(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】シリコーン代替物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20240426BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240426BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240426BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20240426BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240426BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240426BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/73
A61K8/37
A61K8/33
A61Q19/00
A61Q1/00
A61Q5/00
(21)【出願番号】P 2021507446
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2019071311
(87)【国際公開番号】W WO2020035387
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-07-11
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503206651
【氏名又は名称】オレオン ナームロゼ フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】ヒルデ ペーテルス
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第4656367(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0190864(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同時の又は別々での使用のための組み合わせ調製物としての、少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールと、エチルセルロースポリマーとを含む生産物であって、重量比(少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコール)/(エチルセルロースポリマー)が2~9999である、生産物。
【請求項2】
前記生産物がゲル状プレブレンドである、請求項1に記載の生産物。
【請求項3】
以下の工程:
i)少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールをエチルセルロースポリマーと混合して、プレブレンドを得る工程;
ii)前記エチルセルロースポリマーのガラス転移温度よりも高い温度での撹拌下に、前記プレブレンドを加熱する工程;及び
iii)前記プレブレンドを攪拌下に冷却して、ゲル状プレブレンドを得る工程;
を含む、ゲル状プレブレンドを調製するためのプロセス。
【請求項4】
ラウリン酸イソアミル、ジヘプタン酸プロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、
トリへプタノイン、ココカプリレート/カプレート、エチルマカダミエート、オクチルドデシルオリベート、セバシン酸ジイソアミル、ブチレングリコールジカプリレート/ジカプレート、ネオペンタン酸イソデシル、イソステアリン酸メチルヘプチル、ネオペンタン酸イソデシル、ジカプリリルエーテル、炭酸ジカプリリル、カプリル酸プロピルヘプチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される低粘度シリコーン代替物の粘度を上昇させるための、請求項1又は2に記載の生産物の使用。
【請求項5】
以下を含むか又は以下からなる組成物:
- ラウリン酸イソアミル、ジヘプタン酸プロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、
トリへプタノイン、ココカプリレート/カプレート、エチルマカダミエート、オクチルドデシルオリベート、セバシン酸ジイソアミル、ブチレングリコールジカプリレート/ジカプレート、ネオペンタン酸イソデシル、イソステアリン酸メチルヘプチル、ネオペンタン酸イソデシル、ジカプリリルエーテル、炭酸ジカプリリル、カプリル酸プロピルヘプチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される低粘度シリコーン代替物;
- 少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコール;及び
- エチルセルロースポリマー。
【請求項6】
請求項5に記載の組成物であって、
- 前記低粘度シリコーン代替物は、ラウリン酸イソアミル、ジヘプタン酸プロピレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択され;
- 少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体である前記アルコールは、オレイン酸又はオレインアルコールから調製されるダイマージオールである、上記組成物。
【請求項7】
少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体である前記アルコール、前記エチルセルロースポリマー、及び前記低粘度シリコーン代替物を混合することによる、請求項5又は6に記載の組成物を調製するためのプロセス。
【請求項8】
シリコーン代替物としての、請求項5又は6に記載の組成物の使用。
【請求項9】
請求項1若しくは2に記載の生産物、又は請求項5若しくは6に記載の組成物、有効成分、及び/又は顔料若しくは着色剤を含む、化粧品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産物と、低粘度シリコーン代替物の粘度を上昇させるためのその使用と、得られる組成物と、シリコーン代替物としてのその使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン又はポリシロキサンは、非常に優れた肌触りと広がり特性のため、化粧品に広く使用されている。それらはまた、皮膚及び毛髪製品などの化粧品組成物に特に適している。
【0003】
その粘度が50mPa.s未満の低粘度シリコーンから、その粘度が50mPa.s~100,000mPa.sの範囲の中~高粘度のシリコーンまで、多種多様なシリコーンが利用可能である。それらの用途は最終生産物によって異なる。
【0004】
しかし、シリコーンは皮膚に浸透しやすいため、特に皮膚に塗布する場合、化粧品にシリコーンを使用することにはいくつかの懸念がある。
【0005】
また、ここ数年で多くの代替品が開発されてきた。しかし、利用可能な代替物は主に低粘度のシリコーンに取って代わり、利用可能な代替物の粘度は50mPa.sを超えず、ほとんどの場合20mPa.sを超えないようである。
【0006】
その粘度が少なくとも50mPa.sで、シリコーンの利点を示し、シリコーンの欠点を回避する、シリコーン代替物を見つける必要性がいまだに存在する。
【0007】
特に、以下の特性を満たす、化粧品に受け入れられる安全な代替品を見つけることは興味深いであろう:
- 肌触りの良さ、
- 広がりの良さ、そして
- 広範囲の粘度。
【0008】
驚くべきことに、アルコールとエチルセルロースポリマーの組み合わせ調製物は、いくつかの低粘度シリコーン代替物の粘度を上昇させ得ることが見いだされた。
【0009】
確かに、エチルセルロースポリマーは疎水性であるが、それが全ての有機相に溶解することを意味するものではない。特に、これをいくつかの低粘度シリコーン代替物、例えば非常に優れた肌触りと広がり特性を備えた市販の低粘度シリコーン代替物であるラウリン酸イソアミルやジヘプタン酸プロピレングリコールなどに溶解させることは困難である。
【0010】
本発明の生産物は、低粘度シリコーン代替物に溶解し、従って25℃及びゼロ剪断速度で、中粘~高粘度、特に50~100,000mPa.s、より詳細には50~5,000mPa.sの、広範囲の粘度にアクセスできる。
【0011】
従って、本発明は、同時又は別々の使用のための組み合わせ調製物として、少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールと、エチルセルロースポリマーとを含む生産物に関する。
【0012】
本発明の生産物は、別々であるが機能的に相互作用する個々の成分、特定のアルコール、及びエチルセルロースポリマーのセット(「部品のキット」)である。
【0013】
少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールは、1つ以上のヒドロキシル基、例えば1つ又は2つ又は3つのヒドロキシル基を含み得る。
【0014】
好ましくは、アルコールは、炭素、水素、及び酸素原子のみからなる。
好ましくは、アルコールは分枝アルコールである。特にアルコールは、ゲルベ(Guerbet)アルコール、ダイマージオール、及び/又はポリ(ダイマージオール)からなる群から選択される。
【0015】
ゲルベアルコールは、1種以上の1級アルコールの脱水素と縮合を含むゲルベ反応によって得られる分岐アルコールである。
【0016】
ダイマージオールは、環状及び非環状異性体の混合物であり、当業者に公知である。これは通常、以下の方法で得られる:
- 不飽和脂肪酸又はそのエステルのダイマー化と、それに続くそれぞれの酸又はエステル基のヒドロキシル基への還元、又は
- 不飽和脂肪アルコールのダイマー化。
【0017】
有利には、不飽和脂肪酸又はそのエステル及び不飽和脂肪アルコールは、それぞれ、モノカルボン酸又はそのエステル及びモノアルコールであり、脂肪酸又は脂肪アルコールの各炭化水素鎖は、18~24、好ましくは18~22個の炭素原子を含む。またダイマージオール分子は、好ましくは36~48、より好ましくは36~44個の炭素原子を含む。
【0018】
本出願において、他に明記されない限り、使用される値のすべての範囲は、包括的限界(inclusive limits)であると理解されるべきである。
【0019】
好ましくは、ダイマージオールは、50重量%超の、より好ましくは70重量%超の非環状異性体を含み、重量パーセントは、ダイマージオールの総重量に対して与えられる。ダイマージオールの総重量とは、全てのダイマージオール分子の重量を意図している。
【0020】
ポリ(ダイマージオール)は重合したダイマージオールであり、これは通常、ダイマージオールの調製中に副産物として生じる。これは、エーテル官能基によって連結された少なくとも2つのダイマージオール単位を含む。重合度は、好ましくは2から5まで、より好ましくは2から3まで変化する。
【0021】
好ましくは、ポリ(ダイマージオール)分子は、72~96、より好ましくは72~88個の炭素原子を含む。
【0022】
ポリ(ダイマージオール)は、異なる重合度を有するポリ(ダイマージオール)分子の混合物であり得る。好ましくは、ポリ(ダイマージオール)は、重合度2を有するポリ(ダイマージオール)分子の少なくとも50重量%を含み、重量パーセントは、ポリ(ダイマージオール)の総重量に対して与えられる。特にポリ(ダイマージオール)は、72個の炭素原子を含む少なくとも50重量%のポリ(ダイマージオール)分子を含み、重量パーセントは、ポリ(ダイマージオール)の総重量に対して与えられる。ポリ(ダイマージオール)の総重量とは、すべてのポリ(ダイマージオール)分子の重量を意図している。
【0023】
本発明の生産物において、少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールの混合物を使用することができる。
好ましくは、少なくとも36個の炭素原子を含むアルコールは、23℃、より好ましくは20℃、及び大気圧で液体である。
【0024】
好ましくは、少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールは、144個以下、より好ましくは88個以下、さらにより好ましくは72個以下の炭素原子を含む。好ましくはアルコールは、36個の炭素原子を含む。特にこれは、ステアリンアルコール(stearic alcohol)及び/又はイソステアリンアルコール(isostearic alcohol)から調製されたゲルベアルコール、及びオレイン酸又はオレインアルコール(oleic alcohol)から調製されたダイマージオールからなる群から選択される。有利にはアルコールは、オレイン酸又はオレインアルコールから調製されるダイマージオールである。
【0025】
エチルセルロースポリマーはセルロースの誘導体であり、ここで、繰り返しグルコース単位上のいくつかのヒドロキシル基はエトキシル基に変換されている。特に、エチルセルロースポリマーは式(I)のものである:
【化1】
【0026】
ここで
- R1、R2、及びR3は、同一であるか又は異なり、H又はCH2CH3を表し、
- 整数nは少なくとも2である。
【0027】
市販のエチルセルロースポリマーにおいて、エトキシル含有量は、エチルセルロースポリマーの重量に基づいて45~51重量%、好ましくは48~49.5重量%の範囲である。エチルセルロースポリマーは、トルエン:エタノールの80:20混合物(wt/wt)を含む溶液の重量に対して5重量%の濃度で希釈した場合の、25℃での粘度を特徴とする。本発明では、4mPa.s~350mPa.sの粘度を有するエチルセルロースポリマー、好ましくは7mPa.s~200mPa.sの粘度を有するエチルセルロースポリマー、より好ましくは45mPa.s~100mPa.sの粘度を有するエチルセルロースポリマーを使用することができる。
【0028】
あるいは、異なる粘度を有するエチルセルロースポリマーの混合物を使用することができる。
【0029】
本発明の生産物において、重量比(少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコール)/(エチルセルロースポリマー)は、好ましくは2~9999、より好ましくは6~499、さらにより好ましくは9~399である。
【0030】
有利には、本発明の生産物は、液体、好ましくは疎水性液体の粘度を上昇させるために使用される。
【0031】
好適な実施態様において、本発明の生産物の成分は、例えばプレブレンドの形で同時に使用される。少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールとエチルセルロースポリマーとは、最初に一緒にブレンドされてプレブレンドを形成する。「プレブレンド」とは、本発明の生産物がプレミックス形態であることを意味する。
【0032】
あるいは、別の実施態様において、本発明の生産物の成分は別々に使用される。少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコール及びエチルセルロースポリマーは、個別的に及び/又は引き続いて第3の液体成分と混合される。従って本発明は、少なくとも36個を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールと、エチルセルロースポリマーとを含むプレブレンドに関する。
【0033】
特に、本発明の生産物は、ゲル状プレブレンドである。
「ゲル状プレブレンド」とは、展性(malleable)のある粘稠度の生産物であって、光を透過させる(半透明又は透明)ものを意図している。
【0034】
エチルセルロースポリマーの含有量は、プレブレンドの重量に基づいて0.01重量%まで低くてもよい。エチルセルロースポリマーの粘度とプレブレンド中のその含有量に応じて、広範囲の粘度を有するプレブレンドを得ることができる。25℃及びゼロ剪断速度でのプレブレンドの動的粘度(dynamic viscosity)は、2.5~3,000Pa.s超まで変化する可能性がある。しかしプレブレンドの粘度は温度とともに低下するため、実施例1のポイント1.4に示すように、より粘性の高いプレブレンドを、好ましくは80℃以下の温度で加熱して、注入可能にすることができる。
【0035】
好ましくは、(ゲル状)プレブレンドは、
- 少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体である、70~99.99%、好ましくは80~99.9%、より好ましくは85~99.8%、さらにより好ましくは90~99.7重量%の1種以上のアルコールと、
- 0.01~30%、好ましくは0.1~20%、より好ましくは0.2~15%、さらにより好ましくは0.3~10重量%の1種以上のエチルセルロースポリマーと、を含むか又はそれらからなり、
重量パーセントは、(ゲル状)プレブレンドの総重量に基づく。
【0036】
特に好適なゲル状プレブレンドにおいて、少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールは、オレイン酸又はオレインアルコールから調製されるダイマージオールである。好ましくは、本発明の特に好適なゲル状プレブレンドで使用されるエチルセルロースポリマーは、100mPa.s(上記で定義される)の粘度を有する。
【0037】
本発明のゲル状プレブレンドは、いくつかのレオロジー特性を示す。特に、ゲル状プレブレンドは、剪断減粘性及びチキソトロピー特性を示す。
【0038】
剪断減粘性とは、剪断速度などの応力が増加すると粘度が低下する化合物又は化合物の混合物を意図する。さまざまなプレブレンドの剪断減粘特性を、実施例1、表2に示す。
【0039】
チキソトロピーとは、剪断速度を増加させると粘度が低下し、剪断が停止すると粘度が回復する化合物又は化合物の混合物を意味する。
図1に示すように、ゲル状プレブレンドに適用される剪断速度が低下すると、応力経路が遅れてヒステリシスループを形成し、初期の剪断応力値よりも低い点に戻り、これはほとんどのチキソトロピー材料に特徴的である。
【0040】
本発明のゲル状プレブレンドは、剪断が停止した後、その初期粘度及びそのゲル状テクスチャーを回復する。
【0041】
本発明はまた、以下の工程を含むゲル状プレブレンドを調製するためのプロセスに関する。
i)少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールをエチルセルロースポリマーと混合して、プレブレンドを得る工程;
ii)エチルセルロースポリマーのガラス転移温度よりも高い温度で撹拌しながらプレブレンドを加熱する工程;及び
iii)攪拌しながらプレブレンドを冷却して、ゲル状プレブレンドを得る工程。
【0042】
少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコール、及びエチルセルロースポリマーは、優先的かつ有利な特徴及び実施態様を含めて、上述した通りである。
【0043】
工程ii)は好ましくは、エチルセルロースポリマーが完全に可溶化されるまで行われる。
2つ以上のエチルセルロースポリマーが使用される場合、工程ii)は最も高いガラス転移温度よりも高い温度で行われる。
【0044】
工程iii)において、プレブレンドは好ましくは、0.6℃/分以下の速度で冷却される。このゆっくりした冷却は、45℃の温度に達するまで、好ましくは40℃まで、より好ましくは35℃の温度に達するまで、制御される。
【0045】
有利には、少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールは、ダイマージオール又はポリ(ダイマージオール)である。従ってゲル状プレブレンドは透明である。好ましくは、アルコールは、オレイン酸又はオレインアルコールから調製されるダイマージオールである。次に得られるゲル状プレブレンドは、透明で、無臭で、無色である。また、本発明のゲル状プレブレンドは有利には、剪断減粘性増粘剤などの化粧品において有利な用途を見出す。
【0046】
本発明は、ラウリン酸イソアミル、ジヘプタン酸プロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、トリエプタノイン、ココカプリレート(coco-caprylate)/カプレート(caprate)、エチルマカダミエート(ethyl madadamiate)、オクチルドデシルオリベート(octyldodecyl olivate)、セバシン酸ジイソアミル、ブチレングリコールジカプリレート/ジカプレート、ネオペンタン酸イソデシル、イソステアリン酸メチルヘプチル、ネオペンタン酸イソデシル、ジカプリリルエーテル、炭酸ジカプリリル、カプリル酸プロピルヘプチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される低粘度シリコーン代替物の粘度を上昇させるための、本発明の生産物の使用に関する。
【0047】
少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコール、及びエチルセルロースポリマーは、優先的かつ有利な特徴及び実施態様を含めて、上記の通りである。
【0048】
低粘度シリコーン代替物は、化粧品成分の国際命名法(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients:INCI)に従って命名される。
本発明の対象となる低粘度シリコーン代替物はすべて、再生可能な資源、特に植物油から入手可能である。
【0049】
好ましくは、低粘度シリコーン代替物は、ラウリン酸イソアミル、ジヘプタン酸プロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、トリエプタノイン、ココカプリレート/カプレート、エチルマカダミエート、オクチルドデシルオリベート、セバシン酸ジイソアミル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0050】
より好ましくは、本発明の生産物は、ラウリン酸イソアミル及び/又はジヘプタン酸プロピレングリコールの粘度を上昇させるために使用される。
【0051】
1つの実施態様において、本発明の生産物の成分は別々に使用される。少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールと、エチルセルロースポリマーは、個別的に及び/又は引き続いて低粘度シリコーン代替物と混合される。特に、アルコールは最初に低粘度シリコーン代替物と混合され、次にエチルセルロースポリマーが混合される。
【0052】
別の実施態様において、本発明の生産物の成分は同時に使用される。少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールと、エチルセルロースポリマーは、最初に、好ましくは上記プロセスに従ってゲル状プレブレンドの形態で、一緒にブレンドされる。次にプレブレンド又は好ましくはゲル状プレブレンドは、低粘度シリコーン代替物と混合される。
【0053】
実施例2に示されるように、少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコール、及びエチルセルロースポリマーは、低粘度シリコーン代替物と混合された場合、低粘度シリコーン代替物の粘度に対して、個別的に及びそれぞれ不十分な効果を有する。これらがいったん一緒にされると、混合後に低粘度シリコーン代替物の粘度を上昇させることができ、この粘度は、低粘度シリコーン代替物と個別に混合した各成分の粘度上昇の合計よりもはるかに高い。さらにこの相乗効果は、本発明の生産物の両方の成分が同時に使用される場合、特に両方の成分がプレブレンドされ、その結果得られるプレブレンドがゲルの外観を示す場合に、より高い。
【0054】
ラウリン酸イソアミル、ジヘプタン酸プロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、トリエプタノイン、ココカプリレート/カプレート、エチルマカダミエート、オクチルドデシルオリベート、セバシン酸ジイソアミル、ブチレングリコールジカプリレート/ジカプレート、ネオペンタン酸イソデシル、イソステアリン酸メチルヘプチル、ネオペンタン酸イソデシル、ジカプリリルエーテル、炭酸ジカプリリル、カプリル酸プロピルヘプチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される低粘度シリコーン代替物の粘度を上昇させるためのプロセスは、前記低粘度シリコーン代替物を本発明の生産物と、好ましくは本発明の(ゲル状)プレブレンドと混合する工程を含む。
【0055】
本発明はまた、以下を含むか又は以下からなる組成物に関する:
- ラウリン酸イソアミル、ジヘプタン酸プロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、トリエプタノイン、ココカプリレート/カプレート、エチルマカダミエート、オクチルドデシルオリベート、セバシン酸ジイソアミル、ブチレングリコールジカプリレート/ジカプレート、ネオペンタン酸イソデシル、イソステアリン酸メチルヘプチル、ネオペンタン酸イソデシル、ジカプリリルエーテル、炭酸ジカプリリル、カプリル酸プロピルヘプチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される低粘度シリコーン代替物;
- 少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコール;及び
- エチルセルロースポリマー。
【0056】
低粘度シリコーン代替物、少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコール、及びエチルセルロースポリマーは、優先的かつ有利な特徴及び実施態様を含めて、上記の通りである。
【0057】
本発明の生産物において、重量比(少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコール)/(エチルセルロースポリマー)は、好ましくは2~9999、より好ましくは6~499、さらにより好ましくは9~399である。
【0058】
好ましくは、低粘度シリコーン代替物の含有量は、組成物の重量に基づいて1~99重量%の範囲である。
【0059】
好ましくは、少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコール及びエチルセルロースポリマーの含有量は、組成物の重量に基づいて、1~99重量%、好ましくは3~99重量%の範囲である。特に、少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールの含有量は、組成物の重量に基づいて、少なくとも0.95重量%、好ましくは少なくとも1.5重量%、より好ましくは少なくとも2.5重量%である。
【0060】
好ましくは、エチルセルロースポリマーの含有量は、組成物の重量に基づいて、少なくとも0.05重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%である。
【0061】
好適な実施態様において、本発明の組成物は、以下を含むか又は以下からなる:
- 少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%の低粘度シリコーン代替物;
- 36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体である、少なくとも2.85重量%、好ましくは少なくとも5重量%のアルコール;及び
- 少なくとも0.15重量%、好ましくは少なくとも0.3重量%のエチルセルロースポリマー。
【0062】
少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールと、エチルセルロースポリマーとの組み合わせは、低粘度シリコーン代替物のレオロジー特性を変更することができる。実際、本発明の組成物は、実施例3のポイント3.2に示されるように、剪断減粘性である。
【0063】
有利には、本発明の組成物において:
- 低粘度シリコーン代替物は、ラウリン酸イソアミル、ジヘプタン酸プロピレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される;及び
- 少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールは、オレイン酸又はオレインアルコールから調製されるダイマージオールである。
これらの特定の組成物は、透明、無臭、無色である。
【0064】
本発明の特に好適な組成物は、以下を含むか又は以下からなる:
- ラウリン酸イソアミル、ジヘプタン酸プロピレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、40~97重量%の低粘度シリコーン代替物;
- オレイン酸又はオレインアルコールから調製される2.85~59.85重量%のダイマージオール;
- 0.15~9重量%のエチルセルロースポリマー。
【0065】
好ましくは、この特に好適な組成物において、重量比(オレイン酸又はオレインアルコールから調製されるダイマージオール)/(エチルセルロースポリマー)は、9~399である。
好ましくは、エチルセルロースポリマーは、100mPa.sの粘度を有する(上記で定義されるように)。
【0066】
本発明はまた、少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコール、エチルセルロースポリマー、及び低粘度シリコーン代替物を混合することにより、本発明の組成物を調製するためのプロセスに関する。
少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコール、エチルセルロースポリマー、及び低粘度シリコーン代替物は、優先的かつ有利な特徴及び実施態様を含めて、上記の通りである。
【0067】
第1の実施態様において、本発明の組成物を調製するためのプロセスは、以下の工程を含む:
i)低粘度シリコーン代替物を、少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールと混合する工程;
ii)エチルセルロースポリマーを工程i)で調製された混合物に、撹拌しながら添加して組成物を得て、これを、エチルセルロースポリマーのガラス転移温度よりも高い温度まで加熱する工程;
iii)組成物を撹拌しながら冷却する工程。
【0068】
工程ii)において、2つ以上のエチルセルロースポリマーが使用される場合、組成物は、最も高いガラス転移温度よりも高い温度で加熱される。組成物は好ましくは、エチルセルロースポリマーが完全に溶解されるまで、この温度に維持される。
工程iii)において、温度は、好ましくは0.6℃/分以下の速度で、45℃、好ましくは40℃、より好ましくは35℃の温度に達するまで、冷却される。
【0069】
第2の実施態様において、本発明の組成物を調製するためのプロセスは、以下の工程を含む:
i)上記のプロセスに従ってゲル状プレブレンドを調製する工程;
ii)ゲル状プレブレンドを低粘度シリコーン代替物と混合する工程。
【0070】
好ましくは、工程ii)において、温度は80℃以下、より好ましくは60℃以下である。ゲル状プレブレンドは、40~60℃の温度でもよい。工程ii)は好ましくは、均一な組成物が得られるまで行われる。好ましくはゲル状プレブレンドは、低粘度シリコーン代替物に添加される。
【0071】
ゲル状プレブレンドは、加熱なしで、又は80℃以下の温度で加熱すると、上記で定義した低粘度シリコーン代替物に溶解し、これは、特に感熱性の低粘度シリコーン代替物にとって利点である。
【0072】
有利なことに、本発明の組成物において、少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールは、ダイマージオール又はポリ(ダイマージオール)である。組成物は透明である。好ましくはアルコールは、オレイン酸又はオレインアルコールから調製されるダイマージオールである。そこから得られる組成物は透明であり、しばしば無色である。
【0073】
本発明は、シリコーン代替物としての本発明の組成物の使用に関する。
【0074】
特に、この組成物は、中~高粘度のシリコーン代替物として、より詳細には、25℃及びゼロ剪断速度で、50~100,000mPa.s、好ましくは50~5,000mPa.s、より好ましくは60~3,000mPa.sの範囲の粘度を有するシリコーン代替物として使用される。
【0075】
さらに、本発明の組成物は剪断減粘性である。少なくとも36個の炭素原子を含み25℃及び大気圧で液体であるアルコールとエチルセルロースポリマーの、低粘度シリコーン代替物への添加は、後者の剪断減粘特性を与える(実施例3、表6)。これは、本発明の組成物にとっての追加の利点である。シリコーンは剪断減粘性ではない。
【0076】
本発明の組成物は、化粧品組成物に使用することができる。
従って本発明はまた、本発明の生産物、又は本発明の組成物、有効成分、及び/又は顔料又は着色剤を含む、化粧品組成物に関する。
【0077】
本発明の組成物は、化粧品組成物の重量に基づいて、1~99重量%、好ましくは2~75重量%、より好ましくは3~60重量%の量で使用することができる。
【0078】
化粧品組成物は、異なる粘度範囲の液体、油中水型エマルジョン、ゲル、又は固体の形態であり得る。
化粧品組成物は、メーキャップ、スキン製品、又はアイシャドウなどの毛の製品、口紅、リップグロス、日焼け止め製品、クレンジング製品、メーキャップリムーバー、クリーム、又はヘアコンディショナーであり得る。
化粧品組成物は、化粧品に通常使用される追加の成分、例えば界面活性剤及び防腐剤をさらに含むことができる。
【0079】
本発明は、図を参照して、例示として与えられた以下の実施例でさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】適用された剪断速度に応じたプレブレンド1の応力の変化に関する図を表し、プレブレンド1は、95重量%のダイマージオール中に5重量%のエチルセルロースポリマーを含む。
【
図2】プレブレンド1の温度に応じた動的粘度の変化に関する図を表し、プレブレンド1は、95重量%のダイマージオール中に5重量%のエチルセルロースポリマーを含む。
【0081】
実施例で使用された材料:
- 少なくとも36個の炭素原子を含み25℃で液体であるアルコール:
- ダイマージオール:オレイン酸から得られるOleonからのRadianol 1990は、36個の炭素原子を含むダイマージオール異性体の混合物であり、線状異性体含有量は混合物の重量に基づいて76重量%である;
- ポリ(ダイマージオール):粗ダイマー化反応とそれに続く水素化反応からのRadianol 1990の蒸留濾液であり、ポリ(ダイマージオール)の混合物を含み、ポリ(ダイマージオール)の少なくとも50重量%は72個の炭素原子を含む;
- isoC36アルコール:イソステアリンアルコールから得られるゲルベアルコールである;
【0082】
- エチルセルロースポリマー:
- Ethocel Std. 4;
- Ethocel Std. 7;
- Ethocel Std. 45;
- Ethocel Std. 100;
- Ethocel Std. 200;
ここで、製品名の番号は、溶液の重量に基づいて、溶媒中の5重量%のEthocel溶液の25℃での粘度を示し、溶媒は80重量%のトルエンと20重量%のエタノールで構成され、これらはすべてDow Chemical Companyからのものである;
【0083】
- 低粘度シリコーン代替物:
- A1:ラウリン酸イソアミル:OleonからのJolee 7750;
- A2:ジヘプタン酸モノプロピレングリコール:OleonからのJolee 7202
- A3:トリヘプタノイン:OleonからのRadia 2375;
- A4:イソノナン酸イソノニル:OleonからのJolee 7710;
- A5:ブチレングリコールジカプリレート/ジカプレート:OleonからのJolee7214。
【実施例】
【0084】
実施例1
本発明の生産物の利点(ゲル状プレブレンドの形態で)
1.1 本発明のゲル状プレブレンドの調製
少なくとも36個の炭素原子を含み25℃で液体であるアルコールをビーカーに入れた。攪拌しながら、エチルセルロースポリマーをアルコールに加えた。
【0085】
プレブレンドは、エチルセルロースポリマーが完全に溶解して、均一で透明な溶液が得られるまで、撹拌しながら約10分間150℃まで加熱した。次に、ゆっくり攪拌しながら、プレブレンドの温度を0.6℃/分の速度で35℃に冷却した。こうしてゲル状プレブレンドが得られる。
【0086】
ゲル状プレブレンドを調製するために使用される成分の量を以下の表1に示す。
【表1】
【0087】
1.2 ゲル状プレブレンドの剪断減粘特性
各生産物の動的粘度は、TA instrumentsのDiscovery HR-1 Rheometerを使用して、 cone SST ST 40MM 2DEG Smart Swap、角度1:59:50°、及びトランケーション53μmを用いるコーンプレートシステムを使用して測定した。
【0088】
各ゲル状プレブレンドについて、プレブレンドを0.1s-1~300s-1まで240秒間にわたって低剪断速度に付されたときに、その調製後24時間、25℃で、対数スケール(「ゼロ剪断速度」粘度と呼ばれるニュートンプラトーに対応するゼロに近い値)で粘度を測定し、粘度が一定であることを確認した。
【0089】
【0090】
剪断速度が上昇すると、プレブレンドの粘度が低下することが観察できる。本発明のゲル状プレブレンドは剪断減粘性である。
【0091】
1.3
ゲル状プレブレンドのチキソトロピー特性
この試験では、前述したものと同じレオメーターを使用した。プレブレンド1を、0.1s
-1から300s
-1への上昇とその後の300s
-1から0.1s
-1への低下に対応する剪断速度に付した。確立されたヒステリシスループ(
図1)は、剪断の関数としての応力の変化を示す。下向きの流れ曲線が上向きの流れ曲線よりかなり下にあることが観察できる。プレブレンドはチキソトロピー性であると結論付けることができる。
【0092】
1.4
ゲル状プレブレンドの粘度-温度関係
この試験では、前述したものと同じレオメーターを使用した。プレブレンド1を、10℃から80℃に上昇する温度下で10s
-1の剪断速度に付した。50℃と80℃で測定した動的粘度を表3にまとめる。
【表3】
【0093】
温度プロフィール(
図2)は、高い動的粘度が温度とともに低下していることを示している。60℃以上の温度では、プレブレンドは簡単に鋳造又はポンプ輸送することができる。
【0094】
実施例2
様々な低粘度シリコーン代替物の粘度に対する本発明の生産物の相乗効果
【0095】
2.1 本発明の組成物の調製
a)ゲル状プレブレンドの使用有り
組成物1及び3を調製するために、50gのA1及びA2をそれぞれ反応器に入れた。攪拌しながら、40~60℃の温度で加熱された50gのゲル状プレブレンド1を、各低粘度シリコーン代替物に添加した。
b)ゲル状プレブレンドの使用なし
組成物2及び4を調製するために、50gのA1及びA2をそれぞれ反応器内で室温で47.5gのアルコールと混合した。撹拌しながら、2.5gのエチルセルロースポリマーを混合物に加え、次にこれを完全に透明になるまで150℃で10分間加熱した。
次に、組成物を、ゆっくり攪拌しながら、0.6℃/分の速度でゆっくり35℃に冷却する。
【0096】
2.2 比較組成物の調製
比較組成物1及び3を調製するために、2.5gのエチルセルロースポリマーを97.5gのA1及びA2それぞれに、非常にゆっくり、室温で一定に攪拌しながら加えた。低速で攪拌しながら150℃で温度を上げた。次に比較組成物を、0.6℃/分の速度で35℃までゆっくり攪拌しながら冷却する。
比較組成物2及び4を調製するために、47.5gのアルコールを52.5gのA1及びA2それぞれに、室温で撹拌しながら加えた。
【0097】
2.3
低粘度シリコーン代替物に対する本発明の生産物の増粘効果
動的粘度を、実施例1.2に記載の方法に従って測定した。
粘度が一定であるニュートンプラトーでの各低粘度シリコーン代替物及び組成物について得られた結果は、以下の表4にまとめる。
【表4】
【0098】
見られるように、本発明の組成物の動的粘度は、エチルセルロースポリマー又はダイマージオールを用いる同じ低粘度シリコーン代替物を含む対応する比較組成物の動的粘度よりもはるかに高い。
【0099】
さらに、少なくとも36個の炭素原子を含み25℃で液体であるアルコールと、エチルセルロースポリマーとの組み合わせは、低粘度シリコーン代替物の粘度に相乗効果をもたらし、これは、比較組成物1及び2の粘度値を組成物1及び2のいずれかと比較することにより、及び比較組成物3及び4の粘度値を組成物3及び4のいずれかと比較することにより証明される。
【0100】
実施例3
本発明の組成物の剪断減粘特性
3.1
本発明の組成物5~9の調製
組成物5~9は、実施例2.1a)に記載されている方法に従って、表5に記載の量及び成分を使用して調製した。
【表5】
【0101】
3.2
低粘度シリコーン代替物に対する本発明の生産物の剪断減粘性効果
異なる剪断速度における動的粘度を、実施例1.2に記載の方法に従って決定した。
各組成物について得られた結果を、以下の表6にまとめる。
【表6】
【0102】
本発明の組成物の粘度は、剪断速度が上昇すると低下することが観察され得る。本発明の組成物は剪断減粘性である。
【0103】
実施例4
比較プレブレンド及び比較組成物
4.1 比較プレブレンド
比較プレブレンド1は、実施例1.1に記載されているように、5gのシクロヘキサノールと95gのEthocel Std. 100を使用して調製した。比較プレブレンドは、30,800mPa.sのゼロ剪断速度で動的粘度を示す。
【0104】
4.2 比較組成物
比較組成物1は、実施例2.1a)に記載の方法に従って、50重量%の比較プレブレンド1を50重量%のラウリン酸イソアミル(A1)と混合して調製した。
異なる剪断速度でのこの比較組成物の動的粘度を表7に示す。
【表7】