(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】ポンプの冷却液循環構造
(51)【国際特許分類】
F04D 29/58 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
F04D29/58 E
F04D29/58 D
(21)【出願番号】P 2021073503
(22)【出願日】2021-04-23
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 翔太
(72)【発明者】
【氏名】片嶋 純司
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-59497(JP,A)
【文献】実開昭59-43695(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0281718(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0278119(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/58
F16C 37/00
H02K 5/16-5/173
H02K 5/20
H02K 9/00-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの駆動により回転可能なシャフトと、
前記シャフトを支持する少なくとも1つの軸受と、
前記モータ、前記シャフト、および、前記軸受を収容するケーシング体と、を備え、
前記ケーシング体には、前記モータおよび前記軸受を冷却するための冷却液を、前記モータおよび前記軸受の周囲に循環させる冷却液循環流路が設けられており、
前記ケーシング体は、前記軸受に外嵌された状態で前記軸受を支持するように構成された軸受ケーシングを含み、
前記軸受ケーシングには、前記冷却液循環流路から前記軸受が位置する側に向かって凹陥状に形成され、前記冷却液循環流路から分岐する少なくとも1つの分岐流路が設けられている、ポンプの冷却液循環構造。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプの冷却液循環構造において、
前記分岐流路は、縦断面視の流路幅が、前記軸受が位置する側から前記冷却液循環流路に向かって大きくなるように構成されている、ポンプの冷却液循環構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポンプの冷却液循環構造において、
前記分岐流路は、横断面視の流路幅が、前記軸受が位置する側から前記冷却液循環流路に向かって大きくなるように構成されている、ポンプの冷却液循環構造。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のポンプの冷却液循環構造において、
前記分岐流路は複数設けられており、
前記複数の分岐流路は、互いに独立した非連通状態となっている、ポンプの冷却液循環構造。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載のポンプの冷却液循環構造において、
前記分岐流路は複数設けられており、
前記複数の分岐流路は、前記軸受ケーシングの周方向に間隔をあけて配置されており、
前記軸受ケーシングには、前記軸受の近傍に位置する内周寄りに配置され、互いに隣り合う前記分岐流路同士を連通させる内周流路が設けられている、ポンプの冷却液循環構造。
【請求項6】
請求項1に記載のポンプの冷却液循環構造において、
前記軸受は、前記モータよりも上方において前記シャフトを支持する上部軸受を含んでいる、ポンプの冷却液循環構造。
【請求項7】
請求項1に記載のポンプの冷却液循環構造において、
前記軸受は、前記モータよりも下方において前記シャフトを支持する下部軸受を含み、
前記下部軸受を支持する軸受ケーシングには該軸受ケーシングを上下に貫通し前記冷却液循環流路の一部を形成する貫通孔が形成されており、該貫通孔の側面に前記分岐流路が形成されている、ポンプの冷却液循環構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポンプの冷却液循環構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプの冷却液循環構造として、例えば特許文献1のような冷却液循環構造が提案されている。具体的に、特許文献1には、モータと、モータの駆動により回転可能なシャフトと、シャフトの上部および下部の各々を支持するベアリング(軸受)と、モータ、シャフト、および、ベアリングを収容するケーシング体と、を備えたポンプの冷却液循環構造が開示されている。ケーシング体には、モータを冷却するための冷却液を、モータの周囲に循環させる冷却液循環流路が設けられている。上記ケーシング体は、主に、モータケーシング、アウターケーシング、ハウジング、および、蓋ケーシングにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1におけるポンプの冷却液循環構造では、冷却液循環流路の一部に対応する空間(すなわち、モータケーシングの外周面とアウターケーシングの内周面との間に形成された空間)に流れる冷却液が、モータの駆動により発生した熱を受熱するようになっている。しかしながら、上記構造では、冷却液循環流路がベアリングから比較的離れた位置に配置されていることから、冷却液循環流路とベアリングとの間において熱伝導が十分に行われなかった。すなわち、冷却液循環流路に循環する冷却液では、シャフトを軸支するベアリングに発生した熱を適切に受熱することができなかった。
【0005】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータの発熱に対する冷却液の冷却効率を担保しつつ、軸受の発熱に対する冷却液の冷却効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、第1の開示は、ポンプの冷却液循環構造であって、モータと、モータの駆動により回転可能なシャフトと、シャフトを支持する少なくとも1つの軸受と、モータ、シャフト、および、軸受を収容するケーシング体と、を備えている。ケーシング体には、モータおよび軸受を冷却するための冷却液を、モータおよび軸受の周囲に循環させる冷却液循環流路が設けられている。ケーシング体は、軸受に外嵌された状態で軸受を支持するように構成された軸受ケーシングを含む。そして、軸受ケーシングには、冷却液循環流路から軸受が位置する側に向かって凹陥状に形成され、冷却液循環流路から分岐する少なくとも1つの分岐流路が設けられている。
【0007】
第1の開示において、軸受ケーシングには、冷却液循環流路から軸受が位置する側に向かって凹陥状に形成され、冷却液循環流路から分岐する少なくとも1つの分岐流路が設けられている。かかる構成により、冷却液循環流路に循環する冷却液の一部が分岐流路に向かって流れ込むようになる。分岐流路に流れ込んだ冷却液は、冷却液循環流路から軸受が位置する側に向かって流れ込む。その結果、分岐流路に流れ込んだ冷却液は、軸受に発生した熱を、分岐流路内の軸受近傍において効率よく受熱する。すなわち、分岐流路により、冷却液が流れる位置と軸受との距離が相対的に縮まることから、分岐流路に流れる冷却液と軸受との間において熱伝導が十分に行われるようになり、軸受に発生した熱に対する冷却液の冷却効率が高められる。一方、冷却液循環流路から分岐流路に流れ込んだ冷却液の一部は、分岐流路内で対流した後に、分岐流路から冷却液循環流路に向かって再び合流する。このため、冷却液循環流路に循環する冷却液の流量は減少しない。その結果、モータの発熱に対する冷却液の冷却効率が担保される。したがって、第1の開示では、モータの発熱に対する冷却液の冷却効率を担保しつつ、軸受の発熱に対する冷却液の冷却効率を高めることができる。
【0008】
第2の開示は、第1の開示において、分岐流路は、縦断面視の流路幅が、軸受が位置する側から冷却液循環流路に向かって大きくなるように構成されている。
【0009】
この第2の開示では、分岐流路における縦断面視の流路幅が、軸受が位置する側から冷却液循環流路に向かって大きくなることから、冷却液の一部が、冷却液循環流路から分岐流路に流れ込みやすくなる。また、冷却液循環流路から分岐流路に流れ込んだ冷却液の一部が、分岐流路内で対流した後に、分岐流路から冷却液循環流路に向かって再び合流しやすくなる。このように、第2の開示では、分岐流路における冷却液の循環効率を高めることができる。
【0010】
第3の開示は、第1または第2の開示において、分岐流路は、横断面視の流路幅が、軸受が位置する側から冷却液循環流路に向かって大きくなるように構成されている。
【0011】
この第3の開示では、分岐流路における横断面視の流路幅が、軸受が位置する側から冷却液循環流路に向かって大きくなることから、冷却液の一部が、冷却液循環流路から分岐流路に流れ込みやすくなる。また、冷却液循環流路から分岐流路に流れ込んだ冷却液の一部が、分岐流路内で対流した後に、分岐流路から冷却液循環流路に向かって再び合流しやすくなる。このように、第3の開示では、分岐流路における冷却液の循環効率を高めることができる。
【0012】
第4の開示は、第1~第3のいずれか1つの開示において、分岐流路は複数設けられており、複数の分岐流路は、互いに独立した非連通状態となっている。
【0013】
この第4の開示では、複数の分岐流路に冷却液が流れ込むことにより、軸受の発熱に対する冷却液の冷却効率を高めることができる。また、複数の分岐流路が互いに独立した非連通状態となっていることから、冷却液循環流路から分岐流路に流れ込んだ冷却液の一部が分岐流路内で対流し続けることなく、分岐流路から冷却液循環流路に向かってすみやかに流れ出るようになる。その結果、冷却液循環流路に循環する冷却液の流量が減少せず、モータの発熱に対する冷却液の冷却効率を担保することができる。
【0014】
第5の開示は、第1~第3のいずれか1つの開示において、分岐流路は複数設けられており、複数の分岐流路は、軸受ケーシングの周方向に間隔をあけて配置されている。そして、軸受ケーシングには、軸受の近傍に位置する内周寄りに配置され、互いに隣り合う分岐流路同士を連通させる内周流路が設けられている。
【0015】
この第5の開示では、複数の分岐流路に冷却液が流れ込むことにより、軸受の発熱に対する冷却液の冷却効率を高めることができる。また、分岐流路に流れ込んだ冷却液は、軸受ケーシングにおいて軸受の近傍に位置する内周寄りに配置される内周流路にも流れ込むようになる。すなわち、軸受の近傍に流れる冷却液の表面積が相対的に増加する。その結果、軸受の発熱に対する冷却液の冷却効率をより一層高めることができる。
【0016】
第6の開示は、第1の開示において、前記軸受は、前記モータよりも上方において前記シャフトを支持する上部軸受を含んでいる。
【0017】
第7の開示は、第1の開示において、前記軸受は、前記モータよりも下方において前記シャフトを支持する下部軸受を含み、前記下部軸受を支持する軸受ケーシングには該軸受ケーシングを上下に貫通し前記冷却液循環流路の一部を形成する貫通孔が形成されており、該貫通孔の側面に前記分岐流路が形成されている。
【0018】
この第7の開示では、軸受ケーシングに、冷却液循環流路の一部を形成する貫通孔と、分岐流路との両方が形成されているため、ポンプの冷却液循環構造を、少ない部品点数によって実現できる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本開示によると、モータの発熱に対する冷却液の冷却効率を担保しつつ、軸受の発熱に対する冷却液の冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係るポンプの冷却液循環構造を適用した水中ポンプの縦断面図である。
【
図2】
図2は、ポンプの冷却液循環構造における内部構造の一部を概略的に示した斜視図である。
【
図3】
図3は、第1軸受ケーシングの構成を例示する平面図である。
【
図4】
図4は、ポンプの冷却液循環構造の、第2軸受ケーシングの第2分岐流路が位置する箇所の断面構成を例示する横断面図である。
【
図5】
図5は、ポンプの冷却液循環構造の下部を拡大して示した部分拡大断面図である。
【
図6】
図6は、ポンプの冷却液循環構造の、水位検知部が位置する箇所の断面構造を例示する縦断面図である。
【
図7】
図7は、ポンプの冷却液循環構造の、第1分岐流路における冷却液の流れを概略的に示した部分拡大断面図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態の変形例1を示す
図7相当図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態の変形例2を示す
図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0022】
(水中ポンプ)
図1は、本開示の実施形態に係るポンプの冷却液循環構造10を適用した水中ポンプ1の縦断面構造を示している。この水中ポンプ1は、例えば下水道における揚水ポンプとして利用可能である。水中ポンプ1は、ポンプ部2およびポンプの冷却液循環構造10を備えている。ポンプの冷却液循環構造10は、ポンプ部2よりも上側に配置されている。
【0023】
(ポンプ部)
図1に示すように、ポンプ部2は、シャフト12の下端に取り付けられた羽根車3と、羽根車3を収容するポンプケーシング4と、を備えている。この水中ポンプ1は、遠心式の羽根車3を備えた遠心ポンプである。なお、羽根車3は、図例に限らず、各種の形式の羽根車を採用することができる。
【0024】
ポンプケーシング4は、その内部に羽根車3を収容する渦形室5を有している。渦形室5は、ポンプケーシング4の底部に開口する吸込口4aに連通している。渦形室5はまた、ポンプケーシング4の側方に突出する排出口4bに連通している。排出口4bは、図示省略の排出管に連結される。
【0025】
ポンプケーシング4の上端は開口している。ポンプケーシング4における上端開口の周縁部は、後述する下側ケーシング24の下端部に固定されている。
【0026】
(ポンプの冷却液循環構造)
図1に示すように、ポンプの冷却液循環構造10は、主に、モータ11、シャフト12、第1軸受13、第2軸受14、および、ケーシング体20により構成されている。
【0027】
(モータおよびシャフト)
モータ11は、ステータ11aおよびロータ11bを有している。ロータ11bには、シャフト12が一体に設けられている。シャフト12は、上下方向に沿って延びている。シャフト12の下端部は、ケーシング体20の下部(後述する隔壁部25およびボトムカバー26)よりも下方に位置している。シャフト12は、第1軸受13および第2軸受14により回転自在に軸支されている。
【0028】
(第1軸受)
第1軸受13(軸受)は、例えば2つのベアリングにより構成されている。第1軸受13は、シャフト12の、モータ11よりも下方に位置する中途部に取り付けられている。第1軸受13は、シャフト12の下端部付近を回転自在に軸支している。
【0029】
(第2軸受)
第2軸受14(軸受)は、例えば1つのベアリングにより構成されている。第2軸受14は、シャフト12の上端部に取り付けられている。第2軸受14は、シャフト12の上端部を回転自在に軸支している。
【0030】
(ケーシング体)
図1に示すように、ケーシング体20は、主に、モータケーシング21、アウターケーシング22、第1軸受ケーシング23、下側ケーシング24、隔壁部25、ボトムカバー26、第2軸受ケーシング27、モーターカバー28、および、ヘッドカバー29により構成されている。
【0031】
(モータケーシング)
図1に示すように、モータケーシング21は、長手方向が上下方向に沿って延びる略円筒状を有している。モータケーシング21の上端部および下端部は、上下方向に開口している。モータケーシング21の内部には、モータ11およびシャフト12が格納されている。
【0032】
図5にも示すように、モータケーシング21の下端部には、複数の往路用貫通孔31および複数の復路用貫通孔32が形成されている。本実施形態では、2つの往路用貫通孔31および2つの復路用貫通孔32がモータケーシング21の下端部に設けられている。なお、
図1および
図5では、一方の往路用貫通孔31および一方の復路用貫通孔32のみを示しており、他方の往路用貫通孔31および他方の復路用貫通孔32の図示を省略している。
【0033】
各往路用貫通孔31および各復路用貫通孔32は、モータケーシング21の外周面よりも径方向外側に位置している。各往路用貫通孔31は、後述する往路用流路71の一部として機能する。各復路用貫通孔32は、後述する復路用流路72の一部として機能する。
【0034】
(リブ)
図4に示すように、モータケーシング21の外周面には、リブ33a~33dが設けられている。リブ33aおよびリブ33bと、リブ33cおよびリブ33dとは、シャフト12を挟んで互いに対向している。リブ33a~33dの各々は、モータケーシング21の径方向外側に向かって突出している。リブ33a~33dの各々は、上下方向に沿って略板状に形成されていて、モータケーシング21の下端部から上端部に亘って延びている(
図1および
図2参照)。
【0035】
リブ33a,33bは、モータケーシング21の外周面において
図4の紙面下側に配置されている。リブ33a,33bは、モータケーシング21の外周面の周方向において互いに間隔をあけて配置されている。
【0036】
リブ33c,33dは、モータケーシング21の外周面において
図4の紙面上側に配置されている。リブ33c,33dは、モータケーシング21の外周面の周方向において互いに間隔をあけて配置されている。
【0037】
(アウターケーシング)
図1、
図2、および、
図4に示すように、アウターケーシング22は、モータケーシング21の外周面を囲むように配置されている。アウターケーシング22は、モータケーシング21の外周面の外方において所定の間隙をあけて配置されている。アウターケーシング22は、長手方向が上下方向に沿って延びる略円筒状を有している。アウターケーシング22の上端部および下端部は、上下方向に開口している。
【0038】
(第1軸受ケーシング)
図1に示すように、第1軸受ケーシング23(軸受ケーシング)は、モータケーシング21の下端部に取り付けられている。第1軸受ケーシング23は、第1軸受13に外嵌された状態で第1軸受13を支持するように構成されている。
【0039】
図3に示すように、第1軸受ケーシング23は、第1軸受13を支持するための第1軸受支持部34を有している。第1軸受支持部34は、第1軸受13の外周面を外方から囲むような円環形状を有している。
【0040】
(連通流路)
図1、
図3、および
図5に示すように、第1軸受ケーシング23は、複数の連通流路35を有している。各連通流路35は、第1軸受ケーシング23の厚み方向(上下方向)に貫通している。
【0041】
図3に示すように、複数の連通流路35は、第1軸受ケーシング23の外周寄りに配置されている。複数の連通流路35は、第1軸受ケーシング23の周方向において等間隔に配置されている。各連通流路35は、第1軸受ケーシング23の周方向に沿って延びる長孔状に形成されている。
【0042】
複数の連通流路35は、2つの往路用連通流路35aおよび2つの復路用連通流路35bにより構成されている。
図3の紙面上側および紙面下側に位置する2つの往路用連通流路35aは、後述する往路用流路71の一部として機能する。
図3の紙面左側および紙面右側に位置する2つの復路用連通流路35bは、後述する復路用流路72の一部として機能する。
【0043】
(下側ケーシング)
図1および
図5に示すように、下側ケーシング24は、第1軸受ケーシング23に取り付けられている。下側ケーシング24は、第1軸受ケーシング23よりもシャフト12の下端部寄りに配置されている。下側ケーシング24の下端部は開口している。下側ケーシング24の下部中央には、後述の往路用流路71と後述の復路用流路72との境界に位置する略円形状の開口部36が設けられている。
【0044】
(隔壁部およびボトムカバー)
図1および
図5に示すように、隔壁部25は、下側ケーシング24の下部に取り付けられている。ボトムカバー26は、隔壁部25に取り付けられている。隔壁部25およびボトムカバー26は、ポンプ部2とケーシング体20とを隔てるように構成されている。
【0045】
(循環羽根)
図1および
図5に示すように、シャフト12の下端部寄りの中途部には、循環羽根37が取り付けられている。循環羽根37は、下側ケーシング24の開口部36に位置している。すなわち、循環羽根37は、後述する往路用流路71と復路用流路72との境界に位置している。循環羽根37は、シャフト12の回転に応じて回転するように構成されている。
【0046】
循環羽根37が回転すると、冷却液が、後述の第5流路85から後述の第1流路81に向かって強制的に流動する。その結果、
図1および
図5に示した太矢印のように、冷却液を、冷却液循環流路70に沿って循環させることが可能となる。
【0047】
(浸水溜まり室)
図1に示すように、ケーシング体20には、浸水溜まり室38が設けられている。
図5および
図6にも示すように、浸水溜まり室38は、第1軸受ケーシング23と下側ケーシング24とにより囲まれた空間であって、モータが収容された空間とポンプ部2との間に配置されている。浸水溜まり室38は、後述する冷却液循環流路70と隔てられた状態となっている。浸水溜まり室38は、冷却液循環流路70(特に第5流路85)からモータ11側に向かって浸水が生じたときに、その浸水した液体を溜めるための空間として機能する。
図6に示すように、浸水溜まり室38には、浸水溜まり室38に溜まった液体(水)の水位を検知するための水位検知部39が設けられている。
【0048】
(第2軸受ケーシング)
図1に示すように、第2軸受ケーシング27(軸受ケーシング)は、モータケーシング21の上端部に取り付けられている。第2軸受ケーシング27は、第2軸受14に外嵌された状態で第2軸受14を支持するように構成されている。
【0049】
図4に示すように、第2軸受ケーシング27は、第2軸受14を支持するための第2軸受支持部40を有している。第2軸受支持部40は、横断面視において、第2軸受14の外周面を外方から囲むような円環状を有している。
【0050】
図2および
図4に示すように、第2軸受ケーシング27は、複数(図示例では2つ)の中央壁部62を有している。各中央壁部62は、第2軸受ケーシング27の内周側(第2軸受支持部40が位置する側)から第2軸受ケーシング27の径方向外側に向かって突出している。各中央壁部62は、横断面視において略板状に形成されている。
図4の紙面下側に位置する中央壁部62は、平面視においてリブ33aとリブ33bとの中間に位置するように配置されている。一方、
図4の紙面上側に位置する中央壁部62は、平面視においてリブ33cとリブ33dとの中間に位置するように配置されている。
【0051】
(モーターカバーおよびヘッドカバー)
図1に示すように、第2軸受ケーシング27の上端部には、モーターカバー28が取り付けられている。モーターカバー28の上端部には、ヘッドカバー29が取り付けられている。第2軸受ケーシング27、モーターカバー28、および、ヘッドカバー29により囲まれた空間には、モータ11の駆動を制御するための駆動制御部15が収納されている。第2軸受ケーシング27には、モータ11と駆動制御部15とを電気的に接続するリード線(図示せず)を配線するための配線孔41が設けられている。
【0052】
(冷却液循環流路)
図1に示すように、ケーシング体20には、冷却液循環流路70が設けられている。冷却液循環流路70は、ケーシング体20の内部空間においてモータ11、第1軸受13、および、第2軸受14を外方から囲む位置に配置されている。冷却液循環流路70は、往路用流路71と復路用流路72とに分かれている。
【0053】
冷却液循環流路70には、モータ11、第1軸受13、および、第2軸受14を冷却するための冷却液が循環する。この冷却液としては、例えば、水を主成分としかつ腐食防止用の添加剤を添加した冷却水が適している。なお、冷却液は、冷却水に限られず、冷却油であってもよい。
【0054】
(往路用流路)
往路用流路71は、後述する第1流路81から第3流路83に亘って連通する流路により構成されている。具体的に、往路用流路71は、第1流路81、第2流路82、第1軸受ケーシング23の往路用連通流路35a、モータケーシング21の往路用貫通孔31、および、第3流路83という順序で連通するように構成されている。
【0055】
(復路用流路)
復路用流路72は、後述する第4流路84から第5流路85に亘って連通する流路により構成されている。具体的に、復路用流路72は、第4流路84、モータケーシング21の復路用貫通孔32、第1軸受ケーシング23の復路用連通流路35b、および、第5流路85という順序で連通するように構成されている。
【0056】
(第1流路)
図1,
図5および
図6に示すように、第1流路81は、主に、下側ケーシング24、隔壁部25、およびボトムカバー26により囲まれた空間として構成されている。第1流路81は、冷却液が、循環羽根37により第5流路85から流れ込むように構成されている。具体的に、第1流路81には、モータ11の熱を吸収した高温の冷却液が第5流路85から流れ込む。
【0057】
第1流路81は、ポンプケーシング4の渦形室5と上下方向に隣接している。このため、第1流路81に流れ込んだ冷却液は、隔壁部25およびボトムカバー26を介して、渦形室5を流動する相対的に低い温度の液体と熱交換される。すなわち、冷却液循環流路70に循環する冷却液は、第1流路81で冷却される。このように、第1流路81は、冷却液循環流路70に循環する冷却液の熱交換室として機能する。
【0058】
(第2流路)
図1,
図5および
図6に示すように、第2流路82は、下側ケーシング24の内部に設けられている。第2流路82は、往路用流路71の一部として機能する。第2流路82は、第1流路81と連通している。また、第2流路82は、第1軸受ケーシング23の往路用連通流路35aと連通している。
【0059】
(第3流路)
図1,
図5および
図6に示すように、第3流路83は、モータケーシング21の外周面とアウターケーシング22の内周面との間に設けられている。第3流路83は、往路用流路71の一部として機能する。
【0060】
図4に示すように、本実施形態では、2つの第3流路83が設けられている。一方の第3流路83は、モータケーシング21の外周面、アウターケーシング22の内周面、リブ33a、および、リブ33bにより囲まれた空間である。他方の第3流路83は、モータケーシング21の外周面、アウターケーシング22の内周面、リブ33c、および、リブ33dにより囲まれた空間である。
【0061】
(第4流路)
図4に示すように、第4流路84は、モータケーシング21の外周面とアウターケーシング22の内周面との間に形成された空間において各第3流路83を除外した空間として構成されている。各第4流路84は、復路用流路72の一部として機能する(
図1,
図5および
図6を参照)。
【0062】
本実施形態では、2つの第4流路84が設けられている。一方の第4流路84は、モータケーシング21の外周面、アウターケーシング22の内周面、リブ33a、および、リブ33cにより囲まれた空間である。他方の第4流路84は、モータケーシング21の外周面、アウターケーシング22の内周面、リブ33b、および、リブ33dにより囲まれた空間である。
【0063】
(第5流路)
図1,
図5および
図6に示すように、第5流路85は、下側ケーシング24の内部に設けられている。第5流路85は、復路用流路72の一部として機能する。第5流路85は、第1軸受ケーシング23の復路用連通流路35bと連通している。また、第5流路85は、循環羽根37を介して第1流路81と連通している。
【0064】
(第1分岐流路)
図1に示すように、第1軸受ケーシング23には、複数の第1分岐流路50(分岐流路)が設けられている。各第1分岐流路50は、冷却液循環流路70から分岐するように構成されている。
【0065】
図3に示すように、本実施形態では、4つの第1分岐流路50が設けられている。これらの第1分岐流路50は、第1軸受ケーシング23の周方向において等間隔に配置されている。複数の第1分岐流路50は、互いに独立した非連通状態となっている。
【0066】
図3の紙面上側および下側に位置する2つの第1分岐流路50の各々は、各往路用連通流路35aと連通している。一方、
図3の紙面左側および右側に位置する2つの第1分岐流路50の各々は、各復路用連通流路35bと連通している。
【0067】
図1および
図5に示すように、各第1分岐流路50は、第1軸受ケーシング23において、冷却液循環流路70(各連通流路35)から第1軸受13が位置する側に向かって凹陥状に形成されている。なお、本実施形態では、縦断面視において、各第1分岐流路50を構成する下側壁部52の外周面と、上側壁部53の外周面とが略面一となっている。
【0068】
各第1分岐流路50の奥側(第1軸受13が位置する側)には、奥壁部51が形成されている。奥壁部51は、第1軸受支持部34を挟んで第1軸受13の近傍に位置している。奥壁部51は、平面視において、第1軸受支持部34の外周に沿うように略円弧状に形成されている(
図3参照)。
【0069】
図3および
図7に示すように、冷却液は、冷却液循環流路70から各第1分岐流路50に向かって流れ込む。具体的に、冷却液は、第1軸受ケーシング23の各連通流路35から各第1分岐流路50の開口に向かって流れ込む。該開口に流れ込んだ冷却液は、下側壁部52に沿いながら奥壁部51に向かって流れる。そして、冷却液は、奥壁部51から上側壁部53に沿いながら流れていき、再び第1分岐流路50の開口に向かって流れる。このように、冷却液は、各第1分岐流路50内で対流する。第1分岐流路50の開口に戻ってきた冷却液は、再び各連通流路35に流れ出る。なお、
図3では、冷却液が循環する部分をドットハッチングにより明示している。
【0070】
(第2分岐流路)
図1に示すように、第2軸受ケーシング27には、複数の第2分岐流路60(分岐流路)が設けられている。各第2分岐流路60は、冷却液循環流路70から分岐するように構成されている。各第2分岐流路60は、第2軸受ケーシング27において、冷却液循環流路70から第2軸受14が位置する側に向かって凹陥状に形成されている。
【0071】
図4に示すように、本実施形態では、4つの第2分岐流路60が設けられている。各第2分岐流路60は、横断面視において、内壁同士の間隔(流路幅)が、第2軸受14が位置する側から冷却液循環流路70に向かって拡がるように構成されている。
【0072】
各第2分岐流路60の奥側(第2軸受14が位置する側)には、奥壁部61が形成されている。奥壁部61は、第2軸受支持部40を挟んで第2軸受14の近傍に位置している。
【0073】
図2および
図4に示すように、一対の第2分岐流路60は、中央壁部62を隔てた状態で第2軸受ケーシング27の周方向に並んでいる。
図4の紙面下側に位置する一対の第2分岐流路60と、
図4の紙面上側に位置する一対の第2分岐流路60とは、シャフト12を挟んで互いに対向している。そして、各第2分岐流路60は、第3流路83および第4流路84の各々と連通するように構成されている。
【0074】
冷却液は、冷却液循環流路70から第2分岐流路60に向かって流れ込む。具体的に、
図4に示すように、冷却液は、第3流路83から第2分岐流路60の開口に向かって流れ込み、中央壁部62に沿いながら第2分岐流路60の奥壁部61に流れ込む。さらに、奥壁部61に流れ込んだ冷却液は、中央壁部62と対向する内壁に沿いながら奥壁部61から第2分岐流路60の開口に向かって流れ出る。すなわち、冷却液は、第2分岐流路60内で対流する。そして、第2分岐流路60の開口に流れ出た冷却液は、第4流路84(復路用流路72)に向かってに流れ出る。なお、
図4では、冷却液が循環する部分をドットハッチングにより明示している。
【0075】
[実施形態の作用効果]
図7に示すように、第1軸受ケーシング23(軸受ケーシング)には、冷却液循環流路70から第1軸受13が位置する側に向かって凹陥状に形成され、冷却液循環流路70から分岐する第1分岐流路50が設けられている。かかる構成により、
図7において冷却液の流れを模式的に示した矢印のように、冷却液循環流路70に循環する冷却液の一部が、第1分岐流路50に向かって流れ込むようになる。第1分岐流路50に流れ込んだ冷却液は、冷却液循環流路70の一部である連通流路35から第1軸受13が位置する側に向かって流れ込む。その結果、第1分岐流路50に流れ込んだ冷却液は、第1軸受13に発生した熱を、第1分岐流路50内における第1軸受13の近傍において効率よく受熱する。すなわち、第1分岐流路50を設けたことにより、冷却液が流れる位置と第1軸受13との距離が相対的に縮まることから、第1分岐流路50に流れる冷却液と第1軸受13との間において熱伝導が十分に行われるようになり、第1軸受13に発生した熱に対する冷却液の冷却効率が高められる。一方、冷却液循環流路70から第1分岐流路50に流れ込んだ冷却液の一部は、第1分岐流路50内で対流した後に、第1分岐流路50から冷却液循環流路70に向かって再び合流する。このため、冷却液循環流路70に循環する冷却液(特に第3流路83、第4流路84を流れる冷却液)の流量は減少しない。その結果、モータ11の発熱に対する冷却液の冷却効率が担保される。したがって、本開示の実施形態に係るポンプの冷却液循環構造10では、モータ11の発熱に対する冷却液の冷却効率を担保しつつ、第1軸受13の発熱に対する冷却液の冷却効率を高めることができる。また、本開示の実施形態に係るポンプの冷却液循環構造10では、第1分岐流路50の構造が比較的簡易であることから、製作性にも優れている。
【0076】
また、第2軸受ケーシング27に設けられた第2分岐流路60についても、第1分岐流路50と同様の構成を有することから、モータ11の発熱に対する冷却液の冷却効率を担保しつつ、第2軸受14の発熱に対する冷却液の冷却効率を高めることができる。
【0077】
また、第1分岐流路50は、縦断面視の流路幅が、第1軸受13が位置する側から冷却液循環流路70に向かって大きくなるように構成されている。かかる構成により、冷却液の一部が、冷却液循環流路70から第1分岐流路50に流れ込みやすくなる。また、冷却液循環流路70から第1分岐流路50に流れ込んだ冷却液の一部が、第1分岐流路50内で対流した後に、第1分岐流路50から冷却液循環流路70に向かって再び合流しやすくなる。したがって、第1分岐流路50における冷却液の循環効率を高めることができる。また、第2分岐流路60についても、縦断面視の流路幅が、第2軸受14が位置する側から冷却液循環流路70に向かって大きくなるように構成されていることから、第2分岐流路60における冷却液の循環効率を高めることができる。
【0078】
また、複数の第1分岐流路50は、互いに独立した非連通状態となっている。かかる構成により、複数の第1分岐流路50に冷却液が流れ込むことにより、第1軸受13の発熱に対する冷却液の冷却効率を高めることができる。また、複数の第1分岐流路50が互いに独立した非連通状態となっていることから、冷却液循環流路70から第1分岐流路50に流れ込んだ冷却液の一部が、第3流路83、第4流路84を通過せずに第1分岐流路50の連通部を通って循環することなく、第1分岐流路50から冷却液循環流路70に向かってすみやかに流れ出るようになる。その結果、冷却液循環流路70(特に第3流路83、第4流路84)に循環する冷却液の流量が減少せず、モータ11の発熱に対する冷却液の冷却効率を担保することができる。
【0079】
一方、
図4に示すように、第2分岐流路60は、横断面視の流路幅が、第2軸受14が位置する側から冷却液循環流路70に向かって大きくなるように構成されている。かかる構成により、冷却液の一部が、冷却液循環流路70から第2分岐流路60に流れ込みやすくなる。また、冷却液循環流路70から第2分岐流路60に流れ込んだ冷却液の一部は、第2分岐流路60内で対流した後に、第2分岐流路60から冷却液循環流路70に向かって再び合流しやすくなる。したがって、第2分岐流路60における冷却液の循環効率を高めることができる。
【0080】
[実施形態の変形例1]
上記実施形態では、縦断面視において、各第1分岐流路50を構成する下側壁部52の外周面と、上側壁部53の外周面とが略面一となる形態(例えば
図5および
図7参照)を示したが、この形態に限られない。すなわち、縦断面視において、下側壁部52の外周面と上側壁部53の外周面とが面一でなくてもよい。
【0081】
例えば、
図8の変形例1に示すように、往路用連通流路35aと連通する第1分岐流路50では、上側壁部53の外周面が、下側壁部52の外周面よりも第1軸受ケーシング23の径方向外側(
図8の紙面左側)に向かって突出するように構成されている。かかる構成により、往路用連通流路35aの上部の流路幅が、往路用連通流路35aの下部の流路幅よりも狭くなる。このため、第2流路82から第3流路83に向かう冷却液の流速を高めることができる。また、第2流路82に流れる冷却液の流速と、第3流路83に流れる冷却液の流速との間に差が生じることにより、第2流路82から第3流路83に向かう冷却液の一部が、第1分岐流路50に向かって流れ込みやすくなる。したがって、この変形例では、往路用連通流路35aから第1分岐流路50に向かう冷却液の流れを促進することができる。
【0082】
[実施形態の変形例2]
上記実施形態では、複数の第1分岐流路50が互いに独立した非連通状態となる形態(
図3参照)を示したが、この形態に限られない。例えば、
図9に示した変形例2のように、互いに隣り合う第1分岐流路50,50同士を連通させてもよい。具体的に、変形例2の第1軸受ケーシング23では、内周流路54が設けられている。内周流路54は、第1軸受ケーシング23において第1軸受13の近傍に位置する内周寄りに配置されている。そして、内周流路54は、互いに隣り合う第1分岐流路50,50同士を連通させるように構成されている。
【0083】
このような変形例では、第1分岐流路50,50に流れ込んだ冷却液が、第1軸受13の近傍に位置する内周流路54にも流れ込むようになる。すなわち、第1軸受13の近傍に流れる冷却液の表面積が相対的に増加する。その結果、第1軸受13の発熱に対する冷却液の冷却効率をより一層高めることができる。
【0084】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、複数の第1分岐流路50を設けた形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、少なくとも1つの第1分岐流路50が第1軸受ケーシング23に設けられていれば、上述した実施形態の作用効果を得ることができる。かかる場合において、熱交換室として機能する第1流路81において冷却された冷却液が往路用流路71に循環することに鑑みれば、1つの第1分岐流路50を往路用流路71に連通させた形態の方が、1つの第1分岐流路50を復路用流路72に連通させた形態よりも、第1軸受13の発熱に対する冷却液の冷却効率を高めるという点において有利となる。
【0085】
上記実施形態では、第1分岐流路50における縦断面視の流路幅が、第1軸受13が位置する側から冷却液循環流路70に向かって大きくなる形態を示したが、この形態に限られない。例えば、第1分岐流路50における縦断面視の流路幅が、第1軸受13が位置する側から冷却液循環流路70に向かって一定の大きさとなるように構成してもよい。第2分岐流路60についても同様である。
【0086】
以上、本開示についての実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態のみに限定されず、本開示の範囲内で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示は、例えば下水道の揚水ポンプ(水中ポンプ)に適用されるポンプの冷却液循環構造として産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1:水中ポンプ
10:冷却液循環構造
11:モータ
12:シャフト
13:第1軸受(軸受、下部軸受)
14:第2軸受(軸受、上部軸受)
20:ケーシング体
21:モータケーシング
22:アウターケーシング
23:第1軸受ケーシング(軸受ケーシング)
24:下側ケーシング
25:隔壁部
26:ボトムカバー
27:第2軸受ケーシング(軸受ケーシング)
28:モーターカバー
29:ヘッドカバー
31:往路用貫通孔
32:復路用貫通孔
33a~33d:リブ
34:第1軸受支持部
35:連通流路(貫通孔)
37:循環羽根
40:第2軸受支持部
50:第1分岐流路(分岐流路)
54:内周流路
60:第2分岐流路(分岐流路)
70:冷却液循環流路
71:往路用流路
72:復路用流路
81:第1流路
82:第2流路
83:第3流路
84:第4流路
85:第5流路