IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イクスブルーの特許一覧

特許7479359コンパクトな光ファイバサニャック干渉計
<>
  • 特許-コンパクトな光ファイバサニャック干渉計 図1A
  • 特許-コンパクトな光ファイバサニャック干渉計 図1B
  • 特許-コンパクトな光ファイバサニャック干渉計 図2
  • 特許-コンパクトな光ファイバサニャック干渉計 図3
  • 特許-コンパクトな光ファイバサニャック干渉計 図4
  • 特許-コンパクトな光ファイバサニャック干渉計 図5
  • 特許-コンパクトな光ファイバサニャック干渉計 図6
  • 特許-コンパクトな光ファイバサニャック干渉計 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】コンパクトな光ファイバサニャック干渉計
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/72 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
G01C19/72 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021518497
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 FR2019052408
(87)【国際公開番号】W WO2020074834
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】1859447
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508013962
【氏名又は名称】エグゼル
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】モリュコン セドリック
(72)【発明者】
【氏名】オーダン ジェローム
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-098229(JP,A)
【文献】特開2012-098472(JP,A)
【文献】特開2008-292490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(4)、検出システム(5、51、52、53)及び少なくとも1つの光ファイバコイル(6)を含む光ファイバサニャック干渉計において、前記干渉計は、
- 電気光学材料で作られた少なくとも1つの第1の平面基板(1)及び透明材料で作られた第2の平面基板(2)を含むハイブリッド光集積回路(200)であって、前記第1の基板(1)はニオブ酸リチウム、燐化インジウム、砒化ガリウム及び砒化アルミニウムガリウムの中から選択された材料で形成され、前記第2の基板(2)は光学ガラス、窒化シリコン、シリコン・オン・インシュレータ及びシリカ・オン・シリコンの中から選択された材料で形成され、前記第1の基板(1)及び前記第2の基板(2)は2つの隣り合う側面間に共通界面(20)を有する、ハイブリッド光集積回路(200)を含み、
- 前記第1の基板(1)は、前記光源(4)及び前記検出システム(5)へ接続された入出力光導波管(10)と、第1の光導波管(11)及び第2の光導波管(12)を含む一対の他の光導波管であって、前記第1の光導波管(11)及び前記第2の光導波管(12)は前記光ファイバコイル(6)の少なくとも一端(61、62、611)へ接続される、一対の他の光導波管と、前記第1の光導波管(11)及び/又は前記第2の光導波管(12)に沿って配置された少なくとも1つの電極(91、92)を含む電気光学変調システムとを含み;
- 前記第2の基板(2)は少なくとも1つのU字状光導波管(21)を含み;
- 前記ハイブリッド光集積回路(200)は、共通枝路(160、260)と2つの二次分岐(161、261、162、262)とを有する平面導波路Y接合(26、166)を含み、
- 前記第1の基板(1)及び前記第2の基板(2)は、前記U字状光導波管(21)の一端が前記入出力光導波管(10)の一端とアライメントされ、前記U字状光導波管(21)の他端が前記Y接合(26、166)の前記共通枝路(160、260)とアライメントされるやり方で配置され、前記Y接合(26、166)の前記2つの二次分岐(161、261、162、262)のそれぞれは前記一対の他の光導波管の1つの光導波管(11、12)の一端とそれぞれアライメントされることを特徴とする光ファイバサニャック干渉計。
【請求項2】
前記Y接合(166)は前記第1の基板(1)上に形成される請求項1に記載の光ファイバサニャック干渉計。
【請求項3】
前記Y接合(26)は前記第2の基板(2)上に形成される請求項1に記載の光ファイバサニャック干渉計。
【請求項4】
前記U字状光導波管(21)は前記第2の基板との少なくとも0.05の屈折率の差を呈示する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光ファイバサニャック干渉計。
【請求項5】
前記U字状光導波管(21)は1mm以下の曲率半径を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光ファイバサニャック干渉計。
【請求項6】
前記第1の光導波管(11)は前記光ファイバコイル(6)の第1の端(61)へ接続され、前記第2の光導波管(12)は前記光ファイバコイル(6)の第2の端(62)へ接続される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光ファイバサニャック干渉計。
【請求項7】
N個の光ファイバコイル(7、8)を含む請求項1乃至のいずれか一項に記載の光ファイバサニャック干渉計であって、ここでNは2以上の自然数であり、前記第1の基板(1)はN個の入出力光導波管(10、17、18)とN対の他の光導波管(11、12、13、14、15、16)とを含み、前記N対の他の光導波管(11、12、13、14、15、16)の各導波管は前記N個の光ファイバコイル(7)の1つの光ファイバコイル(7)の1つの別個の端(61、62、71、72、81、82)へ接続され、前記電気光学変調システムは少なくともN個の電極(91、92、93、94、95、96)を含み、前記少なくともN個の電極のそれぞれは前記N対の他の光導波管(11、12、13、14、15、16)の1つの導波管に沿って配置され;
- 前記第2の基板はN個のU字状光導波管(21、22、23)を含み;
- 前記ハイブリッド光集積回路(200)はN個の平面導波路Y接合(26、166、27、28)を含み、前記N個のY接合の各Y接合は共通枝路及び2つの二次分岐を有し;
- 前記第1の基板(1)及び前記第2の基板(2)は、各U字状光導波管(21、22、23)の一端が前記N個の入出力光導波管(10、17、18)の1つの入出力光導波管の一端とアライメントされ、各U字状光導波管(21、22、23)の他端が前記N個のY接合(26、166、27、28)の1つの入出力光導波管の前記共通枝路とアライメントされるやり方で配置され、前記N個のY接合(26、166、27、28)の前記2つの二次分岐のそれぞれは前記N対の他の光導波管(13、14、15、16、17、18)の1つの導波管の一端とアライメントされる、ループ光ファイバサニャック干渉計。
【請求項8】
前記ハイブリッド光集積回路(200)は透明材料で作られた第3の平面基板(3)をさらに含み、前記第3の基板(3)及び前記第1の基板(1)は2つの隣り合う側面間に別の共通界面(50)を有し、前記第3の基板(3)は複数の光導波管を含み、前記他の界面(50)上の前記第1の基板の光導波管の各端は前記第3の基板の光導波管の一端へ接続される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光ファイバサニャック干渉計。
【請求項9】
前記第3の基板は前記光源(4)と少なくとも1つの検出器(51)とを集積化する請求項8に記載の光ファイバサニャック干渉計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、干渉計システムの分野に関する。具体的には、ループ又はインライン光ファイバサニャック(Sagnac)干渉計システムに関する。
【0002】
このような干渉計システムは、光ファイバジャイロスコープ(FOG:fiber-optic gyroscope)又は光ファイバ電流センサ(FOCS:fiber-optic current sensor)において特に用途を見出す。
【0003】
本発明は特に、高精度、小型、軽量且つ低製造コスト光ファイバ干渉計システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
図1Aは従来技術のループ光ファイバサニャック干渉計システムを概略的に示す。この光ファイバ干渉計システムは通常、ソースビーム100を発射する光源4、光ファイバコイル6、光検出器5、及び2つの光学ビーム分割器:すなわちコイル分割器19及び光源/受信器分割器45(受信器分割器と呼ばれる)を含む。コイル分割器19は、ソースビーム100を光ファイバコイル6内の対向方向に伝播する第1の分割ビーム150及び第2の分割ビーム250へ空間的に分割する。光ファイバコイル出口において、コイル分割器19は干渉ビーム300を形成するためにこれらの2つのビームを再合成する。光源/受信器分割器45は干渉ビーム300を光検出器5へ誘導する。
【0005】
干渉計システムが静止状態に在ると、2つの分割されたビームは、光ファイバコイル内の光路の相互性に起因して互いに同相で光ファイバコイルから出現する。
【0006】
しかし、光ファイバコイル6内の2つの逆伝搬ビームの光路上に非相互的影響を生成しがちな物理的現象の存在下では、位相差が、検出された干渉ビームに出現する。
【0007】
非相互的影響を誘起する主物理的現象の中でも、光ファイバコイルの軸を中心とする干渉計システムの回転が回転速度に比例した位相差を誘起する。サニャック効果と呼ばれるこの性質から、結果として起きるのは、光ファイバコイル軸を中心とする回転速度を測定するためのサニャックループ干渉計のジャイロスコープへの主適用である。
【0008】
有利には、図1Aに示すように、光ファイバサニャック干渉計システムは多機能光集積回路(MIOC:Multifunction Integrated Optical Circuit)39を含む.光集積回路39は、平面電気光学基板(例えばニオブ酸リチウムで作られた)上のプロトン交換(アニールプロトン交換、APE:Annealed Proton Exchange)により好適に形成される光導波管を含む。ニオブ酸リチウム上のプロトン交換は単一偏光導波管の形成に至り、したがって、入力導波管29は1つの直線偏光だけを誘導するシングルモード導波管偏光子を形成する。光集積回路39はまた、導波管29を2つのシングルモード二次岐路へ分割することにより形成されるY接合タイプのコイル分割器19を含む。有利には、光集積回路39はまた、2つの逆伝播ビーム間の位相シフトを変調するようにされた電気光学変調器を形成するために発電機へ接続された電極9を含む。多機能光集積回路39の平面基板は、一方の側において光ファイバコイル6の両端へ、そして反対側において光ファイバ49の部分により光源/受信器分割器45へ容易に接続され得る。
【0009】
多軸光ファイバジャイロスコープは、1つ又はいくつかの多機能光集積回路のうちの1つと組み合わせられたいくつかの光ファイバコイル、同じソース又はいくつかのソース、及び1つ又はいくつかの検出器を含む。
【0010】
光ファイバジャイロスコープは、それらの感度、線形性及び安定性性能におかげで誘導又は慣性航行システムにおける回転測定にますます使用されている。
【0011】
1つ又はいくつかの光ファイバコイルを使用する光ファイバジャイロスコープは光ファイバの使用に起因するコンパクト性利点を提供する。
【0012】
磁気光学ファラデー効果などの他の物理的現象がまた、非相互的位相差を誘起しがちであり、そしてループ又はインライン光ファイバサニャック干渉計により測定され得、そして例えば電流センサにおいて使用される(J.Blake,P.Tantaswadi,R.T.de Carvalho,“In-line Sagnac interferometer current sensor”,IEEE Transactions on power delivery,vol.11,no.1,1996)。
【0013】
一例として、図1Bは従来技術のインライン光ファイバサニャック干渉計システムを概略的に示す。同じ参照符号は図1Aと同様な素子を表す。光ファイバコイル66はここでは、例えば所謂「スパンファイバ(spun fiber)」技術を使用して円偏波保持ファイバから形成される。光ファイバコイル66は電流(Iで表される)の導体が在る軸を中心に巻かれる。光ファイバコイル66の第1の端661は1/4波長板68へ接続又は取り付けられる。光ファイバコイル66の第2の端662はミラー77へ固定される。偏光分割器/合成器70は、直交偏光に従って直線偏光された2つのビーム122、123を受信し、そして、これらを直線偏波保持ファイバ67の部分へ注入する。1/4波長板68はこれらの2つの直線偏光されたビーム122、123を第1の右円偏光ビーム133及び第2の左円偏光ビーム132へ変換する。第1の右円偏光ビーム133及び第2の左円偏光ビーム132は光ファイバコイル66内をミラー77まで伝播し、このミラー77上でそれらの偏光を交換することにより反射され、そして第1の左円偏光ビーム143及び第2の右円偏光ビーム142をそれぞれ形成する。第1の左円偏光ビーム143及び第2の右円偏光ビーム142は光ファイバコイル66内を逆方向に進む。したがって、各光ビームは円偏光の2つの逆状態で光ファイバコイル66内を連続的に進む。1/4波長板68は第1の左円偏光ビーム143及び第2の右円偏光ビーム142を横偏極の2つの直線偏光ビームへ変換する。磁気光学ファラデー効果により、コイル軸上でアライメントされた電流Iが、光ファイバコイル66内を伝播する円偏光ビーム間の位相差を誘起する。
【0014】
一般的に、ループ又はインライン光ファイバサニャック干渉計システムのそれらの感度、安定性及びスケール因子技術的性能を維持する一方でコンパクト性を増加すること及び/又は重量及び製造コストを低減することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
最先端技術の上述の欠点を改善するために、本発明は光源、検出システム及び少なくとも1つの光ファイバコイルを含むループ又はインライン光ファイバサニャック干渉計を提案する。
【0016】
具体的には、本発明によると、電気光学材料で作られた少なくとも1つの第1の平面基板及びソース波長に対して透明な材料で作られた少なくとも1つの第2の平面基板を含むハイブリッド光集積回路であって、第1の基板及び第2の基板は2つの隣り合う側面間に共通界面を有し、第1の基板は光源及び検出システムへ接続された入出力光導波管を含む、ハイブリッド光集積回路;第1の光導波管及び第2の光導波管を含む一対の他の光導波管であって、第1の光導波管及び第2の光導波管は光ファイバコイルの少なくとも一端へ接続される、一対の他の光導波管;及び第1の光導波管及び/又は第2の光導波管に沿って配置された少なくとも1つの電極を含む電気光学変調システムを含む光ファイバサニャック干渉計であって、第2の基板は少なくとも1つのU字状光導波管を含み、ハイブリッド光集積回路は共通岐路及び2つの二次岐路を有する平面導波路Y接合を含み、第1の基板及び第2の基板は、U字状光導波管の一端が入出力光導波管の一端とアライメントされ、U字状光導波管の他端がY接合の共通岐路とアライメントされるやり方で配置され、Y接合の2つの二次岐路のそれぞれは一対の他の光導波管の1つの光導波管の一端とアライメントされる光ファイバサニャック干渉計が提案される。
【0017】
個々に採用される又はすべての技術的に可能な組み合わせに従って採用される本発明による光ファイバサニャック干渉計の他の非限定的且つ有利な特徴は以下のとおりである:
- Y接合は第1の基板上に形成される;
- Y接合は第2の基板上に形成される;
- U字状光導波管は少なくとも0.05(好適には0.1~0.2)の第2の基板に対する屈折率の差を呈示する;
- U字状光導波管は1mm以下(好適には0.5mm以下)の曲率半径を有する。
【0018】
特定実施形態では、光ファイバコイルは円偏波保持タイプのものであり、光ファイバコイルの第1の端は1/4波長板を介し偏光分割器/結合器の共通岐路へ接続され、光ファイバコイルの第2の端はミラーへ接続され、ハイブリッド集積回路のY接合は基板平面内にビーム分割器を形成し、第1の光導波管は偏光分割器/合成器の第1の二次岐路へ接続され、第2の光導波管は偏光分割器/合成器の第2の二次岐路へ接続される。
【0019】
別の特定実施形態では、第1の光導波管は光ファイバコイルの第1の端へ接続され、第2の光導波管は光ファイバコイルの第2の端へ接続される。
【0020】
特定且つ有利な実施形態によると、干渉計はN個の光ファイバコイルを含み、ここでNは2以上の自然数であり、第1の基板はN個の入出力光導波管、N対の他の光導波管を含み、前記N対の他の光導波管の各導波管はN個の光ファイバコイルの1つの光ファイバコイルの一端へ接続され、電気光学変調システムは少なくともN個の電極を含み、少なくともN個の電極のそれぞれは前記N対の他の光導波管の1つの導波管に沿って配置され、第2の基板はN個のU字状光導波管を含み、ハイブリッド光集積回路はN個の平面導波路Y接合を含み、前記N個のY接合の各Y接合は共通岐路及び2つの二次岐路を有し、第1の基板及び第2の基板は、U字状光導波管の一端がN個の入出力光導波管の1つの入出力光導波管の一端とアライメントされ、各U字状光導波管の他端がN個のY接合の1つのY接合の共通岐路とアライメントされるやり方で配置され、N個のY接合の2つの二次岐路のそれぞれは前記N対の他の光導波管の1つの導波管の一端とアライメントされる。
【0021】
個々に採用される又はすべての技術的に可能な組み合わせに従って採用される本発明による光ファイバサニャック干渉計の他の非限定的且つ有利な特徴は以下のとおりである:
- 検出システムは少なくとも1つの第1の検出器を含む;
- ハイブリッド光集積回路は透明材料で作られた第3の平面基板をさらに含み、第3の基板及び第1の基板は2つの隣り合う側面間に別の共通界面を有し、第3の基板は複数の光導波管を含み、他の界面上の第1の基板の各光導波管端は第3の基板の1つの光導波管端へ接続される;
- 第3の基板は光源と少なくとも1つの検出器とを集積化する;
- 検出システムはN個の検出器を含む;
- 干渉計はN個の光源を含む;
- 第1の基板は、ニオブ酸リチウム、燐化インジウム、砒化ガリウム及び砒化アルミニウムガリウムの中から選択された材料で形成される;
- 第2の基板は、光学ガラス、窒化シリコン、シリコン・オン・インシュレータ及びシリカ・オン・シリコンの中から選択された材料で形成される。
【0022】
非限定的例により与えられる添付図面に関連する以下の説明は、本発明が何から構成されるか及び本発明がどのように実施され得るかの良い理解を可能にすることになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】従来技術によるループ光ファイバサニャック干渉計システムを概略的に示す。
図1B】従来技術によるインライン光ファイバサニャック干渉計システムを概略的に示す。
図2】第1の実施形態によるループ光ファイバ及びハイブリッド光集積回路サニャック干渉計システムを概略的に示す。
図3】第2の実施形態によるループ光ファイバ及びハイブリッド光集積回路サニャック干渉計システムを概略的に示す。
図4】第2の実施形態の代替実施形態による3ループ光ファイバコイル/1ハイブリッド光集積回路サニャック干渉計システムを概略的に示す。
図5】第3の実施形態によるループ光ファイバ及びハイブリッド光集積回路サニャック干渉計システムを概略的に示す。
図6】第3の実施形態の代替実施形態による3ループ光ファイバコイル/1ハイブリッド光集積回路サニャック干渉計システムを概略的に示す。
図7】特定実施形態によるインライン光ファイバサニャック干渉計システムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
例えば図1Aに示すプロトン交換(アニールプロトン交換:APE(Annealed Proton Exchange))により形成されるニオブ酸リチウム光集積回路を含む光ファイバサニャック干渉計システムを考察する。ニオブ酸リチウム光集積回路39はいくつかの光学的及び電気光学的部品を収集することができ、したがっていくつかの機能を果たす。プロトン交換により形成される入出力導波管29はソースビーム100を直線偏光することができる。さらに、この入出力導波管29はまた空間シングルモードフィルタとして働く。順方向では、Y接合19はソースビーム100を2つの分割された入射ビーム150、250へ光学的に分割することができる。逆方向では、Y接合19は、干渉ビームを形成するためにそれぞれがコイル内を反対方向に進む2つの分割されたビームを再合成することができる。Y接合の2つの二次岐路に沿って配置された電極9は、発電機へ接続され、そして分割入射ビーム150、250間で位相を電気光学的に変調することができる。
【0025】
デバイス
本開示はハイブリッド光集積回路を使用する光ファイバ干渉計を提案する。ハイブリッド光集積回路は、例えばニオブ酸リチウムで作られた第1の平面電気光学基板1と例えば光学ガラス(例えば硼珪酸塩タイプの)で作られた少なくとも1つの第2の平面透明基板2とを組み合わせる。
【0026】
代替案として、第1の基板1は燐化インジウム(InP)、砒化ガリウム(AsGa)及び砒化アルミニウムガリウム(AlGaAs)の中から選択された電気光学材料で形成される。これらの材料は、半導電性であり、位相変調を行うことを可能にする。
【0027】
代替案として、第2の基板2は、窒化シリコン、シリコン・オン・インシュレータ(SOI:silicon on insulator)又はシリカ・オン・シリコン(silica on silicon)の中から選択され、使用される(例えば0.5マイクロメートルより高い)波長に対して透明な材料で形成される。
【0028】
具体的には、第1の基板1及び第2の基板2は、エンド・ツゥー・エンド(end-to-end)でそしてそれらの側面(基板の厚さとも呼ばれる)の1つを介し直接接触で配置される。有利には、固定手段が第1の基板1と第2の基板2との間で使用される。固定手段は例えば接着剤及び/又は機械的支持体又は任意の他の好適な固定手段を含む。
【0029】
第1の基板1はいくつかの光集積部品及び/又は光導波管を含む。第2の基板2は、PLC(平面光波回路:planar lightwave circuit)タイプの平面光回路を形成するために少なくとも1つのU字状光導波管を含む。
【0030】
図2に示すのは、第1の実施形態によるループ光ファイバ及びハイブリッド集積回路サニャック干渉計システムである。本干渉計システムは光源4、検出システム5、光ファイバコイル6及びハイブリッド集積回路200を含む。
【0031】
ハイブリッド集積回路200はここでは例えばニオブ酸リチウムで作られた第1の基板1及び例えば光学ガラス(硼珪酸塩)で作られた第2の基板2で構成される。本明細書における干渉計システムは1つだけの光ファイバコイル6を含む。
【0032】
第1の基板1は通常、幾何学的形状を有する。図2の面すなわち正規直交系(XYZ)におけるYZ面では、第1の基板1は例えば長方形状を有する。ここで、X、Y及びZ軸はニオブ酸リチウムの第1の基板1の結晶軸と一致し:光伝搬軸(基板1の長さに沿った)は結晶学的Y軸であり、厚さは結晶学的X軸であり、幅は結晶学的Z軸である。第1の基板1は好適には0.35mm~2mmの間に含まれる(例えばX軸方向に0.5mm又は1mmの)厚さを有する平面材料から形成される。周知のやり方で、厚さ方向の第1の基板1の両側面は好適には、界面におけるスプリアス後方反射を回避するためにX軸又はZ軸を中心にXZ面に対してある角度だけ傾斜される。界面におけるこの傾斜角はスネルーデカルト則(Snell-Descartes law)に応じて適応化される。
【0033】
第1の基板1は第1の光導波管11、第2の光導波管12及び入出力光導波管10を含む。光導波管10、11、12は好適にはニオブ酸リチウム基板上でプロトン交換により形成される。有利には、光導波管10、11、12の少なくとも一部は基板1の長さL1の方向に並列に配置される。2つの電極91が第1の光導波管11に沿って両側に配置される。2つの電極92が第2の光導波管12に沿って両側に貼り付けられる。この第1の実施形態では、第1の基板1は、共通岐路160、二次岐路161及び別の二次岐路162を有する平面導波路Y接合タイプの接合166を含む。基板1の一方の側に位置する第1の光導波管11の一端は光ファイバコイル6の第1の端61へ直接接続される。基板1の同じ側に位置する第2の光導波管12の一端は光ファイバコイル6の第2の端62へ直接接続される。第1の光導波管11の他端はY接合の二次岐路161へ直接接続される。第2の光導波管12の他端はY接合の他の二次岐路162へ直接接続される。好適には、APE形成されたニオブ酸リチウム基板1では、Y接合の各岐路は少なくとも10mmより大きい曲率半径を有する。実際、ニオブ酸リチウム基板では、光導波管と基板との屈折率差Δnは0.005~0.01程度である。この小さな屈折率差は光導波管の曲率損失に対する良好な耐性を許容しない。さらに、APEニオブ酸リチウム基板上でプロトン交換により形成された光導波管は結晶学的Z軸の方向にアライメントされた偏光だけを誘導する。
【0034】
入出力光導波管10はシングルモードであり、1つの偏光だけを誘導する導波管偏光子を形成する。有利には、2つの電極9が入出力光導波管10に沿って両側に蒸着される。入出力光導波管10の一端は入出力光ファイバ49の一端101へ接続される。入出力光ファイバ49の他端は光源/受信器分割器45へ接続される。したがって、入出力光ファイバ49の端101は光ファイバコイル6の2つの端61、62と基板1の同じ側に配置される。光ファイバコイル6の両端及び入出力ファイバの端101は例えばV字状支持体(又はV字型溝)内に配置される。
【0035】
第2の基板2もまた通常、幾何学的形状を有する。図2の面(すなわちYZ面)では、第2の基板2は通常、長方形状を有する。第2の基板2は好適には0.5mm~3mm(例えばX軸方向に約1mm)の厚さを有する平面材料から作製される。基板1と同様に、厚さ方向の第2の基板2の両側面は好適には、第1の基板との界面におけるスプリアス後方反射を回避するためにZ軸又はX軸を中心にXZ面に対して0~25度の角度だけ傾斜される。この界面20における基板1と基板2との傾斜角はスネルーデカルト則に応じて適応化される。
【0036】
第2の基板2の一方の厚さ側は、光ファイバの両端が固定される側とは反対の第1の基板1の一方の厚さ側へ固定される。第2の基板2はU字状光導波管21を含む。U字状光導波管21の一端は、第1の基板1と第2の基板2との間の界面20において入出力光導波管10の一端とX及びZ軸に沿ってアライメントされる。U字状光導波管21の他端は、同じ界面20上のY接合166の共通岐路160の一端とX及びZ軸に沿ってアライメントされる。U字状光導波管21は例えば、ナトリウム(Na)ドープ硼珪酸塩ガラス内の銀イオン交換により、そして次に熱又は電気的影響下の拡散により形成される。
【0037】
第1の基板内のプロトン交換により形成される光導波管10、11、12は通常、楕円断面を有する。ニオブ酸リチウム基板の屈折率は1550nmの波長において異常(extraordinary)Z軸に沿って約2.14そして正常(ordinary)X又はY軸に沿って約2.21である。第1の基板表面の面に対して平行方向の強度の1/e2におけるガウスビームの半径に等しい1/2モード幅は4マイクロメートルの程度である。第1の基板表面の面に直交する方向の強度の1/e2におけるガウスビームの半径に等しい1/2モード幅は2.5マイクロメートルの程度である。第2の基板では、U字状導波管は、第1の基板の導波管の形状及びサイズに応じて適応化された断面を有する。第1の基板1及び第2の基板2はU字状導波管の両端と第1の基板1の導波管の両端とを界面20においてアライメントするようなやり方で配置される。
【0038】
第1の基板1及び第2の基板2の隣り合う側面は、入出力光導波管10の端において及びY接合の共通岐路160を形成する導波管の端においてU字状光導波管21の両端と直交する。特に有利には、第1の基板1及び第2の基板2に接触する隣り合う側面は第1の基板1と第2の基板2との間の界面20においてスプリアス後方反射を制限するようにX軸及び/又はZ軸を中心としてXZ面に対して0~25度の角度(例えば8度)だけ傾斜される。例えば、第1及び/又は第2の基板は平行四辺形状へ切断される。別の例では、第1及び/又は第2の基板の縁は二等辺台形平行六面体形状へ切断される。有利には、第1の基板1の幅方向の2つの対向側面は第1の基板1におけるスプリアス後方反射を回避するようにX及び/又はZ軸を中心としてXZ面に対して傾斜される。
【0039】
第2のガラス基板2では、U字状光導波管21は、2~4マイクロメートル(μm)の間に含まれる直径を有する導波管に関して、導波管21の芯と基板2との間の0.02~0.1程度の屈折率差のために、導光特性を維持する一方で1mm未満(好適には0.5mm未満)の曲率半径を有し得る。第1の基板1に関し、第2の基板2の幅方向の2つの対向側面は第2の基板2内のスプリアス後方反射を回避するようにX又はZ軸を中心としてXZ面に対して傾斜される。
【0040】
すべての光ファイバ端101、61、62がハイブリッド光集積回路200の同じ側に配置されるということが観測される。この配置は、その連結光ファイバを有する部品の全嵩を制限することを可能にする。この配置は、光ファイバコイル6及び/又は入出力光ファイバ49の端の曲率半径を増加することを可能にする。有利には、光ファイバは曲率損失を回避するために少なくとも5mmの曲率半径を有するように配置される。
【0041】
さらに、第2の基板は、ニオブ酸リチウム基板内の光路を折り返すこととハイブリッド光集積回路200の長さを制限することとを可能にする。一例では、第1の基板1は16mmの長さL1、3mmの幅W1及び1mmの厚さを有し、第2の基板2は3mmの長さL2、3mmの幅W2及び1mmの厚さを有する。全体で、ハイブリッド光集積回路は16+3=19mmの長さ、3mmの幅及び約1mmの厚さを有する。比較すると、入出力導波管、Y接合及び2つの並列光導波管11、12を直列に集積化するニオブ酸リチウム基板1上にだけ形成された光集積回路(図1Aに示す)は3mmの幅及び1mmの厚さに関し全長24mm~40mmを有する。
【0042】
ハイブリッド光集積回路200は狭い幅の複合基板上にいくつかの光学部品を集積化することができる。例示的実施形態では、ハイブリッド光集積回路200は、光集積回路単独の長さと光ファイバへ接続された光集積回路の嵩とを約2の係数だけ低減することができる。したがって、図2のハイブリッド光集積回路は光ファイバ干渉計システムのコンパクト性を増加することができる。さらに、ハイブリッド光集積回路の使用はまた、光ファイバ干渉計システムの重量を低減することを可能にする。別の例示的実施形態では、ハイブリッド光集積回路200は、光導波管11、12及び電極91、92を延伸することとしたがって同じ変調深さのために適用される変調電圧を低下させることとを可能にするニオブ酸リチウム基板の長さを増加することができる。最後に、ハイブリッド光集積回路の使用は、いくつかの取り付け操作を削除することを可能にし、そして自動製造を可能にし、したがって製造コストを低減する。
【0043】
図2に示すハイブリッド光集積回路はY接合形状シングルモード導波管166とU字状シングルモード光導波管21とを合成することができ、U字状シングルモード光導波管21の一端はY接合形状シングルモード導波管166の共通岐路160へ接続される。
【0044】
順方向では、ソースビーム100は入出力光導波管10内でそして次にU字状シングルモード光導波管21内で誘導される。次に、ソースビームはY接合形状シングルモード導波管166の共通岐路160内で送信され誘導される。Y接合166はソースビームを第1の分割ビーム150と第2の分割ビーム250とへ分割する。第1の分割ビーム150は、Y接合の二次岐路161内で、次に第1の光導波管11内で、誘導的やり方で光ファイバコイルの第1の端61まで伝播する。同様に、第2の分割ビーム250は、Y接合の他の二次岐路162内で、次に第2の光導波管12内で、誘導的やり方で光ファイバコイルの第2の端62まで伝播する。第1の分割ビーム150は、光ファイバコイル内を一方向に進み、そして第2の端62を介し光ファイバコイルから出、そして第2の光導波管12内で誘導される。同様に、第2の分割ビーム250は、光ファイバコイル内を一方向に進み、そして第1の端61を介し光ファイバコイルから出、そして第1の光導波管11内で誘導される。
【0045】
逆方向では、Y接合形状シングルモード導波管の各二次岐路161、162は光ファイバコイル内を進んだビームを互いに反対方向に誘導する。Y接合166は干渉ビームを形成するためにこれらの2つのビームを再合成する。干渉ビームの一部はY接合の共通岐路160により誘導される。しかし、導波管はシングルモードであるので、1つのモードだけがY接合の共通岐路160内で誘導される。エネルギー保存により、干渉ビームの電力pのすべては誘導ビームと非誘導ビームとの間で分散される。非対称モードは基板内で非誘導的やり方で伝播するということが知られている(Arditty et al.,“Reciprocity properties of a branching waveguide”,Fiber-Optic Rotation Sensors,Springer series in optical sciences,Vol.32,1982,pp.102-110)。この非誘導非対称モードの一部は、第1の基板1内を伝播し、そして第1の基板1と第2の基板2との間の界面20において屈折され、次に、第2の基板2内で非誘導的やり方で伝播する。逆に、干渉ビーム300の誘導された部分は、U字状シングルモード光導波管21内そして次に入出力光導波管10内を伝播する。逆方向では、光導波管21は空間フィルタを形成し、入出力光導波管10は偏光フィルタ(換言すれば偏光子)を形成する。Y接合とU字状導波管との合成は、入出力導波管10内及び/又は入出力光ファイバ49内の干渉ビームの非誘導非対称モードの収集を回避することを可能にする。
【0046】
図2のハイブリッド光集積回路では、ソースビーム100と誘導された干渉ビーム300はそれぞれ入出力光導波管10を通過する。今や、入出力光導波管10は偏向している。さらに、光導波管11、12もまた偏向している。光ビームは、偏向入出力光導波管10を逆伝播ビーム毎に2回(すなわち光導波管11内で1回そして光導波管12内で1回)通過する。したがって、各ビームは導波管偏光子を4回通過する。偏向ニオブ酸リチウム光導波管10、11、12内のこの四重通過は、四重偏光濾過と等価であり、したがって偏光消光比(polarization extinction ratio)を増加することを可能にする。偏光導波管内のこの四重通過は、導波管偏光子10と直列の追加偏光子を無くすことを可能にすることと従って追加偏光子のコストを節約することとを可能にし得る。
【0047】
任意選択的に、入出力光導波管10上の電極9の使用はソースビームを変調すること(例えばソース干渉性をぼかすこと)を可能にする。
【0048】
図3に示すのは、第2の実施形態によるループ光ファイバ及びハイブリッド集積回路干渉計システムである。
【0049】
同じ参照符号は図2と同様な素子を表す。
【0050】
ハイブリッド集積回路もまた例えばニオブ酸リチウムで作られた第1の基板1及び例えば光学ガラスで作られた(例えば硼珪酸塩型の)第2の基板2で構成される。第1の実施形態とは異なり、Y接合は第1の基板1上ではなく第2の基板上に形成される。第1の基板1は第1の光導波管11、第2の光導波管12及び入出力光導波管10を含む。光導波管10、11、12は好適には、直線的であり、そして互いに平行である。
【0051】
第2の基板2はU字状光導波管21を含む。第2の基板2はさらに、共通岐路260、二次岐路261及び別の二次岐路262を有する平面導波路Y接合タイプの接合26を含む。U字状光導波管21の一端は、第1の基板1と第2の基板2との間の界面20において入出力光導波管10の一端とX及びZ軸に沿ってアライメントされる。U字状光導波管21の他端は第2の基板2上のY接合の共通岐路260の一端へ接続される。第2の基板2の一方の側のY接合の二次分岐261の一端は第1の基板1の隣接側の第1の光導波管11の一端へ直接接続される。同様に、第2の基板2の同じ側のY接合の二次分岐162の一端は第1の基板1の隣接側の第2の光導波管12の一端へ接続される。換言すれば、第2の基板上のY接合の二次分岐161、162それぞれの端は第1の基板1と第2の基板2との間の界面20において第1及び第2の光導波管11、12それぞれの一端とX、Z軸に沿ってアライメントされる。有利には、第2の基板2では、Y接合の各分岐は1mm以下の曲率半径を有し得る。
【0052】
特に有利には、第1の基板1と第2の基板2との隣り合う側面はそれぞれ、第1の基板1及び第2の基板2それぞれの導波管の実効屈折率に応じてスネルーデカルト則により定義された角度だけ傾斜される。第1の基板1の側面及び第2の基板2の側面の傾斜角は、界面における複数の内部反射を制限するようにX又はZ軸を中心としてXZ面に対して0~25度に含まれる(例えば約8度)。より正確には、第1の基板1及び第2の基板2の傾斜角はスネルーデカルト則に応じて適応化される。有利には、第2の基板2の幅方向の2つの対向側面は第2の基板2内の複数のスプリアス内部反射を回避するようにX又はZ軸を中心としてXZ面に対して傾斜される。第1の基板1及び第2の基板2の組み立ては好適には、製造コストを低減するために自動化される。
【0053】
Y接合26と1mm程度の大きな曲率半径を有するU字状光導波管21との組み合わせは、第2の基板2内を次に伝播する非対称モードを強く減衰することを可能にする。第2の基板2と空気との接合における傾斜角は第1の基板1の入出力導波管10内の非対称モードのスプリアス結合をさらに減衰することを可能にする。
【0054】
第2の実施形態によるハイブリッド集積回路は非対称モードを第1の実施形態よりさらに効率的に濾過する。
【0055】
この第2の実施形態の一例では、第1のニオブ酸リチウム基板1は8mmの長さL1、3mmの幅W1及び1mmの厚さを有し、第2の基板2は4mmの長さL2、3mmの幅W2及び1mmの厚さを有する。したがって、ハイブリッド光集積回路は8+4=12mmの全長、3mmの幅及び約1mmの厚さを有する。第1の実施形態のハイブリッド光集積回路と比較すると、この第2の実施形態はハイブリッド光集積回路の全長、重量及びコストをさらに低減することを可能にする。第2の実施形態による光ファイバ干渉計は第1の実施形態よりさらにコンパクトである。
【0056】
第2の実施形態の代替案によると、ガラス上の光集積回路は、Y接合26の2つの二次分岐261、262間の光路長の差を導入するようなやり方で構成される。好適には、この長さの差は使用される光源の非干渉性長さより大きい。例えば、6.5nmの中央高さにおけるスペクトル幅を有するエルビウム源に関して、この長さの差は0.6mmより大きくなるように構成される。この長さの差は、2つの経路が無相関化されないジャイロスコープのガラス基板内のY接合の2つの端間のMichelsonタイプの干渉の現象の生成を回避することを可能にする。
【0057】
いくつかの実施形態のうちの任意の1つによる光ファイバ干渉計システムは2、3又はN個の光ファイバコイルを有する干渉計システムに関して一般化され得、ここでNは2以上の自然数である。
【0058】
一例として、図4は第2の実施形態の代替案による3光ファイバコイル/1ハイブリッド集積回路干渉計システムを概略的に示す。
【0059】
同じ参照符号は図2又は3と同様な素子を表す。
【0060】
干渉計システムは、第1の光ファイバコイル6、第2の光ファイバコイル7、第3の光ファイバコイル8及びハイブリッド集積回路200を含む。ハイブリッド集積回路200もまた例えばニオブ酸リチウムで作られた第1の基板1及び例えば光学ガラス(硼珪酸塩)で作られた第2の基板2で構成される。
【0061】
第1の基板1は第1の光ファイバコイル11及び第2の光ファイバコイル12を含み、それぞれは、第1の光ファイバコイル6の両端の一方へ接続された一端を有する。電極91、92はそれぞれ、第1の光導波管11及び第2の光導波管12それぞれに沿って配置される。第2の基板2は図3に関連して説明されたものと同様な第1のY接合26及び第1のU字状光導波管21を含む。Y接合26の第1及び第2それぞれの二次分岐の端は第1の基板1と第2の基板2間の界面20において第1の光導波管11及び第2の光導波管12それぞれの別の端へ接続される。第1のU字状光導波管21の一端はY接合26の共通枝路へ接続される。第1の基板1もまた第1の入出力導波管10を含む。任意選択的に、電極9は第1の入出力導波管10に沿って配置される。第1のU字状光導波管21の他端は第1の基板1と第2の基板2との間の界面20において第1の入出力光導波管10の一端へ接続される。第1の入出力導波管10の他端101は図3と同様にソース及び検出器へ接続される。
【0062】
第1の基板1はさらに第3の光導波管13及び第4の光導波管14をそれぞれ含み、それぞれは第2の光ファイバコイル7の端71、72それぞれの一方へ接続された一端を有する。電極93、94はそれぞれ、第3の光導波管13及び第4の光導波管14それぞれに沿って配置される。第2の基板2は第2のY接合27及び第2のU字状光導波管22を含む。Y接合27の第1及び第2それぞれの二次分岐の端は第1の基板1と第2の基板2間の界面20において第3の光導波管13及び第4の光導波管14それぞれの別の端へ接続される。第2のU字状光導波管22の一端は第2のY接合27の共通枝路へ接続される。第1の基板1は第2の入出力導波管17をさらに含む。任意選択的に、電極97は第2の入出力導波管17に沿って配置される。第2のU字状光導波管22の他端は、第1の基板1と第2の基板2との間の界面20において第2の入出力光導波管17の一端へ接続される。第2の入出力導波管17の他端102は少なくとも1つのソース及び検出器へ接続される。
【0063】
同様に、第1の基板1は第5の光導波管15及び第6の光導波管16をさらに含み、それぞれは第3の光ファイバコイル8の両端81、82それぞれの一方へ接続された一端を有する。電極95、96はそれぞれ、第5の光導波管15及び第6の光導波管16それぞれに沿って配置される。第2の基板2は第3のY接合28及び第3のU字状光導波管23を含む。第3のY接合28の第1及び第2それぞれの二次分岐の端は第1の基板1と第2の基板2間の界面20において第5の光導波管15及び第6の光導波管16それぞれの別の端へ接続される。第3のU字状光導波管23の一端は第3のY接合28の共通枝路へ接続される。第1の基板1は第3の入出力導波管18をさらに含む。任意選択的に、電極98は第3の入出力導波管18に沿って配置される。第3のU字状光導波管23の他端は、第1の基板1と第2の基板2との間の界面20において第3の入出力光導波管18の一端へ接続される。第3の入出力導波管18の他端は少なくとも1つのソース及び1つの検出器へ接続される。
【0064】
有利には、光導波管10、11、12、13、14、15、16、17、18は、直線的であり、第1の基板内で互いに平行に配置される。
【0065】
示された例では、第1の光導波管21、第2の光導波管22及び第3のU字状光導波管23が互いに交差すること無く連結されたやり方で第2の基板上に配置されるということが観測される。代替実施形態では、第1の光導波管21、第2の光導波管22、及び/又は第3の光導波管23は誘導されたビーム間の干渉無しに互いに交差(好適には直角に)し得る。光ファイバコイル毎に、Y接合とU字状導波管との組み合わせは非誘導非対称モードの効率的濾過を取得することを可能にする。この濾過は、様々な光ファイバコイルから生じる信号間のクロストーク外乱を回避する一方で同じハイブリッド集積回路上に3個のコイルを組み合わせることを可能にする。
【0066】
有利には、干渉計システムはまた、図示しない光源と、第1の入出力導波管10の端101へ接続された第1の検出器、第2の入出力導波管17の端102へ接続された第2の検出器、及び第3の入出力導波管18の端103へ接続された第3の検出器を含む検出システムとを含む。
【0067】
図4の干渉計システムは慣性航法ユニットを製造するために使用され得、3個の光ファイバコイルの軸は3D基準系の軸に沿って配置される。代替実施形態では、少なくとも2つのコイルの軸が当該軸に関する冗長測定結果を取得するように互いに平行に配置される。図4の干渉計システムはN個の光ファイバコイルを有する他のセンサを製造するために一般化され得、ここでNは2以上の自然数である。
【0068】
図4の干渉計の例示的実施形態では、第1の基板1は8mmの長さL1、3mmの幅W1及び1mmの厚さを有し、第2の基板2は6mmの長さL2、3mmの幅W2及び1mmの厚さを有する。全体で、ハイブリッド光集積回路は8+6=14mmの全長、3mmの幅及び約1.2mmの厚さを有する。ハイブリッド光集積回路の使用は、いくつかの光ファイバコイルを有する干渉計システムの全重量を低減する一方でコンパクト性を著しく増加することを可能にする。最後に、マルチコイル/ハイブリッド光集積回路の使用は、いくつかの取り付け操作を削除することを可能にし、そして自動製造を可能にし、したがって製造コストを低減する。
【0069】
図5に示すのは、第3の実施形態によるループ光ファイバ及びハイブリッド集積回路干渉計システムである。
【0070】
同じ参照符号は図3と同様な素子を表す。
【0071】
ハイブリッド集積回路200はここでは、例えばニオブ酸リチウムで作られた第1の基板1、第2の基板2、及び第3の基板3で構成される。第2の基板2及び第3の基板3は例えば光学ガラス(硼珪酸塩)で作られる。代替案として、第2の基板2及び/又は第3の基板3は窒化シリコン又はシリコン・オン・インシュレータ(SOI)又はシリカ・オン・シリコンの中から選択された材料で形成される。
【0072】
第3の基板3もまた通常、幾何学的形状を有する。図2の面(又はXY面)では、第3の基板3は通常、長方形状を有する。第3の基板3は好適には、0.5mm~3mmに含まれる(例えばX軸方向に約1mmの)厚さを有する平面材料から作製される。厚さ方向の第3の基板3の両側面は好適には、界面におけるスプリアス後方反射を回避するためにZ軸又はX軸を中心にXZ面に対して0~25度(例えば8度)の角度だけ傾斜される。第3の基板3の傾斜角はスネルーデカルト則に応じて適応化される。
【0073】
第1の基板1及び第2の基板2は、図3に示すシステムと同様に、界面20を形成する隣接側を介し互いに固定される。第3の基板3は別の界面50を形成する(第1の側の反対の)別の側を介し第1の基板1へ固定される。
【0074】
より正確には、第3の基板3は(例えば直線的である)第1の光導波管31及び第2の光導波管32を含む。第3の基板3の第1の光導波管31の一端は第1の基板1と第3の基板3との間の界面50において第1の光導波管11の一端へ接続される。第3の基板3の第1の光導波管31の他端は光ファイバコイル6の第1の端61へ接続される。第3の基板3の第2の光導波管32の一端は第1の基板1と第3の基板3との間の界面50において第2の光導波管12の一端へ接続される。第3の基板3の第2の光導波管32の他端は光ファイバコイル6の第2の端62へ接続される。換言すれば、第1の基板1の光導波管10、11、12それぞれの両端は第3の基板3の光導波管30、31、32それぞれの両端と(X及びZ軸に沿って)アライメントされる。
【0075】
有利には、光ファイバの両端へ接続されるように意図された光導波管31、32の両端は、一方では光ファイバ6内のそして他方では第1の基板1の光導波管内のシングルモードビームの寸法に応じて適応化される。例えば、光導波管31、32は、一端においてファイバ芯へ適応化された直径(例えば5~10マイクロメートル程度の直径)をそして他端において第1の基板上でプロトン交換により形成される導波管へ適応化された直径(例えば3~8マイクロメートル程度の直径)を有する円錐形を有する。
【0076】
第3の基板3は平面光導波管Y接合結合器41を含む。Y接合結合器41は光源/受信器分割器を形成する。Y接合結合器41は共通岐路30、二次分岐314及び別の二次分岐315を含む。共通岐路30は第1の基板1と第3の基板3との間の界面50において入出力光導波管10の端へ接続される。光源4は第3の基板の一方の側で固定される。代替案として、光源4は、第3の基板3の上又は下に取り付けられ、そして45度偏向ミラーと組み合わせられる。光源4は、希土類(特にエルビウム)ドープファイバを有する発光ダイオード(LED:light-emitting diode)、スーパールミネセンス発光ダイオード(SLED:super-luminescent light-emitting diode)、分散形フィードバック(DFB:distributed feedback)レーザ、又は増幅自然放出(ASE:amplified spontaneous emission)光源の中から選択される。光源4は、光ファイバにより基板3上に直接固定されてもよいし二次分岐314の端へ接続されてもよい。光源4はソースビーム100を生成する。検出器5は例えば第3の基板の別の側で固定される。代替実施形態では、検出器5は光源4及び光ファイバコイル6と同じ側で固定される。代替実施形態では、検出器5は第3の基板3の上又は下で固定され、45度偏向ミラーと組み合わせられる。光源/受信器分割器41は干渉ビーム300をフォトセンサ5へ誘導する。検出器5は好適にはフォトダイオードである。
【0077】
図5に示すハイブリッド集積回路の例示的実施形態では、第1の基板1は8mmの長さL1、3mmの幅W1及び1mmの厚さを有し、第2の基板2は、4mmの長さL2、3mmの幅W2及び1mmの厚さを有し、第3の基板3は4mmの長さL3、3mmの幅W3及び1mmの厚さを有する。全体で、ハイブリッド光集積回路は8+4+4=16mmの全長、3mmの幅及び約1mmの厚さを有する。ハイブリッド光集積回路上の光源と検出器との集積化は干渉計システムのコンパクト性をさらに増加することを可能にする。互いに固定された3つの基板で構成されたハイブリッド集積回路は能動的又は受動的やり方で自動的に組み立てられ得、従って製造コストを低減する。
【0078】
第3の実施形態による光ファイバ干渉計システムは2、3又はN個の光ファイバコイル干渉計システムに関して一般化され得、ここでNは2以上の自然数である。
【0079】
一例として、図6は第3の実施形態の代替案による3ループ光ファイバコイル/ハイブリッド集積回路干渉計システムを概略的に示す。
【0080】
同じ参照符号は、特に第1の基板1及び第2の基板2上の集積化光学素子に関して図4又は5と同様な素子を表す。したがって、第2の基板2は、それぞれがU字状光導波管21、22、23それぞれへ接続された3つのY接合26、27、28を含む。
【0081】
図6では、第3の基板3は、第1の光ファイバコイル6、第2の光ファイバコイル7、第3の光ファイバコイル8それぞれの両端へ接続された3対の光導波管31-32、33-34、35-36それぞれを含む。光源4は第3の基板3上で固定又は集積化される。図6の例では、光源4は光ファイバコイルが接続される第3の基板の側で固定される。第1の検出器51、第2の検出器52、第3の検出器53はそれぞれ第3の基板3へ固定される。第3の基板3はまた、光源4へ接続された二次分岐、第1の検出器51へ接続された別の二次分岐、及び第1の基板1と第3の基板3との間の界面50において第1の入出力光導波管10の端へ接続された共通枝路を有する第1の導波管/光源/受信器分割器/結合器41を含む。同様に、第3の基板3はまた、光源4へ接続された二次分岐、第1の検出器52へ接続された別の二次分岐、及び第1の基板1と第3の基板3との間の界面50において第2の入出力光導波管17の端へ接続された共通枝路を有する第2の導波管/光源/受信器分割器/結合器42を含む。最後に、第3の基板3はまた、光源4へ接続された二次分岐、第3の検出器53へ接続された別の二次分岐、及び第1の基板1と第3の基板3との間の界面50において第3の入出力光導波管18の端へ接続された共通枝路を有する第3の導波管/光源/受信器分割器/結合器43を含む。第1、第2、及び第3それぞれの光源/受信器分割器/結合器41、42、及び43それぞれは好適には一様配電(evenly power distributed)1×2結合器(1*2で表される)であり、50%-50%結合器とも呼ばれる。
【0082】
有利には、第3の基板3はさらに、第1、第2、第3の光源/受信器分割器/結合器41、42、43の二次分岐を、光源4へ接続された単一分岐へ合成するように直列に配置された2つのY接合結合器46、47を含む。Y接合結合器46は好適には一様配電1*2結合器又は50%-50%結合器である。Y接合結合器47は好適には、各コイルから来る信号の最大電力が同じレベルとなるように33%-66%結合器タイプの1×2結合器である。
【0083】
図6に示すように、2つの光導波管は第3の光集積回路上の点44において互いに直角に交差する。しかし、シングルモード光導波管では、90度交差は2つの直交導波管間のいかなる光通信も外乱も誘起しない。
【0084】
図6に示すハイブリッド集積回路の例示的実施形態では、第1のニオブ酸リチウム基板1は8mmの長さL1、3mmの幅W1、及び1mmの厚さを有し、第2のガラス(SiO2)基板2は、6mmの長さL2、3mmの幅W2、及び1.2mmの厚さを有し、第3の基板3は、6mmの長さL3、3mmの幅W3、及び1.2mmの厚さを有する。全体で、ハイブリッド光集積回路は8+6+6=20mmの全長、3mmの幅、約1.2mmの厚さを有する。ハイブリッド光集積回路上の光源4と3つの検出器51、52、53との集積化は、干渉計システムのコンパクト性をさらに増加することと重量を低減することとを可能にする。互いに固定された3つの基板で構成されたハイブリッド集積回路は能動的又は受動的やり方で自動的に組み立てられ得、従って製造コストを低減する。
【0085】
図7は本開示の別の実施形態によるインライン光ファイバサニャック干渉計システムを概略的に示す。図7のインライン光ファイバ干渉計システムは電流センサなどの用途を見出す。
【0086】
同じ参照符号は図1B、3と同様な素子を表す。本システムは光源4、検出器5、光源/受信器分割器45、ハイブリッド光集積回路200を含む。図3と同様なハイブリッド光集積回路200は図1Bの光集積回路39を置換する。示された例では、ハイブリッド光集積回路200はニオブ酸リチウムで作られた第1の基板1及び光学ガラス(例えば硼珪酸塩)で作られた第2の基板2を含む。本明細書における第1の基板1はまた、入出力光導波管10、電極91を備える第1の導波管11、及び電極92を備える第2の導波管12を含む。第2の基板2は導波管Y接合26の共通枝路へ接続されたU字状光導波管21を含む。
【0087】
光源/受信器分割器45は光ファイバ49によりハイブリッド光集積回路200へ接続される。より正確には、光ファイバ49は第1の基板1上の入出力導波管10の一端へ接続される。光ファイバ49は非偏向ファイバである。代替案として、光ファイバ49は偏向しており、ニオブ酸リチウム基板1により構成された偏光子とアライメントされる。
【0088】
ハイブリッド集積回路200はシングルモード入出力導波管10上でソースビーム100を受信する。入出力導波管10はソースビームを線型に偏向する。U字状光導波管21は、さらにより空間的にシングルモードにするためにソースビームを追加的に濾過する空間シングルモードフィルタである。第2の基板2は導波管Y接合26を含む。Y接合26は、誘導されたソースビームをU字状光導波管21の一端において受信し、これを、Y接合26の二次分岐261に沿って伝播する第1の直線偏光された二次ビーム121とY接合26の別の二次分岐262に沿って伝播する第2の直線偏光された二次ビーム122とへ分割する。二次分岐261及び他の二次分岐262それぞれの端は、第1の基板1と第2の基板2との間の界面20において第1の導波管11及び第2の導波管12それぞれの一端へ接続される。第1の直線偏光された二次ビーム121は第1の導波管11内を伝播する。第2の直線偏光された二次ビーム122は第2の導波管12内を伝播する。電極91、92はそれぞれ第1の導波管11及び第2の導波管12に沿って配置される。
【0089】
第2の基板2との界面20に対向する第1の基板1の側で、第1の光導波管11の端は光ファイバ111の部分へ接続される。光ファイバ111の部分は偏波保持タイプのものである。図7に示す例では、偏波保持光ファイバ111の2つの部分が偏光軸を90度だけ回転させるように使用され、偏波保持光ファイバ111の2つの部分はその2つの部分の偏光軸同士間が90度でエンド・ツゥー・エンド溶接される。代替案として、光ファイバ111の部分と光ファイバ112の部分は、取り付ける時点で基板1上に異なるやり方で配置され、一方はPMファイバ軸の速軸とそして他方は遅軸とアライメントされる。代替案として、第1の直線偏光された光ビーム121は、光ビーム121の偏光軸を90度だけ(しかし光ビーム121から90度で)回転し、したがって光ビーム121を別の直線偏光された光ビーム123へ変換するために捩じれ状態で置かれた光ファイバ111の部分内を伝播する。
【0090】
第2の基板2との界面20に対向する第1の基板1の側で、第2の光導波管12の端は偏波保持光ファイバ112の別の部分へ接続される。好適には、光ファイバ111、112の部分の端はV字状支持体(すなわちV字型溝)80内に配置される。第2の直線偏光された光ビーム122は、その偏光方向を維持することにより光ファイバ112の他の部分内を伝播する。したがって、第2の直線偏光されたビーム122は他の直線偏光されたビーム123から90度で方向付けられる。
【0091】
偏光分割器/合成器70は、第2の直線偏光されたビーム122と他の直線偏光された光ビーム123とを合成し、これを直線偏波保持ファイバ67の部分内に注入する。
【0092】
右円偏光ビーム133及び左円偏光ビーム132それぞれは、光ファイバコイル66の順方向に伝播し、そして次にミラー77上で反射され、ここでビームの偏向は反転される。次に、右円偏光ビーム142及び左円偏光ビーム143は、光ファイバコイル66の逆方向に伝播し、そして1/4波長板68により横偏極の2つの直線偏光されたビームへ変換される。偏光分割器/合成器70は、2つの直交直線偏光状態を分割し、その一方を第1の光導波管11へそして他方を第2の光導波管12へ向ける。Y接合26は、それぞれがコイル内を進むこれら2つのビーム(2つの交差円偏光を有する)を再合成し、そして干渉ビーム300を形成し、干渉ビーム300はU字状光導波管21、入出力導波管10、次に光ファイバ49内を伝播し検出器5に到る。
【0093】
このインラインサニャック干渉計では、偏光シングルモード入出力導波管10と電極を備える導波管11、12とを含む第1のニオブ酸リチウム基板、シングルモードU字状光導波管21とさらにここではU字状光導波管21内で誘導されるビームの分割器を形成するY接合とを含む第2のガラス基板とが組み合わせられる。上に示した部品のハイブリッド集積回路内の集積化は、ソースビームと干渉ビームとのシングルモード/偏光濾過と、光ファイバコイル内を進むビームの複屈折変調とを可能にする一方でインラインサニャック干渉計システムの嵩を低減することを可能にする。光ファイバのすべての端はハイブリッド集積回路200の同じ側に配置される。有利には、光ファイバのこれらの端は、ハイブリッド集積回路の一方の側で固定されたV字状支持体(すなわちV字型溝)80内に配置される。V字状支持体80は、小さな嵩であり、そしてハイブリッド集積回路200の光導波管に対する光ファイバの位置決めを改善する。
【0094】
方法
本開示はまた、ループ又はインライン光ファイバ干渉計のための干渉計測法方法を提案する、本方法は以下の工程を含む:
- ソースビーム100を発射すること;
- ソースビーム100を第1の基板1の少なくとも1つの偏光入出力光導波管10内に注入するために、上に述べたいくつかの実施形態の1つに従って説明したハイブリッド集積回路を使用すること;
- ソースビームを第2の基板2のU字状光導波管21内へ誘導しシングルモード濾過すること;
- ソースビームをU字状光導波管21から平面導波路Y接合26の共通枝路へ送信すること;
- ソースビームをY接合26の二次分岐内に誘導された第1及び第2の二次ビームへ分割すること;
- 第1及び第2それぞれの二次ビームをY接合の第1及び第2それぞれの二次分岐から第1の基板1の第1及び第2それぞれの光導波管へ送信すること;
- 第1及び第2それぞれの二次ビームをY接合の第1及び第2それぞれの二次分岐から光ファイバコイルの少なくとも一端へ送信すること;
- 第1の基板1の第1及び第2それぞれの光導波管上の光ファイバコイル内の伝搬後2つの二次ビームを受信すること;
- Y接合26内に干渉ビームを形成すること;
- 干渉ビームを第2の基板2のU字状光導波管21内へ誘導しシングルモード濾過すること;
- 干渉ビームを検出すること。
【0095】
本方法は、小さな嵩、低重量及び低減された製造コストの単一平面ハイブリッド集積回路によりいくつかの機能(シングルモード及び偏光濾過、光ビームの分割及び再合成、位相変調)を組み合わせることを可能にする。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7