(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】コルチコステロイドの粘膜付着性医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/58 20060101AFI20240426BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240426BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240426BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240426BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240426BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240426BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20240426BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A61K31/58
A61P1/04
A61K47/10
A61K47/36
A61K47/12
A61K47/26
A61K9/107
A61K9/08
(21)【出願番号】P 2021521814
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(86)【国際出願番号】 IB2019059079
(87)【国際公開番号】W WO2020084530
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-21
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500297535
【氏名又は名称】フェリング ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】グルニエ アルノー
(72)【発明者】
【氏名】カラーラ ダリオ
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-503073(JP,A)
【文献】特表2011-503113(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0164080(US,A1)
【文献】特表2007-522077(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0111978(US,A1)
【文献】特表2015-536995(JP,A)
【文献】特表2018-515511(JP,A)
【文献】特表2008-539222(JP,A)
【文献】特表2005-533047(JP,A)
【文献】特表2012-528889(JP,A)
【文献】特表2017-514843(JP,A)
【文献】特表2011-529854(JP,A)
【文献】特開2003-128586(JP,A)
【文献】Pharm Technol Hosp Pharm,2018年,3(2),pp.91-99
【文献】Pharm Technol Hosp Pharm,2018年,3(2),pp.71-77
【文献】JPGN,2017年,64(2),pp.218-224
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルチコステロイドの粘膜付着性医薬組成物であって、
(a)ブデソニドを前記組成物の0.02~0.06%w/wの量で、
(b)グリセリンを前記組成物の40~70%w/wの量で、
(c)キサンタンガムを前記組成物の0.25~1.5%w/wの量で、
含み、pHが約4.5~約7である、コルチコステロイドの粘膜付着性医薬組成物。
【請求項2】
さらに、酸性緩衝水溶液を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
スクラロースを前記組成物の0.05~0.5%w/wの量でさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
プロピレングリコールを前記組成物の20%w/wまでの量でさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(a)ブデソニドを前記組成物の約0.05%w/wの量で、
(b)グリセリンを前記組成物の約50%w/wの量で、及び
(c)キサンタンガムを前記組成物の約1%w/wの量で
含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
スクラロースを前記組成物の約0.05%w/wの量で含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
香味剤、保存剤、及び抗酸化剤の1つ又は複数をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が懸濁液である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が溶液である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が保存剤を実質的に含まない、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
酸性緩衝水溶液が、クエン酸緩衝液および酢酸緩衝液から選ばれる、請求項2~10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項12】
酸性緩衝水溶液がクエン酸緩衝液である、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
組成物が約4.8~約5.8のpHを有する請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が150~350g/sの付着仕事量を示す、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
経口投与用に製剤化されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
1~10mLの前記組成物を含有する単位用量包装で提供される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
経直腸投与用に製剤化されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
食道の炎症状態を処置するための、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項19】
好酸球性食道炎を処置するための、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項20】
炎症性腸疾患を処置するための、請求項15~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
請求項1~17のいずれか一項に記載のコルチコステロイドの粘膜付着性医薬組成物を調製する方法であって、
ブデソニド、グリセリン、キサンタンガム、及び任意選択により酸性緩衝水溶液を含む溶液又は懸濁液を調製するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年1月2日に出願された欧州特許出願公開第19150077.6号明細書、及び2018年10月24日に出願された米国仮特許出願第62/749,878号明細書の優先権の利益を主張するものであり、これらの内容の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
コルチコステロイドの粘膜付着性医薬組成物、並びにそのような組成物を作製する方法、及びそれらを使用する治療方法が本明細書に記載される。
【背景技術】
【0003】
好酸球性食道炎(EoE)は、上部腸管の症状、及び食道上皮に15個又は20個を超える好酸球が見つかることを特徴とする、プロトンポンプ阻害薬処置に不応性の、臨床病理学的な疾患である。EoEの発病機序は未だ明らかではないが、この病態は、食道における好酸球の蓄積を制御することが知られている幾つかの前炎症性メディエーター及び走化性因子、例えば、IL-4、IL-5、IL-3、エオタキシン-1、エオタキシン-2及びエオタキシン-3などを要するT細胞媒介性の免疫応答をもたらすことを立証するエビデンスが増えてきている。
【0004】
EoEは世界中で見られるようである(有病率は推定43/100,000人;発生率は推定7.4/100,000人)が、好酸球性食道炎と診断された患者集団は増加しているようである。食物の食道嵌頓(food impaction)及び嚥下障害が、年長小児及び成人に最もよく生じる症状である。EoEの発病機序は、罹患の素因のある個体においてアレルゲン感作と関連していると見られる。増加する臨床文献に基づくと、EoEは家族性パターンが強い。EoEの小児患者のおよそ8%に、やはりEoEを有する少なくとも1人のきょうだい又は親がいる。加えて、嚥下障害を有する成人兄弟3人がEoEを有していると判明したことが最近報告された。まとめると、EoEは、きょうだいにおいて有病率が極めて高い、強い家族性パターンを示すようである。
【0005】
EoEに利用可能な特定の処置はないが、一部の医師は、ブデソニド及びフルチカゾンの、嚥下用のポンプ及び/又は乾燥粉末を処方している。EoEの適切な処置を見出すには幾つか問題がある。例えば、投与量の標準化がなされていないため、処置の有効性が疑われる。加えて、製品の味の悪さ、並びに空気摂取に起因する胃痛及びガスが原因で、患者は処置(例えば、ブデソニド及びフルチカゾンのポンプ及び/又は乾燥粉末)を遵守することが困難である。さらには、ブデソニド及びフルチカゾンのポンプ及び/又は乾燥粉末は、空洞及び口腔モニリア症を引き起こす可能性もある。
【0006】
したがって、EoEの処置における使用に適したコルチコステロイドの経口医薬組成物が依然として必要である。
【0007】
腸壁の多くの炎症性疾患は、腸内微生物叢の変化及び/又は腸内微生物叢と腸との間の相互作用障害に起因し、又はそれらに影響される。そのような腸炎症には潰瘍性大腸炎及びクローン病が含まれ、これらは現在「炎症性腸疾患」(IBD)と命名されている。潰瘍性大腸炎は病因が不明の結腸の慢性炎症性疾患である。潰瘍性大腸炎は、その急性期においては感染症に似ているが、どの微生物も、その原因として明確に立証されていない。この疾患は結腸の粘膜の炎症を引き起こし、重度の症例では粘膜下に伸展する。通常、結腸だけではなく直腸も冒されるが、回腸にも関与することはごく稀である。潰瘍の形成及びその広がりは、疾患の発達段階で変化するが、巨視的に(S状結腸内視鏡検査及び大腸内視鏡検査)確定できることが多い。
【0008】
関連する疾患であるクローン病、別名で限局性腸炎又は肉芽腫性大腸炎は、小腸(small intestine)(小腸(small bowel))、特に回腸に最もよく見られるが、空腸、及び直腸を含む結腸の任意の部分を冒す場合もある。後者の場合、クローン病と潰瘍性大腸炎の鑑別が診断上の大きな問題となる。一般に、クローン病の炎症は、粘膜より深い層まで進展し、上皮を冒す程度はより小さいことで、潰瘍性大腸炎の炎症とは異なる。
【0009】
両疾患とも、特に先進国においてますます頻繁に見られるようになってきている。米国では、潰瘍性大腸炎の発生率は100,000人当たり5~15例であり、クローン病の症例においては発生率が100,000人当たりおよそ5例であり、その数字は増え続けている。したがって、IBDの処置は現代医療の重要な課題となっている。
【0010】
このため、IBDの処置における使用に適したコルチコステロイドの経口及び経直腸の医薬組成物が依然として必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
粘膜付着性医薬組成物であって、粘膜付着性システム中に溶解している及び/又は懸濁しているコルチコステロイドを含み、当該粘膜付着性システムは、コルチコステロイド用のビヒクル、レオロジー変性剤、及び任意選択により酸性緩衝水溶液を含み、当該組成物は、本明細書の実施例2に記載しているin vitroテクスチャー分析によって査定した場合、150~350g/sの付着仕事量を示し、及び/又は当該組成物は、食道又は直腸の粘膜組織に、投与後少なくとも0.5分間、例えば、少なくとも0.5分間から4時間、6時間、8時間、又は12時間まで、又は少なくとも5分間から4時間、6時間、8時間、又は12時間まで付着する、粘膜付着性医薬組成物が、本明細書において提供される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書に記載される組成物の任意の実施形態では、コルチコステロイドは、ブデソニド、フルチカゾン、及びシクレソニドのうち1つ又は複数から選択することができる。一部の実施形態では、コルチコステロイドはブデソニドである。一部の実施形態では、コルチコステロイドはフルチカゾンである。一部の実施形態では、コルチコステロイドはシクレソニドである。
【0013】
本明細書に記載される組成物の任意の実施形態では、コルチコステロイドは、組成物の0.01~1%w/w、例えば0.01~0.1%w/wの量で存在することができる。コルチコステロイドはブデソニドとすることができ、組成物の0.01~0.1%w/w、組成物の0.02~0.06%w/w、又は組成物の0.025%w/w、又は組成物の0.05%w/wの量で存在することができる。
【0014】
本明細書に記載される組成物の任意の実施形態では、ビヒクルは、グリセリンを含んでいてもよく、又はグリセリンからなっていてもよく、又はグリセリン、及びプロピレングリコールなどの別の成分を含んでいてもよい。任意の実施形態では、ビヒクルは、組成物の40~70%w/wの量で存在することができる。ビヒクルは、組成物の50%w/wの量で存在することができる。ビヒクルは、組成物の50%w/wの量で存在するグリセリンを含むことができる。プロピレングリコールを含む任意の実施形態では、プロピレングリコールは、組成物の20%w/wまで、例えば、組成物の約0.5%~20%w/w、又は組成物の約10%~20%w/w、例えば、組成物の0.5%、1%、5%、10%、15%、又は20%w/wの量で存在することができる。ビヒクルは、グリセリンを組成物の50%w/wで、及びプロピレングリコールを組成物の0.5%~20%w/wで、又は組成物の10~20%w/wで含むことができる。ビヒクルは、グリセリンを組成物の50%w/wで、及びプロピレングリコールを組成物の0.5%w/wで含むことができる。ビヒクルは、グリセリンを組成物の50%w/wで、及びプロピレングリコールを組成物の10%w/wで含むことができる。ビヒクルは、グリセリンを組成物の50%w/wで、及びプロピレングリコールを組成物の15%w/wで含むことができる。ビヒクルは、グリセリンを組成物の50%w/wで、及びプロピレングリコールを組成物の20%w/wで含むことができる。
【0015】
本明細書に記載される組成物の任意の実施形態では、レオロジー変性剤は、組成物の0.25~1.5%w/wの量で存在することができる。レオロジー変性剤は、組成物の1.0%w/wの量で存在してもよい。
【0016】
本明細書に記載される組成物の任意の実施形態では、レオロジー変性剤はキサンタンガムを含んでいていてもよく、又はキサンタンガムからなっていてもよく、又はキサンタンガム及び別のレオロジー変性剤を含んでいてもよい。レオロジー変性剤は、組成物の0.25~1.5%w/wの量で存在するキサンタンガムを含むことができる。レオロジー変性剤は、組成物の1.0%w/wのキサンタンガムを含んでもよい。
【0017】
本明細書に記載される組成物の任意の実施形態では、組成物は、酸性緩衝水溶液をさらに含むことができる。一部の実施形態では、酸性緩衝水溶液はクエン酸緩衝液又は酢酸緩衝液である。一部の実施形態では、酸性緩衝水溶液はpH4.5~5.5のクエン酸緩衝液である。一部の実施形態では、酸性緩衝水溶液はpH5.0のクエン酸緩衝液である。
【0018】
本明細書に記載される組成物のうちいずれかの、任意の実施形態では、組成物は、任意選択により、1種又は複数種の追加の薬学的に許容される添加剤をさらに含むことができる。
【0019】
組成物は、1種又は複数種の保存剤、例えば、メチル-p-ヒドロキシベンゾエート、ソルビン酸カリウム、安息香酸C12~C15アルキル、アルキルp-ヒドロキシベンゾエート、プロピル及びブチルp-ヒドロキシベンゾエート、アロエベラ抽出物、アスコルビン酸、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、C9~C15アルコールの安息香酸エステル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ヒマシ油、セチルアルコール、クロロクレゾール、クエン酸、カカオ脂、ヤシ油、ジアゾリジニル尿素、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルポリシロキサン、DMDMヒダントイン、エタノール、脂肪酸、脂肪アルコール、ヘキサデシルアルコール、ヒドロキシベンゾエートエステル、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、イソノナン酸イソノニル、ホホバ油、ラノリン油、メチルパラベン、鉱油、オレイン酸、オリーブ油、ポリエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、シリコーン油、プロピオン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸二ナトリウム、ソルビン酸、ステアリン脂肪酸、ビタミンE、ビタミンEアセテート、並びにこれらの誘導体、エステル、塩及び混合物のうち1つ又は複数を含むことができる。1種又は複数種の保存剤は、ビタミンC源、ポリアミノカルボン酸、及び亜硫酸塩から選択される1つ又は複数を含むことができる。一部の実施形態では、1種又は複数種の保存剤は、アスコルビン酸、EDTA又はエデト酸ナトリウム、及び重亜硫酸ナトリウムから選択される1つ又は複数を含む。保存剤を含む任意の実施形態では、保存剤は、組成物の約0.01%~約1.0%w/w、例えば、0.01%~1.0%、0.01%~0.5%及び0.05%~0.25%の量で存在することができる。しかしながら、ある特定の実施形態では、組成物は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)などの保存剤を実質的に含まないか、又は含まず、即ち、組成物は自己保存されている。
【0020】
本明細書に記載される組成物のうちいずれかの、任意の実施形態では、組成物は、1種又は複数種の抗酸化剤、例えば、グルタチオン、キノリン、ポリフェノール、カロテノイド、メタ重亜硫酸ナトリウム、コハク酸トコフェロール、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、フラボノイド、ビタミンC源、ポリアミノカルボン酸、亜硫酸塩、及びこれらの誘導体を、追加として又は代替としてさらに含むことができる。1種又は複数種の抗酸化剤は、ビタミンC源、ポリアミノカルボン酸、及び亜硫酸塩から選択される1つ又は複数を含むことができる。一部の実施形態では、1種又は複数種の抗酸化剤は、アスコルビン酸、EDTA又はエデト酸ナトリウム、及び重亜硫酸ナトリウムから選択される1つ又は複数を含む。抗酸化剤を含む任意の実施形態では、抗酸化剤は、組成物の約0.01%~約1.0%w/w、例えば、0.01%~0.5%及び0.05%~0.25%の量で存在することができる。一部の実施形態では、組成物は、保存剤と抗酸化剤との両方として作用する成分を含む。
【0021】
追加として又は代替として、組成物は、1種又は複数種の香味剤、例えば、ベリー風味剤、トゥッティフルッティ風味剤、カラメル風味剤、ルートビア風味剤、クリーム風味剤、チョコレート風味剤、ペパーミント風味剤、スペアミント風味剤、バタースコッチ風味剤、及びウィンターグリーン風味剤のうち1つ又は複数を含むことができる。
【0022】
本明細書に記載される組成物のうちいずれかの、任意の実施形態では、組成物は、甘味剤をさらに含むことができる。甘味剤は、スクラロースを含んでいてもよく、又はスクラロースからなっていてもよい。スクラロースを含む任意の実施形態では、スクラロースは、組成物の0.001%~0.50%w/w、例えば、組成物の0.005%~0.1%w/w、組成物の0.05~0.50%w/w、及び組成物の0.01%~0.05%w/wの量で存在することができる。例えば、スクラロースは、組成物の0.005%、0.01%、0.05%、又は0.10%w/w、例えば0.05%w/wの量で存在することができる。
【0023】
本明細書に記載される組成物の実施形態のうちいずれかでは、組成物は、20~40℃の温度範囲にわたって実質的に類似の付着仕事量を示すことができる。
【0024】
本明細書に記載される組成物の実施形態のうちいずれかでは、組成物は、室温で流動性であってもよい。一部の実施形態では、組成物は、室温で約3000~9000cpsの粘度を有する。
【0025】
本明細書に記載される組成物のうちいずれかの、任意の実施形態では、組成物は、(a)ブデソニドを組成物の0.02~0.06%w/wの量で、(b)グリセリンを組成物の40~70%w/wの量で、(c)キサンタンガムを組成物の0.25~1.5%w/wの量で、(d)pH4.5~5.5のクエン酸緩衝水溶液を、(e)任意選択により、スクラロースを組成物の0.001~0.5%w/wの量で、及び(f)任意選択により、プロピレングリコールを組成物の20%w/wまで(例えば、0.5%w/w~20%w/w、又は10%w/w~20%w/w)の量で、含むことができる。一部の実施形態では、組成物は、スクラロースを組成物の0.05~0.5%w/wの量で含む。
【0026】
本明細書に記載される組成物のうちいずれかの、任意の実施形態では、組成物は、(a)ブデソニドを組成物の約0.05%w/wの量で、(b)グリセリンを組成物の約50%w/wの量で、及び(c)キサンタンガムを組成物の約1%w/wの量で含むことができる。
【0027】
本明細書に記載される組成物のうちいずれかの、任意の実施形態では、組成物は、懸濁液又は溶液とすることができる。
【0028】
本明細書に記載される組成物のうちいずれかの、任意の実施形態では、組成物は、粘膜組織に付着することができる。本明細書に記載される組成物のうちいずれかの、任意の実施形態では、組成物は、食道の粘膜組織に付着することができる。一部の実施形態では、組成物の少なくとも治療有効量は、食道の粘膜組織に、少なくとも0.5分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、少なくとも30分間、又は少なくとも45分間、又は少なくとも60分間、付着する。本明細書に記載される組成物のうちいずれかの、任意の実施形態では、組成物は、直腸の粘膜組織に付着することができる。一部の実施形態では、少なくとも治療有効量組成物は、直腸の粘膜組織に、少なくとも0.5分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、少なくとも30分間、又は少なくとも45分間、又は少なくとも60分間、4時間、6時間、8時間、又は12時間までのように付着する。
【0029】
本明細書に記載される組成物のうちいずれかの、任意の実施形態では、組成物は、本明細書の実施例2に記載しているin vitroテクスチャー分析によって査定した場合、150~350g/s、又は150~300g/sの付着仕事量を示すことができる。
【0030】
本明細書に記載される組成物のうちいずれかの、任意の実施形態では、組成物は、経口投与用に製剤化されてもよい。本明細書に記載される組成物のうちいずれかの、任意の実施形態では、組成物は、直腸投与用に製剤化されてもよい。
【0031】
任意の実施形態では、組成物は、1~10mLの組成物を含有する単位用量包装で提供されてもよい。一部の実施形態では、組成物は、2~5mLの組成物を含有する単位用量包装で提供される。
【0032】
任意の実施形態では、組成物は、複数回用量包装で提供されてもよい。一部の実施形態では、複数回用量包装は、1週間の処置用、2週間の処置用、3週間の処置用、4週間の処置用、1カ月間の処置用、2カ月間の処置用、又は3カ月間の処置用の用量を含有する。
【0033】
また、本明細書に記載される粘膜付着性医薬組成物を経口投与するステップを含む、好酸球性食道炎などの食道の炎症状態を処置する方法も提供される。
【0034】
また、本明細書に記載される粘膜付着性医薬組成物を経口又は経直腸で投与するステップを含む、IBDを処置する方法も提供される。
【0035】
任意の実施形態では、組成物は、1日当たり1mg~2mgの用量のコルチコステロイドを提供するために投与され得る。一部の実施形態では、用量は、好酸球性食道炎などの食道の炎症状態を処置するために有効である。一部の実施形態では、用量は、炎症性腸疾患を処置するために有効である。
【0036】
また、本明細書に記載される粘膜付着性医薬組成物を含む、好酸球性食道炎などの食道の炎症状態を処置するための薬剤の製造におけるコルチコステロイドの使用も提供される。
【0037】
また、本明細書に記載される粘膜付着性医薬組成物を含む、IBDを処置するための薬剤の製造におけるコルチコステロイドの使用も提供される。
【0038】
また、コルチコステロイド、ビヒクル、レオロジー変性剤、及び任意選択により酸性緩衝水溶液を含む溶液又は懸濁液を調製するステップを含む、本明細書に記載される粘膜付着性医薬組成物を調製する方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本明細書に記載される組成物を調製するために使用される例示的な製造工程の概略図である。
【
図2】付着仕事量がどのように付着能の測定値になるかを示す概略図である。
【
図3】in vitroで査定した以下の組成物:(a)グリセリン;(b)グリセリン及び水(50:50);並びに(c)水についての付着仕事量を示す。
【
図4】以下の組成物:(a)液体ハチミツ;(b)グリセリン及び水(85:15)中キサンタンガム(1%w/w);(c)グリセリン及び水(50:50)中キサンタンガム(1%w/w);及び(c)水が、全長30cmの切除したブタの食道を覆うのに要した時間(単位:秒)を示す。
【
図5A-B】
図5Aは、in vivoラット試験(ラットの食道内)中において、5分後及び10分後に査定した組成物の染色及び付着を示す。
図5Bは、15分後及び20分後の結果を示す。
【
図6A-B】
図6Aは、本明細書に記載される組成物とムチンとの22℃での相対的レオロジー相乗作用を示す。
図6Bは、本明細書に記載される組成物とムチンとの37℃での相対的レオロジー相乗作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
コルチコステロイドを含む粘膜付着性医薬組成物(複数)、そのような粘膜付着性医薬組成物を作製する方法、及びそれらを使用する治療方法が、本明細書に記載される。
【0041】
本組成物は、粘膜組織(食道又は直腸の粘膜組織など)へのコルチコステロイドの局所送達を提供する。本組成物は、粘膜表面(食道又は直腸の粘膜組織の粘膜表面など)に付着し、そのため、食道又は直腸へのコルチコステロイドの持続送達を提供することができる。このような組成物は、EoE又はIBDを処置する状況において、病変部位へのコルチコステロイドの局所送達及び持続送達を提供することにより、特定の利点を供与することができる。
【0042】
定義
本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、別段定義されない限り、本開示が属する医薬組成物の技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。本明細書では、当業者に既知の様々な方法論が引用される。本開示を実行する上で、当業者に既知の好適な材料及び/又は方法を使用することができる。しかしながら、特定の材料及び方法が説明される。以下の説明及び実施例で言及される材料及び試薬などは、別段の注記がない限り、商業的供給源から入手可能である。
【0043】
本明細書で使用する場合、単数形「ある(a)」、「ある(an)」及び「その(the)」は、単数のみを示すという明確な定めのない限り、単数及び複数の両方を示す。
【0044】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、数又は範囲が用いられる文脈に応じて当業者に理解されるとおり、数又は範囲が、明記された厳密な数又は範囲に限定されず、列挙された数又は範囲の前後の値を包含することを意味する。文脈又は当技術分野の慣例から別段明らかでない限り、「約」は、特定の用語のプラス又はマイナス10%までを意味する。
【0045】
本明細書で使用する場合、「対象」とは、ヒトを含む任意の哺乳動物を指す。例えば、対象は、コルチコステロイドを用いて診断、処置若しくは予防することができる病態に罹患している、若しくはそれを発症するリスクがある場合があるか、又は他の目的でコルチコステロイドを摂取している場合がある。
【0046】
「投与する」、「投与」又は「投与すること」という用語は、本明細書で使用する場合、(1)医療従事者若しくはその委任代理人、又はその監督下のいずれかによるなどして提供、付与、投薬及び/又は処方すること、及び(2)医療従事者又は対象などにより、注入、摂取又は消費することを指す。
【0047】
本明細書で使用する場合、「自己保存されている」又は「自己保存性の」とは、追加の抗菌剤、抗酸化剤、又は保存剤を添加せずとも、薬学的に許容されるのに十分な抗菌活性を有する組成物を意味する。例えば、自己保存されている組成物は、追加の抗菌剤、抗酸化剤、又は保存剤を添加せずとも、米国薬局方(「USP」)(USP41、第<51>項など)及び他の国々における類似のガイドラインの保存効力の要求事項を満たすことができる。
【0048】
本明細書で使用する場合、「実質的に含まない」とは、除外された成分を用いずに組成物が作製されているが、不純物又は副生成物としてわずかな量又は微量が存在する場合があることを意味する。
【0049】
「処置する」、「処置すること」又は「処置」という用語は、本明細書で使用する場合、疾患又は病態が「治療」又は「治癒」されたと判断されるか否かにかかわらず、且つ全ての症状が回復するか否かにかかわらず、疾患若しくは病態又はそれらの1つ若しくは複数の症状を緩和、軽減又は改善させることを含む。これらの用語はまた、疾患若しくは病態又はそれらの1つ若しくは複数の症状の進行を緩める又は防止すること、疾患若しくは病態又はそれらの1つ若しくは複数の症状の発症機序を阻害又は防止すること、及び任意の治療的効果及び/又は予防的効果を達成することも含む。
【0050】
本明細書で使用する場合、「治療有効量」という語句は、特定の薬理的効果(これを得るために、そのような処置を必要とする対象に薬物が投与される)をもたらす用量を指す。強調しておくが、治療有効量は、たとえ当業者がそのような用量を治療有効量であるとみなしていても、本明細書に記載される病態の処置に必ずしも有効であるとは限らない。便宜上でのみ、ヒト対象に関して例示的な用量及び治療有効量を以下に記載する。当業者は、特定の対象及び/又は病態/疾患を処置する必要に応じ、標準的技法に従ってそのような量を調節することができる。
【0051】
組成物
上で述べたように、本明細書に記載される組成物は、典型的にはコルチコステロイドを、例えば粘膜付着性システム中に溶解している及び/又は懸濁しているコルチコステロイドのように、粘膜付着性システム中に含む。
【0052】
コルチコステロイド
本明細書に記載される粘膜付着性医薬組成物は、任意の1種又は複数種の薬学的に許容されるコルチコステロイド、例えば、経口投与用又は経直腸投与用として薬学的に許容される任意の1種又は複数種のコルチコステロイド、例えば局所的に活性なステロイドを含むことができる。
【0053】
好適なコルチコステロイドの非限定的な例としては、ブデソニド、フルチカゾン、シクレソニド、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、アムシノニド、デソニド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、ハルシノニド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルオコルトロン、ハロメタゾン、モメタゾン、フルニソリド、シクレソニド、及びフルドロコルチゾン、並びにこれらの各々の薬学的に許容される塩及びエステルから選択される1つ又は複数が挙げられる。
【0054】
コルチコステロイドの薬学的に許容される塩及びエステルは、当技術分野において公知である。例示的な薬学的に許容される塩には、酸付加塩、例えば塩酸塩が含まれる。任意の薬学的に許容される塩、例えばナトリウム塩及びカルシウム塩などを使用することができる。他の非限定的で例示的な塩には、カルボン酸基とともに形成される塩、アルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩が含まれる。薬学的に許容されるエステルの非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ラウリル、ミリスチル、セチル、及びステアリルなどを含む直鎖又は分岐鎖のC1~C18アルキルエステル;ビニル、アリル、ウンデセニル、オレイル、及びリノレニルなどを含む直鎖又は分岐鎖のC2~C18アルケニルエステル;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルなどを含むC3~C8シクロアルキルエステル;フェニル、トルオイル、キシリル、及びナフチルなどを含むアリールエステル;メンチルなどを含む脂環式エステル;又はベンジル及びフェネチルなどを含むアラルキルエステルが挙げられる。
【0055】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物はブデソニドを含む。ブデソニドは、分子式C25H34O6、分子量430.53、及び化学名16,17-ブチリデンビス(オキシ)-11,21-ジヒドロキシ-,(11β,16α)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンを有する。これは、CAS登録番号51333-22-3及びEinecs257-139-7で登録されている。
【0056】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物はフルチカゾンを含む。フルチカゾンは、分子式C22H27F3O4S、分子量444.51、及び化学名6α,9α-ジフルオロ-11β,17α-ジヒドロキシ-16α-メチル-21-チア-21-フルオロメチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンを有する。フルチカゾンは、CAS登録番号90566-53-3で登録されている。
【0057】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物はシクレソニドを含む。シクレソニドは、分子式C32H44O7、分子量540.69g/mol、及び化学名(11β,16α)-16,17-[[(R)-シクロヘキシルメチレン]ビス(オキシ)]-11-ヒドロキシ-21-(2-メチル-1-オキソプロポキシ)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンを有する。シクレソニドは、CAS登録番号126544-47-6で登録されている。
【0058】
本明細書に記載される粘膜付着性医薬組成物は、治療有効量のコルチコステロイドを含むことができる。治療有効量は、使用される特定のコルチコステロイド、処置される病態、投与経路、処置される対象、所望の効果、及び組成物の治療効果の目的とする持続時間によって決まる場合がある。2種以上のコルチコステロイドを含む組成物は、各コルチコステロイドの治療有効量、又は単独では治療的に有効でないコルチコステロイドのうち1種又は複数種の所定量を含むことができるが、存在する全てのコルチコステロイドの量は治療的に有効である。
【0059】
任意の実施形態では、コルチコステロイドは、組成物の約0.001%~約10%w/w、例えば、組成物の約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%w/wの量で存在することができる。コルチコステロイドは、組成物の約0.01%から、約0.5%、又は約1.0%、又は約1.5%、又は約2.0%、又は約2.5%、又は約3.0%、又は約3.5%、又は約4.0%、又は約4.5%、又は約5.0%、又は約6.0%、又は約7.0%、又は約8.0%、又は約9.0%、又は約10%w/wまでの量で存在することができる。コルチコステロイドは、組成物の約0.01%から、約0.03%、又は約0.04%、又は約0.05%、又は約0.06%、又は約0.07%、又は約0.08%、又は約0.09%、又は約0.1%、又は約0.2%、又は約0.3%、又は約0.4%w/wまでの量で存在することができる。コルチコステロイドは、組成物の約0.01~約1%w/wの量で存在することができる。コルチコステロイドは、組成物の約0.01~約0.1%w/wの量で存在することができる。コルチコステロイドは、組成物の約0.025%w/wの量で存在することができる。コルチコステロイドは、組成物の約0.05%w/wの量で存在することができる。
【0060】
2種以上のコルチコステロイドを含む組成物の任意の実施形態では、各々の量は、他方から独立して選択することができる。一部のそのような実施形態では、組成物は、各コルチコステロイドの、前述の量のうち1つを含むことができる。2種以上のコルチコステロイドを含む組成物の他の実施形態では、各々の量は、他方を補完するように選択される。任意のそのような実施形態では、組成物は、前述の量のうち1つに相当する総含量のコルチコステロイドを有することができる。2種以上又は3種以上のコルチコステロイドを含む組成物の実施形態もまた、企図される。
【0061】
コルチコステロイドがブデソニドを含む実施形態では、ブデソニドは、組成物の約0.001%~約10%w/w、又は組成物の約0.01%から、約0.5%、若しくは約1.0%、若しくは約1.5%、若しくは約2.0%w/wまでの量で存在することができる。ブデソニドは、組成物の約0.01%から、約0.03%、又は約0.04%、又は約0.05%、又は約0.06%、又は約0.07%、又は約0.08%、又は約0.09%、又は約0.1%w/wまでの量で存在することができる。ブデソニドは、組成物の約0.001%~約10%w/w、例えば、組成物の約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%のように、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%w/wの量で存在することができる。ブデソニドは、組成物の約0.01~1.0%w/wの量で存在することができる。ブデソニドは、組成物の約0.01~0.1%w/wの量で存在することができる。ブデソニドは、組成物の約0.025%w/wの量で存在することができる。ブデソニドは、組成物の約0.05%w/wの量で存在することができる。
【0062】
一部の実施形態では、コルチコステロイドはフルチカゾンを含む。一部の実施形態では、フルチカゾンは、組成物の約0.001%~約10%w/w、又は組成物の約0.01%から、約0.5%、若しくは約1.0%、若しくは約1.5%、若しくは約2.0%w/wまでの量で存在する。フルチカゾンは、組成物の約0.01%から、約0.03%、又は約0.04%、又は約0.05%、又は約0.06%、又は約0.07%、又は約0.08%、又は約0.09%、又は約0.1%w/wまでの量で存在することができる。フルチカゾンは、組成物の約0.001%~約10%w/w、例えば、組成物の約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%のように、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%w/wの量で存在することができる。フルチカゾンは、組成物の約0.01~1.0%w/wの量で存在することができる。フルチカゾンは、組成物の約0.01~0.1%w/wの量で存在することができる。
【0063】
一部の実施形態では、コルチコステロイドはシクレソニドを含む。一部の実施形態では、シクレソニドは、組成物の約0.001%~約10%w/w、又は組成物の約0.01%から、約0.5%、若しくは約1.0%、若しくは約1.5%、若しくは約2.0%w/wまでの量で存在する。シクレソニドは、組成物の約0.01%から、約0.03%、又は約0.04%、又は約0.05%、又は約0.06%、又は約0.07%、又は約0.08%、又は約0.09%、又は約0.1%w/wまでの量で存在することができる。シクレソニドは、組成物の約0.001%~約10%w/w、例えば、組成物の約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%のように、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%w/wの量で存在することができる。シクレソニドは、組成物の約0.01~1.0%w/wの量で存在することができる。シクレソニドは、組成物の約0.01~0.1%w/wの量で存在することができる。
【0064】
任意の実施形態では、コルチコステロイドは、約0.1mg/ml~約1.0mg/ml、例えば、約0.1mg/ml、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、又は約1.0mg/mlの濃度で存在することができる。コルチコステロイドは、約0.1から、約0.2mg/ml、又は約0.3mg/ml、又は約0.4mg/ml、又は約0.5mg/ml、又は約0.6mg/ml、又は約0.7mg/ml、又は約0.8mg/ml、又は約0.9mg/mlまでの濃度で存在することができる。コルチコステロイドは、約0.2mg/ml~約0.8mg/ml、又は約0.3mg/ml~約0.7mg/ml、又は約0.4mg/ml~約0.5mg/mlの濃度で存在することができる。コルチコステロイドは、約0.5mg/mlの濃度で存在することができる。
【0065】
2種以上のコルチコステロイドを含む実施形態では、各々の量は、他方から独立して選択することができる。任意のそのような実施形態では、組成物は、各コルチコステロイドの、前述の濃度のうち1つを含むことができる。2種以上のコルチコステロイドを含む組成物の他の実施形態では、各々の量は、他方を補完するように選択される。任意のそのような実施形態では、組成物は、前述の濃度のうち1つに相当する総濃度のコルチコステロイドを有することができる。2種以上又は3種以上のコルチコステロイドを含む組成物の他の実施形態もまた、企図される。
【0066】
コルチコステロイドがブデソニドを含む任意の実施形態では、ブデソニドは、約0.1mg/ml~約1.0mg/ml、例えば、約0.1mg/ml、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、又は約1.0mg/mlの濃度で存在することができる。ブデソニドは、約0.1から、約0.2mg/ml、又は約0.3mg/ml、又は約0.4mg/ml、又は約0.5mg/ml、又は約0.6mg/ml、又は約0.7mg/ml、又は約0.8mg/ml、又は約0.9mg/mlまでの濃度で存在することができる。ブデソニドは、約0.2mg/ml~約0.8mg/ml、又は約0.3mg/ml~約0.7mg/ml、又は約0.4mg/ml~約0.5mg/mlの濃度で存在することができる。ブデソニドは、約0.5mg/mlの濃度で存在することができる。
【0067】
コルチコステロイドがフルチカゾンを含む実施形態では、フルチカゾンは、約0.1mg/ml~約1.0mg/ml、例えば、約0.1mg/ml、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、又は約1.0mg/mlの濃度で存在することができる。フルチカゾンは、約0.1から、約0.2mg/ml、又は約0.3mg/ml、又は約0.4mg/ml、又は約0.5mg/ml、又は約0.6mg/ml、又は約0.7mg/ml、又は約0.8mg/ml、又は約0.9mg/mlまでの濃度で存在することができる。フルチカゾンは、約0.2mg/ml~約0.8mg/ml、又は約0.3mg/ml~約0.7mg/ml、又は約0.4mg/ml~約0.5mg/mlの濃度で存在することができる。フルチカゾンは、約0.5mg/mlの濃度で存在することができる。
【0068】
コルチコステロイドがシクレソニドを含む任意の実施形態では、シクレソニドは、約0.1mg/ml~約1.0mg/ml、例えば、約0.1mg/ml、約0.2mg/ml、約0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、約0.8mg/ml、約0.9mg/ml、又は約1.0mg/mlの濃度で存在することができる。シクレソニドは、約0.1から、約0.2mg/ml、又は約0.3mg/ml、又は約0.4mg/ml、又は約0.5mg/ml、又は約0.6mg/ml、又は約0.7mg/ml、又は約0.8mg/ml、又は約0.9mg/mlまでの濃度で存在することができる。シクレソニドは、約0.2mg/ml~約0.8mg/ml、又は約0.3mg/ml~約0.7mg/ml、又は約0.4mg/ml~約0.5mg/mlの濃度で存在することができる。シクレソニドは、約0.5mg/mlの濃度で存在することができる。
【0069】
粘膜付着性システム
上で述べたように、本明細書に記載される組成物は、食道又は直腸の粘膜組織などの粘膜表面に付着することができる粘膜付着性システムを含む。
【0070】
粘膜付着性システムは、典型的には、レオロジー変性剤、コルチコステロイド用のビヒクル、及び任意選択により酸性緩衝水溶液を含むか、又はそれらからなる。
【0071】
本明細書に記載される組成物中に使用するのに適切なレオロジー変性剤の非限定的な例としては、キサンタンガム、アラビアガム、シラーズガム、カラヤガム、グアーガム、ジェランガム、及びアルギン酸塩(例えばアルギン酸ナトリウム)が挙げられる。他の非限定的な例としては、カルボマー、カルボキシエチレンポリマー、及び/又はポリアクリル酸(例えば、Carbopol 980又は940NF、981又は941NF、1382又は1342NF、5984又は934NF、ETD2020、2050、934P NF、971P NF、974P NF、Noveon AA-1 USP);ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリ(メタクリル酸)、ポリエチレンオキシド、ポロキサマー、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースの塩、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシエチルメチルセルロースなど、ポリビニルピロリドン、キトサン(例えば、キトサン及びチオール化キトサン)、ペクチン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、並びにveegumが挙げられる。
【0072】
本明細書に記載される組成物の任意の実施形態では、レオロジー変性剤は、キサンタンガムを含んでいてもよく、又はキサンタンガムからなっていてもよく、又はキサンタンガム、及び本明細書に記載される又は当技術分野において公知の1種又は複数種などの別のレオロジー変性剤を含んでいてもよい。
【0073】
本明細書に記載される組成物の任意の実施形態では、レオロジー変性剤は、組成物の0.01~10%w/w、例えば、組成物の約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%w/wの量で存在することができる。レオロジー変性剤は、組成物の約0.01%~約5%、又は約0.05%~約4%、又は約0.1%~約3%、又は約0.2%~約2%、又は約0.25%~約1.5%、又は約0.3%~約1.2%、又は約0.5%~約1.0%w/wの量で存在することができる。レオロジー変性剤は、組成物の約0.25%~約1.5%w/wの量で存在することができる。レオロジー変性剤は、組成物の1.0%w/wの量で存在することができる。レオロジー変性剤は、組成物の約3%まで、又は約1.5%まで、又は約0.25%まで、又は約0.1%w/wまでの量で存在することができる。
【0074】
一部の実施形態では、レオロジー変性剤は、組成物の0.25~1.5%w/wの量で存在するキサンタンガムを含む。レオロジー変性剤は、組成物の1.0%w/wのキサンタンガムを含んでもよい。
【0075】
ビヒクル
上で述べたように、本明細書に記載される組成物はまた、コルチコステロイド用のビヒクルも含む。本明細書で使用する場合、「ビヒクル」とは、目的とする投与経路(例えば、経口又は経直腸)に適した薬学的に許容されるビヒクル(その中にコルチコステロイドが部分的に又は完全に溶解又は懸濁し得る)を指し、ビヒクル成分は、組成物が投与される病態に対して(例えば、必要な処置としての使用に対して)直接的な治療効果をもたない。一部の実施形態では、コルチコステロイドはビヒクル中に懸濁する。一部の実施形態では、ビヒクルはコルチコステロイドの溶媒である。一部の実施形態では、コルチコステロイドはビヒクル中に溶解する。一部の実施形態では、コルチコステロイドは、ビヒクル中に一部が懸濁し、一部が溶解する。
【0076】
好適なビヒクル成分の例としては、以下に限定されないが、グリセリン及びプロピレングリコールが挙げられる。さらなる例としては、以下に限定されないが、PECEOL(商標)(モノオレイン酸グリセリル、タイプ40)、LABRAFAC(商標)PG(プロピレングリコールジカプリロカプレート)、PLUROL(登録商標)OLEIQUE CC497(ジオレイン酸ポリグリセリル-3)、LABRAFIL(登録商標)CS1944(オレオイルポリオキシル-6グリセリド)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。前述のうち任意の2つ以上の混合物を使用してもよい。一部の実施形態では、ビヒクルは、グリセリンを含むか、グリセリンからなるか、又はグリセリン、及びプロピレングリコールなどの別のビヒクルを含む。一部の実施形態では、組成物はポリプロピレングリコールを含まない。一部の実施形態では、組成物はポリエチレングリコールを含まない。一部の実施形態では、組成物はポリプロピレングリコールを含まず、且つポリエチレングリコールを含まない。
【0077】
組成物中に存在するビヒクルの量は、コルチコステロイド及び/又は存在してもよい他の成分を部分的に又は完全に可溶化させるために、並びに組成物の所望の性質、例えば粘膜表面への付着を実現するために、選択及び調節することができる。例示的な量は、以下にさらに詳細に説明される。例えば、ビヒクルの総量は、組成物の約1~約90%w/w、例えば、組成物の約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%w/wとすることができる。ビヒクルの総量は、組成物の約25%~約85%、又は約30%~約80%、又は約35%~約75%、又は約40%~約70%、又は約45%~約60%w/wとすることができる。ビヒクルの総量は、組成物の約50%w/wとすることができる。
【0078】
一部の実施形態では、ビヒクルはグリセリンを含む。グリセリンは、組成物の約1~約90%w/w、約25%~約85%、又は約30%~約80%、又は約35%~約75%、又は約40%~約70%、又は約45%~約60%w/wの量で存在することができる。グリセリンは、組成物の約30%~約80%w/wの量で存在することができる。グリセリンは、組成物の約40%~約70%w/wの量で存在することができる。グリセリンは、組成物の約45%~約60%w/wの量で存在することができる。グリセリンは、組成物の約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%w/wの量で存在することができる。グリセリンは、組成物の約50%w/wの量で存在することができる。
【0079】
一部の実施形態では、ビヒクルはプロピレングリコールを含み、これは透過促進剤として作用することもできる。一部の実施形態では、プロピレングリコールは、組成物の約40%まで、又は約30%まで、又は約20%まで、又は約15%w/wまでの量で存在する。プロピレングリコールは、組成物の約30%w/wまでの量で存在することができる。プロピレングリコールは、組成物の約20%w/wまでの量で存在することができる。プロピレングリコールは、組成物の約0.5%~約40%、約0.5%~約30%、約0.5%、約25%、約0.5%~約20%、約0.5%~約15%、又は約0.5%~約10%w/wの量で存在することができる。プロピレングリコールは、組成物の約0.5%、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、又は約40%w/wの量で存在することができる。
【0080】
プロピレングリコールを含む特定の実施形態では、プロピレングリコールは、組成物の20%w/wまで、例えば、組成物の約0.5%~20%w/w、又は組成物の約10%~20%w/w、例えば、組成物の0.5%、1%、5%、10%、15%、又は20%w/wの量で存在することができる。
【0081】
一部の実施形態では、組成物は、約40~70%w/wのグリセリン、及び約20%w/wまでの、例えば約0.5%~20%w/wのプロピレングリコールを含む。例えば、組成物は、約50%w/wのグリセリン及び約20%w/wのプロピレングリコールを含むことができる。
【0082】
使用されるビヒクルの種類及び量に応じて、本明細書に記載される組成物は、溶液又は懸濁液として得ることができる。したがって、一部の実施形態では、組成物は懸濁液である(例えば、コルチコステロイドはビヒクル中にせいぜい部分的にしか溶解していない)が、一部の実施形態では、組成物は溶液である(例えば、コルチコステロイドはビヒクル中にほぼ完全に溶解している)。
【0083】
pH調整剤
本明細書に記載される粘膜付着性医薬組成物は、典型的には、水、及び任意選択によりpH調整剤をさらに含む。pH調整剤は、酸性緩衝水溶液などの緩衝水溶液として提供されてもよい。
【0084】
酸性緩衝水溶液の非限定的な例としては、クエン酸緩衝液(citric acid buffers)、酢酸緩衝液、安息香酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液(citrate buffers)、炭酸緩衝液、塩酸、乳酸緩衝液、過塩素酸、タルトル酸(tartric acid)、プロプリオン酸(proprionate)緩衝液、及びこれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態では、酸性緩衝水溶液はクエン酸緩衝液である。
【0085】
酸性緩衝水溶液のpHは、所望のpHを有する最終組成物をもたらすように選択及び調節することができ、所望のpHはコルチコステロイドの化学的安定性を促進するように選択することができる。
【0086】
一部の実施形態では、酸性緩衝水溶液は、約1~約6、又は約1.5~約5.5、又は約2~約5、又は約2.5~約4.5、約3~約4、又は約4.5~約5.5のpHを有することができる。一部の実施形態では、酸性緩衝水溶液はクエン酸緩衝液又は酢酸緩衝液である。一部の実施形態では、酸性緩衝水溶液はpH4.5~5.5のクエン酸緩衝液である。一部の実施形態では、酸性緩衝水溶液は、約pH5.0、例えばpH5±0.1のクエン酸緩衝液である。一部の実施形態では、酸性緩衝水溶液はpH4.7の酢酸緩衝液である。例えば、pH4.5~5.5の酸性緩衝水溶液、例えばクエン酸緩衝水溶液は、本明細書に記載されるブデソニド組成物に適している。
【0087】
本明細書に記載される組成物のpHは、食道の生理的pHに近いように(即ち弱酸性から中性、例えば約4.5~約7)選択及び調節することができる。一部の実施形態では、組成物は、約4.5、又は約5、又は約5.5、又は約6、又は約6.5、又は約7のpH、及びこれらの値のいずれかの間のpH値を有することができる。
【0088】
他の成分
本明細書に記載される粘膜付着性医薬組成物は、任意選択により、1種又は複数種の任意選択の薬学的に許容される添加剤をさらに含むことができる。本明細書に記載される組成物の任意の実施形態では、1種又は複数種の任意選択の薬学的に許容される添加剤は、本明細書に記載される又は当技術分野において公知の(例えば、Rowe et al.,HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL EXCIPIENTS (Pharm.Press 7th ed.2012)に記載されているような、任意の1種又は複数種とすることができる。一部の実施形態では、存在する任意選択の薬学的に許容される添加剤はいずれも、組成物の治療有効性に実質的に影響を及ぼさない。一部の実施形態では、薬学的に許容される添加剤は、コルチコステロイドの慢性使用に関連する疾患又は病態、例えばモニリア症などのリスクを低減する。追加として又は代替として、一部の実施形態では、存在する任意選択の薬学的に許容される添加剤はいずれも、組成物の粘膜付着性に実質的に影響を及ぼさない。任意選択の薬学的に許容される添加剤は、存在する場合、組成物の粘膜付着性、薬物送達性及び治療的性質など、組成物の望ましい性質を実質的に妨げることなく、その成分の目的とする効果を有するのに十分な任意の好適な量で、組成物中に組み入れることができる。
【0089】
任意選択の薬学的に許容される添加剤の例としては、以下に限定されないが、保存剤、甘味剤、抗酸化剤、キレート剤、着色剤、透過促進剤、及び/又は香味剤が挙げられる。一部の薬剤は保存剤と抗酸化剤との両方として作用することができるため、保存剤と抗酸化剤のカテゴリーは相互排他的なものではない。
【0090】
保存剤の非限定的な例としては、メチル-p-ヒドロキシベンゾエート、ソルビン酸カリウム、安息香酸C12~C15アルキル、アルキルp-ヒドロキシベンゾエート、プロピル及びブチルp-ヒドロキシベンゾエート、アロエベラ抽出物、アスコルビン酸、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、C9~C15アルコールの安息香酸エステル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ヒマシ油、セチルアルコール、クロロクレゾール、クエン酸、カカオ脂、ヤシ油、ジアゾリジニル尿素、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルポリシロキサン、DMDMヒダントイン、エタノール、脂肪酸、脂肪アルコール、ヘキサデシルアルコール、ヒドロキシベンゾエートエステル、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、イソノナン酸イソノニル、ホホバ油、ラノリン油、メチルパラベン、鉱油、オレイン酸、オリーブ油、ポリエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、シリコーン油、プロピオン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸二ナトリウム、ソルビン酸、ステアリン脂肪酸、ビタミンE、ビタミンEアセテート、並びにこれらの誘導体、エステル、塩及び混合物が挙げられる。一部の実施形態では、保存剤は、メチル-p-ヒドロキシベンゾエートであるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、保存剤は、ビタミンC源、例えば、アスコルビン酸、又はその塩を含む誘導体であるか、又はそれらを含む。一部の実施形態では、保存剤は、重亜硫酸塩であるか、又はそれを含む。亜硫酸塩の非限定的な例としては、以下に限定されないが、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、及びメタ重亜硫酸カリウムが挙げられる。一部の実施形態では、保存剤は、メタ重亜硫酸ナトリウムであるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、保存剤は、ポリアミノカルボン酸、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸/EDTA)などであるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、保存剤は、エデト酸又はその塩などの誘導体であるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、保存剤は、エデト酸二ナトリウムであるか、又はそれを含む。
【0091】
保存剤は、組成物の約0.01%~約1.0%、約0.01%~約0.5%、及び約0.05%~0.25%w/wなどの任意の好適な量で存在することができる。保存剤は、組成物の約0.01%、0.02%、0.03%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.15%、0.20%、0.25%、0.30%、0.35%、0.40%、0.45%、0.50%、0.55%、0.60%、0.65%、0.70%、0.75%、0.80%、0.85%、0.90%、0.95%、又は1.0%w/wの量で存在することができる。一部の実施形態では、保存剤は、アスコルビン酸又はその塩であるか、又はそれを含み、組成物の約0.01%~約1.0%w/w(その間の任意の量を含む)、例えば、組成物の0.01%、0.02%、0.03%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.15%、0.20%、0.25%、0.30%、0.35%、0.40%、0.45%、0.50%、0.55%、0.60%、0.65%、0.70%、0.75%、0.80%、0.85%、0.90%、0.95%、又は1.0%w/wの量で存在する。一部の実施形態では、保存剤は、重亜硫酸塩、例えばメタ重亜硫酸ナトリウムなどであるか、又はそれを含み、組成物の約0.05%~約0.25%w/w(その間の任意の量を含む)、例えば、組成物の0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.15%、0.20%、0.25%w/wの量で存在する。一部の実施形態では、保存剤は、エデト酸又はその塩、例えばエデト酸二ナトリウムなどであるか、又はそれを含み、組成物の約0.01%~約0.5%w/w(その間の任意の量を含む)、例えば、組成物の0.01%、0.02%、0.03%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.15%、0.20%、0.25%、0.30%、0.35%、0.40%、0.45%、又は0.50%w/wの量で存在する。
【0092】
抗酸化剤の非限定的な例としては、グルタチオン、キノリン、ポリフェノール、カロテノイド、メタ重亜硫酸ナトリウム、コハク酸トコフェロール、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、フラボノイド、ビタミンC源、ポリアミノカルボン酸、亜硫酸塩、及びこれらの誘導体が挙げられる。保存剤及び/又は抗酸化剤として使用するためのビタミンC源の非限定的な例としては、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、L-アスコルビン酸ジパルミテート、L-アスコルビン酸-2-硫酸ナトリウム、アスコルビン酸塩、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、又はアスコルビン酸カルシウムなど、及びこれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態では、抗酸化剤はビタミンC源である。一部の実施形態では、抗酸化剤はアスコルビン酸又はその塩を含む誘導体である。ポリアミノカルボン酸の非限定的な例はエデト酸(エチレンジアミン四酢酸/EDTA)である。一部の実施形態では、抗酸化剤は、エデト酸又はその塩などの誘導体である。一部の実施形態では、抗酸化剤はエデト酸二ナトリウムである。亜硫酸塩の非限定的な例としては、以下に限定されないが、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、及びメタ重亜硫酸カリウムが挙げられる。一部の実施形態では、抗酸化剤は亜硫酸塩である。一部の実施形態では、保存剤は、メタ重亜硫酸ナトリウムであるか、又はそれを含む。
【0093】
抗酸化剤は、組成物の約0.01%~約1.0%、約0.01%~約0.5%、及び約0.05%~0.25%w/wなどの任意の好適な量で存在することができる。抗酸化剤は、組成物の約0.01%、0.02%、0.03%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.15%、0.20%、0.25%、0.30%、0.35%、0.40%、0.45%、0.50%、0.55%、0.60%、0.65%、0.70%、0.75%、0.80%、0.85%、0.90%、0.95%、又は1.0%w/wの量で存在することができる。一部の実施形態では、抗酸化剤は、アスコルビン酸又はその塩であるか、又はそれを含み、組成物の約0.01%~約1.0%w/w(その間の任意の量を含む)、例えば、組成物の0.01%、0.02%、0.03%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.15%、0.20%、0.25%、0.30%、0.35%、0.40%、0.45%、0.50%、0.55%、0.60%、0.65%、0.70%、0.75%、0.80%、0.85%、0.90%、0.95%、又は1.0%w/wの量で存在する。一部の実施形態では、抗酸化剤は、重亜硫酸塩、例えばメタ重亜硫酸ナトリウムなどであるか、又はそれを含み、組成物の約0.05%~約0.25%w/w(その間の任意の量を含む)、例えば、組成物の0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.15%、0.20%、0.25%の量で存在する。一部の実施形態では、抗酸化剤は、エデト酸又はその塩、例えばエデト酸二ナトリウムなどであるか、又はそれを含み、組成物の約0.01%~約0.5%w/w(その間の任意の量を含む)、例えば、組成物の0.01%、0.02%、0.03%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.10%、0.15%、0.20%、0.25%、0.30%、0.35%、0.40%、0.45%、又は0.50%w/wの量で存在する。
【0094】
上で述べたように、一部の保存剤は抗酸化剤であり、その逆も同様である。抗酸化剤としても作用する保存剤の例としては、上記の亜硫酸塩、ポリアミノカルボン酸、及びビタミンC源が挙げられる。これらの作用剤は上で説明した量を含む任意の好適な量で存在することができる。
【0095】
ある特定の実施形態では(例えば、組成物が自己保存性である場合)、組成物は、保存剤、抗酸化剤、又は両方を、実質的に含まないか又は含まない。例えば、組成物は、上記の1種若しくは複数種若しくは全ての保存剤を含まないか若しくは実質的に含まず、及び/又は上記の1種若しくは複数種若しくは全ての抗酸化剤を含まないか若しくは実質的に含まない。これらの実施形態では、組成物は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、又は両方を、実質的に含まない場合があるか、又は含まない場合がある。
【0096】
一部の実施形態では、組成物は、透過促進剤をさらに含むことができる。一部の実施形態では、透過促進剤は、プロピレングリコールであるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、透過促進剤は、プロピレングリコールPECEOL(商標)(モノオレイン酸グリセリル、タイプ40)、LABRAFAC(商標)PG(プロピレングリコールジカプリロカプレート)、PLUROL(登録商標)OLEIQUE CC497(ジオレイン酸ポリグリセリル-3)、LABRAFIL(登録商標)CS1944(オレオイルポリオキシル-6グリセリド)、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルのうち1つ又は複数であるか、又はそれらを含む。
【0097】
甘味剤の非限定的な例としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、ソルビトール、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、ズルコシドA、ズルコシドB、ルブソシド、ステビア、ステビオシド、モグロシドIV、モグロシドV、ソルビトール、ラカンカ甘味剤、シアメノシド、モナチン及びその塩(モナチンSS、RR、RS、SR)、クルクリン、グリチルリチン酸及びその塩、ソーマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ヘルナンズルチン、フィロズルチン、グリシフィリン、フロリジン、トリロバチン、バイユノシド、オスラジン、ポリポドシドA、プテロカリオシドA、プテロカリオシドB、ムクロジオシド、フロミソシドI、ペリアンドリンI、アブルソシド(abrsoside)A、シクロカリオシドI、及び他の塩、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、シクラメート、ネオテーム、N-[N-[3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)プロピル]-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン1-メチルエステル、N-[N-[3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-3-メチルブチル]-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン1-メチルエステル、N-[N-[3-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロピル]-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン1-メチルエステル、並びにこれらの塩及び組合せが挙げられる。甘味剤は、組成物の約0.001%~約0.5%、約0.005%~約0.5%、約0.05%~約0.5%、及び約0.01%~約0.5%w/wなどの、任意の好適な量で、例えば、組成物の約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、又は約0.5%w/wで存在することができる。一部の実施形態では、甘味剤は、スクラロースであるか、又はそれを含む。スクラロースは、組成物の約0.001%~約0.5%w/w、又は組成物の約0.05%~約0.5%w/w、約0.005%~約0.5%、又は組成物の約0.01%~約0.5%w/wなどの任意の好適な量で存在することができる。スクラロースの好適な量としては、以下に限定されないが、組成物の約0.001%、約0.002%、約0.003%、約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、又は約0.5%w/wが挙げられる。例えば、スクラロースは、組成物の0.005%、0.01%、又は0.10%w/wの量で存在することができる。
【0098】
キレート剤の非限定的な例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びクエン酸、それらの水和物、それらの塩、及びそれらの塩の水和物が挙げられる。そのようなキレート剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、及びクエン酸一水和物が挙げられる。所望の場合、キレート剤の様々な組合せを使用することができる。上で述べたように、EDTAはまた、保存剤又は抗酸化剤として使用することもできる。
【0099】
着色剤の非限定的な例としては、FD&C青色1号アルミニウムレーキ、FD&C青色2号、他のFD&C青色、二酸化チタン、酸化鉄、及び/又はこれらの組合せなどの、市販の顔料が挙げられる。
【0100】
香味剤の非限定的な例としては、ベリー風味剤、トゥッティフルッティ風味剤、カラメル風味剤、ルートビア風味剤、クリーム風味剤、チョコレート風味剤、ペパーミント風味剤、スペアミント風味剤、バタースコッチ風味剤、及びウィンターグリーン風味剤並びにこれらの組合せが挙げられる。好適なベリー香味剤としては、ブラックチェリー、イチゴ、サクランボ、ブルーベリー、及びラズベリーなどが挙げられる。一部の実施形態では、組成物は、ラズベリー、トゥッティフルッティ又はカラメルの風味剤を含む。
【0101】
添加剤の素性及び量は、全体として組成物の望ましい性質を維持しながら所望の効果を実現するように選択及び調整することができる。一部の実施形態では、組成物は、約0.01%~約10%、又は約0.03%~約9%、又は約0.05%~約7%、又は約0.01%~約3%、又は約0.02%~約2.5%、又は約0.03%~約2.5%、又は約0.05%~約2.5%、又は約0.1%~約2%、又は約0.1%~約1.5%、又は約1%~約1.5%w/wの添加剤を含む。組成物は、約0.01%~約10%w/wの添加剤、例えば、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%w/wの添加剤を含むことができる。組成物は、約0.01%~約5%w/wの添加剤を含むことができる。医薬品は、約0.01%~約1%w/wの添加剤を含むことができる。
【0102】
本明細書に記載される粘膜付着性医薬組成物は、経口投与用又は経直腸投与用に製剤化することができる。例えば、組成物は、経口投与に適した用量及び量で、経口投与に適した添加剤とともに製剤化することにより、経口投与用に製剤化することができ、又は経直腸投与に適した用量及び量で、経直腸投与に適した添加剤とともに製剤化することにより、経直腸投与用に製剤化することができる。
【0103】
また、経口投与用又は経直腸投与用の組成物の単位用量包装、例えば、組成物の単位用量を含有するパウチ又はシリンジなども、本明細書において提供される。一部の実施形態では、単位用量包装は、約1mL~約20mL、約1mL~約10mL、約2mL~約5mL、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10mLなど、及びこれらの値のうちいずれかの間の量を含む。
【0104】
また、所定量の組成物をそれぞれ含有するパウチ又はシリンジなどの複数回用量包装用に構成されている経口投与用又は経直腸投与用の組成物も本明細書において提供される。一部の実施形態では、複数回用量包装は、約1mL~約20mL、約1mL~約10mL、約2mL~約5mL、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10mL及びこれらの値のうちいずれかの間の量を含む。一部の実施形態では、複数回用量包装は、1週間の処置用、2週間の処置用、3週間の処置用、4週間の処置用、1カ月間の処置用、2カ月間の処置用、又は3カ月間の処置用の用量を含有する。
【0105】
粘膜付着性
任意の実施形態では、本明細書に記載される粘膜付着性医薬組成物は、食道又は直腸の粘膜組織などの粘膜表面に付着するような粘度又は付着仕事量を示す。
【0106】
一部の実施形態では、治療有効量の組成物は、少なくとも0.5分間、例えば、5分から、その次の用量が投与されるべき時間までの間、食道又は直腸の粘膜に付着する。したがって、1日2回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、10時間まで又は12時間まで付着することができる。1日3回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、6時間まで又は8時間まで付着することができる。1日4回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、4時間まで又は6時間まで付着することができる。
【0107】
一部の実施形態では、治療有効量の組成物は、投与後、少なくとも0.5分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、又は少なくとも20分間、又は少なくとも25分間、又は少なくとも30分間、又は少なくとも35分間、又は少なくとも40分間、又は少なくとも45分間、又は少なくとも50分間、又は少なくとも55分間、又は少なくとも60分間、又は少なくとも65分間、又は少なくとも75分間、又は少なくとも75分間、食道又は直腸の粘膜に付着する。一部の実施形態では、組成物は、投与後少なくとも30分間、食道又は直腸の粘膜組織に付着する。一部の実施形態では、組成物は、投与後少なくとも45分間、食道又は直腸の粘膜組織に付着する。一部の実施形態では、組成物は、投与後少なくとも60分間、食道又は直腸の粘膜組織に付着する。一部の実施形態では、組成物は、投与後少なくとも75分間、食道又は直腸の粘膜組織に付着する。
【0108】
一部の実施形態では、治療有効量の組成物は、投与後、約0.5分間~約75分間、例えば、約0.5分間、約5分間、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、約60分間、約65分間、及び約75分間、食道又は直腸の粘膜に付着する。一部の実施形態では、組成物は、投与後約30分間、食道又は直腸の粘膜組織に付着する。一部の実施形態では、組成物は、投与後約45分間、食道又は直腸の粘膜組織に付着する。一部の実施形態では、組成物は、投与後約60分間、食道又は直腸の粘膜組織に付着する。一部の実施形態では、組成物は、投与後約75分間、食道又は直腸の粘膜組織に付着する。
【0109】
一部の実施形態では、治療有効量の組成物は、0.5分間~12時間、0.5分間~8時間、0.5分間~6時間、又は0.5分間~4時間、食道又は直腸の粘膜に付着する。一部の実施形態では、治療有効量の組成物は、0.5分間、5分間、30分間、45分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、又は約12時間、食道又は直腸の粘膜に付着する。一部の実施形態では、治療有効量の組成物は、5分間~12時間、5分間~8時間、5分間~6時間、又は5分間~4時間、食道又は直腸の粘膜に付着する。一部の実施形態では、治療有効量の組成物は、30分間~12時間、30分間~8時間、30分間~6時間、又は30分間~4時間、食道又は直腸の粘膜に付着する。一部の実施形態では、治療有効量の組成物は、45分間~12時間、45分間~8時間、45分間~6時間、又は45分間~4時間、食道又は直腸の粘膜に付着する。一部の実施形態では、治療有効量の組成物は、1~12時間、1~8時間、1~6時間、又は1~4時間、食道又は直腸の粘膜に付着する。
【0110】
本明細書で使用する場合、「付着仕事量」という用語は、組成物を表面から取り外すのに必要な仕事量(力)を指す。付着仕事量は、目標とする作用部位から組成物を取り外そうとする力(例えば、唾液、食物、液体、及び筋収縮のような力)に耐えるのに必要であり得る、組成物の付着能の測定値となる。付着仕事量は、実施例で説明しているように、当技術分野において公知の方法によって査定することができる。例えば、付着仕事量は、Texture Analyzer TA-TX2(Stable Micro Systems、英国)を室温で使用し、1mLの組成物をTUFFRYN(登録商標)HT-450フィルター0.45μm(親水性ポリスルホン)試験膜(Pall Corp.)に塗布し、組成物を引き離すのに必要とした力を伸びの関数として記録して、査定することができる。
【0111】
一部の実施形態では、本明細書に記載される粘膜付着性医薬組成物は、実施例2に記載しているように査定した場合、約150~約350g/s、又は150~350g/sの付着仕事量を示す。
【0112】
一部の実施形態では、組成物の粘度性及び/又は粘膜付着性は、
図6A及び6Bに示しているように、生体関連の20~40℃又は30~40℃の温度範囲にわたり、実質的に一定である。この温度範囲にわたるこのような性質の一定性により、これらの実施形態は、熱感受性の(例えば熱可逆性の)ゲルとはさらに異なっている。
【0113】
理論に縛られることを望むものではないが、このような粘膜付着性により、例えば、コルチコステロイドの組成物と、標的処置部位(例えば、食道組織又は直腸の粘膜組織)との間の接触の改善及び/又は持続化がもたらされることによって、薬物送達が改善され、及び/又は効果が持続し、組成物の治療効果が増強されると考えられる。
【0114】
一部の実施形態では、本明細書に記載される粘膜付着性を有する組成物はまた、室温及び/又は体温で流動的な粘度も有する。ある種のこれらの実施形態では、粘度は室温及び/又は体温で約1,000~10,000cps、例えば室温及び/又は体温で3000~9000cps又は5000~7000cpsである。
【0115】
特定の実施形態に関して、驚くべきことに、キサンタンガム、グリセリン、及び水を(任意選択により酸性緩衝液、例えばクエン酸緩衝液とともに)含む粘膜付着性システム中にコルチコステロイドを含む組成物は、驚くほど良好な粘膜付着を示すこと、及び自己保存性でもあることを含む、望ましい性質の意外な組合せを示すことが見出された。
【0116】
本明細書に記載される粘膜付着性医薬組成物は、良好な保存性を示すことができる。例えば、本組成物は、加速安定性試験条件下で少なくとも1カ月間、又は室内の温度及び湿度の保存条件下で少なくとも1年間、安定であり得る。組成物は、40℃及び相対湿度75%で保存した場合、少なくとも1カ月間安定であり得る。組成物は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、少なくとも1年間安定であり得る。
【0117】
例示的な組成物
一部の実施形態では、組成物は、(a)ブデソニドを組成物の0.02~0.06%w/wの量で、(b)グリセリンを組成物の40~70%w/wの量で含むビヒクルを、(c)キサンタンガムを組成物の0.25~1.5%w/w(例えば、0.5~1.5%w/w又は0.75~1.25%w/w)の量で含むレオロジー変性剤を、(d)任意選択により、pH4.5~5.5(例えば、pH5±0.1)のクエン酸緩衝水溶液を、(e)任意選択により、スクラロースを組成物の0.05~0.5%w/w、又は組成物の0.01~0.5%w/wの量で、及び(f)任意選択により、プロピレングリコールを組成物の20%w/wまで(例えば、約0.5%~20%w/w、又は約10%~20%w/w)の量で、含むことができる。
【0118】
一部の実施形態では、組成物は、(a)ブデソニドを組成物の0.02~0.06%w/wの量で、(b)グリセリンを組成物の40~70%w/wの量で含むビヒクルを、(c)キサンタンガムを組成物の0.25~1.5%w/w(例えば、0.5~1.5%w/w又は0.75~1.25%w/w)の量で含むレオロジー変性剤を、(d)任意選択により、pH4.5~5.5(例えば、pH5±0.1)のクエン酸緩衝水溶液を、(e)任意選択により、スクラロースを組成物の0.001~0.5%w/wの量で、及び(f)任意選択により、プロピレングリコールを組成物の20%w/wまで(例えば、約0.5%~20%w/w、又は約10%~20%w/w)の量で、含むことができる。
【0119】
一部の実施形態では、組成物は、(a)ブデソニドを組成物の約0.05%w/wの量で、(b)グリセリンを組成物の約50%w/wの量で、及び(c)キサンタンガムを組成物の約1%w/wの量で含むレオロジー変性剤を、含むことができる。
【0120】
一部の実施形態では、組成物は、(a)フルチカゾンを組成物の0.01~0.1%w/wの量で、(b)グリセリンを組成物の40~70%w/wの量で含むビヒクルを、(c)キサンタンガムを組成物の0.25~1.5%w/w(例えば、0.5~1.5%w/w又は0.75~1.25%w/w)の量で含むレオロジー変性剤を、(d)任意選択により、pH4.5~5.5(例えば、pH5±0.1)のクエン酸緩衝水溶液を、(e)任意選択により、スクラロースを組成物の0.05~0.5%w/w、又は組成物の0.01~0.5%w/wの量で、及び(f)任意選択により、プロピレングリコールを組成物の20%w/wまで(例えば、約0.5%~20%w/w、又は約10%~20%w/w)の量で、含むことができる。
【0121】
一部の実施形態では、組成物は、(a)フルチカゾンを組成物の0.01~0.1%w/wの量で、(b)グリセリンを組成物の40~70%w/wの量で含むビヒクルを、(c)キサンタンガムを組成物の0.25~1.5%w/w(例えば、0.5~1.5%w/w又は0.75~1.25%w/w)の量で含むレオロジー変性剤を、(d)任意選択により、pH4.5~5.5(例えば、pH5±0.1)のクエン酸緩衝水溶液を、(e)任意選択により、スクラロースを組成物の0.001~0.5%w/wの量で、及び(f)任意選択により、プロピレングリコールを組成物の20%w/wまで(例えば、約0.5%~20%w/w、又は約10%~20%w/w)の量で、含むことができる。
【0122】
一部の実施形態では、組成物は、(a)フルチカゾンを組成物の約0.05%w/wの量で、(b)グリセリンを組成物の約50%w/wの量で、及び(c)キサンタンガムを組成物の約1%w/wの量で含むレオロジー変性剤を、含むことができる。
【0123】
本明細書に記載される組成物のうちいずれかの、一部の実施形態では、組成物は、(a)シクレソニドを組成物の0.01~0.1%w/wの量で、(b)グリセリンを組成物の40~70%w/wの量で含むビヒクルを、(c)キサンタンガムを組成物の0.25~1.5%w/w(例えば、0.5~1.5%w/w又は0.75~1.25%w/w)の量で含むレオロジー変性剤を、(d)任意選択により、pH4.5~5.5(例えば、pH5±0.1)のクエン酸緩衝水溶液を、(e)任意選択により、スクラロースを組成物の0.05~0.5%w/w又は組成物の0.01~0.5%w/wの量で、及び(f)任意選択により、プロピレングリコールを組成物の20%w/wまで(例えば、約0.5%~20%w/w、又は約10%~20%w/w)の量で、含むことができる。
【0124】
本明細書に記載される組成物のうちいずれかの、一部の実施形態では、組成物は、(a)シクレソニドを組成物の0.01~0.1%w/wの量で、(b)グリセリンを組成物の40~70%w/wの量で含むビヒクルを、(c)キサンタンガムを組成物の0.25~1.5%w/w(例えば、0.5~1.5%w/w又は0.75~1.25%w/w)の量で含むレオロジー変性剤を、(d)任意選択により、pH4.5~5.5(例えば、pH5±0.1)のクエン酸緩衝水溶液を、(e)任意選択により、スクラロースを組成物の0.001~0.5%w/wの量で、及び(f)任意選択により、プロピレングリコールを組成物の20%w/wまで(例えば、約0.5%~20%w/w、又は約10%~20%w/w)の量で、含むことができる。
【0125】
一部の実施形態では、組成物は、(a)シクレソニドを組成物の約0.05%w/wの量で、(b)グリセリンを組成物の約50%w/wの量で、及び(c)キサンタンガムを組成物の約1%w/wの量で含むレオロジー変性剤を、含むことができる。
【0126】
製造方法
また、本明細書に記載される粘膜付着性医薬組成物を作製する方法も、本明細書において提供される。一般に、組成物は、当技術分野において公知の技術により、以下の指針に鑑みて作製することができる。
【0127】
一般に、組成物は、成分を配合し、ブレンド又は混合することによって作製される。任意の実施形態では、混合することは、低速又は高速で高剪断混合することを含み得る。混合することは、マリンタイププロペラ又は遊星式ミキサーを用いて行われる場合もある。
【0128】
成分はどの順序で配合してもよいが、一部の実施形態では、コルチコステロイドは、レオロジー変性剤と混合される前にビヒクル成分とブレンドされる。そのような実施形態では、使用されるビヒクルの量及び素性は、コルチコステロイドがレオロジー変性剤と混合されたときに溶解又は懸濁したままであるように選択することができる。任意の実施形態では、レオロジー変性剤は、室温でコルチコステロイドと混合することができる。
【0129】
一部の実施形態では、コルチコステロイドは、最初にビヒクル成分と混合され、次に、組成物の他の乾燥(例えば粉末)成分、例えば緩衝剤、甘味剤及び他の添加剤が添加され、混合され、その後にレオロジー変性剤が添加される。
【0130】
別の実施形態では、コルチコステロイド及び組成物の他の乾燥成分(例えば、緩衝剤、甘味剤及び他の添加剤)は、ビヒクル成分と一緒に混合され、その後にレオロジー変性剤が添加される。
【0131】
これらの実施形態のうちいずれかでは、コルチコステロイド及び任意選択により他の乾燥成分は、最初に水に添加され、その後にビヒクル成分(例えば、グリセリン)が添加されてもよい。例えば
図1を参照されたい。
【0132】
任意の実施形態では、レオロジー変性剤は、追加のビヒクル成分を伴い、又は伴わずに添加されてもよい。水が存在する実施形態では、レオロジー変性剤が添加された後に、追加の水が添加されてもよい。
【0133】
したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物を作製する方法は、(a)コルチコステロイドをビヒクル中に溶解又は懸濁するステップ、及び(b)コルチコステロイドの溶液又は懸濁液をレオロジー変性剤と混合するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、水を添加するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、酸性緩衝水溶液を添加するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、1種又は複数種の任意の添加剤を添加するステップをさらに含む。
【0134】
したがって、他の実施形態では、本明細書に記載される組成物を作製する方法は、(a)コルチコステロイド及び組成物の他の乾燥成分(例えば、緩衝剤、甘味剤及び他の添加剤)を水に添加し、混合するステップ、(b)ビヒクル(例えばグリセリン)の第1の部分を添加し、混合するステップ、(c)ビヒクルの第2の部分及びレオロジー調整剤を添加し、混合するステップ、及び(d)水を添加し、混合するステップを含む。例えば
図1を参照されたい。
【0135】
治療方法
また、コルチコステロイドを、それを必要とする対象に投与する方法であって、当該対象に、本明細書に記載される組成物を経口又は経直腸で投与するステップを含む方法も本明細書において提供される。一部の実施形態では、本方法は、コルチコステロイドを対象の食道に送達するのに有効である。一部の実施形態では、本方法は、コルチコステロイドを対象の直腸粘膜又は結腸粘膜に送達するのに有効である。
【0136】
EoE及びIBDの処置のためなどの一部の実施形態では、コルチコステロイドの局所送達は治療的に有効である。つまり、コルチコステロイドは、処置される病態に対して局所的に活性である。そのような実施形態では、全身性送達を回避すること又は最小限にすること、例えば、コルチコステロイドの意図しない又は望ましくない全身作用を回避することが有利であり得る。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物は局所送達用に製剤化される。それでもやはり、コルチコステロイドが粘膜組織(例えば、食道、直腸、又は結腸の組織)の中へ、又はそれを通って少なくとも部分的に浸透することが、治療有効性を得るために望ましい場合(EoE及びIBDを処置する状況を含む)があり得る。例えば、一部の実施形態では、粘膜下組織の中への少なくとも部分的な浸透が、治療有効性を得るために望ましい場合がある。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、粘膜組織の中への、又はそれを通る少なくとも部分的な浸透を実現するように製剤化される。
【0137】
一部の実施形態では、本方法は、対象の食道へのコルチコステロイドの持続送達、例えば、少なくとも0.5分間、5分間、又は少なくとも10分間、又は少なくとも15分間、又は少なくとも20分間、又は少なくとも25分間、又は少なくとも30分間、又は少なくとも35分間、又は少なくとも40分間、又は少なくとも45分間、又は少なくとも50分間、又は少なくとも55分間、又は少なくとも60分間、又は少なくとも65分間、又は少なくとも75分間、又は少なくとも75分間にわたる送達を提供するために有効である。一部の実施形態では、本方法は、対象の食道へのコルチコステロイドの持続送達、例えば、約0.5分~約75分間、例えば、約0.5分間、約5分間、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、約60分間、約65分間、約70分間、及び約75分間の送達を提供するために有効である。
【0138】
一部の実施形態では、本方法は、対象の食道へのコルチコステロイドの持続送達、例えば、0.5分間~12時間、0.5分間~8時間、0.5分間~6時間、又は0.5分間~4時間にわたる送達を提供するために有効である。一部の実施形態では、本方法は、5分間~12時間、5分間~8時間、5分間~6時間、又は5分間~4時間にわたる対象の食道へのコルチコステロイドの持続送達を提供するために有効である。一部の実施形態では、本方法は、30分間~12時間、30分間~8時間、30分間~6時間、又は30分間~4時間にわたる対象の食道へのコルチコステロイドの持続送達を提供するために有効である。一部の実施形態では、本方法は、45分間~12時間、45分間~8時間、45分間~6時間、又は45分間~4時間の、対象の食道へのコルチコステロイドの持続送達を提供するために有効である。一部の実施形態では、本方法は、1~12時間、1~8時間、1~6時間、又は1~4時間にわたる対象の食道へのコルチコステロイドの持続送達を提供するために有効である。一部の実施形態では、本方法は、対象の食道へのコルチコステロイドの持続送達、例えば、約0.5分間、約1分間、約5分間、約10分間、約20分間、約30分間、約40分間、約50分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、又は約12時間にわたる送達を提供するために有効である。
【0139】
一部の実施形態では、治療有効量の組成物は、その次の用量が投与されるべき時間までの間、食道又は直腸の粘膜に付着する。したがって、1日2回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、10時間まで又は12時間まで、例えば、約1時間~10時間、又は約1時間~12時間、付着することができる。一部の実施形態では、1日2回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、又は約12時間、付着することができる。1日3回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、6時間まで又は8時間まで、例えば、約1時間~6時間又は約1時間~約8時間、付着することができる。一部の実施形態では、1日3回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、又は約8時間、付着することができる。1日4回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、4時間まで又は6時間まで、例えば、約1時間~約4時間、又は約1時間~6時間、付着することができる。一部の実施形態では、1日4回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、又は約6時間、付着することができる。
【0140】
一部の実施形態では、対象は、上部消化管、特に食道の炎症状態を、患っているか又は発症するリスクがある場合がある。一部の実施形態では、対象は、好酸球性食道炎(EoE)を、患っているか又は発症するリスクがある場合がある。一部の実施形態では、対象は、小児(例えば10歳までを含む、18歳まで)又は成人である場合がある。
【0141】
EoEの処置に関する実施形態では、ブデソニドの好適な用量は、10歳より年少の小児では1mg/日まで、及びそれより年長の患者では2mg/日とすることができ、フルチカゾンの好適な用量は、成人では440μg~880μgを1日2回、及び小児では88μg~440μgを1日2~4回(成人の最大用量まで)とすることができ、シクレソニドの好適な用量は、小児では約320μgを1日2回とすることができる。処置は、1日1~4回の反復投与を含むことができ、1日以上、3日以上、7日以上、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、又は8週間以上、継続することができる。
【0142】
一部の実施形態では、本方法は、対象の直腸又は結腸へのコルチコステロイドの持続送達、例えば、少なくとも0.5分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、又は少なくとも20分間、又は少なくとも25分間、又は少なくとも30分間、又は少なくとも35分間、又は少なくとも40分間、又は少なくとも45分間、又は少なくとも50分間、又は少なくとも55分間、又は少なくとも60分間、又は少なくとも65分間、又は少なくとも70分間、又は少なくとも75分間にわたる送達を提供するために有効である。一部の実施形態では、本方法は、対象の直腸又は結腸へのコルチコステロイドの持続送達、例えば、約0.5分~約75分間、例えば、約0.5分間、5分間、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約55分間、約60分間、約65分間、約70分間、及び約75分間の送達を提供するために有効である。
【0143】
一部の実施形態では、本方法は、対象の直腸又は結腸へのコルチコステロイドの持続送達、例えば、0.5分間~12時間、0.5分間~8時間、0.5分間~6時間、又は0.5分間~4時間にわたる送達を提供するために有効である。一部の実施形態では、本方法は、5分間~12時間、5分間~8時間、5分間~6時間、又は5分間~4時間にわたる対象の直腸又は結腸へのコルチコステロイドの持続送達を提供するために有効である。一部の実施形態では、本方法は、30分間~12時間、30分間~8時間、30分間~6時間、又は30分間~4時間にわたる、対象の対象の直腸又は結腸へのコルチコステロイドの持続送達を提供するために有効である。一部の実施形態では、本方法は、45分間~12時間、45分間~8時間、45分間~6時間、又は45分間~4時間の、対象の直腸又は結腸へのコルチコステロイドの持続送達を提供するために有効である。一部の実施形態では、本方法は、1~12時間、1~8時間、1~6時間、又は1~4時間にわたる対象の直腸又は結腸へのコルチコステロイドの持続送達を提供するために有効である。一部の実施形態では、本方法は、対象の直腸又は結腸へのコルチコステロイドの持続送達、例えば、約0.5分間、約1分間、約5分間、約10分間、約20分間、約30分間、約40分間、約50分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、又は約12時間にわたる送達を提供するために有効である。
【0144】
一部の実施形態では、治療有効量の組成物は、その次の用量が投与されるべき時間までの間、食道又は直腸の粘膜に付着する。したがって、1日2回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、10時間まで又は12時間まで、例えば、約1時間~10時間、又は約1時間~12時間、付着することができる。一部の実施形態では、1日2回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、又は約12時間、付着することができる。1日3回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、6時間まで又は8時間まで、例えば、約1時間~6時間又は約1時間~約8時間、付着することができる。一部の実施形態では、1日3回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、又は約8時間、付着することができる。1日4回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、4時間まで又は6時間まで、例えば、約1時間~約4時間、又は約1時間~6時間、付着することができる。一部の実施形態では、1日4回の投薬の場合、治療有効量の組成物は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、又は約6時間、付着することができる。一部の実施形態では、対象は、結腸及び/又は直腸の炎症状態を、患っているか又は発症するリスクがある場合がある。一部の実施形態では、対象は、潰瘍性大腸炎及びクローン病などのIBDを、患っているか又は発症するリスクがある場合がある。一部の実施形態では、対象は、小児(例えば10歳までを含む、18歳まで)又は成人である場合がある。
【0145】
IBDの処置に関する実施形態では、ブデソニドの好適な用量は、10歳より年少の小児では1mg/日まで、及びそれより年長の患者では2mg/日とすることができ、フルチカゾンの好適な用量は、成人では440μg~880μgを1日2回、及び小児では88μg~440μgを1日2~4回(成人の最大用量まで)とすることができ、シクレソニドの好適な用量は、小児では約320μgを1日2回とすることができる。処置は、1日1~4回の反復投与を含むことができ、1日以上、3日以上、7日以上、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、又は8週間以上、継続することができる。
【0146】
また、好酸球性食道炎を含む食道の炎症状態を処置する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される組成物を経口投与するステップを含む方法も本明細書において提供される。上で述べたように、好適な対象は、好酸球性食道炎を含む、食道の1つ又は複数の炎症状態を患っている場合がある。
【0147】
また、IBDを含む腸の炎症状態を処置する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される組成物を経口又は経直腸で投与するステップを含む方法も本明細書において提供される。上で述べたように、好適な対象は、潰瘍性大腸炎及びクローン病を含む、腸の1つ又は複数の炎症状態を患っている場合がある。
【0148】
本方法は、本明細書に記載される組成物を、1日1回以上、例えば、1日に、1回、2回、3回、4回、5回、又はそれより多い回数で投与するステップを含んでもよい。
【0149】
また、コルチコステロイドを、それを必要とする対象の食道に経口投与するための薬剤(当該薬剤は、本明細書に記載される医薬組成物を含む)の調製におけるコルチコステロイドの使用も提供される。また、本明細書に記載される医薬組成物を含む、好酸球性食道炎などの食道の炎症状態を処置するための薬剤の調製におけるコルチコステロイドの使用も提供される。
【0150】
また、コルチコステロイドを、それを必要とする対象の腸に経口又は経直腸で投与するための薬剤(当該薬剤は、本明細書に記載される医薬組成物を含む)の調製におけるコルチコステロイドの使用も提供される。また、本明細書に記載される医薬組成物を含む、IBDなどの腸の炎症状態を処置するための薬剤の調製におけるコルチコステロイドの使用も提供される。
【0151】
また、コルチコステロイドを、それを必要とする対象の食道に経口投与するための、本明細書に記載される医薬組成物も提供される。また、好酸球性食道炎などの食道の炎症状態を処置するための本明細書に記載される医薬組成物も提供される。
【0152】
また、コルチコステロイドを、それを必要とする対象に経口投与するための、本明細書に記載される医薬組成物も提供される。また、コルチコステロイドを、それを必要とする対象に投与するための、本明細書に記載される直腸用医薬組成物も提供される。また、潰瘍性大腸炎及びクローン病などのIBDなど、腸の炎症状態を処置するための、本明細書に記載される医薬組成物も提供される。
【実施例】
【0153】
以下の特定の実施例は、本明細書に記載される組成物を例証するものとして含まれている。これらの実施例は、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本開示の他の態様は、本開示が属する技術分野の当業者には明らかであろう。
【0154】
実施例1:粘膜付着性組成物の調製
ブデソニドの水に対する室温での溶解度を測定すると、約0.01mg/mlであり、室温で、グリセリンに対しては約1mg/ml、プロピレングリコールに対しては約10mg/mlであった。
【0155】
本明細書に記載されるブデソニド組成物をベンチスケール(例えば、1~1000gバッチサイズ)で調製するために、室温にて超音波浴中で、プロピレングリコールを伴い又は伴わずに、ブデソニドをグリセリンと混合した。次いで、キサンタンガムをブデソニド溶液に添加し、肉眼で均質な混合物が得られるまで撹拌した。この液体組成物に、約pH5のクエン酸緩衝液、及びスクラロースなどの添加剤を、撹拌しながら添加した。得られた組成物は室温で液体であった。プロピレングリコールを含まない組成物は、液体懸濁液として得られ、プロピレングリコールを含む組成物は、プロピレングリコールの量に応じて液体懸濁液又は溶液として得られた。
【0156】
図1は、本明細書に記載される組成物を実験室スケール(例えば、10kgバッチサイズ)で調製するために使用することができる代替の例示的な製造工程の概略図である。特に、(a)ブデソニド及び組成物の他の乾燥成分(例えば、緩衝剤及び甘味剤)が、最終組成物の約40%w/wになる量の水に添加され、混合され、(b)最終組成物の約30%w/wになる量のビヒクル(例えば、グリセリン)が添加され、混合され、(c)最終組成物の約20%w/wになる量のビヒクル(例えば、グリセリン)、及びレオロジー調整剤(例えば、キサンタンガム)が添加され、混合され、及び(d)残量の水が添加され、混合される。
【0157】
実施例2:粘膜付着性組成物のキャラクタリゼーション
以下の成分を有する組成物を、上記の方法により、調製した。
【0158】
【0159】
この組成物はコルチコステロイドを含んでいないが、コルチコステロイドを含まないことが、以下で査定する性質に影響を及ぼすとは考えられない。さらに、物理化学的性質に実質的に影響を及ぼさない少量の他の添加剤(例えば、スクラロースなどの甘味剤)を添加してもまた、下記の性質に実質的に影響を及ぼすとは考えられない。
【0160】
付着仕事量
組成物の粘膜付着強度は、組成物を粘膜組織試料から分離するのに必要な付着仕事量によって推定される。
図2は、付着仕事量がどのように付着能の尺度になるかを示している。
【0161】
付着仕事量は、Skulason S.et al.,Proc.Int’l.Control.Rel.Bioact.Mater.,27(2000)#6326に記載されているように、Texture Analyzer TA-TX2(Stable Micro Systems、英国)を室温で使用し、及び以下のパラメーターを使用し、組成物を引き離すのに必要とした力を伸びの関数として記録して査定される。
・試験サンプル体積:1mL
・試験膜:HT Tuffryn(親水性ポリスルホン)、直径25mm、孔径0.45μm(Pall Corporation、Michigan)
・試験前速度:0.1mm/s 試験速度:0.1mm/s
・試験後速度:0.1mm/s 加えた力:0.2N
・戻り距離:10mm 接触時間:10s
・トリガータイプ:自動-0.05N 風袋モード:自動
・データ収集速度:500pps
【0162】
図3は、以下の組成物:(a)グリセリン;(b)グリセリン及び水(50:50);並びに(c)水についての付着仕事量を示す。組成物(b)(本明細書に記載される組成物)の付着仕事量(力/時間曲線下面積)は約185g/sであった。
【0163】
粘膜付着-ブタの粘膜
グリセリン、キサンタンガム、及びクエン酸緩衝水溶液を用いて製剤化した上記の組成物の粘膜付着を検証するために、ブタの粘膜でのex vivo試験を行った。
【0164】
ブタの食道の組織を処分直後の動物から採取し、長さ方向に開いた。外側の筋肉層を除去して、内側の上皮管を露出させた。露出した組織を12°の勾配のポリスチレン支持体上に伸ばし広げた。組成物1mLを管の上端(出発点)に塗布し、長さ10cm、20cm、及び30cmを覆う時間(室温で実施)を記録した。各測定を3回反復した。ブタの粘膜組織に付着する範囲及び持続時間を観測し、記録した。
【0165】
図4は、以下の組成物:(a)液体ハチミツ;(b)グリセリン及び水(85:15)中キサンタンガム(1%w/w);(c)グリセリン及び水(50:50)中キサンタンガム(1%w/w);及び(c)水(対照)が、全長30cmを覆うのに要した時間(単位:秒)を示す。組成物C(50:50グリセリン/水)については、全長30cmを覆うのに180秒より長い時間を要した。
【0166】
粘膜付着-ラット
ラットでin vivo染色試験を行い、本明細書に記載される組成物の、ラットの食道に適用された後の時間依存的な停留/付着及び染色強度を評価した。
【0167】
この試験ではウィスターラットを使用し、以下の4群に分割し、試験組成物100μLを投与してから、以下の各時点:5分後、10分後、15分後、及び20分後に各群のラットを処分した。この試験に使用した試験組成物には、以下の成分:50%w/wグリセリン、1%w/wキサンタンガム、0.1%w/wスクラロース;0.1%w/wラズベリー風味剤、及び48.8%w/wのpH5.0のクエン酸緩衝液を含めた。
【0168】
剖検では、組成物は全ての時点で胃に到達していた。したがって、適用したボーラスは食道を通過していた。
【0169】
図5Aは、5分後及び10分後のラットの食道内の組成物の染色及び付着を、試験した各ラットについて示す。
図5Bは、15分後及び20分後のラットの食道内の組成物の染色及び付着を、試験した各ラットについて示す。この結果は、in vivo染色が、20分後にも依然として可視であったことを示す。
【0170】
in vitro付着仕事量試験
粘膜付着性をさらに査定するために、組成物を、個別の場合と、調製したムチン溶液と混合した場合とで分析した。貯蔵弾性率を周波数の範囲にわたって定量化し、単一の値を以下の2つの方程式に代入して「レオロジー相乗作用パラメーター」ΔG’及びΔG’/G’を求めた。
【数1】
ΔG’は、ムチンと混合したサンプルの貯蔵弾性率の実数値と理論値との差であり、理論値は、個別に分析した場合のサンプル及びムチンのG’値の合計と定義される。
【0171】
ΔG’/G’+1は、サンプル及びムチン単独との関係におけるG’の相対的増加を表すため、相対的レオロジー相乗作用を示す。相対的レオロジー相乗作用のパラメーター1は、サンプルがムチンと混合された場合に増加が観測されなかったことを示し、これは、ムチン溶液と一緒では観測可能な相互作用がなかったことを意味することになる。一方、1より大きい値はムチンとの何らかの相互作用を示し;例えば2という値は、ムチンと混合されたサンプルの粘度測定値が予想の2倍であることを意味することになる。1より小さい値は、相互作用がごくわずかであり、その値が1であるかのように取り扱われるべきであるか、又はその値が1より大幅に小さい場合、何らかの負の相互作用が起きていることを示す可能性があることを示す。
【0172】
この試験には、以下の試験組成物を使用した。
組成物1:1%w/wキサンタンガム、50%w/wグリセリン、0.1%スクラロース及び48.9%のpH5のクエン酸緩衝液
組成物2:1%w/wキサンタンガム、70%w/wグリセリン、0.1%スクラロース及び28.9%のpH5のクエン酸緩衝液
組成物3:1%w/wキサンタンガム、40%w/wグリセリン、0.1%スクラロース及び58.9%のpH5のクエン酸緩衝液
【0173】
ムチン溶液は、脱イオン水、及びSigma Aldrichから購入したブタの胃ムチン(III)を使用して作製した。各溶液を濃度10%になるように作製し、0.5M HCl溶液を使用してpHを6.2に調整し、その後、脱イオン水に希釈して最終濃度を6%(w/w)にしてから使用した。
【0174】
調製したムチン溶液3gを等重量の試験組成物と混合し、最終ムチン濃度3%(w/w)を得た。
【0175】
対照サンプルとして、ムチン溶液及び試験組成物を、脱イオン水を使用して、それらの初期濃度50%(w/w)に希釈した。
【0176】
試験は、40mmプレート-プレート測定システムを備えた研究用レオメーター(DHR2、TA Instruments)で、試験ギャップを200μmに設定して行った。溶媒トラップカバーを使用して、露出端でのサンプルの乾燥を最小限にした。
【0177】
試験は、2種の温度:22℃及び37℃で行った。
図6Aは、試験した組成物とムチンとの22℃での相対的レオロジー相乗作用を示す。
図6Bは、試験した組成物とムチンとの37℃での相対的レオロジー相乗作用を示す。
【0178】
これらの結果はまた、組成物の粘膜付着性が、生体関連の20~40℃の温度範囲にわたり、実質的に一定であることも示している。
【0179】
実施例3:浸透試験
例えば、食道、直腸又は結腸の組織を通る、コルチコステロイドの少なくとも部分的浸透が所望され得る実施形態を裏付けるために、浸透試験を行った。
【0180】
ヒト経口上皮を通るin vitro浸透
ヒト経口上皮(HOE)を使用する浸透試験を以下のように行った。
【0181】
組成物100mgをヒト経口上皮(厚さ85μm)に塗布し、浸透性を、室温(通常20℃~25℃)にて、15分、30分、45分、及び1時間の各時点で試験した。
【0182】
査定した組成物は以下のとおりであった。
【0183】
【0184】
エッペンドルフ(Eppendorf)マルチディスペンサーを使用して、12ウェルHOE細胞培養プレートの各ウェルに維持培地1.5mLを充填した。次いで、HOEインサートを各ウェルの中に導入し、プレートを35℃の水浴で2時間プレインキュベートした。プレインキュベート後、プラスチックシリンジに取り付けた1.2×40mmの針を使用して、各組成物約8滴(約100mg)を各インサートの上につけた。各条件を三重反復で試験した。15分後、30分後、及び45分後に、各ウェルについて、ピペットマン(Pipetman)を使用し、維持培地を完全に回収してHPLCアンバーガラスバイアルに入れ、エッペンドルフマルチディスペンサーを使用して新鮮維持培地に置換した。60分時点で、各ウェルについて最終の回収を行い、補充はしなかった。サンプルの分析をHPLCで行った。
【0185】
1時間HOEを通って浸透させた後のブデソニドの累積送達量の結果が下の表に報告されている。
【0186】
【0187】
結果は、ブデソニドがプロピレングリコール中に製剤化される場合には浸透が実現するが、グリセリン(又はハチミツ、又はスクラロースのスラリー)中では浸透が実現しないことを示す。理論に縛られるものではないが、ブデソニドはプロピレングリコール中に溶解し(これに対し、グリセリン中では懸濁化される)、浸透が促進されると考えられる。
【0188】
ブデソニド製剤の、ブタの食道を通るin vitro浸透
ブタの食道を使用する浸透試験を以下のように行った。
【0189】
組成物1000mgをブタの食道(厚さ1000μm)に塗布し、浸透性を、室温(通常20℃~25℃)にて、4時間、5時間、6時間、7時間の各時点で試験した。
【0190】
査定した組成物は以下のとおりであった。
【0191】
【0192】
各製剤を、六重反復(3匹の異なるドナー由来)で試験した。全体で、18個のブタの食道サンプルを使用した。各サンプルの厚さをマイクロメーターで測定した。サンプルを、レセプターコンパートメントが約7.0mL、ドナーコンパートメントが3.0mL、及び拡散面積が1.77cm2の垂直型ガラス製フランツ拡散セルに載せた。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に2%w/vオレス-20、即ちポリオキシエチレン(20)オレイルエーテルをpH7.4で添加して(FGLAG-S-032)、レセプター溶液として使用し、全試験中37℃に維持し、600RPMで撹拌した。試験は、Microette(登録商標)Plusオートサンプラーを使用して行った。皮膚サンプルをレセプター溶液とともに2時間プレインキュベートした後、製剤約1g(565mg/cm2)をプラスチックシリンジで拡散表面に塗布した。閉塞条件下で7時間薬物を拡散させた。レセプター溶液サンプル(1.0mL)を、4時間後、5時間後、6時間後、及び7時間後(1.5mLのレセプターコンパートメントのプライミング後)に自動的に除去した。サンプルを、2mL HPLCアンバーガラスバイアルに回収し、セプタム付きクリンプキャップで予備的に閉めた。次いで、サンプルに10%トリフルオロ酢酸溶液10μLを添加して、エッペンドルフマイクロチューブ内に移し、13500RPM(SIGMA2-16P遠心分離機)で5分間遠心分離した。各上清(0.8mL)を2mL HPLCアンバーガラスバイアルに移した。サンプルの分析をHPLCで行った。
【0193】
結果は、ブデソニドがプロピレングリコール中に製剤化される場合には浸透が実現するが、グリセリン中では浸透が実現しないことを示した。
【0194】
【0195】
結果は、ブデソニドがプロピレングリコール中に製剤化される場合には浸透が実現するが、グリセリン又はハチミツ中では浸透が実現しないことを示す。
【0196】
実施例4:安定性試験
0.05%w/wブデソニド、50又は70%w/wグリセリン、1%w/wキサンタンガム、及び水又はクエン酸緩衝水溶液、並びに任意選択によりスクラロース又はラズベリー風味剤を含むと記載された組成物の安定性を、24カ月にわたり、25℃及び相対湿度60%、並びに40℃及び相対湿度75%で査定する。40℃及び相対湿度75%での1カ月後の結果は、生体付着に変化はなく、分解生成物の形成に対する良好な安定性を示す(及びスクラロース又はラズベリー風味剤の影響はない)。
【0197】
実施例5:追加の安定性試験
0.05%w/wブデソニド、50%w/wグリセリン、1%w/wキサンタンガム、0.05%スクラロース及びクエン酸緩衝水溶液を含む、本明細書に記載される組成物の安定性を、6カ月にわたり、25℃及び相対湿度60%、30℃及び相対湿度75%、並びに40℃及び相対湿度75%で評価した。試験した組成物を、複数回用量計量エアレスディスペンサーに保管した。
【0198】
0カ月、3カ月、及び6カ月の各時点で評価した種々のパラメーターの結果が下の表に報告されている。その結果は、組成物が安定していたことを示す。粘度のわずかな下降(<6%)が、40℃及び相対湿度75%で、3カ月後及び6カ月後に認められたが、粘度は他の全ての性質と同様に、目標範囲内に留まっていた。
【0199】
【0200】
下の表は、有効期間を短くする大きな一因であることが判明している2種の不純物(RRT:0.66及びRRT:0.69)のプロファイル、並びに示された温度及び相対湿度で保管した後の不純物の総量を示す。質量分析により、これらの2種の主な不純物は構造が極めて類似していること、例えば、これらはエピマー、ジアステレオ異性体又は緊密に関連する構造を有する構造異性体であることが示唆されている。これらの不純物の非荷電状態での分子式はC25H34O7であり、これはブデソニドの親分子に対して1個の追加の酸素原子を有する分子に相当する。下に示すように、評価した不純物の各々について、不純物の量は、40℃及び相対湿度75%で6カ月保管した後に、規格内である。
【0201】
【0202】
さらに、保管前の組成物に対して微生物学的試験を行った。総好気性菌数(≦102CFU/g)、酵母及びカビの量(≦101CFU/g)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の量(非存在)、及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の量(非存在)は、それぞれ、括弧内に記載の規格内であった。
【0203】
上記の試験結果の外挿によれば、組成物は、25℃及び相対湿度60%で24カ月の最短有効期間を有する。
【0204】
まとめると、これらの試験の結果により、本明細書に記載される組成物は良好な粘膜付着性、安定性及び浸透性を示すことが示されている。
次に、本発明のまた別の好ましい態様を示す。
1. コルチコステロイドの粘膜付着性医薬組成物であって、
前記組成物は、粘膜付着性システム中にコルチコステロイドを含み、前記粘膜付着性システムは、前記コルチコステロイド用のビヒクル、レオロジー変性剤、及び任意選択により酸性緩衝水溶液を含み、
前記組成物は、本明細書の実施例2に記載しているin vitroテクスチャー分析によって査定した場合、150~350g/sの付着仕事量を示し、及び/又は
前記組成物は、食道又は直腸の粘膜組織に、投与後少なくとも0.5分間付着する、
コルチコステロイドの粘膜付着性医薬組成物。
2. 前記コルチコステロイドが、ブデソニド、フルチカゾン、及びシクレソニドから選択される1つ又は複数である、上記1に記載の組成物。
3. 前記コルチコステロイドがブデソニドである、上記1に記載の組成物。
4. 前記コルチコステロイドがフルチカゾンである、上記1に記載の組成物。
5. 前記コルチコステロイドがシクレソニドである、上記1に記載の組成物。
6. 前記コルチコステロイドが前記組成物の0.01~1%w/wの量で存在する、上記1~5のいずれか一項に記載の組成物。
7. 前記コルチコステロイドが、ブデソニドであり、前記組成物の約0.025%w/wの量で存在する、上記1に記載の組成物。
8. 前記コルチコステロイドが、ブデソニドであり、前記組成物の約0.05%w/wの量で存在する、上記1に記載の組成物。
9. 前記ビヒクルが、グリセリンであるか、又はグリセリンを含む、上記1~8のいずれか一項に記載の組成物。
10. 前記グリセリンが前記組成物の40~70%w/wの量で存在する、上記9に記載の組成物。
11. 前記グリセリンが前記組成物の約50%w/wの量で存在する、上記9に記載の組成物。
12. 前記ビヒクルがプロピレングリコールをさらに含む、上記9~11のいずれか一項に記載の組成物。
13. 前記プロピレングリコールが前記組成物の0.5~20%w/wの量で存在する、上記12に記載の組成物。
14. 前記プロピレングリコールが前記組成物の約20%w/wの量で存在する、上記12に記載の組成物。
15. 前記レオロジー変性剤が、キサンタンガムであるか、又はキサンタンガムを含む、上記1~14のいずれか一項に記載の組成物。
16. 前記キサンタンガムが前記組成物の0.25~1.5%w/wの量で存在する、上記15に記載の組成物。
17. 前記キサンタンガムが前記組成物の1%w/wの量で存在する、上記15に記載の組成物。
18. 前記酸性緩衝水溶液が、pH4.5~5.5の、クエン酸緩衝液及び酢酸緩衝液から選択される、上記1~17のいずれか一項に記載の組成物。
19. 前記酸性緩衝水溶液がpH5.0±0.1のクエン酸緩衝液である、上記18に記載の組成物。
20. 1種又は複数種の薬学的に許容される添加剤をさらに含む、上記1~19のいずれか一項に記載の組成物。
21. 甘味剤をさらに含む、上記1~20のいずれか一項に記載の組成物。
22. 前記甘味剤が、スクラロースであるか、又はスクラロースを含む、上記21に記載の組成物。
23. スクラロースが前記組成物の0.001%~0.5%の量で存在する、上記22に記載の組成物。
24. スクラロースが前記組成物の0.01%~0.05%w/wの量で存在する、上記22に記載の組成物。
25. スクラロースが前記組成物の約0.005%、0.01%、0.05%、又は0.1%w/wの量で存在する、上記22に記載の組成物。
26. 前記組成物が、20~40℃の温度範囲にわたって実質的に類似の粘度性及び/又は粘膜付着性を示す、上記1~25のいずれか一項に記載の組成物。
27. 前記組成物が室温で流動性である、上記1~26のいずれか一項に記載の組成物。
28. 前記組成物が室温で約3000~9000cpsの粘度を有する、上記1~27のいずれか一項に記載の組成物。
29. コルチコステロイドの粘膜付着性医薬組成物であって、
(a)ブデソニドを前記組成物の0.02~0.06%w/wの量で、
(b)グリセリンを前記組成物の40~70%w/wの量で、
(c)キサンタンガムを前記組成物の0.25~1.5%w/wの量で、及び
(d)pH5.0±0.1のクエン酸緩衝水溶液を
含む、コルチコステロイドの粘膜付着性医薬組成物。
30. スクラロースを前記組成物の0.05~0.5%w/wの量でさらに含む、上記29に記載の組成物。
31. プロピレングリコールを前記組成物の20%w/wまでの量でさらに含む、上記29又は30に記載の組成物。
32. (a)ブデソニドを前記組成物の約0.05%w/wの量で、
(b)グリセリンを前記組成物の約50%w/wの量で、及び
(c)キサンタンガムを前記組成物の約1%w/wの量で
含む、上記29~31のいずれか一項に記載の組成物。
33. スクラロースを前記組成物の約0.05%w/wの量で含む、上記32に記載の組成物。
34. 香味剤をさらに含む、上記1~33のいずれか一項に記載の組成物。
35. 前記組成物が懸濁液である、上記1~34のいずれか一項に記載の組成物。
36. 前記組成物が溶液である、上記1~34のいずれか一項に記載の組成物。
37. 保存剤をさらに含む、上記1~36のいずれか一項に記載の組成物。
38. 前記保存剤が前記組成物の約0.01%~約1.0%w/wの量で存在する、上記37に記載の組成物。
39. 抗酸化剤をさらに含む、上記1~38のいずれか一項に記載の組成物。
40. 前記抗酸化剤が前記組成物の約0.01%~約1.0%w/wの量で存在する、上記39に記載の組成物。
41. 前記保存剤又は前記抗酸化剤が、アスコルビン酸、EDTA、エデト酸ナトリウム、及び亜硫酸塩から選択される1つ若しくは複数であるか、又はアスコルビン酸、EDTA、エデト酸ナトリウム、及び亜硫酸塩から選択される1つ若しくは複数を含む、上記37~40のいずれか一項に記載の組成物。
42. 前記組成物が保存剤を実質的に含まない、上記1~36のいずれか一項に記載の組成物。
43. 前記組成物が150~350g/sの付着仕事量を示す、上記1~42のいずれか一項に記載の組成物。
44. 経口投与用に製剤化されている、上記1~43のいずれか一項に記載の組成物。
45. 1~10mLの前記組成物を含有する単位用量包装で提供される、上記44に記載の組成物。
46. 2~5mLの前記組成物を含有する単位用量包装で提供される、上記44に記載の組成物。
47. 経直腸投与用に製剤化されている、上記1~43のいずれか一項に記載の組成物。
48. 食道の炎症状態の処置に使用するための、上記44~46のいずれか一項に記載の組成物。
49. 好酸球性食道炎の処置に使用するための、上記44~46のいずれか一項に記載の組成物。
50. 炎症性腸疾患の処置に使用するための、上記44~47のいずれか一項に記載の組成物。
51. 食道の炎症状態を処置する方法であって、それを必要とする対象に、上記44~46のいずれか一項に記載の組成物を経口投与するステップを含む方法。
52. 好酸球性食道炎を処置する方法であって、それを必要とする対象に、上記44~46のいずれか一項に記載の組成物を経口投与するステップを含む方法。
53. 炎症性腸疾患を処置する方法であって、それを必要とする対象に、上記44~46のいずれか一項に記載の組成物を経口投与するステップを含む方法。
54. 炎症性腸疾患を処置する方法であって、それを必要とする対象に、上記47に記載の組成物を経直腸投与するステップを含む方法。
55. 前記コルチコステロイドが1日当たり1mg~2mgの用量で投与される、上記48~54のいずれか一項に記載の組成物又は方法。
56. 上記1~47のいずれか一項に記載の組成物を含む、食道の炎症状態又は炎症性腸疾患を処置するための薬剤の製造におけるコルチコステロイドの使用。
57. 上記1~50のいずれか一項に記載のコルチコステロイドの粘膜付着性医薬組成物を調製する方法であって、前記コルチコステロイド、ビヒクル、レオロジー変性剤、及び任意選択により酸性緩衝水溶液を含む溶液又は懸濁液を調製するステップを含む、方法。