項:遵守概要が、複数の時間間隔の時間間隔ごとの1つまたは複数の視覚インジケータのうちの少なくとも1つの各々のスペースを含むマトリクスを含む、第14項に記載の流体注入システム。
【0031】
第16項:複数の時間間隔の時間間隔ごとの1つまたは複数の視覚インジケータのうちの少なくとも1つが、時間間隔の各部品状況が使用説明書の遵守を指示する場合の第1の外観、および間隔の部品状況のうちの少なくとも1つが、使用が少なくとも1つの使い捨て部品の使用説明書を遵守していなかったことを指示する場合の第2の外観を含む、第14項または第15項に記載の流体注入システム。
【0032】
第17項:遵守報告が、複数の時間間隔の各々の決定された部品状況に基づいて生成された総合的遵守の少なくとも1つの視覚インジケータをさらに含む、第14項~第16項のいずれか一項に記載の流体注入システム。
【0033】
第18項:総合的遵守の視覚インジケータが、遵守を指示する第1の棒および非遵守を指示する少なくとも1つの第2の棒を含む棒グラフを含む、第17項に記載の流体注入システム。
【0034】
第19項:流体注入システムによって行われた複数の注入プロトコルについての視覚フィードバックを提供するためのコンピュータプログラム製品であって、流体注入システムが、画像診断法に関連して少なくとも1つの流体を加圧して少なくとも1つの使い捨て部品を通して患者の体内に流す際に使用するためのものであり、コンピュータプログラム製品が、1つまたは複数の命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体を含み、1つまたは複数の命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、注入プロトコルの各々について、少なくとも1つの使い捨て部品の部品状況であって、部品状況が、少なくとも1つの使い捨て部品の使用が、少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたかどうかを指示する、部品状況を決定させ、少なくとも1つのディスプレイに遵守報告であって、遵守報告が、流体注入システムを使用して行われた注入プロトコルの各々について決定された部品状況に基づいて使用説明書の遵守に関する視覚フィードバックを提供する1つまたは複数の視覚インジケータを含む、遵守報告を表示させる、コンピュータプログラム製品。
【0035】
第20項:部品状況が、流体注入システムの少なくとも1つの使い捨て部品の使用が、少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたか、それとも少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していなかったかを指示する、第19項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0036】
第21項:命令が、少なくとも1つのプロセッサに、注入プロトコルの各々の発生時刻をさらに決定させる、第19項または第20項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0037】
第22項:複数の注入プロトコルの各々について、命令が、少なくとも1つのプロセッサに、注入プロトコルに使用された少なくとも1つの使い捨て部品の設置時刻を決定させる、第21項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0038】
第23項:命令が、少なくとも1つのプロセッサに、少なくとも1つの使い捨て部品の設置時刻と注入プロトコルの発生時刻との間の比較に基づいて複数の注入プロトコルの各々の部品状況を決定させる、第22項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0039】
第24項:部品状況が、注入プロトコルの発生時刻が少なくとも1つの使い捨て部品の設置時刻から所定の期間以内である場合に、少なくとも1つの使い捨て部品の使用が少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたことを指示する、第22項または第23項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0040】
第25項:命令が、少なくとも1つのプロセッサに、少なくとも1つの使い捨て部品について決定された部品状況を、複数の時間間隔のうちの時間間隔とさらに関連付けさせる、第19項~第24項のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0041】
第26項:遵守報告が、複数の時間間隔の時間間隔ごとに1つまたは複数の視覚インジケータのうちの少なくとも1つを含み、時間間隔ごとの少なくとも1つの視覚インジケータが、複数の時間間隔のうちの時間間隔と関連付けられた少なくとも1つの使い捨て部品について決定された部品状況に基づくものである、第25項に記載のコンピュータプログラム製品。
【0042】
第27項:画像診断法に関連して少なくとも1つの流体を加圧して少なくとも1つの使い捨て部品を通して患者の体内に流す際に使用するための流体注入システムによって行われた複数の注入プロトコルに関する視覚フィードバックを提供するためのコンピュータ実装方法であって、流体注入システムによって行われた注入プロトコルの各々について、少なくとも1つの使い捨て部品の部品状況を決定するステップであって、部品状況が、少なくとも1つの使い捨て部品の使用が、少なくとも1つの使い捨て部品に適用可能な使用説明書を遵守していたかどうかを指示する、ステップと、少なくとも1つのディスプレイに遵守報告を表示させるステップであって、遵守報告が、流体注入システムを使用して行われた注入プロトコルの各々について決定された部品状況に基づいて使用説明書の遵守に関する視覚フィードバックを提供する1つまたは複数の視覚インジケータを含む、ステップと、を含む、コンピュータ実装方法。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本開示のいくつかの例または態様による電動流体注入システムの概略図である。
【
図2A】本開示の別の例または態様による電動流体注入システムの斜視図である。
【
図2B】アクセスパネルが開放位置にある、
図2Aの電動流体注入システムの斜視図である。
【
図3】
図2Aの電動流体注入システム内の様々な流体経路の概略図である。
【
図4】本開示のいくつかの例または態様による、スキャン室と制御室とを含む流体注入システムのための使用環境の概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの例または態様による流体注入システムの電子構成要素を示す概略図である。
【
図6】本開示のいくつかの例または態様による、流体注入システムのための、使用説明書の遵守を監視し、遵守の視覚的な概要を生成するためのステップを示すフローチャートである。
【
図7A】本開示のいくつかの例または態様による、良好な遵守を示す使用説明書の遵守の視覚的な概要の画面キャプチャである。
【
図7B】本開示のいくつかの例または態様による、部分的な遵守を示す使用説明書の遵守の視覚的な概要の画面キャプチャである。
【
図7C】本開示のいくつかの例または態様による、不十分な遵守を示す使用説明書の遵守の視覚的な概要の画面キャプチャである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
各例示は、一般に、本開示のシステムおよび方法の好ましい非限定的な例または態様を示している。説明では装置の様々な例または態様を提示しているが、これはいかなる点でも本開示を限定するものと解釈されるべきではない。さらに、本開示の例または態様の改変形態、概念、および用途は、当業者により、これに限定されないが、本明細書の例示および説明によって包含されると解釈されるものである。
【0045】
以下の説明は、当業者が、本開示を実行するために企図される記載の例または態様を作成および使用することを可能にするために提供されている。しかしながら、当業者には、様々な改変形態、均等物、変形形態、および変更形態が依然として容易に明らかであろう。そうしたあらゆる改変形態、変形形態、均等物、および代替形態は、本開示の趣旨および範囲内に入ることが意図されている。
【0046】
以下の説明では、「上方」、「下方」、「右」、「左」、「鉛直」、「水平」、「最上部」、「最下部」、「横方向」、「縦方向」という用語、およびそれらの派生語は、その用語が図面において指向しているように本開示に関連するものである。投与ラインに関連して使用される場合、「近位」という用語は、電動流体注入器に最も近い投与ラインの部分を指す。投与ラインに関連して使用される場合、「遠位」という用語は、患者の注入部位に最も近い投与ラインの部分を指す。電動流体注入器の投与ラインまたはシリンジに関連して使用される場合、「軸方向」という用語は、近位端と遠位端との間に延在するシリンジまたは投与ラインの縦軸に沿った方向を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、「のうちの少なくとも1つ」という用語は、「のうちの1つまたは複数」と同義である。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という句は、A、B、およびCのうちのいずれか1つ、またはA、B、およびCのうちのいずれか2つ以上の任意の組み合わせを意味する。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、1つもしくは複数のAのみ、または1つもしくは複数のBのみ、または1つもしくは複数のCのみ、または1つもしくは複数のAおよび1つもしくは複数のB、または1つもしくは複数のAおよび1つもしくは複数のC、または1つもしくは複数のBおよび1つもしくは複数のC、または1つもしくは複数のA、B、およびCの全部、を含む。同様に、本明細書で使用される場合、「のうちの少なくとも2つ」という用語は、「のうちの2つ以上」と同義である。例えば、「D、E、およびFのうちの少なくとも2つ」という句は、D、E、およびFのうちのいずれか2つ以上の任意の組み合わせを意味する。例えば、「D、E、およびFのうちの少なくとも2つ」は、1つもしくは複数のDおよび1つもしくは複数のE、または1つもしくは複数のDおよび1つもしくは複数のF、または1つもしくは複数のEおよび1つもしくは複数のF、または1つもしくは複数のD、E、およびFの全部、を含む。
【0048】
添付の図面に示され、以下の本明細書に記載される特定の装置およびプロセスは、本開示の単なる例示的な態様であることも理解されたい。よって、本明細書で開示される例に関連した特定の寸法およびその他の物理特性は限定とみなされるべきではない。
【0049】
図1~
図3に、流体注入システム100の使用説明書の遵守および使い捨て用品または使い捨て部品の衛生慣行に関してユーザにフィードバックを提供するための流体注入システム100が示されている。本開示は主に、MEDRAD(登録商標)Centargo CT Injection Systemに関連して説明されているが、本発明を、関連する使い捨て用品(例えば、シリンジ、管など)を含む様々な注入システムに適用できることが、当業者には明らかであろう/明らかなはずである。そのような注入システムの例には、Bayer HealthCare LLCが提供する、MEDRAD(登録商標)Stellant FLEX CT Injection System、MEDRAD(登録商標)MRXperion MR Injection SystemおよびMEDRAD(登録商標)Mark 7 Arterion Injection Systemが含まれる。本明細書に記載される注入システムは主に、複数回使用の使い捨て部品と単回使用の使い捨て部品との両方を含むが、本明細書で開示される視覚的なフィードバックおよび遵守概要を、単回使用の使い捨て部品のみを含む注入器にも使用することができる。
【0050】
特に、複数患者の使用が意図された注入システムでは、使い捨て用品をそのラベリングおよび使用説明書に従って使用することが重要である。特に、MUDSなどの一部の使い捨て部品は、複数の患者によって使用され、それを過ぎると使い捨て部品が交換されるべきである、使用時間(4時間、12時間、毎日など)または最大患者数を有し得る。単回使用の使い捨てセット(SUDS)や患者ラインなどの他の使い捨て部品は、一人の患者でのみ使用され、注入ごとに交換されるべきである。
【0051】
いくつかの例では、本明細書で開示される流体注入システム100は、SUDSやMUDSなどの使い捨て部品が使用説明書に従って使用されているかどうかに関するフィードバックを提供する。どの部品が単回使用または複数回使用であるか、および複数回使用部品がいつ交換されるべきかを追跡することは、使い捨て部品を(例えば提供された使用説明書に従って)適応内で使用したいと思っている施設にとってさえも困難であり得る。例えば、医療技術者などの流体注入システム100のユーザが同時に、またはシフト変更にまたがって作業しているときに、複数回使用部品がいつ交換されるべきかに関するミスが発生する可能性がある。さらに、リスクに寛容な施設の中には使用ガイドラインの遵守にあまり厳格ではないものもあり、したがって、部品がいつ交換されるべきかがあまり厳密に文書化されていない場合がある。その場合、追跡が行われないと誤った安心感がもたらされ、ユーザに、自分たちが実際にそうであるよりも厳密に使用ガイドラインを遵守していると思い込ませる可能性がある。
【0052】
使用説明書の遵守を評価するための流体注入システム100の手動または自動の監視は困難であり得る。例えば、注入システム100は、MUDSおよびSUDSを適時に交換することによって使い捨て用品の使用説明書を遵守するようユーザに求める通知をユーザに提供することができる。しかしながら、多くの注入システム100には、ユーザが実際に通知を遵守するかどうかを監視する方法がない。さらに、一部の注入システム100は注入システム100によって行われた注入に関する限られたログファイルを作成するが、そのようなログファイルは一般に保守技術者だけが利用できる。ログファイルは多くの場合、流体注入システムのユーザによってアクセスされることも、定期的に見直されることもなく、これは、ユーザがログファイルを見直して遵守のレベルを判断することがないことを意味する。一部の使い捨て用品は、使用説明書の遵守を促し、または保証するために、バーコード、QRコード、RFIDタグ、または壊れやすい部品を含むことができる。しかしながら、これらの特徴は、実施するためにユーザによるさらなる労力を必要とし、使い捨て部品の製造をさらに複雑にする可能性があり、かつ/または使い捨て用品をより壊れやすくする可能性がある。したがって、そのような予防策は実施されないことが多い。また、真に有効であるためには、そのような予防策により、使い捨て部品が除去および交換されるまで注入装置が動作不能になる必要があるであろう。しかしながら、注入装置を動作不能になるようにすると、例えば、即時の医用画像を必要とする緊急事態が生じた場合に、危険になる可能性もある。
【0053】
部品が交換されるまで流体注入システムを危険にする可能性があるそのような予防策を使用する代わりに、本発明者らは、ユーザにある期間(数日、数週間、または数ヵ月など)にわたる過去の使用説明書の遵守に関するフィードバックを提供することが、使用説明書がどれほど厳密に遵守されているかをユーザが理解するのを助け、将来の遵守を促し得ることを認めている。例えば、本明細書で開示される流体注入システム100を、離散間隔(数日、数週間、または数ヵ月など)にわたる遵守のレベルを示すインジケータを含む(
図4および
図5に示される)視覚ディスプレイ220を提供し、ユーザに対して、使い捨て用品がラベリングに従って正しく使用されている場合と、部品が使用期限を超過して使用されているか、または不適切に再利用されている場合と、を明確にするように構成することができる。
【0054】
過去の遵守に関する視覚フィードバックを提供することを、「遡及的監視」と呼ぶことができる。あるユーザにとっては、「遡及的監視」は、施設の日々のワークフローへの影響(通知に応答するためのユーザによる追加措置を必要とすることなど)またはコスト(施設が再利用を防止するより高価な使い捨て用品を購入することを必要とすることなど)なしで、使い捨て用品を適応内で使用する誘因となり得る。さらに、そのような遡及的監視により、ある施設の異なる部局(放射線科、衛生部、および感染対策部など)が利用を監視し、適切な(適応内などの)使用または不適切な(適応外などの)使用を視覚化することが可能になり得る。
【0055】
そのような遡及的監視またはフィードバックを提供するために、いくつかの例では、単に、MUDSの合計使用時間などの全体的な値を表示する代わりに、フィードバックは、使い捨て用品の不適切な使用によって行われた注入の数を示すことができる。例えば、本明細書に記載されるように、視覚ディスプレイ220は、MUDSの期限が切れた後に行われた注入プロトコルの数または再利用されたSUDSで行われた注入プロトコルの数を示すことができる。誤って行われた注入プロトコルの数に注目することにより、ユーザ、医師、および施設部局に対して適応外使用の結果がより明確になり得る。
【0056】
いくつかの例では、使用説明書の遵守を要求するのではなく、遡及的監視としてのフィードバックを提供することにより、施設が、その流体注入システム100についての運用判断に対するある程度の管理を維持することが可能になる。例えば、本明細書で開示される流体注入システム100および視覚フィードバックシステムを、使用説明書の遵守に関してユーザにある程度の柔軟性を提供しつつも、ユーザがワークフロー慣行を監視するためのツールを提供するように構成することができる。そのような柔軟性が必要とされ得るのは、例えば、24時間の使用期限が、厳格に実施された場合、患者に悪影響を及ぼすことになるときである。例えば、緊急治療室の状況では、患者が部品の使用可能期間の満了近くに(例えば23:59に)到着した場合、治療を遅らせると、24時間の期限を超過したシステムの(短時間の)使用を許容した場合よりも悪い結果になるであろう。
【0057】
一般に、本明細書で開示される流体注入システム100は、使用説明書の遵守の視覚的な概要を提供する。いくつかの例では、視覚的な概要を、いくつかの先行する間隔または日数にわたる遵守を示す視覚インジケータを含む衛生または遵守概要または報告とすることができる。そのような概要または報告は、患者の転帰に悪影響を与えずに遵守慣行を改善するために有用なツールとなり得る。
【0058】
本明細書で開示される流体注入システム100および視覚フィードバックは、主に、施設が使い捨て用品を安全に使用するのを助けるために提供される。加えて、注入器に関わる事故(患者の感染など)の場合に、施設は、生成された衛生概要または報告を使用して、施設が使い捨て用品を適応内で必ず使用していることを証明することもできる。状況によっては、注入器製造者が、衛生または遵守概要または報告を使用して、使い捨て用品を正しく使用することの重要性に関してユーザに注意喚起し/ユーザを再教育することもできる。場合によっては、特定の施設による使い捨て用品の過剰使用が繰り返される事例では、注入器製造者は、その施設が所有する流体注入システムの保証を無効にすることもできる。
【0059】
流体注入システム
本開示の範囲内でユーザの使用説明書の遵守に関するフィードバックを提供するために様々な流体注入システムを構成することができる。いくつかの例では、本明細書に記載されるように、フィードバック、視覚的な概要、または遵守報告は、流体注入システムの制御室ディスプレイなどのディスプレイで提供される。別の例では、視覚フィードバックは、施設の他の部局の個人によって使用される、ポータブルコンピュータなどの別個のリモート装置上で提供される。
【0060】
図1に、流体経路セットと流体連結した、シリンジ132などの少なくとも1つのリザーバを有する例示的な流体注入システム100の概略図を示す。流体経路セットは、本明細書で詳述されるように、単回使用の使い捨てセット(SUDS)190とすることができる。少なくとも1つのシリンジ132を、造影剤、生理食塩水、または任意の所望の医療用流体などの少なくとも1つの流体Fで充填されるように構成することができる。少なくとも1つのシリンジ132からの少なくとも1つの流体Fを、SUDS190を使用して患者に送達することができる。少なくとも1つのシリンジ132は、事前に充填され得るか、または少なくとも1つの流体で充填され得る機能を有し得る。少なくとも1つのシリンジ132は、例えば、回転ダイヤフラムシリンジ、ビン、または折り畳み式バッグであり得る。
【0061】
システム100は、シリンジ132から患者に流体Fを送達するように構成された、自動または電動の流体注入器などの、流体注入器101をさらに含む。例えば、注入器101は、少なくとも1つの流体リザーバ132から流体経路セット190を経由して流体Fを送達するために、少なくとも1つのリザーバ132のプランジャ144を、ピストンなどの駆動部材103で駆動するように構成され得る。少なくとも1つの駆動部材103は、選択的に少なくとも1つのシリンジ132を充填するか、または少なくとも1つのシリンジ132から流体を送達するように往復動作し得る。いくつかの例または態様では、注入器101は、シリンジ132を解放可能に受けるように構成され得る。注入器101は複数シリンジ注入器であってもよく、複数シリンジ注入器ではいくつかのシリンジが隣り合って、または別の空間関係で配置されてもよく、注入器101と関連付けられたそれぞれのピストンによって別々に作動される。
【0062】
少なくとも1つのシリンジ132からの流体流は、注入流速、持続時間、および総注入量などのユーザ選択の注入パラメータに基づいて患者への少なくとも1つの流体Fの送達を調節するよう様々なバルブ、栓、および流量調整構造を操作するように構成された流体制御モジュールまたはコントローラ123によって調節され得る。
【0063】
いくつかの例では、コントローラ123は、ユーザに注入パラメータを手動で選択させるか、または規定の注入プロトコルを選択させるための、1つまたは複数のボタン、ノブ、タッチパッド、ディスプレイ、スイッチ、ダイヤル、またはその他の入力装置および/もしくは出力装置を備えることができる。あるいは、この機能が、外部制御ユニットまたは流体注入システム100に備わっていてもよい。どちらの場合にも、コントローラ123は、これに限定されないが例えば、注入圧力、患者に送達されるべき様々な流体の量および流速、ならびに/または患者に送達されるべき様々な流体の割合を制御する。
【0064】
患者に流体の注入を提供するよう注入器101を操作することに加えて、コントローラ123または、本明細書で詳述されるように、コントローラ123に接続されるか、またはコントローラ123と有線もしくは無線通信する別のコントローラもしくはプロセッサを、使用説明書の遵守に関するフィードバックを提供するように構成することもできる。例えば、システム100のコントローラ123または別のコントローラもしくはプロセッサを、(
図4および
図5に示される)視覚ディスプレイ220に、使用説明書の遵守または非遵守に関連した様々なインジケータを表示させるように構成することができる。またコントローラ123を、遵守に関連したデータを追跡し、いくつかの例では、各注入プロトコルに続いて格納されたデータを更新するように構成することもできる。前述のように、「注入プロトコル」とは、一人の患者に行われるべき1つまたは複数の注入を含むプロトコルとすることができる。各注入は、(1つまたは複数の)所望の流体を、画像診断法のスキャン期間にわたって患者の体内の少なくとも1つの関心領域の増強をもたらすように患者に投与するために従う1つまたは複数の段階を含むことができる。
【0065】
図2Aおよび
図2Bに、使用説明書の遵守に関するフィードバックを提供するように適合することができる別の例示的な流体注入システム100が示されている。前の例と異なり、シリンジ132は、
図2Bに示されるように、注入器101内に位置決めされている。例示的な流体注入システム100は、流体を1つまたは複数の単回投与または多回投与の容器および流体経路セットから加圧下で患者の体内に送達するために注入装置101と関連付けられることが意図された流体送達セットに接続された電動流体注入器101を含む。流体注入器101は、互いに反対側の側面104、遠位端または上端106、および近位端または下端108を有する注入器ハウジング102を含む。ハウジング102は、様々な機械駆動部品、機械駆動部品を駆動するために必要な電動部品、および、流体注入システム100と関連付けられた(
図1および
図3に示される)駆動部材103などの往復運動可能な駆動部材の動作を制御するために使用される、電子メモリや電子制御装置(以下(1つまたは複数の)電子制御装置と呼ぶ)などの制御部品を囲む。そのような駆動部材103は、モータによって駆動されるボールねじシャフト、ボイス・コイル・アクチュエータ、ラックピニオン式ギアドライブ、リニアモータなどといった、電気機械駆動部品によって往復動作し得る。
【0066】
流体注入システム100は、少なくとも1つのバルク流体源120と連結するための少なくとも1つのバルク流体コネクタ118をさらに含むことができる。あるいは、流体源は、バルク源ではなく、単回投与バイアルとすることもできる。いくつかの例または態様では、複数のバルク流体コネクタ118が設けられ得る。例えば、
図2Aおよび
図2Bに示されるように、3つのバルク流体コネクタ118が隣り合って、または他の配置で設けられ得る。いくつかの例または態様では、少なくとも1つのバルク流体コネクタ118は、バイアル、ビン、またはバッグなどの少なくとも1つのバルク流体源120に取り外し可能に連結するように構成されたスパイクであり得る。少なくとも1つのバルク流体コネクタ118は、各新しいバルク流体源120との再利用可能または再利用不可能なインターフェースを有し得る。少なくとも1つのバルク流体コネクタ118は、本明細書に記載されるように、複数患者の使い捨てセット上に形成されるか、または複数患者の使い捨てセットと管で接続され得る。少なくとも1つのバルク流体源120は、流体注入システム100に送達するための、生理食塩水、造影剤溶液、またはその他の医療用流体などの医療用流体を収容するように構成され得る。ハウジング102は、少なくとも1つのバルク流体源120が流体注入システム100に連結された後で少なくとも1つのバルク流体源120を支持するための少なくとも1つの支持部材122を有し得る。
【0067】
図2Bを参照すると、流体注入システム100は、流体を患者に運ぶための使い捨て部品をさらに含み得る。例えば、システム100は、ハウジング102内部に位置決めされた複数回使用の使い捨てセットすなわちMUDS130を含むことができる。MUDSの例および特徴は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Multiple Fluid Delivery System with Multi-Use Disposable Set and Features Thereof」という名称の、特許文献1に詳細に記載されている。
【0068】
いくつかの例では、MUDS130は、MUDS流体経路134を経由して(1つもしくは複数の)バルク流体源120に連結され、かつ/または(1つもしくは複数の)バルク流体源120と流体連通する1つまたは複数のシリンジまたはポンプ132を含むことができる。いくつかの例では、シリンジ132の数はバルク流体源120の数に対応し得る。例えば、MUDS130は、各シリンジ132がバルク流体源120のうちの1つまたは複数に流体連結するように隣り合って配置された3つのシリンジ132を含むことができる。いくつかの例では、1つまたは2つのバルク流体源120が、MUDS130の1つまたは複数のシリンジ132に連結され得る。
【0069】
MUDS130を、1つまたは複数のバルク流体源120から患者に1つまたは複数の流体を送達するために流体注入システム100のハウジング102内で取り外し可能に連結することができる。本明細書でさらに詳述されるように、システム100は、MUDS130がシステム100にいつ連結され、かつ/またはシステム100からいつ取り外されるかを識別するためのセンサも含むことができる。
【0070】
MUDS130は、本明細書に記載されるように、SUDS190などの流体経路セットに流体を送達するように構成され得る。MUDS130とSUDS190との間の流体連通を確立するために、流体注入システム100は、単回使用コネクタまたは使い捨てセット(SUDS190など)をMUDS130に解放可能に連結するための少なくとも1つのスロットまたは連結ポート128をさらに含むことができる。
【0071】
SUDS190は、例えば、連結ポート128によって受けられるように構成されたコネクタを含むことができる。連結ポート128は、SUDS190がポート128にいつ連結されるかを識別するためのセンサを含むことができる。SUDS190は、MUDS130から患者に流体を運ぶための患者ラインをさらに含むことができる。例示的なSUDS190は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Single-use disposable set connector」という名称の特許文献2に記載されている。
【0072】
図3に、流体注入システム100のハウジング102に囲まれたMUDS130の部品の概略図を示す。
図3に示されるように、シリンジプランジャ144が各シリンジ132内に配置されており、流体注入システム100と関連付けられた駆動部材103の運動によりシリンジ132内で往復運動し得る。各シリンジ132は、マニホールド148およびバルク流体コネクタ118との流体連通を提供するバルブ136と流体連通する。マニホールド148は、シリンジ132を単一の単位構造として扱えるようにシリンジ132の支持も提供し得る。マニホールド148は、各シリンジ132を対応するバルク流体源120に連結するMUDS流体経路134の第1の端部と、バルブ136および/またはシリンジ132を介して流体連通し得る。MUDS流体経路134の反対の第2の端部は、バルク流体源120と流体連結するように構成されたそれぞれのバルク流体コネクタ118に連結され得る。
【0073】
いくつかの例では、(例えば、流体注入の前に)患者のカテーテルに連結されていないときに、SUDS190の患者ライン152を流体注入システム100上の廃液リザーバ156に連結することができる。廃液リザーバ156は、汚染を防ぐために望ましくはシリンジ132から分離されている。いくつかの例では、廃液リザーバ156は、例えば、プライミング操作中にシリンジ132から排出された廃液を収容するように構成される。廃液リザーバ156は、廃液リザーバ156の内容物を廃棄するためにハウジング102から取り外し可能であり得る。別の例では、廃液リザーバ156は、ハウジング102から廃液リザーバ156を取り外さずに廃液リザーバ156の内容物を空にするための排水口(図示されていない)を有し得る。いくつかの例では、廃液リザーバ156は、MUDS130とは別個の部品として設けられる。
【0074】
流体注入システム環境
図4を参照すると、流体注入システム100を、スキャン室412および制御室414を含む環境410で使用されるように構成することができる。例えば、流体注入システム100は、ある機能、処理、および制御操作がスキャン室412に位置する装置によって行われ、他の機能、プロセス、および制御操作が制御室414に位置する装置、プロセッサ、およびディスプレイによって行われる分岐型システムとすることができる。異なる室412、414内の装置は有線または無線コンピュータネットワーク416を介して通信することができる。
【0075】
図4に示されるように、流体注入器101および関連付けられた制御装置123は、スキャン室412に位置する。制御装置123を、スキャン室412から注入器101を制御するためのスキャン室ユーザインターフェース418を提供するように構成することができる。スキャン室ユーザインターフェース418は、流体注入器101上に位置することができ、例えば、ディスプレイまたはタッチ・スクリーン・ディスプレイと、注入器101を操作するための注入器ハウジング102上の関連付けられたボタンと、を含むことができる。医療技術者などのユーザは、スキャン室ユーザインターフェース418を使用して注入プロトコルを準備するために注入パラメータを設定し、その他の措置を行うことができる。またスキャン室ユーザインターフェース418は、注入器101がプライミングされ、注入プロトコルの実行を開始する用意ができたときにユーザに知らせるフィードバックなど、ユーザにフィードバックを提供することもできる。
【0076】
視覚的な遵守概要を生成するためのいくつかのプロセスは、スキャン室412内のコントローラおよびプロセッサによって行われる。例えば、注入器101の制御装置123を、流体注入器101のセンサによって検出された信号に基づいて使い捨て部品が注入器101にいつ挿入されるかを識別するように構成することができる。また制御装置123は、使い捨て部品が注入器101に挿入されたか、または注入器101から取り外された時刻も記録し得る。また制御装置123を、注入プロトコルが開始または完了した時刻を記録するように構成することもできる。
【0077】
制御室414は、スキャン室412の外部の遮断された制御室とすることができる。制御室414から、医療技術者などのユーザは、安全で便利な位置において注入プロトコル中の流体注入システム100を監視することができる。制御室414は、制御室414からシステム100および流体注入器101の動作を制御するための1つまたは複数のコントローラまたはプロセッサを含む、コンピュータ端末などのコンピュータデバイスを含むことができる。制御室414内のコンピュータデバイスまたは端末は、ユーザがシステム100および注入器101に命令を入力し、システム100からフィードバックを受け取ることを可能にする制御室ユーザインターフェース420を提供することができる。フィードバックは、注入プロトコルの進捗に関する情報、および、例えば、注入プロトコルが完了したときの確認を含むことができる。フィードバックを、制御室414において視覚ディスプレイ220上で提供することができる。
【0078】
視覚的な遵守概要の生成および表示に関連したいくつかのプロセスは、制御室414内のコンピュータデバイスまたは端末によって行われる。例えば、制御室414内のコンピュータ端末は、流体注入器101から(1つまたは複数の)使い捨て部品に関する情報を受け取り、受け取った情報に基づいて視覚的な遵守概要または報告を生成するように構成され得る。生成されると、視覚的な遵守概要または報告を、制御室414内の視覚ディスプレイ220上でユーザに表示することもできる。いくつかの例では、ユーザは、制御室ユーザインターフェース420を使用して、例えば、報告を操作するか、または見直しのために報告の異なる部分を選択することによって遵守報告の部分をカスタマイズすることができる。例えば、本明細書でさらに詳述されるように、ユーザは、ユーザインターフェース420を使用して様々な期間または時間間隔の遵守概要を切り替えることができる。またユーザは、遵守情報がどのように表示されるかも制御し得る。例えば、制御室ユーザインターフェース420を使用して、ユーザは、どの情報が表示されるか(例えば、SUDSのみか、MUDSのみか、それとも両方か)を選択し得る。またユーザは、視覚ディスプレイ220に示される特定の視覚インジケータの外観も制御し得る。例えば、ユーザは、遵守報告または概要にどのタイプのグラフまたは数値が含まれるかを制御することもできる。
【0079】
いくつかの例では、遵守報告または概要を、制御室414内のコントローラまたはプロセッサによって生成することもできる。生成されると、概要または報告を、リモート位置のユーザが利用することもできる。例えば、遵守概要または報告に、コンピュータネットワーク416を介してリモートでアクセスすることもできる。例えば、リモートユーザが、タブレットやラップトップなどのパーソナル・ポータブル・コンピュータ・デバイスを使用して遵守概要または報告を見直すこともできる。
【0080】
流体注入システムの電気的装置
図5を参照して、流体注入システム100の電気的構成要素を示し、詳細に説明する。前述のように、一部の電気的構成要素および処理回路はスキャン室412に位置することができる。システム100の他の電気的構成要素および処理回路は、制御室414に位置することができるか、制御室414からアクセスすることができる。
【0081】
いくつかの例では、システム100は、遵守報告または概要を生成し、報告をユーザに表示するための、コンピュータプロセッサ210などの少なくとも1つの制御装置を含む。いくつかの例では、制御装置またはプロセッサ210は、スキャン室412に位置する流体注入器101の(
図1に示される)コントローラ123のプロセッサである。その場合、プロセッサ210および関連付けられたコントローラ123は、視覚的な遵守概要または報告を生成し、その概要または報告を、ユーザが見るためのリモート装置に送信することもできる。別の例では、
図5に示されるように、制御装置またはプロセッサ210を、注入器101のコントローラ123からリモートの、注入器101のコントローラ123と通信する別個の処理構成要素とすることができる。例えば、プロセッサ210を、制御室414に、または注入器101からリモートの別の位置に位置するコンピュータ端末214の構成要素とすることもできる。コンピュータ端末214を、流体注入システム100を制御するように構成することができる。別の例では、プロセッサ210を、注入器101のコントローラ123と通信する、注入器101のコントローラ123から情報を受け取るように構成されたコンピュータタブレット、スマートフォン、またはラップトップコンピュータなどの一般的なコンピュータデバイスの構成要素とすることもできる。
【0082】
図5に示されるように、コンピュータ端末214は、プロセッサ210と、視覚ディスプレイ220と、注入器プロトコルに関する情報を格納するためのシステムメモリ218と、行われる注入プロトコルに関する情報を入力し、かつ/または生成された遵守概要もしくは報告を見直すための1つもしくは複数の入力装置212と、を含むことができる。以下でさらに詳述されるように、システム100の少なくとも1つのプロセッサ210は、注入システム100によって行われた注入プロトコルに関する情報を受け取るか、または決定するように構成される。例えば、情報は、注入が行われる時刻を含むことができる。またプロセッサ210は、使い捨て部品が注入器101に連結されたのがいつかに関する情報も受け取ることもできる。そのような情報を、例えば、注入システム100と関連付けられたセンサ222によって検出された信号に基づいて決定することもできる。例えば、MUDS130が注入器ハウジング102に挿入されるのがいつかを決定するために特定のセンサ222を位置決めすることもできる。同じかまたは異なるセンサ222を使用して、SUDS190が注入器ポート128を介して注入器101に連結されるのがいつか、および/またはSUDS190がMUDS130と流体連通するのがいつかを決定することもできる。センサ222は、セット130、190の挿入および取り外しを検出するために流体注入器101上に位置決めされた光センサ、近接センサ、および/または圧力センサとすることもできる。流体注入器コントローラ123および/またはプロセッサ210を、センサ222からの信号を受け取るように構成することができる。受け取った信号に基づき、コントローラ123および/またはプロセッサ210を、例えば、使い捨てセットが注入器101に連結された時刻を識別するように構成することができる。
【0083】
本明細書で詳述されるように、プロセッサ210を、受け取った情報を処理および分析して注入プロトコルごとの(1つまたは複数の)使い捨て部品の状況を決定するように構成することができる。受け取った情報の分析に基づき、プロセッサ210を、遵守情報をシステムメモリ218に記録して、ある期間にわたる遵守の記録を作成するように構成することもできる。またプロセッサ210は、格納された情報に基づいて遵守の視覚的な概要を生成し、その視覚的な概要を、ユーザに表示できるように視覚ディスプレイ220に提供する。視覚的な概要を受け取るユーザには、特定の施設のワークフローの慣行および必要性に応じて様々な個人が含まれ得ることに留意されたい。例えば、視覚的な遵守概要を、使用説明書の遵守の重要性に関してユーザに注意喚起するために注入プロトコルを行う医療技術者に表示することもできる。視覚的な概要を、例えば、医療技術者のチームが、使用説明書の遵守のレベルを評価するために日、週、または月の終わりに見直すこともできる。例えば、特定の施設で注入を行うすべての技術者が、チーム全体として使い捨て部品を交換するための使用説明書をどのように遵守しているかを評価するために、週に一度視覚的な概要を見直してもよい。
【0084】
遵守概要を生成するための方法
流体注入システム100および視覚ディスプレイ220の特徴を説明したので、次に、視覚的な遵守概要または報告を生成および表示するためにプロセッサ210によって行われるステップを詳細に論じる。遵守概要または報告を生成するためにプロセッサによって行われるステップを示すフローチャートが
図6に示されている。本方法に従って生成し、ユーザに表示することができる視覚的な概要の例を示す画面キャプチャが
図7A~
図7Cに示されている。
【0085】
ステップ510で、少なくとも1つのプロセッサを、注入プロトコル中に使用された少なくとも1つの使い捨て部品に関する情報を受け取るように構成することができる。いくつかの例では、プロセッサは、2つの使い捨て部品(SUDSとMUDSとの両方など)に関する情報を受け取る。MUDSでは、受け取られる情報は、MUDSが流体注入器に設置された時刻(「設置時刻」など)を含むことができる。前述のように、設置時刻を、使い捨て部品が注入器に連結されるのがいつかを検出する流体注入器上のセンサから決定することができる。設置時刻に基づき、「最終使用時刻」を計算することができる。例えば、MUDSでは、最終使用時刻を設置時刻の4時間後、12時間後、または24時間後とすることができる。所定数の患者によって、または所定数の注入プロトコルのために使用されるように構成されるMUDSでは、プロセッサに提供される情報は、MUDSが流体注入システムに設置されてからいくつの注入プロトコルが行われたかに関する情報を含むことができる。
【0086】
単回使用の使い捨てセットすなわちSUDSでは、毎注入プロトコル前に新しいセットまたは患者ラインが設置されるべきである。その場合、プロセッサによって受け取られる情報は、注入プロトコルが行われる前に新しいSUDSが設置されたという確認とすることができる。確認は、流体注入器上のセンサから受け取った情報に基づくものとすることができる。流体注入器上のセンサが、注入プロトコルを開始する前に新しいSUDSが設置されたことを検出しなかった場合、プロセッサは、SUDSの使用がSUDSの使用説明書を遵守しなかったという指示を受け取ることができる。
【0087】
ステップ512で、少なくとも1つのプロセッサを、システム100によって行われた、またはシステム100によって行われている注入プロトコルに関する情報を受け取るように構成することもできる。例えば、この情報は、本明細書で注入プロトコルの「発生時刻」と呼ばれる、日時を含むことができる。発生時刻を、毎注入プロトコル中に記録し、注入に使用されている使い捨て部品に関する情報と一緒にシステムメモリに格納することができる。
【0088】
ステップ514で、プロセッサが、注入プロトコルに使用された使い捨て部品がその使い捨て部品の使用説明書を遵守したかどうかを判断するように構成される。例えば、プロセッサを、注入プロトコルの「発生時刻」を、MUDSの「最終使用時刻」と比較して、MUDSがその最終使用または使用期限時刻を超過して使用されたかどうかを判断するように構成することができる。また、プロセッサは、注入プロトコルのために新しいSUDSが設置されたかどうかを判断することもできる。
【0089】
ステップ516で、(1つまたは複数の)使い捨て部品の使用が使用説明書を遵守したかどうかの判断に基づき、プロセッサを、注入プロトコルに使用された使い捨て部品の各々の「部品状況」を決定するように構成することができる。例えば、部品状況は、注入プロトコルが行われたときにMUDSがその使用期限または最終使用時刻を超過していたかどうかを指示する第1の状況を含むことができる。またプロセッサは、単回使用部品またはSUDSの第2の状況も提供することができる。部品状況は、例えば、単回使用部品またはSUDSが新しく、一人の患者にのみ使用されたかどうかを指示することもできる。
【0090】
本明細書で使用される場合、「部品状況」は、部品の使用が使い捨て部品の使用説明書を遵守したか、それとも遵守しなかったかの指示である。例えば、格納された情報は、部品ごとおよび注入器によって行われた注入プロトコルごとの単なる「はい」または「いいえ」とすることもできる。また「部品状況」は、遵守または非遵守の程度またはレベルに関する情報を含むこともできる。例えば、「部品状況」は、使用期限を何時間超過してMUDSが使用されていたかを含むこともできる。SUDSでは、非遵守のレベルは、同じSUDSを使用して何件の注入プロトコルが行われたかの記録を含むこともできる。「部品状況」を、視覚的な概要を生成するときに情報に容易にアクセスできるように、システムメモリ上に位置するスプレッドシート、データベース、またはルックアップテーブルに格納することができる。プロセッサを、プロセッサによって追加情報が受け取られる都度、スプレッドシート、データベース、またはルックアップテーブルを更新するように構成することができる。
【0091】
ステップ518で、プロセッサが、受け取った各部品状況を複数の時間間隔のうちの時間間隔と関連付けるように構成される。時間間隔は、毎シフト、毎日、または毎週など、遵守が監視される所定の期間とすることができる。前述のように、プロセッサを、各注入プロトコルの日時を記録するように構成することができる。その場合、日時情報を使用して、受け取った各部品状況を適切な時間間隔と関連付けることができる。本明細書に記載されるように、視覚的な概要は、長期間の総合的遵守率または遵守割合を提供するだけではなく、各時間間隔にわたる遵守を示すことができる。短い期間または時間間隔にわたる遵守を示すことにより、ユーザは、自分たちが使用説明書をどれほど厳密に遵守しているか、および、場合によっては、個々の患者についての、または特定の日の遵守違反の影響をより良く理解することになると考えられる。
【0092】
ステップ520で、プロセッサが、視覚ディスプレイに遵守概要または報告を表示させるように構成される。遵守概要または報告は、例えば、時間間隔ごとに少なくとも1つの視覚インジケータを含むことができる。時間間隔ごとの視覚インジケータは、受け取った特定の間隔についての少なくとも1つの部品状況が、使用が少なくとも1つの使い捨て部品の使用説明書を遵守していたことを示すかどうかに関してユーザに視覚フィードバックを提供する。例えば、視覚インジケータは、特定の間隔についてのすべての受け取った部品状況が使用説明書を遵守した使用を示した場合に、第1の外観を有し得る。視覚インジケータは、特定の間隔内の一部または全部の使用が使用説明書を遵守しなかった場合に、第2の外観を有し得る。いくつかの例では、視覚的な概要は、時間間隔ごとに1つの視覚インジケータを含む。前述のように、複数の間隔のユーザフィードバックを単一の画面または概要で示すことにより、施設が使い捨て用品を、日ベース、週ベース、および月ベースでどのように使用するかをユーザが評価する助けとなり得る。例えば、ユーザは、どの日または週に良好に遵守され、どの日または週に遵守されなかったかを確認し得る。このようにして、ユーザに、アクセスしやすく見直しやすい概要が提供され、これにより遵守の改善が促されると考えられる。
【0093】
いくつかの例では、視覚的な遵守概要は、注入システムの使い捨て部品ごとに異なるセクションを含むことができる。例えば、視覚的な概要は、複数回使用部品またはMUDSの使用が使用説明書を遵守したかどうかを示す視覚インジケータを含む第1のセクションを含むこともできる。また視覚的な概要は、単回使用部品すなわちSUDSの使用が使用説明書を遵守したかどうかについての視覚インジケータを示す第2のセクションを含むこともできる。
【0094】
いくつかの例では、視覚的な遵守概要は、時間間隔ごとの視覚インジケータのスペースを含むマトリクスである。例えば、このマトリクスは、24時間ごとのスペースを含む週次、月次、または年次のカレンダーとすることができる。このようにして、
図7A~
図7Cの画面キャプチャ600に示されるように、ユーザは、毎日の遵守の視覚的な概要を単一の画面で提供される。視覚的な概要を見直すことにより、ユーザは、例えば、遵守が不十分な日数や遵守が低い曜日を容易に認識することができる。いくつかの例では、視覚的な概要は、丸一週間や丸一ヵ月など、複数の間隔にわたる総合的遵守のインジケータも含むことができる。総合的遵守は、例えば、複数の時間間隔にわたってシステムによって受け取った部品状況ごとの情報に基づくものとすることができる。いくつかの例では、総合的遵守を、間隔ごとの視覚インジケータと同様の遵守の視覚インジケータとして示すことができる。例えば、総合的遵守インジケータは、遵守が良好である場合には第1の外観を、遵守がまあまあである場合には第2の外観を、遵守が不十分である場合には第3の外観を有する形状とすることもできる。
【0095】
あるいは、またはこれに加えて、総合的遵守に視覚的な概要上で数値表現を与えることもできる。例えば、総合的遵守を、行われた注入イベントの総数と比較した、使用説明書を遵守した注入イベントの割合またはパーセンテージとして示すこともできる。総合的遵守の割合またはパーセンテージを、複数回使用部品またはMUDSと単回使用部品またはSUDSとの両方について提供することもできる。別の例では、総合的遵守を、遵守を指示する第1の棒と非遵守を指示する第2の棒とを含む棒グラフまたはヒストグラムとして示すこともできる。また棒グラフは、例えば、非遵守のレベルや、非遵守の使用が使用説明書の遵守と近かったか、それとも遵守から遠かったかを示す複数の棒を含むこともできる。例えば、MUDSをその使用期限時刻から3時間から6時間以内に使用することは、そのMUDSをその使用期限時刻を48時間超過して使用するよりも使用説明書の遵守に近い。
【0096】
ユーザ遵守の視覚的な概要
図7A~
図7Cを参照すると、使用説明書の遵守の視覚的な概要を示す視覚ディスプレイからの画面キャプチャ600が示されている。
図7A~
図7Cに示されるように、視覚的な概要610は、複数回使用部品またはMUDSのフィードバックを含む第1のセクション612と、単回使用部品またはSUDSのフィードバックを含む第2のセクション614と、を含む。各セクション612、614は、月(2017年1月など)の日ごとのスペースを含むカレンダー616を含む。その日の間の使用が使用説明書を遵守したかどうかを示すために各日を色分けすることもでき、または各日が別の視覚インジケータを含むこともできる。本明細書で使用される場合、使用説明書を遵守した使用とは、MUDSでは、MUDSがその日の初めに交換されたこと、およびその使用期限期日を超過したMUDSを使用した注入が行われなかったことを意味し得る。単回使用部品またはSUDSでは、使用説明書を遵守した使用とは、SUDSが毎注入前に交換されたこと、およびその日の間に前の患者にすでに使用されていたSUDSを使用した注入が行われなかったことを意味し得る。色分けまたは視覚インジケータに加えて、例えば、1日当たりに行われた遵守違反の注入の件数、または遵守注入対非遵守注入の割合を示す数値を、カレンダー616のスペースに表示することもできる。
【0097】
いくつかの例では、
図7A~
図7Cに示されるように、概要610は、(例えば1週間または1ヵ月の各日の)すべての時間間隔についての遵守の総量を示す1つまたは複数の棒グラフ618、620も含む。例えば、概要610は、その月にわたって行われた注入ごとに、注入が行われたときにMUDSがどのくらいの時間使用中であったかを示すMUDSまたは一日分のセットについての棒グラフ618を含むことができる。棒グラフ618は、MUDSが24時間未満にわたって使用中であったことを意味する、「遵守」注入の数を示す第1の棒622を含む。また棒グラフ618は、MUDSが設置されたときからMUDSの使用期限期日を超過して(例えば、24時間~36時間、36時間~48時間、または48時間超)行われた注入を示す非遵守の棒624も含む。
【0098】
また概要610は、例えば、各単回使用部品またはSUDSが何人の患者に使用されたかを示す単回使用部品またはSUDSについての棒グラフ620も含むことができる。棒グラフ620は、一人の患者のみに使用された、その月の間に使用されたSUDSの数を示す遵守の棒622を含む。また棒グラフ620は、複数(2人以上など)の患者に使用されたSUDSの数を示す1つまたは複数の非遵守の棒624も含む。
【0099】
いくつかの例では、画面キャプチャ600は、限られた期間(1週間や1ヵ月など)の遵守情報を表示する。しかしながら、他の期間の遵守情報も利用可能であり、必要に応じてユーザが見直すこともできる。例えば、
図7A~
図7Cに示されるように、画面600は、一ヵ月(2017年1月)の遵守情報を表示している。ユーザは、画面600に表示された矢印626を使用して他の月に切り替えることができる。
【0100】
図7A~
図7Cには、使用説明書の遵守レベルが異なる施設の視覚的な概要610が示されている。例えば、
図7Aは、適正または良好な遵守の視覚的な概要610を示す画面キャプチャ600である。
図7Aに示されるように、カレンダー616のすべてのスペースが、その日に行われた注入が使用説明書を遵守したことを示している。また棒グラフ618、620も、すべての注入が使用説明書を遵守していたことを示している。この遵守概要610は、この施設が新しい患者ごとに単回使用コネクタまたはSUDSを必ず交換したことを指示している。また、複数回使用コネクまたはMUDSも、24時間を超えて使用中であった複数回使用コネクタまたはMUDSを使用した注入が行われないように、24時間ごとに交換された。
【0101】
図7Bに、月の大部分の日で適正または良好な遵守が行われている部分遵守施設を示す。しかしながら、
図7Bに示されるように、この施設は、複数回使用部品またはMUDSについて土曜日および日曜日に遵守していない。そうではなく、
図7Bに示されるように、この施設は、金曜日に設置された複数回使用コネクタを、土曜日と日曜日とに終日使用している。例えば、この施設は、週末には注入器がまれにしか使用されないので、土曜日または日曜日にMUDSを交換することはコストに見合わないと判断している可能性がある。棒グラフ618も、いくつかの注入が、24時間から48時間使用中であったMUDSを使用して行われたことを示している。
図7Bに示されるように、この施設は、新しい患者ごとに単回使用部品またはSUDSを交換することにおいては完全に遵守している。
【0102】
図7Cに、不適切または不十分な遵守の施設を示す。例えば、
図7Cのカレンダー616に示されるように、この施設は、その複数回使用セットまたはMUDSを一週間に1回(月曜日に)交換する。同じ複数回使用セットまたはMUDSが一週間ずっと使用される。よって、棒グラフ618に示されるように、多くの注入が、24時間から48時間、またはそれ以上使用中であったMUDSを使用して行われる。また、この施設は、単回使用部品またはSUDSを複数の患者に対して日常的に使用している。事実、棒グラフ620に示されるように、その月にわたって使用されたすべてのSUDSが、二人以上の患者に使用された。したがって、
図7Cの患者ラインまたはSUDSについてのカレンダー616は、この施設がその月の毎日遵守していなかったことを示している。
【0103】
本発明は上記の実施形態および/または例に関連して詳細に説明されているが、そのような詳細は限定ではなく例示であり、当業者であれば本発明から逸脱することなく変形を加えることができることを理解されたい。本発明の範囲は、前述の説明によってではなく添付の特許請求の範囲によって指示される。特許請求の範囲と均等な意味および範囲内に入るあらゆる変更および変形は特許請求の範囲内に包含されるべきである。
【符号の説明】
【0104】
100 流体注入システム
101 流体注入器、注入装置
102 注入器ハウジング
103 駆動部材
104 側面
106 遠位端または上端
108 近位端または下端
118 バルク流体コネクタ
120 バルク流体源
122 支持部材
123 制御装置、コントローラ
128 スロットまたは連結ポート、注入器ポート
130 複数回使用の使い捨てセット(MUDS)
132 シリンジ、リザーバ、流体リザーバ、ポンプ
134 MUDS流体経路
136 バルブ
144 プランジャ
148 マニホールド
152 患者ライン
156 廃液リザーバ
190 単回使用の使い捨てセット(SUDS)
210 プロセッサ
212 入力装置
214 コンピュータ端末
218 システムメモリ
220 視覚ディスプレイ
222 センサ
410 環境
412 スキャン室
414 制御室
416 ネットワーク
418 スキャン室ユーザインターフェース
420 制御室ユーザインターフェース
600 画面キャプチャ、画面
610 視覚的な概要
612 第1のセクション
614 第2のセクション
616 カレンダー
618 棒グラフ
620 棒グラフ
622 第1の棒、遵守の棒
624 非遵守の棒
626 矢印