(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】組み合わせ医薬として用いられるEZH1/2二重阻害剤を含有する医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/443 20060101AFI20240426BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240426BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240426BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/475 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/706 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20240426BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240426BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A61K31/443
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K31/282
A61K31/454
A61K31/4745
A61K31/475
A61K31/573
A61K31/704
A61K31/7068
A61K31/513
A61K31/706
A61K31/7048
A61K45/00
A61K31/675
(21)【出願番号】P 2020557855
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2019046794
(87)【国際公開番号】W WO2020111234
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2018223780
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146581
【氏名又は名称】石橋 公樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113583
【氏名又は名称】北野 範子
(74)【代理人】
【識別番号】100161160
【氏名又は名称】竹元 利泰
(74)【代理人】
【識別番号】100167678
【氏名又は名称】西田 直浩
(72)【発明者】
【氏名】本間 大輔
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/018499(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/141616(WO,A1)
【文献】特表2018-522874(JP,A)
【文献】特表2018-524298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩
【化1】
と、
アザシチジンまたはその製薬学的に許容される塩、SN-38またはその製薬学的に許容される塩、ベネトクラクスまたはその製薬学的に許容される塩、イブルチニブまたはその製薬学的に許容される塩、レナリドミドまたはその製薬学的に許容される塩、パノビノスタットまたはその製薬学的に許容される塩、および免疫チェックポイント阻害薬から選ばれる1種以上を含有する第2の薬剤を組み合わせて投与されることを特徴とする、がんの治療に用いられる医薬組成物。
【請求項2】
上記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩、および第2の薬剤が、同時に、または異なる時間に投与されることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
上記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩が、上記式(I)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
第2の薬剤が、アザシチジンまたはその製薬学的に許容される塩である、請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
第2の薬剤が、SN-38またはその製薬学的に許容される塩である、請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
第2の薬剤が、ベネトクラクス、イブルチニブ、レナリドミド、パノビノスタットまたはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
第2の薬剤が、免疫チェックポイント阻害薬である、請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
第2の薬剤が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CLTA-4抗体から選ばれる1種以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
第2の薬剤が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、またはイピリムマブから選ばれる1種以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
下記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤
【化2】
と、R-CHOP療法に係る薬剤を組み合わせて投与されることを特徴とする、がんの治療に用いられる医薬組成物。
【請求項11】
がんが、血液がんである、請求項1から10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
血液がんが、非ホジキンリンパ腫である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
血液がんが、急性骨髄性白血病である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
血液がんが、多発性骨髄腫である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
がんが、固形がんである、請求項1から10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EZH1/2二重阻害剤と他の薬剤を組み合わせることで優れた抗がん作用を発揮する組み合わせ医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリコームファミリーは、ヒストン修飾を介したクロマチン制御を通じて遺伝子発現を負に制御する。Enhancer of zeste homologue 1/2 (EZH1/2)はヒストンH3K27をトリメチル化するPolycomb repressive complex 2 (PRC2)の活性中心である。EZH1とEZH2は互いに機能を補償しあい、細胞内のエピゲノムを維持している。EZH2の阻害は細胞全体のH3K27のメチル化レベルの減少につながるが、EZH1による補償効果によりその効果は限定的となる。EZH1とEZH2を同時に阻害することでメチル化をより効果的に消失させることができる(非特許文献1)。PRC2構成因子の異常はがんや幹細胞機能の異常につながることが示されており、特にEZH2の遺伝子異常や発現亢進から誘導されるメチル化H3K27me3の蓄積は多くのがんで同定されており、EZH2を中心に新たながんの分子標的として精力的に研究が進められている(非特許文献2、3)。
【0003】
EZH1/2二重阻害剤として、(2R)-7-クロロ-2-[trans-4-(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]-N-[(4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル]-2,4-ジメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミドおよびその製薬学的に許容される塩が知られている(特許文献1)。
【0004】
がんの治療法として複数の抗がん剤による併用療法が有効であることが知られており、各種研究が盛んに行われている。しかし、併用効果を発揮する薬剤の組み合わせ、および効果を発揮するがん種を見出すことは極めて困難である。特に、EZH1/2二重阻害剤である、(2R)-7-クロロ-2-[trans-4-(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]-N-[(4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル]-2,4-ジメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミドおよびその製薬学的に許容される塩については、他の薬剤との併用についての報告等はないため、どのような薬剤との組み合わせが併用効果を奏するのか知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Shen, X et al., Mol Cell 2008;32(4):491-502.
【文献】Sparmann A, van Lohuizen M., Nat Rev Cancer 2006; 6: 846.
【文献】Lund, Adams, Copland., Leukemia 2014;28(1):44-9.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、EZH1/2二重阻害剤と他の薬剤を組み合わせることで優れた抗がん作用を発揮する組み合わせ医薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、EZH1/2二重阻害剤と代謝拮抗剤、アルキル化剤、プラチナ製剤、抗腫瘍性抗生物質、抗腫瘍性植物成分、ホルモン剤、免疫調整剤、分子標的薬、および免疫チェックポイント阻害薬から選ばれる1種以上を含有する第2の薬剤を組み合わせることで、優れた抗がん作用を奏することができることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、次の(1)~(59)に関する。
(1)下記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩
【0009】
【0010】
と、
代謝拮抗剤、アルキル化剤、プラチナ製剤、抗腫瘍性抗生物質、抗腫瘍性植物成分、ホルモン剤、免疫調整剤、分子標的薬、および免疫チェックポイント阻害薬から選ばれる1種以上を含有する第2の薬剤を組み合わせて投与されることを特徴とする、がんの治療に用いられる医薬組成物。
(2)上記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩、および第2の薬剤が、同時に、または異なる時間に投与されることを特徴とする(1)に記載の医薬組成物。
(3)上記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩が、上記式(I)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩である、(1)または(2)に記載の医薬組成物。
(4)第2の薬剤が、代謝拮抗剤である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(5)第2の薬剤が、フルオロウラシル、デシタビン、ゲムシタビン、アザシチジン、シタラビン、またはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(6)第2の薬剤が、アルキル化剤である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(7)第2の薬剤が、ニムスチンまたはその製薬学的に許容される塩である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(8)第2の薬剤が、プラチナ製剤である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(9)第2の薬剤が、カルボプラチンである、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(10)第2の薬剤が、抗腫瘍性抗生物質である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(11)第2の薬剤が、ドキソルビシンまたはその製薬学的に許容される塩である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(12)第2の薬剤が、抗腫瘍性植物成分である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(13)第2の薬剤が、ドタキセル、イリノテカン、SN-38、ビンクリスチン、エトポシドまたはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(14)第2の薬剤が、ホルモン剤である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(15)第2の薬剤が、デキサメタゾンまたはその製薬学的に許容される塩である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(16)第2の薬剤が、免疫調整剤である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(17)第2の薬剤が、レナリドミドである、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(18)第2の薬剤が、分子標的薬である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(19)第2の薬剤が、ボルテゾミブ、1-[(2S)-1,4-ジオキサン-2-イルメチル]-6-(4-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-オン、5-{8-[(3R)-4-アセチル-3-メチルピペラジン-1-イル]-6-モルホリン-4-イル-9-(2,2,2-トリフルオロエチル)-9H-プリン-2-イル}ピリミジン-2-アミン、エルロチニブ、ラパチニブ、オラパリブ、ボリノスタット、SAHA、ソラフェニブ、ミラデメタン、キザルチニブ、ベネトクラクス、BDM、イブルチニブ、レナリドミド、パノビノスタット、リツキシマブ、またはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(20)第2の薬剤が、免疫チェックポイント阻害薬である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(21)第2の薬剤が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CLTA-4抗体から選ばれる1種以上である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(22)第2の薬剤が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、またはイピリムマブから選ばれる1種以上である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(23)上記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤と、CHOP療法に係る薬剤を組み合わせて投与されることを特徴とする、がんの治療に用いられる医薬組成物。
(24)上記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤と、R-CHOP療法に係る薬剤を組み合わせて投与されることを特徴とする、がんの治療に用いられる医薬組成物。
(25)がんが、血液がんである、(1)から(24)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(26)血液がんが、非ホジキンリンパ腫である、(25)に記載の医薬組成物。
(27)血液がんが、急性骨髄性白血病である、(25)に記載の医薬組成物。
(28)血液がんが、多発性骨髄腫である、(25)に記載の医薬組成物。
(29)がんが、固形がんである、(1)から(24)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(30)代謝拮抗剤、アルキル化剤、プラチナ製剤、抗腫瘍性抗生物質、抗腫瘍性植物成分、ホルモン剤、免疫調整剤、分子標的薬、および免疫チェックポイント阻害薬から選ばれる1種以上を含有する第2の薬剤を組み合わせて投与されることを特徴とする、下記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0011】
【0012】
(31)第2の薬剤と同時に、または異なる時間に投与されることを特徴とする、(30)に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(32)上記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩が、上記式(I)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩である、(30)または(31)に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(33)第2の薬剤が、代謝拮抗剤である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(34)第2の薬剤が、フルオロウラシル、デシタビン、ゲムシタビン、アザシチジン、シタラビン、またはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(35)第2の薬剤が、アルキル化剤である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(36)第2の薬剤が、ニムスチンまたはその製薬学的に許容される塩である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(37)第2の薬剤が、プラチナ製剤である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(38)第2の薬剤が、カルボプラチンである、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(39)第2の薬剤が、抗腫瘍性抗生物質である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(40)第2の薬剤が、ドキソルビシンまたはその製薬学的に許容される塩である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(41)第2の薬剤が、抗腫瘍性植物成分である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(42)第2の薬剤が、ドタキセル、イリノテカン、SN-38、ビンクリスチン、エトポシドまたはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(43)第2の薬剤が、ホルモン剤である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(44)第2の薬剤が、デキサメタゾンまたはその製薬学的に許容される塩である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(45)第2の薬剤が、免疫調整剤である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(46)第2の薬剤が、レナリドミドである、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(47)第2の薬剤が、分子標的薬である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(48)第2の薬剤が、ボルテゾミブ、1-[(2S)-1,4-ジオキサン-2-イルメチル]-6-(4-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-オン、5-{8-[(3R)-4-アセチル-3-メチルピペラジン-1-イル]-6-モルホリン-4-イル-9-(2,2,2-トリフルオロエチル)-9H-プリン-2-イル}ピリミジン-2-アミン、エルロチニブ、ラパチニブ、オラパリブ、ボリノスタット、SAHA、ソラフェニブ、ミラデメタン、キザルチニブ、ベネトクラクス、BDM、イブルチニブ、レナリドミド、パノビノスタット、リツキシマブ、またはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(49)第2の薬剤が、免疫チェックポイント阻害薬である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(50)第2の薬剤が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CLTA-4抗体から選ばれる1種以上である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(51)第2の薬剤が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、またはイピリムマブから選ばれる1種以上である、(30)から(32)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(52)CHOP療法に係る薬剤を組み合わせて投与されることを特徴とする、上記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(53)R-CHOP療法に係る薬剤を組み合わせて投与されることを特徴とする、上記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(54)がんの治療に用いられる、(30)から(53)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(55)がんが、血液がんである、(54)に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(56)血液がんが、非ホジキンリンパ腫である、(55)に記載の医薬組成物。
(57)血液がんが、急性骨髄性白血病である、(55)に記載の医薬組成物。
(58)血液がんが、多発性骨髄腫である、(55)に記載の医薬組成物。
(59)がんが、固形がんである、(54)に記載の医薬組成物。
【0013】
本発明の別の態様としては、次の(1)~(51)に関する。
(1)下記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩
【0014】
【0015】
と、
代謝拮抗剤、アルキル化剤、プラチナ製剤、抗腫瘍性抗生物質、抗腫瘍性植物成分、ホルモン剤、免疫調整剤、および分子標的薬から選ばれる1種以上を含有する第2の薬剤を組み合わせて投与されることを特徴とする、がんの治療に用いられる医薬組成物。
(2)上記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩、および第2の薬剤が、同時に、または異なる時間に投与されることを特徴とする(1)に記載の医薬組成物。
(3)上記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩が、上記式(I)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩である、(1)または(2)に記載の医薬組成物。
(4)第2の薬剤が、代謝拮抗剤である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(5)第2の薬剤が、フルオロウラシル、デシタビン、ゲムシタビン、アザシチジン、シタラビン、またはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(6)第2の薬剤が、アルキル化剤である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(7)第2の薬剤が、ニムスチンまたはその製薬学的に許容される塩である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(8)第2の薬剤が、プラチナ製剤である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(9)第2の薬剤が、カルボプラチンである、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(10)第2の薬剤が、抗腫瘍性抗生物質である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(11)第2の薬剤が、ドキソルビシンまたはその製薬学的に許容される塩である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(12)第2の薬剤が、抗腫瘍性植物成分である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(13)第2の薬剤が、ドタキセル、イリノテカン、SN-38、ビンクリスチン、エトポシドまたはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(14)第2の薬剤が、ホルモン剤である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(15)第2の薬剤が、デキサメタゾンまたはその製薬学的に許容される塩である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(16)第2の薬剤が、免疫調整剤である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(17)第2の薬剤が、レナリドミドである、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(18)第2の薬剤が、分子標的薬である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(19)第2の薬剤が、ボルテゾミブ、1-[(2S)-1,4-ジオキサン-2-イルメチル]-6-(4-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-オン、5-{8-[(3R)-4-アセチル-3-メチルピペラジン-1-イル]-6-モルホリン-4-イル-9-(2,2,2-トリフルオロエチル)-9H-プリン-2-イル}ピリミジン-2-アミン、エルロチニブ、ラパチニブ、オラパリブ、ボリノスタット、SAHA、ソラフェニブ、ミラデメタン、キザルチニブ、ベネトクラクス、BDM、イブルチニブ、パノビノスタット、またはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上である、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(20)上記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤と、CHOP療法に係る薬剤を組み合わせて投与されることを特徴とする、がんの治療に用いられる医薬組成物。
(21)がんが、血液がんである、(1)から(20)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(22)血液がんが、非ホジキンリンパ腫である、(21)に記載の医薬組成物。
(23)血液がんが、急性骨髄性白血病である、(21)に記載の医薬組成物。
(24)血液がんが、多発性骨髄腫である、(21)に記載の医薬組成物。
(25)がんが、固形がんである、(1)から(20)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(26)代謝拮抗剤、アルキル化剤、プラチナ製剤、抗腫瘍性抗生物質、抗腫瘍性植物成分、ホルモン剤、免疫調整剤、および分子標的薬から選ばれる1種以上を含有する第2の薬剤を組み合わせて投与されることを特徴とする、下記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0016】
【0017】
(27)第2の薬剤と同時に、または異なる時間に投与されることを特徴とする、(26)に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(28)上記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩が、上記式(I)で示される化合物のp-トルエンスルホン酸塩である、(26)または(27)に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(29)第2の薬剤が、代謝拮抗剤である、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(30)第2の薬剤が、フルオロウラシル、デシタビン、ゲムシタビン、アザシチジン、シタラビン、またはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上である、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(31)第2の薬剤が、アルキル化剤である、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(32)第2の薬剤が、ニムスチンまたはその製薬学的に許容される塩である、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(33)第2の薬剤が、プラチナ製剤である、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(34)第2の薬剤が、カルボプラチンである、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(35)第2の薬剤が、抗腫瘍性抗生物質である、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(36)第2の薬剤が、ドキソルビシンまたはその製薬学的に許容される塩である、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(37)第2の薬剤が、抗腫瘍性植物成分である、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(38)第2の薬剤が、ドタキセル、イリノテカン、SN-38、ビンクリスチン、エトポシドまたはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上である、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(39)第2の薬剤が、ホルモン剤である、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(40)第2の薬剤が、デキサメタゾンまたはその製薬学的に許容される塩である、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(41)第2の薬剤が、免疫調整剤である、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(42)第2の薬剤が、レナリドミドである、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(43)第2の薬剤が、分子標的薬である、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(44)第2の薬剤が、ボルテゾミブ、1-[(2S)-1,4-ジオキサン-2-イルメチル]-6-(4-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-オン、5-{8-[(3R)-4-アセチル-3-メチルピペラジン-1-イル]-6-モルホリン-4-イル-9-(2,2,2-トリフルオロエチル)-9H-プリン-2-イル}ピリミジン-2-アミン、エルロチニブ、ラパチニブ、オラパリブ、ボリノスタット、SAHA、ソラフェニブ、ミラデメタン、キザルチニブ、ベネトクラクス、BDM、イブルチニブ、パノビノスタット、またはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩から選ばれる1種以上である、(26)から(28)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(45)CHOP療法に係る薬剤を組み合わせて投与されることを特徴とする、上記式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(46)がんの治療に用いられる、(26)から(45)のいずれか1つに記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(47)がんが、血液がんである、(46)に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
(48)血液がんが、非ホジキンリンパ腫である、(47)に記載の医薬組成物。
(49)血液がんが、急性骨髄性白血病である、(47)に記載の医薬組成物。
(50)血液がんが、多発性骨髄腫である、(47)に記載の医薬組成物。
(51)がんが、固形がんである、(46)に記載の医薬組成物。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、EZH1/2二重阻害剤と代謝拮抗剤、アルキル化剤、プラチナ製剤、抗腫瘍性抗生物質、抗腫瘍性植物成分、ホルモン剤、免疫調整剤、分子標的薬、および免疫チェックポイント阻害薬から選ばれる1種以上を含有する第2の薬剤を組み合わせることで、優れた抗がん作用を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】KARPAS-422ゼノグラフトモデルに対するCompound AとCHOP療法の併用効果評価を示す。縦軸に腫瘍の体積、横軸に経過日数を示した。
【
図2】KARPAS-422ゼノグラフトモデルに対するCompound AとR-CHOP療法の併用効果評価を示す。縦軸に腫瘍の体積、横軸に経過日数を示した。
【
図3】WSU-DLCL2ゼノグラフトモデルに対するCompound Aとrituximabとの併用効果評価を示す。縦軸に腫瘍の体積、横軸に経過日数を示した。
【
図4】A20シンジェニックモデルに対するCompound Aと抗PD-1抗体との併用効果評価を示す。縦軸に生存率、横軸に経過日数を示した。
【
図5】A20シンジェニックモデルに対するCompound Aと抗PD-L1抗体との併用効果評価を示す。縦軸に生存率、横軸に経過日数を示した。
【
図6】A20シンジェニックモデルに対するCompound Aと抗CTLA-4抗体との併用効果評価を示す。縦軸に生存率、横軸に経過日数を示した。
【
図7】MV-4-11ゼノグラフトモデルに対するCompound Aと5-azacytidineとの併用効果評価を示す。縦軸に生存率、横軸に経過日数を示した。
【
図8】NCI-H446ゼノグラフトモデルに対するCompound Aとirinotecanの併用効果評価を示す。縦軸に腫瘍の体積、横軸に経過日数を示した。
【
図9】NCI-H446ゼノグラフトモデルに対するCompound Aとcarboplatinの併用効果評価を示す。縦軸に腫瘍の体積、横軸に経過日数を示した。
【0020】
本発明の式(I)で示される化合物は、(2R)-7-クロロ-2-[trans-4-(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]-N-[(4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル]-2,4-ジメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミド、またはvalemetostatとも呼ばれる。式(I)で示される化合物は、例えば、WO2015141616の実施例35に記載の方法にしたがって製造することができる。WO2015141616は参照によりすべてが本明細書に組み込まれる。
本発明の式(I)で示される化合物の製薬学的に許容される塩は、最も好ましくは、(2R)-7-クロロ-2-[trans-4-(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]-N-[(4,6-ジメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)メチル]-2,4-ジメチル-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミド p-トルエンスルホン酸塩である(以下「Compound A」という。)。
【0021】
本発明において、「代謝拮抗剤」とは、核酸の生合成を阻害して腫瘍細胞の成長と分裂を妨げることにより、抗がん作用を発揮する薬剤をいう。代謝拮抗剤としては、例えば、フルオロウラシル(5-FUとも呼ばれる)、メルカプトプリン、デシタビン、ゲムシタビン(GEMとも呼ばれる)、アザシチジン(5-Azaとも呼ばれる)、シタラビン(Ara-Cとも呼ばれる)、メトトレキサート、テガフール、UFT、S-1、カルモフール、ドキシフルリジン、カペシタビン、およびこれら薬剤の製薬学的に許容される塩等が挙げられる。また、上記薬剤のプロドラッグであり、生体内で上記薬剤へと変化する薬剤も本発明の代謝拮抗剤に含まれる。
【0022】
本発明において、好適な代謝拮抗剤は、フルオロウラシル、デシタビン、ゲムシタビン、アザシチジン、シタラビン、またはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩である。より好適には、アザシチジン、シタラビン、またはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩である。
【0023】
本発明において、「アルキル化剤」とは、がん細胞のDNAをアルキル化し細胞増殖を妨げることにより抗がん作用を発揮する薬剤をいう。アルキル化剤としては、例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、ダカルバジン、テモゾロミド、ニムスチン(ACNUとも呼ばれる)、ブスルファン、プロカルバジン、メルファラン、ラニムスチン、またはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩等が挙げられる。また、上記薬剤のプロドラッグであり、生体内で上記薬剤へと変化する薬剤も本発明のアルキル剤に含まれる。本発明において、好適なアルキル化剤は、ニムスチンまたはその製薬学的に許容される塩である。
本発明において、「プラチナ製剤」とは、がん細胞のDNAとプラチナ原子が結合してDNAの複製を阻害することにより抗がん作用を発揮する薬剤をいう。プラチナ製剤としては、例えば、シスプラチン、カルボプラチン(CBDCAとも呼ばれる)、およびオキサリプラチン等が挙げられる。本発明において、好適なプラチナ製剤は、カルボプラチンである。
【0024】
本発明において、「抗腫瘍性抗生物質」とは、がん細胞のDNA合成阻害、DNA鎖切断、およびトポイソメラーゼII阻害によって抗がん作用を発揮する薬剤をいう。抗腫瘍性抗生物質としては、例えば、ドキソルビシン(DOXとも呼ばれる)、ダウノルビシン、エピルビシン、アクラルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アルムビシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、およびこれら薬剤の製薬学的に許容される塩等が挙げられる。本発明において、好適な抗腫瘍性抗生物質は、ドキソルビシンまたはその製薬学的に許容される塩である。
【0025】
本発明において、「抗腫瘍性植物成分」とは、抗腫瘍性アルカロイド、またはその誘導体をいう。抗腫瘍性植物成分としては、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン(VCRとも呼ばれる)、パクリタキセル、ドタキセル(DTXとも呼ばれる)、イリノテカン(CPT-11とも呼ばれる)、SN-38、エトポシド(ETPとも呼ばれる)およびこれら薬剤の製薬学的に許容される塩等が挙げられる。また、上記薬剤のプロドラッグであり、生体内で上記薬剤へと変化する薬剤も本発明の抗腫瘍性植物成分に含まれる。
本発明において、好適な抗腫瘍性植物成分は、ドタキセル、SN-38、イリノテカン、ビンクリスチン、エトポシドまたはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩である。より好適には、SN-38、イリノテカン、ビンクリスチン、エトポシドまたはこれら薬剤の製薬学的に許容される塩である。
【0026】
本発明において、「ホルモン剤」とは、特定のホルモンの分泌や作用を抑制することで抗がん作用を発揮する薬剤をいう。ホルモン剤としては、例えば、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、バラメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、およびこれら薬剤の製薬学的に許容される塩等が挙げられる。また、上記薬剤のプロドラッグであり、生体内で上記薬剤へと変化する薬剤も本発明のホルモン剤に含まれる。本発明において、好適なホルモン剤は、デキサメタゾンおよびその製薬学的に許容される塩である。
【0027】
本発明において、「免疫調整剤」とは、免疫の働きを調整し、抗がん作用を発揮する薬剤をいう。免疫調整剤としては、例えば、サリドマイド、およびレナリドミド(LENとも呼ばれる)等が挙げられる。本発明において、好適な免疫調整剤は、レナリドミドである。
【0028】
本発明において、「分子標的薬」とは、がん細胞の特定の分子に作用し、抗がん作用を発揮する薬剤をいう。分子標的薬はその作用機序により分類されるが、本発明において使用できる分子標的薬としては、例えば、プロテアソーム阻害剤、EGFR阻害剤、EGFR/HER2二重阻害剤、PARP阻害剤、HDAC阻害剤、マルチキナーゼ阻害剤、FLT3阻害剤、BCL-2阻害剤、ミオシンII阻害剤、BTK阻害剤、DAC阻害剤、BRD4阻害剤、mTOR阻害剤、PI3K/mTOR二重阻害剤、MDM2阻害剤、および各種抗体等が挙げられる。具体的な薬剤としては、例えば、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ラパチニブ、オラパリブ、ボリノスタット(SAHAとも呼ばれる)、ソラフェニブ、キザルチニブ、ベネトクラクス(VENとも呼ばれる)、イブルチニブ(IBRとも呼ばれる)、パノビノスタット、リツキシマブ、1-[(2S)-1,4-ジオキサン-2-イルメチル]-6-(4-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-オン、5-{8-[(3R)-4-アセチル-3-メチルピペラジン-1-イル]-6-モルホリン-4-イル-9-(2,2,2-トリフルオロエチル)-9H-プリン-2-イル}ピリミジン-2-アミン、ミラデメタン(milademetanと呼ばれる)およびこれら薬剤の製薬学的に許容される塩等が挙げられる。
【0029】
本発明において、「1-[(2S)-1,4-ジオキサン-2-イルメチル]-6-(4-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-オン、」は、mTOR阻害剤である。例えば、WO2010016490の実施例42に記載の方法にしたがって製造することができる。WO2010016490は参照によりすべてが本明細書に組み込まれる。
【0030】
本発明において、「5-{8-[(3R)-4-アセチル-3-メチルピペラジン-1-イル]-6-モルホリン-4-イル-9-(2,2,2-トリフルオロエチル)-9H-プリン-2-イル}ピリミジン-2-アミン」は、PI3K/mTOR二重阻害剤である。例えば、WO2010044401の実施例59に記載の方法にしたがって製造することができる。WO2010044401は参照によりすべてが本明細書に組み込まれる。
【0031】
本発明において、「ミラデメタン」は、MDM2阻害剤である。例えば、WO2012121361の実施例70に記載の方法にしたがって製造することができる。WO2012121361は参照によりすべてが本明細書に組み込まれる。
【0032】
本発明において、「免疫チェックポイント阻害薬」とは、免疫チェックポイント分子による免疫抑制逃避機構を遮断し、T細胞を増殖、活性化することにより抗がん作用を発揮する薬剤をいう。本発明において使用できる免疫チェックポイント阻害薬としては、例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、および抗CTLA-4抗体等が挙げられる。具体的な薬剤としては、例えば、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、およびイピリムマブ等が挙げられる。
【0033】
本発明において「CHOP療法」とは、がんの化学療法であり、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの4種の薬剤を組み合わせて投与する治療方法である。CHOP療法に係る薬剤とは、これら4種の薬剤を意味する。例えば、悪性リンパ腫等の治療に用いられる。
【0034】
本発明において「R-CHOP療法」とは、がんの化学療法であり、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの5種の薬剤を組み合わせて投与する治療方法である。R-CHOP療法に係る薬剤とは、これら5種の薬剤を意味する。例えば、悪性リンパ腫等の治療に用いられる。
【0035】
EZH1および/またはEZH2は、がんの増殖、生存等に関与していることが示唆されていることから、本発明は、EZH1および/またはEZH2の発現量の亢進がみられるがん、および/または、EZH1および/またはEZH2に変異が存在するがんに用いることが好ましい。
EZH1および/またはEZH2の発現量が亢進しているかは、患者の披検組織(例えば、採血、生検等により採取)の中のEZH1および/またはEZH2の発現量等を、ウエスタンブロット、ELISA、ノザンブロット、定量PCR,DNAチップ組織免疫染色等を用いた解析、病理学的手法等公知の方法を用いて確認することができる。
【0036】
EZH1および/またはEZH2に変異が存在するかは、ゲノムDNAの塩基配列を調べることにより確認することができる。
【0037】
本発明において、「がん」は、悪性腫瘍全体を示す。
がんは、「固形がん」と「血液がん」に分類することができる。固形がんは、「上皮細胞がん」と「非上皮細胞がん」に分類することができる。上皮細胞がんは、上皮細胞から発生するがんであり、例えば、肺がん、胃がん、肝臓がん、腎臓がん、前立腺がん、膵臓がん、大腸がん、乳がん、および卵巣がん等が挙げられる。非上皮細胞がんは、骨や筋肉などの非上皮細胞から発生するがんであり、例えば、骨肉腫、軟骨肉腫、および横紋筋肉腫等が挙げられる。血液がんは、造血器から発生するがんであり、例えば、悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫等に分類することができる。血液がんには、骨髄異形成症候群等、場合によっては前がん段階に区分される病態も含まれる。
【0038】
悪性リンパ腫は、例えば、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類することができる。非ホジキンリンパ腫には、例えば、マントル細胞リンパ腫(Mantle cell lymphoma, MCLとも呼ばれる。)、びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫(Diffuse large B-cell lymphoma, DLBCLとも呼ばれる。)、成人T 細胞白血病/ リンパ腫(Adult T-cell leukemia/lymphoma, ATLLとも呼ばれる。)、末梢性T 細胞リンパ腫(Peripheral T-cell lymphoma, PTCLとも呼ばれる。)等が含まれる。
【0039】
白血病は、例えば、急性骨髄性白血病(Acute myelogenous leukemia, AMLとも呼ばれる。)、慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia, CMLとも呼ばれる。)、急性リンパ性白血病(acute lymphoid leukemia, ALLとも呼ばれる。)、慢性リンパ性白血病(chronic lymphoid leukemia, CLLとも呼ばれる。)、骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes, MDSとも呼ばれる。)等に分類することができる。
本発明の治療の対象となるがんの種類は本発明の併用療法に対して感受性が確認されるがんであれば特に限定されないが、例えば、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群のような血液がん、脳腫瘍、頭頚部がん、食道がん、胃がん、虫垂がん、大腸がん、肛門がん、胆嚢がん、胆管がん、膵臓がん、消化管間質腫瘍、肺がん、肝臓がん、中皮腫、甲状腺がん、腎臓がん、前立腺がん、神経内分泌腫瘍、黒色腫、乳がん、子宮体がん、子宮頸がん、卵巣がん、骨肉腫、軟部肉腫、カポジ肉腫、筋肉腫、腎臓がん、膀胱がんまたは睾丸がんが挙げられる。
本発明の治療の対象となる血液がんとしては、好ましくは、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫および骨髄異形成症候群である。特に好ましくは、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、および多発性骨髄腫である。
本発明の治療の対象となる非ホジキンリンパ腫は、好ましくは、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫、成人T 細胞白血病/ リンパ腫、および末梢性T 細胞リンパ腫である。
本発明の治療の対象となる固形がんとしては、好ましくは、肺がん、胃がん、および大腸がんである。
【0040】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とフルオロウラシルまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、胃がん、肝がん、結腸・直腸がん、小腸がん、大腸がん、乳がん、膵臓がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、食道がん、肺がん、および頭頚部がん等に用いることができる。
【0041】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とゲムシタビンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、肺がん、膵臓がん、胆道がん、尿路上皮がん、乳がん、卵巣がん、および悪性リンパ腫等に用いることができる。
【0042】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とアザシチジンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、骨髄異形成症候群に用いることができる。
【0043】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とシタラビンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、急性骨髄性白血病、胃がん、膵臓がん、肝臓がん、結腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、膀胱がん、および悪性リンパ腫等に用いることができる。
【0044】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とニムスチンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、脳腫瘍、胃がん、肝臓がん、大腸がん、肺がん、悪性リンパ腫、および白血病等に用いることができる。
【0045】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とカルボプラチンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、頭頚部がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、悪性リンパ腫、および小児のがん等に用いることができる。
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とドキソルビシンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、血液がんに用いることができる。血液がんの中でも悪性リンパ腫に用いるのが好ましく、悪性リンパ腫の中でも非ホジキンリンパ腫に用いることが好ましい。
別の態様としては、固形がんに用いることができ、例えば、肺がん、胃がん、膵臓がん、大腸がん、骨肉腫、乳がんおよび小児のがん等に用いることができる。
【0046】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とドタキセルまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、乳がん、肺がん、胃がん、頭頚部がん、卵巣がん、食道がん、子宮体がん、および前立腺がん等に用いることができる。
【0047】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とSN-38またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、肺がん、子宮頸がん、卵巣がん、胃がん、大腸がん、乳がん、皮膚がん(例えば、有棘細胞がんが含まれる)、悪性リンパ腫、膵臓がん、および小児のがん等に用いることができる。
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とエトポシドまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、血液がんに用いることができる。血液がんの中でも悪性リンパ腫に用いるのが好ましく、悪性リンパ腫の中でも非ホジキンリンパ腫に用いることが好ましい。
別の態様としては、固形がんに用いることができ、例えば、肺がん、胃がん、膵臓がん、大腸がん、骨肉腫、乳がんおよび小児のがん等に用いることができる。
【0048】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とイリノテカンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、肺がん、子宮頸がん、卵巣がん、胃がん、大腸がん、乳がん、皮膚がん(例えば、有棘細胞がんが含まれる)、悪性リンパ腫、膵臓がん、および小児のがん等に用いることができる。
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とビンクリスチンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、血液がんに用いることができる。血液がんの中でも悪性リンパ腫に用いるのが好ましく、悪性リンパ腫の中でも非ホジキンリンパ腫に用いることが好ましい。
別の態様としては、固形がんに用いることができ、例えば、肺がん、胃がん、膵臓がん、大腸がん、骨肉腫、乳がんおよび小児のがん等に用いることができる。
【0049】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とデキサメタゾンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、白血病、悪性リンパ腫、乳がん、多発性骨髄腫、および前立腺がん等に用いることができる。
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とレナリドミドまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、血液がんに用いることができる。血液がんの中でも悪性リンパ腫および骨髄異形成症候群に用いるのが好ましく、悪性リンパ腫の中でも非ホジキンリンパ腫に用いることが好ましい。別の態様としては、固形がんに用いることができ、例えば、肺がん、胃がん、膵臓がん、大腸がん、骨肉腫、乳がんおよび小児のがん等に用いることができる。
【0050】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とボルテゾミブまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、多発性骨髄腫およびマントル細胞リンパ腫等に用いることができる。
【0051】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とエルロチニブまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、肺がん、および膵臓がん等に用いることができる。
【0052】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とラパチニブまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、乳がん等に用いることができる。好ましくは、HER2が過剰に発現しているがんに用いることができる。
【0053】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とオラパリブまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、卵巣がんおよび乳がん等に用いることができる。好ましくは、BRCA遺伝子変異が陽性であるがんに用いることができる。
【0054】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とボリノスタットまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、非ホジキンリンパ腫(例えば、皮膚T細胞性リンパ腫が含まれる)等に用いることができる。
【0055】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とソラフェニブまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、腎臓がん(例えば、腎細胞がんが含まれる)、肝臓がん(例えば、肝細胞がんが含まれる)、および甲状腺がん等に用いることができる。
【0056】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とキザルチニブまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、急性骨髄性白血病等に用いることができる。好ましくは、FLT3-ITD変異を有するがんに用いることができる。
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とベネトクラクスまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、血液がんに用いることができる。血液がんの中でも悪性リンパ腫および骨髄異形成症候群に用いるのが好ましく、悪性リンパ腫の中でも非ホジキンリンパ腫に用いることが好ましい。別の態様としては、固形がんに用いることができ、例えば、肺がん、胃がん、膵臓がん、大腸がん、骨肉腫、乳がんおよび小児のがん等に用いることができる。
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とイブルチニブまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、血液がんに用いることができる。血液がんの中でも悪性リンパ腫に用いるのが好ましく、悪性リンパ腫の中でも非ホジキンリンパ腫に用いることが好ましい。
別の態様としては、固形がんに用いることができ、例えば、肺がん、胃がん、膵臓がん、大腸がん、骨肉腫、乳がんおよび小児のがん等に用いることができる。
【0057】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とパノビノスタットまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、例えば、多発性骨髄腫等に用いることができる。
【0058】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤と1-[(2S)-1,4-ジオキサン-2-イルメチル]-6-(4-メチル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-オンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん、膵臓がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、食道がん、肺がん、および頭頚部がん等に用いることができる。
【0059】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤と5-{8-[(3R)-4-アセチル-3-メチルピペラジン-1-イル]-6-モルホリン-4-イル-9-(2,2,2-トリフルオロエチル)-9H-プリン-2-イル}ピリミジン-2-アミンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん、膵臓がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、食道がん、肺がん、および頭頚部がん等に用いることができる。
【0060】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とミラデメタンまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん、膵臓がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、食道がん、肺がん、頭頚部がんおよび骨髄異形成症候群等に用いることができる。
【0061】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤とリツキシマブまたはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤の組み合わせは、血液がんに用いることができる。血液がんの中でも悪性リンパ腫に用いるのが好ましく、悪性リンパ腫の中でも非ホジキンリンパ腫に用いることが好ましい。
【0062】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤と抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CTLA-4抗体との組み合わせは、血液がんに用いることができる。血液がんの中でも悪性リンパ腫に用いるのが好ましい。
別の態様としては、固形がんに用いることができ、固形がんの中でも皮膚がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん、膵臓がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、食道がん、肺がん、頭頚部がんおよび骨髄異形成症候群に用いるのが好ましい。
【0063】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤と、CHOP療法に係る薬剤の組み合わせは、例えば、血液がんに用いることができる。血液がんの中でも悪性リンパ腫に用いるのが好ましく、悪性リンパ腫の中でも非ホジキンリンパ腫に用いることが好ましい。
【0064】
本発明において、式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する薬剤と、R-CHOP療法に係る薬剤の組み合わせは、例えば、血液がんに用いることができる。血液がんの中でも悪性リンパ腫に用いるのが好ましく、悪性リンパ腫の中でも非ホジキンリンパ腫に用いることが好ましい。
本発明において、「組み合わせて投与される」とは、ある一定期間において、被投与対象が、両薬剤をその体内に取り込むことを意味する。両薬剤が単一製剤中に含まれた製剤が投与されてもよく、またそれぞれが別々に製剤化され、別々に投与されても良い。別々に製剤化される場合、その投与の時期は特に限定されず、同時に投与されてもよく、時間を置いて異なる時間に、又は、異なる日に、投与されても良い。
それぞれ異なる時間又は日に投与される場合、その投与の順番は特に限定されない。通常、それぞれの製剤は、それぞれの投与方法に従って投与されるため、それらの投与は、同一回数となる場合もあり、異なる回数となる場合もある。また、それぞれが別々に製剤化される場合、各製剤の投与方法(投与経路)は同じであってもよく、異なる投与方法(投与経路)で投与されてもよい。また、両薬剤が同時に体内に存在する必要は無く、ある一定期間(例えば一ヶ月間、好ましくは1週間、さらに好ましくは数日間、さらにより好ましくは1日間)の間に体内に取り込まれていればよく、いずれかの投与時にもう一方の有効成分が体内から消失していてもよい。
【0065】
本発明の医薬組成物は、他の抗腫瘍剤や他の治療法(例えば、放射線療法、免疫療法)と併用してもよい。
【0066】
本発明において「製薬学的に許容される塩」とは、著しい毒性を有さず、医薬組成物として使用され得る塩をいう。酸性の置換基を有する化合物は、塩基と反応させることにより塩とすることができる。例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄塩等の金属塩;アンモニウム塩のような無機塩;tert-ブチルアミン塩、tert-オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N-メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N-ベンジルフェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機塩等のアミン塩;および、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩を挙げることができるが挙げられるが、これらに制限されない。
【0067】
塩基性の置換基を有する化合物は、酸と反応させることにより塩とすることができる。例えば、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩;硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、燐酸塩のような無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のようなC1-C6アルキルスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩のようなアリ-ルスルホン酸塩;酢酸塩、りんご酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、アジピン酸塩、マレイン酸塩のような有機酸塩;及び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩を挙げることができる。
【0068】
本発明における、式(I)で示される化合物、代謝拮抗剤、アルキル化剤、プラチナ製剤、抗腫瘍性抗生物質、抗腫瘍性植物成分、ホルモン剤、免疫調整剤、分子標的薬、およびこれら薬剤の製薬学的に許容される塩は、大気中に放置したり、または、再結晶したりすることにより、水分子を取り込んで、水和物となる場合があり、そのような水和物も本発明に包含される。
本発明における、式(I)で示される化合物、代謝拮抗剤、アルキル化剤、プラチナ製剤、抗腫瘍性抗生物質、抗腫瘍性植物成分、ホルモン剤、免疫調整剤、分子標的薬、およびこれら薬剤の製薬学的に許容される塩は、溶媒中に放置されたり、または、再結晶したりすることにより、ある種の溶媒を吸収し、溶媒和物となる場合があり、そのような溶媒和物も本発明に包含される。
本発明における、式(I)で示される化合物、代謝拮抗剤、アルキル化剤、プラチナ製剤、抗腫瘍性抗生物質、抗腫瘍性植物成分、ホルモン剤、免疫調整剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬およびこれら薬剤の製薬学的に許容される塩を医薬組成物として調製する場合、用いられる製薬学的に許容される担体としては、例えば、滅菌水や生理食塩水、植物油、溶剤、基剤、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、芳香剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤、希釈剤、等張化剤、無痛化剤、増量剤、崩壊剤、緩衝剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤などが挙げられるが、これらに制限されない。本発明の化合物もしくはその製薬学的に許容される塩は、治療目的などに応じて、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤などの各種形態とすることができる。また、例えば、リポソーム送達系の形態で投与することもできる。当該リポソームには、治療上の有用な特性を増進する上記補助部分(例えば、抗体やリガンドなど)を付加することもできる。
【0069】
患者への投与は、経口的な投与でも非経口的な投与でも可能である。非経口的な投与としては、例えば、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、胸腔内投与、腹腔内投与、標的部位(例えば、腫瘍)への直接投与などが挙げられる。
【0070】
投与量は、目的の疾患を治療するのに有効な量であれば特に制限はなく、患者の年齢、体重、症状、健康状態、疾患の進行状況などに応じて、適宜選択すればよい。投与頻度としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1日あたりの投与量を、1日に1回で投与してもよいし、複数回に分けて投与してもよい。本発明の薬剤をヒトに投与する場合、有効成分の投与量の範囲は、1日当たり、通常、約0.01mg/kg体重~約500mg/kg体重、好ましくは、約0.1mg/kg体重~約100mg/kg体重である。ヒトに投与する場合、好ましくは、1日あたり1回、あるいは2~4回に分けて投与され、適当な間隔で繰り返すことが好ましい。
【0071】
なお、本発明における、式(I)で示される化合物、代謝拮抗剤、アルキル化剤、プラチナ製剤、抗腫瘍性抗生物質、抗腫瘍性植物成分、ホルモン剤、免疫調整剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬およびこれら薬剤の製薬学的に許容される塩を試薬として調製する場合、必要に応じて、滅菌水や生理食塩水、緩衝剤、保存剤など、試薬として許容される他の成分を含むことができる。当該試薬は、目的に応じた対象(例えば、細胞やその分画物、組織、実験動物など)に、目的に応じた投与量で投与して腫瘍の増殖を抑制することができる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0073】
(試験例1)Compound Aと第2の薬剤との併用による細胞増殖抑制活性評価
表1および表2に記載した細胞株を細胞培養用plate(例えば6-well culture plate)に播種し、各種濃度に希釈したCompound AのDMSO溶液またはDMSOのみを、溶媒濃度が0.1%となるように添加し、細胞を7日間培養した。この間、細胞の増殖に応じて、3日間あるいは4日間程度の間隔で適宜継代を実施し、その際に新鮮な培地に各種濃度に希釈したCompound Aの DMSO溶液またはDMSOのみを、検討開始時と同濃度で添加した。
上記条件にて培養した各細胞株を96-well assay plateに播種し、
(i)各種濃度に希釈したCompound Aの DMSO溶液またはDSMOのみを、溶媒濃度が0.1%となるように添加したものと、
(ii)希釈した第2の薬剤のDMSO溶液またはDMSOのみ(製剤化された第2の薬剤を用いた場合には、製剤化された第2の薬剤の生理食塩水希釈液、または生理食塩水のみ)を、溶媒濃度が0.1%となるように添加したもの、
とを組み合わせて、細胞を培養した。
培養期間中、いずれも37℃、5%CO2下にて培養した。96-well assay plateに播種した当日(播種日)およびその3日後(効果判定日)にCellTiter-Glo 2.0 Assay試薬(プロメガ、#G9241)を用いて付属マニュアルに従い反応後、プレートリーダー(EnVision、パーキンエルマー)で各ウェルの発光量を測定した。播種日に測定した各処理条件の検体添加群(TS)およびDMSO添加群(CS)、効果判定日に測定した各条件の検体添加群(T)およびDMSO添加群(C)の発光量より、次式に基づき細胞増殖抑制率を算出した。
細胞増殖抑制率% = {1 - (T - TS)/(C - CS)} × 100
ただし、効果判定日の検体添加群の細胞数が、播種日と比較して減少している場合(T < TS)、次式に基づき殺細胞効果を算出した。
殺細胞率% = (T - TS)/TS × (-100)
算出された細胞増殖抑制率および殺細胞率をSigmoid Emax modelに適合し、Compound A単独、第2の薬剤単独、および各種濃度におけるCompound Aと第2の薬剤の組み合わせ、それぞれの100%細胞増殖抑制濃度を算出した。
算出された100%細胞増殖抑制濃度(Compound A単独:D1、第2の薬剤単独:D2、併用時のCompound A:d1、併用時の第2の薬剤:d2)より、次式に基づき併用係数(combination index: CI)を算出し、CI < 1の場合は相乗効果、CI = 1の場合は相加効果、CI > 1の場合は拮抗効果として判断した(Adv. Enzyme Regul. 1984, p.2227-55を参照した)。
CI = d1/D1 + d2/D2
結果を表1および表2に示す。全てのがん種において相乗効果が認められた。
【0074】
【0075】
【0076】
(試験例2)KARPAS-422ゼノグラフトモデルに対するCompound AとCHOP療法の併用効果評価
ヒトびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫KARPAS-422細胞を雌性SCIDマウスの右側腹部皮下に移植し(Day 0)、20日後に推定腫瘍体積(長径×短径×短径/2)を元に群分けを行った。Compound A投与群は、Compound Aを100 mg/kg/dayの用量設定にて1日1回、Day 21からDay 32まで12日間連日のスケジュールにて経口投与した(QD × 12)。CHOP療法群はシクロホスファミドを25 mg/kg、ドキソルビシンを3 mg/kg、ビンクリスチンを0.25 mg/kgの用量設定にてDay 21に単回尾静脈内投与し(QD × 1)、プレドニゾンを0.3 mg/kgの用量設定にて1日1回、Day 21からDay 25まで5日間連日のスケジュールにて経口投与(QD × 5)を実施した。また、これらを組み合わせて併用試験を実施した。結果を
図1に示す。
Compound A単独およびCHOP療法単独と比較して、Compound AとCHOP療法の組み合わせは優れた抗腫瘍効果を示した。
【0077】
(試験例3)KARPAS-422ゼノグラフトモデルに対するCompound AとR-CHOP療法の併用効果評価
ヒトびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫KARPAS-422細胞を雌性SCIDマウスの右側腹部皮下に移植し(Day 0)、21日後に推定腫瘍体積を元に群分けを行った。Compound A投与群は、Compound Aを100 mg/kg/dayの用量設定にて1日1回、Day 22からDay 32まで11日間連日のスケジュールにて経口投与した(QD × 11)。R-CHOP療法群はrituximabを10 mg/kgの用量設定にてDay 21に単回尾静脈内投与し(QD × 1)、シクロホスファミドを25 mg/kg、ドキソルビシンを3 mg/kg、ビンクリスチンを0.25 mg/kgの用量設定にてDay 22に単回尾静脈内投与し(QD × 1)、プレドニゾンを0.3 mg/kgの用量設定にて1日1回、Day 22からDay 26まで5日間連日のスケジュールにて経口投与(QD × 5)を実施した。また、これらを組み合わせて併用試験を実施した。結果を
図2に示す。
Compound A単独およびR-CHOP療法単独と比較して、Compound AとR-CHOP療法の組み合わせは優れた抗腫瘍効果を示した。
【0078】
(試験例4)WSU-DLCL2ゼノグラフトモデルに対するCompound Aとrituximabとの併用効果評価
ヒトびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫WSU-DLCL2細胞を雌性SCIDマウスの右側腹部皮下に移植し(Day 0)、15日後に推定腫瘍体積を元に群分けを行った。Compound A投与群は、Compound Aを0.3%含有する混餌飼料をDay 16からDay 44まで28日間連日のスケジュールにて自由摂取させて投与した(QD × 28)。rituximab投与群はrituximabを10 mg/kgの用量設定にて、Day 15に単回尾静脈内投与した(QD × 1)。また、これらを組み合わせて併用試験を実施した。結果を
図3に示す。Compound A単独およびrituximab単独と比較して、Compound Aとrituximabの組み合わせは優れた抗腫瘍効果を示した。
【0079】
(試験例5)A20シンジェニックモデルに対するCompound Aと抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CTLA-4抗体との併用効果評価
抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、および抗CTLA-4抗体は、いずれもBio X cell社製を使用した。マウスB細胞性リンパ腫A20細胞を雌性Balb/cマウスの右側腹部皮下に移植した(Day 0)。Compound A投与群は、Compound Aを100 mg/kg/dayの用量設定にて1日1回、Day 0からDay 17まで18日間連日のスケジュールにて経口投与した(QD × 18)。抗PD-1抗体投与群は抗PD-1抗体を5 mg/kgの用量設定にて、Day 0, 3, 7に尾静脈内投与した。また、これらを組み合わせて併用試験を実施した。結果を
図4に示す。抗PD-L1抗体投与群は抗PD-L1抗体を5 mg/kgの用量設定にて、Day 4, 8, 11に尾静脈内投与した。また、Compound Aと抗PD-L1抗体を組み合わせて併用試験を実施した。結果を
図5に示す。抗CTLA-4抗体投与群は抗CTLA-4抗体を5 mg/kgの用量設定にて、Day 4, 8, 11に尾静脈内投与した。また、Compound Aと抗CTLA-4抗体を組み合わせて併用試験を実施した。結果を
図6に示す。Compound A単独および抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体単独と比較して、Compound Aと各抗体の組み合わせは優れた抗腫瘍効果を示した。
【0080】
(試験例6)MV-4-11ゼノグラフトモデルに対するCompound Aと5-azacytidineの併用効果評価
ヒト急性骨髄性白血病MV-4-11細胞を雌性NOGマウスの尾静脈内に移植した(Day 0)。Compound A投与群は、Compound Aを120 mg/kg/dayの用量設定にて1日1回、Day 3からDay 20まで18日間連日のスケジュールにて経口投与した(QD × 18)。5-azacytidine投与群は、5-azacytidineを3.5 mg/kgの用量設定にて、Day 7からDay 10まで4日間連日のスケジュールにて尾静脈内投与した(QD × 4)。また、これらを組み合わせて併用試験を実施した。結果を
図7に示す。
Compound A単独および5-azatcytidine単独と比較して、Compound Aと5-azacytidineの組み合わせは優れた延命効果を示した。
【0081】
(試験例7)NCI-H446ゼノグラフトモデルに対するCompound Aとirinotecanの併用効果評価
ヒト小細胞肺がんNCI-H446細胞を雌性SCIDマウスの右側腹部皮下に移植し(Day 0)、21日後に推定腫瘍体積を元に群分けを行った。Compound A投与群は、Compound Aを100 mg/kg/dayの用量設定にて1日1回、Day 21からDay 38まで18日間連日のスケジュールにて経口投与した(QD × 18)。Irinotecan (CPT-11)投与群はirinotecanを60 mg/kgの用量設定にて、Day 25に単回尾静脈内投与した(QD × 1)。また、これらを組み合わせて併用試験を実施した。結果を
図8に示す。
Compound A単独およびirinotecan単独と比較して、Compound Aとirinotecanの組み合わせは優れた抗腫瘍効果を示した。
【0082】
(試験例8)NCI-H446ゼノグラフトモデルに対するCompound Aとcarboplatinの併用効果評価
ヒト小細胞肺がんNCI-H446細胞を雌性SCIDマウスの右側腹部皮下に移植し(Day 0)、21日後に推定腫瘍体積を元に群分けを行った。Compound A投与群は、Compound Aを100 mg/kg/dayの用量設定にて1日1回、Day 21からDay 38まで18日間連日のスケジュールにて経口投与した(QD × 18)。Carboplatin (CBDCA)投与群はcarboplatinを50 mg/kgの用量設定にて、Day 25に単回尾静脈内投与した(QD × 1)。また、これらを組み合わせて併用試験を実施した。結果を
図9に示す。Compound A単独およびcarboplatin単独と比較して、Compound Aとcarboplatinの組み合わせは優れた抗腫瘍効果を示した。