(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】コンパクト化可能なRF膜アンテナおよび作製方法
(51)【国際特許分類】
H01P 11/00 20060101AFI20240426BHJP
B29C 70/06 20060101ALI20240426BHJP
B64G 99/00 20090101ALI20240426BHJP
H01Q 15/20 20060101ALI20240426BHJP
H01Q 19/12 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
H01P11/00
B29C70/06
B64G99/00
H01Q15/20
H01Q19/12
(21)【出願番号】P 2021506558
(86)(22)【出願日】2019-08-04
(86)【国際出願番号】 US2019045036
(87)【国際公開番号】W WO2020033279
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-05-27
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518307237
【氏名又は名称】ルギャルド,インク.
【氏名又は名称原語表記】L’GARDE, INC.
【住所又は居所原語表記】15181 Woodlawn Avenue Tustin, CA 92780 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パリソック,リボーニオ・アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ボリセイ,リンデン
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101847786(CN,A)
【文献】特開2018-104250(JP,A)
【文献】国際公開第2017/151689(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0132543(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 11/00
B29C 70/06
B64G 99/00
H01Q 15/20
H01Q 19/12
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部と収集器とを有する展開可能アンテナを作製する方法であって、
複数の炭素繊維を適切な長さで提供するステップ
であって、複数の炭素繊維がサイジングにおいて保持される、ステップと、
溶剤を用いてサイジングを除去して、洗浄された複数の炭素繊維を作るステップと、
洗浄された複数の炭素繊維にプライマー溶液を適用して、プライマー処理された炭素繊維を作るステップと、
プライマー処理された炭素繊維に樹脂を適用して、樹脂炭素繊維を作るステップと、
支持部の所望の形状において溝を有するマンドレルを提供するステップと、
マンドレルの溝内に樹脂炭素繊維を位置付けるステップと、
サイジングにおいて保持された別の複数の炭素繊維を提供し、サイジングを除去し、プライマー溶液を適用し、樹脂を適用して、別の樹脂炭素繊維を作り、マンドレルの全ての所望の溝が樹脂含浸繊維で埋められるまでマンドレルの別の溝内に
別の樹脂炭素繊維を位置付ける
ことを繰り返すステップと、
マンドレル内の樹脂含浸繊維を硬化して、支持部を作るステップと、
マンドレルから支持部を除去するステップと、
支持部に膜を結合して、収集器を作るステップと
を含む、方法。
【請求項2】
複数の炭素繊維を提供するステップが、サイジングにおいて保持される複数の炭素繊維を有する炭素繊維束を提供するステップを含み、複数の炭素繊維を提供するステップが、炭素繊維束を切断することによる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
適切な長さが、複数の炭素繊維が位置付けされる溝の長さを超えておおよそ4インチである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
溶媒を用いてサイジングを除去して、洗浄された複数の炭素繊維を作る前に、炭素繊維束を少なくとも一端において固定するステップをさらに含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項5】
サイジングが除去された後に、炭素繊維が乾燥することを可能とするステップをさらに含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
樹脂の適用前にプライマー溶液が乾燥することを可能にするステップをさらに含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
樹脂が弾性樹脂である、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
アプリケータとしてテフロンのブロックを使用して樹脂が適用され、樹脂が複数の炭素繊維上にブラシで付けられる、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
マンドレルの溝内の樹脂炭素繊維に圧力を印加して、樹脂炭素繊維を溝に一致させてマンドレルの溝の底部に接触させるステップをさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
樹脂含浸繊維が位置付けされるマンドレルの溝の長さに樹脂炭素繊維を切断するステップをさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
マンドレルから過剰な樹脂を除去するステップをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
支持部が、52から65の間の繊維対樹脂体積分率を有する炭素繊維および弾性樹脂の複合材料を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
マンドレルが、トロイダル外側溝と、トロイダル外側溝に結合される少なくとも3つの支柱溝とを含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
支持部のトロイダル外側フレームに網メッシュを取り付けるステップをさらに含み、網メッシュが複数のノードを画定する、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
複数のノードに複数の引張り要素を取り付けるステップをさらに含み、引張り要素が張力をかけられ、展開された構成における網メッシュの展開された形状を画定する、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
支持部への膜の結合が、引張り要素に膜を取り付けることによるものである、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
収集器が複数の膜を含み、各反射器膜が隣接する引張り要素に結合される、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
マンドレルがトロイドの形状の溝を含み、支柱がトロイドの面から延在し、全体的に互いに向かって収束する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
膜が、その上に位置付けされるメタライゼーションを有して、複数の反射ストライプを画定する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
大型パラボラアンテナは、近くの惑星および恒星から無線周波数(RF)波を集めるともに、宇宙の広範囲から銀河間電波を集めて、天文学において重要な役割を果たしている。それらの貢献は、ビッグバン初期からの宇宙の誕生の謎を説明するデータを含む。より最近では、我々自身の銀河における恒星の周囲を回る太陽系外惑星の発見および特性解析の際に役立っている。
【背景技術】
【0002】
同時に、小型化技術における進歩は、従来の非常に大型の衛星および宇宙船の機能に匹敵する機能を保ちつつ、宇宙船のサイズおよび重量を縮小可能にした。しかしながら、レーダーアンテナ検知のセンシティビティおよび解像度は、アンテナ受信機またはパラボラアンテナの面積に直接左右される。そのため、現代の小型通信衛星および小型衛星において、高速プロセッサ、高エネルギー密度バッテリー、太陽電池、慣性測定ユニット、軌道および姿勢制御システム等の他の宇宙船構成要素はサイズおよび重量が縮小してきたが、求められる性能を実現するために、アンテナの面積は依然として大きい必要がある。
【0003】
大きい面積に対するこの必要性は、結果として、宇宙への打上げ時に高度にコンパクト化可能な格納を可能としながら大きい面積を保つRFアンテナの新しい概念設計を実現した。このアンテナは、ロケットのペイロードにおいて小容積に折り畳まれ、宇宙においては何光年の距離にある無歪みの電波情報の収集を可能とする正確な放物状反射面の質および形状を保ちながら最大限に展開できなければならない。
【0004】
従来の収納可能アンテナは、折り畳み構成となるように、セグメントが折り畳めることを可能とする個別の位置を含む、事前成形された剛性構造を含む。それらの結合部を広げてロックすることにより構造を拡張することによって、構造は所望の展開された構成を画定する。例えば、アンテナが収納された構成から展開された構成へ広がることを可能とするように、剛性シートはシート間にヒンジを含む場合がある。同様に、アンテナ構造の支持フレームは、広げることが可能なリンクを形成する剛性のセグメント化された棒を含む場合がある。この支持フレームは、収納された構成においては個別の位置で折り畳まれてもよく、展開された構成では広げてロックされてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2016/0288453号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
静的かつ事前成形の形状を含まない従来の収納可能アンテナは、膨張可能な構造を含む場合がある。この構造は、実質的に、所望の最終の形状においてバルーンである。しかしながら、これらのシステムは、この構造を展開するために膨張ガスまたは物質を格納および適用するための追加の構成要素を必要とする。したがって、これらの構造は、事前成形され静的な構造によって要求される特定のまたは静的な格納された構成を必要としないという利点を提供することができる。しかしながら、これらの構造は、構造の展開専用の追加の空間および重量を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
コンパクト化可能なアンテナおよびこれらのアンテナを作製する方法のための例示の実施形態を本明細書で説明する。例示のコンパクト化可能なアンテナは、支持構造と、反射器面とを含む。支持構造は、反射器形状を直接的または間接的に画定する。例示の実施形態は、コンパクト化可能なアンテナが小容積の収納された構成と大容積の展開された構成とを有することを可能とする展開可能支持構造を含む。
【0008】
図面および以下の関連説明は、本開示の実施形態を説明するために提供され、特許請求の範囲を限定するものではない。対応番号は対応する部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】例示の対称的なアンテナ構成を示す図である。
【
図2】例示の対称的なアンテナ構成を示す図である。
【
図3A】例示の対称的なアンテナ構成を示す図である。
【
図3B】例示の対称的なアンテナ構成を示す図である。
【
図5】反射器のための例示の支持構造を示す図である。
【
図6A】例示の展開可能なアンテナ構成を示す図である。
【
図6B】
図6Aからの分解された構成要素部分を示す図である。
【
図6C】
図6Aからの分解された構成要素部分を示す図である。
【
図6D】
図6Aからの分解された構成要素部分を示す図である。
【
図7】展開された構成における例示の展開可能なアンテナを示す図である。
【
図9】本明細書で説明する実施形態による複合材料を作製する方法のための例示のフロー図である。
【
図10A】本明細書で説明する実施形態による例示のマンドレルを示す図である。
【
図10B】本明細書で説明する実施形態による例示のマンドレルを示す図である。
【
図11】本明細書で説明する実施形態による例示のマンドレルを示す図である。
【
図12】本明細書で説明する実施形態による例示のマンドレルを示す図である。
【
図13】硬化およびマンドレルからの除去後の例示の複合材料構造を示す図である。
【
図14】写真測量のための再帰反射対象を有するマンドレル内に位置付けされた例示の複合材料を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
システムと、構成要素と、組立および製造の方法との実施形態を添付の図面を参照して以下に説明する。全体において同様の番号は同様または類似の要素を指す。以下においていくつかの実施形態、実施例および例を説明するが、当業者には、本明細書で説明する発明は具体的に開示された実施形態、実施例および例を越えて拡張され、本発明の他の使用、明らかな変更、およびその均等を含むことができることを理解されるだろう。本明細書において提示する説明において使用される用語は、ある特定の実施形態の詳細な説明とともに使用されているため、いずれかの限定的または制限的な方法で解釈されることは意図されない。さらに、本発明の実施形態はいくつかの新規の特徴を含むことができ、単一の特徴がその所望の属性に対して単独で原因となる、または本明細書で説明する発明を実行する上で不可欠となることはない。
【0011】
特定の態様、利点および特徴を本明細書において説明するが、いずれかの特定の実施形態がそれらの態様、利点および特徴のいずれかまたは全てを含むまたは達成する必要はない。いくつかの実施形態は本明細書で説明する利点を達成しない場合があり、その代わりに他の利点を達成する場合がある。いずれかの実施形態のいずれかの構造、特徴またはステップは、いずれかの他の実施形態のいずれかの構造、特徴またはステップの代わりに、又はそれに加えて使用可能であり、または省略可能である。本開示は、様々な開示の実施形態からの特徴の全組合せを企図する。特徴、構造またはステップのいずれも、必須または不可欠ではない。さらに、統合、分離、除去、追加、複製、さもなければ再組合せのいずれに関わらず、特徴のいずれの組合せも本開示の範囲内にあるように、特徴は必要に応じて統合または細分化されてもよい。
【0012】
説明される例示の実施形態は、支持フレーム構造を画定する、支持構造を画定する、または非構造化折り畳み式アンテナの全部または一部に統合される形状記憶複合材を組み込む場合がある。本明細書で説明する実施形態は形状記憶複合材の観点からであるが、例示のアンテナ構成は、それら自体が新規である場合がある。したがって、説明される構造は、あらゆる従来の展開可能アンテナ材料を使用して作製されてもよい。例示の実施形態は、膜反射器からなるコンパクト化可能なRFアンテナのための2つの発明的設計を含む。これらの設計は例示に過ぎず、特徴は、所与の機能を達成するために必要に応じてそれらの間で再組み合わされてもよい。無線周波数(RF)反射器の観点から説明されるが、例示の実施形態は、光のための反射器、または他の信号の送受信のための反射器など、他の用途において使用されてもよい。展開可能な構造の例示の実施形態は、他の用途においても同様に使用されてよい。
【0013】
図1は、例示のコンパクト化可能な膜アンテナを示す図である。アンテナ10は、RF信号(破線)を受信して収集器12に対して信号または波を向けるように構成された反射器20を含む。受信した信号が収集器において適切に位置付けられることができるように、反射器20の形状は、収集器に関して適切な場所に反射面を位置付ける上で重要である。
図1に示すように、単一の反射器が収集器とともに使用される。しかしながら、反射器の任意の組合せも使用されてもよい。例えば、
図2は類似の反射器を示すが、この収集器は、収集器の一部が反射器の後ろに位置付けされ受信部が反射器の前に位置付けされる拡張構成である。
図3Aおよび
図3Bに示すような他の二重反射器構成も使用されてもよい。この場合、一次反射器は
図1のものと類似し、二次反射器は一次反射器の受信場所に位置付けされる。それによって、二次反射器は、受信RF信号を一次反射器から収集器へ向けるように構成される。収集器は一次反射器の後ろに位置付けされてもよく、この場合、一次反射器はRF信号が二次収集器から収集器へ通過可能とする通路または孔を有する。反射器が非対称構成を含む
図4のものなど、他の反射器構成も使用してもよい。この場合は、収集器が反射器からの軸から外れて位置付けされたときに使用されてもよい。
図4に示すように、リブ18は、反射器の一側部から他側部までのほぼ全弦長にわたって延在してもよい。図示するように、本明細書で説明する実施形態にしたがう、1つ以上の反射器および収集器を有する任意の構成も使用されてもよい。図示する反射器構成は例示に過ぎず、限定的であることが意図されるものではない。
【0014】
例示の反射器は、外側フレーム14、リブ18、およびその組合せなどの支持構造を含む。この支持構造は反射器20を支持する。反射器および/または支持構造は、支柱16によって、収集器または他の反射器などの物体に結合されてもよい。
【0015】
例示の実施形態において、支持構造は外側フレーム14を含む。支持構造は、楕円形、円形、多角形、クラムシェルなどのあらゆる閉じられた形状を含んでもよい。支持構造は、曲面を近似するように隣接する線形セクションに対して傾斜される離散的線形セクションまたは湾曲した構造を含んでもよい。例示の実施形態は、トーラスの外側フレームを含む。
【0016】
例示の実施形態において、支持構造はリブ18を含む。外側フレームの外周部内において任意の数のリブが閉じられた空間を横切ってもよい。リブ18は、反射器20の反射面に対する支持を提供する。リブ18は、反射器20の反射面の形状を画定するために使用されてもよい。リブは、対称的または非対称的構成を画定してもよい。
図1から
図3に示すように、リブは、一終端において外側フレームに付着し、互いに向かって延在し、反対側の終端において互いに直接的または間接的に付着してもよい。リブは、対称的支持構造を画定するために、外側フレーム14の中心軸に接近してもよい。リブは、アンテナの所望の反射面を画定するために、湾曲されてもよい。
図3Bに示すように、リブは、外側フレーム14の面外に延在してもよい。
【0017】
略放物線形状など、反射器の形状を画定するリブは、IビームまたはTビームなどの追加の剛性のために断面二次モーメントを増やす断面で製作されてもよい。剛性は、追加的または代替的に、隣接リブ間に結合された交差リブを含むことによって増加されてもよい。
図5は、オフセット形状のための交差リブを有する例示の実施形態を示す図である。ただし、そのような構成は、さらに、いずれかの知られている実施形態または開示されている実施形態のために使用されてもよい。
【0018】
例示の実施形態において、支柱16は構成要素部分を結合するために使用されてもよい。例えば、支柱は、反射器間、反射器と収集器との間、またはそのいずれかの組合せまたは他の構成要素の間に延在してもよい。支柱は、支持構造に対して直接的または間接的に結合してもよい。
【0019】
例示の実施形態において、外側フレーム14および/またはリブ18および/または支柱16を含む支持構造は、形状記憶複合材料を含んでもよい。形状記憶複合材料は、アンテナを、外力の印加の下で非構造化された形態で折り畳み可能とする。したがって、折り畳まれた構成は、格納コンパートメントまたは印加外力に基づいて動的に決定されてもよい。例えば、形状記憶複合材は、力が印加されたときの長さに沿って柔軟または変形可能でもよい。しかしながら、形状記憶複合材は、力が取り除かれると、記憶された構成に戻る。したがって、例示の実施形態は、支持構造が外力の印加によって格納容積が減少した収納された構成に保持される、格納された構成と、支持構造が外力の除去時に格納容積が増えて完全に展開される、展開された構成とを含んでもよい。すなわち、記憶された構成またはバイアスがかけられた構成は、支持構造がRF反射器としての使用のために構成される展開された構成でもよい。例示の実施形態において、形状記憶複合材は、外力の印加の下で任意の方向に折曲してもよい。例示の実施形態において、形状記憶複合材は、部材の長さに沿って、または部材の全長に沿って多数の場所において折曲してもよい。例示の実施形態において、形状記憶複合材は、外力が取り除かれると、線形、円形、卵形、曲線状、放物線状、または他の事前に定義された形状などの記憶された構成に戻ってもよい。
【0020】
例示の形状記憶複合材料は、炭素織物または束(tow)、ベクトラン、またはケブラーのうちの1つ以上からなる基材を含む。基材は、撚り糸を含む。撚り糸は、構造の長さに沿って全体的に揃えられてもよく、1つ以上の揃った配置を含んでもよく、巻き付けられても、らせん状に位置付けされてもよく、織られてもよく、これらのいずれかの組合せでもよい。形状記憶複合材料は、基材の周囲および/または間にマトリクスを含む。マトリクスは、シリコーン、ウレタンまたはエポキシでもよい。例示の形状記憶複合材料は、共同特許出願、米国特許公開番号第2016/0288453号、名称「Composite Material」において説明される。
【0021】
例示の実施形態において、形状記憶複合材料、繊維対樹脂の体積分率は、長期にわたる折り畳み状態/梱包状態での収納後でも所望の形状記憶保持を実現するように制御される。例示の繊維対樹脂の体積分率は、52から65、すなわち52パーセントから65パーセントの繊維または48パーセントから35パーセントのマトリクスまたは樹脂である。平均繊維対マトリクス比は、約58パーセントである。繊維は、炭素、ケブラー、ベクトラン、ナイロン、そうでなければ本明細書に記載のものでもよく、樹脂は、ウレタン、シリコーン、エポキシ、そうでなければマトリクスとして本明細書に記載のものでもよい。
【0022】
例示の実施形態において、反射器は高反射面を有する柔軟な膜を含んでもよい。面は、膜面に対して、材料をコーティング、積層、堆積、そうでなければ付着することによって、または膜面自体から、作られてもよい。例示の実施形態において、膜は、マイラー、カプトン、ポリウレタンコーティングナイロン(PCN)、テドラー、テフロン、他のポリイミドまたはプラスチック材料、およびそれらの組合せを含む。反射コーティングは、アルミニウム、銀、銀インコネル、およびそれらの組合せなどの高導電率金属の層を含んでもよい。膜は、さらに、アルミニウムまたはステンレスの箔から、ならびに炭素織物または導電メッシュなどの導電材料から製作されてもよい。膜は、上記の材料のいくつかまたは全ての組合せの積層物からなってもよい。面は、アルミニウムまたは銀または銀インコネルなどの高導電率金属の層によってコーティングされてもよい。メタライゼーションの厚さは、100から2,000オングストロームの間で有り得る。
【0023】
例示の実施形態において、反射器は、マイラー、カプトン、ポリウレタンコーティングナイロン(PCN)、テドラー、テフロン、または他のポリイミドまたはプラスチック材料などの金属化された膜の1つ以上の層とともに積層された形状記憶複合材料から製作されたモノリシック面を含んでもよい。形状記憶複合材は、本明細書で説明するように、アルミニウムまたは銀または銀インコネルなどの高導電率金属の層によってコーティングされてよい。反射コーティングは、形状記憶複合材料または形状記憶複合材料に被覆する膜に直接存在してもよい。例示の実施形態において、形状記憶複合材料のモノリシック面は、支部構造の支柱および/または外側フレームを置き換える。本質的に、モノリシックの形状記憶複合材料は、自立式の構造となる。
【0024】
例示の実施形態において、反射器要素は、高導電率金属の層によってコーティングされた梱包可能な膜である。膜は、マイラー、カプトン、ポリウレタンコーティングナイロン(PCN)、テドラー、テフロン、または他のポリイミドまたはプラスチック材料でもよい。膜の二重湾曲は、シームにおいて溶ける接着剤または材料によって、または直接鋳造または熱成形の使用によって結合された膜の、正確に裁断された平ゴアの結合によって得られる。支持構造は、トロイダルリング、放射状のリブおよび支柱である。これらは、炭素織物または束、ベクトラン、ケブラーのうちの1つまたは組合せからなる複合材料から製作される。複合物のマトリクスは、シリコーン、ウレタンまたはエポキシでもよい。支持構造は、折り畳み梱包および収納のために折り畳み式であるように設計および組み立てられる。また、支持構造は、形状記憶複合材を使用して組み立てられてもよい。高アンテナ利得および高効率を達成するために必要な湾曲を有するように、複合リブが組み立てられる。一例として、放物面反射器のために、全てのリブは放物面に位置する。梱包のため、トロイダルリング、リブおよび支柱は、折畳傘のように折り畳まれ、反射器膜はリブ、支柱およびトロイダルリングの間またはそれらの上に収納される。展開は、梱包(または収納)構成における蓄積された歪みエネルギーを解放することによって、梱包されたアンテナを最終アンテナ構成に展開可能にすることによって実行される。支持構造の材料のまさにその性質による、それらの弾力性は組立時の硬度スケールを上下するように調節可能である。
【0025】
しかしながら、反射器設計の例示の実施形態は、折り畳み可能な形状記憶炭素複合材料から製作される支持構造とともに、1,500オングストロームの銀インコネルによってコーティングされた低熱膨張係数のポリイミド膜のゴアを含む。RF反射要素と支持構造との間の熱膨張係数(CTE)差に対して耐性のある構造を実現するため、Novastrat(TM)などの超低CTE膜を使用してもよい。
【0026】
アンテナ面にあたる太陽輻射圧が低減される必要がある用途のために、膜上のメタライゼーションが、所定の幅および間隔の「垂直」および「水平」のストライプによる導電性の格子パターンとしてレイアウトされてもよい。特定のRF周波数における所望のRF透過率またはRF反射率が与えられた場合、導電ストライプの幅および間隔が決定され得る。メタライゼーションのない状態での膜のエリアが、高い割合の太陽放射線が透過されることを可能とし、膜における太陽輻射圧全体を低減する。ストライプはあらゆるパターンを有してもよく、線形または直交構成に限定されない。ストライプは、アンテナの外周部、支持構造、または他の形状または輪郭に一致するように湾曲されてもよい。ストライプは、等間隔で離間されてもよく、連続する隣接ストライプ間で可変のスペースを有してもよく、または同じ隣接のストライプに沿って可変のスペースを有してもよい。例えば、支持構造と類似して、ストライプが扇形に広がってもよい。また、ストライプはそれらの長さに沿って線形でもよい。
【0027】
場合によって、折り畳み可能な棒の代わりに中空管から製作される支持構造を有することが好ましい場合がある。それらの展開は、オンボードポンプと、窒素、二酸化炭素、または、ヘリウムまたはアルゴンなどの他の不活性物質などの膨張ガス(inflatant gass)の使用によって開始されてもよい。ミッション概念に応じて、他のガスも使用されてもよい。
【0028】
例示の実施形態において、反射器20と開口面との間に閉じられた容積を有するために、反射器20の開口部は、カプトン、マイラー、テドラー、カプトン、ポリウレタンコーティングナイロン織物または類似のものなどの膜によって被覆されてもよい。反射器20の開口部は、カバーが上に位置付けされたときに、反射器および/または支持構造および/または網と、構造が展開されたときのカバー材料との間に空隙または空間が形成されるように、支持構造または従属部品の任意の組合せの外周によって画定されてもよい。これが、窒素、二酸化炭素、またはヘリウムまたはアルゴンなどの他の不活性物質などの膨張ガスを使用した膨張によって反射器の展開を可能とする、および/または支援するための閉じられた容積の加圧を可能とする。ミッション概念に応じて、他のガスも使用されてもよい。その最終形状への展開は、膨張の使用によって支援されてもよい。これは、アンテナ面および膜カバーからなる閉じられた容積を有するために、カプトン、マイラー、テフロン、またはテドラーなどの膜でアンテナの開口エリアを覆うことによって実現される。この閉じられた容積は、その後、窒素、二酸化炭素、またはヘリウムまたはアルゴンなどの他の不活性ガスを使用して膨張される。その最終の展開された形状まで加圧後、膨張物質(inflatant)は、非推進的または他の方法で排出されるか、中に置いたままとなるようにすることができてもよい。
【0029】
例示の実施形態において、非膨張の膜アンテナが完全に展開されると、展開構造は、それが製作される材料のためだけではなく、その形状のために硬くなる。本明細書で説明する実施形態によれば、構造の剛性に追加するために、膨張物質がさらに使用されてもよい。
【0030】
例示の実施形態において、形状記憶材料は、支持構造の全てまたは一部のみ使用されてもよい。例えば、反射器の外側フレームは形状記憶材料を含んでもよい一方、リブは従来の剛性のセグメント化された材料を含んでもよい。これによって、形状記憶構造と従来の構造との他の組合せも企図される。したがって、これによって、構成要素のあらゆる組合せにわたる、形状記憶複合材料、膨張可能材料、剛性化可能材料、または剛性材料のあらゆる組合せが企図される。
【0031】
図6Aは、例示のコンパクト化可能な展開可能アンテナ構成を示す図である。図示するように、支持構造は、外側フレーム14と複数の支柱16とによって作られてもよい。支柱は、外側フレームから宇宙船または収集器(全体としてはハブと呼ばれる)へ延在する。外側フレーム14および複数の支柱16は反射器20のための支持構造を画定する。支持構造は、膨張可能、剛性化可能または静的な折り畳み可能構造など、上述したように形状記憶複合材、または他の知られている材料を含んでもよい。図示するように、支持構造はトロイダル外側フレームと3本の支柱とを含む。ただし、任意の数の支柱が使用されてもよく、好ましくは2本から6本の支柱が使用されてもよい。支持構造は、反射面が全体的に含まれるための外部エンベロープまたは外面を画定する。支持構造は、展開アンテナの形状を画定するための展開可能な構造である。
【0032】
コンパクト化可能な展開可能アンテナは、外側フレーム14によって囲まれ支持される網メッシュ22を含む。
図6Bは網メッシュの立面図であり、
図6Cおよび
図6Dは網メッシュのノートを引き伸ばした図である。網メッシュは、本明細書で説明するように、取付点のために複数のノード26を提供する任意の柔軟な材料でもよい。外側フレームが展開されると、網メッシュは広がる。網メッシュの複数のノードは、網メッシュからハブへ延在する引張り要素24に結合される。支持構造が展開されると、引張り要素が張力をかけられ、網メッシュの表面形状を画定する。網メッシュは、展開状態にあるとき、外側フレーム面外、全体的には湾曲した構造を画定してもよい。引張り要素は、網メッシュをハブに向かって保持してもよい。
【0033】
引張り要素は、反射膜のための支持構造を提供してもよい。したがって、反射器20は、網メッシュ、外側フレーム、および支柱によって画定される容積内に画定されてもよい。反射器20は、引張り要素に結合された複数のパネルを含んでもよい。パネルの位置は、反射器形状を画定してもよい。反射器表面は、全体として平面のパネルの段階的ポジショニングによって曲面に近似してもよい。反射器20は、アルミニウム、銀、または銀インコネルなどの100から1500オングストロームの厚さの高導電率金属の層によってコーティングされた、マイラー、カプトン、ポリウレタンコーティングナイロン(PCN)またはテドラーからなるパネルを含んでもよい。本明細書で説明する、または当業者によって知られている他の反射面も使用されてもよい。
【0034】
例示の実施形態において、反射器20および網メッシュ22は、代わりに、反射器が位置22に存在し網メッシュが位置20に存在するように入れ替えられてもよい。20および22の再ポジショニング後、本来の湾曲した形状は保持され、逆にはされない。この新しい構成において、代わりに位置22に存在する反射器20は22の本来の湾曲を維持し、代わりに位置20に存在する網メッシュは20の本来の湾曲を保持する。
【0035】
例示の実施形態において、高度にコンパクト化可能な展開可能アンテナは、外周トロイダルリング支持部を有する網メッシュと、3本以上の支柱と、複数の紐(引張りタイ)と、導電放物線状膜表面と、その組合せ(または本明細書で説明する他の実施形態からの組合せ)とを含む。軽量高硬度の引張り要素、紐は、網メッシュ構造のノードのそれぞれに取り付けられる。紐のそれぞれの他端は、ハブに対してその逆の端部で取り付けられる。紐が支持構造の展開によって引っ張られると、網メッシュは、例えば逆網メッシュドームを画定するように図示のように所望の曲面に変形する。湾曲した形状は、放物面、球面または双曲面を含むが限定されない任意の回転面でもよい。例示の実施形態が説明する曲面は、区分的平面または線形セグメントによるそれらの近似を含む。
【0036】
100mの直径までの数十メートル程度の開口部直径を有する小収納容積のアンテナは、この設計を使用して組み立てられることができる。
【0037】
図6Bは、網メッシュ逆ドームの平面図である。反射器面は、アルミニウム、銀、または銀インコネルなどの100から1500オングストロームの厚さの高導電率金属の層によってコーティングされた、マイラー、カプトン、ポリウレタンコーティングナイロン(PCN)またはテドラーからなる三角形の導電ファセットからなってもよい。三角形の金属化されたファセットは、
図6Cに示すものと非常に類似して見える。金属化された三角形ファセットの頂点のそれぞれは、例えば放物面などの所望の回転面を形成するために、引張られている紐に対して適切な場所で取り付けられてもよい。導電膜ファセットは高い膜応力に対して引き伸ばされる必要はないため、支持構造(トロイダルリングおよび支柱)に対する負荷は小さくてもよい。これは、システム全体に対するより低質量につながる。
【0038】
また、反射器は、シームにおいて溶ける接着剤または材料によって、または直接鋳造または熱成形の使用によって結合された金属化された膜の、正確に裁断された平ゴアから製作されてもよい。
【0039】
支持構造は、トロイダルリングおよび支柱を含んでもよい。支持構造は、炭素織物またはトー(toes)、ベクトラン、ケブラーのうちの1つまたは組合せからなる複合材料から製作されてもよい。この複合物のマトリクスは、シリコーン、ウレタン、またはエポキシでもよい。支持構造は、折り畳み梱包および収納のために折り畳み式であるように設計および組み立てられる。また、支持構造は、形状記憶複合材を使用して組み立てられてもよい。高アンテナ利得および高効率を達成するために必要な湾曲を有するように、反射器ドームの網メッシュが組み立てられる。梱包のため、トロイダルリングおよび支柱は折り畳まれ、同様に、反射器膜は支柱とトロイダルリングとの間またはそれらの上に収納される。展開は、梱包(または収納)構成における蓄積された歪みエネルギーを解放することによって、梱包されたアンテナを最終アンテナ構成に展開可能にする、形状記憶複合材料から製作される、(a)テレスコープ形支柱の組、または(b)支柱の組およびトロイダルリング、のいずれかの使用によって実行されてもよい。支持構造の材料のまさにその性質のため、それらの弾力性は組立時の硬度スケールを上下するように調節可能でもよい。
【0040】
例示の実施形態において、支持構造または支持構造の一部は、中空管によって製作される。この管状支持構造の展開は、窒素、二酸化炭素、またはヘリウムまたはアルゴンなどの他の不活性物質などの膨張ガスの使用によって実行されてもよい。他のガスが使用されてもよい。
【0041】
引張り要素のからまりを防ぐため、
図8A、
図8Bに示すように、各紐は、2つのエンクロージャ28内に梱包されてもよく、一方が網メッシュ端部30、他方がハブに隣接した逆端部32に取り付けられてもよい。支柱が展開されると、紐はそれらのエンクロージャから引っ張り出される。エンクロージャは、管などのいずれかの円形エンクロージャでもよい。エンクロージャは、所与の形状を保持する必要はないが単純に紐を互いから分離するように、柔軟で変形可能でもよい。
【0042】
図9は、本明細書で説明する実施形態による支持構造のための形状記憶複合材料を作る例示の方法のためのフロー図である。例示の実施形態は、マンドレル内に繊維を位置付けることと、そこに樹脂を適用することとを含んでもよい。繊維の湿潤を向上させるために、繊維撚糸は、まず、アセトン、IPA、および/または他の洗浄剤を使用して洗浄されてもよい。樹脂への繊維の含浸を向上させるため、樹脂の前に、プライマー要素が繊維に対して適用されてもよい。洗浄過程は、繊維を周囲温度よりも高い温度に数分から数時間さらすことによって支援されてもよい。
【0043】
複合材料の長期形状記憶属性を向上させるため、樹脂マトリクスを結合または適用する前に追加ステップが繊維に対して適用されてもよい。例示の実施形態において、繊維は、毒性分子(サイジング)の除去のための溶剤を使用して洗浄される。例示の実施形態において、(a)残留毒性分子を中和する、および(b)樹脂と繊維との間の反応基を結合(リンク)する追加分子を導入するために、繊維に対してプライマー処理が適用される。例示の実施形態において、必要に応じて、一方または両方のステップが順次行われてもよい。各ステップによって、結合の向上および良好な形状記憶特性につながる。両方のステップを組立過程に組み込んだ後、複合材料の例示の実施形態は形状記憶特性の保持が2年まで持続したことを示した。
【0044】
本明細書で説明する実施形態による複合材料の組立の例示の実施形態において、繊維表面のサイジング(コーティング)を抽出するために、繊維は、まず、大量の洗浄溶液(すなわちアセトン)を有する容器に沈められる。繊維バンドルへの洗浄溶液の浸透を助けるため、溶液はかき混ぜられてもよい。その後、繊維は除去され、最初に沈められた時に取り除かれなかった残留サイジングをさらに抽出するために、大量の洗浄溶液を有する第2の容器に位置付けされてかき混ぜられる。その後、洗浄溶液から繊維が除去され、溶液を乾燥可能とするために(周囲条件においておおよそ30分間)作業台に置かれる。
【0045】
本明細書で説明する実施形態による複合材料を組み立てる例示の実施形態において、プライマー溶液を有する容器に繊維が沈められて、プライマー分子の繊維バンドルへの浸透を助けるためにかき混ぜられてもよい。その後、繊維はプライマー溶液から除去され、プライマー溶液中の溶剤が蒸発することを可能とするために(周囲条件においておおよそ30分間)作業台に置かれ、それによって各繊維の表面にプライマー分子のみが残る。
【0046】
例示の実施形態は、容器中および/または乾燥のための台上への繊維のポジショニングについて説明する。しかしながら、洗浄溶液および/またはプライマー溶液を適用するおよび/または繊維を乾燥するいかなる構成も使用可能である。例えば、繊維は吊るされてもよい。例えば、溶液は、浸漬、噴射、ブラシがけ、回転などによって適用されてもよい。
【0047】
以下は、形状記憶炭素複合(SMCC)材料を組み立てるための例示の詳細手順である。
【0048】
まず、炭素繊維(単方向の束)、弾性樹脂、プライマー溶液、アセトン(洗浄溶剤)および成形マンドレルを含む、化学薬品および構成要素が提供される。
【0049】
次に、炭素繊維束は適切な長さに切断される。炭素繊維束は、各端部において、最終部品の所望の長さを超えておおよそ2インチの超過が提供されてもよい。炭素繊維束は、一端において固定され、サイジングおよび汚染を取り除くために洗浄溶剤に位置付けされる。繊維は両端において堅く保持され、器具を用いて溶液に浸され、溶液から持ち上げられる。サイジングが取り除かれた後に繊維束がほどけるのを防ぐために、繊維束の両端は固定、拘束または他の方法で取り付けられてもよい。炭素繊維は洗浄溶液から除去され、過剰な溶剤が除去される。炭素繊維バンドルは、周囲条件においておおよそ30分間など、乾燥することが可能とされる。乾燥時間後も炭素繊維が濡れているようであれば、または乾燥過程を他の方法で支援するために、ヒートガンまたは他の外部の熱源が使用されて乾燥環境の温度を上昇させてもよい。その後、洗浄された繊維バンドルに対してプライマー溶液が適用されてもよい。繊維は一端または両端において堅く保持され、プライマー溶液に浸されて持ち上げられてもよい。プライマー溶液の適用時、さらにプライマー溶液が繊維に浸透したときに、繊維に損傷を与えないように注意が必要である。プライマー処理された繊維バンドルは、その後、周囲条件で1時間など乾燥される。その後、製造者の仕様に従って弾性樹脂が準備される。その後、弾性樹脂が炭素繊維バンドルに適用される。樹脂は繊維に対してブラシで付けられても、適用されてもよい。繊維へのアプリケータとしてテフロンのブロックが使用されてもよい。樹脂含浸繊維は、その後、マンドレルの溝(channel)内に位置付けされてもよい。繊維に対して(繊維への樹脂のアプリケータを使用してなど)圧力がかけられてもよく、それによって繊維はマンドレルの溝の底部に接触して位置付けされ、成形された溝と一致させられる。マンドレルの全ての溝が含浸繊維で満たされるまで、含浸繊維が加えられる。含浸繊維は、マンドレルの溝に対応する適切な長さに切断されてもよい。溝の外側の外面を拭くことによって、過剰な樹脂がマンドレルから取り除かれてもよい。含浸炭素繊維は、マンドレルにおいて硬化することが可能とされる。硬化は、8から16時間、周囲条件において行われてもよい。その後、樹脂を完全硬化状態に硬化するために、マンドレルはオーブンまたは他の熱源内に位置付けされてもよい。複合材料が完全に硬化したら、その構造がマンドレルから取り除かれてもよい。
【0050】
結果としてマンドレルから得られた複合材料は、本明細書で説明するような支持部として使用されてもよい。本明細書で説明する方法からの例示の支持部は、52から65の間の繊維対樹脂の体積分率を有する炭素繊維および弾性樹脂の複合材料を含んでもよい。
【0051】
上記の支持部が作られた後、本明細書で説明するようなアンテナの作製方法は、収集器を支持部に結合することも含んでもよい。収集器を作りおよび結合することは、例えば支持部のトロイダル外側フレームにおいて、網メッシュを支持部に取り付けることを含んでもよい。網メッシュは、複数のノードを画定してもよい。その後、複数のノードに対して複数の引張り要素が取り付けられ、引張り要素が張力をかけられ、展開された構成における網メッシュの展開された形状を画定してもよい。その後、引張り要素に対して膜が取り付けられてもよい。
【0052】
例示の実施形態において、収集器は複数の膜から作られてもよい。したがって、複数の膜のうちの各膜は、隣接する引張り要素に対して、その間で結合されてもよい。また、膜は、その上に位置付けされた、複数のストライプなどのパターンを画定するメタライゼーションを含んでもよい。また、格子など、他のパターンも使用されてもよい。
【0053】
図10Aおよび
図10Bは、本明細書で説明する実施形態による例示のマンドレルを示す図である。例示の実施形態において、凹側は、リブや内側および外側リングなどの炭素繊維複合フレームを置くためのモールドとして使用されてもよい。例示の実施形態は、離型剤としての役割を果たすコーティングを含んでもよい。例示の実施形態において、凸側は膜整列のために使用されてもよい。マンドレルは、最終的な膜形状に従って面が刻まれてもよい。マンドレルは、6061-T6アルミニウム合金などのアルミニウム合金から製作されてもよい。マンドレルは、本明細書で説明するような支持部のための形状を画定する複数の溝を含んでもよい。例えば、マンドレルは、トロイダル外側溝と、トロイダル外側溝に結合される少なくとも3つの支柱溝とを含んでもよい。支柱溝は、トロイダル溝の面外に延在してもよく、支柱溝は互いに向かって全体的に収束してもよい。
【0054】
図11は、コーティングがされていない例示のマンドレルを示す図である。
図12は、離型剤によってコーティングされ写真測量のための再帰反射対象(retro-reflective target)を含む例示のモールドを示す図である。
図13は、硬化およびマンドレルからの除去後の例示の複合材料構造を示す図である。
図14は、写真測量のための再帰反射対象を有するマンドレル内に位置付けされた例示の複合材料を示す図である。
【0055】
大型アンテナが組み立てられる際の同一または類似の構造的な電磁梱包、折り畳みおよび記憶保持性能を実現するために、厚さ、幅、繊維対樹脂体積分率、炭素繊維の種類、および表面幾何構造テッセレーションなどの最適なパラメータが決定され、それに従って選択される。
【0056】
本明細書で説明する実施形態に対して多くの変形および変更がなされてもよく、それらの要素が特に許容可能な例であるとして理解されるべきであることは強調されるべきである。そのような変更および変形の全ては本明細書において本開示の範囲内に含まれて以下の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。さらに、本明細書で説明するステップのいずれも同時または本明細書で順序付けされたステップとは異なる順序で実行され得る。さらに、明らかであるように、本明細書で開示する特定の実施形態の特徴および属性は、さらなる実施形態を形成するために異なる方法で組み合わされてもよく、それらの全ては本開示の範囲内にある。
【0057】
特定の用語は、参照目的でのみ以下の記載で使用されてもよく、したがって限定的であることが意図されない。例えば、「上」および「下」などの用語は、参照がなされる図面においての方向を指す。「前」、「後」、「左」、「右」、「後部」および「側」などの用語は、考察されている構成要素または要素を説明する文および関連図面を参照することによって明確となる、一貫しているが任意の参照枠内の構成要素または要素の部分の向きおよび/または場所を説明する。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、個別の構成要素を説明するために使用されてもよい。そのような用語は、上記で具体的に言及されている語、その派生語、および類似の語を含んでもよい。
【0058】
特に、本明細書中の「できる」、「可能である」、「よい」、「場合がある」、「など」などの条件の文言は、特記しない限り、または使用されている文脈内で別の意味に理解されない限り、特定の実施形態が特定の特徴、要素および/または状態を含むことを伝えることが一般的に意図される。ただし、そのような文言は、さらに、その特徴、要素または状態が存在しない実施形態も同様に含む。したがって、そのような条件の文言は、特徴、要素および/または状態が1つ以上の実施形態のために何らかで必要とされること、または1つ以上の実施形態が別の実施形態によって説明されない構成要素を必ず排除することを示唆することが一般的に意図されない。
【0059】
さらに、以下の用語が本明細書で使用された場合がある。単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないと示さない限り、複数の指示物を含む。したがって、例えば、ある項目への参照は、1つ以上の項目への参照を含む。用語「もの(ones)」は、1つ、2つ、またはそれより多くのものを指し、一般的にはある量の一部または全ての選択に適用される。用語「複数」は、2つまたはそれよりも多くの項目を指す。用語「約」または「おおよそ」は、量、寸法、大きさ、配合、パラメータ、形状、および他の特徴が正確である必要がなく、近似でもよく、および/または必要に応じて大きくとも、または小さくともよいことを意味し、許容され得る許容差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、さらには当業者には知られている他の要因を反映する。用語「ほぼ」は、記載されている特徴、パラメータ、または値が正確に達成される必要がなく、例えば許容差、測定誤差、測定精度限界、および当業者には知られている他の要素を含む、偏差またはばらつきは、その特徴が提供することを意図した効果を妨げない量において生じてもよいことを意味する。例えば、用語「おおよそ」、「約」、および「ほぼ」は、記載された量または特徴の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、0.01%未満の量を指す場合がある。「約」または「おおよそ」の後につづく数字は、記載されている数字も含む。例えば、「約3.5mm」は、「3.5mm」を含む。例えば、本開示は、「約」または「おおよそ」などの用語の後につづく値または範囲が、そのような用語がある場合でも、ない場合でも本開示において可能であることを明示的に企図する。
【0060】
数値データは、本明細書において範囲形式で表現または提示される場合がある。そのような範囲形式は、便宜性または簡潔性のために使用されているのに過ぎず、したがって範囲の限界として明示的に記載される数値を含むことが柔軟に解釈されるだけでなく、あたかも各数値および部分範囲が明示的に記載されているように、範囲内に包含される個別の数値または部分範囲の全てを含むと解釈されるべきであることを理解されるべきである。一例として、「約1から5」の数値範囲は、約1から約5の明示的に記載される値を含むと解釈されるだけでなく、その示された範囲内の個別の値および部分範囲も含むと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、2、3および4などの個別の値と「約1から約3」、「約2から約4」、「約3から約5」、「1から3」、「2から4」、「3から5」などの部分範囲が含まれる。別の例として、「約1から約5」の数値範囲は、「1から5」の範囲の実施形態も含む場合がある。この同じ原則は、1つの数値のみを記載する範囲(例えば「約1より大きい」)にも適用され、記載される範囲または特徴の幅にかかわらず適用されるべきである。便宜上、複数の項目が共通のリストにおいて提示される場合がある。しかしながら、そうしたリストは、リストの各メンバーが別々の固有のメンバーとして個々に識別されるかの如く解釈されるべきである。したがって、そのようなリストの個々のメンバーは、そうでないと表示されていない共通のグループにおける提示のみに基づいて、同一のリストの任意の他の要素と事実上の等価物として解釈されるべきではない。さらに、項目の列挙とともに用語「および」と「または」とが使用される場合、列挙された項目の1つ以上が単独で、または他の列挙された項目と組み合わせて使用されてもよい点において、広義で解釈されるべきである。用語「代替的に」は、2つ以上の選択肢のうちの1つの選択を指し、文脈が明らかに示す場合を除き、その選択を、それらの列挙された選択肢のみ、または一度に列挙された選択肢の1つのみに限定することは意図されない。