(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】一体化されたスワブ及び検査デバイスを有する有害汚染物質採取デバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 1/02 20060101AFI20240426BHJP
【FI】
G01N1/02 A
(21)【出願番号】P 2021542454
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 US2020014738
(87)【国際公開番号】W WO2020159790
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-12-22
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】オシンスキー マシュー
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0227796(US,A1)
【文献】国際公開第2017/151642(WO,A1)
【文献】特開2003-065945(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0231923(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンクロージャを形成する細長本体と、
前記エンクロージャ内に配置されたアッセイ検査ストリップであって、有害汚染物質の存在下で光検出可能な外見変化を生成するように構成された反応ゾーンを含む前記アッセイ検査ストリップと、
前記細長本体に結合された吸収性スワブ材料であって、該スワブ材料が、前記有害汚染物質を検査面から持ち上げるように構成された溶液で湿潤され、該細長本体が、該吸収性スワブ材料に結合された第1の端部と、該第1の端部から離間した第2の端部と、それらの間を延びる細長長さとを有するハンドルを形成する前記吸収性スワブ材料と、
前記吸収性スワブ材料と前記検査ストリップの間に流体通路を含む液密エンクロージャと、
前記細長本体の前記第1の端部を密封するように構成されたキャップであって、前記有害汚染物質を前記吸収性スワブ材料から洗い流すように構成された流体を閉じ込めるリザーバを備え、第1の向きでは、前記細長本体の遠位端が前記キャップの中に完全に延びるのが防止され、第2の向きでは、前記細長本体は前記キャップの中に完全に延び、前記リザーバから前記流体を放出させる、前記キャップと、
を備える採取デバイス、
を備える、有害汚染物質検査システム。
【請求項2】
前記キャップは、
さらに、
前記キャップが前記細長本体に付加された時に前記リザーバと該細長本体の前記第1の端部の間に位置決めされる易壊性シー
ルを備える、
請求項
1に記載の有害汚染物質検査システム。
【請求項3】
前記キャップは、前記易壊性シールに結合されたスワブ受け入れ部材を含み、
前記スワブ受け入れ部材は、前記キャップが前記細長本体に
前記第1の向きに付加された時に前記吸収性スワブ材料が該スワブ受け入れ部材に入らないように、かつ該キャップが該細長本体に
前記第2の向きに付加された時に該吸収性スワブ材料が該スワブ受け入れ部材に入るように構成され、
前記吸収性スワブ材料は、前記キャップが前記細長本体に前記第2の向きに付加された時に前記易壊性シールを破断するように構成される、
請求項
2に記載の有害汚染物質検査システム。
【請求項4】
前記キャップは、起動された時に前記易壊性シールを開封して前記流体を前記吸収性スワブ材料の中に放出するポンプを含む、請求項
2に記載の有害汚染物質検査システム。
【請求項5】
前記吸収性スワブ材料と前記アッセイ検査ストリップは、材料の単一片から形成され、
前記流体通路は、前記吸収性スワブ材料と前記反応ゾーンの間を延びる前記材料の領域を備える、
請求項1に記載の有害汚染物質検査システム。
【請求項6】
前記流体通路は、前記吸収性スワブ材料と前記アッセイ検査ストリップのサンプル受け入れゾーンとを流体的に結合するチャネルを備える、請求項1に記載の有害汚染物質検査システム。
【請求項7】
前記アッセイ検査ストリップは、前記サンプル受け入れゾーンと前記反応ゾーンの間を延びるある長さの材料を含み、
前記長さの材料は、前記サンプル受け入れゾーンに受け入れられた液体を前記反応ゾーンまで吸い上げるように構成される、
請求項
6に記載の有害汚染物質検査システム。
【請求項8】
前記アッセイ検査ストリップの幅が、前記スワブ材料の幅と異なっている、請求項1に記載の有害汚染物質検査システム。
【請求項9】
前記吸収性スワブ材料の一部分が、前記細長本体の遠位端から出て延びる、請求項1に記載の有害汚染物質検査システム。
【請求項10】
単一構造が、前記採取デバイスの第1の領域と第2の領域の間の密封流体通路を含み、該採取デバイスは、該デバイスの第1の領域に有害汚染物質を受け入れ、該有害汚染物質を該流体通路に沿って該第2の領域まで下流に移動し、かつ該有害汚染物質を該デバイスの該第2の領域に結合する、請求項1に記載の有害汚染物質検査システム。
【請求項11】
前記反応ゾーンから反射された光を受光するように位置決めされ、かつ該受光した光の強度を表す信号を発生させるように構成された画像センサと、
前記信号を分析して前記反応ゾーンでの前記有害汚染物質の存在を決定するように構成された制御電子機器と、
を備える検出デバイス、
を更に備える、請求項1に記載の有害汚染物質検査システム。
【請求項12】
エンクロージャを形成する細長本体と、
前記エンクロージャ内に配置されたアッセイ検査ストリップであって、有害汚染物質の存在下で光検出可能な外見変化を生成するように構成された反応ゾーンを備える前記アッセイ検査ストリップと、
前記細長本体に結合された吸収性スワブ材料であって、該スワブ材料が、前記有害汚染物質を検査面から持ち上げるように構成された溶液で湿潤され、該細長本体が、該吸収性スワブ材料に結合された第1の端部と、該第1の端部から離間した第2の端部と、それらの間を延びる細長長さとを有するハンドルを形成する前記吸収性スワブ材料と、
前記吸収性スワブ材料と前記検査ストリップの間の流体通路を備える液密エンクロージャと、
前記細長本体の前記第1の端部を密封するように構成されたキャップであって、前記キャップは、前記有害汚染物質を前記吸収性スワブ材料から洗い流すように構成された流体を含み、前記キャップが前記細長本体に第1の向きで付加されたとき、前記細長本体の前記第1の端部が前記流体を放出させるのを防止し、前記キャップが前記細長本体に第2の向きで付加されたとき、前記細長本体が前記流体を放出させる、前記キャップと、
を備える、有害汚染物質採取デバイス。
【請求項13】
前記キャップは、
前記有害汚染物質を前記吸収性スワブ材料から洗い流すように構成された
前記流体を閉じ込めるリザーバと、
前記キャップが前記細長本体に付加された時に前記リザーバと該細長本体の前記第1の端部の間に位置決めされる易壊性シールと、
を備える、
請求項
12に記載の有害汚染物質採取デバイス。
【請求項14】
前記キャップは、前記エンクロージャを密封して液密チャンバを生成するように構成される、請求項
13に記載の有害汚染物質採取デバイス。
【請求項15】
前記キャップは、前記易壊性シールに結合されたスワブ受け入れ部材を含み、
前記スワブ受け入れ部材は、前記キャップが前記細長本体に
前記第1の向きに付加された時に前記吸収性スワブ材料が該スワブ受け入れ部材に入らないように、かつ該キャップが該細長本体に
前記第2の向きに付加された時に該吸収性スワブ材料が該スワブ受け入れ部材に入るように構成され、
前記吸収性スワブ材料は、前記キャップが前記細長本体に前記第2の向きに付加された時に前記易壊性シールを破断するように構成される、
請求項
13に記載の有害汚染物質採取デバイス。
【請求項16】
前記キャップは、起動された時に前記易壊性シールを開封して前記流体を前記吸収性スワブ材料の中に放出するポンプを含む、請求項
13に記載の有害汚染物質採取デバイス。
【請求項17】
前記吸収性スワブ材料と前記アッセイ検査ストリップは、材料の単一片から形成され、
前
記流体通路は、前記吸収性スワブ材料と前記反応ゾーンの間を延びる前記材料の領域を備える、
請求項
12に記載の有害汚染物質採取デバイス。
【請求項18】
前
記流体通路は、前記吸収性スワブ材料と前記アッセイ検査ストリップのサンプル受け入れゾーンとを流体的に結合するチャネルを備える、請求項
12に記載の有害汚染物質採取デバイス。
【請求項19】
前記アッセイ検査ストリップは、前記サンプル受け入れゾーンと前記反応ゾーンの間を延びるある長さの材料を含み、
前記長さの材料は、前記サンプル受け入れゾーンから受け入れた液体を前記反応ゾーンまで吸い上げるように構成される、
請求項
18に記載の有害汚染物質採取デバイス。
【請求項20】
有害汚染物質の存在に関して検査面を検査する方法であって、
採取デバイスの細長本体から
、ある容積の緩衝溶液を閉じ込めるリザーバを含むキャップを取り外して該細長本体の端部に結合された吸収性スワブ材料を露出させる段階であって、該吸収性スワブ材料が、前記有害汚染物質を前記検査面から持ち上げるように構成された溶液の第1の容積で事前湿潤される前記露出させる段階と、
前記検査面を前記吸収性スワブ材料で拭き取って該検査面から前記有害汚染物質を採取する段階と、
前記細長本体に前記キャップを再度付加して前記吸収性スワブ材料を密封し、前記採取した有害汚染物質を前記採取デバイス内に隔離する段階
であって、前記容積の前記緩衝溶液を前記吸収性スワブ材料の中に放出させる段階と、
ある容積の液体を前記吸収性スワブ材料から前記採取デバイス内に密封されたアッセイ検査ストリップまで該採取デバイス内の液密経路を通じて移送する段階と、
前記アッセイ検査ストリップをアッセイ読取器デバイスの中に挿入する段階と、
前記アッセイ読取器デバイスの出力に基づいて、前記有害汚染物質が前記検査面上に存在することを識別する段階と、
を含む方法。
【請求項21】
前記キャップは、前記スワブ材料が前記リザーバの易壊性シールに接触しない第1の向きに前記細長本体に最初に付加され、
前記容積の前記緩衝溶
液を放出する段階は、前記スワブ材料が前記易壊性シールに対して押圧してそれを開封する第2の向きに前記キャップを前記細長本体の上に押圧する段階を含む、
請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記キャップのポンプ機構を起動して
前記容積の前記緩衝溶
液を前記吸収性スワブ材料の中に放出する段階を更に含む、請求項
20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、これにより引用によってその全体が組み込まれる2019年1月28日出願の米国仮特許出願第62/797,804号の利益を主張するものである。
【0002】
本明細書に開示するシステム及び方法は、環境汚染物質検査、より具体的には抗癌剤の存在及び/又は量を検出するための検査キットに関する。
【背景技術】
【0003】
抗癌薬は、癌を治療するのに使用され、殆どの場合に小分子(5-フルオロウラシルのような)又は抗体フォーマット(リツキシマブのような)で見出される。抗癌薬の検出は、薬物が使用される及び/又は分注される病院/薬局区域に汚染/漏出が存在するかを決定するのに決定的に重要である。
【0004】
抗癌剤の性質は、それらを癌細胞のみならず健康な細胞及び組織に対しても有害にする。ヘルスケア従事者に対する抗癌剤への職業露出を排除又は低減するために予防策を講じなければならない。これらの薬物を調製する薬剤師及びそれら調整して投与する場合がある看護師は、抗癌剤への露出の最も高い潜在性を有する2つの職業群である。これに加えて、医師及び手術室職員も、患者の治療を通して露出される場合がある。発送及び荷受け職員、保管従事者、洗濯従事者、及び廃棄物処理者のような病院スタッフは、全てが彼らの仕事の進行中にこれらの薬物に露出される潜在性を有する。獣医癌科での抗癌剤の増大する使用も、これらの薬物への露出に関してこれらの従事者を危険にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有害薬物汚染を検出する既存手法は、ユーザがサンプルスワブを直接手で取り扱い、検査面を拭き取る時に手でスワブ材料を押圧し、サンプリングされたスワブを試験チューブ/バイアルの中に入れ、かつ検査のためにサンプル含浸スワブを外部試験所に送ることを必要とする。有害汚染が埋め込まれたスワブを直接取り扱うことは、検査ユーザに対して潜在的に危険である。更に、これらの既存手法は、網羅する面積が非常に僅かであるスティック上の小さい綿スワブを使用し、ユーザからの有意な労力及び時間を要求する。更に、結果は、検査が行われた時から数週間(時に9週間まで)後に届く可能性があり、あらゆる除染応答を遅延させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これら及び他の問題は、サンプルを採取する処理中に汚染の更に別の拡散及び露出を回避し、かつ現場で及び検査の時点で正確な検査結果を迅速に提供する本明細書に説明する採取及び検査キットの実施形態で対処される。本発明の技術は、抗癌剤の存在に関してこれらの抗癌剤へのユーザ露出を最小にしながらヘルスケア環境での様々な面の検査のための採取デバイス及び検出システムを提供する。採取デバイスは、微量の抗癌剤であっても検出し、かつ結果を迅速に(採取直後を含む)提供する機能を有する。有利なことに、検査と検出は、採取場所で行われる。採取デバイスは、使用するのに簡単であり、保持及び把持が容易であり、大きい面の拭き取りを可能にし、かつユーザの手をこの面及び検査されている流体から離しておくスワブを提供する。有益なことに、スワブは、検査アッセイと液密方式で一体化され、スワブからアッセイへの採取流体の漏出のない移送に備える。従って、採取デバイスは、単一液密デバイスに一体化されたスワブと、任意的に流体リザーバと、アッセイ(又は他の検出システム)とを含む。
【0007】
1つの適切な検出システムは、イムノアッセイデバイスを含む。イムノアッセイデバイスは、臨床化学のような分野で重要な役割を果たし、かつ野外での使用に対して携帯可能に作られてきた。イムノアッセイ技術は、被検体サンプル内の検体の存在を決定するための簡単かつ比較的迅速な手段を提供する。検体は、生物学的又は非生物学的流体に存在する場合がある着目する又は臨床的に意義のある物質である。検体は、抗体、抗原、薬物、又はホルモンを含むことができる。着目する検体は、一般的に捕捉剤との反応によって検出され、これは、元の検体よりも容易に検出かつ測定されるデバイスをもたらす。検出方法は、吸光度変化、色変化、蛍光変化、輝度変化、面での電位変化、他の光学特性の変化、又はサンプル内の検体の存在又は不在を示すいずれかの他の容易に測定される物理特性を含むことができる。
【0008】
従って、一態様は、採取デバイスを含む有害汚染検出システムに関する。採取デバイスは、エンクロージャを形成する細長本体を含む。採取デバイスはまた、エンクロージャ内に配置されたアッセイ検査ストリップを含む。アッセイ検査ストリップは、有害汚染物質の存在下で光検出可能な外見変化を生成するように構成された反応ゾーンを含む。採取デバイスはまた、細長本体に結合された吸収性スワブ材料を含む。スワブ材料は、有害汚染物質を検査面から持ち上げるように構成された溶液で湿潤される。細長本体は、吸収性スワブ材料に結合された第1の端部と、第1の端部から離間した第2の端部と、それらの間を延びる細長長さとを有するハンドルを形成する。採取デバイスは、吸収性スワブ材料と検査ストリップの間に流体通路を含む液密エンクロージャを更に含む。
【0009】
別の態様は、有害汚染物質採取デバイスに関する。有害汚染物質採取デバイスは、エンクロージャを形成する細長本体を含む。有害汚染物質採取デバイスはまた、エンクロージャ内に配置されたアッセイ検査ストリップを含む。アッセイ検査ストリップは、有害汚染物質の存在下で光検出可能な外見変化を生成するように構成された反応ゾーンを含む。有害汚染物質採取デバイスはまた、細長本体に結合された吸収性スワブ材料を含む。スワブ材料は、有害汚染物質を検査面から持ち上げるように構成された溶液で湿潤される。細長本体は、吸収性スワブ材料に結合された第1の端部と、第1の端部から離間した第2の端部と、それらの間を延びる細長長さとを有するハンドルを形成する。有害汚染物質採取デバイスはまた、吸収性スワブ材料と検査ストリップの間に流体通路を含む液密エンクロージャを含む。
【0010】
更に別の態様は、有害汚染物質の存在に関して検査面を検査する方法に関する。本方法は、採取デバイスの細長本体からキャップを取り外して細長本体の端部に結合された吸収性スワブ材料を露出する段階を含む。吸収性スワブ材料は、有害汚染物質を検査面から持ち上げるように構成された第1の容積の溶液で事前湿潤される。本方法はまた、検査面を吸収性スワブ材料で拭き取って検査面から有害汚染物質を採取する段階を含む。本方法は、細長本体にキャップを再付加して吸収性スワブ材料を密封し、採取有害汚染物質を採取デバイス内に隔離する段階を更に含む。本方法はまた、ある容積の液体を吸収性スワブ材料からアッセイ検査ストリップまで採取デバイス内の液密経路を通して移送する段階を含み、アッセイ検査ストリップは、採取デバイス内に密封される。本方法は、アッセイ検査ストリップをアッセイ読取器デバイスの中に挿入する段階を更に含む。本方法はまた、アッセイ読取器デバイスの出力に基づいて有害汚染物質が検査面上に存在することを識別する段階を含む。
【0011】
以下、開示され態様を、開示された態様を例示するためであって限定するためではない添付図面に関連付けて説明する。ここで、同様の名称は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本明細書に説明する汚染物質採取デバイスを使用する検査方法の例示的段階を示す図である。
【
図2A】一体化されたスワブ及び検査ストリップを有する採取デバイスを
図1の検査方法の様々な部分中に使用する例示的段階を示す図である。
【
図2B】一体化されたスワブ及び検査ストリップを有する採取デバイスを
図1の検査方法の様々な部分中に使用する例示的段階を示す図である。
【
図2C】一体化されたスワブ及び検査ストリップを有する採取デバイスを
図1の検査方法の様々な部分中に使用する例示的段階を示す図である。
【
図3A】
図1の検査方法と共に使用することができる例示的検査デバイスを示す図である。
【
図3B】
図1の検査方法と共に使用することができる例示的検査デバイスを示す図である。
【
図4A】一体化されたスワブ材料及びアッセイデバイスを有する採取デバイスの実施形態を描く図である。
【
図4B】一体化されたスワブ材料及びアッセイデバイスを有する採取デバイスの実施形態を描く図である。
【
図4C】一体化されたスワブ材料及びアッセイデバイスを有する採取デバイスの実施形態を描く図である。
【
図4D】一体化されたスワブ材料及びアッセイデバイスを有する採取デバイスの実施形態を描く図である。
【
図5A】一体化されたスワブ材料及び検査デバイスを有する採取デバイスの別の実施形態を描く図である。
【
図5B】一体化されたスワブ材料及び検査デバイスを有する採取デバイスの別の実施形態を描く図である。
【
図5C】一体化されたスワブ材料及び検査デバイスを有する採取デバイスの別の実施形態を描く図である。
【
図5D】一体化されたスワブ材料及び検査デバイスを有する採取デバイスの別の実施形態を描く図である。
【
図5E】一体化されたスワブ材料及び検査デバイスを有する採取デバイスの別の実施形態を描く図である。
【
図5F】一体化されたスワブ材料及び検査デバイスを有する採取デバイスの別の実施形態を描く図である。
【
図5G】一体化されたスワブ材料及び検査デバイスを有する採取デバイスの別の実施形態を描く図である。
【
図6A】一体化されたスワブ材料及び検査デバイスを有する採取デバイスの別の実施形態を描く図である。
【
図6B】一体化されたスワブ材料及び検査デバイスを有する採取デバイスの別の実施形態を描く図である。
【
図6C】一体化されたスワブ材料及び検査デバイスを有する採取デバイスの別の実施形態を描く図である。
【
図6D】一体化されたスワブ材料及び検査デバイスを有する採取デバイスの別の実施形態を描く図である。
【
図6E】一体化されたスワブ材料及び検査デバイスを有する採取デバイスの別の実施形態を描く図である。
【
図7】
図4A~
図6Eの検査デバイスを読み取ることができる例示的読取器デバイスの高レベル概略ブロック図である。
【
図8】
図7の読取器デバイスを含むことができる例示的ネットワーク接続式検査システム環境の高レベル概略ブロック図である。
【
図9】本明細書に説明する採取デバイス及び読取器デバイスを使用する検査データ発生、分析、及び報告のための例示的処理の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
序論
本発明の開示の実施形態は、癌治療に使用される抗癌薬等であるがこれに限定されない有害環境汚染物質を汚染物質への検査オペレータの露出を最小にしながら検出するためのシステム及び技術に関する。そのような検査のためのキットは、採取デバイスと検査デバイスを含むことができる。本発明の開示を通して例示的システム、キット、及び方法を抗癌剤の採取、検査、及び検出に関して以下に説明するが、本発明の技術は、着目するあらゆる粒子、分子、又は検体を採取、検査、及び検出するのに使用することができることは理解されるであろう。
【0014】
採取デバイスは、横方向流れアッセイ検査ストリップのような一体化されたスワブ及び検査装置を含むことができる。有益なことに、採取デバイスは、採取された液体がスワブから検査ストリップに移送される時にユーザがこの液体から保護されるようにスワブと検査ストリップの間に液密流路を提供する。採取デバイスは、抗癌剤の採取後にスワブを密封するためのキャップ又は他の容器含むことができる。任意的に、サンプリング後にスワブを洗い流すための緩衝溶液のような流体を閉じ込めるためのリザーバをキャップに配置することができる。スワブは、微量の抗癌剤を検出するのに望ましい捕捉効率と回収効率とを有する特殊材料から構成することができ、ユーザが面又はスワブに物理的に接触することなく面を拭き取ることができるような十分な長さを有するハンドル上に設けられる。ハンドルは、検査ストリップを取り囲むカートリッジとして機能することによって二重の機能を実施することができ、ハンドルの内部特徴部は、スワブと検査ストリップの間の流路を形成することができる。一実施では、ユーザが事前湿潤スワブを取り出して面を払拭するように、スワブ材料上に液体、例えば、緩衝溶液を設けることができる。別の実施では、ユーザは、面に液体を吹き付け、この液体をスワブ材料で採取する。この緩衝液及びChemoGlo溶液は、本明細書に説明する汚染採取デバイスに実施することができる2つの適切な緩衝溶液である。
【0015】
採取キットは、検査に向けて特定の寸法の区域を線引きするためのテンプレート、ガイド、又は指図を更に含むことができる。微量であっても有害な汚染物質に関して正確な検査結果を取得するために、マーキング(境界設定)し、次いで、サンプリング手順を実施する(例えば、境界設定区域の全て及び境界設定区域のみをサンプリングする)正確な方法は、正確な結果を保証するのに非常に重要な段階とすることができる。次式:
で与えられる正確な薬物濃度測定値を取得するのに重要である可能性があるいくつかのファクタがある。上式中のCは濃度であり、αは、汚染面密度(ng/ft^2)であり、Aは、拭き取り及び検査されている表面積であり、η
pは捕捉効率であり、η
eは、スワブ密度からの抽出であり、V
bは、汚染物質を抽出して検査ストリップに搬送することを支援するのに使用される緩衝溶液の流体容積である。本説明の検査の目標は、低い変動しか伴わない高濃度信号を有することとすることができる。変数の過度の「ノイズ」又は変動は、検査に偽陽性又は偽陰性のいずれかの結果を生成する場合がある。本明細書に説明する検査キットは、上述の濃度式中の各項の変動を低減することを支援するための機構及び/又はユーザへの指図を含むことができる。
【0016】
面を拭き取った後に、ユーザは、スワブの上にキャップを配置してスワブ材料及びあらゆる吸収された液体を封入する液密の密封区画を形成する。更に、キャップは、ハンドルにロックすることができる。ハンドル及び/又はキャップ内のリザーバは、スワブ材料上に埋め込まれた着目粒子を容器の流体の中に取り出すことを支援する媒介として使用される緩衝溶液又は希釈剤溶液を閉じ込めることができる。採取デバイスは、液体が溢流して面又はユーザを汚染することを有利に防止するが、検査ストリップのような検出デバイスへの流体の制御式送出を可能にする。流体は、一部の実施形態ではスワブ材料から検査ストリップに直接吸い上げることができ、他の実施形態ではスワブ材料から流路に沿ってアッセイ検査ストリップの受け入れゾーンに放出することができる。
【0017】
本明細書に説明する横方向流れアッセイデバイスの実施形態によって発生される信号は、デバイスの目視検査及び光学読取器を使用した光学検出を含むがこれらに限定されないあらゆる適切な測定システムを使用して検出することができることは理解されるであろう。一態様では、検査デバイスは、ユーザに汚染の存在及び/又は程度を警告するインタフェースを有するイムノアッセイ読取器、例えば、横方向流れアッセイ及び読取器デバイスとすることができる。一体化された検査ストリップによるサンプル採取の後に、アッセイ検査ストリップを読取器の中に挿入し、ストリップ上のインジケータを撮像し、像を分析し、汚染レベルを決定し、決定した汚染レベルをユーザに報告することができる。読取器は、サンプルに関するデータを入力する1よりも多い方法を有することができ、かつ許容範囲外の汚染レベルが検出された時に保存する、格納する、表示する、アップロードする、及び適切な職員に警告する様々な方法を有することができる。
【0018】
一例では、最初の検査で汚染を検出した後に、いくつかの可能な次の段階がある可能性がある。第1のオプションは、別のより高い感度の検査ストリップを使用して高度な検出レベルを決定する段階とすることができる。第2のオプションは、最初の検査区域の近くの区域内で別の類似の検査ストリップを使用して汚染の拡散を決定する段階とすることができる。第3のオプションは、いずれかの指定除染プロトコルを検査面区域(及び時に周囲の区域)内で開始する段階とすることができる。これらの非限定的オプションの一部又は全ては同時又は順番に開始することができることは理解されるであろう。
【0019】
一部の実施形態では、本説明のスワブ、緩衝溶液、及び検査デバイスは、微量の抗癌剤及び/又は化学治療薬を捕捉及び検出するように構成することができる。他の実施形態では、本説明のシステムは、様々な量の他の生体有害化学物質、薬物、病原体、又は物質を採取及び検出するように適応させることができることは認められるであろう。更に、本発明の開示のシステムは、犯罪科学捜査、産業、及び他の環境に使用することができる。
【0020】
本明細書では、一般的に、本発明の開示の検出デバイスは、検査ストリップ及び横方向流れアッセイ読取器デバイスに関して説明するが、本明細書に説明する有害汚染物質検出態様は、あらゆる適切な検出システムに実施することができることは認められるであろう。例えば、本明細書に説明する特徴は、分子アッセイ等であるがこれに限定されない他のタイプのアッセイを分析し、検査結果を提供する読取器デバイスに実施することができる。更に、いずれかの採取された汚染物質を含む流体は、採取デバイスから遠心分離機、分光計、化学アッセイ、又はサンプル内の1又は2以上の有害物質の存在及び/又は濃度を決定するための他の適切なデバイスに移送することができる。
【0021】
薬物は、多くのタイプの病気及び損傷を成功裏に治療するが、事実上全ての薬物は、その使用に関連付けられた副作用を有する。しかし、全ての不利な副作用が有害として分類されるわけではない。本発明の開示では、「有害薬物」という用語を米国医療薬剤師会(ASHP)によって採用されている意味に従って使用し、この意味により、動物又はヒトでの研究により、薬物への露出が実験動物又は治療患者において低投与量で遺伝毒性、発癌性、催奇形性、又は生殖能障害という4つの特性のうちのいずれか1つ、及び深刻な臓器損傷又は他の毒性の発現を有することが示された場合に当該薬物は有害と呼ばれる。
【0022】
抗癌剤のような有害薬物の濃度を確認するという例示的状況で説明を行うが、本発明の開示の検査ストリップ及び読取技術は、あらゆる着目検体の存在及び/又は濃度を検出するのに使用することができることは認められるであろう。検体は、例えば、薬物(有害と無害の両方)、抗体、蛋白質、ハプテン、核酸、及びアンプリコンを含むことができる。
【0023】
下記では、例示目的で様々な実施形態を図面に関連付けて説明する。本発明の開示の概念の多くの他の実施が可能であり、本発明の開示の実施によって様々な利点を達成することができることを認めなければならない。
【0024】
例示的汚染物質採取の概要
図1は、
図2A~
図2C及び
図4A~
図6Eに示すもの等であるがこれらに限定されない本発明の開示によるシステム汚染物質採取デバイスを使用した検査方法100の例示的段階を示している。
図1の描いたブロックのうちの1つ、一部、又は全ては、アッセイキット及び/又は採取キットのパッケージング又は指図資料上にグラフィカル指図として印刷することができ、又はアッセイ読取器デバイス、検査区域端末、又はユーザのパーソナルコンピュータデバイスの表示画面のグラフィカルユーザインタフェース上に提示することができる。
【0025】
ブロック105では、ユーザは、サンプルの場所を識別し、採取キット及び保護着用具を含む検査備品を揃えることができる。採取キットは、例えば、密封パッケージ内の本明細書に説明する細長ハンドル上にスワブ材料を含む採取デバイスを含むことができる。一部の例では、スワブは、緩衝溶液で事前湿潤され、密封ポーチ内にパッケージ化される。一部の実施では、取り外し可能キャップが、使用前のスワブ材料を密封することができる。アッセイカートリッジは、ハンドルの一部又は全てを形成することができる。アッセイカートリッジは、アッセイデバイスの反応ゾーンに位置合わせされた窓又はポートを有するカートリッジの内側に収容されたこのアッセイデバイスを含むことができる。一実施では、アッセイデバイスは、例えば、検査ストリップであるが、横方向流れアッセイ検査ストリップに限定されない。更に、ブロック105では、ユーザは、面上の潜在的な汚染からユーザを保護することと、ユーザの手の上のあらゆる汚染から採取デバイスを保護することの両方のために、各サンプリング及び/又は採取キットの開封の前に清潔な手袋を着用することができる。採取キットは、検査面上で検査される区域を境界設定するためのテンプレートを含むことができるが、一部の例ではテンプレートは個別に提供することができる。採取キットは、検査面を湿潤するための追加の緩衝流体を含むことができるが、一部の例では、これは、事前湿潤されたスワブ材料上に提供することができる。
【0026】
ブロック110では、ユーザは、検査面上で検査区域を確立することができる。例えば、ユーザは、拭き取されることになる区域を明確に境界設定するために意図する場所の上にテンプレートを配置することができる。テンプレートは、図示のように物理的テンプレートとすることができ、又は拡張現実(例えば、スマート眼鏡、ヘッドアップディスプレイ、検査面上への投影)によって提供することができる。同様に、ブロック110では、ユーザは、一体化されたスワブ及びアッセイカートリッジを開封する段階を含む採取キットパッケージを開封する段階を行うことができる。検査区域は、一部の実施形態では、例えば、12インチ×12インチ(144平方インチ)の領域として境界設定された1平方フィートとすることができる。他の例は、より大きい区域又は10インチ×10インチ、8インチ×8インチ、6インチ×6インチ、及び4インチ×4インチを含むより小さい区域、非正方形の四角形領域(例えば、9インチ×16インチの矩形)、並びに非四角形領域(例えば、円)を採取に向けて使用することができる。様々な検査面での使用に向けて様々なサイズのテンプレートを指定することができる。使用される特定のテンプレートは、例えば手動ユーザ入力により、又は読取器デバイスが走査するテンプレート上のバーコード又は他の識別パターンによって読取器デバイスに示すことができる。例えば、調理台をサンプリングする用途に向けて、12インチ×12インチの領域の拭取区域を提供するテンプレートを示すことができ、それに対してIVポールを拭き取るためにより小さい拭取区域を境界設定するより小さいテンプレートを示すことができる。読取器デバイスは、サンプリング手順に向けて使用される特定のテンプレートに示す実際の検査されている区域を考慮するように検査結果計算を調節することができる。
【0027】
ブロック115では、ユーザは、事前湿潤スワブで検査区域全体を拭き取ることができる。ユーザは、検査区域をゆっくりとした着実なストロークを使用して拭き取ることができる。図示のように、ユーザは、検査区域の幅の端から端まで検査区域の高さに沿って直線でスワブを念入りに進めることができる。拡張現実テンプレートを使用する実施形態では、既に拭き取った検査領域の部分、拭き取り予定の検査領域の部分、及び1又は2以上の拭き取りパターンの視覚表示をユーザに提供することができる。ユーザが面を拭き取る時に、採取デバイスのスワブ材料は、汚染物質粒子及び/又は検査面上に設けられたいずれの緩衝液も捕捉することができる。拭き取りが完了した後に、ユーザは、例えば、アッセイカートリッジ及び/又はハンドルに係合する及び/又はスワブ材料を密封するキャップを付加することにより、採取デバイスの露出スワブ材料を密封することができる。任意的に、キャップは、採取された汚染物質を下流にアッセイデバイスまで洗い流すための追加の量の緩衝溶液と、この緩衝溶液をスワブ材料上に放出するための機構とを含むことができる。
【0028】
ブロック120では、ユーザは、タイマーを使用してサンプルがある期間にわたって発現することを可能にすることができる。例えば、サンプルは、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、又はいずれかの他の時間量にわたって発現することができる。他の発現時間が可能である。一部の実施形態では、タイマーは、アッセイを読み取る読取器デバイスのプログラム内に組み込むことができる。発現時間は、実施されている特定の検査及びアッセイデバイスの特定の作動パラメータに依存して異なる場合がある。一部の実施形態では、拭き取り中に少なくとも一部の液体をスワブ材料からアッセイデバイスに移送することができ、発現時間は、ブロック115で面を拭き取るのに要する時間の一部又は全てを含むことができる。一部の実施形態では、ブロック115での拭き取り中に、バルブ又は易壊性シールは、アッセイデバイスを採取された液体から隔離することができ、拭き取りの完了後に、ユーザは、液体をスワブ材料からアッセイデバイスに移送するためにこのシールを破断又は開封させることができる。そのような実施形態では、発現時間は、拭き取り時間のいずれも含まない場合がある。
【0029】
ブロック125では、ユーザは、アッセイカートリッジをアッセイ読取器デバイスの中に挿入することができる。アッセイカートリッジは、デバイスの作動モードに依存してサンプルが発現する前又は後に読取器デバイスの中に挿入することができる。一部の実施形態では、ユーザは、サンプル面の様々な態様を検査するために又は検査結果の再現性を保証するために複数のカートリッジを順次挿入することができる。ブロック125に示すカートリッジは、スワブ材料を有するように示されていないが、一部の実施形態では、カートリッジが読取器デバイスの中に挿入される時に(一体化されたスワブ材料の反対の端部を通じて)、一体化されたスワブ材料は、カートリッジに固定されたままに留まることができることは認められるであろう。
【0030】
ブロック130では、アッセイ読取器デバイスは、挿入されたカートリッジの一部分を読み取り(例えば、カートリッジに含まれた検査ストリップの取り込みゾーンの露出区域からの光信号を検出する段階を含む)、検査ゾーンの場所及び任意的に対照ゾーンの場所への光学変化を決定するために信号を分析し、光学変化に基づいて結果を決定し、それをユーザに対して表示する。デバイスは、任意的に結果を格納するか又はネットワーク上で集中データリポジトリに送信することができる。図示のように、デバイスは、サンプル内のドキソルビシンの存在に関して陰性の結果を表示する。他の実施形態では、デバイスは、サンプル内の特定の検出濃度レベル、及び/又は検査区域に関して決定された特定の検出濃度レベルを表示することができ、任意的に決定結果の信頼値を表示することができる。
【0031】
検査後に、ユーザは、採取デバイス及びアッセイを廃棄することができる(例えば、有害廃棄物規制法に準拠して)。任意的に、ユーザは、読取器デバイスをその電源に接続し、いずれかの必要な除染手順を実行し、除染された面を再検査し、所要の結果報告を実施することができる。
図1には例示していないが、更に別の段階は、検査ストリップの分析を実施するように読取器デバイスを作動させる段階を含むことができる。読取器デバイスの中に挿入されたカートリッジの例を
図3Aに示しており、検査結果を表示する読取器デバイスの例を
図3Bに示している。
【0032】
図2A~
図2Cは、一体化されたスワブ及び検査ストリップを有する採取デバイスを処理100の様々な部分中に使用する例示的段階を示している。具体的には、
図2Aは、ユーザが本発明の開示の一実施による採取デバイス200を把持している場所を示している。採取デバイスは、一体化されたスワブハンドル/アッセイカートリッジ225を含む。
図2Aは、ユーザが225の遠位端215からキャップ205を取り外してスワブ材料210を露出させる場所も示している。この段階は、検査方法100のブロック115の前に行うことができる。更に、
図2Aは、一体化されたスワブハンドル/アッセイカートリッジ225の中に閉じ込められた検査ストリップの反応ゾーンを観察するための一体化されたスワブハンドル/アッセイカートリッジ225内の窓220を示している。
図2Bは、検査方法100の例えばブロック115中にスワブ材料210が検査面230に付加された状態でユーザが一体化されたスワブハンドル/アッセイカートリッジ225を把持している場所を示している。
図2Cは、ユーザが拭き取りの完了後、例えば、検査方法100のブロック115の後にキャップ205が再付加された採取デバイス200を把持している場所を示している。下記では、一体化されたスワブ及び検査ストリップを有する採取デバイスの更なる詳細を説明する。
【0033】
図3A及び
図3Bは、本明細書に説明する有害汚染検出キットに含めるか又はそれと併用することができる例示的読取器デバイス300を示している。
図3Aは、アッセイカートリッジ330がカートリッジ受け入れ開口305の中に挿入された読取器デバイス300を示しており、
図3Bは、カートリッジが挿入されていない読取器デバイス300を示している。アッセイカートリッジ330の例は、
図2A~
図2C及び
図4A~
図6Eに示す一体化されたハンドル及びカートリッジを含むがこれらに限定されない。
【0034】
読取器デバイス300は、アッセイ検査ストリップ及びカートリッジ330を受け入れるための開口305を有するアッセイ読取器デバイスとすることができる。開口305はまた、デバイス300の内側に位置付けられた撮像構成要素の光路に検体結合領域が位置決めされるように検査ストリップを位置決めするように構成することができる。デバイスは、例えばどの撮像技術及び分析が実施されるかを識別するためのカートリッジ上のバーコードを撮像するためにこれら又は、追加の撮像構成要素を使用することができる。
【0035】
デバイス300の一部の実施形態は、例えば、1又は2以上のバーコードを撮像するためのバーコードスキャナを使用して初期走査を実施するように構成することができる。バーコードは、実施される検査のタイプ、検査オペレータ、検査の場所、及び/又は施設内の検査面の場所(例えば、薬局、看護区域、キャビネット番号、ベッド番号、椅子番号、ポンプ番号のような)を識別することができる。バーコード識別子を読み取った後に、カートリッジは、
図3Aに示すように続いて読取器の中に挿入される。デバイス300は、使用に向けてデバイスの準備を整え、ユーザがデバイスを作動させるための入力機構を与えるボタン310を有することができる。
【0036】
デバイス300は、指図及び/又は検査結果をユーザに対して表示するディスプレイ315を含むことができる。検査ストリップの挿入後に、デバイス300は、アッセイ検査ストリップ上のバーコードを読み取って薬物の名称及び/又は濃度範囲を識別することができる。デバイス300は、挿入された検査ストリップを撮像し、この検査ストリップ画像を表す信号を分析して結果を計算し、結果をユーザに対して表示し、任意的に結果を送信する及び/又はローカルに格納することができる。結果は、陽性又は陰性(±、真/偽のような)、及び/又は単位面積当たりの実際の汚染(例えば、薬物濃度=0.1ng/cm2)及び/又は単位容積当たりの実際の汚染(例えば、薬物濃度=3ng/ml)の表示を有する汚染として計算及び表示することができる。
【0037】
デバイス300の一部の実施形態は、結果をユーザに対して単純に表示することができる。デバイス300の一部の実施形態は、例えば、USB接続、ネットワーク接続(有線又は無線)、セル電話接続、近距離無線通信、及びBluetooth接続などによって呼び出すことができる内部メモリ内に結果を格納することができる。結果は、施設記録及び追跡システムの中に自動的に記録することができる。デバイス300は、ユーザによる更に別の入力又は命令なく必要に応じていずれかの追加の職員に自動的に警告するようにプログラムすることができる。例えば、デバイス300は、ヒト摂取の閾値よりも高く、かつヒトの接触に対して有害と考えられる汚染レベルを読み取った場合に、迅速な対応を容易にするために主任薬剤師、看護師、管理者、又は安全管理者に結果及び汚染濃度を自動的に通知することができる。この通知は、地理的位置(緯度/経度)又は場所の説明(病院A、病室Bのような)等であるがこれらに限定されない場所情報を含むことができる。この応答は、熟練職員による詳細な除染ルーチン、又は有害汚染検出キットと一緒又は個別に提供される除染キットを使用する段階を含むことができる。
【0038】
一部の実施形態では、デバイス300は、検査ストリップに付加されたサンプル内の微量汚染物質濃度をコンピュータ実行可能命令によって識別するように構成された専用アッセイ読取器デバイスとすることができる。デバイス300の更に別の構成要素に対しては、下記で
図7の概略図に関して議論する。
【0039】
一体化されたスワブ及び検査ストリップを有する例示的採取デバイスの概要
本明細書に説明するように、本発明の開示による汚染物質採取デバイスは、液密移送機構によるスワブ材料からアッセイ検査ストリップへの流体の移送を意味する「閉じたシステム」とすることができる。例えば、スワブ材料と検出デバイス(検査ストリップのような)は、スワブ材料と検査ストリップ(及び採取デバイスのいずれかの介在流路)の間の液密シールを提供するためにハウジング内で互いに流体的に結合することができる。有益なことに、害を及ぼす流体、薬物、又は蒸気をそのような採取デバイス内に完全に閉じ込めて、場合によってユーザに害を与えることになる雰囲気中への発散又は採取器と検査デバイスの間の移送中の溢流を起こさないとすることができる。液密は、採取キットが検出するように設計される汚染物質の特性に依存して液体不透過性、ガス又は蒸気の不透過性、又は両方を有することを意味することができる。有益なことに、液密は、キットのユーザに対する採取デバイスの流体内の潜在的な汚染物質からの保護を提供することができる。
【0040】
本明細書に開示する様々な採取デバイスを時々に相対位置用語を使用して説明する。本明細書に使用する採取デバイスの「上側」面は、検査デバイスの反応ゾーンを通して見ることができる面を意味する。「下側」面は、この上面に反対である。「遠位」端は、拭き取り材料が延び始めるか又は突出し始める採取デバイスの端部を意味する。「近位」端は、遠位端に対向し、一般的に、拭き取り中にユーザの最も近くに配置されることになる端部である。一部の場合に、近位端は、読取器デバイス内への挿入中に前縁又は前面(例えば、採取デバイスの他の縁部又は面の前に読取器デバイスに進入する縁部又は面)を含む。本明細書に説明する採取デバイスの「細長」本体は、本体の長さ(近位端と遠位端の間を延びる)が本体の幅(長さと垂直に上面と下面の間を延びる)よりも大きいことを意味する。例えば、細長本体の長さは、幅よりも2倍、3倍、4倍、又は5倍(又は幅の1よりも大きい別の倍数)大きいとすることができる。しかし、本発明の開示の実施は、
図2A~
図2C及び
図4A~
図6Eを参照して説明する例示的実施の特定の形状、サイズ、及び構成に限定されず、本発明の開示は、他の適切な形状、サイズ、及び構成を有するデバイスに実施することができることは理解されるであろう。
【0041】
アッセイ検査ストリップのような検査デバイスの反応ゾーンは、本明細書に説明する採取デバイスのハウジングを通して目視可能とすることができる。そのような反応ゾーンは、有害汚染物質の存在下で光検出可能な外見変化を生成するように構成することができる。この変化は、下記で説明するように付加サンプル内に有害汚染物質が存在する(又はしない)場合に発現する1又は2以上の光検出可能な線を含むことができる。
【0042】
検査ストリップは、例えば、採取デバイス内の流路が吸収性スワブ材料からの液体サンプルを供給するように構成された場所に配置されたサンプル受け入れゾーンを含むことができる。サンプル受け入れゾーンは、サンプルを均等に分散させて検査ストリップの下流領域に誘導することができる。サンプル受け入れゾーンは、液体サンプルと他のゾーン内の分子の間の相互作用を容易にする化合物(例えば、緩衝塩、界面活性剤、蛋白質のような)を任意的に含むことができる。液体サンプルは、例えば、毛細管作用によって検査ストリップの基板に沿って受け入れゾーンに向けて下流に流れることができる。この流路に沿って、例えば、有色又は蛍光の標識粒子に接合されて、拡散可能に結合された分子を含有する接合放出ゾーンを配置することができる。「拡散可能に結合」という用語は、材料が液体サンプルと接触した時に横方向流れと共に移動するような接合放出ゾーンへの標識接合体の可逆的な付着又は吸着を意味する。接合放出ゾーンは、移動する液体サンプルとの接触時に標識接合体を放出するように構成される。液体サンプル及び標識接合体は、接合放出ゾーンから反応ゾーンに横方向流れ経路に沿って下流に移送することができ、この反応ゾーンでは、1又は2以上の検出ゾーン(一部の例では本明細書で反応ゾーンとも呼ぶ線として形成された)は、その中に不動化され、拡散不能に結合された捕捉試薬を有する。「拡散不能に結合」という用語は、捕捉試薬が不動化され、従って、液体サンプルと接触した時に横方向流れと共に移動しないような検出ゾーンの材料への捕捉試薬の付着を意味する。競合アッセイ実施では、検出線の高い強度が少量のターゲット汚染物質を示すように、標識接合体は、捕捉試薬との結合に関してターゲット汚染物質分子と競合することができる。競合アッセイ実施は、一部の抗癌剤のような小さい分子に適切とすることができる。サンドイッチアッセイ実施では、検出線の高い強度がターゲット汚染物質の多い量を示すように、標識接合体はターゲット汚染物質の第1の部位と結合することができ、ターゲット汚染物質の第2の部位は、検出ゾーン内に不動化された捕捉試薬と結合することができる。
【0043】
図4A~
図4Dは、本発明の開示による一体化されたスワブ材料435及び検査デバイス430を有する採取デバイスの実施形態400を示している。具体的には、
図4Aは、採取デバイス400の前部(遠位端)、上部(上面)、及び側部の斜視図を示しており、
図4Bは、採取デバイス400の前部、底部(下面)、及び側部の斜視図を示している。
図4Cは、キャップのない採取デバイス400の上部、側部の斜視図を示しており、
図4Dは、内側構成要素を見せるために上側カートリッジ部分のない採取デバイス400の上部、側部の斜視図を示している。
図4A~
図4Dに示す採取デバイス400のモデルは、
図2A~
図2Cに示す採取デバイス200に対応することが可能である。下記では、
図4A~
図4Dのうちの特定のものに着目する場合を除き、
図4A~
図4Dを一緒に説明する。
【0044】
採取デバイス400は、一体化されたハンドル及びカートリッジを形成する細長本体405を含む。細長本体405は、互いに結合された上側シェルと下側シェルとで形成することができる。この細長本体405は、検査ストリップ430及び流路495を包囲し、更に、検査面を拭き取る間にユーザが把持するための細長ハンドルを提供するように機能する。細長本体405は、その上面上に検査ストリップ430の検出領域を露出させる開口420を含む。検査ストリップ430の検出領域で発生された信号は、開口420内に窓425を形成する透明又は半透明の材料を通して検出することができる。更に、窓425は、有害汚染物質を含有する液体で飽和状態になる可能性がある検査ストリップ430に対する密封区画を維持する。窓425は平坦とすることができ、又は開口420の輪郭に沿うことができる。一体化されたハンドル及びカートリッジ405は、その下面上に細長本体405が読取器デバイスの中に挿入された時に読取器デバイスの対応する形状の突起又はレールに係合することができる軌道凹部490を含むことができる。軌道凹部490は、採取デバイス400の下面及び近位端498内に形成することができる。他の実施形態では、軌道凹部490は、レール又は軌道で置換することができ、読取器デバイスは、対応する軌道凹部を有する。他の実施形態では、他の適切な位置合わせ特徴部を使用することができる。下面は、読取器デバイスの対応する特徴部に嵌合する追加の機械的特徴部(例えば、溝、戻り止め、突起)を含むことができる。
【0045】
図4A及び
図4Bは、細長本体405の遠位端499に固定されたキャップ410を示している。キャップ405は、ユーザによるその取り外しを容易にするための把持タブ415を含む。キャップ405は、再取り付けクリップ411を更に含む。ユーザがサンプリングに向けてキャップをスナップ切断した時に、使用後にこの小さいクリップによってキャップを再度固定することができる。キャップ410は、
図4C及び
図4Dに見ることができるスワブ材料435を覆い、細長本体405の遠位端499を超えて延びる。一部の実施形態は、スワブ材料435を支持するスキージ及び/又は裏当て材として作用することによってサンプリングを支援することができる半剛性材料シートをスワブ材料435の面の中に又はそれに沿って含むことができる。例えば、細長本体405の上面のレッジ440は、拭き取り中に検査面によってスワブ材料435に対して印加される圧力に対抗し、スワブ材料435を検査面と確実に係合した状態に保つことができる。一部の実施形態では、キャップ410は、細長本体405から切り離し、細長本体405の底部と面一になるようにヒンジ領域で折り畳み、そこに機械的嵌合特徴部を使用して固定することができる。次いで、検査面を拭き取った後にスワブ材料435を再密封するためにキャップ410をその元の位置に折り返すことができる。
【0046】
例えば、
図1に関して上述したように、ユーザは、溶液を使用して検査面を湿潤させ、細長本体405を把持し、スワブ材料435を検査面に沿って押圧することができる。溶液は、採取デバイス400とは個別に提供することができる。この実施では、ユーザは、スワブ材料435から採取されたサンプルを抽出し、サンプルを均一化する段階を実施しなくてもよい。代わりに、検査ストリップ430は、反応ゾーンから離れて、スワブ材料435の中に拡幅される部分を提供する方向にデバイスの長手軸に沿って延ばされた状態にあり、検査ストリップ430は、検出デバイスとして機能するのに加えて採取デバイスとしても機能することを可能にする。従って、スワブ材料435によって捕捉された流体は、例えば、流路495に沿う毛細管作用によって検査ストリップ430(横方向流れアッセイ検査ストリップとすることができる)の中に直接引き込まれる。
図4A~
図4Dの実施形態では、流路495は、スワブ材料435の領域から検査ストリップ430の領域に延びる間断ない材料によって形成される。十分な流体がスワブ材料435によって吸収されると、吸収された流体は、検査ストリップ430を飽和させ始めることができる。従って、検査面の拭き取り中であっても、処理(例えば、検査ストリップ430の中又は上の化合物へのいずれかの採取された汚染物質の結合)を始めることができ、発現(例えば、反応ゾーンでの1又は2以上の光検出可能信号(線のような)の出現)を起こすことができる(吸収された液体の含有物が着目検体を含む場合の検査領域での1又は2以上の光検出可能信号、及び/又は検査ストリップ430が意図した通りに機能することを裏付ける対照領域での1又は2以上の光検出可能信号を含む)。検査ストリップ430上に発生された信号は、結果検証に必要とされる処理時間が完了するまで発現し続けることができる。
【0047】
一部の実施形態では、検査ストリップ430とスワブ材料435は、同じ材料の単一片とすることができる。他の実施形態では、スワブ材料435は、検査ストリップ430に固定された異なる材料片、潜在的には異なるタイプの材料とすることができる。例えば、スワブ材料435は、本明細書に説明する材料を含むがそれらに限定されず、ターゲット汚染物質に対する望ましい捕捉効率及び/又は回収効率を有するあらゆる適切な材料とすることができる。検査ストリップ430は、流路495に関して示した方向の毛細管作用によって流体を吸い上げるための構造(例えば、繊維及び/又はチャネル)を有する材料を含むがこれに限定されないあらゆる適切な材料とすることができる。
【0048】
図5A~
図5Gは、本発明の開示による一体化されたスワブ材料535及び検査デバイス530を有する採取デバイスの別の実施形態500を示している。具体的には、
図5Aは、キャップ510が第1の向き515Aにある採取デバイス500の後部(近位端)、上部(上面)、及び側部の斜視図を示しており、
図5Bは、キャップ510が第2の向き515Bにある採取デバイス500の前部(遠位端)、上部、及び側部の斜視図を示している。下記では、
図5A及び
図5Bのうちの特定のものに着目する場合を除き、
図5A及び
図5Bを一緒に説明する。
【0049】
採取デバイス500は、一体化されたハンドル及びカートリッジを形成する細長本体505を含む。細長本体505は、互いに結合された上側シェル506Aと下側シェル506Bとで形成することができる。この細長本体505は、検査ストリップ530及び流路595を包囲し、更に、検査面を拭き取る間にユーザが把持するための細長ハンドルを提供するように機能する。細長本体505は、その上面上に検査ストリップ530の検出領域を露出させる開口520を含む。検査ストリップ530の検出領域で発生された信号は、開口520内に窓525を形成する透明又は半透明の材料を通して検出することができる。更に、窓525は、有害汚染物質を含有する液体で飽和状態になる可能性がある検査ストリップ530に対する密封区画を維持する。窓525は平坦とすることができ、又は開口520の輪郭に沿うことができる。一体化されたハンドル及びカートリッジ505は、その下面上に細長本体505が読取器デバイスの中に挿入された時に読取器デバイスの対応する形状の突起又はレールに係合することができる軌道凹部590を含むことができる。軌道凹部590は、採取デバイス500の下面及び近位端598内に形成することができる。他の実施形態では、軌道凹部590は、レール又は軌道で置換することができ、読取器デバイスは、対応する軌道凹部を有する。他の実施形態では、他の適切な位置合わせ特徴部を使用することができる。下面は、読取器デバイスの対応する特徴部に嵌合する追加の機械的特徴部(例えば、溝、戻り止め、突起)を含むことができる。
【0050】
図5A及び
図5Bは、細長本体505の遠位端599に固定されたキャップ510を示している。キャップ510は、付加された時にスワブ材料535を覆い、細長本体505の遠位端599を超えて延びる。キャップ510は、スワブ受け入れ部材540を含む。
図5Aでは、キャップ510は第1の向き515Aにあり、それに対して
図5Bでは、キャップ510は、第1の向き515Aと比較して反転した(例えば、キャップ510の長手軸線の周りに180度回転された)第2の向き515Bにある。下記でより詳細に説明するように、この向きの変化は、ある一定の有用性を提供する。第1の向き515Aでは、スワブ材料535(
図5Aでキャップ510を通して見ることができる)は、スワブ受け入れ部材540の面に当接し、それによって細長本体505の遠位端599がキャップ510の中に完全に延びるのが防止される。これは、出荷及び保管中にスワブ材料535が汚染から保護される。ユーザは、キャップが第1の向き515Aにある状態でデバイスを受け入れ、キャップ510を取り外し、本明細書に説明するように拭き取りを実施し、次いで、キャップが最初にデバイスに取り付けられていた時にあった位置から180度回転された第2の向き515Bにキャップを再付加することができる。第2の向き515Bでは、スワブ材料535(
図5Bでは見ることができない)は、スワブ受け入れ部材540によって完全に受け入れられ、細長本体505の遠位端599は、キャップ510の中に完全に延びる(例えば、その可能な最大距離まで)。この完全な延びにより、溶液を閉じ込めているシールをスワブ材料が破断すると、スワブ材料535はキャップ内に貯留された溶液で洗い流される。一部の場合に、キャップ510はスワブ受け入れ部材540を含まなくてもよく、又はこの例示的実施の場合とは別様に成形及びサイズが決定されたスワブ受け入れ部材540を含むことができることは理解されるであろう。一部の実施では、キャップ510は、細長本体505の上面上の戻り止め550に係合するタブ555を含む。キャップ510の構造及びその向きの更なる詳細を
図5E~
図5Fに関して説明する。
【0051】
図5Cは、内側構成要素を見せるために上側カートリッジ部分506Aを持たない(下側カートリッジ部分506Bのみを有する)採取デバイス500の上面図を示している。更に、
図5Cは、キャップ510のない採取デバイス500を示し、どのようにスワブ材料535が検査ストリップ530の反応ゾーンから離れる方向に細長本体505の遠位端599から延びるかを示し、どのようにスワブ材料535が減幅遠位端536を有することができるかを示している。一部の実施形態は、スワブ材料535を支持するスキージ及び/又は裏当て材として作用することによってサンプリングを支援することができる半剛性材料シートをスワブ材料535の面の中に又はそれに沿って含むことができる。
図5Dは、スワブ材料535と、それを保持するように構成された保持部材560と、検査ストリップ530とを示している。下記では、
図5C及び
図5Dのうちの特定のものに着目する場合を除き、
図5C及び
図5Dを一緒に説明する。
【0052】
図5Cに示すように、検査ストリップ530は、細長本体505のエンクロージャ570に含まれる。エンクロージャ570は、上側カートリッジ部分506Aの内面と、下側カートリッジ部分506Bの内面と、保持部材560の内面とによって形成された細長本体505の内部キャビティと考えることができる。エンクロージャ570は、細長本体505内に例えば液密方式で実質的に密封することができる。「実質的に密封」は、どのようにエンクロージャ570がその内部からの潜在的に汚染された流体の放出を防ぐように設計されても、依然としてスワブ材料535からエンクロージャ570の中に入って検査ストリップ530に接触する流体の通過を可能にする流路595を含むことを意味する。例えば、エンクロージャ570は、上側カートリッジ部分506Aと下側カートリッジ部分506Bの間の継ぎ目又は接合部に沿って液密シールを有することができ、更に細長本体505の遠位開口で上側カートリッジ部分506Aと下側カートリッジ部分506Bと保持部材560の間の継ぎ目又は接合部に沿って液密シールを有することができる。チャネル565は、スワブ材料535内の流体が検査ストリップ530まで流れることを可能にする。キャップ510(
図5C及び
図5Dには示していない)は、スワブ材料535から採取デバイス500の環境内への液体の放出を防止することによってエンクロージャ570の周りの密封を完全にすることができる。
【0053】
保持部材560は、スワブ材料を細長本体505に結合し、更にスワブ材料535と検査ストリップ530の間の流路595を提供する。具体的には、保持部材560は、スワブ材料535の近位部分を把持する凹部564を形成する遠位カラー563を含む。保持部材は、遠位カラー563から離れるように延びて凹部564から検査ストリップ530に隣接するように配置された開口562に至るチャネル565を形成する流体移送部材561を含むことができる。保持部材560は、この例に関して説明する特定の構成に限定されず、スワブ材料535と検査ストリップ530の間の流路595を提供する様々な構造を使用して実施することができることは理解されるであろう。
図5Gに関して下記でより詳細に説明するように、キャップ510が第2の向き515Bに細長本体505に対して押圧された時に、この押圧はスワブ材料535の圧縮を提供することができ(かつスワブ材料535の中に追加の流体を放出することができ)、流路595に関して示す方向に流体がチャネル565を通して押される。遠位カラー563は、キャップ510の内部特徴部に係合する(かつ一部の例ではそれとのシールを形成する)輪郭面566を含むことができる。従って、保持部材560は、スワブ材料535を固定し、流体がスワブ材料535から検査ストリップ530に沿って進行することを可能にする流路595を設け、更にエンクロージャ570の中に至る流路595を取り囲むシールを形成する。
【0054】
ユーザは、キャップ510が第1の向き515Aに付加された状態でパッケージ化された採取デバイス500を受け入れることができる。
図5Aに示すように、この第1の向き515Aでは、キャップ510は、細長本体505の上面上の戻り止め550に係合することができない。スワブ材料535は、例えば、検査面からのターゲット汚染物質の捕捉効率を最適化するように設計された液体で事前湿潤させることができる。第1の向き515Aでは、キャップ510は、スワブ材料535をその事前湿潤状態に維持するために上側及び下側のカートリッジ506A、506Bとのシールを形成することができる。例えば、
図1に関して上述したように、ユーザは、キャップ510を取り外し、湿潤スワブ材料を検査面に沿って進めることができる。採取手順が完了した後に、ユーザは、キャップ510を細長本体505上に第2の向き515Bに付け戻すことができる。この第2の向き515Bでは、下記でより詳細に説明するように、キャップの中に貯留された追加の流体がスワブ材料535上に放出され、それによってこの流体は過飽和になり、チャネル565を通る流路595に沿って検査ストリップ530に放出される。
【0055】
図5E~
図5Fは、どのようにキャップ510がスワブ材料535を圧縮し、それと共にスワブ材料535がサンプルを採取するのに使用された後にスワブ材料535を通して追加の溶液を流すように構成されるかを示している。
図5Eは、キャップ510及びその内部内に配置されたスワブ受け入れ部材540の斜視図を示している。スワブ受け入れ部材540は、キャップ510の内壁に係合するリップ543を有する。リップ543は、スワブ保持部材560の輪郭面566の形状に適合するように成形された輪郭面548を含むことができる。輪郭面566との密封を行うために、輪郭面566に沿ってガスケット544が配置される。描く例では、ガスケット544及び輪郭面548はアーチ形であるが、他の実施では、特定の設計が異なることが可能である。
【0056】
この例では矩形チューブとして形成された壁546は、リップ543から離れるように延びて、キャップ510が細長本体505に第2の向き515Bに付加された時にスワブ材料535を受け入れるようにサイズ決定及び配置されたスロット542を形成する。他の設計では、壁546は、スロット542の形状がスワブ材料535の外部形状にほぼ対応するような他の幾何学形状を取ることができる。一部の実施では、スロット542は、スワブ材料535がスロット542の中に挿入される時に液体がスワブ材料535を通って後ろ向きに移動することを促進するようにスロット542の長さに沿って(例えば、採取デバイス500の遠位端599から採取デバイス500の近位端598に向う方向に)減幅することができる。
【0057】
スロット542の遠位端に開口545が形成される。
図5Eでは、開口545は、易壊性シール541によって覆われている。易壊性シール541は、スワブ材料535からのある一定量の力の印加時に穿通する、破断する、又は壁546から切り離すことができる液密材料から形成することができる(
図5Gに関してより詳細に説明するように)。シール541が開くと、流体は、リザーバ513からスロット542(及びスロット542に配置されたいずれかのスワブ材料535)の中に流れ込むことができる。
【0058】
スワブ受け入れ部材540は、キャップ510の本体とは個別に製造される構成要素とすることができ、キャップ510の中にその近位開口514を通して挿入することができる。キャップ510は、スワブ受け入れ部材540をキャップ510内の適正位置に保持する(例えば、スワブ材料535がスロット542内に受け入れられることになるように配置された)レッジ511を有することができる。例えば、キャップ510のリザーバ513には、液体、例えば、採取された汚染物質をスワブ材料535から洗い流すように設計された緩衝溶液を充填することができ、次いで、スワブ受け入れ部材540は、開口545を密封する易壊性シール541と共にキャップ510の中に挿入することができる。これは、易壊性シール541が破断されるまでキャップのリザーバ513内に液体を密封することができる。定位置に達すると、スワブ受け入れ部材540は、圧力、接着剤、超音波溶接、及び機械的ファスナを含むがこれらに限定されない適切な手段を使用して定位置に固定することができる。
【0059】
更に
図5Eは、タブ555の構造をより詳細に示している。タブ555は、上側カートリッジ部分506Aに対面する面上に突起558を含む。突起558は、キャップ510が細長本体505上に挿入される時に近位に向く傾斜又は湾曲した面556と、キャップ510が細長本体505上に挿入される時に遠位に向く平坦な面557とを有する。第2の向き515Bにある時にキャップ510を定位置にスナップ係止するために及び/又はキャップ510を細長本体505にロックするために、この形状は、細長本体505上の戻り止め550の形状に対応することが可能である。タブ555の他の構成を本発明の開示の実施形態では適切に実施することができることは理解されるであろう。
【0060】
図5Fは、他の構成要素を見ることを容易にするためにスワブ材料535を省略した採取デバイス500の遠位端599の断面図を示している。この図では、キャップ510は、細長本体505に第2の向き515Bに完全に付加されている。この断面図は、どのように保持部材560の凹部564が開口545に向けて減幅する(漸進的に小さくなる断面を有する)かを示している。更に、この断面図は、キャップ510が細長本体505に第2の向き515Bで付加される時にどのように保持部材560の凹部564がスワブ受け入れ部材540のスロット542に位置合わせするかを示している。リザーバ513は、細長ハンドル505の上面と下面の間の座標軸に沿って高さHを有する。この高さHは、同じ座標軸に沿う細長ハンドル505の高さに対応することが可能である。
図5Fに示すように、スロット542と凹部564は、高さHに沿って垂直にオフセットされる(例えば、中心に置かれない)。このオフセットは、キャップが第1の向き515Aにある時に、凹部564から延びるスワブ材料とスロット542の間に不整合をもたらし、それによってスワブ材料535は、スロット542に進入するのではなくリップ543に当接する。これは、キャップが第1の向き515Aに付加される時に、スワブ材料535が易壊性シール541を破断することを防止することができる。キャップ510が細長本体505に第2の向き515Bに付加される時に凹部564の垂直オフセットと高さHに沿うスロット542の垂直オフセットとが互いに位置合わせするように、これらのオフセットは同じとすることができる。
【0061】
この例では、キャップ510は矩形断面を有し、第2の向き515Bは、第1の向き515Aに対するキャップ510の180度の回転(キャップの長さ座標軸の周りのキャップの長手軸の周りの)後のキャップの再付加を表している。他の実施は、第1の向き515Aからの他の回転が第2の向き515Bを提供するようにキャップ510と細長本体505の遠位端599とを構造化することができる。例えば、別の実施では、キャップ510は、正方形、円形、又は他の回転対称の断面を有することができ、第1の向き515Aから第2の向き515Bに切り換えるために360度よりも小さい度数だけ回転させることができる。
図5Fは、スロット542と凹部564との接合によって形成された余空間をどのようにガスケット544が密封することができるかを示している。有益なことに、この密封は、スワブ材料535によって採取されたあらゆる汚染物質を密封されたエンクロージャ570の中に隔離し、採取デバイス500の環境及び/又はユーザを潜在的に有害な化合物への露出から保護することができる。
【0062】
図5Gは、スワブ材料535を有し、キャップ510が細長本体505に第2の向き515Bに完全に付加された採取デバイス500の遠位端599の断面図を示している。更に、
図5Gは、
図5F~
図5Gに示す採取デバイス500の高さ(H)、長さ(L)、及び幅(W)に対応する座標軸を描く凡例580を含む。この断面図は、受け入れ部材540に対するスワブ材料535の位置決めを示している。
図5Gは、元の非圧縮形状にあるスワブ材料535を示しており、従って、スワブ材料535は、スロット542の減幅に起因して受け入れ部材540と空間的に重なるように見える。使用時にスワブ材料535がスロット542の減幅に対応するように圧縮されることになることは認められるであろう。更に、スワブ材料535の長さはスロット542と凹部564との組合せの長さよりも大きく、従って、減幅遠位端536は、易壊性シール541の位置を遠位に超えて延びる。これは、易壊性シール541を破断するか又は他に開き、リザーバ513の流体をスワブ材料535の中に放出することができる。減幅遠位端536は、減幅スロット542内へのスワブ材料535の挿入を容易にすることができる。従って、
図5Gに示す第2の向き515Bのキャップ510の付加は、スワブ材料535の洗い流し(シール541を破断することによる)と、検査ストリップ530上にチャネル565を通る流体(及びいずれかの採取された汚染物質)の流れを促進するためのスワブ材料535の圧縮との両方を有益に提供する。
【0063】
上述のように、検査ストリップ530は、検査結果の観察までの予め決められた発現時間を有することができる横方向流れアッセイ検査ストリップとすることができる。一部の実施形態では、この発現時間は、第2の向き515Bのキャップ510の付加時に開始することができ、それによって液体がスワブ材料535を洗い流し、いずれの採取されたサンプルも検査ストリップ530に移送する。発現時間の後に、ユーザ及び/又は読取器デバイスは、検査ストリップ530の検出領域を観察し、例えば、検出領域内に発現する線の本数及び/又は強度に基づいて検査面でのターゲット汚染物質の存在及び/又は濃度を決定することができる。
【0064】
図6A~
図6Eは、本発明の開示による一体化されたスワブ材料635及び検査デバイス630を有する採取デバイスの別の実施形態600を示している。具体的には、
図6Aは、キャップ610が付加された採取デバイス600の前部(遠位端)、上部(上面)、及び側部の斜視図を示し、
図6Bは、スワブ材料635を露出させるためにキャップ610が取り外された採取デバイス600の前部、上部、及び側部の斜視図を示している。下記では、
図6A及び
図6Bのうちの特定のものに着目する場合を除き、
図6A及び
図6Bを一緒に説明する。
【0065】
採取デバイス600は、一体化されたハンドル及びカートリッジを形成する細長本体605を含む。細長本体605は、互いに結合された上側シェル606Aと下側シェル606Bとで形成することができる。この細長本体605は、検査ストリップ630及び流路を包囲し、更に、検査面を拭き取る間にユーザが把持するための細長ハンドルを提供するように機能する。細長本体605は、その上面上に検査ストリップ630の検出領域を露出させる開口620を含む。検査ストリップ630の検出領域で発生された信号は、開口620内に窓625を形成する透明又は半透明の材料を通して検出することができる。更に、窓525は、有害汚染物質を含有する液体で飽和状態になる可能性がある検査ストリップ630に対する密封区画を維持する。窓625は平坦とすることができ、又は開口620の輪郭に沿うことができる。一体化されたハンドル及びカートリッジ605は、その下面上に細長本体605が読取器デバイスの中に挿入された時に読取器デバイスの対応する形状の機械的特徴部に係合することができる機械的特徴部(図示せず)を含むことができる。
【0066】
スワブ材料635は、保持部材660によって固定される。カラー650は、保持部材660を細長本体605に固定する。
図6D及び
図6Eに関して説明するように、ユーザがカラー650(及び固定された保持部材660及び任意的にキャップ610)を採取デバイスの近位端698に向けて移動することができるように、カラー650は、細長本体605と摺動可能に係合させることができる。一部の実施形態では、カラー650、保持部材660、及びスワブ材料635(任意的に、固定されたキャップ610と共に)を細長本体605から解除するために、ユーザがボタン651を押下することができる。ユーザは、採取デバイス600を採取部分(カラー650、保持部材660、スワブ材料635、及び任意的にキャップ610を含む)と、検査部分(細長本体605及び検査ストリップ630を含む)とに分離することができる。有益なことに、この分離は、ユーザが別の検査ストリップ630A(例示していない)を含む異なる細長本体605Aにカラー650を接続し、例えば、同じ採取されたサンプルを複数の検査ストリップに付加することを可能にすることができる。
図6D及び
図6Eに関してより詳細に説明するように、採取部分及び検査部分のうちの一方又は両方は、これらの内部エンクロージャが検査部分からの採取部分の切り離し中に密封されるように密封特徴部を有することができる。有益なことに、この密封特徴部は、切り離し中及び分離部分が取り扱われる時に潜在的に有害な汚染が溢流することを防止することができ、あらゆる追加の採取されたサンプルを採取部分の中に維持することができる。
【0067】
図6Cは、内側構成要素を見せるために上側カートリッジ部分606Aを持たない(下側カートリッジ部分606Bのみを有する)採取デバイス600の上面図を示している。更に、
図6Cは、キャップ610が取り外された採取デバイス600を示し、どのようにスワブ材料635が細長本体605の遠位端699から延びるかを示している。一部の実施形態は、スワブ材料635を支持するスキージ及び/又は裏当て材として作用することによってサンプリングを支援することができる半剛性材料シートをスワブ材料635の面の中に又はそれに沿って含むことができる。保持部材660は、スワブ材料635を細長本体605に結合する。
【0068】
図6Cに示すように、検査ストリップ630は、細長本体605のエンクロージャ670に含まれる。エンクロージャ670は、上側カートリッジ部分606Aの内面と、下側カートリッジ部分606Bの内面と、保持部材660の内面とによって形成された細長本体605の内部キャビティと考えることができる。エンクロージャ670は、細長本体606内に例えば液密方式で実質的に密封することができる。「実質的に密封」は、どのようにエンクロージャ670がその内部からの潜在的に汚染された流体の放出を防ぐように設計されても、依然としてスワブ材料635からエンクロージャ670の中に入って検査ストリップ630に接触する流体の通過を可能にする流路(
図6C及び
図6Eに示す第2の部分695B)を含むことを意味する。例えば、エンクロージャ670は、上側カートリッジ部分606Aと下側カートリッジ部分606Bの間の継ぎ目又は接合部に沿って液密シールを有することができ、更に細長本体605の遠位開口で上側カートリッジ部分606Aと下側カートリッジ部分606Bと保持部材660との間の継ぎ目又は接合部に沿って液密シールを有することができる。
【0069】
図6D及び
図6Eに関してより詳細に説明する投与機構680は、スワブ材料635から溶離した流体を流路の第2の部分695Bに沿って検査ストリップ630に選択的に通過させる。投与機構680は、スワブ材料635からの流体を受け入れるために開くことができ、「流体進入」構成にある時に流路の第2の部分695Bをエンクロージャ670内に密封することができる。更に、投与機構680は、スワブ材料635をエンクロージャ670から完全に密封し(例えば、流体的に隔離し)、「流体送出」構成にある時にエンクロージャ670内への流路を開くことができる。
【0070】
更に
図6Cは、キャップ610のスワブ受け入れ部材640を示している。スワブ受け入れ部材640は、キャップ610が保持部材660に付加された時にスワブ材料635を受け入れるようにサイズ決定及び配置される。キャップ610内に形成されたリザーバ613は、スワブ材料635からの採取された汚染物質の回収を促進するように設計された液体、例えば、緩衝溶液を保留することができる。ユーザがポンプボタン611を作動させると、この作動は、スワブ受け入れ部材640の易壊性シール641(
図6D及び
図6Eで見ることができる)を破断し、それによってスワブ材料635を飽和させることができる。本発明の開示の実施形態は、スワブ受け入れ部材及び/又はリザーバをキャップ内に含まないキャップを使用して実施することができることは理解されるであろう。
【0071】
ユーザは、キャップ610が付加された状態でパッケージ化された採取デバイス600を受け入れることができる。スワブ材料635は、例えば、検査面からのターゲット汚染物質の捕捉効率を最適化するように設計された液体で事前湿潤させることができる。キャップ610は、使用前にスワブ材料635の事前湿潤状態を維持するためにガスケット又は他の密封機構を含むことができる。例えば、
図1に関して上述したように、ユーザは、キャップ610を取り外し、湿潤スワブ材料635を検査面に沿って進めることができる。採取手順が完了した後に、ユーザは、キャップ610を保持部材660上に再度付加し、ポンプボタン611を起動していずれの採取された汚染物質もスワブ材料635から洗い流すことができる。
【0072】
図6Dは、第1の位置にあるカラー650と流体進入構成にある投与機構680とを示す採取デバイス600の遠位端699の断面図を示しており、
図6Eは、流体送出構成にある投与機構680を示す採取デバイス600の遠位端699の断面図を示している。
【0073】
図6D及び
図6Eは、ポンプボタンアセンブリ内にシール612を含むキャップ610の追加の詳細図を示している。キャップ610は、リザーバ613とスワブ材料635の間に配置された易壊性シール641を更に含む。ポンプボタン611は、例えば、ユーザの指によってボタンアセンブリのポンプチャンバ614の中にそれ自体を押し込むことを可能にする変形可能材料とすることができる。ユーザは、リザーバ613内の圧力を増大させてシール641を破断させるためにポンプボタン611を数回押下することができる。ポンプボタン611は、それが解除された時に空気をポンプチャンバ614の中に引き込むことを可能にする通気口(例えば、小さい開口)を含むことができる。フィルタ612は、リザーバ613内のいずれかの液体が採取デバイス600の環境の中に放出されることを防止するためにガス透過液体不透過性材料とすることができる。一部の実施形態では、フィルタ612は疎水性とすることができる。ユーザは、スワブ材料を通して流体を洗い流すために更に数回ポンプボタン611を押下することができる。
【0074】
更に
図6D及び
図6Eは、保持部材660の追加の詳細図を示している。スワブ材料635は、保持部材660のカラー664の中に保持される。保持部材660は、スワブ材料635からそれと検査ストリップ630の間の流路の第1の部分695Aに沿って溶離したいずれの流体も閉じ込めるためにカラー664の近くにサンプル受け入れ袋663を形成する。流路の第1の部分695Aは、スワブ材料635の近位側面と投与機構680の遠位端の間を延びる。カラー664は、流体がスワブ材料635からサンプル受け入れ袋663の中に流入することを可能にする開口661を含む。これらの開口661の間で(かつこれらの開口661から)延びる支持構造体665に沿ってカラー664の近位面上にいくつかのフィン662が配置される。有益なことに、フィン662は、スワブ材料635からサンプル受け入れ袋663の中への溶離した流体内で乱流を助長し、流体を均一な溶液に混合することができる。
【0075】
スワブ材料635を洗い流すためにポンプボタン611を望ましい回数押下した後に、サンプル受け入れ袋663は、いずれの採取された汚染物質も含む実質的に均一な溶液を閉じ込める。この溶液は、投与機構680を通して検査ストリップ630に供給することができる。例えば、ユーザは、カラー650を矢印697の方向に細長本体605に沿って近位に摺動させることができる。これは、カラー650に結合された保持部材660の細長本体605に対する移動を提供することができ、この場合に、保持部材660の動きは、細長本体605の近位端698に向う。カラー650が
図6Dに示す第1の位置から
図6Eに示す第2の位置まで移行し終わるまで、保持部材660の管状端部652は、投与機構680を取り囲む対応する凹部654の中に摺動することができる。
【0076】
投与機構680は、内部管腔686を形成する管状本体681を含むことができる。投与機構を選択的に密封及び開封するために、内部管腔686の中にピストン682を配置することができる。ピストン682は、内部管腔686の内径に実質的に対応する直径を有する拡大遠位端683を有することができ、それによって拡大遠位端683は、流体が内部管腔686の遠位開口に流入することを防止することと、内部管腔686の近位開口を通して流体を押すことの両方を行うことができる。ピストン682は、拡大遠位端683と近位シール684の間を延びる細長長さを有することができる。近位シール684は、
図6Dに示す構成にある時に内部管腔686の近位開口を密封する円盤形部材として形成することができる。ピストン682は、近位シール684に近位開口を密封させる位置に例えばバネ685又は他の付勢要素(例えば、形状記憶合金、磁石)によって付勢することができる。
【0077】
拡大遠位端683は、バネ荷重式であり、かつ事前スリットバルブを通して押すことを目的としたものとすることができる。事前スリットバルブは、保持部材660のアセンブリにシールとして接続することができ、それに対して拡大遠位端683は、カートリッジアセンブリの一部である。上述の押圧の作用は、ストリップを通してかつその上に適正な容積(例えば、一部の実施では75マイクロリットル±50~150マイクロリットル)を投与することができる。保持部材660のロッキング特徴部を解除し、それを保持部材660から離れるように摺動させることにより、保持部材660のアセンブリがカートリッジから解除されることになるようにカラー650を保持部材660に向けて付勢することができる。カラー650は、近位シール684の近くで拡大遠位端683への接続部を有することができ、それによって拡大遠位端683の移動を制御することができる。
【0078】
例示的アッセイ読取器デバイス及び作動の概要
図7は、例示的アッセイ読取器デバイス700の構成要素の1つの可能な実施形態の概略ブロック図を示している。これらの構成要素は、メモリ715、作業メモリ755、カートリッジ読取器735、接続性モジュールインタフェース745、及びディスプレイ750にリンクされ、かつこれらと電子通信しているプロセッサ710を含むことができる。
【0079】
接続性モジュール745は、他のデバイスとの有線及び/又は無線通信のための電子構成要素を含むことができる。例えば、接続性モジュール745は、セルラーモデム、衛星接続部、又はWi-Fiのような無線接続部、又は有線接続部を含むことができる。従って、接続性モジュール745を使用して、アッセイ読取器デバイスは、ネットワーク上でリモートリポジトリにデータを送る又はアップロードする及び/又はリモートリポジトリからデータを受信する機能を有することができる。従って、そのようなアッセイ読取器デバイスの検査データをリモートのデバイス又は職員が個々に又は集約して格納及び分析することができる。アッセイ読取器デバイスによるネットワーク要素又は他の検査デバイスとの直接通信を可能にし、それによってデバイスのユーザによる個別の関与又はアクションを必要とすることなく電子検査結果の送信、格納、分析、及び/又は分配を可能にするために、セルラーモデム又は衛星モデムを有するモジュールは、電話又はセルラーネットワークのような公衆利用可能ネットワークにアクセスするための内蔵機構を提供する。一部の実施形態では、接続性モジュール745は、クラウドデータベース、例えば、サーバベースデータストアへの接続を提供することができる。クラウドベース接続性モジュールは、局在ネットワークインフラストラクチャを必要とすることなくアッセイ読取器デバイスの遍在的な接続を可能にすることができる。
【0080】
カートリッジ読取器735は、挿入されたカートリッジ内に把持されたアッセイ及び任意的に挿入されたカートリッジ上のあらゆる情報、例えば、カートリッジ上に印刷されたバーコードを読み取るための1又は2以上の光検出器740と、挿入されたカートリッジを1又は2以上の波長の光で照明するための1又は2以上の発光デバイス742とを含むことができる。アッセイの検査結果を決定するために、カートリッジ読取器735は、撮像されたアッセイを表す画像データの分析に向けて1又は2以上の光検出器からのこの画像データをプロセッサ710に送ることができる。カートリッジ読取器735は、アッセイを撮像するために及び/又はアッセイの画像データを分析するためにいくつかの自動作動式処理のうちのどれが実施されるかを決定するのに使用するための撮像されたカートリッジを表す1又は2以上の光検出器からの画像データを更に送ることができる。光検出器740は、入射光を表す電子信号を発生するのに適するあらゆるデバイス、例えば、少数の例を挙げればPINダイオード又はPINダイオードアレイ、電荷結合デバイス(CCD)、又は相補的金属酸化物半導体(CMOS)センサとすることができる。カートリッジ読取器735は、カートリッジの挿入を検出するための構成要素、例えば、機械的ボタン、電磁センサ、又は他のカートリッジ感知デバイスを含むことができる。この構成要素からの表示は、デバイス700のユーザからのいずれの更に別の入力又は命令もなしに自動アッセイ読取処理を開始するようにプロセッサ710に命令することができる。
【0081】
下記でより詳細に説明するように、検査結果データを決定及び格納するために、プロセッサ710は、カートリッジ読取器735及び/又は接続性モジュールインタフェース745から受け入れた画像データに対して様々な処理演算を実施するように構成することができる。プロセッサ710は、アッセイ分析機能を実施する汎用処理ユニット又はアッセイ撮像及び分析用途に特化して設計されたプロセッサとすることができる。プロセッサ710は、少数の例を挙げればマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はASICとすることができ、一部の実施形態では複数のプロセッサを含むことができる。
【0082】
図示のように、プロセッサ710は、メモリ715及び作業メモリ755に接続される。図示の実施形態では、メモリ715は、検査結果決定構成要素725と、データ通信構成要素730と、検査データリポジトリ705とを格納する。これらのモジュールは、様々なモジュールインタフェース接続、画像処理、及びデバイス管理タスクを実施するようにデバイス700のプロセッサ710を構成する命令を含む。作業メモリ755は、メモリ715のモジュール内に含まれるプロセッサ命令の作業セットを格納するためにプロセッサ710を使用することができる。これに代えて、作業メモリ755は、デバイス700の作動中に生成される動的データを格納するためにプロセッサ710を使用することができる。
【0083】
上述のように、プロセッサ710は、メモリ715に格納されたいくつかのモジュールによって構成することができる。検査結果決定構成要素725は、アッセイの結果を決定するために光検出器740から受け入れたアッセイ画像データを分析するようにプロセッサ710を構成するサブルーチンを呼び出す命令を含むことができる。例えば、プロセッサは、検査結果を決定するために画像データをいくつかのテンプレート又は事前識別パターンと比較することができる。一部の実施では、検査結果決定構成要素725は、光検出器740からの画像データに対して背景及び非特異的結合に関して補償を行うことによって検査結果の特異度を改善し、偽陽性結果を低減する適応読取処理を実施するようにプロセッサ710を構成することができる。
【0084】
データ通信構成要素730は、ネットワーク接続が利用可能であるか否かを決定することができ、更に定められた職員及び/又はリモートデータベースへの検査結果データの送信を管理することができる。当該時点でデバイス700がネットワークの一部ではない場合に、データ通信構成要素730は、検査データリポジトリ705内への検査結果及び関連情報のローカル格納を提供することができる。一部の場合に、ネットワークへの接続後に格納された検査結果を自動的に送信するようにデバイス700に命令するか又はデバイス700がこの自動送信を行うことができる。デバイス700と別のコンピュータデバイス、例えば、病院、臨床医、又は患者のコンピュータとの間に有線又は無線ローカル接続が確立された場合に、データ通信構成要素730は、リポジトリ705内のデータにアクセスするためにパスワードを提供するようにデバイス700のユーザに催促することができる。
【0085】
プロセッサ710は、例えば、捕捉された画像データ、撮像されたバーコード、検査結果、及びユーザ命令を表示するようにディスプレイ750を制御するように構成することができる。ディスプレイ750は、パネルディスプレイ、例えば、LCD画面、LED画面、又は他の表示技術を含むことができ、更にタッチ感度技術を実施することができる。
【0086】
プロセッサ710は、データ、例えば、捕捉されたアッセイ画像、撮像されたアッセイに関する命令又は情報、及び決定された検査結果を表すデータをデータリポジトリ705に書き込むことができる。データリポジトリ705は、従来のディスクデバイスとしてグラフィカルに表されるが、当業者は、データリポジトリ705をいずれかのストレージ媒体デバイスとして構成することができることを理解すると考えられる。例えば、データリポジトリ705は、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、又は光磁気ディスクドライブのようなディスクドライブ、又はFLASH(登録商標)メモリ、RAM、ROM、及び/又はEEPROMのような半導体メモリを含むことができる。データリポジトリ705は、複数のメモリユニットを含むことができ、これらのメモリユニットのうちのいずれか1つは、アッセイ読取器デバイス700の中に存在するように構成することができ、又はデバイス700の外部に存在することができる。例えば、データリポジトリ705は、アッセイ読取器デバイス700の中に格納されたシステムプログラム命令を含むROMメモリを含むことができる。データリポジトリ705はまた、捕捉された画像を格納するように構成されてデバイス700から取り外し可能とすることができるメモリカード又は高速メモリを含むことができる。
【0087】
図7は、プロセッサとカートリッジ読取器と接続構成要素とメモリとを含む別々の構成要素を有するデバイスを描くが、当業者は、特定の設計目的に対してこれらの別々の構成要素を組み合わせることができることを認識するであろう。例えば、代替実施形態では、コストを節約し、性能を改善するためにメモリ構成要素をプロセッサ構成要素と組み合わせることができる。
【0088】
これに加えて、
図7は、いくつかのモジュールを含むメモリ715と作業メモリを含む個別のメモリ755とを含むいくつかのメモリ構成要素を示すが、当業者は、様々なメモリアーキテクチャを利用する一部の実施形態を認識するであろう。例えば、設計は、メモリ715に閉じ込められたモジュールを実施するプロセッサ命令の格納に向けてROMメモリ又は静的RAMメモリ、デバイスの内部メモリ、及び/又は外部メモリ(例えば、USBドライブ)を利用することができる。プロセッサ命令は、プロセッサ710による実行を容易にするためにRAMの中にロードすることができる。例えば、作業メモリ755は、プロセッサ710による実行の前に命令が作業メモリ755の中にロードされたRAMメモリを含むことができる。
【0089】
例示的ネットワーク接続式検査環境の概要
本発明の開示の態様は、汚染検査データ管理システムに関する。病院及び他のヘルスケア提供環境には、薬物調製システム、面汚染検査、及びヘルスケア従事者安全手順がある。これら3つの分野は、有害薬物へのヘルスケア従事者の露出を低減又は排除し、患者に適正な薬物投与量が与えられることを保証するという共通の目標を有するという点でのみ結び付けられる。本説明の有害汚染検出のキット、システム、及び技術は、これら3つの分野と、感知パターン及び傾向と、意図する従事者のフィードバック及び訓練とをリンクさせることによって既存手法を改善する。投与量調製、職員の活動、及び汚染検査結果に関するデータ間の関係を確立して分析することにより、本発明の開示のシステムは、ヘルスケア従事者及び経営側にリスクの識別、フィードバック、及び訓練を意図する情報を提供することができる。有益な成果は、検査区域内の露出リスクを低減するための挙動及び/又はワークフローの変化を含むことができる。
【0090】
薬局(又は他の臨床現場)の薬物調製ワークフローを支援するためのいくつかの既存ソリューションがある。これらのシステムの各々は、薬物を調合するのに自動の調製段階又は検証段階によって患者の安全を改善するように設計される。化学治療剤のような有害薬物では、微量への露出であっても存在する健康リスクに起因して過誤の余地が殆どないので、これらのシステムは、これらの薬物と共に頻繁に使用される。1つのそのようなシステムは、自動投与量計算、重量に基づく(重量測定による)調製及び検証、一体化された薬物及び消耗品バーコード検証、調合処理の実時間自動情報記録管理、及び段階的調合ガイダンスを実施する。他の例は、投与量調製に使用される製品の画像を取り込むカメラ、及び任意的に段階的ガイダンス及び自動情報記録管理と一体化された重量秤設計を使用することができる。
【0091】
これらのシステムは、薬物調製のいくつかの態様を自動化することを支援するが、面(例えば、床、壁、フードのような)の汚染検査に関するデータを管理することのような薬局での調製前後の問題を考慮しない。同様に、これらのシステムは、空気検査に関するデータも指先、尿、血液による個人の検査又はいずれかの他の個人の露出モニタからのデータも管理しない。
【0092】
抗癌剤である5-フルオロウラシル、イホスファミド、シクロホスファミド、ドセタキセル、及びパクリタキセルの定量分析を提供するChemoGLO(登録商標)のような企業から面拭き取り検査が利用可能である。例示的既存キットは、6回の面拭き取りを実施するほど十分な材料を含有する。拭き取り物及びサンプルが外部試験所に送られ、3週間から4週間以内に報告が元の検査場所に提供される。そのような検査及び遅れる報告は、薬局内の毎日の活動から切り離された処理である。
【0093】
有害薬物、特に化学治療薬は、薬局内及び他の患者管理現場の面及び空気を汚染し、薬局及び他のヘルスケア従事者に重大な健康リスクを与えることは公知である。更に、米国薬局方(第797章、第28改訂版)は、有害薬物による汚染に関して6ヶ月毎の面サンプリングを推奨している。改善された検査技術、より確実なフィードバック、及び改善された成果により、頻繁な検査がより日常的な活動になることが予想される。
【0094】
図8は、例示的ネットワーク接続式検査システム環境800の高レベル概略ブロック図を示している。ネットワーク接続式検査システム環境800内で汚染検出、リスク識別、フィードバック、及び訓練を改善するために、本明細書に説明する有害汚染検出キットを使用することができる。ネットワーク接続環境800は、ネットワーク上で中央サーバ810と(及び/又は互いに)ネットワーク通信しているユーザインタフェース805と、投与量調製システム820と、面汚染検査825と、報告システム815とを含む。ネットワークは、有線ネットワーク及び/又はセルラー又は他の公衆アクセス可能なネットワーク及びWiFiなどのような無線ネットワークを含むあらゆる適切なデータ伝達ネットワーク又はネットワークの組合せとすることができる。
【0095】
ユーザインタフェース805は、検査オペレータによるシステム対話を支援し、作業区域、例えば、検査環境内又はその近くに位置付けることができる。これは、システムを使用するために検査オペレータが個人用安全機器を取り外す及び再付加する必要なしに対話を容易にする。
【0096】
投与量調製システム820は、重量測定投与量調製システム、秤、ロボット類、又は患者に対する安全な薬物投与量の調製を支援するように設計されたデバイスに関連付けられたハードウエアとすることができる。
【0097】
面汚染検査825は、少なくとも中央サーバ810とネットワーク通信しているローカル検査処理システムを含むことができる。例えば、ローカル検査処理システムは、
図8のアッセイ読取器デバイス800とすることができる。
【0098】
中央サーバ810は、汚染物質検査データの管理に関わるアルゴリズム、判断、規則、及び経験則を実施することができ、更にデータを格納すること(個々に及び集約的に)、データの入力及び/又は出力を取り扱うこと、報告を生成すること、及びユーザインタフェースを提供することなどができる。中央サーバと呼ぶが、これらの機能は、事実上どの場所でも分散様式で実施することができる。
【0099】
報告ユーザインタフェース815は、薬局内の活動と検査結果の間の関係に関する生データ及び処理されたデータをユーザ又は安全管理者に提供することができる。
【0100】
一部の実施では、以上の説明は、薬局、病院、又は他の臨床現場で即時に実施される検査に適用される。しかし、本説明の検査は、瞬時、即時、又は実時間の接続が利用可能なアーキテクチャに限定されない。例えば、ローカル拭き取り検査処理システムが利用可能ではない場合に、リモートシステムからのデータをあらゆる数の方法を使用して中央サーバに送信することができる。検査からの結果は、手動で、電子的に符号化して、又は機械可読フォーマットでインタフェースの中に給送することができる。検査を即時又は後の時点のいずれかを使用して実施するリモート試験所(薬局、病院、又は医院の外部にある)からのデータを入力するためにデータネットワーク(例えば、インターネット、無線、仮想プライベート、クラウドベースの)を使用することができる。即時ローカル汚染検出とリモート検査の間の主な相違点は、潜在的な時間遅延である。上述のように、現在の汚染物質検出は、異なる場所で実施される二段階処理で行われる。最初に、汚染が見込まれる場所で採取が行われる。採取は、時間Aで行われる。次いで、汚染の検出は、汚染から地理的に離れた検査施設で行われる。検出は、採取が行われてから数週間後又は数ヶ月もの後の時間Bで行われる。本発明の開示は、採取デバイスと検出デバイスを1つのキット内に含むシステムを提供する。本発明の開示のキットを使用すると、採取と検出は、汚染が見込まれる場所で行われ、検出は採取の数分以内に行われる。例えば、本明細書に説明するように、容器内の流体の撹拌の直後(例えば、1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、10秒、又は15秒以内等であるがこれらに限定されない数秒以内)に採取された流体をアッセイの上に提供することができる。一部の実施形態では、採取された流体は、アッセイに撹拌後3時間(360分)までにわたって提供することができる。一部の実施形態では、使用に関する指図は、精度が3時間後に低下する場合があるので、採取後3時間を超えた採取流体をアッセイに適用しないというユーザへの勧告を含む。一部の非限定例では、流体がアッセイに追加された後に、完全に発現するのに5分前後を要する場合がある。1つの有利な実施では、アッセイは、その完全な発現の時間付近で検出システムによって読み取られる。従って、一部の実施形態では、本発明の開示のキットは、汚染の存在、不在、及び/又は程度を示す検査結果をサンプリングの完了後2~365分の間に提供することができる。本明細書に説明する検査キットの実施形態の試験所検査は、サンプリングの完了の約5分以内、一部の場合はサンプリングの完了の2分以内という早さで信頼性の高い結果を取得することができることを明らかにした。これは、有害薬物の汚染の存在、不在、及び/又は程度を示す検査結果を取得するのに従来のシステムに優る時間の劇的な改善を表している。
【0101】
本明細書に説明するシステム800の実施形態は、検査環境内で実施される活動を検査結果に直接リンクさせる。例えば、システム800は、汚染物質検査結果をどの時点で活動が実施されたか(例えば、抗癌剤の調製中及び投与中など)に直接リンクさせること、誰がこれらの活動を実施したかに直接リンクさせること(例えば、認証により)、何処でこれらの活動が行われたか(どのフード、隣接する床、空気検査)に直接リンクさせること、及び手動又は自動で記録することができる他の事象(材料の溢流、浪費、又は不適切な廃棄物の廃棄のような)に直接リンクさせることができる。一部の実施形態では、中央サーバ810は、有害汚染レベルの傾向を識別するために関連情報の分析を実施することができ、更にある一定の区域内の有害汚染レベルを防止又は軽減するための勧告を出力することができる。
【0102】
図9は、
図8のシステム800の一部の実施形態で実施することができる検査データ発生、分析、及び報告のための例示的処理900の流れ図を示している。
【0103】
投与量調製システム820は、容積測定、重量測定、写真撮影、又はバーコード走査のうちのいずれであるかに関わらず、特定の薬局フード、他の作業区域、又は診療区域内で調製された全ての投与量、どの時点で投与量が調製及び/又は投与されたか、並びに誰が投与量を調製及び/又は投与したか(例えば、調剤技師のID)の記録を保つ機能を有することができる。上述のように、これらの情報は、汚染検査の結果と相関させることができる。
【0104】
一部の実施形態では、相関アルゴリズムは、検出された汚染をこの汚染を発生させた又はそれに寄与した可能性がある特定の職員と照合することができる。例えば、3人の技師がフード内で作業し、1人だけが化合物xを使用して作業し、汚染検査で化合物xが識別された場合に、化合物xを使用して作業した技師を訓練又は追跡検査のターゲットに定めることができる。
【0105】
一部の実施形態では、相関アルゴリズムは、ある期間にわたって実際に使用された化合物又は直近の汚染検査から使用された化合物に検査を限定することによって汚染検査ガイダンスを提供することができる。複数の可能な汚染物質を選別するのに1よりも多い検査を必要とするシナリオでは、あらゆる数の理由でコストが増加する場合がある。例えば、より多くのサンプルが必要になることに起因して検査を実施するのにより長い期間を要する場合がある。検査を実行するのに要する時間は、より長い場合がある。サンプル調製は、より複雑になる場合がある。各検査は、区分的コストを有する場合があり、従って、検査を調整することによって全体コストを引き下げることができる。有利なことに、投与量調製システムは、特定の場所又はフード内で調製された薬物に関する汚染検査のみを実施するようにユーザ又は自動システムを誘導することができると考えられる。
【0106】
一部の実施形態では、相関アルゴリズムは、フード内で調製された薬物の推測的知識を利用することによって汚染検査の特異度を改善することができる。例えば、汚染検査が陽性の結果を示すが、可能な汚染物質群のうちのどれが実際に識別されたかを示すことができない場合に、フード内で調製された薬物のデータベースにこれらの可能な薬物の全てに関する問い合わせを行うことができ、検査結果を実際に調製されたものに絞り込むことができる。一部の実施では、これらの特定の薬物に関して更に別の検査を実施することができる。
【0107】
一部の実施形態では、相関アルゴリズムは、薬物を調製するのに使用されるデバイスに関連付けられた系統的な問題を決定することができる。薬物調製システムは、薬物調製に使用された製品及びデバイスを表す情報を格納する機能を有することができる。例えば、少数の例を挙げれば、シリンジのタイプ(製造業者、容積のような)、閉じたシステム移送デバイス、コネクタ、スパイク、フィルタ、針、バイアル、及びIVバッグに関する情報を薬物及び希釈剤のデータと共に調製システムデータベースに格納することができる。不合格を特定のデバイスに関連付けてリスク軽減に直接役立てることができる。
【0108】
一部の実施形態では、相関アルゴリズムは、系統的に不合格になり、汚染の検出をもたらした薬物の製造業者、投与量、及び容器を識別することができる。相関アルゴリズムは、汚染を一般的にもたらす再構成段階のような手順を識別することができる。
【0109】
様々な実施形態では、システム800は、これらの分析類の一部又は全てを単独又は組合せで提供することができる。
【0110】
システム800は、条件セットに基づいて開始されるワークフローを実施するように設計することができる。例えば、ワークフローをトリガすることができる1つの条件は、汚染の検出である。下記ではワークフローの例を説明する。
【0111】
除染ワークフローは、以下の手順を含むことができる。システム800は、どの区域で検査が実施されたかに依存して特定の区域をどのように閉じ込めて除染するかをユーザに指図することができる。指図は、オーディオ、テキスト、及びビデオなどを含むことができる。除染後に、ワークフローは、区域が適正に除染されたことを保証するために繰り返し汚染検査を実施することに関する命令に続くことができる。検査が再度不合格になった場合に除染手順を繰り返すことができる。
【0112】
システム800は、ユーザインタフェース805及び/又は投与量調製システム820(又は印刷された指図、他の表示物、音声入出力、指定ユーザへの直接メッセージのようないずれかの他の手段)によって指図を提供するように構成することができる。これらの指図は、ある一定の汚染物質発生源に独特のものであるように構成することができる。
【0113】
別の例示的ワークフローは、除染前の汚染区域の繰り返し検査である。この繰り返し検査は、特定の検査の特異度が高くない場合に有益なワークフローとすることができる。目的は、同じ検査を使用して再検査すること、又は発生源及び/又は汚染レベルが何か/どの程度であるかをより特異的に識別するための追加の試験を実施することとすることができる。続く段階は、上述した特定の除染命令とすることができる。
【0114】
様々なワークフローでは、システム800は、各段階の完了の承認を達成するためにワークフロー中に入力を受け入れる、催促する、及び/又は待つように構成することができる。システム800は、将来の再調査、訓練、情報記録管理、などに向けて写真、ビデオ、オーディオ、付近情報のような除染手順の証跡を取り込むように構成することができる。
【0115】
システム800は、調製問題からのリスクを識別するように構成することができる。例えば、システム800は、薬物調製システムによって既に捕捉されたデータを分析するか又は薬物調製の問題、課題、又は過誤に関するデータを取り込む手段を提供することができる。例えば、材料が浪費されている時に、関わったユーザに、浪費をもたらした溢流又はいずれかの面汚染があったか否かに対して質問することができる。システム800は、浪費が一般的に溢流によって引き起こされている場合に浪費を陽性汚染検査にリンクさせることができる。
【0116】
システム800は、病院、医院、ホスピス環境、及び獣医治療センターを含むがこれらに限定されない非薬局ヘルスケア環境での使用に適応することができる。システム800は、病床、授乳室、投薬(例えば、輸液、注射)室、病室、浴室のような他の患者診療区域に適応することができる。汚染検査は、これらの現場のいずれにおいても実施することができ、このデータをシステム800にフィードバックすることができる。上述のように、検出された汚染は、職員、従った実施要領、特定の薬物、デバイス、場所、及びいずれかの他の着目パラメータと相関させることができる。符号化することができる投薬にまつわるいずれかのパラメータを汚染の存在と相関させてリスク管理者、臨床職員、及び薬局職員にフィードバックを提供することができる。更に、薬局の外部の多くの場所で投与量の調製及び投与が行われる場合があり、これらの区域内でリモート汚染検査の準備及び実行を含む類似のワークフローを使用することができる。
【0117】
システム800によって実施される特定の機能の物理的な場所は、薬局又は病院データセンターに限定されない。データベース、相関させ及び分析、データ入力、データ表示、及び報告などを含むシステム800のいずれかの構造又は機能をいずれかの場所にあるいずれかのシステム内で実施することができる。あるシステムモデルを例えば中央ウェブベースサービスを有することができる。別のモデルをスマート電話、ポケットベル、コンピュータ、ディスプレイ、アプリケーションのようなリモートデバイスを通じたリモート報告通知機能を有することができる。
【0118】
デバイスの供給は、これまでに説明されたシステムのうちのいずれかによって自動化することができる。例えば、薬局には、システム800によって検査キットの再供給を提供することができ、一部の実施形態では、キットの在庫を管理し、在庫品が予め決められたレベルを下回った場合に再供給を開始することによってそのような再供給を自動化することができる。
【0119】
システムの実施及び用語法
本明細書に開示する実施は、抗癌剤又は他の環境汚染物質の存在及び/又は量の検出のためのシステム、方法、及び装置を提供する。当業者は、これらの実施形態をハードウエア、又はハードウエアとソフトウエアの組合せ、及び/又はファームウエアに実施することができることを認識されるであろう。
【0120】
アッセイ読取器デバイスは、1又は2以上の画像センサと、1又は2以上の画像信号プロセッサと、上記で議論した処理を実施するための指図又はモジュールを含むメモリとを含むことができる。デバイスは、データと、メモリから指図及び/又はデータをロードするプロセッサと、1又は2以上の通信インタフェースと、1又は2以上の入力デバイスと、表示デバイスのような1又は2以上の出力デバイスと、電源/インタフェースとを有することができる。更に、デバイスは、送信機と受信機を含むことができる。送信機と受信機を併せて送受信機と呼ぶ場合がある。送受信機は、無線信号を送信及び/又は受信するために1又は2以上のアンテナに結合することができる。
【0121】
本明細書に説明する機能は、プロセッサ可読又はコンピュータ可読媒体上に1又は2以上の命令として格納することができる。「コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータ又はプロセッサがアクセス可能ないずれかの利用可能媒体を意味する。限定ではなく例として、そのような媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、CD-ROM、又は他の光ディスクデータストア、磁気ディスクデータストア、又は他の磁気データストアデバイス、又は望ましいプログラムコードを命令又はデータ構造の形態で格納するのに使用することができ、コンピュータがアクセス可能ないずれかの他の媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、有形又は非一時的とすることができることに注意しなければならない。「コンピュータプログラム製品」という用語は、コンピュータデバイス又はプロセッサをそれらが実行、処理、又は計算することができるコード又は命令(例えば、「プログラム」)と組み合わせたものを意味する。本明細書に使用する「コード」という用語は、コンピュータデバイス又はプロセッサによって実行可能なソフトウエア、命令、コード、又はデータを意味することができる。
【0122】
本明細書に開示する実施形態と関連して説明する様々な例示的論理ブロック及び論理モジュールは、本明細書に説明する機能を実施するように設計された汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラム可能論理部デバイス、個別ゲート又はトランジスタ論理部、個別ハードウエア構成要素、又はこれらのあらゆる組合せのような機械が実施又は実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサとすることができるが、変形では、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械、及びこれらの組合せなどとすることができる。プロセッサは、コンピュータデバイス間の組合せ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1又は2以上のマイクロプロセッサ、又はいずれかの他のそのような構成として実施することができる。本明細書では主としてデジタル技術に関して説明するが、プロセッサは、主としてアナログ構成要素を含むことができる。例えば、本明細書に説明する信号処理アルゴリズムのいずれかをアナログ回路に実施することができる。コンピュータ環境は、少数の例を挙げれば、マイクロプロセッサに基づくコンピュータシステム、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、携帯可能コンピュータデバイス、パーソナルオーガナイザ、デバイスコントローラ、及び電化製品内の計算エンジンを含むがこれらに限定されないいずれかのタイプのコンピュータシステムを含むことができる。
【0123】
本明細書に開示する方法は、説明する方法を提供するための1又は2以上の段階又はアクションを含む。方法の段階及び/又はアクションは、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく互いに入れ替えることができる。言い換えれば、説明中の方法の適正作動に段階又はアクションの特定の順序が必要とされない限り、特定の段階及び/又はアクションの順序及び/又は使用を特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく修正することができる。
【0124】
本明細書に使用する「結合する」、「結合している」、「結合された」という用語、又は結合という言葉の他の変形は、間接接続又は直接接続のいずれかを示すことができることに注意しなければならない。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「結合される」場合に、第1の構成要素は、第2の構成要素に間接的に接続され、又は直接的に接続されるかのいずれかの場合がある。本明細書に使用する「複数」という用語は、2又は3以上を表している。例えば、複数の構成要素は、2又は3以上の構成要素を示している。
【0125】
「決定する」という用語は広範なアクションを包含し、従って、「決定する」ことは、計算すること、演算すること、取り扱うこと、導出すること、調査すること、参照する(例えば、テーブル、データベース、又は別のデータ構造内で参照する)こと、及び確認することなどを含むことができる。同様に、「決定する」ことは、受け入れる(例えば、情報を受け入れる)こと及びアクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスする)ことなどを含むことができる。更に、「決定する」は、解決する、選択する、選ぶ、及び確立するなどを含むことができる。「に基づく」という表現は、別途指定しない限り「だけに基づく」ことを意味しない。言い換えれば、「に基づく」という表現は、「だけに基づく」こと及び「に少なくとも基づく」ことの両方を説明する。
【0126】
本発明の開示の実施の以上の説明は、いずれかの当業者が本発明の開示の実施を製造又は使用することを可能にするために提示したものである。当業者にはこれらの実施への様々な修正が直ちに明らかであり、本明細書で定める一般原理は、本発明の開示の範囲から逸脱することなく他の実施に当て嵌めることができる。従って、本発明の開示は、本明細書に示した実施に限定されるのではなく、本明細書に開示する原理及び新しい特徴と矛盾しない最も広い範囲に合致するように意図している。