(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20240426BHJP
G06Q 20/24 20120101ALI20240426BHJP
G06Q 30/04 20120101ALI20240426BHJP
G06Q 30/0645 20230101ALI20240426BHJP
【FI】
G06Q30/0207
G06Q20/24
G06Q30/04
G06Q30/0645
(21)【出願番号】P 2021029130
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】畔上 信広
(72)【発明者】
【氏名】岩田 勇大
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-200711(JP,A)
【文献】特開2018-124839(JP,A)
【文献】特開2018-124767(JP,A)
【文献】特開2008-285192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーリース契約を締結したユーザ本人のクレジットカードである本人カードに関する情報と、前記本人カードと紐付けて発行された追加カードであって、前記ユーザの家族が使用する追加カードである家族カードに関する情報とを記憶する記憶部と、
前記本人カードまたは前記家族カードを使用してサービスステーションの商品が購入されたことを示す情報を受け付ける受付部と、
前記本人カードによる前記サービスステーションの商品の購入量と前記家族カードによる前記サービスステーションの商品の購入量の合計と、所定の値引き規則にしたがって、前記ユーザへの請求金額を導出する導出部と、
を備え
、
前記導出部は、前記値引き規則に基づいて、前記本人カードによる前記サービスステーションの商品の購入量と前記家族カードによる前記サービスステーションの商品の購入量の合計のうち、予め定められた購入量の上限値までを値引き対象として、前記ユーザへの請求金額を導出する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記ユーザが締結した第1のカーリース契約に対応する第1の本人カードおよび第1の家族カードに関する情報と、前記ユーザが締結した第2のカーリース契約に対応する第2の本人カードおよび第2の家族カードに関する情報とを記憶し、
前記導出部は、前記第1の本人カードによる前記サービスステーションの商品の購入量と前記第1の家族カードによる前記サービスステーションの商品の購入量の合計と、前記値引き規則にしたがって、前記ユーザへの第1の請求金額を導出し、前記第2の本人カードによる前記サービスステーションの商品の購入量と前記第2の家族カードによる前記サービスステーションの商品の購入量の合計と、前記値引き規則にしたがって、前記ユーザへの第2の請求金額を導出する、
請求項
1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記導出部は、前記値引き規則に基づいて、前記ユーザが締結したカーリース契約の数に応じて、値引き対象とする前記サービスステーションの商品の購入量の上限値を増加させ
る、
請求項
1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
カーリース契約を締結したユーザ本人のクレジットカードである本人カードに関する情報と、前記本人カードと紐付けて発行された追加カードであって、前記ユーザの家族が使用する追加カードである家族カードに関する情報とを記憶する記憶部を備えるコンピュータが、
前記本人カードまたは前記家族カードを使用してサービスステーションの商品が購入されたことを示す情報を受け付けるステップと、
前記本人カードによる前記サービスステーションの商品の購入量と前記家族カードによる前記サービスステーションの商品の購入量の合計と、所定の値引き規則にしたがって、前記ユーザへの請求金額を導出するステップと、
を実行
し、
前記導出するステップは、前記値引き規則に基づいて、前記本人カードによる前記サービスステーションの商品の購入量と前記家族カードによる前記サービスステーションの商品の購入量の合計のうち、予め定められた購入量の上限値までを値引き対象として、前記ユーザへの請求金額を導出する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はデータ処理技術に関し、特に情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーリース事業者からカーリース契約の契約者へ貸し出された車両に、当該契約者本人のクレジットカードで給油する場合に、燃料代金の割引が受けられるサービスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーリース契約の契約者本人のクレジットカードを契約者本人以外が使用することはクレジットカードの規約違反となるため、燃料代金の割引を受けるためには、契約者本人が給油を行う必要がある。本発明者は、カーリースの利用者の利便性を高めるため、改善の余地があると考えた。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、1つの目的は、カーリースの利用者の利便性を高める技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の情報処理システムは、カーリース契約を締結したユーザ本人のクレジットカードである本人カードに関する情報と、本人カードと紐付けて発行された追加カードであって、ユーザの家族が使用する追加カードである家族カードに関する情報とを記憶する記憶部と、本人カードまたは家族カードを使用してサービスステーションの商品が購入されたことを示す情報を受け付ける受付部と、本人カードによるサービスステーションの商品の購入量と家族カードによるサービスステーションの商品の購入量の合計と、所定の値引き規則にしたがって、ユーザへの請求金額を導出する導出部とを備える。
【0007】
本開示の別の態様は、情報処理方法である。この方法は、カーリース契約を締結したユーザ本人のクレジットカードである本人カードに関する情報と、本人カードと紐付けて発行された追加カードであって、ユーザの家族が使用する追加カードである家族カードに関する情報とを記憶する記憶部を備えるコンピュータが、本人カードまたは家族カードを使用してサービスステーションの商品が購入されたことを示す情報を受け付けるステップと、本人カードによるサービスステーションの商品の購入量と家族カードによるサービスステーションの商品の購入量の合計と、所定の値引き規則にしたがって、ユーザへの請求金額を導出するステップとを実行する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を、装置、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、カーリースの利用者の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例の燃料販売システムの構成を示す図である。
【
図2】燃料販売管理システムの機能ブロックを示すブロック図である。
【
図3】燃料販売情報記憶部に記憶される燃料販売情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示における装置または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがコンピュータプログラムを実行することによって、本開示における装置または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、コンピュータプログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、コンピュータプログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC、LSI等)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的な記録媒体に記録される。コンピュータプログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0012】
以下、本開示の技術を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限り、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
【0013】
まず実施例の概要を説明する。従来、カーリース事業者からカーリース契約の契約者(以下「ユーザ」とも呼ぶ。)へ貸し出された車両(以下「リース車両」とも呼ぶ。)に、当該契約者本人のクレジットカードで給油する場合に、燃料代金の割引が受けられるサービスが提案されている。しかし、燃料代金の割引が受けられる対象はリース車両に限定されていた。また、カーリース契約の契約者であるユーザ本人のクレジットカードをユーザ以外が用いて給油することはクレジットカードの規約違反となるため、燃料代金の割引を受けるためには、ユーザ本人が給油する必要があった。
【0014】
実施例の燃料販売システムでは、燃料代金割引の対象を拡張し、カーリース契約の契約者世帯(後述のユーザ世帯)全体を対象として燃料代金割引を適用する。具体的には、燃料代金割引を、カーリース契約の契約者であるユーザ本人のクレジットカード(以下「本人カード」とも呼ぶ。)で給油する場合に限定せず、本人カードに付随する家族カードで給油する場合にも適用する。家族カードは、ユーザの申請に基づいて、本人カードと紐付けて発行された追加カードであり、ユーザの家族(例えばユーザの配偶者や18歳以上の子、退職後の親)が使用する追加カードである。通常、家族カードの利用分は、本人カードと一体のものとして扱われる。
【0015】
例えば、カーリース契約を締結したユーザ本人ではなくユーザの家族が、サービスステーションでリース車両に給油する場合に、家族カードで燃料を購入すると、ユーザ本人がいなくても、燃料代金割引を受けることができる。これにより、カーリースの利用者の利便性を高めることができる。
【0016】
サービスステーション(以下「SS」とも呼ぶ。)とは、エネルギ源を商品として販売する店舗のことをいう。エネルギ源とは、動力源を動かすために用いられる資源をいい、例えば、自動車等の移動体を動かすために提供される。エネルギ源は、車両の燃料(ガソリン、軽油、水素等)を含み、また、灯油、電気を含む。サービスステーションとしては、例えば給油所、水素ステーション、充電スタンド等が挙げられる。商品とは、有償または無償で取引される任意の有体物または無体物のことをいい、サービスの提供を含む概念である。実施例では、サービスステーションにおいて車両の燃料を購入する例を示すが、本開示の技術思想は、サービスステーションにおいて販売される商品(例えば上記の様々なエネルギ源)の購入に広く適用可能である。
【0017】
また、実施例の燃料販売システムでは、燃料代金割引の対象車両がリース車両に限定されない。例えば、カーリース契約を締結したユーザ本人が本人カードを使用する場合、および、ユーザの家族が家族カードを使用する場合、燃料代金割引は、リース車両への給油に限定されず、リース車両以外の車両(例えばユーザの世帯が所有する車両であり、以下「非リース車両」とも呼ぶ。)への給油にも適用される。これにより、カーリースの利用者の利便性が一層高まる。また、リース車両に加え、非リース車両がSSに来店する頻度が高まるため、SSにおける燃料販売および油外販売の機会拡大を実現できる。
【0018】
実施例の詳細を説明する。
図1は、実施例の燃料販売システム10の構成を示す。燃料販売システム10は、店舗システム20、燃料販売管理システム22、カーリース管理システム24、請求管理システム26を備える。これらの装置は、LAN・WAN・インターネット等を含む通信網を介して接続される。
【0019】
カーリース事業者とカーリース契約を締結したユーザの世帯では、リース車両12と非リース車両14が使用される。ユーザは本人カード16を所持し、ユーザの家族である配偶者と子はそれぞれ家族カード18aと家族カード18b(総称する場合「家族カード18」と呼ぶ。)を所持する。ユーザ、配偶者、子は、各自が所持するクレジットカード(本人カード16、家族カード18a、家族カード18b)を使用して、リース車両12および非リース車両14の燃料をSSで購入する。
【0020】
SSには、店舗システム20が設置される。店舗システム20は、SSでの売上等を管理する情報処理システムである。店舗システム20は、ユーザが本人カード16を用いて購入した燃料に関する給油データ、または、ユーザの家族が家族カード18を用いて購入した燃料に関する給油データを燃料販売管理システム22へ送信する。なお、
図1には1つのSS(店舗システム20)を描いているが、実際の燃料販売システム10は、複数のSS(店舗システム20)を備える。
【0021】
カーリースセンタには、カーリース管理システム24が設けられる。カーリース管理システム24は、カーリース契約や燃料特典申込に関するデータ処理を実行する情報処理システムである。カーリース管理システム24は、燃料特典(言い換えれば燃料代金値引き特典)を申し込んだ燃料特典対象者に関する燃料特典情報を燃料販売管理システム22へ送信する。
【0022】
クレジットカード会社には、請求管理システム26が設けられる。請求管理システム26は、クレジットカードの契約者に対する請求を管理する情報処理システムである。
【0023】
燃料販売管理システム22は、SSでの燃料の販売に関する情報を管理し、言い換えれば、SSで燃料を購入した購入者に関する情報を管理し、また、購入者への燃料代金の請求を管理する情報処理システムである。燃料販売管理システム22は、ユーザおよびその家族が購入した燃料の代金を一括してユーザに請求するための燃料代金請求データを請求管理システム26へ送信する。
【0024】
図1の店舗システム20、燃料販売管理システム22、カーリース管理システム24、請求管理システム26の物理的な構成に制限はない。例えば、各システムは、1台の情報処理装置により実現されてもよく、複数台の情報処理装置が連携することにより実現されてもよい。
【0025】
図2は、
図1の燃料販売管理システム22の機能ブロックを示すブロック図である。燃料販売管理システム22は、制御部30、記憶部32、通信部34を備える。制御部30は、各種データ処理を実行する。記憶部32は、制御部30により参照または更新されるデータを記憶する。通信部34は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。制御部30は、通信部34を介して、店舗システム20、カーリース管理システム24、請求管理システム26とデータを送受信する。
【0026】
記憶部32は、燃料販売情報記憶部36と値引き規則記憶部38を含む。燃料販売情報記憶部36は、燃料販売情報を記憶する。燃料販売情報は、カーリース契約を締結したユーザ本人のクレジットカードである本人カードに関する情報と、その本人カードに紐付く家族カードに関する情報を含む。
図3は、燃料販売情報記憶部36に記憶される燃料販売情報の例を示す。燃料販売情報は、お客様番号、親番号、クレジットカード番号、生年月日、燃料購入数量、燃料購入金額が対応付けられた情報である。
【0027】
お客様番号は、顧客識別番号とも言え、各個人(例えばユーザとその家族のそれぞれ)に固有の番号である。お客様番号は、各個人でユニークな番号とも言える。カーリース契約者(本人カード所持者)のお客様番号と、その家族(家族カード所持者)のお客様番号は、下1桁の値が異なるが、他の桁の値は共通となる。親番号は、本人カードと家族カードとを紐付けるための情報であり、具体的には、家族カード所持者に対応する本人カード所持者のお客様番号である。
図3のレコード50とレコード56は、カーリース契約者(本人カード所持者)に関するレコードである。一方、
図3のレコード52、レコード54、レコード58は、カーリース契約者の家族(家族カード所持者)に関するレコードである。
【0028】
クレジットカード番号は、本人カードと家族カードそれぞれのカード番号である。生年月日は、各個人の生年月日である。燃料購入数量は、各個人が本人カードと家族カードのいずれかを用いて購入した燃料の数量(単位はL(リットル))である。燃料購入金額は、各個人が本人カードと家族カードのいずれかを用いて購入した燃料の購入金額(単位は円)である。燃料購入数量と燃料購入金額は、燃料代金未請求分の累積値であってよく、燃料代金請求時にクリアされてもよい。
【0029】
図2に戻り、値引き規則記憶部38は、カーリースを契約したユーザの世帯(言い換えればユーザとその家族)の燃料代金に関する第1の値引き規則を記憶する。第1の値引き規則は、本人カードによる燃料購入数量と家族カードによる燃料購入数量の合計のうち、予め定められた購入数量の上限値までを値引き対象とすることを定めたものである。上限値は、例えば100Lである。
【0030】
制御部30は、カード情報受付部40、給油データ受付部42、燃料特典情報受付部44、請求金額導出部46、請求部48を含む。これら複数の機能ブロックの機能は、コンピュータプログラムに実装されてもよい。このコンピュータプログラムは、記録媒体に格納されてもよく、その記録媒体を介して燃料販売管理システム22のストレージにインストールされてもよい。または、上記コンピュータプログラムは、ネットワークを介して燃料販売管理システム22のストレージにインストールされてもよい。燃料販売管理システム22のコンピュータのCPUは、上記コンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、制御部30の複数の機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0031】
カード情報受付部40は、クレジットカード会社の装置から送信された、クレジットカード会社が発行したクレジットカードに関するカード情報を受け付ける。カード情報は、本人カードおよび家族カードに関する情報として、お客様番号、親番号、クレジットカード番号、生年月日を含む。カード情報受付部40は、受け付けたカード情報を燃料販売情報記憶部36に格納する。
【0032】
給油データ受付部42は、SSの店舗システム20から送信された、本人カードまたは家族カードを使用して車両の燃料が購入されたことを示す情報を含む給油データを受け付ける。給油データは、SSの情報端末が顧客のクレジットカードから読み込んだ各種データを含み、少なくとも、お客様番号、燃料購入数量(燃料販売数量とも言える)、燃料購入金額(燃料販売金額とも言える)を含む。給油データ受付部42は、燃料販売情報記憶部36を参照して、給油データが示すお客様番号を含む燃料販売情報のレコードを識別し、識別したレコードの燃料購入数量と燃料購入金額の値を、給油データが示す燃料購入数量と燃料購入金額の分、増加させる。
【0033】
燃料特典情報受付部44は、カーリースセンタのカーリース管理システム24から送信された燃料特典情報を受け付ける。燃料特典情報は、燃料代金を値引きすべきカーリース契約者のそれぞれに関する情報を含み、実施例では、お客様番号、生年月日、第2の値引き規則の組を含む。第2の値引き規則は、値引率または値引き額を含んでもよい。例えば、第2の値引き規則は、燃料1Lあたり5円~10円値引きすることを定めたものでもよい。また、第2の値引き規則は、カーリース契約者毎(言い換えればお客様番号毎)に異なる値引率または値引き額を含んでもよい。
【0034】
請求金額導出部46は、カーリース契約者のそれぞれに対する燃料代金の請求金額を導出する。請求金額導出部46は、ユーザの世帯(本人カードと家族カードの組)ごとに、燃料販売情報記憶部36に記憶された本人カードによる燃料購入数量と家族カードによる燃料購入数量の合計(以下「世帯燃料購入数量」とも呼ぶ。)を導出する。また、請求金額導出部46は、ユーザの世帯(本人カードと家族カードの組)ごとに、燃料販売情報記憶部36に記憶された本人カードによる燃料購入金額と家族カードによる燃料購入金額の合計(以下「世帯燃料購入金額」とも呼ぶ。)を導出する。
【0035】
請求金額導出部46は、ユーザの世帯ごとに、世帯燃料購入数量と、世帯燃料購入金額と、値引き規則記憶部38に記憶された第1の値引き規則と、燃料特典情報が示す第2の値引き規則とにしたがって、ユーザに対する燃料代金の請求金額を導出する。
【0036】
請求部48は、請求金額導出部46により導出されたユーザに対する燃料代金の請求金額をユーザに請求する処理を実行する。具体的には、請求部48は、ユーザが所持する本人カードのクレジットカード番号と、請求金額導出部46により導出された当該ユーザに対する燃料代金の請求金額とを含む燃料代金請求データを請求管理システム26へ送信する。
【0037】
以上の構成による燃料販売システム10の動作を
図1を参照しつつ説明する。
ユーザは、クレジットカード会社にクレジットカード(本人カードおよび家族カード)の発行を申し込み、クレジットカード会社は、ユーザ用の本人カード16、ユーザの配偶者用の家族カード18a、ユーザの子用の家族カード18bを発行する。ユーザは、カーリース事業者とカーリース契約を締結し、その際、燃料特典(燃料代金値引き特典)をあわせて申し込む。ユーザ世帯には、カーリース契約に基づいてリース車両12が提供される。また、ユーザ世帯は、リース車両12とは別に非リース車両14を所有する。
【0038】
クレジットカード会社の装置は、発行した本人カード16、家族カード18a、家族カード18bに関するカード情報を燃料販売管理システム22へ送信する。燃料販売管理システム22のカード情報受付部40は、カード情報を受け付け、カード情報の内容(例えば、お客様番号、親番号、クレジットカード番号、生年月日)を燃料販売情報記憶部36に記憶させる。
【0039】
ユーザは、SSで本人カード16を使用して燃料を購入し、リース車両12に給油する。また、ユーザは、SSで本人カード16を使用して燃料を購入し、非リース車両14に給油する。同様に、ユーザの配偶者(または子)は、SSで家族カード18a(または家族カード18b)を使用して燃料を購入し、リース車両12に給油する。また、ユーザの配偶者(または子)は、SSで家族カード18a(または家族カード18b)を使用して燃料を購入し、非リース車両14に給油する。
【0040】
SSで燃料が購入される都度、SSの店舗システム20は、燃料購入数量、燃料購入金額、燃料購入に用いられたカード情報(お客様番号等)を含む給油データを燃料販売管理システム22へ送信する。燃料販売管理システム22の給油データ受付部42は、給油データを受け付け、給油データが示すカード情報により特定される燃料販売情報記憶部36のレコードを特定する。給油データ受付部42は、特定したレコードの燃料購入数量および燃料購入金額の値に、給油データが示す値を加算する。
【0041】
図3のレコード50は、
図1のユーザ(本人カード16)に関するレコードである。レコード50は、本人カード16により50Lの燃料が購入され、購入金額は7000円であることを示している。
図3のレコード52は、
図1のユーザの配偶者(家族カード18a)に関するレコードである。レコード52は、家族カード18aにより30Lの燃料が購入され、購入金額は4200円であることを示している。
図3のレコード54は、
図1のユーザの子(家族カード18b)に関するレコードである。レコード54は、家族カード18bにより40Lの燃料が購入され、購入金額は5600円であることを示している。
【0042】
カーリースセンタのカーリース管理システム24は、予め定められたタイミングにて定期的に、燃料代金値引きの対象者(実施例ではカーリース契約者)に関する燃料特典情報を燃料販売管理システム22へ送信する。燃料販売管理システム22の燃料特典情報受付部44は、燃料特典情報を受け付ける。ここでの燃料特典情報は、
図1のユーザのお客様番号を含み、また、第2の値引き規則として1Lあたり10円の値引きを定める。
【0043】
燃料販売管理システム22の請求金額導出部46は、ユーザの世帯(対応する本人カードと家族カードの組)ごとに、燃料販売情報記憶部36に記憶された本人カードによる燃料購入数量と家族カードによる燃料購入数量の合計である世帯燃料購入数量を導出する。また、請求金額導出部46は、ユーザの世帯(対応する本人カードと家族カードの組)ごとに、燃料販売情報記憶部36に記憶された本人カードによる燃料購入金額と家族カードによる燃料購入金額の合計である世帯燃料購入金額を導出する。
【0044】
請求金額導出部46は、燃料特典情報が示す
図1のユーザのお客様番号に基づいて、
図1のユーザ世帯を値引き対象として識別する。請求金額導出部46は、
図1のユーザ世帯の世帯燃料購入数量として、
図3のレコード50、レコード52、レコード54の燃料購入数量の合計値である120Lを導出する。また、請求金額導出部46は、
図1のユーザ世帯の世帯燃料購入金額として、
図3のレコード50、レコード52、レコード54の燃料購入金額の合計値である16800円を導出する。
【0045】
ここでは、燃料販売管理システム22の値引き規則記憶部38に記憶された第1値引き規則は、燃料100Lを上限として値引き対象とすることを定めるものとする。請求金額導出部46は、
図1のユーザ世帯の世帯燃料購入数量120Lうち100Lの燃料を値引き対象とする。また、既述したように、燃料特典情報が定める値引き単価は10円/Lである。請求金額導出部46は、世帯燃料購入金額から1000円(すなわち値引き単価10円/L×100L)を値引きした金額である15800円を
図1のユーザへの請求金額として導出する。
【0046】
なお、
図3のレコード56は、
図1には不図示のカーリース契約者の本人カードに対応し、
図3のレコード58は、当該カーリース契約者の家族の家族カードに対応する。この場合、請求金額導出部46は、当該カーリース契約者の世帯燃料購入数量として70Lを導出し、また世帯燃料購入金額として9800円を導出する。請求金額導出部46は、世帯燃料購入数量の全て(70L)を値引き対象とする。請求金額導出部46は、世帯燃料購入金額から700円(すなわち値引き単価10円/L×70L)を値引きした金額である9100円を当該カーリース契約者への請求金額として導出する。
【0047】
燃料販売管理システム22の請求部48は、ユーザの本人カード16のクレジットカード番号と、請求金額導出部46により導出されたユーザへの請求金額とを含む燃料代金請求データをクレジットカード会社の請求管理システム26へ送信する。請求管理システム26は、燃料代金請求データが示す請求金額と、本人カード16と家族カード18の利用に応じた他の請求金額との合計額をユーザに請求する処理を実行する。
【0048】
実施例の燃料販売システム10によると、燃料代金の値引きを、カーリース契約者の家族が家族カードを用いて燃料を購入する場合にも適用し、かつ、非リース車両への給油にも適用する。これにより、カーリースの利用者の利便性を一層高めることができる。また、カーリース契約者のクレジットカードをカーリース契約者以外の人が使用して、クレジットカードの規約違反が生じるリスクを低減でき、言い換えれば、カーリース契約者のクレジットカードの使い回しや不正使用のリスクを低減できる。また、リース車両に加え、非リース車両がSSに来店する頻度が高まるため、SSにおける燃料販売および油外販売の機会拡大を実現できる。また、値引きを適用する燃料購入数量に上限を設けることで値引きが際限なく適用されることを防止し、燃料代金の値引きの実現性を担保できる。
【0049】
次に、
図1のユーザが、複数のカーリース契約(ここでは第1のカーリース契約と第2のカーリース契約とする)を締結した場合の処理を説明する。燃料販売システム10では、第1のカーリース契約に対応する第1の本人カードおよび第1の家族カードが発行され、さらに、第2のカーリース契約に対応する第2の本人カード(第1の本人カードとは異なる本人カード)および第2の家族カード(第1の家族カードとは異なる家族カード)が発行される。燃料販売管理システム22の燃料販売情報記憶部36は、第1の本人カードおよび第1の家族カードに関する情報と、第2の本人カードおよび第2の家族カードに関する情報とを記憶する。例えば、燃料販売情報記憶部36は、
図3のレコード50、レコード52、レコード54に対応するレコードの組を2組記憶する。
【0050】
燃料販売管理システム22の請求金額導出部46は、第1の本人カードによる燃料の購入量と第1の家族カードによる燃料の購入量の合計と、第1の値引き規則および第2の値引き規則にしたがって、ユーザへの第1の請求金額を導出する。また、請求金額導出部46は、第2の本人カードによる燃料の購入量と第2の家族カードによる燃料の購入量の合計と、第1の値引き規則および第2の値引き規則にしたがって、ユーザへの第2の請求金額を導出する。すなわち、請求金額導出部46は、カーリース契約ごとに、各契約に対応する本人カードと家族カードによる燃料購入に対して所定の上限量(例えば100L)までの値引きを行う。
【0051】
燃料販売管理システム22の請求部48は、第1の本人カードのクレジットカード番号と第1の請求金額とを含む第1の燃料代金請求データを請求管理システム26へ送信する。また、請求部48は、第2の本人カードのクレジットカード番号と第2の請求金額とを含む第2の燃料代金請求データを請求管理システム26へ送信する。これにより、第1の本人カードと第1の家族カード用いた燃料購入に対する値引き後の請求金額と、第2の本人カードと第2の家族カード用いた燃料購入に対する値引き後の請求金額のそれぞれをユーザに請求する。
【0052】
この態様によると、カーリースの利用者は多くのカーリース契約を締結するほど、大きな燃料代金割引を享受できる。例えば、1件のカーリース契約の締結では燃料代金割引の対象が100Lである場合、2件のカーリース契約を締結すれば燃料代金割引の対象が200Lに増加する。これにより、多くのカーリース契約を締結するインセンティブをユーザに与え、カーリースの利用促進を図ることができる。
【0053】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0054】
変形例を説明する。上記実施例では、ユーザが複数のカーリース契約を締結した場合、カーリース契約ごとに、各契約に対応する本人カードと家族カードによる燃料購入に対して所定の上限量までの値引きを行った。変形例として、ユーザが複数のカーリース契約を締結した場合でも、ユーザが所持する本人カードとユーザの家族が所持する家族カードの組は1組であってもよい。この場合、値引き規則記憶部38に記憶される第1の値引き規則は、ユーザが締結したカーリース契約の数に応じて、値引き対象とする燃料購入数量の上限値を増加させることを定めてもよい。
【0055】
この変形例では、カーリースセンタのカーリース管理システム24から燃料販売管理システム22へ送信される燃料特典情報には、ユーザが締結したカーリース契約の数が含まれてもよい。燃料販売管理システム22の請求金額導出部46は、燃料特典情報が示すユーザが締結したカーリース契約の数が多いほど、値引き対象とする燃料購入数量の上限値を増加させてもよい。例えば、カーリース契約数が1件の場合の上限値は100L、カーリース契約数が2件の場合の上限値は200L、カーリース契約数が3件の場合の上限値は300Lであってもよい。
【0056】
例えば、請求金額導出部46は、或るユーザのカーリース契約数が2件で、当該ユーザの世帯燃料購入数量が200Lの場合、世帯燃料購入数量の全て(200L)を値引き対象としてもよい。請求金額導出部46は、当該ユーザの世帯燃料購入金額から2000円(すなわち値引き単価10円/L×200L)を値引きしてもよい。本変形例の燃料販売システム10でも、カーリースの利用者は多くのカーリース契約を締結するほど、大きな燃料代金割引を享受できる。これにより、多くのカーリース契約を締結するインセンティブをユーザに与え、カーリースの利用促進を図ることができる。
【0057】
別の変形例を説明する。上記実施例では、第1の値引き規則が燃料販売管理システム22の値引き規則記憶部38に記憶され、第2の値引き規則がカーリース管理システム24から燃料販売管理システム22へ送信される燃料特典情報に設定されたが、第1の値引き規則と第2の値引き規則が記憶または設定される位置(装置、領域)はこれに制限されない。第1の値引き規則と第2の値引き規則は、燃料販売管理システム22の請求金額導出部46が請求金額を導出する際に参照可能な位置(装置、領域)に記憶または設定されればよい。例えば、第1の値引き規則と第2の値引き規則はいずれも燃料販売管理システム22の値引き規則記憶部38に記憶されてもよい。
【0058】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0059】
10 燃料販売システム、 22 燃料販売管理システム、 36 燃料販売情報記憶部、 38 値引き規則記憶部、 40 カード情報受付部、 42 給油データ受付部、 44 燃料特典情報受付部、 46 請求金額導出部、 48 請求部。