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特許7479361オレフィン重合用触媒成分、触媒及びその応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】オレフィン重合用触媒成分、触媒及びその応用
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/654 20060101AFI20240426BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
C08F4/654
C08F10/00 510
【請求項の数】 38
(21)【出願番号】P 2021520594
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 CN2019111252
(87)【国際公開番号】W WO2020078352
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】201811224580.7
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811224578.X
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811223634.8
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811223600.9
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】510016575
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】趙瑾
(72)【発明者】
【氏名】夏先知
(72)【発明者】
【氏名】劉月祥
(72)【発明者】
【氏名】譚揚
(72)【発明者】
【氏名】任春紅
(72)【発明者】
【氏名】李威莅
(72)【発明者】
【氏名】陳龍
(72)【発明者】
【氏名】高富堂
(72)【発明者】
【氏名】凌永泰
(72)【発明者】
【氏名】劉涛
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-509578(JP,A)
【文献】特表2013-508477(JP,A)
【文献】国際公開第2015/177732(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第1463990(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0121430(US,A1)
【文献】米国特許第04425258(US,A)
【文献】特公平05-051004(JP,B1)
【文献】特表2016-537455(JP,A)
【文献】特表2022-504938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/654
C08F 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム、チタン、ハロゲン及び内部電子供与体を含むオレフィン重合用の触媒成分であって、前記内部電子供与体はモノカルボン酸エステル系化合物及びジエーテル系化合物を含み、かつ前記モノカルボン酸エステル系化合物と前記ジエーテル系化合物とのモル比は(0.0035-0.7):1であり、
前記触媒成分は、マグネシウム源、チタン源及び前記内部電子供与体を反応させて得られた生成物であり、
前記マグネシウム源は、硫黄を含み、硫黄とマグネシウム源におけるマグネシウムとのモル比はq:1であり、ここで、0<q≦0.5であるオレフィン重合用の触媒成分。
【請求項2】
前記モノカルボン酸エステル系化合物と前記ジエーテル系化合物とのモル比は(0.0040-0.7):1である、請求項1に記載の触媒成分。
【請求項3】
前記モノカルボン酸エステル系化合物と前記ジエーテル系化合物とのモル比は(0.0045-0.6):1である、請求項1に記載の触媒成分。
【請求項4】
前記モノカルボン酸エステル系化合物と前記ジエーテル系化合物とのモル比は(0.005-0.5):1である、請求項1に記載の触媒成分。
【請求項5】
前記モノカルボン酸エステル系化合物と前記ジエーテル系化合物とのモル比は(0.01-0.35):1である、請求項1に記載の触媒成分。
【請求項6】
前記モノカルボン酸エステル系化合物と前記ジエーテル系化合物とのモル比は(0.02-0.25):1である、請求項1に記載の触媒成分。
【請求項7】
前記ジエーテル系化合物は1,3-ジエーテル系化合物である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項8】
前記1,3-ジエーテル系化合物は式Iで表されるジエーテル化合物であり、
【化1】

式Iにおいて、
’、R’、R’、R’、R’及びR’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して水素、ハロゲン、置換又は非置換のC-C20の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C20のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C20のアリール基、置換又は非置換のC-C20のアラルキル基もしくは置換又は非置換のC-C20のアルキルアリール基から選択され、或いは、R’、R’、R’、R’、R’及びR’のうちの二つ又は二つ以上は互いに結合して環を形成し、
’及びR’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して置換又は非置換のC-C20の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C20のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C20のアリール基、置換又は非置換のC-C20のアラルキル基、及び置換又は非置換のC-C20のアルキルアリール基から選択され、
前記モノカルボン酸エステル系化合物は一価芳香族カルボン酸エステル及び一価脂肪族カルボン酸エステルから選択される、請求項7に記載の触媒成分。
【請求項9】
式Iにおいて、
’、R’、R’、R’、R’及びR’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して水素、ハロゲン、置換又は非置換のC-C18の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C18のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C18のアリール基、置換又は非置換のC-C18のアラルキル基もしくは置換又は非置換のC-C18のアルキルアリール基から選択され:及び/又は、
’及びR’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して置換又は非置換のC-C10の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C15のアリール基、置換又は非置換のC-C15のアラルキル基、及び置換又は非置換のC-C15のアルキルアリール基から選択される、請求項8に記載の触媒成分。
【請求項10】
前記ジエーテル系化合物は式IIで表される1,3-ジエーテル系化合物であり、
【化2】

式IIにおいて、R’及びR10’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して水素、ハロゲン、置換又は非置換のC-C18の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C18のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C18アリール基、置換又は非置換のC-C18のアラルキル基、及びC-C18の置換又は非置換のアルキルアリール基から選択され、或いは、R’とR10’が互いに結合して環を形成し、
11’とR12’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して置換又は非置換のC-C10の直鎖又は分岐鎖アルキル基である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項11】
式IIにおいて、R’及びR10’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して水素、ハロゲン、置換又は非置換のC-C10の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C15のアリール基、置換又は非置換のC-C15のアラルキル基、及びC-C15の置換又は非置換のアルキルアリール基から選択され、或いは、R’とR10’が互いに結合してフルオレン環を形成する、請求項10に記載の触媒成分。
【請求項12】
前記一価脂肪族カルボン酸エステルは、炭素数2-10の一価脂肪族カルボン酸と炭素数1-15の一価又は多価脂肪族アルコール又は炭素数6-15の芳香族アルコールによって形成された一価エステルであり、
前記一価芳香族カルボン酸エステルは炭素数7-10の一価芳香族カルボン酸と炭素数1-15の一価又は多価脂肪族アルコール又は炭素数6-15の芳香族アルコールによって形成された一価エステルである、請求項8に記載の触媒成分。
【請求項13】
前記一価芳香族カルボン酸エステルは、式IIIで表される一価芳香族カルボン酸エステルであり、
【化3】

式IIIにおいて、R’’-R’’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミノ基、置換又は非置換のC-C10の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C10のアルコキシ基、置換又は非置換のC-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C10のアリール基、置換又は非置換のC-C10のアラルキル基、及びC-C10の置換又は非置換のアルキルアリール基から選択され、或いは、R’’-R’’のうちの任意の二つは芳香環又は脂肪環を形成し、R’’は置換又は非置換のC-C10の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C10のアリール基、置換又は非置換のC-C10のアラルキル基、及びC-C10の置換又は非置換のアルキルアリール基から選択される、請求項12に記載の触媒成分。
【請求項14】
式IIIにおいて、R’’は置換又は非置換のC-Cの直鎖又は分岐鎖アルキル基から選択される、請求項13に記載の触媒成分。
【請求項15】
前記マグネシウム源は、ジハロゲン化マグネシウム、アルコキシマグネシウム、アルキルマグネシウム、ジハロゲン化マグネシウムの水和物又はアルコール化合物、及びジハロゲン化マグネシウムの分子式における1つのハロゲン原子がアルコキシ基又はハロゲン化アルコキシ基で置換された誘導体のうちの1種又は複数種のマグネシウム化合物を含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項16】
前記マグネシウム源は、式IVで表されるマグネシウム化合物を含み、
【化4】

式IVにおいて、
’’’は置換又は非置換のC1-C10の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C20のアリール基、置換又は非置換のC7-C20のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C20のアルキルアリール基から選択され、
’’’及びR’’’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して水素、置換又は非置換のC1-C10の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C20のアリール基、置換又は非置換のC7-C20のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C20のアルキルアリール基から選択され、
Xはハロゲンであり、
mは0.1-1.9であり、nは0.1-1.9であり、m+n=2である、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項17】
前記チタン源は、ハロゲン化チタン、アルコキシハロゲン化チタン、アルコキシチタンを含み、
及び/又は、式IVにおいて、R’’’は置換又は非置換のC1-C8の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C15のアリール基、置換又は非置換のC7-C15のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C15のアルキルアリール基から選択され:
及び/又は、式IVにおいて、R’’’及びR’’’はそれぞれ独立して水素、置換又は非置換のC1-C10の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C10のアリール基、置換又は非置換のC7-C10のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C10のアルキルアリール基から選択され:
及び/又は、式IVにおいて、Xは塩素又は臭素である、請求項16に記載の触媒成分。
【請求項18】
式IVにおいて、R’’’は置換又は非置換のC1-C6の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C10のアリール基、置換又は非置換のC7-C10アラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C10のアルキルアリール基から選択され:
及び/又は、式IVにおいて、R’’’及びR’’’はそれぞれ独立して水素、置換又は非置換のC1-C6の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C8のアリール基、置換又は非置換のC7-C9のアラルキル基、及び置換のC7-C9のアルキルアリール基から選択され:
及び/又は、前記チタン源は、一般式がTi(OR′)3-a及び/又はTi(OR′)4-bである化合物を含み、ここで、R′はC-C20のアルキル基であり、ZはF、Cl、Br又はIであり、aは1-3の整数であり、bは1-4の整数である、請求項16に記載の触媒成分。
【請求項19】
0.001<q≦0.2である、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項20】
前記マグネシウム源は、
(1)混合物を製造するステップであって、前記混合物は単体硫黄、一般式がMgXYであるハロゲン化マグネシウム、一般式がROHである化合物、選択可能な不活性液体媒体及び選択可能な界面活性剤を含む、ステップと、
(2)ステップ(1)で得られた混合物をエチレンオキシド系化合物と接触反応させるステップとを含む方法で製造され、
一般式MgXYにおいて、Xはハロゲンであり、Yはハロゲン、置換又は非置換のC1-C10の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C20のアリール基、置換又は非置換のC1-C10のアルコキシ基、置換又は非置換のC6-C20のアリールオキシ基、置換又は非置換のC7-C20のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C20のアルキルアリール基から選択され、
一般式ROHにおいて、Rは置換又は非置換のC1-C10の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C20のアリール基、置換又は非置換のC7-C20のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C20のアルキルアリール基から選択され、
前記エチレンオキシド系化合物の構造は、式Vに示すとおりであり、
【化5】

式Vにおいて、R25及びR26はそれぞれ独立して水素、置換又は非置換のC1-C10の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C20のアリール基、置換又は非置換のC7-C20のアラルキル、及び置換又は非置換のC7-C20のアルキルアリール基である、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項21】
ステップ(1)の前記混合物は、単体硫黄、一般式がMgXYであるハロゲン化マグネシウム、一般式がROHである化合物、選択可能な不活性液体媒体、選択可能な界面活性剤を一緒に、又は段階的に混合して加熱することにより得られ:
及び/又は、一般式MgXYにおいて、Xは塩素又は臭素であり:
及び/又は、一般式ROHにおいて、Rは置換又は非置換のC1-C8の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C15のアリール基、置換又は非置換のC7-C15のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C15のアルキルアリール基から選択され:
及び/又は、式Vにおいて、R25及びR26はそれぞれ独立して水素、置換又は非置換のC1-C8の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C10のアリール基、置換又は非置換のC7-C10のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C10のアルキルアリール基から選択される、請求項20に記載の触媒成分。
【請求項22】
一般式ROHにおいて、Rは置換又は非置換のC1-C6の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C10のアリール基、置換又は非置換のC7-C10のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C10のアルキルアリール基から選択され:
及び/又は、式Vにおいて、R25及びR26はそれぞれ独立して水素、置換又は非置換のC1-C6の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C8のアリール基、置換又は非置換のC7-C9のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C9のアルキルアリール基から選択される、請求項20に記載の触媒成分。
【請求項23】
1molの一般式がMgXYであるハロゲン化マグネシウムを基準とし、単体硫黄の使用量は0.0001-0.5molであり、一般式がROHである化合物の使用量は4-30molであり、エチレンオキシド系化合物の使用量は1-10molである、請求項20に記載の触媒成分。
【請求項24】
1molの一般式がMgXYであるハロゲン化マグネシウムを基準とし、一般式がROHである化合物の使用量は6-20molであり、エチレンオキシド系化合物の使用量は2-6molである、請求項23に記載の触媒成分。
【請求項25】
ステップ(1)において、前記加熱の温度が80-120℃であり、時間が0.5-5時間であり、
ステップ(2)において、前記接触反応の条件は、温度が40-120℃であり、時間が15-60分間であることを含む、請求項21に記載の触媒成分。
【請求項26】
ステップ(1)において、前記加熱の温度が80-100℃であり、時間が0.5-3時間であり、及び/又は、
ステップ(2)において、前記接触反応の条件は、温度が60-100℃であり、時間が20-50分間であることを含む、請求項25に記載の触媒成分。
【請求項27】
前記不活性液体媒体は、シリコーンオイル系溶媒及び/又は炭化水素系溶媒であり、及び/又は、
1molの一般式がMgXYであるハロゲン化マグネシウムを基準とし、前記不活性液体媒体の使用量は0.8-10Lである、請求項20乃至26のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項28】
前記不活性液体媒体はケロシン、パラフィンオイル、ワセリンオイル、ホワイトオイル、メチルシリコーンオイル、エチルシリコーンオイル、メチルエチルシリコーンオイル、フェニルシリコーンオイル及びメチルフェニルシリコーンオイルから選択される少なくとも1種である、請求項27に記載の触媒成分。
【請求項29】
前記界面活性剤は、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、縮合アルキルフェニルエーテル硫酸エステル、縮合アルキルフェノールエトキシレートリン酸エステル、オキシアルキルアクリレート共重合体変性ポリエチレンイミン、1-ドデカ-4-エチレンピリジンブロミドのポリマー、ポリビニルベンジルトリメチルアミン塩、ポリエチレンオキシドプロピレンオキシドブロック共重合体、ポリビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル及びポリメタクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種であり、及び/又は、
1molの一般式がMgXYであるハロゲン化マグネシウムを基準とし、前記界面活性剤の使用量は1-20gである、請求項20乃至28のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項30】
一般式MgXYにおいて、Xは塩素又は臭素であり、Yは塩素、臭素、C-Cのアルコキシ基又はC-C10のアリールオキシ基であり、及び/又は、
一般式ROHにおいて、RはC-Cのアルキル基であり、及び/又は、
構造が式Vで表されるエチレンオキシド系化合物において、R25及びR26はそれぞれ独立して水素、C-Cのアルキル基又はC-Cのハロゲン化アルキル基である、請求項20乃至29のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項31】
一般式MgXYのハロゲン化マグネシウムは塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化フェノキシマグネシウム、塩化イソプロポキシマグネシウム及び塩化n-ブトキシマグネシウムから選択される少なくとも1種であり、及び/又は、
一般式ROHである化合物はエタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、n-アミルアルコール、イソアミルアルコール、n-ヘキサノール、2-エチルヘキサノール及びn-オクタノールから選択される少なくとも1種であり、及び/又は、
前記エチレンオキシド系化合物はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、クロロプロピレンオキシド、クロロブチレンオキシド、ブロモプロピレンオキシド及びブロモブチレンオキシドから選択される少なくとも1種である、請求項20乃至30のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項32】
前記触媒成分において、チタン元素で計算する場合のチタン、マグネシウム元素で計算する場合のマグネシウム、ハロゲン及び内部電子供与体の重量比は1:2-15:8-30:2-15である、請求項1乃至31のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項33】
前記触媒成分において、チタン元素で計算する場合のチタン、マグネシウム元素で計算する場合のマグネシウム、ハロゲン及び内部電子供与体の重量比は1:3-12:10-25:3-13である、請求項1乃至31のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項34】
(1)請求項1乃至33のいずれか一項に記載の触媒成分と、
(2)少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物と、
(3)任意選択的な外部電子供与体化合物と、を含むオレフィン重合用の触媒。
【請求項35】
請求項34に記載の触媒のオレフィン重合反応における使用。
【請求項36】
前記オレフィンは、式CH=CHRで表される少なくとも一種のオレフィンを含み、ここで、Rは水素又はC-Cの直鎖又は分岐鎖アルキル基である、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
オレフィン重合条件下で、オレフィンを請求項34に記載の触媒と接触させることを含むオレフィン重合方法。
【請求項38】
前記オレフィンは、式CH=CHRで表される少なくとも一種のオレフィンを含み、ここで、Rは水素又はC-Cの直鎖又は分岐鎖アルキル基である、請求項37に記載のオレフィン重合方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は2018年10月19日に提出された特許出願の優先権を享受することを請求する。
1、発明名称が「オレフィン重合用の触媒成分及び触媒並びにその応用とオレフィン重合方法」であり、出願番号がCN201811224580.7である中国特許出願。
2、発明名称が「オレフィン重合用の触媒成分及び触媒並びにその応用とオレフィン重合方法」であり、出願番号がCN201811224578.Xである中国特許出願。
3、発明名称が「オレフィン重合用の触媒成分及び触媒並びにその応用とオレフィン重合方法」であり、出願番号がCN201811223634.8である中国特許出願。
4、発明名称が「オレフィン重合用の触媒成分及び触媒並びにその応用とオレフィン重合方法」であり、出願番号がCN201811223600.9である中国特許出願。
それらの全ての内容は引用により本明細書に結合される。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は石油化学工業の分野に属し、具体的にはオレフィン重合触媒成分、該触媒成分を含む触媒及びその応用に関する。
【0003】
〔背景技術〕
プラスチック加工において、メルトフローレートはプラスチックのメルトフロー性を判断するための重要な指標であり、プラスチック加工材料及びブランドを選択するのに重要な参考根拠でもある。メルトフローレートはポリマーの分子量に大きく依存し、低分子量のポリマーは高いメルトフローレートを有する。メルトフローレートの高いオレフィン重合体を得るために、一般的に重合時に大量の水素を添加することによって重合体を低分子化する必要がある。しかし、添加可能な水素量の上限は重合反応器の耐圧によって制限されている。より多くの水素を添加するために、重合されるオレフィンガスの分圧を低下させなければならず、その場合、生産性が低下する。また、水素ガスを大量に使用することにより、得られたポリプロピレンのアイソタクティシティーが低くなり、それにより製品の品質が不合格であるという問題を引き起こす。したがって、高い水素調整感受性(少量の水素で高いメルトフローレートを得ることができるポリマー)及び高い立体配向性(大量の水素の重合条件下であっても、ポリマーが依然として高いアイソタクティシティーを保持することができる)を有する触媒の開発が強く望まれている。
【0004】
US4298718及びUS4495338では、ハロゲン化マグネシウムを担体とするZiegler-Natta触媒が開示されている。該担体と四塩化チタンとの作用で形成された触媒はプロピレンの触媒重合において高い触媒活性を示すが、得られたポリプロピレンのアイソタクティシティーが低く、該触媒の立体配向能力が低いことを示す。その後に研究者はZiegler-Natta触媒の製造過程において電子供与体化合物(例えば安息香酸エチル又はフタル酸エステル)を添加することにより、固体チタン触媒を形成し、かつオレフィンの重合時にさらに別の電子供与体(アルコキシシラン化合物)を添加することにより、プロピレンの触媒重合時にアイソタクティシティーの高いポリプロピレンが得られ、電子供与体化合物の添加により触媒の立体配向能力を向上させ、モノエステル類内部電子供与体に対して、ジエステル類内部電子供与体の方が触媒の立体配向能力を向上させることにより役立つことを示す。しかし、該種類の触媒の水素調整感受性が不足であり、直接水素調整法を採用して高メルトインデックス製品を製造することが困難である。しかも、研究によると、フタル酸エステル系化合物(可塑剤)は動物の成長発育及び生殖系に深刻な損害を与え、同時に、人間にも類似の影響を与える可能性がある。
【0005】
CN1580034A、CN1580035A、CN1580033A、CN1436766A及びCN1552740Aでは、グリコールエステル類化合物をプロピレン重合のZiegler-Natta触媒の電子供与体とすることが開示され、その特徴は分子量分布が広く、重合活性が高いことであり、しかし、カルボン酸グリコールエステル類内部電子供与体を含有する球状触媒をプロピレン重合に用いる場合、立体配向能力が低く、得られたポリプロピレンのアイソタクティシティーが低い。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明の目的は、従来の技術の上記欠点を克服し、オレフィン重合用の触媒成分、該触媒成分を含有する触媒及びオレフィン重合方法を提供することである。該触媒成分は高い水素調整感受性及び立体配向性を同時に有し、かつフタル酸エステル系化合物(可塑剤)を含まない。
【0007】
本発明者らは検討したところ、意外なことに、前記内部電子供与体がモノカルボン酸エステル系化合物及びジエーテル系化合物を含有し、かつ前記モノカルボン酸エステル系化合物とジエーテル系化合物とのモル比が特定の範囲(0.0035-0.7):1である場合、その2種類の内部電子供与体の間が非常に完璧に連携し、触媒の水素調整感受性及び立体配向性をより効果的に向上させることができる。特に、内部電子供与体としてモノカルボン酸エステル系化合物を単独で含む触媒と、内部電子供与体としてジエーテル類化合物を単独で含む触媒に比べて、触媒における内部電子供与体に含まれるモノカルボン酸エステル系化合物とジエーテル系化合物のモル比が(0.0035-0.7):1である場合、触媒の立体配向性がいずれも顕著に向上し、すなわち触媒の立体配向性を向上させる点で相乗作用が生じ、同時に触媒の水素調整感受性も高いレベルに保持される。
【0008】
それに基づいて、第1の態様において、本発明は、マグネシウム、チタン、ハロゲン及び内部電子供与体を含むオレフィン重合用の触媒成分であって、前記内部電子供与体はモノカルボン酸エステル系化合物及びジエーテル系化合物を含み、かつ前記モノカルボン酸エステル系化合物と前記ジエーテル系化合物とのモル比は(0.0035-0.7):1であるオレフィン重合用の触媒成分を提供する。
【0009】
第2の態様において、本発明は、
(1)本発明の第1の態様に記載の触媒成分と、
(2)少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物と、
(3)任意選択的な外部電子供与体化合物と、を含むオレフィン重合用の触媒を提供する。
【0010】
第3の態様において、本発明は、本発明の第2の態様に記載の触媒のオレフィン重合反応における応用を提供する。
【0011】
第4の態様において、本発明は、オレフィン重合条件下で、1種又は複数種のオレフィンを本発明の第2の態様に記載の触媒と接触させることを含むオレフィン重合方法を提供する。
〔図面の簡単な説明〕
本発明の例示的な実施の形態について、図面を参照してより詳細に説明する。
【0012】
図1〕製造例1で製造されたオレフィン重合触媒の球状担体(すなわちマグネシウム源)の光学顕微鏡写真。
【0013】
図2〕製造例4で製造されたオレフィン重合触媒の球状担体(すなわちマグネシウム源)の光学顕微鏡写真。
【0014】
〔発明を実施するための形態〕
第1の態様において、本発明は、マグネシウム、チタン、ハロゲン及び内部電子供与体を含むオレフィン重合用の触媒成分であって、前記内部電子供与体はモノカルボン酸エステル系化合物及びジエーテル系化合物を含み、かつ前記モノカルボン酸エステル系化合物と前記ジエーテル系化合物とのモル比は(0.0035-0.7):1であるオレフィン重合用の触媒成分を提供する。
【0015】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、前記モノカルボン酸エステル系化合物と前記ジエーテル系化合物とのモル比は(0.004-0.7):1であり、好ましくは(0.0045-0.6):1であり、より好ましくは(0.005-0.5):1であり、さらに好ましくは(0.01-0.35):1である。最も好ましい実施例によれば、前記モノカルボン酸エステル系化合物と前記ジエーテル系化合物とのモル比は(0.02-0.25):1である。前記モノカルボン酸エステル系化合物とジエーテル系化合物とのモル比が特定の範囲である場合、その2種類の内部電子供与体の間が非常に完璧に連携し、触媒の水素調整感受性及び立体配向性をより効果的に向上させることができ、特に触媒の立体配向性を顕著に向上させることができ、すなわち得られたポリマーのアイソタクティシティーが顕著に向上する。前記モノカルボン酸エステル系化合物と前記ジエーテル系化合物とのモル比は0.0035:1、0.004:1、0.0045:1、0.005:1、0.008:1、0.01:1、0.012:1、0.015:1、0.020:1、0.023:1、0.03:1、0.04:1、0.05:1、0.06:1、0.07:1、0.08:1、0.09:1、0.10:1、0.11:1、0.12:1、0.15:1、0.18:1、0.20:1、0.23:1、0.24:1、0.25:1、0.28:1、0.30:1、0.32:1、0.34:1、0.36:1、0.40:1、0.42:1、0.44:1、0.46:1、0.48:1、0.50:1、0.55:1、0.60:1、0.65:1などを例示することができる。
【0016】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、前記ジエーテル系化合物は1,3-ジエーテル系化合物であり、好ましくは式Iで表されるジエーテル化合物であり、
【0017】
【化1】
【0018】
式Iにおいて、
’、R’、R’、R’、R’及びR’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して水素、ハロゲン、置換又は非置換のC-C20の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C20のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C20のアリール基、置換又は非置換のC-C20のアラルキル基もしくは置換又は非置換のC-C20のアルキルアリール基から選択され、好ましくは水素、ハロゲン、置換又は非置換のC-C18の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C18のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C18のアリール基、置換又は非置換のC-C18のアラルキル基もしくは置換又は非置換のC-C18のアルキルアリール基から選択され、或いは、R’、R’、R’、R’、R’及びR’のうちの二つ又は二つ以上は互いに結合して環を形成し、
’及びR’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して置換又は非置換のC-C20の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C20のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C20のアリール基、置換又は非置換のC-C20のアラルキル基、及び置換又は非置換のC-C20のアルキルアリール基から選択され、好ましくは置換又は非置換のC-C10の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C15のアリール基、置換又は非置換のC-C15のアラルキル基、及び置換又は非置換のC-C15のアルキルアリール基から選択される。
【0019】
本発明の触媒成分のいくつかの好ましい実施の形態によれば、前記ジエーテル系化合物は式IIで表される1,3-ジエーテル系化合物であり、
【0020】
【化2】
【0021】
式IIにおいて、R’及びR10’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して水素、ハロゲン、置換又は非置換のC-C18の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C18のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C18アリール基、置換又は非置換のC-C18のアラルキル基、及びC-C18の置換又は非置換のアルキルアリール基から選択され、好ましくは水素、ハロゲン、置換又は非置換のC-C10の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C15のアリール基、置換又は非置換のC-C15のアラルキル基、及びC-C15の置換又は非置換のアルキルアリール基から選択され、或いは、R’とR10’が互いに結合して環を形成し、好ましくはR’とR10’が互いに結合してフルオレン環を形成し、
11’とR12’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して置換又は非置換のC-C10の直鎖又は分岐鎖アルキル基である。
【0022】
本発明によれば、前記ジエーテル系化合物の例としては、2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-フェニルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(p-クロロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(ジフェニルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-プロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-ベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-エチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソブチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-メチルブチル)-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ベンジル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-シクロヘキシルメチル-1,3-ジメトキシプロパン、9,9-ジメトキシメチルフルオレンを含むことができるが、それらに限定されない。
【0023】
最も好ましい場合、前記ジエーテル系化合物は2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン及び/又は9,9-ジメトキシメチルフルオレンである。
【0024】
本発明においては、前記1,3-ジエーテル系化合物はCN1020448C、CN100348624C及びCN1141285Aに開示された方法を参照して合成することができる。その開示された内容の全てが参考として本発明に導入される。本明細書で説明を省略する。
【0025】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、前記モノカルボン酸エステル系化合物は一価芳香族カルボン酸エステル及び一価脂肪族カルボン酸エステルから選択され、好ましくは、前記一価脂肪族カルボン酸エステルは、炭素数2-10の一価脂肪族カルボン酸と炭素数1-15の一価又は多価脂肪族アルコール又は炭素数6-15の芳香族アルコールによって形成された一価エステルであり、好ましくは、前記一価芳香族カルボン酸エステルは、炭素数7-10の一価芳香族カルボン酸と炭素数1-15の一価又は多価脂肪族アルコール又は炭素数6-15の芳香族アルコールによって形成された一価エステルである。
【0026】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、前記一価脂肪族カルボン酸エステルは、炭素数2-10の一価脂肪族カルボン酸と炭素数1-15の一価又は多価脂肪族アルコール又は炭素数6-15の芳香族アルコールによって形成された一価エステルである。
【0027】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、前記一価芳香族カルボン酸エステルは炭素数7-10の一価芳香族カルボン酸と炭素数1-15の一価又は多価脂肪族アルコール又は炭素数6-15の芳香族アルコールによって形成された一価エステルである。
【0028】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、前記一価芳香族カルボン酸エステルは、式IIIで表される一価芳香族カルボン酸エステルであり、
【0029】
【化3】

【0030】
式IIIにおいて、 ’’-R ’’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミノ基、置換又は非置換のC-C10の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C10のアルコキシ基、置換又は非置換のC-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C10のアリール基、置換又は非置換のC-C10のアラルキル基、及びC-C10の置換又は非置換のアルキルアリール基から選択され、或いは、 ’’-R ’’のうちの任意の二つは芳香環又は脂肪環を形成し、 ’’は置換又は非置換のC-C10の直鎖又は分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C10のアリール基、置換又は非置換のC-C10のアラルキル基、及びC-C10の置換又は非置換のアルキルアリール基から選択され、好ましくは、置換又は非置換のC-Cの直鎖又は分岐鎖アルキル基から選択される。
【0031】
前記一価芳香族カルボン酸エステルは、具体的に、安息香酸エステル、o-ヒドロキシ安息香酸エステル、o-メトキシ安息香酸エステル及びo-エトキシ安息香酸エステルのうちの少なくとも一種であってもよい。
【0032】
本発明によれば、前記内部電子供与体は、ジエーテル系化合物及びモノカルボン酸エステル系化合物を含み、両者は一定の相乗効果を生じることができ、前記内部電子供与体の使用量を基準として、好ましくは、モノカルボン酸エステル系化合物及びジエーテル系化合物の総使用量は70-100重量%であり、より好ましくは80-100重量%であり、さらに好ましくは90-100重量%であり、最も好ましくは100重量%である。
【0033】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、前記触媒成分は、マグネシウム源、チタン源及び前記内部電子供与体を反応させて得られた生成物である。
【0034】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、前記マグネシウム源は、ジハロゲン化マグネシウム、アルコキシマグネシウム、アルキルマグネシウム、ジハロゲン化マグネシウムの水和物又はアルコール化合物、及びジハロゲン化マグネシウムの分子式における1つのハロゲン原子がアルコキシ基又はハロゲン化アルコキシ基で置換された誘導体のうちの1種又は複数種のマグネシウム化合物を含む。
【0035】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、前記マグネシウム源は、式IVで表されるマグネシウム化合物を含み、
【0036】
【化4】

【0037】
式IVにおいて、
’’’は置換又は非置換のC1-C10の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C20のアリール基、置換又は非置換のC7-C20のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C20のアルキルアリール基から選択され、好ましくは、 ’’’は置換又は非置換のC1-C8の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C15のアリール基、置換又は非置換のC7-C15のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C15のアルキルアリール基から選択され、より好ましくは、 ’’’は置換又は非置換のC1-C6の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C10のアリール基、置換又は非置換のC7-C10アラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C10のアルキルアリール基から選択され、
’’’及び ’’’は同じであるか又は異なり、それぞれ独立して水素、置換又は非置換のC1-C10の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C20のアリール基、置換又は非置換のC7-C20のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C20のアルキルアリール基から選択され、好ましくは、 ’’’及び ’’’はそれぞれ独立して水素、置換又は非置換のC1-C10の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C10のアリール基、置換又は非置換のC7-C10のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C10のアルキルアリール基から選択され、より好ましくは、 ’’’及び ’’’はそれぞれ独立して水素、置換又は非置換のC1-C6の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C8のアリール基、置換又は非置換のC7-C9のアラルキル基、及び置換のC7-C9のアルキルアリール基から選択され、
Xはハロゲンであり、好ましくは塩素又は臭素であり、
mは0.1-1.9であり、nは0.1-1.9であり、m+n=2である。
【0038】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、前記チタン源は、ハロゲン化チタン、アルコキシハロゲン化チタン、アルコキシチタンを含み、一般式がTi(OR′)3-a及び/又はTi(OR′)4-bである化合物を含むことがより好ましく、ここで、R′はC-C20のアルキル基であり、ZはF、Cl、Br又はIであり、aは1-3の整数であり、bは1-4の整数である。
【0039】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、前記マグネシウム源は、さらに硫黄を含み、硫黄とマグネシウム源におけるマグネシウムとのモル比はq:1であり、ここで、0<q≦0.5、好ましくは0.001<q≦0.2である。本発明者らは検討したところ、意外なことに、オレフィン重合触媒担体(マグネシウム源)の製造過程において硫黄を添加すると、硫黄は未成形粒子間の衝突確率を低下させ、担体粒子間の接着を減少させることができ、得られた担体粒子の粒径が小さくなり、分布が狭くかつ形態が良好であることを発見した。これによって製造された担体粒子は形態が良好で、表面が滑らかで、異形粒子がほとんど存在せず、かつその粒径が20ミクロンより小さく、粒径分布が狭いことを実現することができる。
【0040】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、前記マグネシウム源は、
(1)混合物を製造するステップであって、前記混合物は単体硫黄、一般式がMgXYであるハロゲン化マグネシウム、一般式がROHである化合物、選択可能な不活性液体媒体及び選択可能な界面活性剤を含み、好ましくは、単体硫黄、一般式がMgXYであるハロゲン化マグネシウム、一般式がROHである化合物、選択可能な不活性液体媒体、選択可能な界面活性剤を一緒に、又は段階的に混合して加熱することにより、前記混合物が得られるステップと、
(2)ステップ(1)で得られた混合物をエチレンオキシド系化合物と接触反応させるステップとを含む方法で製造される。
【0041】
一般式MgXYにおいて、Xはハロゲンであり、好ましくは塩素又は臭素であり、Yはハロゲン、置換又は非置換のC1-C10の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C20のアリール基、置換又は非置換のC1-C10のアルコキシ基、置換又は非置換のC6-C20のアリールオキシ基、置換又は非置換のC7-C20のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C20のアルキルアリール基から選択され、
一般式ROHにおいて、Rは置換又は非置換のC1-C10の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C20のアリール基、置換又は非置換のC7-C20のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C20のアルキルアリール基から選択され、好ましくは、Rは置換又は非置換のC1-C8の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C15のアリール基、置換又は非置換のC7-C15のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C15のアルキルアリール基から選択され、より好ましくは、Rは置換又は非置換のC1-C6の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C10のアリール基、置換又は非置換のC7-C10のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C10のアルキルアリール基から選択される。
【0042】
前記エチレンオキシド系化合物の構造は、式Vに示すとおりである。
【0043】
【化5】
【0044】
式Vにおいて、R25及びR26はそれぞれ独立して水素、置換又は非置換のC1-C10の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C10のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C20のアリール基、置換又は非置換のC7-C20のアラルキル、及び置換又は非置換のC7-C20のアルキルアリール基であり、好ましくは、R25及びR26はそれぞれ独立して水素、置換又は非置換のC1-C8の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C8のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C10のアリール基、置換又は非置換のC7-C10のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C10のアルキルアリール基から選択され、より好ましくは、R25及びR26はそれぞれ独立して水素、置換又は非置換のC1-C6の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC3-C6のシクロアルキル基、置換又は非置換のC6-C8のアリール基、置換又は非置換のC7-C9のアラルキル基、及び置換又は非置換のC7-C9のアルキルアリール基から選択される。
【0045】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、一般式MgXYにおいて、Xは塩素又は臭素であり、Yは塩素、臭素、C-Cのアルコキシ基又はC-C10のアリールオキシ基であり、好ましくは、一般式MgXYのハロゲン化マグネシウムは塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化フェノキシマグネシウム、塩化イソプロポキシマグネシウム及び塩化n-ブトキシマグネシウムから選択される少なくとも1種である。
【0046】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、一般式ROHにおいて、RはC-Cのアルキル基であり、好ましくは、一般式ROHである化合物はエタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、n-アミルアルコール、イソアミルアルコール、n-ヘキサノール、2-エチルヘキサノール及びn-オクタノールから選択される少なくとも1種である。
【0047】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、構造が式Vで表されるエチレンオキシド系化合物において、R25及びR26はそれぞれ独立して水素、C-Cのアルキル基又はC-Cのハロゲン化アルキル基であり、好ましくは、前記エチレンオキシド系化合物はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、クロロプロピレンオキシド、クロロブチレンオキシド、ブロモプロピレンオキシド及びブロモブチレンオキシドから選択される少なくとも1種である。
【0048】
本発明によれば、前記オレフィン重合触媒のマグネシウム源における上記各成分の含有量は、大きな範囲内で選択して変動することができ、好ましくは、1molの一般式がMgXYであるハロゲン化マグネシウムを基準とし、単体硫黄の使用量は0.0001-0.5molであり、一般式がROHである化合物の使用量は4-30molであり、エチレンオキシド系化合物の使用量は1-10molであり、さらに好ましくは、1molの一般式がMgXYであるハロゲン化マグネシウムを基準とし、一般式がROHである化合物の使用量は6-20molであり、エチレンオキシド系化合物の使用量は2-6molである。
【0049】
本発明によれば、ステップ(1)において、単体硫黄、一般式がMgXYであるハロゲン化マグネシウム、一般式がROHである化合物、選択可能な不活性液体媒体及び/又は界面活性剤の混合物を加熱する条件は特に限定されず、前記加熱の条件は一般式がMgXYであるハロゲン化マグネシウムを溶融させかつ硫黄と十分に反応させることができればよい。本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、ステップ(1)において、前記加熱の温度が80-120℃であり、時間が0.5-5時間であり、好ましくは、前記加熱の温度が80-100℃であり、時間が0.5-3時間である。
【0050】
本発明によれば、ステップ(2)において、混合物をエチレンオキシド系化合物と接触反応させる条件は従来の様々な、オレフィン重合触媒担体を形成できる条件であってもよい。本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、ステップ(2)において、前記接触反応の条件は、温度が40-120℃であり、時間が15-60分間であることを含み、好ましくは、前記接触反応の条件は、温度が60-100℃であり、時間が20-50分間であることを含む。
【0051】
本発明によれば、該方法は、接触反応により得られた生成物を固液分離し、分離により得られた固相生成物を洗浄して乾燥することをさらに含むことができる。前記固液分離は従来の固相と液相の分離を実現できる様々な方法であってもよく、例えば吸引濾過、加圧濾過又は遠心分離であり、好ましくは、前記固液分離の方法は加圧濾過法である。本発明では、加圧濾過の条件が特に限定されず、固相と液相の分離をできるだけ十分に実現することを基準とする。前記洗浄は、当業者に公知の方法を用いて、得られた固相生成物を洗浄することができ、例えば不活性炭化水素系溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル及びガソリン)を用いて、得られた固相生成物を洗浄することができる。本発明では、前記乾燥の条件が特に限定されず、例えば、前記乾燥の温度が20-70℃であってもよく、前記乾燥の時間が0.5-10時間であってもよい。本発明によれば、前記乾燥は常圧又は減圧条件下で行うことができる。
【0052】
好ましくは、上記の固体成分を製造する過程で得られた固体成分粒子を不活性炭化水素系溶剤(例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエン等)で洗浄し、乾燥した後、後続のステップ(2)に用いて前記オレフィン重合用の触媒成分を製造する。
【0053】
本発明において、前記単体硫黄は、任意の単体硫黄のサブタイプであってもよく、α-硫黄、β-硫黄、γ-硫黄及び重合型硫黄のうちの少なくとも1種を含むが、それらに限定されない。前記単体硫黄は、無水単体硫黄又は結合水を含有する単体硫黄であってもよい。上記単体硫黄は、いずれも市販品から購入することができる。
【0054】
本発明によれば、前記不活性液体媒体は、本分野で一般的に使用される様々な、反応物及び反応生成物と化学的に作用しない液体媒体であってもよい。本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、前記不活性液体媒体は、シリコーンオイル系溶媒及び/又は炭化水素系溶媒であり、好ましくは、前記不活性液体媒体はケロシン、パラフィンオイル、ワセリンオイル、ホワイトオイル、メチルシリコーンオイル、エチルシリコーンオイル、メチルエチルシリコーンオイル、フェニルシリコーンオイル及びメチルフェニルシリコーンオイルから選択される少なくとも1種である。
【0055】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、1molの一般式がMgXYであるハロゲン化マグネシウムを基準とし、前記不活性液体媒体の使用量は0.8-10Lである。
【0056】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、前記界面活性剤は、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、縮合アルキルフェニルエーテル硫酸エステル、縮合アルキルフェノールエトキシレートリン酸エステル、オキシアルキルアクリレート共重合体変性ポリエチレンイミン、1-ドデカ-4-エチレンピリジンブロミドのポリマー、ポリビニルベンジルトリメチルアミン塩、ポリエチレンオキシドプロピレンオキシドブロック共重合体、ポリビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル及びポリメタクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種である。
【0057】
本発明の触媒成分のいくつかの実施の形態によれば、1molの一般式がMgXYであるハロゲン化マグネシウムを基準とし、前記界面活性剤の使用量は1-20gである。
【0058】
本発明のオレフィン重合触媒の球状担体の平均粒子は、広い範囲内で制御することができ、例えば10-100ミクロンであってもよい。本発明の好ましい実施の形態によれば、前記オレフィン重合触媒の球状担体の平均粒子径(D50)を30ミクロン以下に制御でき、好ましくは20ミクロン以下に制御でき、粒径分布((D90-D10)/D50)が1.2より小さく、好ましくは粒径分布が0.8以下である。該好ましい実施の形態において、該オレフィン重合触媒の球状担体で製造された触媒は、より高い嵩密度を有するオレフィン重合体を得ることができる。本発明において、前記オレフィン重合触媒の球状担体の平均粒径及び粒径分布はMaster Sizer 2000レーザー粒度計(Malvern Instruments Ltd製)を用いて測定することができる。
【0059】
前記固体成分(オレフィン重合触媒担体)が球状粒子である場合、担体を前記チタン化合物、モノカルボン酸エステル系化合物及びジエーテル系化合物と反応させることにより得られた触媒成分も球状粒子となる。そして、球状担体の粒径が小さく、粒径分布が狭いため、それに応じて、製造された触媒成分の粒径も小さく、粒径分布も狭くなる。
【0060】
本発明によれば、前記オレフィン重合触媒の球状担体は水を含有する可能性があり、含有される水は合成原料及び反応媒体が有する微量の水に由来する。本発明によれば、上記各反応物中の微量の水はオレフィン重合触媒の球状担体を形成する反応に関与することができる。
【0061】
本発明において、前記オレフィン重合触媒成分において、前記マグネシウム、チタン、ハロゲン及び内部電子供与体の含有量は特に限定されず、本分野の一般的な使用量に応じて適宜選択することができる。好ましくは、前記触媒成分において、チタン元素で計算する場合のチタン、マグネシウム元素で計算する場合のマグネシウム、ハロゲン及び内部電子供与体の重量比は1:(2-15):(8-30):(2-15)であり、好ましくは1:(3-12):(10-25):(3-13)であり、さらに好ましくは、チタン元素で計算する場合のチタン、マグネシウム元素で計算する場合のマグネシウム及び内部電子供与体の重量比は1:(4-10):(4-10)である。本発明において、前記チタン化合物は本分野の一般的なチタン化合物であってもよい。好ましくは、前記チタン化合物は式XI及び/又は式XIIで表される化合物であり、
【0062】
【化6】
【0063】
式XI及び式XIIにおいて、Xはハロゲンであり、R27、R28はそれぞれ独立してC-C20のアルキル基であり、pは1-4の整数であり、qは1-3の整数である。
【0064】
さらに好ましくは、前記チタン化合物は四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、トリブトキシチタン塩化物、ジブトキシチタン二塩化物、ブトキシチタン三塩化物、トリエトキシチタン塩化物、ジエトキシチタン二塩化物、エトキシチタン三塩化物及び三塩化チタンのうちの1種又は複数種である。最も好ましくは、前記チタン化合物は四塩化チタンである。
【0065】
本発明のオレフィン重合用の触媒成分の製造方法は、以下のステップを含むことができる。マグネシウム化合物とチタン化合物を反応させ、前記マグネシウム化合物とチタン化合物を反応させる前、中及びその後の1つ又は複数の期間内に内部電子供与体を添加し、前記内部電子供与体は上記モノカルボン酸エステル系化合物及び上記ジエーテル系化合物を含む。本発明において、前記マグネシウム化合物とチタン化合物との反応は従来の技術に開示された方法に基づいて実施することができ、例えば、チタン化合物を0℃以下(好ましくは-5℃乃至-25℃)に冷却し、次にマグネシウム化合物を添加し、該温度で10-60分間撹拌混合し、次に反応温度(好ましくは60-130℃)に昇温し、該反応温度で0.5-10時間維持する。昇温過程でモノカルボン酸エステル系化合物及びジエーテル系化合物を添加する。次にチタン化合物を添加して一回又は複数回処理し、最後に、不活性溶媒で複数回洗浄することにより、前記触媒成分が得られる。前記不活性溶媒の例として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエンが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
前記オレフィン重合用の触媒成分の製造方法において、前記内部電子供与体成分は、前記マグネシウム化合物と前記チタン化合物を反応させる前、中及びその後のうちの1つ又は複数の期間内に添加される。前記マグネシウム化合物と前記チタン化合物を反応させる前の期間とは、前記マグネシウム化合物を反応器に添加した後、反応温度まで昇温するまでの期間である。
【0067】
1つの実施の形態において、製造された触媒成分がオレフィン重合に用いられる過程においてアイソタクティシティーのより高いオレフィン重合体を得ることができるように、ステップ(2)において、固体成分とチタン化合物を反応させる前、中及びその後の1つ又は複数の期間内に、少なくともモノカルボン酸エステル系化合物及びジエーテル系化合物を含有する内部電子供与体を添加することを含み、少なくともモノカルボン酸エステル系化合物及びジエーテル系化合物を含有する内部電子供与体を一緒に添加してもよく、それぞれ異なる期間内にそれぞれ単独に添加してもよい。好ましくは、固体成分及びチタン化合物の混合物を昇温する過程で少なくともモノカルボン酸エステル系化合物及びジエーテル系化合物を含有する内部電子供与体を添加する。
【0068】
好ましくは、固体成分とチタン化合物を反応させた後、前記触媒成分を製造する方法は、液体を濾過し固体を回収し、次に液体のチタン化合物(例えば四塩化チタン)で回収された固体を一回又は複数回、好ましくは2-4回で処理し、次に炭化水素系溶媒で複数回洗浄して固体触媒成分が得られることをさらに含む。前記炭化水素系溶剤は、脂肪族炭化水素、芳香族又は脂環族炭化水素、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエンなどから選択することができる。
【0069】
本発明によれば、前記触媒成分を製造する際、前記マグネシウム化合物、前記チタン化合物と前記内部電子供与体成分とのモル比は特に限定されず、各成分の含有量はいずれも広い範囲内で変動することができ、好ましくは、マグネシウム元素で計算する場合の前記マグネシウム化合物、チタン元素で計算する場合の前記チタン化合物と前記内部電子供与体とのモル比は1:(5-200):(0.04-0.6)であり、さらに好ましくは、マグネシウム元素で計算する場合の前記マグネシウム化合物、チタン元素で計算する場合の前記チタン化合物と前記内部電子供与体とのモル比は1:(10-160):(0.07-0.5)であり、最も好ましくは、マグネシウム元素で計算する場合の前記マグネシウム化合物、チタン元素で計算する場合の前記チタン化合物と前記内部電子供与体とのモル比は1:(15-120):(0.1-0.4)である。
【0070】
本発明において、C1-C20の直鎖又は分岐鎖アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、テトラヒドロゲラニル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基を含むことができるが、それらに限定されない。
【0071】
本発明において、C1-C20の直鎖又は分岐鎖アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-エチル-1-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、4-メチル-3-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-ヘプテニル基、1-オクテニル基、フェニルビニル基、フェニル-n-ブテニル基、ゲラニル基、1-デセニル基、1-テトラデセニル基、1-オクタデセニル基、9-オクタデセニル基、1-イコセニル基、3,7,11,15-テトラメチル-1-ヘキサデセニル基を含むことができるが、それらに限定されない。
【0072】
本発明において、C3-C20のシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-エチルシクロヘキシル基、4-n-プロピルシクロヘキシル基、4-n-ブチルシクロヘキシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基を含むことができるが、それらに限定されない。
【0073】
本発明において、C6-C20のアリール基はC6-C20のフェニル基を含み、C10-C20の縮合環アリール基も含み、その例としては、フェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、アントリル基、メチルアントリル基、エチルアントリル基、フェナントリル基、メチルフェナントリル基、エチルフェナントリル基、ピレニル基、インデニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、o-エチルフェニル基、m-エチルフェニル基、p-エチルフェニル基又はナフチル基を含むことができるが、それらに限定されない。
【0074】
本発明において、C7-C20のアラルキル基とは、炭素数7-20のアリール基置換基を有するアルキル基を意味する。C7-C20のアラルキル基の例としては、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニル基n-プロピル基、フェニル基n-ブチル基、フェニル基t-ブチル基、フェニルイソプロピル基、フェニル基n-ペンチル基を含むことができるが、それらに限定されない。
【0075】
本発明において、C7-C20のアルキルアリール基とは、炭素数7-20のアルキル基置換基を有するアリール基を意味する。C7-C20の置換又は非置換のアルキルアリール基の例としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、t-ブチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n-ペンチルフェニル基を含むことができるが、それらに限定されない。
【0076】
本発明において、C1-C6のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、t-ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基を含むことができるが、それらに限定されない。
【0077】
本発明において、C-C10のアリールオキシ基は、例えば、フェノキシ基又はナフトキシ基であってよい。
【0078】
本発明において、用語「置換」とは、記述された基の炭素上の1つ又は複数の水素が一般的な置換基で置換されてもよいことを意味し、前記一般的な置換基は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、アミノ基、ヒドロキシ基等であってもよく、例えばC1-C6のアルキル基、C1-C6のアルコキシ基、ハロゲン、アミノ基、ヒドロキシ基等である。
【0079】
本発明において、前記単体硫黄は、任意の単体硫黄のサブタイプであってもよく、α-硫黄、β-硫黄、γ-硫黄及び重合型硫黄のうちの少なくとも1種を含むが、それらに限定されない。前記単体硫黄は、無水単体硫黄又は結合水を含有する単体硫黄であってもよい。上記単体硫黄は、いずれも市販品から購入することができる。
【0080】
本発明において、用語ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される。
【0081】
本発明において、前記C-C10のアリールオキシ基は、例えば、フェノキシ基又はナフトキシ基であってよい。
【0082】
本発明において、C-Cのシクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシル基又はシクロヘキシルメチル基であってよい。
【0083】
第2の態様において、本発明は、
(1)本発明の第1の態様に記載の触媒成分と、
(2)少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物と、
(3)任意選択的な外部電子供与体化合物と、を含むオレフィン重合用の触媒を提供する。
【0084】
本発明において、上記オレフィン重合用の触媒において、前記アルキルアルミニウム化合物は、オレフィン重合の分野で一般的に使用される様々な、オレフィン重合触媒の助触媒として使用できるアルキルアルミニウム化合物であってもよい。好ましくは、前記アルキルアルミニウム化合物は式XIIIで表される化合物であり、
【0085】
【化7】
【0086】
式XIIIにおいて,R’はC-Cのアルキル基又はハロゲン化アルキル基であり、X’はハロゲンであり、好ましくは塩素、臭素及びヨウ素のうちの1種又は複数種であり、より好ましくは塩素であり、n’は1-3の整数である。
【0087】
さらに好ましくは、前記アルキルアルミニウム化合物は、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、クロロジエチルアルミニウム、クロロジイソブチルアルミニウム、ジクロロエチルアルミニウム、Al(n-C13及びAl(n-C17のうちの1種又は複数種である。
【0088】
最も好ましくは、前記アルキルアルミニウム化合物はトリエチルアルミニウム及び/又はトリイソブチルアルミニウムである。
【0089】
本発明によれば、前記アルキルアルミニウム化合物の使用量は本分野の一般的な使用量であってもよい。好ましくは、前記アルキルアルミニウム化合物中のアルミニウムと前記触媒成分中のチタンとのモル比は1-2000:1である。さらに好ましくは、前記アルキルアルミニウム化合物中のアルミニウムと前記触媒成分中のチタンとのモル比は10-500:1である。
【0090】
本発明は、オレフィン重合触媒における外部電子供与体の種類及び含有量について特に限定されるものではない。好ましくは、前記アルキルアルミニウム化合物中のアルミニウムと前記外部電子供与体化合物とのモル比は1-200:1であり、より好ましくは2.5-100:1である。
【0091】
本発明によれば、前記外部電子供与体化合物を前記モノカルボン酸エステル系化合物及び前記ジエーテル系化合物と組み合わせて使用すると、本発明の方法で得られたオレフィン重合体のアイソタクチック指数をさらに向上させることができる。前記外部電子供与体化合物は、本分野で一般的に使用される上記目的を達成できる様々な外部電子供与体化合物であってもよく、例えば、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、ケトン、エーテル、アルコール、ラクトン、有機リン化合物及び有機ケイ素化合物のうちの1種又は複数種である。好ましくは、前記外部電子供与体化合物は式XIVで表される有機ケイ素化合物であり、
【0092】
【化8】
【0093】
式XIVにおいて、R29、R30及びR31はそれぞれ独立してC-C18の炭化水素基であり、任意選択的にヘテロ原子を含有し、前記ヘテロ原子はF、Cl、Br、N及びIのうちの1種又は複数種であり、m’及びp’はそれぞれ独立して0-2の整数であり、q’は1-3の整数であり、かつm’、p’及びq’の和は4である。
【0094】
好ましくは、R29及びR30はそれぞれ独立してC-C10の直鎖又は分岐鎖アルキル基、C-C10の直鎖又は分岐鎖オレフィン基、C-C10の置換又は非置換のアルキレン基、C-C10の置換又は非置換のシクロアルキル基、及びC-C10の置換又は非置換のアリール基であり、任意選択的にヘテロ原子を含有し、前記ヘテロ原子はF、Cl、Br、N及びIのうちの1種又は複数種であり、R31はC-C10の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0095】
本発明によれば、前記外部電子供与体化合物の具体例としては、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ-n-ブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチル-t-ブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、t-ヘキシルトリメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、2-エチルピペリジル-2-t-ブチルジメトキシシラン、(1,1,1-トリフルオロ-2-プロピル)-2-エチルピペリジルジメトキシシラン及び(1,1,1-トリフルオロ-2-プロピル)-メチルジメトキシシランのうちの1種又は複数種を含むことができるが、それらに限定されない。それらの外部電子供与体は、単一で用いても複数種を複合して用いてもよい。
【0096】
さらに好ましくは、前記外部電子供与体化合物はシクロヘキシルメチルジメトキシシラン及び/又はジシクロペンチルジメトキシシランである。
【0097】
本発明によれば、オレフィン重合用の触媒の製造過程において、アルキルアルミニウム及び任意選択的な外部電子供与体化合物をそれぞれオレフィン重合用の触媒成分と混合した後に反応させてもよく、或いは、アルキルアルミニウム及び任意選択的な外部電子供与体を予め混合した後にオレフィン重合用の触媒成分と混合して反応させてもよい。
【0098】
本発明によれば、オレフィン重合用の触媒をオレフィン重合に用いる際、前記オレフィン重合用の触媒成分、アルキルアルミニウム、及び任意選択的な外部電子供給体をそれぞれ重合反応器に添加してもよいし、混合した後に重合反応器に添加してもよいし、本業界で公知の予備重合方法を用いてオレフィンを予備重合した後に重合反応器に添加してもよい。
【0099】
本発明の第3の態様は、上記触媒のオレフィン重合反応における応用を提供する。
【0100】
本発明の第4の態様は、オレフィン重合条件下で、1種又は複数種のオレフィンを上記触媒と接触させることを含むオレフィン重合方法を提供する。本発明の改善点は、新たなオレフィン重合用の触媒成分及び触媒を採用することであり、したがって、オレフィンの具体的な種類、オレフィンの重合反応方法及び条件はいずれも従来の技術と同じであってもよい。前記オレフィンは、式CH=CHRで表される少なくとも一種のオレフィンであり、ここで、Rは水素又はC-Cの直鎖又は分岐鎖アルキル基である。前記式CH=CHRで表されるオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1-n-ブテン、1-n-ペンテン、1-n-ヘキセン、1-n-オクテン、4-メチル-1-ペンテンを含むことができる。好ましくは、前記式CH2=CHRで表されるオレフィンは、エチレン、プロピレン、1-n-ブテン、1-n-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテンである。より好ましくは、前記式CH=CHRで表されるオレフィンはプロピレンである。
【0101】
本発明のオレフィン重合方法は、単一のオレフィンの単独重合であってもよく、複数種のオレフィンの共重合であってもよい。
【0102】
本発明によれば、前記オレフィンの重合反応は従来の方法によって行うことができ、具体的には、不活性ガスの保護下で、液相モノマー又は重合されるモノマーを含有する不活性溶媒中、又は気相中、又は気液相中の組み合わせ重合プロセスにより重合反応を行う。前記重合反応の温度は、通常、0-150℃、好ましくは60-90℃である。前記重合反応の圧力は常圧又はそれ以上であってもよい。例えば、0.01-10MPaであってもよく、好ましくは0.01-6MPaであり、より好ましくは0.1-4MPaである。本発明の圧力はいずれもゲージ圧を意味する。重合過程において、水素ガスをポリマー分子量調節剤として反応系に添加してポリマーの分子量及びメルトインデックスを調節することができる。また、オレフィンの重合反応過程において、前記不活性ガス、溶媒の種類及び使用量は当業者に公知であり、ここでは説明を省略する。
【0103】
本発明のオレフィン重合触媒成分は、ジエーテル系化合物及びモノカルボン酸エステル系化合物を内部電子供与体として採用することにより、触媒の水素調整感受性及び立体配向性を効果的に向上させることができる。
【0104】
本発明の他の特徴及び利点は、後の具体的な実施の形態の部分で詳細に説明する。
【0105】
以下の実施例により、本発明をさらに説明する。
【0106】
以下、本発明の具体的な実施の形態について詳細に説明する。理解すべきことは、ここで説明された具体的な実施の形態は本発明を説明し解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0107】
以下の実施例及び比較例において、
1、オレフィン重合触媒成分及び担体の平均粒径及び粒径分布をMasters Sizer 2000粒度計(Malvern Instruments Ltd製)で測定する。
2、オレフィン重合触媒担体の外観形態をNikon社から購入されたモデルがEclipse E200の光学顕微鏡により観察する。
3、ポリマーメルトインデックス:ASTM D1238-99の方法で測定される。
4、ポリマーアイソタクチック指数はヘプタン抽出法で測定する(ヘプタン沸騰抽出6時間):2グラムの乾燥したポリマーサンプルを、抽出器に入れて沸騰ヘプタンで6時間抽出した後、残留物を恒量まで乾燥して得られたポリマー重量(g)と2(g)との比率はアイソタクチック指数である。
【0108】
<製造例1>
0.6Lの反応釜に、8.0g(0.08mol)の塩化マグネシウム、56mL(0.96mol)のエタノール、1g(0.03mol)のα-硫黄、1gのPVP(ポリビニルピロリドン)を界面活性剤として添加し、撹拌しながら90℃まで昇温し、2時間恒温反応させた後に38mL(0.48mol)のクロロプロピレンオキシドを添加し、続けて90℃で半時間恒温反応させた後に加圧濾過し、加圧濾過生成物をヘキサンで5回洗浄し、最後に生成物を真空乾燥させ、オレフィン重合用触媒の球状担体Z1が得られる。
【0109】
前記オレフィン重合触媒の球状担体Z1の平均粒径(D50)は15ミクロンであり、粒径分布((D90-D10)/D50)は0.6である。図1に示すように、光学顕微鏡を用いてオレフィン重合触媒の球状担体Z1の粒子形態を観察すると、比較的規則的であり、表面が滑らかであり、ほとんど全部球状であり、粒子のサイズ分布が比較的集中し、かつ異形粒子がほとんど存在しない。
【0110】
気質併用、元素分析及び核磁気特性に基づいて、Z1の組成は、構造式が
【0111】
【化9】
【0112】
であるマグネシウム含有化合物及び硫黄を含み、そのうち、マグネシウム含有化合物におけるマグネシウムと硫黄とのモル比は1:0.2である。
【0113】
<製造例2>
0.6Lの反応釜に、300mLのホワイトオイル、8.0g(0.08mol)の塩化マグネシウム、28mL(0.48mol)のエタノール、0.3g(0.009mol)のβ-硫黄、1gのPVP(ポリビニルピロリドン)を界面活性剤として添加し、撹拌しながら100℃まで昇温し、1時間恒温反応させた後に12.5mL(0.16mol)のクロロプロピレンオキシドを添加し、続けて100℃で20分恒温反応させた後に加圧濾過し、加圧濾過生成物をヘキサンで5回洗浄し、最後に生成物を真空乾燥させ、オレフィン重合触媒の球状担体Z2が得られる。
【0114】
前記オレフィン重合触媒の球状担体Z2の平均粒径(D50)は18ミクロンであり、粒径分布((D90-D10)/D50)は0.7である。光学顕微鏡を用いてオレフィン重合触媒の球状担体Z2の粒子形態を観察すると、比較的規則的であり、表面が滑らかであり、ほとんど全部球状であり、粒子のサイズ分布が比較的集中し、かつ異形粒子がほとんど存在しない。
【0115】
気質併用、元素分析及び核磁気特性に基づいて、Z2の組成は、構造式が
【0116】
【化10】
【0117】
であるマグネシウム含有化合物及び硫黄を含み、そのうち、マグネシウム含有化合物におけるマグネシウムと硫黄とのモル比は1:0.01である。
【0118】
<製造例3>
0.6Lの反応釜に、300mLのホワイトオイル、8.0g(0.08mol)の塩化マグネシウム、28mL(0.48mol)のエタノール、0.2g(0.006mol)のα-硫黄、1gのPVP(ポリビニルピロリドン)を界面活性剤として添加し、撹拌しながら100℃まで昇温し、1時間恒温反応させた後に12.5mL(0.16mol)のクロロプロピレンオキシドを添加し、続けて100℃で20分恒温反応させた後に加圧濾過し、加圧濾過生成物をヘキサンで5回洗浄し、最後に生成物を真空乾燥させ、オレフィン重合触媒の球状担体Z3が得られる。
【0119】
前記オレフィン重合触媒の球状担体Z3の平均粒径(D50)は20ミクロンであり、粒径分布((D90-D10)/D50)は0.8である。光学顕微鏡を用いてオレフィン重合触媒の球状担体Z3の粒子形態を観察すると、比較的規則的であり、表面が滑らかであり、ほとんど全部球状であり、粒子のサイズ分布が比較的集中し、かつ異形粒子がほとんど存在しない。
【0120】
気質併用、元素分析及び核磁気特性に基づいて、Z3の組成は、構造式が
【0121】
【化11】
【0122】
であるマグネシウム含有化合物及び硫黄を含み、そのうち、マグネシウム含有化合物におけるマグネシウムと硫黄とのモル比は1:0.007である。
【0123】
<製造例4>
0.6Lの反応釜に、0.08molの塩化マグネシウム、0.96molのエタノール、1gのPVP(ポリビニルピロリドン)を界面活性剤として添加し、撹拌しながら90℃まで昇温し、2時間恒温反応させた後に38mL(0.48mol)のクロロプロピレンオキシドを添加し、続けて90℃で半時間恒温反応させた後に加圧濾過し、加圧濾過生成物をヘキサンで5回洗浄し、最後に生成物を真空乾燥させ、オレフィン重合用触媒の担体DZ1が得られる。
【0124】
前記オレフィン重合用触媒の担体DZ1の平均粒径(D50)は60ミクロンであり、粒径分布((D90-D10)/D50)は1.3である。光学顕微鏡で観察された粒子形態は図2に示すとおりである。図2から分かるように、オレフィン重合用触媒の担体DZ1に異形粒子が存在し、かつ表面が粗くなる。
【0125】
<実施例1>
(1)オレフィン重合用触媒成分の製造
300mLのガラス反応フラスコに、90mlの四塩化チタンを添加し、-20℃に冷却し、8gの上記球状担体Z1を添加し、110℃まで昇温する。昇温過程で2mmolの安息香酸エチルと7mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを添加し、110℃で30min維持した後に液体を濾過し、四塩化チタンで2回洗浄し、ヘキサンで5回洗浄し、真空乾燥した後に固体触媒成分Cat-1が得られる。
【0126】
(2)プロピレン重合反応
プロピレン液相本体の重合は5Lのステンレス高圧反応釜で行う。窒素ガス保護下で反応釜に1mlのトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度が0.5mmol/ml)、0.1mlのシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液(濃度が0.1mmol/ml)及び6mgの上記固体触媒成分Cat-1を順次添加する。高圧釜を閉じ、6.5Lの水素ガス(標準体積)及び2.3Lの液体プロピレンを添加する。70℃まで昇温し、1時間反応させた後、降温、放圧、吐出する。
【0127】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0128】
<実施例2>
(1)オレフィン重合用触媒成分の製造
300mLのガラス反応フラスコに、90mlの四塩化チタンを添加し、-20℃に冷却し、8gの上記固体成分Z2を添加し、110℃まで昇温する。昇温過程で2mmolのo-メトキシ安息香酸エチルと9mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを添加し、110℃で30min維持した後に液体を濾過し、四塩化チタンで2回洗浄し、ヘキサンで5回洗浄し、真空乾燥した後に固体触媒成分Cat-2が得られる。
【0129】
(2)プロピレン重合反応
プロピレン液相本体の重合は5Lのステンレス高圧反応釜で行う。窒素ガス保護下で反応釜に1mlのトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度が0.5mmol/ml)、0.1mlのシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液(濃度が0.1mmol/ml)及び6mgの上記固体触媒Cat-2を順次添加する。高圧釜を閉じ、6.5Lの水素ガス(標準体積)及び2.3Lの液体プロピレンを添加する。70℃まで昇温し、1時間反応させた後、降温、放圧、吐出する。
【0130】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0131】
<実施例3>
(1)オレフィン重合用触媒成分の製造
300mLのガラス反応フラスコに、90mlの四塩化チタンを添加し、-20℃に冷却し、8gの上記固体成分Z3を添加し、110℃まで昇温する。昇温過程で0.5mmolのo-メトキシ安息香酸エチルと7mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを添加し、110℃で30min維持した後に液体を濾過し、四塩化チタンで2回洗浄し、ヘキサンで5回洗浄し、真空乾燥した後に固体触媒成分Cat-3が得られる。
【0132】
(2)プロピレン重合反応
プロピレン液相本体の重合は5Lのステンレス高圧反応釜で行う。窒素ガス保護下で反応釜に1mlのトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度が0.5mmol/ml)、0.1mlのシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液(濃度が0.1mmol/ml)及び6mgの上記固体触媒Cat-3を順次添加する。高圧釜を閉じ、6.5Lの水素ガス(標準体積)及び2.3Lの液体プロピレンを添加する。70℃まで昇温し、1時間反応させた後、降温、放圧、吐出する。
【0133】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0134】
<実施例4>
実施例2の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で添加されたo-メトキシ安息香酸エチル及び2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンの量がそれぞれ5.6mmol及び8mmolであり、オレフィン重合用の触媒成分Cat-4が得られる。
【0135】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0136】
<実施例5>
実施例2の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で1.1mmolのo-エトキシ安息香酸エチルと7.3mmolの9,9-ジメトキシメチルフルオレンを添加し、o-メトキシ安息香酸エステル及び2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを添加しないことであり、オレフィン重合用の触媒成分Cat-5が得られる。
【0137】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0138】
<実施例6>
実施例2の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で2.8mmolのo-メトキシ安息香酸エチルと8mmolの9,9-ジメトキシメチルフルオレンを添加することであり、オレフィン重合用の触媒成分Cat-6が得られる。
【0139】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0140】
<実施例7>
実施例2の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で0.8mmolのo-メトキシ安息香酸エチルと8mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを添加することであり、オレフィン重合用の触媒成分Cat-7が得られる。
【0141】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0142】
<実施例8>
実施例2の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で5mmolのo-メトキシ安息香酸エチルと7mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを添加することであり、オレフィン重合用の触媒成分Cat-8が得られる。
【0143】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0144】
<実施例9>
実施例2の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で2.5mmolのo-メトキシ安息香酸エチルと8.5mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを添加することであり、オレフィン重合用の触媒成分Cat-9が得られる。
【0145】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0146】
<実施例10>
実施例2の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で3mmolのo-メトキシ安息香酸エチルと8mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを添加することであり、オレフィン重合用の触媒成分Cat-10が得られる。
【0147】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0148】
<実施例11>
実施例2の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で2.3mmolのo-ヒドロキシ安息香酸エチルと8.7mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを添加することであり、オレフィン重合用の触媒成分Cat-11が得られる。
【0149】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0150】
<実施例12>
実施例2の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で4mmolの安息香酸エチルと7mmolの9,9-ジメトキシメチルフルオレンを添加することであり、オレフィン重合用の触媒成分Cat-12が得られる。
【0151】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0152】
<実施例13>
(1)触媒成分の製造
300mLのガラス反応フラスコに、90ml(820mmol)の四塩化チタンを添加し、-20℃に冷却し、マグネシウム元素で計算した37mmolのハロゲン化マグネシウム担体(CN1330086A実施例1に開示された方法で製造される)をその中に添加し、110℃まで昇温し、昇温過程で2.5mmolのo-エトキシ安息香酸エチルと7.1mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを添加し、110℃で30min維持した後に液体を濾過し、四塩化チタンで2回洗浄し、ヘキサンで5回洗浄し、真空乾燥した後にオレフィン重合用の触媒成分Cat-13が得られる。
【0153】
(2)プロピレン液相本体の重合
プロピレン液相本体の重合は5Lのステンレス高圧反応釜で行う。窒素ガス保護下で反応釜に1mlのトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度が0.5mmol/ml)、0.1mlのシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液(濃度が0.1mmol/ml)及び8mgの上記オレフィン重合用の触媒成分Cat-13を順次添加する。高圧釜を閉じ、6.5Lの水素ガス(標準体積)及び2.3Lの液体プロピレンを添加する。70℃まで昇温し、1時間反応させた後、降温、放圧、吐出する。得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0154】
<実施例14>
実施例13の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で添加された内部電子供与体が1.5mmolのo-エトキシ安息香酸エチルと10mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンであり、オレフィン重合用の触媒成分Cat-14が得られる。
【0155】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0156】
<比較例1>
実施例2の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で添加された内部電子供与体が9mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンであり、オレフィン重合用の触媒成分Com-Cat-1が得られる。
【0157】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0158】
<比較例2>
実施例2の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で添加された内部電子供与体が9mmolのo-メトキシ安息香酸エチルであり、オレフィン重合用の触媒成分Com-Cat-2が得られる。
【0159】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0160】
<比較例3>
実施例2の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で添加された内部電子供与体が9mmolの安息香酸エチルであり、オレフィン重合用の触媒成分Com-Cat-3が得られる。
【0161】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0162】
<比較例4>
実施例13の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で添加された内部電子供与体が0.3mmolのo-エトキシ安息香酸エチルと8.5mmolの9,9-ジメトキシメチルフルオレンであり、オレフィン重合用の触媒成分Com-Cat-4が得られる。
【0163】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0164】
<比較例5>
実施例2の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で添加された内部電子供与体が7mmolのo-メトキシ安息香酸エチルと9mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンであり、オレフィン重合用の触媒成分Com-Cat-5が得られる。
【0165】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0166】
<比較例6>
実施例2の方法に応じて触媒成分を製造するとともにプロピレン液相本体の重合を実施し、相違点は、昇温過程で添加された内部電子供与体が5mmolのo-エトキシ安息香酸エチルと5mmolの2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンであり、オレフィン重合用の触媒成分Com-Cat-6が得られる。
【0167】
得られたプロピレン単独重合体を乾燥した後に秤量して分析した結果を表1に示す。
【0168】
【表1】
【0169】
表1において、「エーテル」とは「2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン」を意味し、「フルオレンエーテル」は「9,9-ジメトキシメチルフルオレン」を意味し、触媒成分における内部電子供与体AとBの含有量はガスクロマトグラフ(熱電Trace GC Ultra)で測定される。
【0170】
【表2】
【0171】
表1の実施例と比較例の結果から分かるように、本発明で採用される内部電子供与体が同時にモノカルボン酸エステル系化合物及びジエーテル系化合物を含有し、特にモノカルボン酸エステル系化合物とジエーテル系化合物とのモル比が特定の範囲内の(0.0035-0.7):1であり、好ましくは(0.0040-0.7):1であり、より好ましくは(0.0045-0.6):1であり、さらに好ましくは(0.005-0.5):1であり、さらにより好ましくは(0.01-0.35):1である場合、製造されたポリプロピレンのアイソタクチック指数が顕著に向上すると共に、高いメルトインデックスを有する。すなわち、本発明の触媒によれば、高いアイソタクチック指数とメルトフローインデックスとを兼ね備えたポリマーを製造することができる。
【0172】
本発明のフタル酸エステル系化合物(可塑剤)を含有しない触媒は、高い立体配向性と高い水素調整感受性を有することが特徴である。
【0173】
注意すべきことは、上記した実施例は、ただ本発明を説明するために用いられるものだけであって、本発明にはなんら拘束されない。本発明を所定の請求項の範囲内で修正することができ、また本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明を改訂することができる。説明された本発明は、特定の方法、材料及び実施例に関するが、本発明がその中に開示された特定の例に限定されるものではなく、逆に、本発明は他の全ての同じ機能を有する方法及び応用に拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
図1】製造例1で製造されたオレフィン重合触媒の球状担体(すなわちマグネシウム源)の光学顕微鏡写真。
図2】製造例4で製造されたオレフィン重合触媒の球状担体(すなわちマグネシウム源)の光学顕微鏡写真。
図1
図2