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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】包装袋及び内容物充填体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20240426BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
B65D77/04 F
B65D65/40 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021000160
(22)【出願日】2021-01-04
(65)【公開番号】P2022105396
(43)【公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 進
(72)【発明者】
【氏名】梅中 一博
(72)【発明者】
【氏名】小川 和真
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-095308(JP,A)
【文献】特開2005-047234(JP,A)
【文献】特開2014-005002(JP,A)
【文献】特開2020-164178(JP,A)
【文献】特開2019-162834(JP,A)
【文献】特開2014-005030(JP,A)
【文献】特開2018-047919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/04
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内袋と外袋とを有する二重構造であり、かつ、略四方からなる包装袋であって、
前記内袋は、ポリオレフィン樹脂からなる網目構造層と、前記網目構造層の両側に設けられたポリオレフィン樹脂層とを含む第1積層体からなり、
前記略四方のうち少なくとも一方の周縁部は、前記内袋が折り返され、前記外袋とは固定されておらず、
前記略四方のうち他の周縁部は、前記内袋が前記外袋に挟まれた状態で固定されている、包装袋。
【請求項2】
前記略四方のうち一方の周縁部は、前記内袋が折り返され、前記外袋とは固定されておらず、
前記略四方のうち他の三方の周縁部は、前記内袋が前記外袋に挟まれた状態で固定されている、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記外袋が、シーラント層と、前記シーラント層の外側に設けられたガスバリア層とを含む第2積層体からなる、請求項1又は2に記載の包装袋。
【請求項4】
さらにスパウトを備えている、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記外袋が底部にガゼットを備えている、請求項1~4のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の包装袋に内容物が充填されている、内容物充填体。
【請求項7】
前記内容物が炭酸ガス含有飲料である、請求項6に記載の内容物充填体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋及び内容物充填体に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼリー飲料等の飲料用容器として、軟質包装材料にスパウトが取り付けられているスパウト付包装袋等の包装袋が知られている。しかし、このような包装袋は、金属缶、ビン、ペットボトル等の剛性容器に比べて耐圧強度が劣る。包装袋に炭酸飲料を充填すると、軟質包装材料が延びて破れたり、軟質包装材料同士を接合しているシール部が剥離したりすることによって破袋しやすい。そのため、軟質包装材料からなる包装袋は、炭酸飲料等の内圧が高くなる内容物を充填する容器には適していない。
【0003】
耐圧性を考慮した軟質包装材料からなる軟包装容器も提案されている。特許文献1には、液体が収容される内袋体と、内袋体を外側から覆う外袋体とを備え、内袋体の内部の体積が外袋体の内部の体積以上である軟包装容器が開示されている。特許文献2には、シーラント層を有する、引張強度、厚さ及びヤング率を特定の範囲に制御した積層フィルム同士を重ね、シール強度を特定の値以上に制御した周縁シール部を形成した耐圧包装袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-047919号公報
【文献】特開2014-065531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の軟包装容器では、内袋体が外袋体によって支えられるものの、内袋体も外袋体もフィルムが延びる問題があるため、炭酸飲料等を充填する場合には内圧による破袋を十分に抑制することは困難である。また、特許文献2の耐圧包装袋では、内圧による破袋を防止できるものの、開示されている形状は、炭酸飲料を充填しても、直接注出口から飲むには適していない形状であった。
【0006】
本発明は、炭酸飲料等の内圧が高くなる内容物を充填した場合でも破袋を抑制できる耐圧強度に優れ、またさらに、スパウトを設けることで、直接スパウトから内容物を飲むことができる包装袋、及びそれを用いた内容物充填体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]内袋と外袋とを有する二重構造であり、かつ、略四方からなる包装袋であって、前記内袋は、ポリオレフィン樹脂からなる網目構造層と、前記網目構造層の両側に設けられたポリオレフィン樹脂層とを含む第1積層体からなり、前記略四方のうち少なくとも一方の周縁部は、前記内袋が折り返され、前記外袋とは固定されておらず、前記略四方のうち他の周縁部は、前記内袋が前記外袋に挟まれた状態で固定されている、包装袋。
[2]前記略四方のうち一方の周縁部は、前記内袋が折り返され、前記外袋とは固定されておらず、前記略四方のうち他の三方の周縁部は、前記内袋が前記外袋に挟まれた状態で固定されている、[1]に記載の包装袋。
[3]前記外袋が、シーラント層と、前記シーラント層の外側に設けられたガスバリア層とを含む第2積層体からなる、[1]又は[2]に記載の包装袋。
[4]さらにスパウトを備えている、[1]~[3]のいずれかに記載の包装袋。
[5]前記外袋が底部にガゼットを備えている、[1]~[4]のいずれかに記載の包装袋。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の包装袋に内容物が充填されている、内容物充填体。
[7]前記内容物が炭酸ガス含有飲料である、[6]に記載の内容物充填体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、炭酸飲料等の内圧が高くなる内容物を充填した場合でも破袋を抑制できる耐圧強度に優れ、またさらに、スパウトを設けることで、直接スパウトから内容物を飲むことができる包装袋、及びそれを用いた内容物充填体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の包装袋の一例を示した扁平状態の正面図である。
図2図1の包装袋のA-A断面図である。
図3図1の包装袋のB-B断面図である。
図4図1の包装袋のD-D断面図である。
図5図1の包装袋のC-C断面図である。
図6】包装袋に内容物を充填して側部シール部近傍が拡がった様子を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[包装袋]
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の包装袋について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0011】
なお、本発明において、スパウトを備える包装袋とスパウトを備えていない包装袋は、スパウトの有無以外は、同様の形態である。以下、本発明の包装袋の実施形態として、スパウトを備える包装袋の一例を示して詳細に説明する。
【0012】
図1、2に示すように、包装袋1は、内袋10と、外袋20と、スパウト30と、を備えている。包装袋1は、上部に幅方向に延びる上部シール部2と、幅方向の両側の側部にそれぞれ高さ方向に延びる側部シール部3と、底部に幅方向に延びる底部シール部4とが形成された、略四方形状である。ここで、略四方とは、スパウトを有していてもよく、角部の面取りがあってもよい。このように、包装袋1は、周縁部にシール部が形成されることで密封されている。包装袋1は、外袋20の内側に内袋10が設けられた二重構造であり、内袋10の内部が内容物を充填する充填部になっている。スパウト30は、上部シール部2において、内袋10の内側に挟持された状態で取り付けられている。
【0013】
外袋20は、一対の平面部21,22と、ガゼットを備えた底部23と、を有する、いわゆるスタンディングパウチである。一対の平面部21,22と、底部23は、それぞれ後述するシート材によって形成されている。なお、外袋20は、スタンディングパウチには限定されない。
【0014】
一対の平面部21,22の正面視形状は、略四方からなる矩形状である。
底部23の正面視形状は、矩形状である。なお、底部23の正面視形状は、矩形状に限定されない。
【0015】
外袋20では、一対の平面部21,22は互いの面が対向するように配置され、それら一対の平面部21,22の間の底側に底部23が配置されている。底部23は、一対の平面部21,22の間において上側に向かって谷折りに折り込まれ、幅方向の一方の側縁から他方の側縁まで延びる折り線23aを有するガゼットを備えている。
【0016】
内袋10は、後述する複層構成のシート材である第1積層体11からなる。
内袋10の正面視形状は、略四方からなる矩形状である。
【0017】
包装袋1の略四方のうち一方の周縁部は、内袋10を形成する第1積層体11が断面W字形状となるように上下方向に折り返されて外袋20と固定されておらず、外袋20のみでシールされている。内袋10は、その折り返し部分が底部12とされた状態で、外袋20の一対の平面部21,22の間に配置されている。この例では、内袋10の底部12は、外袋20の底部23のガゼット形状に沿うように上側に向かって谷折りにさらに折り込まれている。包装袋1の略四方のうちの一方の周縁部は、包装袋1の底の周縁部を形成しており、上記外袋20のみでシールされている部分は底部シール部4である。
【0018】
図2に示すように、包装袋1の底部シール部4では、谷折りに折り込まれた底部23の平面部21側の下縁部23dと平面部21の下縁部21cとが熱溶着によって接合されている。また、谷折りに折り込まれた底部23の平面部22側の下縁部23eと平面部22の下縁部22cとが熱溶着によって接合されている。すなわち、底部シール部4では、底部23の下縁部23dと平面部21の下縁部21cの2枚のシート材、及び、底部23の下縁部23eと平面部22の下縁部22cの2枚のシート材が、それぞれ熱溶着によって接合されている。
【0019】
包装袋1の略四方のうち他の三方の周縁部、つまり底の周縁部以外の三方の周縁部である上部、両側部の周縁部は、内袋10が外袋20に挟まれた状態で、上部シール部2及び側部シール部3によりシールされて固定されている。
図3に示すように、包装袋1の上部シール部2では、内袋10における第1積層体11の重ね合わされた上縁部11a,11aが、外袋20における平面部21の上縁部21aと平面部22の上縁部22aに挟まれた状態で、それらが互いに熱溶着によって接合されている。すなわち、包装袋1の上部シール部2では、平面部21の上縁部21aと、第1積層体11の2つの上縁部11a,11aと、平面部22の上縁部22aの4枚のシート材がこの順に重ね合わされて互いに熱溶着によって接合されている。
【0020】
図2に示すように、包装袋1の上部シール部2における幅方向の中央部では、第1積層体11の2つの上縁部11a,11aによってスパウト30が挟持された状態で、第1積層体11の上縁部11a,11aとスパウト30とが熱溶着によって接合されている。
【0021】
図4に示すように、幅方向の両方の側部シール部3における底部23が存在する部分の平面部21側では、谷折りに折り込まれた底部23の平面部21と向かい合う側縁部23bと、平面部21の側縁部21bとの間に、内袋10における第1積層体11の重ね合わされた側縁部11b,11bが挟まれた状態で、それらが熱溶着によって接合されている。同様に、側部シール部3における底部23が存在する部分の平面部22側では、谷折りに折り込まれた底部23の平面部22と向かい合う側縁部23cと、平面部22の側縁部22bとの間に、内袋10における第1積層体11の重ね合わされた側縁部11b,11bが挟まれた状態で、それらが熱溶着によって接合されている。なお、図4では、底部23が存在する部分の側部シール部3において、底部23の側縁部23bと側縁部23cとは直接接合されているように見えるが、本実施形態においては、側縁部23bと側縁部23cを貫通する図示しない貫通孔を介して第1積層体11の側縁部11b,11b同士が接合している。もしくは、側縁部23b,23c及び第1積層体11の側縁部11b,11bを貫通する貫通孔を介して平面部21の側縁部21bと側縁部22bが接合している。底部23の側縁部23bと側縁部23cとが超音波シールなどの方法により直接接合していても良い。
【0022】
図4及び図5に示すように、幅方向の両側の側部シール部3における底部23が存在する部分よりも上側では、内袋10における第1積層体11の重ね合わされた側縁部11b,11bが、外袋20における平面部21の側縁部21bと平面部22の側縁部22bに挟まれた状態で、それらが互いに熱溶着によって接合されている。すなわち、包装袋1の側部シール部3の底部23が存在しない部分では、平面部21の側縁部21bと、第1積層体11の2つの側縁部11b,11bと、平面部22の側縁部22bの4枚のシート材がこの順に重ね合わされて互いに熱溶着によって接合されている。
【0023】
包装袋1の底部シール部4では、底部23の下縁部23dと平面部21の下縁部21cの間、及び、底部23の下縁部23eと平面部22の下縁部22cの間には第1積層体11が挟まれていない。このように、内袋10においては、第1積層体11における上縁部11a,11aと幅方向の両側の側縁部11b,11b、すなわち底部12以外の三方の周縁部のみが、外袋20の一対の平面部21,22に挟まれた状態で熱溶着によって接合され、第1積層体11の底部12は底部シール部4で接合されていない状態となっている。
【0024】
(内袋)
内袋10を形成する第1積層体11は、ポリオレフィン樹脂からなる網目構造層と、網目構造層の両側に設けられたポリオレフィン樹脂層と含む。すなわち、内袋10では、ポリオレフィン樹脂からなる網目構造層の内側と外側の両方にポリオレフィン樹脂層が設けられている。内袋10において、第1積層体11における網目構造層の内側のポリオレフィン樹脂層は、内容物と接する最内層である。内袋10において、網目構造層の外側のポリオレフィン樹脂層は、後述する外袋20のシーラント層と熱溶着される外層である。
【0025】
網目構造層はポリオレフィン樹脂からなる。
網目構造層を形成するポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等が挙げられる。後述するポリオレフィン樹脂層は各シール部の接着強度を向上させるためにポリエチレン樹脂からなる層とすることが好ましく、そのポリオレフィン樹脂層と強固に貼り合わせることができる点から、網目構造層を形成するポリオレフィン樹脂としてはポリエチレン樹脂が好ましい。網目構造層を形成するポリオレフィン樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
網目構造層の態様としては、例えば、繊維直交積層不織布、割繊維不織布、ネット状物等の格子網状体からなる層、等が挙げられる。ここで、「繊維直交積層不織布」とは、ポリオレフィン製のフィルムを割繊又はスリットし、延伸することで形成した縦ウェブと横ウェブのそれぞれの配向軸を、直交するように積層することで製造されるものである。
【0027】
繊維直交積層不織布は、2枚の縦ウェブと横ウェブとが配向軸方向を直交させて積層されているため、縦方向と横方向の強度バランスに優れている。繊維直交積層不織布の市販品としては、例えば、ワリフ(ENEOSテクノマテリアル株式会社製、登録商標)が挙げられる。
【0028】
網目構造層が、例えば繊維直交積層不織布の場合の目付は、15g/m以上が好ましく、30g/m以上がより好ましい。繊維直交積層不織布の目付が前記範囲の下限値以上であれば、引張強度、引張伸度に優れ、第1積層体11として包装袋1の内袋に使用した際に、内容物の内圧の上昇により伸びにくく、また破れにくいため好ましい。繊維直交積層不織布の目付の値は、高いほど良く上限はないが、市販されている繊維直交積層不織布の目付は上限が、47g/m程度である。ここで目付とは1m当たりの質量を表す。
【0029】
ポリオレフィン樹脂層を形成するポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。なかでも、外袋20を構成するシート材のシーラント層と熱溶着可能な同種の樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂層を形成するポリオレフィン樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上述したようにポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂層は、未延伸フィルムであってもよく、押出ラミネート法により網目構造層上に層状に押し出したものでもよい。
【0030】
網目構造層の内側のポリオレフィン樹脂層を形成するポリオレフィン樹脂と、外側のポリオレフィン樹脂層を形成するポリオレフィン樹脂は、同種であってもよく、異種であってもよい。ただし、包装袋1において内袋10が外袋20に挟まれた状態でシールされているシール部、及び、外袋20のみでシールされているシール部が同条件でヒートシール可能となるためには、網目構造層の内側のポリオレフィン樹脂層と外側のポリオレフィン樹脂層とが同種であることが好ましい。すなわち、包装袋1において内袋10が外袋20に挟まれた状態でシールされているシール部は、網目構造層の内側のポリオレフィン樹脂層同士がシールされ、網目構造層の外側のポリオレフィン樹脂層と外袋20を構成するシート材のシーラント層とがヒートシールによりシールされる。一方、外袋20のみでシールされているシール部は、外袋20を構成するシート材のシーラント層同士がシールされる。そのため、内袋10が外袋20に挟まれた状態でシールされているシール部、及び、外袋20のみでシールされているシール部が同条件でヒートシールさるためには、網目構造層の内側のポリオレフィン樹脂層、外側のポリオレフィン樹脂層及び外袋を構成するシート材のシーラント層がすべて同種の樹脂であることが好ましい。網目構造層を形成するポリオレフィン樹脂と、ポリオレフィン樹脂層を形成するポリオレフィン樹脂は、同種であってもよく、異種であってもよい。
【0031】
網目構造層の内側のポリオレフィン系樹脂層の厚さは、35μm以上が好ましく、45μm以上がより好ましい。内側のポリオレフィン系樹脂層の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、十分なシール強度が得られ、シール部の剥離や、シール部内縁からの破れが生じにくく耐圧強度が向上する。内側のポリオレフィン系樹脂層の厚さの上限は特にないが、厚すぎるとコストが嵩むため、60μm以下が好ましい。
【0032】
網目構造層の外側のポリオレフィン系樹脂層の厚さは、10~30μmが好ましく、15~25μmがより好ましい。外側のポリオレフィン系樹脂層の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、外袋20を構成するシート材のシーラント層とも十分なシール強度が得られ、外側のポリオレフィン系樹脂層の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、シール温度を過剰に高くすることなく十分なシール強度が得られる。
【0033】
第1積層体11の引張強度は、縦方向:MD(Machine Direction)、横方向:TD(Transverse Direction)ともに、60.0N以上が好ましく、70.0N以上がより好ましい。第1積層体11の引張強度が前記下限値以上であれば、内圧が高まっても第1積層体11が破断しにくく、内袋10の破袋を抑制できる。これにより、耐圧強度が高くなり、包装袋1の破袋を抑制できる。第1積層体11の引張強度は高いほど良く、上限は特に限定されない。
引張強度は、JIS K7127に準拠し、試験片の幅:15mm、試験速度:300mm/min、チャック間距離:50mmの条件で測定される。
【0034】
第1積層体11の引張伸度は、MD、TDともに、40%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。第1積層体11の引張伸度が前記上限値以下であれば、内圧が高まっても第1積層体11が延びにくく、内袋10の膨張を抑制できる。これにより、内袋10の外側の外袋20が膨張することによって破袋することも抑制できるため、耐圧強度が高くなり、包装袋1の破袋を抑制できる。第1積層体11の引張伸度は低いほど良く、下限は特に限定されない。
引張伸度は、JIS K7127に準拠し、試験片の幅:15mm、試験速度:300mm/min、チャック間距離:50mmの条件で測定される。
第1積層体11の引張強度、引張伸度がともに上記範囲内である場合、内圧が高まっても、第1積層体11が延びにくく、破断しにくいため、内袋10の膨張や破れを抑制することができる。内袋10を用いた包装袋1は、20℃環境下において、内容物が炭酸ガス含有飲料であった場合にも耐え得る、0.3MPa以上の耐圧強度を得ることができる。
なお、繊維直交積層不織布には、縦ウェブと横ウェブとの太さが均等なものや異なるものなど種々の種類が存在し、引張強度、引張伸度は、MD、TDにおいて値が同等のものや異なるものがある。
【0035】
第1積層体における各層の貼り合わせ方法としては、特に限定されず、例えば、押出しラミネート法、熱ラミネート法、ドライラミネート法等の公知の方法を採用できる。なかでも、網目構造層の表面の凹凸が第1積層体の表面まで影響することを低減し、平坦な表面の第1積層体を製造しやすい点から、押出しラミネート法が好ましい。また、押出ラミネート法の溶融樹脂が、網目構造層の表面の凹凸が平坦になるように流れ込んで積層されることにより、網目構造層と内側、外側のポリオレフィン樹脂層との接着強度が強くなるという観点からも押出ラミネート法が好ましい。
【0036】
(外袋)
外袋20の一対の平面部21,22及び底部23を構成するシート材としては、内層にシーラント層を少なくとも有するものを使用できる。外袋20を構成するシート材としては、シーラント層のみからなる単層構成であってもよく、内層にシーラント層を有する複層構成の第2積層体であってもよい。
【0037】
第2積層体のシーラント層の外側に設けられる層としては、例えば、印刷適性、強度に優れた基材層や、ガスバリア性、機械的強靱性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等の要求される機能を備える機能層が挙げられる。
【0038】
炭酸飲料の充填に好適に使用できる点から、第2積層体としては、シーラント層の外側にガスバリア層が設けられている積層体が好ましく、シーラント層と外層となる基材層の間に機能層としてガスバリア層を備える積層体がより好ましい。第2積層体の外層は、包装袋1の最外層となる。
【0039】
シーラント層を形成する材料としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、又はこれらの混合樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体等が挙げられる。シーラント層を形成する材料としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、シーラント層は単層であっても多層であってもよい。
【0040】
外袋20の各々のシート材のシーラント層の厚さは、60~180μmが好ましく、80~150μmがより好ましい。前記シーラント層の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、内袋10が外袋20に挟まれた状態でシールされているシール部、外袋20のみでシールされているシール部のどちらにおいても十分なシール強度が得られ、シール部の剥離からの破れが生じにくいため、破袋を抑制できる高い耐圧強度が得られやすい。前記シーラント層の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、低温でのシールが可能であるため生産効率を上げることができる。
【0041】
基材層としては、特に限定されず、例えば、樹脂フィルム、紙、不織布等が挙げられ、樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルムとしては、未延伸フィルムを用いてもよく、延伸フィルムを用いてもよい。印刷適性、強度の点では、一軸又は二軸に延伸した延伸フィルムが好ましい。
【0042】
樹脂フィルムの材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等)、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられる。樹脂フィルムの材料としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。基材層に用いる樹脂フィルムの厚さは、特に限定されないが、9~20μm程度が好ましい。
【0043】
ガスバリア層としては、特に限定されず、例えば、金属箔(アルミニウム箔、マグネシウム箔等)や、金属(アルミニウム、マグネシウム)や金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化珪素等)の蒸着膜を有する蒸着フィルム、ポリフッ化ビニリデン(PVDC)コート層を有するPVDCコートフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム等が挙げられる。蒸着フィルムやPVDCコートフィルムの基材フィルムとしては、例えば、基材層として例示した樹脂フィルムを使用できる。
【0044】
ガスバリア層以外の機能層としては、特に限定されず、耐衝撃性や引裂き性などの適宜必要な機能を有するフィルムを用いればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルム、断熱性を有する不織布や発泡フィルムが挙げられる。機能層に用いる金属箔の厚さは、特に限定されないが、7~15μm程度が好ましい。機能層に用いる樹脂フィルムの厚さは、特に限定されないが、基材層と同様に9~20μm程度が好ましい。
第2積層体が有する機能層は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0045】
第2積層体における各層の貼り合わせ方法としては、特に限定されず、例えば、第1積層体における各層の貼り合わせ方法として例示した方法と同じ方法を例示できる。なかでも、強い接着強度を得られる観点からドライラミネート法が好ましい。ドライラミネート法に用いる接着剤としてはウレタン系2液硬化型接着剤などが挙がられる。
【0046】
包装袋1において、内袋10は、第1積層体11が網目構造層を有することで延びにくく、内圧が高まっても膨張や破断が生じにくい。一方、網目構造層を有する第1積層体11からなる内袋10のみでは、熱溶着によって十分なシール強度を確保できず、炭酸飲料等を充填した内圧が高くなるとシール剥離を起こして破袋しやすい。しかし、内袋10において、網目構造層の両側にポリオレフィン樹脂層を設け、外袋20のシーラント層で挟んでそれらとともに熱溶着することで、十分なシール強度を確保できる。これらのことから、炭酸飲料等を充填して内圧が高まっても、内袋10及び外袋20が膨張して破れたり、シール部が剥離したりしにくく、包装袋1の破袋を抑制できる。
【0047】
内袋10と外袋20とが重なっているシール部である上部シール部2及び側部シール部3のシール強度は、100N/15mm以上が好ましく、110N/15mm以上がより好ましい。前記シール部のシール強度が前記範囲の下限値以上であれば、耐圧強度が高くなり、シール部の剥離による包装袋の破袋を抑制できる。
内袋10と外袋20とが重なっているシール部である上部シール部2及び側部シール部3のシール強度の上限は、好ましくは120N/15mmである。前記シール部のシール強度が前記範囲の上限値以下であれば、シール部の内縁からの破れによる破袋を抑制できる。前記シール部のシール強度を上げるためにシール温度を上げると、外袋20を形成する第2積層体の基材層も溶融してしまい、基材層がシール部の内側縁から破れてしまう恐れがある。また、前記シール部のシール強度を上げるためにシール温度を上げると、網目構造層の樹脂が溶融し、網目構造が破壊されてしまい、シール部の内縁付近の引張強度、引張伸度が低下して、加圧による内袋の膨張に耐えることができずに破袋が生じてしまう恐れがある。そのため、100~120N/15mmのシール強度となるシール温度が適切である。
【0048】
外袋20のみのシール部である底部シール部4のシール強度は、100N/15mm以上が好ましく、125N/15mm以上がより好ましい。前記シール部のシール強度が前記範囲の下限値以上であれば、耐圧強度が高くなり、シール部の剥離による包装袋の破袋を抑制できる。
外袋20のみのシール部(底部シール部4)のシール強度の上限は、特に限定されない。
なお、シール強度は、JIS K7127に準拠し、試験片の幅:15mm、試験速度:300mm/min、チャック間距離:50mmの条件で測定される。
【0049】
包装袋1においては、内袋10は底部シール部4において外袋20に挟まれておらず、内袋10の底部12が底部シール部4に固定されていない。内圧が高まると内袋10は拡がるが、内袋10は膨張しにくいうえ、内袋10の底部12が底部シール部4に固定されていないことで外袋20の底部23は内袋10の変形に追随せず、自立性を維持することができる。
【0050】
包装袋1の寸法は、特に限定されず、適宜設定できる。
図6に示すように、内容物を充填し、内圧が高まって内袋10及び外袋20が拡がったときに、側部シール部3の内側の平面部21側と平面部22側の第1積層体11が開く角度θは、包装袋1の幅寸法及び内容積が大きいほど180度に近づく。前記角度θが180度に近づくほど側部シール部3を内側から剥離する力が大きく働く。そのため、包装袋1の幅寸法及び内容積は、内容物を充填し、内圧が高まったときの前記角度θを考慮して設定することが好ましい。
20℃環境下において0.4MPa程度の内圧に耐え得る包装袋1とする場合、例えば、略四方の幅寸法を80mm以下、高さ寸法を140mm以下、内容積を160mL以下することができる。
【0051】
(スパウト)
包装袋1においては、上部シール部2に、内袋10の内部に収容された内容物を外部に注出するため、又は、内容物を飲むためのスパウト30が設けられている。スパウト30の上端部には、スパウト30に螺合させてスパウト30の開口を閉鎖するキャップ31が設けられている。
【0052】
例えば、スパウト30の外周面に雄ネジを形成し、キャップ13の内周面に前記雄ネジに螺合する雌ネジを形成することで、キャップ31をスパウト30に装着できる。
なお、スパウト及びキャップは、雄ネジや雌ネジを有して再封止可能なネジ式にする以外にも、例えば、打栓によりキャップをスパウトに装着する打栓式、キャップにプルリング等を形成して、キャップをスパウトから引き上げることによって、スパウトの封止膜を除去して開封するプルタブ式等、各種形状のものを用いることができる。
【0053】
スパウト30は少なくとも筒状部と、包装袋1の内袋10との接合部を有し、単一の材料から形成されていてもよく、あるいは種々の樹脂層からなる多層構造が形成されていてもよい。
スパウト30としては、ガスバリア性を有することが好ましい。ガスバリア性を有するスパウト30は、特に限定されず、例えば、筒状部の内部に金属箔層やEVOH層等のガスバリア層を備えているものが挙げられる。
【0054】
スパウト30のうち、少なくとも内袋10の第1積層体11と接合される接合部を形成する樹脂は、内袋10とヒートシールによる接合が可能である点から、第1積層体11の最内層を形成するポリオレフィン樹脂と同種のポリオレフィン樹脂で形成されていることが好ましい。
【0055】
キャップ31の材質としては、特に限定されず、例えば、スパウト30の材質と同じ合成樹脂を採用できる。キャップ31は、キャップ31におけるスパウト30の開口を閉鎖する位置に、金属箔層やEVOH層等のガスバリア層を備えるフィルムを設けるなどで、ガスバリア性を有していることが好ましい。
【0056】
包装袋1の製造方法は、特に限定されない。例えば、第1積層体11と、底部23を形成するシート材をそれぞれ折り返し、一対の平面部21,22を形成するシート材の間に配置し、ヒートシールによって第1積層体11を含まずに底部シール部4を形成し、第1積層体11を重ね合わせた両側の側部シール部3を形成する。次いで、第1積層体11の重ね合わせた上縁部11a,11aの間にスパウト30を挿入し、スパウト30を挟持させるように液密にヒートシールして上部シール部2を形成し、包装袋1を製造する。
【0057】
[内容物充填体]
本発明の内容物充填体は、本発明の包装袋に内容物が充填されているものである。
内容物としては、特に限定されず、例えば、ビール、発泡酒、スパークリングワイン、コーラ等の炭酸ガス含有飲料(炭酸飲料)等の液体飲料、ゼリー、スープ等が挙げられる。本発明は、包装袋が耐圧強度に優れることから、内容物を炭酸ガス含有飲料とする場合に特に有効である。内容物を炭酸ガス含有飲料とする場合、包装袋には20℃環境下において0.3MPa以上の耐圧強度が求められる。
【0058】
以上説明したように、本発明の包装袋は、内袋と外袋とを有する二重構造で、かつ略四方からなる。そして、略四方のうち少なくとも一方の周縁部は、網目構造層を含む第1積層体からなる内袋が折り返され外袋と固定されておらず、外袋のみでシールされている。また、略四方のうち他の周縁部は、内袋が外袋に挟まれた状態で内袋と外袋とが固定されてシールされている。第1積層体が網目構造層を有することで内袋が膨張や破断が生じにくくなるうえ、前記他の周縁部において内袋を外袋で挟んで外袋とともにシールしているため、十分なシール強度も確保され、シール剥離からの破袋を抑制することができる。そのため、本発明の包装袋は、炭酸飲料等を充填して内圧が高くなっても破袋を抑制することができる。また、本発明の包装袋は、スパウトを設けることで、直接スパウトから内容物を飲むことができる。
【0059】
なお、本発明の包装袋は、前記した包装袋1には限定されない。
例えば、外袋の底部にガゼットを有する方が自立性に優れるが、外袋の底部にガゼットを有しておらず、内袋の第1積層体も断面W字形状となるように上下方向に折り返されておらず、断面V字形状に折り返されているだけでもよい。また、外袋を形成する一対の平面部と底部は一枚のシート材が折り返されて形成されたものであってもよい。この場合、外袋は底部シール部を有するほうが自立性に優れるが、底部シール部を有していないものであってもよい。
本発明の包装袋は、スパウトを備えていない包装袋であってもよい。本発明では、外袋がスタンディングパウチでなくてもよい。
本発明の包装袋は、内袋を構成する第1積層体にチューブ状のフィルムを用いることで、四方のうち二方の周縁部は、内袋が折り返され、外袋とは固定されておらず、四方のうち他の二方の周縁部は、内袋が外袋に挟まれた状態で固定されているものであってもよい。
【実施例
【0060】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
【0061】
[シール強度]
各例で製造した包装袋における側部シール部における底部よりも上の部分について、JIS Z0238に準拠し、試験片の幅:15mm、試験速度:300mm/min、チャック間距離:50mmの条件でシール強度を測定した。
【0062】
[引張強度]
各例で製造した第1積層体、又はそれに相当する積層体及びフィルムのMD、TDについての引張強度を測定した。引張強度は、JIS K7127に準拠し、試験片の幅:15mm、試験速度:300mm/min、チャック間距離:50mmの条件で測定した。
【0063】
[引張伸度]
各例で製造した第1積層体、又はそれに相当する積層体及びフィルムのMD、TDについての引張伸度を測定した。引張伸度は、JIS K7127に準拠し、試験片の幅:15mm、試験速度:300mm/min、チャック間距離:50mmの条件で測定した。
【0064】
[耐圧強度]
手作りの手動ポンプに圧力センサーを取り付けた機械によって、20℃環境下において、各例の包装袋の内部に徐々に圧力を加えて、側部シール部の剥離や破袋が生じた際に包装袋の内部に加わっていた圧力を測定し、耐圧強度とした。また、側部シール部の剥離や破袋は生じなかったものの、フィルムが延びるなどして、アルミニウム箔が破れるなど、包装袋として機能しなくなった際には、そのときに包装袋の内部に加わっていた圧力を測定し、耐圧強度とした。なお、耐圧強度が0.4MPaに達したものは、その時点で加圧を停止した。
【0065】
[包装袋の外観]
耐圧強度を測定した包装袋の外観を観察し、下記の評価基準で評価した。
(評価基準)
A:0.3MPaの圧力がかかった時点で、側部シール部の剥離や、内袋及び外袋の破袋、及びアルミニウム箔の破れなどは生じなかったもの。
B:第1積層体を用いず外袋のみの包装袋(後述する比較例3)と比較して高い耐圧強度を示したが、0.3MPaの圧力がかかる前に、側部シール部の剥離や、破袋が生じたもの。
C:第1積層体を用いず外袋のみの包装袋(後述する比較例3)と同等の耐圧強度であったもの。
【0066】
[実施例1]
図1~5に例示した包装袋1と同じ態様の包装袋を製造した。
外袋を形成する第2積層体として、外側から基材層として二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、厚さ12μm)、機能層としてアルミニウム箔(AL、厚さ9μm)、機能層として二軸延伸ナイロンフィルム(ONY、厚さ15μm)、及びシーラント層として直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE、厚さ120μm)が順に積層された積層体を用いた。第2積層体は、ドライラミネート法により、接着剤にウレタン系2液硬化型接着剤を用いて積層した。内袋を形成する第1積層体としては、外側からポリエチレン樹脂(外側、厚さ20μm)、繊維直交積層不織布(網目構造層、ENEOSテクノマテリアル製、「ワリフEX24」、目付47g/m)、及びポリエチレン樹脂(内側、厚さ50μm)がこの順に積層された積層体を用いた。第1積層体は、押出ラミネート法により積層した。スパウトとして、ポリエチレン樹脂製のスパウトを用いた。
【0067】
外袋の底部を形成する第2積層体と第1積層体を、それぞれ一対の平面部を形成する第2積層体の間に配置した。外袋の底部を形成する第2積層体は、上方向に谷折りに折り込んだ状態で一対の平面部を形成する第2積層体の底側に配置した。第1積層体は上下方向に二つ折りし、さらにその底部を谷折りに折り込んだ状態で、第1積層体の底部が外袋の底部の内側に沿うように配置した。180℃、3秒間のヒートシールによって幅方向の両側の第2積層体と第1積層体が重なった側部シール部3と第2積層体のみの底部シール部4を形成し、上部が開放されている二重袋を形成した。次いで、第1積層体の重ね合わせた上縁部の間にスパウトを挿入し、スパウトを200℃、4秒間のヒートシールによって液密にシールして上部シール部2を形成し、包装袋を製造した。外袋における平面部の寸法は幅80mm×高さ140mmとし、底部の谷折りの折り込み部分の高さは25mm、内容積は160mLとした。製造した包装袋の側部シール部の上下方向は、第1積層体、第2積層体のMDと一致している。
【0068】
[実施例2]
内袋を形成する第1積層体の内側のポリエチレン樹脂を厚さ40μmに変更した以外は、実施例1と同様にして包装袋を製造した。
【0069】
[実施例3]
内袋を形成する第1積層体の網目構造層の繊維直交積層不織布をENEOSテクノマテリアル製、「ワリフHSP(T)」、目付37g/mに変更した以外は、実施例2と同様にして包装袋を製造した。
【0070】
[実施例4]
内袋を形成する第1積層体の網目構造層の繊維直交積層不織布をENEOSテクノマテリアル製、「ワリフS」、目付24g/mに変更した以外は、実施例2と同様にして包装袋を製造した。
【0071】
[比較例1]
外袋の側部シール部において内袋の側縁部を外袋の側縁部の間に挟まず、内袋の側縁部同士と、外袋の側縁部同士をそれぞれ別々にヒートシールして接合した以外は、実施例1と同様にして包装袋を製造した。
なお、比較例1における側部シール部のシール強度は、外袋のシール強度、内袋のシール強度をそれぞれ記している。
【0072】
[比較例2]
内袋を形成する第1積層体に代えて、網目構造層を有しない厚さ100μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム2枚を互いに積層しない状態で用いて、第1積層体の厚みに近づけたものを用いた以外は、実施例1と同様にして包装袋を製造した。なお、実施例1の包装袋における第1積層体の厚みは、180μm~200μmであった。
比較例2における「第1積層体の引張強度、引張伸度」の値は、厚さ100μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム2枚を互いに積層しない状態で重ねて、引張強度、引張伸度を測定した。
【0073】
[比較例3]
内袋を備えない外袋のみの包装袋とした以外は、実施例1と同様にして包装袋を製造した。
【0074】
各例で使用した第1積層体又はそれに相当するものの引張強度、引張伸度、包装袋や外袋又は内袋における側部シール部のシール強度、及び耐圧強度の測定結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
表1に示すように、内袋に網目構造層を含む第1積層体を用い、上部シール部及び側部シール部において内袋の周縁部を外袋のシーラント層で挟んでヒートシールした実施例1、2、3では、側部シール部のシール強度が高く、第1積層体の引張強度、引張伸度に優れるため、耐圧強度に優れ、0.3MPaの圧力では側部シール部の剥離や、内袋及び外袋の破れなどの破袋は生じなかった。
第1積層体の内側のポリエチレン樹脂の厚さが50μmの実施例1は、内側のポリエチレン樹脂の厚さが40μmの実施例2と比較し、特にTDの引張強度と側部シール部のシール強度に優れ、より高い圧力をかけることができた。
第1積層体の網目構造層の繊維直交積層不織布の目付が47g/mの実施例2は、目付が37g/mの実施例3と比較し、TDの引張強度の値は優れるが引張伸度の値が劣り、同等の耐圧強度を示し、同様に、0.35MPaを加圧した時点で、側部シール部の底部が存在する部分と存在しない部分との境界において途中までシール剥離した後にその部分で破裂することによりフィルムが裂けて破袋した。
さらに、第1積層体の網目構造層の繊維直交積層不織布の目付が24g/mの実施例4は、目付が47g/mの実施例2、目付が37g/mの実施例3と比較し、引張強度、引張伸度、ヒートシール強度ともに劣り、0.18MPaの圧力を加えた時点で、側部シール部の底部が存在する部分と存在しない部分との境界において途中までシール剥離した後にその部分で破裂することによりフィルムが裂けて破袋した。
【0077】
第1積層体の引張強度、引張伸度、シール強度が十分でない場合、包装袋の内部に圧力を加えていくと、側部シール部の底部が存在する部分と存在しない部分との境界(図1中の符号40で示した領域)において、シール剥離による破袋、又は、途中までシールが剥離した後にその部分で破裂することによる破袋が生じやすかった。
側部シール部を剥離する際に働く力の方向は、側部シール部の延びる方向と直交した方向であるため、フィルムのMDとTDのうち引張強度、引張伸度の値が優れている方を、側部シール部の延びる方向と直交する方向に一致させることで、側部シール部における底部が存在する部分と存在しない部分との境界からの破袋をより抑制することができると考えられる。また、この境界に部分的なシール部を設けることで、破袋をより抑制することができると考えられる。
【0078】
一方、側部シール部で内袋と外袋を別々にシールした比較例1では、第1積層体のみでヒートシールした内袋の側部シール部のシール強度が低く、側部シール部が剥離してしまった。また、外袋の第2積層体が伸びて平面部で破裂によりフィルムが裂けて破袋してしまった。
また、内袋の積層体が網目構造層を含まない比較例2は内袋も内圧の増加により膨張して内袋の積層体が伸びてしまい、それに伴い外袋の第2積層体も伸びて平面部で破裂によりフィルムが裂けることで破袋してしまった。外袋のみの比較例3でも、耐圧強度が低く、内圧の増加により外袋が膨張して外袋の積層体が伸びてしまい、平面部で破裂によりフィルムが裂けて破袋してしまった。
【符号の説明】
【0079】
1…包装袋、2…上部シール部、3…側部シール部、4…底部シール部、10…内袋、11…第1積層体、11a…上縁部、11b…側縁部、12…底部、20…外袋、21…平面部、21a…上縁部、21b…側縁部、21c…下縁部、22…平面部、22a…上縁部、22b…側縁部、22c…下縁部、23…底部、23a…折り線、23b,23c…側縁部、23d,23e…下縁部、30…スパウト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6