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特許7479377大脳皮質の領域の高密度電気刺激によって哺乳動物の感覚モダリティを代行するための神経補綴システムおよび方法
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  • 特許-大脳皮質の領域の高密度電気刺激によって哺乳動物の感覚モダリティを代行するための神経補綴システムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】大脳皮質の領域の高密度電気刺激によって哺乳動物の感覚モダリティを代行するための神経補綴システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20240426BHJP
   A61F 9/08 20060101ALI20240426BHJP
   A61N 1/05 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A61F9/007 190C
A61F9/08
A61N1/05
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021536158
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019072997
(87)【国際公開番号】W WO2020043790
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】18192027.3
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18197958.4
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521084909
【氏名又は名称】ネーデルランド ヘルセンインスティテュートゥ
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】ルールフセマ、ピーター アール.
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シン
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1961850(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0091421(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0222103(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0104487(US,A1)
【文献】国際公開第2016/126340(WO,A2)
【文献】米国特許第05361760(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0079770(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1973918(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
A61F 9/08
A61N 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
代行される神経モダリティに対応する哺乳動物の大脳皮質の領域の電気刺激により前記哺乳動物の感覚モダリティを代行するための神経補綴システムであって、前記システムが、
代行される前記神経モダリティを感知することによって感知されたデータフィードを生成するように構成された、前記哺乳動物による使用のための少なくとも1つのセンサと、
前記感覚モダリティの機能的填補を提供するように構成された、前記哺乳動物の前記大脳皮質のそのような領域を高密度に占有するような皮質内植え込みのために構成された可撓性を有する細長い電極シャフトの複数の三次元アレイから構成された電極ユニットであって、各シャフトが、前記大脳皮質の前記領域における位置のサブセットの電気刺激のための複数の電気接点を備える、電極ユニットと、
皮質内植え込み中に前記可撓性電極シャフトに固定され前記可撓性電極シャフトのアレイを前記哺乳動物の前記大脳皮質の前記領域内に同時に案内するように、かつ前記可撓性電極シャフトのアレイの植え込み後に前記可撓性電極シャフトから分離され自身を後退させるように構成された硬質な電極支持構造体と、
前記大脳皮質の前記領域において位置の前記サブセットを刺激するために前記電極ユニットを電気的に駆動するように構成された駆動ユニットと、
前記大脳皮質の前記領域において前記電極ユニットを介して神経記録を取得するように構成された記録ユニットと、
前記感覚モダリティを代行するために、前記大脳皮質の前記領域における位置の前記サブセットに対応する前記電極ユニットの電気接点群を電気的に駆動するための刺激パターンを提供するために前記感知されたデータフィードを解析するように構成された処理ユニットと
を備える、神経補綴システム。
【請求項2】
前記哺乳動物の前記大脳皮質の視覚領において視覚を代行するように構成され、前記少なくとも1つのセンサが、画像を取り込み、取り込んだ画像のデータフィードを生成するように構成された少なくとも1つのポータブルイメージングユニットを備え、前記駆動ユニットが、前記大脳皮質の前記視覚領にある位置において眼内閃光を誘発するように構成され、前記処理ユニットが、前記取り込んだ画像のデータフィードの画像のセマンティックセグメンテーションを通じて取得された眼内閃光パターンから構成される前記視覚を代行するための眼内閃光を誘発するために、前記大脳皮質の前記視覚領における眼内閃光位置の前記サブセットに対応する前記電極ユニットの電気接点群を刺激するための前記刺激パターンを提供するように構成される、請求項1に記載の神経補綴システム。
【請求項3】
前記駆動ユニットの1つまたは複数の刺激信号を前記大脳皮質の前記領域内に配置された前記電気接点の前記サブセットに導いて、前記感覚モダリティの前記機能的填補を提供するためのスイッチングデバイスを備える、請求項1または2に記載の神経補綴システム。
【請求項4】
前記複数の三次元アレイのそれぞれがベースプレートから構成され、前記可撓性電極シャフトが前記ベースプレートの1つの表面から延び、前記電気接点が、前記細長い電極シャフトの長さ方向に配置され、各電気接点が、前記ベースプレートによって支持された電気リード線に接続される、請求項1から3のいずれか一項に記載の神経補綴システム。
【請求項5】
前記ベースプレートが、実質的に四角形の形状を有し、側面寸法が4~30mmの範囲にあり、厚さが10~200μmの範囲にあり、前記可撓性電極シャフトが、リボン形状であり、長さが0.5~40mmの範囲にあり、幅が5~100μmの範囲にあり、厚さが1~30μmの範囲にあり、前記電気接点が、最大相互間隔800μm、相互間隔40μmで前記電極シャフトの長さ方向に配置され、前記電極シャフトが、0.1~2mmの範囲にある相互間隔で前記ベースプレートから延びる、請求項4に記載の神経補綴システム。
【請求項6】
前記電極支持構造体が、前記大脳皮質の選択された前記領域における皮質内挿入のために前記可撓性電極シャフトを案内するための複数の相互に結合された細長い硬質なインサートシャフトを備え、前記ベースプレートが、前記複数のインサートシャフトを受け入れる貫通孔の二次元アレイを備え、前記硬質なインサートシャフトが、前記電極シャフトと少なくとも略同一の幅を有する長方形の断面を有し、厚さが10~50μmの範囲にある、または直径が1~50μmの円形の断面を有し、前記インサートシャフトが0.1~2mmの範囲にある相互間隔で配置され、各前記可撓性電極シャフトが、脳脊髄液溶解性接着剤によって、または前記インサートシャフトの先端によって貫通される前記可撓性電極の上部にある孔によってそれぞれの前記インサートシャフトに固定され、前記インサートシャフトおよび前記可撓性電極シャフトの少なくとも一方が先細の自由端を備える、請求項4または5に記載の神経補綴システム。
【請求項7】
前記可撓性電極シャフトがポリイミドまたはSU-8などの組織-生体適合性材料から構成され、前記電気接点が酸化イリジウム、微細構造白金、または窒化チタンから構成され、前記ベースプレートがケイ素シート材料から構成され、電線が金またはケイ素などの生体適合性導電性材料から構成され、前記インサートシャフトがタングステンまたはケイ素から構成され、前記溶解性接着剤がポリエチレングリコールから構成され、前記インサートシャフトおよび前記可撓性電極シャフトの少なくとも一方が先細の自由端を備える、請求項6に記載の神経補綴システム。
【請求項8】
前記処理ユニットが、感覚皮質の機能マップを推定するために、前記電極からの神経信号と前記感覚皮質領域における位置との間の相関関係を決定するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の神経補綴システム。
【請求項9】
前記処理ユニットが、無線データ通信のために構成された送受信機を備え、前記システムが、前記処理ユニットとの無線データ通信のために構成された信号トランスデューサ装置を備え、前記信号トランスデューサ装置が、較正モードおよび動作モードにおいて前記電気接点を駆動および記録するための前記記録ユニットおよび前記駆動ユニットを制御するように構成され、前記電気接点が、前記動作モードにおいて信号刺激のために制御され、前記較正モードにおいて信号刺激および信号受信のために制御され、前記信号トランスデューサ装置が、皮質領域における信号刺激と、前記感覚モダリティを代行するために前記大脳皮質の前記領域における潜在的位置を決定するための1つまたは複数の他の皮質領域における信号受信と、のために前記電気接点を駆動するために前記較正モードにおいて前記駆動ユニットを制御するように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の神経補綴システム。
【請求項10】
前記信号トランスデューサ装置が、前記神経モダリティを代行するための前記大脳皮質の前記領域における刺激信号および潜在的な位置の少なくとも一方の再較正のために、所定の一定の時間間隔で信号刺激および信号受信の一方において前記電気接点を駆動するために、前記較正モードにおいて前記駆動ユニットを制御するように構成される、請求項9に記載の神経補綴システム。
【請求項11】
前記信号トランスデューサ装置が、前記動作モード中に、感覚基本要素に従った前記神経モダリティを代行するために、前記大脳皮質の前記領域における位置の前記サブセットに対応する複数の電気接点に同時に通電するように設計された電気シミュレーション回路を備える、請求項10に記載の神経補綴システム。
【請求項12】
前記複数の電気接点のそれぞれが、電気リード線によって前記トランスデューサ装置の複数のマルチプレクサに接続する、請求項9から11のいずれか一項に記載の神経補綴システム。
【請求項13】
前記可撓性電極シャフトの前記複数のアレイのそれぞれが、前記駆動ユニットにより前記電気接点を電気的に駆動するために、前記アレイの前記複数の電気接点に接続された少なくとも1つのマルチプレクサと、1つまたは複数のマルチプレクサリード線とを備える、請求項9から12のいずれか一項に記載の神経補綴システム。
【請求項14】
前記処理ユニットが、畳み込みニューラルネットワークに基づいて前記刺激パターンを提供するために前記感知されたデータフィードを解析するように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の神経補綴システム。
【請求項15】
前記神経モダリティの前記代行を増強するための知覚情報を感知するように構成された少なくとも1つのさらなるセンサを備え、前記少なくとも1つのさらなるセンサが視標追跡センサを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の神経補綴システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体医工学の分野に関し、詳細には、例えば部分的または完全に失明している人間の機能的視覚を回復するために、皮質内電極の電気刺激によって、哺乳動物の失われたまたは障害となっている感覚機能を代行または誘導するための神経補綴システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
神経補綴(neuroprosthetics)または神経プロテーゼ(neural prosthetics)は、神経プロテーゼの開発に携わる神経科学および生体医工学に関連する技術分野である。神経感覚プロテーゼは、その最も一般的な形態では、哺乳動物の大脳皮質のそれぞれの領域における神経刺激によって、怪我や病気の結果として損傷した可能性のある視覚、聴覚、触覚、または嗅覚などの感覚機能を代行または誘導するように設計されたデバイスまたはシステムである。
【0003】
例えば、視覚機能の感覚回復の分野では、視覚系における損傷は一般に2つのグループ、すなわち、網膜の神経節細胞層までかつ神経節細胞層を含む視覚処理経路に損傷がある第1のグループと、この処理段階の後に、網膜と視覚皮質との間の情報の流れを損なう損傷がある第2のグループとに分類できる。
【0004】
第1のグループの患者については、網膜に植え込むための人工網膜の形態での解決策に向けて大きな進歩が見られ、眼と脳とをつなぐ網膜神経節細胞が残されている哺乳動物に低視力を提供している。人工網膜は、神経節細胞および/または視神経に広範囲の損傷がある人々には使用できない。
【0005】
網膜で視力を回復できない大規模な患者群、すなわち上記の第2のグループについては、視覚皮質の外面に適用するための表面刺激電極から構成されるプロテーゼ、および視覚皮質における眼内閃光位置のまばらなサブセットの作動のための皮質内電極を備えるプロテーゼが開発されている。
【0006】
米国特許出願公開第2010/0094382号明細書は、視覚情報を眼から大脳皮質に中継する視床の一部である、哺乳動物の視床の外側膝状核に電気信号を送るよう動作する視覚補綴システムを開示している。このシステムは、硬質な電極のアレイと、電極に動作可能に接続された視覚情報変換器と、電極のアレイに動作可能に接続された視覚センサとを備える。視覚変換器は、視覚情報を認識するために被験者の脳活動を刺激するよう、電極を介した電気信号により外側膝状核を刺激するために、視覚センサによって提供される視覚情報を変換するよう構成される。
【0007】
国際公開第2008/109298号パンフレットは、細長いキャリヤに沿って円周方向および軸方向の両方に配置された複数の電極部位または電気接点を有する、脳深部刺激用の電極アレイを開示している。キャリヤの直径は1mmの範囲にある。電極アレイを植え込むために、哺乳動物の頭蓋骨に取り付けられる植え込みチャンバが設けられ、植え込みチャンバから、脳に植え込むための電極アレイを案内するために限られた数の案内管が延びる。
【0008】
哺乳動物の皮質内刺激のための現在の神経プロテーゼは、比較的少数の植え込み型電極によって、哺乳動物の脳内の比較的まばらな一式の神経位置の刺激しかできない。したがって、失われたまたは障害となっている感覚機能は、機能を大幅に強化して人間の独立性および生活の質を改善するように失われた機能を人間が取り戻すには実際には不十分な、極めて未発達な方式でしか代行または誘導することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許出願公開第2010/0094382号明細書
【文献】国際公開第2008/109298号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、哺乳動物の大脳皮質のそれぞれの領域の電気刺激によって哺乳動物の感覚モダリティを代行するための改良された神経補綴システムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記および他の目的は、本開示の第1の態様では、代行される神経モダリティに対応する哺乳動物の大脳皮質の領域を電気刺激することにより、上記哺乳動物の上記感覚モダリティを代行するための神経補綴システムによって実現され、上記システムが、
代行される神経モダリティを感知することによって感知されたデータフィードを生成するように構成された、上記哺乳動物による使用のための少なくとも1つのセンサと、
感覚モダリティの機能的填補を提供するように構成された、上記哺乳動物の大脳皮質のそのような領域を高密度に占有するよう皮質内植え込みのために構成された可撓性を有する細長い電極シャフトの複数の三次元アレイから構成された電極ユニットであって、各シャフトが、大脳皮質の上記領域における位置のサブセットの電気刺激のための複数の電気接点を備える、電極ユニットと、
皮質内植え込み中に上記可撓性電極シャフトのアレイを上記哺乳動物の大脳皮質の上記領域内に同時に案内するように、かつ可撓性電極シャフトのアレイの植え込み後に自身を後退させるように構成された硬質な電極支持構造体と、
大脳皮質の上記領域において上記位置のサブセットを刺激するために上記電極ユニットを電気的に駆動するように構成された駆動ユニットと、
大脳皮質の上記領域において上記電極ユニットを介して神経記録を取得するように構成された記録ユニットと、
上記感覚モダリティを代行するために、大脳皮質の上記領域における位置のサブセットに対応する上記電極ユニットの電気接点群を電気的に駆動するための刺激パターンを提供するために上記感知されたデータフィードを解析するように構成された処理ユニットと
を備える。
【0012】
本開示は、障害となっている神経モダリティの機能的代行が、感覚モダリティの機能的填補を提供する大脳皮質のそれぞれの領域における高密度な位置の電気刺激を必要とするという洞察に基づいている。
【0013】
大脳皮質の一部の領域は複雑な形状を有する。例えば、視覚領V1は、折り畳まれた構造を有する。本開示は、電極の高次元化により、これらの領域の高密度な填補が実現され得るという洞察に基づいている。実際には一部の電極は、この関心領域、例えば視覚領V1の外にあることがあるが、依然として多数の電極が、感覚モダリティを機能的な方法で代行し得るに十分な高密度でこの領域を覆っている。
【0014】
機能的な方法という用語は、少なくとも、患者が自身の独立性および生活の質を改善するのに十分なレベルまでの感覚モダリティの回復を指す。これは必ずしも感覚モダリティの完全な回復を必要としないが、少なくとも、概念実証のみが実現される基本機能を超えたそのような回復を必要とする。
【0015】
このことは、本開示により、シミュレーション方式で(すなわち、1つのアレイのすべての電極シャフトが、1つずつではなく一緒に変位する単一のステップで)アレイのすべての可撓性電極シャフトを哺乳動物の大脳皮質のターゲット領域に挿入するように、かつ可撓性電極シャフトの植え込み後に支持構造体を後退させるように構成された、可撓性電極シャフトの複数の三次元アレイと硬質な電極支持構造体とを提供することにより実現される。
【0016】
このようにして、皮質内の位置を均一に刺激するための高密度な一式の極めて薄い可撓性電極シャフトを、特に大脳皮質の溝など、本来アクセスが困難な皮質領域に適用することができる。このようにして、これらの領域は、患者または哺乳動物の大脳皮質の上記領域に電極が非常に高密度に配置されているため、感覚モダリティの機能的填補が実現される。
【0017】
皮質の高密度刺激により、失われた神経モダリティの機能的代行がもたらされる、つまり、機能的填補を提供する意味のある方法で、例えば視覚を回復する。
【0018】
三次元アレイという用語は、刺激および/または刺激の受容のための電気接点が三次元の体積または領域を占めるという事実を指す。
【0019】
機能的感覚基本要素という用語は、失われている感覚モダリティの基本的な代行を哺乳動物に提供することができる基本的な神経刺激を指す。
【0020】
本開示の特定の実施形態では、視力を回復するために、神経補綴システムは、上記哺乳動物の上記大脳皮質の視覚領における視覚を代行するように構成され、上記少なくとも1つのセンサが、画像を取り込み、取り込んだ画像のデータフィードを生成するように構成された少なくとも1つのポータブルイメージングユニットを備え、上記駆動ユニットが、大脳皮質の上記視覚領にある位置において眼内閃光を誘発するように構成され、上記処理ユニットが、上記取り込んだ画像のデータフィードの画像のセマンティックセグメンテーションを通じて取得された眼内閃光パターンから構成される上記視覚を代行するための眼内閃光を誘発するために、大脳皮質の上記視覚領における眼内閃光位置のサブセットに対応する上記電極ユニットの電気接点群を刺激するための上記刺激パターンを提供するように構成される。
【0021】
画像のセマンティックセグメンテーションは、視覚皮質のパターン化された刺激を提供し、適切な眼内閃光を活性化し、それにより画像分類、物体検出、およびアクション認識などの様々な視覚認識問題を解決するために、例えば畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を適用するセマンティックセグメンテーションを含み得る。
【0022】
セマンティックセグメンテーションという用語は、画像の各ピクセルに、物体や人物などを指し得るクラスが割り当てられる画像を処理するタスクを指す。セマンティックセグメンテーションにより、すべてのピクセルが、囲んでいる物体、領域、またはエリアのクラスでラベル付けまたは分類されるように、粗い画像情報が細かい推論に変換される。セマンティックセグメンテーションの入力は生の画像データである可能性があるが、出力は、基本的およびより複雑な形状、線分、曲線線分などをユーザが識別および特定できる領域または構造に変換され得る。
【0023】
セマンティックセグメンテーションは、特に、上記感知されたデータフィードにおける画像の変換を指し得るが、非視覚的感覚には他のセグメンテーションまたは分類プロセスが適用可能であり得る。例えば、聴覚代行の場合、より複雑な音の関連する音の特徴が患者に提供される同様の変換プロセスが適用され得る。
【0024】
イメージングシステムは、可視スペクトルおよび/または赤外線IRスペクトルで動作し、メガネなどに取り付けられる1つもしくは複数のデジタルカメラ、光検出器、または光センサのいずれかを含み得る。
【0025】
例えば聴覚代行では、感覚基本要素は、例えば音声を代行するための電話周波数帯域などの特定の周波数帯域ならびに言語に特徴的な言葉の音を形成する母音および子音に制限されるか否かに関わらず、一式の基本的な音または周波数から構成され得ることに留意されたい。データフィードを生成する1つまたは複数のセンサは、音声を代行する場合の音声感知式マイクロフォンなどの1つまたは複数の音声センサから構成され得る。
【0026】
感覚受容器は、皮膚、上皮組織、筋肉、腱、および関節など身体のいたるところに見られる。触覚回復の場合の感覚基本要素としては、体性感覚、すなわち、触覚(sense of touch)、固有受容感覚(位置および動きの感覚)、および触運動知覚(haptic perception)が挙げられる。脳内の体表面のマッピングは体部位再現と呼ばれる。皮質では、それは皮質ホムンクルスとも呼ばれる。例えば触覚の回復のために圧力センサが適用され得る。
【0027】
本開示の一実施形態では、本システムは、上記駆動ユニットの1つまたは複数の刺激信号を大脳皮質の上記領域内に配置された電気接点のサブセットに導いて、感覚モダリティの上記機能的填補を提供する、スイッチングデバイスを備える。
【0028】
スイッチングデバイスによって、システムは、複数(群)の電極シャフトまたはその特定の電気接点を単一の信号発生器に接続することが可能になる。そのため、各電気接点に1つの信号発生器を備える必要はなく、かつかなり少ない数しか必要ではなく、この数は、駆動ユニットが生成するのに必要な異なる刺激信号の数に対応することが好ましい。
【0029】
本開示の一実施形態では、可撓性電極シャフトの複数の三次元アレイのそれぞれがベースプレートから構成され、可撓性電極シャフトがベースプレートの1つの表面から延び、電気接点が、細長い電極シャフトの長さ方向に配置され、各電気接点が、ベースプレートによって支持された電気リード線に接続される。
【0030】
ベースプレートは、電極の電気接点のそれぞれへの電気配線に必要な支持を提供する。電極がベースプレートに取り付けられるため、電気リード線は、半導体工学において利用可能な印刷またはエッチング技法などを使用して設けられ得る。
【0031】
実際の実施形態では、特に人間で使用するために、ベースプレートは、実質的に四角形の形状を有し、側面寸法が4~30mm、より好ましくは8~12mmの範囲にあり、厚さが10~200μmの範囲にあり、可撓性電極シャフトは、リボン形状であり、長さが0.5~40mm、より好ましくは4~40mmの範囲にあり、幅が5~100μm、より好ましくは10~100μmの範囲にあり、厚さが1~30μm、より好ましくは1~15μmの範囲にあり、電気接点が、最大相互間隔800μm、特に相互間隔40μmで電極シャフトの長さ方向に配置され、電極シャフトが、0.1~2mm、より好ましくは0.4~1mmの範囲にある相互間隔でベースプレートから延びる。
【0032】
上に開示された寸法を有する電極は、視野表現の大部分を含む鳥距溝の隣に挿入されるのに十分な長さを有する。研究によれば、これらの電極が個々のニューロンの活動を確実に検出することが示されている。重要なことに、電極はニューロンの劣化やグリア性瘢痕形成を引き起こさないようである。
【0033】
本開示による神経補綴システムの一実施形態では、電極支持構造体は、大脳皮質の上記選択された領域における皮質内挿入のために上記可撓性電極シャフトを案内するための、複数の相互に結合された細長い硬質なインサートシャフト(シャンクとしても知られる)を備え、上記ベースプレートが、上記複数のインサートシャフトを受け入れる貫通孔の二次元アレイを備える。
【0034】
シャフトまたはシャンクの剛性は、アレイのすべての電極を、例えば手の力によって一度に配置できるように、またシャフトまたはシャンクが、挿入中に、例えば血管などがもたらす抵抗を受けたときに撓むことができるように決められる。この場合、電極支持構造体のシャフトまたはシャンクは、血管への挿入を回避する軌道に従うべきである。
【0035】
シャフトおよび電極の挿入をさらに強化するために、本開示の別の実施形態では、シャフトおよび電極の撓み特性が、インサートシャフトおよび可撓性電極シャフトの少なくとも一方が先細の自由端を備えるという点でさらに改善される。
【0036】
実際の実施形態では、人間の脳で使用するために特に寸法決めされた電極アレイで使用するために、電極支持構造体の硬質な支持シャフトはリボン形状であり、長さが0.5~40mm、より好ましくは4~40mmの範囲にあり、断面が長方形であり、幅が、電極シャフトと少なくとも略同一であり、厚さが10~50μmの範囲にある、または断面が、直径が1~50μm、より好ましくは10~50μmの範囲にある円形であることが好ましく、支持シャフトが、0.1~2mm、より好ましくは0.4~1mmの範囲にある相互間隔で構成される。
【0037】
上記の寸法の電極アレイでは、アレイあたり約2,500~50,000個の電気接点が設けられ得る。
【0038】
一実施形態では、可撓性電極シャフトは、脳脊髄液溶解性接着剤によってそれぞれのインサートシャフトに固定されてもよい。すなわち、電極の挿入後、電極支持体の安全な後退のために接着剤は迅速に溶解しなければならない。あるいは、インサートシャフトを可撓性電極シャフトの孔に挿入することによってそれぞれのインサートシャフトに固定されてもよい。
【0039】
本開示による神経補綴システムの一実施形態では、上記可撓性電極シャフトがポリイミドまたはSU-8などの組織-生体適合性材料から構成され、脳との上記電気接点が酸化イリジウム、微細構造白金、または窒化チタンから構成され、上記ベースプレートがケイ素シート材料から構成され、上記電線が金またはケイ素などの導電性材料から構成され、上記インサートシャフトがタングステンまたはケイ素から構成され、上記溶解性接着剤がポリエチレングリコールから構成される。
【0040】
ポリエチレングリコールは、例えば、脳脊髄液と接触してから10~15秒後に溶解する。このようにして、複数の電極アレイ、例えば5~20のアレイを比較的迅速に植え込むことができ、それにより、患者および外科医の負担を大幅に軽減する。
【0041】
本開示のさらなる実施形態における神経補綴システムにおけるデータ転送は以下のようになされる。すなわち、処理ユニットは、無線データ通信のために構成された送受信機を備え、本システムは、処理ユニットとの無線データ通信のために構成された信号トランスデューサ装置を備える。信号トランスデューサ装置は、較正モードおよび動作モードにおいて電気接点を駆動するための駆動ユニットを制御するように構成され、信号トランスデューサ装置は、較正モードにおいて、信号刺激および記録ユニットによる信号受信の一方のために電気接点を駆動するように駆動ユニットを制御する。
【0042】
動作モードおよび較正モードにおける駆動ユニットの動作は、大量の電気接点、例えば、大脳皮質の領域に5~20個のアレイを植え込む場合の20,000~500,000個の電気接点に起因して、適切な刺激強度を決定するための較正モードは、例えば患者が眠る夜間など、動作モードとは別に実行され得るという点で有利である。
【0043】
この目的のために、本開示による神経補綴システムの別の実施形態では、信号トランスデューサ装置は、神経モダリティを代行するための大脳皮質の領域における刺激の強度を決定するために、一次皮質領域および/またはより高次の皮質領域における信号刺激、ならびに一次皮質領域および/またはより高次の皮質領域における信号受信のために電気接点を駆動するために、較正モードで駆動ユニットを制御するように構成される。
【0044】
このようにして、電極ユニットは、電流および電圧の振幅または強度、パルス形状、周波数、ならびに他の刺激パラメータを決定するために、また失われている神経モダリティの代行に寄与する電極ユニットの電気接点を決定するために好都合に較正され得る。このようにして、植え込まれた電極の故障または障害を検出することができ、そのような電極または電気接点を駆動ユニットによる電力供給から除外することができる。
【0045】
例えば刺激が眼内閃光を誘発する視覚皮質領域にある位置のパターン化された刺激、および別の皮質領域の対応する活動の監視により、哺乳動物が皮質視覚領域に印加される電気刺激を知覚できるか否かを予測できる。このとき、哺乳動物のさらなる能動的な相互作用なしでなされる。
【0046】
例えば、電極からの神経信号間の相関関係を抽出し、相関構造を使用して感覚皮質の機能マップを推定するための感覚皮質領域における位置からの信号受信により、哺乳動物が皮質視覚領域に印加される電気刺激を知覚できる位置を予測することができる。
【0047】
本開示の別の実施形態による、所定の一定の時間間隔で信号刺激および信号受信の一方において電気接点を駆動するために、較正モードにおいて駆動ユニットを制御するための信号トランスデューサ装置を動作させることは、上記神経モダリティを代行するための大脳皮質の上記領域における刺激信号および潜在的な位置の少なくとも一方の再較正を提供する。
【0048】
時間の経過とともに、それぞれの知覚可能な神経刺激を誘発するために、特定の刺激の強度を適応させる必要がある。すなわち、増加または延長する必要があることが判明している。これは、とりわけ、グリア増殖症、電気接点または絶縁の劣化に起因する。最も深刻なケースでは、皮質の特定の位置を刺激しても、いかなる神経作用もそれ以上誘発されなくなる場合がある。その場合、本開示による電極ユニットで利用可能な刺激位置が膨大な数であるため、それぞれの神経モダリティを代行するための大脳皮質の領域における位置の新しいサブセットを利用することができる。
【0049】
トランスデューサおよびドライバ装置の寸法を縮小するために、さらなる実施形態では、信号トランスデューサ装置は、動作モード中に、感覚基本要素に従って神経モダリティを代行するために、減らされているが機能する数の位置に対応する複数の電気接点に同時に通電するように設計された電気シミュレーション回路を備える。
【0050】
つまり、トランスデューサ装置およびドライバの容量は、刺激されなければならない位置の関連するサブセットに効果的に制限され得る。これにより、システムの寸法およびコストを削減するだけでなく、哺乳動物の皮膚または頭蓋骨の下にトランスデューサおよびドライバ装置を適用するときに観察されるはずの熱生成も削減する。
【0051】
多数のリード線配線を効率的に取り扱うために、本開示による神経補綴システムの一実施形態では、複数の電気接点のそれぞれが、電気リード線によって、トランスデューサ装置の複数のマルチプレクサおよびスイッチング回路に接続する。追加的または代替的に、可撓性電極シャフトの複数のアレイのそれぞれが、駆動ユニットによる電気接点の電気的駆動のため、または記録ユニットによる電気接点を介した神経記録のために、少なくとも1つのマルチプレクサと、アレイの複数の電気接点および1つまたは複数のマルチプレクサリード線に接続されたおよびスイッチング回路とを備え得る。柔軟なスイッチング回路により、電極は、記録ユニットに接続された増幅器によって電気的に刺激または記録され得る。
【0052】
電極アレイの支持プレートにマルチプレクサおよびスイッチング回路を実装することにより、頭蓋骨を通って外部機器に案内される必要のあるリード線の数が大幅に削減される。
【0053】
刺激パターンを提供するための感知されたデータフィードを解析するために、処理ユニットは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク、セマンティックセグメンテーションのためのディープネットワーク、および条件付き確率場のうちの任意の1つまたは複数を使用するように構成され得る。
【0054】
本開示による神経補綴システムにより代行される神経モダリティの機能は、神経モダリティの代行を増強するための知覚情報を感知するように構成された少なくとも1つのさらなるセンサを使用して増強または強化され得る。
【0055】
特に視覚回復または代行システムで使用するためのそのようなさらなるセンサの例は、いわゆる視標追跡センサまたは視線追跡センサであり、これは、被験者の視線に基づいてイメージングユニットを方向づけるのに有用であり得る。例えば、音センサは、交通の方向および速度に関する情報を提供して、例えば移動中の人間の視覚代行を増強などし得る。そのようなさらなるセンサによって提供される情報は、ユーザに直接提供されるか、処理ユニットを介して間接的に処理され、刺激される位置のサブセットを決定するために使用され得る。
【0056】
速度センサ、温度センサ、触覚センサなど、神経モダリティの機能を増強するための他のセンサが設けられてもよいことが当業者には理解されよう。
【0057】
第2の態様では、本開示は、第1の態様に関連して上記で開示した神経補綴システムの電極アレイの可撓性を有した細長い電極を案内するための硬質な電極支持構造体を提供する。
【0058】
第3の態様では、本開示は、哺乳動物の大脳皮質の領域における皮質内植え込みのために構成された可撓性を有する細長い電極の三次元アレイを提供し、各電極が、上記で開示された第1の態様による、大脳皮質の上記領域における位置の高密度なサブセットの電気刺激のための複数の電気接点を備える。
【0059】
第4の態様では、本開示によれば、上記で開示された可撓性を有する細長い電極の三次元アレイと硬質な電極支持構造体との組立体が提供され、電極および支持構造体が脳脊髄液溶解性接着剤によって接続される。
【0060】
第5の態様では、本開示の第1の態様による神経補綴システムの感知されたデータフィードを解析するように構成されたコンピュータプログラムコードデータであって、上記プログラムコードデータが電子処理ユニットのメモリにロードされ、上記電子処理ユニットによって実行されるとき、感覚基本要素から構成される神経モダリティを代行するための大脳皮質の領域における位置のサブセットに対応する電極ユニットの電気接点を電気的に駆動するための刺激パターンを提供するためのコンピュータプログラムコードデータを格納するデータ記憶デバイスを備えるコンピュータプログラム製品が提供される。
【0061】
実際には、哺乳動物の大脳皮質の領域における、上記で開示された神経補綴システムの可撓性を有する細長い電極の三次元アレイの皮質内植え込みが、
貫通孔の二次元アレイを備えるベースプレートの1つの表面から延びる、可撓性を有する細長い電極の三次元アレイを提供するステップと、
上記可撓性を有する細長い電極の上記アレイを大脳皮質の上記領域内に案内するための硬質な電極支持構造体を提供するステップであって、支持構造体が、複数の相互に結合された細長い硬質なインサートシャフトを備える、ステップと、
ベースプレートのそれぞれの貫通孔にインサートシャフトのそれぞれを受け入れるステップと、
例えば脳脊髄液溶解性接着剤によって、または上記インサートシャフトの先端と係合する上記可撓性電極シャフトの自由端にある孔によって、上記可撓性を有する細長い電極のそれぞれをそれぞれのインサートシャフトに固定するステップと、
上記哺乳動物の大脳皮質の上記領域内に、上記固定された三次元アレイと共に上記硬質な電極支持構造体を植え込むステップと、
上記接着剤が溶解した後、上記哺乳動物の大脳皮質の上記領域から上記硬質な電極支持構造体を後退させるステップと
を含み得る。
【0062】
本開示の上記および他の態様は、以下に説明される実施形態から明らかであり、実施形態を参照することにより解明される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】本開示による神経補綴システムの概略図である。
図2】本開示による電極の三次元アレイと支持構造体との組立体の図である。
図3】本開示による三次元アレイの電極を挿入するための支持構造体のインサートシャフトの詳細図である。
図4】本開示によるトランスデューサユニットおよび複数の三次元アレイの図である。
図5】本開示によるトランスデューサユニットおよびアレイへのリード線接続の図である。
図6】本開示による、大脳皮質の視覚領域に複数のアレイがある脳の側面図である。
図7】本開示による、システムのカメラによって取り込まれた画像のセマンティックセグメンテーションのいくつかのステップの図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、哺乳動物、この場合は患者の感覚モダリティを、代行される神経モダリティに対応する特許の大脳皮質の領域を電気刺激することによって代行するための神経補綴システム100を概略的に示している。
【0065】
図面に示され、以下の説明に記載される各例は、視覚が大脳皮質の視覚領域で代行される視覚神経補綴システムを対象としているが、本発明は、特に視覚感覚モダリティのみに限定されるものではない。当業者には理解されるはずであるが、本発明は、聴覚または体性感覚モダリティなどの他の感覚モダリティにも適用可能である。
【0066】
単に例示として、図1に例示するシステム100は、別々のハウジングに収容されるいくつかの別々の物理的ユニットを含む。しかしながら、いくつかのユニットが単一のハウジング内に組み合わされてもよいことが当業者には理解されよう。
【0067】
システム100は、センサ150から少なくとも構成される。センサは、可視スペクトルおよび/または赤外線IRスペクトルで動作するための、メガネなどに取り付けられる1つもしくは複数のデジタルカメラ、光検出器、または光センサを含み得る。図1に示す例では、センサは、患者のメガネ140に取り付けられた画像センサである。しかしながら、センサはまた、身体に取り付け可能である、または任意の他の方法で患者が装着できる別個のカメラであってもよい。カメラはまた、別個のハンドヘルドカメラユニットであってもよいし、携帯電話などのポータブルデバイスまたはタブレットなどのポータブルコンピュータデバイスに組み込まれてもよい。
【0068】
カメラ150は、患者の視野160に対応する方向に向けられる。このため、カメラは、データストリーム、この例では複数の画像から構成されるデータストリームを記録または取り込むことができる。データストリームは、視野160の少なくとも大部分をカバーするデータまたは画像を含む。視野という用語は、カメラ150によって実際に見えるものの制限を指す。人間の眼はほとんどのカメラデバイスよりも広い視野を有し得るため、システムは視標追跡ユニットも備え得るが、これは図1には示されていない。視標追跡ユニットは、患者の眼の位置、したがって眼が向けられている場所を検出することができる。このようにして、カメラデバイスは患者の方向に焦点を合わせ、患者の視野内の焦点領域に対応するデータストリームを生成することができる。
【0069】
システム100はまた、電極ユニット130から構成される。電極ユニット130は、実際には、複数の三次元アレイ130a、130b、130cから構成される。システム100は、約20個、例えば、左半球に植え込まれた10個および右半球に植え込まれた10個のこれらのアレイ130から構成されることが好ましい。
【0070】
各三次元アレイ130a、130b、130cは、複数の可撓性を有する細長い電極シャフトから構成される。これらの電極シャフトは、患者の脳180へ皮質内植え込みに適した形状を有し、適した材料で作られている。これらの電極シャフトを適したものにするために、これらの電極シャフトは、ポリイミドまたはSU8などの組織-生体適合性材料で製造され得る。しかしながら、導電性材料と組み合わせた他の生体適合性絶縁材料もまた適し得ることが当業者には理解されよう。
【0071】
電極シャフトは、アレイ全体に三次元的に配置されるため、大脳皮質の大きな三次元領域、すなわち患者の大脳皮質の視覚領の大部分またはほぼすべてと電気的に接触することができる。これは、2つの方向における個々の電極シャフト間の図2の間隔d1が小さい、例えば最大0.4~1mmであることだけではなく、電極シャフトが既知の電極アレイの電極よりも長く、長さが最大20mmまたはさらには40mmの長さであることも意味する。好ましくは、電極シャフトの長さは、少なくとも2~5mm、最大20または40mmの範囲にある。より好ましくは、長さは5~30mmの範囲にあり、さらにより好ましくは7~25mmの範囲にあり、最も好ましくは15~20mmの範囲にある。このようにして、電極は、大脳皮質の単一の折り畳まれた脳回を超えて延び、または複数の折り畳まれた脳回に及ぶことができる。
【0072】
各電極シャフトは、複数の電気接点から構成される。これらの接点は、単一の電極シャフトの接点のいくつかが刺激信号を印加することによって電気的に駆動または作動され、他の接点が操作されないように個別に制御され得る。各接点はまた、信号刺激または信号記録のいずれかのために操作され得る。動作モードでは、接点は信号刺激のみを目的として動作する。しかしながら、設定モードでは、接点はまた、刺激信号に対する神経活動または神経応答がそれに応じて記録され得るように、信号記録モードで動作するように制御され得る。一例では、各接点は、刺激モードおよび記録モードの両方で動作できるように構成されてもよく、代替的な例では、接点は、信号刺激または信号記録のいずれか専用にすることができる。
【0073】
電気接点が神経刺激または神経記録のための信号を処理するために、システム100は、駆動ユニットと記録ユニットとから構成される。これらのユニットは、患者の中または上の別々の位置にある別々のハウジングに収容されてもよいが、シャフトに近接もしくは一体化されるか、または頭皮の真下の頭蓋骨上、例えば頭皮の疎性結合組織の層もしくはその付近に配置され得る、トランスデューサデバイスに収容されることが好ましい。
【0074】
可撓性電極シャフトが大脳皮質の表面組織を正常に貫通するために、システム100はまた、硬質な電極支持構造体から構成される。この目的のために、支持構造体は、硬質なまたは硬いインサートシャフトのアレイから構成される。可撓性を有する細長い電極シャフトは、大脳皮質における皮質内植え込み時に支持構造体のインサートシャフトに取り付け、または固定される。一旦挿入されると、インサートシャフトは後退可能で取り外しできるが、電極シャフトは大脳皮質の所定の位置に留まる。取り付けおよび取り外しは、様々な方法で実現され得る。例えば、インサートおよびそれぞれの電極は、PEGなどの脳脊髄液溶解性接着剤によって一時的に取り付けられ得る。この例は、平坦なリボン型の電極でうまく機能し得る。例えば丸いまたは円形の断面形状を有する、リボンの代替的な非平坦な形状では、電極の先端には、インサートシャフトの先端が貫通する孔などの係合要素が設けられてもよい。
【0075】
位置のサブセットを刺激するために電極ユニットを電気的に駆動するための駆動ユニット、および大脳皮質の領域において電極ユニットを介して神経記録を取得するための記録ユニットの電子部品は、植え込み型トランスデューサケーシング120内部にパッケージングされ、チタン製であることが好ましいケーシングの材料によって組織から遮蔽され得る。電子部品または電子回路が電極ユニット上、より具体的には三次元アレイ上に存在し得る場合、それらは、LCPまたはポリイミドなどの組織適合性パッケージング材料に埋め込まれる。
【0076】
植え込み物120はまた、スイッチングユニットから構成される。スイッチングユニットは、駆動ユニットからの刺激信号を大脳皮質に配置された実際の電気接点に導く電子回路から構成される。つまり、駆動ユニットは、複数の刺激信号、すなわち、正弦波形、方形波形、矩形波形、三角波形、のこぎり波形、パルス波形、または波形の任意の組み合わせなどの特定の波形の刺激パルスを発生させるための回路を備え得る。発生された信号は、形状だけでなく振幅も異なり得るもので、異なる個別の電気接点または電気接点のサブセットに導かれ得る。このようにして、一部の接点群または接点のサブセットはまったく作動されず、他の接点群は第1の刺激信号で作動されず、さらに別の接点群は第2の異なる刺激信号で作動されない、などであってもよい。この目的のために、スイッチングユニットは、異なる信号発生器と電気接点のサブセットとの電気的チャンネリングを実現するように構成される。
【0077】
駆動ユニット、記録ユニット、ひいては電極ユニットの電極を制御するために、システムはまた、処理ユニット170を備える。処理ユニットは、ハンドヘルドデバイスであることが好ましく、これは、このことにより、患者の独立性および生活の質が向上するためである。処理ユニットまたはデバイスは、本発明による神経補綴システム200のための処理ユニット170として動作するようにプログラムされた、図1に例として示す携帯電話などの汎用ハンドヘルドデバイスであり得る。しかしながら、処理ユニットまたはデバイスは、専用デバイスであるが、好ましくは携帯電話の寸法と同様の寸法を有する専用デバイスであることがより好ましい。
【0078】
処理ユニット170は、無線通信ユニット110を使用することによって、トランスデューサ装置またはトランスデューサデバイス120と通信することができる。この無線通信ユニット110は、高チャネル数の高密度皮質植え込み型アレイ130a~130cを制御するための無線技術を提供するだけでなく、記録ユニットの信号を送信し得る無線電力伝達インターフェースも提供する。これは、例えば、無線ユニット110とトランスデューサ植え込み物120との間の容量結合または磁気力学的結合によって実現され得るが、誘導結合によって実現されることが好ましい。
【0079】
無線ユニット110とトランスデューサ植え込み物120との間に無線電力およびデータ通信の両方を行うことにより、皮膚を貫通するケーブルやコネクタに関連する感染のリスクが低減される。
【0080】
処理ユニット170を用いて、システム100は、センサによって感知されたデータストリームを受信および解析することができる。図1に示す例では、これらは、カメラ150によって取り込まれたデータストリームの画像である。これらの画像は、正しい電気接点に電力が供給、すなわち刺激信号が供給されて、眼内閃光、すなわち光または特定の光点が見えるという経験を特徴とする現象を、電極シャフトの実際の位置、より正確にはその特定の電極シャフトの電気接点に対応する眼内閃光位置で誘発させるように処理される必要がある。眼内閃光位置のサブセットは、カメラによって、したがって患者の視野160内のシーン内でキャプチャーされた1つまたは複数の物体に対応させるべきである。
【0081】
実際に取り込まれた画像データと、1つまたは複数の眼内閃光パターンをまとまって形成する眼内閃光位置のサブセットとの間でそのような変換を行うために、処理ユニット170は、セマンティックセグメンテーションを用いる。
【0082】
セマンティックセグメンテーションによって、各ピクセルが特定の物体クラスに割り当てられるように画像が処理される。物体は、いわばラベル付けされ、物体を囲むか物体の輪郭を描く一式のピクセルを含む。
【0083】
処理ユニット170がセマンティックセグメンテーションにより画像データを処理すると、外形、輪郭、ラベル、形状、または他のプリミティブオブジェクトが決定され、これらを眼内閃光または刺激パターンとして使用して、眼内閃光位置の適切なサブセットに刺激信号を印加することができる。これらの刺激信号が印加されると、これらの眼内閃光位置で誘発された眼内閃光は、患者が実際の物体を車または患者の視野160内にある物体として認識するように患者の視覚を代行する。
【0084】
図2では、可撓性を有する細長い電極または電極シャフトの三次元アレイ133と、患者の大脳皮質の領域における皮質内植え込み時に可撓性を有する細長い電極135を案内するための硬質な電極支持構造体132と、の組立体130が示されている。
【0085】
支持構造体132は、実装時にアレイ133の可撓性電極シャフト135を同時に案内することを可能にし、実装されると、インサートシャフト134は電極135から分離することができ、支持構造体132は後退することができる。タングステンから製造されることが好ましいすべてのインサートシャフト134が、相互に接続され、かつ金属ロッドに接続され、これにより、同時に並行して挿入および後退を行うことが可能になる。
【0086】
図2に明確に示すように、支持構造体のインサートシャフト134の数および配置の両方が、アレイ133のベースプレート131にある貫通孔の数および配置に対応するため、個々のインサートシャフト134が単一のそれぞれの貫通孔によって案内され、それにより、すべての電極シャフトまたは電極リボン135が大脳皮質の視覚領において正しい位置および正しい深さに確実に到達する。この視覚領は、好ましくは一次脳領域V1であり得るが、V2、V3またはV4などの中間または高次領域でもあり得る。
【0087】
すべての個々の電極135は、約0.2~4cmの同じ長さを有することが好ましい。個々の電極間の間隔は、約0.1~2mmであることが好ましい。
【0088】
各電極シャフト135は、シャフトの長手方向に配置されることが好ましい複数の電気接点136を含む。しかしながら、接点136はまた、横方向の配置パターンを有することもあれば、シャフトの横方向および長手方向の両方に配置されることもある。
【0089】
各電気接点136は、電気リード線を介して電気的に配線される。複数のリード線138が、図1に示すように、トランスデューサユニット120に電気的に接続される。
【0090】
図2の2つの詳細図に示すように、電極シャフト135が支持構造体132のインサートシャフト134と係合し得るいくつかの方法がある。左の詳細図に示す例では、硬質なインサートシャフト134は、電極シャフト135と同一または少なくとも略同一の幅を有する長方形の断面を有する。この特定の例における厚さは、10~50μmの範囲にある。この例では、PEGなどの溶解可能な材料を使用することが好ましい。
【0091】
右の詳細図に示す例では、硬質なインサートシャフト134は、直径が約10~50μmの円形断面を有しても有さなくてもよい。この例では、インサートシャフト134は、電極シャフト135の先端または自由端にある孔と係合するために、先細またはより小さな直径の先端または自由端を有する。
【0092】
右の詳細図では、電気接点がインサートシャフト134上に配置されていると見えるかもしれないが、それらは実際には電極シャフト135上に配置されている。電極シャフト134は、インサートシャフト134を受け入れるようにスリーブ形状にすることができるが、これらは、より好ましくは、脳内への外科的挿入を容易にするためにインサートシャフトの先端を受け入れるための貫通孔または他の受け入れ要素を備えた平坦な不透明なリボン形状の電極である。
【0093】
この例では、PEGなどの溶解可能な材料は必要ない。電極シャフト135が所定の位置に配置されると、硬質なインサートシャフトは、電極135を所定の位置に残したまま、容易に後退され得る。
【0094】
図3は、貫通孔137の2次元配置パターンを備えた電極アレイ133のベースプレート131のより詳細な図を示している。図3は、単一の電極およびインサートシャフトのみを示している。しかしながら、電極ユニットおよび支持構造体は、貫通孔137の数に対応する同様の数の電極およびインサートシャフトを備える。
【0095】
図4では、電極アレイ133はまた、追加の回路139を含む。本発明の一例では、各アレイの各電極シャフトのすべての電気接点が、トランスデューサ120に電気的に配線される。しかしながら、図4に示す例では、アレイは、多数の電線138の信号を1つまたは複数のより少ない数の電線に多重化および逆多重化するためのマルチプレクサを備える。インサートあたりの電線数は50,000に達する可能性があるため、いくつかのマルチプレクサを使用することが望ましい。しかしながら、マルチプレクサは、図4に示すようにアレイ133上に配置されてもよいし、トランスデューサ120内に配置されてもよい。
【0096】
図5では、各アレイ130a~130dがマルチプレクサ139を備える。マルチプレクサを膨大な数の電線のできるだけ近く、したがってアレイ上またはその付近に配置することが望ましい場合があるが、これにより、リード線または電線の数および長さが減少しても、熱が発生しすぎて、脳に影響を及ぼし得る。その場合、すべての電線をトランスデューサに配線し、それらをトランスデューサケーシング120内のマルチプレクサに接続することが好ましい。
【0097】
駆動ユニットおよび記録ユニットも各アレイ130内に配置することができるが、それらはトランスデューサユニット120内に配置されることが好ましい。しかしながら、図4に示す例では、少なくともいくつかの電子回路139がアレイ自体に配置されている。この例では、電子回路139は、記録モードにおいて多数の電極を介して取得される複数の信号を多重化するように構成され得るが、信号発生器のチャネリングを実行するためのスイッチングユニットとしても構成されることが好ましい。これにより、電気接点群を信号発生器のうちの1つに接続する。
【0098】
図6は、患者の脳180の側面図を示している。図6に示す例では、いくつかのアレイ130が大脳皮質の視覚領に植え込まれている。アレイ130a、130bなどのほとんどは、領域V1に植え込まれる。しかしながら、アレイ130cの少なくとも1つは、領域V4の少なくとも部分的または完全な填補を実現するために植え込まれ、これは、そのようなより高次の視覚皮質領域で記録および刺激を実行するためである。
【0099】
上記したように、この視覚領は、本開示によるアレイが植え込まれ得る一例にすぎない。大脳皮質の他の感覚モダリティ領域は、本開示によると同様のアレイを用いて植え込みされ得る。聴覚領または聴覚皮質などのこれらの領域は、例えば、同様のアレイを用いて植え込みされ得るが、その特定の領域に適合した異なる寸法の電極シャフトを有する。
【0100】
上記を考慮して、示されるような電極シャフトの長さなどの寸法が一般に視覚皮質に関連することが当業者には理解されよう。これらの寸法は、聴覚、触覚、体性感覚、または嗅覚などの他の領域にも極めて良く適し得る。ただし、これらの領域の一部またはすべてで、異なる寸法が必要になり得る。
【0101】
図7は、セマンティックセグメンテーションを利用してデータストリームフィードの画像を眼内閃光パターンに変換するいくつかのステップa~hを示している。ステップaにおいて、カメラ画像が、ポータブルデバイスにおける画像変換アルゴリズムを使用して網膜または皮質に電気的に与えられる。ステップbにおいて、図aに示す患者の視野内にある屋外シーンの一例が示されている。患者が車に近づくと想像した場合、ステップcにおいて、網膜にある電極が刺激されたときに患者が知覚できる64個の眼内閃光の位置が示されている。ステップdは、皮質領域V1の刺激によって実現され得る1,000個の眼内閃光の潜在的な位置を示している。ステップeにおいて、関連する輪郭と関連しない輪郭と(画像における前景および背景の情報など)を区別できない既知の補綴デバイスの限界が示されている。しかしながら、セマンティックセグメンテーションアルゴリズムは、車に属する画像内のピクセルを描写する。ステップfに示すセマンティックセグメンテーションの結果は、ステップgに示す刺激パターンを決定するためのテンプレートとして使用され得る。セマンティックセグメンテーションを使用して、作動された眼内閃光のパターン(ステップcにおけるサブセット)を決定する場合、車のおおよその位置および形状の知覚が期待され、補綴デバイスによる視力の大幅な改善がもたらされる。ステップgにおいて、本発明の一態様による皮質プロテーゼは、さらに高い解像度の知覚を生じさせることができる。
【0102】
図面、本開示、および添付の特許請求の範囲を検討すれば、特許請求の範囲に記載された開示を実施する際に、開示された例に対する他の変形形態が当業者には理解および実施され得る。特許請求の範囲において、「含む/備える(comprising)」という語は、他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、特許請求の範囲に記載された幾つかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを好都合に使用することができないと示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に、または他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体またはソリッドステート媒体などの適切な媒体に保存/配信され得るが、インターネットまたは他の有線または無線通信システムを介するなどの他の形態で配信されてもよい。特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。類似の参照符号は、類似または均等な機能を示す。
【0103】
本開示は、上で開示された例に限定されず、当業者によって、発明の技能を適用する必要なしに、かつ任意のデータ通信、データ交換、およびデータ処理環境で使用するために、例えば、聴覚を代行するための神経補綴システムの使用のために、添付の特許請求の範囲に開示される本開示の範囲を超えて修正および強化され得る。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7