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特許7479389部品の検査中における参照位置ずれの補償
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】部品の検査中における参照位置ずれの補償
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240426BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20240426BHJP
   G06T 7/13 20170101ALI20240426BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240426BHJP
【FI】
G06T7/00 610C
G01N21/956 A
G01N21/956 B
G06T7/13
G06T7/60 180B
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021545361
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 US2019055350
(87)【国際公開番号】W WO2020076919
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】62/744,746
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/357,590
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521151463
【氏名又は名称】ヴェロシティ・イメージ・プロセッシング・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】VELOCITY IMAGE PROCESSING LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ・ロバート・ピー
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-221264(JP,A)
【文献】安藤 護俊, 岡 浩司, 岡田 英夫, 坂下 頼弘, 渋谷 伸実,CADを利用した自動ベリファイ技術,電子情報通信学会論文誌D-II,日本,電子情報通信学会,1998年06月25日,Vol. J81-D-II, No. 6 ('98/6),pp. 1213-1223
【文献】Ahmed M. Darwish, Anil K. Jain,A Rule Based Approach for Visual Inspection,IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence,米国,IEEE,1998年01月,pp. 56-68,https://ieeexplore.ieee.org/document/3867/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G01N 21/956
G06T 7/13
G06T 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品のフィーチャーを欠陥について検査する方法であって、
a. コンピュータ支援設計(CAD)データの使用、又は1つ若しくは複数の既知の良質部品の走査と組み合わせることにより、部品を検査するためのパラメータの作成に用る参照データを作成し(図7A)、
b.検査対象となる1つ以上のフィーチャーについて、許容可能な公差の部品を検査のため走査した際に、走査された各フィーチャーが、対応する前記参照データの公差帯域により規定される公差帯域内に収まるように、各フィーチャーの周りで前記参照データ中に1つ以上の公差帯域を設定し(図7~12)、
c.前記参照データにおいて、各フィーチャーの外周に沿ってエッジピクセルの位置を特定し(図7A、7B)、
d.位置特定された各エッジピクセルについて、当該エッジピクセルを始点として前記フィーチャーの反対側を指し示し、前記外周に対して垂直に又は所定の角度に配向することにより、前記フィーチャーのエッジの方位も示し、ベクトル長が前記フィーチャーの反対側における前記エッジピクセルまでの距離となる計測ベクトル、を作成し(図7A、7B)、
e.各計測ベクトルについて、ベクトル長と、ベクトル方位と、始端ピクセル座標と、終端ピクセル座標とを表し、前記部品を後で検査する際にフィーチャーエッジ位置の特定に用いられる計測位置を規定する情報、を記憶し(図7A、7B)、
f.前記部品を後で検査する際に各計測ベクトルの各始端ピクセル及び終端ピクセルの位置を特定するために用いられる線状探索範囲を、
i.各線状探索範囲は、その対応する計測ベクトルの方位角と同じ方位角に向けられた探索軸を有し(図8)、
ii.前記探索軸に沿った一方向における探索限界は各エッジピクセルから離れるように延び、当該一方向における限界は、当該エッジピクセルに最も近い公差帯域によって設定された境界まで又は前記境界を超えて延びており(図8)、
iii.当該同じエッジピクセル用の限界であって前記探索軸に沿った他方の方向における限界は、前記フィーチャーの反対側において前記探索軸に沿って存在する前記エッジピクセルとその最も近い公差帯域との間の最短距離と等しい又はそれよりも長い(図8)、
ものとして定め(図8)、
g.期待される各始端ピクセル位置及び終端ピクセル位置に対応する探索範囲を記憶し(図11B)、
h.前記参照データにおける各フィーチャーを、その公差帯域内の全ての位置で移動させ、
i.前記フィーチャーの各位置について、各前もって記憶された始端ピクセル計測位置及び終端ピクセル計測位置において、特定された前記探索範囲内で前記フィーチャーのエッジピクセルを、
i.前記フィーチャー上でエッジピクセルが見出された場合、
A.計測ベクトルの長さを、見出された前記エッジピクセルから、事前に記憶された計測角度で、前記フィーチャーの反対側におけるエッジピクセルまで測定した長さとして演算し、
B.各計測位置と関連付けられる計測ベクトルについて、演算された前記長さを許容可能な結果として記憶し、
C.計測ベクトルの長さが最大計測可能値を超えた際に、この結果の代表値を許容可能な結果として記憶し(図13、16A、16B)、
ii.前記フィーチャー上でエッジピクセルが見つからない場合、この結果の代表値を許容可能な結果として記憶する(図12A、12B)、
ことにより探索し、
j.空間的に固定された各計測位置について、前記フィーチャーの公差帯域内における複数の位置に対応する、最小許容ベクトル及び最大許容ベクトルとそれらの許容可能な代表値とを記憶し(図11A、11B、12A、12B)、
k.前記参照データによって定められ、部品上のフィーチャーの検査に用いるために記憶されたパラメータからなり、各計測ベクトルについて、
i. 許容可能な最小ベクトル長及び最大ベクトル長、又は、前記計測ベクトルのが最大計測可能値を超えるとき若しくはエッジピクセルが見つからないことを示すベクトル長の代表値と、
ii. ベクトル方位と、
iii.探索範囲と、
iv. 始端ピクセル位置及び終端ピクセル位置と、
を表す情報を含む、
検査パラメータリスト(図11B、16B、17B)を作成し、
l.前記部品の検査中の許容可能なプロセス変動を容認するため、前記検査パラメータリストにおける各最許容ベクトル長及び最大許容ベクトル長を修正し(図15C)、
m.走査画像から前記部品を検査する工程であって、
前記検査パラメータリストにおける各計測位置について、
i.前記検査パラメータリストにおいて指定された前記期待される始端ピクセル位置及び終端ピクセル位置の周りの前記探索範囲内において、フィーチャーのエッジを探索し(図12A、12B、15A、15B)、
A.前記走査画像においてエッジが見出された場合、前記検査パラメータリストにおいて指定された前記計測角度でベクトル計測を行い(図12A、12B、15A、15B)、
B.前記計測ベクトルの長さが最大計測可能値を超えた場合、この結果の代表値を記憶し、
C.前記走査画像においてエッジピクセルが見つからない場合、この結果の代表値を記憶し、
ii.計測されたベクトルの長さを、前記検査パラメータリストにおいて指定された前記許容可能な最小長さ及び最大長さの値又はそれらの許容可能な代表値と比較し(図15B、15C)、
iii.前記検査パラメータリストにおける前記許容可能な最小長さ若しくはその代表値よりも小さい、又は、前記検査パラメータリストにおける前記許容可能な最大長さ若しくはその代表値よりも大きいベクトル長を欠陥として報告する(図15B、15C)、
ことによって前記検査を行うことを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
ソーベル又はプレウィット型フィルタ等であるがこれらに限定されないエッジ探索フィルタを用いてエッジピクセル位置をサブピクセル精度で演算する工程(図18A~18E)、
をさらに含む方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
欠陥を見つけるため、前記部品の前記走査画像を参照画像と比較する工程(図24、25、26、29)、
をさらに含む方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
a.前記CADデータをグレースケール画像に変換し、
b.2次元フィルタを介して前記グレースケール画像を畳み込み又は加工処理し、撮像光学系のぼかし機能を模倣して、前記参照データを前記走査画像により良く一致させる工程(図20A、21A、21B)、
をさらに含む方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記部品が、走査カメラ画像において互いに区別され得る導体及び絶縁体を含む(図5、6、12A、15A)、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
a.走査画像からの部品の検査中に、フィーチャー依存計測値が演算される前記参照データにおけるフィーチャーの位置に対応する複数の計測位置について、
i.前記参照データにおいて特定された前記期待されるエッジピクセル位置の周辺の前記探索範囲内で、前記走査画像における当該フィーチャーのエッジピクセルを探索し(図31、32、33)、
ii.各フィーチャーと関連付けて見出された前記エッジピクセルの位置を、分析用のフィーチャー形状プロセッサに提示し(図34、35)、その後、
b.前記フィーチャー形状プロセッサを用いて、さらに
i.1つ以上のフィーチャー寸法を計測し、見出されたエッジピクセルの所定の期待される形状までの距離、又は、前記フィーチャーの最も広い寸法、最も狭い寸法、若しくは中心のうちの少なくとも1つを計測し(図35)、
ii.所定の値を超える計測されたフィーチャー寸法を欠陥として報告する(エッジピクセル3504、図35)、
工程をさらに含む方法。
【請求項7】
電子部品に対して自動化メトロロジー計測を行って、部品全体、部品の一部、部品上の各ダイ、又は部品上の各ダイの一部に対して演算された、フィーチャーサイズ、線幅、及びスペース計測値の、最小値、最大値、平均値、及び標準偏差等であるがこれらに限定されない統計データを得るための方法であって、
a.コンピュータ支援設計(CAD)データを用いること又は1つ若しくは複数の既知の良質部品の走査と組み合わせることのいずれかにより、部品を計測するためのパラメータの作成に用いられる参照データを作成し(図7A)、
b. 計測対象となる1つ以上のフィーチャーについて、許容可能な公差の部品を走査した際には、走査された各フィーチャーが、対応する前記参照データの公差帯域により規定される公差帯域内に収まるように、各フィーチャーの周りで前記参照データ中に1つ以上の公差帯域を設定し(図7A、8、27A)、
c.前記参照データにおいて、各フィーチャーの外周に沿ってエッジピクセルの位置を特定し(図7A、27A)、
d.位置特定された各エッジピクセルについて、当該エッジピクセルを始点として前記フィーチャーの反対側を指し示し、前記外周に対して垂直に又は所定の角度に配向することによってエッジ方位も示し、ベクトル長が前記フィーチャーの反対側における前記エッジピクセルまでの距離となる計測ベクトルを作成し(図7A、27A)、
e.各計測ベクトルについて、ベクトル長と、ベクトル方位と、始端ピクセル座標と、終端ピクセル座標とを表し、前記部品を後で計測する際にフィーチャーエッジ位置の特定に用いられる計測位置を規定する情報、を記憶し(図7A、7B、27A、27B)、
f.前記部品を後で計測する際に各計測ベクトルの各始端ピクセル及び終端ピクセルの位置を特定するために用いられる線状探索範囲を、
i.各線状探索範囲は、その対応する計測ベクトルの方位角と同じ方位角に向けられた探索軸を有し(図28A)、
ii.前記探索軸に沿った一方向における探索限界は各エッジピクセルから離れるように延び、当該一方向における限界は、当該エッジピクセルに最も近い公差帯域によって設定された境界まで又は前記境界を超えて延びており(図28A)、
iii.当該同じエッジピクセル用の限界であって前記探索軸に沿った他方の方向における限界は、前記フィーチャーの反対側において前記探索軸に沿って存在する前記エッジピクセルとその最も近い公差帯域との間の最短距離と等しい又はそれよりも長い(図28A)、
ものとして定め(図27B、28AにおけるSr)、
g.期待される各始端ピクセル位置及び終端ピクセル位置に対応する探索範囲を記憶し(図27B)、
h.前記参照データにおける各フィーチャーを、その公差帯域内で全ての位置に移動させ、前記フィーチャーの各位置について、各前もって記憶された始端ピクセル計測位置及び終端ピクセル計測位置において、特定された前記探索範囲内で前記フィーチャーのエッジピクセルを、
i.前記フィーチャー上でエッジピクセルが見出された場合、
A.計測ベクトルの長さを、見出された前記エッジピクセルから、事前に記憶された計測角度で、前記フィーチャーの反対側におけるエッジピクセルまで測定した長さとして演算し、
B.各計測位置と関連付けられる計測ベクトルについて、計測された前記長さを、許容可能な結果として記憶し、
C.計測ベクトルの長さが最大計測可能値を超えた際に、この結果の代表値を許容可能な結果として記憶し(図13、16A、16B)、
ii.前記フィーチャー上でエッジピクセルが見つからない場合、この結果の代表値を許容可能な結果として記憶し(図12A、12B)、
i.空間的に固定された各計測位置について、前記フィーチャーの公差帯域内における複数の位置に対応する、最小許容ベクトル及び最大許容ベクトルとそれらの許容可能な代表値表とを記憶し(図11A、11B、12A、12B)、
j.各フィーチャーがその対応する公差帯域内で移動しても長さが変化しない又は小さな定められた最小臨界幅公差内でのみ変化する、臨界幅ベクトルと称するベクトル用のエッジピクセル計測位置を、計測パラメータリストに記憶して表示し(図27B)、
k.走査画像から部品上のフィーチャーを計測する際、各臨界幅ベクトルについて、前記特定された始端ピクセル計測位置及び終端ピクセル計測位置の周辺の前記探索範囲内でフィーチャーの前記エッジピクセルを探索し、これら2つの見出されたエッジ間の長さとして定義されるベクトル長計測値を演算し(図28A)、
l.これらのベクトル長計測値から、フィーチャータイプの関数として統計データを演算し、
その統計データは、特定のフィーチャータイプを、前記参照データにおける同じ寸法のフィーチャーによって代表させ、部品全体に亘って、或いは、部品の一部に対して又は部品上の異なるダイ若しくは前記部品上の異なるダイの一部に対して演算され(図28C)、
m.フィーチャータイプに対し演算される前記統計データは、最小値、最大値、平均値、標準偏差、又はその他の統計値のうちの少なくとも1つであり(図28C)、
n.前記部品をキャラクタライズするために又はプロセス制御のために、前記統計データを報告すること(図28C)、
を含む方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
ソーベル又はプレウィット型フィルタ等であるがこれらに限定されないエッジ探索フィルタを用いてエッジピクセル位置をサブピクセル精度で演算する工程(図18A~18E)、
をさらに含む方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法において、
欠陥を見つけるため、前記部品の前記走査画像を参照画像と比較する工程(図24、25、26、29)、
をさらに含む方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法において、
a.前記CADデータをグレースケール画像に変換する工程と、
b.2次元フィルタを介して前記グレースケール画像を畳み込み又は加工処理し、撮像光学系のぼかし機能を模倣して前記参照データを前記走査画像により良く一致させる工程(図20A、21A、21B)と、
をさらに含む方法。
【請求項11】
請求項7に記載の方法において、前記部品が、走査カメラ画像において互いに区別され得る導体及び絶縁体を含む(図5、6、12A、15A)、方法。
【請求項12】
請求項7に記載の方法において、
a.走査画像からの部品の検査中に、フィーチャー依存計測値が演算される前記参照データにおけるフィーチャーの位置に対応する複数の計測位置について、
i.前記参照データにおいて特定された前記期待されるエッジピクセル位置の周辺の前記探索範囲内で、前記走査画像における当該フィーチャーのエッジピクセルを探索し(図31、32、33)、
ii.各フィーチャーと関連付けて見出されたエッジピクセルの位置を、分析用のフィーチャー形状プロセッサに提示し(図34、35)、
iii.前記フィーチャー形状プロセッサがその後、1つ以上のフィーチャー寸法を計測し、見出されたエッジピクセルの所定の期待される形状までの距離、又は、前記フィーチャーの最も広い寸法、最も狭い寸法、若しくは中心のうちの少なくとも1つを計測し(図35)、
b.これらのフィーチャー寸法から、前記参照データにおける同じ形状及びサイズのフィーチャーの統計データを、部品全体に亘って、或いは、部品の一部に対して又は部品上の異なるダイ若しくは前記部品上の異なるダイにおける一部に対して、演算し、
c.前記部品を特徴付けるために又はプロセス制御のために、前記統計データを報告すること(図35)、
をさらに含む方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、
a.各フィーチャーが前記参照データにおけるその対応する公差帯域内で移動しても長さが変化しない又は小さな定められた最小臨界幅公差内でのみ変化する、臨界幅ベクトルと称する追加的ベクトルを前記検査パラメータリストに記憶して表示し(図27B)、
b.走査画像から部品上のフィーチャーを計測する際、各臨界幅ベクトルについて、前記特定された始端ピクセル計測位置及び終端ピクセル計測位置の周辺の前記探索範囲内でフィーチャーの前記エッジピクセルを探索し、これら2つの見出されたエッジ間の長さとして定義されるベクトル長計測値を演算し(図28A)、
c.これらの臨界幅ベクトルのベクトル長計測値から、フィーチャータイプの関数として統計データを演算し、
その統計データは、特のフィーチャータイプを、前記参照データにおける同じ寸法のフィーチャーによって代表させ、部品全体に亘って、或いは、部品の一部に対して又は部品上の異なるダイ若しくは前記部品上の異なるダイにおける一部に対して演算され(図28C)、
d.フィーチャータイプに対し演算される前記統計データは、最小値、最大値、平均値、及び標準偏差の統計値のうちの少なくとも1つであり、
e.前記部品をキャラクタライズするために又はプロセス制御のために、前記統計データを報告すること(図28C)、
をさらに含む方法。
【請求項14】
欠陥について部品におけるフィーチャーを検査する方法であって、
a.参照データを特定し、
b.1つ以上のフィーチャーが前記参照データから空間的にどれ程ずれてもよいかを指定する公差帯域を設定し、
c.各フィーチャーの外周周辺の固定空間位置において計測ベクトルを作成し、
d.各計測ベクトルにより、前記参照データにおける前記フィーチャーの寸法であって、前記外周上の一方のポイントから前記外周上の他方のポイントまでの指定された角度で測定される寸法を表し、
e.各固定空間位置の周辺に、各計測ベクトルの始端ポイント及び終端ポイントを見つけることを可能にすべく線状探索範囲を設定し、
f.各線状探索範囲は、その対応する計測ベクトルの方位角と同じ方位角に向けられた探索軸を有し、
g.検査される各フィーチャーについて、前記フィーチャーの公差帯域内の複数の位置に前記フィーチャーを移動させ、
h.前記フィーチャーの各位置について、各前もって作成された空間的に固定された計測位置において、前記定められた線状探索範囲内で前記フィーチャーの前記外周に沿ってポイントを探索し、
i.ポイントが見出された場合、
A.前記対応する計測ベクトルによって指定された前記角度でベクトルを計測し、
B.前記ベクトル又は前記計測ベクトルの長さが最大計測可能値を超えるときを示す代表値を、許容可能なものとして記憶し、
ii.ポイントが見つからなかった場合、この結果の代表値を、許容可能なものとして記憶し、
i.各空間的に固定された計測位置について、前記フィーチャーの前記公差帯域内の前記フィーチャーの前記複数の位置に対応する、最小及び最大許容ベクトルとそれらの許容可能代表値とを記憶し、
j.前記部品の検査中に許容可能なプロセス変動を可能にする分散値を加えることで各最小許容ベクトル及び最大許容ベクトル又はその代表値を修正し、
k.走査画像から部品を検査する際、各計測ベクトルについて、当該ベクトルの前記定められた線状探索範囲内において、フィーチャーの前記外周に沿ってポイントを探索し、
i.ポイントが位置特定されない場合、前記外周上のポイント見つからないことを示す代表値を生成し、
ii.ポイントが位置特定された場合、当該ベクトル用に指定された前記角度でベクトルの長さを計測し、前記長さが最大計測可能値を超えるときを示す代表値を生成し、
l.前記最小許容ベクトル若しくはその代表値よりも小さい、又は、前記最大許容ベクトル若しくはその代表値よりも大きいベクトルを、欠陥として報告すること、
を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、フィーチャーの前記外周に沿ったポイントの位置が、ソーベル又はプレウィット型フィルタ等であるがこれらに限定されないエッジ探索フィルタを用いてサブカメラピクセル精度で演算される(図18A~18E)、方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、
欠陥を見つけるべく前記部品の前記走査画像を参照画像と比較する工程(図24、25、26、29)、
をさらに含む方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法において、
a.コンピュータ支援設計(CAD)データをグレースケール画像に変換する工程と、
b.2次元フィルタを介して前記グレースケール画像を畳み込み又は加工処理し、撮像光学系のぼかしを模倣することで前記参照データを前記走査画像により良く一致させる工程(図20A、21A、21B)と、
をさらに含む方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法において、前記部品が、走査カメラ画像において互いに区別され得る導体及び絶縁体を含む(図5、6、12A、15A)、方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法において、
a.走査画像からの部品の検査中に、フィーチャー依存計測値が演算される前記参照データにおけるフィーチャーの位置に対応する複数の計測位置について、
i.前記参照データにおいて指定された期待されるエッジピクセル位置の周辺の前記探索範囲内で、前記走査画像における当該フィーチャーのエッジピクセルを探索し(図31、32、33)、
ii.各フィーチャーと関連付けて見出されたエッジピクセルの位置を、分析用のフィーチャー形状プロセッサに提示し(図34、35)、
iii.前記フィーチャー形状プロセッサがその後、1つ以上のフィーチャー寸法を計測し、見出されたエッジピクセルの所定の期待される形状までの距離、又は、前記フィーチャーの最も広い寸法、最も狭い寸法、若しくは中心のうちの少なくとも1つを計測し(図35)、
b.所定の値を超える計測されたフィーチャー寸法を欠陥として報告すること(エッジピクセル3504、図35)、
をさらに含む方法。
【請求項20】
部品におけるフィーチャーを計測する方法であって、
a.参照データを特定し、
b.1つ以上のフィーチャーが前記参照データから空間的にどれ程ずれてもよいかを指定する公差帯域を設定し、
c.各フィーチャーの外周周辺の固定空間位置において計測ベクトルを作成し、
d.各計測ベクトルにより、前記参照データにおける前記フィーチャーの寸法であって、前記外周上の一方のポイントから前記外周上の他方のポイントまでの指定された角度で測定される寸法、を表し、
e.各固定空間位置の周辺に、各計測ベクトルの始端ポイント及び終端ポイントを見つけることを可能にすべく線状探索範囲を定め、
f.各線状探索範囲が、その対応する計測ベクトルの方位角と同じ方位角に向けられた探索軸を有し、
g.計測される各フィーチャーについて、前記フィーチャーの公差帯域内の複数の位置に前記フィーチャーを移動させ、
h.前記フィーチャーの各位置について、各前もって作成された空間的に固定された計測位置において、前記定められた線状探索範囲内で前記フィーチャーの前記外周に沿ってポイントを探索し、
i.ポイントが見出された場合、
A.前記対応する計測ベクトルによって指定された前記角度でベクトルを計測し、
B.前記ベクトル又は前記計測されたベクトルの長さが最大計測可能値を超えるときを示す代表値を、許容可能なものとして記憶し、
ii.ポイントが見つからなかった場合、この結果の代表値を、許容可能なものとして記憶し、
i.各空間的に固定された計測位置について、前記フィーチャーの前記公差帯域内の前記フィーチャーの前記複数の位置に対応する、最小許容ベクトル及び最大許容ベクトルとそれらの許容可能な代表値とを記憶し、
j.各フィーチャーがその対応する公差帯域内で移動しても長さが変化しない又は定められた最小臨界寸法公差内でのみ変化する計測ベクトルを、臨界ベクトルとしてさらに記憶して表示し、
k.走査画像から部品を計測する際、各臨界ベクトルについて、
i.当該ベクトルの前記定められた線状探索範囲内で前記フィーチャーの前記外周に沿ったポイントの位置を特定し、
ii.そのような位置特定された外周ポイントのそれぞれについて、前記参照データから算出されるその対応する計測ベクトルの角度と同じ角度でベクトルの長さを計測し、
l.前記臨界ベクトル計測された長さから、フィーチャータイプの関数として、統計データを演算し、
その統計データは、特のフィーチャータイプを、前記参照データにおける同じ寸法のフィーチャーによって代表させ、部品全体に亘って、或いは、部品の一部に対して又は部品上の異なるダイ若しくは前記部品上の異なるダイにおける一部に対して演算され、
m.フィーチャータイプに対し演算される前記統計データは、最小値、最大値、平均値、及び標準偏差の統計値のうちの少なくとも1つであり、
n.前記部品をキャラクタライズするために又はプロセス制御のために用いられる前記統計データを報告すること、
を含む方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、フィーチャーの前記外周に沿ったポイントの位置が、ソーベル又はプレウィット型フィルタ等であるがこれらに限定されないエッジ探索フィルタを用いてサブカメラピクセル精度で演算される(図18A~18E)、方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法において、
欠陥を見つけるべく前記部品の前記走査画像を参照画像と比較する工程(図24、25、26、29)、
をさらに含む方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法において、
a.コンピュータ支援設計(CAD)データをグレースケール画像に変換する工程と、
b.2次元フィルタを介して前記グレースケール画像を畳み込み又は加工処理し、撮像光学系のぼかしを模倣することで前記参照データを前記走査画像により良く一致させる工程(図20A、21A、21B)と、
をさらに含む方法。
【請求項24】
請求項20に記載の方法において、前記部品が、走査カメラ画像において互いに区別され得る導体及び絶縁体を含む(図5、6、12A、15A)、方法。
【請求項25】
請求項20に記載の方法において、
a.走査画像からの部品の検査中に、フィーチャー依存計測値が演算される前記参照データにおけるフィーチャーの位置に対応する複数の計測位置について、
i.前記参照データにおいて指定された期待されるエッジピクセル位置の周辺の前記探索範囲内で、前記走査画像における当該フィーチャーのエッジピクセルを探索し(図31、32、33)、
ii.各フィーチャーと関連付けて見出されたたエッジピクセルの位置を、分析用のフィーチャー形状プロセッサに提示し(図34、35)、
iii.見出されたエッジピクセルの所定の期待される形状までの距離、又は、前記フィーチャーの最も広い寸法、最も狭い寸法、若しくは中心のうちの少なくとも1つを計測することを含む、前記フィーチャー形状プロセッサがその後1つ以上のフィーチャー寸法を計測し(図35)、
b.これらのフィーチャー寸法から、前記参照データにおける同じ形状及びサイズのフィーチャーの統計データを、部品全体に亘って、或いは、部品の一部に対して又は部品上の異なるダイ若しくは前記部品上の異なるダイにおける一部に対し、前記計測されたフィーチャー寸法の最小値、最大値、平均値、及び標準偏差のうちの少なくとも1つについて演算し、
c.前記部品を特徴付けるために又はプロセス制御のために用いられる前記統計データを報告すること(図35)、
をさらに含む方法。
【請求項26】
請求項14に記載の方法において、
a.各フィーチャーが前記参照データにおけるその対応する公差帯域内で移動しても寸法が変化しない又は小さな定められた最小臨界寸法公差内でのみ変化する計測ベクトル(臨界幅ベクトルと呼ぶ)をさらに記憶して表示し、
b.走査画像から部品を計測する際、各臨界ベクトルについて、
i.当該ベクトルの前記探索範囲内で、前記フィーチャーの前記外周に沿ったポイントを位置特定し、
ii.そのような位置特定された外周ポイントのそれぞれにおいて、前記参照データにおけるその対応する計測ベクトルの角度と同じ角度でベクトルを計測する工程と
c.前記ベクトル計測値から、フィーチャータイプの関数として統計データを演算し、
その統計データは、特のフィーチャータイプを、前記参照データにおける同じ寸法のフィーチャーによって代表させ、部品全体に亘って、或いは、部品の一部に対して又は部品上の異なるダイ若しくは前記部品上の異なるダイにおける一部に対して演算され、
d.前記統計データは、異なるフィーチャータイプの最小値、最大値、平均値、及び標準偏差のフィーチャーサイズ(これらに限定されない)について演算され、
e.前記部品をキャラクタライズするために又はプロセス制御のために用いられる前記統計データを報告すること、
をさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2018年10月12日に出願された「SUB MICRON INSPECTION」(サブミクロン検査)というタイトルの同時係属中の米国仮特許出願第62/744,746号の利益を主張する。当該仮特許出願の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本特許は、半導体ウェーハ、高密度回路ボード、多層基板、内層基板、ガラス上クロム(chrome on glass)マスク、及びその他の精密部品等の部品の光学検査及び/又はメトロロジー法に関する。
【背景技術】
【0003】
図1Aに示すように多数のダイを有する多層半導体又は回路ボード等の例示的精密部品を考える。そのような部品は、典型的には、それぞれが金属導体を含む複数の層同士を積層することで製造される。各層は、まず層をレジストで被覆し、層の異なる位置又は一部に、1つ又は複数のダイを含む画像を光学的に投影し、その後金属をエッチングして所望の金属回路導体を形成することで、製作される。この手順は、典型的にはステップアンドリピート方式の投影という。現在の製法上の制約から、投影されたパターンの配置は、異なる時点で製造された同一デザインの層間で、又は同じ製造ロットにおける層間でも、僅かにばらつくことが知られている。これは、薄いフレキシブル有機基板上に製造される大型回路パネルに特にあてはまる。これら基板には、現在、500ミリメートル×500ミリメートル台のサイズを有するものがある。
【0004】
基板上の全てのダイの製造及び光学検査を容易にするため、しばしば整列マークが各個別ダイパターンにおいて度々配置される。検査処理中において、基板は通常、検査カメラの下方で基板を機械的に移動させること、基板の上方でカメラを移動させること、又はそれらのいくつかの組み合わせ、のいずれかによってスキャンされる。各ダイ又はダイの一部分内の整列マーク又は特有の導体パターンの位置は、走査画像内で特定され、走査画像を良質のダイ又はダイの一部分について記録された参照画像と位置あわせするために用いられる。位置あわせがされると、これらの画像が重なり合い、記憶された参照画像と走査カメラ画像とが異なる位置について、欠陥が報告される。例えば図1Bは、導体の参照画像を黒で示す。図1Cは、穴の空いた導体の走査カメラ画像を灰色で示す。図1Dは、図1Bの参照画像上に位置合わせされた図1Cの走査カメラ画像の完全な重ね合わせを示す。穴101は、重なり合う画像が異なる場合に欠陥として検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第6427024号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
参照画像に対して走査画像を重ね合わせることによる欠陥検出には多数の制約がある。これらの制約について図2A~2D、図3A~3D、及び図4を用いて説明する。第1の例として、図2Aに黒色で示すのは既知の良質の回路の参照パターン201であり、図2Bに灰色で示すのは、当該参照に対して重ねられたパターンの走査カメラ画像202である。製造プロセス上の制約、撮像光系の非線形性、ステージの振動、及びステージの非線形性などに起因する走査画像上の誤差により、この比較の精度ひいては検出可能な最小の欠陥のサイズが制限される。その結果、走査画像と参照画像を重ね合わせた際に、完全には一致しない領域がでてくる。そのような不一致に対応するために、従来技術のシステムは、最小サイズを超えるパターン差異のみが報告されるように公差(許容誤差)帯域(複数可)を設けている。そのような公差帯域203は図2A~2Eにおいて外周境界破線で示される。走査パターンが図2Cに示すように公差帯域外となる場合にのみ、図2Dに示すように欠陥204として報告される。
【0007】
カメラピクセル量子化は、走査画像と参照パターンとがどれ程正確に比較され得るかを制限し、ひいては検出可能な最小の欠陥のサイズを制限する別の要素である。Bishopに対する米国特許6,427,024、「概略参照検査とプログラム可能な整列公差及び検出パラメータとを用いた、欠陥について電子回路ボード、ウェーハ等の欠陥の自動光学検査の装置及び方法」を一例とする、多くの従来技術のシステムでは、この検査処理は、まず走査画像における各カメラピクセルを導体又は絶縁体として区分けし、その後区分けされたピクセルを、参照画像との比較し得る形で処理すること、を伴う。カメラピクセル量子化の例として、図3Aは、撮像カメラ上に投影された、幅が2.7カメラピクセルに等しい導体301の光学画像を表す。個別のカメラピクセルが2次元グリッドによって表される。この例では、ピクセルの五十パーセント以上(P≧50%)が導体の特徴強度で照明されている場合は、当該ピクセルは導体として区分けされる。この強度で照明されている部分が、ピクセルの五十パーセント未満(P<50%)の場合は、当該ピクセルは基板として区分けされる。図3Aでは、導体301の左エッジがピクセル1(一番左の列のピクセル)の百パーセント(100%)をカバーし、ピクセル2(右隣のピクセル)の百パーセント(100%)をカバーし、ピクセル3(第3の列のピクセル)の七十パーセント(70%)をカバーする。従って、上記50%閾規則を用いると、導体301は、図3Bの区分けされた導体302で示されるように幅が3カメラピクセルであるものとして区分けされる。一方、カメラ上に投影された導体パターンが図3Cの導体303で表されるように右に1ピクセルのわずかな部分だけずれると、同じ導体が今度は、図3Dの導体304で表されるように幅が2カメラピクセルのみであるものとして区分けされる。この区分けされた線幅の減少が生じるのは、図3Cの導体303の画像が今度はカメラピクセル1の35%、カメラピクセル2及び3の100%、カメラピクセル4の35%をカバーすることによりピクセル2及び3のみがピクセルの50パーセントより多くを照射するためである。従って、図3A~3Dで示されたように、カメラのピクセルに対する導体の相対的な位置により、カメラピクセル全体分まで、導体の計測幅は著しく変化し得る。これは走査画像と参照画像とが比較された場合、さらに差異に寄与する。
【0008】
図2A~2Dに示されるような走査画像と参照画像とのそのような差異及び位置ずれによって引き起こされる誤った報告の数を最小化するために、従来技術のシステムでは、比較の感度を減少させるべく公差帯域のサイズを大きくしている。しかし、こうすると、公差帯域内に現れる実際の欠陥が見落とされる。例えば、図2Eに示すような、小さな切れ込み欠陥204や小さな突起欠陥205は検出されない。そのような欠陥を見落とすことが、従来技術のシステムの重大な限界である。
【0009】
走査画像と参照画像との重ね合いによる欠陥検出の別の制約は、走査画像と参照画像との位置合わせの精度よりも高い精度で導体線幅を検査又は認証することができない、ということである。
【0010】
例として、図4の導体401及び402で表される2μmの線幅を有する回路を考える。両導体は同じカメラ視野内にある。走査画像における導体401は、位置ずれを示す矢印406で示されるように、参照画像における導体405と、ずれ0.1μm以内で位置合わせされる。一方、同じ走査画像における導体402は、位置ずれを示す矢印408で示されるように、同じ参照画像における導体407と、ずれ1μm以内で位置合わせされる。この例では、走査画像は、両導体401及び402の線幅が+/-0.1μm以内で正確であるという点(この点は、高周波インピーダンスを制御して電気的要件を満たすために求められる)と、走査画像と参照画像との間の空間的位置ずれが1.0μm以内で正確である点(この点は、製品の異なる層間での回路網の位置合わせを保証するために求められる)と、において製造要件を満たしている。
【0011】
しかし、従来技術の検査方法を用いると、適切な線幅を調べるために参照導体405及び407の+/-0.1μm以内に公差帯域が配置された場合、参照導体407に対する走査画像導体402の1.0μmの位置ずれが誤ってエラーとして報告される。一方、導体の位置ずれを調べるために参照導体405及び407から1.0μm離れて公差帯域が配置された場合、1.0μm未満の導体401及び402の線幅におけるエラーが検出されない。よって、上述したように、走査画像と参照画像とを重ね合わせる従来技術のシステムは、走査画像と参照画像との位置合わせの精度よりも高い精度で導体線幅を認証することはできない。
【0012】
計測する必要のある導体の数が少ない場合、従来技術は、部品上の「サンプリングされた位置」における線幅及び臨界寸法を計測するための自動化システムを発展させている。そのようなシステムの例としては、イスラエルのヤブネにあるオルボテック社から入手可能な、2Dメトロロジー能を備えたOrbotech(R) Discovery II、Orbotech Fusion、及びOrbotech Ultra Fusionである(Orbotechはオルボテック社の登録商標である)がある。しかし、正確にサンプリングされる所定位置のうちの1つにおいて欠陥が生じない限り、欠陥は検出されない。欠陥の位置は未知であるため、そのようなサンプリングベースのシステムは概してプロセス制御に向いており、ランダムな欠陥の検出には適しても向いてもいない。例えば、0.7μmカメラピクセルを用いて走査された300ミリメートルの円形ウェーハは、1.4×1011より多くのピクセルを含む。欠陥を検出するためのそのような従来技術の技術を用いてそのような部品上のあらゆる位置において導体幅及び臨界寸法を計測するには、数日でないにしても何時間もかかると思われる。従って、そのような従来技術の技術では検査処理量に対する今日の要求を満たしえない。
【0013】
これに対し、本明細書に記載された方法及びシステムは、記憶された参照パターンに走査画像を細かく位置合わせする必要もなく、生産速度で部品が走査されながらリアルタイムで当該部品におけるあらゆる導体の全長又は全外周に沿ってサブミクロンの精度で導体線幅及びスペーシングを計測することで部品を検査し、メトロロジーの計測を行い、フィーチャーサイズ統計を計算することができる。
【0014】
行われる計測回数が多いため、参照ファイルから計測値を抽出し、製造公差を追加し、臨界寸法の計測を行うのに最適な位置を決定する自己学習自動化アルゴリズムも記載される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一実施形態では、欠陥について部品における特徴を検査する方法又はシステムは、参照データを探し出し、その後、1つ以上のフィーチャーが参照データから空間的にどれ程ずれてもよいかを指定する公差帯域(複数可)を設定することを含む。その後、各フィーチャーの外周周辺の固定された空間位置に所謂計測ベクトルが作成される。各計測ベクトルは、参照データにおけるフィーチャーの寸法であって、外周上の一方のポイントから外周上の他方のポイントまでの指定された角度での寸法、を表す。各固定空間位置のまわりには、各計測ベクトルの始端ポイント及び終端ポイントを見つけることを可能にすべく線状の探索範囲も定められる。各線状探索範囲は、その対応する計測ベクトルの方位角と同じ方位角に向けられた探索軸を有する。
【0016】
次に、検査される各フィーチャーについて、フィーチャーの公差帯域内において、複数の位置にフィーチャーが移動させられる。フィーチャーのそのような位置のそれぞれについて、各前もって作成された空間的に固定された計測位置において、指定された探索範囲内でフィーチャーの外周に沿ってポイントが探索される。外周上でポイントが見出された場合、対応する計測ベクトルによって指定された角度でベクトル寸法が計測される。結果として得られる寸法は許容可能なものとして記憶される。ベクトル計測値が最大計測可能値を超えた場合、又は、外周上でポイントが見つからなかった場合、この結果も許容可能なものとして記憶される。各空間的に固定された計測位置について、フィーチャーの公差帯域内のフィーチャーの複数の位置に対応する、許容可能な最小及び最大ベクトル寸法が記憶される。これらの最小及び最大ベクトル寸法又はそれらの代表値は、その後部品の検査中における容認可能なプロセス変動を可能にすべく修正される。
【0017】
走査画像から部品を検査するプロセスは、その後以下のように続く。次に、各計測ベクトルについて、当該ベクトルの探索範囲内において、フィーチャーの外周に沿ってポイントが探索される。ポイント位置が特定されない場合、外周上のポイントが見つからないことを示す代表値が生成される。ポイント位置が特定された場合、当該ベクトル用に指定された角度でベクトル寸法が計測され、寸法が最大計測可能値を超えるときを示す代表値が生成される。その後、最小許容寸法(若しくはその代表値)よりも小さい又は最大許容寸法(若しくはその代表値)よりも大きいベクトル寸法について、欠陥が報告される。
【0018】
別の実施形態では、部品におけるフィーチャーを計測する方法が、参照データを探し出
し、1つ以上のフィーチャーが参照データから空間的にどれ程ずれ得るかを指定する公差帯域(複数可)を設定することにより開始される。フィーチャーの外周周辺の固定空間位置において計測ベクトルが作成される。各計測ベクトルは、参照データにおけるフィーチャーの寸法であって、外周上の一方のポイントから外周上の他方のポイントまでの指定された角度での寸法、を表す。各固定空間位置の周辺の線状探索範囲も、各計測ベクトルの始端ポイント及び終端ポイントを見つけることを可能にすべく定められる。各線状探索範囲は、その対応する計測ベクトルの方位角と同じ方位角に向けられた探索軸を有する。
【0019】
次に、検査される各フィーチャーについて、フィーチャーの公差帯域内の複数の位置にフィーチャーが移動される。フィーチャーのそのような位置のそれぞれについて、各前もって作成された空間的に固定された計測位置において、指定された探索範囲内でフィーチャーの外周に沿ってポイントが探索される。外周上でポイントが見出された場合、対応する計測ベクトルによって指定された角度でベクトル寸法が計測される。結果として得られる寸法は許容可能なものとして記憶される。ベクトル計測値が最大計測可能値を超えた場合、又は、外周上でポイントが見つからなかった場合、この結果も許容可能なものとして記憶される。各空間的に固定された計測位置について、フィーチャーの公差帯域内のフィーチャーの複数の位置に対応する、許容可能な最小及び最大ベクトル寸法が記憶される。
【0020】
各フィーチャーがその対応する公差帯域内で移動しても寸法が変化しない又は定められた最小臨界寸法公差内でのみ変化する計測ベクトルは、臨界寸法ベクトルとして記憶される。
【0021】
その後、走査画像から部品を計測するプロセスは、各臨界寸法ベクトルについて、当該ベクトルの探索範囲内で、フィーチャーの外周に沿ったポイント位置を特定することで継続する。そのような位置特定された外周ポイントのそれぞれにおいて、その対応する計測ベクトルの角度と同じ角度でベクトル寸法が計測される。
【0022】
その後、ベクトル寸法計測値から統計データがフィーチャータイプの関数として演算される。当該統計データは、部品全体に亘って、或いは、部品の一部に対して又は部品上の異なるダイ若しくは部品上の異なるダイ内の一部に対して、演算される。特定のフィーチャータイプが、参照データにおける同じ寸法のフィーチャーによって表される。統計データは、最小値、最大値、平均値、及び標準偏差の統計値のうちの少なくとも1つであるフィーチャータイプについて演算されてもよい。最後に、統計データは、部品の特徴付け用途又はプロセス制御のために報告される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
下記記載は添付の図面を参照する。図面は以下の通りである。
図1A】多数のダイを有する回路ボード基板のウェーハの図である。
図1B】導体の参照画像の図である。
図1C】導体の走査カメラ画像の図である。
図1D】欠陥を示す、参照画像に対する走査カメラ画像の完全な重ね合わせの図である。
図2A】従来技術の検査システムで用いられるパターンマッチングの制約を示す図である。
図2B】従来技術の検査システムで用いられるパターンマッチングの制約を示す図である。
図2C】従来技術の検査システムで用いられるパターンマッチングの制約を示す図である。
図2D】従来技術の検査システムで用いられるパターンマッチングの制約を示す図である。
図2E】従来技術の検査システムで用いられるパターンマッチングの制約を示す図である。
図3A】グレースケールカメラピクセルがどのように導体又は絶縁体として区分けされるかを示す図である。
図3B】グレースケールカメラピクセルがどのように導体又は絶縁体として区分けされるかを示す図である。
図3C】グレースケールカメラピクセルがどのように導体又は絶縁体として区分けされるかを示す図である。
図3D】グレースケールカメラピクセルがどのように導体又は絶縁体として区分けされるかを示す図である。
図4】CADデータと比較される走査画像の一部分を示す図である。
図5】導体の全長に沿って計測された導体の幅と導体間のスペースとを示すベクトルを用いた図である。
図6】計測が公差帯域内の動きに影響されないことを示す図である。
図7A】参照データから演算されたベクトル計測値を示す図である。
図7B】参照データから作成された計測値をリスト表示する表である。
図8】走査画像におけるエッジを見つける探索範囲を示す図である。・
図9】参照画像が右横方向且つ縦下方向にずれている図である。
図10A】ずれた参照画像において見出されたフィーチャーエッジを示す図である。
図10B】ずれた参照画像から生成された計測値をリスト表示する表である。
図11A】不確定領域を示す、各ベクトルの周辺の境界ボックスを示し、有効なベクトル値の範囲を示す図である。
図11B】導体エッジ位置、計測角度、及び許容可能ベクトル長の検査パラメータリストを有する表である。
図12A】狭線欠陥と広線欠陥とを含む走査画像の図である。
図12B】検査パラメータリストと検査結果とを示す図である。
図13】最大計測可能距離を超えるベクトル計測値の図である。
図14A】1ピクセルと近い計測スペーシングを伴って計測がフィーチャーの全外周に亘ってどのように行われるかを示す図である。
図14B図14Aにおけるフィーチャー用に演算された検査パラメータリストを示す表である。
図15A】走査画像配置における不確定性が突起物、切れ目、及び不確定領域よりも小さい欠陥を検出する能力に影響を与えない又は当該能力を損なわないことを示す図である。
図15B図15Aにおけるフィーチャーを検査するために用いられた検査パラメータリストと検査結果とを示す表である。
図15C図15Dにおけるフィーチャーを検査すべく製造公差が付加された検査パラメータリストと検査結果とを示す表である。
図15D】製造公差内の突起物及び切れ目に加え欠陥を含むフィーチャーを示す図である。
図16A】2つの導体間の絶縁体の参照データを示す図である。
図16B図16Aの計測絶縁体エッジ位置、計測角度、及び許容可能ベクトル長の検査パラメータリストを示す表である。
図17A】2つの導体間の絶縁体の走査画像の図である。
図17B図16Aにおけるフィーチャーを検査するために用いられた検査パラメータリストと検査結果とを示す図である。
図18A】導体及び絶縁体のエッジをサブピクセル精度で見つけるために用いられる信号及び画像を示す図である。
図18B】導体及び絶縁体のエッジをサブピクセル精度で見つけるために用いられる信号及び画像を示す図である。
図18C】導体及び絶縁体のエッジをサブピクセル精度で見つけるために用いられる信号及び画像を示す図である。
図18D】導体及び絶縁体のエッジをサブピクセル精度で見つけるために用いられる信号及び画像を示す図である。
図18E】導体及び絶縁体のエッジをサブピクセル精度で見つけるために用いられる信号及び画像を示す図である。
図19A】試験対象1の走査されたガラス上クロムのグレースケール画像を示す図である。
図19B】ソーベル(Sobel)勾配アルゴリズムを用いて試験対象1上の線幅を計測した結果を示す表である。
図20A】CADデータを参照グレースケールピクセルに変換する方法を示す図である。
図20B】サンプルライン全体に亘る参照ピクセル位置に対する参照ピクセル強度のプロットを示す図である。
図21A】ターゲット2の走査カメラ画像を示す図である。
図21B】カメラレンズぼかし機能を用いて畳み込まれた、ターゲット2のグレースケール変換されたCADデータを示す図である。
図21C】レンズぼかし機能を用いて畳み込まれたCADデータ(図21B)と走査カメラ画像(図21A)との間で計測された線幅差をリスト表示する表である。
図22A】金属導体を示す走査蛍光画像であり、金属導体は明るく蛍光発光する基板上の黒色部分として示されている。
図22B図22Aの蛍光画像において検出された線幅違反を示す図である
図22C図22Aの蛍光画像において検出されたスペース違反を示す図である。
図23】参照データにおける余分金属欠陥を示す図である。
図24】大きなエリアの絶縁体における余分金属欠陥を示す図である。
図25】複数の余分金属欠陥を示す図である。
図26】大きなエリアの金属におけるホール欠陥を示す図である。
図27A】不確定領域を表しベクトル値の範囲を示す、各ベクトルの周辺の境界ボックスを用いた図である。
図27B】臨界幅ベクトルを示す、図27Aで示されるフィーチャーの計測パラメータリストを示す。
図28A】見出されたフィーチャーエッジと演算された臨界幅ベクトルとを示す、部品の走査画像である。
図28B図28Aの走査画像におけるフィーチャーから演算された臨界幅ベクトル計測値をリスト表示する表である。
図28C図28Aにおけるフィーチャーの臨界幅ベクトル計測値から演算された統計データをリスト表示する表である。
図29】フィーチャーの反対側まで延びている計測ベクトルを用いた、参照データと比較された走査画像の図である。
図30】楕円形パッドのエッジピクセル及びベクトルを示す参照データの図である。
図31】楕円形パッドのエッジピクセル及び探索範囲を示す参照データの図である。
図32】走査データにおける楕円を特定すために用いられる、期待されるエッジピクセル位置及び探索範囲を示す参照データの図である。
図33】探索範囲を伴う、期待されるエッジピクセル位置に重なり合う欠陥パッドの走査画像の図である。
図34】探索範囲内に位置するエッジピクセルを有する欠陥パッドの走査画像の図である。
図35】フィーチャー形状プロセッサの図である。
図36】システムブロック図である。
図37】例示的検査のプロセス図である。
図38】例示的計測のプロセス図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
上述したように、本発明は、ウェーハ、高密度回路ボード、多層基板、内層基板、ガラス上クロムマスク、及びその他の微細線製品等の精密部品の検査法の向上に関する。本方法では、部品を生産速度でリアルタイムに走査しながら、数十億の2次元導体幅及美スペースメトロロジーの計測がサブカメラピクセル・サブミクロン以内の精度で行われる。
【0025】
この方法を用いると、サブカメラピクセル・サブミクロンでの幅及びスペースメトロロジー計測の精度が導体の配置精度によって制限されない。その結果、製造プロセスにおける制約又は検査走査プロセスにおける制約のいずれかに起因する部品の走査画像における導体配置のバラつきが、導体幅又はスペースの計測の精度を制限せず低下させない。
【0026】
全ての演算をアルタイムで行いながら、上記サブカメラピクセル・サブミクロンの精度で、部品上のあらゆる導体の全長又は全外周に沿ったあらゆるピクセル位置において数十億のメトロロジー計測を行うことができる。正しい導体幅及びスペーシングの要件をサブミクロンの精度で認証する我々の新たな方法では、走査画像の記憶された参照パターンに対する細かな位置合わせによる比較をする必要もなく当該数十億のメトロロジー計測が行われる。
【0027】
簡単に言えば、部品を検査するために、本方法又は装置は、まず各フィーチャーを位置特定するために走査画像に対して探索を行い、各フィーチャーが位置特定されると、続けて各フィーチャーのサイズを計測して、フィーチャーサイズ統計を演算する。メトロロジー計測及び欠陥検出は、部品を走査しながらリアルタイムで同時に行うことができる。異なるフィーチャータイプの例は、例えば、2μm線、5μm線、20μm径パッド、50μm径パッド、等の異なる幅及び直径の線及びパッドである。
【0028】
典型的には部品全体に亘って行う必要がある数十億の計測により、自己学習自動化方法又は装置が、許容された製造公差の定め方を含むコンピュータ支援設計(CAD)ファイル又は参照データから計測値を抽出する。
【0029】
さらに、統計データが演算され得る。当該統計データは、以下に限定されるものではないが、部品全体、部品の一部、部品上の各ダイ、又は各ダイの一部に対して且つ部品上のフィーチャーの最大百パーセントに対して演算された、フィーチャーサイズ、線幅、及びスペースの計測値についての最小値、最大値、平均値、及び標準偏差等であってもよい。部品上の数十億の位置に基づいて統計を生成することに加え、リアルタイムで部品を走査しながら、統計データの算出に用いられる計測を行うために最適な位置を決定できる。このような自動設定は、異なる部品を大量に扱う工場にとって有利である。
【0030】
さらに具体的には、基板を生産速度で走査しながら、リアルタイムで、ダイにおけるあらゆる導体線の全長に沿って導体幅が計測され、部品上の全てのダイに対して導体間のスペースが計測される。そのような導体幅及びスペースの計測がサブカメラピクセル・サブミクロンの精度で行われる。部品が走査される際に、この方法では、まず各フィーチャーの位置を特定すべく探索を行い、次いで特定がなされると、そのサイズを計測する。計測は、部品上のあらゆるフィーチャーに対して行ってもよい。よって、線幅、スペース、及び臨界寸法を計測する数十億の演算を全て、部品を走査しながらリアルタイムで行うことができる。
【0031】
さらに具体的には、図5の例では、黒色の導体上の灰色の矢印が線幅計測を表し、導体間の白色領域における黒色の矢印がラインスペース計測を表す。灰色の双方向矢印501は1つの線幅計測の例であり、黒色の双方向矢印502は1つのラインスペース計測の例である。線幅計測及びスペース計測は共に、各導体の全長に沿って、且つ回路におけるあらゆる導体に対して行われる。さらに、計測値は、好ましくは各導体の全長又は全外周に沿ったあらゆるピクセル位置において演算される。これらの計測値はその後、CADデータ又は既知の良質部品の走査画像から前もって演算された、期待される又は正しい計測値のリストと比較される。さらに、そのような計測は、部品上のフィーチャー配置のバラつきによって損なわれることなくサブピクセル・サブミクロンの精度で行われる。
【0032】
例えば、図6は、どのようにして、導体601及び602の空間位置が、各導体を囲む破線で示された指定公差帯域603内で独立して変化してもなお、(黒色の導体内、及び導体間の両矢印ベクトル線で示されるように)サブピクセル・サブミクロンの精度で計測できるのかを示す。全てのベクトルは、導体の一方のエッジから、公差帯域をバイパスする導体の他方のエッジまで延びる。ベクトル604は、導体線幅の計測に用いられるベクトルの例である。ベクトル605は、導体スペーシングの計測に用いられるベクトルの例である。
【0033】
次いで、図7A~11を参照しつつ、下記のステップにより、許容し得る幅計測値のリストが、どのように参照データから生成されてその後部品を検査するために用いられるのかを説明する。
【0034】
a.図7Aに示すように、CADデータ又は優れた既知の良質部品の走査画像のいずれかが識別され、完全な部品とみなされるものの参照データ701として用いられる。
b.参照データ701から、参照データ内の全てのフィーチャー又は少なくともフィーチャーのサブセットについて、各フィーチャーの全外周に沿ってエッジ(境界)ピクセルの位置が特定される。図7Aでは、ポイント1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、4B、及び5A、5Bがエッジピクセルの例である。
各フィーチャーの幅は、フィーチャーの外周に沿って計測され、開始ピクセル位置及び終端ピクセル位置のセットが記録される。これらの位置は、各計測の幅及び角度を演算するために用いられる。この計測は、通常、それぞれのエッジピクセルに垂直に行ってもよく、又は他の所定の角度で行ってもよい。この計測はその他の手法で行ってもよい。そのような計測の例は、対応する角度とともに、図7A及び表7(図7B)におけるベクトルV~Vで表される。
図7Aの例示的参照データでは、表7(図7B)に示すように、ポイント1が開始ベクトル位置であり、ポイント1が終了ベクトル位置であり、ベクトル計測の角度は水平面に対してゼロ度であり、Rは計測されたベクトルVの長さ又は距離に等しい。第2の例として、ポイント3が開始ベクトル位置であり、ポイント3が終了ベクトル位置であり、ベクトル計測の角度が水平面に対して45度であり、Rが計測されたベクトルVの長さ又は距離に等しい。第3の例として、ポイント4が開始ベクトル位置であり、ポイント4が終了ベクトル位置であり、ベクトル計測の角度が水平面に対して90度であり、Rが計測されたベクトルVの長さ又は距離に等しい。
c.次のステップは、参照データと走査画像との間で検査時に許容される最大オフセット又は空間的ずれを示す、参照データにおけるフィーチャーの周辺の不確定帯域又は公差帯域を設定するステップである。そのような公差帯域702は図7Aにおける破線の境界線で示される。
d.参照データにおける開始ピクセル位置及び終了ピクセル位置のそれぞれについて、その後走査画像におけるエッジを探索するため検査時に用いる「線状探索範囲」が定められる。各線状探索範囲は、参照データにおける開始及び終了ピクセル位置によって定められたベクトルと同じ計測角度に沿って配向される。図8では、探索範囲が双方向矢印を有する実線で示される。例えば、ピクセル位置5bの周辺の線状探索範囲はSrである。各線状探索範囲は、検査時に導体が不確定領域又は公差帯域内で移動した際でも走査画像において確実にエッジを見つけられるように、図8で破線で示された公差帯域のエッジを超えて又は少なくとも当該エッジまで延びるべきである。
e.ベクトル長計測値が検査時に走査画像配置のこのような不確定性にどのように影響されるのかをシミュレーションするために、そのような動きをシミュレーションすべく参照データが公差帯域内で移動させられ、結果として得られるベクトル長計測値が参照データの各位置について記憶される。
【0035】
例えば、図9は、図7Aに示された基準の参照データ位置に対して、グリッドボックスの半分だけ下にずれてグリッドボックスの半分だけ右にずれた参照データを示す。実際の部品の検査中に走査画像に対して行われる計測プロセスをシミュレーションするために、図9において双方向矢印を有する実線で示されるように、エッジ1A、1B~5A、5Bが各ピクセルの周囲の線状探索範囲内で探索される。例えば、図9におけるSr902は、エッジピクセル5Bの周辺の線状探索範囲を示す。ずれた参照のエッジがこの線状探索で見つけられると、図10Aに丸(〇)で示される位置で各ベクトルの長さが計測される。例えば、丸(〇)1001は、位置2BFで見出されたエッジピクセルに対応する。図10Bにおける表10は、図10Aの例で見出されたエッジピクセルであって結果として得られるエッジピクセルのそれぞれの位置を、対応する計測角度及び計測されたベクトルの長さと共にリスト表示する。
【0036】
図10A及び表10で示されるように、ベクトル計測の軸に沿った方向へのパターンの動きは、計測されたベクトル長に影響を与えない。さらに、一定フィーチャー幅の領域における計測の軸外の動きも、報告されたベクトル長に影響を与えない。例えば、図10A及び11AにおけるベクトルV、V、及びVは一定フィーチャー幅の領域にある。これは、参照データが公差帯域内でずれても、これらのベクトルの値が変化しないためである。これらの一定幅領域は、ベクトルV、V、及びVの周辺に描かれた実線の長方形1102、1103、及び1104で図11Aにおいて図示される。
【0037】
よって、表10(図10B)に示されるように、ベクトルV、V、及びVの値はそのようなパターンの動きに影響されず、参照データがずれる前に計測された、表7(図7B)にリスト表示された値に従う。しかし、急なフィーチャー幅変化の起こる領域におけるベクトルV及びVは、参照データがずれた際に影響される。例えば、ベクトル1の長さは、図7Bの表7におけるRから図10Bの表10におけるゼロまで減少する。なぜなら、フィーチャーの先端におけるエッジ1及び1は、図10Aに示すように、参照データがずれた際には見つからないためである。同様に、ベクトルVの幅は、(図7Bの表10における)Rから(図10Bの表10における)R+Dまで増加する。なぜなら、このベクトルも、フィーチャー幅の変化する領域にあるためである。
【0038】
図11Aにおいてそれぞれ矢印1101、1102、1103、及び1104で表されるベクトルV~Vを囲む長方形及び矢印1105で表されるベクトルVを囲む四角形は、参照データが公差帯域内周辺で動く際に計測される各ベクトルの計測値の範囲を図示する。図11Bの表11は、走査画像から部品を検査するために用いられる検査リストの例である。当該リストは、各ベクトルについて、期待される始端側導体エッジ位置、期待される終端側導体エッジ位置、ベクトル計測の角度、線状探索範囲の長さ、最小許容ベクトル長、及び最大許容ベクトル長を含む。
【0039】
その後、プロセスは以下のように続く。
f.検査に先立って各ベクトルの有効な幅計測範囲のリストを作成するために、参照データが、(図9、10A、11Aに示すように)公差帯域内で「移動させられて」検査中の走査画像の動きをシミュレーションする。各指定線状探索範囲内でフィーチャーのエッジを探索して位置を特定し、その後、エッジ間の長さの計測(例えば、エッジの方向に垂直に行われる計測)を行うことで、参照データにおける各位置についてベクトル長が計測される(図9、10A、11)。
g.同じエッジの発見及び計測手順が、検査リストを生成するために参照データ画像に対して用いられる。当該検査リストは後で、検査時にベクトル長を計測するために走査画像に対して用いられる。その後、計測される全てのベクトルを含む検査パラメータリストが作成される(図11B)。そのような計測ベクトルのそれぞれについて、検査パラメータリスト内の入力は、当該ベクトルの期待される始端位置、期待される終端位置、計測角度、線状探索領域の長さ、最小許容ベクトル長、及び最大許容ベクトル長を含む。
尚、始端位置、計測角度、最小ベクトル長、及び最大ベクトル長が検査パラメータリストに含まれていれば、終端位置をこのリストに含ませることは冗長情報を提供することになるので省略可能である。
h.検査パラメータリストが作成されると、当該検査パラメータリストは検査処理中に用いられて、図12A及び12Bを用いて記載するように全ての重要なフィーチャーの線幅を計測したり欠陥を検出するために用いられる。
【0040】
例えば、図12Aは、減少線幅(切れ目)欠陥1202(ベクトルV)と広線突起欠陥1203(ベクトルV)とを有する走査されたフィーチャーを示す。両欠陥は、許容された公差帯域内に収まる。これらのタイプの欠陥(広線突起物及び狭線切れ目)は、図2Eに示すようにこれらの欠陥が公差帯域内に収まる場合は従来技術の検査技術では検出不可能であった。
【0041】
さらに具体的には、我々の向上した方法では、走査画像の検査中に、図12Bの表12にリスト表示された各始端ピクセル位置1~5の周辺の線状探索範囲Sr(図8を参照)内でフィーチャーエッジが探索される。図12Aに示されるように、指定された探索範囲内のいずこかにおける実際の位置2AF~5AFに導体エッジが見つけられる。見出されたエッジのそれぞれについて、ベクトル計測V~Vがそれぞれ対向エッジ2BF~5BFで終端することに伴い、フィーチャー幅が実際の始端2AF~5AFに垂直に計測される。走査画像において見出された実際の始端位置及び終端位置には、図12Aに示すように、ベクトルV~Vの始点及び終点における丸(〇)で印付けられている。例えば、丸(〇)1204は、位置2BFで見出されたエッジピクセルに対応する。
i.尚、表12(図12B)における位置1及び1に対応するエッジは、図12Aにおける下にずれた走査画像では見つからないため、表12におけるベクトルVは、計測値がゼロ(V=0)である。よって、次のステップでは、検査中に生成されたベクトル長V~Vが、検査に先立って作成された対応する最小及び最大許容値と比較される。例えば、ゼロである計測ベクトル長V1(V1=0)は、図12Bの表12にリスト表示された、ゼロである最小許容ベクトル長及びR1である最大許容ベクトル長と比較される。走査部品の検査中に計測されたゼロであるベクトル長(V1=0)がリスト表示された許容可能範囲内であるため、欠陥は報告されない。一方、ベクトルV3(その値は(R3-D1)である)が表12にリスト表示されたR3である最小許容値と比較された場合、(R3-D1)<R3であるため、狭導体欠陥(その値は(R3-D1)である)が表12(図12B)の分類列で報告される。同様に、部品の検査中におけるベクトルV4(その値はR4+D2である)が表12にリスト表示されたR4である最大許容長さと比較された場合、表12の分類列に示されるように、広導体欠陥(その長さが(R4+D2)である)が報告される。
【0042】
そのような検査システムを実現するために、幅が検査システムの計測可能な最大距離を超え得るフィーチャーが常にいくつか存在し得ることを理解していなければならない。これは、双方向矢印1301で示された最大計測可能距離(DMAX)を超える図13におけるベクトルV3で示される。これが発生すると、DMAXであるベクトル長計測値又はそれと同等の指標が、許容可能ベクトル長の検査リストに入力される。
【0043】
図7~13を用いて記載されたベクトル計測手順は、全ての欠陥が検出されることを保証するために部品上のあらゆる位置で行われ得る。なぜなら欠陥の位置は検査前には未知であるためである。これは、部品上の所定の位置でのみサンプリング計測を行う従来技術のシステムに対する別の主要な差異である。
【0044】
例えば、図14は、参照データにおける各フィーチャーのエッジに沿ったあらゆるピクセル位置が計測されて図14Bに示される表14の検査パラメータリストが作成されるアルゴリズムの好ましい実施を示す。表14に示される例示的リストは、計測されたあらゆるベクトルについて、その始端側導体エッジ位置、終端側導体エッジ位置、計測角度、探索範囲の長さ、最小許容ベクトル長、及び最大許容ベクトル長を含む。
【0045】
例えば、表14では、ベクトルH1は、期待される始端側導体エッジ位置がx=4、y=11であり、期待される終端側導体エッジ位置がx=6、y=11であり、水平面に対する計測角度がゼロ度であり、走査画像におけるエッジを探索するための線状探索範囲が期待される始端側及び終端側導体エッジ位置の周辺で計測単位の+/-1/2であり、最小許容計測ベクトル長が0であり、最大許容ベクトル長がW1である。
【0046】
参照データから作成された表14(図14B)の検査パラメータリストはその後、図15Aに示すように、走査部品におけるフィーチャーの全長に沿って当該部品を検査し、欠陥を見つけ、導体線幅の計測に用いられる。
【0047】
図15Aに示された高密度の空間的計測は、冗長性を提供して欠陥の検出を大いに向上させる。例えば、図15AのベクトルH2及びV2の交点におけるピンホール欠陥はベクトルH2及びV2の両方で見つけられる。表15-1(図15B)の「計測ベクトル長」列におけるベクトルH2(その値はW1の1/2である)が最小許容値W1よりも小さく、ベクトルV2(その値はL1-D2である)が最小許容値L1よりも小さい。
【0048】
ベクトルH5及びV6の交点におけるフィーチャー幅の減少(切れ目)は、そのような冗長性がなぜ必要なのかを示している。図15Bの表15-1におけるベクトルH5(その値はL2-D3である)が確実にこの欠陥と交わるが、この計測値は、図15Bの表15-1にリスト表示された最小許容ベクトル長の値W1を下回らない(この計測値がW1を下回り得るのは、図14Aに示された公差帯域で表される最下位置にまで走査画像が下にずれた場合である)。その結果、L2-D3であるベクトル長H5によっては、この欠陥は知らされない。しかし、冗長性により、検査中の(図15A及び表15-1(図15B)における)ベクトルV6(その値はW2-D5である)がる最小許容ベクトル長W2よりも小さい。よって、表15-1(図15B)に示されるように、この欠陥がベクトルV6によって検出されて幅W2-D5の減少線幅欠陥として報告される。
【0049】
そのような冗長性がなぜ有益なのかを示す別の例が、ベクトルH6及びV10の交点における減少線幅(切れ込み)欠陥によってさらに明示される。
【0050】
図15A及び表15-1(図15B)におけるベクトルV10(その値はW2-D6である)が確実にこの欠陥と交わるが、この計測値は、表15-1にリスト表示された最小許容ベクトル長の値ゼロを下回らない(この計測値がゼロを下回り得るのは、図14Aに示された公差帯域で表される最も左の位置にまで走査画像がずれた場合である)。その結果、W2-D6であるベクトルV10によっては、この欠陥は知らされない。しかし、冗長性により、検査中の(図15A及び表15-1(図15B)における)ベクトルH6(その値はL2-D4である)が最小許容ベクトル長L2よりも小さい。よって、表15-1(図15B)の「計測ベクトル長」列に示されるように、この欠陥がベクトルH6によって検出されて幅L2-D4の減少線幅欠陥として報告される。
【0051】
別の例では、図15AのベクトルV1の終点における広線突起欠陥が見つけられる。なぜなら、表15-1(図15B)にリスト表示されるように最小許容長さがゼロであり最大許容可長さがL1であっても、L1+D1であるV1の計測長が、L1であるリスト表示された最大許容長さを超えるためである。
【0052】
製造での適用において、典型的には、製造プロセスにおける変動を可能にするために、CAD又は参照データで指定された寸法に対する許容された導体サイズ公差がいくつか存在する。そのような製造分散値が、検査リスト中に入力され得る。例えば、図14Aに示されたフィーチャー並びに(図14Bで示された)表14の対応する検査リストは、2つの導体幅W1及びW2と2つの導体長さL1及びL2とを含む。導体の幅の許容可能な製造分散値が+/-αであり導体の長さの許容可能な製造分散値が+/-βである場合、表14の検査リストが、表15-2(図15C)に示されるようにこれらの許容可能な製造分散値を含むように修正され得る。当該修正は、表15-2の「最小ベクトル長」及び「最大ベクトル長」という名称の列に入力される。図15Dに示されるフィーチャーを検査するための分散値修正パラメータを用いると、表15-2(図15C)の「図15Dの検査中に生成された下記情報」というタイトルの列で示された結果が得られる。表15-2を参照すると、フィーチャーの左上隅における長さD0の小さな突起物により、ベクトルV1の値は(L1+D0)である。D0<βであれば、(L1+D0)<(L1+β)である(表15-2を参照)ため、製造分散値内に収まったこの製造異常は欠陥として知らされない。同様に、ベクトルV6の値が、このベクトルの矢印近くの深さD8の小さな切れ目により、(W2-D8)である。D8<αであれば、(W2-α)<(W2-D8)<(W2+α)であるため、この別の製造異常も表15-2において欠陥として知らされない。しかし、ベクトルH2及びV2の交点におけるピンホール及びベクトルH6の矢印の端における大きな切れ目等の本当の欠陥は、表15-2に示されるように欠陥として知らされる。
【0053】
部品においてフィーチャーの幅を計測することで欠陥を見つけることに加え、図5、6、16、及び17に示されるように、フィーチャー間のスペースを同時に計測することも可能である。図5及び6では、白色の領域における黒色の双方向矢印は、黒色の導体として示されたフィーチャー間のベクトルスペース計測を表す。
【0054】
ここでは、図16A~18Eを用い、検査処理中にこれらのスペース計測ベクトルがどのように生成されてスペースが計測されるかを説明する。
j.図16Aで、参照データ1601は、導体金属(灰色)で囲まれた絶縁体(白色)の一部を示す。絶縁体を囲む破線の境界は、検査中の参照データに対する走査画像の位置的配置の不確定帯域又は公差帯域(不確定帯域)1602を表す。
k.絶縁体を検査するため、検査に先立って参照データから検査パラメータリストが作成される。その作成には、導体の検査リストを作成するための方法としてすでに記載された手順と同じで手順を用いるが、ここでは絶縁体を対象フィーチャーとする。
【0055】
例えば、図16Aは、白色の絶縁体によって隔てられた2つの灰色の導体を含む部品の参照データを示す。絶縁体の検査用の検査パラメータリストを作成するために、ベクトル幅の計測が、図16Aに示すように絶縁体の全長に沿ったあらゆるピクセルエッジ位置において行われる。検査中に起こり得る参照データに対する走査画像の位置ずれをシミュレーションするために、ベクトル幅の計測が、導体用にすでに記載された手順と同じ手順に従って、図16Aに示される公差帯域1602内で参照データのあらゆる可能な位置に対して行われる。各ベクトル計測について、検査パラメータリストは、ベクトル始端位置と、ベクトル終端位置と、計測角度と、探索範囲の長さと、最小許容ベクトル長と、最大許容ベクトル長と、を含む。
【0056】
表16(図16B)に示されるように、ベクトルH1は、期待される絶縁体始端位置がx=6、y=15であり、期待される絶縁体終端位置がx=8、y=15であり、水平面に対する計測角度が0度であり、走査画像におけるエッジを探索するための線状探索範囲が期待される始端及び終端位置の周辺で計測単位の+/-1/2であり、最小許容計測ベクトル長がW3であり、最大許容ベクトル長がW3である。別の例として、表16におけるベクトルH11は、期待される始端位置がx=6、y=6であり、期待される終端位置が「DMAX」である。これは、位置x=6、y=6における始端から0度である角度で探索した際に、可能な最大計測可能ベクトル距離内において参照データにおいて絶縁体の終端が見つからなかったことを示す。しかし、画像が公差帯域内で1ピクセル位置分下にずれた場合、H10の値はW3になるであろう。従って、表16におけるベクトルH10の、最小許容長さはW3に等しく設定され最大許容値はDMAXに等しく設定される。これは、走査画像のこの空間位置については、参照データにおける計測可能範囲内で絶縁体のエッジ又は終端が見つからない又は存在しないことを示す。
【0057】
検査パラメータリストは、走査される部品を検査するために次のステップで用いられる。図17A及び17Bを参照すると、この検査ステップ中において、走査される部品からのベクトル長計測値は、前もって生成された期待値のリストと比較される。例えば、表17において、左側は、図16Aにおける参照データ1601から生成された表16からの期待されるベクトル長の値を含み、右側は、部品の検査中に得られた、図17Aに示された走査画像1701から計測されたベクトル長を含む。
【0058】
この検査ステップ中に、図17Aに示される高密度の空間的計測が行われると、冗長性が提供されて絶縁体における欠陥の検出が大いに向上する。第1の例として、図17Aにおける余分導体欠陥1702がベクトルH11及びV9の両方によって見つけられる。表17の「計測ベクトル長」列におけるベクトルH11(その値はL1である)が最小許容値DMAXよりも小さく、ベクトルV9(その値はW4-S1である)は最小許容値W4よりも小さい。
【0059】
そのような冗長性がどのように欠陥検出を高めるかを示す第2の例として、図17aのベクトルH10及びV7の交点における絶縁体の幅の減少を考える。表17におけるベクトルH10(その値は(W3+P2)である)が確実にこの欠陥と交わるが、この計測値は、表17にリスト表示されたW3である最小許容ベクトル長の値を下回らない(この計測値がW3を下回り得るのは、図16Aに示された公差帯域で表される最下位置にまで走査画像が下にずれた場合である)。その結果、ベクトル長H10(=W3+P2)によっては、この欠陥は知らされない。しかし、冗長性により、検査中の(図17a及び表17における)ベクトルV7(その値はW4-P1である)が最小許容ベクトル長W4よりも小さい。よって、表17に示されるように、この欠陥がベクトルV7によって検出されて幅W4-P1の狭絶縁体欠陥として報告される。
【0060】
第3の例では、図17aのベクトルH6の終端において広絶縁体欠陥が見つけられる。なぜなら、W3+N1であるH6の計測長が、リスト表示された最大許容幅W3を超えるためである。
【0061】
導体線幅計測の精度は、導体エッジ位置を計測し得る精度に比例する。CADデータから抽出される際に各エッジの正確な位置は非常に正確に分かっているが、図3A~3Dにて上記で説明され示されたように、そのようなエッジ位置が走査イメージから抽出される場合はカメラ量子化が位置的な不確定性をもたらす。そのようなピクセル量子化は、ベクトルの計測長において最大で1カメラピクセル分のエラーをもたらし得る。
【0062】
より高いベクトル計測精度を達成してサブピクセル・サブミクロン解像度で走査画像内のベクトル長を計測するために、追加的な二段階プロセスが行われてもよい。
l.まず、グレースケールカメラ信号が2次元エッジフィルタを通過し、エッジ遷移領域を特定する。
m.その後、多項式曲線が当該エッジフィルタの出力にフィットされ、通常、カメラピクセル間のどこかに存在する、エッジの正確な位置を特定する。
【0063】
この二段階プロセスは、図18A~18Eを用いて詳細に説明される。図18Aは、有機絶縁体上の金属導体を有する、薄いフレキシブル回路パネルの実際の走査蛍光画像を示す。図18Aには、蛍光発光しない金属導体が黒色で、蛍光発光する絶縁体が明色で表示される。図18A及び18Bには両方とも、始端位置X及び終端位置Yを有する金属導体と交わる走査線1801が示されている。走査線1801は、図18A、18B、及び18Cに示されるようにカメラピクセルAからカメラピクセルBまで延びる。
【0064】
図18Bは、図18Aの画像を処理した2次元エッジフィルタの出力画像を示す。図18B内の位置「x」において水平走査1801と交わる導体トレースの左エッジにおける当該エッジフィルタの出力は暗い色をしており、これが明るい色の絶縁体から暗い色の導体への変化であることを示す。位置「y」において走査線1801に沿ったこの導体の右エッジにおける当該フィルタの出力は、明るい色をしており、これが暗い色の導体から明るい色の絶縁体への変化であることを示す。2次元エッジフィルタの出力は、各エッジの配向も表す。
【0065】
図18Cは、図18A内の走査線1801全体に亘るカメラピクセル強度1802とエッジフィルタ1803からの対応する出力信号との両方のプロットを示す。各カメラピクセル強度値は、実線の黒色曲線1802上の黒点で示される。この黒点に対応するエッジフィルタ出力値は、灰色の実線曲線1803上に灰色の点で示されている。
【0066】
図18A及び18Bにおける左エッジx及び右エッジyの大まかな位置は、図18Cに示されたエッジフィルタ出力曲線1803における正の最大データポイント及び負の最大データポイントの空間位置にそれぞれ対応する。カメラ及びエッジフィルタの出力が提供するのは、図18C内に黒色の点及び灰色の点で示される離散的な空間的ピクセル位置における強度値のみであるため、実際の導体のエッジ位置は、これらの離散的位置間のどこにも存在する可能性がある。
【0067】
サブカメラピクセル精度でエッジ位置を推定するために、二次多項式(放物線)1804及び1805が、それぞれ、エッジフィルタの出力データの負の最大ピーク及び正の最大ピークを囲む領域において、エッジフィルタの出力データにフィットされる。その後、ベストフィットした多項式1804及び1805について導関数が演算され、正確なエッジ位置が、当該多項式(放物線)の勾配又は導関数がゼロに等しくなる座標として定義される。
【0068】
例えば、図18Cでは、黒色の破線として描かれた2つのベストフィット放物線1804及び1805が、図18B及び18Cにおけるエッジx及びyに対応する周囲のエッジフィルタデータポイントに独立してフィットされる。図18D及び18Eは、図18Cに示されたベストフィット放物線1804及び1805のピーク周辺の拡大図である。図18D及び18Eの両方において、導体エッジは、ベストフィット多項式の導関数がゼロとなり、多項式のピーク値に対応するポイントとして定義される。
【0069】
例えば、図18Dは、カメラピクセル位置20及び21に対応するエッジフィルタ出力値を示し、ベストフィット放物線の負のピークはこれらの離散的値間でカメラピクセル位置x=21.53474ピクセルにおいて現れる。同様に、図18Eは、カメラピクセル位置33及び34に対応するエッジフィルタ出力値を示し、ベストフィット放物線の正のピークはこれらの離散的値間でカメラピクセル位置x=33.6488ピクセルにおいて現れる。
【0070】
図18B~18Dに示された画像及びデータは、業界に知られているソーベル型エッジフィルタを用いて生成され、エッジフィルタの出力データに対する2つのベストフィット多項式は、二次放物線多項式を用いて生成された。例えば、ソーベル、キャニー(Canney)、及びプレウィット(Prewitt)等の、業界に知られている多数の2次元エッジフィルタがある。これらのフィルタ及びその他の類似のエッジフィルタも本願に組み込まれ得る。さらに、この例においては二次放物線多項式がエッジフィルタの出力データのベストフィットに用いられたが、より高次の多項式も本願のために代用され得る。
【0071】
図19Aは、2つの試験パターンを示すガラス上クロムの較正ターゲット(対象1)の走査画像を示す。一方の試験パターンは203本/mmの線を含み、他方の試験パターンは228本/mmの線を含む。203本/mmの線のパターンは2.46μmに等しい線及びスペース幅を有し、246本の線/mmのパターンは2.20μmの線幅及びスペース幅を有する。2つの試験パターンを、ソーベルエッジフィルタと導関数がゼロとなるベストフィット放物曲線のピークとして推定されたエッジ位置とを用いて計測した際、両パターン用に計測された線幅は、表19(図19B)に示されるように、既知の正しい値の+/-0.035um以内で正確であった。
n.正確な計測値の検査及び認証を可能にするために、走査画像において計測されたベクトル長は、検査に先立って参照データから生成されたベクトル長と、指定された公差内で一致しなければならない。参照データ(参照画像を生成するために、既知で良質の完全な「優れた部品」を走査する)から検査パラメータリスト(その例が図14Bの表14及び図15Cの表15-2に示されている)における計測ベクトルを生成する手法が少なくとも3つある。この走査されたグレースケール参照画像に基づいて、エッジフィルタ(求められる計測ベクトルをサブピクセル精度で演算するための、図18A~18Dに関連して記載したベストフィット多項式手順)を用いる。
【0072】
参照画像がCADデータから生成された場合、このデータのフォーマットはすでに、これらのベクトル長をサブカメラピクセル精度で直接的に演算することを可能にするベクトルフォーマットであってもよい。その場合、CADデータをグレースケール参照画像に変換し、図20Aを用いて説明されるように検査カメラの出力をシミュレーションする。その後、エッジフィルタ(図18A~18Dで記載されたベストフィット多項式の手順)を用いてこのグレースケール参照画像から計測ベクトルを算出する。
【0073】
CADデータをグレースケール参照画像に変換する好ましい一方法では、グレースケール参照画像の各ピクセルの強度値が以下のように演算される。
i.図20Aにおいて矢印2001で指し示されている例示的な6×8グリッドで示されるように、参照ピクセルのグリッドを作成する。ここで、各参照ピクセルのサイズはカメラピクセルのサイズと等しい。
ii.参照グリッド2001を同等以上の解像度のCADデータに対して重ね合わせ、図20Aに示すように、各参照ピクセルが、典型的には、複数のCADデータポイントからなり、又は複数のCADデータポイントを含むものとする。図20Aの例では、各参照ピクセルは25個のCADデータポイントを含む。ここで、単一のCADデータポイントが矢印2002で指し示されている。
iii.図20Aにおける各参照ピクセルのグレースケール強度値(参照ピクセル強度)が以下によって与えられる:
参照ピクセル強度=CAD導体データを含む参照ピクセルの面積/参照ピクセルの総面積
【0074】
例えば、図20Aにおける6×8グリッド2001の大きな四角形がそれぞれ、カメラピクセルのサイズと等しい参照ピクセルのサイズを表す。各大きな四角形内の小さな四角形はCADデータの解像度を表す。この例では、各参照ピクセルが25個のCADデータポイントを含む。グレースケール強度値も各参照ピクセルにリスト表示される。当該グレースケール強度値は、導体によりカバーされる参照ピクセルの面積を参照ピクセルの総面積で割った値と等しい。言い換えると、図20Aにおいて各参照ピクセルに記載される数値は、当該ピクセルのグレースケール強度値を表す。図20Bは、図20Aに描かれた走査線2003に沿った8個の参照ピクセルのグレースケール強度値を示す。
【0075】
その後、検査パラメータリストにおける各計測ベクトルが、エッジフィルタ(図18A~18Dに関連して上述されたようなベストフィット多項式曲線手順)を用いてグレースケール参照画像における強度値から算出される。
【0076】
走査カメラ画像から算出されるベクトル計測値と検査リストにおけるベクトル計測値とのさらにより近い一致を達成するための別の方法では、まずカメラ撮像レンズのぼかし機能を用いてグレースケール参照画像を畳み込むことで、結果として得られる参照データが検査カメラの実際の出力をより良くシミュレーションするようにし、その後エッジフィルタを使用し、この畳み込まれた画像に対しベストフィット多項式演算を行って、計測ベクトルの検査リストを演算する。
【0077】
例えば、図21Aは、図示されるように、1.95μm及び2.19μmのラインスペースを含む較正ターゲット(ターゲット2)の走査カメラ画像を示す。図21Bは、ターゲット2に対応するグレースケール変換されたCADデータを、カメラレンズのぼかし機能(ターゲット2のイメージをカメラに取り込むために用いられる)により畳み込んだ結果を示す。図21Bの畳み込まれた参照画像が図21Aの実際の走査カメラ画像といかによく一致しているかに注目されたい。図21A及び21Bに走査線2101及び2103についての強度波形2102及び2104がそれぞれ示されており、畳み込まれた参照強度波形と走査されたカメラ強度波形とがいかに近く一致するかを示している。
【0078】
その後、ベクトル長計測値が、図21Bの畳み込まれた参照画像から算出され、図21Aの走査カメラ画像を検査するために必要な計測ベクトルの検査リストが作成される。ターゲット2のCADデータからの既知のラインスペース幅、並びに、図21Bの畳み込まれた参照画像から演算されたベクトル長と図21Aの走査カメラ画像から演算されたベクトル長との差異が、対比のため図21Cの表21に示される。
【0079】
電子部品の検査を意味のあるものとするために、検査システムは、許容し得る公差を特定する手段を、製造業者に提供しなければならない。本明細書に記載された検査技術に関しては、2種類の公差パラメータがある。
図8の矢印Srで示されるような、走査カメラ画像におけるフィーチャーのエッジを探す探索範囲を指定するための公差、及び
図15Cの表15における公差値α及びβで示されるような、走査画像において見出された各ベクトル計測の容認可能な長さの範囲を指定するための公差。
【0080】
表15-2に示されるように、異なるタイプのフィーチャーに対しては、異なる公差値を設定できる。例えば、2μmのラインスペースに対しては、容認可能なベクトル長計測公差は+/-0.2μmに設定されてもよく、探索範囲(Sr)は+/-1.0μmに設定されてもよい。一方、10μmのラインスペースに対しては、計測長公差は+/-1.0μmに定されてもよく、探索範囲は+/-3μmに設定されてもよい。
【0081】
図22A、22B、及び22Cは、蛍光発光する薄いフレキシブル有機基板の実際の検査から得られた例であり、2μmのラインスペースを有する基板の一部を検査した結果を示す。ここでは、探索範囲(Sr)は2.1μmに設定し、計測ベクトル長公差は0.2μmに設定した。図22Aは、薄いフレキシブル蛍光発光有機基板の走査画像を示し、金属導体は黒色で、蛍光発光する基板は明色で示されている。図22Bは導体線幅違反を示し、図22Cはスペーシング違反を示す。線及びスペースのずれが指定されたベクトル長公差(0.2μm)よりも大きいがこの公差の2倍(0.4μm)未満である位置は、符号1で標記される。線及びスペースのずれが指定されたベクトル長公差の2倍(>0.4μm)よりも大きいが当該線及びスペースが指定された探索範囲(2.1μm)内で見つかる位置は、符号2で標記される。線及びスペースが指定された探索範囲(Sr=2.1μm)内で見つからない位置は、符号3で標記される。
【0082】
図22A、22B及び22Cは、検査パラメータリストのパラメータに違反する欠陥が本明細書に記載された技術を用いてどのように検出されるのかを明確に示している。しかし、図23に矢印2301で示されるような大きなエリアの絶縁体の中央部における余計な金属(導体)からなる欠陥、又は、大きなエリアの金属の中央部における余計な絶縁体からなる欠陥(穴)は検出されない。なぜなら、参照データはこのエリアにフィーチャーを有しておらず、従ってこれらのエリアをチェックするために計測ベクトルが検査パラメータリスト内に作成されないためである。
【0083】
走査画像におけるそのような異常(異地)フィーチャー状の欠陥を検出可能にするために、走査データが参照データの画像とも比較される。一方、そのような比較は、走査画像と参照画像との細かな整列をする必要もなく行うことができる。例えば、図24の走査画像における異常金属欠陥2401と図25の走査画像における異常金属欠陥2501とを考える。
【0084】
そのような欠陥は、検査時に、走査画像で異常金属フィーチャーが見出された座標と同じ参照データ内座標の周囲の隣接領域内に何らかの金属が見出されるかどうかを探索するこで、検出できる。例えば、図24における破線の長方形2402及び図25における破線の長方形2502により設定された探索エリアの境界内では参照データに金属が存在しないため、走査画像における異常金属フィーチャーが欠陥として検出されて区分けされる。しかし、走査画像におけるそのような異常フィーチャーが、図25における欠陥2503等のように参照データにおけるフィーチャーに近い(例えば、離間距離が、図13に定められたような距離Dmax未満)場合、この異常金属欠陥2503はスペース違反として検出される。なぜなら、ベクトル2505がDmaxよりも短いためである。
【0085】
図26における穴2601等の、大きなエリアの金属内で絶縁体を露出させる穴状の走査画像内欠陥は、検査時に探索エリア2602内で参照データに対して探索を行って、走査画像における穴の座標と同じ参照データ内座標の周辺の絶縁材を探すことで類似の手法で検出される。探索領域2602内で参照データに穴が見つからなければ、図26の走査画像における穴は欠陥として区分けされる。
【0086】
図23、24、及び25は絶縁基板(白色)上に導体(黒色)が存在することを図示するが、本明細書に記載された方法は、導体が絶縁体と区別され得るいかなる部品にも適用可能である。例えば、図22A、22B、及び22Cは、明色の蛍光発光基板上にある黒色の金属導体を示す。図19Aは、暗色のガラス絶縁基板上にある明色のクロム導体を示す。その他の例は、金属上にある明色で蛍光発光するレジストパターン、及び、非反射性の又は反射性がごく小さい基板上にある明色の反射性金属導体、である。導体を走査カメラ画像において絶縁体と区別し得る限り、本明細書に記載された部品検査方法を適用できる。
【0087】
その他の応用では、ウェーハ、回路ボード、基板、内層、及びマスク等であるがこれらに限定されない電子部品に対して自動化メトロロジー計測を行い、(以下に限るものではないが)部品全体、部品の一部、部品上の各ダイ、又は各ダイの一部に対して且つ部品上のフィーチャーの最大百パーセントに対して演算された、フィーチャーサイズ、線幅、及びスペース計測値などの最小値、最大値、平均値、及び標準偏差などの統計データが得られる。部品上の数十億の位置に基づいて統計を行うことに加え、本明細書に記載された方法ではまた、リアルタイムで部品を走査しながら、統計データ算出に用いる計測を行うために最適な位置を自動的に決定する。そのような自動設定は、異なる部品を多量に扱う工場には必須である。
【0088】
そのような自動セットアップがどのように行われ得るかを説明するために、図27Aに示された参照データにおけるフィーチャー2701と図27Bの表27における計測パラメータリストとを考える。表27には、フィーチャー2701を有する参照データを図27Aに示された公差帯域2702によって設定された不確定領域内で移動させた際に生成された、導体計測エッジ位置とベクトル計測の角度と最小及び最大許容ベクトル長とをリスト表示する。部品を走査しながら正確なメトロロジー計測を行って正確なフィーチャー幅を算出するために、本システムは、例えば(以下に限るものではないが)、ステージの振動、ステージの非線形性、及びステージの繰り返し動作上の制約などに惹起される、システムの不正確性により、報告されたベクトル計測値が悪影響を受けたり誤って報告されたりしないことを保証するように設計されることが好ましい。
【0089】
統計を演算するためのデータを計測するよう自動的に選択された部品上の位置は、臨界幅ベクトル位置と呼ぶ。これらの位置は、フィーチャーがその公差帯域内で移動させられても大きさが変化しない又は小さな定められた最小臨界幅公差内でのみ変化するベクトル(臨界幅ベクトルと呼ぶ)に対応する。例えば、フィーチャーは、その公差帯域内で異なる方向に+/-1μm移動させられてもよいが、導体の幅の臨界幅公差は、臨界幅ベクトルとして適切となる導体のベクトルに対して0.2μmに設定されてもよい。例えば、表27では、参照データが公差帯域内で動いても、ベクトルV2、V3、V4及びV5は一定のままであり、よって、これらのベクトルを臨界幅の計測に用いることができる。一方で、ベクトルV1及びV6は、臨界幅を計測するために有効なベクトルとして適切ではない。なぜなら、参照データが公差帯域内で動くと、0とR1との間で変動するベクトルV1並びにR6-DとR6+Dとの間で変動するベクトルV6は大きさが変化するためである。ベクトルV1及びV6は、部品が走査されるのに伴い、システムの不確定性により値が変化し得るため、これらのベクトルは統計を算出するためには用いられない。
【0090】
図27Bの表27は、そのようなベクトルの例をリスト表示し、どれが統計上の計測値を演算するために用いられ得る臨界幅ベクトルなのかを示す。
【0091】
図28Aは、臨界幅ベクトルの導体エッジが位置2AF、2BF、3AF、3BF、4AF、4BF、及び5AF、5BFにおいて見出された走査カメラ画像を表す。これらの位置は図28Aにおいて円(〇)で図示される。走査画像において見出されたそのような臨界幅ベクトルには、ベクトル名の前に文字「CW」が付される。例えば、以下のベクトルを参考にされたい:V2=CW-V、V3=CW-V、V4=CW-V、及びV5=CW-V
【0092】
走査される部品の統計データを演算するために、参照データにおける同じデザインサイズの全てのフィーチャー(同じサイズの線、同じサイズのスペース、及び同じサイズのパッド等)をグループ化してもよい。例えば、許容可能な最小及び最大の大きさがW1である全ての臨界幅ベクトル(図27A及び27Bを参照)をグループ化して、フィーチャーサイズ又は線幅W1の統計データを演算してもよい。同様に、許容可能な最小及び最大の大きさがW2である全ての臨界幅ベクトルをグループ化して、フィーチャーサイズ、線幅W2等の統計データを演算してもよい。
【0093】
このグループ化の結果、リアルタイムで部品を走査しながら数十億の臨界幅計測を行うことができる。表27(図27B)の最終列に示されるようにどのベクトルが臨界幅ベクトルであるかを含む検査パラメータリストに提供される全ての情報を用いると、数十億のサブミクロン解像度の計測に基づいて臨界幅統計を同時に演算でき、部品上の欠陥(これもサブミクロン解像度で計測される)を同時に見つけることができる。
【0094】
図28Cの表28-2は、図28Aにおけるフィーチャー2801に対して演算された統計の例である。表28-2は、フィーチャー全体に亘って計測された臨界幅ベクトルから算出した結果、得られる、導体W1及びW2の最小、平均、最大、及び標準偏差の値を示す。一般的に、そのような統計は、部品全体、部品の一部、部品上の各ダイ、又は各ダイの一部に対して且つ部品上のフィーチャーの最大百パーセントに対して演算され得る。
【0095】
検査時に、部品が走査される際、走査画像からベクトル長を演算するための2つの好ましい方法がある。これら2つの方法は以下のように定められる。
【0096】
ベクトル長方法1では、走査画像から計測されたベクトルの長さを、指定された探索範囲内で見出されたエッジの1つと、ベクトル計測の軸に沿って次に材料が変化する位置との間の長さとして、定める。例えば、図15Aでは、検査時に演算されたベクトルH2は、フィーチャーの一方のエッジからフィーチャーの中心に位置する(材料の変化によって表される)ピンホールまで延びる。
【0097】
ベクトル長方法2では、走査画像から計測されたベクトルの長さを、指定された探索範囲内でベクトル計測の軸に沿ってフィーチャーの両側で見出された2つのエッジピクセル位置の二乗の和の平方根として、定める。例えば、図28A及び表28(図28B)におけるベクトルCW-V2Fの長さは以下によって与えられる。
【数1】
ここで、フィーチャーの一方のエッジはピクセル位置(2AF、2AF)に位置し、フィーチャーの他方のエッジはピクセル位置(2BF、2BF)に位置する。
【0098】
ベクトル長方法1は、フィーチャーの中央部の欠陥が検出されるという利点を有するが、ベクトルの長さに沿った全てのピクセルを分析する必要がある。これに対し、方法2は演算がより単純になる。なぜなら、フィーチャーの幅全体に亘るベクトル長を演算するために、エッジピクセル位置のみが処理されるためである。しかし、ベクトル長方法2だけでは、ピンホール等のフィーチャーの中央部にある欠陥は検出されない。しかし、本検査システムが、(図24、25、及び26に示されるように)走査画像を参照データと比較して余計な及び不足するフィーチャーを見つけることと組み合わせて、方法2を組み込んでフィーチャー幅を計測する場合、ベクトルH2及びV2の交点における図29のパターン一致探索エリア2901で示されるように、(図24、25、及び26にも示されるような)パターン一致探索エリアが小さく、フィーチャーの境界内に収まれば、ピンホールは線の中央部の異常位絶縁体欠陥として検出され得る。
【0099】
検査の目的が全ての欠陥を見つけ、同時に統計上の線幅及びラインスペースのデータを収集することである場合、導体のライン/スペースサイズがシステム上誤差オーダーのものである製品に対しては、図29に示すように導体の境界内に留まるパターン一致探索エリアを作成することができない可能性があるので、導体の中央部の欠陥を検出できるベクトル長方法1が好ましい。一方、ライン/スペース幅がパターン一致探索エリアを導体線内に確実に配置し得るほど十分大きい場合、ベクトル長方法2が適用可能である。さらに、統計上の線幅/スペースデータのみが対象である用途においても、ベクトル長方法2が適用可能である。
【0100】
線形計測は導体線及びスペースをキャラクタライズするための好ましい手段である一方、ビア及びパッドをキャラクタライズするためには円形及び楕円形計測がより適している。参照データがCADデータから生成される際、ビア及びパッド等のフィーチャーが度々、別々のデザインファイル層上に提供されるか、CADファイルデータ内で一意的に識別される。この情報により、部品上のどこにそのようなフィーチャーが位置するかを本検査システムが知ることができるため、そのようなフィーチャーを分析するためにフィーチャー形状プロセッサを用いることができる。
【0101】
例えば、図30は、CADガーバー(Gerber)フォーマットで提供される参照データから生成された楕円形状のパッドのエッジピクセルを示す。矢印3001はエッジピクセルのうちの1つを指し示す。参照データにおける楕円上の各エッジピクセルに対して、線状導体及びスペースフィーチャー用の図7及び8に示された手順と同じこれらのベクトルを生成する手順を用いて、典型的には当該エッジに垂直に、楕円の反対側のエッジを指し示し当該反対側のエッジまで延びているベクトルが作成される。
【0102】
楕円の各エッジピクセルに対して、線状エッジフィーチャー用の図8に示された手順と同じ手順を用いて、図31に示されるように探索範囲Sr3101が定められる。図32は、検査時に走査画像において、エッジピクセルが物理的スペース内のどこで探されるかを示す。図33は、エッジに欠陥3301を有する欠陥パッドの走査画像を示す。図33は、本システムが走査画像においてエッジピクセルを見つけることを期待する探索範囲Sr3101を示す。図34は、エッジピクセルが走査画像内のどこで見つけられてフィーチャー形状プロセッサに提示されるのかを示す。
【0103】
図35は、楕円形及び円形パッドの分析用に最適化されたフィーチャー形状プロセッサ3501を表す。尚、円形パッドは、長軸と短軸とが等しい楕円である。この例では、フィーチャー形状プロセッサ3501は、図35に示すように走査データエッジピクセル3503に対するベストフィット楕円(BFE)3502を演算する。その後、フィーチャー形状プロセッサ3501は、走査データピクセル3503とBFE3502との間の標準偏差(STD)と、各エッジピクセルがBFEとどれ程異なるかと、を演算する。走査エッジピクセルの差異が所定の値を超える場合、図35に示されるようなBFE3502から距離「D」だけ異なるエッジピクセル3504で表されるように、エラーが報告される。
【0104】
フィーチャー形状プロセッサによって算出され得るその他の計測値は、例えば長軸及び短軸と楕円の中心とであるが、これらに限定されない。部品上の同じサイズの全ての楕円及び円の統計データが演算され得る。当該統計データは、楕円形パッドの長軸と短軸とのSTD並びに楕円形及び円形パッドの中心からのSTD等であるがこれらに限定されない。さらに、追加的フィーチャー形状プロセッサが本システムに追加され得る。各追加的フィーチャー形状プロセッサは異なる形状の分析用に最適化される。例えば、一フィーチャー形状プロセッサは三角形パッド用に最適化され得るし、他のフィーチャー形状プロセッサは涙滴形状パッド等用に最適化され得る。一般的に、フィーチャー形状プロセッサは、フィーチャー依存計測を行う必要がある際に組み込まれ得る。
【0105】
前述のように、好ましい実施形態では、全ての演算は部品を走査しながらリアルタイムで行われ、フィーチャー形状プロセッサは、参照データとの比較と同時にパッド及びビアの両方に対してその処理を行い、そのような処理はまた、部品上のあらゆるフィーチャーの全長に沿った、部品上のあらゆる線及びスペースの任意の長さ及び幅計測と同時に行われる。
【0106】
図36は、そのようなリアルタイム処理を提供し好ましいシステムのブロック図の一例である。本システムは、カメラ3603の下方の部品3602を走査する並進ステージ3601を含む。カメラ3603は次に、画像をフレームグラバ3604に転送する。その後、フレームグラバ3604は、当該画像を処理及び分析用のフィールドプログラマブルゲートアレイ1(FPGA1)3605にとって利用可能にする。当該処理及び分析は、FPGA2(3606)によって行われる任意の追加的処理及び分析を伴う場合がある。FPGAからの処理済データは、さらなる処理及び分析用のグラフィックスプロセッシングユニット1(GPU-1)3607及び任意にGPU-2(3608)に転送される。FPGA及びGPUからのデータは、追加的処理及び分析用のCPU3609に転送される。全てのFPGA、GPU、及びCPUはコンピュータバス3610に接続される。
【0107】
部品が走査されながらリアルタイムで数十億の計測を行うために求められるデータレート及び演算能力を達成するために、以下のハードウェアモジュールが一実施において組み込まれてもよい。カメラ3603はビューワークス(Vieworks)製モデルVT-9K7X0H250であり、250KHzのラインレート及び2.23ギガピクセル/秒のデータレートを有する8912ピクセル×128ラインのTDIセンサである(Vieworksは大韓民国の京畿道にあるビューワークス社の商標である)。フレームグラバ(3604)はボード上で実現される。当該ボードは、複数のAltera FPGAチップを含むGidel製モデルProc 10Aである(GidelはイスラエルのオルアキバにあるGidel Internationalの商標であり、Alteraはカリフォルニア州のサンノゼにあるアルテラ社の商標である)。フレームグラバ3606は当該Altera FPGAチップのうちの1つで実現され、図36のFPGA-1(3605)は同じボード上のその他のチップで実現される。例えば、複数のAltera FPGAボードを含むGidel Proc 10Aは、毎秒約5テラバイト(5×1012バイト)のデータに対応している。
【0108】
このアーキテクチャはまた、図36にFPGA-2(3606)で示されるように、複数のFPGAと複数のGidel Proc 10Aプロセッサとをサポートしている。高速データ転送ライン3611が、フレームグラバ3604、FPGA-1(3605)、FPGA-2(3606)、GPU-1(3607)、及びGPU-2(3608)間で信号を伝送する。GPU-1(3607)及びGPU2(3608)は、Nvidia Tesla P100及び/又はNvidia Tesla V100の処理加速カードを用いて実現される。Nvidia Tesla P100は16ビット浮動小数点(FP16)の21テラフロップスよりも高い性能を提供し、NVIDIA Tesla V100のテンサーコアは、本願出願時ではAI(人工知能)、高性能演算(HPC)、及びグラフィックを加速させるためにこれまで作られた中で最先端のデータセンターGPUである。当該テンサーコアは、NVIDIAのVoltaアーキテクチャを動力源とし、16及び32GB構成であり、単一のGPUで最大100個のCPUの性能を提供する。
【0109】
この想像を絶する演算能力を伴い、当該アーキテクチャは、単一のGPUにおける最大100個のCPUと、毎秒最大約5テラバイト(5×1012バイト)のデータを処理できるFPGAと、本明細書に記載された処理及びプロセッサをリアルタイムで実現することを可能にする2.23ギガピクセル/秒のデータレートで走査するカメラと、からなる。
【0110】
全ての高速ハードウェアモジュール(カメラ、FPGA、及びGPU)は、PCIEコンピュータバス3610を介して汎用のCPU3609と通信する。CPU3609は、Microsoft製Windows10のオペレーティングシステムで動くIntel製Xeonプロセッサで実現される。
【0111】
以下に重点をおくことが重要である。この極めて高速な処理ハードウェアをもってしても、検査の前に参照データを前処理して上記検査パラメータリスト及び計測パラメータリストを生成することは、必須の構成要素である。当該構成要素は、そのような高速ハードウェアと組み合わせて、部品を走査しながらリアルタイムで数十億のメトロロジー計測を行うことを可能にする。
【0112】
これで、図36に示された本システムのアーキテクチャが上記検査及び/又は計測技術のうち1つ以上を実現するために用いられ得ることが理解できる。
【0113】
一例として、図37は、欠陥について部品におけるフィーチャーを検査する方法の実行フローを示す。第1のステップ(ステップ3701)では、参照データが探し出され、その後、1つ以上のフィーチャーが参照データから空間的にどれ程ずれてもよいかを指定する公差帯域(複数可)が作成される(3702)。その後、各フィーチャーの外周周辺の固定空間位置において計測ベクトルが作成される(3703)。各計測ベクトルは、参照データにおけるフィーチャーの寸法であって、外周上の一方のポイントから外周上の他方のポイントまでの指定された角度での寸法、を表す。各固定空間位置の周辺には、各計測ベクトルの始端ポイント及び終端ポイントを見つけることを可能にすべく線状探索範囲も定められる(3704)。各線状探索範囲は、その対応する計測ベクトルの方位角と同じ方位角に向けられた探索軸を有する。
【0114】
次に、検査される各フィーチャーについて、フィーチャーの公差帯域内の複数の位置にフィーチャーが移動される(3705)。フィーチャーの各位置について、各前もって作成された空間的に固定された計測位置において、指定された探索範囲内でフィーチャーの外周に沿ってポイントが探索される(3706)。外周上でポイントが見出された場合、対応する計測ベクトルによって指定された角度でベクトル寸法が計測される(3707)。結果として得られる寸法は許容可能なものとして記憶される(3708)。ベクトル計測値が最大計測可能値を超えた場合、又は、外周上でポイントが見つからなかった場合、この結果も許容可能なものとして記憶される(3708)。各空間的に固定された計測位置について、フィーチャーの公差帯域内のフィーチャーの複数の位置に対応する、許容可能な最小及び最大ベクトル寸法が記憶される(3708)。これらの最小及び最大ベクトル寸法又はそれらの代表値はその後、部品の検査中における容認可能なプロセス変動を可能にすべく修正される(3709)。
【0115】
走査画像から部品を検査するプロセス(ステップ3710)は、その後以下のように続く。各計測ベクトルについて、当該ベクトルの探索範囲内において、フィーチャーの外周に沿ってポイントが探索される(3711)。ポイント位置が特定されない場合、外周上のポイントが見つからないことを示す代表値が生成される(3711)。ポイント位置が特定された場合、当該ベクトル用に指定された角度でベクトル寸法が計測され(3713)、寸法が最大計測可能値を超えるときを示す代表値が生成される(3713)。その後、最小許容寸法若しくはその代表値よりも小さい又は最大許容寸法若しくはその代表値よりも大きいベクトル寸法について、欠陥が報告される(3714)。
【0116】
図38に図示される別の例示的プロセスでは、フィーチャーを計測する方法が行われてもよい。このプロセスも、参照データを探し出すことで開始し(3801)、1つ以上のフィーチャーが参照データから空間的にどれ程ずれ得るかを指定する公差帯域(複数可)が設定される(3802)。各フィーチャーの外周周辺の固定空間位置において計測ベクトルが作成される(3803)。各計測ベクトルは、参照データにおけるフィーチャーの寸法であって、外周上の一方のポイントから外周上の他方のポイントまでの指定された角度での寸法、を表す。各固定空間位置の周辺の線状探索範囲も、各計測ベクトルの始端ポイント及び終端ポイントを見つけることを可能にすべく定められる(3804)。各線状探索範囲は、その対応する計測ベクトルの方位角と同じ方位角に向けられた探索軸を有する。計測される各フィーチャーについて、フィーチャーの公差帯域内の複数の位置にフィーチャーが移動させられる(3805)。フィーチャーの各位置について、各前もって作成された空間的に固定された計測位置において、指定された探索範囲内でフィーチャーの外周に沿ってポイントが探索される(3806)。外周に沿ってポイントが見出された場合、対応する計測ベクトルによって指定された角度でベクトル寸法が計測され(3807)、当該ベクトル寸法又はその計測寸法が最大計測可能値を超えるときを示す代表値が、許容可能なものとして記憶される(3808)。外周に沿ってポイントが見つからない場合、この結果の代表値も許容可能なものとして記憶される(3808)。その後、空間的に固定された各計測位置について、公差帯域内のフィーチャーの上記複数の位置に対応する、許容可能な最小及び最大ベクトル寸法とその許容可能代表値とが記憶される(3808)。各フィーチャーがその対応する公差帯域内で移動しても寸法が変化しない又は小さな定められた最小臨界寸法公差内でのみ変化する計測ベクトルは、臨界寸法ベクトルとして記憶されて標記される(3809)。
【0117】
その後、走査画像から部品を計測するプロセス(3810)では、各臨界寸法ベクトルに対して(3811)、当該ベクトルの探索範囲内で(3811)、フィーチャーの外周に沿ったポイントを探索する(3811)。そのような位置を特定された外周ポイントのそれぞれにおいて、その対応する計測ベクトルの角度と同じ角度でベクトル寸法が計測される(3812)。
【0118】
その後、ベクトル寸法計測値から統計データがフィーチャータイプの関数として演算される(3813)。当該統計データは、部品全体に亘って、或いは、部品の一部に対して又は部品上の異なるダイ若しくは部品上の異なるダイ内の一部に対して、演算される。特定のフィーチャータイプが、参照データにおける同じ寸法のフィーチャーによって表される。統計データは、最小値、最大値、平均値、及び標準偏差の統計値のうちの少なくとも1つであるフィーチャータイプについて演算されてもよい。最後に、当該統計データは、部品の特徴付け用途又はプロセス制御のために報告される(3814)。
【結論】
【0119】
まとめると、上記方法では、ウェーハ及び高密度回路ボード等の電子部品に対して数十億の2次元導体幅及びスペースメトロロジー計測がサブカメラピクセル・サブミクロン以内の精度で行われて、部品上のあらゆる導体及びフィーチャーの全長又は全外周に沿ったあらゆるピクセル位置においてそのような計測値を演算する。
【0120】
サブカメラピクセル・サブミクロンでの線幅及びスペースメトロロジー計測の精度は、部品上の又は検査中の部品の一部分における導体の配置精度によって制限されない。
【0121】
部品を検査するために、本方法では、まず各フィーチャーを位置特定すべく走査画像に対して探索を行い、フィーチャーが位置特定されるとそのサイズを計測し、フィーチャーサイズ統計を演算する。部品が走査されながら、メトロロジー計測及び欠陥検出がリアルタイムで同時に行われる。
【0122】
典型的には部品全体に亘って行う必要のある数十億の計測により、コンピュータ支援設計(CAD)ファイル又は参照データから計測値を抽出する自己学習自動化方法が、許容された製造公差を提供する。
【0123】
さらに、この技術では、部品全体、部品の一部、部品上の各ダイ、又は各ダイの一部に対して且つ部品上のフィーチャーの最大百パーセントに対して演算された、(以下に限定されるものではないが)最小値、最大値、平均値、及び標準偏差のフィーチャーサイズ、線幅、及びスペース計測値等の統計データを演算できる。部品上の数十億の位置に基づいて統計を作成することに加え、本方法ではまた、リアルタイムで部品を走査しながら、統計データを算出するために用いる計測を行うために最適な位置が自動的に決定される。そのような自動セットアップは、異なる部品を大量に扱う工場にとって好ましい。
【0124】
例示的実施形態の上記記載は、検査及びメトロロジーツールを実現するシステム及び方法を示して記載するが、網羅的であること、または開示された正確な形態に限定されること、を意図していない。
【0125】
ある部分は、1つ以上の機能を行う「ロジック」として実現されてもよい。このロジックは、ハードワイヤードロジック、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、グラフィックプロセッシングユニット等のハードウェアを含んでもよく、また、ソフトウェア指示を実行するプロセッサを全体的又は部分的に含んでもよい。従って、このロジックの一部又は全ては、1つ以上の有形の非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよく、コンピュータ、データ処理システム、特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ、又は任意のその他の状態機械により実行され得るコンピュータ実行可能な指示を含んでもよい。コンピュータ実行可能な指示は、本明細書に記載された1つ以上の実施形態を実現する指示を含んでもよい。
【0126】
ブロック及びプロセスフローチャートがより多くの又はより少ない要素を含んだり、異なるように配置されたり、又は異なるように表されたりしてもよいことも理解されるべきである。例えば、フローチャートに関して一連のステップが上記に記載されたが、ステップの順番は同じ結果を達成するよう変更されてもよい。加えて、工程、動作、及びステップは、その他のモジュール又は構成要素を形成すべく組み合わせ又は分離され得る、追加の又はその他の、ハードウェアモジュール若しくはソフトウェアモジュール又はハードウェア構成要素若しくはソフトウェア構成要素により行われてもよい。例えば、一連のステップがある図に関連して記載されたが、ステップの順番はその他の相反しない実施において変更されてもよい。さらに、独立のステップを平行して行ってもよい。さらに、開示された実施は、ハードウェア又はソフトウェアの特定の組み合わせのいずれにも限定されない。
【0127】
よって、その他のバリエーション及び変更が記載された実施形態に対して成されてそれらの利点のいくつか又は全てを達成してもよいことは明白である。従って、添付の特許請求の範囲の目的は、本明細書の開示の真の趣旨及び範囲に収まる全てのそのようなバリエーション及び変更とそれらの同等物とを網羅することである。
【符号の説明】
【0128】
101 ホール欠陥
201 参照パターン
202 走査パターン
203,603,702 公差帯域
204 切れ込み欠陥
205 突起欠陥
301,302,303,304,401,402,601,602 導体
405,407,701 導体の参照データ
1601 参照データ
1602 絶縁体の公差帯域
1701 走査画像
2701,2801 フィーチャー
2702 公差帯域
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
図22C
図23
図24
図25
図26
図27A
図27B
図28A
図28B
図28C
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38